説明

ブローバイガス用オイルセパレータ

【課題】圧力損失を増大させることなく、微小な粒径を有するオイルミストをブローバイガス中から確実に分離可能なブローバイガス用オイルセパレータを提供する。
【解決手段】絶縁材料からなるセパレータ本体12内のブローバイガス流通方向の上流側に、コロナ放電を発生させることにより、該ブローバイガス中のオイルミストを帯電させる放電電極30を設ける一方、その下流側に、該帯電せしめられたオイルミストを、クーロン力により吸着して、該ブローバイガス中から分離する対極電極34を設けて、構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブローバイガス用オイルセパレータに係り、特に、内燃機関の内部で発生するブローバイガスに含まれるオイルミストを分離するブローバイガス用オイルセパレータの新規な構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
よく知られているように、内燃機関、例えば自動車のエンジン等では、その稼働時において、ピストンリングとシリンダ壁との隙間からクランクケース内に、未燃焼の炭化水素を多量に含むブローバイガスが、不可避的に漏出する。そのため、そのような自動車エンジンの多くのものにあっては、クランクケースと吸気管路との間に、それらを連通状態で連結する連結流路が設けられ、かかる連結流路を通じて、クランクケース内のブローバイガスが、吸気管路内の負圧を利用して、吸気管路内に強制的に環流され、更に、燃焼室内に戻されて、再燃焼せしめられるようになっている。
【0003】
ところで、ブローバイガス中には、エンジンオイル等の潤滑油がミスト状とされたオイルミストも含まれている。そのため、ブローバイガス中への混入によるオイル持去り量の低減や、吸気管路内のオイルによる汚染防止を図ること等を目的として、クランクケースと吸気管路とを連結する連結流路の途中には、ブローバイガス中からオイルミストを分離するオイルセパレータが、従来より、各種の構造をもって設けられている。
【0004】
そして、そのようなオイルセパレータとしては、例えば、(ア)ブローバイガスが流通せしめられるセパレータ本体(オイル分離室)内に、複数の邪魔板が、ブローバイガスの流れを蛇行させるように配設されて、ブローバイガスが、複数の邪魔板に衝突して蛇行しながら、流通せしめられるときに、ブローバイガス中のオイルミストを各邪魔板に付着させるようにした、所謂ラビリンス方式を採用するもの(例えば、下記特許文献1参照)や、(イ)円筒状のセパレータ本体内に、ブローバイガスを周方向に旋回させながら流通せしめられるように為し、そのようなブローバイガスの旋回流における円心分離作用によって、ブローバイガス中のオイルミストを分離するようにした、所謂サイクロン方式を採用するもの(例えば、下記特許文献2参照)や、(ウ)セパレータ本体内に衝突板を立設し、セパレータ本体内を一方向に向かって直線的に流通せしめられるブローバイガスが、かかる衝突板に衝突したときに、ブローバイガス中のオイルミストを衝突板に付着させるようにした、所謂慣性衝突方式を採用するもの(例えば、下記非特許文献1参照)等が、知られている。
【0005】
ところが、それら従来方式のオイルセパレータには、それぞれ以下の如き欠点が存していた。即ち、前記(ア)のラビリンス方式や前記(ウ)の慣性衝突方式を採用してなるオイルセパレータにあっては、例えば1μm以下の微小な粒径を有するオイルミストを邪魔板や衝突板等に付着させて、ブローバイガスから分離することが極めて困難であった。また、前記(イ)のサイクロン方式を採用するオイルセパレータにおいては、例えば、ブローバイガスの旋回流の流速を高める等すれば、1μm以下の粒径を有するオイルミストの分離効率の向上が図られ得るものの、そうすると、圧力損失が大幅に増大してしまうことが避けられなかったのである。
【0006】
【特許文献1】実開昭63−105712号公報
【特許文献2】特開平2001−246216号公報
【非特許文献1】発明協会公開技報公技番号86−15379号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、圧力損失を増大させることなく、1μm以下の微小な粒径を有するオイルミストをブローバイガス中から確実に分離することが出来、以てブローバイガス中からのオイルミストの分離性能が、より有利に高められ得るように改良されたブローバイガス用オイルセパレータの構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、本発明にあっては、かかる課題の解決のために、その要旨とするところは、内燃機関の内部で発生するブローバイガスに含まれるオイルミストを、該ブローバイガス中から分離するオイルセパレータであって、(a)前記ブローバイガスが導入される導入口と、該導入されたブローバイガスを外部に排出するための排出口とを有し、該導入口から導入されたブローバイガスが、該排出口に向かって内部を流通せしめられる、絶縁材料からなるセパレータ本体と、(b)該セパレータ本体の内部における前記ブローバイガスの流通方向の上流側部分に位置せしめられて、コロナ放電を発生させることにより、該ブローバイガス中の前記オイルミストを帯電させる放電電極と、(c)前記セパレータ本体の内部における前記ブローバイガスの流通方向の下流側部分に位置せしめられて、前記ブローバイガス中の前記帯電したオイルミストを、クーロン力により吸着して、該ブローバイガス中から分離する対極電極とを含んで構成し、且つ前記放電電極として、針状形態を呈する針状電極の複数を用い、それら複数の針状電極を、それぞれ前記セパレータ本体の筒壁部の内周面に立設せしめると共に、該セパレータ本体の筒壁部の内周面の周方向に互いに間隔をおいて1列に並べてなる電極列として配設したことを特徴とするブローバイガス用オイルセパレータにある。
【発明の効果】
【0009】
すなわち、この本発明に従うブローバイガス用オイルセパレータにあっては、放電電極と対極電極との間でコロナ放電を発生させることにより、ブローバイガスに含まれるオイルミストを、その粒径に拘わらず、確実に帯電させることが出来る。一方、ブローバイガスと共にセパレート本体内を流動せしめられるオイルミストは、粒径が小さければ小さい程、保持する運動エネルギーが、より小さなものとなる。
【0010】
それ故、かかるブローバイガス用オイルセパレータにおいては、コロナ放電により帯電せしめられて、セパレータ本体内を流動せしめられる、例えば1μm以下の粒径のオイルミストを、クーロン力により、対極電極に対して効率的に且つ確実に吸着させることが可能となる。
【0011】
しかも、本発明に係るブローバイガス用オイルセパレータでは、サイクロン方式等を採用するものとは異なって、ブローバイガス中からのオイルミストの分離に際して、ブローバイガスの旋回流の遠心分離作用を何等利用するものではないため、1μm以下の微小な粒径のオイルミストをブローバイガス中から分離するために、ブローバイガスの旋回流の流速の増大に伴う圧力損失の増大が惹起されるようなこともない。
【0012】
従って、かくの如き本発明に従うブローバイガス用オイルセパレータにあっては、圧力損失を増大させることなく、1μm以下の微小な粒径を有するオイルミストをブローバイガス中から確実に分離することが出来る。そして、その結果として、従来品には見られない、ブローバイガス中からのオイルミストの優れた分離性能が、極めて有利に発揮され得るのである。
【発明の態様】
【0013】
