説明

フロワーキャビネット

【課題】フロワーの不陸の影響を受けにくかったり、あるいは、配管や配線の取り扱いが容易なシステムキッチン用フロワーキャビネットの提供を目的とする。
【解決手段】第1のフロワーキャビネット3の支持構造を、左右一対の側板37、39と、この左右一対の側板37、39間に配置した中板41と、左右一対の側板37、39及び中板41の後側に配置した背板43と、から構成する。背板43を、上端縁が側板37、39及び中板41の上端縁と同一の高さ位置となるように取り付けるが、背板43の高さ方向の長さを側板37、39及び中板41の高さ方向の長さよりも短くしておき、背板43の下端縁が側板37、39及び中板41の下端縁、すなわちフロワー45よりも上方に位置し、背板43の下端縁とフロワー45との間に隙間47が開くようにしておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムキッチンに用いられたり、家具として使用されたりするフロワーキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭の厨房に設けられるシステムキッチンは、シンク又はシンクやコンロを備えたフロワーキャビネット(フロワーに置かれるキャビネット)及び吊り戸棚などから構成され、製造過程で組み立てられて出荷されるのが通常である。しかしながら、組み立てられたシステムキッチンの梱包及び運搬作業は煩雑で負担が大きいので、板材重量の分散を目的として、簡易に組立てができるようにシステムキッチンを構成しておき、コンパクトに分解した状態で例えば設置現場にシステムキッチンを搬送し、設置現場などでシステムキッチンを組み立てるといった備え付け方法も採用されている(例えば特許文献1参照)。このようにすることにより、製造時の組み立てコストをなくし、輸送費を低くおさえることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−204039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、設置現場でシステムキッチンを組み立て、一般家庭の厨房に備え付ける場合には、システムキッチンはできるだけ簡単に組み立てられ、迅速に備え付けることができるように構成されている必要がある。好ましくは、ユーザが持ち帰り、自分で組み立てられるように構成する。これにより、システムキッチンの搬入施工費を安くでき、場合によってはなくしてしまうことも可能であるし、キャビネット自体の重量が軽くなる傾向となる。しかしながら、一般家庭のフロワーには波打ちや傾斜などの不陸が生じている場合が多く、フロワーキャビネットを組み立てて備え付ける際には、フロワーの不陸に対して、フロワーキャビネットの安定性を確保したり、傾きを防止したりするのに時間と熟練が要求される。
【0005】
例えば特許文献1では、扉前枠10、20、30、40や、底板12、22、32、42の奥側幅方向枠材などが、長く延びている分、フロワーの不陸の影響を受けやすいが、フロワーの不陸は、特にフロワーの縁部で大きくなる場合もある。したがって、簡単にフロワーキャビネットの安定性を確保したり、傾きを防止するには、まず、底板12、22、32、42の奥側幅方向枠材に対して予め対策を施し、必要に応じて、扉前枠10、20、30、40に対しても予め対策を施すこととなるが、特許文献1のフロワーキャビネットではそのような対策は施されていない。また、特許文献1のフロワーキャビネットでは、底板12、22、32、42に裏板14、24、34、44の下端部が嵌め込まれるために、配管や配線の取り扱いが煩雑となる。
【0006】
そこで本発明は、フロワーの不陸の影響を受けにくかったり、あるいは、配管や配線の取り扱いが容易なフロワーキャビネットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するための本発明のフロワーキャビネットは、左右一対の側板及びこの一対の側板の後端部に配置された背板を有し、前記一対の側板を支えとしてフロワー上に設けられるフロワーキャビネットであって、前記背板の下端部又は下端縁部は、前記一対の側板の下端部又は下端縁部よりも上方に位置し、前記フロワーとの間に隙間を形成しているものである。背板は、フロワーから浮き上がっているのでフロワーの不陸の影響を受けない。側板は、例えばフロワー上に直接載せられてフロワーキャビネット全体を支える。システムキッチン用のものでは、フロワーキャビネットにシンクやコンロなどが設けられるが、シンクへの下水配管やコンロへの電気配線又はガス配管などは、背板とフロワーとの間を通して行うことができる。システムキッチン用フロワーキャビネットだけでシステムキッチンが構成される場合がある。
【0008】
フロワーキャビネットの前側下端部には蹴込みが形成される場合が多いが、蹴込みの奥側に配置される蹴込み板(ここでは一対の側板の前側下端部に掛け渡される)の下端部又は下端縁部も、フロワーより上方に位置し、フロワーとの間に隙間を形成しているのが好ましい。このように構成することにより、蹴込み板もフロワーから浮き上がるのでフロワーの不陸の影響を受けないこととなる。
【0009】
