ブラインドスポットセンサシステム
本発明は、自動車の所定の監視領域内の対象を検出及び/又はクラス分けするためのブラインドスポットセンサシステムであって、少なくとも第1のレーダービームを照射する第1の手段と第2のレーダービームを照射する第2の手段を含んでいる。本発明によれば、第1のレーダービーム(ビームI)の半径方向視野が自動車の走行方向(Vx)に対して次のように傾斜されかつ第2のレーダービーム(ビームII)の半径方向視野が前記走行方向(Vx)に対して実質的に直角に次のように配向され、すなわち前記レーダービームの視野が少なくとも部分的に重なりかつ前記両ビームが共に監視領域の測量を実質的にカバーするように傾斜されて配向されており、さらに少なくとも前記第1のレーダービームがCW変調モードでもFMCW変調モードでも作動可能であるように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の所定の監視領域内の対象を、第1のレーダービームを照射する少なくとも1つの第1の手段と第2のレーダービームを照射する少なくとも1つの第2の手段を含んだレーダー技術を用いて検知及び/又はクラス分けするためのブラインドスポットセンサシステムに関している。
【背景技術】
【0002】
サイドミラーのいわゆる"死角"の領域内の対象の存在をドライバーに知らせるいわゆる"ブラインドスポット監視システム"を自動車に設けることは周知である。この場合最近のシステムでは、機能に対して関連性のある対象(走行中の車両、トラック、バイクなど)と関連性のない対象(交通標識や信号機、ガードレールなどの設備や駐車車両など)の間で区別がなされている。これに関する要求は、所定の監視領域、典型的には車両のサイドミラーに接する領域をカバーし車両側方領域を含んだ領域に基づく道路交通対象の検知と位置付け並びにクラス分けからなっている。この監視領域内で関連性のある対象が存在している場合には、ドライバーに警告がなされる。
【0003】
従来技術ではこの問題を解決するための様々な手段が公知である。記述的に最も簡単な解決手段は、ミラーによってカバーしきれない領域が最小となるように湾曲化されたサイドミラーを使用することである。しかしながらこの解決手段は例えばアメリカ合衆国では禁止されている。その他にもミラーの湾曲化はひずみを引き起こし、そのためドライバーにとってそのような鏡像に基づく対象との距離の推定が困難となっている。
【0004】
さらに別の解決手段は、関連性のある対象を複数のセンサを用いて検出し、引き続き処理されたセンサ情報に基づいてドライバーに情報を提供することからなっている。
【0005】
そのために用いられるセンサは、物理的な検出原理や測定対象の特性において区別される。この場合は赤外線レーザーダイオードや赤外線カメラに基づく相応の画像処理を伴った手段やレーダに基づくシステムなどが公知である。
【0006】
これらの種々異なるセンサはそれぞれの適用ケースに関連して様々な利点や欠点を有し、それらはブラインドスポットシステム構成において考慮されなければならないものである。そのためセンサの選択においてはシステムの統一性や監視領域、コスト、性能などの周辺条件が考慮されなければならない。
【0007】
道路交通に積極的に参加しているロードユーザー(走行中の乗用車、トラックなど)は、当該ブラインドスポットシステムに対して関連性のあるものとしてクラス分けされる。それに対して道路交通に積極的に参加していない対象や静的な対象(道路周辺の建物や駐車車両など)は、当該ブラインドシステムからは関連性のないものとして観察される。関連性のある対象が監視領域内に存在している時には、ブラインドシステムはこのことをシグナリングして知らせるはずである。それに対して関連性のない対象の場合には、システムの反応は起きないはずである。
【0008】
対象の識別がなされる監視領域は、典型的には車両のサイドミラー後方から開始される1つのゾーンによって定められている(図1の白抜きの後方領域参照)。このゾーンは、隣接する走行車線に張り出し、ブラインドスポットシステムを装備した車両後方の最大距離までさかのぼる。
【0009】
特にこの監視領域は、車両のサイドミラーの"死角"(ブラインドスポット)をカバーしている。通常は車両の両側、つまり左右のサイドミラーにそのようなブラインドスポットシステムが装備されているのが目的にかなっている。なぜならば前述したような問題が左側車線への車線変更のみならず右側車線への車線変更の際にも生じ得るからである。
【0010】
関連性の有無に基づく検出対象のクラス分けは、特に有利には車両に対する対象の動き状態に依存して行われる。
【0011】
ブラインドスポットシステムを装備した車両(図2並びにその他の図面においては"ホストカー"とも称する)が図2の座標系においてx軸に沿って正の速度でもって移動すると、システム機能の趣旨で例えば図3に例示されているように、関連性の有無に関してクラス分けがなされる。この場合表されている速度V0,V1は、それぞれ適用レベルである。
【0012】
当該"ブラインドスポット監視"アプリケーションのシステム機能は、自動車のドライバに、隣接する車線上でドライバーからよく見えない自車の側方と左右後方の領域内、つまり前述したようなさらなる監視領域内に位置する関連性の有る対象の存在に先んじて警告を発することからなっている。そのためこのシステム機能の意図は、特に車線変更過程中のドライバのアシスタントである。
【0013】
以下では"ブラインドスポット監視"システムの典型的な適用ケースを説明すると共にそのつどの所望のシステム反応例を具体的に示す。
【0014】
第1のケース(図4参照)では、ブラインドスポットシステムを装備したそれぞれ濃色で示されている車両が多車線の走行路上に位置し、それぞれ淡色で示された左側車線の車両から追い越されている。
【0015】
図4の4.1から4.6は、このシナリオを時系列で表したものであり、この場合これらの個々の図の上側で"アクティブ"な状態ないしは"非アクティブ"な状態で示されている"警告ランプ"の絵は、望ましい有利なシステム反応を表している。
【0016】
この場合"アクティブ"な状態(4.2〜4.5に相応)とは、監視領域内で関連性のある対象の存在が識別されたことをドライバに警告していることを意味する。また"非アクティブ"な状態(4.1と4.6に相応)とは、当該監視領域内で関連性のある対象の存在が識別されず、警告が何もなされなかったことを意味する。
【0017】
図4に示されているシナリオでは、検出すべき対象が監視領域を走行方向の後方から所定の期間当該領域に入り、引き続き当該領域を逸脱してさらに走行方向前方へ走り抜けている様子が表わされている。このようなシナリオ構成において、追い越しをかけている車両が大きな速度差で接近している場合には、これらの対象間では比較的大きな相対速度が生じ得る。しかしながらそのようなケースではシステムの使用は不確かとなる。なぜならドライバーに警告を発する持続時間がドライバーに反応させ得るための最低時間(約1秒)を下回るべきではないからである。その結果として、後方から監視領域に侵入する対象には僅かなシステム反応時間しか許されなくなる。
【0018】
図5にはさらなる適用例、詳細には右側車線での追い越し過程が示されている。ブラインドスポットシステムを装備した車両(図5の5.1〜5.6にそれぞれ濃色で表されている)は、右側の車線で、左側の隣接車線にいる関連性のある対象(例えばそれぞれ淡色で表されている走行中の車両)の脇を通過している。
【0019】
このケースでは関連性のある対象が、走行方向前方から監視領域に侵入している。そのようなシナリオにおいては、警報は、追い越す車両が所定の最小時間、監視領域に留まっている場合にのみ有意となる。
【0020】
ブラインドスポット機能が望ましいとされるさらなるシナリオは、関連性のある対象が監視領域側方から近づいてくるケースである(図6参照)。
【0021】
このいわゆる割り込み過程のケースでは、発生する相対速度が前述の図4ないし図5で説明したケースの場合よりも明らかに低い。その結果として、側方から監視領域に侵入する対象には、許容範囲で延長されたシステム反応時間が許容される。
【0022】
ブラインドスポットシステムの典型的な適用ケースのリスティングでは、ポジティブなシステム反応が求められるシナリオだけでなく、システム反応が何も生じるべきではないようなシナリオも考慮すべきである。
【0023】
以下のシナリオでは、警報が何も発せられるべきではない頻繁に生じる典型的なケースを示す。
【0024】
図7に示されているシナリオでは、ブラインドスポットシステムを装備した車両("host car")が又隣の車線の対象によって追い越されている。監視領域内の関連性のある対象には時間が存在しないので、監視領域に対する水平方向の位置決定のもとでプラインドスポットシステムは警報パルスを発しない。
【0025】
さらに高頻度で発生するシナリオは、固有の車線上での関連性のある対象の接近である(図8参照)。
【0026】
このケースでもブラインドスポットシステムは警報を発すべきではない。なぜならここでも関連性のある対象が監視領域内に存在していないからである。
【0027】
さらに高頻度で発生し得るさらに別のシナリオは、関連性のない対象が"ブラインドスポット検出システム"の監視領域内へ侵入するケースである。
【0028】
図9には、車線境界線ないし道路境界線、すなわちガードレールや壁などの静的な対象への接近が示されている。ここではブラインドスポットシステムが次のように位置付けられるべきである。すなわち通りとの境界線を検出して、関連性のないものとして段階付ける、つまり対象のクラス分けが実施されるように位置付けられるべきである。そのようなシナリオにおいても警報は形成されないほうがよい。
【0029】
望ましいシステム反応並びに前述した典型的な適用ケースから出発して本発明の課題が基礎とするところは、冒頭に述べたような要求を満たすことのできるブラインドスポットシステムを提供することである。特にこのブラインドスポットセンサシステムは、
検出すべき対象に対する高い識別確率を有し
対象の相対速度の決定が許容され、
監視領域に対する対象の相対位置の決定も許容され、つまり対象が領域内にあるのかそれとも領域外にあるのかが決定され、その場合領域内の対象は必ずしも正確に位置付けされる必要はなく、
検出された対象が関連性の有無についてクラス分けが実施される。
【0030】
その上さらに車両の走行環境の任意のクラス分けがシステム機能にとっても有意となり得る。
【0031】
さらに所要の性能は、誤った警報とその誤報率が許容範囲に維持されるように構成できる。
【0032】
最後にこのブラインドスポットセンサシステムは自動車環境に適している。すなわち堅固性、基礎的設備、環境条件、サイズ、集積度などに関する通常の要求を満たし得るものである。
【0033】
本発明のこの課題は請求項1の特徴を備えた方法によって解決される。
【0034】
個別に用いることも相互に組合わせて用いることも可能な有利な実施例及び改善例も独立請求項の対象である。
【0035】
本発明は、自動車の所定の監視領域内の対象を検出及び/又はクラス分けするためのブラインドスポットセンサシステムであって、少なくとも1つの第1のレーダービームを照射する第1の手段と第2のレーダービームを照射する第2の手段を含んでいる形式の上位概念において、第1のレーダービーム(ビームI)の半径方向視野が自動車の走行方向(Vx)に対して次のように傾斜されかつ第2のレーダービーム(ビームII)の半径方向視野が前記走行方向(Vx)に対して実質的に直角に次のように配向されている。すなわち前記レーダービーム(ビームIおよびII)の視野が少なくとも部分的に重なりかつ前記両ビームが共に監視領域の測量を実質的にカバーするように傾斜されて配向されている。この場合少なくとも第1のレーダービーム(ビームI)はCW変調モードでもFMCW変調モードでも作動可能であることを特徴としている。
【0036】
部分的に特殊操作される少なくとも2つのレーダーセンサを備えたブラインドスポットセンサシステムの実現には以下に列挙するような関連性の高い利点が伴う。すなわち、
−十分な構造を有し少なくとも大半が金属からなる検出すべき対象(トラック、乗用車、ガードレールなど)の高い検出確率、
−場合によって極端な環境条件、例えば変動する光条件、−40℃〜+85℃の温度変動、降雨、降雪などに対する不感性、
−検出対象までの間隔距離と半径方向速度の正確な検出、
−レーダー信号における構造及び材料に依存した典型的構成要素による対象のクラス分けの可能性、及び/又は
−レーダースペクトルにおける構造及び材料に依存した典型的構成要素によるパターン認識の可能性。
【0037】
これらのレーダーセンサは、レーダービームにとって"透過性"の材料、例えばプラスチックなどの後ろに組み込むことができ、さらに確かな堅固性と経済的な基盤も有しているので、本発明は特に最新の自動車における用途に適している。
【0038】
本発明の簡単な実施例によれば、CW変調モードとFMCW変調モードが順次連続して入れ替わる。
【0039】
検出確率の向上と対象速度の正確な検出のために有利には、複数のFMCW変調モードが少なくとも1つのCW変調モードと共に順次入れ替わる。特に有利には1つのCWモードに対して5つのFMCWモードが用いられる。
【0040】
測定精度の低下を避けるために有利には、複数のFMCW変調モードが少なくとも2つのCW変調モードに追従する。特に有利には2つのCWモードに5つのFMCWモードが用いられる。
【0041】
本発明の簡単な実施例によれば、第1のレーダービームを照射する手段と第2のレーダービームを照射する手段がデュアルビームセンサによって実現される。但し空間的に近接した通信の利点が得られる反面、構造空間は比較的大きくなってしまう。
【0042】
車両タイプ毎に小型化される構造部は益々決定的となるので有利には、第1のレーダービームを照射する手段と第2のレーダービームを照射する手段がそれぞれ1つのシングルビームセンサによって実現される。この種の分離は有利には新規なセンサ配置構成を可能にさせる。
【0043】
デュアルビームセンサが例えばサイドミラー、フェンダ、リアバンパーに組み込まれなければならないのに対してシングルビームセンサは、任意に組合わせが可能である。本発明によれば例えば有利には、第1のレーダービーム(ビームI)のためのシングルビームセンサがサイドミラー又はフェンダボディ又はフロントホイールハウス又はBピラー又はサイドシル内に組み込まれ、第2のレーダービーム(ビームII)のためのシングルビームセンサはリアバンパーに組み込まれている、請求項6記載のブラインドスポットセンサシステム。
