説明

フリバンセリンの結晶性の塩形態

本発明は、薬学的に有用な特性を有するフリバンセリンの新規な結晶性の塩形態、それらの製造のための方法、それらを含む医薬製剤及び医薬としてのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリバンセリン、1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンの結晶性の塩、それらを製造する方法、それらを含む医薬製剤及びそれらの医薬としての使用に関する。
【0002】
背景技術
化合物1−[2−(4−(3−トリフルオロメチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンは、EP 0 526 434 B1から知られており、以下の式(I):
【0003】
【化1】


で描かれる化学構造を有している。
【0004】
さらに、この化合物の遊離塩基は、その多形B形態ならびにその製造方法でEP 1 414 816 B1から知られている。
【0005】
上記の特許文献はさらに、異なる疾患の処置、とりわけHSDD(性的欲求低下障害)の処置のための、この化合物の使用を開示している。
【0006】
発明の要約
本発明の目的は、医薬の使用について有利な特性を有する、新規な形態のフリバンセリンを提供することである。
【0007】
上述した、従来技術で開示されているフリバンセリンの薬理学的に有益な特性は、医薬組成物としての化合物の効果的な使用のための基本的な必要条件を構成する。しかしながら、医薬としての使用が許可されるためには、活性物質はまた、望ましい適応症に実際に効果的であることに限らず、さらなる要求を満足しなければならない。これらのパラメータは、活性物質の物理化学的性質に大きく関係する。
【0008】
制限されることなく、これらのパラメータの例は、様々な環境条件下での出発物質の効果の安定性、医薬製剤を生産する間の安定性、及び薬物の最終組成物の安定性である。医薬組成物の製造のために用いられる薬学的な活性物質は、したがって、異なる環境条件下でさえ保障される卓越した安定性を有するべきである。例えば、活性物質それ自体に加えて分解産物を含む、医薬組成物を使用されることを防止することは完全に不可欠である。そのような場合、医薬製剤中に存在する活性物質の内容量は規定より低くなりうる。
【0009】
水分の吸収は、水の取り込みにより引き起こされる質量の増加の結果として、薬学的な活性物質の内容量を減少させる。水分を吸収する傾向を有する医薬組成物は、例えば、適切な乾燥剤を加えるか、又は薬物を水分から保護される環境下で貯蔵することによって、貯蔵の間に水分から保護されなければならない。加えて、医薬の基質がいかなる方法でも水分から保護されていない環境に曝される場合、水分の取り込みは、製造の間に薬学的な活性物質の内容量を減少させうる。したがって好ましくは、薬学的な活性物質は、仮にあったとしても、吸湿性は僅かであるべきである。
【0010】
製剤の選択又は製造方法の選択に依存する環境下での、特別な重要性となりうる他の基準は、活性物質の溶解性である。例えば医薬溶液を調製する場合(例えば、点滴液)、活性物質が、生理学的に許容される溶媒に十分に可溶性であるべきことは必須である。経口的に摂取される薬物にとって、活性物質が十分に可溶性であることもまた、非常に重要である。
【0011】
本発明の課題は、高い薬理的な効力を特徴とするだけでなく、上記の物理化学的要求を可能な限り満足する、薬学的な活性物質を提供することである。
【0012】
したがって、本発明の目的は、有利な物理化学的特性、特に改良された水への溶解性及び最小化された吸湿性を特徴とする、フリバンセリン、1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンの新規な結晶性の塩形態を提供することである。
【0013】
本発明の他の態様は、1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンの新規な結晶性の塩形態を製造するための方法に関する。
【0014】
本発明の他の態様は、1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンの新規な結晶性の塩形態を含む医薬組成物及びその医薬としての使用に関する。
【0015】
発明の詳細な説明
第一の態様において、本発明は、化合物1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンの塩及び/又は結晶性形態及び/又は結晶性の塩形態に関し、以下:
I.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=215±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンクロリド(形態I)(=無水形態)。DSCダイアグラムは、さらに2つの弱い吸熱性の信号を、約122℃及び186℃に観察することができることを加えての特徴とする。この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=15.99±0.05Å、d=7.44±0.05Å、d=3.98±0.05Å及びd=3.44±0.05Åである;
【0016】
II.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=217±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンクロリド(形態III)(=溶媒和物形態)。DSCダイアグラムは、さらに2つの弱い吸熱性の信号を、約56℃及び121℃に観察することができることを特徴とする。この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=16.43±0.05Å、d=5.08±0.05Å、d=4.35±0.05Å、d=3.47±0.05Å及びd=7.66±0.05Åである;
【0017】
III.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=252±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンブロミド(形態I)(=溶媒和物形態)。DSCダイアグラムは、さらに2つの弱い吸熱性の信号を、約104℃及び222℃に観察することができることを加えての特徴とする。この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=3.48±0.05Å、d=3.33±0.05Å、d=4.28±0.05Å、d=3.43±0.05Å及びd=16.03±0.05Åである;
【0018】
IV.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=252±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンブロミド(形態III)(=溶媒和物形態)。DSCダイアグラムは、さらに2つの弱い吸熱性の信号を、約89℃及び218℃に観察することができることを加えての特徴とする。この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=15.52±0.05Å、d=5.15±0.05Å、d=4.60±0.05Å、d=4.36±0.05Å及びd=3.94±0.05Åである;
【0019】
V.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=144±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンエジシル酸塩(形態I)(=溶媒和物形態)。この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、14.34±0.05Å、d=3.95±0.05Å、d=4.64±0.05Å、d=3.75±0.05Å及びd=9.50±0.05Åである;
【0020】
VI.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=238±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オントシル酸塩(形態I)(水和物形態)。この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=5.11±0.05Å、d=4.84±0.05Å、d=3.93±0.05Å及びd=3.48±0.05Åである;
【0021】
VII.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=207±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンメシル酸塩(形態I)(=一水和物形態)。DSCダイアグラムは、さらに1つの弱い吸熱性の信号を、約60℃に観察することができることを加えての特徴とする。この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=15.25±0.05Å、d=4.18±0.05Å、d=3.47±0.05Å、d=4.95±0.05Å及びd=4.24±0.05Åである;室温における水への溶解性は、1.1mg/mlである。相対湿度10〜90%の範囲での水の取り込みで表される吸湿性は、3.4%である。
【0022】
VIII.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=247±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンベシル酸塩(形態I)(=一水和物形態)。DSCダイアグラムは、さらに1つの弱い吸熱性の信号を、約111℃に観察することができることを加えての特徴とする。この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=3.99±0.05Å、d=4.69±0.05Å、d=4.85±0.05Å及びd=6.42±0.05Åである;室温における水への溶解性は、0.1mg/mlである。相対湿度10〜90%の範囲での水の取り込みで表される吸湿性は、0.15%である。
【0023】
IX.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=209±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンシュウ酸塩(形態I)(=無水形態)。この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=7.09±0.05Å、d=6.01±0.05Å、d=4.92±0.05Å、d=4.24±0.05Å及びd=4.08±0.05Åである;室温における水への溶解性は、1.7mg/mlである。相対湿度10〜90%の範囲での水の取り込みで表される吸湿性は、0.7%である。
【0024】
X.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=254±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンシュウ酸塩(形態V)(=二水和物形態)。DSCダイアグラムは、さらに2つの弱い吸熱性の信号を、約112℃及び198℃に観察することができることを加えての特徴とする。この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=7.09±0.05Å、d=5.67±0.05Å、d=5.04±0.05Å、d=4.87±0.05Å及びd=3.76±0.05Åである;
【0025】
XI.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=90±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンサッカリン塩(形態I)(=1.5水和物形態)。この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=7.86±0.05Å、d=5.90±0.05Å、d=5.30±0.05Å、d=5.14±0.05Å及びd=4.62±0.05Åである;室温における水への溶解性は、0.3mg/mlである。相対湿度10〜90%の範囲での水の取り込みで表される吸湿性は、0.24%である。
【0026】
XII.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=182±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンリン酸塩(形態I)(=半水和物形態);DSCダイアグラムは、さらに3つの弱い吸熱性の信号を、約81℃、141℃及び164℃に観察することができることを加えての特徴とする。この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=15.79±0.05Å、d=5.06±0.05Å、d=7.90±0.05Å及びd=3.75±0.05Åである;
【0027】
XIII.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=98±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンマレイン酸塩(形態I)(=THF溶媒和物);DSCダイアグラムは、さらに弱い吸熱性の信号を、約78℃に観察することができることを加えての特徴とする。この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=9.58±0.05Å、d=7.71±0.05Å、d=6.13±0.05Å、d=5.93±0.05Å及びd=4.62±0.05Åである;
【0028】
XIV.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=172±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンマレイン酸塩(形態III)(=無水形態);この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=6.07±0.05Å、d=5.16±0.05Å、d=4.52±0.05Å、d=4.10±0.05Å及びd=3.20±0.05Åである;
