説明

ブレーキ付きキャスター

【課題】ブレーキ片の下端部を車輪の両側のリム内周面へ圧接させて制動力を得る構成のブレーキ付きキャスターを提供する。
【解決手段】車輪支持脚1の下向きコ字形状内の上部に、車輪4を挟む配置とされ、同車輪4のリム内周面42、42に圧接する一対のブレーキ片30、30を備えた下向きにほぼコ字形状のブレーキ部材3が、水平軸32で車輪支持脚1に回動可能に支持されている。ブレーキ部材3と車輪支持脚1とが弾性体5で連結され、弾性体5によりブレーキ片30、30の下端部が車輪4のリム42、42から遠のく方向へ回動する作用力を受けている。ブレーキ部材3に紐状体7の一端が止着され、紐状体7を引っ張るとブレーキ片30、30の下端部を車輪4の両側のリム42、42に圧接してブレーキが働く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、手押し台車等に使用されるブレーキ付きキャスターの技術分野に属し、更に云えば、ブレーキ片の下端部を車輪の両側のリム内周面へ圧接させて制動力を得る構成のブレーキ付きキャスターに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1〜3に係るブレーキ付きキャスターは、共通して、ブレーキ部材を車輪のタイヤ表面に圧接させて制動力を得る構成である。
特許文献4に係るブレーキ付きキャスターは、ブレーキ部材を車輪のリムに圧接させて制動力を得る構成である。
【0003】
【特許文献1】特許第2759599号公報
【特許文献2】特開平11−59113号公報
【特許文献3】特開平11−91305号公報
【特許文献4】特表2004−508236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜3に開示されたブレーキ付きキャスターは、車輪のタイヤ表面とブレーキ部材との摩擦によって制動力を得る構成であるが故に、車輪のタイヤの摩耗度が、通常のキャスターの走行のみによるタイヤの摩耗度よりもはるかに高く、タイヤ厚みが減少するにつれブレーキシューがタイヤ表面を押さえる圧力低下が早い分、ブレーキ性能が急速に低下するという問題があった。これに伴い、摩耗したタイヤ(又は車輪)の交換頻度が高くなり、不経済であるという問題もあった。
また、路面が濡れていたり、タイヤ表面に土や砂が付着してタイヤ表面が滑りやすい場合には、ブレーキシューが滑りやすくなるのでブレーキ性能が低下するなど、路面状況に影響を受け易く、安定した制動力を得難いという問題があった。
【0005】
一方、特許文献4に開示されたブレーキ付きキャスターは、ブレーキ部材を車輪の両側のリムに圧接させて制動力を得る構成であるが故に、ブレーキ部材が車輪のタイヤの摩耗に一切関与しない。よって、上記したような問題は生じない。
しかしながら、このブレーキ付きキャスターは、図1〜図4に示したように、左右一対のブレーキレバー(24l、24r)の開閉操作を、その間に設けた凸状に湾曲した細長い極薄ばね(30)で行うので、経時的にばね(30)が歪んだり、疲労破壊を起こしやすく、車輪(18)のホイール両側面を前記ブレーキレバー(21l、24r)により左右両側から均等な力で圧接して制動する性能が維持するのは至難である。また、機構が複雑でコストが嵩むという問題もある。
【0006】
本発明の目的は、ブレーキ部材のブレーキ片を車輪の両側のリム内周面へ圧接させて制動力を得る構成とすることにより、ブレーキ動作が車輪のタイヤ摩耗に一切関与せず、車輪のタイヤの摩耗度を極力低減することができ、また、路面状況に悪影響を受けないブレーキ付きキャスターを提供することにある。
また、ブレーキ片が両側のリム内周面を両側から均等な力で圧接して制動する動作を、シンプルな構造で、確実、且つ恒久的に維持できる構成とし、経済性、及び耐久性に優れたブレーキ付きキャスターを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係るブレーキ付きキャスターは、
