説明

ブラシレスモータおよび車両用送風装置

【課題】 本発明の目的は、比較的大きなコアを有する面対向型のブラシレスモータを提供すると共に、回転効率が低下することを防止することが可能な面対向型のブラシレスモータを提供することにある。
【解決手段】 本発明は、マグネット34が配設されたロータヨーク33と、マグネット34と回転軸方向に対向するようにコイル45が配設されたコア42と、を備えたブラシレスモータ30に関する。
コア42は、コイル45の磁束と交わる面に粗面を有して構成されている。粗面は、例えば、同心円状に複数の概略扇状の溝部46が形成されたことによって構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシレスモータ及び車両用送風装置に係り、特にマグネットと回転軸方向に対向するようにコイルが配設された面対向型のブラシレスモータおよびこれを用いた車両用送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、マグネットと回転軸方向に対向するようにコイルが配設された面対向型のブラシレスモータが知られている(例えば、特許文献1参照)。例えば、特許文献1に記載の例では、円板状のロータヨークが用いられており、このロータヨークのコア側に形成された平面部には、円環状のマグネットが配設されている。
【0003】
コアは、電磁鋼板からなる略円板体により構成されており、コアのロータヨーク側に形成された平面部には、略円環状に巻回されたコイルが複数配設されている。そして、ロータヨークとコアとは、互いの平面部が回転軸方向に相対向するように配置されている。
【0004】
ところが、上記特許文献1に記載の例において、コイルの磁束がコアの平面部を透過すると、コアの平面部に渦電流が生ずる。従って、渦電流を生じた分だけ鉄損(渦電流損失)が生じるため、ブラシレスモータの回転効率が低下することになる。
【0005】
そこで、コアにおける鉄損特性を向上させるために、長尺の平板部材を円環状に巻回してなる巻コアを用いたブラシレスモータが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載の例によれば、巻コアを採用することにより、径方向に沿ってコアが分割されるので、コアにおいて渦電流が形成される領域を狭めることができる。従って、渦電流の発生量を低減することができるので、ブラシレスモータの回転効率が低下することを防止することが可能である。
【特許文献1】特開平6−46554号公報(第2−3頁、図1、図2)
【特許文献2】特開2003−299266(第2−3頁、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、巻コアを用いて比較的大きなコアを製造するには、巻コアの巻数を増やす必要がある。このように、巻コアの巻数を増やすと、コアの製造工数が増加したり、コアの製造が複雑になったりする等の問題が生じる。従って、巻コアを用いた面対向型のブラシレスモータを、例えば、車両のエンジンを冷却するための車両用送風装置等などに用いられることは検討されていなかった。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、比較的大きなコアを有する面対向型のブラシレスモータを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、回転効率が低下することを防止することが可能なブラシレスモータを提供することにある。
さらに、本発明の目的は、コストを低減することが可能なブラシレスモータを提供することにある。
【0008】
また、本発明のさらに他の目的は、装置の大きさを小型化することが可能な車両用送風装置を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、消費電力を低減することが可能な車両用送風装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、コストを低減することが可能な車両用送風装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、請求項1に記載のブラシレスモータによれば、マグネットが配設されたロータヨークと、前記マグネットと回転軸方向に対向するようにコイルが配設されたコアと、を備えたブラシレスモータにおいて、前記コアは、前記コイルの磁束と交わる面に粗面を有して構成されたこと、により解決される。
【0010】
このように、いわゆる面対向型のブラシレスモータにおいて、コアがコイルの磁束と交わる面に粗面を有して構成されていると、コアにおいて渦電流が形成される領域を狭めることができる。これにより、渦電流の発生量を低減することができるので、渦電流による鉄損(渦電流損失)を低減することが可能となる。
【0011】
ここで、請求項2に記載のように、前記コアは、より具体的には、複数のコア材を回転軸方向に積層して構成され、複数のコア材のうち少なくとも一つがコイルの磁束と交わる面に粗面を有する構成である。この構成によれば、例えば、粗面を有するコア材と粗面を有しない平板状のコア材とを組み合わせてコアを構成することにより、コア材に粗面が形成されたことによって低減したコイルの磁路を、粗面を有しない平板状のコア材によって補うことが可能である。これにより、渦電流による鉄損(渦電流損失)を低減しつつも、コア全体として必要な磁路を確保することが可能となる。
【0012】
また、請求項3に記載のように、コアが樹脂コーティングされた粉末状の磁性体を結合してなる粉体コアにより構成されていると、例えば、電磁鋼板からなるコアに比して、コアの固有抵抗を高めることができるので、渦電流の発生量を低減することができ好適である。
【0013】
さらに、請求項4に記載のように、コアが複数のコア材を回転軸方向に積層して構成され、複数のコア材のうち少なくとも一つが樹脂コーティングされた粉末状の磁性体を結合してなる粉体コアにより構成されていると、渦電流による鉄損(渦電流損失)を低減させつつ、コア全体として必要な磁路を確保することができるので好適である。
【0014】
また、請求項5に記載のように、複数のコア材のうちコイルが配設されたコア材がコイルの磁束と交わる面に粗面を有して構成されていると、複数のコア材のうち最も渦電流が発生しやすいコイルが配設されたコア材において渦電流の発生量を確実に低減することができるので好適である。
【0015】