【0029】
XV.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=207±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンエタンスルホン酸塩(形態I)(=一水和物形態);DSCダイアグラムは、さらに2つの弱い吸熱性の信号を、約105℃及び189℃に観察することができることを加えての特徴とする。この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=15.30±0.05Å、d=7.25±0.05Å、d=5.00±0.05Å、d=4.34±0.05Å及びd=4.23±0.05Åである;室温における水への溶解性は、1.3mg/mlである。相対湿度10〜90%の範囲での水の取り込みで表される吸湿性は、0.32%である。
【0030】
XVI.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=217±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンカンファースルホン酸塩(形態I)(=無水形態):DSCダイアグラムは、さらに弱い吸熱性の信号を、約177℃に観察することができることを加えての特徴とする。この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=16.32±0.05Å、d=5.69±0.05Å、d=5.45±0.05Å、d=5.50±0.05Å及びd=3.62±0.05Åである;
【0031】
XVII.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=103±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンマロン酸塩(形態I)(=二水和物形態);DSCダイアグラムは、さらに弱い吸熱性の信号を、約79℃に観察することができることを加えての特徴とする。この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=23.23±0.05Å、d=8.56±0.05Å、d=4.62±0.05Å、d=4.19±0.05Å及びd=3.72±0.05Åである;
【0032】
XVIII.表2.9に記載されているデータを特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンマロン酸塩(形態II)(=溶媒和物形態);
【0033】
XIX.表2.10に記載されているデータを特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンマロン酸塩(形態VI)(=二水和物形態);
【0034】
XX.表2.11に記載されているデータを特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンサリチル酸塩(形態I)(=無水形態);
【0035】
XXI.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=151±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンL−酒石酸塩(=二水和物形態);この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=5.46±0.05Å、d=4.94±0.05Å、d=4.30±0.05Å、d=4.08±0.05Å及びd=3.74±0.05Åである;
【0036】
XXII.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=195±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オン半フマル酸塩(形態I)(=無水形態);この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=6.38±0.05Å、d=5.19±0.05Å、d=4.87±0.05Å、d=3.72±0.05Å及びd=3.45±0.05Åである;
【0037】
XXIII.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=193±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンフマル酸塩(形態II)(=二水和物形態);DSCダイアグラムは、さらに弱い吸熱性の信号を、約157℃に観察することができることを加えての特徴とする。この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=5.42±0.05Å、d=4.73±0.05Å、d=4.25±0.05Å、d=4.06±0.05Å及びd=3.72±0.05Åである;
【0038】
XXIV.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=139±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オングリコール酸塩(形態I)(=水和物形態);DSCダイアグラムは、さらに2つの弱い吸熱性の信号を、約30℃及び115℃に観察することができることを加えての特徴とする。この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=3.96±0.05Å、d=4.48±0.05Å、d=3.93±0.05Å、d=8.43±0.05Å及びd=3.74±0.05Åである;
【0039】
XXV.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=176±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンクエン酸塩(形態I)(=溶媒和物形態);DSCダイアグラムは、さらに弱い吸熱性の信号を、約123℃に観察することができることを加えての特徴とする。この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=15.61±0.05Å、d=7.81±0.05Å、d=7.47±0.05Å、d=5.34±0.05Å及びd=4.87±0.05Åである;
【0040】
XXVI.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=148±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンマンデル酸塩(形態I)(=無水形態);この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=4.87±0.05Å、d=4.66±0.05Å、d=4.10±0.05Å、d=3.88±0.05Å及びd=3.73±0.05Åである;
【0041】
XXVII.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=176±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンL−リンゴ酸塩(形態I)(=一水和物形態);DSCダイアグラムは、さらに1つの弱い吸熱性の信号を、約106℃に観察することができることを加えての特徴とする。この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=7.82±0.05Å、d=6.10±0.05Å、d=5.22±0.05Å、d=4.95±0.05Å及びd=3.79±0.05Åである;
【0042】
XXVIII.表2.18に記載されているデータを特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンコハク酸(形態I)(=二水和物形態):
【0043】
XXIX.d=4.92±0.05Å、d=3.43±0.05Å、d=4.00±0.05Å及びd=3.96±0.05Åに現れる、粉末X線ディフラクトグラム中のピークを特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンナフタレンスルホン酸塩(形態I)(=半水和物形態);
【0044】
XXX.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=241±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オントシル酸塩(形態II)(=無水形態);この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=4.94±0.05Å、d=4.57±0.05Å、d=4.32±0.05Å、d=3.53±0.05Å及びd=3.35±0.05Åである;室温における水への溶解性は、0.09mg/mlである。相対湿度10〜90%の範囲での水の取り込みで表される吸湿性は、0.25%である。
【0045】
XXXI.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=202±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンフマル酸塩(形態III)(=無水形態);この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=5.33±0.05Å、d=5.21±0.05Å、d=4.53±0.05Å、d=4.12±0.05Å及びd=3.69±0.05Åである;室温における水への溶解性は、0.5mg/mlである。相対湿度10〜90%の範囲での水の取り込みで表される吸湿性は、0.28%である。
【0046】
XXXII.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=231±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンカンファースルホン酸塩(形態II)(=無水形態);この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=5.47±0.05Å、d=5.44±0.05Å、d=4.76±0.05Å、d=4.46±0.05Å及びd=3.70±0.05Åである;室温における水への溶解性は、0.7mg/mlである。相対湿度10〜90%の範囲での水の取り込みで表される吸湿性は、0.13%である。
【0047】
XXXIII.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=231±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オングリコール酸塩(形態II)(=水和物形態);この化合物の粉末X線ディフラクトグラムにおける特に特徴的なピークは、d=5.75±0.05Å、d=4.64±0.05Å、d=4.43±0.05Å、d=4.02±0.05Å及びd=3.97±0.05Åである;室温における水への溶解性は、0.5mg/mlである。相対湿度10〜90%の範囲での水の取り込みで表される吸湿性は、0.20%である。
【0048】
他の実施態様において、本発明は、上記I)〜XXIX)下で規定されている、フリバンセリンの新規な結晶性の塩形態を調製する方法に関する。
【0049】
本発明にしたがって、上記規定の化合物は、下記:
i)フリバンセリンの遊離塩基及び塩形成のためのアニオンを提供する酸を、適切な溶媒(好ましくはTFE/水(80:20))に溶解すること;
ii)フリバンセリンの遊離塩基を、酸に依存して1:1又は2:1より選択される、所定の塩基/酸モル比で、酸と混合すること;
iii)溶媒を除去すること(例えば、減圧下での蒸発);
iv)適切な結晶化溶媒を、工程iii)で得られた残留物へ加え、反応混合物をゆっくりと(例えば、加熱速度約5℃/分)約50℃まで加熱し;放置して、さらなる期間(例えば、約30分)静置すること;
v)反応混合物を、適切な結晶化温度(例えば、20℃又は3℃の間)へとゆっくりと冷却し(例えば、冷却速度約5℃/時)、放置して、十分な結晶が形成するまで静置すること;
vi)析出した結晶を単離することによって得ることができる。
【0050】
本発明にしたがう方法では、式(I)の化合物の遊離塩基は、TFE/水(80:20)のような適切な溶媒に溶解される。結晶化に用いられる酸は、TFE/水(80:20)のような適切な溶媒(酸に依存する)に同様に溶解される。式(I)の化合物の遊離塩基は次に、酸に依存して1:1又は2:1より選択される、所定の塩基/酸のモル比で、酸と混合される。次に溶媒を減圧下で蒸発させる。溶媒を蒸発させた後、適切な結晶化溶媒を反応混合物に加え、反応混合物をゆっくりと最大50℃まで加熱する(例えば、加熱速度約5℃/分)。非限定的に、結晶化のための適切な溶媒は、エタノール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、n−メチルピロリドン、酢酸プロピル、メチルtert−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、水、2,2,2,−トリフルオロエタノール、クロロホルム、メタノール、ニトロベンゼン、ニトロメタン、シクロヘキサノン、プロピオニトリル、エチルフェニルエーテル、ジイソブチルケトン、イソホロン、水/エタノール(20/80)、水/n−メチルピロリドン(80/20)、水/2,2,2−トリフルオロエタノール(20/80)、水/アセトン(20/80)及び水/DMSO(80/20)である。50℃で30分間保った後、反応混合物を適切な結晶化温度、例えば20℃又は3℃の間までゆっくりと冷却する(例えば、冷却速度5℃/h)。反応混合物をこの温度で、十分な結晶が形成するまで保ち、次に例えば濾過により回収することができる。
【0051】
上記I)〜XXIX)下で規定されているフリバンセリンの塩形態は、粉末X線回折及び熱分析(DSC)によってより十分に特定される。得られたダイアグラムを、図1.1〜1.23に示す。表1.1〜1.23は、解析によって得られたデータを含む。表2.1〜2.18は、解析によって得られた単結晶のデータを含む。
【0052】
【表1】