背板に引掛け部を設け、側板には引掛け部を受け取る受け部を設けておき、背板の引掛け部を側板の受け部に引掛けることにより、背板を側板に吊られた状態で一対の側板の後端部に配置するように構成すれば、煩雑な取り付け作業を行わずに背板を簡単にかつスピーディーに取り付けることができる。これにより、背板の取り付け時に、誤って背板を落下させ破損するということを防止できる。しかも、背板が側版に対してある程度ずれ動くことができる場合も多くなるので、フロワーの不陸にキャビネットをなじませやすくなる。背板を側板に吊り下げてから、背板と側板とを他の接続手段で接続する場合がある。フロワーの不陸が大きい場合には、側板とフロワーとの間に調整パッキンを挿入したりする。受け部及び引掛け部の構造を採用する場合には、受け部を一対の側板のそれぞれの内面に固定された固定部と、この固定部にヒンジ結合されたプレート片状の吊るし部と、を有するように構成し、この吊るし部を、側板の内面と垂直状態で背板の引掛け部を引掛けられるようにあるいは受け取るように形成しておくことができる。吊るし部は、例えば水平方向に回転できるように構成される。ここでは、受け部は蝶番構造を有することとなり、側板を運搬するときに、受け部が邪魔となって側板を安定して重ねることができないといったことが防止できる。固定部と吊るし部とのヒンジ結合の構成としては、固定部の端部と吊るし部の端部とを連結ピンで回転可能に連結するものや、固定部と吊るし部とを例えば合成樹脂で一体的に成形しておくとともに、固定部と吊るし部とが回転できるように、固定部と吊るし部との間を薄肉に形成するものなどが採用できる。ここで特に、固定部を側板に設けられた取り付け溝(取り付け凹部)内に固定し、この取り付け溝を、吊るし部が固定部に重なるように折り畳まれたとき、この吊るし部又は受け部が側板の内面よりも突出しないように形成しておけば、組み立て前の側板の積み重ねに支障は全く又はほとんど生じない。引掛け部は、例えば、受け部又は吊るし部から後方(例えば奥側)に抜けないように形成される。引掛け部は、背板に設けられた引掛けピンとすることができ、この引掛けピンは頭部を有することができ、この頭部の吊るし部との係合が引掛けピンの後方への抜け止めとなるように構成できる。引掛けピンはネジ又はボルトとすることができる。ここでは、引掛けピンを吊るし部に引掛けてから引掛けピンを背板にさらにねじ込んで、背板と吊るし部又は受け部とをしっかりと接続することができる。例えば、引掛けピンは背板の内面から垂直に突出するように設けられる。
【0010】
背板をそれぞれの側板に一点で又は一個所で吊られた状態とすると、背板が動きやすくなってしまうし、背板の側板保持機能が失われてしまうおそれがある。そこで、側板の後端部内面に幅方向係合ピンを設け、背板を側板の後端部に配置したときに幅方向係合ピン近傍に位置するように、背板の内面に背板用係合ピンを設けておき、この幅方向係合ピン及び背板用係合ピンを振れ止め部材で連結するように構成するのが好ましい。幅方向係合ピン、背板用係合ピン及び振れ止め部材の配置個所は、引掛け部及び受け部の配置箇所よりも上側又は下側とすることができる。ここでは、幅方向係合ピン及び背板用係合ピンをそれぞれ頭部を有するものとし、振れ止め部材を、断面L字状のプレート体であり、このプレート体の一方片部及び他方片部のそれぞれに下端から形成された、頭部よりも幅の狭いピン入れ溝を有するものとしておき、一方片部のピン入れ溝に幅方向係合ピン(頭部以外のピン本体)が入り込み、他方片部のピン入れ溝に背板用係合ピン(頭部以外のピン本体)が入り込むように、振れ止め部材を配置し、この振れ止め部材で幅方向係合ピン及び背板用係合ピンを連結するように構成できる。このように構成すれば、振れ止め部材の取り付けが容易となる。幅方向係合ピン及び背板用係合ピンはネジ又はボルトとすることができる。ここでは、振れ止め部材を幅方向係合ピン及び背板用係合ピンに取り付けてから、幅方向係合ピン及び背板用係合ピンを側板及び背板にさらにねじ込んで、振れ止め部材と幅方向係合ピン及び背板用係合ピンとをしっかりと接続することができる。例えば、幅方向係合ピンは側板の内面から垂直に突出するように設けられ、背板用係合ピンは背板の内面から垂直に突出するように設けられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡単に組み立てられ、かつ、備え付けることができるフロワーキャビネットを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るシステムキッチン用フロワーキャビネットの組み立て図である。
【図2】第1のフロワーキャビネットの組み立て工程を説明するための図であり、第1のフロワーキャビネットの支持構造を組み立てた状態を示す図である。
【図3】受け部材及び引掛けピン個所の拡大図である。
【図4】別の受け部材及び引掛けピン個所の拡大図である。
【図5】振れ止め部材個所の拡大図である。
【図6】別の振れ止め部材個所の拡大図である。
【図7】第1のフロワーキャビネットの組み立て工程を説明するための図であり、支持構造に蹴込み板などを取り付けた状態を示す図である。
【図8】底板の支持ピン受けを説明するための図であり、(a)は支持ピン受け部分の側面図、(b)は別の支持ピン受け(抜け止め支持ピン受け)を示す斜視図、(c)は抜け止め支持ピン受けの受け溝に支持ピンの頭部個所を嵌め込んだ状態を示す斜視図、(d)は支持ピンを抜け止めした状態を示す斜視図である。
【図9】第1のフロワーキャビネットの組み立て工程を説明するための図であり、第1のフロワーキャビネットの組み立て完了までを説明するための図である。
【図10】第2のフロワーキャビネットの組み立て工程を説明するための図であり、第2のフロワーキャビネットの支持構造を組み立てた状態を示す図である。
【図11】第2のフロワーキャビネットの組み立て工程を説明するための図であり、支持構造に蹴込み板などを取り付けた状態を示す図である。