ここで、請求項6に記載のように、前記粗面は、より具体的には、同心円状に複数の概略扇状の溝部が形成された面により構成される。このように構成されていると、コアにおいて渦電流が形成される領域を確実に狭めることができるので好適である。
【0016】
なお、請求項7に記載のように、前記粗面は、概略渦状の溝部が複数形成された面により構成されていても良い。
【0017】
また、請求項8に記載のように、前記粗面は、同心円状に複数の環状の溝部が形成された面により構成されていても良い。
【0018】
さらに、請求項9に記載のように、前記粗面は、放射状に複数の溝部が形成された面により構成されていても良い。
【0019】
また、請求項10に記載のように、前記粗面は、複数の突起が形成された面により構成されていても良い。
【0020】
このように、請求項6乃至請求項10に記載の発明では、粗面を幾何学的な形状により構成しているので、例えば、工作機械、プレス加工機、レーザ加工機等により容易に粗面を形成することができると共に、これら工作機械、プレス加工機、レーザ加工機等によって粗面を精度良く確実に形成することが可能である。
【0021】
ここで、請求項11に記載のように、溝部がコアの回転軸方向に貫通する構成とすると、例えば、打ち抜き加工やレーザ加工等によってコア材に溝部を容易に形成することができるので好適である。
【0022】
そして、請求項12に記載のように、本発明は、マグネットと回転軸方向に対向するようにコイルが配設されたコアと、を備えたブラシレスモータにおいて、コアが樹脂コーティングされた粉末状の磁性体を結合してなる粉体コアにより構成されたものである。
【0023】
ここで、粉体コアとは、樹脂等の絶縁体によりコーティングされた粉末状の磁性体を結合してなるコアであって、そのコーティングされた粉末状の磁性体を所定の形状に固化したものである。本発明に係る粉体コアは、複数のコア材が回転軸方向に積層して構成されたものを含む概念である。この粉体コアでは、粉末状の磁性体の表面が樹脂等の絶縁体によりコーティングされていることから、磁気抵抗の方向性がなく、いずれの方向にも磁束が自由に流れやすくなっている。また、電磁鋼板を用いたコアに比べて固有抵抗が高いため、フラット型のモータに適用したコアに特有な渦電流の発生を十分に抑えることができる。
【0024】
また、請求項13に記載のように、粉体コアを構成する磁性体のうちコイル側に配置された磁性体の樹脂コーティングがコイルと反対側に配置された磁性体の樹脂コーティングの膜厚よりも厚く形成されていると、渦電流が発生しやすいコイルが配設された側において渦電流の発生量を確実に低減することができるので好適である。
【0025】
そして、請求項14に記載のように、送風ファンと、該送風ファンを回転させるブラシレスモータと、を有して構成された車両用送風装置において、前記ブラシレスモータに請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載のブラシレスモータを用いると好適である。
【0026】
さらに、請求項15に記載のように、前記車両用送風装置は、車両のエンジンを冷却するためのファンモータ装置に用いられるとより好適である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、コイルの磁束と交わるコア材の面に粗面を形成することにより、コアにおいて渦電流が形成される領域を狭めることができるので、渦電流の発生量を低減することができる。これにより、渦電流による鉄損(渦電流損失)を低減することができるので、ブラシレスモータの回転効率が低下することを防止することが可能となる。
【0028】
また、本発明によれば、渦電流を低減させる技術として、コイルの磁束と交わるコアの面に粗面を形成するという簡易な構成を用いているので、従来の巻コアを用いた構成と比して、比較的容易にコアを大型化することが可能となる。これにより、例えば、本発明のブラシレスモータを車両のエンジンを冷却するための車両用送風装置等などに好適に用いることが可能となる。
【0029】
さらに、本発明によれば、コアに粗面を形成するという簡単な構成によって渦電流の発生量を低減することができるので、従来の巻コアを用いた構成と比して、コアの製造コストを低減することが可能となる。これにより、ブラシレスモータおよび車両用送風装置の製造コストを低減することが可能となる。
【0030】
また、本発明によれば、渦電流による鉄損(渦電流損失)を低減することにより、ブラシレスモータの回転効率が低下することを防止することができるので、車両用送風装置の消費電力を低減することが可能となる。これにより、例えば、本発明の車両用送風装置を車両のエンジンを冷却するためのファンモータ装置として好適に用いることが可能となる。
【0031】
さらに、本発明によれば、ロータヨークに配設されたマグネットと平面で対向するように複数のコイルが配設されているので、ブラシレスモータの回転軸方向の大きさを小型化することができる。これにより、本発明のブラシレスモータを車両用送風装置に用いた場合には、車両用送風装置の大きさを小型化することが可能となる。
【0032】
また、本発明によれば、粗面を幾何学的な形状によって構成することにより、例えば、工作機械やレーザ加工機等を用いて容易に粗面を形成することができると共に、これら工作機械、プレス加工機、レーザ加工機等によって粗面を精度良く確実に形成することが可能である。従って、製品間によって粗面にばらつきが生じることを防止することができるので、ブラシレスモータの個体毎に磁束密度等が異なる等の不具合が生じることを防止することが可能である。
【0033】
さらに、本発明によれば、コアに樹脂コーティングされた粉末状の磁性体を結合してなる粉体コアを用いることにより、電磁鋼板に比して、固有抵抗を高めることができるので、コアに渦電流を生じにくくすることができる。これにより、渦電流による鉄損(渦電流損失)を低減することができるので、ブラシレスモータの回転効率が低下することを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
【0035】
(第一実施形態)
図1乃至図4は本発明の第一実施形態を示す図で、図1は車両用送風装置の構成を示す説明図、図2はブラシレスモータの概略構成を示す斜視図、図3はコアの構成を示す分解斜視図、図4はコアを図3のA−A線で切断した断面図である。
【0036】