【0053】
本発明にしたがう結晶性の塩形態について記録される粉末X線反射及び強度の値(正規化)は、前記の表1.1〜1.23に示している。各々の結晶性の塩形態について、対応する表中の最高の値、つまり最高の相対強度を有する反射ピークの値(d[Å])は、結晶性の塩形態を特徴づける。値「2−θ[°]」は、回折角を度で示し、値「d[Å]間隔」は、格子面間の規定の距離をÅで示す。
【0054】
【表2】

【0055】
【表3】

【0056】
【表4】

【0057】
【表5】

【0058】
【表6】

【0059】
【表7】

【0060】
【表8】

【0061】
【表9】

【0062】
【表10】

【0063】
【表11】

【0064】
【表12】

【0065】
【表13】

【0066】
【表14】

【0067】
【表15】

【0068】
【表16】

【0069】
【表17】

【0070】
【表18】

【0071】
【表19】

【0072】
【表20】

【0073】
【表21】

【0074】
【表22】

【0075】
【表23】

【0076】
【表24】

【0077】
【表25】

【0078】
【表26】

【0079】
【表27】

【0080】
【表28】

【0081】
【表29】

【0082】
【表30】

【0083】
本発明にしたがう結晶性の塩形態の、単結晶のデータ及び構造の精密化は、前記の表2.1〜2.18に示している。これらの表中で用いている略語は、以下の意味を有する:
Fw=式量;
T=データ収集の温度;
λ=X線源の波長;
=密度の計算値;
θ範囲=データ収集のθ幅;
S=Fの適合度;
R[I>2σ(I)]=最終のR指数[I>2シグマ(I)]
【0084】
【表31】

