説明

ブラシ交換用治具及びブラシ交換用キャリア

【課題】 洗浄用回転ブラシの交換を安全かつ迅速に行うためのブラシ交換用治具及びブラシ交換用キャリアを提供する。
【解決手段】 回転ブラシの回転軸を受ける回転軸受け部10と、回転ブラシの回転軸を回転軸受け部10に固定する回転軸固定部20とを有し、回転軸固定部20は、回転軸を回転軸受け部10に固定するための回転軸押さえ部30と、回転ブラシを移動させるための移動用孔部40とをさらに有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産工程における大型基板の洗浄を行う洗浄用回転ブラシに係り、詳しくは、洗浄用回転ブラシの交換を安全かつ迅速に行うためのブラシ交換用治具及びブラシ交換用キャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイ及びプラズマディスプレイの表示画面は年々大型化し、そのマスク基板は1.5m×1.5m×5mmを越える大きさになっている。このためマスク基板の洗浄工程において、大型マスク基板を洗浄する洗浄用回転ブラシも長大化し、2mの長さになろうとしている。このため、この長大化した回転ブラシのメンテナンスにおける交換作業は、もはや一人の人手では行えなくなってきている。また交換の際、洗浄液が付着した回転ブラシを交換するため、滑り易く、作業性が悪い。さらに、洗浄液が人体に再付着し難い交換方法が望ましい。
【0003】
特許文献1には、洗浄ブラシの両端部の支軸部に係合する係合部が一端面に開放して形成された一対の治具本体と、治具本体に形成された取り付け孔に着脱可能に挿入保持されて係合部の開放端を閉塞し係合部が支軸部の径方向に外れないよう治具本体を保持する抜け止め部材と、一対の治具本体に両端部が連結されこれら治具本体の係合部が支軸部の軸方向に抜出するのを阻止する把持部材とを具備し、把持部材を把持して洗浄ブラシを洗浄装置に対して着脱する旨についての記載がされている。
【特許文献1】特開2005−238011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、洗浄用回転ブラシの交換を安全かつ迅速に行うためのブラシ交換用治具及びブラシ交換用キャリアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のブラシ交換用治具は、大型ガラス基板を洗浄する回転ブラシのブラシ交換用治具であって、回転ブラシの回転軸を受ける回転軸受け部と、回転ブラシの回転軸を回転軸受け部に固定する回転軸固定部とを有し、回転軸固定部は、回転軸を回転軸受け部に固定するための回転軸押さえ部と、回転ブラシを移動させるための移動用孔部とをさらに有することを特徴とする。
【0006】
本発明のブラシ交換用治具は、大型ガラス基板を洗浄する回転ブラシのブラシ交換用治具であって、円盤型の中心部に回転ブラシの回転軸に取り付けられるための取り付け用孔部と、円盤型の円周と取り付け用孔の円周との間に1つ以上の移動用孔部とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明のブラシ交換用キャリアは、ブラシ交換用治具の移動用孔部に着脱される着脱手段と、着脱手段を昇降させる昇降手段と、着脱手段を移動させる移動手段とを有し、移動用孔部に着脱手段を装着して、回転ブラシを運搬することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のブラシ交換用治具及びブラシ交換用キャリアによれば、長大化した回転ブラシのメンテナンスにおける交換作業が、一人の人手で行うことができ、また交換の際、洗浄液が人体に再付着し難く、且つ滑り易い回転ブラシを安全に交換することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明による実施の形態について、図を用いて説明する。図1は、本発明のブラシ交換用治具の構成と構造とを示す治具図である。図1aにおいて、ブラシ交換用治具100−1は、回転ブラシの回転軸を受ける回転軸受け部10と、回転ブラシの回転軸を回転軸受け部10に固定する回転軸固定部20とを有している。内側の破線は、回転ブラシの回転軸を示し、外側の破線は回転ブラシの円周を示している。
【0010】
回転軸受け部10は、回転ブラシの回転軸を受けるため、一端面がU型に開放されている。回転軸固定部20は、回転ブラシの回転軸を回転軸受け部10に固定するための回転軸押さえ部30と、固定された回転ブラシを移動させるための移動用孔部40とを有している。回転軸固定部20は、固定ネジ25−1、2をさらに有し、回転軸受け部10に回転ブラシの回転軸を固定する。また、回転軸受け部10に回転ブラシの回転軸を固定するものであれば、これに限定されるものではない。回転軸押さえ部30は、回転ブラシの回転軸を傷つけないで、且つ回転軸受け部10に安定に固定されるように作用する。回転軸押さえ部30は、取り付けネジ35−1、2により回転軸固定部20に取り付けられているが、これに限定されるものではない。
【0011】
図1bにおいて、ブラシ交換用治具100−2は、円盤型の中心部に回転ブラシの回転軸に取り付けられるための取り付け用孔部50と、円盤型の円周と取り付け用孔部50の円周との間に1つ以上の移動用孔部55とを有している。ブラシ交換用治具100−2を回転ブラシの回転軸に取り付ける場合は、回転ブラシが回転ブレを起こさないように取り付けられることが望ましい。ブラシ交換用治具100−2が円盤型であり、移動用孔部55がバランスよく均等に配置されていることにより、回転ブラシは、高速回転に対して回転ブレを起こすことなく、安定して回転することができる。
【0012】
図2は、本願発明のブラシ交換用治具が回転ブラシの回転軸に装着された状態を示す治具装着図である。図2aにおいてブラシ交換用治具100−1が、回転ブラシ65の両端に突出している回転軸60に、それぞれ固定ネジ25−1、2により装着されている。図2bにおいては、ブラシ交換用治具100−2が、回転ブラシ65の両端に突出している回転軸60に、それぞれ回転ブラシが回転ブレを起こさない方法により装着されている。
