ブレード熱交換器
ブレード熱交換器は、回転軸に対して軸方向に延びる複数のブレードを含み、該ブレードは半径方向に細長いものとなっている。該ブレードは、前記軸を中心として配置され、互いに隔離された濃縮用及び蒸発用複合チャンバを形成するようにハウジング内に配設される。該ブレードの少なくとも幾つかの内部が濃縮用複合チャンバを形成する。該ブレードの外部とハウジングの内面とが協働して蒸発用複合チャンバを形成する。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
蒸留とは、液体(水等)の精製方法であり、逆に濃縮(濃縮オレンジジュース等)の生成方法である。蒸留では、蒸留すべき供給液体は、沸点まで加熱され、その結果として生じる蒸気(例えば水蒸気)が収集されて凝縮される。
【0002】
蒸留システムには、ロータリー熱交換器を含むものがある。ロータリー熱交換器の一種として、垂直方向に積層され水平方向に向けられた複数の環状プレートが挙げられる。該環状プレートは、ハウジング内に配置され、及び中央の垂直軸を中心として回転するよう取り付けられる。この種の熱交換器の一例が、本出願人に譲渡された米国特許第6,238,524号に記載されている。もう1つの種類のロータリー熱交換器として、垂直方向に折り畳まれたアコーディオン形状のプレートが挙げられる。該アコーディオン形状のプレートは、ハウジング内に配置され、中央の垂直軸を中心として回転するよう取り付けられる。この種の熱交換器の一例が、本出願人に譲渡された米国特許出願第09/609,881号に記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ロータリー熱交換器の設計中に一般に考慮される2つの因子が、交差汚染及び通気である。交差汚染とは、蒸発している液体(例えば非飲料水)が、結果的に得られる留出物と接触して該留出物を汚染する際に結果的に生じる状況を指し、通気とは、蒸留中に濃縮しない(すなわち非濃縮可能な)空気その他の気体の除去を指している。ロータリー熱交換器によっては、飲用蒸留水を生成するために使用することができなくなる交差汚染の危険性のあるものがあり、またロータリー熱交換器によっては、製造を複雑にし蒸留効率を低下させる複雑な流路を介して非濃縮可能物質を除去するものがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願人は、蒸発している液体と結果的に得られる留出物との間の交差汚染の危険性を低減させる傾向を有し、及び非濃縮可能物質を単純な流路に沿って除去することを可能にするよう容易に構成することができる、ロータリー熱交換器を発明した。更に、製造コストが低くなる傾向があることが分かった。かかる熱交換器を本書では「ブレード熱交換器」と称することとする。
【0005】
本発明のブレード熱交換器は、軸方向に延びる複数のブレードを含み、該ブレードは、該熱交換器が回転することになる軸と平行に延び、半径方向に細長いものとなっている。該ブレードは、前記軸を中心として配置され、互いに隔離された濃縮用及び蒸発用複合チャンバを形成するようハウジング内に配設される。該ブレードの少なくとも幾つかの内部が互いに協働して濃縮用複合チャンバを形成する一方、該ブレードの外部がハウジングの内面と協働して蒸発用複合チャンバを形成する。該蒸発用複合チャンバは、隣接するブレードの対向する外面間の半径方向の通路を介してハウジングの半径方向の範囲へと延びる。
【0006】
殆どの実施形態では、隣接するブレードのうちの少なくとも幾つかの対向する外面間の半径方向の通路の入口は、1.8mm(70mil)未満、好適には0.4mm(15mil)〜0.8mm(30mil)の間の距離にわたる。この間隔やその他の本ブレード熱交換器の特徴が互いに協働して、蒸留を促進させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下の詳細な説明及び添付図面(その縮尺は実際とは異なる)を参照することにより、本ブレード熱交換器を一層完全に理解することができる。
【0008】
ここで、本開示のブレード熱交換器の全般的な理解を提供すべく、例示としての実施形態について説明することとする。本実施形態の1つ又は2つ以上の例を図面に示す。本開示のブレード熱交換器は他の用途のための装置及びシステムを提供するよう適応させ修正することができるものであり、及び本発明の範囲から逸脱することなくその他の追加及び変更を本開示のブレード熱交換器に対して行うことが可能である、ということが当業者には理解されよう。
【0009】
図1及び図1Bは、例示としてのブレード熱交換器を含む蒸留システムの断面図を共に形成するものであり、図2A及び図2Bは、蒸留システムの斜視図を共に形成するものである。図1A、図1B、図2A、及び図2Bに示すように、蒸留システム10は、回転力源12、該回転力源12が取り付けられるギアハウジング14、及び該ギアハウジング14が取り付けられる固定蒸気チャンバハウジング16を含む。該蒸気チャンバハウジングは、端部キャップ18,20及び側壁22を含む。全体的に円筒形状のシェル100が蒸気チャンバハウジング16内に配設され、該シェル100内にピストン141,143を含むコンプレッサ140が配設される。例示としてのブレード熱交換器122が前記シェル100内に配設されている。該ブレード熱交換器122は、第1の隔離板145によってコンプレッサ140から隔離されている。液溜め184が、前記シェル100内に配設され、及び第2の隔離板147によってブレード熱交換器から隔離されている。動作時に、回転力源12がシェル100を回転させ、これによりコンプレッサ140及びブレード熱交換器122が回転させられる。
【0010】
図1A及び図2Aに示すように、ブレード熱交換器122は、回転力源12が回転させることになる中心軸に対して軸方向に延びるブレード124を含む。後述するように、複数のブレード124のうちの少なくとも幾つかの内部が構成要素となる濃縮チャンバであり、複数の該構成要素となる濃縮チャンバが協働して1つの濃縮用複合チャンバを成形し、一方、隣接するブレード124のうちの少なくとも幾つかの外面間の通路が構成要素となる蒸発チャンバであり、複数の該構成要素となる蒸発チャンバが協働して1つの蒸発用複合チャンバを形成する。ブレード124は、回転軸A-Aに対して、半径方向内方及び外方にそれぞれ位置する縁部124a,124bを形成する。ブレードの第1の軸方向端部124cはコンプレッサ140に隣接して配置され、ブレードの第2の軸方向端部124dは前記第1の軸方向端部124cの反対側で留出物収集容器160に隣接して配置される。ブレード124は、フレーム157(図3に詳細に示す)内に第1及び第2の端部プレート132,136(図7に詳細に示す)間で取り付けられ、該第1及び第2の端部プレート132,136は、軸A-Aに対してほぼ垂直になるようシェル100内に配設されている。端部プレート132,136は、内径縁部132a,136a及び外径縁部132b,136bを形成する。図1A及び図2Aに示すように、留出物収集容器160は、ほぼ環状であり、前記第2の端部プレート136の内径縁部及び外径縁部に取り付けられる。
【0011】
図1A、図1B、及び図2Aに示すように、コンプレッサ140は、ブレード熱交換器122から第1の蒸気圧の蒸気を受容するためのコンプレッサ入口144、該蒸気を一層高い第2の蒸気圧まで圧縮するためのピストン141,143、及び該一層高い蒸気圧の蒸気をブレード熱交換器122へ放出するためのコンプレッサ出口148を含む。
【0012】
図1Aに示すように、液溜め184は、ブレード熱交換器122の側方のうちコンプレッサ140とは反対の側でシェル100内に配設される。該液溜め184は、本システムが蒸留すべき液体を受容し、入口190は熱交換器22の内部への液体流路を提供する。該入口190は、供給管192を含み、該供給管192は、液溜め184の側壁120の内面123の近傍へと延び、該液溜め184の回転と逆の方向に開口し、遠心力により該表面に対して付勢される回転流体19を収集するようになっている。
【0013】
液体入口190はまた、固定された軸方向に延びる噴霧管194を含み、該噴霧管194は、ブレード124から半径方向内方の位置で熱交換器122の内部に配設される。該噴霧管194は、ブレード124に向かって中心軸A-Aから半径方向外方に面する開口196を含む。
【0014】
図1A、図1B、図2A、及び図2Bに示すように、回転力源12が、ギアハウジング14内の歯車装置を介してシェル100に結合されて該シェル100が回転させられ、これにより、コンプレッサ140及び熱交換器122が中心軸A-Aを中心として回転させられる。
【0015】
図1A、図1B、図2A、及び図2Bに示すように、シェル100は除去可能な管175,177を含み、該管175,177により留出物及び非濃縮可能物質が、留出物収集容器160から出る。概して、留出物収集容器160は、留出物(例えば蒸留された水)を収集するための第1の領域162と、非濃縮可能物質(例えば、供給された水中に存在し蒸留中に濃縮されない空気その他の気体)を収集するための第2の領域164とを含む。本システム10の動作時に、シェル100の回転は、収集容器160の外縁の内面に沿って垂直方向又はほぼ垂直方向の高さに留出物を生成する傾向を有するものである。このため、図1Aに示すように、留出物除去管175が、収集容器160の外縁の内面近傍の第1の領域162内へと延び、非濃縮可能物質除去管177が、収集容器160の内側近傍の第2の領域164内へと延びる。収集容器160内で、留出物除去管175は留出物を受容するよう十分外方に配置され、非濃縮可能物質除去管177は非濃縮可能物質を収集するよう十分内方に開口する。
【0016】
図1A、図1B、図2A、及び図2Bに示すように、除去管175,177は、一対の隣接するブレード124間で留出物収集容器160から上方へ延び、及びブレード熱交換器122から蒸留システム10の外部へと延びる。図1A及び図2Aは、非濃縮可能物質除去管177が、ブレード熱交換器122を出た後に、プラグ181を通ってブレード熱交換器122の内側に入り、中心軸A-Aに沿って進み、液体入口190の開口191を通過し、及び回転結合部及び端部キャップ20を通って蒸気チャンバハウジング16を出ることを示している。図1A、図1B、図2A、及び図2Bは、留出物除去管175が、ブレード熱交換器122を出た後に、コンプレッサ140に沿って進み、チャネル175c内へ入り、該チャネル175cから、収集管(図示せず)が留出物を収集して蒸留システム10から除去することを示している。
【0017】
図3はフレーム157の斜視図であり、該フレーム157内にブレード熱交換器122のブレード124が取り付けられる。図3に示すように、フレーム157は、第1及び第2のフレーム要素310,410を含む。該フレーム要素310,410は、それぞれ、内側リング312,412及び外側リング314,414を含み、該外側リング314,414は、該内側リング312,412と同心であり、及び半径方向に延びる支持部材316,416によって該内側リング312,412に接続されている。支持部材316は、ほぼ等しい角度間隔で互いに隔置され、支持部材416も同様である。
【0018】
図3に示すように、第1及び第2のフレーム要素310,410における支持部材316,416は、除去管175,177を支持する。概して、支持部材316,416の各々は、支持部材316,416の外側リング314,414との交差部分の近傍に配置された軸方向の開口を含む。図3に示すように、該軸方向の開口は、外側開口175'及び内側開口177'を含む。該外側開口175'は、外側リング314,414のより近くに配置されている。支持部材316,416は、支持部材316の軸方向の開口175',177'が支持部材416の軸方向の開口175',177'とそれぞれ軸方向で整列するように、フレーム要素310,410に配設される。留出物除去管175は、支持部材316,416の外側開口175'を通って延び、非濃縮可能物質除去管177は、支持部材316,416の内側開口177'を通って延びる。
【0019】
図1A、図1B、図2A、及び図2Bは、ブレード124と、第1及び第2の端部プレート132,136と、フレーム157との間の取り付け関係を概略的に示している。ブレード124は、内側リング312,412と外側リング314,414との間でフレーム157内に配設される。該フレーム157は、内側リング312,412及び外側リング314,414が中心軸A-Aと垂直になるように、ハウジング104内に配設される。第1の端部プレート132が第1のフレーム要素310の内側及び外側リング312,412間に配設されてブレード124の第1の軸方向端部124cがシールされ、第2の端部プレート136が第2のフレーム要素410の内側及び外側リング314,414間に配設されてブレード124の第2の軸方向端部124dがシールされる。図1A及び図2Aに示すように、除去管175,177は、支持部材316,416により支持され、及び更なる半径方向に延びる支持部材516により支持される。該支持部材516は、除去管175,177の部分に沿って配設され、隣接するブレード124間に延びる。該隣接するブレード124により該更なる支持部材516に加えられる圧力は、該更なる支持部材516を所定位置に保持する傾向を有するものとなる。フレーム157の安定性を向上させるために、実施形態によっては、支持部材316,416,及び/又は516を、例えば、接着、ろう付け、はんだ付け、又は溶接によって、ブレード124に固定することが可能である。
【0020】
当業者には理解されるように、図1A、図1B、図2A、図2B、及び図3に示し、及び同図に関して説明する本開示のブレード熱交換器の特徴は、模範的なものであり、例示的及び非制限的なものとして解釈されるべきである。本発明の範囲から逸脱することなく、図1A、図1B、図2A、図2B、及び図3に示し、及び同図に関して説明する特徴に様々な変更を加えることが可能である。
【0021】
例えば、本開示のブレード熱交換器は、回転力源、コンプレッサ、及び収集容器が上述したものと大きく異なる蒸留システムで使用することが可能なものである。回転力源は、クランク、エンジン、流体駆動、モータ、水車、及び当業者に周知の他のタイプの回転力源を含むことができる。コンプレッサは、例示した容積式コンプレッサの類である必要はなく、またシェル100の外側に配設することも内側に配設することも可能である。更に、収集容器は環状である必要はない。