はじめに、図1乃至図4を参照しながら、本発明の第一実施形態に係る車両用送風装置Sの構成について説明する。図1に示す本発明の第一実施形態に係る車両用送風装置Sは、例えば、乗用自動車等のラジエータを冷却するために好適に用いられるものであり、図1に示すように、送風ファン10と、ファンシュラウド20と、ブラシレスモータ30を有して構成されている。
【0037】
送風ファン10は、ブラシレスモータ30を覆うようにして形成されたカップ状のファン本体11を有して構成されており、このファン本体11には、半径方向外側に延出するように形成された羽根12が放射状に複数配設されている。ファン本体11の底面中央部分には、ブラシレスモータ30に形成された固着具37aを挿通するための貫通孔13が形成されている。そして、貫通孔13に固着具37aを挿通した状態で貫通孔13から突出した固着具37aに不図示のナット等を螺合することにより、ブラシレスモータ30と送風ファン10とが一体に組み付けられている。
【0038】
ファンシュラウド20は、ブラシレスモータ30を固定保持すると共に、このブラシレスモータ30に接続された送風ファン10を収容するためのものである。本例のファンシュラウド20には、ブラシレスモータ30を固定保持するためのモータ固定部21が形成されており、このモータ固定部21には、ブラシレスモータ30が固定されている。
【0039】
ブラシレスモータ30は、送風ファン10を回転させるためのものであり、回転子31と固定子41とを有して構成されている。回転子31は、略円板状に構成されたロータヨーク33を備えており、ロータヨーク33のコア42側の平面部33aには、環状のマグネット34が固定されている。マグネット34には、周方向に沿ってN極とS極とが交互に形成(例えば、8極形成)されている。
【0040】
ロータヨーク33の中央部には、コア42側へ突出する環状の支持部35が形成されており、この支持部35には、回転シャフト36が嵌合されている。回転シャフト36は、固定子41に設けられた軸受部材47a,47bによって回転自在に支持されている。回転シャフト36の先端部には、固着具37aが嵌合されてなるファン固定部37が設けられており、このファン固定部37に設けられたフランジ部37bは、ロータヨーク33のコア42と反対側の平面部33bにネジなどの固着具37cによって固定されている。回転シャフト36の後端部には、径方向に延出する延出部38が形成されており、この延出部38には、回転検出用のマグネット39が設けられている。
【0041】
固定子41は、コア42を有して構成されており、コア42のロータヨーク33と反対側には、ヒートシンク43が設けられている。ヒートシンク43のコア42と反対側には、基板44が設けられており、基板44のヒートシンク43と反対側には、背面ケース48が設けられている。基板44には、ホール素子44aやドライバIC44b等の電子部品が配設され、これらホール素子44aやドライバIC44b等は、不図示のプリント配線等により配線接続されている。ホール素子44aは、回転検出用のマグネット39と対向するように配置されており、ドライバIC44bは、ヒートシンク43上にネジなどの固着具44cによって固定されている。
【0042】
本例のコア42は、図2,図3に示すように、電磁鋼板からなる円形薄板状のコア材42a,42b,42c,42dを回転軸方向に複数積層して構成されている。コア材42a,42b,42c,42dは、例えば、打ち抜き加工やレーザ加工等により形成される。コア42のロータヨーク33側の表面には、環状に巻回されたコイル45がマグネット34と平面で対向するように配設されている。コア材42a〜42dのうちコイル45側に配設されたコア材42a,42bの表面には、図3,図4に示すように、コア42の回転軸を中心として同心円状に複数の概略扇状の溝部46がそれぞれ形成されている。この溝部46は、コイル45側に開口を有する凹状に形成されている。本例では、コア材42a,42bの表面に概略扇状の溝部46が複数形成されることによって、コイル45の磁束と交わるコア材42a,42bの面にそれぞれ粗面が形成されている。
【0043】
このように、コア材42a,42bの表面に概略扇状の溝部46を設けてコイル45の磁束と交わる面を粗面とすると、コア42において渦電流が形成される領域を狭めることができるので、渦電流の発生量を低減することができる。従って、渦電流による鉄損(渦電流損失)を低減することができるので、ブラシレスモータ30の回転効率が低下することを防止することが可能である。
【0044】
また、本例では、溝部46が凹状に構成されているので、溝部46を貫通孔とした場合に比して、溝部46を設けたことによるコア材42a,42bの欠損体積を必要最小限に抑えることができる。これにより、コイル45の磁路を十分に確保することができるので、溝部46を設けたことによって磁束密度が低減することを防止することが可能である。さらに、溝部46を凹状とすることにより、コア材42a,42bにおける溝部46の下側の部分(図4において符号Pで示す部分)を円板状に保つことができるので、溝部46を設けたことによってコア42全体の強度が低下することも防止することが可能である。
【0045】
また、本例では、コア42に設けられたコア材42a〜42dのうちコイル45側に配置された数枚(2枚)のコア材42a,42bにだけ溝部46を設け、コイル45から離れた位置に配置されたコア材42c,42dは溝部46を有しない平板状の構成としている。従って、コア材42a,42bに溝部46が形成されたことによって低減したコイル45の磁路を、溝部46を有しない平板状のコア材42c,42dによって補うことができるので、結果として、コア42全体として必要な磁路を確保することができ、所望の磁束密度を得ることが可能である。
【0046】
さらに、上述のように、溝部46が設けられたコア材42a,42bと溝部46を有しない平板状のコア材42c,42dとを組み合わせてコア42を形成することにより、渦電流の発生量を低減しつつ、十分な磁路を確保することができるので、溝部46が設けられたコア材42aのみを複数枚(例えば、6枚や8枚など)積層することによってコア42を形成する場合に比して、コア材の使用枚数を減らしたりコア42を薄くしたりすることが可能である。従って、コア42の製造コストを低減することが可能である。
【0047】
(第二実施形態)