ところで、本発明は、少なくとも、以下に列挙する如き各種の態様において、好適に実施され得るものである。
【0014】
<1> 内燃機関の内部で発生するブローバイガスに含まれるオイルミストを、該ブローバイガス中から分離するオイルセパレータであって、(a)前記ブローバイガスが導入される導入口と、該導入されたブローバイガスを外部に排出するための排出口とを有し、該導入口から導入されたブローバイガスが、該排出口に向かって内部を流通せしめられる、絶縁材料からなるセパレータ本体と、(b)該セパレータ本体の内部における前記ブローバイガスの流通方向の上流側部分に位置せしめられて、コロナ放電を発生させることにより、該ブローバイガス中の前記オイルミストを帯電させる放電電極と、(c)前記セパレータ本体の内部における前記ブローバイガスの流通方向の下流側部分に位置せしめられて、前記ブローバイガス中の前記帯電したオイルミストを、クーロン力により吸着して、該ブローバイガス中から分離する対極電極とを含んで構成したことを特徴とするブローバイガス用オイルセパレータ。
【0015】
<2> 上記の態様<1>において、前記セパレータ本体が、前記内燃機関のクランクケースと吸気管路とを連通状態で連結する管体からなり、且つ前記導入口が、該クランクケース内に開口する該管体の一端側開口部にて構成される一方、前記排出口が、該吸気管路内に開口する該管体連結管の他端側開口部にて構成されていること。このような本態様によれば、上述の如き優れた特徴を発揮するオイルセパレータの全体が、内燃機関に対して、コンパクトに設置され得ることとなる。
【0016】
<3> 上記せる態様<1>又は態様<2>において、前記放電電極が、針状形態を呈する針状電極にて構成されていること。この本態様によれば、セパレータ本体内でのブローバイガスの流れが、放電電極との衝突によって阻害されるようなことが有利に解消乃至は軽減され得る。その結果、セパレータ本体内で生ずる圧力損失が、より効果的に低減せしめられ得る。
【0017】
<4> 上記の態様<1>乃至態様<3>のうちの何れか一つにおいて、前記放電電極の複数が、前記セパレータ本体の内周面における前記ブローバイガスの流通方向の上流側部分に対して、その周方向に互いに間隔をおいて隣り合うように1列に並べられてなる電極列を形成した状態で立設されて、該セパレータ本体の内部における前記上流側部分に位置せしめられていること。かかる本態様では、複数の放電電極が、セパレータ本体内部の上流側部分における内周面側の全周において、ブローバイガスの流れに晒されるようになる。従って、各放電電極で生ずるコロナ放電により、ブローバイガス中のオイルミストが、セパレータ本体内部の上流側部分における内周面側の全周において、より効率的且つ十分に帯電せしめられ得て、かかるオイルミストの分離効率の向上が、更に有利に実現され得る。
【0018】
<5> 上記の態様<4>において、前記放電電極の複数が、前記セパレータ本体の内周面における前記上流側部分のうち、前記ブローバイガスの流通方向に間隔をおいた複数個所に、前記電極列をそれぞれ形成した状態で立設されていること。この本態様によれば、オイルミストの帯電が、更に一層効率的に実施され得て、より一段と優れたオイルミストの分離性能が発揮され得る。
【0019】
<6> 上記せる態様<1>乃至態様<3>のうちの何れか一つにおいて、前記セパレータ本体の内部における前記上流側部分に、前記ブローバイガスが流通可能な網目を複数備えた網状部を有する支持部材が、該網状部の複数の網目を該ブローバイガスの流通方向に対して交差する方向に並べた状態で固設されると共に、前記放電電極の複数が、該支持部材における該網状部の網目を取り囲む線材に固定されて、該支持部材により支持されていること。このような本態様においては、複数の放電電極が、セパレータ本体内部の上流側部分における内周面側だけでなく、内周面から離隔した中心部側においても、ブローバイガスの流れに晒されるようになる。それによって、各放電電極で生ずるコロナ放電によるブローバイガス中のオイルミストの帯電が、より効率的且つ十分に行われれ得て、かかるオイルミストの分離効率の向上が、更に有利に実現され得る。
【0020】
<7> 上記の態様<6>において、前記セパレータ本体の内部における前記上流側部分に、前記複数の放電電極を支持する前記支持部材が、前記ブローバイガスの流通方向に間隔をおいて、複数固設されていること。このような本態様によれば、オイルミストの帯電が、更に一層効率的に実施され得て、より一段と優れたオイルミストの分離性能が発揮され得る。
【0021】
<8> 上記せる態様<1>乃至態様<7>のうちの何れか一つにおいて、前記対極電極が、筒状形態を呈する筒状電極にて構成されて、該筒状電極が、前記セパレータ本体の内部における前記下流側部分に位置せしめられることにより、該セパレータ本体の内周面における前記ブローバイガス流通方向の下流側部分の全面が、該筒状電極の内周面にて構成されるようになっていること。この本態様によれば、例えば、対極電極が、セパレータ本体の内周面におけるブローバイガス流通方向の下流側部分の周上の一部に設けられる場合に比して、対極電極によるオイルミストの吸着効率が有利に高められ得る。その結果、オイルミストの分離性能の更なる向上が達成され得ることとなる。
【0022】
<9> 上記せる態様<1>乃至態様<7>のうちの何れか一つにおいて、前記対極電極が、前記ブローバイガスが流通可能な網目を多数備えた網状形態を呈する網状電極にて構成されて、該網状電極が、前記セパレータ本体の内部における前記下流側部分に、該多数の網目を該ブローバイガスの流通方向に対して交差する方向に並べた状態で固定されていること。
【0023】
このような本態様においては、例えば、セパレータ本体の下流側部分の内周面が対極電極にて構成される場合とは異なって、対極電極が、セパレータ本体の下流側部分における内周面側だけでなく、内周面から離隔した中心部側においても、ブローバイガスの流れに晒されるようになり、そのため、ブローバイガスに含まれるオイルミストが、セパレータ本体の下流側部分を、対極電極に対して、より接近した状態で流動せしめられるようになる。そして、それによって、セパレータ本体の下流側部分を帯電状態で流動せしめられるブローバイガス中のオイルミストと対極電極との間に作用せしめられるクーロン力が、効果的に増大せしめられ得る。しかも、ブローバイガスが、対極電極を構成する網状電極の網目を通過しつつ、セパレータ本体の下流側部分を流動せしめられるため、セパレータ本体内での圧力損失の増大が、可及的に回避乃至は抑制され得る。
【0024】
従って、かかる本態様によれば、圧力損失の増大を伴うことなしに、オイルミストが、対極電極に対して、より効率的に且つ確実に吸着され得る。そして、その結果として、オイルミストの分離性能の更なる向上が、極めて有利に達成され得ることとなる。
【0025】
<10> 上記の態様<9>において、前記セパレータ本体の内部における前記下流側部分に、前記網状電極からなる前記対極電極の複数が、前記ブローバイガスの流通方向に間隔をおいて、複数固定されていること。この本態様によれば、オイルミストが、対極電極に対して、より十分に且つ確実に吸着され得る。
【0026】
<11> 上記せる態様<1>乃至態様<10>のうちの何れか一つにおいて、前記セパレータ本体の内周面における前記ブローバイガスの流通方向の下流側部分に対して、前記対極電極が位置せしめられる一方、該セパレータ本体における該対極電極の配置部位よりも該ブローバイガスの流通方向の上流側の内部又は内周面に、該セパレータ本体内での該ブローバイガスの流れを、前記導入口から前記排出口に向かって一方向に直線的に流れる一方向流から、該一方向と交差する方向に流れる非一方向流乃至は旋回流に変更する変更部が設けられていること。