【図12】第2のフロワーキャビネットの組み立て工程を説明するための図であり、第2のフロワーキャビネットの組み立て完了までを説明するための図である。
【図13】本発明に係る別のシステムキッチン用フロワーキャビネットの組み立て図である。
【図14】別のシステムキッチン用フロワーキャビネットの支持構造を示す図である。
【図15】別のシステムキッチン用フロワーキャビネットの組み立て工程を説明するための図であり、支持構造に蹴込み板などを取り付けた状態を示す図である。
【図16】別のシステムキッチン用フロワーキャビネットの組み立て工程を説明するための図であり、システムキッチン用フロワーキャビネットの組み立て完了までを説明するための図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図1は本発明に係るシステムキッチン用フロワーキャビネットを組み立ててフロワーに設置した場合を示す図である。
【0015】
システムキッチン用フロワーキャビネット1は、第1のフロワーキャビネット3(フロワーキャビネット)と、第2のフロワーキャビネット5(フロワーキャビネット)とを組み合わせて構成されている。
【0016】
第1のフロワーキャビネット3は、本体部7の上側にシンク9及び調理台11が設けられたものであり、本体部7は、シンク9側に、一対の開き扉13が設けられた第1収容部15を備え、調理台11側の上部に引き出し17を有し、引き出し17の下側に、開き扉19が設けられた第2収容部21を有している。本体部7の前側下端部には蹴込み23が形成され、この蹴込み23の奥側には蹴込み板25が取り付けられている。また、第2のフロワーキャビネット5は、上側にコンロ置き台27を備え、このコンロ置き台27の下側に、開き扉29が設けられた本体収容部31を有していて、本体収容部31の前側下端部には蹴込み33が形成され、この蹴込み33の奥側には蹴込み板35が取り付けられている。蹴込み板25及び蹴込み板35は、同一幅(高さ)を有して連続して配置されている。第2のフロワーキャビネット5は、第1のフロワーキャビネット3よりも高さが低く、コンロ置き台27上にガスコンロ(図示せず)を置いたとき、ガスコンロの上面の高さ位置が第1のフロワーキャビネット3の調理台11の高さ位置とほぼ一致するように構成されている。また、第1のフロワーキャビネット3と第2のフロワーキャビネット5とは、奥行きが等しくなるように構成されている。
【0017】
図2は第1のフロワーキャビネット3の組み立て工程を説明するための図であり、第1のフロワーキャビネット3の支持構造を組み立てた状態を示す図、図3は受け部材及び引掛けピン個所の拡大図、図4は別の受け部材及び引掛けピン個所の拡大図、図5は振れ止め部材個所の拡大図、図6は別の振れ止め部材個所の拡大図である。
【0018】
第1のフロワーキャビネット3の支持構造は、左右一対の側板37、39と、この左右一対の側板37、39間に配置された中板(中仕切板)41と、左右一対の側板37、39及び中板41の後側(奥側)又は後端部(奥側端部)に配置された背板43と、を有し、側板37、39及び中板41は、縦方向に長いほぼ長方形の同一形状に形成されている(中板41は、側板37、39と前側を一致させて配置されるが、その場合に、後端縁が側板37、39の後端縁よりも若干前側に位置するような奥行きを有している)。背板43は、幅方向に長い長方形状に形成され、左右両端縁部がそれぞれ、側板37、39の後端部内面と接触又は接近状態となるとともに、中間部が中板39の後端縁部と当接状態となり、上端縁が側板37、39及び中板41の上端縁と同一の高さ位置となるように、側板37、39及び中板41に取り付けられているが、背板43の高さ方向の長さは側板37、39及び中板41の高さ方向の長さよりも短く、背板43の下端縁は側板37、39及び中板41の下端縁、すなわちフロワー45よりも上方に位置し、背板43の下端縁とフロワー45との間には隙間47が形成されている。
【0019】
側板37、39及び中板41のそれぞれは、前側下端隅部を長方形状に切り欠いた形状の凹部49が設けられた薄肉のプレート体として形成されていて、側板37及び中板41の対向面にはそれぞれ、凹部49の上端部と同一又はほぼ同一の高さ位置で、支持ピン(ダボ)51が前後方向に間隔を有して2つ垂直に突出して設けられ(中板41のものは図示せず)、中板41及び側板39の対向面にもそれぞれ、凹部49の上端部と同一又はほぼ同一の高さ位置で、支持ピン51が前後方向に間隔を有して2つ垂直に突出して設けられている(側板39のものは図示せず)。また、側板37及び中板41の対向面にはそれぞれ、先端部の上側位置で、支持ピン51が上下方向に間隔を有して2つ垂直に突出して設けられ(中板41のものは図示せず)、中板41及び側板39の対向面にもそれぞれ、先端部の上側位置で、支持ピン51が上下方向に間隔を有して2つ垂直に突出して設けられている(側板39のものは図示せず)。さらに、側板37及び中板41の対向面にはそれぞれ、先端部の上下2個所にヒンジ受け53が設けられている。そして、中板41及び側板39の対向面にはそれぞれ、上端部に引き出し用レール55が設けられていて(側板39のものは図示せず)、側板39の内面には、引き出し用レール55の下側で、先端部の上下2個所にヒンジ受け53が設けられている。
【0020】