【0044】
有利には、第1のレーダービーム(ビームI)が30°〜50°、特に40°の幅を有し、自動車の長手軸に対して2°〜13°、特に5°若しくは10°の傾きを有している。
また第2のレーダービーム(ビームII)は70°〜140°、特に80°又は130°の幅を有し、自動車の長手軸に対して2°〜53°、特に5°又は20°若しくは50°の傾きを有している。
【0045】
以下の明細書で任意の図面と有利な実施形態の例示的な説明に基づくように、本発明は特に自動車の所定の監視領域における対象の検出及び/又はクラス分けに適している。
【0046】
ここでこれらの図面のうち、
図1は"ブラインドスポット監視システム"の典型的な監視領域を示した図であり、
図2は、ブラインドスポットシステムを具備した車両の定義を座標系で表わした図であり、
図3は、関連性のある対象と関連性のない対象の例を示した図であり、
図4は、左側隣接車線上での追い越し過程を表した図であり、
図5は、右側走行車線上での追い越し過程を表した図であり、
図6は、割り込み過程を表した図であり、
図7は、又隣の右側走行車線上で追い越される過程を表した図であり、
図8は、唯一の車線上で関連性のある対象に接近されている様子を表した図であり、
図9は、道路境界線への"ホストカー"の接近を表した図であり、
図10は、本発明によるブラインドスポット監視システムの複数のレーダーセンサの一部重畳している2つの視野の例示的な配置構成を表した図であり、
図11は、車両左側の車両リアバンパー内でのブラインドスポットセンサシステムの2つの組込み状況例を表した図であり、
図12は、ブラインドスポット監視の適用における複数のセンサのさらなる(代替的)配置構成を表した図であり、
図13は、図12の12.1〜12.6に表されている個々の配置構成のさらなる詳細と特徴を示した図であり、
図14は、典型的な高速道路でのシナリオを概略的に表した図であり、
図15は、図14に示されているシナリオに対応するビームIIのFMCWピークを表した図であり、
図16は、後方からの接近の際の対象の識別と位置付けを表した図であり、
図17は、図14に示されているシナリオに対応するビームIのFMCWピークを表した図であり、
図18は、センサの測定サイクル中のCW及びFMCW周波数変調の生じ得るシーケンスを表した図であり、
図19は、ビーム領域IにおけるFMCW及びCWピークの時系列シーケンスを表した図であり、
図19は、ビーム領域IIにおけるFMCW及びCWピークの時系列シーケンスを表した図であり、
図21は、図14の高速道路シナリオ中のビームI+IIにおける識別された対象の速度と距離を表した図であり、
図22は、第2の高速道路シナリオを概略的に表した図であり、
図23は、図22に示されたシナリオに対応してガードレールとトラックへ接近する際のレーダー信号を表した図であり、
図24は、第3の高速道路シナリオを概略的に表した図であり、
図25は、図24に示されたシナリオに対応してガードレールの脇を通過し乗用車と併走する際のレーダー信号を表した図であり、
図26は、監視領域に前方から侵入する対象のクラス分けを表した図であり、
図27は、第4の高速道路シナリオを概略的に表した図であり、
図28は、図27に示されているトラックと乗用車とガードレールの伴った複雑なシナリオに対応するレーダー信号を表した図であり、
Fig. 図29は、第5の高速道路シナリオを概略的に表した図であり、
図30は、図29に示されているシナリオに対応するガードレールへの接近の際のレーダー信号を表した図であり、
図31は、図29によるガードレールシナリオ中のビームIIの視野の個々のFMCWスペクトルを表した図であり、
図32は、図29によるガードレールシナリオ中のビームIの視野の個々のFMCWスペクトルを表した図であり、
図33は、第6の高速道路シナリオを概略的に表した図であり、
図34は、図33に示されているシナリオに対応するガードレールからコンクリート壁を通過する際のレーダー信号を表した図であり、
図35は、図33によるガードレール−コンクリート壁シナリオ中のビームIIの視野の個々のFMCWスペクトルを表した図であり、
図36は、図33によるガードレール−コンクリート壁シナリオ中のビームIの視野の個々のFMCWスペクトルを表した図であり、
図37は、図14に示されたシナリオに対応して車両が隣接車線上の2台の乗用車によって追い越された際のレーダー信号を表した図であり、
図38は、図14に示されたシナリオに対応して車両が隣接車線上のトレーラトラックによって追い越された際のレーダー信号を表した図である。
【0047】
なお冒頭でも述べたようにこれらの図面では、以下の本発明による有利な実施形態の説明において同じ構成要素若しくは比較可能な構成要素は同じように描写されている。
【実施例】
【0048】
図10には2つのレーダービーム領域の例示的な配置構成が示されている。ビームIは隣接する走行車線の水平面の中の約40°のセクタをカバーしている。それは車両の長手方向に対して約10°程度傾斜されている。ビームIIは約130°のセクタを有し、それは車両長手方向に対して直角に配向されている。カバーすべき監視領域は淡色で示されており、この監視領域内で対象が検出されクラス分けされる。
【0049】
ここで選択されるビーム幅とビーム配向は、所望の監視領域(淡色の背景)に合わせて構成される。別の手法で定義される監視領域でも、ビーム幅とビーム配向の適応化は求められる。しかしながら2つのビーム領域の基本的な設計構成は同じであってよい。重要なのは、以下でさらに説明するストラテジや信号評価に対する個々の要求の解決に使用できることである。
【0050】
提案されたセンサシステムは、有利には24GHzのレーダーセンサの利用に基づいている(場合によっては77GHzも)。
数ミリメートルに相応する波長を有するレーダービームは、目立った影響なしで多くのプラスチック材料を透過できる有利な特性を有している。
なぜなら今日の乗用車のバンパーの多くはプラスチックから製造されているため、このことは本発明によるブラインドスポットセンサシステムをリアバンパーの後方に組み込む可能性を提供する。それにより周りからは見えなくなるとと同時に砂利の飛散等による外的影響からも保護できる。このことは他のセンサ構想、例えばビデオ、赤外線、レーザーのような他のセンサ構想に比べて、システム統合における些細な利点に留まるものではない。
【0051】
レーダービームによって要求される視野には、デュアルビームセンサを利用することも可能であるし、あるいはシングルビームセンサを2つ利用することも可能である。前者を利用する場合のバリエーションでは、相応のインフラとして1つのケーシングしか必要ないという明らかな利点がある。しかしながら要求される視野は、センサの組込み箇所における狭い境界に絞られる。
【0052】
2つのシングルビームセンサを利用するならばさらに付加的に、十分な性能のインターフェースが2つのセンサの間に必要となる。それに対して2つのセンサを利用する場合には、個々のセンサの組み込み可能な箇所に関して非常に汎用性が高くなる。というのもシングルビームセンサは、デュアルビームセンサよりも明らかに小型だからである(約半分の大きさ)。
【0053】
図11には、提案されたセンサ構成に対する典型的な組み込み状況例が示されている。このセンサ構成は、主に2つの考察から選択されたものである。一方でこのシステムは例えば乗用車にも集積可能になるべきである。24GHz帯のレーダーセンサを利用する場合には、所要のアンテナ面積はセンサの寸法を制限する。例えば図11の11.1に示されているデュアルビームセンサが図10に示されている視野を伴う場合、所要アンテナ面積は、約150×60mmとなる。センサに求められる配向特性とそのサイズに基づいて、従来の乗用車では制約付きでないと適切な組み込み箇所が見つからない。
【0054】
監視領域の実現に対して2つのシングルビームセンサを考えるならば(図11の11.2参照)、2つの個別センサの間で十分に高速な通信が必要となる場合であっても、個々のセンサを相応に小型化して設計することが可能となり、このことは車両へのセンサの集積化を有利に容易にさせる。
図11に設定されている配置構成に対しては代替的に次のような適用も可能である。すなわち所定の監視領域のもとで相応の車両組み込み箇所を伴う代替的ビーム構成を適用することも可能である。
【0055】
図12には、所定の監視領域(淡色の背景)に対して可能なブラインドスポットセンサシステムのビーム配置構成が示されている。図12の12.1には、従来技術から公知の1つのレーダービームしか持たない古典的な配置構成が示されている。
【0056】
図12の12.2〜12.6には、本発明によるビーム配置構成が示されており、この場合は以下で説明する信号処理ストラテジが適用されており、これらの12.1〜12.6に示されている個々の配置構成のさらなる詳細と特徴は図13においても説明する。
【0057】
以下の明細書では本発明によるブラインドスポットセンサシステムの実現において代替的若しくは追加式に適用し得る検出ストラテジ、クラス分けストラテジ、パターン認識ストラテジが詳細に説明され、さらにその適用がそのつどの基礎とされる個別要求に基づいて検討される。
【0058】
個別要求Aは、対象の分離と周辺環境/対象の位置付けである。対象の識別とクラス分けは有利にはデュアルビームレーダーセンサを用いて行われてもよい。このセンサは2つのビームローブ内では何も角度分解能を持たず、専らビームローブの視野で半径方向の距離と速度を測定している。にもかかわらず対象は所定の監視領域に関連して位置付けされるべきである。典型的な適用ケースでは、周辺環境からの関連性のある対象の分離がさらに要求される。なぜなら典型的適用ケースにおいては明らかにマルチターゲット環境が主流となるからである(例えばガードレール脇の乗用車など)。
【0059】
本発明によるブラインドスポットセンサシステムは、対象の位置付けと識別を1つ以上のセンサの複数の視野の所期の配置構成によって実施する。
【0060】
全ての管理領域をカバーできるようにするために、大きく拡幅された水平方向の視野を有するセンサが必要となる。目下の構成によればこのことは、そのビームが水平面で約130°の開き角度を有するセンサ(図10参照)のビームIIによって実現される。このブラインドスポットセンサシステムは、特に多車線で少なくとも構造的に境界を持たされている走行路、例えばガードレール等の境界物を有する高速道路等での使用を想定して構想されたものである。
【0061】
この環境は、車両の移動方向に対して専ら直角に配向されている(ビームII)センサに対して顕著なマルチターゲット環境を表している。特に金属性の対象はそれぞれを検知するようにしないといけないので、そのようなマルチターゲット環境において、それらの対象の識別とクラス分けを適時に行うのは非常に困難である。
【0062】
以下では図面に基づいて典型的な高速道路上でのシナリオを検討する。ブラインドスポットセンサシステムを装備した車両(host car)は、2車線の高速道路の右側車線を走行し、その第2の車線はガードレールによって仕切られている。この車両は5台の車両によって追い越される。このシナリオは図14に概略的に表されている。
【0063】
図15には、図14に示されているシナリオに相応するビームIIのFMCWピークが示されており、すなわちビームIIのPMCWレーダースペクトルにおける検出された周波数極大値(ピーク)が示されており、この場合追い越し車両に対応付けられるピークにはFzgが付されており、それによって残りのピークはガードレールに対応付けられる。
【0064】
FMCWレーダー原理特有のように、個々の周波数位置はこの場合半径方向の対象距離とそのつどの対象の反射点の速度に比例する。
【0065】
ビームIIにおける大きな開き角度(±65°)に基づいて、ガードレール等の境界物並びにその金属ポストも追い越し車両もセンサの監視領域内に入る。
【0066】
センサは専ら半径方向の範囲を測定し、さらに監視領域内には非常に多くのターゲットが比較可能な距離と相対速度で存在しているので、ビームIIを用いた関連性のない対象(ガードレールポストなど)から関連性のある対象(車両)の分離は、本発明のシナリオにおいて、関連性のある対象の半径方向間隔が関連性のない対象の最小半径間隔よりも小さい場合には確実に可能となる。
【0067】
このことは対象の信頼性が高くて適時の識別とクラス分けには不十分である。
【0068】
それにもかかわらず適時の対象識別とクラス分けを実施し得るために、既に前述したように、部分的に重畳する2つのセンサ監視領域の配置構成が提案されている。
【0069】
このストラテジは、次のことからなっている。すなわち隣接車線に接するガードレールをビームIの視野の所期の選択と車両に関するその配向によってカットアウトすることである。
【0070】
ビームIの検出範囲は次のように選択される。すなわち接している車線が監視されると共にガードレールなど関連性のない対象による影響は受けないように選択される。
【0071】
ビームIにおいて所定の半径方向距離で検出される対象は、接している走行車線上に存在し、関連性のある対象としてクラス分けされる。図16には、幾何学的な特性が概略的に表されている。
【0072】
図示の半径rmaxとrminは、この場合ビームIのビーム幅と配向の選択に依存している。rmaxとrminの間のセクタはこの場合、複数のターゲットが識別されそれらの信号がレーダースペクトル内で追跡される領域を表す。
【0073】
対象が隣の車線若しくは又隣の車線にいるのかどうかについての決定は、対象車線が半径方向間隔rminを下回っている場合に下す。その後で位置付けがビームII内の半径方向の位置決定に基づいて行われる。
【0074】
ビームIとIIのビームローブの幾何学的形態から明らかなことは、2つのビームが対象を監視領域に関して位置付けし得る。領域の重畳に基づいて対象はビームIからビーム領域IIに引き継がれ、対象が監視領域を離れるまで追跡される。
【0075】
前述したシステムは、ビームIを用いて早期対象識別を実施する。このことは合目的的である。なぜなら高い相対速度を有する対象は、前述の適用ケースの場合システムに後方から、つまりビームIの視野方向から近似しているからである。ちょうどこの方向では当該システムが、高い相対速度を有する対象を確実に識別できる状態でなければならない。