ほぼ下向きコ字形状の車輪支持脚1の下部に車輪4が回転自在に支持されて成るキャスターにおいて、
前記車輪支持脚1の下向きコ字形状内の上部に、車輪4を挟む配置とされ、同車輪4のリム内周面42、42に圧接する一対のブレーキ片30、30を備えた下向きにほぼコ字形状のブレーキ部材3が、水平軸32で同車輪支持脚1に回動可能に支持されており、
前記ブレーキ部材3と前記車輪支持脚1とが弾性体5で連結され、同弾性体5により前記ブレーキ片30、30の下端部が車輪4のリム42、42から遠のく方向へ回動する作用力を受けており、
前記ブレーキ部材3に紐状体7の一端が止着され、該紐状体7を引っ張ると前記ブレーキ片30、30の下端部を車輪4の両側のリム42、42に圧接してブレーキが働く構成とされていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載した発明に係るブレーキ付きキャスターは、
ほぼ下向きコ字形状の車輪支持脚1の下部に車輪4が回転自在に支持されて成るキャスターにおいて、
前記車輪支持脚1の下向きコ字形状内の上部に、車輪4を挟む配置とされ、同車輪4のリム内周面42、42に圧接する一対のブレーキ片30、30を備えた下向きにほぼコ字形状のブレーキ部材3が、水平軸32で同車輪支持脚1に回動可能に支持されており、
前記ブレーキ部材3と前記車輪支持脚1とが弾性体5で連結され、同弾性体5により前記ブレーキ片30、30の下端部が車輪4のリム42、42へ圧接する方向へ回動する作用力を受けており、
前記ブレーキ部材3に紐状体7の一端が止着され、該紐状体7を引っ張って前記車輪4の両側のリム42、42に圧接されたブレーキ片30、30の下端部を引き離しブレーキを解除する構成とされていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載した発明に係るブレーキ付きキャスターは、
ほぼ下向きコ字形状の車輪支持脚1の下部に車輪4が回転自在に支持されて成るキャスターにおいて、
前記車輪支持脚1の天井壁下面に、垂直下方へ突き出る一対の支持部11、11が設けられており、
前記両側の支持部11、11間に、車輪4を挟む配置とされ、同車輪4のリム内周面42、42に圧接する一対のブレーキ片30、30を備えた下向きにほぼコ字形状のブレーキ部材3が、水平軸32で両側の支持部11、11に回動可能に支持されており、
前記ブレーキ部材3と前記車輪支持脚1とが弾性体5で連結され、同弾性体5により前記ブレーキ片30、30の下端部が車輪4のリム42、42から遠のく方向へ回動する作用力を受けており、
前記ブレーキ部材3に紐状体7の一端が止着され、該紐状体7を引っ張ると前記ブレーキ片30、30の下端部を車輪4の両側のリム42、42に圧接させてブレーキが働く構成とされていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載した発明に係るブレーキ付きキャスターは、
ほぼ下向きコ字形状の車輪支持脚1の下部に車輪4が回転自在に支持されて成るキャスターにおいて、
前記車輪支持脚1の天井壁下面に、垂直下方へ突き出る一対の支持部11、11が設けられており、
前記両側の支持部11、11間に、車輪4を挟む配置とされ、同車輪4のリム内周面42、42に圧接する一対のブレーキ片30、30を備えた下向きにほぼコ字形状のブレーキ部材3が、水平軸32で両側の支持部11、11に回動可能に支持されており、
前記ブレーキ部材3と前記車輪支持脚1とが弾性体5で連結され、同弾性体5により前記ブレーキ片30、30の下端部が車輪4のリム42、42へ圧接する方向へ回動する作用力を受けており、
前記ブレーキ部材3に紐状体7の一端が止着され、該紐状体7を引っ張って前記車輪4の両側のリム42、42に圧接されたブレーキ片30、30の下端部を引き離しブレーキを解除する構成とされていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は3に記載したブレーキ付きキャスターにおいて、