側板37、39のそれぞれの内面には、後端部の上側に受け部材57(受け部)が取り付けられ、また、中板41の面(ここでは側板39と対向する面)にも、後端部の上側に受け部材57が取り付けられていて、これらの受け部材57はすべて同一の高さ位置に配置されている。受け部材57は、金属製又は樹脂製であり、プレート片状の固定部59と、この固定部59に接続された、上端から受け溝61が形成されているプレート片状の吊るし部63と、を有し、固定部59の端部の連結リング部65と、吊るし部63の端部の連結リング部67とに連結ピン69を回転可能に通すことにより、固定部59と吊るし部63とは回転可能にヒンジ結合されていて、吊るし部63は水平方向に回動できるようになっている。このように蝶番として構成された受け部材57の固定部59はそれぞれ、側板37、39及び中板41に形成された取り付け溝71内にネジ73を用いて固定されていて、この取り付け溝71は、吊るし部63を折り畳んだときに(図3の矢印参照)、吊るし部63又は受け部材57が側板37、39及び中板41の面から突出しない深さのものであることが好ましい。あるいは、この取り付け溝71は、連結リング部65、67の外径に等しいか又は外径よりも深く形成されるのが好ましい。
【0021】
背板43の内面からは、側板37、39及び中板41の受け部材57に対応して、ピン本体75の先端に頭部77を有する引掛けピン79が垂直に突出していて、背板43は、この引掛けピン79のピン本体75を、側板37、39及び中板41のそれぞれと垂直となるように回転させた吊るし部63の受け溝61内に入れ込むことにより、あるいは落とし込むことにより、側板37、39及び中板41に取り付けられ、側板37、39及び中板41を保持する。受け溝61は、上端が幅広であり、下側に向かって徐々に幅が狭くなるように形成されていて、下端部が引掛けピン79のピン本体75を受けるように円弧状又はほぼ円弧状に湾曲している。引掛けピン79の頭部77は、受け溝61の下端部にピン本体75が収容されたときに、受け溝61の下端部周囲と係合して、引掛けピン79が受け溝61から後方に抜け出るのを防止している。なお、ここでは、引掛けピン79は背板43にねじ込まれたネジとして構成されていて、引掛けピン79を吊るし部63の受け溝61に落とし込んでから、この引掛けピン79を背板43にさらにねじ込んで、背板43と吊るし部63又は受け部材61との間のガタを無くすようにしている。
【0022】
側板37、39のそれぞれの内面後端部からは、凹部49の上端部の高さ位置に設けられている支持ピン51の下側で、ピン本体81の先端に頭部83を有する幅方向係合ピン85が垂直に突出し(側板39のものは図示せず)、また、中板41の面の後端部(ここでは側板39と対向する面の後端部)からも、凹部49の上端部の高さ位置に設けられた支持ピン51の下側で、幅方向係合ピン85が垂直に突出していて、これらの幅方向係合ピン85は、例えばすべて同一の高さ位置に配置されている。また、背板43の内面下端部からは、側板37、39及び中板41の幅方向係合ピン85に対応し、かつ、幅方向係合ピン85の近傍に(あるいは近傍かつ同一の高さに)位置するように、ピン本体87の先端に頭部89を有する背板用係合ピン91が垂直に突出している。幅方向係合ピン85及び背板用係合ピン91は、ここでは同一形状のものである。そして、断面L字状のプレート体として形成された振れ止め部材93で、幅方向係合ピン85と背板用係合ピン91とを連結して背板43を振れ止めする。断面L字状の振れ止め部材93は、一方片部95及び他方片部97のそれぞれに、下端から形成されたピン入れ溝99、101を有していて、一方片部95のピン入れ溝99に幅方向係合ピン85のピン本体81が入り込み、他方片部97のピン入れ溝101に背板用係合ピン91のピン本体87が入り込むように、振れ止め部材93を幅方向係合ピン85及び背板用係合ピン91に上方から被せるようにして取り付ける。ピン入れ溝99は幅方向係合ピン85のピン本体81を収容するが、幅方向係合ピン85の頭部83の外径よりも幅が小さく、ピン入れ溝101は背板用係合ピン91のピン本体87を収容するが、背板用係合ピン91の頭部89の外径よりも幅が小さい。
【0023】
背板43の側板37、39及び中板41への取り付けに際しては、側板37、39及び中板41に設けられた受け部材57の吊るし部63の受け溝61それぞれに、背板43のそれぞれの引掛けピン79のピン本体75を入れ込んでから、振れ止め部材93で幅方向係合ピン85と背板用係合ピン91とを連結する。なお、ここでは、幅方向係合ピン85は側板37、39及び中板41にねじ込まれたネジとして構成され、背板用係合ピン91も背板43にねじ込まれたネジとして構成されていて、振れ止め部材93を幅方向係合ピン85と背板用係合ピン91にかぶせてから、幅方向係合ピン85を側板37、39及び中板41にさらにねじ込み、背板用係合ピン91も背板43にさらにねじ込んで、背板43と側板37、39及び中板41との間のガタを無くすように又は少なくするようにしている。
【0024】
図7は第1のフロワーキャビネット3の組み立て工程を説明するための図であり、支持構造に蹴込み板25などを取り付けた状態を示す図である。
【0025】