【0027】
このような本態様において、変更部により、ブローバイガスの流れが一方向流から非一方向流に変更せしめられる場合には、ブローバイガスが、セパレータ本体におけるブローバイガスの流通方向下流側部分で、対極電極が位置せしめられる内周面側に向かって流動せしめられるようになり、それによって、ブローバイガスに含まれるオイルミストが、セパレータ本体の下流側部分を、対極電極に対して、より接近するように流動せしめられるようになる。また、変更部により、ブローバイガスの流れが一方向流から旋回流に変更せしめられる場合にあっても、旋回流の円心分離作用によって、ブローバイガス中のオイルミストが、セパレータ本体の下流側部分を、対極電極に対して、より接近するように流動せしめられるようになる。
【0028】
それ故、かかる本態様では、対極電極を特別な構造とすることなしに、セパレータ本体の下流側部分を帯電状態で流動せしめられるブローバイガス中のオイルミストと対極電極との間に作用せしめられるクーロン力が効果的に増大せしめられ、以て、オイルミストが、対極電極に対して、更に効率的に且つ確実に吸着され得るようになる。そして、その結果として、オイルミストの分離性能の更なる向上が有利に達成され得ることとなる。
【0029】
<12> 上記の態様<11>において、前記変更部が、前記ブローバイガスの流通方向に沿って螺旋状に延びる変更面を有して、前記セパレータ本体の内部における前記対極電極の配置部位よりも該ブローバイガスの流通方向の上流側部分に固定された、絶縁材料からなる旋回リボン板にて構成されて、該セパレータ本体内での該ブローバイガスの流れが、該旋回リボン板の変更面にて、前記一方向流から前記旋回流に変更されるようになっていること。この本態様によれば、セパレータ本体内で、ブローバイガスの流れを、より確実に旋回流に変更することが可能となる。
【0030】
<13> 上記の態様<11>において、前記変更部が、前記セパレータ本体の内周面における前記対極電極の配置部位よりも前記ブローバイガスの流通方向の上流側部分に、該ブローバイガスの流通方向に沿って螺旋状に延びるように形成された螺旋溝及び/又は螺旋突条にて構成されて、該セパレータ本体内での該ブローバイガスの流れが、該螺旋溝及び/又は該螺旋突条にて、前記一方向流から前記旋回流に変更されるようになっていること。この本態様によれば、例えば、セパレータ本体を合成樹脂材料にて構成することによって、かかるセパレータ本体の内周面に対して、螺旋溝や螺旋突条を容易に一体成形することが可能となる。それにより、変更部の増設による部品点数の増加が有利に回避され得て、変更部の増設に起因するオイルセパレータの製造コストの高騰や製作性の低下が、効果的に抑制され得ることとなる。
【0031】
<14> 上記の態様<11>において、前記変更部が、前記セパレータ本体内での前記ブローバイガスの流れを部分的に遮る遮蔽面を有して、該セパレータ本体の内部における前記対極電極の配置部位よりも前記ブローバイガスの流通方向の上流側部分に固定された、絶縁材料からなる遮蔽部材にて構成されて、該セパレータ本体内での該ブローバイガスの流れが、該遮蔽部材の遮蔽面にて、前記一方向流から前記非一方向流に変更されるようになっていること。この本態様によれば、セパレータ本体内で、ブローバイガスの流れを、より確実に非一方向流に変更することが可能となる。
【0032】
<15> 上記の態様<14>において、前記遮蔽部材の前記遮蔽面が、前記ブローバイガスの流通方向の上流側から下流側に向かって次第に大径化するテーパ面とされていること。この本態様によれば、圧力損失の増大を可及的に抑制しつつ、ブローバイガスの流れを非一方向流に変更することが出来る。
【0033】
<16> 上記せる態様<11>乃至態様<15>のうちの何れか一つにおいて、前記変更部が、前記セパレータ本体の内部又は内周面における前記対極電極の配置部位よりも前記ブローバイガスの流通方向の上流側で且つ前記放電電極の配置部位よりも該ブローバイガスの流通方向の下流側の部分に設けられていること。この本態様においては、放電電極の配置部位よりも下流側で、ブローバイガスの流れを非一方向流や旋回流に変更することが出来る。それ故、例えば、放電電極の配置部位よりも上流側で、ブローバイガスの流れを非一方向流や旋回流に変更する場合に比して、放電電極でのコロナ放電の発生により、ブローバイガス中のオイルミストが、確実に且つ効率的に帯電せしめられ得るようになる。それによって、オイルミストの分離効率の向上が、より有効に実現され得る。
【0034】
<17> 上記せる態様<1>乃至態様<16>のうちの何れか一つにおいて、前記放電電極と前記対極電極のうちの何れか一方が、正の電圧を印加する正電源手段に接続される一方、それらのうちの何れか他方が、負の電圧を印加する負電源手段に接続されていること。この本態様によれば、放電電極でのコロナ放電の発生により帯電せしめられたオイルミストと対極電極との間で、それらを互いに引きつけ合うように作用せしめられるクーロン力が有利に増大され、以て、オイルミストが、対極電極に対して、更に効率的に且つ確実に吸着され得るようになる。そして、その結果として、オイルミストの分離性能の更なる向上が有利に達成され得ることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0036】
先ず、図1には、本発明に従うブローバイガス用オイルセパレータの一実施形態としての自動車エンジン用オイルセパレータが、自動車エンジンに組み付けられた状態下での縦断面形態において、概略的に示されている。かかる図1から明らかなように、本実施形態のオイルセパレータ10は、セパレータ本体12を有して、構成されている。
【0037】
より具体的には、オイルセパレータ10を構成するセパレータ本体12は、絶縁材料、例えば、ポリアミド樹脂をマトリックスとしたガラス繊維強化樹脂等を用いて形成されている。そして、全体として、両側有底の円筒形状を呈する大径の管体からなり、エンジンへの組付状態下で水平方向に延びる円筒状の筒壁部14と、かかる筒壁部14の軸方向両側の開口部をそれぞれ閉塞する第一及び第二底壁部15,16とを一体的に有している。
【0038】
また、それら2個の底壁部15,16のうち、第一底壁部15の中心部には、それを貫通して、セパレータ本体12の内部空間を外部に連通せしめる開口部からなるガス導入口18が、円形状を有して設けられている。そして、このガス導入口18には、円筒状のガス導入管20が、一端部において連通状態で接続されている。
【0039】
一方、第二底壁部16の中心部にも、それを貫通して、セパレータ本体12の内部空間を外部に連通せしめる開口部からなるガス排出口22が、ガス導入口18と略同じ大きさの円形状をもって、形成されている。このガス排出口22には、円筒状のガス排出管24が、一端部において連通状態で接続されている。
【0040】
また、筒壁部14の下部部位のうち、ガス排出口22が設けられる第二底壁部16に近接位置する部分には、オイル排出口26が、ガス排出口22よりも小なさな円形状をもって設けられている。このオイル排出口26には、ガス導入管20やガス排出管24よりも小径のオイル排出管28が、一端部において連通状態で接続されている。
【0041】