車輪支持脚1に設けられたペダル取付部8にペダル9が取り付けられ、一端をブレーキ部材3に止着された紐状体7の他端が前記ペダル9に止着されており、
前記ペダル9を踏み込むと、前記紐状体7を引っ張ってブレーキ片30、30の下端部をリム42、42に向かって傾け、ブレーキ片30、30の下端部を車輪4の両側のリム42、42内周面に圧接させてブレーキが働く構成とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るブレーキ付きキャスターによれば、ブレーキ片30、30の下端部を車輪4の両側のリム内周面42、42に圧接させて制動力を得る構成なので、ブレーキ作用が車輪4のタイヤ40の摩耗には一切関与せず、車輪4のタイヤ40の摩耗度を極力低減することができ、路面の状況にも影響を受けない。
また、ブレーキ片30、30の下端部が車輪4の両側のリム内周面42、42を左右両側から均等な力で圧接して制動する動作を、シンプルな構造で、確実、且つ恒久的に維持できる構成なので、使い勝手が良く、経済性、及び耐久性に優れている。
請求項1及び3に記載したブレーキ付きキャスターは、通常時は非制動状態で、ブレーキ操作機構6(ブレーキレバー)を操作すると制動力を得て停止する構成なので、例えば平坦な路面での運搬作業に使用する手押し台車等に好適に適用できる。
一方、請求項2及び4に記載したブレーキ付きキャスターは、通常時は制動状態で、ブレーキ操作機構6(ブレーキレバー)を操作すると制動解除となり、台車等は走行可能となる構成なので、例えば頻繁にブレーキ操作を行う必要がある傾斜した路面での運搬作業に使用する手押し台車等に好適に適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
車輪支持脚1の下向きコ字形状内の上部に、車輪4を挟む配置とされ、車輪4のリム内周面42、42に圧接する一対のブレーキ片30、30を備えた下向きにほぼコ字形状のブレーキ部材3が、水平軸32で同車輪支持脚1に回動可能に支持されている。ブレーキ部材3と車輪支持脚1とが弾性体5で連結され、弾性体5によりブレーキ片30、30の下端部が車輪4のリム42、42から遠のく方向へ回動する作用力を受けている。ブレーキ部材3に紐状体7の一端が止着され、該紐状体7を引っ張ると前記ブレーキ片30、30の下端部を車輪4の両側のリム42、42に圧接してブレーキが働く。
【0014】
或いは、車輪支持脚1の下向きコ字形状内の上部に、車輪4を挟む配置とされ、車輪4のリム内周面42、42に圧接する一対のブレーキ片30、30を備えた下向きにほぼコ字形状のブレーキ部材3が、水平軸32で同車輪支持脚1に回動可能に支持されている。ブレーキ部材3と前記車輪支持脚1とが弾性体5で連結され、同弾性体5によりブレーキ片30、30の下端部が車輪4のリム42、42へ圧接する方向へ回動する作用力を受けている。ブレーキ部材3に紐状体7の一端が止着され、該紐状体7を引っ張って前記車輪4の両側のリム42、42に圧接されたブレーキ片30、30の下端部を引き離しブレーキを解除する。
【実施例1】
【0015】
以下に本発明を、図示した実施例に基づいて説明する。
図1及び図2は、請求項1に記載した発明に係るブレーキ付きキャスターの実施例1を示している。このブレーキ付きキャスターは、下向きにほぼコ字形状の車輪支持脚1(図2を参照)の下部に、車輪4が、車軸41によって回転自在に支持されて成る。なお、本発明のブレーキ機構は、下向きにコ字形状の車輪支持脚1を備える構成であれば、固定キャスター(図1、図3、図5、図6及び図8)又は自在キャスター(図4)の別なく、共通に実施できる。
【0016】