第1のフロワーキャビネット3の支持構造を構成したら又は組み立てたら、側板37及び中板41に向き合うように設けられている、凹部49の上端部の高さ位置の支持ピン51上に第1底板103を載せ、中板41及び側板39に向き合うように設けられている、凹部49の上端部の高さ位置の支持ピン51上に第2底板105を載せる。第1底板103及び第2底板105はそれぞれ取り外し可能であって、幅方向係合ピン85、背板用係合ピン91及び振れ止め部材93を覆い隠している。第1底板103及び第2底板105の底面にはそれぞれ、図8aに示すように、支持ピン受け107が埋め込まれていて、第1底板103及び第2底板105は、支持ピン51が支持ピン受け107内に入り込んだ状態で安定して支持ピン51により支えられる。次に、幕板109及び111を取り付ける。幕板109及び111の裏面にも支持ピン受け107が埋め込まれていて、幕板109は、側板37及び中板41に向き合うように設けられている、先端部上側の支持ピン51が支持ピン受け107内に入り込むようにして取り付けられ(図7の分解拡大部分参照)、幕板111も、中板41及び側板39に向き合うように設けられている、先端部上側の支持ピン51が支持ピン受け107内に入り込むようにして取り付けられる。なお、支持ピン受け107としては、ピン受けケース107a内に係合部材107bが回転可能に配置された構成を有し、支持ピン51の頭部個所を受け溝107cに嵌め込んでから、操作部107d(係合部材107bの両側(図では上下両側)に一個所ずつ設けられている)をドライバで回転操作すると、係合部材107bが回転して、支持ピン51の頭部51aの裏側に回り込み(係合部材107bには係合スリット107fが形成されていて、この係合スリット107fが頭部51aの後側の細い径の部分を収めるようにして頭部51aの裏側に回り込む)、支持ピン51を抜け止めするもの(図8b、図8c及び図8d参照)を用いることができる。このような抜け止め支持ピン受け107では、係合部材107bが支持ピン51の頭部51aの裏側に回り込んだときに、係合部材107bの内面が頭部51aの裏側を押圧して、支持ピン51を受け溝107c内深くにずれ動かす締め付け型のものを使用することができる(図示したものは締め付け型のものである)。ここで、第1底板103及び第2底板105に抜け止め支持ピン受け107を設ける場合には、第1底板103及び第2底板105の表面に操作孔107eを形成し、この操作孔107eから、上側の操作部107dを操作できるようにしておくのが好ましい(図8b参照)。また、側板37、39及び中板41の凹部49に蹴込み板25を収容して固定する。ここで、蹴込み板25は、下端縁が凹部49の下端縁と一致するように取り付けられているが、仮想線で示すように、フロワー45から浮き上がるように、凹部49の高さよりも低く形成されてもよい。蹴込み板25を固定するには、側板37、39及び中板41の凹部49後端面に取り付け孔(ダボ穴、図示せず)を設けておき、蹴込み板25に設けた取り付けピン(ダボ、図示せず)をこの取り付け孔に差し込んだり、蹴込み板25の表面から固定ビス(図示せず)を凹部49後端面にねじ込んだり、第1底板103及び第2底板105の表面から固定ビス(図示せず)を蹴込み板25の上端面にねじ込んだりする。そして、側板37、39や中板41と背板43との接続角部内側及び幕板109、111と側板37、39との接続角部内側にコーナー金具112を取り付けて、上端部にシンクユニットを載せたときにも十分な保形強度が確保できるようにしている。
【0026】
図9は第1のフロワーキャビネット3の組み立て工程を説明するための図であり、第1のフロワーキャビネット3の組み立て完了までを説明するための図である。
【0027】
支持構造に蹴込み板25などを取り付けたら、側板37のヒンジ受け53に一方の開き扉13のヒンジ(図示せず)を差し込み、中板41のヒンジ受け53に他方の開き扉13のヒンジ(図示せず)を差し込んで第1収容部15を構成するとともに、側板39のヒンジ受け53に開き扉19のヒンジ(図示せず)を差し込んで第2収容部21を構成する。また、引き出し17を引き出し用レール55に沿ってキャビネット内に収める。そして、シンク9及び調理台11が一体化されたシンクユニットを上端部に載せて固定することにより第1のフロワーキャビネット3が組み立てられる(図1参照)。
【0028】
図10は第2のフロワーキャビネット5の組み立て工程を説明するための図であり、第2のフロワーキャビネット5の支持構造を組み立てた状態を示す図である。
【0029】
第2のフロワーキャビネット5の支持構造は、左右一対の側板113、115と、左右一対の側板113、115の後側又は後端部に配置された背板117と、を備え、側板113、115は、第1のフロワーキャビネット3の側板37、39の上端側を切断して高さを低くした場合と同一の形状を有している。すなわち、側板113、115のそれぞれは、前側下端隅部を長方形状に切り欠いた形状の凹部49が形成された、高さが若干低い薄肉のプレート体である。
【0030】
側板113、115のそれぞれの内面には、凹部49の上端部と同一又はほぼ同一の高さ位置で、第1のフロワーキャビネット3のものと同一の支持ピン51が前後方向に間隔を有して2つ垂直に突出して設けられている。また、側板113、115のそれぞれの内面には、先端部の上側で、第1のフロワーキャビネット3のものと同一の支持ピン51が上下方向に間隔を有して2つ垂直に突出して設けられている。さらに、側板115の内面の先端部の上下2個所に第1のフロワーキャビネット3のものと同一のヒンジ受け53が設けられている。
【0031】
背板117は、ほぼ正方形状に形成され、左右両端縁部がそれぞれ、側板113、115の後端部内面と接触又は接近状態となり、上端縁が側板113、115の上端縁と同一の高さ位置となるように、側板113、115に取り付けられているが、背板117の高さ方向の長さは側板113、115の高さ方向の長さよりも短く、背板117の下端縁は側板113、115の下端縁、すなわちフロワー45よりも上方に位置し、背板117の下端縁とフロワー45との間には隙間119が形成されている。
