ブランク材
【課題】
加工個所の自由度を与え、重量増加を極力抑え、所望の剛性を付与することができるブランク材を提供する。
【解決手段】
鋼板11の表面11aに鋼線12が溶接されたことを特徴とするブランク材10である。ブランク材10によれば、鋼線12を表面11aに溶接して鋼板11を補強しているので、従来のブランク材のように二枚の金属帯が重ねられた面で補強接合されていることとは異なり、線で当接することとなるので、大きな重量増加を招くことなく、しかも適切な部位に有効な剛性を付与することができる。また、面でなく線の補強部位となるので、これにかからない領域が拡がって、各種加工の自由度を増加することができる。
加工個所の自由度を与え、重量増加を極力抑え、所望の剛性を付与することができるブランク材を提供する。
【解決手段】
鋼板11の表面11aに鋼線12が溶接されたことを特徴とするブランク材10である。ブランク材10によれば、鋼線12を表面11aに溶接して鋼板11を補強しているので、従来のブランク材のように二枚の金属帯が重ねられた面で補強接合されていることとは異なり、線で当接することとなるので、大きな重量増加を招くことなく、しかも適切な部位に有効な剛性を付与することができる。また、面でなく線の補強部位となるので、これにかからない領域が拡がって、各種加工の自由度を増加することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の製品に加工されるブランク材であって、部分的に補強が施されたブランク材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、自動車の車体を構成する製品を成形する際、そのブランク材に部分的な補強加工を予め施すことが知られている。このような例として、幅方向両側が一枚だけとなるように一部が重ねられた二枚の金属帯からなり、両金属帯の互いに面で重なる個所が厚板となるように、補強接合されているブランク材がある(例えば、特許文献1参照。)。このブランク材は、例えば、一枚の金属帯からなる両側部分が同一方向に折り曲げられて断面コの字状の製品にプレス成形される。この製品は、スパンの長い中央部に高い剛性を必要とし、両側部分ではそれよりも低い剛性でもよいので、部分的に厚くして軽量効果と補強効果とを備えたブランク材を適用することにしている。
【特許文献1】特開2002−160020号公報(第2−9頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このブランク材では、二枚の金属帯が補強接合されて厚くされた重なり部を複雑な形状に成形することは容易ではない。また、ブランク材では、例えば、重なり部にトリム加工すなわち仕上げ加工を施すこと、およびピアス加工すなわち穴明け加工を施すこと等は容易ではなく、加工個所の周辺部にクラックが生じる虞がある。このため、この種のブランク材では、複雑な形状に成形することができる個所、およびトリム加工、ピアス加工等を施すことができる個所も自ずと制限される。
【0004】
さらに、このブランク材では、二枚の金属帯が面で重ねられて構成されているので、強度を必要とする領域外でも重ねられることになり、必要以上に重量が増加するという問題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、加工個所の自由度を与え、重量増加を極力抑え、所望の剛性を付与することができるブランク材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、本発明に係るブランク材は、鋼板の表面に鋼線を溶接した構成としていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るブランク材によれば、鋼線を表面に溶接して鋼板を補強しているため、従来のブランク材のように二枚の金属帯が重ねられた面で補強接合されていることとは異なり、線で当接することとなるので、大きな重量増加を招くことなく、しかも適切な部位に有効な剛性を付与することができる。また、面でなく線の補強部位となるので、これにかからない領域が拡がって、各種加工の自由度を増加することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明を図1ないし図13に示した実施例に沿って詳細に説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明に係るブランク材10の一実施例を示している。ブランク材10は、鋼材料から形成された板状を呈する鋼板11と、鋼材料から形成された線状を呈する鋼線12とを備えている。この実施例1では、ブランク材10には、三本の鋼線12が互いに間隔を置いて鋼板11の長手方向と平行に延在するように、溶接により鋼板11の表面11aに連続的または断続的に密着するように固着されている。鋼板11は、実施例1では、矩形の板状を呈しているが、ブランク材10が適用される製品に応じて適宜かたどられた板状であっても良い。鋼線12は、実施例1では、断面が矩形状(図3参照。)を呈しており、980Mpaの高張力鋼からなる高強度鋼線である。しかしながら、鋼線12は、鋼板11を補強することができればよく、ブランク材10が適用される製品、あるいはその補強程度に応じて材料や強度を適宜選択することができる。
【0010】
次に、図2、図3を用いて、ブランク材10の製造方法について説明する。
【0011】
三本の鋼線12を鋼板11に固着するために、図2に模式的に示すシーム溶接用の装置20が用いられる。シーム溶接装置20は、離間して平行に設けられた送り軸21と巻き取り軸22とを備える。送り軸21と巻き取り軸22との間には、両軸21、22と平行な二本の棒状ローラ23、および両軸21、22と平行な軸線上で互いに離間する三対のローラ電極24、25がそれぞれ軸支(図示せず。)されて設けられている。ローラ電極24には、図3に示すように、その外周面24aに鋼線12の受け入れを可能とする溝24bが形成されている。
【0012】