【0085】
【表32】

【0086】
【表33】

【0087】
【表34】

【0088】
【表35】

【0089】
【表36】

【0090】
【表37】

【0091】
【表38】

【0092】
【表39】

【0093】
【表40】



【0094】
【表41】

【0095】
【表42】









【0096】
【表43】

【0097】
【表44】



【0098】
【表45】

【0099】
【表46】

【0100】
【表47】

【0101】
【表48】

【0102】
【表49】

【0103】
【表50】

【0104】
【表51】

【0105】
【表52】



【0106】
本発明のさらなる目的は、以下の疾患の治療又は予防のための医薬の製造のための、上記の塩及び結晶性の塩形態の使用である。
【0107】
上記本発明の塩及び結晶性の塩形態の適応症は、フリバンセリンについて公知の適応症全てを含むことができ、例えば、中枢神経系障害の患者の治療、特に情動障害(例えば、大うつ病性障害、小児うつ病、気分変調、季節性情動障害、気分変調性障害及び軽度うつ病性障害のようなうつ病;双極性障害)、不安症(広場恐怖症を伴うか又は伴わないパニック障害、パニック障害病歴を伴わない広場恐怖症、特定の恐怖症(単純恐怖)、社会恐怖症(社会不安障害)、強迫性障害(OCD)、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、全般性不安障害及び特定不能の不安障害を含む)、睡眠及び性的障害(例えば、性的欲求低下障害、月経前不快感、月経前症候群、月経前不快気分障害のような月経前障害;性嫌悪障害、性的興奮障害、オルガスム障害、性交疼痛症、膣痙、非性交時性的疼痛障害のような性的疼痛障害;全身状態が原因の性的機能異常及び物質誘発の性的機能異常)、精神病、統合失調症(解体型、緊張型、妄想型、鑑別不能型、残遺型の統合失調症、統合失調感情障害、統合失調症様障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、全身状態が原因の精神病性障害、物質誘発の精神病性障害、及び特定不能の精神病性障害を含む)、人格障害、器質性精神障害、小児精神障害、攻撃性、加齢関連性記憶障害、神経防護のための、神経変性疾患ならびに様々な起源の脳虚血(例えば、てんかん、低血糖症、低酸素症、無酸素症、脳外傷、脳浮腫、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、アルツハイマー病、低血圧症、心筋梗塞、脳圧(頭蓋内圧上昇)、虚血性及び出血性脳卒中(脳卒中)、心停止中の全脳虚血、糖尿病性多発ニューロパシー、耳鳴、周産期仮死、心肥大(心筋肥厚)及び心不全(心筋衰弱);神経性食欲不振(無茶食い/排泄型の神経性食欲不振及び制限型の神経性食欲不振を含む)、注意欠陥多動性障害(ADHD)(混合優勢型ADHD、不注意優勢型ADHD及び多動・衝動性優勢型ADHDを含む)、肥満症(外因性肥満症、高インスリン性肥満症、過血漿性肥満症、下垂体性肥満症、減血漿性肥満症、甲状腺機能不全性肥満症、視床下部性肥満症、症候性肥満症、小児肥満症、上半身肥満症、食事性肥満症、性機能低下性肥満症及び中枢性肥満症を含む)、尿失禁(過活動膀胱症候群、緊急性、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、混合型尿失禁を含む)、慢性疼痛(神経因性疼痛、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛(PHN)、手根管症候群(CTS)、HIV神経障害、幻肢疼痛、複合性局所疼痛症候群(CPRS)、三叉神経痛(trigeminal neuralgia)/三叉神経痛(trigeminus neuralgia)/疼痛性チック(tic douloureux)、外科的介入(例えば、術後鎮痛薬)、糖尿病性脈管障害、膵島炎に関連する毛細血管抵抗又は糖尿病性症状、狭心症に関連する疼痛、月経に関連する疼痛、癌に関連する疼痛、歯痛、頭痛、片頭痛、三叉神経痛、顎関節症候群、筋膜疼痛筋肉損傷、線維筋痛症候群、骨及び関節の疼痛(変形性関節症)、リウマチ性関節炎、熱傷に関連する外傷に起因するリウマチ性関節炎及び浮腫、変形性関節症、骨粗鬆症、骨転移が原因の又は理由不明の捻挫又は骨折の疼痛、痛風、結合組織炎、筋膜疼痛、胸郭出口症候群、上背部疼痛又は下背部疼痛(ここで、背疼痛は組織的、局所的、又は原発性脊椎疾患(神経根障害)、骨盤疼痛、心臓性胸疼痛、非心臓性胸疼痛、脊髄損傷(SCI)関連疼痛、中枢性脳卒中後疼痛、癌の神経障害、AIDSの疼痛、鎌状赤血球の疼痛及び高齢者疼痛に起因する)、心臓弁膜症(狭窄性弁膜症、弁膜逆流、一つの弁の閉鎖、僧帽弁逸脱を含む)、不眠症(第一級及び第二級不眠症を含む)及び血管運動症状の治療及び/又は予防である。
【0108】
好ましくは、塩及び結晶性の塩形態は、性的欲求の障害、より好ましくはHSDD(性的欲求低下障害)の処置に使用することができる。本発明はまた、上述した本発明の塩又は結晶性の塩形態を含む医薬組成物に関する。
【0109】
上記本発明の塩及び結晶性の塩形態は、固体、液体又はスプレーの形態で従来の医薬製剤に組み込むことができる。組成物は、例えば、適切には、経口、直腸、非経口投与又は鼻孔吸入の形態で存在することができる:好ましい形態は、例えば、カプセル剤、錠剤、コーティング錠、アンプル剤、坐剤及び鼻孔スプレーを含む。
【0110】
活性成分は、例えばタルク、アラビアゴム、ラクトース、ゼラチン、ステアリン酸マグネシウム、トウモロコシデンプン、水性又は非水性溶剤、ポリビニルピロリドン、脂肪酸の半合成グリセリド、塩化ベンザルコニウム、リン酸ナトリウム、EDTA、ポリソルベート80のような、医薬組成物中に従来的に用いられる賦形剤又は担体に組み込むことができる。組成物は、有利には用量単位で処方され、各々の用量単位は活性成分の単回用量を提供するのに適応される。1日につき適用できる量の範囲は、0.1〜400の間、好ましくは1.0〜300の間、より好ましくは2〜200mgの間である。各々の用量単位は、0.01mgから100mgまで、好ましくは0.1から50mgまで、好都合には含むことができる。
【0111】
適切な錠剤は、例えば、活性物質を既知の賦形剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくは乳糖のような不活性希釈剤;トウモロコシデンプンもしくはアルギン酸のような崩壊剤;デンプンもしくはゼラチンのような結合剤;ステアリン酸マグネシウムもしくはタルクのような滑沢剤;及び/又はカルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、もしくはポリ酢酸ビニルのような放出を遅延させる物質)と混合することにより得られる。錠剤はまた、複数の層を含んでいてもよい。
【0112】
コーティング錠は、錠剤と同様に製造したコアを、通常錠剤コーティングに使用される物質、例えば、コリドン(collidone)又はシェラック、アラビアゴム、タルク、二酸化チタン又は糖類でコーティングすることにより、しかるべく調製することができる。遅延放出を達成するか、又は配合禁忌を妨げるために、コアはまた、数層からなっていてもよい。同様に、錠剤コーティングは、場合により錠剤用の上述の賦形剤を用いて、遅延放出を達成するために数層からなっていてもよい。
【0113】
本発明の活性物質又はその組合せを含有するシロップ剤又はエリキシル剤は、更にサッカリン、サイクラマート、グリセロール又は糖類のような甘味料、及び香味増強剤、例えば、バニリン又はオレンジエキスのような香味料を含有してもよい。これらはまた、懸濁補助剤又はカルボキシメチルセルロースナトリウムのような増粘剤、例えば、脂肪アルコールとエチレンオキシドとの縮合生成物のような湿潤剤、又はp−ヒドロキシ安息香酸エステルのような保存料を含有してもよい。
【0114】
注射用の液剤は、通常の方法、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エステルのような防腐剤、又はエチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩のような安定化剤の添加を用いて調製され、注射バイアル又はアンプルに移す。
【0115】
1種以上の活性物質又は活性物質の組合せを含有するカプセル剤は、例えば、活性物質を乳糖又はソルビトールのような不活性担体と混合して、これをゼラチンカプセルに詰めることにより調製できる。
【0116】