実施例1のブレーキ付きキャスターは、図2に示すように、車輪4のタイヤ部分40の両側を挟む配置とされた一対のブレーキ片30、30を備え、同車輪4の両側のリム内周面42、42に圧接する下向きにほぼコ字形状のブレーキ部材3が、上記車輪支持脚1の下向きコ字形状の枠内に、天井壁10と干渉を起こさない程度の一定寸法(2〜3cm程度)下がった位置に設置されている。このブレーキ部材3は、前記車輪4のタイヤ上端よりも上方の位置で、前記ブレーキ部材3の両側ブレーキ片30、30を水平に貫通して、前記車輪支持脚1に両端を固定された水平軸32によって、同車輪支持脚1の内側に振り子状に回動可能に支持されている。なお、図1に示すように、水平軸32の中心を車軸41の中心上に設けることにより、車輪4の頂部に位置するブレーキ部材3をどちらの方向へ(図示例では左右へ)回動させてもブレーキシュー31、31をリム42、42に圧接し易い構成としている。
前記ブレーキ片30、30は、後述する車輪4の両側のリム42、42へ圧接されてブレーキ作用を働くブレーキシュー31、31を両下端に備えている。このブレーキシュー31、31は、車輪4のリム42との摩擦力を高めて制動力を確実にするために、ゴム弾性を持つエラストマー製とされている。
前記水平軸32は、ブレーキ部材3の両外側面と、車輪支持脚1の内面との間に、当該ブレーキ部材3を中央部分に位置決めするスリーブ33が設置されている。以下、実施例2〜4についても同様の技術的思想とする。
【0017】
一方のブレーキ片30の後部と、前記車輪支持脚1の天井壁10の下面から垂直下方に突き出た弾性体取付板2とが弾性体5(図示例では引っ張りバネ)で連結され、同弾性体5により前記ブレーキシュー31、31が車輪4のリム42、42から遠のく方向へ回動する作用力を受けている。
なお、両側のブレーキ片30、30と弾性体取付板2とを2個の弾性体5でそれぞれ連結した構成で実施しても良い。また、前記弾性体5を設ける部位は、図示例に限定されるものではなく、要するに、それぞれのブレーキシュー31、31が、車輪4のリム42、42から遠のく方向へ回動する作用力を与えることができる構成であればよい。
【0018】
前記ブレーキ部材3の天井壁には、紐状体7としてブレーキワイヤの一端が、例えばビス止めによりしっかりと止着されている。同紐状体7の他端は、例えば図9に示すように、手押し台車の取っ手に設けたブレーキレバー6に繋がっている。
なお、前記紐状体7の一端をブレーキ部材3に止着する位置は、図示した実施例の位置に限定されるものではなく、例えばブレーキ部材3の後部側面や、ブレーキ片30に止着した構成で実施しても良い。
【0019】
上記の構成であるから、作業者が前記ブレーキレバー6を握る操作をしてブレーキワイヤ7(紐状体)を引っ張ると、前記ブレーキ片30、30が車輪4のリム42、42に向かって傾き、各ブレーキシュー31を車輪4の両側のリム内周面42に圧接してブレーキが働く。
一方、握っているブレーキレバー6を離すと、車輪4の両側のリム内周面42、42に圧接しているブレーキシュー31、31が、弾性体5の引っ張り作用で前記リム内周面42、42から離れてブレーキが解除される。
【0020】
つまり、実施例1のブレーキ付きキャスターは、ブレーキ片30、30のブレーキシュー31、31を車輪4の両側のリム内周面42、42に圧接させて制動力を得る構成なので、ブレーキ作用は車輪4のタイヤ40の摩耗には一切関与せず、車輪4のタイヤ40の摩耗度を極力低減することができ、路面の状況にも影響を受けない。
また、車輪4の両側のリム内周面42、42を、ブレーキシュー31、31が、左右両側から均等な力で圧接して制動するので、そのブレーキ性能は、シンプルな構造で、確実、且つ恒久的に維持することができ、使い勝手が良く、経済性、および耐久性に優れている。
【0021】