図5,図6は、本発明の第二実施形態を示す図であり、図5はコアの構成を示す分解斜視図、図6はコアを図5のB−B線で切断した断面図である。本発明の第二実施形態は、上記第一実施形態に係るコアの構成を改変させたものであり、下記に説明する構成以外の構成については上記第一実施形態と同様であるので、その説明を省略する。また、本発明の第二実施形態において、コア材242a,242bに溝部246を設けたことによる作用効果についても上記第一実施形態と同様である。なお、本発明の第二実施形態において、上記第一実施形態に係る構成と同一の部材については同一の符号を用いて説明する。
【0048】
本発明の第二実施形態に係るコア242は、図5,図6に示すように、電磁鋼板からなる円形薄板状のコア材242a,242bおよびコア材42c,42dを回転軸方向に複数積層して構成されている。コイル45側に配設されたコア材242a,242bの表面には、コア材242a,242bの径方向外側から徐々に径方向内側へ移動する渦状の溝部246がそれぞれ形成されている。この溝部246は、コイル45側に開口を有する凹状に形成されている。本例では、コア材242a,242bの表面に渦状の溝部246が形成されることによって、コイル45の磁束と交わる面に粗面が形成されている。
【0049】
このように、コア材242a,242bの表面に渦状の溝部246を設けてコイル45の磁束と交わる面を粗面とすることにより、コア242において渦電流が形成される領域を狭めることができるので、渦電流の発生量を低減することができる。従って、渦電流による鉄損(渦電流損失)を低減することができるので、ブラシレスモータ30の回転効率が低下することを防止することが可能である。
【0050】
(第三実施形態)
図7,図8は、本発明の第三実施形態を示す図であり、図7はコアの構成を示す分解斜視図、図8はコアを図7のC−C線で切断した断面図である。本発明の第三実施形態は、上記第一実施形態に係るコアの構成を改変させたものであり、下記に説明する構成以外の構成については上記第一実施形態と同様であるので、その説明を省略する。また、本発明の第三実施形態において、コア材342a,342bに溝部346を設けたことによる作用効果についても上記第一実施形態と同様である。なお、本発明の第三実施形態において、上記第一実施形態に係る構成と同一の部材については同一の符号を用いて説明する。
【0051】
本発明の第三実施形態に係るコア342は、図7,図8に示すように、電磁鋼板からなる円形薄板状のコア材342a,342bおよびコア材42c,42dを回転軸方向に複数積層して構成されている。コイル45側に配設されたコア材342a,342bの表面には、コア342の回転軸を中心として同心円状に複数の環状の溝部346が形成されている。この溝部346は、コイル45側に開口を有する凹状に形成されている。本例では、コア材342a,342bの表面に複数の環状の溝部346が形成されることによって、コイル45の磁束と交わる面に粗面が形成されている。
【0052】
このように、コア材342a,342bの表面に複数の環状の溝部346を設けてコイル45の磁束と交わる面を粗面とすることにより、コア342において渦電流が形成される領域を狭めることができるので、渦電流の発生量を低減することができる。従って、渦電流による鉄損(渦電流損失)を低減することができるので、ブラシレスモータ30の回転効率が低下することを防止することが可能である。
【0053】
(第四実施形態)
図9,図10は、本発明の第四実施形態を示す図であり、図9はコアの構成を示す分解斜視図、図10はコアを周方向に切断した断面構成を示す説明図である。本発明の第四実施形態は、上記第一実施形態に係るコアの構成を改変させたものであり、下記に説明する構成以外の構成については上記第一実施形態と同様であるので、その説明を省略する。また、本発明の第四実施形態において、コア材442a,442bに溝部446を設けたことによる作用効果についても上記第一実施形態と同様である。なお、本発明の第四実施形態において、上記第一実施形態に係る構成と同一の部材については同一の符号を用いて説明する。
【0054】
本発明の第四実施形態に係るコア442は、図9,図10に示すように、電磁鋼板からなる円形薄板状のコア材442a,442bおよびコア材42c,42dを回転軸方向に複数積層して構成されている。コイル45側に配設されたコア材442a,442bの表面には、コア442の回転軸を中心として放射状に複数の溝部446が形成されている。この溝部446は、コイル45側に開口を有する凹状に形成されている。本例では、コア材442a,442bの表面に放射状に複数の溝部446が形成されることによって、コイル45の磁束と交わる面に粗面が形成されている。
【0055】
このように、コア材442a,442bの表面に放射状に複数の溝部446を設けてコイル45の磁束と交わる面を粗面とすることにより、コア442において渦電流が形成される領域を狭めることができるので、渦電流の発生量を低減することができる。従って、渦電流による鉄損(渦電流損失)を低減することができるので、ブラシレスモータ30の回転効率が低下することを防止することが可能である。
【0056】
(第五実施形態)
図11,図12は、本発明の第五実施形態を示す図であり、図11はコアの構成を示す分解斜視図、図12はコアを図11のD−D線で切断した断面図である。本発明の第五実施形態は、上記第一実施形態に係るコアの構成を改変させたものであり、下記に説明する構成以外の構成については上記第一実施形態と同様であるので、その説明を省略する。また、本発明の第五実施形態において、コア材542a,542bに粗面を設けたことによる作用効果についても上記第一実施形態と同様である。なお、本発明の第五実施形態において、上記第一実施形態に係る構成と同一の部材については同一の符号を用いて説明する。
【0057】
本発明の第五実施形態に係るコア542は、図11,図12に示すように、電磁鋼板からなる円形薄板状のコア材542a,542bおよびコア材42c,42dを回転軸方向に複数積層して構成されている。コイル45側に配設されたコア材542a,542bの表面には、複数の山状の突起546が形成されている。本例では、コア材542a,542bの表面に複数の山状の突起546が形成されることによって、コイル45の磁束と交わる面に粗面が形成されている。
【0058】
このように、コア材542a,542bの表面に複数の山状の突起546を設けてコイル45の磁束と交わる面を粗面とすることにより、コア542において渦電流が形成される領域を狭めることができるので、渦電流の発生量を低減することができる。従って、渦電流による鉄損(渦電流損失)を低減することができるので、ブラシレスモータ30の回転効率が低下することを防止することが可能である。
