ブタからの離乳後多全身系消耗症候群ウイルス
【課題】離乳後の多全身系消耗症候群(PMWS)を表すブタから単離された新規なブタシルコウィルスII型(PCVII)の単離及び特性決定のためのポリヌクレオチドの提供。
【解決手段】PCVIIヌクレオチド配列に対して選択的にハイブリダイズすることができ、特定の配列を有し、少なくとも8個の隣接ヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチド。このポリヌクレオチドを利用して、組換PCVIIポリペプチドを製造することができる。このポリペプチドは、脊椎動物の被検体におけるPCVII の感染を治療または予防するためのワクチン組成物において、ならびにPCVII の感染の存在を決定する診断方法において使用することができる。また、PCVIIゲノムから誘導された前記ポリヌクレオチドは、診断のプライマーおよびプローブとしても使用することができる。
【解決手段】PCVIIヌクレオチド配列に対して選択的にハイブリダイズすることができ、特定の配列を有し、少なくとも8個の隣接ヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチド。このポリヌクレオチドを利用して、組換PCVIIポリペプチドを製造することができる。このポリペプチドは、脊椎動物の被検体におけるPCVII の感染を治療または予防するためのワクチン組成物において、ならびにPCVII の感染の存在を決定する診断方法において使用することができる。また、PCVIIゲノムから誘導された前記ポリヌクレオチドは、診断のプライマーおよびプローブとしても使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にウイルスに関する。さらに詳しくは、本発明は、離乳後の多全身系消耗症候群(postweaning multisystemic wasting syndrome)(PMWS)を表すブタから単離された新規なブタシルコウイルス(porcine circovirus)(PCV) の単離および特性決定に関する。
【背景技術】
【0002】
離乳後の多全身系消耗症候群(PMWS)は、ブタの新しく出現した疾患である。PMWSは宿主免疫系を破壊するように思われ、そして離乳したブタにおいて高い死亡率を引き起こす。この疾患は長い、典型的には3 〜8 週の、潜伏期を有し、そして感染したブタの多数の器官に影響を与える。PMWSに感染した子豚は呼吸器不全および組織球性浸潤(histiocytic cell infiltration) を伴う間質性肺炎(interstitial preumonia)で死亡する。
【0003】
ブタシルコウイルス(PCV) はブタにおいて世界的な感染を引き起こし、高度に接触感染性である。PCV は本来ブタ腎(PK15)細胞系統の非細胞変性汚染物質として検出された。PCV は新しいウイルスのファミリーのシルコビリデ(Circoviridae)に分類された。これらのウイルスは、一本鎖の円形DNA ゲノムを有する小さい、非エンベロープ因子である。
【0004】
種々のシルコウイルスはある範囲の動物種において同定されてきており、PCV、ニワトリ貧血ウイルス(CAV) 、オーム類の嘴および毛疾患ウイルス(BFDV)、植物のウイルス、例えば、サブターラニアンクローバー(subterranean clover) の萎縮ウイルス(SCSV)、ココナツの葉の壊変ウイルス(CFDV)およびバナナの房上部のウイルス(BBTV)を包含する。現在認識されているシルコウイルスの中のDNA 配列の相同性または共通の抗原性決定因子であるように思われない。Todd et al.(1991)Arch.Virol.117:129-135 。
【0005】
シルコウイルスのファミリーのメンバーは、貧血、免疫不全に関係する疾患を引き起こし、そしてin vitroにおけるマクロファージ細胞に感染することが示された。PCV はごく最近PMWSに関係づけられた。例えば、Ellis et al.(1998)Can.Vet.J.38:44-51およびGopi et al.(1997)Can.Vet.J.38:385-386 参照のこと。しかしながら、ブタ集団におけるPCV の偏在的存在のために、PCV とPMWSとの病因学的関連性が問題となった。さらに、汚染されたPK15細胞培養物から誘導されたPCV 接種物によるブタの実験的感染は、臨床的疾患を生成することができなかった。例えば、Tischer et al.(1986)Arch.Virol.91:271-276 。
【0006】
ヒトにおける異種移植のためのブタの器官の使用の重要性が増加したために、ブタの感染性因子、特にウイルスは営農産業に深遠に影響を与えるばかりでなく、かつまたヒトに対して潜在的な公衆の健康の危険を持ち出す。PMWSの疾患の以前の診断は組織病理学的検査をベースとしてきた。したがって、PMWSに関連する病原体の存在を診断する改良された方法、ならびにPMWSの疾患を予防すること要求されている。
【発明の開示】
【0007】
本発明は、PMWSに影響を受けた子豚の均質化された組織から単離された、本明細書において「PCV II型」または「PCVII」と表示する、新規なウイルスの発見に基づく。ウイルスの特性決定が示すように、ウイルスは本明細書において「PCV I 型」または「PCVI」と表示する、持続的に感染したPK15細胞から得られ、非病原性ブタシルコウイルスと共通の特徴を共有する。新規なPCV 変異型、すなわち、PCVII 412 、ならびにいくつかの追加のPCVII 単離物、の全体のDNA ゲノムがクローニングされ、配列決定された。
【0008】
これらのDNA 配列の部分は、臨床的試料中のウイルスの存在を診断し、そしてウイルスの他の天然に存在する変異型を単離するプローブとして有用である。PCVII のゲノム配列の理解はまた、ウイルスゲノムのオープンリーディングフレーム内にコードされた種々のタンパク質のポリペプチド配列を入手可能とし、そして診断試験における標準または試薬として、ワクチンの成分として有用である、これらのペプチドまたはそれらの一部分の製造を可能とする。また、保護的抗体をタンパク質から発生させ、そしてポリクローナルまたはモノクローナルの形態で製造することができる。
【0009】
こうして、全体のPCVII 配列は、ワクチンまたは診断試薬として、あるいはPMWSに対する受動免疫性において有用なモノクローナル抗体(Mab) 調製物の製造における中間体として、あるいは診断試薬として有用な抗体の製造における中間体として、働くことができるポリペプチドの設計および構築を可能とする。
【0010】
したがって、1つの面において、ポリヌクレオチドは、PCVII ゲノムから誘導されたPCVII 診断剤およびワクチンの製造に有用なポリヌクレオチドに関する。1つの特定の態様において、PCVII ヌクレオチド配列に対して選択的にハイブリダイゼーションすることができ、第4A図〜第4C図に描写されているPCVII 配列 (配列番号:1、配列番号:11 、配列番号:12 および24) から誘導されるか、あるいはそれらに対して相補的である、少なくとも約8 隣接ヌクレオチドを含んでなる。
【0011】
他の態様において、ポリヌクレオチドは、(a) オープンリーディングフレーム(ORF) 1(配列番号:3)、(b)ORF 2(配列番号:9) 、(c)ORF 3 (配列番号:7)、(d)ORF 4(配列番号:20)、(e)ORF 5 (配列番号:21)、(f)ORF 6 (配列番号:5)、および(g) 少なくとも約5 アミノ酸を含んでなる上記(a) 〜(f) の免疫原性フラグメントから誘導されたポリペプチドから成る群より選択されるポリペプチドに対して少なくとも約85%の同一性を有する免疫原性PCVII ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。特に好ましい態様において、ポリヌクレオチドはORF 6(配列番号:5) のポリペプチド、またはその免疫原性フラグメントをコードする。
【0012】
こうして、本発明は、診断試薬としてまたはワクチン抗原として働くことができるペプチドの製造のための、オリゴマーのプローブとしてのこれらのポリヌクレオチド配列またはそれらの一部分としての利用、ペプチドそれら自体、および疾患の診断および治療において有用なポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体に関する。
【0013】
本発明の他の面は、完全なゲノムから誘導される配列によりコードされる所望のタンパク質の製造を実行することができる発現系、このような系を含有する組換えベクターまたはその一部分、このようなベクターで形質転換された組換え宿主細胞、形質転換された細胞により産生されたタンパク質、およびこのようなタンパク質から製造されたワクチンに関する。さらに、本発明は、ゲノムによりコードされるエピトープを表示するペプチド配列、および標識または担体タンパク質に共有結合したこのような配列に関する。また、PCVII ゲノムの種々のORF 、ならびにこれらのORF によりコードされるタンパク質、およびそれらの一部分が本発明に包含される。
【0014】
本発明は、また、ポリペプチド組成物、例えば、ワクチンおよび免疫診断組成物、および免疫グロブリンを製造する方法、およびイムノアッセイおよびプライマー、プローブ、ポリペプチドおよび/または免疫グロブリンを含有するアッセイのためのキットに関する。1つの態様において、次いで、本発明は、下記工程:
(a) 生物学的試料を準備し;
(b) PCVII の抗体が、生物学的試料の中に存在するとき、前述の免疫原性PCVII ポリペプチドに結合して抗体/抗原複合体を形成する条件下に、生物学的試料を前記PCVII ポリペプチドと反応させ;そして
(c) 複合体の存在または非存在を検出し、
これにより試料中のPCVII の抗体の存在または非存在を検出する;
を含んでなる、生物学的試料中のPCVII 抗体を検出する方法に関する。
【0015】
他の態様において、本発明は、下記工程:
(a) 請求項1 に記載のポリヌクレオチドと生物学的試料の中に存在するPCVII
核酸との間の核酸複合体の形成を促進する条件下に、生物学的試料をポリヌクレオチドとインキュベートし;そして
(b) ポリヌクレオチドを含有する複合体を検出する;
を含んでなる、生物学的試料中のPCVII 相同的配列を検出するための核酸ハイブリダイゼーションアッセイに関する。
本発明のこれらおよび他の面および特徴は、下記の本発明の詳細な説明を添付図面と組み合わせて読むとき、いっそう完全に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施は、特記しない限り、この分野の技量の範囲内である、分子生物学、微生物学、組換えDNA 技術、および免疫学の慣用技術である。このような技術は文献において完全に説明されている。例えば、下記の文献を参照のこと:Sambrook, FritschおよびManiatis, Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Vol.I ,IIおよびIII, 第2 版(1989);DNA Cloning、Vol.I およびII(D.N.Clover 編, 1985);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編, 1984);Nucleic Acid Hybridization(B.D.Hames & S.J.Higgins編,1984);Animal Cell Culture(R.K.Freshney編、1986);Immobilized Cells and Enzymes(IRL Press 、1986);Perbal、B.、A Practical Guide to Molecular Cloning(1984);the series,Methods in Enzymology(S.ColowickおよびN.Kaplan編,Academic Press,Inc.);およびHandbook of Experimental Immunology ,Vol.I〜IV(D.M.Weir およびC.C.Blackwell編、1986、Blackwell Scientific Publications)。
【0017】
本発明を詳細に説明する前に、本発明は特定のDNA 、ポリペプチド配列またはプロセスのパラメーターそれ自体に限定されず、例えば、変化することができることを理解すべきである。また、本発明において使用する技術は本発明の特定の態様を記載することのみを目的とし、そして限定されることを意図しないことを理解すべきである。
本明細書および請求の範囲において使用するとき、単数の形態は、特記しない限り、複数への言及を包含することに注意しなくてはならない。こうして、例えば、「抗原」は2 またはそれより多くの抗原の混合物を包含し、「賦形剤」は2またはそれより多くの賦形剤の混合物を包含し、等々である。
【0018】
明細書を通じて、下記のアミノ酸の略号を使用する:
アラニン:Ala(A) アルギニン:Arg(R) アスパラギン:Asn(N) アスパラギン酸:Asp(D) システイン:Cys(C) グルタミン:Gln(Q) グルタミン酸:Glu(E) グリシン:Gly(G) ヒスチジン:His(H) イソロイシン:Ile(I) ロイシン:Leu(L) リジン:Lys(K) メチオニン:Met(M) フェニルアラニン:Phe(F) プロリン:Pro(P) セリン:Ser(S) スレオニン:Thr(T) トリプトファン:Trp(W) チロシン:Tyr(Y) バリン:Val(V)。
【0019】
A. 定義
特記しない限り、本明細書において使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が関係する当業者が普通に理解するのと同一の意味を有する。本明細書に記載するものに類似するか、あるいは同等の多数の方法および材料を本発明の実施において使用することができるが、好ましい材料および方法を本明細書に記載する。
本発明を説明するとき、下記の用語を使用し、そして下に示すように定義することを意図する。
【0020】
用語「PCVII タンパク質」、「PMWSタンパク質」またはそれをコードするヌクレオチド配列は、本明細書において記載するように、新規なPCVII 単離物から誘導される、それぞれ、タンパク質またはヌクレオチド配列を意図する。いくつかのPCVII 単離物のヌクレオチド配列は第4A図〜第4B図に示されており、そして6つの識別されたPCVII のORF に対応するアミノ酸配列は第2A図〜第2C図に示されている。しかしながら、本明細書において定義する、PCVII またはPMWSタンパク質、またはそれをコードする遺伝子は描写される配列に限定されない。
【0021】
さらに、本明細書において使用するとき、PCVII ゲノム「から誘導された」ヌクレオチド配列またはその相補体は、例示するポリヌクレオチドの必須の性質を保持し、意図する目的のために、誘導された全体の配列の形態の一部分を表す、配列を意味する。このような誘導化の特定の、非限定的例は、同一または実質的に同一のアミノ酸配列をコードするが、コドンの縮重のために、異なる特定のコドンを利用すること、他の例はウイルスDNA に対して相補的な配列である。
【0022】
診断試験において有用なプローブまたはオリゴヌクレオチドは示した配列の相補性を保持するが、全体の配列よりも短いか、あるいはその一部分を越えてスキップすることができる。しかしながら、操作または発現において使用するために、制限部位をつくるか、あるいは欠失して、プロセシング部位を形成するか、あるいは機能に悪影響を及ぼさない方法でコードされたアミノ酸配列を変更するために、ヌクレオチドの変化はしばしば望ましい。用語「ヌクレオチド配列」および「ポリヌクレオチド」は、リボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドの双方を意味し、そしてゲノム鎖およびその相補的配列の双方を包含する。
【0023】
したがって、PCVII 単離物のゲノムを含んでなるヌクレオチド配列「から誘導された」配列は、ゲノムのヌクレオチド配列(またはその相補体)の領域に対応する配列から構成されるか、あるいはその意図する用途と一致することがこの分野において知られている方法で修飾された配列の領域の組合わせから構成された、配列を意味する。
【0024】
これらの配列は、もちろん、遺伝子のヌクレオチド配列から必ずしも物理的に誘導される必要はなく、ポリヌクレオチドが誘導される1 または2 以上の領域における塩基の配列により提供される情報に基づく、任意の方法で発生されたポリヌクレオチドを意味する。例えば、典型的なDNA 配列を「誘導」することができる領域は、特定のエピトープをコードする領域を包含する。同様に、PCVII のORF 「から誘導された」ペプチドは、これらのポリペプチドのそれと実質的に同一であるアミノ酸配列、またはその一部分と同一の生物学的性質を有する、その一部分を意味する。
【0025】
さらに、誘導されたタンパク質またはヌクレオチド配列は前述の遺伝子から物理的に誘導される必要はなく、任意の方法で、例えば、化学的合成、単離(例えば、PCVII 単離物からの)または、本明細書において提供された情報に基づく、組換え産生により発生させることができる。さらに、この用語は、遺伝子によりコードされる隣接アミノ酸配列に対して実質的に相同的なアミノ酸配列(以後定義する)を有し、免疫学的活性を表示する、タンパク質を意味する。
【0026】
こうして、これらの用語は全長の、ならびに免疫原性、トランケートおよび部分的配列、およびタンパク質の活性なアナローグおよび前駆体の形態を意図する。また、この用語には、遺伝子の少なくとも約8 隣接塩基対、より好ましくは少なくとも約10〜20隣接塩基対、さらに少なくとも約25〜50または75またはそれより多い隣接塩基対を含む特定のヌクレオチドフラグメントが包含される。このようなフラグメントは、いっそう詳しく後述するように、プローブとして、診断法において、そしてタンパク質の組換え製造について有用である。
【0027】
これらの用語は、また、製造モードに依存して、中性の形態または塩基または酸の付加塩の形態のタンパク質を包含する。このような酸付加塩は、遊離アミノ基を含むことができ、そして塩基の塩は遊離カルボキシルを使用して形成することができる。薬学上許容される塩基および酸の付加塩は下記においてさらに説明される。さらに、タンパク質は、他の生物学的物質、例えば、脂質および糖類との組合わせによるか、あるいは側鎖の修飾、例えば、アミノ基のアセチル化、ヒドロキシル化側鎖のリン酸化、スルフヒドリル基の酸化、アミノ酸残基のグルコシル化、ならびにコードされた一次配列の他の修飾により修飾することができる。
【0028】
したがって、この用語は、ポリペプチドが本明細書において定義する免疫学的応答を生成するように機能するかぎり、欠失、付加および置換を包含する。これに関して、特に好ましい置換は一般に特質が保存的である、すなわち、それらの置換は1 ファミリーのアミノ酸内で起こる。例えば、アミノ酸は一般に4つのファミリーに分割される:(1) 酸性−−アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩;(2) 塩基性−−リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3) 非極性−−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4) 非帯電の極性−−グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン。
【0029】
フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは時には芳香族アミノ酸として分類される。例えば、イソロイシンまたはバリンによるロイシンの隔離された置換、またはその逆;アスパラギン酸塩とグルタミン酸塩との隔離された置換、またはその逆;スレオニンとセリンとの隔離された置換、またはその逆;またはアミノ酸と構造的に関係するアミノ酸との同様な保存的置換、は生物学的活性に対して主要な影響をもたないことが合理的に予測される。参照分子と実質的に同一のアミノ酸配列を有するが、タンパク質の免疫原性に実質的に影響を与えない、小さいアミノ酸の置換をもつタンパク質は、それゆえ、参照ポリペプチドの定義の範囲内に入る。
【0030】
「オープンリーディングフレーム」または「ORF 」は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の領域である。
「離乳後の多全身系消耗症候群」または「PMWS」とは、進行的体重損失、頻呼吸、発声障害および黄疸により特徴づけられる、脊椎動物門の動物、特にブタの疾患を意味する。首尾一貫した病理的変化は、リンパ球〜肉芽腫性間質性肺炎、リンパ節疾患、および、低い頻度で、リンパ球〜肉芽腫性肝炎および腎炎を包含する。例えば、下記の文献を参照のこと:Clark, E.G., Proc.Am.Assoc.Swine Pract.1997:499-501;およびHarding, J.Proc.Am.Assoc.Swine Pract.1997:503 。
【0031】
「単離された」核酸分子は、核酸分子が事実見出される全生物から分離しかつ離散した核酸分子;または事実常態でそれと会合した配列の、全体または一部分を欠く、核酸分子;または事実存在するが、それと会合して異種配列(下記におい定義する)を有する、配列;を意味する。
用語「ワクチン組成物」は、被検体における疾患または症状を予防または治療するために使用することができる、抗原を含有する、任意の医薬組成物を意味する。こうして、この用語は、後述する、サブユニットのワクチン、ならびに全体の殺した、弱毒化した、または不活性化した微生物を含有する組成物の双方を包含する。
【0032】
「サブユニットのワクチン組成物」は、問題の病原体から抗原から誘導されるか、あるいはそれに対して相同的である、少なくとも1 つの免疫原性ポリペプチド、すべてではない抗原、を含有する組成物を意味する。このような組成物は、完全な病原体の細胞または粒子、またはこのような細胞または粒子のライゼイトを実質的に含有しない。こうして、「サブユニットのワクチン組成物」は、病原体から少なくとも部分的に精製された(好ましくは実質的に精製された)免疫原性ポリペプチド、またはその組換えアナローグから製造される。サブユニットのワクチン組成物は、病原体からの他の抗原またはポリペプチドを実質的に含有しない、の代わりにサブユニットの1 または2 以上の抗原を含むことができる。
【0033】
用語「エピトープ」は、特異的B 細胞および/またはT 細胞が応答する、抗原またはハプテン上の部位を意味する。この用語は、また、「抗原決定基」または「抗原決定基の部位」と互換的に使用される。同一エピトープを認識することができる抗体は、ターゲット抗原に対する他の抗体の結合をブロックすることができる1 つの抗体の能力を示す、簡単なイムノアッセイにおいて同定することができる。
【0034】
組成物またはワクチンに対する「免疫学的応答」は、問題の組成物またはワクチンに対する細胞および/または抗体が仲介する免疫応答の宿主における発生である。通常、「免疫学的応答」は下記の作用の1 または2 以上を包含するが、これらに限定されない:問題の組成物またはワクチンの中に含まれる1 または2 以上の抗原に対して特異的に向けられた、抗体、B 細胞、ヘルパーT 細胞、サプレッサーT 細胞、および/または細胞障害性T 細胞および/またはγδT 細胞の産生。好ましくは、宿主は、新しい感染に対する抵抗性が増強され、そして/または疾患の臨床的発病度が減少されるように、治療的または予防的免疫学的応答を表示するであろう。このような保護は、感染した宿主が常態で表示する症状の減少または欠如、より早い回復時間および/または感染した宿主におけるウイルス力価の低下により証明されるであろう。
【0035】
用語「免疫原性」タンパク質またはポリペプチドは、前述した免疫学的応答を引き出すアミノ酸配列を意味する。「免疫原性」タンパク質またはポリペプチドは、本明細書において使用するとき、タンパク質の全長の配列、そのアナローグ、またはその免疫原性フラグメントを包含する。「免疫原性」フラグメントは、1 または2 以上のエピトープを含み、こうして、前述の免疫学的応答を引き出すタンパク質のフラグメントを意味する。このようなフラグメントは、この分野においてよく知られている、任意の数のエピトープマッピング技術を使用して同定することができる。
【0036】
例えば、下記の文献を参照のこと:Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology 、Vol.66(Glenn E.Morris 、編、1996)Humana Press 、Totowa、New Jersey。例えば、線状エピトープは、例えば、固体の支持体上で多数のペプチドを同時に合成し、ここでペプチドはタンパク質の分子の一部分に対応し、そしてペプチドが固体の支持体にまだ結合している間にペプチドを抗体と反応させることによって、決定することができる。このような技術はこの分野において知られており、そして下記の文献に記載されている:例えば、米国特許第4,708,871 号;Geysen et al.(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998-4002;Geysen et al.(1986)Molec.Immunol.23:709-715 。
【0037】
同様に、コンフォメーション的エピトープは、アミノ酸の空間的コンフォメーションの決定により、例えば、X線結晶学および二次元の核磁気共鳴により、容易に同定される。例えば、Epitope Mapping Protocols 、supra 参照。
合成抗原、例えば、ポリエピトープ、フランキングエピトープ、および他の組換えまたは合成的に誘導された抗原がまた定義内に含められる。例えば、下記の文献を参照のこと:Bergmann et al.(1993)Eur.J.Immunol.23:2777-2781;Bergmann et al.(1996)J.Immunol.157:3242-3249;Suhrbier, A.(1997)Immunol.and Cell Biol.75:402-408;Gardner et al.(1998)12th World AIDS Conference, Geneva, Switzerland, June 28-July 3 、1998。
【0038】
免疫原性フラグメントは、本発明の目的に対して、分子の、少なくとも約3 アミノ酸、好ましくは少なくとも約5 アミノ酸、より好ましくは少なくとも約10〜15アミノ酸、最も好ましくは25またはそれより多いアミノ酸を含むであろう。フラグメントの長さに対する決定的な上限は存在せず、フラグメントはほぼ全長のタンパク質配列、またはタンパク質の2 またはそれ以上のエピトープを含んでなる融合タンパク質からなることができるであろう。
【0039】
「生来の」(又は自然)タンパク質またはポリペプチドは、タンパク質が天然に存在する源から単離されたタンパク質またはポリペプチドを意味する。「組換え」ポリペプチドは、組換えDNA 技術により製造された、すなわち、所望のポリペプチドをコードする外因性DNA 構築物により形質転換された細胞から産生された、ポリペプチドを意味する。「合成」ポリペプチドは、化学的合成により製造されたポリペプチドである。
「ベクター」は、他のDNA セグメントを結合させて、結合したセグメントを複製させることができる、レプリコン、例えば、プラスミド、ファージ、またはコスミドである。
【0040】
DNA 「コード配列」または特定のタンパク質「をコードするヌクレオチド配列」は、適当な調節因子の制御下に配置されたとき、in vitroまたはin vivo においてポリペプチドに転写または翻訳されるDNA 配列である。コード配列の境界は、5'(アミノ)末端における開始コドンおよび3'(カルボキシ)末端における翻訳停止コドンにより決定される。コード配列は下記のものを包含するが、これらに限定されない:原核配列、真核mRNAからのcDNA、真核(例えば、哺乳動物)DNA からのゲノムDNA 配列、およびさらに合成DNA 配列。転写停止配列は通常コード配列に対して3'に位置する。
【0041】
DNA 「コントロール因子」は、集合的にプロモーター、リボソーム結合部位、ポリアデニル化シグナル、転写停止配列、上流の調節ドメイン、エンハンサー、およびその他を意味し、これらは集合的に宿主細胞におけるコード配列の転写および翻訳を提供する。所望の遺伝子を転写および翻訳することができるかぎり、これらのコントロール配列のすべては常に存在することが必要であるわけではない。
【0042】
「作用可能に連鎖された」は、そのように記載する成分がそれらの通常の機能を実行するように配置されている、因子の配置を意味する。こうして、コード配列に作用可能に連鎖されたコントロール因子はコード配列の発現を実行することができる。コントロール因子は、コード配列の発現を指令するように機能するかぎり、コード配列と必ずしも隣接する必要はない。こうして、例えば、介在するまだ非翻訳の転写された配列はプロモーターとコード配列との間に存在することができ、そしてプロモーターはなおコード配列に「作用可能に連鎖されている」と考えることができるであろう。
【0043】
コントロール因子、例えば、プロモーターは、RNA ポリメラーゼがプロモーターに結合し、コード配列をmRNAに転写するとき、細胞中でコード配列の「転写を指令し」、次いでmRNAはコード配列によりコードされるポリペプチドに翻訳される。
「宿主細胞」は、外因性核酸分子により、形質転換されているか、あるいは形質転換することができる細胞である。
【0044】
このような外因性DNA が細胞膜の中に導入されたとき、細胞は外因性DNA により「形質転換」されている。外因性DNA は、細胞のゲノムを構成する染色体DNA の中に組込まれる(共有結合により)か、あるいは組込まれないことができる。原核生物および酵母菌において、外因性DNA はエピソームの因子、例えば、プラスミド上に維持されることができる。真核細胞に関すると、安定に形質転換された細胞は、染色体の複製を通して娘細胞により外因性DNA が受け継がれるように、外因性DNA が染色体の中に組込まれている細胞である。この安定性は、外因性DNA を含有する娘細胞の集団から構成された細胞の系統またはクローンを確立する真核細胞の能力により、証明される。
【0045】
「相同性」は、2つのポリヌクレオチドまたは2 つのポリペプチドの部分の間の同一性の百分率を意味する。2 つのDNA または2 つのポリペプチド配列は、配列が少なくとも約80%〜85%、好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%〜98%の同一性を分子の規定した長さにわたって示すとき、互いに「実質的に相同的」である。本明細書において使用するとき、実質的に相同的は、また、特定したDNA またはポリペプチド配列に対して完全な同一性を示す配列を意味する。
【0046】
同一性の百分率は、配列を整列させることによって2 つの分子の間の配列の情報を直接的に比較し、2 つの整列された配列の間の合致の正確な数を計数し、より短い配列の長さで割り、そして結果に100 を掛けることによって、決定することができる。容易に入手可能なコンピュータープログラムを使用して、解析を促進することができ、その例は次の通りである:ALIGN, Dayhoff, M.O.in Atlas of Protein Sequence and Structure M.O.Dayhoff編, 5 Suppl.3:353-358, National biomedical Research Foundation, Washington, DC、これはペプチドの解析のためにSmith およびWaterman(1981)Advaces in Appl.Math.2:482-489を採用している。
【0047】
ヌクレオチド配列の同一性を決定するプログラムは下記において入手可能である:the Wisconsin Sequence Analysis Package, Version 8(Genetic ComputerGroup, Madison, WIから入手可能である)例えば、the BESTFIT 、FASTA およびGAP プログラム、これはまたSmith およびWatermanのアルゴリズムに頼る。これらのプログラムは、製造業者により推奨されたかつ前述のWisconsin Sequence Analysis Package に記載されているデフォルトパラメーターとともに容易に利用することができる。
【0048】
あるいは、相同性は、相同的領域の間で安定な二本鎖を形成する条件下にポリヌクレオチドをハイブリダイゼーションさせ、次いで一本鎖特異的な1または2以上のヌクレアーゼで消化し、そして消化されたフラグメントのサイズを測定することによって、決定することができる。実質的に相同的であるDNA 配列は、例えば、その特定の系について定められる、ストリンジェント条件下に、サザンハイブリダイゼーション実験を実施することによって同定することができる。適当なハイブリダイゼーション条件の決定は当業者の技量の範囲内である。例えば、Sambrook et al.supra;DNA Cloning, supra;Nucleic Acid Hybridization, supra, 参照。
【0049】
2つの核酸フラグメントは、PCVII 核酸またはその変異型に特異的にハイブリダイズすることができる(例えば、PCVII 核酸にハイブリダイズするが、シルコウイルスのファミリーからのポリヌクレオチドにハイブリダイズしない)か、あるいは下記の条件下のポリメラーゼ連鎖反応を特異的にプライミングすることができる場合、PCVII ポリヌクレオチドに「選択的ハイブリダイズ」すると考えられる:(i) 典型的にはハイブリダイゼーションおよび洗浄条件、例えば、Sambrook et al.supraおよびNucleic Acid Hybridization、supra 、に記載されている、(ii)最大約25〜30%の塩基対のミスマッチを可能とする減少したストリンジェンシイの条件、例えば、2 ×SSC 、0.1 %のSDS 、室温2 回、各回30分;次いで2 ×SSC 、0.1 %のSDS 、37℃1 回;次いで2 ×SSC 、0.1 %のSDS 、室温2 回、各回10分;または(iii) 標準的条件下に典型的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において使用するためのプライマーを選択する(例えば、Saiki et al.(1988)Science 239:487-491)、これはPCVII またはその変異型の配列の特異的増幅を生ずる。