なお、図3に示すように、車輪支持脚1の後部(図面の左側)であって、同車輪支持脚1の天井壁10の下面から垂直下方へ突き出るように設けた突起部12に、外方へ突き出る配置でペダル取付部8を取付け、該ペダル取付部8へ一端を回動可能に支持されたペダル9を取付けた構成で実施することもできる。この場合、一端をブレーキ部材3へ止着した紐状体7の他端は、ペダル取付部8に設けられた回転軸80を経由して折り返しペダル9に例えばブレーキワイヤ7(紐状体)の先端を玉留めし、ペダル9の玉より直径が小さい貫通孔にブレーキワイヤ7(紐状体)を通して止着している。
斯くすると、作業者が、前記ペダル9を足で踏み込むと、前記紐状体7を引っ張り、前記ブレーキ片30、30のブレーキシュー31、31をリム42、42に向かって傾け、ブレーキシュー31、31を車輪4の両側のリム内周面42、42に圧接させてブレーキを働かせキャスターの回転を止めることができる。
【0022】
但し、図4に示すように、車輪支持脚1の後部(図面の左側)に弾性体取付板2を設けて、該弾性体取付板2にペダル取付部8を取付ける構成で実施することもできる。
【実施例2】
【0023】
図5は、請求項2に記載した発明に係るブレーキ付きキャスターの実施例2を示している。
実施例2に係るブレーキ付きキャスターは、通常時は制動状態で、ブレーキ操作機構6(ブレーキレバー)を操作するとブレーキ作用が働く構成であり、上記した実施例1に係るブレーキ付きキャスターと比してブレーキ操作機構6を操作して非制動状態とする目的が相違する。なお、このブレーキ付きキャスターは、大部分を上記実施例1のブレーキ付きキャスターと共通するので、その説明を援用し、詳細な説明は省略する。
【0024】
上記実施例1のブレーキ付きキャスターと異なる点は、一方のブレーキ片30と、前記車輪支持脚1に設けた弾性体取付板2とが弾性体5(図示例では圧縮バネ)で連結され、同弾性体5によりブレーキシュー31、31が車輪4のリム内周面42、42へ圧接する方向へ回動する作用力を受けていることである。
したがって、作業者が前記ブレーキレバー6を握る操作をしてブレーキワイヤ7(紐状体)を引っ張ると、前記ブレーキ片30、30が内方へ傾き、各ブレーキシュー31を車輪4の両側のリム内周面42、42から引き離してブレーキを解除する。
一方、握っているブレーキレバー6を離すと、車輪4の両側のリム内周面42、42から引き離したブレーキシュー31、31が、弾性体5の圧縮作用で前記リム内周面42、42へ圧接されてブレーキ作用が働く。
【実施例3】
【0025】
図6及び図7は、請求項3に記載した発明に係るブレーキ付きキャスターの実施例3を示している。
実施例3のブレーキ付きキャスターは、通常時は非制動状態で、ブレーキ操作機構6(ブレーキレバー)を操作すると走行可能な構成であり、上記した実施例1に係るブレーキ付きキャスターとブレーキ操作機構6を操作して制動状態にする目的が共通する。なお、上記実施例1のブレーキ付きキャスターと共通する内容は、その説明を援用し、詳細な説明は省略する。
【0026】
このブレーキ付きキャスターは、車輪支持脚1の天井壁10の下面から垂直下方へ突き出た一対の支持部11、11が、車輪支持脚1の前方(図面の右側)であって、一対のブレーキ片30、30が車輪4を挟める位置に設けられている。但し、前記支持部11、11は、図8に示すように、車輪支持脚1の後方(図面の左側)に設けた構成で実施することもできる。
前記車輪4の側面の両側を挟む配置とされ、同車輪4のリム内周面42、42に圧接する一対のブレーキ片30、30を備え、下向きにほぼコ字形状のブレーキ部材3が、前記両側の支持部11、11間に、天井壁10と干渉を起こさない程度下がった位置に設置されている。このブレーキ部材3は、前記車輪4のタイヤ40の上方位置を水平方向に偏倚した配置であって、前記ブレーキ部材3の両側ブレーキ片30、30を水平に貫通し、前記支持部11、11に両端を固定された水平軸32で、同支持部11、11間に振り子状に回動可能に支持されている。
【0027】
ブレーキ片30の後部と、前記車輪支持脚1の天井壁10下面から垂直下方に突き出た弾性体取付板2とが弾性体5(図示例では引っ張りバネ)で連結され、同弾性体5により前記ブレーキ片30のブレーキシュー31、31が車輪4のリム42、42から遠のく方向へ回動する作用力を受けている。