【0022】
また、本開示のブレード熱交換器は、図3に示したものとは異なるフレーム内に取り付けることが可能である。実施形態によっては、内側リング312及び/又は412は、半径方向外方に延びて内側リング312,412の周囲に配設された突起を含み、該突起が、ブレード124の半径方向内方の縁部124aが内部に取り付けられることになる溝又は歯を形成するものとなる。代替的に又は組み合わせて、外側リング314及び/又は414が、半径方向内方に延びてブレード124の半方向外方の縁部124bが内部に取り付けられることになる溝又は歯を形成する突起を含むことが可能である。実施形態によっては、本開示のブレード熱交換器のブレード124は、支持フレーム157を用いずに、第1及び第2の端部プレート132,136間に該ブレードのみ取り付けることが可能である。代替的には、本開示のブレード熱交換器のブレード124は、支持フレーム157又は第2の端部プレート136を用いずに、第1の端部プレート132に取り付けることが可能である。
【0023】
また、本開示のブレード熱交換器は、留出物及び/又は非濃縮可能物質を他の態様で除去する蒸留システムで使用することが可能である。例えば、1つ又は2つ以上のブレード自体が、非濃縮可能物質を留出物収集容器160から排出する除去経路を提供することが可能である。かかる実施形態では、1つ又は2つ以上のブレードは、それ以外のブレードと同様に、留出物収集容器160に隣接する第2の軸方向端部では開口するが、コンプレッサに隣接する軸方向端部では閉鎖しており、コンプレッサから蒸気を入れないようになっており、管175及び/又は177と同様の導管が、ブレードの内側から留出物及び/又は非濃縮可能物質を除去することが可能である。
【0024】
同様に、1つ又は2つ以上の留出物及び/又は非濃縮可能物質除去管175及び/又は177は、ブレード間を通過するのではなく、1つ又は2つ以上の個々のブレードの内部を通って延びることが可能である。
【0025】
図4A及び図4Bは、それぞれ、例示としての図1のブレード熱交換器122に含まれるブレード124を上方から見た斜視図及び下方から見た斜視図である。図4Aに示すように、ブレード124は、内面176、外面178、及びその第1及び第2の軸方向端部124c,124dにおける開口164c,164dを含む。開口164c,164dは、ブレード124の内部162とコンプレッサ140と留出物収集容器160との間の流体的な連絡を可能にする。
【0026】
図示の実施形態では、第1の軸方向端部124cにおける開口164cは、ブレード124の半径方向範囲のほぼ全体に沿って延び、すなわち、ブレード124の半径方向内方の縁部124aから半径方向外方の縁部124bまでのほぼ全範囲に沿って延びる。かかる大きさの開口164cは、圧縮された蒸気がコンプレッサ140からブレード124の内部163(図6に示す)へ流れる際の抵抗を最小限にすることにより該圧縮された蒸気から留出物への変換を促進させるものとなる。(勿論、他の実施形態では一層小さな開口を有することが可能である。)第2の軸方向端部124dの開口164dを通ってブレード124の内部162を出る留出物が、ブレード124の内部162に入る圧縮された蒸気よりも高濃度であり、及び熱交換器122の回転中に半径方向外方の端部124bへ付勢される傾向を有するものとなるため、開口164dを開口164cよりも小さくすることが可能である。図4Bに示すように、例えば、ブレード124の内部162の内側部分165を第2の軸方向端部124dに隣接して閉鎖させて、開口164dがブレード124の半径方向範囲の一部のみに沿って延びるようにする。
【0027】
ブレード124の作成方法に関して重要なことは存在せず、図5Aないし図5Cは1つの方法を示したものである。図5Aは、ブレードが作成されることになるほぼ矩形のプレート200を示している。該プレート200は、銅、ステンレス鋼、又はその他の金属又は合金といった、熱伝導性材料から形成される。該プレート200は、2つのほぼ平行な反対側の縁部210,220を含む。図5A及び図5Bに示すように、矩形プレート200は、前記反対側の縁部210,220と平行に延びる軸方向に延びる折り目230で折り曲げられる。図5Cに示すように、プレート200が折り曲げられた後、反対側の縁部210,220が共に、折り目230から半径方向に離間した軸方向に延びる結合部270において、ろう付け、はんだ付け、溶接、及び/又はその他の技法によって結合される。この製造方法は結果的に無駄を全く生じさせず、ブレードを製造するために矩形の材料から何も切断する必要がない、ということに留意されたい。これは、例えば、環状プレートから作成される熱交換器とは対照的である。環状プレートの作成には、内部開口並びに曲線的な外周の切断が必要となり、その除去された金属が無駄になる。
【0028】
図1、図2、図5Aないし図5C、及び図6に示すように、プレート200を折り曲げた結果として得られるブレード124は、図示の実施形態では、軸方向に延びる折り目230及び結合部270が中心軸A-Aと同一平面上に位置するように、及び結合部270が折り目230から半径方向内方に配置されるように、熱交換器122内に配置される。しかし、本発明はかかる構成を必要とするものではない。例えば、折り目230及び結合部270は、中心軸A-Aと同一平面上に位置する必要はなく、かかる場合、それらは中心軸A-Aと平行である必要はない。例えば、折り目230及び結合部270は、液溜め184の上方又は下方の仮想的な位置で中心軸A-Aと交差することが可能であり、おそらくは、その結果として単純な円錐形状または切頭円錐形状が生じ、この場合には、該円錐の大きい方の端部が、液溜め184に向かって面し、又は液溜め184から離れる方向に面することになる。
【0029】
実施形態によっては、プレート200はディンプルを含む。例えば、図5A及び図5Bに示すように、プレート200は、折り目230に対して対称的に配置された2行のディンプル250を含む。図5Cに示すように、プレート200は、該ディンプル250が互いに位置合わせされた状態で内方に突出するように折り曲げられる。次いで、該ディンプルが、ろう付け、はんだ付け、溶接、及び/又はその他の技法によって共に結合されて、結果的に得られるブレードの安定性が向上する。
【0030】
ディンプルを用いる他の実施形態では、該ディンプルを異なる配列にすることが可能である。場合によっては、多数行のディンプルを折り目230の両側に形成することが可能である。他の実施形態では、折り目の一方の側にのみディンプルを有することが可能である。
【0031】
実施形態によっては、プレート200は、図5Aの折り目230から反対側の縁部210,220へと延びる複数対の隆起した突起260のような、隆起した突起を含むことが可能である。図2Aで示唆されているように、該隆起した突起260は、端部プレート132,136のためのストッパとして働き、これによりフレーム157内にブレード124を取り付けるのが容易になる。他の実施形態では、同じ目的でプレート200の軸方向範囲に沿って配設された多数対の突起260を含むことが可能である。
【0032】
図4Aに示すように、ブレード124は軸方向に距離aを有し、図5Cに示すように半径方向距離r及び周方向距離sにわたって延びる。ブレードの内側は、半径方向に細長くなっており、r>sである。好適には、かかるブレードの場合、半径方向の伸長比R(その周方向の範囲sに対するその半径方向の範囲rの比を表すもの)は10よりも大きく、実際に、殆どの実施形態では、おそらくは20〜50の間となる。
【0033】
好適には、ブレード124の軸方向の伸長比A(その半径方向の範囲rに対するその軸方向の範囲aの比を表すもの)は、少なくとも1であり、実際に、殆どの実施形態では、おそらくは3〜6の間となる。
【0034】
ブレード124の体積-表面積比V/A、すなわち、その外面178の面積に対するその内部容積の比は、1.5mm(60mil)未満であるべきであり、好適には、0.25mm(10mil)〜0.5mm(20mil)となる。
【0035】
図6は、蒸留システム10の構成要素を除き単純化して部分的に上方から見た、図1Aの6-6断面図である。同図は、ブレード124A,124Bが外面178A,178B及び内面176A,176Bを含むことを示している。隣接するブレード124A,124Bは、半径方向内方の縁部124Aaに隣接する入口180を有する半径方向通路172により分離されている。該通路は、ブレード外面178A,178B間を該ブレードの半径方向外方の縁部124Ab,124Bbに向かって延びる。
【0036】
これにより、噴霧管の開口196から出る液滴の平均直径よりも入口180の幅を小さくするための表面の湿潤が向上する。そのために、最も隣接するブレード124A,124B間の半径方向通路172の入口180の幅が1.8mm(70mil)未満である場合に通常は最良となる。更に、入口180の幅は、0.4mm(15mil)〜0.8mm(30mil)であることが好ましいと思われる。
【0037】
図示の実施形態では、入口180の全てがこの制限を満たしている訳ではなく、幾つかの入口180は、除去管175,177に適応させるよう一層大きくなっている。それでも、複数対をなすブレード124の少なくとも90%が前記制限を満たしている場合には最良となる。
【0038】
図6は、通路の幅及びそれらの幅の変化を誇張して示したものであるが、例示する実施形態の隣接するブレード124A,124Bの外面178A,178Bは実際には、その半径方向の範囲の大部分に沿って互いにほぼ平行である。詳細には、例示した実施形態の半径方向通路172の大きさ及び形状は、外面178A,178B間の半径方向通路172の幅がそれらの半径方向の範囲の大部分にわたって入口180の大きさと同様になるように形成される。この特徴は、効果的な表面の湿潤に寄与するものとなる。それ故、それらの半径方向の範囲の殆どについて、殆どの隣接する対をなすブレード124間の通路172の幅が、1.8mm(70mil)未満(好ましくは0.4mm(15mil)〜0.8mm(30mil))であることが好ましい。
【0039】
図7は、蒸留システム100における端部プレート132,136の平面図である。図7に示すように、端部プレート132,136は、中央アパーチャ180、及び半径方向に延びる溝184を形成する。該溝184の大きさ及び形状は、ブレード124の個々の軸方向端部124c,124dが該端部プレート132,136内に取り付けられる際に、該溝184が軸方向の開口164c,164dに隣接して該ブレード124の外面178をシールするように形成される。既述のように、実施形態によっては軸方向の開口164c,164dの形状は例示したものとは異なり、かかる実施形態の溝は、例示した溝とは異なるものとなる。
【0040】
端部プレート132,136、ブレード124、及び側壁120が協働して、ハウジング104内に2つの空間を画定し、該空間を本書では「濃縮用複合チャンバ」及び「蒸発用複合チャンバ」と称す。複数のブレード124の複数の内部162は、互いに協働して濃縮用複合チャンバを形成する構成要素となる濃縮チャンバである。該濃縮用複合チャンバは、コンプレッサ出口148(図1B)とブレード124の第1の軸方向端部124cの開口164cとを介してコンプレッサ140と流体的に連絡している。該濃縮用複合チャンバはまた、ブレード124の第2の軸方向端部124dの開口164dを介して留出物収集容器160と流体的に連絡している。ブレード124の外面178Aとシェル100の内面123とが協働して蒸発用複合チャンバを形成し、該蒸発用複合チャンバは、熱交換器122の半径方向内方の部分から、隣接するブレード124A,124Bの対向する外面178A,178B間の半径方向通路172を介して、シェル100の内面123へと延びる。該蒸発用複合チャンバは、液体入口190及びコンプレッサ入口144と流体的に連絡している。端部プレート132,136が互いに協働して、軸方向端部124c,124dの開口164c,164dに隣接してブレード124の外面178をシールすることにより、濃縮用複合チャンバが蒸発用複合チャンバから隔離される。
【0041】
実施形態によっては、ブレード124の全てよりも少数のブレードが協働して濃縮用及び蒸発用チャンバを画定することが可能である。しかし、殆どの実施形態では、少なくとも大半のブレードが協働することになる。
【0042】
ここで、本開示のブレード熱交換器の幾つかの動作原理について説明する。図1A、図1B、図2A、図2B、及び図6における矢印は、流体の流路を示している。以下の説明では、各ブレード124の内部を構成要素濃縮チャンバ163と称し、各組をなす隣接するブレード124A,124Bの対向する外面178A,178B間の半径方向通路172を構成要素蒸発チャンバ172と称す。各構成要素濃縮チャンバ163は、その半径方向内方及び外方の縁部124a,124bでシールされ、その第1及び第2の軸方向端部124c,124dで開口する。これに対し、各構成要素蒸発チャンバ172は、その半径方向内方及び外方の縁部で開口し、端部プレート132,136により軸方向端部でシールされる。実施形態によっては、構成要素濃縮チャンバ163の表面及び構成要素蒸発チャンバ172の表面を(おそらくは疎水性及び親水性コーティングを施すことにより)それぞれ疎水性及び親水性に構成して、蒸留を促進させることが可能である。
【0043】
以下の説明では、蒸留対象となる液体は水であるが、本発明は他の液体を蒸留するために使用することも可能である。
【0044】
動作時に、図1に示す回転力源12が、ベルト及びギア変速機といった減速器を介して、シェル100に結合され、これにより、該シェル100、並びに、コンプレッサ140、第1及び第2の端部プレート132,136、熱交換器122、及び液溜め184が、中心軸A-Aを中心として回転させられる。このため、入口190からの液体が、蒸発表面178A,178B上に薄い液膜を形成する。その回転速度は、ブレードの半径方向外方の縁部における半径方向加速度が20〜100G(好適には30〜60G)となるような速度であるべきである(ここで、Gは重力加速度、すなわち、9.81m/s2(3.2ft/s2)を表している)。