【0050】
用語「機能的に同等」は、タンパク質のアミノ酸配列が、参照アミノ酸配列、またはその免疫原性部分により引き出される応答に比較して、上記において定義した、実質的に同等のまたは増強した免疫学的応答を引き出すアミノ酸配列であることを意味する。
DNA 構築物の「異種」(heterologous)領域は、天然に他の分子と関連して見出されない他のDNA 分子内に存在するか、あるいはそれに結合した、DNA の同定可能なセグメントである。
【0051】
こうして、異種領域がウイルス遺伝子をコードする場合、その遺伝子は源のウイルスのゲノム中のウイルス遺伝子を挟まないDNA により通常挟まれるであろう。異種コード配列の他の例は、コード配列それ自体が天然に見出されない構築物である(例えば、生来の遺伝子と異なるコドンを有する合成配列)。対立遺伝子変異型または天然に存在する突然変異の事象は、本明細書において使用する、DNA の異種領域を生じない。
【0052】
用語「治療」は、本明細書において使用するとき、(i) 感染または再感染の防止(予防)、または(ii)問題の疾患の症状の減少または排除(療法)を意味する。
本明細書において使用するとき、「生物学的試料」は、被検体から単離された組織または流体の試料を意味し、下記のものを包含するが、これらに限定されない:例えば、血液、血漿、血清、糞便物質、尿、骨髄、胆汁、脊髄液、リンパ組織およびリンパ液、皮膚の試料、皮膚の外部分泌物、呼吸器、腸、および尿生殖器管、涙、唾液、乳、血球、器官、生検試料およびまたin vitro細胞培養の試料、例えば、培地中の細胞および組織の成長から生ずるコンディショニングされた培地、例えば、組換え細胞、および細胞成分。
【0053】
本明細書において使用するとき、用語「標識」および「検出可能な標識」は、検出することができる分子を意味し、下記のものを包含するが、これらに限定されない:放射性アイソトープ、蛍光性物質、化学発光性物質、酵素、酵素基質、酵素コファクター、酵素インヒビター、発色団、色素、金属イオン、金属ゾル、リガンド(例えば、ビオチンまたはハプテン)およびその他。用語「蛍光性物質」は、検出可能な範囲の蛍光を示すことができる物質またはその一部分を意味する。本発明において使用できる標識の特定の例は、フルオレセイン、ローダミン、ダンシル、ウベリフェロン、テキサスレッド、ルミノール、NADPH およびα-β- ガラクトシダーゼを包含する。
【0054】
「脊椎動物門の動物」とは、亜門コルダタ(subphylum cordata) の任意のメンバーを意味し、下記のものを包含するが、これらに限定されない:哺乳動物、例えば、畜牛、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウマ、および人間;家畜、例えば、イヌおよびネコ;および鳥類、例えば、家畜、野生およびゲームの鳥類、例えば、アヒルおよび雌鶏、例えば、ニワトリ、シチメンチョウおよび他の家禽の鳥類。この用語は特定の年齢を意味しない。したがって、成体および新生児の動物、ならびに胎児を包含することを意図する。
【0055】
B. 一般的方法
本発明に対する中心的事項は、PMWSの影響を受けた子豚から単離された、本明細書において「PCVII 」と呼ぶ、新しいシルコウイルスの発見である。本発明の有用な材料および方法は、各々が新規なPCVII ウイルスの全体のゲノムを含有する、ヌクレオチド配列の1 ファミリーの発見により可能となる。このファミリーのポリヌクレオチドの入手可能性は、まず、小さい異種性により異なるゲノムのファミリーの他のメンバーの単離を可能とする。
【0056】
第2 に、それは診断において有用なDNA フラグメントおよびタンパク質の構築を可能とする。例えば、少なくとも約8 〜10またはそれより多いヌクレオチドのオリゴマー、好ましくは、少なくとも約15〜20ヌクレオチドからなるオリゴマーは、疾患の診断におけるハイブリダイゼーションプローブとして有用である。このようなプローブは、例えば、ウイルスを収容することが推測される被検体の血清中の、ゲノムウイルスの存在を検出するために使用することができる。同様に、タンパク質をコードする遺伝子はクローニングし、そして他のウイルス単離物中の相同的遺伝子を検出し、単離するためのプローブを設計するために使用することができる。
【0057】
また、PCVII 配列は、血清または血液中のPCVII に対して発生させた抗体の存在について診断する試薬として有用である、PCVII 特異的ポリペプチドの設計および製造を可能とする。これらのポリペプチドに対する抗体は、また、診断剤として有用である。いくつかのオープンリーディングフレームを完全なゲノムの関係において解読することができるので、PCVII に関係するタンパク質の主要な構造を推定することができる。最後に、また、遺伝子配列の知識により、PCVII に対して有効であり、それゆえ、PMWSの予防およびまた保護的抗体の産生に有用である、ワクチンの設計および製造が可能となる。
【0058】
ゲノムから入手可能である配列決定の情報は、ウイルスゲノムによりコードされる種々のポリペプチドのアミノ酸配列の推定を可能としかつ適当なエピトープの同定を可能とする。PCVII ゲノム中で同定されたいくつかのORF によりコードされる全長のタンパク質、またはその適当な一部分を、独立に得られかつ発現される関係するDNA のフラグメントを使用して、製造することができ、こうして、組換え技術に従い所望のポリペプチドを提供することができる。
【0059】
原核生物および真核生物の双方の宿主は、このような発現のために有用である。また、短いポリペプチドのフラグメントを化学的に合成し、ワクチンとして使用するために担体タンパク質に結合させることができる。さらに、エピトープを産生し、免疫原性を与えるタンパク質に結合させることができる。こうして産生されたタンパク質それら自体はワクチンとして使用することができるか、あるいは宿主において免疫担当B 細胞を誘導するために使用することができ、次いでこれらのB 細胞を使用して、受動的免疫治療において有用な抗体を分泌するハイブリドーマを産生することができる。
【0060】
さらに詳しくは、PCVII の3 つの単離物についての完全な遺伝的配列、PCVII412 (配列番号:1)、PCVII 9741(配列番号:11 )、およびPCVII B9(配列番号:12 、配列番号:24 )を第4A図〜第4B図に示す。PCVII の種々の単離物の間でヌクレオチド配列の相同性の百分率は、99%より高い同一性である。新しく発見されたウイルスゲノムは、感染したPK15細胞から単離されたPCV とヌクレオチドレベルにおいてほぼ76%の同一性を共有する(ここにおいて「PCVI」と呼ぶ)。実施例においてさらに説明するように、ヌクレオチドの挿入および欠失(インデル)は3つの領域において見出された。
【0061】
図1 に示すように、新規なウイルスは50より多いアミノ酸残基からなるタンパク質をコードする、少なくとも6 つのオープンリーディングフレーム(ORF )を含有するが、PK15から誘導されたPCVIは7 つの潜在的ORF を有する。代表的なPCVII 単離物についてのORF は、第4A図〜第4B図に示すPCVII 単離物のナンバリングを使用して、下記の位置に存在する:
ORF 1 51〜992
ORF 2 671〜360
ORF 3 565〜389
ORF 4 553〜729
ORF 5 1016〜1174
ORF 6 1735〜1037
【0062】
6つのORF によりコードされるポリペプチドは図2A〜図2Cに示されている。
PCVII についての主要なターゲットは、末梢血中の単核細胞、多分マクロファージ細胞であるが、ウイルスはまた感染した動物における種々の組織および器官の中に見出される。影響を受けたマクロファージはそれらの正常の機能を喪失し、宿主の免疫系に対する損傷を引き起こし、死に導く。
【0063】
新規なシルコウイルスのクローニングおよび配列決定は、PMWSの原因となる因子についての情報を提供した。上に説明したように、配列決定の情報、ならびにクローンおよびその遺伝子産物は診断およびワクチンの開発のための有用である。特に、PCR および抗体をベースとする診断法は疾患の診断において有用であり、そして、本発明において、この新規なPCVII ウイルスを特異的に同定し、持続的に感染したPK15細胞から誘導されたPCVIと識別するために使用された。また、配列決定の情報は、特異的プライマーの設計において、ウイルス特異的遺伝子産物を発現させ、ウイルスの構造を研究し、特異的抗体を発生させ、そしてブタシルコウイルスに関係する疾患においてビルレント遺伝子を同定するために有用である。
【0064】
B.1. PCVII 遺伝子配列の調製
PCVII の新しいウイルスゲノムは、PMWSの影響を受けた子豚の組織から単離されたウイルスから得られた。ウイルスDNA を種々の源から抽出した。種々の源は、感染したDulac およびVero細胞のペレット、抹消血バッフィーコート細胞、感染した動物から組織および血清を包含する。実施例においていっそう完全に論じられる技術に従い、DNA を試料から抽出した。
【0065】
シルコウイルスのファミリーにおける既知のウイルスの間の配列および構造の類似性を比較することによって、保存されたステム・ループ構造の相補的配列を利用して、ユニークプライマーを設計した。次いで1つのプライマーのPCR を実施し、産物をクローニングした。プラスミドベクターの中に挿入された異なる向きの、2つの全長のウイルスゲノムを、双方の方向において完全に配列決定した。追加のPCR プライマーを作り、配列決定してプライマー/ステム・ループ領域の忠実度を確実にした。
同様なプライマーを使用して、他のPCVII 単離物、例えば、PCVII 9741、およびPCVII B9を得た。シルコウイルスがDNA の複製した形態からの代わりにウイルス粒子からクローニングされたのは、これが最初であるように思われる。
【0066】
PCVII ゲノムを取り出す方法の説明は、もちろん、主として歴史的重要性を有する。生ずる配列がここにおいて提供され、そして全体の配列、またはその任意の部分は、また、合成法に従い、あるいは合成法と本明細書に記載する方法に類似する方法を使用する部分的配列の取り出しとの組合わせにより、製造することができる。
【0067】
B.2. PCVII タンパク質の製造
PCVII ゲノムの配列は入手可能であるので、PCVII ゲノムから誘導された、ウイルスのポリペプチドおよび抗原的に活性な領域をコードする発現ベクターを構築することができる。所望のタンパク質をコードするフラグメントは、cDNAクローンから、慣用の制限消化、または合成法により製造し、そして、例えば、融合配列の一部分を含有するベクター、例えば、β- ガラクトシダーゼ、の中に結合させる。オープンリーディングフレームを含有するPCVII ゲノムの任意の所望の部分を、組換えタンパク質として、例えば、成熟または融合タンパク質として得ることができるか、あるいは化学的合成または一般的組換え手段により得ることができる。
【0068】
前述のDNA 配列によりコードされるPCVII タンパク質、それから誘導された活性フラグメント、アナローグおよびキメラタンパク質は、種々の方法により製造できることは容易に明らかである。組換え産物は、部分的タンパク質配列、全長の配列、シグナル配列を含む前駆体の形態、シグナルをもたない成熟形態、またはさらに融合タンパク質(例えば、組換え宿主のための適当なリーダーをもつか、あるいは他の病原体のための他のサブユニットの抗原配列をもつ)の形態を取ることができる。
【0069】
遺伝子ライブラリーを構築し、そして生ずるクローンを使用して適当な宿主細胞を形質転換することができる。コロニーをプールし、そしてPCVII タンパク質に対するポリクローナル血清またはMab を使用してスクリーニングすることができる。
あるいは、いったんアミノ酸配列が決定されると、決定されたアミノ酸配列の一部分のためのコドンを含有するオリゴヌクレオチドのプローブを製造し、そして主題のタンパク質をコードする遺伝子についてゲノムまたはcDNAのライブラリーをスクリーニングするために使用することができる。
【0070】
オリゴヌクレオチドのプローブおよびDNA ライブラリーを製造する基本的戦略、ならびに核酸のハイブリダイゼーションによりそれらのスクリーニングは、当業者によく知られている。例えば、下記の文献を参照のこと:DNA Cloning:Vol.,supra;Nucleic Acid Hybridization,supra;Oligonucleotide Synthesis,supra;Sambrook et al.,supra 。いったんスクリーニングされたライブラリーからのクローンが陽性のハイブリダイゼーションにより同定されたとき、制限酵素分析およびDNA の配列決定により、特定のライブラリーのインサートがPCVIIタンパク質の遺伝子またはその相同体を含有することを確証することができる。次いで、遺伝子を標準的技術によりさらに単離し、必要に応じて、PCR アプローチまたは制限酵素を使用して全長の配列の一部分を欠失することができる。
【0071】
同様に、遺伝子をウイルスから直接的に既知の技術、例えば、フェノール抽出に従い単離し、そして配列をさらに操作して任意の所望の変更を産生することができる。ウイルスDNA を産生し、単離するために使用する技術の記載について、例えば、本明細書中の実施例および下記の文献を参照のこと:Hamel et al.(1998)J.Virol.78:5262-5267。
【0072】
あるいは、DNA 配列をクローニングよりもむしろ合成的に製造することができる。配列をタンパク質の製造に使用すべき場合、特定のアミノ酸配列のために適当なコドンを使用して、DNA 配列を設計することができる。一般に、配列を発現のために使用する場合、意図する宿主のために好ましいコドンを選択する。標準的方法により製造されたオーバーラップするオリゴヌクレオチドから完全な配列を組立て、そして完全なコード配列に組立てる。例えば、下記の文献を参照のこと:Edge(1981)Nature 292:756;Nambair et al.(1984)Science 223:1299;Jay et al.(1984)J.Biol.Chem.259:6311。
【0073】
いったん所望のタンパク質のコード配列が製造されるか、あるいは単離されたとき、それらは任意の適当なベクターまたはレプリコンの中にクローニングすることができる。多数のクローニングベクターはこの分野において知られており、そして適当なクローニングベクターの選定は選択事項である。クローニングのための組換えDNA ベクターおよびそれらが形質転換することができる宿主細胞の例は次の通りである:バクテリオファージλ(E.coli)、pBR322(E.coli)、pACYC177(E.coli)、pKT230( グラム陰性細菌) 、pGV1106(グラム陰性細菌) 、pLAFR1( グラム陰性細菌) 、pME290( 非E.coliグラム陰性細菌) 、pHV14(E.coliおよびBacillus subtilis)、pBD9(Bacillus)、pIJ61(Streptomyces) 、pUC6(Streptomyces)、YIp5(Saccharomyces) 、YCp19(Saccharomyces)およびウシ乳頭腫ウイルス( 哺乳動物細胞) 。下記の文献を参照のこと:Sambrook et al. 、supra ;DNA Cloning 、supra ;DNA Cloning 、supra;B.Perbal、supra 。
【0074】
遺伝子をプロモーター、リボソーム結合部位(細菌の発現のために)および、必要に応じて、オペレーター(本明細書において、集合的に「コントロール」因子と呼ぶ)の制御下に配置し、こうして、この発現構築物を含有するベクターにより形質転換された宿主細胞中で、所望のタンパク質をコードするDNA 配列をRNA に転写することができる。コード配列はシグナルペプチドまたはリーダー配列を含有するか、あるいは含有しないことができる。シグナル配列が含有される場合、それは自然の、相同的配列であるか、あるいは異種配列であることができる。リーダー配列を翻訳後のプロセシングにおいて宿主により除去することができる。例えば、下記の特許を参照のこと:米国特許第4,431,739 号、米国特許第4,425,437 号、米国特許第4,338,397 号。
【0075】
また、宿主細胞の成長に関してタンパク質配列の発現の調節を可能とする、他の調節配列が望ましいことがある。調節配列はこの分野において知られており、そしてそれらの例は調節化合物の存在を包含する、化学的または物理的刺激に応答して、遺伝子の発現を開始させるか、あるいは停止させる配列である。調節因子の他の型、例えば、エンハンサー配列を、また、ベクターの中に存在させることができる。
コントロール配列および他の調節配列をコード配列に結合させた後、ベクター、例えば、前述のクローニングベクターの中に挿入することができる。あるいは、コントロール配列および適当な制限部位を既に含有する発現ベクターの中に、コード配列を直接クローニングすることができる。
【0076】
ある場合において、コード配列を修飾して、それが適当な向きでコントロール配列に結合させることができるようにすること、すなわち、適切なリーディングフレームを維持することが必要であることがある。また、所望のPCVII タンパク質の突然変異またはアナローグを産生することが望ましいことがある。突然変異またはアナローグは、タンパク質をコードする配列の一部分の欠失により、配列の挿入により、および/または配列内の1 または2 以上のヌクレオチドの置換により、製造することができる。ヌクレオチド配列を修飾する技術、例えば、部位特異的突然変異誘発は、例えば、下記の文献に記載されている:Sambrook et al.,supra;DNA Cloning 、supra;Nucleic Acid Hybridization、supra 。
【0077】
次いで、発現ベクターを使用して適当な宿主細胞を形質転換する。多数の哺乳動物細胞系統この分野において知られており、そしてアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)(ATCC)から入手可能である永久分裂能化細胞系統を包含し、これらの例下記のものを包含するが、これらに限定されない:チャイニーズハムスター卵巣(CHO) 細胞、HeLa細胞、ベイビーハムスター腎(BHK) 細胞、サル腎細胞(COS) 、ヒト肝炎癌細胞(例えば、Hpe G2) 、Madin-Darby ウシ腎 (「MDBK」) 細胞、およびその他。同様に、細菌の宿主、例えば、大腸菌(E.coli)、バシラス・サチリス(Bacillus subtilis) 、およびストレプトコッカス(Streptococcus) 種は本発明の発現構築物とともに使用されるであろう。
【0078】
本発明において有用な酵母宿主細胞の例は、なかでも、下記のものである:サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・マルトサ(Candida maltosa) 、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、クルイベロマイセス・フラギリス(Kluyveromyces fragilis)、クルイベロマイセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、ピキア・グイレルモンディイ(Pichia guillermondii)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris) 、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe) およびヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica) 。
【0079】
バキュロウイルスの発現ベクターとともに使用するための昆虫細胞の例は、なかでも、次の通りである:エデス・エジプチ(Aedes aegypti) 、オートグラファト・カリフォルニカ(Autographa californica)、ボンビクス・モリ(Bombyx mori) 、ドロソフィラ・メラノガステル(Drosophila melanogaster) 、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda) 、およびトリコデルマ・ニ(Trichoderma ni)。
【0080】
選択した発現系および宿主に依存して、本発明のタンパク質は前述の発現ベクターにより形質転換された宿主細胞を問題のタンパク質が発現される条件下に培養することによって製造される。次いでタンパク質を宿主細胞から単離し、精製する。発現系がタンパク質を成長培地の中に分泌する場合、タンパク質を培地から直接的に精製することができる。タンパク質が分泌されない場合、それは細胞ライゼイトから単離される。適当な成長条件および回収方法の選択は、当業者の技量の範囲内である。
【0081】
本発明のタンパク質は、また、化学的合成、例えば、固相ペプチド合成により、既知のアミノ酸配列または問題の遺伝子のDNA 配列から誘導されたアミノ酸配列を使用して製造することができる。このような方法はこの分野において知られている。例えば、下記の文献を参照のこと:J.M.Stewart およびJ.D.Young,Solid Phase Peptide Synthesis,第2 版,Pierce Chemical Co.,イリノイ州ロックフォード(1984)およびG.BaranyおよびR.B.Merrifield,The Peptide:Analysis, Synthesis,Biology,編者E.Gross およびJ.Meienhofer,Vol.2,Academic Press、New York(1980),pp.3-254、固相ペプチド合成技術について;およびM.Bodansky,Principle of Peptide Synthesis,Springer-Verlag,ベルリン(1984)およびE.Gross およびJ.Meienhofer,編、The Peptide:Analysis, Synthesis, Biology,supra,Vol.1 、古典的溶液合成について。
【0082】
問題の抗原の小さいフラグメントを問題の被検体において免疫学的応答を発生させることができる場合、ペプチドの化学的合成は好ましいことがある。
ゲノムの分析は少なくとも6 つのオープンリーディングフレームの存在を示し、それらの少なくとも1つは推定上のDNA レプリカーゼ遺伝子をコードする。
【0083】
B.3. 抗原性ポリペプチドの製造および担体との複合体化
ペプチドの抗原性領域は、一般に比較的小さく、典型的には10アミノ酸またはそれより短い長さである。5 アミノ酸程度に短いフラグメントは、典型的には抗原性領域を特徴付けることができる。したがって、基礎としてPCVII のゲノムを使用して、PCVII の種々のORF のいずれかから、例えば、ORF 1 〜ORF 6 、特にORF 6 から誘導された、ポリペプチドの短いセグメントをコードするDNA を融合タンパク質として、あるいは単離されたタンパク質として組換え的に発現させることができる。さらに、短いアミノ酸配列は化学的に合成することができる。合成されたペプチドが正しいエピトープを提供するように正しく立体配置されているが、免疫原性であるためには小さ過ぎる場合、ペプチドを適当な担体に結合させることができる。
【0084】
このような結合を形成する多数の技術はこの分野において知られており、そして下記の試薬を使用するジサルファイド結合の形成を包含する:N-スクシニミジル-3-(2-ピリジルチオ) プロピオネート(SPDP)およびスクシニミジル-4-(N-マレイミドメチル) シクロヘキサン-1- カルボキシレート(SMCC)(Pierce Company 、イリノイ州ロックフォード、から入手した)(ペプチドがスルフヒドリルを欠如する場合、これはシステイン残基の付加により提供することができる。)
【0085】
これらの試薬はそれら自体と1 つのタンパク質上のペプチドのシステイン残基との間でジサルファイド結合をつくり、そしてリジン上のε−アミノ、または他の残基における他の遊離アミノ遺伝子産物を通してアミド結合をつくる。種々のこのようなジサルファイド/アミド−形成因子は知られている。例えば、Immunol.Rev.(1982)62:185参照。他の二官能価のカップリング剤は、ジサルファイド結合よりむしろチオエーテルを形成する。これらのチオエーテル形成剤は商業的に入手可能であり、そして6-マレイミドカプロン酸、2-ブロモ酢酸、2-ヨード酢酸、4-(N- マレイミド- メチル) シクロヘキサン-1- カルボン酸の反応性エステル、およびその他を包含する。
【0086】
カルボキシル基はそれらをスクシンイミドまたは1-ヒドロキシ-2- ニトロ-4-スルホン酸、ナトリウム塩により活性化させることができる。上記のリストは非限定的であり、そして列挙した化合物の修飾を明らかに使用することができる。それ自体宿主に対して有害な抗体の産生を誘起しない、任意の担体、例えば、種々の血清アルブミン、破傷風トキソイド、またはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH) を使用することができる。
複合体は、適当な被検体に注射するとき、免疫グロブリンを含有する抗血清を産生し、これらの免疫グロブリンは複合体に対して特異的に反応性であるばかりでなく、かつまた配列の類似の部分を担持する融合タンパク質に対して、かつ全PCVII 内の適当な決定因子に対して特異的に反応性である。
【0087】
B.4. 抗体の産生
本発明の新規なウイルス、またはそれらのフラグメントによりコードされるタンパク質を使用して、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の双方を産生することができる。ポリクローナル抗体を望む場合、選択される動物(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマ、およびその他)を本発明の抗原、またはそのフラグメント、または突然変異された抗原で免疫化する。免疫化された動物からの血清を、既知の手順に従い、収集し、処理する。例えば、Jurgens et al.(1985)J.Chrom.348:363-370 参照。ポリクローナル抗体を含有する血清を使用する場合、ポリクローナル抗体はイムノアフィニティークロマトグラフィーにより、既知の手順に従い精製することができる。
【0088】
タンパク質およびそれらのフラグメントに対するモノクローナル抗体を、また、当業者は容易に製造することができる。ハイブリドーマ技術を使用するモノクローナル抗体の一般的製造方法はよく知られている。細胞融合により、また、他の技術、例えば、B リンパ球のオンコジーンDNA により直接的形質転換、またはEBウイルスを使用するトランスフェクションにより、永久分裂能の抗体産生細胞系統をつくることができる。
【0089】
例えば、下記の文献を参照のこと:M.Schreier et al.,Hybridoma Techniques(1980);Hammerling et al.,Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas(1981);Kennet et al.,Monoclonal Antibodies(1980);また、下記の特許を参照のこと:米国特許第4,341,761 号; 第4,399,121 号;第4,427,783 号; 第4,444,887 号;第4,452,570 号; 第4,466,917 号;第4,472,500 号; 第4,491,632 号;および第4,493,890 号。所望のタンパク質に対して産生されたモノクローナル抗体、またはそれらのフラグメントのパネルを種々の性質、すなわち、イソ型、エピトープ、アフィニティー、およびその他についてスクリーニングすることができる。
【0090】
モノクローナル抗体は、それらが対して向けられた個々の抗原の、イムノアフィニティー技術を使用する、精製において有用である。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の双方を、また、受動免疫化に使用することができるか、あるいはサブユニットワクチン調製物と組合わせて免疫応答を増強することができる。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体は、また、診断の目的のための有用である。
【0091】
B.5. ワクチン製剤および投与
本発明の新規なウイルスタンパク質を、単独でまたは他の抗原と組合わせて、後述するように被検体の免疫化において使用するために、ワクチン組成物に処方することができる。このような処方物を製造する方法は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences 、Mack Publshing Company、Easton、Pennsylvania、第18版、1990、に記載されている。典型的には、本発明のワクチンは注射可能なワクチンとして、液状溶液または懸濁液として製造される。
【0092】
また、注射前に液状ベヒクル中の溶液または懸濁液のために適当な固体形態を製造することができる。調製物をまた乳化するか、あるいは活性成分をリポソームベヒクルの中にカプセル化することができる。活性な免疫原性成分を一般に適合性薬学上のベヒクル、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール、またはその他、およびそれらの組合わせと混合する。さらに、必要に応じて、ベヒクルは少量の補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤およびpH緩衝化剤を含有することができる。
【0093】
ワクチンの有効性を増強するアジュバントを、また、処方物に添加することができる。このようなアジュバント下記のものを包含するが、これらに限定されない:アルミニウム塩から形成されたアジュバント(明礬)、例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、およびその他;水中油型および油中水型エマルジョン処方物、例えば、完全フロインドアジュバント(CFA)、不完全フロインドアジュバント(IFA)、アブリジンおよびジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA);細菌の細胞壁成分から形成されたアジュバント、例えば、モノホスホリル脂質A を含むアジュバント(MPL)(Imoto et al.(1985)Tet.Lett.26:1545-1548)、トレハロースジミコレート(TDM) 、および細胞壁骨格(CWS) ;
【0094】
ADP-リボシル化細菌のトキシンに由来するアジュバント、例えば、ジフテリアトキシンに由来するアジュバント(例えば、CRM197、無毒のジフテリアトキシン突然変異体(例えば、Bixler et al.(1989)Adv.Exp.Med.Biol.251:175 ;およびConstantino et al.(1992)Vaccine)、百日咳トキシン(PT)、コレラトキシン(CT)、大腸菌(E.coli)非耐熱性トキシン(LT1およびLT2)、シュードモナス・エンドトキシン(Pseudomonas endotoxin)A、クロストリジウム・ボツリナム(C.botulinum)C2 およびC3トキシン、ならびにクロストリジウム・パーフリンジェンス(C.perfringens) 、クロストリジウム・スピリフォルマ(C.spirforma) およびクロストリジウム・ディフィシレ(C.difficile) ;
【0095】
サポニンアジュバント、例えば、Quil A( 米国特許第5,057,540 号) 、またはサポニンから発生した粒子、例えば、ISCOMs( 免疫調節複合体) ;サイトカイン、例えば、インターロイキン( 例えば、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-12 、およびその他) 、インターフェロン( 例えば、ガンマインターフェロン) 、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、腫瘍壊死因子(TNF) 、およびその他;ムラミルペプチド、例えば、N-アセチル- ムラミル-L- スレオニル- ジイソグルタミン(thr-MDP) 、N-アセチル- ノルムラミル-L- アラニル-D- イソグルタミン(nor-MDP) 、N-アセチルムラミル-L- アラニル-D- イソグルタミン-L- アラニン-2-(1'-2'-ジパルンミトイル-sn-グリセロ-3- ヒドロキシホスホリルオキシ)- エチルアミン(MTP-PE) 、およびその他;
【0096】
CdG ファミリーの分子に由来するアジュバント、CdG ジヌクレオチドおよびCdG モチーフからなる合成オリゴヌクレオチド (例えば、Krieg et al.,Nature (1995)374:546およびDavis et al.,J.Immunol.(1998)160:870-876); および合成アジュバント、例えば、PCPP (ポリ [ジ( カルボキシラトフェノキシ) ホスファゼン)(Payne et al.、Vaccine(1998)16:92-98)。このようなアジュバントは多数の元売会社、例えば、下記の会社、から商業的に入手可能である:Accurate Chemicals;Ribi Immunechemicals,Hamilton,MT;GIBCO:Sigma,St.Louis,MO。
【0097】
上に説明したように、製造を担体に結合させて、その免疫原性を増加させることができる。適当な担体の例は次の通りである:大きい、ゆっくり代謝する高分子、例えば、タンパク質、例えば、血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン、免疫グロブリン分子、チログロブリン、オバルブミン、および当業者によく知られている他のタンパク質;多糖、例えば、セファローズ、アガロース、セルロース、セルロースビーズおよびその他;アミノ酸コポリマー;および不活性ウイルス粒子。