【0028】
前記ブレーキ部材3の天井壁の下面には、ブレーキワイヤ(紐状体)7の一端が例えばビス止めによりしっかりと止着されている。同ブレーキワイヤ7の他端は、例えば図9に示すように、手押し台車の取っ手に設けたブレーキレバー6に繋がっている。
【0029】
なお、実施例3に係るブレーキ付きキャスターも、図3及び4に示すように、車輪支持脚1の後部から外方へ突き出るように設けたペダル取付部8にペダル9を取付け、一端をブレーキ部材3に止着した紐状体7の他端を前記ペダル9へ止着することにより、作業者が足でブレーキを働かせキャスターを止めることができる。
【実施例4】
【0030】
図8は、請求項4に記載した発明に係るブレーキ付きキャスターの実施例4を示している。
実施例4に係るブレーキ付きキャスターは、通常時は制動状態で、ブレーキ操作機構6(ブレーキレバー)を操作すると走行可能な構成であり、上記した実施例2に係るブレーキ付きキャスターとブレーキ操作機構6を操作して非制動状態とする目的が共通する。なお、上記実施例1〜3のブレーキ付きキャスターと共通する内容は、その説明を援用し、詳細な説明は省略する。
【0031】
このブレーキ付キャスターは、車輪支持脚1の天井壁10の下面から垂直下方へ突き出た一対の支持部11、11が、車輪支持脚1の後方であって、一対のブレーキ片30、30が車輪4を挟める位置に設けられている。但し、前記支持部11、11は、図6に示すように、車輪支持脚1の前方(図面の右側)に設けた構成で実施することもできる。
前記車輪4の側面の両側を挟む配置とされた一対のブレーキ片30、30を備えたほぼ下向きコ字形状のブレーキ部材3が、前記両側の支持部11、11間に天井壁10と干渉を起こさない程度下がった位置に設置されている。このブレーキ部材3は、前記車輪4のタイヤ40上方位置を水平方向に偏倚した配置であって、前記ブレーキ部材3の両側ブレーキ片30、30を水平に貫通し、前記支持部11、11に両端を固定された水平軸32で、同支持部11、11間に振り子状に回動可能に支持されている。
【0032】
ブレーキ片30と、前記車輪支持脚1に設けた弾性体取付板2とが弾性体5で連結され、同弾性体5によりブレーキシュー31、31が車輪4のリム内周面42、42へ圧接する方向へ回動する作用力を受けている。
前記ブレーキ部材3の天井壁の下面には、ブレーキワイヤ(紐状体)7の一端が例えばビス止めによりしっかりと止着されている。同ブレーキワイヤ7の他端は、例えば図9に示すように、手押し台車の取っ手に設けたブレーキレバー6に繋がっている。
【0033】
以上に本発明を図示した実施例と共に説明したが、もとより本発明は実施例に限定されるものではない。本発明の目的と要旨を逸脱しない範囲で、当業者が必要に応じて行う設計変更や応用変形を包含するものであることを念のため申し添える。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施例1に係るキャスターを一部破断して示す正面図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】ペダルを有するキャスターを一部破断して示す正面図である。
【図4】ペダルを有するキャスターの異なる構成を一部破断して示す正面図である。
【図5】実施例2に係るキャスターを一部破断して示す正面図である。
【図6】実施例3に係るキャスターを一部破断して示す正面図である。
【図7】図6のB矢視図である。
【図8】実施例4に係るキャスターを一部破断して示す正面図である。
【図9】本発明に係るキャスターの全体構造を概略的に示した斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
1 車輪支持脚
3 ブレーキ部材
30 ブレーキ片
32 水平軸
4 車輪
42 リム