なお、ここでは、ガス導入管20とガス排出管24とオイル排出管28とが、何れも、セパレート本体12と同じ絶縁材料、例えばポリアミド樹脂をマトリックスとしたガラス繊維強化樹脂等を用いて、形成されている。また、そのようなガス導入管20とガス排出管24とオイル排出管28とが、ガス導入口18とガス排出口22とオイル排出口26とに対して、例えば接着や溶着等により一体的に接合されて、接続されることで、それら各導入管乃至は排出管20,24,28の外周面と各導入口乃至は排出口18,22,264の内周面との間の気密性乃至は液密性が、確保されている。
【0042】
そして、かかるセパレータ本体12にあっては、筒壁部14の下部部位のうち、ガス導入口18が設けられる第一底壁部15に近接位置する部分の内周面上に、全体として、針状形態を呈する、放電電極としての針状電極30が、立設されている。また、この針状電極30は、先端が鋭利なエッジ部32とされ、かかるエッジ部32が、セパレータ本体12の内部空間における筒壁部14の径方向(図1中、上下方向)中間部に位置せしめられている。なお、針状電極30の形成材料は、導電性材料であれば、特に限定されるものではない。
【0043】
また、筒壁部14内における、ガス排出口22が設けられる第二底壁部16側には、全体として、筒壁部14の内径よりも極僅かに小さな外径を備えた薄肉円筒状形態を呈する、対極電極としての筒状電極34が配置されている。この筒状電極34は、筒壁部14の軸方向長さの半分に少しだけ満たない軸方向長さを有し、また、長さ方向(図1中、左右方向)の一端部側部位における周上の一個所に、筒壁部14に設けられた前記オイル排出口26と略同一の大きさの円形状の貫通孔36が設けられて、成っている。
【0044】
そして、このような筒状電極34が、貫通孔36をオイル排出口26に対応位置させると共に、貫通孔36の形成側端部の端面を第二底壁部16の内面に当接位置せしめた状態で、外周面において、筒壁部14における第二底壁部16側の内周面部分に固着されている。これにより、筒状電極34が、セパレータ本体12内において、ガス導入口18側に立設された針状電極30と軸方向に所定距離を隔てて、内周面の全面を、セパレータ本体12の内部空間内に露出させた状態で配設されている。換言すれば、セパレータ本体12の内周面のうち、ガス排出口22側の半分に少しだけ満たない部分の全面が、筒状電極34の内周面にて構成されているのである。なお、この筒状電極34にあっても、その形成材料が、導電性材料であれば、何等限定されるものではない。
【0045】
そして、かくの如き構造を有するセパレータ本体12のガス導入口18に接続されたガス導入管20が、エンジンのクランクケース38の側壁部に設けられた接続孔40に対して、連通状態で接続されている一方、ガス排出口22に接続されたガス排出管24が、エンジンの吸気管路42の管壁に設けられた接続孔44に対して、連通状態で接続されている。これによって、クランクケース38と吸気管路42とが、オイルセパレータ10を介して、互いに連通状態で連結されるようになっている。また、オイル排出口26に接続されたオイル排出管28は、クランクケース38の下部に位置するオイルパン46の側壁部に設けられた接続孔48に対して、連通状態で接続されている。
【0046】
一方、セパレータ本体12内に設けられた針状電極30と筒状電極34は、公知の構造を有する高電圧発生器50に電気的に接続されて、かかる高電圧発生器50から、針状電極30に対して、負の高電圧(例えば、2〜10kV程度)が印加されるようになっている。そして、そのような針状電極30に対する負の高電圧の印加によって、針状電極30と筒状電極34との間で、コロナ放電が発生せしめられるようになっている。
【0047】
かくして、本実施形態にあっては、図示しないピストンリングとシリンダ壁との隙間からクランクケース38内に漏出した、オイルミストを多量に含むブローバイガスが、吸気管路42内の負圧により、オイルセパレータ10のガス導入管20とセパレータ本体12の内部空間とガス排出管24とを通じて、クランクケース38内から吸気管路42内に強制的に環流され、更に、図示しない燃焼室内に戻されて、再燃焼せしめられるようになっている。なお、ここでは、セパレータ本体12が、ガス導入口18とガス排出口22の他に、オイル排出口26を通じて外部に連通せしめられているが、このオイル排出口26に接続されたオイル排出管28内に、オイルパン46内のエンジンオイル51が浸入せしめられているため、かかるオイル排出口26を通じてのブローバイガスの外部への漏出が阻止されるようになっている。
【0048】
これらのことから明らかなように、本実施形態では、セパレータ本体12内におけるガス導入口18側に設けられた針状電極30が、セパレータ本体12内におけるブローバイガスの流通方向の上流側部分に位置せしめられている一方、ガス排出口22側に設けられた筒状電極34が、セパレータ本体12内におけるブローバイガスの流通方向の下流側部分に位置せしめられている。また、図1中、52は、ガス排出管24内を流通せしめられるブローバイガス、つまり、クランクケース38内から吸気管路42内に強制的に環流されるブローバイガスの流量を制御する公知のPCV(ポジディブクランクケースベンチレーション)バルブである。
【0049】
而して、かかる本実施形態にあっては、特に、オイルセパレータ10を通じてのブローバイガスの強制的な環流状態下において、高電圧発生器50から針状電極30に対して負の高電圧(例えば、2〜10kV程度)が印加されて、針状電極30と筒状電極34との間でコロナ放電が発生せしめられることにより、図2に模式的に示される如く、針状電極30のエッジ部32付近に存在するブローバイガスのガス成分が電離せしめられるようになっている。そして、この電離により生じた多数の電子54が、ブローバイガス中のオイルミスト56に衝突して、付着することで、かかるオイルミスト56が負に帯電せしめられるように構成されている。
【0050】
また、かくして負に帯電せしめられたオイルミスト56を含むブローバイガスが、筒状電極34の内側を、ガス排出口22に向かって流通せしめられる際に、負に帯電したオイルミスト56が、クーロン力により、筒状電極34の内周面に吸着されるようになっている。これによって、クランクケース38内から吸気管路42内に強制的に環流されるブローバイガスに含まれるオイルミスト56が、ブローバイガス中から分離されるようになっているのである。
【0051】
なお、筒状電極34の内周面に吸着されたオイルミスト56は、筒状電極34の内周面上を、ガス排出口22側に向かって、ブローバイガスの流れに押し流されつつ凝集して、液滴となる。そして、この液滴となったオイルミスト56は、筒状電極34とセパレータ本体12とに対応位置するように設けられた貫通孔36とオイル排出口26を通じて、オイル排出管28内に排出され、また、このオイル排出管28を通じて、オイルパン46内に戻されるようになっている。
【0052】
このように、本実施形態のオイルセパレータ10にあっては、針状電極30と筒状電極34との間でコロナ放電を発生させることにより、ガス導入口18を通じてセパレータ本体12内に導入されたブローバイガス中のオイルセミスト56を、帯電させて、筒状電極34に吸着せしめるようにしたものであるところから、粒径の大きなオイルミスト56は勿論、例えば1μm以下の極めて微小な粒径を有するオイルミスト56も、確実に帯電させることが出来る。また、そのような極めて微小なオイルミスト56は、質量が小さい分だけ、保持する運動エネルギーが小さいために、筒状電極34に対して、より確実に吸着せしめられ得る。
【0053】