【0098】
タンパク質はそれらの自然の形態で使用することができるか、あるいはそれらの官能基を、例えば、リジン残基のスクシニル化またはCys −チオラクトンとの反応により修飾することができる。また、スルフヒドリル基を、例えば、2-イミノチオランまたは3-(4- ジチオピリジル)プロピオネートのN-ヒドロキシスクシンイミドエステルとアミノ官能基との反応により、担体(または抗原)の中に組込むことができる。適当な担体をペプチドとの結合のために修飾して、スペーサーアーム(例えば、ヘキサメチレンジアミンまたは同様な大きさの他の二官能価の分子)を組込むことができる。
【0099】
本発明のタンパク質のための他の適当な担体は、米国特許第5,071,651 号に開示されているような、ロタウイルスのVP6 ポリペプチド、またはそれらの機能的フラグメントを包含する。また、米国特許第4,722,840 号に開示されている方法により作られたウイルスタンパク質と被検体の免疫原との融合産物は有用である。なお他の適当な担体は、細胞、例えば、リンパ球を包含する。なぜなら、この形態の提示は被検体における自然の提示モードを模擬し、免疫化された状態を生ずるからである。あるいは、本発明のタンパク質は赤血球、好ましくは被検体自身の赤血球にカップリングさせることができる。タンパク質または細胞にペプチドをカップリングする方法は、この分野において知られている。
【0100】
さらに、タンパク質は中性または塩の形態でワクチン組成物に処方することができる。薬学上許容される塩は酸付加塩(活性ポリペプチドの遊離アミノ基とで形成された)を包含し、そしてこれらは無機酸、例えば、塩酸またはリン酸、または有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸、およびその他で形成される。遊離カルボキシル基から形成された塩は、また、無機塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、または水酸化第二鉄、および有機塩基、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン、およびその他から誘導することができる。
【0101】
ワクチン組成物は、「治療的に有効な量」、すなわち、組成物を投与された被検体において免疫応答を引き出すことができる量、の活性成分を含有するであろう。このような応答は、影響を受けた宿主が通常表示する症候の減少または欠如および/またはより早い回復時間により証明されるであろう。
当業者は標準的試験により正確な量を容易に決定するであろう。タンパク質濃度は典型的には約1 %〜約95%(w/w) の組成物の範囲であるか、あるいは適当ならばより高いか、あるいはより低い濃度であろう。
【0102】
被検体を免疫化するために、ワクチンを一般に非経口的に、通常筋肉内注射により投与する。しかしながら、他の投与モード、例えば、皮下、腹腔内および静脈内注射もまた許容される。投与量は、治療すべきアミン、抗体を合成するアミンの免疫系の能力、および所望の保護の程度に依存する。当業者は投与量応答曲線を確立する日常的試験により、有効な投与量を容易に確立することができる。
【0103】
少なくとも1 回の投与、好ましくは少なくとも2 回の投与のワクチンの投与により、被検体を免疫化する。そのうえ、感染に対する免疫性の状態を維持するために要求される回数の投与により、動物にワクチンを投与することができる。
他の投与のモードに適当な、追加のワクチン処方物は、坐剤および、ある場合において、エーロゾル、鼻内、経口の処方物、および持続放出性処方物を包含する。
【0104】
坐剤について、ワクチン組成物は伝統的結合剤および担体、例えば、ポリアルキレングリコール、またはトリグリセリドを含むであろう。このような坐剤は、約0.5 %〜約10%(w/w) 、好ましくは約1 %〜約2 %(w/w) の範囲の活性成分を含有する混合物から形成することができる。経口ベヒクルは、例えば、薬学上の等級のマンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、セルロース、炭酸マグネシウム、およびその他のような通常使用される賦形剤を含む。これらの経口ワクチン組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、持続放出性処方物、または粉末の形態を取ることができ、そして約10〜約95%、好ましくは約25〜約70%の活性成分を含有することができる。
【0105】
鼻内処方物は、通常、鼻粘膜に対する刺激を引き起こさず、かつ毛様体機能を有意に混乱しないベヒクルを含むであろう。希釈剤、例えば、水、生理食塩水または他の既知の物質を本発明において使用することができる。鼻の処方物は、また、保存剤を含有し、このような保存剤はクロロブタノールおよびベンザルコニウムクロライドを包含するが、これらに限定されない。界面活性剤を存在させて、鼻粘膜により本発明のタンパク質の吸収を増強することができる。
【0106】
調節または持続放出性処方物は、タンパク質を下記の担体またはベヒクルの中に混入することによって製造される:リポソーム、非吸収性不透過性ポリマー、例えば、エチレン獣医学上許容されるコポリマーおよびHytrelR コポリマー、膨潤性ポリマー、例えば、ヒドロゲル、または吸収性ポリマー、例えば、コラーゲンおよびある種の多酸またはポリエステル、例えば、吸収性縫合糸の製造に使用されるもの。また、この分野においてよく知られている移植されたミニポンプを使用して、タンパク質を送出すことができる。
【0107】
本発明のタンパク質は、また、タンパク質を発現するキャリヤーウイルスを介して投与することができる。本発明とともに使用できるキャリヤーウイルスは、ワクシニアおよび他のポックスウイルス、アデノウイルス、およびヘルペスウイルスを包含するが、これらに限定されない。1 例として、次のようにして、新規なタンパク質を発現するワクシニアウイルス組換え体を構築することができる。まず、特定のタンパク質をコードするDNA を、それがワクシニアのプロモーターに隣接しかつワクシニアDNA 配列、例えば、チミジンキナーゼ(TK)をコードする配列をフランクするように、適当なベクターの中に挿入する。次いでこのベクターを使用して、細胞をトランスフェクトすると同時にワクシニアで感染させる。
【0108】
相同的組換えは、ワクシニアのプロモーターと本発明のタンパク質をコードする遺伝子とをウイルスゲノムの中に挿入する働きをする。5-ブロモデオキシウリジンの存在において細胞を培養し、そしてそれに対して耐性のウイルスのプラークを取り上げことによって、生ずるTK- 組換え体を選択することができる。
【0109】
別の投与経路は、遺伝子療法または核酸の免疫化を包含する。こうして、本発明のタンパク質をコードするヌクレオチド配列(および付随する調節因子)を、そのin vivo 翻訳のために被検体に直接的に投与することができる。また、被検体の細胞または組織をex vivo でトランスフェクトし、そして形質転換された材料を宿主の中に再導入することによって、遺伝子の転移を達成することができる。DNA は宿主生物の中に直接的に、すなわち、注射により、導入することができる (下記の文献を参照のこと:米国特許第5,580,859 号および米国特許第5,589,466 号;国際公開No.WO/90/11092号;およびWolff et al.(1990)Science 247:1465-1468)。
【0110】
また、既知の方法を使用して、リポソーム仲介遺伝子転移を達成することができる。例えば、下記の文献を参照のこと:米国特許第5,703,055 号;Hazinski et al.(1991)Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.4:206-209;Brigham et al.(1989)Am.J.Med.Sci.298:278-281;Canonico et al.(1991)Clin.Res.39:219A; およびNabel et al.(1990)Science 249:1285-1288 。ターゲッティング因子、例えば、特異的細胞型上で発現された表面抗原に対して向けられた抗体をリポソームの表面に共有結合させ、こうして、核酸を感染に対して感受性の特定の組織および細胞に送出すことができるようにする。
【0111】
B.6. 診断アッセイ
上に説明したように、生物学的試料中のPCVII の反応性抗体の存在を検出してPCVII の感染の存在を決定するために、本発明のタンパク質をまた使用することができる。例えば、標準的電気泳動およびイムノアッセイ、例えば、競合、直接的反応、またはサンドイッチ型アッセイを包含する免疫診断技術に従い、タンパク質と反応性の抗体の存在を検出することができる。
【0112】
このようなアッセイは下記のものを包含するが、これらに限定されない:ウェスタンブロット;凝集試験;酵素標識化および仲介イムノアッセイ;例えば、ELISA ;ビオチン/アビジン型アッセイ;ラジオイムノアッセイ;免疫電気泳動;免疫沈降、およびその他。これらの反応性は、一般に、標識、例えば、蛍光性、化学発光性、放射性、酵素の標識または色素の分子を明らかにすること、あるいは抗原および抗体との複合体またはそれと反応した抗体を検出する他の方法を包含する。
【0113】
前述のアッセイは、一般に、抗原−抗体複合体が結合した固相支持体から液相中の非結合抗体を分離することを包含する。本発明の実施において使用できる固体の支持体は下記のものを包含する:基質、例えば、ニトロセルロース(例えば、膜またはマイクロタイターウェルの形態);ポリ塩化ビニル(例えば、シートまたはマイクロタイターウェル);ポリスチレンラテックス(例えば、ビーズまたはマイクロタイタープレート);ポリビニリジンフルオライド;ジアゾ化紙;ナイロン膜;活性化ビーズ、磁気的に応答性のビーズ、およびその他。
【0114】
典型的には、固相成分が支持体へ十分に固定化されるように、適当な結合条件下に、固体の支持体をまず固相成分(例えば、1 またはそれ以上のPCVII タンパク質)と反応させる。時には、最初によりすぐれた結合性質を有するタンパク質に抗原をカップリングさせることによって、支持体に対する抗原の固定化を増強することができる。適当なカップリングタンパク質は下記のものを包含するが、これらに限定されない:高分子、例えば、血清アルブミン、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA )、キーホールリンペットヘモシアニン、免疫グロブリン分子、チログロブリン、オバルブミン、および当業者によく知られている他のタンパク質。
【0115】
支持体に抗原を結合させるために使用できる他の分子は、多糖、ポリ酢酸、ポリグリコール酸、ポリマーのアミノ酸、アミノ酸のコポリマー、およびその他を包含する。このような分子およびこれらの分子を抗原にカップリングさせる方法は、当業者によく知られている。例えば、下記の文献を参照のこと:Brinkley,M.A.Bioconjgate Chem.(1992)3:2-13;Hashida et al.,J.Appl.Biochem.(1984)6:56-63; およびAnjaneyuluおよびStaros、International J.of Peptide and Protein Res.(1987)30:117-124 。
【0116】
固体の支持体を固相成分と反応させた後、非固定化固相支持体を支持体から洗浄により除去し、次いで支持体に結合した成分をリガンド成分(例えば、固定化された抗原に対して向けられた抗体)を含有することが推測される生物学的試料と適当な結合条件下に接触させる。洗浄して非結合リガンドを除去した後、二次バインダー成分を適当な結合条件下に添加し、ここで二次バインダーは結合したリガンドと選択的にアソシエートすることができる。次いで、この分野においてよく知られている技術を使用して、二次バインダーの存在を検出することができる。
【0117】
さらに詳しくは、ELISA 法を使用することができ、ここでマイクロタイタープレートのウェルを所望のタンパク質で被覆する。次いで抗タンパク質免疫グロブリン分子を含有するか、あるいは含有することが推測される生物学的試料を被覆されたウェルに添加する。固定化された抗原に抗体を結合させるために十分なインキュベーション期間を経過させた後、1 またはそれ以上のプレートを洗浄して非結合成分を除去し、そして検出可能に標識化された二次結合分子を添加することができる。二次結合分子を捕捉された試料の抗体と反応させ、プレートを洗浄し、そしてこの分野においてよく知られている方法を使用して、二次結合分子の存在を検出する。
【0118】
こうして、1 つの特定の態様において、抗体のリガンドに対して向けられた抗体からなる二次バインダーを使用して、生物学的試料からの結合した抗抗原リガンドの存在を容易に検出することができる。多数の抗ブタ免疫グロブリン(Ig)分子はこの分野において知られており、そしてこれらはこの分野において知られている方法を使用して検出可能な酵素標識、例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼまたはウレアーゼに容易に複合化させることができる。次いで適当な酵素基質を使用して、検出可能なシグナルを発生させる。他の関係する態様において、この分野において知られている方法を使用して、競合型ELISA 技術を実施することができる。
【0119】
アッセイは、また、溶液中で実施することができ、ここでタンパク質およびこれらのタンパク質に対して特異的な抗体は沈降条件下に複合体を形成する。1 つの特定の態様において、この分野において知られているカップリング技術、例えば、直接的化学的カップリングまたは間接的カップリングを使用して、タンパク質を固相粒子(例えば、アガロースビーズまたはその他)に結合させることができる。
【0120】
次いで、適当な結合条件下に、抗原で被覆された粒子をタンパク質に対する抗体を含有することが推測される生物学的試料と接触させる。結合した抗体の間の架橋は、粒子−抗原−抗体の複合体の凝集物を形成させ、これらの凝集物は沈降し、そして洗浄および/または遠心を使用して試料から分離される。多数の標準的方法、例えば、前述の免疫診断法を使用して、反応混合物を分析して、抗体−抗原複合体の存在または非存在を決定することができる。
【0121】
なお他の態様において、イムノアフィニティーマトリックスを準備し、ここで問題のタンパク質に対する抗体を含有することが推測される生物学的試料からの抗体のポリクローナル集団を基質に固定化することができる。これに関して、固定化された抗体を使用して、試料の初期のアフィニティー精製を実施することができる。こうして、生ずる試料調製物は抗PCVII 部分のみを含有し、アフィニティー支持体における潜在的非特異的結合性質を回避する。高い収率でかつ抗原結合活性の保持にすぐれた、免疫グロブリン(無傷のまたは特異的フラグメント)を固定化する、多数の方法はこの分野において知られている。いかなる特定の方法によっても制限されないで、固定化プロテインA またはプロテインG を使用して免疫グロブリンを固定化することができる。
【0122】
したがって、いったん免疫グロブリン分子が固定化されてイムノアフィニティーマトリックスが提供されると、適当な結合条件下に、標識化タンパク質を結合した抗体と接触させる。任意の非特異的に結合した抗原をイムノアフィニティー支持体から洗浄除去した後、この分野において知られている方法を使用して標識についてアッセイすることによって、結合した抗原の存在を決定することができる。
さらに、タンパク質それら自体よりむしろ、タンパク質に対して発生させた抗体を前述のアッセイにおいて使用して、所定の試料中のタンパク質に対する抗体の存在を検出することができる。これらのアッセイは本質的に前述したように実施し、そして当業者によく知られている。
【0123】
さらに、核酸をベースとするアッセイをまた実施することができる。これに関して、ベースとして開示したPCVII 核酸配列を使用し、例えば、ウイルスを収容することが推測される被検体からの生物学的試料中の、ウイルスゲノムの存在を検出するためにハイブリダイゼーションプローブまたはPCR プライマーとして有用な、オリゴマーを製造することができる。本発明のこの態様において使用するためのオリゴマーは、ほぼ8 またはそれ多いヌクレオチド長さ、好ましくは少なくとも約10〜12ヌクレオチド長さ、最も好ましくは少なくとも約15〜20ヌクレオチド長さであり、かつ50またはそれ以上までのヌクレオチド長さである。好ましくは、オリゴマーは不均質性を欠如するウイルスゲノムの領域に由来する。
【0124】
オリゴマーはゲノムからの切除によりか、あるいは組換え的にまたは合成的に製造される。例えば、オリゴマーは日常的方法、例えば、自動化オリゴヌクレオチド合成法により製造することができる。
オリゴマーは診断アッセイにおいてプローブとして使用することができる。代表的アッセイにおいて、分析すべき生物学的試料を処理して、その中に含有される核酸を抽出する。試料から得られる核酸をゲル電気泳動または他のサイズ分離技術にかけることができる。
【0125】
あるいは、核酸試料をサイズ分離しないでドットブロットにかけることができる。次いでプローブをリポーター成分で標識化する。プローブの標識化に適当な標識および方法はこの分野において知られており、そして、例えば、ニックトランスレーションまたはキナージングにより組込まれた放射性標識、ビオチン、蛍光プローブおよび化学発光プローブを包含する。次いで試料から抽出された核酸を、適当なストリンジェンシイのハイブリダイゼーション条件下に、標識化プローブで処理する。
【0126】
プローブをターゲッテッドPCVII 遺伝子配列に対して完全に相補的とすることができる。しかしながら、より長いプローブを診断アッセイにおいて使用するとき、相補性の程度をより低くすることができる。一般に、アッセイ法において、特にプローブが完全にまたは高度に相補的である場合、高いストリンジェンシイの条件が使用される。しかしながら、不均質性領域をターゲットするとき、より低いストリンジェンシイの条件を使用すべきである。このような調節はハイブリダイゼーションおよび洗浄手順の間になされ、そして温度、イオン強度、ホルムアミドの濃度および反応時間の長さの調節を包含する。これらの因子は、例えば、Sambrook et al. 、supra に概説されている。
【0127】
より特定の態様において、前述の方法はPCVII 核酸特異的プローブの使用を含み、ここで2 つのプローブ(プライマー)はPCVII ゲノムの内部領域を定める。この態様において、各プローブはPCVII 核酸の内部領域に対して内部の3'末端を含有する1つの鎖を有する。次いで核酸/プローブのハイブリダイゼーション複合体を、プライマーエクステンション反応により、二本鎖プローブを含有するフラグメントに変換する。
【0128】
プローブを含有するフラグメントは、下記の工程を連続的に反復することによって増幅される:(i) 二本鎖フラグメントを変性して一本鎖フラグメントを産生する、(ii)一本鎖をプローブとハイブリダイゼーションさせて鎖/プローブの複合体を形成する、(iii)DNAポリメラーゼおよびすべての4 つのデオキシリボヌクレオチドの存在下に鎖/プローブの複合体から二本鎖フラグメントを発生させる、そして(iv)所望の増幅の程度が達成されるまで、工程(i) 〜(iii) を反復する。次いで確立された手順に従い、増幅産物を同定する。本発明の方法は、さらに、前述の内部領域に選択的にハイブリダイゼーションすることができるが、増幅に使用した特定のプローブ/プライマー配列にハイブリダイゼーションすることができない、第3 のポリヌクレオチドプローブを含むことができる。
【0129】
PCR 技術、例えば、前述の技術はこの分野においてよく知られている。例えば、下記の文献を参照のこと:PCR Protocols A Guide to Methods and Applications(Academic Press);PCR A Practical Approach(IRL Press);Saiki et al.(1986)Nature 324:163。
【0130】
核酸をベースとするアッセイにおいて、他の増幅法、例えば、リガーゼ連鎖反応(LCR) 、PCR 、Q-ベータレプリカーゼ、およびその他を使用することもできる。本発明において使用する他のアッセイは「バイオ−ブリッジ」系を包含し、この系において、末端のデオキシヌクレオチドトランスフェラーゼを使用して未修飾3'- ポリ-dT-テイルを核酸プローブに付加する(Enzo Biochem.Corp.)。ポリdt- テイルドプローブをターゲットヌクレオチド配列に対してハイブリダイゼーションさせ、次いでビオチン修飾ポリ-Aに対してハイブリダイゼーションさせる。さらに、EP124221号明細書には、DNA ハイブリダイゼーションアッセイが記載されており、ここで酵素標識化オリゴヌクレオチドに対して相補的である一本鎖DNA プローブに分析物をアニーリングし、次いで生ずるテイルド二本鎖を酵素標識化オリゴヌクレオチドに対してハイブリダイゼーションさせる。
【0131】
EP204510号明細書には、DNA ハイブリダイゼーションアッセイが記載されており、ここでテイルを有するプローブ、例えば、ポリ-dT-テイル、このプローブに対してハイブリダイゼーションする配列、例えば、ポリ-A配列を有し、かつ複数の標識化鎖に結合することができるアンプリファイア鎖と、分析物DNA を接触させる。この技術は、まず、前述したように、血清中のターゲットPCVII 配列をほぼ106 配列/ml に増幅することを含むことができる。この分野において知られているハイブリダイゼーションアッセイにより、増幅された1 またはそれ以上の配列を検出することができる。
【0132】
さらに、PCVII ウイルスゲノムから誘導された核酸試料を、また、in situ ハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用することができる。一般に、このようなアッセイは、ホルマリン固定細胞培養調製物または組織、例えば、リンパ節、脾臓、扁桃腺、肝臓、肺、心臓、腎臓、膵臓、鼻甲介、大腸、小腸、およびその他を使用する。適当なin situ ハイブリダイゼーションアッセイの説明については、例えば、下記の文献を参照のこと:Sirinarumitr et al.(1996)J.Virol.Meth.56:149-160。
【0133】
前述のアッセイ試薬は、タンパク質、それらに対する抗体またはオリゴマーを包含し、前述したようなイムノアッセイを実施するための、使用説明書および他の必要な試薬とともに、キットの形態で入手可能である。このキットは、また、使用する特定のイムノアッセイに依存して、適当な標識および他の包装された試薬および材料(すなわち、洗浄緩衝液およびその他)を含有することができる。標準的イムノアッセイ、例えば、前述のアッセイは、これらのキットを使用して実施することができる。
本発明を実施するための、特定の態様を後述する。これらの実施例は説明を目的としてのみ提供され、そしていかなる方法おいても本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0134】
C. 実験
材料および方法
細胞培養物
Dulac 細胞系統、PCV を含有しないPK15誘導体は、John Ellis博士(University of Saskatchewan 、Saskatoon 、Saskatchewan) から入手した。Vero細胞系統はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)(ATCC)(Manssas、VA) から入手した。これらの細胞をATCCが示唆する培地中で培養し、37℃、5 %CO2 においてインキュベートした。
【0135】
ブタシルコウイルス
持続的に感染したPK15細胞(ATCC CCL33) から、古典的PCVIを単離した。PMWSの影響を受けた子豚からのリンパ節ホモジネートでチャレンジした子豚のリンパ節から、単離物PCVII 412 を得た。このチャレンジした子豚をPMWSで診断した。PCVII 412 の単離後の同一群れのPMWSの影響を受けた子豚からの抹消血のバッフィーコートから、単離物PCVII 9741を単離した。1997年の出産におけるPMWSが臨床的大発生した米国のブタの群れにおいて、影響を受けた子豚から単離物PCVIIB9を単離した。
【0136】
PCVIの増殖
持続的に感染したPK15細胞からのPCVIを増殖させ、Tischer et al.(1987)Arch.Virol.96:39-57 の変更した方法に従い、精製した。簡単に述べると、PK15細胞から収集したPCV を使用してPK15細胞の単層を約1moiにおいて重感染させた後、細胞を300mM のD-グルコサミンで処理した。細胞を1 回洗浄した後、5 %のFBSを含むDMEM(Gibco、カタログNo.21013) を細胞に添加し、そして細胞をさらに4日間インキュベートした。
【0137】
感染した細胞をこすり取り、1500×g において15分間遠心した後、収集した。次いで細胞ペレットを0.5 %のTriton X-114で37℃において30分間処理した。他の低速遠心により細胞デブリを除去した後、等しい量のFreon(Sigma 、カタログNo.T-5271)を上清に添加し、この混合物をPolytronにより最大速度で1 分間均質化した。次いでこの混合物を遠心し、上部層を収集し、等しい体積の0.1MのPBSと混合した。210,000 ×g において30分間20%のスクロースクッションの中に超遠心した後、ウイルスペレットを収集した。
【0138】
圃場単離物(PCVII )の培養
Dulac 細胞を使用する以外、PCVIと同様な方法で、単離物PCVII 412 を培養し、精製した。米国のPMWS大発生からの自己結合した全長のPCR 生成物でトランスフェクトされた、不均質性Vero細胞中で、単離物PCVII B9を成長させた。したがって、他のブタ病原体からの汚染の可能性は排除された。B9トランスフェクトされたVero細胞を連続的に継代培養し、前述したように、300mM のD-グルコサミンで処理した。
【0139】
ウイルスDNA の単離
感染したDulac およびVero細胞のペレット、抹消血バッフィーコート、感染した動物からの組織および血清を包含する、種々の源から、ウイルスDNA を抽出した。組織の試料をプロテイナーゼKで処理し、フェノール/クロロホルムまたはQiagen組織キット(Qiagen 、Santa Clarita 、CA) を使用して、ウイルスDNA を抽出した。同様にQiagen血液キットを使用して、ヘパリン化血液の抹消血バッフィーコートの細胞および血清からのDNA を収集した。
【0140】
子豚の感染
子豚は特定の無病原体の雌ブタに由来した。1日齢において、PMWSの影響を受けた子豚から収集したリンパ節のほぼ1gを各子豚に与えた。組織のホモジネートを経口および腹腔内経路の間で等しく分布させた。10匹の子豚を実験グループの各々において使用し、毎日7 週間観察した。2 つのグループをチャレンジし、そして2 つは非感染対照であった。また、1 つはチャレンジおよび1 つは対照である2 つのグループをシクロスポリンA(2mg/kg) で第0 日および第14日に処理した。子豚が自己離乳して高栄養密度の商業的に製造された飼料を食べるまで、子豚にカン入りミルク(Carnation) および水(50:50) を与えた。
【0141】
圃場PCR 単離物のPCR 、クローニングおよび配列決定
単離物PCVII 412 ウイルスゲノムの初期のクローニングのために、2 工程のアプローチを使用した。相補的配列およびPCV ゲノムDNA の円形の特質を利用する単一プライムドPCR を実施するために、保存されたループステムに対してハイブリダイゼーションしたプライマー、Loop-(表1 )を設計した。単一プライムドPCR のためのPCR 反応は2 段階プロセスであった。第1 段階は、5 サイクルの94℃における1 分間の変性、37℃における30秒間のアニーリングおよび72℃における2 分間のエクステンションから成っていた。第2 段階は、25サイクルの同様なプログラムから成っていたが、ただしアニーリング温度を52℃に増加した。
【0142】
PCR 生成物をTAクローニングベクター(Invitrogen 、Carlsbad、CA) の中にクローニングした。3 つの異なるクローンの双方の鎖を配列決定して、配列の忠実度を確実にした。得られた配列に基づいて、プライマー1000- およびR1F をウイルスDNA 配列の非コーディング領域において設計し、全長のウイルスゲノムをクローニングするために使用した。この研究において使用したすべてのプライマーの配列を表1 に示す。
【0143】
次いで全長のクローンからループ領域の配列を得た。単離物PCVII 9741およびPCVII B9の配列を精製したPCR プライマーから得た。植物バイオテクノロジー研究所(Plant Biotechnology Institute of NRC 、Canada) により実行された自動DNA 配列決定を、いくつかの内部のプライマーとともに使用した。単離物PCVII412(AF085695) 、PCVII(AF086835) およびPCVII B9(AF086834)の配列は、ナショナル・センター・フォー・バイオテクノロジー・インフォメーション(NationalCenter for Biological Information)(NCBI)に寄託された。
【0144】
【表1】
【0145】
配列の解析
他のシルコウイルスの配列をNCBIから入手した。種々の一般ドメイン、例えば、バイオロジー・ワークベンチ(Biology workbench) 、ブラスト・サーチ(Blast search)、DNA /タンパク質分析ツール、およびその他を配列の解析に使用した。クラスタル(Clustal)Wプログラム(Biology Workbench、インターネット・アドレス:http://biology.ncsa.uiuc.edu) を使用して、配列の整列を発生させ、そしてPAUP 3.1プログラム(David L.Swofford 、Laboratory of Molecular Systematics 、MRC534、MRC at Smithsonian Institution、Washington、D.C.) により、系統樹をつくった。
【0146】
多重PCR
PCR グループ特異的配列および株特異的配列を同定するために、2 組のプライマーを設計した。プライマー対1710+/850-はPCR グループ特異的であり、そして1100+/1570- は新規なPCV 株特異的対であり、これは新規なPCV をPK15細胞に由来するものとを識別する。2組のプライマーPCR 反応について同様なアニーリング温度を有し、そして標準的ホット開始PCR 反応において0.5Mの濃度で一緒に使用した。Ampli Taq Gold(Perkin Elmer)およびPlentinum Taq(Gibco)を使用した。
【0147】
抗血清
標準的ベルリン(Berlin)ウサギ抗PCVI抗体は、Tischer 博士(Koch Institute、Berlin、FRG)により提供された。水中油型エマルジョン中の50μg/投与において精製された単離物PCVII 412 で感染させた2匹のウサギから、ウサギ抗PCVII412 のプールした血清を得た。注射を21日の間隔で3 回反復した。PMWSの影響を受けた群れからの回復期ブタから、ブタ抗PMWS血清を収集した。
【0148】
ELISA
精製したPCV を炭酸ナトリウム緩衝液(0.05M)pH9.6中で0.5 μg/100 μl の濃度に希釈し、Immulon IIプレート(Synatech Laboratories,Inc.)を被覆するために使用した。プレートをTTBS(20mM のTris-HCl、500mM のNaCl、0.05%のツイーン20、 pH7.5) で6 回洗浄した後、連続希釈した一次ウサギまたはブタ抗体を添加した。TTBSで6 回洗浄した後、アルカリ性ホスファターゼ結合二次抗体(1/5000 希釈)、抗または抗ブタ(Kirkegaard & Perry) を添加した。プレートを100μl/ウェルの1Mのジエタノールアミン、0.5MのMgCl2 、pH9.8 中のp-ニトロフェニルホスフェート(PNPP 、3g/L )で展開し、プレートをELISA リーダー(BioRad)で405/490nm において読んだ。
【0149】
リンパ球表面のマーカーのFACS分析
血液試料を圃場においてPMWSの影響を受けた子豚および陰性の対照から収集した。RBC を溶解し、WBC を抗ブタCD3 、CD4 およびCD8 モノクローナル抗体で染色し、次いで蛍光標識化抗マウス二次抗体で染色した。特異的に標識化された細胞を2 %のホルムアルデヒドで固定し、5000細胞をFACS系(Becton Dickinson)で計数した。
【0150】
実施例1.PMWSの再現
PMWSはコントロールされた条件下に再現せず、病因学の研究は実行されてきていない。この疾患の原因となる因子を決定するために、材料および方法に記載されているように、多数の組織をPMWSの影響を受けたブタから集め、研究した。リンパ節は最も明らかな全般的病変、組織病理学的変化を表示し、そしてシルコウイルスの感染が免疫染色により確証された。したがって、リンパ節を前述のチャレンジの実験において使用した。
材料および方法に記載されているように実施したチャレンジ実験は、ブタにおけるPMWSの産生において成功した。特に、ある子豚は感染で死亡し、無症候的に感染した子豚は試験の終わりまでにPMWS様の微視的損傷を発生した。
【0151】
他のチャレンジ実験において、使用した出発材料は慢性消耗症およびリンパ節の拡大を有するブタの肺組織であった。これらの臨床的徴候はPMWSの特徴を示す。組織を無菌の0.1Mのリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS )と組合わせ、ポリトロンミキサーに通過させて均質化した。粗製の組織のホモジネートを使用してブタをチャレンジした。
【0152】
特に、合計40匹の子豚(ほぼ1 日齢)をランダムに(一腹子の出生、ジェンダーおよび体重によりバランスさせた)「組織のチャレンジ」、「シクロスポリン-Aによるチャレンジ」、「対照」または「シクロスポリン-A」処置のグループに割当てた。シクロスポリンの処置は、薬物投与後3 時間で、シクロスポリンがそれらのブタの血液の中に検出される以外、処置したブタに臨床的または血液学的作用をもたなかった。それゆえ、グループを分析のためにシクロスポリン処置を通して崩壊させた。