【0013】
回転ブラシ65のメンテナンスのためにブラシの交換作業を行う際、回転ブラシ65の運搬については、移動用孔部40又は55を利用して人手により運搬しても良い。この場合、移動用孔部40又は55の孔の形状は、手で持ち運びし易い形状であることが望ましい。またこの移動用孔部40又は55を用いることにより、回転ブラシ65に付着した洗浄液が人体に再付着し難く、且つ滑り易い回転ブラシ65を安全に運搬することが可能となる。
【0014】
図3は、本願発明のブラシ交換用治具を用いて回転ブラシを運搬するブラシ交換用キャリアの構成とそのレイアウトを示すレイアウト構成図である。図3aにおいて、ブラシ交換用キャリア200は、ブラシ交換用治具100−1又は100−2の移動用孔部40又は55に着脱される着脱手段70と、着脱手段70を昇降させる昇降手段80と、着脱手段70を移動させる移動手段90とを有している。
【0015】
着脱手段70は、回転ブラシ65を運ぶため、ブラシ交換用治具100−1又は100−2の移動用孔部40又は55に着脱される。このため、着脱手段70は、移動用孔部40又は55の形状に適合して、容易且つ確実に着脱される構造であることが望ましい。昇降手段80は、着脱手段70に接続された昇降軸85と、昇降軸85を上下に駆動する昇降用駆動モータ83とを有しているが、昇降機能を有するものであれば、これに限定されるものではない。移動手段90は、着脱手段70を移動させるため設置されたガイドレール97−1、2上を回転移動する回転体95−1、2と、回転体95−1、2を駆動する移動用駆動モータ93とを有している。また移動手段90においても、移動機能を有するものであれば、これに限定されるものではない
【0016】
図3bにおいて、回転ブラシ65は、洗浄槽の入口と出口による平面を上下挟んで2本が対を成し、任意の数の対が洗浄槽内に実装されている。また、各回転ブラシ65の対は回転ブラシ駆動モータにより駆動され、入口から運ばれてきた大型ガラス基板を洗浄すると共に、出口に向けて搬送する。ブラシ交換用キャリア200は、この洗浄槽の上部に設置されてブラシの交換を行う。
【0017】
回転ブラシ65のメンテナンスのためにブラシの交換作業を行う際、ブラシ交換用キャリア200は移動手段90により、ガイドレール97−1、2上を、洗浄槽の所定の位置まで移動する。続いて昇降手段80は、着脱手段70を降下させて、ブラシ交換用治具100−2の位置に停止させる。着脱手段70が、ブラシ交換用治具100−2の移動用孔部55に装着されると、昇降手段80は、着脱手段70を元の位置まで上昇させる。着脱手段70が元の位置に上昇すると、移動手段90は着脱手段70を所定の位置まで移動させ、回転ブラシ65の交換が行われる。
【0018】
新たにセットされた回転ブラシ65は、再びブラシ交換用キャリア200の同じ動作により、取り外された回転ブラシの位置に設置されて交換が完了する。この動作は、交換を必要とする任意の回転ブラシに対して連続して行われる。また、ブラシ交換用治具がブラシ交換用治具100−1である場合は、人手によりブラシ交換用治具100−1が回転軸60の所定の位置にセットされた後、同様の動作が行われる。
【0019】
以上説明したように、本発明の及びによれば、長大化した回転ブラシのメンテナンスのための交換作業において、洗浄液が人体に再付着し難く、且つ滑り易い回転ブラシを安全に交換することが可能となるブラシ交換用治具を提供することができる。また、少なくとも一人の人手で交換作業を行うことが可能となるブラシ交換用キャリアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のブラシ交換用治具の構成と構造とを示す治具図。
【図2】本願発明のブラシ交換用治具の装着状態を示す治具装着図。
【図3】本願発明のブラシ交換用治具とブラシ交換用キャリアのレイアウト構成図。
【符号の説明】
【0021】
10 回転軸受け部
20 回転軸固定部
25−1、2 固定ネジ
30 回転軸押さえ部
35−1、2 取り付けネジ
40 移動用孔部
50 取り付け用孔部
55 移動用孔部
60 回転軸
65 回転ブラシ
70 着脱手段
80 昇降手段
83 昇降用駆動モータ
85 昇降軸
90 移動手段
93 移動用駆動モータ
95−1、2 回転体
97−1、2 ガイドレール
100−1、2 ブラシ交換用治具
200 ブラシ交換用キャリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大型ガラス基板を洗浄する回転ブラシのブラシ交換用治具であって、
前記回転ブラシの回転軸を受ける回転軸受け部と、前記回転ブラシの前記回転軸を前記回転軸受け部に固定する回転軸固定部とを有し、
前記回転軸固定部は、前記回転軸を前記回転軸受け部に固定するための回転軸押さえ部と、前記回転ブラシを移動させるための移動用孔部とをさらに有することを特徴とするブラシ交換用治具。
【請求項2】
大型ガラス基板を洗浄する回転ブラシのブラシ交換用治具であって、
円盤型の中心部に前記回転ブラシの回転軸に取り付けられるための取り付け用孔部と、前記円盤型の円周と前記取り付け用孔の円周との間に1つ以上の移動用孔部とを有することを特徴とするブラシ交換用治具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のブラシ交換用治具の前記移動用孔部に着脱される着脱手段と、前記着脱手段を昇降させる昇降手段と、前記着脱手段を移動させる移動手段とを有し、
前記移動用孔部に前記着脱手段を装着して、回転ブラシを運搬することを特徴とするブラシ交換用キャリア。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−207117(P2008−207117A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47265(P2007−47265)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000219004)島田理化工業株式会社 (205)
【Fターム(参考)】