送り軸21には、図2に示すように、鋼材料からなる帯状の鋼板11が巻き取られて形成された送りコイル26が装着されている。鋼板11は、その先端が送りコイル26から引き出され、図示しないコイルから引き出された三本の鋼線12をそれぞれ表面11aに配置した状態で、両棒状ローラ23の間に挟まれるように送り込まれ、さらに各溝24bに各鋼線12が係合するように(図3参照。)三対のローラ電極24、25間を通過させられ、巻き取り軸22に装着され、巻き取られるようになっている。
【0013】
シーム溶接装置20は、各鋼線12を鋼板11の表面11aに固着するために、両ローラ電極24、25で重ねられている鋼板11と各鋼線12とに加圧力を作用させ、両ローラ電極24、25を回転させて鋼板11と各鋼線12とを送りながら、両者の間に断続的に電流を流している。鋼板11と各鋼線12と間に電流が流れると、その当接個所が金属抵抗と接触抵抗とに基づいて発熱し、この当接個所が溶融し、ここに加圧力が作用することにより、鋼板11と各鋼線12とは溶接される。この溶接個所は、両ローラ電極24、25の回転速度による送り量と、両ローラ電極24、25による断続的な通電の周期とが相対的に調整されることにより連続的または断続的に形成される。これにより、各鋼線12は、鋼板11の表面11aに連続的または断続的に密着する溶接がなされ、シーム溶接される。
【0014】
この各鋼線12が固着された鋼板11は、巻き取り軸22に巻き取られて結合体コイル27とされる。結合体コイル27では、各鋼線12によって鋼板11の表面11aに凸部が生じるので、従来から良く知られているように、この段差を吸収するための挿入部材(図示せず。)を介在させて巻き取られている。この結合体コイル27から、所望の長さに、例えば、後述する車体30を構成する部品に応じた長さに鋼板11を切断することにより、種々のブランク材10が製造される。
【0015】
図4は、自動車の外形および車室を規定する車体30の一部を模式的に表している。
【0016】
ブランク材10は、実施例1では、図示しないドアを取り付けるために車体30の側方に設けられる両開口31、32を区画するように延在するセンターピラー33を補強するピラーレインフォース34に適用される。
【0017】
図5は、センターピラー33の近傍の拡大図であり、図6は、図5のII−IIに沿った断面図である。センターピラー33は、図6に示すように、車体30における外方側に位置し外板を構成するアウターセンターピラー33aと、アウターセンターピラー33aの車室側に位置し内板を構成するインナーセンターピラー33bとが伸長方向に沿った両端部で互いに接合され、アウター・インナーセンターピラー33a、33bの間に形成された空間でアウターセンターピラー33aの車室側にピラーレインフォース34が組み付けられて構成されている。ピラーレインフォース34は、アウターセンターピラー33aと略同形の断面となるように複数の屈曲部34aを有し、アウター・インナーセンターピラー33a、33bの間に形成された空間でアウターセンターピラー33aに沿って延在し、アウターセンターピラー33aを補強するためにスポット溶接等によりアウターセンターピラー33aに接合されている。この接合された状態においてピラーレインフォース34は、各鋼線12がインナーセンターピラー33bと対向する面でピラーレインフォース34の長手方向に沿って延在するように、ブランク材10から、例えばプレス加工により成形されている。
【0018】
車体30では、例えば、その側方すなわち図中に矢印Aで示す方向から衝突され、センターピラー33が車室内方向に曲げられる力が作用すると、アウターセンターピラー33aおよびピラーレインフォース34にも同様の曲げ変形を生じさせる力が作用する。しかしながら、ピラーレインフォース34には、引き伸ばす方向に対して大きな抵抗を示す各鋼線12がインナーセンターピラー33bと対向する面に固着されているので、ピラーレインフォース34が容易に曲げ変形することはない。このため、ブランク材10から成形されたピラーレインフォース34は、各鋼線12により矢印Aで示す方向の力に対する曲げ剛性が高められている。
【0019】
本実施例に係るブランク材10では、各鋼線12が溶接接合されることにより鋼板11の剛性が予め高められており、プレス加工を施すだけで所望の剛性を有するピラーレインフォース34に成形することができる。
【0020】
また、ブランク材10では、補強が必要な個所にのみ各鋼線12が溶接され鋼板11の剛性が高められているため、二枚の金属帯による部分的な重なり面で補強接合された従来のブランク材のように必要以上の広い領域に補強部位が設けられることはない。このため、従来のブランク材に比較して、然程の重量増加を招くことなく高い強度を得ることができる。
【0021】
ブランク材10では、鋼板11における各鋼線12により補強された補強部位にかからない領域、すなわち鋼板11のみで構成される領域、すなわち曲げあるいは孔あけ等の加工を施すことが可能な領域が拡がるので、成形の自由度が高められている。
【0022】
ブランク材10では、鋼板11の表面11aにおいて成形後のピラーレインフォース34における屈曲部34aを除く領域に鋼板11を補強する各鋼線12を固着させることができる。このため、例え複数の屈曲部34aが連続して設けられるような複雑な形状の製品であっても、予め複数の屈曲部34aにかからない領域に鋼線12が固着されたブランク材10を用いることで容易に成形することができる。
【0023】
図1に示すようなブランク材10を用いて図6に示すピラーレインフォース34に成形したとき、図中に矢印Aで示した方向の力がピラーレインフォース34に作用しても、矢印Aの方向に略直交するように設けられた各鋼線12が鋼板11の曲げ変形を抑制する方向に働くので、ピラーレインフォース34は容易に変形することはなく、センターピラー33自体の剛性も高められている。
【0024】
したがって、本実施例に係るブランク材10によれば、加工個所の自由度を与え、重量増加を極力抑え、所望の剛性を付与することができる。
【実施例2】
【0025】