【0032】
側板113、115のそれぞれの内面には、後端部の上側に、第1のフロワーキャビネット3のものと同一の受け部材57が設けられ、これらの受け部材57は同一の高さ位置に配置されている。受け部材57の固定部59はそれぞれ、第1のフロワーキャビネット3の場合と同様に、側板113、115のそれぞれに形成された、第1のフロワーキャビネット3のものと同一の取り付け溝71内にネジ73を用いて固定されている(図3及び図4参照)。
【0033】
背板117の内面からは、側板113、115の受け部材57に対応して、第1のフロワーキャビネット3のものと同一の、ピン本体75の先端に頭部77を有する引掛けピン79が垂直に突出していて、背板117は、この引掛けピン79のピン本体75を、それぞれの側板113、115と垂直となるように回転させた吊るし部63の受け溝61内に入れ込むことにより、あるいは落とし込むことにより、側板113、1115に取り付けられている(図3及び図4参照)。なお、ここでも、引掛けピン79は背板117にねじ込まれたネジとして構成されていて、引掛けピン79を吊るし部63の受け溝61に落とし込んでから、この引掛けピン79を背板117にさらにねじ込んで、背板117と吊るし部63又は受け部材57との間のガタを無くすように又は少なくするようにしている。
【0034】
側板113、115のそれぞれの内面からは、後端部の下側で、第1のフロワーキャビネット3のものと同一の、ピン本体81の先端に頭部83を有する幅方向係合ピン85が垂直に突出していて、これらの幅方向係合ピン85は、例えば同一の高さ位置に配置されている。また、背板117の内面からは、側板113、115の幅方向係合ピン85に対応し、かつ、幅方向係合ピン85の近傍に(あるいは近傍かつ同一の高さに)位置するように、第1のフロワーキャビネット3のものと同一の、ピン本体87の先端に頭部89を有する背板用係合ピン91が垂直に突出している(図5参照)。幅方向係合ピン85及び背板用係合ピン91は同一形状のものである。そして、第1のフロワーキャビネット3のものと同一の、断面L字状のプレート体として形成された振れ止め部材93で、幅方向係合ピン85と背板用係合ピン91とを連結して背板117を振れ止めする。すなわち、背板117の側板113、115への取り付けに際しては、側板113、115のそれぞれの受け部材57の吊るし部63に形成されている受け溝61に、背板117の引掛けピン79のピン本体75を入れ込み、その後に、振れ止め部材93で幅方向係合ピン85と背板用係合ピン91とを連結する。なお、ここでも、幅方向係合ピン85は側板113、115にねじ込まれたネジとして構成され、背板用係合ピン91は背板117にねじ込まれたネジとして構成されていて、振れ止め部材93を幅方向係合ピン85と背板用係合ピン91にかぶせてから、幅方向係合ピン85を側板113、115にさらにねじ込み、背板用係合ピン91も背板117にさらにねじ込んで、背板117と側板113、115との間のガタを無くすように又は少なくするようにしている。
【0035】
図11は第2のフロワーキャビネット5の組み立て工程を説明するための図であり、支持構造に蹴込み板35などを取り付けた状態を示す図である。
【0036】
第2のフロワーキャビネット5の支持構造を構成したら又は組み立てたら、側板113、115に設けられている、凹部49の上端部の高さ位置の支持ピン51上に第3底板121を載せる。第3底板121は取り外し可能であって、幅方向係合ピン85、背板用係合ピン91及び振れ止め部材93を覆い隠している。第3底板121の底面には、第1のフロワーキャビネット3のものと同一の支持ピン受け107が埋め込まれていて、第3底板121は、支持ピン51が支持ピン受け107内に入り込んだ状態で安定して支持ピン51により支えられる(図8a参照)。次に、幕板123を取り付ける。幕板123裏面には支持ピン受け107が埋め込まれていて、幕板123は、側板113、115に向き合うように設けられている、先端部上側の支持ピン51が支持ピン受け107内に入り込むようにして取り付けられる。なお、支持ピン受け107としては、ピン受けケース107a内に係合部材107bが回転可能に配置された構成を有するものを用いることができ、締め付け型のものを使用することもできる(図8b、図8c及び図8d参照)。ここで、第3底板121に抜け止め支持ピン受け107を設ける場合には、第3底板121の表面に操作孔(図示せず)を形成し、この操作孔から、上側の操作部107dを操作できるようにしておくのが好ましい(図8d参照)。また、側板113、115の凹部49に蹴込み板35を収容して固定する。ここで、蹴込み板35は、下端縁が凹部49の下端縁と一致するように取り付けられているが、仮想線で示すように、フロワー45から浮き上がるように、凹部49の高さよりも低く形成されてもよい。蹴込み板35の取り付けは、第1のフロワーキャビネット3の蹴込み板25の取り付けと同様に行うことができる。そして、側板113、115と背板117との接続角部内側及び幕板123と側板115との接続角部内側にコーナー金具112を取り付けて、コンロ(図示せず)を載せたときにも十分な保形強度が確保できるようにしている。
【0037】
図12は第2のフロワーキャビネット5の組み立て工程を説明するための図であり、第2のフロワーキャビネット5の組み立て完了までを説明するための図である。
【0038】
支持構造に蹴込み板35などを取り付けたら、側板115のヒンジ受け53に開き扉29のヒンジ(図示せず)を差し込んで本体収容部31を構成する。そして、コンロ置き台27を上端部に載せて固定することにより第2のフロワーキャビネット5が組み立てられる(図1参照)。