適切な坐剤は、例えば、中性脂肪又はポリエチレングリコールもしくはその誘導体のような、この目的で提供される担体と混合することにより、製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1.1a】HCl 1=クロリド、形態Iの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.1b】HCl 3=クロリド、形態IIIの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.2a】HBr 1=ハイドロブロミド、形態Iの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.2b】HBr 3=ハイドロブロミド、形態IIIの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.3】Eds 1=エジシル酸塩、形態Iの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.4】Tos 1=トシル酸塩、形態Iの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.5】Mes 1=メシル酸塩、形態Iの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.6】Bes 1=ベシル酸塩、形態Iの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.7a】Oxa 1=シュウ酸塩、形態Iの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.7b】Oxa 5=シュウ酸塩、形態Vの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.8】Sac 1=サッカリン塩、形態Iの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.9】Pho 1=リン酸塩、形態Iの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.10a】Mae 1=マレイン酸塩、形態Iの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.10b】Mae 3=マレイン酸塩、形態IIIの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.11】Ets 1=エタンスルホン酸塩、形態Iの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.12】Cas 1=カンファースルホン酸塩、形態Iの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.13】Mao 1=マロン酸塩、形態Iの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.14】L−Tar 1=L−酒石酸塩、形態Iの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.15a】Fum 1=フマル酸塩、形態Iの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.15b】Fum 2=フマル酸塩、形態IIの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.16】Gly 1=グリコール酸塩、形態Iの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.17】Cit 1=クエン酸塩、形態Iの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.18】Man 1=マンデル酸塩、形態Iの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.19】L−Mal 1=L−リンゴ酸塩、形態Iの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.20】Nas 1=ナフタレン−スルホン酸塩、形態Iの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.21】TOS 2=トシル酸塩、形態IIの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.22】Fum 3=フマル酸塩、形態IIIの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.23】Cas 2=カンファースルホン酸塩、形態IIの粉末X線回折のダイアグラムである。
【図1.24】Gly 3=グリコール酸塩、形態IIの粉末X線回折のダイアグラムである。
【0118】
実施例
塩の特徴づけの解析的方法
採取した結晶は、粉末X線回折及び熱分析(DSC)によって特徴づけることができる。適切な単結晶が育つ場合、単結晶X線構造解析を実施することができる。以下の機器が、結晶性の塩形態を特徴づけることに用いられる。
【0119】
粉末X線回折(=XRPD)
XRPDパターンは、高処理能力XRPD装置を用いて得た。プレートを、Hi-Starエリア検出器を備えたBruker GADDS回折計に取り付けた。長い面間隔(d-spacings)にはベヘン酸銀を、短い面間隔にはコランダムを用いて、回折計を較正した。
【0120】
データの収集は、1.5〜41.5°の間の2Θの領域での単色CuKα放射線を用いて室温でおこなった。各々のウェルの回折パターンを3〜4分間の露光により収集した。
【0121】
単結晶X線構造解析
適切な単結晶を選択し、ガラスファイバーに接着し、X線回折ゴニオメーターに取り付けた。取り付けた結晶のX線回折データを、233Kの温度で、KappaCCDシステムと、FR590X線発生機(Bruker Nonius Delft, The Netherlands)により生成するMoKα線を用いて収集した。単位格子パラメータ及び結晶構造は、ソフトウェアパッケージmaXus(Mackay et al., 1997)を用いて決定し、精密化した。
【0122】
熱分析(DSC)
溶融特性は、DSC822e(Mettler-Toledo GmbH、Switzerland)で記録した示差走査熱量測定(=DSC)サーモグラムから得た。DSC822eは、小片のインジウム(Tfus=156.6℃、ΔHfus=28.45J/g)を用いて、温度及びエンタルピーについて較正した。サンプルを標準40μlアルミニウム皿中に密閉し、DSC中で加熱速度20℃/分にて25℃から300℃まで加熱した。測定中は、50ml/分の流量で乾燥窒素ガスを用いてDSC装置をパージした。用いた溶融温度は、DSCダイアグラム中、対応する融解ピークのTfus(開始)温度である。特定した融点の確度は約±5℃である。
【0123】
吸湿性
Hiden IsochemaからのIGAsorp水吸着モニターを室温での吸湿性挙動の解析に用いた。
湿度分析結果:10〜90%r.h.で10%ずつ、吸着ならびに脱着の分析結果を記録した。
計量した量(weight-in quantity):10〜20mg
【0124】
溶解性
異なる結晶性の塩形態の水への溶解性を、約5mgの化合物を5mlの水に室温で加えることで決定した。混合物を室温で2時間激しく振とうした。その後、不溶性固体を0.45μm PTFEフィルターを通した濾過により除去し、濾液中の溶解した化合物の量をUV−分光法により決定した。
【0125】
塩形態の合成
方法は、96ウェルアッセイプレート中、並行して行われるように、以下の塩及び結晶性の塩形態の製造方法の実施例に例示した(各々のウェルの最大体積は約200μlである)。
【0126】
約1gのフリバンセリンの遊離塩基を、10mlのTFE/水80:20に溶解した。塩の調製に用いられる酸を、フリバンセリンとそれぞれの酸のモル比が、表3下の「塩基/酸比」にて与えられた情報にしたがって定められるように、異なる溶媒に溶解した。フマル酸をTHF/水80:20に溶解し、水中のHCl及び用いた他の全ての酸をTFE/水80:20に溶解した。しかしながら、使用される酸を溶解することができる全ての溶媒が使用されうることを留意されたい。次に96ウェルプレートを、溶媒を蒸発させるために、室温で24時間、真空室(1kPa)中に置いた。その後、各々のウェルに、表3下の「結晶化溶媒」にて与えられた情報にしたがって、別の溶媒を加え、ウェルプレートを密閉し、加熱速度約5℃/分にて50℃まで加熱した。プレートを次に追加の30分間、50℃にて保持した。その後、プレートを冷却速度約5℃/時にて、表3下に「Tfinal[℃]」にて与えられる情報にしたがって、3又は20℃の最終温度まで冷却した。この温度で、プレートを24時間の保持時間保った。次にプレートを開き、固体を濾過により回収した。
表3に規定される全ての塩は、上記明細書にしたがって合成した。
【0127】
【表53】