次に、実施例2について説明する。実施例2は、実施例1と同様の製造方法で製造され同様の構成を有するブランク材10が、図4に示すように、車体30の側方に設けられた両開口31、32の下方に設けられるシル35を補強するシルレインフォース36に適用された例である。 実施例2のブランク材10は、その製造方法および構成は実施例1と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0026】
シル35は、図4のIII−III線に沿って得られた断面図である図7に示すように、車体30における外方側に位置し外板を構成するアウターシル35aと、内板を構成するインナーシル35bとが伸長方向に沿った両端部で互いに接合され、アウター・インナーシル35a、35bの間に形成された空間でアウターシル35aの車室側にシルレインフォース36が組み付けられて構成されている。シルレインフォース36は、アウターシル35aの形状に対応するように複数の屈曲部36aを有し、アウター・インナーシル35a、35bの間に形成された空間でアウターシル35aに沿って延在し、アウターシル35aを補強するためにスポット溶接等により接合されている。この接合された状態においてシルレインフォース36は、各鋼線12がインナーシル35bと対向する面でシルレインフォース36の長手方向に沿って延在するように、ブランク材10から、例えばプレス加工により成形されている。
【0027】
車体30では、例えば、その側方すなわち図中に矢印Bで示す方向から衝突され、シル35に矢印Bの方向から外力が作用すると、アウターシル35aおよびインナーシル35bにも曲げ変形を生じさせる力が作用する。しかしながら、シルレインフォース36には、引き伸ばし方向に対して大きな抵抗を示す各鋼線12がインナーシル35bと対向する面に固着されているので、シルレインフォース36が容易に曲げ変形することはなく、シル35自体の剛性も高められている。
【0028】
実施例2に係るブランク材10では、鋼板11の表面11aにおいて成形後のシルレインフォース36における複数の屈曲部36aにかからない領域に鋼板11を補強する各鋼線12が固着されているので、複数の屈曲部36aを有するシルレインフォース36に適用するための成形が容易となり、確実に所望の形状を得ることができる。
【0029】
したがって、実施例2に係るブランク材10では、実施例1のブランク材10と同様に、加工個所の自由度を与え、然程の重量増加を惹起することなく有効な剛性を付与することができる。
【0030】
なお、上記した両実施例では、ブランク材10の各鋼線12は、鋼板11の伸長方向に平行に延在するように表面11aに固着されていたが、図9に示すように、例えば、二本の鋼線12を鋼板11の幅方向で見た位置が変位するように表面11aに固着させることができる。このようなブランク材10は、重ねられた鋼板11と二本の鋼線12とをシーム溶接装置20の二対の両ローラ電極24、25の間を通過させるとき、二対の両ローラ電極24の溝24bにそれぞれ鋼線12を係合させ且つ二対の両ローラ電極24、25の互いの対向関係を維持した状態で、両ローラ電極24、25を鋼板11の幅方向に沿ってそれぞれ変位させると、溝24bのガイド作用により、表面11aにおいて所望の位置に変位しながら延在するように両鋼線12がシーム溶接され、製造される。表面11aにおける鋼線12の延在位置は、両ローラ電極24、25の回転速度による送り量と両ローラ電極24、25の変位速度とにより調整することができる。両ローラ電極24、25を表面11a上で所望の位置に変位させるとき、この変位量に対応するように鋼線11の伸長方向に対する両ローラ電極24、25の向きを変化させると、溝24bのガイド作用により各鋼線12の伸長方向を変化させることができ、各鋼線12を所望の位置へと変位させることが容易となる。このようなブランク材10は、図10に示すように、例えば、実施例1と同様にアウターセンターピラー33a(図6参照。)を補強するピラーレインフォース44が加工される部位を避けて所望の強度を有するように各鋼線12の延在位置を所望の位置へと変位させたいときに用いられる。なお、図9に示すようなブランク材10を製造するためには、シーム溶接するときに鋼板11と両ローラ電極24、25が鋼板11の幅方向に沿って相対的に移動すればよいので、例えば、シーム溶接装置20において、両ローラ電極24、25を固定し、鋼線11の伸長方向を変化させるために送り軸21および巻き取り軸22を移動させてもよい。
【0031】
上記した両実施例では、鋼板11を補強するためにその表面11aにシーム溶接された鋼線12はその断面が矩形を呈するように形成されていたが、図11(b)に示すように、断面を円形とすることもできる。断面が円形の鋼線12は、断面が矩形状の鋼線12と比較して可撓性が高まるので、図11(a)に示すような鋼線12が表面11aにおいて所望の位置に変位しながら延在するブランク材10´を容易に製造することができる。
【0032】
上記した両実施例では、ブランク材10は、鋼板11を補強するための鋼線12が、成形後の製品34(図5参照。)、36(図8参照。)の長手方向に沿って延在するように成形されていたが、これと異なる方向に延在するように成形された例を図12に示す。これによれば、ブランク材10を用いて各鋼線12が製品の長手方向に直交し、加工部位にかからないように固着されたピラーレインフォース54を成形することができる。ピラーレインフォース54は、ブランク材10がセンターピラー33(図6参照。)の一部に適用された例を示しており、外壁部分54a、および外壁部分54aの両端から車室側へ向けて立ち上がる一対の側壁部分54b、54cを有し、各鋼線12が両側壁部分54b、54cの内側の面に車幅方向に沿って延在するように、固着されている。図12において矢印Cで示す方向(車両側方)からの力がセンターピラー33(図6参照。)に作用すると、センターピラー33を構成するアウターセンターピラー33a、ピラーレインフォース54およびインナーセンターピラー33bが車室側に変位しようとする。しかしながら、縮める方向に対して容易に変形することのない各鋼線12が矢印Cの方向に略平行となるように両側壁部分54b、54cに固着されているので、ピラーレインフォース54では矢印C方向に沿って両側壁部分54b、54cが容易に押しつぶされるように変形することはなく、センターピラー33自体の剛性も高められている。また、ピラーレインフォース54では、両側壁部分54b、54cが押しつぶされることが抑止されればよいので、各鋼線12は両側壁部分54b、54cの外側の面で延在していてもよい。