【0039】
図13は本発明に係る別のシステムキッチン用フロワーキャビネットの組み立て図、図14は別のシステムキッチン用フロワーキャビネットの支持構造を示す図である。
【0040】
別のシステムキッチン用フロワーキャビネット125は、第1のフロワーキャビネット3と第2のフロワーキャビネット5とを一体化した構成を有している。ここで、システムキッチン用フロワーキャビネット1と同一の構成の部分は同一の符号を付すが、説明を省略する場合がある。第1のフロワーキャビネット3と第2のフロワーキャビネット5との一体化にあたっては、左右一対の側板37、127と、この左右一対の側板37、127間に配置された、側板37側の中板(中仕切板)41と、左右一対の側板37、127間に配置された、側板127側の中板(中仕切板)129と、左右一対の側板37、127及び中板41、129の後側又は後端部に配置された背板131と、を用いている。側板37及び側板127は同一の形状の薄肉プレート体であり、中板41及び中板129も同一形状の薄肉プレート体であって、背板131は、幅方向に長い長方形状に形成され、左右両端縁部がそれぞれ、側板37、127の後端部内面と接触又は接近状態となるとともに、中間部が中板41、129の後端縁部と当接状態となり、上端縁が側板37、127及び中板41、129の上端縁と同一の高さ位置となるように、側板37、127及び中板41、129に取り付けられているが、背板131の高さ方向の長さは側板37、127及び中板41、129の高さ方向の長さよりも短く、背板131の下端縁は側板37、127及び中板41、129の下端縁、すなわちフロワー45よりも上方に位置し、背板131の下端縁とフロワー45との間には隙間47が形成されている。
【0041】
左右一対の側板37、127及び中板41、129に背板131を取り付けるには、側板37、127及び中板41、129のそれぞれに受け部材57を固定し(側板127の受け部材57は図示せず)、背板131にこれらの受け部材57に対応して引掛けピン79を垂直に突出して設けておき、この引掛けピン79のピン本体75を、側板37、127及び中板41、129のそれぞれと垂直となるように回転させた吊るし部63の受け溝61内に入れ込むように又は落とし込むようにする(図3及び図4参照)。なお、ここでも、引掛けピン79は背板131にねじ込まれたネジとして構成されていて、引掛けピン79を吊るし部63の受け溝61に落とし込んでから、この引掛けピン79を背板131にさらにねじ込んで、背板131と吊るし部63又は受け部材61との間のガタを無くすようにしている。
【0042】
また、背板131を振れ止めするには、側板37、127及び中板41、129のそれぞれに幅方向係合ピン85を垂直に突出して設け、背板131に、これらの幅方向係合ピン85と対応するように背板用係合ピン91を垂直に突出して設けておき、振れ止め部材93で、一組の幅方向係合ピン85と背板用係合ピン91とを連結する(図5及び図6参照)。なお、ここでも、幅方向係合ピン85は側板37、127及び中板41、129にねじ込まれたネジとして構成されていて、振れ止め部材93を幅方向係合ピン85と背板用係合ピン91にかぶせてから、幅方向係合ピン85を側板37、127及び中板41、129にさらにねじ込んで、背板131と側板37、127及び中板41、129との間のガタを無くすように又は少なくするようにしている。
【0043】
図15はシステムキッチン用フロワーキャビネット125の組み立て工程を説明するための図であり、支持構造に蹴込み板135などを取り付けた状態を示す図である。
【0044】
側板37、127及び中板41、129に背板131を取り付けて支持構造を構成したら、システムキッチン用フロワーキャビネット1の場合と同様に、第1底板103、第2底板105及び第3底板121を取り付ける。第1底板103は、側板37及び中板41の支持ピン51上に載せられ、第2底板105は、中板41及び中板129に、凹部49の上端部の高さ位置で向き合うように設けられている支持ピン51(中板129のものは図示せず)上に載せられ、第3底板121は、中板129及び側板127に、凹部49の上端部の高さ位置で向き合うように設けられている支持ピン51(側板127のものは図示せず)上に載せられる。第1底板103、第2底板105及び第3底板121はそれぞれ取り外し可能であって、幅方向係合ピン85、背板用係合ピン91及び振れ止め部材93を覆い隠している。次に、幕板109、111、133を取り付ける。幕板109は、側板37及び中板41の支持ピン51に取り付けられ、幕板111は、中板41及び中板129の先端部の上側に向き合うように設けられた支持ピン51(中板129のものは図示せず)に取り付けられ、幕板133は、中板129及び側板127の先端部の高さ方向中間に向き合うように設けられた支持ピン51に取り付けられる。なお、第3底板121及び幕板133の裏面には、第1底板103、第2底板105及び幕板109、111と同様に、支持ピン51が嵌め込まれる支持ピン受け107が埋め込まれている。支持ピン受け107としては、ピン受けケース107a内に係合部材107bが回転可能に配置された構成を有するものを用いることができ、締め付け型のものを使用することもできる(図8b、図8c及び図8d参照)。次に、側板37、127及び中板41、129の凹部49に蹴込み板135を収容して固定する。ここで、蹴込み板135は、下端縁が凹部49の下端縁と一致するように取り付けられているが、仮想線で示すように、フロワー45から浮き上がるように、凹部49の高さよりも低く形成されてもよい。蹴込み板135の取り付けは、第1のフロワーキャビネット3の蹴込み板25の取り付けと同様に行うことができる。そして、側板37、127と背板131との接続角部内側、幕板109と側板37との接続角部内側及び幕板111と中板129との接続角部内側にコーナー金具112を取り付けて、シンクユニットを載せたときにも十分な保形強度が確保できるようにしている。