【0045】
コンプレッサ140は、蒸発用複合チャンバから結果的に得られる第1の蒸気圧の蒸気をコンプレッサ入口144内へ引き込み、より高い第2の蒸気圧の圧縮された蒸気をコンプレッサ出口148を介して濃縮用複合チャンバへ提供する。
【0046】
蒸留すべき液体は、液体供給ラインを介して液溜め184内へと流れる。該液溜め184が回転する際に、供給管192が、該液溜め184の回転と逆の方向に開口した開口部を介して一定体積の供給用水を収集する。該開口部は、シェル100の内面123の近傍に配置され、液溜め184に向かって該内面123を下方へと流れる回転する水を収集するようになっている。供給管192は、前記供給用水を、固定された軸方向に延びる噴霧管194へと導く。該噴霧管194は、供給用水を水滴という形で開口196を介して射出する。次いで、それら水滴が、構成要素蒸発チャンバへの入口180に入射する。
【0047】
当業者には理解されるように、前記構成要素蒸発チャンバ172の前記入口180に入射する前記水滴の速度及び大きさは、回転力源12の速度、供給管192及びその開口の大きさ、噴霧管194及びその開口196の大きさ、熱交換器122の内部における噴霧管194の位置、回転方向に対する開口196の向き、及びその他の因子によって決まる。概して、これらの因子のうちの1つ又は2つ以上の値が設計時(及び/又は動作時)に選定されて、蒸留を促進させる様々な効果が達成される。
【0048】
例えば、モータ12を含む実施形態では、供給管192から送られて噴霧管194を上昇する供給用水が非エアロゾル形態で開口196を出るように、前記モータ12の速度並びに供給管192及び噴霧管194及びそれらの個々の開口の大きさが選定される。
【0049】
実施形態によっては、代替的に及び/又は組み合わせて、開口196から発せられる水滴が、回転するブレード124の接線速度とほぼ等しい接線速度で射出されるように、噴霧管194及びその開口196の大きさ、それらの熱交換器122の内部における位置、及びそれらの中心軸A-Aに対する角度を設定する。
【0050】
本開示のブレード熱交換器の実施形態を設計する際に、殆どの当業者は、開口196から発せられる水滴が、入口180の大きさよいrも大きい平均直径を有するように、上述した因子のうちの1つ又は2つ以上の値を選定するであろう。その結果として、開口196から発せられて入口180に入射する水滴は、各対をなす隣接するブレード124A,124Bの外面178A,178Bの両方に当たることになる。これにより蒸留効率が向上する。該開口から発せられる液滴は、通常は2.5mm(100mil)又はそれ未満の直径を有するものとなる。したがって、入口180の幅は2.5mm(100mil)未満にすべきである。実際に、入口180は1.8mm(70mil)未満であるのが一層良好であり、好適には0.4mm(15mil)〜0.8mm(30mil)である。
【0051】
構成要素蒸発チャンバ172への入口180に入射する水滴は、各組をなす隣接するブレード124A,124Bの対向する外面178A,178Bを湿潤させる。ブレード124が半径方向に細長いため、前記水は外面178A,178Bの半径方向の範囲に沿って比較的一定の膜を形成する。この「等しく湿潤させる」機能は、水滴の平均直径が入口180の大きさよりも大きい実施形態において向上し、特に、開口196を出る水滴の接線速度がブレードの半径方向内方の縁部の接線速度である場合に向上する。
【0052】
殆どの実施形態では、外面178A,178Bの各々の大きさ及び形状は、該外面に対する接線が半径(すなわち回転軸と垂直に延びる線分)となす角度の大きさが、該外面の半径方向の範囲の少なくとも80%にわたる範囲で20°未満だけ変化するように選定される。それ故、外面178A,178Bの傾斜は、比較的一様なものとなり、該外面の半径方向の範囲の大部分に沿って該外面の両方に水滴が「留まる」傾向となり、該水滴は、該外面から時期尚早に離脱せず及び停滞しない傾向となる。
【0053】
ブレードの回転力により生じる遠心力により、水は、薄い液膜又はシートという形で、構成要素蒸発チャンバ172の入口180から互いに対向する外面178A,178Bに沿って外方へ付勢される。半径方向の範囲rの中心に位置する外面の半径方向部分Δrの表面積は、rの関数として比較的一定であるため、前記液膜は、それが外方へ付勢される際にほぼ同量の表面積を覆う傾向となる。このため、該液膜は、外面の半径方向の範囲の大部分に沿って比較的一様な厚さを有する傾向となる。これにより蒸留効率が向上する。これとは対照的に、垂直方向に積み重ねられた環状プレートを有する熱交換器では、半径方向の範囲rの中心に位置する蒸発面の半径方向部分Δrの表面積は、rの増大と共に増大する。このため、積み重ねられたプレートを有する熱交換器における液膜は、それが外方へ付勢されると一層大きな表面積を覆う傾向となる。その結果として膜厚が薄くなる。
【0054】
水が対向する外面178A,178Bに沿って流れる際に、構成要素濃縮チャンバからの熱が、水の一部を蒸発させて水蒸気を形成する。水のうち水蒸気に変換されなかった部分は、遠心力によって外面178A,178Bから放出され、ハウジング104のシェル100の内面123に当たり、及びブレード熱交換器122を介して再循環させるために液溜め184内に戻る。構成要素蒸発チャンバがその軸方向の端部で第1及び第2のプレート132,136によってシールされているため、供給用水のうち蒸発しない部分は、液溜め184に入り、留出物収集容器160には入らない。
【0055】
コンプレッサ140の動作により、水蒸気は、構成要素蒸発チャンバから半径方向内方へ引き込まれ、熱交換器122の内部を介して、コンプレッサ入口144に入る。コンプレッサ140は、水蒸気の温度及び圧力を上昇させ、その結果として圧縮された蒸気(すなわち水蒸気)をコンプレッサ出口148を介して濃縮用複合チャンバへ供給する。該水蒸気は、第1の軸方向端部124aの開口164cを介して構成要素濃縮チャンバ163に入る。構成要素蒸発チャンバ172がその軸方向端部で第1及び第2のプレート132,136によってシールされているため、水蒸気は、構成要素濃縮チャンバ163にのみ入り、構成要素蒸発チャンバ172には入らない。
【0056】
当業者には理解されるように、本開示のブレード熱交換器の蒸留速度は、蒸発用複合チャンバと濃縮用複合チャンバとの間の圧力差及び温度差によって決まる。蒸留すべき液体が水である場合には、定常状態の動作時に、隣接する構成要素濃縮チャンバ162と構成要素蒸発チャンバ172との間に、圧力差0.035kg/cm2(0.5psi)〜0.070kg/cm2(1.0psi)を提供するように、コンプレッサ140が構成されると、その結果として、大きさと効率との間の良い妥協が得られる。但し、他の実施形態は、異なる圧力差を呈するものとすることが可能である。
【0057】
水蒸気は、構成要素濃縮チャンバ163の内面176に沿って濃縮される。これは、隣接する蒸発チャンバ172の対向する外面178A,178Bに沿って流れる水が、水蒸気の飽和温度(例えば215°F)よりも低い温度(例えば、212°F)で蒸発しているからである。遠心力は、結果的に得られる濃縮物(すなわち蒸留水)を、構成要素濃縮チャンバ163の半径方向外方の縁部124bへ移動させる。該蒸留水及び非濃縮可能物質は、第2の軸方向端部124dの開口164dを通って留出物収集容器160内に入る。
【0058】
水蒸気が濃縮されるほど、留出物収集容器160内の蒸留水のレベルが留出物除去管175の開口に達するまで半径方向内方へと進行する。次いで、該蒸留水が留出物除去管175内で柱を形成し、これにより最終的に該システム10を出る。同様に、留出物収集容器160内に収集された非濃縮可能物質は、非濃縮可能物質除去管177を介して該システム10から排出される。
【0059】
概して、既述のように、本開示のブレード熱交換器の多くの特徴が協働して蒸留を促進させる。本設計の一実施形態は、中心軸A-Aを中心として配設された約225個のブレードを含むブレード熱交換器を使用し、この場合、各ブレード124は、半径方向の範囲rが約5cm(2インチ)、開口角θが約1.5度、軸方向の範囲が約30cm(12インチ)、及び隣接するブレード124A,124B間の入口180が約0.4mm(15mil)〜0.8mm(30mil)であり、ブレードの外側縁部で30〜60Gの半径方向加速度を生じさせるモータ速度で少なくとも55L/h(liter/hour)(15gallon/hour)の速度で水を蒸留することができる。
【0060】
要するに、本ブレード熱交換器は、非濃縮可能物質の除去のための単純な軸方向の流路を提供し、蒸留中の液体とその結果として生じる留出物との間の交差汚染の危険性を低下させる。図1A、図1B、図2A、及び図2Bに示すように、非濃縮可能物質を除去する管177は、留出物収集容器160から上方へ延び、プラグ181内の通路を通って内方へ延び、軸A-Aに沿って軸方向の導管を通って回転結合部へと下方へ延び、次いでシステム10から外方へと延びる。更に、上記説明から分かるように、ブレードの欠陥は、留出物に対する到来する水の望ましくない漏洩ではなく、到来する液体内への留出物の無害の漏洩となる可能性がより高くなる。詳細には、留出物を収容するブレードの内部の圧力は、未蒸留の入口液体が位置することになる外部における圧力よりも高く、このため、その圧力差は、ブレード内の孔を通る(内方ではなく)外方への流れを生じさせる傾向のものとなる。そして、遠心力は、液溜めの側壁の表面123に集まる未蒸留の液体に大きな圧力水頭を生じさせるものとなるが、該液体はブレード及び留出物除去管175の外部に位置する。
【0061】
一般的な実験を用いるだけで、本書で説明した例示的な実施形態の多くの等価物が、当業者には理解され又解明可能であろう。
【0062】
例えば、圧縮された蒸気は、ブレードを通って下方へ流れる必要はなく、上方へ流れることが可能である。実際に、熱交換器の回転軸は、垂直である必要はない(但し、殆どの実施形態では垂直になるであろう)。
【0063】
また、本開示のブレード熱交換器は、圧縮された蒸気が、熱交換器の蒸発面からの蒸発の結果として得られるものではなく又は少なくとも該蒸発にのみによって得られるものではない、蒸留システムで使用することができる。製造設備において、例えば、該設備の汚水を構成要素蒸発チャンバに供給する一方で、構成要素濃縮チャンバに供給される水蒸気の一部を該設備の(おそらくは蒸発チャンバの出力と混合される)廃棄蒸気とすることが可能である。
【0064】
したがって、特許請求の範囲は、本書で説明した実施形態に限定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1A】例示としてのブレード熱交換器を含む蒸留システムの断面図である。
【図1B】例示としてのブレード熱交換器を含む蒸留システムの断面図である。
【図2A】図1の蒸留システムの斜視図である。
【図2B】図1の蒸留システムの斜視図である。
【図3】図1の例示としてのブレード熱交換器のためのフレームの斜視図である。
【図4A】図1の例示としてのブレード熱交換器のブレードの斜視図である。
【図4B】図1の例示としてのブレード熱交換器のブレードの斜視図である。
【図5A】図4A及び図4Bのブレードの製造方法を概略的に示す流れ図である。
【図5B】図4A及び図4Bのブレードの製造方法を概略的に示す流れ図である。
【図5C】図4A及び図4Bのブレードの製造方法を概略的に示す流れ図である。
【図6】図1の蒸留システムの6-6断面図を部分的に拡大して示す図である。
【図7】図1の例示としてのブレード熱交換器の端部プレートの平面図である。
【図1】
【背景技術】
【0001】
蒸留とは、液体(水等)の精製方法であり、逆に濃縮(濃縮オレンジジュース等)の生成方法である。蒸留では、蒸留すべき供給液体は、沸点まで加熱され、その結果として生じる蒸気(例えば水蒸気)が収集されて凝縮される。
【0002】
蒸留システムには、ロータリー熱交換器を含むものがある。ロータリー熱交換器の一種として、垂直方向に積層され水平方向に向けられた複数の環状プレートが挙げられる。該環状プレートは、ハウジング内に配置され、及び中央の垂直軸を中心として回転するよう取り付けられる。この種の熱交換器の一例が、本出願人に譲渡された米国特許第6,238,524号に記載されている。もう1つの種類のロータリー熱交換器として、垂直方向に折り畳まれたアコーディオン形状のプレートが挙げられる。該アコーディオン形状のプレートは、ハウジング内に配置され、中央の垂直軸を中心として回転するよう取り付けられる。この種の熱交換器の一例が、本出願人に譲渡された米国特許出願第09/609,881号に記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ロータリー熱交換器の設計中に一般に考慮される2つの因子が、交差汚染及び通気である。交差汚染とは、蒸発している液体(例えば非飲料水)が、結果的に得られる留出物と接触して該留出物を汚染する際に結果的に生じる状況を指し、通気とは、蒸留中に濃縮しない(すなわち非濃縮可能な)空気その他の気体の除去を指している。ロータリー熱交換器によっては、飲用蒸留水を生成するために使用することができなくなる交差汚染の危険性のあるものがあり、またロータリー熱交換器によっては、製造を複雑にし蒸留効率を低下させる複雑な流路を介して非濃縮可能物質を除去するものがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願人は、蒸発している液体と結果的に得られる留出物との間の交差汚染の危険性を低減させる傾向を有し、及び非濃縮可能物質を単純な流路に沿って除去することを可能にするよう容易に構成することができる、ロータリー熱交換器を発明した。更に、製造コストが低くなる傾向があることが分かった。かかる熱交換器を本書では「ブレード熱交換器」と称することとする。
【0005】