【0033】
上記した両実施例では、ブランク材10から成形された車体30(図4参照。)の製品34(図5参照。)、36(図8参照。)には、ピアス加工は施されていなかったが、例えば、実施例1と同様のピラーレインフォース64を表す図13に示すように、ピアス加工を施してヒンジ取付孔としての開口部64aを設けることができる。ピラーレインフォース64に適用する場合、ブランク材10には、鋼板11を補強する鋼線12を成形後のピラーレインフォース64における開口部64aにかからない領域で固着させておくので、開口部64aを形成するピアス加工が鋼線12により妨げられることはない。
【0034】
上記した両実施例には、ブランク材10が車体30(図4参照。)のセンターピラー33を補強するピラーレインフォース34およびシル35を補強するシルレインフォース36に適用された例を示したが、車体30を構成する他の部品に適用することができる。また、ブランク材10は、上記した例以外の製品に適用するものであってもよく、車体30を構成する部品以外の製品にも適用することができる。
【0035】
上記した両実施例のブランク材10では、鋼線12は、連続的にまたは断続的に密着するように鋼板11の表面11aに溶接されていたが、特に鋼線12が連続的に密着するように鋼板11の表面11aに溶接されていると、ブランク材10における剛性すなわち鋼線12による鋼板11への補強効果が高まることから、連続的に密着するようにシーム溶接することが望ましい。
【0036】
上記した例のブランク材10では、鋼線12が二本、三本または六本設けられていたが、鋼線12の本数は適用される製品に応じて適宜変更することができ、上記した例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係るブランク材を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るブランク材の製造に用いられるシーム溶接装置を模式的に示した斜視図である。
【図3】図2に示したI−I線に沿って得られた断面図である。
【図4】自動車の外形および車室を規定する車体の一部を模式的に示した斜視図である。
【図5】図4におけるセンターピラーの近傍を示す部分拡大図である。
【図6】図5に示したII−II線に沿って得られた断面図である。
【図7】図4に示したIII−III線に沿って得られた断面図である。
【図8】図4に示したシルレインフォースを示す斜視図である。
【図9】本発明に係るブランク材において鋼板の幅方向に変位するように各鋼線が溶接された例を示す斜視図である。
【図10】図9に示されたブランク材を図4と同様にセンターピラーレインフォースに適用した例を示す部分拡大図である。
【図11(a)】鋼板の幅方向に変位するように円形断面に形成された鋼線が溶接された例を示すブランク材の斜視図である。
【図11(b)】図11(a)に示したIV−IV線に沿って得られた断面図である。
【図12】鋼線が車幅方向に沿って固着されたセンターピラーレインフォースに適用した例を示す部分斜視図である。
【図13】成形後の加工部位にかからないように鋼線が固着されたブランク材が開口部を有するセンターピラーレインフォースに適用された例を示す部分斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
10 ブランク材
11 鋼板
11a 表面
12 鋼線
24 第一ローラ電極
25 第二ローラ電極
33 センターピラー
34、44、54、64 (補強部材としての)センターピラーレインフォース
35 シル
36 (補強部材としての)シルレインフォース
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の製品に加工されるブランク材であって、部分的に補強が施されたブランク材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、自動車の車体を構成する製品を成形する際、そのブランク材に部分的な補強加工を予め施すことが知られている。このような例として、幅方向両側が一枚だけとなるように一部が重ねられた二枚の金属帯からなり、両金属帯の互いに面で重なる個所が厚板となるように、補強接合されているブランク材がある(例えば、特許文献1参照。)。このブランク材は、例えば、一枚の金属帯からなる両側部分が同一方向に折り曲げられて断面コの字状の製品にプレス成形される。この製品は、スパンの長い中央部に高い剛性を必要とし、両側部分ではそれよりも低い剛性でもよいので、部分的に厚くして軽量効果と補強効果とを備えたブランク材を適用することにしている。
【特許文献1】特開2002−160020号公報(第2−9頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このブランク材では、二枚の金属帯が補強接合されて厚くされた重なり部を複雑な形状に成形することは容易ではない。また、ブランク材では、例えば、重なり部にトリム加工すなわち仕上げ加工を施すこと、およびピアス加工すなわち穴明け加工を施すこと等は容易ではなく、加工個所の周辺部にクラックが生じる虞がある。このため、この種のブランク材では、複雑な形状に成形することができる個所、およびトリム加工、ピアス加工等を施すことができる個所も自ずと制限される。
【0004】