【0059】
(第六実施形態)
図13は、本発明の第六実施形態に係るコアの側面断面図である。本発明の第六実施形態は、上記第一実施形態乃至第五実施形態のようにコアに粗面を形成して渦電流の発生量を低減させるものではなく、コアに粉体コアを用いることにより渦電流の発生量を低減させるものである。従って、下記に説明する構成以外の構成については上記第一実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0060】
本発明の第六実施形態では、樹脂等の絶縁体によりコーティングされた粉末状の磁性体を結合してなる、いわゆる粉体コア842を用いている。粉体コア842において、各磁性体842aは、樹脂等の絶縁体842bによりコーティングされている。そして、粉体コア842は、そのコーティングされた粉末状の磁性体842aが所定の形状に固化されたものである。この粉体コア842では、粉末状の磁性体842aの表面が樹脂等の絶縁体842bによりコーティングされていることから、磁気抵抗の方向性がなく、いずれの方向にも磁束が自由に流れやすくなっている。また、電磁鋼板を用いたコアに比べて固有抵抗が高いため、フラット型のモータに適用したコアに特有な渦電流の発生を十分に抑えることができる。
【0061】
また、本実施形態では、粉体コア842を構成する磁性体842aのうちコイル45側に配置された磁性体の樹脂コーティングがコイル45と反対側に配置された磁性体の樹脂コーティングの膜厚よりも厚く形成されている。従って、渦電流が発生しやすいコイル45が配設された側において渦電流の発生量を確実に低減することが可能である。
【0062】
なお、粉体コア842を複数のコア材を回転軸方向に積層して構成しても良い。また、複数のコア材のうち少なくとも一つを、樹脂コーティングされた粉末状の磁性体を結合してなる粉体コアにより構成しても良い。このとき、磁性体にコーティングされた絶縁体の膜厚を各コア材において均一とし、コイル側には、磁性体の樹脂コーティングの膜厚が厚いコア材を配置し、コイルから遠ざかるに従って、磁性体の樹脂コーティングの膜厚が薄くなるようにコア材を積層しても良い。
【0063】
このようにすると、樹脂コーティングの膜厚を厚くしたことによって低減したコイルの磁路を、樹脂コーティングの膜厚を薄くしたコア材によって補うことが可能である。これにより、渦電流による鉄損(渦電流損失)を低減しつつも、コア全体として必要な磁路を確保することが可能となる。また、各コア材において絶縁体の膜厚を均一とすることにより、コア材の製造を容易とすることが可能である。なお、本発明の第六実施形態に係る粉体コア842に、上記第一実施形態乃至第五実施形態のコアのように粗面を形成しても良いことは勿論である。
【0064】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(イ)本実施形態によれば、コイル45の磁束と交わるコア材42a,42bの面を粗面とすることにより、コア42において渦電流が形成される領域を狭めることができるので、渦電流の発生量を低減することができる。従って、渦電流による鉄損(渦電流損失)を低減することができるので、ブラシレスモータ30の回転効率が低下することを防止することが可能である。
【0065】
(ロ)本実施形態によれば、溝部46が凹状に構成されているので、溝部46を貫通孔とした場合に比して、溝部46を設けたことによるコア材42a,42bの欠損体積を必要最小限に抑えることができる。従って、コイル45の磁路を十分に確保することができるので、溝部46を設けたことによって磁束密度が低減することを防止することが可能である。
【0066】
(ハ)本実施形態によれば、溝部46が凹状に構成されているので、コア材42a,42bにおける溝部46の下側の部分(図4において符号Pで示す部分)を円板状に保つことができる。従って、溝部46を設けたことによってコア42全体の強度が低下することも防止することが可能である。
【0067】
(ニ)本実施形態によれば、溝部46が設けられたコア材42a,42bと溝部46を有しない平板状のコア材42c,42dとを組み合わせているので、コア材42a,42bに溝部46が形成されたことによって低減したコイル45の磁路を、溝部46を有しない平板状のコア材42c,42dによって補うことができる。従って、渦電流による鉄損(渦電流損失)を低減しつつも、コア42全体として必要な磁路を確保することができるので、所望の磁束密度を得ることが可能である。
【0068】
(ホ)本実施形態によれば、溝部46が設けられたコア材42a,42bと溝部46を有しない平板状のコア材42c,42dとを組み合わせてコア42を形成することにより、渦電流の発生量を低減しつつ、十分な磁路を確保することができるので、溝部46が設けられたコア材42のみを複数枚積層することによってコア42を形成する場合に比して、コア材の使用枚数を減らしたりコア42を薄くしたりすることが可能である。従って、コア42の製造コストを低減することが可能である。
【0069】
(ヘ)本実施形態によれば、渦電流を低減させる技術として、コイル45の磁束と交わるコア42の面に粗面を形成するという簡易な構成を用いているので、従来の巻コアを用いた構成と比して、比較的容易にコア42を大型化することが可能である。従って、例えば、本発明のブラシレスモータ30を車両のエンジンを冷却するための車両用送風装置等などに好適に用いることが可能である。
【0070】
(ト)本実施形態によれば、コア42に粗面を形成するという簡単な構成によって渦電流の発生量を低減することができるので、従来の巻コアを用いた構成と比して、コア42の製造コストを低減することが可能である。従って、ブラシレスモータ30および車両用送風装置S全体のコストも低減することが可能である。
【0071】
(チ)本実施形態によれば、渦電流による鉄損(渦電流損失)を低減することにより、ブラシレスモータ30の回転効率が低下することを防止することができるので、車両用送風装置Sの消費電力を低減することが可能である。従って、例えば、本発明の車両用送風装置Sを車両のエンジンを冷却するための送風ファン10モータ装置として好適に用いることが可能である。
【0072】
(リ)本実施形態によれば、ロータヨーク33に配設されたマグネット34と平面で対向するように複数のコイル45が配設されているので、ブラシレスモータ30の回転軸方向の大きさを小型化することができる。従って、車両用送風装置Sの大きさを小型化することが可能である。