本発明のブレード熱交換器は、軸方向に延びる複数のブレードを含み、該ブレードは、該熱交換器が回転することになる軸と平行に延び、半径方向に細長いものとなっている。該ブレードは、前記軸を中心として配置され、互いに隔離された濃縮用及び蒸発用複合チャンバを形成するようハウジング内に配設される。該ブレードの少なくとも幾つかの内部が互いに協働して濃縮用複合チャンバを形成する一方、該ブレードの外部がハウジングの内面と協働して蒸発用複合チャンバを形成する。該蒸発用複合チャンバは、隣接するブレードの対向する外面間の半径方向の通路を介してハウジングの半径方向の範囲へと延びる。
【0006】
殆どの実施形態では、隣接するブレードのうちの少なくとも幾つかの対向する外面間の半径方向の通路の入口は、1.8mm(70mil)未満、好適には0.4mm(15mil)〜0.8mm(30mil)の間の距離にわたる。この間隔やその他の本ブレード熱交換器の特徴が互いに協働して、蒸留を促進させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下の詳細な説明及び添付図面(その縮尺は実際とは異なる)を参照することにより、本ブレード熱交換器を一層完全に理解することができる。
【0008】
ここで、本開示のブレード熱交換器の全般的な理解を提供すべく、例示としての実施形態について説明することとする。本実施形態の1つ又は2つ以上の例を図面に示す。本開示のブレード熱交換器は他の用途のための装置及びシステムを提供するよう適応させ修正することができるものであり、及び本発明の範囲から逸脱することなくその他の追加及び変更を本開示のブレード熱交換器に対して行うことが可能である、ということが当業者には理解されよう。
【0009】
図1及び図1Bは、例示としてのブレード熱交換器を含む蒸留システムの断面図を共に形成するものであり、図2A及び図2Bは、蒸留システムの斜視図を共に形成するものである。図1A、図1B、図2A、及び図2Bに示すように、蒸留システム10は、回転力源12、該回転力源12が取り付けられるギアハウジング14、及び該ギアハウジング14が取り付けられる固定蒸気チャンバハウジング16を含む。該蒸気チャンバハウジングは、端部キャップ18,20及び側壁22を含む。全体的に円筒形状のシェル100が蒸気チャンバハウジング16内に配設され、該シェル100内にピストン141,143を含むコンプレッサ140が配設される。例示としてのブレード熱交換器122が前記シェル100内に配設されている。該ブレード熱交換器122は、第1の隔離板145によってコンプレッサ140から隔離されている。液溜め184が、前記シェル100内に配設され、及び第2の隔離板147によってブレード熱交換器から隔離されている。動作時に、回転力源12がシェル100を回転させ、これによりコンプレッサ140及びブレード熱交換器122が回転させられる。
【0010】
図1A及び図2Aに示すように、ブレード熱交換器122は、回転力源12が回転させることになる中心軸に対して軸方向に延びるブレード124を含む。後述するように、複数のブレード124のうちの少なくとも幾つかの内部が構成要素となる濃縮チャンバであり、複数の該構成要素となる濃縮チャンバが協働して1つの濃縮用複合チャンバを成形し、一方、隣接するブレード124のうちの少なくとも幾つかの外面間の通路が構成要素となる蒸発チャンバであり、複数の該構成要素となる蒸発チャンバが協働して1つの蒸発用複合チャンバを形成する。ブレード124は、回転軸A-Aに対して、半径方向内方及び外方にそれぞれ位置する縁部124a,124bを形成する。ブレードの第1の軸方向端部124cはコンプレッサ140に隣接して配置され、ブレードの第2の軸方向端部124dは前記第1の軸方向端部124cの反対側で留出物収集容器160に隣接して配置される。ブレード124は、フレーム157(図3に詳細に示す)内に第1及び第2の端部プレート132,136(図7に詳細に示す)間で取り付けられ、該第1及び第2の端部プレート132,136は、軸A-Aに対してほぼ垂直になるようシェル100内に配設されている。端部プレート132,136は、内径縁部132a,136a及び外径縁部132b,136bを形成する。図1A及び図2Aに示すように、留出物収集容器160は、ほぼ環状であり、前記第2の端部プレート136の内径縁部及び外径縁部に取り付けられる。
【0011】
図1A、図1B、及び図2Aに示すように、コンプレッサ140は、ブレード熱交換器122から第1の蒸気圧の蒸気を受容するためのコンプレッサ入口144、該蒸気を一層高い第2の蒸気圧まで圧縮するためのピストン141,143、及び該一層高い蒸気圧の蒸気をブレード熱交換器122へ放出するためのコンプレッサ出口148を含む。
【0012】
図1Aに示すように、液溜め184は、ブレード熱交換器122の側方のうちコンプレッサ140とは反対の側でシェル100内に配設される。該液溜め184は、本システムが蒸留すべき液体を受容し、入口190は熱交換器22の内部への液体流路を提供する。該入口190は、供給管192を含み、該供給管192は、液溜め184の側壁120の内面123の近傍へと延び、該液溜め184の回転と逆の方向に開口し、遠心力により該表面に対して付勢される回転流体19を収集するようになっている。
【0013】
液体入口190はまた、固定された軸方向に延びる噴霧管194を含み、該噴霧管194は、ブレード124から半径方向内方の位置で熱交換器122の内部に配設される。該噴霧管194は、ブレード124に向かって中心軸A-Aから半径方向外方に面する開口196を含む。
【0014】
図1A、図1B、図2A、及び図2Bに示すように、回転力源12が、ギアハウジング14内の歯車装置を介してシェル100に結合されて該シェル100が回転させられ、これにより、コンプレッサ140及び熱交換器122が中心軸A-Aを中心として回転させられる。
【0015】
図1A、図1B、図2A、及び図2Bに示すように、シェル100は除去可能な管175,177を含み、該管175,177により留出物及び非濃縮可能物質が、留出物収集容器160から出る。概して、留出物収集容器160は、留出物(例えば蒸留された水)を収集するための第1の領域162と、非濃縮可能物質(例えば、供給された水中に存在し蒸留中に濃縮されない空気その他の気体)を収集するための第2の領域164とを含む。本システム10の動作時に、シェル100の回転は、収集容器160の外縁の内面に沿って垂直方向又はほぼ垂直方向の高さに留出物を生成する傾向を有するものである。このため、図1Aに示すように、留出物除去管175が、収集容器160の外縁の内面近傍の第1の領域162内へと延び、非濃縮可能物質除去管177が、収集容器160の内側近傍の第2の領域164内へと延びる。収集容器160内で、留出物除去管175は留出物を受容するよう十分外方に配置され、非濃縮可能物質除去管177は非濃縮可能物質を収集するよう十分内方に開口する。
【0016】
図1A、図1B、図2A、及び図2Bに示すように、除去管175,177は、一対の隣接するブレード124間で留出物収集容器160から上方へ延び、及びブレード熱交換器122から蒸留システム10の外部へと延びる。図1A及び図2Aは、非濃縮可能物質除去管177が、ブレード熱交換器122を出た後に、プラグ181を通ってブレード熱交換器122の内側に入り、中心軸A-Aに沿って進み、液体入口190の開口191を通過し、及び回転結合部及び端部キャップ20を通って蒸気チャンバハウジング16を出ることを示している。図1A、図1B、図2A、及び図2Bは、留出物除去管175が、ブレード熱交換器122を出た後に、コンプレッサ140に沿って進み、チャネル175c内へ入り、該チャネル175cから、収集管(図示せず)が留出物を収集して蒸留システム10から除去することを示している。
【0017】
図3はフレーム157の斜視図であり、該フレーム157内にブレード熱交換器122のブレード124が取り付けられる。図3に示すように、フレーム157は、第1及び第2のフレーム要素310,410を含む。該フレーム要素310,410は、それぞれ、内側リング312,412及び外側リング314,414を含み、該外側リング314,414は、該内側リング312,412と同心であり、及び半径方向に延びる支持部材316,416によって該内側リング312,412に接続されている。支持部材316は、ほぼ等しい角度間隔で互いに隔置され、支持部材416も同様である。
【0018】
図3に示すように、第1及び第2のフレーム要素310,410における支持部材316,416は、除去管175,177を支持する。概して、支持部材316,416の各々は、支持部材316,416の外側リング314,414との交差部分の近傍に配置された軸方向の開口を含む。図3に示すように、該軸方向の開口は、外側開口175'及び内側開口177'を含む。該外側開口175'は、外側リング314,414のより近くに配置されている。支持部材316,416は、支持部材316の軸方向の開口175',177'が支持部材416の軸方向の開口175',177'とそれぞれ軸方向で整列するように、フレーム要素310,410に配設される。留出物除去管175は、支持部材316,416の外側開口175'を通って延び、非濃縮可能物質除去管177は、支持部材316,416の内側開口177'を通って延びる。
【0019】
図1A、図1B、図2A、及び図2Bは、ブレード124と、第1及び第2の端部プレート132,136と、フレーム157との間の取り付け関係を概略的に示している。ブレード124は、内側リング312,412と外側リング314,414との間でフレーム157内に配設される。該フレーム157は、内側リング312,412及び外側リング314,414が中心軸A-Aと垂直になるように、ハウジング104内に配設される。第1の端部プレート132が第1のフレーム要素310の内側及び外側リング312,412間に配設されてブレード124の第1の軸方向端部124cがシールされ、第2の端部プレート136が第2のフレーム要素410の内側及び外側リング314,414間に配設されてブレード124の第2の軸方向端部124dがシールされる。図1A及び図2Aに示すように、除去管175,177は、支持部材316,416により支持され、及び更なる半径方向に延びる支持部材516により支持される。該支持部材516は、除去管175,177の部分に沿って配設され、隣接するブレード124間に延びる。該隣接するブレード124により該更なる支持部材516に加えられる圧力は、該更なる支持部材516を所定位置に保持する傾向を有するものとなる。フレーム157の安定性を向上させるために、実施形態によっては、支持部材316,416,及び/又は516を、例えば、接着、ろう付け、はんだ付け、又は溶接によって、ブレード124に固定することが可能である。
【0020】
当業者には理解されるように、図1A、図1B、図2A、図2B、及び図3に示し、及び同図に関して説明する本開示のブレード熱交換器の特徴は、模範的なものであり、例示的及び非制限的なものとして解釈されるべきである。本発明の範囲から逸脱することなく、図1A、図1B、図2A、図2B、及び図3に示し、及び同図に関して説明する特徴に様々な変更を加えることが可能である。
【0021】
例えば、本開示のブレード熱交換器は、回転力源、コンプレッサ、及び収集容器が上述したものと大きく異なる蒸留システムで使用することが可能なものである。回転力源は、クランク、エンジン、流体駆動、モータ、水車、及び当業者に周知の他のタイプの回転力源を含むことができる。コンプレッサは、例示した容積式コンプレッサの類である必要はなく、またシェル100の外側に配設することも内側に配設することも可能である。更に、収集容器は環状である必要はない。
【0022】
また、本開示のブレード熱交換器は、図3に示したものとは異なるフレーム内に取り付けることが可能である。実施形態によっては、内側リング312及び/又は412は、半径方向外方に延びて内側リング312,412の周囲に配設された突起を含み、該突起が、ブレード124の半径方向内方の縁部124aが内部に取り付けられることになる溝又は歯を形成するものとなる。代替的に又は組み合わせて、外側リング314及び/又は414が、半径方向内方に延びてブレード124の半方向外方の縁部124bが内部に取り付けられることになる溝又は歯を形成する突起を含むことが可能である。実施形態によっては、本開示のブレード熱交換器のブレード124は、支持フレーム157を用いずに、第1及び第2の端部プレート132,136間に該ブレードのみ取り付けることが可能である。代替的には、本開示のブレード熱交換器のブレード124は、支持フレーム157又は第2の端部プレート136を用いずに、第1の端部プレート132に取り付けることが可能である。
【0023】
また、本開示のブレード熱交換器は、留出物及び/又は非濃縮可能物質を他の態様で除去する蒸留システムで使用することが可能である。例えば、1つ又は2つ以上のブレード自体が、非濃縮可能物質を留出物収集容器160から排出する除去経路を提供することが可能である。かかる実施形態では、1つ又は2つ以上のブレードは、それ以外のブレードと同様に、留出物収集容器160に隣接する第2の軸方向端部では開口するが、コンプレッサに隣接する軸方向端部では閉鎖しており、コンプレッサから蒸気を入れないようになっており、管175及び/又は177と同様の導管が、ブレードの内側から留出物及び/又は非濃縮可能物質を除去することが可能である。
【0024】
同様に、1つ又は2つ以上の留出物及び/又は非濃縮可能物質除去管175及び/又は177は、ブレード間を通過するのではなく、1つ又は2つ以上の個々のブレードの内部を通って延びることが可能である。
【0025】
図4A及び図4Bは、それぞれ、例示としての図1のブレード熱交換器122に含まれるブレード124を上方から見た斜視図及び下方から見た斜視図である。図4Aに示すように、ブレード124は、内面176、外面178、及びその第1及び第2の軸方向端部124c,124dにおける開口164c,164dを含む。開口164c,164dは、ブレード124の内部162とコンプレッサ140と留出物収集容器160との間の流体的な連絡を可能にする。
【0026】