【0128】
製剤の実施例:
以下の実施例は、その範囲を制限することなく本発明を例示する:
【0129】
医薬製剤の実施例
A) 錠剤 1錠あたり
活性物質 100mg
乳糖 240mg
トウモロコシデンプン 340mg
ポリビニルピロリドン 45mg
ステアリン酸マグネシウム 15mg
740mg
【0130】
微粉化した活性物質、乳糖及び少量のトウモロコシデンプンを一緒に混合する。この混合物を篩にかけ、次にポリビニルピロリドン水溶液で湿らせ、混練し、湿式造粒して乾燥する。この顆粒、残りのトウモロコシデンプン及びステアリン酸マグネシウムを篩にかけて、一緒に混合する。この混合物を圧縮することにより適切な形状と大きさの錠剤を作る。
【0131】
B) 錠剤 1錠当たり
活性物質 80mg
トウモロコシデンプン 190mg
乳糖 55mg
微晶質セルロース 35mg
ポリビニルピロリドン 15mg
ナトリウム−カルボキシメチルデンプン 23mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
400mg
【0132】
微粉化した活性物質、少量のトウモロコシデンプン、乳糖、微結晶性セルロース、及びポリビニルピロリドンを一緒に混合し、この混合物を篩にかけて、残りのトウモロコシデンプン及び水で処理することにより顆粒を形成し、これを乾燥して篩にかける。カルボキシメチルデンプンナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを加えて混合し、そしてこの混合物を圧縮することにより適切な形状と大きさの錠剤を形成する。
【0133】
C) コーティング錠 1コーティング錠当たり
活性物質 5mg
トウモロコシデンプン 41.5mg
乳糖 30mg
ポリビニルピロリドン 3mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
80mg
【0134】
活性物質、トウモロコシデンプン、乳糖、及びポリビニルピロリドンを充分に混合し、水で湿らせる。この湿った塊を、1mmメッシュサイズの篩から押出し、約45℃で乾燥させ、次にこの顆粒を同じ篩に通す。ステアリン酸マグネシウムをここに混合後、直径6mmの凸型の錠剤核を打錠機で圧縮する。こうして製造した錠剤核を、既知のやり方で、基本的に糖類及びタルクからなる被覆でコーティングする。完成したコーティング錠をロウで磨く。
【0135】
D) カプセル剤 1カプセル剤当たり
活性物質 150mg
トウモロコシデンプン 268.5mg
ステアリン酸マグネシウム 1.5mg
420mg
【0136】
活性物質及びトウモロコシデンプンを混合し、水で湿らせる。この湿った塊を篩にかけて乾燥させる。この乾燥顆粒を篩にかけ、ステアリン酸マグネシウムと混合する。工程の終了した混合物をサイズ1の硬ゼラチンカプセルに詰める。
【0137】
E) アンプル溶液
活性物質 50mg
塩化ナトリウム 50mg
注射用水 5ml
【0138】
活性物質を、それ自体のpHで、又は場合によりpH5.5〜6.5で水に溶解させ、塩化ナトリウムを加えて等張にする。得られた溶液を濾過して発熱性物質を除去し、濾液を無菌条件下でアンプルに移し、次にこれを滅菌して、溶融により密封する。
【0139】
F) 坐剤
活性物質 50mg
脂質固体 1650mg
1700mg
【0140】
硬い脂肪を溶かす。40℃で、粉末にした活性物質を均一に分散する。それを38℃まで冷却し、わずかに冷却した坐薬型に注入する。
【図1−1a】