【0073】
(ヌ)本実施形態によれば、コア42の粗面を複数の概略扇状の溝部や概略渦状の溝部等の幾何学的な形状によって構成しているので、例えば、工作機械やレーザ加工機等を用いて容易に粗面を形成することができると共に、これら工作機械、プレス加工機、レーザ加工機等によって粗面を精度良く確実に形成することが可能である。従って、製品間によって磁束密度や鉄損特性にばらつきが生じることを防止することができるので、ブラシレスモータ30の個体毎にモータ回転特性が異なる等の不具合が生じることを防止することが可能である。
【0074】
(ヲ)本実施形態によれば、絶縁体842bが樹脂コーティングされた粉末状の磁性体842aを結合してなる粉体コア842を用いることにより、電磁鋼板に比して、固有抵抗を高めることができるので、粉体コア842に渦電流を生じにくくすることができる。これにより、渦電流による鉄損(渦電流損失)を低減することができるので、ブラシレスモータの回転効率が低下することを防止することが可能となる。
【0075】
なお、本発明の実施の形態は、以下のように改変することができる。
(a)上記実施形態では、凹状の溝部46によってコア材42a,42bに粗面が形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。その他にも、例えば、図14に示すように、回転軸方向に貫通する溝部646によってコア材642a,642bに粗面が形成されていても良い。ここで、一般に、コア材に凹状の溝部を形成するよりも貫通孔を形成する方が加工は容易である。従って、上述のように、溝部646が回転軸方向に貫通する構成とすると、コア642の製造コストを低減することができるので好適である。
【0076】
(b)上記実施形態では、コア42のコイル45側に形成された面が粗面により構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。その他にも、例えば、図15に示すように、コア742のコイル45と反対側に形成された面に溝部746が形成されていても良い。例えば、コア742のコイル45側に形成された面に塵や水滴等が付着する虞がある場合には、コア742のコイル45側に形成された面を平面とし、コア742のコイル45と反対側に形成された面に溝部746を形成すると、塵や水滴等がコア742に付着することを防止できるので好適である。
【0077】
(c)上記実施形態では、コア材42a〜42dのうちコア材42a,42bに溝部46が形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。上記実施形態は、渦電流がコア42の表面に集中して発生するので、コア材42a〜42dのうちコイル45側に配設されたコア材42a,42bに溝部46を設けることが望ましいという一例であり、その他にも、コア材42a〜42dのうち任意のコア材に溝部46を形成することができることは勿論である。
【0078】
(d)上記実施形態では、コア42に設けられたコア材42a〜42dのうちコイル45側に配置された数枚(2枚)のコア材42a,42bにだけ溝部46を設け、コイル45から離れた位置に配置されたコア材42c,42dは溝部46を有しない平板状の構成としていたが、本発明はこれに限定されるものではない。上記実施形態は、コア材42a,42bに溝部46が形成されたことによって低減したコイル45の磁路を、溝部46を有しない平板状のコア材42c,42dによって補うことができるという一例である。
【0079】
従って、その他にも、コア42全体として必要な磁路を確保することができるのであれば、例えば、コア42に設けられた全てのコア材42a,42b,42c,42dに溝部46が形成されていても良い。このようにすると、コア材42a,42b,42c,42dの構成を統一できるので、製造部品が増加することによって組み違え等が発生することを防止することができ好適である。
【0080】
(e)上記実施形態では、コア42が同一鋼板からなるコア材42a,42b,42c,42dを積層してなるように説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。その他にも、例えば、コア材42a〜42dのうちコイル45側に配設されたコア材42a,42bに固有抵抗が高い鋼板を用い、コイル45から離れた位置に配置されるコア材42c,42dに固有抵抗の低い鋼板を用いても良い。
【0081】
ここで、一般に、固有抵抗が高い鋼板ほど渦電流を生じにくくすることができるが、固有抵抗が高い鋼板ほど飽和磁束密度が低くなるという性質がある。従って、コア材42a,42b,42c,42dの全てに固有抵抗の高い鋼板を用いると、所望の磁束密度を得ることが困難となる可能性があるため、所望の磁束密度を得るためには多くのコア材を積層する必要性が生じる。
【0082】
しかしながら、上述のように、コイル45から離れた位置に配置されるコア材42c,42dに固有抵抗の低い鋼板を用いることにより、このコイル45から離れた位置に配置されるコア材42c,42dによって磁束密度を高めることができる。従って、コイル45側に配設されたコア材42a,42bに固有抵抗が高い鋼板を用い、コイル45から離れた位置に配置されるコア材42c,42dに固有抵抗の低い鋼板を用いることにより、渦電流の発生量を低減しつつ、磁束密度を高めることができる。
【0083】
また、コイル45側に配設されたコア材42a,42bに固有抵抗が高い鋼板を用い、コイル45から離れた位置に配置されるコア材42c,42dに固有抵抗の低い鋼板を用いることにより、固有抵抗の高い鋼板からなるコア材のみを複数枚積層することによってコア42を構成する場合に比して、コア材の積層枚数を減らすことができる。これにより、コア42の回転軸方向の大きさを小型化することができると共に、コア42の製造コストを低減することが可能である。
【0084】
また、コア材の配置位置に応じて減磁特性や鉄損特性が異なる鋼板を用いても、上述のように、固有抵抗の異なる鋼板を用いる場合と同様に、渦電流の発生量を低減しつつ、磁束密度を高めることができる。
【0085】
(f)上記実施形態では、電磁鋼板からなるコア材42a,42b,42c,42dを用いてコア42を形成していたが、本発明はこれに限定されるものではない。その他にも、例えば、樹脂等の絶縁体によりコーティングされた粉末状の磁性体を結合してなる、いわゆる粉体コアにより構成されていても良い。このように、コア42に粉体コアを用いることにより、電磁鋼板に比して、固有抵抗を高めることができるので、コア42に渦電流を生じにくくすることができる。また、複数のコア材42a,42b,42c,42dのうち少なくとも一つを、樹脂コーティングされた粉末状の磁性体を結合してなる粉体コアにより構成しても良い。