【0153】
一般に、チャレンジしたブタにおけるPMWS疾患の死後徴候は、リンパ節の拡大および肺組織の不完全なつぶれを含んだ。PMWS疾患の死後徴候は、プラシーボで処置したグループ(18匹のうちの2 匹)よりも組織抽出物で処置したグループ(9 匹のうちの7 匹のブタ)において有意に(p<0.01; 両側検定フィッシャー抽出試験)より多いブタにおいて検出された。組織抽出物の注射(212g/ 日)により処置したグループにおける平均の毎日増加は、プラシーボ(202g/ 日)を与えたグループと実質的に異ならなかった。
【0154】
血液の試料を実験を通じて採取し、そして組織の試料を死後に取った。PCR プライマー1230- および400+( 表1 )を使用するPCR により、試料をPCVII ウイルスDNA について試験し、これにより830 塩基対の産物が得られた。肺組織の抽出物で処置したブタの4 匹は陽性の血液試料を有した;これに対してプラシーボを与えた子豚のいずれにおいても、血液試料の中にPCVII DNA は検出されなかった。PCVII は「ウイルスのチャレンジ」処置グループにおける8 匹の生存するブタのうちの7 匹からの1 またはそれ以上の組織において検出されたが、対照グループにおけるブタからのすべての組織はPCVII について陰性であった。分割表の分析は有意差を示した(p<0.001;両側検定フィッシャー抽出試験)。
【0155】
他のチャレンジ実験において、慢性消耗症およびリンパ節の拡大を有するブタの肺組織を収集し、遠心により組織のデブリを除去した(8000rpm 、30分)。上清を塩化カルシウム段階的勾配に適用し、100,000 ×g において遠心した。バンドは41%のCaCl2(1.28g/ml) および63%(1.40g/ml)の間に出現した。これらのバンドを30%のCaCl2「フット」 に適用し、100,000 ×g において2 時間遠心した。ペレットを15mlの無菌の0.1MのPBS の中に再懸濁させた。
【0156】
合計20匹の離乳した子豚(ほぼ3 週齢)をランダムに(一腹子の出生、ジェンダーおよび体重によりバランスさせた)「対照」または「ウイルスのチャレンジ」処置のグループに割当てた。ブタをほぼ3 週齢の第0 日に離乳させた。一般に、PMWS疾患の臨床的徴候はリンパ節の拡大および消耗症または低い成長を含んだ。リンパ節の拡大はプラシーボで処置したグループ(1 匹のブタ)よりもウイルスで処置したグループにおけるブタ(7 匹のブタ)において有意に(p<0.02; 両側検定フィッシャー抽出試験)より多いブタにおいて検出された。ウイルスの注射(580g/ 日)により処置したグループにおける平均の毎日増加は、プラシーボ(616g/ 日)を与えたグループよりも少ない傾向があったが、差は有意ではなかった(p=0.17; 両側検定フィッシャー抽出試験)。内部の器官(肝臓、肺、心臓、脾臓、腎臓)の相対質量に関して、グループの間に差は存在しなかった。
【0157】
実験を通じて得た血液試料および死後に取った組織試料を、前述の技術に従いPCVII ウイルスDNA について試験した。
安楽死直前に取ったものを含む、すべての血液試料はPCVII について陰性であった。「ウイルスのチャレンジ」処置グループにおける10匹のブタのうちの8 匹についての1 またはそれ以上の組織においてPCVII が検出された;これに対して対照グループにおけるブタからのすべての試験した組織はPCVII について陰性であった。分割表の分析は、これが有意差であることを示した(p<0.001;両側検定フィッシャー抽出試験)。
結論すると、組織抽出物およびPCVII を含有する勾配精製されたウイルス材料を離乳子豚に注射すると、多数の組織の感染を生ずることが、これらの実験により確証される。感染は少なくとも8 週の期間の間持続する。
【0158】
実施例2.PCVII の単離および増殖
PMWSのための1 またはそれ以上の感染性の原因となる因子の存在を決定するために、ブタ#412 、実験的にチャレンジした子豚(感染後21日に殺した)、からの種々の組織をウイルスの単離のために使用した。Dulac 細胞中でブタ#412 からのリンパ節試料を連続的に継代培養した後、ウイルスの蓄積または適応を観測した。前述したように、標準的ベルリン抗PCV 抗体を使用するELISA により測定して、細胞変性作用のユニークなパターンが最初に発生し、次いでウイルス力価が増加した。
次いで、単離物PCVII 412 で感染したDulac 細胞中でシルコウイルスの存在を、電子顕微鏡検査により検出した。6 継代培養後、ウイルスの構造タンパク質をウェスタンブロット分析により首尾一貫して検出することができた。
【0159】
実施例3.PMWSの影響を受けた群れにおける無症候的に感染した回復期の子豚における特異的抗PCVII 抗体
ブタシルコウイルスは多少の不均質性を有するように思われたので、PMWSが大発生した群れから集めた子豚の血清を、PCV および単離物PCVII 412 ウイルスに対して、使用してELISA を実施した。無症候的にPCVII 感染し、回復期の子豚の大部分は、PCVII に対して特異的抗体を発生させたが、PCVIに対して発生しなかった。
【0160】
実施例4.PCVII ウイルスおよびウイルスゲノムDNA の単離、クローニングおよび配列決定
ブタシルコウイルスの2 つの株の間の遺伝的差を説明するために、感染したDulac 細胞からウイルスDNA を抽出した。PCVIとPCVII との間の可能な遺伝的無関係を考慮して、アプローチは大部分の保存された領域から1 または2 以上のプライマーを設計することであった。PK15 PCV DNA配列の以前の分析(Mankertz et al.(1997)J.Gen.Virol.71:2562-2566;Meehan et al.(1997)J.Gen.Virol.78:221-227) は、複製起点におけるステム・ループ構造を明らかにした。
【0161】
この重要なドメインは高度に保存される特質を有するので、ステム・ループ領域の逆方向反復配列をターゲッティングする、単一のプライマー、Loop− 、を設計した。単一プライマーのPCR によりPCVII 412 ウイルスDNA の増幅は成功した。TAクローニングベクターの中にクローニングした後、いくつかのクローンおよび双方のセンスからの自動化された配列決定により、ウイルスゲノムの配列を得て忠実度を確実にした。次いで、ウイルスの非コーディング領域のみからの1000- およびR1F のプライマーにより発生させた、第2 の全長ののクローンから、ステム・ループまたはプライマー領域の実際の配列を得た。PMWS 412についてのヌクレオチド配列を第2A図〜第2C図の上部のラインに示す。
【0162】
同様なプライマーを使用して、PCVII 412 と同一の群れからのPCVII 9741および米国におけるPMWSの大発生からのPCVII B9を包含する、他のPCVII 単離物を得た。これらの株を配列決定し、PCVII 412 およびPCVIと比較した。PCVII 412 とPCVIとの比較については第2A図〜第2C図、そしてPCVII 412 配列と種々のPCV 単離物との比較については第4A図〜第4B図を参照のこと。
【0163】
PAUP 3.1プログラムを使用する系統発生的分析の結果は、新しいPMWS単離物が密接に関係し、そして異なる集団においてPCVIと関係することを示唆した。したがって、これらの単離物を「PCVII 」単離物と命名した。新規なブタシルコウイルスの単離物の間のヌクレオチド配列の相同性の百分率は99%より大きい同一性であった。対照的に、これらのヌクレオチド配列をPK15 PCVI と比較すると、わずかに75.8%の全体のヌクレオチド配列の相同性が示された。異なる領域においてヌクレオチド配列の比較分析は、これらのウイルスの推定上の複製関連タンパク質遺伝子が81.4%の相同性を共有するが、他の大きいORF のヌクレオチド配列はわずかに67.6%相同的であることをさらに明らかにした。
【0164】
さらに、ヌクレオチドの挿入および欠失(インデル)が3 つの領域において見出された。ORF 1 によりコードされる推定上の35.8kdのタンパク質の開始コドンをフランクするPCVI配列38−61の間において、新しい単離物の中に、13塩基の挿入が存在する。ブタシルコウイルスの2 つの最大ORF (他のORF はアンチセンスであった)の末端および結合領域に、15塩基を含有する、PCVI 915−1033の区域が存在した。
【0165】
15塩基のインデルを有する1529−1735からのPCVIをカバーする、第3 領域は、ORF 6 によりコードされる推定上の27.8kdのタンパク質のアミン末端に位置する。また、PCVI配列をシルコウイルス科(Circoviridae)のメンバーの残部の入手可能な配列と比較した。PCVIはニワトリの貧血ウイルス(CAV) および嘴および毛の疾患ウイルス(BFDV)( それらの双方はトリシルコウイルスである)に対するよりも、バナナ房上部ウイルス(BBTV)、植物ウイルス、に密接に関係する。
【0166】
単離物PCVII 412 の遺伝子地図を第1 図に示す。50アミノ酸残基より大きいアミノ酸残基のタンパク質をコードする合計6 の潜在的ORF が存在する。PCVII 412 とPK15 PCVI とを比較すると、ORF の4 つにおける相同性が明らかとなった(表2 )。35.8kd、すなわち、推定上のDNAレプリカーゼタンパク質、は以前に予測された(Meehan et al.(1997)J.Gen.Virol.78:221-227) 。これらのタンパク質の分析は、35.8kdおよびアンチセンス27.8kdのタンパク質が核タンパク質であることを予測した。ヌクレオチド配列の分析は、また、2 つのタンパク質の開始コドンが複製起点の33塩基内に存在し、これらはまたプロモーターであることができることを示した。
【0167】
さらに、双方ORF は真正の停止コドンおよびポリA テイルシグナルで終わっていた。予測されたタンパク質のいくつか(サイズに基づく)がウェスタンブロットにおいて見出されたので、これらの発見は、ブタシルコウイルスmRNAが複製された形態の双方のセンスから転写されうることを示唆する。しかしながら、ウェスタンブロット分析により検出されたPCVII 412 単離物について共通の31kdのタンパク質および追加の30kdのタンパク質をコードするために十分に長い、コード配列は存在しない。これが示すように、翻訳後の切断および/またはRNA のスプライシングをブタシルコウイルスのタンパク質のいくつかの発現に関係づけることができる。
【0168】
【表2】
【0169】
実施例5.分子クローニング法を使用するPCVII の精製
多数のブタ由来の細胞系統の中に見出されるブタレトロウイルスで、Dulac 細胞が感染されることが見出された。さらに、他のブタ病原体もまたPMWSの影響を受けた子豚におけるPCVII に終始一貫しないで関連することが見出された。こうして、純粋なPCVII 培養物得るために、リポソームを使用して、遺伝的にクローニングされたPCVII DNA を感受性の非ブタ由来のVero細胞に移した。2 継代培養後、増幅されたPCV 抗原が細胞の中に検出された。PCVII は複製し、核の中に蓄積し、細胞の有糸分裂の間の細胞質および他の細胞の中に放出された。
【0170】
実施例6.PCVII の同定およびPMWSの診断における多重PCR
ブタシルコウイルスの2 つの株、PCVIおよびPCVII 、を識別するために、ウイルスDNA 配列の比較解析に基づいて、2 組のプライマーを設計した。PCV グループ特異的対の1710+/850 、および単離物PCVII 412 株特異的1100+/1570- を多重PCR において使用して、圃場試料を試験した。凍結した組織および抹消血のバッフィーコートの細胞とともに、これらのプライマーを使用した。
【0171】
それらのプライマーを使用する、多重PCR により判定して、これらの試料においてPCVII の感染を同定したばかりでなく、かつまた圃場試料の遺伝的関連性をまた決定した。電子顕微鏡検査により、シルコウイルスの存在を後に確証した。
PMWSの影響を受けた群れから収集した特異的の他のグループを使用して、この診断法の潜在能をさらに試験した(図5 参照)。PMWSの影響を受けた子豚における、ほとんどすべての試験において、PCVII DNA 配列を同定することができた (図6)。
【0172】
実施例7.PMWSの大発生の前およびその間におけるPCVII ウイルス血症
血清を使用するPCR 開発により、特異的抗PCVII 抗体を示すブタの群れにおけるPCVII ウイルス血症を試験することができる。23匹の子豚のグループを1 日齢から7 週までモニターし、そしてほぼ2 週の間隔で試料を集めた。23匹の子豚のうちの9 匹において検出されたPCVII ウイルス血症の出現/消失により示されるように、PCVII ウイルス血症の全過程およびPMWSの大発生が観測された。PCVII ウイルス血症を示した子豚の大部分はPMWSを発生し、いくつかは苛酷なPMWSを示した。典型的なブタにおけるPMWSの発現を表3 に示す。大部分の器官および組織において、全般的病変が見出された( 表3 )。
【0173】
【表3】
【0174】
実施例8.PMWSの影響を受けた子豚における宿主免疫系機能障害
リンパ球の浸潤は組織の大部分において見出されたが、リンパ球の消耗はすべてのリンパ球系組織において終始一貫して見出されたことは興味深いことである (表3)。また、CD4 細胞の減少およびCD8 細胞の増加が見られたが、CD3 細胞は比較的安定に止まった(表4 、平均値は2 つのPMWSの影響を受けた子豚および40匹の陰性対照の子豚からものである)。これらの変化は、1.58から0.13に著しく低下するCD4/CD8 比を生じた。これらの発見から示唆されるように、PCVII は宿主免疫系の機能障害を誘起し、したがってPCVII および多分他の病原体に対する宿主の免疫応答を抑制することができる。こうして、PMWSは子豚における免疫不全の疾患であるように思われる。
【0175】
【表4】
【0176】
こうして、新規なPCVII 単離物のクローニング、発現および特性決定、ならびにそれらを使用する方法が開示された。本発明の好ましい態様が多少詳細に記載されたが、添付された請求の範囲により定義される本発明の精神および範囲から逸脱しないで明らかな変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】図1は、PCVII 412 の線図であり、オープンリーディングフレームの位置を示す。
【図2A】図2Aは、PCVII 412 ゲノムのヌクレオチド配列(配列番号:1)を描写する。双方のセンスが示されている。種々のORF の翻訳産物に対応するアミノ酸配列がまた示されている:ORF 1(配列番号:3);ORF 2 (配列番号:9);ORF 3 (配列番号:7);ORF 4 (配列番号:20 );ORF 5 (配列番号:21 );およびORF 6 (配列番号:5)。
【図2B】図2Bは、PCVII 412 ゲノムのヌクレオチド配列(配列番号:1)を描写する。双方のセンスが示されている。種々のORF の翻訳産物に対応するアミノ酸配列がまた示されている:ORF 1(配列番号:3);ORF 2 (配列番号:9);ORF 3 (配列番号:7);ORF 4 (配列番号:20 );ORF 5 (配列番号:21 );およびORF 6 (配列番号:5)。
【図2C】図2Cは、PCVII 412 ゲノムのヌクレオチド配列(配列番号:1)を描写する。双方のセンスが示されている。種々のORF の翻訳産物に対応するアミノ酸配列がまた示されている:ORF 1(配列番号:3);ORF 2 (配列番号:9);ORF 3 (配列番号:7);ORF 4 (配列番号:20 );ORF 5 (配列番号:21 );およびORF 6 (配列番号:5)。
【図3A】図3Aは、PCVII 412 のオープンリーディングフレーム/PK15細胞から単離されたPCVIの対応するオープンリーディングフレームからのアミノ酸配列の比較である。PCVII 412 のORF 1 (上部ライン、配列番号:3)/PCVIからの対応するORF(下部ライン、配列番号:4)のアミノ酸配列の比較を示す。
【図3B】図3Bは、PCVII 412 のオープンリーディングフレーム/PK15細胞から単離されたPCVIの対応するオープンリーディングフレームからのアミノ酸配列の比較である。PCVII 412 のORF 6 (上部ライン、配列番号:5)/PCVIからの対応するORF(下部ライン、配列番号:6)のアミノ酸配列の比較を示す。
【図3C】図3Cは、PCVII 412 のオープンリーディングフレーム/PK15細胞から単離されたPCVIの対応するオープンリーディングフレームからのアミノ酸配列の比較である。PCVII 412 のORF 3 (上部ライン、配列番号:7)/PCVIからの対応するORF(下部ライン、配列番号:8)のアミノ酸配列の比較を示す。
【図3D】図3Dは、PCVII 412 のオープンリーディングフレーム/PK15細胞から単離されたPCVIの対応するオープンリーディングフレームからのアミノ酸配列の比較である。PCVII 412 のORF 2 (上部ライン、配列番号:9)/PCVIからの対応するORF(下部ライン、配列番号:10)のアミノ酸配列の比較を示す。
【図4A】図4Aは、種々のPCV 単離物のヌクレオチド配列の比較である:PK15細胞からのPCVI(配列番号:2)、PCVII 412 (配列番号:1)、PCVII 9741(配列番号:11 )およびPCVII B9(配列番号:12 、配列番号:24)。
【図4B】図4Bは、種々のPCV 単離物のヌクレオチド配列の比較である:PK15細胞からのPCVI(配列番号:2)、PCVII 412 (配列番号:1)、PCVII 9741(配列番号:11 )およびPCVII B9(配列番号:12 、配列番号:24)。
【図5】図5は、PCV 感染の検出のために使用する多重PCR の結果を示す。このアッセイは、PCV 感染を同定し、かつPCVIの存在とPCVII の存在とを区別した。レーン1 は分子量マーカーである。レーン2 〜レーン4 はPCVII 、PCVIおよび陰性の順序の対照である。レーン5 〜レーン13はPMWSの影響を受けた群れからの子豚から収集した血液試料である。
【図6】図6は、PMWSの影響を受けた子豚からの種々の試料について実施した多重PCRの結果を示す。双方の行におけるレーン1 は分子量マーカーである。上部の行におけるレーン2 は陽性のPCVII の対照であるが、レーン3 は陰性の対照である。残りのレーンは、PMWSの影響を受けた子豚から収集した種々の組織の試料である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にウイルスに関する。さらに詳しくは、本発明は、離乳後の多全身系消耗症候群(postweaning multisystemic wasting syndrome)(PMWS)を表すブタから単離された新規なブタシルコウイルス(porcine circovirus)(PCV) の単離および特性決定に関する。
【背景技術】
【0002】
離乳後の多全身系消耗症候群(PMWS)は、ブタの新しく出現した疾患である。PMWSは宿主免疫系を破壊するように思われ、そして離乳したブタにおいて高い死亡率を引き起こす。この疾患は長い、典型的には3 〜8 週の、潜伏期を有し、そして感染したブタの多数の器官に影響を与える。PMWSに感染した子豚は呼吸器不全および組織球性浸潤(histiocytic cell infiltration) を伴う間質性肺炎(interstitial preumonia)で死亡する。
【0003】
ブタシルコウイルス(PCV) はブタにおいて世界的な感染を引き起こし、高度に接触感染性である。PCV は本来ブタ腎(PK15)細胞系統の非細胞変性汚染物質として検出された。PCV は新しいウイルスのファミリーのシルコビリデ(Circoviridae)に分類された。これらのウイルスは、一本鎖の円形DNA ゲノムを有する小さい、非エンベロープ因子である。
【0004】
種々のシルコウイルスはある範囲の動物種において同定されてきており、PCV、ニワトリ貧血ウイルス(CAV) 、オーム類の嘴および毛疾患ウイルス(BFDV)、植物のウイルス、例えば、サブターラニアンクローバー(subterranean clover) の萎縮ウイルス(SCSV)、ココナツの葉の壊変ウイルス(CFDV)およびバナナの房上部のウイルス(BBTV)を包含する。現在認識されているシルコウイルスの中のDNA 配列の相同性または共通の抗原性決定因子であるように思われない。Todd et al.(1991)Arch.Virol.117:129-135 。
【0005】
シルコウイルスのファミリーのメンバーは、貧血、免疫不全に関係する疾患を引き起こし、そしてin vitroにおけるマクロファージ細胞に感染することが示された。PCV はごく最近PMWSに関係づけられた。例えば、Ellis et al.(1998)Can.Vet.J.38:44-51およびGopi et al.(1997)Can.Vet.J.38:385-386 参照のこと。しかしながら、ブタ集団におけるPCV の偏在的存在のために、PCV とPMWSとの病因学的関連性が問題となった。さらに、汚染されたPK15細胞培養物から誘導されたPCV 接種物によるブタの実験的感染は、臨床的疾患を生成することができなかった。例えば、Tischer et al.(1986)Arch.Virol.91:271-276 。
【0006】
ヒトにおける異種移植のためのブタの器官の使用の重要性が増加したために、ブタの感染性因子、特にウイルスは営農産業に深遠に影響を与えるばかりでなく、かつまたヒトに対して潜在的な公衆の健康の危険を持ち出す。PMWSの疾患の以前の診断は組織病理学的検査をベースとしてきた。したがって、PMWSに関連する病原体の存在を診断する改良された方法、ならびにPMWSの疾患を予防すること要求されている。
【発明の開示】
【0007】
本発明は、PMWSに影響を受けた子豚の均質化された組織から単離された、本明細書において「PCV II型」または「PCVII」と表示する、新規なウイルスの発見に基づく。ウイルスの特性決定が示すように、ウイルスは本明細書において「PCV I 型」または「PCVI」と表示する、持続的に感染したPK15細胞から得られ、非病原性ブタシルコウイルスと共通の特徴を共有する。新規なPCV 変異型、すなわち、PCVII 412 、ならびにいくつかの追加のPCVII 単離物、の全体のDNA ゲノムがクローニングされ、配列決定された。
【0008】
これらのDNA 配列の部分は、臨床的試料中のウイルスの存在を診断し、そしてウイルスの他の天然に存在する変異型を単離するプローブとして有用である。PCVII のゲノム配列の理解はまた、ウイルスゲノムのオープンリーディングフレーム内にコードされた種々のタンパク質のポリペプチド配列を入手可能とし、そして診断試験における標準または試薬として、ワクチンの成分として有用である、これらのペプチドまたはそれらの一部分の製造を可能とする。また、保護的抗体をタンパク質から発生させ、そしてポリクローナルまたはモノクローナルの形態で製造することができる。
【0009】
こうして、全体のPCVII 配列は、ワクチンまたは診断試薬として、あるいはPMWSに対する受動免疫性において有用なモノクローナル抗体(Mab) 調製物の製造における中間体として、あるいは診断試薬として有用な抗体の製造における中間体として、働くことができるポリペプチドの設計および構築を可能とする。
【0010】
したがって、1つの面において、ポリヌクレオチドは、PCVII ゲノムから誘導されたPCVII 診断剤およびワクチンの製造に有用なポリヌクレオチドに関する。1つの特定の態様において、PCVII ヌクレオチド配列に対して選択的にハイブリダイゼーションすることができ、第4A図〜第4C図に描写されているPCVII 配列 (配列番号:1、配列番号:11 、配列番号:12 および24) から誘導されるか、あるいはそれらに対して相補的である、少なくとも約8 隣接ヌクレオチドを含んでなる。
【0011】
他の態様において、ポリヌクレオチドは、(a) オープンリーディングフレーム(ORF) 1(配列番号:3)、(b)ORF 2(配列番号:9) 、(c)ORF 3 (配列番号:7)、(d)ORF 4(配列番号:20)、(e)ORF 5 (配列番号:21)、(f)ORF 6 (配列番号:5)、および(g) 少なくとも約5 アミノ酸を含んでなる上記(a) 〜(f) の免疫原性フラグメントから誘導されたポリペプチドから成る群より選択されるポリペプチドに対して少なくとも約85%の同一性を有する免疫原性PCVII ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。特に好ましい態様において、ポリヌクレオチドはORF 6(配列番号:5) のポリペプチド、またはその免疫原性フラグメントをコードする。
【0012】
こうして、本発明は、診断試薬としてまたはワクチン抗原として働くことができるペプチドの製造のための、オリゴマーのプローブとしてのこれらのポリヌクレオチド配列またはそれらの一部分としての利用、ペプチドそれら自体、および疾患の診断および治療において有用なポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体に関する。
【0013】
本発明の他の面は、完全なゲノムから誘導される配列によりコードされる所望のタンパク質の製造を実行することができる発現系、このような系を含有する組換えベクターまたはその一部分、このようなベクターで形質転換された組換え宿主細胞、形質転換された細胞により産生されたタンパク質、およびこのようなタンパク質から製造されたワクチンに関する。さらに、本発明は、ゲノムによりコードされるエピトープを表示するペプチド配列、および標識または担体タンパク質に共有結合したこのような配列に関する。また、PCVII ゲノムの種々のORF 、ならびにこれらのORF によりコードされるタンパク質、およびそれらの一部分が本発明に包含される。
【0014】
本発明は、また、ポリペプチド組成物、例えば、ワクチンおよび免疫診断組成物、および免疫グロブリンを製造する方法、およびイムノアッセイおよびプライマー、プローブ、ポリペプチドおよび/または免疫グロブリンを含有するアッセイのためのキットに関する。1つの態様において、次いで、本発明は、下記工程:
(a) 生物学的試料を準備し;
(b) PCVII の抗体が、生物学的試料の中に存在するとき、前述の免疫原性PCVII ポリペプチドに結合して抗体/抗原複合体を形成する条件下に、生物学的試料を前記PCVII ポリペプチドと反応させ;そして
(c) 複合体の存在または非存在を検出し、
これにより試料中のPCVII の抗体の存在または非存在を検出する;
を含んでなる、生物学的試料中のPCVII 抗体を検出する方法に関する。
【0015】
他の態様において、本発明は、下記工程:
(a) 請求項1 に記載のポリヌクレオチドと生物学的試料の中に存在するPCVII
核酸との間の核酸複合体の形成を促進する条件下に、生物学的試料をポリヌクレオチドとインキュベートし;そして
(b) ポリヌクレオチドを含有する複合体を検出する;
を含んでなる、生物学的試料中のPCVII 相同的配列を検出するための核酸ハイブリダイゼーションアッセイに関する。
本発明のこれらおよび他の面および特徴は、下記の本発明の詳細な説明を添付図面と組み合わせて読むとき、いっそう完全に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施は、特記しない限り、この分野の技量の範囲内である、分子生物学、微生物学、組換えDNA 技術、および免疫学の慣用技術である。このような技術は文献において完全に説明されている。例えば、下記の文献を参照のこと:Sambrook, FritschおよびManiatis, Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Vol.I ,IIおよびIII, 第2 版(1989);DNA Cloning、Vol.I およびII(D.N.Clover 編, 1985);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編, 1984);Nucleic Acid Hybridization(B.D.Hames & S.J.Higgins編,1984);Animal Cell Culture(R.K.Freshney編、1986);Immobilized Cells and Enzymes(IRL Press 、1986);Perbal、B.、A Practical Guide to Molecular Cloning(1984);the series,Methods in Enzymology(S.ColowickおよびN.Kaplan編,Academic Press,Inc.);およびHandbook of Experimental Immunology ,Vol.I〜IV(D.M.Weir およびC.C.Blackwell編、1986、Blackwell Scientific Publications)。
【0017】
本発明を詳細に説明する前に、本発明は特定のDNA 、ポリペプチド配列またはプロセスのパラメーターそれ自体に限定されず、例えば、変化することができることを理解すべきである。また、本発明において使用する技術は本発明の特定の態様を記載することのみを目的とし、そして限定されることを意図しないことを理解すべきである。
本明細書および請求の範囲において使用するとき、単数の形態は、特記しない限り、複数への言及を包含することに注意しなくてはならない。こうして、例えば、「抗原」は2 またはそれより多くの抗原の混合物を包含し、「賦形剤」は2またはそれより多くの賦形剤の混合物を包含し、等々である。
【0018】
明細書を通じて、下記のアミノ酸の略号を使用する:
アラニン:Ala(A) アルギニン:Arg(R) アスパラギン:Asn(N) アスパラギン酸:Asp(D) システイン:Cys(C) グルタミン:Gln(Q) グルタミン酸:Glu(E) グリシン:Gly(G) ヒスチジン:His(H) イソロイシン:Ile(I) ロイシン:Leu(L) リジン:Lys(K) メチオニン:Met(M) フェニルアラニン:Phe(F) プロリン:Pro(P) セリン:Ser(S) スレオニン:Thr(T) トリプトファン:Trp(W) チロシン:Tyr(Y) バリン:Val(V)。
【0019】
A. 定義
特記しない限り、本明細書において使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が関係する当業者が普通に理解するのと同一の意味を有する。本明細書に記載するものに類似するか、あるいは同等の多数の方法および材料を本発明の実施において使用することができるが、好ましい材料および方法を本明細書に記載する。
本発明を説明するとき、下記の用語を使用し、そして下に示すように定義することを意図する。
【0020】
用語「PCVII タンパク質」、「PMWSタンパク質」またはそれをコードするヌクレオチド配列は、本明細書において記載するように、新規なPCVII 単離物から誘導される、それぞれ、タンパク質またはヌクレオチド配列を意図する。いくつかのPCVII 単離物のヌクレオチド配列は第4A図〜第4B図に示されており、そして6つの識別されたPCVII のORF に対応するアミノ酸配列は第2A図〜第2C図に示されている。しかしながら、本明細書において定義する、PCVII またはPMWSタンパク質、またはそれをコードする遺伝子は描写される配列に限定されない。
【0021】
さらに、本明細書において使用するとき、PCVII ゲノム「から誘導された」ヌクレオチド配列またはその相補体は、例示するポリヌクレオチドの必須の性質を保持し、意図する目的のために、誘導された全体の配列の形態の一部分を表す、配列を意味する。このような誘導化の特定の、非限定的例は、同一または実質的に同一のアミノ酸配列をコードするが、コドンの縮重のために、異なる特定のコドンを利用すること、他の例はウイルスDNA に対して相補的な配列である。
【0022】
診断試験において有用なプローブまたはオリゴヌクレオチドは示した配列の相補性を保持するが、全体の配列よりも短いか、あるいはその一部分を越えてスキップすることができる。しかしながら、操作または発現において使用するために、制限部位をつくるか、あるいは欠失して、プロセシング部位を形成するか、あるいは機能に悪影響を及ぼさない方法でコードされたアミノ酸配列を変更するために、ヌクレオチドの変化はしばしば望ましい。用語「ヌクレオチド配列」および「ポリヌクレオチド」は、リボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドの双方を意味し、そしてゲノム鎖およびその相補的配列の双方を包含する。
【0023】
したがって、PCVII 単離物のゲノムを含んでなるヌクレオチド配列「から誘導された」配列は、ゲノムのヌクレオチド配列(またはその相補体)の領域に対応する配列から構成されるか、あるいはその意図する用途と一致することがこの分野において知られている方法で修飾された配列の領域の組合わせから構成された、配列を意味する。
【0024】
これらの配列は、もちろん、遺伝子のヌクレオチド配列から必ずしも物理的に誘導される必要はなく、ポリヌクレオチドが誘導される1 または2 以上の領域における塩基の配列により提供される情報に基づく、任意の方法で発生されたポリヌクレオチドを意味する。例えば、典型的なDNA 配列を「誘導」することができる領域は、特定のエピトープをコードする領域を包含する。同様に、PCVII のORF 「から誘導された」ペプチドは、これらのポリペプチドのそれと実質的に同一であるアミノ酸配列、またはその一部分と同一の生物学的性質を有する、その一部分を意味する。
【0025】
さらに、誘導されたタンパク質またはヌクレオチド配列は前述の遺伝子から物理的に誘導される必要はなく、任意の方法で、例えば、化学的合成、単離(例えば、PCVII 単離物からの)または、本明細書において提供された情報に基づく、組換え産生により発生させることができる。さらに、この用語は、遺伝子によりコードされる隣接アミノ酸配列に対して実質的に相同的なアミノ酸配列(以後定義する)を有し、免疫学的活性を表示する、タンパク質を意味する。