【0076】
図17では検討している高速道路上のシナリオにおいてビーム1内で検出された周波数極大値が示されている。ここで明らかなことは、ビーム配向とビーム形態の選択によって関連性のある対象を関連性のない対象から明確に分離されていることである。
【0077】
ビームI内では目下のシナリオにおいて専らほぼ関連性のある対象が識別されている(例えば隣接する車線上を通過している車両)。しかしながらこの対象はビーム配向に基づいて最小レーダー間隔までしか見通せない。この最小間隔は、専らビームIを用いて監視領域に対する対象位置に関する情報を提供するのには不十分である。
【0078】
それ故にビームIは、隣接車線上で後方から近づいてくる対象を早期に識別することに使用される。ビーム領域が重畳しているため、隣接車線上で後方から近づいてくる対象は2つのビーム領域で検出される。
【0079】
個別要求Bは、高い速度差を有している対象の確実な識別である。既に前述したようにこのシステムは、それを装備している車両("host car")に後方から高い速度差(例えば時速40km以上の差)で近づいてくる対象を確実に識別できる状態でなければならない。
【0080】
少なくともビームIに対して使用するレーダーセンサは変調切り換えの可能性を提供できるものである。すなわちそれはCW変調モードでもFMCW変調モードでも作動できるものである。この2つの変調方式は、特別な利点と補足的な能力、すなわち対象を識別し、分離し、それらの半径方向の位置と速度を確定する能力を有している。
【0081】
CWモードではこのセンサは、専ら当該センサの監視領域内の対象の速度を測定する。つまりこのセンサは対象の存在とその相対速度のみを測定する。対象識別は、異なる速度に基づいてしか行うことができない。
【0082】
この場合の速度測定範囲は、適用目的に合う範囲に限られる(ほぼ0〜30m/s)。空間的監視領域は、CWモードでは一方でアンテナの開き角度とセンサの感度によって確定する(FMCWモードに比べて半径方向の固定の最大検知範囲は存在しない)。
【0083】
特に関連性のある対象(乗用車、トラックなど)に対する半径方向の視野は、半径方向の位置確定が実施される最大視野よりも大きい。
【0084】
FMCWモードは次のような利点を有している。すなわち監視領域内の対象の半径方向の対象距離も相対速度も同時に確定できる利点である。
【0085】
但しこの場合半径方向の監視領域は、対象速度と半径方向の間隔によって制限される。例えば相対速度Vrelativ=0の対象に対しては、最大間隔距離はrmaxとなる(センサ構成に依存する)。それに対して相対速度V=V0を有する対象で(rmax−k×V0)(k>0)のみでは相応に小さくなる。
【0086】
それに加えてFMCWの信号評価では、複数ターゲット環境における多義性の欠点も併せ持つ(つまり評価が曖昧となる)。2以上の対象がセンサの監視領域内に存在するならば、個々のFMCW測定周期で対象の半径方向の間隔距離と速度を一義的に確定することはできない。このことは結果的にFMCWデータの誤った解釈に結び付き、仮想の対象(ゴーストターゲット)を形成しかねない。
【0087】
FMCWモードは基本的には、対象を間隔距離と速度に従って分離できる可能性を提供する。
【0088】
CW変調方式とFMCW変調方式の順次連続した作動モードは、2つの方式を組み合わせた利点と効果を有効利用できることにつながる。
【0089】
CWモードの高い検知感度は、対象(特に高い相対速度を有する対象)の速度を非常に早い時点で確定することができる。それにより早期対象識別が行われ、さらにFMCWモードの信号処理もCWモードで検出された対象速度を有する対象の存在に対して所期のように高感度に対応できる。
【0090】
これにより対象の位置と速度が非常に早期時点で確実に確定でき、FMCW信号処理における多義性の欠点が回避される。
【0091】
Fig. 図18は、センサの測定サイクル中のCW及びFMCW周波数変調の生じ得るシーケンスを表した図である。
【0092】
明確な説明のためにここでは前述した高速道路上のシナリオを新たに検討するものとする(図14参照)。図19及び図20は、当該シナリオ中に測定されたFMCWモードとCWモードの周波数極大値を時間の関数で表したものである。
【0093】
CWモード中の周波数極大値は、そのつどのビーム範囲内にある対象の半径方向相対速度を表している。図19と図20の両方において明らかにわかることは、CWモードの対象速度の検出がFMCWモードの対象の検出よりも時間的に先に行われていることである。
【0094】
それによりFMCWモードの信号評価においてCWモードの速度を有する対象に絞った探索が所期のように行われる。これにより、FMCWモードのデータ評価のみで不確かとなっている時点で当該対象の半径方向間隔距離が確定される。
【0095】
図21には、検討された高速道路上のシナリオ中のCW及びFMCWモードでのデータ分析の結果が時間の関数として表されている。この場合当該2つのダイヤグラムにおいてはCWデータに基づいて求められた対象速度もFMCWデータをベースとして速度も示されている。
【0096】
2つの方式は、対象を検出しクラス分けするそれらの能力に関して補足し合っている。CWモードは、その測定原理に基づいてセンサに対し相対速度を持っていない対象の識別はできない。
【0097】
ブラインドスポット方式の適用に対して意味を持っている典型的な対象は、走行路境界物、例えばガードレールなどである。検討されるシナリオでは、車両がこの走行路境界物に並行して移動しているものとする。それゆえにCWモードのビームIでは境界物は見えない。
【0098】
その間にもガードレールはFMCWモードの静的対象として識別され、ブラインドスポット方式の適用に対して利用され得る。
【0099】
個別要求Cは、関連性のある対象と関連性のない対象における対象自身と走行状況のクラス分けである。監視領域に相対する対象の識別と位置付けの他にも当該システムは対象をクラス分けできなければならない。図3に例示的に示したように、対象の関連性はとりわけ相対速度によって確定されてもよい。
【0100】
提案されたセンサシステムでは、走行方向に抗する車両、つまり当該システムに後方から近づく車両の速度を検出し得るので、当該ケースにおける対象のクラス分けは比較的容易である。
【0101】
それに対して明らかに複雑なのは、前方若しくは側方から対象が監視領域に接近するケースである。このケースでは相対速度の直接の測定に問題があり、走行環境のモデルやさらなる手段、例えば前方に配向された第3のレーダービーム等の手段がなければ不可能である。
【0102】
当該システムを装備した車両の絶対移動は未知であるので、測定された対象の間隔と相対速度から対象の移動状態を単独で推論することはそう簡単にはいかない。
【0103】
この問題性を具体的に示すために図22においては第2の典型的な高速道路上のシナリオを示す。ここでは当該システムを装備した車両がまずガードレールに近づき、続いてトラックに接近している。図23は、図22に示されたシナリオに対応してガードレールとトラックへ接近する際のレーダー信号を表した図である。上側のダイヤグラムはFMCWモードのピークポジションとビームIの強度を時間の関数で表しており、下側のダイヤグラムはビームIIに対する相応の情報を表している。
【0104】
この問題性を具体的に示すために図22においては第2の典型的な高速道路上のシナリオを示す。ここでは当該システムを装備した車両がまずガードレールに近づき、続いてトラックに接近している。図25は、図24に示されたシナリオに対応してガードレールの脇を通過して乗用車と併走する際のレーダー信号を表した図である。上側のダイヤグラムはFMCWモードのピークポジションとビームIの強度を時間の関数で表しており、下側のダイヤグラムはビームIIに対する相応の情報を表している。
【0105】
ガードレールと乗用車ないしトラックは、図22及び23ないしは図24及び25において示されているシナリオにおいて前方の監視領域に侵入している。それぞれ2つの対象は前方から監視領域に接近しているので、ビームレンジIでの対象識別と速度検出は行うことができない。
【0106】
それにもかかわらず当該システムは、2つの対象、すなわちガードレール(関連性のない対象)とトラック(関連性のある対象)の間で区別をつけることが可能である。
【0107】
それに対して本発明によれば有利な以下のストラテジが実行される。ビームIIにおいて検出された対象が静的な対象である場合には、この対象は所定の時間tminの経過後にビームIにおいて検出され得る。この期間は車両の固有速度と2つのビームローブの横方向の間隔によって定められる。それにより図26にも示されているように以下の関係式、
tmin=dxbeam_I_beam_II/Vown
が成り立つ。
【0108】
その結果対象が既にビームレンジIによって実行されることなくビームレンジII内で識別されると、この車両が区間dxbeam_I_beamIIを走行した後で、予め定められた半径方向間隔の対象がビームI内で探索される。さらに正の相対速度を有するそのような対象が検出されれば、それは静的な対象であるとの推論が成り立ち、関連性のない対象としてのクラス分けがなされる。
【0109】
それに対して対象が何も検出されないと、次のようなことが推測される。すなわち対象が当該システムを装備した車両と一緒に併走していることが推測される。そのため監視領域内の存在が確認されると関連性のある対象としてのクラス分けがなされる。
【0110】
図23及び図25においては、図22及び図24に表されているシナリオに対して表示されているFMCWスペクトルが時間の関数として表されている。
【0111】
個別要求Dは、レーダースペクトルにおけるパターン認識である。検出された対象に関する付加情報を得るために、2つのレーダーローブの検出されたFMCWスペクトル内でパターン認識が実施される。
【0112】
この場合はFMCWスペクトル内に頻繁に出現する対象の所定の特徴に従って探索がなされ、それにより例えばメモリ内にファイルされた典型的な基準パターンとの比較によって、検出対象に関する信頼性の高い付加情報が得られるものとなる。
特にクラス分けのロバスト性を高めるために、あるいは異なるクラスの区別を可能にするために、2つのセンサの情報(視野領域(ビームI,ビームII))が結合される。
【0113】
以下ではその手法を具体的に示すためにいくつかの異なる例で説明する。
【0114】
図27には第4の高速道路上でのシナリオが示されている。このシナリオでは当該車両("host car")がまず左側隣接車線のトラックによって追い越される。それに続いて又隣の車線上の乗用車が当該車両を通り過ぎてゆく最後に当該車両は監視領域内で始まるガードレールに沿った走行を始める。
【0115】
図28には、図27に表されているシナリオに対して表示されるFMCWスペクトルが時間の関数として表されている。
【0116】
クラス分けの際には、FMCWスペクトルにおいてクラス分けすべき典型的特徴の対象が探索される。以下に述べる特徴は、FMCWスペクトルの評価の際に考慮されるものであり、図29から図32においてはその例としてガードレール識別が示されている。
【0117】
図29に示されているシナリオのもとでのFMCW信号の強度分布では、当該車両("host car")が実質的にガードレールと並行に移動し、さらにそれに近づいている様子が時間の関数として表されている。ガードレールは大抵は水平方向の金属構造物からなっており、これは規則的に配置された金属ポストに支持されている。ビームIIのFMCWスペクトルにおいては、それが主反射(スペクトル内の最大強度)によって強調され(図31参照)、これはガードレールとの最小間隔を表し、また多数の規則的(ポストの一定間隔)に位置する反射がガードレールポストに基づき生じる。それに対してビームIにおいては幾何学的特性に基づいて一連の規則的に位置する反射がガードレールポストに基づいて識別されるのみである(図32参照、ここでは振幅並びに周波数がそれぞれ"任意の単位で"プロットされている)。ガードレールに対する最小間隔(これはビームIIにおける情報に基づいて確定され得る)と、固有の速度を用いることによって、ビームIにおける反射点の位置を予め確定することができる。ビームIとビームIIからの情報を組合わせることによって有利には、監視領域内でのガードレールの存在と位置に関する信頼性の高い情報を得ることができるようになる。
【0118】
信号の時間的変化については、ガードレールはその物理的な特性(金属部分の規則的な配置、高い対称性)に基づいてレーダーにとっては非常に"安定した"ターゲットであり、それに応じて信号の時間的変化が他の対象との比較においても僅かである。
【0119】
構造物の時間的変化については、固有速度と幾何学的特性に基づいてガードレールポストの反射点の時間的な展開が予め確定できる。ガードレールの主反射点は、併走のもとではガードレールとの間隔距離に相応して、相対速度0m/sで定常的に保持される。構造物はガードレールの空間的広がりに基づいて相応に長い時間の間可視である。
【0120】
構造物の空間的変化は幾何学的特性によって確定され、ガードレールの場合にはどちらかといえば少ない方である。
【0121】
2つの異なるFMCW測定{正の勾配(図31の下方の特性曲線)を有する周波数ランプ、負の勾配(図31の上方の特性曲線)を有する周波数ランプ}内での構造物の区別は、固有速度と移動方向の考慮のもとで行われ、例えばガードレールに対しては、2つのFMCW測定の主反射、並びに速度に依存するガードレールポストに対応した反射点のシフトの一致などが特徴的である。
【0122】
構造物の幅(対象に割り当てられる構造物からの複数の強度極大値の統合)に対しては既に前述したようにガードレールがスペクトル内の多数の特徴的な反射点によって特徴付けられる。これらの反射点は全てひっくるめてターゲットのガードレールに対応付けられる。
【0123】
周波数の関数としての構造物内の強度分布は、ガードレールに対しては主反射内の強度極大値並びに比較的僅かな強度の反射が主反射に結び付けられて特徴付けられる。
【0124】
2つのビーム領域内の構造物の比較については、ビームレンジIとIIにおけるガードレール反射点の位置の間の直接的な関連付けが幾何学的な考慮に基づいて行われる。
【0125】