【図1−1b】

【図1−2a】

【図1−2b】

【図1−3】

【図1−4】

【図1−5】

【図1−6】

【図1−7a】

【図1−7b】

【図1−8】

【図1−9】

【図1−10a】

【図1−10b】

【図1−11】

【図1−12】

【図1−13】

【図1−14】

【図1−15a】

【図1−15b】

【図1−16】

【図1−17】

【図1−18】

【図1−19】

【図1−20】

【図1−21】

【図1−22】

【図1−23】

【図1−24】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
I.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=215±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンクロリド;
II.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=217±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンクロリド;
III.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=252±5℃の融点、ならびにd=3.48±0.05Å、d=3.33±0.05Å、d=4.28±0.05Å、d=3.43±0.05Å及びd=16.03±0.05Åに現れる、粉末X線ディフラクトグラムのピークを特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンブロミド;
IV.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=252±5℃の融点、ならびにd=15.52±0.05Å、d=5.15±0.05Å、d=4.60±0.05Å、d=4.36±0.05Å及びd=3.94±0.05Åに現れる、粉末X線ディフラクトグラムのピークを特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンブロミド;
V.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=144±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンエジシル酸塩;
VI.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=238±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オントシル酸塩;
VII.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=207±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンメシル酸塩;
VIII.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=247±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンベシル酸塩;
IX.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=209±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンシュウ酸塩;
X.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=254±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンシュウ酸塩;
XI.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=90±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンサッカリン塩;
XII.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=182±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンリン酸塩;
XIII.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=98±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンマレイン酸塩;
XIV.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=172±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンマレイン酸塩;
XV.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=207±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンエタンスルホン酸塩;
XVI.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=217±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンカンファースルホン酸塩:
XVII.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=103±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンマロン酸塩;
XVIII.以下のデータ:
【表54】


を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンマロン酸塩;
XIX.以下のデータ:
【表55】


を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンマロン酸塩;
XX.以下のデータ:
【表56】


を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンサリチル酸塩;
XXI.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=151±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンL−酒石酸塩;
XXII.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=195±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オン半フマル酸塩;
XXIII.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=193±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンフマル酸塩;
XXIV.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=139±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オングリコール酸塩(形態I)(=水和物の形態);
XXV.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=176±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンクエン酸塩;
XXVI.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=148±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンマンデル酸塩;
XXVII.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=176±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンL−リンゴ酸塩;
XXVIII.以下のデータ:
【表57】