【0086】
(g)上記実施形態では、コア42が同一の厚さからなるコア材42a,42b,42c,42dを積層してなるように説明したが、これに限定されるものではない。ここで、溝部46は、例えば、プレス加工等により構成されるので、コア材42a〜42dのうち溝部46を有するコア材42a,42bには薄板状のものを用いることが望ましい。また、コイル45から離れた位置に配置されるコア材42c,42dには、溝部46を形成する必要が無いので、溝部46を有するコア材42a,42bよりも厚みのある鋼板を用いることが可能である。
【0087】
このように、溝部46を有するコア材42a,42bに薄板状のものを用いると、プレス加工等における生産性を高めることができるので好適である。また、コイル45から離れた位置に配置されるコア材42c,42dにコイル45側に配設されたコア材42a,42bよりも厚みのある鋼板を用いると、少ない枚数で所望の磁束密度を確保することができるので、コア42に用いるコア材の枚数を減らすことができる。これにより、組み付け工数を低減することができるので、コア42の製造コストを低減することが可能である。
【0088】
(h)上記実施形態では、本発明に係る車両用送風装置Sが車両のエンジンを冷却するためのファンモータ装置に用いられるように説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。その他にも、例えば、車両の空調装置等に用いられても良い。
【0089】
上記各実施形態から把握できる請求項以外の技術的思想を以下に記載する。
(1)前記粗面は、溝部が形成された面からなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
このように構成されていると、コアにおいて渦電流が形成される領域を確実に狭めることができるので好適である。
【0090】
(2)前記コアは、前記コイルが配設された面に粗面を有して構成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
このように構成されていると、最も渦電流が発生しやすい面において渦電流の発生量を確実に低減することができるので好適である。
【0091】
(3)前記コアは、前記コイルが配設された面と反対側の面に粗面を有して構成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
例えば、コア材のコイル側に形成された面を平面とし、コア材のコイルと反対側に形成された面に溝部を形成すると、塵や水滴等がコア材に付着することを防止できるので好適である。
【0092】
(4)前記コアは、複数のコア材を回転軸方向に積層して構成され、
前記複数のコア材のうち前記ロータヨーク側に配設された所定数のコア材は、前記コイルの磁束と交わる面に粗面を有して構成されたことを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータ。
【0093】
この構成によれば、例えば、粗面を有するコア材と粗面を有しない平板状のコア材とを組み合わせてコアを構成することにより、コア材に粗面が形成されたことによって低減したコイルの磁路を、粗面を有しない平板状のコア材によって補うことが可能である。これにより、渦電流による鉄損(渦電流損失)を低減しつつも、コア全体として必要な磁路を確保することが可能となる。
【0094】
(5)前記コアは、複数のコア材を回転軸方向に積層して構成され、
前記複数のコア材のうち少なくとも一つは、前記コイルの磁束と交わる面に粗面を有して構成され、
前記粗面を有するコア材と前記粗面を有しないコア材とで異なる固有抵抗を有することを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータ。
【0095】
例えば、コイル側に配設されたコア材に固有抵抗が高い鋼板を用い、コイルから離れた位置に配置されるコア材に固有抵抗の低い鋼板を用いると、渦電流の発生量を低減しつつ、磁束密度を高めることができるので好適である。
【0096】
(6)前記コアは、複数のコア材を回転軸方向に積層して構成され、
前記複数のコア材のうち少なくとも一つは、前記コイルの磁束と交わる面に粗面を有して構成され、
前記粗面を有するコア材と前記粗面を有しないコア材とで異なる減磁特性又は鉄損特性を有することを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータ。
このように構成しても、渦電流の発生量を低減しつつ、磁束密度を高めることができるので好適である。
【0097】
(7)前記コアは、複数のコア材を回転軸方向に積層して構成され、
前記複数のコア材のうち少なくとも一つは、前記コイルの磁束と交わる面に粗面を有して構成され、
前記粗面を有するコア材と前記粗面を有しない平板状のコア材とで異なる板厚を有することを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータ。
【0098】
例えば、溝部を有するコア材に薄板状のものを用いると、プレス加工等における生産性を高めることができるので好適である。また、コイルから離れた位置に配置されるコア材にコイル側に配設されたコア材よりも厚みのある鋼板を用いると、少ない枚数で所望の磁束密度を確保することができるので、コアに用いるコア材の枚数を減らすことができる。これにより、組み付け工数を低減することができるので、コアの製造コストを低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第一実施形態に係る車両用送風装置の構成を示す説明図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係るブラシレスモータの概略構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係るコアの構成を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係るコアを図3のA−A線で切断した断面図である。
【図5】本発明の第二実施形態に係るコアの構成を示す分解斜視図である。