しかも、かかるオイルセパレータ10では、セパレータ本体12内に、針状電極30が立設されているだけであるため、例えば、複数の邪魔板や衝突板にブローバイガスを衝突させることにより、ブローバイガス中のオイルミストを分離する、前記せる如きラビリンス方式や慣性衝突方式を採用する従来装置とは異なって、セパレータ本体12内には、ブローバイガスの流通の妨げとなるような障害物が、実質的に何等存在しない。また、前記せるサイクロン方式を採用する従来装置とも異なって、ブローバイガスの旋回流の円心分離作用を何等利用するものでもない。
【0054】
それ故、本実施形態のオイルセパレータ10においては、セパレータ本体12内でのブローバイガスの流通時に生ずる圧力損失が効果的に小さく抑えられ得るのであり、また、従来装置とは異なって、微小な粒径を有するオイルミスト56をブローバイガス中から分離せしめるために、邪魔板や衝突板の数を増やしたり、ブローバイガスの旋回流の流速を上昇させたりすることで、圧力損失が増大せしめられるようなことが、有利に皆無ならしめられ得る。
【0055】
従って、かくの如き本実施形態に係るオイルセパレータ10にあっては、ブローバイガスに含まれるオイルミスト56を、その粒径に拘わらず、例えば1μm以下の極めて微小な粒径を有するものであっても、圧力損失の増大を伴うことなく、ブローバイガス中から確実に分離することが出来る。そして、その結果として、従来装置では得られない優れた分離性能が、極めて有利に発揮され得ることとなるのである。
【0056】
また、かかるオイルセパレータ10では、セパレータ本体12の内周面のうち、ガス排出口22側の半分に少しだけ満たない部分の全面が、筒状電極34の内周面にて構成されているところから、セパレータ本体12内において、帯電したオイルミスト56を吸着可能な部分が、十分に大きな面積をもって有利に確保され得、それにより、オイルミスト56の吸着効率が、より効果的に高められ得る。そして、その結果として、オイルセミスト56の分離性能の更なる向上が、有効に図られ得る。
【0057】
さらに、本実施形態においては、セパレータ本体12が、ガス導入管20とガス排出管24とを通じて、クランクケース38と吸気管路42とに対して、それぞれ直接に接続されて、オイルセパレータ10の全体が、それらクランクケース38と吸気管路42とを連結して、ブローバイガスが環流せしめられる連結流路の一部として構成されているため、オイルセパレータ10の設置に伴うエンジンの大型化が有利に抑制され得るといった利点もある。
【0058】
次に、図3及び図4には、上述せる第一の実施形態とは放電電極の構造が異なる、本発明に従うブローバイガス用オイルセパレータの別の実施形態が、縦断面形態と横断面形態とにおいて、それぞれ概略的に示されている。なお、それら図3及び図4に示される実施形態、並びに後述する図5乃至図12に示される幾つかの実施形態においては、図1及び図2に示された前記第一の実施形態と同様な構造とされた部材及び部位について、図1及び図2と同一の符号を付すことにより、その詳細な説明は省略した。
【0059】
すなわち、本実施形態のオイルセパレータ10は、図3及び図4から明らかな如く、セパレータ本体12の筒壁部14におけるブローバイガスの流通方向(図3中、左右方向)中間部よりも上流側(図3中、左側)の内周面部分に、電極列58が、形成されている。
【0060】
この電極列58は、放電電極たる針状電極30の複数(ここでは、8個)のものからなっている。そして、それら複数の針状電極30が、筒壁部14の内周面上における周方向に一定の距離を隔てた位置のそれぞれにおいて、筒壁部14の中心軸上の一点に向かって延びるように立設されている。換言すれば、複数の針状電極30は、それぞれのエッジ部32を、筒壁部14の径方向中間部に位置せしめた状態で、放射状に延びるように配置されて、筒壁部14の内周面上に固設されている。つまり、そのような配設形態をもって筒壁部14の内周面上に固設された複数の針状電極30によって、電極列58が構成されているのである。なお、かかる電極列58を構成する複数の針状電極30は、何れも、図示しない高電圧発生器(50)に対して電気的に接続されている。
【0061】
一方、セパレータ本体12の筒壁部14におけるブローバイガスの流通方向中間部よりも下流側の内周面部分には、円筒状形態を呈する、対極電極としての筒状電極34が、セパレータ本体12の軸方向に、電極列58における各針状電極30と所定距離を隔て、且つ内周面の全面をセパレータ本体12の内部空間に露出せしめた状態で、固着されている。この筒状電極34も、図示しない高電圧発生器(50)に対して電気的に接続されている。
【0062】
かくして、本実施形態のオイルセパレータ10にあっては、高電圧発生器(50)から、電極列58における複数の針状電極30のそれぞれに対して負の高電圧が印加されることにより、それら各針状電極30と筒状電極34との間でコロナ放電が発生せしめられるようになっている。
【0063】
それ故、このようなオイルセパレータ10においては、クランクケース(38)内に漏出した、オイルミストを多量に含むブローバイガスが、吸気管路(42)内の負圧により、オイルセパレータ10のガス導入管20とセパレータ本体12の内部空間とガス排出管24とを通じて、クランクケース(38)内から吸気管路(42)内に強制的に環流されている状態下で、高電圧発生器50から電極列58の各針状電極30に対して負の高電圧が印加されて、各針状電極30と筒状電極34との間でコロナ放電が発生せしめられることにより、ブローバイガスに含まれるオイルミストが負に帯電せしめられるようになっている。そして、この負に帯電せしめられたオイルミストが、クーロン力により、筒状電極34に吸着されて、ブローバイガス中から分離せしめられるように構成されている。また、この筒状電極34に吸着されたオイルミストは、やがて液滴となって、オイル排出管28を通じて、セパレータ本体12内からエンジンのオイルパン(46)内に戻されるようになる。
【0064】
従って、かくの如き構造とされた本実施形態のオイルセパレータ10においても、前記第一の実施形態と同様に、ブローバイガスに含まれるオイルミストを、例えば1μm以下の極めて微小な粒径を有するものであっても、圧力損失の増大を伴うことなく、ブローバイガス中から確実に分離することが出来、以て、オイルミストの分離性能が、極めて有利に高められ得るのである。
【0065】
そして、この本実施形態に係るオイルセパレータ10にあっては、特に、針状電極30が、セパレータ本体12内に、その周方向にそれぞれ間隔をおいて複数設けられているところから、例えば、針状電極30がセパレータ本体12内に1個だけ設けられる場合に比して、オイルミストが、より一層効率的に且つ十分に帯電せしめられ得る。そして、その結果として、筒状電極34でのオイルミストの吸着効率、ひいてはブローバイガス中からのオイルミストの分離効率の向上が、極めて有利に実現され得ることとなる。
【0066】
なお、本実施形態では、複数の針状電極30からなる電極列58が、セパレータ本体12の筒壁部14の内周面におけるブローバイガスの流通方向上流側の1個所だけに設けられていたが、例えば、図5に示される如く、セパレータ本体12の筒壁部14におけるブローバイガスの流通方向(図5中、左右方向)中間部よりも上流側(図5中、左側)の内周面部分に、電極列58の複数組(ここでは、3組)を、ブローバイガス流通方向において互いに所定距離を隔てて、設けることも出来る。
【0067】