総合的にみて、対象クラス分けの特徴は、そのFMCWレーダー特有の作用に対する物理的/幾何学的対象特性の伝送から導き出されるか、又はそれぞれの対象クラスの典型的な測定に基づく基準データによって生成される。
【0126】
図33には、第6の典型的な高速道路上でのシナリオが示されており、ここでは当該車両("host car")がまずガードレールに並行して移動し、続いてコンクリート壁に並行して移動している。2つのビーム領域のFMCWスペクトル内では違いが明らかである(図34参照)。車両がコンクリート壁に沿って移動すると、ガードレールポストに基づく反射は失われる。それに対して主反射は両ケースに存在している。
【0127】
これらの違いは、特に2つの視野の個々の測定サイクルのFMCWスペクトルを観察して、これらをガードレールシナリオと比較した場合に明らかである(図35及び36参照)。
【0128】
最後に図37及び図38においては、図14に示されているシナリオに依存してそれぞれ2つの追い越しシナリオが示されており、そこでは当該ブラインドスポットセンサシステムを装備した車両("host car")が2台の乗用車(図37のケース)ないしはトレーラトラック(図38のケース)によって追い越されている。
【0129】
ここで明らかにみてとれることは、乗用車とトラックがそれらの寸法に関して十分な違いがあることである。このことは表示されるFMCW信号においても顕著である。トラックのFKCW構造物は、乗用車に比べて明らかに拡大されて構造化されている。
【0130】
この構造物の幅並びにその強度分布は、各対象クラス、すなわちトラックないし乗用車毎に特徴付けられ、クラス分けの際に利用される。
【0131】
本発明は、特に以下の特性を備えた少なくとも1つの第1及び第2のレーダービームを送信するのに適した複数のレーダーセンサ(例えば24GHz又は77GHz)に基づくブラインドスポットセンサシステムのアプリケーションとして実証されている。すなわち、
−2つの部分的に重畳される視野を備えた2つのレーダービーム(ビームI/ビームII)、
−視野領域Iは走行方向に対して傾斜され、隣接する走行車線を監視する、
−視野領域IIは実質的に走行方向に対して直角に配向され、ワイドなセクタ領域でシステムの監視領域をカバーする、
−これらの視野領域は重畳領域を有し相互に傾斜している
−1つ又は複数のセンサのレーダー変調方式の切り換えは主に視野領域Iにおいてなされる(FMCW及びCW)(但し少なくともFMCWは半径方向の距離と速度を確定するため)
−1つ又は複数のレーダーセンサのバイスタティックな設計
−1つ又は複数のセンサの半径方向視野が少なくとも監視領域のサイズと共にカバーしている。1つ又は複数のセンサの広い視野領域、特にビームレンジIにおける視野領域は有利には、対象を早期に識別して追従するために
−半径方向分解能が典型的にはdr<0.5m、
−半径方向速度が典型的にはdV<2m/s、
−FMCW及びCWに対する測定サイクルが典型的にはdt<30ms
であり得る。
【0132】
本発明はこれによって特に例えばあらゆるタイプの最新自動車における車線変更のためのアシストシステムへの使用に適している。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】"ブラインドスポット監視システム"の典型的な監視領域を示した図
【図2】ブラインドスポットシステムを具備した車両の定義を座標系で表した図
【図3】関連性のある対象と関連性のない対象の例を示した図
【図4】左側隣接車線上での追い越し過程を表した図、
【図5】右側走行車線上での追い越し過程を表した図
【図6】割り込み過程を表した図、
【図7】又隣の右側走行車線上で追い越される過程を表した図、
【図8】唯一の車線上で関連性のある対象に接近されている様子を表した図、
【図9】道路境界線への"ホストカー"の接近を表した図、
【図10】本発明によるブラインドスポット監視システムの複数のレーダーセンサの一部重畳している2つの視野の例示的な配置構成を表した図、
【図11】車両左側の車両リアバンパー内でのブラインドスポットセンサシステムの2つの組み込み状況例を表した図、
【図12】ブラインドスポット監視の適用における複数のセンサのさらなる(代替的)配置構成を表した図、
【図13】図12の12.1〜12.6に表されている個々の配置構成のさらなる詳細と特徴を示した図、
【図14】典型的な高速道路でのシナリオを概略的に表した図、
【図15】図14に示されているシナリオに対応するビームIIのFMCWピークを表した図、
【図16】後方からの接近の際の対象の識別と位置付けを表した図、
【図17】図14に示されているシナリオに対応するビームIのFMCWピークを表した図、
【図18】センサの測定サイクル中のCW及びFMCW周波数変調の生じ得るシーケンスを表した図、
【図19】ビーム領域IにおけるFMCW及びCWピークの時系列シーケンスを表した図、
【図20】ビーム領域IIにおけるFMCW及びCWピークの時系列シーケンスを表した図、
【図21】図14の高速道路シナリオ中のビームI+IIにおける識別された対象の速度と距離を表した図、
【図22】第2の高速道路シナリオを概略的に表した図、
【図23】図22に示されたシナリオに対応してガードレールとトラックへ接近する際のレーダー信号を表した図、
【図24】第3の高速道路シナリオを概略的に表した図、
【図25】図24に示されたシナリオに対応してガードレールの脇を通過し乗用車と併走する際のレーダー信号を表した図、
【図26】監視領域に前方から侵入する対象のクラス分けを表した図、
【図27】第4の高速道路シナリオを概略的に表した図、
【図28】図27に示されているトラックと乗用車とガードレールの伴った複雑なシナリオに対応するレーダー信号を表した図、
【図29】第5の高速道路シナリオを概略的に表した図、
【図30】図29に示されているシナリオに対応するガードレールへの接近の際のレーダー信号を表した図、
【図31】図29によるガードレールシナリオ中のビームIIの視野の個々のFMCWスペクトルを表した図、
【図32】図29によるガードレールシナリオ中のビームIの視野の個々のFMCWスペクトルを表した図、
【図33】第6の高速道路シナリオを概略的に表した図、
【図34】図33に示されているシナリオに対応するガードレールからコンクリート壁を通過する際のレーダー信号を表した図、
【図35】図33によるガードレール−コンクリート壁シナリオ中のビームIIの視野の個々のFMCWスペクトルを表した図、
【図36】図33によるガードレール−コンクリート壁シナリオ中のビームIの視野の個々のFMCWスペクトルを表した図、
【図37】図14に示されたシナリオに対応して車両が隣接車線上の2台の乗用車によって追い越された際のレーダー信号を表した図、
【図38】図14に示されたシナリオに対応して車両が隣接車線上のトレーラトラックによって追い越された際のレーダー信号を表した図
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の所定の監視領域内の対象を、第1のレーダービームを照射する少なくとも1つの第1の手段と第2のレーダービームを照射する少なくとも1つの第2の手段を含んだレーダー技術を用いて検知及び/又はクラス分けするためのブラインドスポットセンサシステムに関している。
【背景技術】
【0002】
サイドミラーのいわゆる"死角"の領域内の対象の存在をドライバーに知らせるいわゆる"ブラインドスポット監視システム"を自動車に設けることは周知である。この場合最近のシステムでは、機能に対して関連性のある対象(走行中の車両、トラック、バイクなど)と関連性のない対象(交通標識や信号機、ガードレールなどの設備や駐車車両など)の間で区別がなされている。これに関する要求は、所定の監視領域、典型的には車両のサイドミラーに接する領域をカバーし車両側方領域を含んだ領域に基づく道路交通対象の検知と位置付け並びにクラス分けからなっている。この監視領域内で関連性のある対象が存在している場合には、ドライバーに警告がなされる。
【0003】
従来技術ではこの問題を解決するための様々な手段が公知である。記述的に最も簡単な解決手段は、ミラーによってカバーしきれない領域が最小となるように湾曲化されたサイドミラーを使用することである。しかしながらこの解決手段は例えばアメリカ合衆国では禁止されている。その他にもミラーの湾曲化はひずみを引き起こし、そのためドライバーにとってそのような鏡像に基づく対象との距離の推定が困難となっている。
【0004】
さらに別の解決手段は、関連性のある対象を複数のセンサを用いて検出し、引き続き処理されたセンサ情報に基づいてドライバーに情報を提供することからなっている。
【0005】
そのために用いられるセンサは、物理的な検出原理や測定対象の特性において区別される。この場合は赤外線レーザーダイオードや赤外線カメラに基づく相応の画像処理を伴った手段やレーダに基づくシステムなどが公知である。
【0006】
これらの種々異なるセンサはそれぞれの適用ケースに関連して様々な利点や欠点を有し、それらはブラインドスポットシステム構成において考慮されなければならないものである。そのためセンサの選択においてはシステムの統一性や監視領域、コスト、性能などの周辺条件が考慮されなければならない。
【0007】
道路交通に積極的に参加しているロードユーザー(走行中の乗用車、トラックなど)は、当該ブラインドスポットシステムに対して関連性のあるものとしてクラス分けされる。それに対して道路交通に積極的に参加していない対象や静的な対象(道路周辺の建物や駐車車両など)は、当該ブラインドシステムからは関連性のないものとして観察される。関連性のある対象が監視領域内に存在している時には、ブラインドシステムはこのことをシグナリングして知らせるはずである。それに対して関連性のない対象の場合には、システムの反応は起きないはずである。
【0008】
対象の識別がなされる監視領域は、典型的には車両のサイドミラー後方から開始される1つのゾーンによって定められている(図1の白抜きの後方領域参照)。このゾーンは、隣接する走行車線に張り出し、ブラインドスポットシステムを装備した車両後方の最大距離までさかのぼる。
【0009】
特にこの監視領域は、車両のサイドミラーの"死角"(ブラインドスポット)をカバーしている。通常は車両の両側、つまり左右のサイドミラーにそのようなブラインドスポットシステムが装備されているのが目的にかなっている。なぜならば前述したような問題が左側車線への車線変更のみならず右側車線への車線変更の際にも生じ得るからである。
【0010】
関連性の有無に基づく検出対象のクラス分けは、特に有利には車両に対する対象の動き状態に依存して行われる。
【0011】
ブラインドスポットシステムを装備した車両(図2並びにその他の図面においては"ホストカー"とも称する)が図2の座標系においてx軸に沿って正の速度でもって移動すると、システム機能の趣旨で例えば図3に例示されているように、関連性の有無に関してクラス分けがなされる。この場合表されている速度V0,V1は、それぞれ適用レベルである。
【0012】
当該"ブラインドスポット監視"アプリケーションのシステム機能は、自動車のドライバに、隣接する車線上でドライバーからよく見えない自車の側方と左右後方の領域内、つまり前述したようなさらなる監視領域内に位置する関連性の有る対象の存在に先んじて警告を発することからなっている。そのためこのシステム機能の意図は、特に車線変更過程中のドライバのアシスタントである。
【0013】
以下では"ブラインドスポット監視"システムの典型的な適用ケースを説明すると共にそのつどの所望のシステム反応例を具体的に示す。
【0014】
第1のケース(図4参照)では、ブラインドスポットシステムを装備したそれぞれ濃色で示されている車両が多車線の走行路上に位置し、それぞれ淡色で示された左側車線の車両から追い越されている。
【0015】
図4の4.1から4.6は、このシナリオを時系列で表したものであり、この場合これらの個々の図の上側で"アクティブ"な状態ないしは"非アクティブ"な状態で示されている"警告ランプ"の絵は、望ましい有利なシステム反応を表している。
【0016】
この場合"アクティブ"な状態(4.2〜4.5に相応)とは、監視領域内で関連性のある対象の存在が識別されたことをドライバに警告していることを意味する。また"非アクティブ"な状態(4.1と4.6に相応)とは、当該監視領域内で関連性のある対象の存在が識別されず、警告が何もなされなかったことを意味する。
【0017】
図4に示されているシナリオでは、検出すべき対象が監視領域を走行方向の後方から所定の期間当該領域に入り、引き続き当該領域を逸脱してさらに走行方向前方へ走り抜けている様子が表わされている。このようなシナリオ構成において、追い越しをかけている車両が大きな速度差で接近している場合には、これらの対象間では比較的大きな相対速度が生じ得る。しかしながらそのようなケースではシステムの使用は不確かとなる。なぜならドライバーに警告を発する持続時間がドライバーに反応させ得るための最低時間(約1秒)を下回るべきではないからである。その結果として、後方から監視領域に侵入する対象には僅かなシステム反応時間しか許されなくなる。
【0018】
図5にはさらなる適用例、詳細には右側車線での追い越し過程が示されている。ブラインドスポットシステムを装備した車両(図5の5.1〜5.6にそれぞれ濃色で表されている)は、右側の車線で、左側の隣接車線にいる関連性のある対象(例えばそれぞれ淡色で表されている走行中の車両)の脇を通過している。
【0019】
このケースでは関連性のある対象が、走行方向前方から監視領域に侵入している。そのようなシナリオにおいては、警報は、追い越す車両が所定の最小時間、監視領域に留まっている場合にのみ有意となる。
【0020】
ブラインドスポット機能が望ましいとされるさらなるシナリオは、関連性のある対象が監視領域側方から近づいてくるケースである(図6参照)。
【0021】
このいわゆる割り込み過程のケースでは、発生する相対速度が前述の図4ないし図5で説明したケースの場合よりも明らかに低い。その結果として、側方から監視領域に侵入する対象には、許容範囲で延長されたシステム反応時間が許容される。
【0022】
ブラインドスポットシステムの典型的な適用ケースのリスティングでは、ポジティブなシステム反応が求められるシナリオだけでなく、システム反応が何も生じるべきではないようなシナリオも考慮すべきである。
【0023】