【0026】
こうして、これらの用語は全長の、ならびに免疫原性、トランケートおよび部分的配列、およびタンパク質の活性なアナローグおよび前駆体の形態を意図する。また、この用語には、遺伝子の少なくとも約8 隣接塩基対、より好ましくは少なくとも約10〜20隣接塩基対、さらに少なくとも約25〜50または75またはそれより多い隣接塩基対を含む特定のヌクレオチドフラグメントが包含される。このようなフラグメントは、いっそう詳しく後述するように、プローブとして、診断法において、そしてタンパク質の組換え製造について有用である。
【0027】
これらの用語は、また、製造モードに依存して、中性の形態または塩基または酸の付加塩の形態のタンパク質を包含する。このような酸付加塩は、遊離アミノ基を含むことができ、そして塩基の塩は遊離カルボキシルを使用して形成することができる。薬学上許容される塩基および酸の付加塩は下記においてさらに説明される。さらに、タンパク質は、他の生物学的物質、例えば、脂質および糖類との組合わせによるか、あるいは側鎖の修飾、例えば、アミノ基のアセチル化、ヒドロキシル化側鎖のリン酸化、スルフヒドリル基の酸化、アミノ酸残基のグルコシル化、ならびにコードされた一次配列の他の修飾により修飾することができる。
【0028】
したがって、この用語は、ポリペプチドが本明細書において定義する免疫学的応答を生成するように機能するかぎり、欠失、付加および置換を包含する。これに関して、特に好ましい置換は一般に特質が保存的である、すなわち、それらの置換は1 ファミリーのアミノ酸内で起こる。例えば、アミノ酸は一般に4つのファミリーに分割される:(1) 酸性−−アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩;(2) 塩基性−−リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3) 非極性−−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4) 非帯電の極性−−グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン。
【0029】
フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは時には芳香族アミノ酸として分類される。例えば、イソロイシンまたはバリンによるロイシンの隔離された置換、またはその逆;アスパラギン酸塩とグルタミン酸塩との隔離された置換、またはその逆;スレオニンとセリンとの隔離された置換、またはその逆;またはアミノ酸と構造的に関係するアミノ酸との同様な保存的置換、は生物学的活性に対して主要な影響をもたないことが合理的に予測される。参照分子と実質的に同一のアミノ酸配列を有するが、タンパク質の免疫原性に実質的に影響を与えない、小さいアミノ酸の置換をもつタンパク質は、それゆえ、参照ポリペプチドの定義の範囲内に入る。
【0030】
「オープンリーディングフレーム」または「ORF 」は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の領域である。
「離乳後の多全身系消耗症候群」または「PMWS」とは、進行的体重損失、頻呼吸、発声障害および黄疸により特徴づけられる、脊椎動物門の動物、特にブタの疾患を意味する。首尾一貫した病理的変化は、リンパ球〜肉芽腫性間質性肺炎、リンパ節疾患、および、低い頻度で、リンパ球〜肉芽腫性肝炎および腎炎を包含する。例えば、下記の文献を参照のこと:Clark, E.G., Proc.Am.Assoc.Swine Pract.1997:499-501;およびHarding, J.Proc.Am.Assoc.Swine Pract.1997:503 。
【0031】
「単離された」核酸分子は、核酸分子が事実見出される全生物から分離しかつ離散した核酸分子;または事実常態でそれと会合した配列の、全体または一部分を欠く、核酸分子;または事実存在するが、それと会合して異種配列(下記におい定義する)を有する、配列;を意味する。
用語「ワクチン組成物」は、被検体における疾患または症状を予防または治療するために使用することができる、抗原を含有する、任意の医薬組成物を意味する。こうして、この用語は、後述する、サブユニットのワクチン、ならびに全体の殺した、弱毒化した、または不活性化した微生物を含有する組成物の双方を包含する。
【0032】
「サブユニットのワクチン組成物」は、問題の病原体から抗原から誘導されるか、あるいはそれに対して相同的である、少なくとも1 つの免疫原性ポリペプチド、すべてではない抗原、を含有する組成物を意味する。このような組成物は、完全な病原体の細胞または粒子、またはこのような細胞または粒子のライゼイトを実質的に含有しない。こうして、「サブユニットのワクチン組成物」は、病原体から少なくとも部分的に精製された(好ましくは実質的に精製された)免疫原性ポリペプチド、またはその組換えアナローグから製造される。サブユニットのワクチン組成物は、病原体からの他の抗原またはポリペプチドを実質的に含有しない、の代わりにサブユニットの1 または2 以上の抗原を含むことができる。
【0033】
用語「エピトープ」は、特異的B 細胞および/またはT 細胞が応答する、抗原またはハプテン上の部位を意味する。この用語は、また、「抗原決定基」または「抗原決定基の部位」と互換的に使用される。同一エピトープを認識することができる抗体は、ターゲット抗原に対する他の抗体の結合をブロックすることができる1 つの抗体の能力を示す、簡単なイムノアッセイにおいて同定することができる。
【0034】
組成物またはワクチンに対する「免疫学的応答」は、問題の組成物またはワクチンに対する細胞および/または抗体が仲介する免疫応答の宿主における発生である。通常、「免疫学的応答」は下記の作用の1 または2 以上を包含するが、これらに限定されない:問題の組成物またはワクチンの中に含まれる1 または2 以上の抗原に対して特異的に向けられた、抗体、B 細胞、ヘルパーT 細胞、サプレッサーT 細胞、および/または細胞障害性T 細胞および/またはγδT 細胞の産生。好ましくは、宿主は、新しい感染に対する抵抗性が増強され、そして/または疾患の臨床的発病度が減少されるように、治療的または予防的免疫学的応答を表示するであろう。このような保護は、感染した宿主が常態で表示する症状の減少または欠如、より早い回復時間および/または感染した宿主におけるウイルス力価の低下により証明されるであろう。
【0035】
用語「免疫原性」タンパク質またはポリペプチドは、前述した免疫学的応答を引き出すアミノ酸配列を意味する。「免疫原性」タンパク質またはポリペプチドは、本明細書において使用するとき、タンパク質の全長の配列、そのアナローグ、またはその免疫原性フラグメントを包含する。「免疫原性」フラグメントは、1 または2 以上のエピトープを含み、こうして、前述の免疫学的応答を引き出すタンパク質のフラグメントを意味する。このようなフラグメントは、この分野においてよく知られている、任意の数のエピトープマッピング技術を使用して同定することができる。
【0036】
例えば、下記の文献を参照のこと:Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology 、Vol.66(Glenn E.Morris 、編、1996)Humana Press 、Totowa、New Jersey。例えば、線状エピトープは、例えば、固体の支持体上で多数のペプチドを同時に合成し、ここでペプチドはタンパク質の分子の一部分に対応し、そしてペプチドが固体の支持体にまだ結合している間にペプチドを抗体と反応させることによって、決定することができる。このような技術はこの分野において知られており、そして下記の文献に記載されている:例えば、米国特許第4,708,871 号;Geysen et al.(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998-4002;Geysen et al.(1986)Molec.Immunol.23:709-715 。
【0037】
同様に、コンフォメーション的エピトープは、アミノ酸の空間的コンフォメーションの決定により、例えば、X線結晶学および二次元の核磁気共鳴により、容易に同定される。例えば、Epitope Mapping Protocols 、supra 参照。
合成抗原、例えば、ポリエピトープ、フランキングエピトープ、および他の組換えまたは合成的に誘導された抗原がまた定義内に含められる。例えば、下記の文献を参照のこと:Bergmann et al.(1993)Eur.J.Immunol.23:2777-2781;Bergmann et al.(1996)J.Immunol.157:3242-3249;Suhrbier, A.(1997)Immunol.and Cell Biol.75:402-408;Gardner et al.(1998)12th World AIDS Conference, Geneva, Switzerland, June 28-July 3 、1998。
【0038】
免疫原性フラグメントは、本発明の目的に対して、分子の、少なくとも約3 アミノ酸、好ましくは少なくとも約5 アミノ酸、より好ましくは少なくとも約10〜15アミノ酸、最も好ましくは25またはそれより多いアミノ酸を含むであろう。フラグメントの長さに対する決定的な上限は存在せず、フラグメントはほぼ全長のタンパク質配列、またはタンパク質の2 またはそれ以上のエピトープを含んでなる融合タンパク質からなることができるであろう。
【0039】
「生来の」(又は自然)タンパク質またはポリペプチドは、タンパク質が天然に存在する源から単離されたタンパク質またはポリペプチドを意味する。「組換え」ポリペプチドは、組換えDNA 技術により製造された、すなわち、所望のポリペプチドをコードする外因性DNA 構築物により形質転換された細胞から産生された、ポリペプチドを意味する。「合成」ポリペプチドは、化学的合成により製造されたポリペプチドである。
「ベクター」は、他のDNA セグメントを結合させて、結合したセグメントを複製させることができる、レプリコン、例えば、プラスミド、ファージ、またはコスミドである。
【0040】
DNA 「コード配列」または特定のタンパク質「をコードするヌクレオチド配列」は、適当な調節因子の制御下に配置されたとき、in vitroまたはin vivo においてポリペプチドに転写または翻訳されるDNA 配列である。コード配列の境界は、5'(アミノ)末端における開始コドンおよび3'(カルボキシ)末端における翻訳停止コドンにより決定される。コード配列は下記のものを包含するが、これらに限定されない:原核配列、真核mRNAからのcDNA、真核(例えば、哺乳動物)DNA からのゲノムDNA 配列、およびさらに合成DNA 配列。転写停止配列は通常コード配列に対して3'に位置する。
【0041】
DNA 「コントロール因子」は、集合的にプロモーター、リボソーム結合部位、ポリアデニル化シグナル、転写停止配列、上流の調節ドメイン、エンハンサー、およびその他を意味し、これらは集合的に宿主細胞におけるコード配列の転写および翻訳を提供する。所望の遺伝子を転写および翻訳することができるかぎり、これらのコントロール配列のすべては常に存在することが必要であるわけではない。
【0042】
「作用可能に連鎖された」は、そのように記載する成分がそれらの通常の機能を実行するように配置されている、因子の配置を意味する。こうして、コード配列に作用可能に連鎖されたコントロール因子はコード配列の発現を実行することができる。コントロール因子は、コード配列の発現を指令するように機能するかぎり、コード配列と必ずしも隣接する必要はない。こうして、例えば、介在するまだ非翻訳の転写された配列はプロモーターとコード配列との間に存在することができ、そしてプロモーターはなおコード配列に「作用可能に連鎖されている」と考えることができるであろう。
【0043】
コントロール因子、例えば、プロモーターは、RNA ポリメラーゼがプロモーターに結合し、コード配列をmRNAに転写するとき、細胞中でコード配列の「転写を指令し」、次いでmRNAはコード配列によりコードされるポリペプチドに翻訳される。
「宿主細胞」は、外因性核酸分子により、形質転換されているか、あるいは形質転換することができる細胞である。
【0044】
このような外因性DNA が細胞膜の中に導入されたとき、細胞は外因性DNA により「形質転換」されている。外因性DNA は、細胞のゲノムを構成する染色体DNA の中に組込まれる(共有結合により)か、あるいは組込まれないことができる。原核生物および酵母菌において、外因性DNA はエピソームの因子、例えば、プラスミド上に維持されることができる。真核細胞に関すると、安定に形質転換された細胞は、染色体の複製を通して娘細胞により外因性DNA が受け継がれるように、外因性DNA が染色体の中に組込まれている細胞である。この安定性は、外因性DNA を含有する娘細胞の集団から構成された細胞の系統またはクローンを確立する真核細胞の能力により、証明される。
【0045】
「相同性」は、2つのポリヌクレオチドまたは2 つのポリペプチドの部分の間の同一性の百分率を意味する。2 つのDNA または2 つのポリペプチド配列は、配列が少なくとも約80%〜85%、好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%〜98%の同一性を分子の規定した長さにわたって示すとき、互いに「実質的に相同的」である。本明細書において使用するとき、実質的に相同的は、また、特定したDNA またはポリペプチド配列に対して完全な同一性を示す配列を意味する。
【0046】
同一性の百分率は、配列を整列させることによって2 つの分子の間の配列の情報を直接的に比較し、2 つの整列された配列の間の合致の正確な数を計数し、より短い配列の長さで割り、そして結果に100 を掛けることによって、決定することができる。容易に入手可能なコンピュータープログラムを使用して、解析を促進することができ、その例は次の通りである:ALIGN, Dayhoff, M.O.in Atlas of Protein Sequence and Structure M.O.Dayhoff編, 5 Suppl.3:353-358, National biomedical Research Foundation, Washington, DC、これはペプチドの解析のためにSmith およびWaterman(1981)Advaces in Appl.Math.2:482-489を採用している。
【0047】
ヌクレオチド配列の同一性を決定するプログラムは下記において入手可能である:the Wisconsin Sequence Analysis Package, Version 8(Genetic ComputerGroup, Madison, WIから入手可能である)例えば、the BESTFIT 、FASTA およびGAP プログラム、これはまたSmith およびWatermanのアルゴリズムに頼る。これらのプログラムは、製造業者により推奨されたかつ前述のWisconsin Sequence Analysis Package に記載されているデフォルトパラメーターとともに容易に利用することができる。
【0048】
あるいは、相同性は、相同的領域の間で安定な二本鎖を形成する条件下にポリヌクレオチドをハイブリダイゼーションさせ、次いで一本鎖特異的な1または2以上のヌクレアーゼで消化し、そして消化されたフラグメントのサイズを測定することによって、決定することができる。実質的に相同的であるDNA 配列は、例えば、その特定の系について定められる、ストリンジェント条件下に、サザンハイブリダイゼーション実験を実施することによって同定することができる。適当なハイブリダイゼーション条件の決定は当業者の技量の範囲内である。例えば、Sambrook et al.supra;DNA Cloning, supra;Nucleic Acid Hybridization, supra, 参照。
【0049】
2つの核酸フラグメントは、PCVII 核酸またはその変異型に特異的にハイブリダイズすることができる(例えば、PCVII 核酸にハイブリダイズするが、シルコウイルスのファミリーからのポリヌクレオチドにハイブリダイズしない)か、あるいは下記の条件下のポリメラーゼ連鎖反応を特異的にプライミングすることができる場合、PCVII ポリヌクレオチドに「選択的ハイブリダイズ」すると考えられる:(i) 典型的にはハイブリダイゼーションおよび洗浄条件、例えば、Sambrook et al.supraおよびNucleic Acid Hybridization、supra 、に記載されている、(ii)最大約25〜30%の塩基対のミスマッチを可能とする減少したストリンジェンシイの条件、例えば、2 ×SSC 、0.1 %のSDS 、室温2 回、各回30分;次いで2 ×SSC 、0.1 %のSDS 、37℃1 回;次いで2 ×SSC 、0.1 %のSDS 、室温2 回、各回10分;または(iii) 標準的条件下に典型的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において使用するためのプライマーを選択する(例えば、Saiki et al.(1988)Science 239:487-491)、これはPCVII またはその変異型の配列の特異的増幅を生ずる。
【0050】
用語「機能的に同等」は、タンパク質のアミノ酸配列が、参照アミノ酸配列、またはその免疫原性部分により引き出される応答に比較して、上記において定義した、実質的に同等のまたは増強した免疫学的応答を引き出すアミノ酸配列であることを意味する。
DNA 構築物の「異種」(heterologous)領域は、天然に他の分子と関連して見出されない他のDNA 分子内に存在するか、あるいはそれに結合した、DNA の同定可能なセグメントである。
【0051】
こうして、異種領域がウイルス遺伝子をコードする場合、その遺伝子は源のウイルスのゲノム中のウイルス遺伝子を挟まないDNA により通常挟まれるであろう。異種コード配列の他の例は、コード配列それ自体が天然に見出されない構築物である(例えば、生来の遺伝子と異なるコドンを有する合成配列)。対立遺伝子変異型または天然に存在する突然変異の事象は、本明細書において使用する、DNA の異種領域を生じない。
【0052】
用語「治療」は、本明細書において使用するとき、(i) 感染または再感染の防止(予防)、または(ii)問題の疾患の症状の減少または排除(療法)を意味する。
本明細書において使用するとき、「生物学的試料」は、被検体から単離された組織または流体の試料を意味し、下記のものを包含するが、これらに限定されない:例えば、血液、血漿、血清、糞便物質、尿、骨髄、胆汁、脊髄液、リンパ組織およびリンパ液、皮膚の試料、皮膚の外部分泌物、呼吸器、腸、および尿生殖器管、涙、唾液、乳、血球、器官、生検試料およびまたin vitro細胞培養の試料、例えば、培地中の細胞および組織の成長から生ずるコンディショニングされた培地、例えば、組換え細胞、および細胞成分。
【0053】
本明細書において使用するとき、用語「標識」および「検出可能な標識」は、検出することができる分子を意味し、下記のものを包含するが、これらに限定されない:放射性アイソトープ、蛍光性物質、化学発光性物質、酵素、酵素基質、酵素コファクター、酵素インヒビター、発色団、色素、金属イオン、金属ゾル、リガンド(例えば、ビオチンまたはハプテン)およびその他。用語「蛍光性物質」は、検出可能な範囲の蛍光を示すことができる物質またはその一部分を意味する。本発明において使用できる標識の特定の例は、フルオレセイン、ローダミン、ダンシル、ウベリフェロン、テキサスレッド、ルミノール、NADPH およびα-β- ガラクトシダーゼを包含する。
【0054】
「脊椎動物門の動物」とは、亜門コルダタ(subphylum cordata) の任意のメンバーを意味し、下記のものを包含するが、これらに限定されない:哺乳動物、例えば、畜牛、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウマ、および人間;家畜、例えば、イヌおよびネコ;および鳥類、例えば、家畜、野生およびゲームの鳥類、例えば、アヒルおよび雌鶏、例えば、ニワトリ、シチメンチョウおよび他の家禽の鳥類。この用語は特定の年齢を意味しない。したがって、成体および新生児の動物、ならびに胎児を包含することを意図する。
【0055】
B. 一般的方法
本発明に対する中心的事項は、PMWSの影響を受けた子豚から単離された、本明細書において「PCVII 」と呼ぶ、新しいシルコウイルスの発見である。本発明の有用な材料および方法は、各々が新規なPCVII ウイルスの全体のゲノムを含有する、ヌクレオチド配列の1 ファミリーの発見により可能となる。このファミリーのポリヌクレオチドの入手可能性は、まず、小さい異種性により異なるゲノムのファミリーの他のメンバーの単離を可能とする。
【0056】
第2 に、それは診断において有用なDNA フラグメントおよびタンパク質の構築を可能とする。例えば、少なくとも約8 〜10またはそれより多いヌクレオチドのオリゴマー、好ましくは、少なくとも約15〜20ヌクレオチドからなるオリゴマーは、疾患の診断におけるハイブリダイゼーションプローブとして有用である。このようなプローブは、例えば、ウイルスを収容することが推測される被検体の血清中の、ゲノムウイルスの存在を検出するために使用することができる。同様に、タンパク質をコードする遺伝子はクローニングし、そして他のウイルス単離物中の相同的遺伝子を検出し、単離するためのプローブを設計するために使用することができる。
【0057】
また、PCVII 配列は、血清または血液中のPCVII に対して発生させた抗体の存在について診断する試薬として有用である、PCVII 特異的ポリペプチドの設計および製造を可能とする。これらのポリペプチドに対する抗体は、また、診断剤として有用である。いくつかのオープンリーディングフレームを完全なゲノムの関係において解読することができるので、PCVII に関係するタンパク質の主要な構造を推定することができる。最後に、また、遺伝子配列の知識により、PCVII に対して有効であり、それゆえ、PMWSの予防およびまた保護的抗体の産生に有用である、ワクチンの設計および製造が可能となる。
【0058】
ゲノムから入手可能である配列決定の情報は、ウイルスゲノムによりコードされる種々のポリペプチドのアミノ酸配列の推定を可能としかつ適当なエピトープの同定を可能とする。PCVII ゲノム中で同定されたいくつかのORF によりコードされる全長のタンパク質、またはその適当な一部分を、独立に得られかつ発現される関係するDNA のフラグメントを使用して、製造することができ、こうして、組換え技術に従い所望のポリペプチドを提供することができる。
【0059】
原核生物および真核生物の双方の宿主は、このような発現のために有用である。また、短いポリペプチドのフラグメントを化学的に合成し、ワクチンとして使用するために担体タンパク質に結合させることができる。さらに、エピトープを産生し、免疫原性を与えるタンパク質に結合させることができる。こうして産生されたタンパク質それら自体はワクチンとして使用することができるか、あるいは宿主において免疫担当B 細胞を誘導するために使用することができ、次いでこれらのB 細胞を使用して、受動的免疫治療において有用な抗体を分泌するハイブリドーマを産生することができる。
【0060】
さらに詳しくは、PCVII の3 つの単離物についての完全な遺伝的配列、PCVII412 (配列番号:1)、PCVII 9741(配列番号:11 )、およびPCVII B9(配列番号:12 、配列番号:24 )を第4A図〜第4B図に示す。PCVII の種々の単離物の間でヌクレオチド配列の相同性の百分率は、99%より高い同一性である。新しく発見されたウイルスゲノムは、感染したPK15細胞から単離されたPCV とヌクレオチドレベルにおいてほぼ76%の同一性を共有する(ここにおいて「PCVI」と呼ぶ)。実施例においてさらに説明するように、ヌクレオチドの挿入および欠失(インデル)は3つの領域において見出された。
【0061】
図1 に示すように、新規なウイルスは50より多いアミノ酸残基からなるタンパク質をコードする、少なくとも6 つのオープンリーディングフレーム(ORF )を含有するが、PK15から誘導されたPCVIは7 つの潜在的ORF を有する。代表的なPCVII 単離物についてのORF は、第4A図〜第4B図に示すPCVII 単離物のナンバリングを使用して、下記の位置に存在する:
ORF 1 51〜992
ORF 2 671〜360
ORF 3 565〜389
ORF 4 553〜729
ORF 5 1016〜1174
ORF 6 1735〜1037
【0062】
6つのORF によりコードされるポリペプチドは図2A〜図2Cに示されている。
PCVII についての主要なターゲットは、末梢血中の単核細胞、多分マクロファージ細胞であるが、ウイルスはまた感染した動物における種々の組織および器官の中に見出される。影響を受けたマクロファージはそれらの正常の機能を喪失し、宿主の免疫系に対する損傷を引き起こし、死に導く。
【0063】
新規なシルコウイルスのクローニングおよび配列決定は、PMWSの原因となる因子についての情報を提供した。上に説明したように、配列決定の情報、ならびにクローンおよびその遺伝子産物は診断およびワクチンの開発のための有用である。特に、PCR および抗体をベースとする診断法は疾患の診断において有用であり、そして、本発明において、この新規なPCVII ウイルスを特異的に同定し、持続的に感染したPK15細胞から誘導されたPCVIと識別するために使用された。また、配列決定の情報は、特異的プライマーの設計において、ウイルス特異的遺伝子産物を発現させ、ウイルスの構造を研究し、特異的抗体を発生させ、そしてブタシルコウイルスに関係する疾患においてビルレント遺伝子を同定するために有用である。
【0064】
B.1. PCVII 遺伝子配列の調製
PCVII の新しいウイルスゲノムは、PMWSの影響を受けた子豚の組織から単離されたウイルスから得られた。ウイルスDNA を種々の源から抽出した。種々の源は、感染したDulac およびVero細胞のペレット、抹消血バッフィーコート細胞、感染した動物から組織および血清を包含する。実施例においていっそう完全に論じられる技術に従い、DNA を試料から抽出した。
【0065】
シルコウイルスのファミリーにおける既知のウイルスの間の配列および構造の類似性を比較することによって、保存されたステム・ループ構造の相補的配列を利用して、ユニークプライマーを設計した。次いで1つのプライマーのPCR を実施し、産物をクローニングした。プラスミドベクターの中に挿入された異なる向きの、2つの全長のウイルスゲノムを、双方の方向において完全に配列決定した。追加のPCR プライマーを作り、配列決定してプライマー/ステム・ループ領域の忠実度を確実にした。
同様なプライマーを使用して、他のPCVII 単離物、例えば、PCVII 9741、およびPCVII B9を得た。シルコウイルスがDNA の複製した形態からの代わりにウイルス粒子からクローニングされたのは、これが最初であるように思われる。
【0066】
PCVII ゲノムを取り出す方法の説明は、もちろん、主として歴史的重要性を有する。生ずる配列がここにおいて提供され、そして全体の配列、またはその任意の部分は、また、合成法に従い、あるいは合成法と本明細書に記載する方法に類似する方法を使用する部分的配列の取り出しとの組合わせにより、製造することができる。
【0067】
B.2. PCVII タンパク質の製造
PCVII ゲノムの配列は入手可能であるので、PCVII ゲノムから誘導された、ウイルスのポリペプチドおよび抗原的に活性な領域をコードする発現ベクターを構築することができる。所望のタンパク質をコードするフラグメントは、cDNAクローンから、慣用の制限消化、または合成法により製造し、そして、例えば、融合配列の一部分を含有するベクター、例えば、β- ガラクトシダーゼ、の中に結合させる。オープンリーディングフレームを含有するPCVII ゲノムの任意の所望の部分を、組換えタンパク質として、例えば、成熟または融合タンパク質として得ることができるか、あるいは化学的合成または一般的組換え手段により得ることができる。
【0068】
前述のDNA 配列によりコードされるPCVII タンパク質、それから誘導された活性フラグメント、アナローグおよびキメラタンパク質は、種々の方法により製造できることは容易に明らかである。組換え産物は、部分的タンパク質配列、全長の配列、シグナル配列を含む前駆体の形態、シグナルをもたない成熟形態、またはさらに融合タンパク質(例えば、組換え宿主のための適当なリーダーをもつか、あるいは他の病原体のための他のサブユニットの抗原配列をもつ)の形態を取ることができる。
【0069】
遺伝子ライブラリーを構築し、そして生ずるクローンを使用して適当な宿主細胞を形質転換することができる。コロニーをプールし、そしてPCVII タンパク質に対するポリクローナル血清またはMab を使用してスクリーニングすることができる。
あるいは、いったんアミノ酸配列が決定されると、決定されたアミノ酸配列の一部分のためのコドンを含有するオリゴヌクレオチドのプローブを製造し、そして主題のタンパク質をコードする遺伝子についてゲノムまたはcDNAのライブラリーをスクリーニングするために使用することができる。
【0070】
オリゴヌクレオチドのプローブおよびDNA ライブラリーを製造する基本的戦略、ならびに核酸のハイブリダイゼーションによりそれらのスクリーニングは、当業者によく知られている。例えば、下記の文献を参照のこと:DNA Cloning:Vol.,supra;Nucleic Acid Hybridization,supra;Oligonucleotide Synthesis,supra;Sambrook et al.,supra 。いったんスクリーニングされたライブラリーからのクローンが陽性のハイブリダイゼーションにより同定されたとき、制限酵素分析およびDNA の配列決定により、特定のライブラリーのインサートがPCVIIタンパク質の遺伝子またはその相同体を含有することを確証することができる。次いで、遺伝子を標準的技術によりさらに単離し、必要に応じて、PCR アプローチまたは制限酵素を使用して全長の配列の一部分を欠失することができる。
【0071】
同様に、遺伝子をウイルスから直接的に既知の技術、例えば、フェノール抽出に従い単離し、そして配列をさらに操作して任意の所望の変更を産生することができる。ウイルスDNA を産生し、単離するために使用する技術の記載について、例えば、本明細書中の実施例および下記の文献を参照のこと:Hamel et al.(1998)J.Virol.78:5262-5267。
【0072】
あるいは、DNA 配列をクローニングよりもむしろ合成的に製造することができる。配列をタンパク質の製造に使用すべき場合、特定のアミノ酸配列のために適当なコドンを使用して、DNA 配列を設計することができる。一般に、配列を発現のために使用する場合、意図する宿主のために好ましいコドンを選択する。標準的方法により製造されたオーバーラップするオリゴヌクレオチドから完全な配列を組立て、そして完全なコード配列に組立てる。例えば、下記の文献を参照のこと:Edge(1981)Nature 292:756;Nambair et al.(1984)Science 223:1299;Jay et al.(1984)J.Biol.Chem.259:6311。
【0073】
いったん所望のタンパク質のコード配列が製造されるか、あるいは単離されたとき、それらは任意の適当なベクターまたはレプリコンの中にクローニングすることができる。多数のクローニングベクターはこの分野において知られており、そして適当なクローニングベクターの選定は選択事項である。クローニングのための組換えDNA ベクターおよびそれらが形質転換することができる宿主細胞の例は次の通りである:バクテリオファージλ(E.coli)、pBR322(E.coli)、pACYC177(E.coli)、pKT230( グラム陰性細菌) 、pGV1106(グラム陰性細菌) 、pLAFR1( グラム陰性細菌) 、pME290( 非E.coliグラム陰性細菌) 、pHV14(E.coliおよびBacillus subtilis)、pBD9(Bacillus)、pIJ61(Streptomyces) 、pUC6(Streptomyces)、YIp5(Saccharomyces) 、YCp19(Saccharomyces)およびウシ乳頭腫ウイルス( 哺乳動物細胞) 。下記の文献を参照のこと:Sambrook et al. 、supra ;DNA Cloning 、supra ;DNA Cloning 、supra;B.Perbal、supra 。
【0074】
遺伝子をプロモーター、リボソーム結合部位(細菌の発現のために)および、必要に応じて、オペレーター(本明細書において、集合的に「コントロール」因子と呼ぶ)の制御下に配置し、こうして、この発現構築物を含有するベクターにより形質転換された宿主細胞中で、所望のタンパク質をコードするDNA 配列をRNA に転写することができる。コード配列はシグナルペプチドまたはリーダー配列を含有するか、あるいは含有しないことができる。シグナル配列が含有される場合、それは自然の、相同的配列であるか、あるいは異種配列であることができる。リーダー配列を翻訳後のプロセシングにおいて宿主により除去することができる。例えば、下記の特許を参照のこと:米国特許第4,431,739 号、米国特許第4,425,437 号、米国特許第4,338,397 号。
【0075】
また、宿主細胞の成長に関してタンパク質配列の発現の調節を可能とする、他の調節配列が望ましいことがある。調節配列はこの分野において知られており、そしてそれらの例は調節化合物の存在を包含する、化学的または物理的刺激に応答して、遺伝子の発現を開始させるか、あるいは停止させる配列である。調節因子の他の型、例えば、エンハンサー配列を、また、ベクターの中に存在させることができる。
コントロール配列および他の調節配列をコード配列に結合させた後、ベクター、例えば、前述のクローニングベクターの中に挿入することができる。あるいは、コントロール配列および適当な制限部位を既に含有する発現ベクターの中に、コード配列を直接クローニングすることができる。
【0076】