さらに、このブランク材では、二枚の金属帯が面で重ねられて構成されているので、強度を必要とする領域外でも重ねられることになり、必要以上に重量が増加するという問題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、加工個所の自由度を与え、重量増加を極力抑え、所望の剛性を付与することができるブランク材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、本発明に係るブランク材は、鋼板の表面に鋼線を溶接した構成としていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るブランク材によれば、鋼線を表面に溶接して鋼板を補強しているため、従来のブランク材のように二枚の金属帯が重ねられた面で補強接合されていることとは異なり、線で当接することとなるので、大きな重量増加を招くことなく、しかも適切な部位に有効な剛性を付与することができる。また、面でなく線の補強部位となるので、これにかからない領域が拡がって、各種加工の自由度を増加することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明を図1ないし図13に示した実施例に沿って詳細に説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明に係るブランク材10の一実施例を示している。ブランク材10は、鋼材料から形成された板状を呈する鋼板11と、鋼材料から形成された線状を呈する鋼線12とを備えている。この実施例1では、ブランク材10には、三本の鋼線12が互いに間隔を置いて鋼板11の長手方向と平行に延在するように、溶接により鋼板11の表面11aに連続的または断続的に密着するように固着されている。鋼板11は、実施例1では、矩形の板状を呈しているが、ブランク材10が適用される製品に応じて適宜かたどられた板状であっても良い。鋼線12は、実施例1では、断面が矩形状(図3参照。)を呈しており、980Mpaの高張力鋼からなる高強度鋼線である。しかしながら、鋼線12は、鋼板11を補強することができればよく、ブランク材10が適用される製品、あるいはその補強程度に応じて材料や強度を適宜選択することができる。
【0010】
次に、図2、図3を用いて、ブランク材10の製造方法について説明する。
【0011】
三本の鋼線12を鋼板11に固着するために、図2に模式的に示すシーム溶接用の装置20が用いられる。シーム溶接装置20は、離間して平行に設けられた送り軸21と巻き取り軸22とを備える。送り軸21と巻き取り軸22との間には、両軸21、22と平行な二本の棒状ローラ23、および両軸21、22と平行な軸線上で互いに離間する三対のローラ電極24、25がそれぞれ軸支(図示せず。)されて設けられている。ローラ電極24には、図3に示すように、その外周面24aに鋼線12の受け入れを可能とする溝24bが形成されている。
【0012】
送り軸21には、図2に示すように、鋼材料からなる帯状の鋼板11が巻き取られて形成された送りコイル26が装着されている。鋼板11は、その先端が送りコイル26から引き出され、図示しないコイルから引き出された三本の鋼線12をそれぞれ表面11aに配置した状態で、両棒状ローラ23の間に挟まれるように送り込まれ、さらに各溝24bに各鋼線12が係合するように(図3参照。)三対のローラ電極24、25間を通過させられ、巻き取り軸22に装着され、巻き取られるようになっている。
【0013】
シーム溶接装置20は、各鋼線12を鋼板11の表面11aに固着するために、両ローラ電極24、25で重ねられている鋼板11と各鋼線12とに加圧力を作用させ、両ローラ電極24、25を回転させて鋼板11と各鋼線12とを送りながら、両者の間に断続的に電流を流している。鋼板11と各鋼線12と間に電流が流れると、その当接個所が金属抵抗と接触抵抗とに基づいて発熱し、この当接個所が溶融し、ここに加圧力が作用することにより、鋼板11と各鋼線12とは溶接される。この溶接個所は、両ローラ電極24、25の回転速度による送り量と、両ローラ電極24、25による断続的な通電の周期とが相対的に調整されることにより連続的または断続的に形成される。これにより、各鋼線12は、鋼板11の表面11aに連続的または断続的に密着する溶接がなされ、シーム溶接される。
【0014】
この各鋼線12が固着された鋼板11は、巻き取り軸22に巻き取られて結合体コイル27とされる。結合体コイル27では、各鋼線12によって鋼板11の表面11aに凸部が生じるので、従来から良く知られているように、この段差を吸収するための挿入部材(図示せず。)を介在させて巻き取られている。この結合体コイル27から、所望の長さに、例えば、後述する車体30を構成する部品に応じた長さに鋼板11を切断することにより、種々のブランク材10が製造される。
【0015】
図4は、自動車の外形および車室を規定する車体30の一部を模式的に表している。
【0016】
ブランク材10は、実施例1では、図示しないドアを取り付けるために車体30の側方に設けられる両開口31、32を区画するように延在するセンターピラー33を補強するピラーレインフォース34に適用される。
【0017】
図5は、センターピラー33の近傍の拡大図であり、図6は、図5のII−IIに沿った断面図である。センターピラー33は、図6に示すように、車体30における外方側に位置し外板を構成するアウターセンターピラー33aと、アウターセンターピラー33aの車室側に位置し内板を構成するインナーセンターピラー33bとが伸長方向に沿った両端部で互いに接合され、アウター・インナーセンターピラー33a、33bの間に形成された空間でアウターセンターピラー33aの車室側にピラーレインフォース34が組み付けられて構成されている。ピラーレインフォース34は、アウターセンターピラー33aと略同形の断面となるように複数の屈曲部34aを有し、アウター・インナーセンターピラー33a、33bの間に形成された空間でアウターセンターピラー33aに沿って延在し、アウターセンターピラー33aを補強するためにスポット溶接等によりアウターセンターピラー33aに接合されている。この接合された状態においてピラーレインフォース34は、各鋼線12がインナーセンターピラー33bと対向する面でピラーレインフォース34の長手方向に沿って延在するように、ブランク材10から、例えばプレス加工により成形されている。
【0018】