以下のシナリオでは、警報が何も発せられるべきではない頻繁に生じる典型的なケースを示す。
【0024】
図7に示されているシナリオでは、ブラインドスポットシステムを装備した車両("host car")が又隣の車線の対象によって追い越されている。監視領域内の関連性のある対象には時間が存在しないので、監視領域に対する水平方向の位置決定のもとでプラインドスポットシステムは警報パルスを発しない。
【0025】
さらに高頻度で発生するシナリオは、固有の車線上での関連性のある対象の接近である(図8参照)。
【0026】
このケースでもブラインドスポットシステムは警報を発すべきではない。なぜならここでも関連性のある対象が監視領域内に存在していないからである。
【0027】
さらに高頻度で発生し得るさらに別のシナリオは、関連性のない対象が"ブラインドスポット検出システム"の監視領域内へ侵入するケースである。
【0028】
図9には、車線境界線ないし道路境界線、すなわちガードレールや壁などの静的な対象への接近が示されている。ここではブラインドスポットシステムが次のように位置付けられるべきである。すなわち通りとの境界線を検出して、関連性のないものとして段階付ける、つまり対象のクラス分けが実施されるように位置付けられるべきである。そのようなシナリオにおいても警報は形成されないほうがよい。
【0029】
望ましいシステム反応並びに前述した典型的な適用ケースから出発して本発明の課題が基礎とするところは、冒頭に述べたような要求を満たすことのできるブラインドスポットシステムを提供することである。特にこのブラインドスポットセンサシステムは、
検出すべき対象に対する高い識別確率を有し
対象の相対速度の決定が許容され、
監視領域に対する対象の相対位置の決定も許容され、つまり対象が領域内にあるのかそれとも領域外にあるのかが決定され、その場合領域内の対象は必ずしも正確に位置付けされる必要はなく、
検出された対象が関連性の有無についてクラス分けが実施される。
【0030】
その上さらに車両の走行環境の任意のクラス分けがシステム機能にとっても有意となり得る。
【0031】
さらに所要の性能は、誤った警報とその誤報率が許容範囲に維持されるように構成できる。
【0032】
最後にこのブラインドスポットセンサシステムは自動車環境に適している。すなわち堅固性、基礎的設備、環境条件、サイズ、集積度などに関する通常の要求を満たし得るものである。
【0033】
本発明のこの課題は請求項1の特徴を備えた方法によって解決される。
【0034】
個別に用いることも相互に組合わせて用いることも可能な有利な実施例及び改善例も独立請求項の対象である。
【0035】
本発明は、自動車の所定の監視領域内の対象を検出及び/又はクラス分けするためのブラインドスポットセンサシステムであって、少なくとも1つの第1のレーダービームを照射する第1の手段と第2のレーダービームを照射する第2の手段を含んでいる形式の上位概念において、第1のレーダービーム(ビームI)の半径方向視野が自動車の走行方向(Vx)に対して次のように傾斜されかつ第2のレーダービーム(ビームII)の半径方向視野が前記走行方向(Vx)に対して実質的に直角に次のように配向されている。すなわち前記レーダービーム(ビームIおよびII)の視野が少なくとも部分的に重なりかつ前記両ビームが共に監視領域の測量を実質的にカバーするように傾斜されて配向されている。この場合少なくとも第1のレーダービーム(ビームI)はCW変調モードでもFMCW変調モードでも作動可能であることを特徴としている。
【0036】
部分的に特殊操作される少なくとも2つのレーダーセンサを備えたブラインドスポットセンサシステムの実現には以下に列挙するような関連性の高い利点が伴う。すなわち、
−十分な構造を有し少なくとも大半が金属からなる検出すべき対象(トラック、乗用車、ガードレールなど)の高い検出確率、
−場合によって極端な環境条件、例えば変動する光条件、−40℃〜+85℃の温度変動、降雨、降雪などに対する不感性、
−検出対象までの間隔距離と半径方向速度の正確な検出、
−レーダー信号における構造及び材料に依存した典型的構成要素による対象のクラス分けの可能性、及び/又は
−レーダースペクトルにおける構造及び材料に依存した典型的構成要素によるパターン認識の可能性。
【0037】
これらのレーダーセンサは、レーダービームにとって"透過性"の材料、例えばプラスチックなどの後ろに組み込むことができ、さらに確かな堅固性と経済的な基盤も有しているので、本発明は特に最新の自動車における用途に適している。
【0038】
本発明の簡単な実施例によれば、CW変調モードとFMCW変調モードが順次連続して入れ替わる。
【0039】
検出確率の向上と対象速度の正確な検出のために有利には、複数のFMCW変調モードが少なくとも1つのCW変調モードと共に順次入れ替わる。特に有利には1つのCWモードに対して5つのFMCWモードが用いられる。
【0040】
測定精度の低下を避けるために有利には、複数のFMCW変調モードが少なくとも2つのCW変調モードに追従する。特に有利には2つのCWモードに5つのFMCWモードが用いられる。
【0041】
本発明の簡単な実施例によれば、第1のレーダービームを照射する手段と第2のレーダービームを照射する手段がデュアルビームセンサによって実現される。但し空間的に近接した通信の利点が得られる反面、構造空間は比較的大きくなってしまう。
【0042】
車両タイプ毎に小型化される構造部は益々決定的となるので有利には、第1のレーダービームを照射する手段と第2のレーダービームを照射する手段がそれぞれ1つのシングルビームセンサによって実現される。この種の分離は有利には新規なセンサ配置構成を可能にさせる。
【0043】
デュアルビームセンサが例えばサイドミラー、フェンダ、リアバンパーに組み込まれなければならないのに対してシングルビームセンサは、任意に組合わせが可能である。本発明によれば例えば有利には、第1のレーダービーム(ビームI)のためのシングルビームセンサがサイドミラー又はフェンダボディ又はフロントホイールハウス又はBピラー又はサイドシル内に組み込まれ、第2のレーダービーム(ビームII)のためのシングルビームセンサはリアバンパーに組み込まれている、請求項6記載のブラインドスポットセンサシステム。
【0044】
有利には、第1のレーダービーム(ビームI)が30°〜50°、特に40°の幅を有し、自動車の長手軸に対して2°〜13°、特に5°若しくは10°の傾きを有している。
また第2のレーダービーム(ビームII)は70°〜140°、特に80°又は130°の幅を有し、自動車の長手軸に対して2°〜53°、特に5°又は20°若しくは50°の傾きを有している。
【0045】
以下の明細書で任意の図面と有利な実施形態の例示的な説明に基づくように、本発明は特に自動車の所定の監視領域における対象の検出及び/又はクラス分けに適している。
【0046】
ここでこれらの図面のうち、
図1は"ブラインドスポット監視システム"の典型的な監視領域を示した図であり、
図2は、ブラインドスポットシステムを具備した車両の定義を座標系で表わした図であり、
図3は、関連性のある対象と関連性のない対象の例を示した図であり、
図4は、左側隣接車線上での追い越し過程を表した図であり、
図5は、右側走行車線上での追い越し過程を表した図であり、
図6は、割り込み過程を表した図であり、
図7は、又隣の右側走行車線上で追い越される過程を表した図であり、
図8は、唯一の車線上で関連性のある対象に接近されている様子を表した図であり、
図9は、道路境界線への"ホストカー"の接近を表した図であり、
図10は、本発明によるブラインドスポット監視システムの複数のレーダーセンサの一部重畳している2つの視野の例示的な配置構成を表した図であり、
図11は、車両左側の車両リアバンパー内でのブラインドスポットセンサシステムの2つの組込み状況例を表した図であり、
図12は、ブラインドスポット監視の適用における複数のセンサのさらなる(代替的)配置構成を表した図であり、
図13は、図12の12.1〜12.6に表されている個々の配置構成のさらなる詳細と特徴を示した図であり、
図14は、典型的な高速道路でのシナリオを概略的に表した図であり、
図15は、図14に示されているシナリオに対応するビームIIのFMCWピークを表した図であり、
図16は、後方からの接近の際の対象の識別と位置付けを表した図であり、
図17は、図14に示されているシナリオに対応するビームIのFMCWピークを表した図であり、
図18は、センサの測定サイクル中のCW及びFMCW周波数変調の生じ得るシーケンスを表した図であり、
図19は、ビーム領域IにおけるFMCW及びCWピークの時系列シーケンスを表した図であり、
図19は、ビーム領域IIにおけるFMCW及びCWピークの時系列シーケンスを表した図であり、
図21は、図14の高速道路シナリオ中のビームI+IIにおける識別された対象の速度と距離を表した図であり、
図22は、第2の高速道路シナリオを概略的に表した図であり、
図23は、図22に示されたシナリオに対応してガードレールとトラックへ接近する際のレーダー信号を表した図であり、
図24は、第3の高速道路シナリオを概略的に表した図であり、
図25は、図24に示されたシナリオに対応してガードレールの脇を通過し乗用車と併走する際のレーダー信号を表した図であり、
図26は、監視領域に前方から侵入する対象のクラス分けを表した図であり、
図27は、第4の高速道路シナリオを概略的に表した図であり、
図28は、図27に示されているトラックと乗用車とガードレールの伴った複雑なシナリオに対応するレーダー信号を表した図であり、
Fig. 図29は、第5の高速道路シナリオを概略的に表した図であり、
図30は、図29に示されているシナリオに対応するガードレールへの接近の際のレーダー信号を表した図であり、
図31は、図29によるガードレールシナリオ中のビームIIの視野の個々のFMCWスペクトルを表した図であり、
図32は、図29によるガードレールシナリオ中のビームIの視野の個々のFMCWスペクトルを表した図であり、
図33は、第6の高速道路シナリオを概略的に表した図であり、
図34は、図33に示されているシナリオに対応するガードレールからコンクリート壁を通過する際のレーダー信号を表した図であり、
図35は、図33によるガードレール−コンクリート壁シナリオ中のビームIIの視野の個々のFMCWスペクトルを表した図であり、
図36は、図33によるガードレール−コンクリート壁シナリオ中のビームIの視野の個々のFMCWスペクトルを表した図であり、
図37は、図14に示されたシナリオに対応して車両が隣接車線上の2台の乗用車によって追い越された際のレーダー信号を表した図であり、
図38は、図14に示されたシナリオに対応して車両が隣接車線上のトレーラトラックによって追い越された際のレーダー信号を表した図である。
【0047】
なお冒頭でも述べたようにこれらの図面では、以下の本発明による有利な実施形態の説明において同じ構成要素若しくは比較可能な構成要素は同じように描写されている。
【実施例】
【0048】
図10には2つのレーダービーム領域の例示的な配置構成が示されている。ビームIは隣接する走行車線の水平面の中の約40°のセクタをカバーしている。それは車両の長手方向に対して約10°程度傾斜されている。ビームIIは約130°のセクタを有し、それは車両長手方向に対して直角に配向されている。カバーすべき監視領域は淡色で示されており、この監視領域内で対象が検出されクラス分けされる。
【0049】
ここで選択されるビーム幅とビーム配向は、所望の監視領域(淡色の背景)に合わせて構成される。別の手法で定義される監視領域でも、ビーム幅とビーム配向の適応化は求められる。しかしながら2つのビーム領域の基本的な設計構成は同じであってよい。重要なのは、以下でさらに説明するストラテジや信号評価に対する個々の要求の解決に使用できることである。
【0050】
提案されたセンサシステムは、有利には24GHzのレーダーセンサの利用に基づいている(場合によっては77GHzも)。
数ミリメートルに相応する波長を有するレーダービームは、目立った影響なしで多くのプラスチック材料を透過できる有利な特性を有している。
なぜなら今日の乗用車のバンパーの多くはプラスチックから製造されているため、このことは本発明によるブラインドスポットセンサシステムをリアバンパーの後方に組み込む可能性を提供する。それにより周りからは見えなくなるとと同時に砂利の飛散等による外的影響からも保護できる。このことは他のセンサ構想、例えばビデオ、赤外線、レーザーのような他のセンサ構想に比べて、システム統合における些細な利点に留まるものではない。
【0051】
レーダービームによって要求される視野には、デュアルビームセンサを利用することも可能であるし、あるいはシングルビームセンサを2つ利用することも可能である。前者を利用する場合のバリエーションでは、相応のインフラとして1つのケーシングしか必要ないという明らかな利点がある。しかしながら要求される視野は、センサの組込み箇所における狭い境界に絞られる。
【0052】
2つのシングルビームセンサを利用するならばさらに付加的に、十分な性能のインターフェースが2つのセンサの間に必要となる。それに対して2つのセンサを利用する場合には、個々のセンサの組み込み可能な箇所に関して非常に汎用性が高くなる。というのもシングルビームセンサは、デュアルビームセンサよりも明らかに小型だからである(約半分の大きさ)。
【0053】
図11には、提案されたセンサ構成に対する典型的な組み込み状況例が示されている。このセンサ構成は、主に2つの考察から選択されたものである。一方でこのシステムは例えば乗用車にも集積可能になるべきである。24GHz帯のレーダーセンサを利用する場合には、所要のアンテナ面積はセンサの寸法を制限する。例えば図11の11.1に示されているデュアルビームセンサが図10に示されている視野を伴う場合、所要アンテナ面積は、約150×60mmとなる。センサに求められる配向特性とそのサイズに基づいて、従来の乗用車では制約付きでないと適切な組み込み箇所が見つからない。
【0054】
監視領域の実現に対して2つのシングルビームセンサを考えるならば(図11の11.2参照)、2つの個別センサの間で十分に高速な通信が必要となる場合であっても、個々のセンサを相応に小型化して設計することが可能となり、このことは車両へのセンサの集積化を有利に容易にさせる。
図11に設定されている配置構成に対しては代替的に次のような適用も可能である。すなわち所定の監視領域のもとで相応の車両組み込み箇所を伴う代替的ビーム構成を適用することも可能である。