ある場合において、コード配列を修飾して、それが適当な向きでコントロール配列に結合させることができるようにすること、すなわち、適切なリーディングフレームを維持することが必要であることがある。また、所望のPCVII タンパク質の突然変異またはアナローグを産生することが望ましいことがある。突然変異またはアナローグは、タンパク質をコードする配列の一部分の欠失により、配列の挿入により、および/または配列内の1 または2 以上のヌクレオチドの置換により、製造することができる。ヌクレオチド配列を修飾する技術、例えば、部位特異的突然変異誘発は、例えば、下記の文献に記載されている:Sambrook et al.,supra;DNA Cloning 、supra;Nucleic Acid Hybridization、supra 。
【0077】
次いで、発現ベクターを使用して適当な宿主細胞を形質転換する。多数の哺乳動物細胞系統この分野において知られており、そしてアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)(ATCC)から入手可能である永久分裂能化細胞系統を包含し、これらの例下記のものを包含するが、これらに限定されない:チャイニーズハムスター卵巣(CHO) 細胞、HeLa細胞、ベイビーハムスター腎(BHK) 細胞、サル腎細胞(COS) 、ヒト肝炎癌細胞(例えば、Hpe G2) 、Madin-Darby ウシ腎 (「MDBK」) 細胞、およびその他。同様に、細菌の宿主、例えば、大腸菌(E.coli)、バシラス・サチリス(Bacillus subtilis) 、およびストレプトコッカス(Streptococcus) 種は本発明の発現構築物とともに使用されるであろう。
【0078】
本発明において有用な酵母宿主細胞の例は、なかでも、下記のものである:サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・マルトサ(Candida maltosa) 、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、クルイベロマイセス・フラギリス(Kluyveromyces fragilis)、クルイベロマイセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、ピキア・グイレルモンディイ(Pichia guillermondii)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris) 、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe) およびヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica) 。
【0079】
バキュロウイルスの発現ベクターとともに使用するための昆虫細胞の例は、なかでも、次の通りである:エデス・エジプチ(Aedes aegypti) 、オートグラファト・カリフォルニカ(Autographa californica)、ボンビクス・モリ(Bombyx mori) 、ドロソフィラ・メラノガステル(Drosophila melanogaster) 、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda) 、およびトリコデルマ・ニ(Trichoderma ni)。
【0080】
選択した発現系および宿主に依存して、本発明のタンパク質は前述の発現ベクターにより形質転換された宿主細胞を問題のタンパク質が発現される条件下に培養することによって製造される。次いでタンパク質を宿主細胞から単離し、精製する。発現系がタンパク質を成長培地の中に分泌する場合、タンパク質を培地から直接的に精製することができる。タンパク質が分泌されない場合、それは細胞ライゼイトから単離される。適当な成長条件および回収方法の選択は、当業者の技量の範囲内である。
【0081】
本発明のタンパク質は、また、化学的合成、例えば、固相ペプチド合成により、既知のアミノ酸配列または問題の遺伝子のDNA 配列から誘導されたアミノ酸配列を使用して製造することができる。このような方法はこの分野において知られている。例えば、下記の文献を参照のこと:J.M.Stewart およびJ.D.Young,Solid Phase Peptide Synthesis,第2 版,Pierce Chemical Co.,イリノイ州ロックフォード(1984)およびG.BaranyおよびR.B.Merrifield,The Peptide:Analysis, Synthesis,Biology,編者E.Gross およびJ.Meienhofer,Vol.2,Academic Press、New York(1980),pp.3-254、固相ペプチド合成技術について;およびM.Bodansky,Principle of Peptide Synthesis,Springer-Verlag,ベルリン(1984)およびE.Gross およびJ.Meienhofer,編、The Peptide:Analysis, Synthesis, Biology,supra,Vol.1 、古典的溶液合成について。
【0082】
問題の抗原の小さいフラグメントを問題の被検体において免疫学的応答を発生させることができる場合、ペプチドの化学的合成は好ましいことがある。
ゲノムの分析は少なくとも6 つのオープンリーディングフレームの存在を示し、それらの少なくとも1つは推定上のDNA レプリカーゼ遺伝子をコードする。
【0083】
B.3. 抗原性ポリペプチドの製造および担体との複合体化
ペプチドの抗原性領域は、一般に比較的小さく、典型的には10アミノ酸またはそれより短い長さである。5 アミノ酸程度に短いフラグメントは、典型的には抗原性領域を特徴付けることができる。したがって、基礎としてPCVII のゲノムを使用して、PCVII の種々のORF のいずれかから、例えば、ORF 1 〜ORF 6 、特にORF 6 から誘導された、ポリペプチドの短いセグメントをコードするDNA を融合タンパク質として、あるいは単離されたタンパク質として組換え的に発現させることができる。さらに、短いアミノ酸配列は化学的に合成することができる。合成されたペプチドが正しいエピトープを提供するように正しく立体配置されているが、免疫原性であるためには小さ過ぎる場合、ペプチドを適当な担体に結合させることができる。
【0084】
このような結合を形成する多数の技術はこの分野において知られており、そして下記の試薬を使用するジサルファイド結合の形成を包含する:N-スクシニミジル-3-(2-ピリジルチオ) プロピオネート(SPDP)およびスクシニミジル-4-(N-マレイミドメチル) シクロヘキサン-1- カルボキシレート(SMCC)(Pierce Company 、イリノイ州ロックフォード、から入手した)(ペプチドがスルフヒドリルを欠如する場合、これはシステイン残基の付加により提供することができる。)
【0085】
これらの試薬はそれら自体と1 つのタンパク質上のペプチドのシステイン残基との間でジサルファイド結合をつくり、そしてリジン上のε−アミノ、または他の残基における他の遊離アミノ遺伝子産物を通してアミド結合をつくる。種々のこのようなジサルファイド/アミド−形成因子は知られている。例えば、Immunol.Rev.(1982)62:185参照。他の二官能価のカップリング剤は、ジサルファイド結合よりむしろチオエーテルを形成する。これらのチオエーテル形成剤は商業的に入手可能であり、そして6-マレイミドカプロン酸、2-ブロモ酢酸、2-ヨード酢酸、4-(N- マレイミド- メチル) シクロヘキサン-1- カルボン酸の反応性エステル、およびその他を包含する。
【0086】
カルボキシル基はそれらをスクシンイミドまたは1-ヒドロキシ-2- ニトロ-4-スルホン酸、ナトリウム塩により活性化させることができる。上記のリストは非限定的であり、そして列挙した化合物の修飾を明らかに使用することができる。それ自体宿主に対して有害な抗体の産生を誘起しない、任意の担体、例えば、種々の血清アルブミン、破傷風トキソイド、またはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH) を使用することができる。
複合体は、適当な被検体に注射するとき、免疫グロブリンを含有する抗血清を産生し、これらの免疫グロブリンは複合体に対して特異的に反応性であるばかりでなく、かつまた配列の類似の部分を担持する融合タンパク質に対して、かつ全PCVII 内の適当な決定因子に対して特異的に反応性である。
【0087】
B.4. 抗体の産生
本発明の新規なウイルス、またはそれらのフラグメントによりコードされるタンパク質を使用して、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の双方を産生することができる。ポリクローナル抗体を望む場合、選択される動物(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマ、およびその他)を本発明の抗原、またはそのフラグメント、または突然変異された抗原で免疫化する。免疫化された動物からの血清を、既知の手順に従い、収集し、処理する。例えば、Jurgens et al.(1985)J.Chrom.348:363-370 参照。ポリクローナル抗体を含有する血清を使用する場合、ポリクローナル抗体はイムノアフィニティークロマトグラフィーにより、既知の手順に従い精製することができる。
【0088】
タンパク質およびそれらのフラグメントに対するモノクローナル抗体を、また、当業者は容易に製造することができる。ハイブリドーマ技術を使用するモノクローナル抗体の一般的製造方法はよく知られている。細胞融合により、また、他の技術、例えば、B リンパ球のオンコジーンDNA により直接的形質転換、またはEBウイルスを使用するトランスフェクションにより、永久分裂能の抗体産生細胞系統をつくることができる。
【0089】
例えば、下記の文献を参照のこと:M.Schreier et al.,Hybridoma Techniques(1980);Hammerling et al.,Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas(1981);Kennet et al.,Monoclonal Antibodies(1980);また、下記の特許を参照のこと:米国特許第4,341,761 号; 第4,399,121 号;第4,427,783 号; 第4,444,887 号;第4,452,570 号; 第4,466,917 号;第4,472,500 号; 第4,491,632 号;および第4,493,890 号。所望のタンパク質に対して産生されたモノクローナル抗体、またはそれらのフラグメントのパネルを種々の性質、すなわち、イソ型、エピトープ、アフィニティー、およびその他についてスクリーニングすることができる。
【0090】
モノクローナル抗体は、それらが対して向けられた個々の抗原の、イムノアフィニティー技術を使用する、精製において有用である。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の双方を、また、受動免疫化に使用することができるか、あるいはサブユニットワクチン調製物と組合わせて免疫応答を増強することができる。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体は、また、診断の目的のための有用である。
【0091】
B.5. ワクチン製剤および投与
本発明の新規なウイルスタンパク質を、単独でまたは他の抗原と組合わせて、後述するように被検体の免疫化において使用するために、ワクチン組成物に処方することができる。このような処方物を製造する方法は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences 、Mack Publshing Company、Easton、Pennsylvania、第18版、1990、に記載されている。典型的には、本発明のワクチンは注射可能なワクチンとして、液状溶液または懸濁液として製造される。
【0092】
また、注射前に液状ベヒクル中の溶液または懸濁液のために適当な固体形態を製造することができる。調製物をまた乳化するか、あるいは活性成分をリポソームベヒクルの中にカプセル化することができる。活性な免疫原性成分を一般に適合性薬学上のベヒクル、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール、またはその他、およびそれらの組合わせと混合する。さらに、必要に応じて、ベヒクルは少量の補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤およびpH緩衝化剤を含有することができる。
【0093】
ワクチンの有効性を増強するアジュバントを、また、処方物に添加することができる。このようなアジュバント下記のものを包含するが、これらに限定されない:アルミニウム塩から形成されたアジュバント(明礬)、例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、およびその他;水中油型および油中水型エマルジョン処方物、例えば、完全フロインドアジュバント(CFA)、不完全フロインドアジュバント(IFA)、アブリジンおよびジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA);細菌の細胞壁成分から形成されたアジュバント、例えば、モノホスホリル脂質A を含むアジュバント(MPL)(Imoto et al.(1985)Tet.Lett.26:1545-1548)、トレハロースジミコレート(TDM) 、および細胞壁骨格(CWS) ;
【0094】
ADP-リボシル化細菌のトキシンに由来するアジュバント、例えば、ジフテリアトキシンに由来するアジュバント(例えば、CRM197、無毒のジフテリアトキシン突然変異体(例えば、Bixler et al.(1989)Adv.Exp.Med.Biol.251:175 ;およびConstantino et al.(1992)Vaccine)、百日咳トキシン(PT)、コレラトキシン(CT)、大腸菌(E.coli)非耐熱性トキシン(LT1およびLT2)、シュードモナス・エンドトキシン(Pseudomonas endotoxin)A、クロストリジウム・ボツリナム(C.botulinum)C2 およびC3トキシン、ならびにクロストリジウム・パーフリンジェンス(C.perfringens) 、クロストリジウム・スピリフォルマ(C.spirforma) およびクロストリジウム・ディフィシレ(C.difficile) ;
【0095】
サポニンアジュバント、例えば、Quil A( 米国特許第5,057,540 号) 、またはサポニンから発生した粒子、例えば、ISCOMs( 免疫調節複合体) ;サイトカイン、例えば、インターロイキン( 例えば、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-12 、およびその他) 、インターフェロン( 例えば、ガンマインターフェロン) 、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、腫瘍壊死因子(TNF) 、およびその他;ムラミルペプチド、例えば、N-アセチル- ムラミル-L- スレオニル- ジイソグルタミン(thr-MDP) 、N-アセチル- ノルムラミル-L- アラニル-D- イソグルタミン(nor-MDP) 、N-アセチルムラミル-L- アラニル-D- イソグルタミン-L- アラニン-2-(1'-2'-ジパルンミトイル-sn-グリセロ-3- ヒドロキシホスホリルオキシ)- エチルアミン(MTP-PE) 、およびその他;
【0096】
CdG ファミリーの分子に由来するアジュバント、CdG ジヌクレオチドおよびCdG モチーフからなる合成オリゴヌクレオチド (例えば、Krieg et al.,Nature (1995)374:546およびDavis et al.,J.Immunol.(1998)160:870-876); および合成アジュバント、例えば、PCPP (ポリ [ジ( カルボキシラトフェノキシ) ホスファゼン)(Payne et al.、Vaccine(1998)16:92-98)。このようなアジュバントは多数の元売会社、例えば、下記の会社、から商業的に入手可能である:Accurate Chemicals;Ribi Immunechemicals,Hamilton,MT;GIBCO:Sigma,St.Louis,MO。
【0097】
上に説明したように、製造を担体に結合させて、その免疫原性を増加させることができる。適当な担体の例は次の通りである:大きい、ゆっくり代謝する高分子、例えば、タンパク質、例えば、血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン、免疫グロブリン分子、チログロブリン、オバルブミン、および当業者によく知られている他のタンパク質;多糖、例えば、セファローズ、アガロース、セルロース、セルロースビーズおよびその他;アミノ酸コポリマー;および不活性ウイルス粒子。
【0098】
タンパク質はそれらの自然の形態で使用することができるか、あるいはそれらの官能基を、例えば、リジン残基のスクシニル化またはCys −チオラクトンとの反応により修飾することができる。また、スルフヒドリル基を、例えば、2-イミノチオランまたは3-(4- ジチオピリジル)プロピオネートのN-ヒドロキシスクシンイミドエステルとアミノ官能基との反応により、担体(または抗原)の中に組込むことができる。適当な担体をペプチドとの結合のために修飾して、スペーサーアーム(例えば、ヘキサメチレンジアミンまたは同様な大きさの他の二官能価の分子)を組込むことができる。
【0099】
本発明のタンパク質のための他の適当な担体は、米国特許第5,071,651 号に開示されているような、ロタウイルスのVP6 ポリペプチド、またはそれらの機能的フラグメントを包含する。また、米国特許第4,722,840 号に開示されている方法により作られたウイルスタンパク質と被検体の免疫原との融合産物は有用である。なお他の適当な担体は、細胞、例えば、リンパ球を包含する。なぜなら、この形態の提示は被検体における自然の提示モードを模擬し、免疫化された状態を生ずるからである。あるいは、本発明のタンパク質は赤血球、好ましくは被検体自身の赤血球にカップリングさせることができる。タンパク質または細胞にペプチドをカップリングする方法は、この分野において知られている。
【0100】
さらに、タンパク質は中性または塩の形態でワクチン組成物に処方することができる。薬学上許容される塩は酸付加塩(活性ポリペプチドの遊離アミノ基とで形成された)を包含し、そしてこれらは無機酸、例えば、塩酸またはリン酸、または有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸、およびその他で形成される。遊離カルボキシル基から形成された塩は、また、無機塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、または水酸化第二鉄、および有機塩基、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン、およびその他から誘導することができる。
【0101】
ワクチン組成物は、「治療的に有効な量」、すなわち、組成物を投与された被検体において免疫応答を引き出すことができる量、の活性成分を含有するであろう。このような応答は、影響を受けた宿主が通常表示する症候の減少または欠如および/またはより早い回復時間により証明されるであろう。
当業者は標準的試験により正確な量を容易に決定するであろう。タンパク質濃度は典型的には約1 %〜約95%(w/w) の組成物の範囲であるか、あるいは適当ならばより高いか、あるいはより低い濃度であろう。
【0102】
被検体を免疫化するために、ワクチンを一般に非経口的に、通常筋肉内注射により投与する。しかしながら、他の投与モード、例えば、皮下、腹腔内および静脈内注射もまた許容される。投与量は、治療すべきアミン、抗体を合成するアミンの免疫系の能力、および所望の保護の程度に依存する。当業者は投与量応答曲線を確立する日常的試験により、有効な投与量を容易に確立することができる。
【0103】
少なくとも1 回の投与、好ましくは少なくとも2 回の投与のワクチンの投与により、被検体を免疫化する。そのうえ、感染に対する免疫性の状態を維持するために要求される回数の投与により、動物にワクチンを投与することができる。
他の投与のモードに適当な、追加のワクチン処方物は、坐剤および、ある場合において、エーロゾル、鼻内、経口の処方物、および持続放出性処方物を包含する。
【0104】
坐剤について、ワクチン組成物は伝統的結合剤および担体、例えば、ポリアルキレングリコール、またはトリグリセリドを含むであろう。このような坐剤は、約0.5 %〜約10%(w/w) 、好ましくは約1 %〜約2 %(w/w) の範囲の活性成分を含有する混合物から形成することができる。経口ベヒクルは、例えば、薬学上の等級のマンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、セルロース、炭酸マグネシウム、およびその他のような通常使用される賦形剤を含む。これらの経口ワクチン組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、持続放出性処方物、または粉末の形態を取ることができ、そして約10〜約95%、好ましくは約25〜約70%の活性成分を含有することができる。
【0105】
鼻内処方物は、通常、鼻粘膜に対する刺激を引き起こさず、かつ毛様体機能を有意に混乱しないベヒクルを含むであろう。希釈剤、例えば、水、生理食塩水または他の既知の物質を本発明において使用することができる。鼻の処方物は、また、保存剤を含有し、このような保存剤はクロロブタノールおよびベンザルコニウムクロライドを包含するが、これらに限定されない。界面活性剤を存在させて、鼻粘膜により本発明のタンパク質の吸収を増強することができる。
【0106】
調節または持続放出性処方物は、タンパク質を下記の担体またはベヒクルの中に混入することによって製造される:リポソーム、非吸収性不透過性ポリマー、例えば、エチレン獣医学上許容されるコポリマーおよびHytrelR コポリマー、膨潤性ポリマー、例えば、ヒドロゲル、または吸収性ポリマー、例えば、コラーゲンおよびある種の多酸またはポリエステル、例えば、吸収性縫合糸の製造に使用されるもの。また、この分野においてよく知られている移植されたミニポンプを使用して、タンパク質を送出すことができる。
【0107】
本発明のタンパク質は、また、タンパク質を発現するキャリヤーウイルスを介して投与することができる。本発明とともに使用できるキャリヤーウイルスは、ワクシニアおよび他のポックスウイルス、アデノウイルス、およびヘルペスウイルスを包含するが、これらに限定されない。1 例として、次のようにして、新規なタンパク質を発現するワクシニアウイルス組換え体を構築することができる。まず、特定のタンパク質をコードするDNA を、それがワクシニアのプロモーターに隣接しかつワクシニアDNA 配列、例えば、チミジンキナーゼ(TK)をコードする配列をフランクするように、適当なベクターの中に挿入する。次いでこのベクターを使用して、細胞をトランスフェクトすると同時にワクシニアで感染させる。
【0108】
相同的組換えは、ワクシニアのプロモーターと本発明のタンパク質をコードする遺伝子とをウイルスゲノムの中に挿入する働きをする。5-ブロモデオキシウリジンの存在において細胞を培養し、そしてそれに対して耐性のウイルスのプラークを取り上げことによって、生ずるTK- 組換え体を選択することができる。
【0109】
別の投与経路は、遺伝子療法または核酸の免疫化を包含する。こうして、本発明のタンパク質をコードするヌクレオチド配列(および付随する調節因子)を、そのin vivo 翻訳のために被検体に直接的に投与することができる。また、被検体の細胞または組織をex vivo でトランスフェクトし、そして形質転換された材料を宿主の中に再導入することによって、遺伝子の転移を達成することができる。DNA は宿主生物の中に直接的に、すなわち、注射により、導入することができる (下記の文献を参照のこと:米国特許第5,580,859 号および米国特許第5,589,466 号;国際公開No.WO/90/11092号;およびWolff et al.(1990)Science 247:1465-1468)。
【0110】
また、既知の方法を使用して、リポソーム仲介遺伝子転移を達成することができる。例えば、下記の文献を参照のこと:米国特許第5,703,055 号;Hazinski et al.(1991)Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.4:206-209;Brigham et al.(1989)Am.J.Med.Sci.298:278-281;Canonico et al.(1991)Clin.Res.39:219A; およびNabel et al.(1990)Science 249:1285-1288 。ターゲッティング因子、例えば、特異的細胞型上で発現された表面抗原に対して向けられた抗体をリポソームの表面に共有結合させ、こうして、核酸を感染に対して感受性の特定の組織および細胞に送出すことができるようにする。
【0111】
B.6. 診断アッセイ
上に説明したように、生物学的試料中のPCVII の反応性抗体の存在を検出してPCVII の感染の存在を決定するために、本発明のタンパク質をまた使用することができる。例えば、標準的電気泳動およびイムノアッセイ、例えば、競合、直接的反応、またはサンドイッチ型アッセイを包含する免疫診断技術に従い、タンパク質と反応性の抗体の存在を検出することができる。
【0112】
このようなアッセイは下記のものを包含するが、これらに限定されない:ウェスタンブロット;凝集試験;酵素標識化および仲介イムノアッセイ;例えば、ELISA ;ビオチン/アビジン型アッセイ;ラジオイムノアッセイ;免疫電気泳動;免疫沈降、およびその他。これらの反応性は、一般に、標識、例えば、蛍光性、化学発光性、放射性、酵素の標識または色素の分子を明らかにすること、あるいは抗原および抗体との複合体またはそれと反応した抗体を検出する他の方法を包含する。
【0113】
前述のアッセイは、一般に、抗原−抗体複合体が結合した固相支持体から液相中の非結合抗体を分離することを包含する。本発明の実施において使用できる固体の支持体は下記のものを包含する:基質、例えば、ニトロセルロース(例えば、膜またはマイクロタイターウェルの形態);ポリ塩化ビニル(例えば、シートまたはマイクロタイターウェル);ポリスチレンラテックス(例えば、ビーズまたはマイクロタイタープレート);ポリビニリジンフルオライド;ジアゾ化紙;ナイロン膜;活性化ビーズ、磁気的に応答性のビーズ、およびその他。
【0114】
典型的には、固相成分が支持体へ十分に固定化されるように、適当な結合条件下に、固体の支持体をまず固相成分(例えば、1 またはそれ以上のPCVII タンパク質)と反応させる。時には、最初によりすぐれた結合性質を有するタンパク質に抗原をカップリングさせることによって、支持体に対する抗原の固定化を増強することができる。適当なカップリングタンパク質は下記のものを包含するが、これらに限定されない:高分子、例えば、血清アルブミン、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA )、キーホールリンペットヘモシアニン、免疫グロブリン分子、チログロブリン、オバルブミン、および当業者によく知られている他のタンパク質。
【0115】
支持体に抗原を結合させるために使用できる他の分子は、多糖、ポリ酢酸、ポリグリコール酸、ポリマーのアミノ酸、アミノ酸のコポリマー、およびその他を包含する。このような分子およびこれらの分子を抗原にカップリングさせる方法は、当業者によく知られている。例えば、下記の文献を参照のこと:Brinkley,M.A.Bioconjgate Chem.(1992)3:2-13;Hashida et al.,J.Appl.Biochem.(1984)6:56-63; およびAnjaneyuluおよびStaros、International J.of Peptide and Protein Res.(1987)30:117-124 。
【0116】
固体の支持体を固相成分と反応させた後、非固定化固相支持体を支持体から洗浄により除去し、次いで支持体に結合した成分をリガンド成分(例えば、固定化された抗原に対して向けられた抗体)を含有することが推測される生物学的試料と適当な結合条件下に接触させる。洗浄して非結合リガンドを除去した後、二次バインダー成分を適当な結合条件下に添加し、ここで二次バインダーは結合したリガンドと選択的にアソシエートすることができる。次いで、この分野においてよく知られている技術を使用して、二次バインダーの存在を検出することができる。
【0117】
さらに詳しくは、ELISA 法を使用することができ、ここでマイクロタイタープレートのウェルを所望のタンパク質で被覆する。次いで抗タンパク質免疫グロブリン分子を含有するか、あるいは含有することが推測される生物学的試料を被覆されたウェルに添加する。固定化された抗原に抗体を結合させるために十分なインキュベーション期間を経過させた後、1 またはそれ以上のプレートを洗浄して非結合成分を除去し、そして検出可能に標識化された二次結合分子を添加することができる。二次結合分子を捕捉された試料の抗体と反応させ、プレートを洗浄し、そしてこの分野においてよく知られている方法を使用して、二次結合分子の存在を検出する。
【0118】
こうして、1 つの特定の態様において、抗体のリガンドに対して向けられた抗体からなる二次バインダーを使用して、生物学的試料からの結合した抗抗原リガンドの存在を容易に検出することができる。多数の抗ブタ免疫グロブリン(Ig)分子はこの分野において知られており、そしてこれらはこの分野において知られている方法を使用して検出可能な酵素標識、例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼまたはウレアーゼに容易に複合化させることができる。次いで適当な酵素基質を使用して、検出可能なシグナルを発生させる。他の関係する態様において、この分野において知られている方法を使用して、競合型ELISA 技術を実施することができる。
【0119】
アッセイは、また、溶液中で実施することができ、ここでタンパク質およびこれらのタンパク質に対して特異的な抗体は沈降条件下に複合体を形成する。1 つの特定の態様において、この分野において知られているカップリング技術、例えば、直接的化学的カップリングまたは間接的カップリングを使用して、タンパク質を固相粒子(例えば、アガロースビーズまたはその他)に結合させることができる。
【0120】
次いで、適当な結合条件下に、抗原で被覆された粒子をタンパク質に対する抗体を含有することが推測される生物学的試料と接触させる。結合した抗体の間の架橋は、粒子−抗原−抗体の複合体の凝集物を形成させ、これらの凝集物は沈降し、そして洗浄および/または遠心を使用して試料から分離される。多数の標準的方法、例えば、前述の免疫診断法を使用して、反応混合物を分析して、抗体−抗原複合体の存在または非存在を決定することができる。
【0121】
なお他の態様において、イムノアフィニティーマトリックスを準備し、ここで問題のタンパク質に対する抗体を含有することが推測される生物学的試料からの抗体のポリクローナル集団を基質に固定化することができる。これに関して、固定化された抗体を使用して、試料の初期のアフィニティー精製を実施することができる。こうして、生ずる試料調製物は抗PCVII 部分のみを含有し、アフィニティー支持体における潜在的非特異的結合性質を回避する。高い収率でかつ抗原結合活性の保持にすぐれた、免疫グロブリン(無傷のまたは特異的フラグメント)を固定化する、多数の方法はこの分野において知られている。いかなる特定の方法によっても制限されないで、固定化プロテインA またはプロテインG を使用して免疫グロブリンを固定化することができる。
【0122】
したがって、いったん免疫グロブリン分子が固定化されてイムノアフィニティーマトリックスが提供されると、適当な結合条件下に、標識化タンパク質を結合した抗体と接触させる。任意の非特異的に結合した抗原をイムノアフィニティー支持体から洗浄除去した後、この分野において知られている方法を使用して標識についてアッセイすることによって、結合した抗原の存在を決定することができる。
さらに、タンパク質それら自体よりむしろ、タンパク質に対して発生させた抗体を前述のアッセイにおいて使用して、所定の試料中のタンパク質に対する抗体の存在を検出することができる。これらのアッセイは本質的に前述したように実施し、そして当業者によく知られている。
【0123】
さらに、核酸をベースとするアッセイをまた実施することができる。これに関して、ベースとして開示したPCVII 核酸配列を使用し、例えば、ウイルスを収容することが推測される被検体からの生物学的試料中の、ウイルスゲノムの存在を検出するためにハイブリダイゼーションプローブまたはPCR プライマーとして有用な、オリゴマーを製造することができる。本発明のこの態様において使用するためのオリゴマーは、ほぼ8 またはそれ多いヌクレオチド長さ、好ましくは少なくとも約10〜12ヌクレオチド長さ、最も好ましくは少なくとも約15〜20ヌクレオチド長さであり、かつ50またはそれ以上までのヌクレオチド長さである。好ましくは、オリゴマーは不均質性を欠如するウイルスゲノムの領域に由来する。
【0124】
オリゴマーはゲノムからの切除によりか、あるいは組換え的にまたは合成的に製造される。例えば、オリゴマーは日常的方法、例えば、自動化オリゴヌクレオチド合成法により製造することができる。
オリゴマーは診断アッセイにおいてプローブとして使用することができる。代表的アッセイにおいて、分析すべき生物学的試料を処理して、その中に含有される核酸を抽出する。試料から得られる核酸をゲル電気泳動または他のサイズ分離技術にかけることができる。
【0125】
あるいは、核酸試料をサイズ分離しないでドットブロットにかけることができる。次いでプローブをリポーター成分で標識化する。プローブの標識化に適当な標識および方法はこの分野において知られており、そして、例えば、ニックトランスレーションまたはキナージングにより組込まれた放射性標識、ビオチン、蛍光プローブおよび化学発光プローブを包含する。次いで試料から抽出された核酸を、適当なストリンジェンシイのハイブリダイゼーション条件下に、標識化プローブで処理する。