車体30では、例えば、その側方すなわち図中に矢印Aで示す方向から衝突され、センターピラー33が車室内方向に曲げられる力が作用すると、アウターセンターピラー33aおよびピラーレインフォース34にも同様の曲げ変形を生じさせる力が作用する。しかしながら、ピラーレインフォース34には、引き伸ばす方向に対して大きな抵抗を示す各鋼線12がインナーセンターピラー33bと対向する面に固着されているので、ピラーレインフォース34が容易に曲げ変形することはない。このため、ブランク材10から成形されたピラーレインフォース34は、各鋼線12により矢印Aで示す方向の力に対する曲げ剛性が高められている。
【0019】
本実施例に係るブランク材10では、各鋼線12が溶接接合されることにより鋼板11の剛性が予め高められており、プレス加工を施すだけで所望の剛性を有するピラーレインフォース34に成形することができる。
【0020】
また、ブランク材10では、補強が必要な個所にのみ各鋼線12が溶接され鋼板11の剛性が高められているため、二枚の金属帯による部分的な重なり面で補強接合された従来のブランク材のように必要以上の広い領域に補強部位が設けられることはない。このため、従来のブランク材に比較して、然程の重量増加を招くことなく高い強度を得ることができる。
【0021】
ブランク材10では、鋼板11における各鋼線12により補強された補強部位にかからない領域、すなわち鋼板11のみで構成される領域、すなわち曲げあるいは孔あけ等の加工を施すことが可能な領域が拡がるので、成形の自由度が高められている。
【0022】
ブランク材10では、鋼板11の表面11aにおいて成形後のピラーレインフォース34における屈曲部34aを除く領域に鋼板11を補強する各鋼線12を固着させることができる。このため、例え複数の屈曲部34aが連続して設けられるような複雑な形状の製品であっても、予め複数の屈曲部34aにかからない領域に鋼線12が固着されたブランク材10を用いることで容易に成形することができる。
【0023】
図1に示すようなブランク材10を用いて図6に示すピラーレインフォース34に成形したとき、図中に矢印Aで示した方向の力がピラーレインフォース34に作用しても、矢印Aの方向に略直交するように設けられた各鋼線12が鋼板11の曲げ変形を抑制する方向に働くので、ピラーレインフォース34は容易に変形することはなく、センターピラー33自体の剛性も高められている。
【0024】
したがって、本実施例に係るブランク材10によれば、加工個所の自由度を与え、重量増加を極力抑え、所望の剛性を付与することができる。
【実施例2】
【0025】
次に、実施例2について説明する。実施例2は、実施例1と同様の製造方法で製造され同様の構成を有するブランク材10が、図4に示すように、車体30の側方に設けられた両開口31、32の下方に設けられるシル35を補強するシルレインフォース36に適用された例である。 実施例2のブランク材10は、その製造方法および構成は実施例1と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0026】
シル35は、図4のIII−III線に沿って得られた断面図である図7に示すように、車体30における外方側に位置し外板を構成するアウターシル35aと、内板を構成するインナーシル35bとが伸長方向に沿った両端部で互いに接合され、アウター・インナーシル35a、35bの間に形成された空間でアウターシル35aの車室側にシルレインフォース36が組み付けられて構成されている。シルレインフォース36は、アウターシル35aの形状に対応するように複数の屈曲部36aを有し、アウター・インナーシル35a、35bの間に形成された空間でアウターシル35aに沿って延在し、アウターシル35aを補強するためにスポット溶接等により接合されている。この接合された状態においてシルレインフォース36は、各鋼線12がインナーシル35bと対向する面でシルレインフォース36の長手方向に沿って延在するように、ブランク材10から、例えばプレス加工により成形されている。
【0027】
車体30では、例えば、その側方すなわち図中に矢印Bで示す方向から衝突され、シル35に矢印Bの方向から外力が作用すると、アウターシル35aおよびインナーシル35bにも曲げ変形を生じさせる力が作用する。しかしながら、シルレインフォース36には、引き伸ばし方向に対して大きな抵抗を示す各鋼線12がインナーシル35bと対向する面に固着されているので、シルレインフォース36が容易に曲げ変形することはなく、シル35自体の剛性も高められている。
【0028】
実施例2に係るブランク材10では、鋼板11の表面11aにおいて成形後のシルレインフォース36における複数の屈曲部36aにかからない領域に鋼板11を補強する各鋼線12が固着されているので、複数の屈曲部36aを有するシルレインフォース36に適用するための成形が容易となり、確実に所望の形状を得ることができる。
【0029】
したがって、実施例2に係るブランク材10では、実施例1のブランク材10と同様に、加工個所の自由度を与え、然程の重量増加を惹起することなく有効な剛性を付与することができる。
【0030】
なお、上記した両実施例では、ブランク材10の各鋼線12は、鋼板11の伸長方向に平行に延在するように表面11aに固着されていたが、図9に示すように、例えば、二本の鋼線12を鋼板11の幅方向で見た位置が変位するように表面11aに固着させることができる。このようなブランク材10は、重ねられた鋼板11と二本の鋼線12とをシーム溶接装置20の二対の両ローラ電極24、25の間を通過させるとき、二対の両ローラ電極24の溝24bにそれぞれ鋼線12を係合させ且つ二対の両ローラ電極24、25の互いの対向関係を維持した状態で、両ローラ電極24、25を鋼板11の幅方向に沿ってそれぞれ変位させると、溝24bのガイド作用により、表面11aにおいて所望の位置に変位しながら延在するように両鋼線12がシーム溶接され、製造される。表面11aにおける鋼線12の延在位置は、両ローラ電極24、25の回転速度による送り量と両ローラ電極24、25の変位速度とにより調整することができる。