【0055】
図12には、所定の監視領域(淡色の背景)に対して可能なブラインドスポットセンサシステムのビーム配置構成が示されている。図12の12.1には、従来技術から公知の1つのレーダービームしか持たない古典的な配置構成が示されている。
【0056】
図12の12.2〜12.6には、本発明によるビーム配置構成が示されており、この場合は以下で説明する信号処理ストラテジが適用されており、これらの12.1〜12.6に示されている個々の配置構成のさらなる詳細と特徴は図13においても説明する。
【0057】
以下の明細書では本発明によるブラインドスポットセンサシステムの実現において代替的若しくは追加式に適用し得る検出ストラテジ、クラス分けストラテジ、パターン認識ストラテジが詳細に説明され、さらにその適用がそのつどの基礎とされる個別要求に基づいて検討される。
【0058】
個別要求Aは、対象の分離と周辺環境/対象の位置付けである。対象の識別とクラス分けは有利にはデュアルビームレーダーセンサを用いて行われてもよい。このセンサは2つのビームローブ内では何も角度分解能を持たず、専らビームローブの視野で半径方向の距離と速度を測定している。にもかかわらず対象は所定の監視領域に関連して位置付けされるべきである。典型的な適用ケースでは、周辺環境からの関連性のある対象の分離がさらに要求される。なぜなら典型的適用ケースにおいては明らかにマルチターゲット環境が主流となるからである(例えばガードレール脇の乗用車など)。
【0059】
本発明によるブラインドスポットセンサシステムは、対象の位置付けと識別を1つ以上のセンサの複数の視野の所期の配置構成によって実施する。
【0060】
全ての管理領域をカバーできるようにするために、大きく拡幅された水平方向の視野を有するセンサが必要となる。目下の構成によればこのことは、そのビームが水平面で約130°の開き角度を有するセンサ(図10参照)のビームIIによって実現される。このブラインドスポットセンサシステムは、特に多車線で少なくとも構造的に境界を持たされている走行路、例えばガードレール等の境界物を有する高速道路等での使用を想定して構想されたものである。
【0061】
この環境は、車両の移動方向に対して専ら直角に配向されている(ビームII)センサに対して顕著なマルチターゲット環境を表している。特に金属性の対象はそれぞれを検知するようにしないといけないので、そのようなマルチターゲット環境において、それらの対象の識別とクラス分けを適時に行うのは非常に困難である。
【0062】
以下では図面に基づいて典型的な高速道路上でのシナリオを検討する。ブラインドスポットセンサシステムを装備した車両(host car)は、2車線の高速道路の右側車線を走行し、その第2の車線はガードレールによって仕切られている。この車両は5台の車両によって追い越される。このシナリオは図14に概略的に表されている。
【0063】
図15には、図14に示されているシナリオに相応するビームIIのFMCWピークが示されており、すなわちビームIIのPMCWレーダースペクトルにおける検出された周波数極大値(ピーク)が示されており、この場合追い越し車両に対応付けられるピークにはFzgが付されており、それによって残りのピークはガードレールに対応付けられる。
【0064】
FMCWレーダー原理特有のように、個々の周波数位置はこの場合半径方向の対象距離とそのつどの対象の反射点の速度に比例する。
【0065】
ビームIIにおける大きな開き角度(±65°)に基づいて、ガードレール等の境界物並びにその金属ポストも追い越し車両もセンサの監視領域内に入る。
【0066】
センサは専ら半径方向の範囲を測定し、さらに監視領域内には非常に多くのターゲットが比較可能な距離と相対速度で存在しているので、ビームIIを用いた関連性のない対象(ガードレールポストなど)から関連性のある対象(車両)の分離は、本発明のシナリオにおいて、関連性のある対象の半径方向間隔が関連性のない対象の最小半径間隔よりも小さい場合には確実に可能となる。
【0067】
このことは対象の信頼性が高くて適時の識別とクラス分けには不十分である。
【0068】
それにもかかわらず適時の対象識別とクラス分けを実施し得るために、既に前述したように、部分的に重畳する2つのセンサ監視領域の配置構成が提案されている。
【0069】
このストラテジは、次のことからなっている。すなわち隣接車線に接するガードレールをビームIの視野の所期の選択と車両に関するその配向によってカットアウトすることである。
【0070】
ビームIの検出範囲は次のように選択される。すなわち接している車線が監視されると共にガードレールなど関連性のない対象による影響は受けないように選択される。
【0071】
ビームIにおいて所定の半径方向距離で検出される対象は、接している走行車線上に存在し、関連性のある対象としてクラス分けされる。図16には、幾何学的な特性が概略的に表されている。
【0072】
図示の半径rmaxとrminは、この場合ビームIのビーム幅と配向の選択に依存している。rmaxとrminの間のセクタはこの場合、複数のターゲットが識別されそれらの信号がレーダースペクトル内で追跡される領域を表す。
【0073】
対象が隣の車線若しくは又隣の車線にいるのかどうかについての決定は、対象車線が半径方向間隔rminを下回っている場合に下す。その後で位置付けがビームII内の半径方向の位置決定に基づいて行われる。
【0074】
ビームIとIIのビームローブの幾何学的形態から明らかなことは、2つのビームが対象を監視領域に関して位置付けし得る。領域の重畳に基づいて対象はビームIからビーム領域IIに引き継がれ、対象が監視領域を離れるまで追跡される。
【0075】
前述したシステムは、ビームIを用いて早期対象識別を実施する。このことは合目的的である。なぜなら高い相対速度を有する対象は、前述の適用ケースの場合システムに後方から、つまりビームIの視野方向から近似しているからである。ちょうどこの方向では当該システムが、高い相対速度を有する対象を確実に識別できる状態でなければならない。
【0076】
図17では検討している高速道路上のシナリオにおいてビーム1内で検出された周波数極大値が示されている。ここで明らかなことは、ビーム配向とビーム形態の選択によって関連性のある対象を関連性のない対象から明確に分離されていることである。
【0077】
ビームI内では目下のシナリオにおいて専らほぼ関連性のある対象が識別されている(例えば隣接する車線上を通過している車両)。しかしながらこの対象はビーム配向に基づいて最小レーダー間隔までしか見通せない。この最小間隔は、専らビームIを用いて監視領域に対する対象位置に関する情報を提供するのには不十分である。
【0078】
それ故にビームIは、隣接車線上で後方から近づいてくる対象を早期に識別することに使用される。ビーム領域が重畳しているため、隣接車線上で後方から近づいてくる対象は2つのビーム領域で検出される。
【0079】
個別要求Bは、高い速度差を有している対象の確実な識別である。既に前述したようにこのシステムは、それを装備している車両("host car")に後方から高い速度差(例えば時速40km以上の差)で近づいてくる対象を確実に識別できる状態でなければならない。
【0080】
少なくともビームIに対して使用するレーダーセンサは変調切り換えの可能性を提供できるものである。すなわちそれはCW変調モードでもFMCW変調モードでも作動できるものである。この2つの変調方式は、特別な利点と補足的な能力、すなわち対象を識別し、分離し、それらの半径方向の位置と速度を確定する能力を有している。
【0081】
CWモードではこのセンサは、専ら当該センサの監視領域内の対象の速度を測定する。つまりこのセンサは対象の存在とその相対速度のみを測定する。対象識別は、異なる速度に基づいてしか行うことができない。
【0082】
この場合の速度測定範囲は、適用目的に合う範囲に限られる(ほぼ0〜30m/s)。空間的監視領域は、CWモードでは一方でアンテナの開き角度とセンサの感度によって確定する(FMCWモードに比べて半径方向の固定の最大検知範囲は存在しない)。
【0083】
特に関連性のある対象(乗用車、トラックなど)に対する半径方向の視野は、半径方向の位置確定が実施される最大視野よりも大きい。
【0084】
FMCWモードは次のような利点を有している。すなわち監視領域内の対象の半径方向の対象距離も相対速度も同時に確定できる利点である。
【0085】
但しこの場合半径方向の監視領域は、対象速度と半径方向の間隔によって制限される。例えば相対速度Vrelativ=0の対象に対しては、最大間隔距離はrmaxとなる(センサ構成に依存する)。それに対して相対速度V=V0を有する対象で(rmax−k×V0)(k>0)のみでは相応に小さくなる。
【0086】
それに加えてFMCWの信号評価では、複数ターゲット環境における多義性の欠点も併せ持つ(つまり評価が曖昧となる)。2以上の対象がセンサの監視領域内に存在するならば、個々のFMCW測定周期で対象の半径方向の間隔距離と速度を一義的に確定することはできない。このことは結果的にFMCWデータの誤った解釈に結び付き、仮想の対象(ゴーストターゲット)を形成しかねない。
【0087】
FMCWモードは基本的には、対象を間隔距離と速度に従って分離できる可能性を提供する。
【0088】
CW変調方式とFMCW変調方式の順次連続した作動モードは、2つの方式を組み合わせた利点と効果を有効利用できることにつながる。
【0089】
CWモードの高い検知感度は、対象(特に高い相対速度を有する対象)の速度を非常に早い時点で確定することができる。それにより早期対象識別が行われ、さらにFMCWモードの信号処理もCWモードで検出された対象速度を有する対象の存在に対して所期のように高感度に対応できる。
【0090】
これにより対象の位置と速度が非常に早期時点で確実に確定でき、FMCW信号処理における多義性の欠点が回避される。
【0091】
Fig. 図18は、センサの測定サイクル中のCW及びFMCW周波数変調の生じ得るシーケンスを表した図である。
【0092】
明確な説明のためにここでは前述した高速道路上のシナリオを新たに検討するものとする(図14参照)。図19及び図20は、当該シナリオ中に測定されたFMCWモードとCWモードの周波数極大値を時間の関数で表したものである。
【0093】
CWモード中の周波数極大値は、そのつどのビーム範囲内にある対象の半径方向相対速度を表している。図19と図20の両方において明らかにわかることは、CWモードの対象速度の検出がFMCWモードの対象の検出よりも時間的に先に行われていることである。
【0094】
それによりFMCWモードの信号評価においてCWモードの速度を有する対象に絞った探索が所期のように行われる。これにより、FMCWモードのデータ評価のみで不確かとなっている時点で当該対象の半径方向間隔距離が確定される。
【0095】
図21には、検討された高速道路上のシナリオ中のCW及びFMCWモードでのデータ分析の結果が時間の関数として表されている。この場合当該2つのダイヤグラムにおいてはCWデータに基づいて求められた対象速度もFMCWデータをベースとして速度も示されている。
【0096】
2つの方式は、対象を検出しクラス分けするそれらの能力に関して補足し合っている。CWモードは、その測定原理に基づいてセンサに対し相対速度を持っていない対象の識別はできない。
【0097】
ブラインドスポット方式の適用に対して意味を持っている典型的な対象は、走行路境界物、例えばガードレールなどである。検討されるシナリオでは、車両がこの走行路境界物に並行して移動しているものとする。それゆえにCWモードのビームIでは境界物は見えない。
【0098】
その間にもガードレールはFMCWモードの静的対象として識別され、ブラインドスポット方式の適用に対して利用され得る。
【0099】
個別要求Cは、関連性のある対象と関連性のない対象における対象自身と走行状況のクラス分けである。監視領域に相対する対象の識別と位置付けの他にも当該システムは対象をクラス分けできなければならない。図3に例示的に示したように、対象の関連性はとりわけ相対速度によって確定されてもよい。
【0100】
提案されたセンサシステムでは、走行方向に抗する車両、つまり当該システムに後方から近づく車両の速度を検出し得るので、当該ケースにおける対象のクラス分けは比較的容易である。
【0101】
それに対して明らかに複雑なのは、前方若しくは側方から対象が監視領域に接近するケースである。このケースでは相対速度の直接の測定に問題があり、走行環境のモデルやさらなる手段、例えば前方に配向された第3のレーダービーム等の手段がなければ不可能である。
【0102】
当該システムを装備した車両の絶対移動は未知であるので、測定された対象の間隔と相対速度から対象の移動状態を単独で推論することはそう簡単にはいかない。
【0103】
この問題性を具体的に示すために図22においては第2の典型的な高速道路上のシナリオを示す。ここでは当該システムを装備した車両がまずガードレールに近づき、続いてトラックに接近している。図23は、図22に示されたシナリオに対応してガードレールとトラックへ接近する際のレーダー信号を表した図である。上側のダイヤグラムはFMCWモードのピークポジションとビームIの強度を時間の関数で表しており、下側のダイヤグラムはビームIIに対する相応の情報を表している。
【0104】
この問題性を具体的に示すために図22においては第2の典型的な高速道路上のシナリオを示す。ここでは当該システムを装備した車両がまずガードレールに近づき、続いてトラックに接近している。図25は、図24に示されたシナリオに対応してガードレールの脇を通過して乗用車と併走する際のレーダー信号を表した図である。上側のダイヤグラムはFMCWモードのピークポジションとビームIの強度を時間の関数で表しており、下側のダイヤグラムはビームIIに対する相応の情報を表している。
【0105】
ガードレールと乗用車ないしトラックは、図22及び23ないしは図24及び25において示されているシナリオにおいて前方の監視領域に侵入している。それぞれ2つの対象は前方から監視領域に接近しているので、ビームレンジIでの対象識別と速度検出は行うことができない。
【0106】
それにもかかわらず当該システムは、2つの対象、すなわちガードレール(関連性のない対象)とトラック(関連性のある対象)の間で区別をつけることが可能である。
【0107】