【0045】
図16は別のシステムキッチン用フロワーキャビネット125の組み立て工程を説明するための図であり、システムキッチン用フロワーキャビネット125の組み立て完了までを説明するための図である。
【0046】
支持構造に蹴込み板135などを取り付けたら、側板37のヒンジ受け53に一方の開き扉13のヒンジ(図示せず)を差し込み、中板41のヒンジ受け53に他方の開き扉13のヒンジ(図示せず)を差し込んで第1収容部15を構成するとともに、中板129のヒンジ受け53に開き扉19のヒンジ(図示せず)を差し込んで第2収容部21を構成する。また、引き出し17を引き出し用レール55(中板129のものは図示せず)に沿ってキャビネット内に収める。そして、側板127のヒンジ受け53に開き扉29のヒンジ(図示せず)を差し込んで第3収容部31を構成し、シンク9、調理台11及びガスコンロ受け137が一体化され、ガスコンロ受け137にガスコンロ139が収容されたシンクユニットを上端部に載せて固定することにより別のシステムキッチン用フロワーキャビネット125が組み立てられる(図13参照)。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上説明したように、本発明は、例えば一般家低の厨房用のシステムキッチンに適用できる。
【符号の説明】
【0048】
1 システムキッチン用フロワーキャビネット
3 第1のフロワーキャビネット
5 第2のフロワーキャビネット
37、39、113、115、127、129 側板
43、117、131 背板
45 フロワー
47、119 隙間
125 別のシステムキッチン用フロワーキャビネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の側板及びこの一対の側板の後端部に配置された背板を有し、前記一対の側板を支えとしてフロワー上に設けられるフロワーキャビネットであって、
前記背板の下端部は、前記一対の側板の下端部よりも上方に位置し、前記フロワーとの間に隙間を形成している、ことを特徴とするフロワーキャビネット。
【請求項2】
前記一対の側板の前側下端部には蹴込み板が掛け渡されていて、この蹴込み板の下端部は、前記フロワーよりも上方に位置し、前記フロワーとの間に隙間を形成している、ことを特徴とする請求項1記載のフロワーキャビネット。
【請求項3】
前記背板には引掛け部が設けられ、前記側板には前記引掛け部を受け取る受け部が設けられていて、
前記背板は、前記引掛け部を前記側板の前記受け部に引掛けることにより、前記側板に吊られた状態で前記一対の側板の後端部に配置される、ことを特徴とする請求項1又は2記載のフロワーキャビネット。
【請求項4】
前記受け部は、前記一対の側板のそれぞれの内面に固定された固定部と、この固定部にヒンジ結合されたプレート片状の吊るし部と、を有し、この吊るし部は、前記側板の内面と垂直状態で前記背板の前記引掛け部を受け取る、ことを特徴とする請求項3記載のフロワーキャビネット。
【請求項5】
前記受け部の前記固定部は、前記側板の前記内面に設けられた取り付け溝内に固定され、この取り付け溝は、前記吊るし部を前記固定部に重ねるように折り畳んだときに、この吊るし部が前記側板の前記内面よりも突出しないように形成されている、ことを特徴とする請求項4記載のフロワーキャビネット。
【請求項6】
前記側板の後端部内面には幅方向係合ピンが設けられ、前記背板の内面には前記幅方向係合ピン近傍に位置するように背板用係合ピンが設けられていて、この幅方向係合ピン及び背板用係合ピンは振れ止め部材で連結されている、ことを特徴とする請求項3、4又は5記載のフロワーキャビネット。
【請求項7】
前記幅方向係合ピン及び前記背板用係合ピンはそれぞれ頭部を有し、前記振れ止め部材は、断面L字状のプレート体であり、このプレート体の一方片部及び他方片部のそれぞれに下端から形成された、前記頭部よりも幅の狭いピン入れ溝を有していて、
前記振れ止め部材は、前記一方片部の前記ピン入れ溝に前記幅方向係合ピンを収め、前記他方片部の前記ピン入れ溝に前記背板用係合ピンを収めて、前記幅方向係合ピン及び前記背板用係合ピンを連結している、ことを特徴とする請求項6記載のフロワーキャビネット。
【請求項8】
前記幅方向係合ピン、前記背板用係合ピン及び前記振れ止め部材は、着脱可能な底板の下側に配置されている、ことを特徴とする請求項6又は7記載のフロワーキャビネット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2013−39228(P2013−39228A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177941(P2011−177941)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(300078338)静和YBJ株式会社 (6)
【出願人】(511199790)株式会社TMY研究所 (1)
【Fターム(参考)】