を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンコハク酸塩;
XXIX.d=4.92±0.05Å、d=3.43±0.05Å、d=4.00±0.05Å及びd=3.96±0.05Åに現れる、粉末X線ディフラクトグラム中のピークを特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンナフタレンスルホン酸塩;
XXX.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=241±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オントシル酸塩(形態II)(=無水形態);
XXXI.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=202±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンフマル酸塩(形態III)(=無水形態);
XXXII.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=231±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンカンファースルホン酸塩(形態II)(=無水形態);
XXXIII.DSCを用いた熱分析中に現れる、Tfus(開始)=231±5℃の融点を特徴とする、結晶性の1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オングリコール酸塩(形態II)(=水和物形態);
からなる群より選択される、化合物1−[2−(4−(3−トリフルオロ−メチル−フェニル)ピペラジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−オンの塩。
【請求項2】
医薬として用いるための、請求項1記載の結晶性の塩形態。
【請求項3】
場合により1つ以上の薬学的に許容される賦形剤とともに、1つ以上の請求項1記載の結晶性の塩形態を含む、医薬組成物。
【請求項4】
請求項1記載の結晶性の塩形態を調製するための方法であって、以下の工程:
i)フリバンセリンの遊離塩基及び塩形成のためのアニオンを提供する酸を、適切な溶媒に溶解する工程;
ii)フリバンセリンの遊離塩基を、酸に依存して1:1又は2:1より選択される、所定の塩基/酸モル比で、酸と混合する工程;
iii)溶媒を除去する工程;
iv)適切な結晶化溶媒を、工程iii)で得られた残留物へ加え、反応混合物をゆっくりと約50℃まで加熱し;放置して、さらなる期間静置する工程;
v)反応混合物を、適切な結晶化温度へとゆっくりと冷却し、放置して、十分な結晶が形成するまで静置する工程;
vi)析出した結晶を単離する工程を含む方法。
【請求項5】
中枢神経系障害の治療、特に情動障害(例えば、大うつ病性障害、小児うつ病、気分変調、季節性情動障害、気分変調性障害及び軽度うつ病性障害のようなうつ病;双極性障害)、不安症(広場恐怖症を伴うか又は伴わないパニック障害、パニック障害病歴を伴わない広場恐怖症、特定の恐怖症(単純恐怖)、社会恐怖症(社会不安障害)、強迫性障害(OCD)、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、全般性不安障害及び特定不能の不安障害を含む)、睡眠及び性的障害(例えば、性的欲求低下障害、月経前不快感、月経前症候群、月経前不快気分障害のような月経前障害;性嫌悪障害、性的興奮障害、オルガスム障害、性交疼痛症、膣痙、非性交時性的疼痛障害のような性的疼痛障害;全身状態が原因の性的機能異常及び物質誘発の性的機能異常)、精神病、統合失調症(解体型、緊張型、妄想型、鑑別不能型、残遺型の統合失調症、統合失調感情障害、統合失調症様障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、全身状態が原因の精神病性障害、物質誘発の精神病性障害、及び特定不能の精神病性障害を含む)、人格障害、器質性精神障害、小児精神障害、攻撃性、加齢関連性記憶障害、神経防護のための、神経変性疾患ならびに様々な起源の脳虚血(例えば、てんかん、低血糖症、低酸素症、無酸素症、脳外傷、脳浮腫、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、アルツハイマー病、低血圧症、心筋梗塞、脳圧(頭蓋内圧上昇)、虚血性及び出血性脳卒中(脳卒中)、心停止中の全脳虚血、糖尿病性多発ニューロパシー、耳鳴、周産期仮死、心肥大(心筋肥厚)及び心不全(心筋衰弱);神経性食欲不振(無茶食い/排泄型の神経性食欲不振及び制限型の神経性食欲不振を含む)、注意欠陥多動性障害(ADHD)(混合優勢型ADHD、不注意優勢型ADHD及び多動・衝動性優勢型ADHDを含む)、肥満症(外因性肥満症、高インスリン性肥満症、過血漿性肥満症、下垂体性肥満症、減血漿性肥満症、甲状腺機能不全性肥満症、視床下部性肥満症、症候性肥満症、小児肥満症、上半身肥満症、食事性肥満症、性機能低下性肥満症及び中枢性肥満症を含む)、尿失禁(過活動膀胱症候群、緊急性、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、混合型尿失禁を含む)、慢性疼痛(神経因性疼痛、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛(PHN)、手根管症候群(CTS)、HIV神経障害、幻肢疼痛、複合性局所疼痛症候群(CPRS)、三叉神経痛(trigeminal neuralgia)/三叉神経痛(trigeminus neuralgia)/疼痛性チック(tic douloureux)、外科的介入(例えば、術後鎮痛薬)、糖尿病性脈管障害、膵島炎に関連する毛細血管抵抗又は糖尿病性症状、狭心症に関連する疼痛、月経に関連する疼痛、癌に関連する疼痛、歯痛、頭痛、片頭痛、三叉神経痛、顎関節症候群、筋膜疼痛筋肉損傷、線維筋痛症候群、骨及び関節の疼痛(変形性関節症)、リウマチ性関節炎、熱傷に関連する外傷に起因するリウマチ性関節炎及び浮腫、変形性関節症、骨粗鬆症、骨転移が原因の又は理由不明の捻挫又は骨折の疼痛、痛風、結合組織炎、筋膜疼痛、胸郭出口症候群、上背部疼痛又は下背部疼痛(ここで、背疼痛は組織的、局所的、又は原発性脊椎疾患(神経根障害)、骨盤疼痛、心臓性胸疼痛、非心臓性胸疼痛、脊髄損傷(SCI)関連疼痛、中枢性脳卒中後疼痛、癌の神経障害、AIDSの疼痛、鎌状赤血球の疼痛及び高齢者疼痛に起因する)、心臓弁膜症(狭窄性弁膜症、弁膜逆流、一つの弁の閉鎖、僧帽弁逸脱を含む)、不眠症(第一級及び第二級不眠症を含む)及び血管運動症状の治療及び/又は予防のための医薬組成物を製造するための、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項6】
疾患が、性的欲求低下障害である、請求項6記載の使用。

【公表番号】特表2012−512145(P2012−512145A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540128(P2011−540128)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067007
【国際公開番号】WO2010/079045
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】