それに対して本発明によれば有利な以下のストラテジが実行される。ビームIIにおいて検出された対象が静的な対象である場合には、この対象は所定の時間tminの経過後にビームIにおいて検出され得る。この期間は車両の固有速度と2つのビームローブの横方向の間隔によって定められる。それにより図26にも示されているように以下の関係式、
tmin=dxbeam_I_beam_II/Vown
が成り立つ。
【0108】
その結果対象が既にビームレンジIによって実行されることなくビームレンジII内で識別されると、この車両が区間dxbeam_I_beamIIを走行した後で、予め定められた半径方向間隔の対象がビームI内で探索される。さらに正の相対速度を有するそのような対象が検出されれば、それは静的な対象であるとの推論が成り立ち、関連性のない対象としてのクラス分けがなされる。
【0109】
それに対して対象が何も検出されないと、次のようなことが推測される。すなわち対象が当該システムを装備した車両と一緒に併走していることが推測される。そのため監視領域内の存在が確認されると関連性のある対象としてのクラス分けがなされる。
【0110】
図23及び図25においては、図22及び図24に表されているシナリオに対して表示されているFMCWスペクトルが時間の関数として表されている。
【0111】
個別要求Dは、レーダースペクトルにおけるパターン認識である。検出された対象に関する付加情報を得るために、2つのレーダーローブの検出されたFMCWスペクトル内でパターン認識が実施される。
【0112】
この場合はFMCWスペクトル内に頻繁に出現する対象の所定の特徴に従って探索がなされ、それにより例えばメモリ内にファイルされた典型的な基準パターンとの比較によって、検出対象に関する信頼性の高い付加情報が得られるものとなる。
特にクラス分けのロバスト性を高めるために、あるいは異なるクラスの区別を可能にするために、2つのセンサの情報(視野領域(ビームI,ビームII))が結合される。
【0113】
以下ではその手法を具体的に示すためにいくつかの異なる例で説明する。
【0114】
図27には第4の高速道路上でのシナリオが示されている。このシナリオでは当該車両("host car")がまず左側隣接車線のトラックによって追い越される。それに続いて又隣の車線上の乗用車が当該車両を通り過ぎてゆく最後に当該車両は監視領域内で始まるガードレールに沿った走行を始める。
【0115】
図28には、図27に表されているシナリオに対して表示されるFMCWスペクトルが時間の関数として表されている。
【0116】
クラス分けの際には、FMCWスペクトルにおいてクラス分けすべき典型的特徴の対象が探索される。以下に述べる特徴は、FMCWスペクトルの評価の際に考慮されるものであり、図29から図32においてはその例としてガードレール識別が示されている。
【0117】
図29に示されているシナリオのもとでのFMCW信号の強度分布では、当該車両("host car")が実質的にガードレールと並行に移動し、さらにそれに近づいている様子が時間の関数として表されている。ガードレールは大抵は水平方向の金属構造物からなっており、これは規則的に配置された金属ポストに支持されている。ビームIIのFMCWスペクトルにおいては、それが主反射(スペクトル内の最大強度)によって強調され(図31参照)、これはガードレールとの最小間隔を表し、また多数の規則的(ポストの一定間隔)に位置する反射がガードレールポストに基づき生じる。それに対してビームIにおいては幾何学的特性に基づいて一連の規則的に位置する反射がガードレールポストに基づいて識別されるのみである(図32参照、ここでは振幅並びに周波数がそれぞれ"任意の単位で"プロットされている)。ガードレールに対する最小間隔(これはビームIIにおける情報に基づいて確定され得る)と、固有の速度を用いることによって、ビームIにおける反射点の位置を予め確定することができる。ビームIとビームIIからの情報を組合わせることによって有利には、監視領域内でのガードレールの存在と位置に関する信頼性の高い情報を得ることができるようになる。
【0118】
信号の時間的変化については、ガードレールはその物理的な特性(金属部分の規則的な配置、高い対称性)に基づいてレーダーにとっては非常に"安定した"ターゲットであり、それに応じて信号の時間的変化が他の対象との比較においても僅かである。
【0119】
構造物の時間的変化については、固有速度と幾何学的特性に基づいてガードレールポストの反射点の時間的な展開が予め確定できる。ガードレールの主反射点は、併走のもとではガードレールとの間隔距離に相応して、相対速度0m/sで定常的に保持される。構造物はガードレールの空間的広がりに基づいて相応に長い時間の間可視である。
【0120】
構造物の空間的変化は幾何学的特性によって確定され、ガードレールの場合にはどちらかといえば少ない方である。
【0121】
2つの異なるFMCW測定{正の勾配(図31の下方の特性曲線)を有する周波数ランプ、負の勾配(図31の上方の特性曲線)を有する周波数ランプ}内での構造物の区別は、固有速度と移動方向の考慮のもとで行われ、例えばガードレールに対しては、2つのFMCW測定の主反射、並びに速度に依存するガードレールポストに対応した反射点のシフトの一致などが特徴的である。
【0122】
構造物の幅(対象に割り当てられる構造物からの複数の強度極大値の統合)に対しては既に前述したようにガードレールがスペクトル内の多数の特徴的な反射点によって特徴付けられる。これらの反射点は全てひっくるめてターゲットのガードレールに対応付けられる。
【0123】
周波数の関数としての構造物内の強度分布は、ガードレールに対しては主反射内の強度極大値並びに比較的僅かな強度の反射が主反射に結び付けられて特徴付けられる。
【0124】
2つのビーム領域内の構造物の比較については、ビームレンジIとIIにおけるガードレール反射点の位置の間の直接的な関連付けが幾何学的な考慮に基づいて行われる。
【0125】
総合的にみて、対象クラス分けの特徴は、そのFMCWレーダー特有の作用に対する物理的/幾何学的対象特性の伝送から導き出されるか、又はそれぞれの対象クラスの典型的な測定に基づく基準データによって生成される。
【0126】
図33には、第6の典型的な高速道路上でのシナリオが示されており、ここでは当該車両("host car")がまずガードレールに並行して移動し、続いてコンクリート壁に並行して移動している。2つのビーム領域のFMCWスペクトル内では違いが明らかである(図34参照)。車両がコンクリート壁に沿って移動すると、ガードレールポストに基づく反射は失われる。それに対して主反射は両ケースに存在している。
【0127】
これらの違いは、特に2つの視野の個々の測定サイクルのFMCWスペクトルを観察して、これらをガードレールシナリオと比較した場合に明らかである(図35及び36参照)。
【0128】
最後に図37及び図38においては、図14に示されているシナリオに依存してそれぞれ2つの追い越しシナリオが示されており、そこでは当該ブラインドスポットセンサシステムを装備した車両("host car")が2台の乗用車(図37のケース)ないしはトレーラトラック(図38のケース)によって追い越されている。
【0129】
ここで明らかにみてとれることは、乗用車とトラックがそれらの寸法に関して十分な違いがあることである。このことは表示されるFMCW信号においても顕著である。トラックのFKCW構造物は、乗用車に比べて明らかに拡大されて構造化されている。
【0130】
この構造物の幅並びにその強度分布は、各対象クラス、すなわちトラックないし乗用車毎に特徴付けられ、クラス分けの際に利用される。
【0131】
本発明は、特に以下の特性を備えた少なくとも1つの第1及び第2のレーダービームを送信するのに適した複数のレーダーセンサ(例えば24GHz又は77GHz)に基づくブラインドスポットセンサシステムのアプリケーションとして実証されている。すなわち、
−2つの部分的に重畳される視野を備えた2つのレーダービーム(ビームI/ビームII)、
−視野領域Iは走行方向に対して傾斜され、隣接する走行車線を監視する、
−視野領域IIは実質的に走行方向に対して直角に配向され、ワイドなセクタ領域でシステムの監視領域をカバーする、
−これらの視野領域は重畳領域を有し相互に傾斜している
−1つ又は複数のセンサのレーダー変調方式の切り換えは主に視野領域Iにおいてなされる(FMCW及びCW)(但し少なくともFMCWは半径方向の距離と速度を確定するため)
−1つ又は複数のレーダーセンサのバイスタティックな設計
−1つ又は複数のセンサの半径方向視野が少なくとも監視領域のサイズと共にカバーしている。1つ又は複数のセンサの広い視野領域、特にビームレンジIにおける視野領域は有利には、対象を早期に識別して追従するために
−半径方向分解能が典型的にはdr<0.5m、
−半径方向速度が典型的にはdV<2m/s、
−FMCW及びCWに対する測定サイクルが典型的にはdt<30ms
であり得る。
【0132】
本発明はこれによって特に例えばあらゆるタイプの最新自動車における車線変更のためのアシストシステムへの使用に適している。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】"ブラインドスポット監視システム"の典型的な監視領域を示した図
【図2】ブラインドスポットシステムを具備した車両の定義を座標系で表した図
【図3】関連性のある対象と関連性のない対象の例を示した図
【図4】左側隣接車線上での追い越し過程を表した図、
【図5】右側走行車線上での追い越し過程を表した図
【図6】割り込み過程を表した図、
【図7】又隣の右側走行車線上で追い越される過程を表した図、
【図8】唯一の車線上で関連性のある対象に接近されている様子を表した図、
【図9】道路境界線への"ホストカー"の接近を表した図、
【図10】本発明によるブラインドスポット監視システムの複数のレーダーセンサの一部重畳している2つの視野の例示的な配置構成を表した図、
【図11】車両左側の車両リアバンパー内でのブラインドスポットセンサシステムの2つの組み込み状況例を表した図、
【図12】ブラインドスポット監視の適用における複数のセンサのさらなる(代替的)配置構成を表した図、
【図13】図12の12.1〜12.6に表されている個々の配置構成のさらなる詳細と特徴を示した図、
【図14】典型的な高速道路でのシナリオを概略的に表した図、
【図15】図14に示されているシナリオに対応するビームIIのFMCWピークを表した図、
【図16】後方からの接近の際の対象の識別と位置付けを表した図、
【図17】図14に示されているシナリオに対応するビームIのFMCWピークを表した図、
【図18】センサの測定サイクル中のCW及びFMCW周波数変調の生じ得るシーケンスを表した図、
【図19】ビーム領域IにおけるFMCW及びCWピークの時系列シーケンスを表した図、
【図20】ビーム領域IIにおけるFMCW及びCWピークの時系列シーケンスを表した図、
【図21】図14の高速道路シナリオ中のビームI+IIにおける識別された対象の速度と距離を表した図、
【図22】第2の高速道路シナリオを概略的に表した図、
【図23】図22に示されたシナリオに対応してガードレールとトラックへ接近する際のレーダー信号を表した図、
【図24】第3の高速道路シナリオを概略的に表した図、
【図25】図24に示されたシナリオに対応してガードレールの脇を通過し乗用車と併走する際のレーダー信号を表した図、
【図26】監視領域に前方から侵入する対象のクラス分けを表した図、
【図27】第4の高速道路シナリオを概略的に表した図、
【図28】図27に示されているトラックと乗用車とガードレールの伴った複雑なシナリオに対応するレーダー信号を表した図、
【図29】第5の高速道路シナリオを概略的に表した図、
【図30】図29に示されているシナリオに対応するガードレールへの接近の際のレーダー信号を表した図、
【図31】図29によるガードレールシナリオ中のビームIIの視野の個々のFMCWスペクトルを表した図、
【図32】図29によるガードレールシナリオ中のビームIの視野の個々のFMCWスペクトルを表した図、
【図33】第6の高速道路シナリオを概略的に表した図、
【図34】図33に示されているシナリオに対応するガードレールからコンクリート壁を通過する際のレーダー信号を表した図、
【図35】図33によるガードレール−コンクリート壁シナリオ中のビームIIの視野の個々のFMCWスペクトルを表した図、
【図36】図33によるガードレール−コンクリート壁シナリオ中のビームIの視野の個々のFMCWスペクトルを表した図、
【図37】図14に示されたシナリオに対応して車両が隣接車線上の2台の乗用車によって追い越された際のレーダー信号を表した図、
【図38】図14に示されたシナリオに対応して車両が隣接車線上のトレーラトラックによって追い越された際のレーダー信号を表した図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の所定の監視領域内の対象を検出及び/又はクラス分けするためのブラインドスポットセンサシステムであって、
少なくとも第1のレーダービームを照射する第1の手段と第2のレーダービームを照射する第2の手段を含んでいる形式のブラインドスポットセンサシステムにおいて、
第1のレーダービーム(ビームI)の半径方向視野が自動車の走行方向(Vx)に対して次のように傾斜されかつ第2のレーダービーム(ビームII)の半径方向視野が前記走行方向(Vx)に対して実質的に直角に次のように配向され、すなわち前記レーダービーム(ビームIおよびII)の視野が少なくとも部分的に重なりかつ前記両ビームが共に監視領域の測量を実質的にカバーするように傾斜されて配向されており、
さらに少なくとも前記第1のレーダービーム(ビームI)がCW変調モードでもFMCW変調モードでも作動可能であるように構成されていることを特徴とする、ブラインドスポットセンサシステム。
【請求項2】
CW変調モード及びFMCW変調モードは順次連続して入れ替わる、請求項1記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項3】
複数のFMCW変調モードが少なくとも1つのCW変調モードと共に順次入れ替わる、特に5つのFMCWモードが1つのCWモードと共に入れ替わる、請求項1記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項4】