両ローラ電極24、25を表面11a上で所望の位置に変位させるとき、この変位量に対応するように鋼線11の伸長方向に対する両ローラ電極24、25の向きを変化させると、溝24bのガイド作用により各鋼線12の伸長方向を変化させることができ、各鋼線12を所望の位置へと変位させることが容易となる。このようなブランク材10は、図10に示すように、例えば、実施例1と同様にアウターセンターピラー33a(図6参照。)を補強するピラーレインフォース44が加工される部位を避けて所望の強度を有するように各鋼線12の延在位置を所望の位置へと変位させたいときに用いられる。なお、図9に示すようなブランク材10を製造するためには、シーム溶接するときに鋼板11と両ローラ電極24、25が鋼板11の幅方向に沿って相対的に移動すればよいので、例えば、シーム溶接装置20において、両ローラ電極24、25を固定し、鋼線11の伸長方向を変化させるために送り軸21および巻き取り軸22を移動させてもよい。
【0031】
上記した両実施例では、鋼板11を補強するためにその表面11aにシーム溶接された鋼線12はその断面が矩形を呈するように形成されていたが、図11(b)に示すように、断面を円形とすることもできる。断面が円形の鋼線12は、断面が矩形状の鋼線12と比較して可撓性が高まるので、図11(a)に示すような鋼線12が表面11aにおいて所望の位置に変位しながら延在するブランク材10´を容易に製造することができる。
【0032】
上記した両実施例では、ブランク材10は、鋼板11を補強するための鋼線12が、成形後の製品34(図5参照。)、36(図8参照。)の長手方向に沿って延在するように成形されていたが、これと異なる方向に延在するように成形された例を図12に示す。これによれば、ブランク材10を用いて各鋼線12が製品の長手方向に直交し、加工部位にかからないように固着されたピラーレインフォース54を成形することができる。ピラーレインフォース54は、ブランク材10がセンターピラー33(図6参照。)の一部に適用された例を示しており、外壁部分54a、および外壁部分54aの両端から車室側へ向けて立ち上がる一対の側壁部分54b、54cを有し、各鋼線12が両側壁部分54b、54cの内側の面に車幅方向に沿って延在するように、固着されている。図12において矢印Cで示す方向(車両側方)からの力がセンターピラー33(図6参照。)に作用すると、センターピラー33を構成するアウターセンターピラー33a、ピラーレインフォース54およびインナーセンターピラー33bが車室側に変位しようとする。しかしながら、縮める方向に対して容易に変形することのない各鋼線12が矢印Cの方向に略平行となるように両側壁部分54b、54cに固着されているので、ピラーレインフォース54では矢印C方向に沿って両側壁部分54b、54cが容易に押しつぶされるように変形することはなく、センターピラー33自体の剛性も高められている。また、ピラーレインフォース54では、両側壁部分54b、54cが押しつぶされることが抑止されればよいので、各鋼線12は両側壁部分54b、54cの外側の面で延在していてもよい。
【0033】
上記した両実施例では、ブランク材10から成形された車体30(図4参照。)の製品34(図5参照。)、36(図8参照。)には、ピアス加工は施されていなかったが、例えば、実施例1と同様のピラーレインフォース64を表す図13に示すように、ピアス加工を施してヒンジ取付孔としての開口部64aを設けることができる。ピラーレインフォース64に適用する場合、ブランク材10には、鋼板11を補強する鋼線12を成形後のピラーレインフォース64における開口部64aにかからない領域で固着させておくので、開口部64aを形成するピアス加工が鋼線12により妨げられることはない。
【0034】
上記した両実施例には、ブランク材10が車体30(図4参照。)のセンターピラー33を補強するピラーレインフォース34およびシル35を補強するシルレインフォース36に適用された例を示したが、車体30を構成する他の部品に適用することができる。また、ブランク材10は、上記した例以外の製品に適用するものであってもよく、車体30を構成する部品以外の製品にも適用することができる。
【0035】
上記した両実施例のブランク材10では、鋼線12は、連続的にまたは断続的に密着するように鋼板11の表面11aに溶接されていたが、特に鋼線12が連続的に密着するように鋼板11の表面11aに溶接されていると、ブランク材10における剛性すなわち鋼線12による鋼板11への補強効果が高まることから、連続的に密着するようにシーム溶接することが望ましい。
【0036】
上記した例のブランク材10では、鋼線12が二本、三本または六本設けられていたが、鋼線12の本数は適用される製品に応じて適宜変更することができ、上記した例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係るブランク材を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るブランク材の製造に用いられるシーム溶接装置を模式的に示した斜視図である。
【図3】図2に示したI−I線に沿って得られた断面図である。
【図4】自動車の外形および車室を規定する車体の一部を模式的に示した斜視図である。
【図5】図4におけるセンターピラーの近傍を示す部分拡大図である。
【図6】図5に示したII−II線に沿って得られた断面図である。
【図7】図4に示したIII−III線に沿って得られた断面図である。
【図8】図4に示したシルレインフォースを示す斜視図である。
【図9】本発明に係るブランク材において鋼板の幅方向に変位するように各鋼線が溶接された例を示す斜視図である。
【図10】図9に示されたブランク材を図4と同様にセンターピラーレインフォースに適用した例を示す部分拡大図である。
【図11(a)】鋼板の幅方向に変位するように円形断面に形成された鋼線が溶接された例を示すブランク材の斜視図である。
【図11(b)】図11(a)に示したIV−IV線に沿って得られた断面図である。
【図12】鋼線が車幅方向に沿って固着されたセンターピラーレインフォースに適用した例を示す部分斜視図である。