このような構造によれば、針状電極30が、セパレータ本体12内に、その周方向だけでなく、軸方向にも、互いに所定の間隔をおいて複数設けられることになる。それ故、それら各針状電極30と筒状電極34との間で生ぜしめられるコロナ放電により、オイルミストが、更に一段と効率的に且つ十分に帯電せしめられ得、以て、筒状電極34でのオイルミストの吸着効率、ひいてはブローバイガス中からのオイルミストの分離効率が、更に飛躍的に高められ得ることとなる。
【0068】
なお、複数組の電極列58の配置間隔は、互いに等しい距離であっても、そうでなくとも、何等差し支えなく、例えば、セパレータ本体12の大きさ(筒壁部14の軸方向長さ)等に応じて、適宜に決定されるところである。
【0069】
次に、図6及び図7には、上述せる第一及び第二の実施形態とは放電電極の構造が更に異なる、本発明に従うブローバイガス用オイルセパレータの他の実施形態が、縦断面形態と横断面形態とにおいて、それぞれ概略的に示されている。
【0070】
それら図6及び図7から明らかなように、本実施形態のオイルセパレータ10においては、セパレータ本体12の筒壁部14におけるブローバイガスの流通方向(図6中、左右方向)中間部よりも上流側(図6中、左側)の内周面部分に、電極支持部材60が、固設されている。
【0071】
この電極支持部材60は、セパレータ本体12の筒壁部14の内径と略同一乃至は僅かに小さな外径と低い高さとを有する円筒状枠部62と、かかる円筒状枠部62の内側に、ブローバイガスが通過するのに十分な大きさの矩形の網目が多数形成されるように、導電性を有する金属線64が縦横に組み合わされて、設けられた網状部66とを一体的に有して、構成されている。そして、このような電極支持部材60が、網状部66の網目を、ブローバイガスの流通方向と直角な方向において縦横に並べた状態で、円筒状枠部62において、セパレータ本体12の筒壁部14に圧入されるか、或いは接着される等して、固設されている。
【0072】
而して、本実施形態においては、特に、かくしてセパレータ本体12内に固設された複数の電極支持部材60のそれぞれに対して、放電電極としての針状電極30の複数が固定されて、支持されている。
【0073】
すなわち、ここでは、複数の針状電極30が、電極支持部材60の網状部66に形成される多数の網目のうちの幾つかのものの内側に、それぞれ1個ずつ位置するように、それら各網目を取り囲む金属線64に対して固定されている。これにより、セパレータ本体12内におけるブローバイガスの流通方向中間部よりも上流側の部分に、針状電極30が、セパレータ本体12の径方向と周方向とにそれぞれ間隔をおいて、複数設けられているのである。なお、それら複数の針状電極30は、何れも、高電圧発生器(50)に対して電気的に接続されている。
【0074】
一方、セパレータ本体12の筒壁部14におけるブローバイガスの流通方向中間部よりも下流側の内周面部分には、円筒状形態を呈する、対極電極としての筒状電極34が、セパレータ本体12の軸方向に、各針状電極30と所定距離を隔て、且つ内周面の全面をセパレータ本体12の内部空間に露出せしめた状態で、固着されている。この筒状電極34も、高電圧発生器(50)に対して電気的に接続されている。
【0075】
かくして、本実施形態のオイルセパレータ10にあっては、高電圧発生器(50)から、電極支持部材60に支持された複数の針状電極30のそれぞれに対して負の高電圧が印加されることにより、それら各針状電極30と筒状電極34との間でコロナ放電が発生せしめられるようになっている。
【0076】
それ故、本実施形態においても、オイルセパレータ10を通じてのブローバイガスの強制的な環流状態下で、セパレータ本体12内に設けられた複数の針状電極30と筒状電極34との間でコロナ放電が生ぜしめられることにより、ブローバイガス中のオイルミストを負に帯電させ、そして、筒状電極34に吸着させて、ブローバイガス中から分離することが出来る。従って、前記せる幾つかの実施形態と同様に、ブローバイガスに含まれるオイルミストを、その粒径の大小に拘わらず、しかも圧力損失の増大を伴うこともなく、ブローバイガス中から確実に分離することが出来、以て、オイルミストの優れた分離性能が、極めて有利に発揮され得るのである。
【0077】
そして、本実施形態においては、特に、針状電極30が、セパレータ本体12内に、その周方向と径方向とにそれぞれ間隔をおいて複数設けられているところから、複数の針状電極30が、ブローバイガスに対して、より十分に且つ確実に晒され得、それによって、オイルミストが、より一層効率的に且つ十分に帯電せしめられ得る。その結果として、筒状電極34でのオイルミストの吸着効率、ひいてはブローバイガス中からのオイルミストの分離効率が、更に一層有利に高められ得ることとなる。
【0078】
なお、本実施形態では、複数の針状電極30を支持する電極支持部材60が、セパレータ本体12の筒壁部14におけるブローバイガスの流通方向上流側の1個所だけに設けられていたが、例えば、図8に示される如く、セパレータ本体12の筒壁部14におけるブローバイガスの流通方向(図8中、左右方向)中間部よりも上流側(図8中、左側)の内周面部分に、複数個(ここでは、3個)の電極支持部材60を、ブローバイガス流通方向において互いに所定距離を隔てて、設けることも出来る。
【0079】
このような構造によれば、針状電極30が、セパレータ本体12内に、その周方向や径方向だけでなく、軸方向にも、互いに所定の間隔をおいて複数設けられることになる。それによって、オイルミストが、更に一段と効率的に且つ十分に帯電せしめられ得、以て、筒状電極34でのオイルミストの吸着効率、ひいてはブローバイガス中からのオイルミストの分離効率が、より一段と向上され得ることとなる。
【0080】
なお、複数個の電極支持部材60の配置間隔は、互いに等しい距離であっても、そうでなくとも、何等差し支えなく、例えば、セパレータ本体12の大きさ(筒壁部14の軸方向長さ)等に応じて、適宜に決定されるところである。
【0081】
次に、図9及び図10には、前述せる幾つかの実施形態とは対極電極の構造が異なる、本発明に従うブローバイガス用オイルセパレータの別の実施形態が、縦断面形態と横断面形態とにおいて、それぞれ概略的に示されている。
【0082】
それら図9及び図10から明らかなように、本実施形態のオイルセパレータ10においては、セパレータ本体12の筒壁部14におけるブローバイガスの流通方向(図9中、左右方向)中間部よりも下流側(図9中、右側)に、対極電極としての網状電極68が、固設されている。
【0083】
この網状電極68は、セパレータ本体12の筒壁部14の内径と略同一乃至は僅かに小さな外径と低い高さとを有する円筒状枠部70と、かかる円筒状枠部70の内側に、ブローバイガスが通過するのに十分な大きさの矩形の網目が多数形成されるように、導電性を有する金属線72が縦横に組み合わされて、設けられた網状部74とを一体的に有して、構成されている。そして、このような網状電極68が、網状部74の網目を、ブローバイガスの流通方向と直角な方向において縦横に並べた状態、換言すれば、網状電極68の網目を取り囲む金属線72が、かかる筒壁部14の径方向において縦横に張り巡らされた状態で、円筒状枠部70において、セパレータ本体12の筒壁部14に圧入されるか、或いは接着される等して、固定されている。なお、このような網状電極68は、図示しない高電圧発生器(50)に対して電気的に接続されている。
【0084】
一方、セパレータ本体12の筒壁部14におけるブローバイガスの流通方向の中間部よりも上流側の内周面上には、放電電極としての針状電極30が、セパレータ本体12の軸方向に、網状電極68と所定距離を隔て、且つエッジ部32を、セパレータ本体12の内部空間における筒壁部14の径方向中間部に位置せしめた状態で、立設されている。また、この針状電極30も、図示しない高電圧発生器(50)に対して電気的に接続されている。