5 弾性体
7 紐状体
8 ペダル取付部
9 ペダル
11 支持部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほぼ下向きコ字形状の車輪支持脚の下部に車輪が回転自在に支持されて成るキャスターにおいて、
前記車輪支持脚の下向きコ字形状内の上部に、車輪を挟む配置とされ、同車輪のリム内周面に圧接する一対のブレーキ片を備えた下向きにほぼコ字形状のブレーキ部材が、水平軸で同車輪支持脚に回動可能に支持されており、
前記ブレーキ部材と前記車輪支持脚とが弾性体で連結され、同弾性体により前記ブレーキ片の下端部が車輪のリムから遠のく方向へ回動する作用力を受けており、
前記ブレーキ部材に紐状体の一端が止着され、該紐状体を引っ張ると前記ブレーキ片の下端部を車輪の両側のリムに圧接してブレーキが働く構成とされていることを特徴とする、ブレーキ付きキャスター。
【請求項2】
ほぼ下向きコ字形状の車輪支持脚の下部に車輪が回転自在に支持されて成るキャスターにおいて、
前記車輪支持脚の下向きコ字形状内の上部に、車輪を挟む配置とされ、同車輪のリム内周面に圧接する一対のブレーキ片を備えた下向きにほぼコ字形状のブレーキ部材が、水平軸で同車輪支持脚に回動可能に支持されており、
前記ブレーキ部材と前記車輪支持脚とが弾性体で連結され、同弾性体により前記ブレーキ片の下端部が車輪のリムへ圧接する方向へ回動する作用力を受けており、
前記ブレーキ部材に紐状体の一端が止着され、該紐状体を引っ張って前記車輪の両側のリムに圧接されたブレーキ片の下端部を引き離しブレーキを解除する構成とされていることを特徴とする、ブレーキ付きキャスター。
【請求項3】
ほぼ下向きコ字形状の車輪支持脚の下部に車輪が回転自在に支持されて成るキャスターにおいて、
前記車輪支持脚の天井壁下面に、垂直下方へ突き出る一対の支持部が設けられており、
前記両側の支持部間に、車輪を挟む配置とされ、同車輪のリム内周面に圧接する一対のブレーキ片を備えた下向きにほぼコ字形状のブレーキ部材が、水平軸で両側の支持部に回動可能に支持されており、
前記ブレーキ部材と前記車輪支持脚とが弾性体で連結され、同弾性体により前記ブレーキ片の下端部が車輪のリムから遠のく方向へ回動する作用力を受けており、
前記ブレーキ部材に紐状体の一端が止着され、該紐状体を引っ張ると前記ブレーキ片の下端部を車輪の両側のリムに圧接させてブレーキが働く構成とされていることを特徴とする、ブレーキ付きキャスター。
【請求項4】
ほぼ下向きコ字形状の車輪支持脚の下部に車輪が回転自在に支持されて成るキャスターにおいて、
前記車輪支持脚の天井壁下面に、垂直下方へ突き出る一対の支持部が設けられており、
前記両側の支持部間に、車輪を挟む配置とされ、同車輪のリム内周面に圧接する一対のブレーキ片を備えた下向きにほぼコ字形状のブレーキ部材が、水平軸で両側の支持部に回動可能に支持されており、
前記ブレーキ部材と前記車輪支持脚とが弾性体で連結され、同弾性体により前記ブレーキ片の下端部が車輪のリムへ圧接する方向へ回動する作用力を受けており、
前記ブレーキ部材に紐状体の一端が止着され、該紐状体を引っ張って前記車輪の両側のリムに圧接されたブレーキ片の下端部を引き離しブレーキを解除する構成とされていることを特徴とする、ブレーキ付きキャスター。
【請求項5】
車輪支持脚に設けられたペダル取付部にペダルが取り付けられ、一端をブレーキ部材に止着された紐状体の他端が前記ペダルに止着されており、
前記ペダルを踏み込むと、前記紐状体を引っ張ってブレーキ片をリムに向かって傾け、ブレーキ片の下端部を車輪の両側のリム内周面に圧接させてブレーキが働く構成とされていることを特徴とする、請求項1又は3に記載したブレーキ付きキャスター。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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