【図6】本発明の第二実施形態に係るコアを図5のB−B線で切断した断面図である。
【図7】本発明の第三実施形態に係るコアの構成を示す分解斜視図である。
【図8】本発明の第三実施形態に係るコアを図7のC−C線で切断した断面図である。
【図9】本発明の第四実施形態に係るコアの構成を示す分解斜視図である。
【図10】本発明の第四実施形態に係るコアを周方向に切断した断面構成を示す説明図である。
【図11】本発明の第五実施形態に係るコアの構成を示す分解斜視図である。
【図12】本発明の第五実施形態に係るコアを図11のD−D線で切断した断面図である。
【図13】本発明の第六実施形態に係るコア(粉体コア)の構成を示す側面断面図である。
【図14】本実施形態の第一改変例に係るコアの構成を示す断面図である。
【図15】本実施形態の第二改変例に係るコアの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0100】
10 ファン、11 ファン本体、12 羽根、13 貫通孔、20 ファンシュラウド、21 モータ固定部、30 ブラシレスモータ、31 回転子、33 ロータヨーク、33a 平面部、33b 平面部、34,39 マグネット、35 支持部、36 回転シャフト、37 ファン固定部、37a 固着具、37b フランジ部、37c 固着具、38 延出部、41 固定子、42,242,342,542,642,742 コア、42a,42b,42c,42d,242a,242b,342a,342b,442a,442b,542a,542b,642a,642b コア材、43 ヒートシンク、44 基板、44a ホール素子、44b ドライバIC、44c 固着具、45 コイル、46,246,346,446,646,746 溝部、47a,47b 軸受部材、48 背面ケース、546 突起、842 粉体コア、842a 磁性体、842b 絶縁体、S 車両用送風装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネットが配設されたロータヨークと、
前記マグネットと回転軸方向に対向するようにコイルが配設されたコアと、を備えたブラシレスモータにおいて、
前記コアは、前記コイルの磁束と交わる面に粗面を有して構成されたことを特徴とするブラシレスモータ。
【請求項2】
前記コアは、複数のコア材を回転軸方向に積層して構成され、
前記複数のコア材のうち少なくとも一つは、前記コイルの磁束と交わる面に粗面を有して構成されたことを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータ。
【請求項3】
前記コアは、樹脂コーティングされた粉末状の磁性体を結合してなる粉体コアにより構成されると共に、前記コイルの磁束と交わる面に粗面を有して構成されたことを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータ。
【請求項4】
前記コアは、複数のコア材を回転軸方向に積層して構成され、
前記複数のコア材のうち少なくとも一つは、樹脂コーティングされた粉末状の磁性体を結合してなる粉体コアにより構成されると共に、前記コイルの磁束と交わる面に粗面を有して構成されたことを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータ。
【請求項5】
前記複数のコア材のうち前記コイルが配設されたコア材は、前記コイルの磁束と交わる面に粗面を有して構成されたことを特徴とする請求項2又は請求項4に記載のブラシレスモータ。
【請求項6】
前記粗面は、同心円状に複数の概略扇状の溝部が形成された面からなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
【請求項7】
前記粗面は、概略渦状の溝部が複数形成された面からなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
【請求項8】
前記粗面は、同心円状に複数の環状の溝部が形成された面からなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
【請求項9】
前記粗面は、放射状に複数の溝部が形成された面からなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
【請求項10】
前記粗面は、複数の突起が形成された面からなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
【請求項11】
前記溝部は、前記コアの回転軸方向に貫通されていることを特徴とする請求項6乃至請求項9のいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
【請求項12】
マグネットが配設されたロータヨークと、
前記マグネットと回転軸方向に対向するようにコイルが配設されたコアと、を備えたブラシレスモータにおいて、
前記コアは、樹脂コーティングされた粉末状の磁性体を結合してなる粉体コアにより構成されたことを特徴とするブラシレスモータ。
【請求項13】
前記粉体コアを構成する磁性体のうち前記コイル側に配置された磁性体の樹脂コーティングは、前記コイルと反対側に配置された磁性体の樹脂コーティングの膜厚よりも厚く形成されたことを特徴とする請求項請求項3、請求項4、請求項12のいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
【請求項14】
送風ファンと、該送風ファンを回転させるブラシレスモータと、を有して構成された車両用送風装置において、
前記ブラシレスモータに請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載のブラシレスモータを用いたことを特徴とする車両用送風装置。
【請求項15】
前記車両用送風装置は、車両のエンジンを冷却するためのファンモータ装置であることを特徴とする請求項14に記載の車両用送風装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−6081(P2006−6081A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182454(P2004−182454)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】