【0085】
かくして、本実施形態のオイルセパレータ10にあっては、高電圧発生器(50)から、針状電極30に対して負の高電圧が印加されることにより、針状電極30と網状電極68との間でコロナ放電が発生せしめられるようになっている。
【0086】
それ故、本実施形態においても、前記幾つかの実施形態と同様に、針状電極30と網状電極68との間で生ずるコロナ放電により、オイルセパレータ10を通じて強制的に環流せしめられるブローバイガス中のオイルミストを、その粒径の大小に拘わらず、しかも圧力損失の増大を伴うこともなく、負に帯電させ、そして、網状電極68に吸着させて、ブローバイガス中から確実に分離することが出来、以て、オイルミストの優れた分離性能が、極めて有利に発揮され得るのである。
【0087】
そして、本実施形態においては、特に、ブローバイガスが、セパレータ本体12の筒壁部14におけるブローバイガスの流通方向の下流側を、網状電極68の網目内を通過するようにして、流通せしめられるようになる。そのため、例えば、セパレータ本体12のブローバイガス流通方向下流側を流通するブローバイガスのうち、筒壁部14の内周面に近位の部分を流れるブローバイガスにあっても、また、その内周面に遠位の軸心側の部分を流れるブローバイガスにあっても、何れも、網状電極68における網状部74の金属線72に対して接触せしめられるか、或いはそれに近接して流通せしめられ、それによって、負に帯電したオイルミストが、網状電極68によって、より一層効率的に且つ確実に吸着せしめられ得る。そして、その結果として、ブローバイガス中からのオイルミストの分離効率が、更に効果的に高められ得ることとなる。
【0088】
なお、本実施形態では、網状電極68が、セパレータ本体12の筒壁部14におけるブローバイガスの流通方向上流側の1個所だけに設けられていたが、例えば、図11に示される如く、セパレータ本体12の筒壁部14におけるブローバイガスの流通方向(図11中、左右方向)中間部よりも上流側の内周面部分に、複数個(ここでは、4個)の網状電極68を、ブローバイガス流通方向において互いに所定距離を隔てて、設けることも出来る。
【0089】
このような構造によれば、セパレータ本体12のブローバイガス流通方向下流側を流通するブローバイガスが、複数の網状電極68に接触するか又はそれに近接して流通せしめられるようになり、それによって、負に帯電したオイルミストが、複数の網状電極68によって、更に一段と確実に吸着せしめられ得、以て、ブローバイガス中からのオイルミストの分離効率の向上が、より高いレベルで実現され得る。
【0090】
なお、複数の網状電極68の配置間隔は、互いに等しい距離であっても、そうでなくとも、何等差し支えなく、例えば、セパレータ本体12の大きさ(筒壁部14の軸方向長さ)等に応じて、適宜に決定されるところである。
【0091】
次に、図12には、セパレータ本体の内部に、ブローバイガスの流れを変更せしめる変更部が設けられた点において、前述せる幾つかの実施形態とは構造が異なる、本発明に従うブローバイガス用オイルセパレータの更に別の実施形態が、縦断面形態において概略的に示されている。
【0092】
かかる図12から明らかなように、本実施形態のオイルセパレータ10においては、セパレータ本体12の筒壁部14におけるブローバイガスの流通方向(図12中、左右方向)中間部よりも上流側(図12中、左側)に、針状電極30が、エッジ部32を筒壁部14の径方向中間部に位置せしめた状態で、立設されている。また、その下流側において、針状電極30と所定距離を隔てた位置には、対極電極としての筒状電極34が、その内周面にて、筒壁部14の下流側部分の内周面を構成するように固設されている。そして、それら針状電極30と筒状電極34とが、図示しない高電圧発生器(50)に対して電気的に接続されている。
【0093】
これによって、かかるオイルセパレータ10にあっても、高電圧発生器(50)から針状電極30に対して負の高電圧が印加されることにより、針状電極30と筒状電極34との間でコロナ放電が発生せしめられるようになっている。
【0094】
そして、本実施形態では、セパレータ本体12のブローバイガス流通方向中間部で、針状電極30と筒状電極34のそれぞれの設置部位の間に、変更部としての旋回リボン板76が、固定されている。この旋回リボン板76は、例えば、セパレータ本体12の形成材料と同様な合成樹脂材料等の絶縁材料を用いて、形成されている。また、全体として、セパレータ本体12の筒壁部14内径と略同じか又は極僅かに小さな幅を有する長手矩形の薄肉平板を、長手方向の一端部と他端部とが互いに反転するように捻った形態を有しており、厚さ方向の両面が、それぞれ螺旋状に延びる変更面78a,78bとされている。そして、このような旋回リボン板76にあっては、一端部と他端部とが、セパレータ本体12の中間部において、その内部の上流側部位と下流側部位とを、それぞれ水平方向において左右に仕切るように位置せしめられ、且つ各変更面78a,78bがブローバイガスの流通方向に沿って螺旋状に延びるように位置せしめられた状態で、圧入や接着、或いは溶着等により固定されている。
【0095】
かくして、ガス導入口18を通じてセパレータ本体12内に導入されたブローバイガスの流れが、針状電極30の配設部位を通過した後、旋回リボン板76の各変更面78a,78bに案内乃至は導かれて、ガス導入口18からガス排出口22に向かってセパレータ本体12の軸方向に沿った一方向に直線的に流れる一方向流から旋回流に、容易に且つ確実に変更される。そして、図12に矢印にて示されるように、旋回流となったブローバイガスが、筒状電極34の配設部位を経て、ガス排出口22からガス排出管24内に排出されるようになる。これにより、セパレータ本体12内を流動せしめられるブローバイガス中のオイルミストが、旋回流の円心分離作用に基づいて、セパレータ本体12内の下流側部分を、その内周面、つまり筒状電極34の内周面に対して、より近接するように流動せしめられるようになっている。
【0096】
このように、本実施形態においても、前記幾つかの実施形態と同様に、針状電極30と筒状電極34との間で生ずるコロナ放電により、オイルセパレータ10を通じて強制的に環流せしめられるブローバイガス中のオイルミストを、その粒径の大小に拘わらず、しかも圧力損失の増大を伴うこともなく、負に帯電させ、そして、筒状電極34に吸着させて、ブローバイガス中から確実に分離することが出来、以て、オイルミストの優れた分離性能が、極めて有利に発揮され得る。
【0097】
そして、本実施形態においては、特に、負に帯電せしめられたオイルミストが、旋回流とされたブローバイガスの流れによって、セパレータ本体12内の下流側部分を、筒状電極34の内周面に対して、より近接するように流動せしめられるようになっているところから、それら帯電状態のオイルミストと筒状電極34との間の距離が有利に小さく為され得て、それらの間に作用せしめられるクーロン力が効果的に増大せしめられ、以て、かかるオイルミストが、筒状電極34に対して、更に効率的に且つ確実に吸着され得るようになる。そして、その結果として、オイルミストの分離性能の向上効果が、より高いレベルで奏され得ることとなる。
【0098】
なお、本実施形態では、旋回リボン板76が、セパレータ本体12内における針状電極30の配設部位と筒状電極34の配設部位との間に、1個だけ設けられていたが、それら針状電極30と筒状電極34のそれぞれの配設部位の間に、複数個を、ブローバイガスの流通方向や、それと交差する方向に並んで位置するように設けても良い。それによって、ブローバイガスが、より確実に旋回流と為され得、以て、筒状電極34でのオイルミストの吸着効率が、更に一層高められ得る。