【0126】
プローブをターゲッテッドPCVII 遺伝子配列に対して完全に相補的とすることができる。しかしながら、より長いプローブを診断アッセイにおいて使用するとき、相補性の程度をより低くすることができる。一般に、アッセイ法において、特にプローブが完全にまたは高度に相補的である場合、高いストリンジェンシイの条件が使用される。しかしながら、不均質性領域をターゲットするとき、より低いストリンジェンシイの条件を使用すべきである。このような調節はハイブリダイゼーションおよび洗浄手順の間になされ、そして温度、イオン強度、ホルムアミドの濃度および反応時間の長さの調節を包含する。これらの因子は、例えば、Sambrook et al. 、supra に概説されている。
【0127】
より特定の態様において、前述の方法はPCVII 核酸特異的プローブの使用を含み、ここで2 つのプローブ(プライマー)はPCVII ゲノムの内部領域を定める。この態様において、各プローブはPCVII 核酸の内部領域に対して内部の3'末端を含有する1つの鎖を有する。次いで核酸/プローブのハイブリダイゼーション複合体を、プライマーエクステンション反応により、二本鎖プローブを含有するフラグメントに変換する。
【0128】
プローブを含有するフラグメントは、下記の工程を連続的に反復することによって増幅される:(i) 二本鎖フラグメントを変性して一本鎖フラグメントを産生する、(ii)一本鎖をプローブとハイブリダイゼーションさせて鎖/プローブの複合体を形成する、(iii)DNAポリメラーゼおよびすべての4 つのデオキシリボヌクレオチドの存在下に鎖/プローブの複合体から二本鎖フラグメントを発生させる、そして(iv)所望の増幅の程度が達成されるまで、工程(i) 〜(iii) を反復する。次いで確立された手順に従い、増幅産物を同定する。本発明の方法は、さらに、前述の内部領域に選択的にハイブリダイゼーションすることができるが、増幅に使用した特定のプローブ/プライマー配列にハイブリダイゼーションすることができない、第3 のポリヌクレオチドプローブを含むことができる。
【0129】
PCR 技術、例えば、前述の技術はこの分野においてよく知られている。例えば、下記の文献を参照のこと:PCR Protocols A Guide to Methods and Applications(Academic Press);PCR A Practical Approach(IRL Press);Saiki et al.(1986)Nature 324:163。
【0130】
核酸をベースとするアッセイにおいて、他の増幅法、例えば、リガーゼ連鎖反応(LCR) 、PCR 、Q-ベータレプリカーゼ、およびその他を使用することもできる。本発明において使用する他のアッセイは「バイオ−ブリッジ」系を包含し、この系において、末端のデオキシヌクレオチドトランスフェラーゼを使用して未修飾3'- ポリ-dT-テイルを核酸プローブに付加する(Enzo Biochem.Corp.)。ポリdt- テイルドプローブをターゲットヌクレオチド配列に対してハイブリダイゼーションさせ、次いでビオチン修飾ポリ-Aに対してハイブリダイゼーションさせる。さらに、EP124221号明細書には、DNA ハイブリダイゼーションアッセイが記載されており、ここで酵素標識化オリゴヌクレオチドに対して相補的である一本鎖DNA プローブに分析物をアニーリングし、次いで生ずるテイルド二本鎖を酵素標識化オリゴヌクレオチドに対してハイブリダイゼーションさせる。
【0131】
EP204510号明細書には、DNA ハイブリダイゼーションアッセイが記載されており、ここでテイルを有するプローブ、例えば、ポリ-dT-テイル、このプローブに対してハイブリダイゼーションする配列、例えば、ポリ-A配列を有し、かつ複数の標識化鎖に結合することができるアンプリファイア鎖と、分析物DNA を接触させる。この技術は、まず、前述したように、血清中のターゲットPCVII 配列をほぼ106 配列/ml に増幅することを含むことができる。この分野において知られているハイブリダイゼーションアッセイにより、増幅された1 またはそれ以上の配列を検出することができる。
【0132】
さらに、PCVII ウイルスゲノムから誘導された核酸試料を、また、in situ ハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用することができる。一般に、このようなアッセイは、ホルマリン固定細胞培養調製物または組織、例えば、リンパ節、脾臓、扁桃腺、肝臓、肺、心臓、腎臓、膵臓、鼻甲介、大腸、小腸、およびその他を使用する。適当なin situ ハイブリダイゼーションアッセイの説明については、例えば、下記の文献を参照のこと:Sirinarumitr et al.(1996)J.Virol.Meth.56:149-160。
【0133】
前述のアッセイ試薬は、タンパク質、それらに対する抗体またはオリゴマーを包含し、前述したようなイムノアッセイを実施するための、使用説明書および他の必要な試薬とともに、キットの形態で入手可能である。このキットは、また、使用する特定のイムノアッセイに依存して、適当な標識および他の包装された試薬および材料(すなわち、洗浄緩衝液およびその他)を含有することができる。標準的イムノアッセイ、例えば、前述のアッセイは、これらのキットを使用して実施することができる。
本発明を実施するための、特定の態様を後述する。これらの実施例は説明を目的としてのみ提供され、そしていかなる方法おいても本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0134】
C. 実験
材料および方法
細胞培養物
Dulac 細胞系統、PCV を含有しないPK15誘導体は、John Ellis博士(University of Saskatchewan 、Saskatoon 、Saskatchewan) から入手した。Vero細胞系統はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)(ATCC)(Manssas、VA) から入手した。これらの細胞をATCCが示唆する培地中で培養し、37℃、5 %CO2 においてインキュベートした。
【0135】
ブタシルコウイルス
持続的に感染したPK15細胞(ATCC CCL33) から、古典的PCVIを単離した。PMWSの影響を受けた子豚からのリンパ節ホモジネートでチャレンジした子豚のリンパ節から、単離物PCVII 412 を得た。このチャレンジした子豚をPMWSで診断した。PCVII 412 の単離後の同一群れのPMWSの影響を受けた子豚からの抹消血のバッフィーコートから、単離物PCVII 9741を単離した。1997年の出産におけるPMWSが臨床的大発生した米国のブタの群れにおいて、影響を受けた子豚から単離物PCVIIB9を単離した。
【0136】
PCVIの増殖
持続的に感染したPK15細胞からのPCVIを増殖させ、Tischer et al.(1987)Arch.Virol.96:39-57 の変更した方法に従い、精製した。簡単に述べると、PK15細胞から収集したPCV を使用してPK15細胞の単層を約1moiにおいて重感染させた後、細胞を300mM のD-グルコサミンで処理した。細胞を1 回洗浄した後、5 %のFBSを含むDMEM(Gibco、カタログNo.21013) を細胞に添加し、そして細胞をさらに4日間インキュベートした。
【0137】
感染した細胞をこすり取り、1500×g において15分間遠心した後、収集した。次いで細胞ペレットを0.5 %のTriton X-114で37℃において30分間処理した。他の低速遠心により細胞デブリを除去した後、等しい量のFreon(Sigma 、カタログNo.T-5271)を上清に添加し、この混合物をPolytronにより最大速度で1 分間均質化した。次いでこの混合物を遠心し、上部層を収集し、等しい体積の0.1MのPBSと混合した。210,000 ×g において30分間20%のスクロースクッションの中に超遠心した後、ウイルスペレットを収集した。
【0138】
圃場単離物(PCVII )の培養
Dulac 細胞を使用する以外、PCVIと同様な方法で、単離物PCVII 412 を培養し、精製した。米国のPMWS大発生からの自己結合した全長のPCR 生成物でトランスフェクトされた、不均質性Vero細胞中で、単離物PCVII B9を成長させた。したがって、他のブタ病原体からの汚染の可能性は排除された。B9トランスフェクトされたVero細胞を連続的に継代培養し、前述したように、300mM のD-グルコサミンで処理した。
【0139】
ウイルスDNA の単離
感染したDulac およびVero細胞のペレット、抹消血バッフィーコート、感染した動物からの組織および血清を包含する、種々の源から、ウイルスDNA を抽出した。組織の試料をプロテイナーゼKで処理し、フェノール/クロロホルムまたはQiagen組織キット(Qiagen 、Santa Clarita 、CA) を使用して、ウイルスDNA を抽出した。同様にQiagen血液キットを使用して、ヘパリン化血液の抹消血バッフィーコートの細胞および血清からのDNA を収集した。
【0140】
子豚の感染
子豚は特定の無病原体の雌ブタに由来した。1日齢において、PMWSの影響を受けた子豚から収集したリンパ節のほぼ1gを各子豚に与えた。組織のホモジネートを経口および腹腔内経路の間で等しく分布させた。10匹の子豚を実験グループの各々において使用し、毎日7 週間観察した。2 つのグループをチャレンジし、そして2 つは非感染対照であった。また、1 つはチャレンジおよび1 つは対照である2 つのグループをシクロスポリンA(2mg/kg) で第0 日および第14日に処理した。子豚が自己離乳して高栄養密度の商業的に製造された飼料を食べるまで、子豚にカン入りミルク(Carnation) および水(50:50) を与えた。
【0141】
圃場PCR 単離物のPCR 、クローニングおよび配列決定
単離物PCVII 412 ウイルスゲノムの初期のクローニングのために、2 工程のアプローチを使用した。相補的配列およびPCV ゲノムDNA の円形の特質を利用する単一プライムドPCR を実施するために、保存されたループステムに対してハイブリダイゼーションしたプライマー、Loop-(表1 )を設計した。単一プライムドPCR のためのPCR 反応は2 段階プロセスであった。第1 段階は、5 サイクルの94℃における1 分間の変性、37℃における30秒間のアニーリングおよび72℃における2 分間のエクステンションから成っていた。第2 段階は、25サイクルの同様なプログラムから成っていたが、ただしアニーリング温度を52℃に増加した。
【0142】
PCR 生成物をTAクローニングベクター(Invitrogen 、Carlsbad、CA) の中にクローニングした。3 つの異なるクローンの双方の鎖を配列決定して、配列の忠実度を確実にした。得られた配列に基づいて、プライマー1000- およびR1F をウイルスDNA 配列の非コーディング領域において設計し、全長のウイルスゲノムをクローニングするために使用した。この研究において使用したすべてのプライマーの配列を表1 に示す。
【0143】
次いで全長のクローンからループ領域の配列を得た。単離物PCVII 9741およびPCVII B9の配列を精製したPCR プライマーから得た。植物バイオテクノロジー研究所(Plant Biotechnology Institute of NRC 、Canada) により実行された自動DNA 配列決定を、いくつかの内部のプライマーとともに使用した。単離物PCVII412(AF085695) 、PCVII(AF086835) およびPCVII B9(AF086834)の配列は、ナショナル・センター・フォー・バイオテクノロジー・インフォメーション(NationalCenter for Biological Information)(NCBI)に寄託された。
【0144】
【表1】
【0145】
配列の解析
他のシルコウイルスの配列をNCBIから入手した。種々の一般ドメイン、例えば、バイオロジー・ワークベンチ(Biology workbench) 、ブラスト・サーチ(Blast search)、DNA /タンパク質分析ツール、およびその他を配列の解析に使用した。クラスタル(Clustal)Wプログラム(Biology Workbench、インターネット・アドレス:http://biology.ncsa.uiuc.edu) を使用して、配列の整列を発生させ、そしてPAUP 3.1プログラム(David L.Swofford 、Laboratory of Molecular Systematics 、MRC534、MRC at Smithsonian Institution、Washington、D.C.) により、系統樹をつくった。
【0146】
多重PCR
PCR グループ特異的配列および株特異的配列を同定するために、2 組のプライマーを設計した。プライマー対1710+/850-はPCR グループ特異的であり、そして1100+/1570- は新規なPCV 株特異的対であり、これは新規なPCV をPK15細胞に由来するものとを識別する。2組のプライマーPCR 反応について同様なアニーリング温度を有し、そして標準的ホット開始PCR 反応において0.5Mの濃度で一緒に使用した。Ampli Taq Gold(Perkin Elmer)およびPlentinum Taq(Gibco)を使用した。
【0147】
抗血清
標準的ベルリン(Berlin)ウサギ抗PCVI抗体は、Tischer 博士(Koch Institute、Berlin、FRG)により提供された。水中油型エマルジョン中の50μg/投与において精製された単離物PCVII 412 で感染させた2匹のウサギから、ウサギ抗PCVII412 のプールした血清を得た。注射を21日の間隔で3 回反復した。PMWSの影響を受けた群れからの回復期ブタから、ブタ抗PMWS血清を収集した。
【0148】
ELISA
精製したPCV を炭酸ナトリウム緩衝液(0.05M)pH9.6中で0.5 μg/100 μl の濃度に希釈し、Immulon IIプレート(Synatech Laboratories,Inc.)を被覆するために使用した。プレートをTTBS(20mM のTris-HCl、500mM のNaCl、0.05%のツイーン20、 pH7.5) で6 回洗浄した後、連続希釈した一次ウサギまたはブタ抗体を添加した。TTBSで6 回洗浄した後、アルカリ性ホスファターゼ結合二次抗体(1/5000 希釈)、抗または抗ブタ(Kirkegaard & Perry) を添加した。プレートを100μl/ウェルの1Mのジエタノールアミン、0.5MのMgCl2 、pH9.8 中のp-ニトロフェニルホスフェート(PNPP 、3g/L )で展開し、プレートをELISA リーダー(BioRad)で405/490nm において読んだ。
【0149】
リンパ球表面のマーカーのFACS分析
血液試料を圃場においてPMWSの影響を受けた子豚および陰性の対照から収集した。RBC を溶解し、WBC を抗ブタCD3 、CD4 およびCD8 モノクローナル抗体で染色し、次いで蛍光標識化抗マウス二次抗体で染色した。特異的に標識化された細胞を2 %のホルムアルデヒドで固定し、5000細胞をFACS系(Becton Dickinson)で計数した。
【0150】
実施例1.PMWSの再現
PMWSはコントロールされた条件下に再現せず、病因学の研究は実行されてきていない。この疾患の原因となる因子を決定するために、材料および方法に記載されているように、多数の組織をPMWSの影響を受けたブタから集め、研究した。リンパ節は最も明らかな全般的病変、組織病理学的変化を表示し、そしてシルコウイルスの感染が免疫染色により確証された。したがって、リンパ節を前述のチャレンジの実験において使用した。
材料および方法に記載されているように実施したチャレンジ実験は、ブタにおけるPMWSの産生において成功した。特に、ある子豚は感染で死亡し、無症候的に感染した子豚は試験の終わりまでにPMWS様の微視的損傷を発生した。
【0151】
他のチャレンジ実験において、使用した出発材料は慢性消耗症およびリンパ節の拡大を有するブタの肺組織であった。これらの臨床的徴候はPMWSの特徴を示す。組織を無菌の0.1Mのリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS )と組合わせ、ポリトロンミキサーに通過させて均質化した。粗製の組織のホモジネートを使用してブタをチャレンジした。
【0152】
特に、合計40匹の子豚(ほぼ1 日齢)をランダムに(一腹子の出生、ジェンダーおよび体重によりバランスさせた)「組織のチャレンジ」、「シクロスポリン-Aによるチャレンジ」、「対照」または「シクロスポリン-A」処置のグループに割当てた。シクロスポリンの処置は、薬物投与後3 時間で、シクロスポリンがそれらのブタの血液の中に検出される以外、処置したブタに臨床的または血液学的作用をもたなかった。それゆえ、グループを分析のためにシクロスポリン処置を通して崩壊させた。
【0153】
一般に、チャレンジしたブタにおけるPMWS疾患の死後徴候は、リンパ節の拡大および肺組織の不完全なつぶれを含んだ。PMWS疾患の死後徴候は、プラシーボで処置したグループ(18匹のうちの2 匹)よりも組織抽出物で処置したグループ(9 匹のうちの7 匹のブタ)において有意に(p<0.01; 両側検定フィッシャー抽出試験)より多いブタにおいて検出された。組織抽出物の注射(212g/ 日)により処置したグループにおける平均の毎日増加は、プラシーボ(202g/ 日)を与えたグループと実質的に異ならなかった。
【0154】
血液の試料を実験を通じて採取し、そして組織の試料を死後に取った。PCR プライマー1230- および400+( 表1 )を使用するPCR により、試料をPCVII ウイルスDNA について試験し、これにより830 塩基対の産物が得られた。肺組織の抽出物で処置したブタの4 匹は陽性の血液試料を有した;これに対してプラシーボを与えた子豚のいずれにおいても、血液試料の中にPCVII DNA は検出されなかった。PCVII は「ウイルスのチャレンジ」処置グループにおける8 匹の生存するブタのうちの7 匹からの1 またはそれ以上の組織において検出されたが、対照グループにおけるブタからのすべての組織はPCVII について陰性であった。分割表の分析は有意差を示した(p<0.001;両側検定フィッシャー抽出試験)。
【0155】
他のチャレンジ実験において、慢性消耗症およびリンパ節の拡大を有するブタの肺組織を収集し、遠心により組織のデブリを除去した(8000rpm 、30分)。上清を塩化カルシウム段階的勾配に適用し、100,000 ×g において遠心した。バンドは41%のCaCl2(1.28g/ml) および63%(1.40g/ml)の間に出現した。これらのバンドを30%のCaCl2「フット」 に適用し、100,000 ×g において2 時間遠心した。ペレットを15mlの無菌の0.1MのPBS の中に再懸濁させた。
【0156】
合計20匹の離乳した子豚(ほぼ3 週齢)をランダムに(一腹子の出生、ジェンダーおよび体重によりバランスさせた)「対照」または「ウイルスのチャレンジ」処置のグループに割当てた。ブタをほぼ3 週齢の第0 日に離乳させた。一般に、PMWS疾患の臨床的徴候はリンパ節の拡大および消耗症または低い成長を含んだ。リンパ節の拡大はプラシーボで処置したグループ(1 匹のブタ)よりもウイルスで処置したグループにおけるブタ(7 匹のブタ)において有意に(p<0.02; 両側検定フィッシャー抽出試験)より多いブタにおいて検出された。ウイルスの注射(580g/ 日)により処置したグループにおける平均の毎日増加は、プラシーボ(616g/ 日)を与えたグループよりも少ない傾向があったが、差は有意ではなかった(p=0.17; 両側検定フィッシャー抽出試験)。内部の器官(肝臓、肺、心臓、脾臓、腎臓)の相対質量に関して、グループの間に差は存在しなかった。
【0157】
実験を通じて得た血液試料および死後に取った組織試料を、前述の技術に従いPCVII ウイルスDNA について試験した。
安楽死直前に取ったものを含む、すべての血液試料はPCVII について陰性であった。「ウイルスのチャレンジ」処置グループにおける10匹のブタのうちの8 匹についての1 またはそれ以上の組織においてPCVII が検出された;これに対して対照グループにおけるブタからのすべての試験した組織はPCVII について陰性であった。分割表の分析は、これが有意差であることを示した(p<0.001;両側検定フィッシャー抽出試験)。
結論すると、組織抽出物およびPCVII を含有する勾配精製されたウイルス材料を離乳子豚に注射すると、多数の組織の感染を生ずることが、これらの実験により確証される。感染は少なくとも8 週の期間の間持続する。
【0158】
実施例2.PCVII の単離および増殖
PMWSのための1 またはそれ以上の感染性の原因となる因子の存在を決定するために、ブタ#412 、実験的にチャレンジした子豚(感染後21日に殺した)、からの種々の組織をウイルスの単離のために使用した。Dulac 細胞中でブタ#412 からのリンパ節試料を連続的に継代培養した後、ウイルスの蓄積または適応を観測した。前述したように、標準的ベルリン抗PCV 抗体を使用するELISA により測定して、細胞変性作用のユニークなパターンが最初に発生し、次いでウイルス力価が増加した。
次いで、単離物PCVII 412 で感染したDulac 細胞中でシルコウイルスの存在を、電子顕微鏡検査により検出した。6 継代培養後、ウイルスの構造タンパク質をウェスタンブロット分析により首尾一貫して検出することができた。
【0159】
実施例3.PMWSの影響を受けた群れにおける無症候的に感染した回復期の子豚における特異的抗PCVII 抗体
ブタシルコウイルスは多少の不均質性を有するように思われたので、PMWSが大発生した群れから集めた子豚の血清を、PCV および単離物PCVII 412 ウイルスに対して、使用してELISA を実施した。無症候的にPCVII 感染し、回復期の子豚の大部分は、PCVII に対して特異的抗体を発生させたが、PCVIに対して発生しなかった。
【0160】
実施例4.PCVII ウイルスおよびウイルスゲノムDNA の単離、クローニングおよび配列決定
ブタシルコウイルスの2 つの株の間の遺伝的差を説明するために、感染したDulac 細胞からウイルスDNA を抽出した。PCVIとPCVII との間の可能な遺伝的無関係を考慮して、アプローチは大部分の保存された領域から1 または2 以上のプライマーを設計することであった。PK15 PCV DNA配列の以前の分析(Mankertz et al.(1997)J.Gen.Virol.71:2562-2566;Meehan et al.(1997)J.Gen.Virol.78:221-227) は、複製起点におけるステム・ループ構造を明らかにした。
【0161】
この重要なドメインは高度に保存される特質を有するので、ステム・ループ領域の逆方向反復配列をターゲッティングする、単一のプライマー、Loop− 、を設計した。単一プライマーのPCR によりPCVII 412 ウイルスDNA の増幅は成功した。TAクローニングベクターの中にクローニングした後、いくつかのクローンおよび双方のセンスからの自動化された配列決定により、ウイルスゲノムの配列を得て忠実度を確実にした。次いで、ウイルスの非コーディング領域のみからの1000- およびR1F のプライマーにより発生させた、第2 の全長ののクローンから、ステム・ループまたはプライマー領域の実際の配列を得た。PMWS 412についてのヌクレオチド配列を第2A図〜第2C図の上部のラインに示す。
【0162】
同様なプライマーを使用して、PCVII 412 と同一の群れからのPCVII 9741および米国におけるPMWSの大発生からのPCVII B9を包含する、他のPCVII 単離物を得た。これらの株を配列決定し、PCVII 412 およびPCVIと比較した。PCVII 412 とPCVIとの比較については第2A図〜第2C図、そしてPCVII 412 配列と種々のPCV 単離物との比較については第4A図〜第4B図を参照のこと。
【0163】
PAUP 3.1プログラムを使用する系統発生的分析の結果は、新しいPMWS単離物が密接に関係し、そして異なる集団においてPCVIと関係することを示唆した。したがって、これらの単離物を「PCVII 」単離物と命名した。新規なブタシルコウイルスの単離物の間のヌクレオチド配列の相同性の百分率は99%より大きい同一性であった。対照的に、これらのヌクレオチド配列をPK15 PCVI と比較すると、わずかに75.8%の全体のヌクレオチド配列の相同性が示された。異なる領域においてヌクレオチド配列の比較分析は、これらのウイルスの推定上の複製関連タンパク質遺伝子が81.4%の相同性を共有するが、他の大きいORF のヌクレオチド配列はわずかに67.6%相同的であることをさらに明らかにした。
【0164】
さらに、ヌクレオチドの挿入および欠失(インデル)が3 つの領域において見出された。ORF 1 によりコードされる推定上の35.8kdのタンパク質の開始コドンをフランクするPCVI配列38−61の間において、新しい単離物の中に、13塩基の挿入が存在する。ブタシルコウイルスの2 つの最大ORF (他のORF はアンチセンスであった)の末端および結合領域に、15塩基を含有する、PCVI 915−1033の区域が存在した。
【0165】
15塩基のインデルを有する1529−1735からのPCVIをカバーする、第3 領域は、ORF 6 によりコードされる推定上の27.8kdのタンパク質のアミン末端に位置する。また、PCVI配列をシルコウイルス科(Circoviridae)のメンバーの残部の入手可能な配列と比較した。PCVIはニワトリの貧血ウイルス(CAV) および嘴および毛の疾患ウイルス(BFDV)( それらの双方はトリシルコウイルスである)に対するよりも、バナナ房上部ウイルス(BBTV)、植物ウイルス、に密接に関係する。
【0166】
単離物PCVII 412 の遺伝子地図を第1 図に示す。50アミノ酸残基より大きいアミノ酸残基のタンパク質をコードする合計6 の潜在的ORF が存在する。PCVII 412 とPK15 PCVI とを比較すると、ORF の4 つにおける相同性が明らかとなった(表2 )。35.8kd、すなわち、推定上のDNAレプリカーゼタンパク質、は以前に予測された(Meehan et al.(1997)J.Gen.Virol.78:221-227) 。これらのタンパク質の分析は、35.8kdおよびアンチセンス27.8kdのタンパク質が核タンパク質であることを予測した。ヌクレオチド配列の分析は、また、2 つのタンパク質の開始コドンが複製起点の33塩基内に存在し、これらはまたプロモーターであることができることを示した。
【0167】
さらに、双方ORF は真正の停止コドンおよびポリA テイルシグナルで終わっていた。予測されたタンパク質のいくつか(サイズに基づく)がウェスタンブロットにおいて見出されたので、これらの発見は、ブタシルコウイルスmRNAが複製された形態の双方のセンスから転写されうることを示唆する。しかしながら、ウェスタンブロット分析により検出されたPCVII 412 単離物について共通の31kdのタンパク質および追加の30kdのタンパク質をコードするために十分に長い、コード配列は存在しない。これが示すように、翻訳後の切断および/またはRNA のスプライシングをブタシルコウイルスのタンパク質のいくつかの発現に関係づけることができる。
【0168】
【表2】
【0169】
実施例5.分子クローニング法を使用するPCVII の精製
多数のブタ由来の細胞系統の中に見出されるブタレトロウイルスで、Dulac 細胞が感染されることが見出された。さらに、他のブタ病原体もまたPMWSの影響を受けた子豚におけるPCVII に終始一貫しないで関連することが見出された。こうして、純粋なPCVII 培養物得るために、リポソームを使用して、遺伝的にクローニングされたPCVII DNA を感受性の非ブタ由来のVero細胞に移した。2 継代培養後、増幅されたPCV 抗原が細胞の中に検出された。PCVII は複製し、核の中に蓄積し、細胞の有糸分裂の間の細胞質および他の細胞の中に放出された。
【0170】
実施例6.PCVII の同定およびPMWSの診断における多重PCR
ブタシルコウイルスの2 つの株、PCVIおよびPCVII 、を識別するために、ウイルスDNA 配列の比較解析に基づいて、2 組のプライマーを設計した。PCV グループ特異的対の1710+/850 、および単離物PCVII 412 株特異的1100+/1570- を多重PCR において使用して、圃場試料を試験した。凍結した組織および抹消血のバッフィーコートの細胞とともに、これらのプライマーを使用した。
【0171】
それらのプライマーを使用する、多重PCR により判定して、これらの試料においてPCVII の感染を同定したばかりでなく、かつまた圃場試料の遺伝的関連性をまた決定した。電子顕微鏡検査により、シルコウイルスの存在を後に確証した。
PMWSの影響を受けた群れから収集した特異的の他のグループを使用して、この診断法の潜在能をさらに試験した(図5 参照)。PMWSの影響を受けた子豚における、ほとんどすべての試験において、PCVII DNA 配列を同定することができた (図6)。
【0172】
実施例7.PMWSの大発生の前およびその間におけるPCVII ウイルス血症
血清を使用するPCR 開発により、特異的抗PCVII 抗体を示すブタの群れにおけるPCVII ウイルス血症を試験することができる。23匹の子豚のグループを1 日齢から7 週までモニターし、そしてほぼ2 週の間隔で試料を集めた。23匹の子豚のうちの9 匹において検出されたPCVII ウイルス血症の出現/消失により示されるように、PCVII ウイルス血症の全過程およびPMWSの大発生が観測された。PCVII ウイルス血症を示した子豚の大部分はPMWSを発生し、いくつかは苛酷なPMWSを示した。典型的なブタにおけるPMWSの発現を表3 に示す。大部分の器官および組織において、全般的病変が見出された( 表3 )。
【0173】
【表3】
【0174】
実施例8.PMWSの影響を受けた子豚における宿主免疫系機能障害
リンパ球の浸潤は組織の大部分において見出されたが、リンパ球の消耗はすべてのリンパ球系組織において終始一貫して見出されたことは興味深いことである (表3)。また、CD4 細胞の減少およびCD8 細胞の増加が見られたが、CD3 細胞は比較的安定に止まった(表4 、平均値は2 つのPMWSの影響を受けた子豚および40匹の陰性対照の子豚からものである)。これらの変化は、1.58から0.13に著しく低下するCD4/CD8 比を生じた。これらの発見から示唆されるように、PCVII は宿主免疫系の機能障害を誘起し、したがってPCVII および多分他の病原体に対する宿主の免疫応答を抑制することができる。こうして、PMWSは子豚における免疫不全の疾患であるように思われる。
【0175】
【表4】
【0176】
こうして、新規なPCVII 単離物のクローニング、発現および特性決定、ならびにそれらを使用する方法が開示された。本発明の好ましい態様が多少詳細に記載されたが、添付された請求の範囲により定義される本発明の精神および範囲から逸脱しないで明らかな変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】図1は、PCVII 412 の線図であり、オープンリーディングフレームの位置を示す。
【図2A】図2Aは、PCVII 412 ゲノムのヌクレオチド配列(配列番号:1)を描写する。双方のセンスが示されている。種々のORF の翻訳産物に対応するアミノ酸配列がまた示されている:ORF 1(配列番号:3);ORF 2 (配列番号:9);ORF 3 (配列番号:7);ORF 4 (配列番号:20 );ORF 5 (配列番号:21 );およびORF 6 (配列番号:5)。
【図2B】図2Bは、PCVII 412 ゲノムのヌクレオチド配列(配列番号:1)を描写する。双方のセンスが示されている。種々のORF の翻訳産物に対応するアミノ酸配列がまた示されている:ORF 1(配列番号:3);ORF 2 (配列番号:9);ORF 3 (配列番号:7);ORF 4 (配列番号:20 );ORF 5 (配列番号:21 );およびORF 6 (配列番号:5)。
【図2C】図2Cは、PCVII 412 ゲノムのヌクレオチド配列(配列番号:1)を描写する。双方のセンスが示されている。種々のORF の翻訳産物に対応するアミノ酸配列がまた示されている:ORF 1(配列番号:3);ORF 2 (配列番号:9);ORF 3 (配列番号:7);ORF 4 (配列番号:20 );ORF 5 (配列番号:21 );およびORF 6 (配列番号:5)。
【図3A】図3Aは、PCVII 412 のオープンリーディングフレーム/PK15細胞から単離されたPCVIの対応するオープンリーディングフレームからのアミノ酸配列の比較である。PCVII 412 のORF 1 (上部ライン、配列番号:3)/PCVIからの対応するORF(下部ライン、配列番号:4)のアミノ酸配列の比較を示す。
【図3B】図3Bは、PCVII 412 のオープンリーディングフレーム/PK15細胞から単離されたPCVIの対応するオープンリーディングフレームからのアミノ酸配列の比較である。PCVII 412 のORF 6 (上部ライン、配列番号:5)/PCVIからの対応するORF(下部ライン、配列番号:6)のアミノ酸配列の比較を示す。
【図3C】図3Cは、PCVII 412 のオープンリーディングフレーム/PK15細胞から単離されたPCVIの対応するオープンリーディングフレームからのアミノ酸配列の比較である。PCVII 412 のORF 3 (上部ライン、配列番号:7)/PCVIからの対応するORF(下部ライン、配列番号:8)のアミノ酸配列の比較を示す。
【図3D】図3Dは、PCVII 412 のオープンリーディングフレーム/PK15細胞から単離されたPCVIの対応するオープンリーディングフレームからのアミノ酸配列の比較である。PCVII 412 のORF 2 (上部ライン、配列番号:9)/PCVIからの対応するORF(下部ライン、配列番号:10)のアミノ酸配列の比較を示す。