【図13】成形後の加工部位にかからないように鋼線が固着されたブランク材が開口部を有するセンターピラーレインフォースに適用された例を示す部分斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
10 ブランク材
11 鋼板
11a 表面
12 鋼線
24 第一ローラ電極
25 第二ローラ電極
33 センターピラー
34、44、54、64 (補強部材としての)センターピラーレインフォース
35 シル
36 (補強部材としての)シルレインフォース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板の表面に鋼線が溶接されたことを特徴とするブランク材。
【請求項2】
前記鋼板は、ピラーまたはシルに適用されるものであり、前記鋼線が前記ピラーまたは前記シルの長手方向に沿って延在し前記表面に連続的に溶接されたことを特徴とする請求項1に記載のブランク材。
【請求項3】
前記鋼板には、前記鋼線が前記ピラーまたは前記シルにおける開口部および屈曲部が形成される領域を避けて溶接されていることを特徴とする請求項2に記載のブランク材。
【請求項4】
製品に用いられた前記鋼板に外力が作用したとき、前記鋼線は、外力の入力方向に略直交する面において入力方向に略直交するように延在し、または外力の入力方向に略平行な面において入力方向に略平行に延在することを特徴とする請求項1に記載のブランク材。
【請求項5】
前記鋼板は、外板と内板との端部を接合し且つ内部に空間を有する前記製品の前記外板に組み付けられる補強部材に適用されるものであって、該補強部材の前記外板と反対側の面に前記鋼線が延在することを特徴とする請求項4に記載のブランク材。
【請求項6】
前記鋼板は、外板と内板との端部を接合し且つ内部に空間を有する前記製品の前記外板に組み付けられる補強部材または前記外板に適用されるものであって、前記鋼線は、前記補強部材にあっては前記外板と対向するまたは反対側の面で延在し、前記外板にあっては前記補強部材と対向する面で延在することを特徴とする請求項4に記載のブランク材。
【請求項7】
前記鋼線は、その断面が円形であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のブランク材。
【請求項8】
外周面に溝が形成されたシーム溶接用の第一ローラ電極と該第一ローラ電極と互いに外周面を対向配置させた第二ローラ電極との間に前記溝に鋼線を係合させた状態で該鋼線および鋼板を互いに重ねて配置し、前記第一ローラ電極および前記第二ローラ電極により前記鋼線と前記鋼板とに加圧力を作用させ且つ通電させて前記鋼板に前記鋼線をシーム溶接することを特徴とするブランク材の製造方法。
【請求項9】
前記第一ローラ電極および前記第二ローラ電極の対向関係を維持した状態でシーム溶接の溶接方向を任意に変位させることを特徴とする請求項8に記載のブランク材の製造方法。
【請求項1】
鋼板の表面に鋼線が溶接されたことを特徴とするブランク材。
【請求項2】
前記鋼板は、ピラーまたはシルに適用されるものであり、前記鋼線が前記ピラーまたは前記シルの長手方向に沿って延在し前記表面に連続的に溶接されたことを特徴とする請求項1に記載のブランク材。
【請求項3】
前記鋼板には、前記鋼線が前記ピラーまたは前記シルにおける開口部および屈曲部が形成される領域を避けて溶接されていることを特徴とする請求項2に記載のブランク材。
【請求項4】
製品に用いられた前記鋼板に外力が作用したとき、前記鋼線は、外力の入力方向に略直交する面において入力方向に略直交するように延在し、または外力の入力方向に略平行な面において入力方向に略平行に延在することを特徴とする請求項1に記載のブランク材。
【請求項5】
前記鋼板は、外板と内板との端部を接合し且つ内部に空間を有する前記製品の前記外板に組み付けられる補強部材に適用されるものであって、該補強部材の前記外板と反対側の面に前記鋼線が延在することを特徴とする請求項4に記載のブランク材。
【請求項6】
前記鋼板は、外板と内板との端部を接合し且つ内部に空間を有する前記製品の前記外板に組み付けられる補強部材または前記外板に適用されるものであって、前記鋼線は、前記補強部材にあっては前記外板と対向するまたは反対側の面で延在し、前記外板にあっては前記補強部材と対向する面で延在することを特徴とする請求項4に記載のブランク材。
【請求項7】
前記鋼線は、その断面が円形であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のブランク材。
【請求項8】
外周面に溝が形成されたシーム溶接用の第一ローラ電極と該第一ローラ電極と互いに外周面を対向配置させた第二ローラ電極との間に前記溝に鋼線を係合させた状態で該鋼線および鋼板を互いに重ねて配置し、前記第一ローラ電極および前記第二ローラ電極により前記鋼線と前記鋼板とに加圧力を作用させ且つ通電させて前記鋼板に前記鋼線をシーム溶接することを特徴とするブランク材の製造方法。
【請求項9】
前記第一ローラ電極および前記第二ローラ電極の対向関係を維持した状態でシーム溶接の溶接方向を任意に変位させることを特徴とする請求項8に記載のブランク材の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11(a)】
【図11(b)】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11(a)】
【図11(b)】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−62460(P2006−62460A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−245390(P2004−245390)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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