図示の実施形態では、第1の軸方向端部124cにおける開口164cは、ブレード124の半径方向範囲のほぼ全体に沿って延び、すなわち、ブレード124の半径方向内方の縁部124aから半径方向外方の縁部124bまでのほぼ全範囲に沿って延びる。かかる大きさの開口164cは、圧縮された蒸気がコンプレッサ140からブレード124の内部163(図6に示す)へ流れる際の抵抗を最小限にすることにより該圧縮された蒸気から留出物への変換を促進させるものとなる。(勿論、他の実施形態では一層小さな開口を有することが可能である。)第2の軸方向端部124dの開口164dを通ってブレード124の内部162を出る留出物が、ブレード124の内部162に入る圧縮された蒸気よりも高濃度であり、及び熱交換器122の回転中に半径方向外方の端部124bへ付勢される傾向を有するものとなるため、開口164dを開口164cよりも小さくすることが可能である。図4Bに示すように、例えば、ブレード124の内部162の内側部分165を第2の軸方向端部124dに隣接して閉鎖させて、開口164dがブレード124の半径方向範囲の一部のみに沿って延びるようにする。
【0027】
ブレード124の作成方法に関して重要なことは存在せず、図5Aないし図5Cは1つの方法を示したものである。図5Aは、ブレードが作成されることになるほぼ矩形のプレート200を示している。該プレート200は、銅、ステンレス鋼、又はその他の金属又は合金といった、熱伝導性材料から形成される。該プレート200は、2つのほぼ平行な反対側の縁部210,220を含む。図5A及び図5Bに示すように、矩形プレート200は、前記反対側の縁部210,220と平行に延びる軸方向に延びる折り目230で折り曲げられる。図5Cに示すように、プレート200が折り曲げられた後、反対側の縁部210,220が共に、折り目230から半径方向に離間した軸方向に延びる結合部270において、ろう付け、はんだ付け、溶接、及び/又はその他の技法によって結合される。この製造方法は結果的に無駄を全く生じさせず、ブレードを製造するために矩形の材料から何も切断する必要がない、ということに留意されたい。これは、例えば、環状プレートから作成される熱交換器とは対照的である。環状プレートの作成には、内部開口並びに曲線的な外周の切断が必要となり、その除去された金属が無駄になる。
【0028】
図1、図2、図5Aないし図5C、及び図6に示すように、プレート200を折り曲げた結果として得られるブレード124は、図示の実施形態では、軸方向に延びる折り目230及び結合部270が中心軸A-Aと同一平面上に位置するように、及び結合部270が折り目230から半径方向内方に配置されるように、熱交換器122内に配置される。しかし、本発明はかかる構成を必要とするものではない。例えば、折り目230及び結合部270は、中心軸A-Aと同一平面上に位置する必要はなく、かかる場合、それらは中心軸A-Aと平行である必要はない。例えば、折り目230及び結合部270は、液溜め184の上方又は下方の仮想的な位置で中心軸A-Aと交差することが可能であり、おそらくは、その結果として単純な円錐形状または切頭円錐形状が生じ、この場合には、該円錐の大きい方の端部が、液溜め184に向かって面し、又は液溜め184から離れる方向に面することになる。
【0029】
実施形態によっては、プレート200はディンプルを含む。例えば、図5A及び図5Bに示すように、プレート200は、折り目230に対して対称的に配置された2行のディンプル250を含む。図5Cに示すように、プレート200は、該ディンプル250が互いに位置合わせされた状態で内方に突出するように折り曲げられる。次いで、該ディンプルが、ろう付け、はんだ付け、溶接、及び/又はその他の技法によって共に結合されて、結果的に得られるブレードの安定性が向上する。
【0030】
ディンプルを用いる他の実施形態では、該ディンプルを異なる配列にすることが可能である。場合によっては、多数行のディンプルを折り目230の両側に形成することが可能である。他の実施形態では、折り目の一方の側にのみディンプルを有することが可能である。
【0031】
実施形態によっては、プレート200は、図5Aの折り目230から反対側の縁部210,220へと延びる複数対の隆起した突起260のような、隆起した突起を含むことが可能である。図2Aで示唆されているように、該隆起した突起260は、端部プレート132,136のためのストッパとして働き、これによりフレーム157内にブレード124を取り付けるのが容易になる。他の実施形態では、同じ目的でプレート200の軸方向範囲に沿って配設された多数対の突起260を含むことが可能である。
【0032】
図4Aに示すように、ブレード124は軸方向に距離aを有し、図5Cに示すように半径方向距離r及び周方向距離sにわたって延びる。ブレードの内側は、半径方向に細長くなっており、r>sである。好適には、かかるブレードの場合、半径方向の伸長比R(その周方向の範囲sに対するその半径方向の範囲rの比を表すもの)は10よりも大きく、実際に、殆どの実施形態では、おそらくは20〜50の間となる。
【0033】
好適には、ブレード124の軸方向の伸長比A(その半径方向の範囲rに対するその軸方向の範囲aの比を表すもの)は、少なくとも1であり、実際に、殆どの実施形態では、おそらくは3〜6の間となる。
【0034】
ブレード124の体積-表面積比V/A、すなわち、その外面178の面積に対するその内部容積の比は、1.5mm(60mil)未満であるべきであり、好適には、0.25mm(10mil)〜0.5mm(20mil)となる。
【0035】
図6は、蒸留システム10の構成要素を除き単純化して部分的に上方から見た、図1Aの6-6断面図である。同図は、ブレード124A,124Bが外面178A,178B及び内面176A,176Bを含むことを示している。隣接するブレード124A,124Bは、半径方向内方の縁部124Aaに隣接する入口180を有する半径方向通路172により分離されている。該通路は、ブレード外面178A,178B間を該ブレードの半径方向外方の縁部124Ab,124Bbに向かって延びる。
【0036】
これにより、噴霧管の開口196から出る液滴の平均直径よりも入口180の幅を小さくするための表面の湿潤が向上する。そのために、最も隣接するブレード124A,124B間の半径方向通路172の入口180の幅が1.8mm(70mil)未満である場合に通常は最良となる。更に、入口180の幅は、0.4mm(15mil)〜0.8mm(30mil)であることが好ましいと思われる。
【0037】
図示の実施形態では、入口180の全てがこの制限を満たしている訳ではなく、幾つかの入口180は、除去管175,177に適応させるよう一層大きくなっている。それでも、複数対をなすブレード124の少なくとも90%が前記制限を満たしている場合には最良となる。
【0038】
図6は、通路の幅及びそれらの幅の変化を誇張して示したものであるが、例示する実施形態の隣接するブレード124A,124Bの外面178A,178Bは実際には、その半径方向の範囲の大部分に沿って互いにほぼ平行である。詳細には、例示した実施形態の半径方向通路172の大きさ及び形状は、外面178A,178B間の半径方向通路172の幅がそれらの半径方向の範囲の大部分にわたって入口180の大きさと同様になるように形成される。この特徴は、効果的な表面の湿潤に寄与するものとなる。それ故、それらの半径方向の範囲の殆どについて、殆どの隣接する対をなすブレード124間の通路172の幅が、1.8mm(70mil)未満(好ましくは0.4mm(15mil)〜0.8mm(30mil))であることが好ましい。
【0039】
図7は、蒸留システム100における端部プレート132,136の平面図である。図7に示すように、端部プレート132,136は、中央アパーチャ180、及び半径方向に延びる溝184を形成する。該溝184の大きさ及び形状は、ブレード124の個々の軸方向端部124c,124dが該端部プレート132,136内に取り付けられる際に、該溝184が軸方向の開口164c,164dに隣接して該ブレード124の外面178をシールするように形成される。既述のように、実施形態によっては軸方向の開口164c,164dの形状は例示したものとは異なり、かかる実施形態の溝は、例示した溝とは異なるものとなる。
【0040】
端部プレート132,136、ブレード124、及び側壁120が協働して、ハウジング104内に2つの空間を画定し、該空間を本書では「濃縮用複合チャンバ」及び「蒸発用複合チャンバ」と称す。複数のブレード124の複数の内部162は、互いに協働して濃縮用複合チャンバを形成する構成要素となる濃縮チャンバである。該濃縮用複合チャンバは、コンプレッサ出口148(図1B)とブレード124の第1の軸方向端部124cの開口164cとを介してコンプレッサ140と流体的に連絡している。該濃縮用複合チャンバはまた、ブレード124の第2の軸方向端部124dの開口164dを介して留出物収集容器160と流体的に連絡している。ブレード124の外面178Aとシェル100の内面123とが協働して蒸発用複合チャンバを形成し、該蒸発用複合チャンバは、熱交換器122の半径方向内方の部分から、隣接するブレード124A,124Bの対向する外面178A,178B間の半径方向通路172を介して、シェル100の内面123へと延びる。該蒸発用複合チャンバは、液体入口190及びコンプレッサ入口144と流体的に連絡している。端部プレート132,136が互いに協働して、軸方向端部124c,124dの開口164c,164dに隣接してブレード124の外面178をシールすることにより、濃縮用複合チャンバが蒸発用複合チャンバから隔離される。
【0041】
実施形態によっては、ブレード124の全てよりも少数のブレードが協働して濃縮用及び蒸発用チャンバを画定することが可能である。しかし、殆どの実施形態では、少なくとも大半のブレードが協働することになる。
【0042】
ここで、本開示のブレード熱交換器の幾つかの動作原理について説明する。図1A、図1B、図2A、図2B、及び図6における矢印は、流体の流路を示している。以下の説明では、各ブレード124の内部を構成要素濃縮チャンバ163と称し、各組をなす隣接するブレード124A,124Bの対向する外面178A,178B間の半径方向通路172を構成要素蒸発チャンバ172と称す。各構成要素濃縮チャンバ163は、その半径方向内方及び外方の縁部124a,124bでシールされ、その第1及び第2の軸方向端部124c,124dで開口する。これに対し、各構成要素蒸発チャンバ172は、その半径方向内方及び外方の縁部で開口し、端部プレート132,136により軸方向端部でシールされる。実施形態によっては、構成要素濃縮チャンバ163の表面及び構成要素蒸発チャンバ172の表面を(おそらくは疎水性及び親水性コーティングを施すことにより)それぞれ疎水性及び親水性に構成して、蒸留を促進させることが可能である。
【0043】
以下の説明では、蒸留対象となる液体は水であるが、本発明は他の液体を蒸留するために使用することも可能である。
【0044】
動作時に、図1に示す回転力源12が、ベルト及びギア変速機といった減速器を介して、シェル100に結合され、これにより、該シェル100、並びに、コンプレッサ140、第1及び第2の端部プレート132,136、熱交換器122、及び液溜め184が、中心軸A-Aを中心として回転させられる。このため、入口190からの液体が、蒸発表面178A,178B上に薄い液膜を形成する。その回転速度は、ブレードの半径方向外方の縁部における半径方向加速度が20〜100G(好適には30〜60G)となるような速度であるべきである(ここで、Gは重力加速度、すなわち、9.81m/s2(3.2ft/s2)を表している)。
【0045】
コンプレッサ140は、蒸発用複合チャンバから結果的に得られる第1の蒸気圧の蒸気をコンプレッサ入口144内へ引き込み、より高い第2の蒸気圧の圧縮された蒸気をコンプレッサ出口148を介して濃縮用複合チャンバへ提供する。
【0046】
蒸留すべき液体は、液体供給ラインを介して液溜め184内へと流れる。該液溜め184が回転する際に、供給管192が、該液溜め184の回転と逆の方向に開口した開口部を介して一定体積の供給用水を収集する。該開口部は、シェル100の内面123の近傍に配置され、液溜め184に向かって該内面123を下方へと流れる回転する水を収集するようになっている。供給管192は、前記供給用水を、固定された軸方向に延びる噴霧管194へと導く。該噴霧管194は、供給用水を水滴という形で開口196を介して射出する。次いで、それら水滴が、構成要素蒸発チャンバへの入口180に入射する。
【0047】
当業者には理解されるように、前記構成要素蒸発チャンバ172の前記入口180に入射する前記水滴の速度及び大きさは、回転力源12の速度、供給管192及びその開口の大きさ、噴霧管194及びその開口196の大きさ、熱交換器122の内部における噴霧管194の位置、回転方向に対する開口196の向き、及びその他の因子によって決まる。概して、これらの因子のうちの1つ又は2つ以上の値が設計時(及び/又は動作時)に選定されて、蒸留を促進させる様々な効果が達成される。
【0048】
例えば、モータ12を含む実施形態では、供給管192から送られて噴霧管194を上昇する供給用水が非エアロゾル形態で開口196を出るように、前記モータ12の速度並びに供給管192及び噴霧管194及びそれらの個々の開口の大きさが選定される。
【0049】
実施形態によっては、代替的に及び/又は組み合わせて、開口196から発せられる水滴が、回転するブレード124の接線速度とほぼ等しい接線速度で射出されるように、噴霧管194及びその開口196の大きさ、それらの熱交換器122の内部における位置、及びそれらの中心軸A-Aに対する角度を設定する。
【0050】
本開示のブレード熱交換器の実施形態を設計する際に、殆どの当業者は、開口196から発せられる水滴が、入口180の大きさよいrも大きい平均直径を有するように、上述した因子のうちの1つ又は2つ以上の値を選定するであろう。その結果として、開口196から発せられて入口180に入射する水滴は、各対をなす隣接するブレード124A,124Bの外面178A,178Bの両方に当たることになる。これにより蒸留効率が向上する。該開口から発せられる液滴は、通常は2.5mm(100mil)又はそれ未満の直径を有するものとなる。したがって、入口180の幅は2.5mm(100mil)未満にすべきである。実際に、入口180は1.8mm(70mil)未満であるのが一層良好であり、好適には0.4mm(15mil)〜0.8mm(30mil)である。
【0051】