【図4A】図4Aは、種々のPCV 単離物のヌクレオチド配列の比較である:PK15細胞からのPCVI(配列番号:2)、PCVII 412 (配列番号:1)、PCVII 9741(配列番号:11 )およびPCVII B9(配列番号:12 、配列番号:24)。
【図4B】図4Bは、種々のPCV 単離物のヌクレオチド配列の比較である:PK15細胞からのPCVI(配列番号:2)、PCVII 412 (配列番号:1)、PCVII 9741(配列番号:11 )およびPCVII B9(配列番号:12 、配列番号:24)。
【図5】図5は、PCV 感染の検出のために使用する多重PCR の結果を示す。このアッセイは、PCV 感染を同定し、かつPCVIの存在とPCVII の存在とを区別した。レーン1 は分子量マーカーである。レーン2 〜レーン4 はPCVII 、PCVIおよび陰性の順序の対照である。レーン5 〜レーン13はPMWSの影響を受けた群れからの子豚から収集した血液試料である。
【図6】図6は、PMWSの影響を受けた子豚からの種々の試料について実施した多重PCRの結果を示す。双方の行におけるレーン1 は分子量マーカーである。上部の行におけるレーン2 は陽性のPCVII の対照であるが、レーン3 は陰性の対照である。残りのレーンは、PMWSの影響を受けた子豚から収集した種々の組織の試料である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブタシルコウイルスII型(PCVII)ヌクレオチド配列に対して選択的にハイブリダイズすることができ、PCVIIを検出するためのプローブとして使用するための、又はPCVIIの診断試薬又はPCVIIに対するワクチン抗原として作用することができるポリペプチドの生成のための、第4A図〜第4B図に描写されているPCVII配列(配列番号1、配列番号11、配列番号12及び配列番号24)から誘導されるか、あるいはそれらに対して相補的である、少なくとも8個の隣接ヌクレオチド含んでなる、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項2】
前記ポリヌクレオチドが、少なくとも10個の長さのヌクレオチドである、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
前記ポリヌクレオチドが、少なくとも15個の長さのヌクレオチドである、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
前記ポリヌクレオチドが、少なくとも20個の長さのヌクレオチドである、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
PCVIIを検出するためのプローブとして使用するための、又はPCVIIの診断試薬又はPCVIIに対するワクチン抗原として作用することができるポリペプチドの生成のための、第3B図に描写されるPCVIIアミノ酸配列(配列番号5)に対して少なくとも85%の同一性を有するPCVIIアミノ酸配列の少なくとも25個の隣接アミノ酸をコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項6】
第3B図に描写されるPCVIIアミノ酸配列(配列番号5)に対して少なくとも90%の同一性を有する、請求項5記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
第3B図に描写されるPCVIIアミノ酸配列(配列番号5)に対して少なくとも95%の同一性を有する、請求項5記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド553〜729を含んでなるか、又は配列番号20のアミノ酸配列を有するPCVII特異的ポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項9】
PCVIIを検出するためのプローブとして使用するための、又はPCVIIの診断試薬又はPCVIIに対するワクチン抗原として作用することができるポリペプチドの生成のための、配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列553〜729に対して少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んでなる、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項10】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列553〜729に対して少なくとも85%の同一性を有する、請求項9記載のポリヌクレオチド。
【請求項11】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列553〜729に対して少なくとも90%の同一性を有する、請求項9記載のポリヌクレオチド。
【請求項12】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列553〜729に対して少なくとも95%の同一性を有する、請求項9記載のポリヌクレオチド。
【請求項13】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列553〜729に対して少なくとも98%の同一性を有する、請求項9記載のポリヌクレオチド。
【請求項14】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド1016〜1174を含んでいるか、又は配列番号21のアミノ酸配列を有するPCVII特異的ポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項15】
PCVIIを検出するためのプローブとして使用するための、又はPCVIIの診断試薬又はPCVIIに対するワクチン抗原として作用することができるポリペプチドの生成のための、配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列1016〜1174に対して少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んでなる、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項16】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列1016〜1174に対して少なくとも85%の同一性を有する、請求項15記載のポリヌクレオチド。
【請求項17】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列1016〜1174に対して少なくとも90%の同一性を有する、請求項15記載のポリヌクレオチド。
【請求項18】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列1016〜1174に対して少なくとも95%の同一性を有する、請求項15記載のポリヌクレオチド。
【請求項19】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列1016〜1174に対して少なくとも98%の同一性を有する、請求項15記載のポリヌクレオチド。
【請求項20】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド1735〜1037を含んでなる、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項21】
PCVIIを検出するためのプローブとして使用するための、又はPCVIIの診断試薬又はPCVIIに対するワクチン抗原として作用することができるポリペプチドの生成のための、配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列1735〜1037に対して少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んでなる、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項22】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列1735〜1037に対して少なくとも85%の同一性を有する、請求項21記載のポリヌクレオチド。
【請求項23】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列1735〜1037に対して少なくとも90%の同一性を有する、請求項21記載のポリヌクレオチド。
【請求項24】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列1735〜1037に対して少なくとも95%の同一性を有する、請求項21記載のポリヌクレオチド。
【請求項25】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列1735〜1037に対して少なくとも98%の同一性を有する、請求項21記載のポリヌクレオチド。
【請求項26】
請求項5〜25のいずれか1項記載のポリヌクレオチドによりコードされる、単離されたポリペプチド。
【請求項27】
前記ポリヌクレオチドが、プロモーター制御下にある、請求項1〜25のいずれか1項記載のポリヌクレオチド。
【請求項28】
請求項1〜25のいずれか1項記載のポリヌクレオチドを含んでなる、インビボ又はインビトロ発現ベクター。
【請求項29】
前記ベクターが、ポックスウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス及び核酸ベクターから成る群から選択される、請求項28記載のインビボ発現ベクター。
【請求項30】
請求項28又は29記載のインビボ発現ベクター、及び医薬ビークルを含んでなる、組成物。
【請求項31】
前記ベクターが、バキュロウイルスである、請求項28記載のインビトロ発現ベクター。
【請求項32】
請求項28記載のインビトロ発現ベクターにより形質転換される宿主細胞。
【請求項33】
前記細胞が、細菌細胞、哺乳類細胞又は昆虫細胞である、請求項32記載の宿主細胞。
【請求項34】
請求項32記載の宿主細胞を供給し、そして組換えベクターに存在するコード配列によりコードされるPCVIIポリペプチドが発現される条件下で、前記細胞を培養することを含んで成る、組換えPCVIIポリペプチドの製造方法。
【請求項35】
請求項34記載の方法により精製されるポリペプチド。
【請求項36】
配列番号20の少なくとも25個の隣接アミノ酸を含んでなる、単離されたポリペプチド。
【請求項37】
PCVIIの診断試薬又はPCVIIに対するワクチン抗原として使用するための、配列番号20のPCVIIのアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するPCVIIアミノ酸配列の少なくとも25個の隣接のアミノ酸を含んでなる、単離されたポリペプチド。
【請求項38】
配列番号20のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する、請求項37記載のポリペプチド。
【請求項39】
配列番号20のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有する、請求項37記載のポリペプチド。
【請求項40】
配列番号21の少なくとも25個の隣接アミノ酸を含んでなる、単離されたポリペプチド。
【請求項41】
PCVIIの診断試薬又はPCVIIに対するワクチン抗原として使用するための、配列番号21のPCVIIのアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するPCVIIアミノ酸配列の少なくとも25個の隣接のアミノ酸を含んでなる、単離されたポリペプチド。
【請求項42】
配列番号21のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する、請求項41記載のポリペプチド。
【請求項43】
配列番号21のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有する、請求項41記載のポリペプチド。
【請求項44】
請求項35〜43のいずれかの1項記載のポリペプチド、医薬ビークル、及び任意には、アジュバントを含んでなる、組成物。
【請求項45】
ムラミルジペプチド、アブリジン(avridine)、水性アルミニュウム、ジメチルオクタデシルアンモニウム臭化物、油中水エマルジョン、水中油エマルジョン、サポニン及びサイトカインから成る群から選択されたアジュバントを含んで成る、請求項44記載の組成物。
【請求項46】
下記工程:
(a)第2A図〜第2C図又は第4A図~第4B図に描写されるPCVII配列、又は配列番号1, 11, 12又は24から誘導されるか、もしくはそれらに対して相補的である少なくとも8個の隣接ヌクレオチドを含んで成る、PCVIIヌクレオチドに対して選択的にハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドと生物学的試料とを、前記ヌクレオチドと、前記生物学的試料に存在するPCVIIヌクレオチドとの間での核酸複合体の形成を促進する条件下でインキュベートし;そして
(b)前記ポリヌクレオチドを含む複合体を検出することを含んで成る、生物学的試料におけるPCVIIを検出するための核酸ハイブリダイゼーションアッセイ。
【請求項47】
(a)第2A図〜第2C図又は第4A図~第4B図に描写されるPCVII配列、又は配列番号1, 11, 12又は24から誘導されるか、もしくはそれらに対して相補的である少なくとも8個の隣接ヌクレオチドを含んで成る、PCVIIヌクレオチドに対して選択的にハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドと生物学的試料とを、前記ヌクレオチドと、前記生物学的試料に存在するPCVIIヌクレオチドとの間での核酸複合体の形成を促進する条件下でインキュベートし;そして
(b)前記ポリヌクレオチドを含む複合体を検出することを含んで成る、生物学的試料におけるPCVII相同配列の検出方法。
【請求項48】
第2A図〜第2C図又は第4A図~第4B図に描写されるPCVII配列、又は配列番号1, 11, 12又は24から誘導されるか、もしくはそれらに対して相補的である少なくとも8個の隣接ヌクレオチドを含んで成る、PCVIIヌクレオチドに対して選択的にハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド;及び診断試験を行うための使用説明書を含んでなる、ブタにおけるPCVII感染を検出するための診断試験キット。
【請求項49】
前記ポリヌクレオチドが、少なくとも10個の隣接ヌクレオチドを含んで成る、請求項46記載のアッセイ、又は請求項47記載の方法、又は請求項48記載の試験キット。
【請求項50】
前記ポリヌクレオチドが、少なくとも12個の隣接ヌクレオチドを含んで成る、請求項46記載のアッセイ、又は請求項47記載の方法、又は請求項48記載の試験キット。
【請求項51】
前記ポリヌクレオチドが、少なくとも15個の隣接ヌクレオチドを含んで成る、請求項46記載のアッセイ、又は請求項47記載の方法、又は請求項48記載の試験キット。
【請求項52】
前記ポリヌクレオチドが、少なくとも20個の隣接ヌクレオチドを含んで成る、請求項46記載のアッセイ、又は請求項47記載の方法、又は請求項48記載の試験キット。
【請求項53】
前記ポリヌクレオチドが、少なくとも25個の隣接ヌクレオチドを含んで成る、請求項46記載のアッセイ、又は請求項47記載の方法、又は請求項48記載の試験キット。
【請求項54】
前記ハイブリダイゼーションが、緊縮条件下で行われる、請求項46記載のアッセイ、又は請求項47記載の方法、又は請求項48記載の試験キット。
【請求項55】
前記ポリヌクレオチドが、標識され、そして前記複合体が前記標識の存在を検出することにより検出される、請求項46記載のアッセイ、又は請求項47記載の方法。
【請求項56】
前記検出が、
(a)2種のPCVII核酸特異的プローブを使用し(ここで前記2種のプローブは、PCVII核酸の内部領域を定め、そして個々のプローブは、前記領域に対して内部の3’末端を含有する1つの鎖を有し)、前記核酸/プローブハイブリダイゼーション複合体を、プライマーエクステンション反応により二本鎖プローブ含有フラグメントに変換し、
(b)下記工程を連続的に反復することによって、プローブ含有フラグメントの数を増幅し、(i)二本鎖のフラグメントを変性して一本鎖フラグメントを生成し、(ii)一本鎖をプローブとハイブリダイゼーションさせて鎖/プローブ複合体を形成し、(iii)DNAポリメラーゼ及びすべての4種のデオキシリボヌクレオチドの存在下で鎖/プローブ複合体から二本鎖フラグメントを発生させ、そして(iv)所望の程度の増幅が達成されるまで、工程(i)〜(iii)を反復し;そして
(c)増幅生成物を同定することを含んでなる、請求項46記載のアッセイ、又は請求項47記載の方法。
【請求項1】
ブタシルコウイルスII型(PCVII)ヌクレオチド配列に対して選択的にハイブリダイズすることができ、PCVIIを検出するためのプローブとして使用するための、又はPCVIIの診断試薬又はPCVIIに対するワクチン抗原として作用することができるポリペプチドの生成のための、第4A図〜第4B図に描写されているPCVII配列(配列番号1、配列番号11、配列番号12及び配列番号24)から誘導されるか、あるいはそれらに対して相補的である、少なくとも8個の隣接ヌクレオチド含んでなる、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項2】
前記ポリヌクレオチドが、少なくとも10個の長さのヌクレオチドである、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
前記ポリヌクレオチドが、少なくとも15個の長さのヌクレオチドである、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
前記ポリヌクレオチドが、少なくとも20個の長さのヌクレオチドである、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
PCVIIを検出するためのプローブとして使用するための、又はPCVIIの診断試薬又はPCVIIに対するワクチン抗原として作用することができるポリペプチドの生成のための、第3B図に描写されるPCVIIアミノ酸配列(配列番号5)に対して少なくとも85%の同一性を有するPCVIIアミノ酸配列の少なくとも25個の隣接アミノ酸をコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項6】
第3B図に描写されるPCVIIアミノ酸配列(配列番号5)に対して少なくとも90%の同一性を有する、請求項5記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
第3B図に描写されるPCVIIアミノ酸配列(配列番号5)に対して少なくとも95%の同一性を有する、請求項5記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド553〜729を含んでなるか、又は配列番号20のアミノ酸配列を有するPCVII特異的ポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項9】
PCVIIを検出するためのプローブとして使用するための、又はPCVIIの診断試薬又はPCVIIに対するワクチン抗原として作用することができるポリペプチドの生成のための、配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列553〜729に対して少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んでなる、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項10】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列553〜729に対して少なくとも85%の同一性を有する、請求項9記載のポリヌクレオチド。
【請求項11】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列553〜729に対して少なくとも90%の同一性を有する、請求項9記載のポリヌクレオチド。
【請求項12】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列553〜729に対して少なくとも95%の同一性を有する、請求項9記載のポリヌクレオチド。
【請求項13】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列553〜729に対して少なくとも98%の同一性を有する、請求項9記載のポリヌクレオチド。
【請求項14】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド1016〜1174を含んでいるか、又は配列番号21のアミノ酸配列を有するPCVII特異的ポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項15】
PCVIIを検出するためのプローブとして使用するための、又はPCVIIの診断試薬又はPCVIIに対するワクチン抗原として作用することができるポリペプチドの生成のための、配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列1016〜1174に対して少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んでなる、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項16】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列1016〜1174に対して少なくとも85%の同一性を有する、請求項15記載のポリヌクレオチド。
【請求項17】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列1016〜1174に対して少なくとも90%の同一性を有する、請求項15記載のポリヌクレオチド。
【請求項18】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列1016〜1174に対して少なくとも95%の同一性を有する、請求項15記載のポリヌクレオチド。
【請求項19】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列1016〜1174に対して少なくとも98%の同一性を有する、請求項15記載のポリヌクレオチド。
【請求項20】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド1735〜1037を含んでなる、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項21】
PCVIIを検出するためのプローブとして使用するための、又はPCVIIの診断試薬又はPCVIIに対するワクチン抗原として作用することができるポリペプチドの生成のための、配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列1735〜1037に対して少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列を含んでなる、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項22】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列1735〜1037に対して少なくとも85%の同一性を有する、請求項21記載のポリヌクレオチド。
【請求項23】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列1735〜1037に対して少なくとも90%の同一性を有する、請求項21記載のポリヌクレオチド。
【請求項24】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列1735〜1037に対して少なくとも95%の同一性を有する、請求項21記載のポリヌクレオチド。
【請求項25】
配列番号1、配列番号11、配列番号12又は配列番号24のヌクレオチド配列1735〜1037に対して少なくとも98%の同一性を有する、請求項21記載のポリヌクレオチド。
【請求項26】
請求項5〜25のいずれか1項記載のポリヌクレオチドによりコードされる、単離されたポリペプチド。
【請求項27】
前記ポリヌクレオチドが、プロモーター制御下にある、請求項1〜25のいずれか1項記載のポリヌクレオチド。
【請求項28】
請求項1〜25のいずれか1項記載のポリヌクレオチドを含んでなる、インビボ又はインビトロ発現ベクター。
【請求項29】
前記ベクターが、ポックスウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス及び核酸ベクターから成る群から選択される、請求項28記載のインビボ発現ベクター。
【請求項30】
請求項28又は29記載のインビボ発現ベクター、及び医薬ビークルを含んでなる、組成物。
【請求項31】
前記ベクターが、バキュロウイルスである、請求項28記載のインビトロ発現ベクター。
【請求項32】
請求項28記載のインビトロ発現ベクターにより形質転換される宿主細胞。
【請求項33】
前記細胞が、細菌細胞、哺乳類細胞又は昆虫細胞である、請求項32記載の宿主細胞。
【請求項34】
請求項32記載の宿主細胞を供給し、そして組換えベクターに存在するコード配列によりコードされるPCVIIポリペプチドが発現される条件下で、前記細胞を培養することを含んで成る、組換えPCVIIポリペプチドの製造方法。
【請求項35】
請求項34記載の方法により精製されるポリペプチド。
【請求項36】
配列番号20の少なくとも25個の隣接アミノ酸を含んでなる、単離されたポリペプチド。
【請求項37】
PCVIIの診断試薬又はPCVIIに対するワクチン抗原として使用するための、配列番号20のPCVIIのアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するPCVIIアミノ酸配列の少なくとも25個の隣接のアミノ酸を含んでなる、単離されたポリペプチド。
【請求項38】
配列番号20のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する、請求項37記載のポリペプチド。
【請求項39】
配列番号20のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有する、請求項37記載のポリペプチド。
【請求項40】
配列番号21の少なくとも25個の隣接アミノ酸を含んでなる、単離されたポリペプチド。
【請求項41】
PCVIIの診断試薬又はPCVIIに対するワクチン抗原として使用するための、配列番号21のPCVIIのアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するPCVIIアミノ酸配列の少なくとも25個の隣接のアミノ酸を含んでなる、単離されたポリペプチド。
【請求項42】
配列番号21のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する、請求項41記載のポリペプチド。
【請求項43】
配列番号21のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有する、請求項41記載のポリペプチド。
【請求項44】
請求項35〜43のいずれかの1項記載のポリペプチド、医薬ビークル、及び任意には、アジュバントを含んでなる、組成物。
【請求項45】
ムラミルジペプチド、アブリジン(avridine)、水性アルミニュウム、ジメチルオクタデシルアンモニウム臭化物、油中水エマルジョン、水中油エマルジョン、サポニン及びサイトカインから成る群から選択されたアジュバントを含んで成る、請求項44記載の組成物。
【請求項46】
下記工程:
(a)第2A図〜第2C図又は第4A図~第4B図に描写されるPCVII配列、又は配列番号1, 11, 12又は24から誘導されるか、もしくはそれらに対して相補的である少なくとも8個の隣接ヌクレオチドを含んで成る、PCVIIヌクレオチドに対して選択的にハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドと生物学的試料とを、前記ヌクレオチドと、前記生物学的試料に存在するPCVIIヌクレオチドとの間での核酸複合体の形成を促進する条件下でインキュベートし;そして
(b)前記ポリヌクレオチドを含む複合体を検出することを含んで成る、生物学的試料におけるPCVIIを検出するための核酸ハイブリダイゼーションアッセイ。
【請求項47】
(a)第2A図〜第2C図又は第4A図~第4B図に描写されるPCVII配列、又は配列番号1, 11, 12又は24から誘導されるか、もしくはそれらに対して相補的である少なくとも8個の隣接ヌクレオチドを含んで成る、PCVIIヌクレオチドに対して選択的にハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドと生物学的試料とを、前記ヌクレオチドと、前記生物学的試料に存在するPCVIIヌクレオチドとの間での核酸複合体の形成を促進する条件下でインキュベートし;そして
(b)前記ポリヌクレオチドを含む複合体を検出することを含んで成る、生物学的試料におけるPCVII相同配列の検出方法。
【請求項48】
第2A図〜第2C図又は第4A図~第4B図に描写されるPCVII配列、又は配列番号1, 11, 12又は24から誘導されるか、もしくはそれらに対して相補的である少なくとも8個の隣接ヌクレオチドを含んで成る、PCVIIヌクレオチドに対して選択的にハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド;及び診断試験を行うための使用説明書を含んでなる、ブタにおけるPCVII感染を検出するための診断試験キット。
【請求項49】
前記ポリヌクレオチドが、少なくとも10個の隣接ヌクレオチドを含んで成る、請求項46記載のアッセイ、又は請求項47記載の方法、又は請求項48記載の試験キット。
【請求項50】
前記ポリヌクレオチドが、少なくとも12個の隣接ヌクレオチドを含んで成る、請求項46記載のアッセイ、又は請求項47記載の方法、又は請求項48記載の試験キット。
【請求項51】
前記ポリヌクレオチドが、少なくとも15個の隣接ヌクレオチドを含んで成る、請求項46記載のアッセイ、又は請求項47記載の方法、又は請求項48記載の試験キット。
【請求項52】
前記ポリヌクレオチドが、少なくとも20個の隣接ヌクレオチドを含んで成る、請求項46記載のアッセイ、又は請求項47記載の方法、又は請求項48記載の試験キット。
【請求項53】
前記ポリヌクレオチドが、少なくとも25個の隣接ヌクレオチドを含んで成る、請求項46記載のアッセイ、又は請求項47記載の方法、又は請求項48記載の試験キット。
【請求項54】
前記ハイブリダイゼーションが、緊縮条件下で行われる、請求項46記載のアッセイ、又は請求項47記載の方法、又は請求項48記載の試験キット。
【請求項55】
前記ポリヌクレオチドが、標識され、そして前記複合体が前記標識の存在を検出することにより検出される、請求項46記載のアッセイ、又は請求項47記載の方法。
【請求項56】
前記検出が、
(a)2種のPCVII核酸特異的プローブを使用し(ここで前記2種のプローブは、PCVII核酸の内部領域を定め、そして個々のプローブは、前記領域に対して内部の3’末端を含有する1つの鎖を有し)、前記核酸/プローブハイブリダイゼーション複合体を、プライマーエクステンション反応により二本鎖プローブ含有フラグメントに変換し、
(b)下記工程を連続的に反復することによって、プローブ含有フラグメントの数を増幅し、(i)二本鎖のフラグメントを変性して一本鎖フラグメントを生成し、(ii)一本鎖をプローブとハイブリダイゼーションさせて鎖/プローブ複合体を形成し、(iii)DNAポリメラーゼ及びすべての4種のデオキシリボヌクレオチドの存在下で鎖/プローブ複合体から二本鎖フラグメントを発生させ、そして(iv)所望の程度の増幅が達成されるまで、工程(i)〜(iii)を反復し;そして
(c)増幅生成物を同定することを含んでなる、請求項46記載のアッセイ、又は請求項47記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2006−187289(P2006−187289A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−16175(P2006−16175)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【分割の表示】特願2000−524308(P2000−524308)の分割
【原出願日】平成10年12月11日(1998.12.11)
【出願人】(500274422)ユニバーシティ オブ サスカッチェワン (1)
【出願人】(502296187)ザ クイーンズ ユニバーシティー オブ ベルファスト (1)
【出願人】(398008480)メリアル (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【分割の表示】特願2000−524308(P2000−524308)の分割
【原出願日】平成10年12月11日(1998.12.11)
【出願人】(500274422)ユニバーシティ オブ サスカッチェワン (1)
【出願人】(502296187)ザ クイーンズ ユニバーシティー オブ ベルファスト (1)
【出願人】(398008480)メリアル (1)
【Fターム(参考)】
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