複数のFMCW変調モードが少なくとも2つのCW変調モードに追従する、特に5つのFMCWモードが2つのCWモードに追従する、請求項3記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項5】
第1のレーダービームを照射する手段と第2のレーダービームを照射する手段がツービームセンサによって実現されている、請求項1から4いずれか1項記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項6】
第1のレーダービームを照射する手段と第2のレーダービームを照射する手段がそれぞれ1つのワンビームセンサによって実現されている、請求項1から5いずれか1項記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項7】
前記1つ又は複数のビームセンサは、サイドミラー又はフェンダボディ若しくはリアバンパー内に組み込まれている、請求項5又は6記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項8】
第1のレーダービーム(ビームI)のためのビームセンサがサイドミラー又はフェンダボディ又はフロントホイールハウス又はBピラー又はサイドシル内に組み込まれ、第2のレーダービーム(ビームII)のためのビームセンサはリアバンパーに組み込まれている、請求項6記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項9】
第1のレーダービーム(ビームI)は30°〜50°、特に40°の幅を有し、自動車の長手軸に対して2°〜13°、特に5°若しくは10°の傾きを有している、請求項1から8いずれか1項記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項10】
第2のレーダービーム(ビームII)は70°〜140°、特に80°又は130°の幅を有し、自動車の長手軸に対して2°〜53°、特に5°又は20°若しくは50°の傾きを有している、請求項1から9いずれか1項記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項11】
対象の早期識別が主に第1のレーダービーム(ビームI)の支援と共に行われる、請求項1から10いずれか1項記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項12】
第1のレーダービーム(ビームI)は検出範囲を表わす所定の可変の最大半径(rmax)と最小半径(rmin)を有する、請求項11記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項13】
第1のレーダービーム(ビームI)の検出範囲は、主として隣接する車線が監視されるように選択される、請求項12記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項14】
対象が隣の車線若しくは又隣の車線にいるのかについての決定を、対象車線が半径方向間隔rminを下回っている場合に下す、請求項12又は13記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項15】
第1のレーダービーム(ビームI)内で所定の間隔距離で検出される対象は、規定により隣接する車線上に存在するものとみなされる、請求項11から14いずれか1項記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項16】
隣接する車線上に存在する対象は、規定によりビーム範囲II内でそれが監視領域を離れるまで追跡される、請求項15記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項17】
対象の監視領域に関する位置付けが主に第2のレーダービーム(ビームII)の支援と共に、特にビームII内での半径方向の位置決定に基づいて行われる、請求項1から16いずれか1項記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項18】
関連性のある対象と関連性のない対象のクラス分けが対象の相対速度の算出によって行われ、この場合以下の式が成り立ち、
tmin=dxbeam_I_beam_II/Vown
前記dxbeam_I_beam_IIは、2つのビームローブの横方向の間隔距離であり、
前記Vownは車両/対象の固有速度である、請求項1から17いずれか1項記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項19】
パターン認識が行われている、請求項1から18いずれか1項記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項20】
対象クラス分けの特徴は、そのFMCWレーダー特有の作用に対する物理的/幾何学的対象特性の伝送から導き出されるか、及び/又はそれぞれの対象クラスの典型的な測定に基づく基準データによって生成される、請求項19記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項21】
FMCWスペクトルの評価の際に以下の特徴が考慮される、すなわち
FMCW信号の強度分布、
信号の時間的変化、
構造の時間変化、
構造の空間的変化、
固有速度と運動方向の考慮のもとでの2つの異なるFMCW測定内の構造の差、
構造の幅、
周波数の関数としての構造内の強度分布、及び/又は
2つのビーム領域内の構造比較、
が考慮される、請求項19又は20記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項22】
FMCWスペクトル内で検出された対象の典型的な特性が、メモリにファイルされている基準パターンと比較される、請求項19から21いずれか1項記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項1】
自動車の所定の監視領域内の対象を検出及び/又はクラス分けするためのブラインドスポットセンサシステムであって、
少なくとも第1のレーダービームを照射する第1の手段と第2のレーダービームを照射する第2の手段を含んでいる形式のブラインドスポットセンサシステムにおいて、
第1のレーダービーム(ビームI)の半径方向視野が自動車の走行方向(Vx)に対して次のように傾斜されかつ第2のレーダービーム(ビームII)の半径方向視野が前記走行方向(Vx)に対して実質的に直角に次のように配向され、すなわち前記レーダービーム(ビームIおよびII)の視野が少なくとも部分的に重なりかつ前記両ビームが共に監視領域の測量を実質的にカバーするように傾斜されて配向されており、
さらに少なくとも前記第1のレーダービーム(ビームI)がCW変調モードでもFMCW変調モードでも作動可能であるように構成されていることを特徴とする、ブラインドスポットセンサシステム。
【請求項2】
CW変調モード及びFMCW変調モードは順次連続して入れ替わる、請求項1記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項3】
複数のFMCW変調モードが少なくとも1つのCW変調モードと共に順次入れ替わる、特に5つのFMCWモードが1つのCWモードと共に入れ替わる、請求項1記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項4】
複数のFMCW変調モードが少なくとも2つのCW変調モードに追従する、特に5つのFMCWモードが2つのCWモードに追従する、請求項3記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項5】
第1のレーダービームを照射する手段と第2のレーダービームを照射する手段がツービームセンサによって実現されている、請求項1から4いずれか1項記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項6】
第1のレーダービームを照射する手段と第2のレーダービームを照射する手段がそれぞれ1つのワンビームセンサによって実現されている、請求項1から5いずれか1項記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項7】
前記1つ又は複数のビームセンサは、サイドミラー又はフェンダボディ若しくはリアバンパー内に組み込まれている、請求項5又は6記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項8】
第1のレーダービーム(ビームI)のためのビームセンサがサイドミラー又はフェンダボディ又はフロントホイールハウス又はBピラー又はサイドシル内に組み込まれ、第2のレーダービーム(ビームII)のためのビームセンサはリアバンパーに組み込まれている、請求項6記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項9】
第1のレーダービーム(ビームI)は30°〜50°、特に40°の幅を有し、自動車の長手軸に対して2°〜13°、特に5°若しくは10°の傾きを有している、請求項1から8いずれか1項記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項10】
第2のレーダービーム(ビームII)は70°〜140°、特に80°又は130°の幅を有し、自動車の長手軸に対して2°〜53°、特に5°又は20°若しくは50°の傾きを有している、請求項1から9いずれか1項記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項11】
対象の早期識別が主に第1のレーダービーム(ビームI)の支援と共に行われる、請求項1から10いずれか1項記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項12】
第1のレーダービーム(ビームI)は検出範囲を表わす所定の可変の最大半径(rmax)と最小半径(rmin)を有する、請求項11記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項13】
第1のレーダービーム(ビームI)の検出範囲は、主として隣接する車線が監視されるように選択される、請求項12記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項14】
対象が隣の車線若しくは又隣の車線にいるのかについての決定を、対象車線が半径方向間隔rminを下回っている場合に下す、請求項12又は13記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項15】
第1のレーダービーム(ビームI)内で所定の間隔距離で検出される対象は、規定により隣接する車線上に存在するものとみなされる、請求項11から14いずれか1項記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項16】
隣接する車線上に存在する対象は、規定によりビーム範囲II内でそれが監視領域を離れるまで追跡される、請求項15記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項17】
対象の監視領域に関する位置付けが主に第2のレーダービーム(ビームII)の支援と共に、特にビームII内での半径方向の位置決定に基づいて行われる、請求項1から16いずれか1項記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項18】
関連性のある対象と関連性のない対象のクラス分けが対象の相対速度の算出によって行われ、この場合以下の式が成り立ち、
tmin=dxbeam_I_beam_II/Vown
前記dxbeam_I_beam_IIは、2つのビームローブの横方向の間隔距離であり、
前記Vownは車両/対象の固有速度である、請求項1から17いずれか1項記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項19】
パターン認識が行われている、請求項1から18いずれか1項記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項20】
対象クラス分けの特徴は、そのFMCWレーダー特有の作用に対する物理的/幾何学的対象特性の伝送から導き出されるか、及び/又はそれぞれの対象クラスの典型的な測定に基づく基準データによって生成される、請求項19記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項21】
FMCWスペクトルの評価の際に以下の特徴が考慮される、すなわち
FMCW信号の強度分布、
信号の時間的変化、
構造の時間変化、
構造の空間的変化、
固有速度と運動方向の考慮のもとでの2つの異なるFMCW測定内の構造の差、
構造の幅、
周波数の関数としての構造内の強度分布、及び/又は
2つのビーム領域内の構造比較、
が考慮される、請求項19又は20記載のブラインドスポットセンサシステム。
【請求項22】
FMCWスペクトル内で検出された対象の典型的な特性が、メモリにファイルされている基準パターンと比較される、請求項19から21いずれか1項記載のブラインドスポットセンサシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【公表番号】特表2007−533991(P2007−533991A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508903(P2007−508903)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051699
【国際公開番号】WO2005/103757
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051699
【国際公開番号】WO2005/103757
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
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