構成要素蒸発チャンバ172への入口180に入射する水滴は、各組をなす隣接するブレード124A,124Bの対向する外面178A,178Bを湿潤させる。ブレード124が半径方向に細長いため、前記水は外面178A,178Bの半径方向の範囲に沿って比較的一定の膜を形成する。この「等しく湿潤させる」機能は、水滴の平均直径が入口180の大きさよりも大きい実施形態において向上し、特に、開口196を出る水滴の接線速度がブレードの半径方向内方の縁部の接線速度である場合に向上する。
【0052】
殆どの実施形態では、外面178A,178Bの各々の大きさ及び形状は、該外面に対する接線が半径(すなわち回転軸と垂直に延びる線分)となす角度の大きさが、該外面の半径方向の範囲の少なくとも80%にわたる範囲で20°未満だけ変化するように選定される。それ故、外面178A,178Bの傾斜は、比較的一様なものとなり、該外面の半径方向の範囲の大部分に沿って該外面の両方に水滴が「留まる」傾向となり、該水滴は、該外面から時期尚早に離脱せず及び停滞しない傾向となる。
【0053】
ブレードの回転力により生じる遠心力により、水は、薄い液膜又はシートという形で、構成要素蒸発チャンバ172の入口180から互いに対向する外面178A,178Bに沿って外方へ付勢される。半径方向の範囲rの中心に位置する外面の半径方向部分Δrの表面積は、rの関数として比較的一定であるため、前記液膜は、それが外方へ付勢される際にほぼ同量の表面積を覆う傾向となる。このため、該液膜は、外面の半径方向の範囲の大部分に沿って比較的一様な厚さを有する傾向となる。これにより蒸留効率が向上する。これとは対照的に、垂直方向に積み重ねられた環状プレートを有する熱交換器では、半径方向の範囲rの中心に位置する蒸発面の半径方向部分Δrの表面積は、rの増大と共に増大する。このため、積み重ねられたプレートを有する熱交換器における液膜は、それが外方へ付勢されると一層大きな表面積を覆う傾向となる。その結果として膜厚が薄くなる。
【0054】
水が対向する外面178A,178Bに沿って流れる際に、構成要素濃縮チャンバからの熱が、水の一部を蒸発させて水蒸気を形成する。水のうち水蒸気に変換されなかった部分は、遠心力によって外面178A,178Bから放出され、ハウジング104のシェル100の内面123に当たり、及びブレード熱交換器122を介して再循環させるために液溜め184内に戻る。構成要素蒸発チャンバがその軸方向の端部で第1及び第2のプレート132,136によってシールされているため、供給用水のうち蒸発しない部分は、液溜め184に入り、留出物収集容器160には入らない。
【0055】
コンプレッサ140の動作により、水蒸気は、構成要素蒸発チャンバから半径方向内方へ引き込まれ、熱交換器122の内部を介して、コンプレッサ入口144に入る。コンプレッサ140は、水蒸気の温度及び圧力を上昇させ、その結果として圧縮された蒸気(すなわち水蒸気)をコンプレッサ出口148を介して濃縮用複合チャンバへ供給する。該水蒸気は、第1の軸方向端部124aの開口164cを介して構成要素濃縮チャンバ163に入る。構成要素蒸発チャンバ172がその軸方向端部で第1及び第2のプレート132,136によってシールされているため、水蒸気は、構成要素濃縮チャンバ163にのみ入り、構成要素蒸発チャンバ172には入らない。
【0056】
当業者には理解されるように、本開示のブレード熱交換器の蒸留速度は、蒸発用複合チャンバと濃縮用複合チャンバとの間の圧力差及び温度差によって決まる。蒸留すべき液体が水である場合には、定常状態の動作時に、隣接する構成要素濃縮チャンバ162と構成要素蒸発チャンバ172との間に、圧力差0.035kg/cm2(0.5psi)〜0.070kg/cm2(1.0psi)を提供するように、コンプレッサ140が構成されると、その結果として、大きさと効率との間の良い妥協が得られる。但し、他の実施形態は、異なる圧力差を呈するものとすることが可能である。
【0057】
水蒸気は、構成要素濃縮チャンバ163の内面176に沿って濃縮される。これは、隣接する蒸発チャンバ172の対向する外面178A,178Bに沿って流れる水が、水蒸気の飽和温度(例えば215°F)よりも低い温度(例えば、212°F)で蒸発しているからである。遠心力は、結果的に得られる濃縮物(すなわち蒸留水)を、構成要素濃縮チャンバ163の半径方向外方の縁部124bへ移動させる。該蒸留水及び非濃縮可能物質は、第2の軸方向端部124dの開口164dを通って留出物収集容器160内に入る。
【0058】
水蒸気が濃縮されるほど、留出物収集容器160内の蒸留水のレベルが留出物除去管175の開口に達するまで半径方向内方へと進行する。次いで、該蒸留水が留出物除去管175内で柱を形成し、これにより最終的に該システム10を出る。同様に、留出物収集容器160内に収集された非濃縮可能物質は、非濃縮可能物質除去管177を介して該システム10から排出される。
【0059】
概して、既述のように、本開示のブレード熱交換器の多くの特徴が協働して蒸留を促進させる。本設計の一実施形態は、中心軸A-Aを中心として配設された約225個のブレードを含むブレード熱交換器を使用し、この場合、各ブレード124は、半径方向の範囲rが約5cm(2インチ)、開口角θが約1.5度、軸方向の範囲が約30cm(12インチ)、及び隣接するブレード124A,124B間の入口180が約0.4mm(15mil)〜0.8mm(30mil)であり、ブレードの外側縁部で30〜60Gの半径方向加速度を生じさせるモータ速度で少なくとも55L/h(liter/hour)(15gallon/hour)の速度で水を蒸留することができる。
【0060】
要するに、本ブレード熱交換器は、非濃縮可能物質の除去のための単純な軸方向の流路を提供し、蒸留中の液体とその結果として生じる留出物との間の交差汚染の危険性を低下させる。図1A、図1B、図2A、及び図2Bに示すように、非濃縮可能物質を除去する管177は、留出物収集容器160から上方へ延び、プラグ181内の通路を通って内方へ延び、軸A-Aに沿って軸方向の導管を通って回転結合部へと下方へ延び、次いでシステム10から外方へと延びる。更に、上記説明から分かるように、ブレードの欠陥は、留出物に対する到来する水の望ましくない漏洩ではなく、到来する液体内への留出物の無害の漏洩となる可能性がより高くなる。詳細には、留出物を収容するブレードの内部の圧力は、未蒸留の入口液体が位置することになる外部における圧力よりも高く、このため、その圧力差は、ブレード内の孔を通る(内方ではなく)外方への流れを生じさせる傾向のものとなる。そして、遠心力は、液溜めの側壁の表面123に集まる未蒸留の液体に大きな圧力水頭を生じさせるものとなるが、該液体はブレード及び留出物除去管175の外部に位置する。
【0061】
一般的な実験を用いるだけで、本書で説明した例示的な実施形態の多くの等価物が、当業者には理解され又解明可能であろう。
【0062】
例えば、圧縮された蒸気は、ブレードを通って下方へ流れる必要はなく、上方へ流れることが可能である。実際に、熱交換器の回転軸は、垂直である必要はない(但し、殆どの実施形態では垂直になるであろう)。
【0063】
また、本開示のブレード熱交換器は、圧縮された蒸気が、熱交換器の蒸発面からの蒸発の結果として得られるものではなく又は少なくとも該蒸発にのみによって得られるものではない、蒸留システムで使用することができる。製造設備において、例えば、該設備の汚水を構成要素蒸発チャンバに供給する一方で、構成要素濃縮チャンバに供給される水蒸気の一部を該設備の(おそらくは蒸発チャンバの出力と混合される)廃棄蒸気とすることが可能である。
【0064】
したがって、特許請求の範囲は、本書で説明した実施形態に限定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1A】例示としてのブレード熱交換器を含む蒸留システムの断面図である。
【図1B】例示としてのブレード熱交換器を含む蒸留システムの断面図である。
【図2A】図1の蒸留システムの斜視図である。
【図2B】図1の蒸留システムの斜視図である。
【図3】図1の例示としてのブレード熱交換器のためのフレームの斜視図である。
【図4A】図1の例示としてのブレード熱交換器のブレードの斜視図である。
【図4B】図1の例示としてのブレード熱交換器のブレードの斜視図である。
【図5A】図4A及び図4Bのブレードの製造方法を概略的に示す流れ図である。
【図5B】図4A及び図4Bのブレードの製造方法を概略的に示す流れ図である。
【図5C】図4A及び図4Bのブレードの製造方法を概略的に示す流れ図である。
【図6】図1の蒸留システムの6-6断面図を部分的に拡大して示す図である。
【図7】図1の例示としてのブレード熱交換器の端部プレートの平面図である。
【図1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
該ハウジング内に回転力を供給する回転力源と、
蒸留すべき液体を前記ハウジングに供給するための液体入口と、
第1の蒸気圧の蒸気を受容するためのコンプレッサ入口と第2の一層高い蒸気圧の蒸気を放出するためのコンプレッサ出口とを含むコンプレッサと、
前記ハウジング内の留出物を収集するための留出物収集容器と、
前記ハウジング内に配設され、及び軸を中心として回転するよう前記回転力源に動作可能な状態で接続された、熱交換器であって、半径方向に細長く、及び前記軸を中心として配設された、軸方向に延びる複数のブレードを含む、熱交換器とを含み、
前記ブレードの外部と前記ハウジングの内面とが協働して蒸発用複合チャンバを形成し、該蒸発用複合チャンバが、蒸留すべき液体を受容するために前記液体入口と流体的に連絡し、及び第1の蒸気圧の蒸気を提供するために前記コンプレッサ入口と流体的に連絡しており、
前記複数のブレードのうちの少なくとも幾つかの内部が個々の構成要素濃縮チャンバを形成し、該構成要素濃縮チャンバが他の構成要素濃縮チャンバと流体的に連絡して、1つの濃縮用複合チャンバを形成し、該濃縮用複合チャンバが、前記蒸発用複合チャンバから隔離され、第2の蒸気圧の蒸気を受容するために前記コンプレッサ出口と流体的に連絡し、及び留出物を提供するために前記留出物収集容器と流体的に連絡している、
液体の蒸留に使用するためのシステム。
【請求項2】
前記蒸発用複合チャンバが、前記熱交換器の半径方向内方の部分から、隣接するブレードの対向する外面間の半径方向通路を通って、ハウジングの半径方向範囲へと延び、前記隣接するブレードの少なくとも幾つかの対向する外面間の半径方向通路の入口が、1.8mm(70mil)未満の距離にわたるものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記距離が0.4mm(15mil)〜0.8mm(30mil)である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
内部が前記構成要素濃縮チャンバのうちの1つを形成するブレードであって、その外部が前記ハウジングの内面と協働して前記蒸発用複合チャンバを形成するブレードについて、該ブレードの外部の表面積に対する該ブレードの内部の体積の比が1.5mm(60mil)未満である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記比が、0.25mm(10mil)〜0.5mm(20mil)である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
内部が前記構成要素濃縮チャンバのうちの1つを形成するブレードであって、その外部が前記ハウジングの内面と協働して前記蒸発用複合チャンバを形成するブレードについて、該ブレードの周方向の範囲に対する該ブレードの半径方向の範囲の比が少なくとも10である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記比が20〜50である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記濃縮用複合チャンバを形成する前記ブレードの内部が、それらブレードの第1の軸方向端部に形成された第1の開口を介して前記コンプレッサ出口と流体的に連絡している、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記濃縮用複合チャンバを形成する前記ブレードの内部が、それらブレードの第2の軸方向端部に形成された第2の開口を介して前記留出物収集容器と流体的に連絡している、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の開口が、前記ブレードの内部の半径方向の範囲のほぼ全体に沿って延び、前記第2の開口の少なくとも一部が、前記ブレードの内部の半径方向の範囲の一部のみに沿って延びる、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記軸とほぼ垂直になるよう前記ハウジング内に配設された第1の端部プレートであって、中央アパーチャと、前記ブレードのうちの前記少なくとも幾つかの前記第1の軸方向端部に形成された前記第1の開口に隣接して前記ブレードの外部をシールする、半径方向に延びる溝とを含む、第1の端部プレートと、
前記軸とほぼ垂直になるよう前記ハウジング内に配設された第2の端部プレートであって、中央アパーチャと、前記ブレードの前記第2の軸方向端部に形成された前記第2の開口に隣接して前記ブレードの外部をシールする、半径方向に延びる溝とを含む、第2の端部プレートとを更に含み、
該第1及び第2の端部プレートが協働して前記蒸発用複合チャンバを前記濃縮用複合チャンバから隔離する、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記液体入口が、少なくとも1つの軸方向に延びる噴霧管を含み、該噴霧管が、前記ブレードから半径方向内方の位置で前記熱交換器の半径方向内方の部分に配設され、及び前記軸から半径方向外方の方向に面する開口を含み、前記蒸留すべき液体から少なくとも1つの前記噴霧管を介して前記蒸発用複合チャンバへの液体流路が存在する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記蒸発用複合チャンバが、隣接するブレードの対向する外面間の半径方向通路を介して前記ハウジングの半径方向の範囲へと延び、前記少なくとも1つの軸方向に延びる噴霧管の開口と前記半径方向通路の入口との大きさ及び形状が、前記少なくとも1つの軸方向に延びる噴霧管内における少なくとも1つの液体流量について前記入口が前記開口から発せられる液滴の平均直径よりも小さい距離にわたるものとなるように選定される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記液体入口が、少なくとも1つの液体供給用の供給管を含み、該供給管が、前記少なくとも1つの軸方向に延びる噴霧管と流体的に連絡し、及び蒸留すべき液体を定める液溜め内へと延びており、該少なくとも1つの液体供給用の供給管と前記少なくとも1つの軸方向に延びる噴霧管とが協働して前記液溜めと前記蒸発用複合チャンバとの間の液体流路を提供する、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記留出物収集容器が、前記第2の端部プレートの直径の内縁及び外縁に取り付けられ、及び前記濃縮用複合チャンバ内に形成されて前記ブレードの前記第2の軸方向端部の前記第2の開口を介して流れる留出物を収集する、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記留出物収集容器がほぼ環状である、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記留出物収集容器が、留出物を収集するための領域と非濃縮可能物質を収集するための領域とを含み、該システムが、
前記ハウジングを通って前記留出物収集容器内へと延びる少なくとも1つの留出物除去管を含み、該少なくとも1つの留出物除去管が、留出物を収集するための前記領域内に延びてそこから留出物を除去するように前記留出物収集容器内に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの留出物除去管の各々が、一対の隣接するブレードの対向する外面間で軸方向に延びる、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記ハウジングを通って前記留出物収集容器内へと延びる少なくとも1つの非濃縮可能物質除去管を更に含み、該少なくとも1つの非濃縮可能物質除去管が、非濃縮可能物質を収集するための前記領域内に延びてそこから非濃縮可能物質を除去するように前記留出物収集容器内に配置される、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記少なくとも1つの非濃縮可能物質除去管の各々が、一対の隣接するブレードの対向する外面間で軸方向に延びる、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記熱交換器が、1よりも大きい軸方向の伸長比と10よりも大きい半径方向の伸長比とを有するブレードを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
各ブレードが、軸方向に延びる折り曲げ部と、該折り曲げ部から半径方向に離間した軸方向に延びる結合部において共に結合された一対の反対側の縁部とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
前記軸方向に延びる折り曲げ部が、前記軸方向に延びる結合部から半径方向外方の位置に配置される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記軸とほぼ垂直に前記ハウジング内に配設された第1及び第2のフレーム要素を更に含み、各フレーム要素が内側リング及び外側リングを含み、該外側リングが、該内側リングと同心であり、及び半径方向に延びる支持部材を介して前記内側リングに接続され、該支持部材が、ほぼ等しい角度間隔で配設されており、
前記熱交換器が、前記第1のフレーム要素と前記第2のフレーム要素との間に取り付けられて、前記第1及び第2の端部プレートが、該第1及び第2のフレーム要素のそれぞれの前記内側リングと前記外側リングとの間に配設される、請求項11に記載のシステム。
【請求項25】
液体の蒸留するためのシステムで使用するための熱交換器であって、該システムが、該熱交換器に液体を供給するための液体入口と、該熱交換器により生成された第1の蒸気圧の蒸気を受容するためのコンプレッサ入口と第2の一層高い蒸気圧の蒸気を該熱交換器へ放出するためのコンプレッサ出口とを含むコンプレッサと、該熱交換器により生成された留出物を収集するための留出物収集容器と、該熱交換器を軸を中心として回転させるための回転力源とを含み、該熱交換器が、
軸方向に延びる複数のブレードであって、半径方向に細長く、及びハウジング内に配設された際に、
該ブレードの外部と前記ハウジングの内面とが協働して蒸発用複合チャンバを形成し、該蒸発用複合チャンバが、蒸留すべき液体を受容するために前記液体入口と流体的に連絡し、及び第1の蒸気圧の蒸気を提供するために前記コンプレッサ入口と流体的に連絡し、
前記複数のブレードのうちの少なくとも幾つかの内部が個々の構成要素濃縮チャンバを形成し、該構成要素濃縮チャンバが他の構成要素濃縮チャンバと流体的に連絡して1つの濃縮用複合チャンバを形成し、該濃縮用複合チャンバが、該ブレードの第1の軸方向端部に形成された第1の開口を介して前記第2の蒸気圧の蒸気を受容するために前記コンプレッサ出口と流体的に連絡するよう構成され、及び該ブレードの第2の軸方向端部に形成された第2の開口を介して留出物を提供するために前記留出物収集容器と流体的に連絡するよう構成される、
前記軸を中心として配設されるブレードと、
前記軸とほぼ垂直に配設された第1及び第2の端部プレートであって、各端部プレートが、中央孔と、前記第1及び第2の軸方向端部に形成された前記第1及び第2の開口に隣接して前記ブレードの外部をシールする半径方向に延びる溝とを含み、該第1及び第2の端部プレートが協働して前記濃縮用複合チャンバを前記蒸発用複合チャンバから隔離する、第1及び第2の端部プレートと
を含む、液体の蒸留するためのシステムで使用するための熱交換器。
【請求項26】
前記蒸発用複合チャンバが、隣接するブレードの対向する外面間の半径方向通路を通って前記ハウジングの半径方向範囲へと延び、前記隣接するブレードの少なくとも幾つかの対向する外面間の半径方向通路の入口が、1.8mm(70mil)未満の距離にわたるものである、請求項25に記載の熱交換器。
【請求項27】
前記距離が0.4mm(15mil)〜0.8mm(30mil)である、請求項26に記載の熱交換器。
【請求項28】
内部が前記構成要素濃縮チャンバのうちの1つを形成するブレードであって、その外部が前記ハウジングの内面と協働して前記蒸発用複合チャンバを形成するブレードについて、該ブレードの外部の表面積に対する該ブレードの内部の体積の比が1.5mm(60mil)未満である、請求項25に記載の熱交換器。
【請求項29】
前記比が、0.25mm(10mil)〜0.5mm(20mil)である、請求項28に記載の熱交換器。
【請求項30】
内部が前記構成要素濃縮チャンバのうちの1つを形成するブレードであって、その外部が前記ハウジングの内面と協働して前記蒸発用複合チャンバを形成するブレードについて、該ブレードの周方向の範囲に対する該ブレードの半径方向の範囲の比が少なくとも10である、請求項25に記載の熱交換器。
【請求項31】
前記比が20〜50である、請求項30に記載の熱交換器。
【請求項32】
前記第1の開口が、前記ブレードの内部の半径方向の範囲のほぼ全体に沿って延び、前記第2の開口の少なくとも一部が、前記ブレードの内部の半径方向の範囲の一部のみに沿って延びる、請求項25に記載の熱交換器。
【請求項33】
各ブレードが、軸方向に延びる折り曲げ部と、該折り曲げ部から半径方向に離間した軸方向に延びる結合部において共に結合された一対の反対側の縁部とを含む、請求項25に記載の熱交換器。
【請求項34】
前記軸方向に延びる折り曲げ部が、前記軸方向に延びる結合部から半径方向外方の位置に配置される、請求項33に記載の熱交換器。
【請求項35】
前記軸とほぼ垂直に配設された第1及び第2のフレーム要素を更に含み、各フレーム要素が内側リング及び外側リングを含み、該外側リングが、該内側リングと同心であり、及び半径方向に延びる支持部材を介して前記内側リングに接続され、該支持部材が、ほぼ等しい角度間隔で配設されており、
前記ブレードが、前記第1のフレーム要素と前記第2のフレーム要素との間に取り付けられて、前記第1及び第2の端部プレートが、該第1及び第2のフレーム要素のそれぞれの前記内側リングと前記外側リングとの間に配設される、請求項25に記載の熱交換器。
【請求項36】
圧縮された蒸気を濃縮するためのシステムで使用するための熱交換器であって、該システムが、前記圧縮された蒸気の生成源と、該熱交換器により生成された留出物を収集するための留出物収集容器と、該熱交換器を軸を中心として回転させるための回転力源とを含み、該熱交換器が、
軸方向に延びる複数のブレードであって、半径方向に細長く、前記軸を中心として配設され、前記ハウジング内に配設された際に、該複数のブレードの内部が濃縮用複合チャンバを形成し、該濃縮用複合チャンバが、該ブレードの第1の軸方向端部に形成された第1の開口を介して前記圧縮された蒸気を受容するために前記圧縮された蒸気の生成源と流体的に連絡するよう構成され、及び該ブレードの第2の軸方向端部に形成された第2の開口を介して留出物を提供するために前記留出物収集容器と流体的に連絡するよう構成された、ブレードと、
前記軸とほぼ垂直に配設された第1及び第2の端部プレートであって、各端部プレートが、中央孔と、前記第1及び第2の軸方向端部に形成された前記第1及び第2の開口に隣接して前記ブレードの外部をシールする半径方向に延びる溝とを含み、該第1及び第2の端部プレートが協働して、前記濃縮用複合チャンバを、前記ブレードの外部と前記ハウジングの内面とにより形成されるチャンバから隔離する、第1及び第2の端部プレートと
を含む、圧縮された蒸気を濃縮するためのシステムで使用するための熱交換器。
【請求項37】
前記ブレードのうちの少なくとも幾つかについて、該ブレードの外部の表面積に対する該ブレードの内部の体積の比が1.5mm(60mil)未満である、請求項36に記載の熱交換器。
【請求項38】
前記比が、0.25mm(10mil)〜0.5mm(20mil)である、請求項37に記載の熱交換器。
【請求項39】
前記ブレードのうちの少なくとも幾つかについて、該ブレードの周方向の範囲に対する該ブレードの半径方向の範囲の比が少なくとも10である、請求項36に記載の熱交換器。
【請求項40】
前記比が20〜50である、請求項39に記載の熱交換器。
【請求項41】
前記ブレードのうちの少なくとも幾つかについて、該ブレードの半径方向の範囲に対する該ブレードの軸方向の範囲の比が1〜6である、請求項36に記載の熱交換器。
【請求項1】
ハウジングと、
該ハウジング内に回転力を供給する回転力源と、
蒸留すべき液体を前記ハウジングに供給するための液体入口と、
第1の蒸気圧の蒸気を受容するためのコンプレッサ入口と第2の一層高い蒸気圧の蒸気を放出するためのコンプレッサ出口とを含むコンプレッサと、
前記ハウジング内の留出物を収集するための留出物収集容器と、
前記ハウジング内に配設され、及び軸を中心として回転するよう前記回転力源に動作可能な状態で接続された、熱交換器であって、半径方向に細長く、及び前記軸を中心として配設された、軸方向に延びる複数のブレードを含む、熱交換器とを含み、
前記ブレードの外部と前記ハウジングの内面とが協働して蒸発用複合チャンバを形成し、該蒸発用複合チャンバが、蒸留すべき液体を受容するために前記液体入口と流体的に連絡し、及び第1の蒸気圧の蒸気を提供するために前記コンプレッサ入口と流体的に連絡しており、
前記複数のブレードのうちの少なくとも幾つかの内部が個々の構成要素濃縮チャンバを形成し、該構成要素濃縮チャンバが他の構成要素濃縮チャンバと流体的に連絡して、1つの濃縮用複合チャンバを形成し、該濃縮用複合チャンバが、前記蒸発用複合チャンバから隔離され、第2の蒸気圧の蒸気を受容するために前記コンプレッサ出口と流体的に連絡し、及び留出物を提供するために前記留出物収集容器と流体的に連絡している、
液体の蒸留に使用するためのシステム。
【請求項2】
前記蒸発用複合チャンバが、前記熱交換器の半径方向内方の部分から、隣接するブレードの対向する外面間の半径方向通路を通って、ハウジングの半径方向範囲へと延び、前記隣接するブレードの少なくとも幾つかの対向する外面間の半径方向通路の入口が、1.8mm(70mil)未満の距離にわたるものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記距離が0.4mm(15mil)〜0.8mm(30mil)である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
内部が前記構成要素濃縮チャンバのうちの1つを形成するブレードであって、その外部が前記ハウジングの内面と協働して前記蒸発用複合チャンバを形成するブレードについて、該ブレードの外部の表面積に対する該ブレードの内部の体積の比が1.5mm(60mil)未満である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記比が、0.25mm(10mil)〜0.5mm(20mil)である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
内部が前記構成要素濃縮チャンバのうちの1つを形成するブレードであって、その外部が前記ハウジングの内面と協働して前記蒸発用複合チャンバを形成するブレードについて、該ブレードの周方向の範囲に対する該ブレードの半径方向の範囲の比が少なくとも10である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記比が20〜50である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記濃縮用複合チャンバを形成する前記ブレードの内部が、それらブレードの第1の軸方向端部に形成された第1の開口を介して前記コンプレッサ出口と流体的に連絡している、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記濃縮用複合チャンバを形成する前記ブレードの内部が、それらブレードの第2の軸方向端部に形成された第2の開口を介して前記留出物収集容器と流体的に連絡している、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の開口が、前記ブレードの内部の半径方向の範囲のほぼ全体に沿って延び、前記第2の開口の少なくとも一部が、前記ブレードの内部の半径方向の範囲の一部のみに沿って延びる、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記軸とほぼ垂直になるよう前記ハウジング内に配設された第1の端部プレートであって、中央アパーチャと、前記ブレードのうちの前記少なくとも幾つかの前記第1の軸方向端部に形成された前記第1の開口に隣接して前記ブレードの外部をシールする、半径方向に延びる溝とを含む、第1の端部プレートと、
前記軸とほぼ垂直になるよう前記ハウジング内に配設された第2の端部プレートであって、中央アパーチャと、前記ブレードの前記第2の軸方向端部に形成された前記第2の開口に隣接して前記ブレードの外部をシールする、半径方向に延びる溝とを含む、第2の端部プレートとを更に含み、
該第1及び第2の端部プレートが協働して前記蒸発用複合チャンバを前記濃縮用複合チャンバから隔離する、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記液体入口が、少なくとも1つの軸方向に延びる噴霧管を含み、該噴霧管が、前記ブレードから半径方向内方の位置で前記熱交換器の半径方向内方の部分に配設され、及び前記軸から半径方向外方の方向に面する開口を含み、前記蒸留すべき液体から少なくとも1つの前記噴霧管を介して前記蒸発用複合チャンバへの液体流路が存在する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記蒸発用複合チャンバが、隣接するブレードの対向する外面間の半径方向通路を介して前記ハウジングの半径方向の範囲へと延び、前記少なくとも1つの軸方向に延びる噴霧管の開口と前記半径方向通路の入口との大きさ及び形状が、前記少なくとも1つの軸方向に延びる噴霧管内における少なくとも1つの液体流量について前記入口が前記開口から発せられる液滴の平均直径よりも小さい距離にわたるものとなるように選定される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記液体入口が、少なくとも1つの液体供給用の供給管を含み、該供給管が、前記少なくとも1つの軸方向に延びる噴霧管と流体的に連絡し、及び蒸留すべき液体を定める液溜め内へと延びており、該少なくとも1つの液体供給用の供給管と前記少なくとも1つの軸方向に延びる噴霧管とが協働して前記液溜めと前記蒸発用複合チャンバとの間の液体流路を提供する、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記留出物収集容器が、前記第2の端部プレートの直径の内縁及び外縁に取り付けられ、及び前記濃縮用複合チャンバ内に形成されて前記ブレードの前記第2の軸方向端部の前記第2の開口を介して流れる留出物を収集する、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記留出物収集容器がほぼ環状である、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記留出物収集容器が、留出物を収集するための領域と非濃縮可能物質を収集するための領域とを含み、該システムが、
前記ハウジングを通って前記留出物収集容器内へと延びる少なくとも1つの留出物除去管を含み、該少なくとも1つの留出物除去管が、留出物を収集するための前記領域内に延びてそこから留出物を除去するように前記留出物収集容器内に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの留出物除去管の各々が、一対の隣接するブレードの対向する外面間で軸方向に延びる、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記ハウジングを通って前記留出物収集容器内へと延びる少なくとも1つの非濃縮可能物質除去管を更に含み、該少なくとも1つの非濃縮可能物質除去管が、非濃縮可能物質を収集するための前記領域内に延びてそこから非濃縮可能物質を除去するように前記留出物収集容器内に配置される、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記少なくとも1つの非濃縮可能物質除去管の各々が、一対の隣接するブレードの対向する外面間で軸方向に延びる、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記熱交換器が、1よりも大きい軸方向の伸長比と10よりも大きい半径方向の伸長比とを有するブレードを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
各ブレードが、軸方向に延びる折り曲げ部と、該折り曲げ部から半径方向に離間した軸方向に延びる結合部において共に結合された一対の反対側の縁部とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
前記軸方向に延びる折り曲げ部が、前記軸方向に延びる結合部から半径方向外方の位置に配置される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記軸とほぼ垂直に前記ハウジング内に配設された第1及び第2のフレーム要素を更に含み、各フレーム要素が内側リング及び外側リングを含み、該外側リングが、該内側リングと同心であり、及び半径方向に延びる支持部材を介して前記内側リングに接続され、該支持部材が、ほぼ等しい角度間隔で配設されており、
前記熱交換器が、前記第1のフレーム要素と前記第2のフレーム要素との間に取り付けられて、前記第1及び第2の端部プレートが、該第1及び第2のフレーム要素のそれぞれの前記内側リングと前記外側リングとの間に配設される、請求項11に記載のシステム。
【請求項25】
液体の蒸留するためのシステムで使用するための熱交換器であって、該システムが、該熱交換器に液体を供給するための液体入口と、該熱交換器により生成された第1の蒸気圧の蒸気を受容するためのコンプレッサ入口と第2の一層高い蒸気圧の蒸気を該熱交換器へ放出するためのコンプレッサ出口とを含むコンプレッサと、該熱交換器により生成された留出物を収集するための留出物収集容器と、該熱交換器を軸を中心として回転させるための回転力源とを含み、該熱交換器が、
軸方向に延びる複数のブレードであって、半径方向に細長く、及びハウジング内に配設された際に、
該ブレードの外部と前記ハウジングの内面とが協働して蒸発用複合チャンバを形成し、該蒸発用複合チャンバが、蒸留すべき液体を受容するために前記液体入口と流体的に連絡し、及び第1の蒸気圧の蒸気を提供するために前記コンプレッサ入口と流体的に連絡し、
前記複数のブレードのうちの少なくとも幾つかの内部が個々の構成要素濃縮チャンバを形成し、該構成要素濃縮チャンバが他の構成要素濃縮チャンバと流体的に連絡して1つの濃縮用複合チャンバを形成し、該濃縮用複合チャンバが、該ブレードの第1の軸方向端部に形成された第1の開口を介して前記第2の蒸気圧の蒸気を受容するために前記コンプレッサ出口と流体的に連絡するよう構成され、及び該ブレードの第2の軸方向端部に形成された第2の開口を介して留出物を提供するために前記留出物収集容器と流体的に連絡するよう構成される、
前記軸を中心として配設されるブレードと、
前記軸とほぼ垂直に配設された第1及び第2の端部プレートであって、各端部プレートが、中央孔と、前記第1及び第2の軸方向端部に形成された前記第1及び第2の開口に隣接して前記ブレードの外部をシールする半径方向に延びる溝とを含み、該第1及び第2の端部プレートが協働して前記濃縮用複合チャンバを前記蒸発用複合チャンバから隔離する、第1及び第2の端部プレートと
を含む、液体の蒸留するためのシステムで使用するための熱交換器。
【請求項26】
前記蒸発用複合チャンバが、隣接するブレードの対向する外面間の半径方向通路を通って前記ハウジングの半径方向範囲へと延び、前記隣接するブレードの少なくとも幾つかの対向する外面間の半径方向通路の入口が、1.8mm(70mil)未満の距離にわたるものである、請求項25に記載の熱交換器。
【請求項27】
前記距離が0.4mm(15mil)〜0.8mm(30mil)である、請求項26に記載の熱交換器。
【請求項28】
内部が前記構成要素濃縮チャンバのうちの1つを形成するブレードであって、その外部が前記ハウジングの内面と協働して前記蒸発用複合チャンバを形成するブレードについて、該ブレードの外部の表面積に対する該ブレードの内部の体積の比が1.5mm(60mil)未満である、請求項25に記載の熱交換器。
【請求項29】
前記比が、0.25mm(10mil)〜0.5mm(20mil)である、請求項28に記載の熱交換器。
【請求項30】
内部が前記構成要素濃縮チャンバのうちの1つを形成するブレードであって、その外部が前記ハウジングの内面と協働して前記蒸発用複合チャンバを形成するブレードについて、該ブレードの周方向の範囲に対する該ブレードの半径方向の範囲の比が少なくとも10である、請求項25に記載の熱交換器。
【請求項31】
前記比が20〜50である、請求項30に記載の熱交換器。
【請求項32】
前記第1の開口が、前記ブレードの内部の半径方向の範囲のほぼ全体に沿って延び、前記第2の開口の少なくとも一部が、前記ブレードの内部の半径方向の範囲の一部のみに沿って延びる、請求項25に記載の熱交換器。
【請求項33】
各ブレードが、軸方向に延びる折り曲げ部と、該折り曲げ部から半径方向に離間した軸方向に延びる結合部において共に結合された一対の反対側の縁部とを含む、請求項25に記載の熱交換器。
【請求項34】
前記軸方向に延びる折り曲げ部が、前記軸方向に延びる結合部から半径方向外方の位置に配置される、請求項33に記載の熱交換器。
【請求項35】
前記軸とほぼ垂直に配設された第1及び第2のフレーム要素を更に含み、各フレーム要素が内側リング及び外側リングを含み、該外側リングが、該内側リングと同心であり、及び半径方向に延びる支持部材を介して前記内側リングに接続され、該支持部材が、ほぼ等しい角度間隔で配設されており、
前記ブレードが、前記第1のフレーム要素と前記第2のフレーム要素との間に取り付けられて、前記第1及び第2の端部プレートが、該第1及び第2のフレーム要素のそれぞれの前記内側リングと前記外側リングとの間に配設される、請求項25に記載の熱交換器。
【請求項36】
圧縮された蒸気を濃縮するためのシステムで使用するための熱交換器であって、該システムが、前記圧縮された蒸気の生成源と、該熱交換器により生成された留出物を収集するための留出物収集容器と、該熱交換器を軸を中心として回転させるための回転力源とを含み、該熱交換器が、
軸方向に延びる複数のブレードであって、半径方向に細長く、前記軸を中心として配設され、前記ハウジング内に配設された際に、該複数のブレードの内部が濃縮用複合チャンバを形成し、該濃縮用複合チャンバが、該ブレードの第1の軸方向端部に形成された第1の開口を介して前記圧縮された蒸気を受容するために前記圧縮された蒸気の生成源と流体的に連絡するよう構成され、及び該ブレードの第2の軸方向端部に形成された第2の開口を介して留出物を提供するために前記留出物収集容器と流体的に連絡するよう構成された、ブレードと、
前記軸とほぼ垂直に配設された第1及び第2の端部プレートであって、各端部プレートが、中央孔と、前記第1及び第2の軸方向端部に形成された前記第1及び第2の開口に隣接して前記ブレードの外部をシールする半径方向に延びる溝とを含み、該第1及び第2の端部プレートが協働して、前記濃縮用複合チャンバを、前記ブレードの外部と前記ハウジングの内面とにより形成されるチャンバから隔離する、第1及び第2の端部プレートと
を含む、圧縮された蒸気を濃縮するためのシステムで使用するための熱交換器。
【請求項37】
前記ブレードのうちの少なくとも幾つかについて、該ブレードの外部の表面積に対する該ブレードの内部の体積の比が1.5mm(60mil)未満である、請求項36に記載の熱交換器。
【請求項38】
前記比が、0.25mm(10mil)〜0.5mm(20mil)である、請求項37に記載の熱交換器。
【請求項39】
前記ブレードのうちの少なくとも幾つかについて、該ブレードの周方向の範囲に対する該ブレードの半径方向の範囲の比が少なくとも10である、請求項36に記載の熱交換器。
【請求項40】
前記比が20〜50である、請求項39に記載の熱交換器。
【請求項41】
前記ブレードのうちの少なくとも幾つかについて、該ブレードの半径方向の範囲に対する該ブレードの軸方向の範囲の比が1〜6である、請求項36に記載の熱交換器。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図1B】
【図2】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2008−503335(P2008−503335A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516697(P2007−516697)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/021184
【国際公開番号】WO2006/009749
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(501232861)オベイション・プロダクツ・コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/021184
【国際公開番号】WO2006/009749
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(501232861)オベイション・プロダクツ・コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]