【0099】
また、旋回リボン板76の1個若しくは複数個を、セパレータ本体12内における針状電極30の配設部位よりもブローバイガスの流通方向上流側に配設することも可能である。しかしながら、セパレータ本体12内における筒状電極34の配設部位でのブローバイガスの流れを効率的に旋回流と為すためには、旋回リボン板76の1個若しくは複数個が、セパレータ本体12内における針状電極30と筒状電極34のそれぞれの配設部位の間に配設されていることが望ましい。即ち、そのような配設形態を採用することによって、筒状電極34でのオイルミストの吸着効率が、より十分に高められ得ることとなるのである。
【0100】
次に、図13には、図12に示された前記実施形態とは、変更部の構造が異なる、本発明に従うブローバイガス用オイルセパレータの別の実施形態が、縦断面形態において概略的に示されている。
【0101】
かかる図13から明らかなように、本実施形態のオイルセパレータ10においても、セパレータ本体12の筒壁部14におけるブローバイガスの流通方向(図13中、左右方向)の上流側(図13中、左側)と下流側とに、放電電極としての針状電極30と対極電極としての筒状電極34とが、図12に示された前記実施形態と同様にして、設けられている。そして、それら針状電極30と筒状電極34とが、図示しない高電圧発生器(50)に対して電気的に接続されている。これにより、高電圧発生器(50)から針状電極30に対して負の高電圧が印加されることで、針状電極30と筒状電極34との間でコロナ放電が発生せしめられるようになっている。
【0102】
そして、本実施形態では、セパレータ本体12のブローバイガス流通方向中間部で、針状電極30と筒状電極34のそれぞれの設置部位の間に位置するセパレータ本体12の内周面部分に、ブローバイガスの流通方向(つまり、ガス導入口18側からガス排出口22側に向かう方向)に向かって螺旋状に連続して延びる螺旋突条80が、略台形状の縦断面をもって一体的に形成されている。また、このような螺旋突条80におけるブローバイガスの流通方向に隣り合うもの同士の互いの対向面とそれらの間に位置するセパレータ本体12の内周面部分とにて、ブローバイガスの流通方向に向かって螺旋状に連続して延びる螺旋溝82が、形成されている。
【0103】
なお、そのような螺旋突条80や螺旋溝82が内周面に設けられたセパレータ本体12は、例えば、セパレータ本体12に対応した形状の成形キャビティを有する金型を用い、かかる金型のキャビティ内に、螺旋突条80に対応した螺旋状の凹溝を有する中子等をセットした上で、射出成形等を実施すること等によって、容易に成形され得る。また、螺旋突条80の高さは、圧力損失が可及的に抑えられ得る高さにおいて、適宜に設定される。
【0104】
かくして、ガス導入口18を通じてセパレータ本体12内に導入されたブローバイガスの流れが、針状電極30の配設部位を通過した後、螺旋突条80や螺旋溝82に案内乃至は導かれて、ガス導入口18からガス排出口22に向かう一方向流から旋回流に、容易に且つ確実に変更される。そして、図13に矢印で示されるように、旋回流となったブローバイガスが、筒状電極34の配設部位を経て、ガス排出口22からガス排出管24内に排出されるようになる。これにより、セパレータ本体12内を流動せしめられるブローバイガス中のオイルミストが、旋回流の円心分離作用に基づいて、セパレータ本体12内の下流側部分を、筒状電極34の内周面に対して、より近接するように流動せしめられるようになっている。このことから明らかなように、ここでは、螺旋突条80と螺旋溝82とによって、変更部が構成されている。
【0105】
このように、本実施形態においても、前記実施形態と同様に、針状電極30と筒状電極34との間で生ずるコロナ放電により、オイルセパレータ10を通じて強制的に環流せしめられるブローバイガス中のオイルミストが、その粒径の大小に拘わらず、しかも圧力損失の増大を伴うこともなく、負に帯電させられて、クーロン力により、筒状電極34に吸着され得るようになる。しかも、帯電状態のオイルミストが、旋回流とされたブローバイガスの流れによって、セパレータ本体12内の下流側部分を、筒状電極34の内周面に対して、より近接するように流動せしめられることで、それら帯電状態のオイルミストと筒状電極34との間の距離が有利に小さく為され得て、それらの間に作用せしめられるクーロン力が効果的に増大せしめられ、以て、かかるオイルミストが、筒状電極34に対して、より効率的に且つ確実に吸着され得る。従って、オイルミストの分離性能が、更に効果的に高められ得ることとなる。
【0106】
そして、このような本実施形態のオイルセパレータ10にあっては、特に、セパレータ本体12内を流通するブローバイガスの流れを旋回流に変更する螺旋突条80と螺旋溝82とが、セパレータ本体12の内周面に対して一体形成されているため、例えば、セパレータ本体12内に、それとは別個の部材を取り付けて、ブローバイガスの流れを旋回流と為すように構成する場合とは異なって、余分な部材を準備し、またそれをセパレータ本体12内に取り付ける面倒でコストの掛かる作業を行う必要が、有利に皆無ならしめられ得る。従って、ブローバイガスの流れを旋回流と為すことによって奏される効果が、オイルセパレータ10の製作性の低下や製作コストの高騰を招くことなく、極めて有利に享受され得るのである。
【0107】
なお、本実施形態では、セパレータ本体12の内周面に、螺旋突条80を設けることで、螺旋溝82が形成されていたが、かかる内周面に、それよりも一段深くなった底面を有する螺旋溝82を設けて、そのような螺旋溝82の側壁部を螺旋突条80として構成することも、勿論可能である。
【0108】
また、そのような螺旋突条80や螺旋溝82を、セパレータ本体12の内周面における針状電極30の配設部分よりもブローバイガス流通方向の上流側の部位に形成しても良い。しかしながら、セパレータ本体12内における筒状電極34の配設部位でのブローバイガスの流れを、より効率的に旋回流と為すためには、図13に示されるように、螺旋突条80や螺旋溝82が、セパレータ本体12内における針状電極30と筒状電極34のそれぞれの配設部位の間に配設されていることが望ましい。即ち、そのような配設形態を採用することによって、筒状電極34でのオイルミストの吸着効率が、より十分に高められ得ることとなるのである。
【0109】
次に、図14及び図15には、図12や図13に示された前記二つの実施形態とは、変更部の構造が更に異なる、本発明に従うブローバイガス用オイルセパレータの他の実施形態が、縦断面形態において概略的に示されている。
【0110】
それら図14及び図15から明らかなように、本実施形態のオイルセパレータ10においても、セパレータ本体12の筒壁部14におけるブローバイガスの流通方向(図14中、左右方向)の上流側(図14中、左側)と下流側とに、放電電極としての針状電極30と対極電極としての筒状電極34とが、高電圧発生器(50)に対して電気的に接続された状態で設けられて、高電圧発生器(50)から針状電極30に対して負の高電圧が印加されることで、針状電極30と筒状電極34との間でコロナ放電が発生せしめられるようになっている。
【0111】
そして、本実施形態では、セパレータ本体12のブローバイガス流通方向中間部で、針状電極30と筒状電極34のそれぞれの設置部位の間に、変更部としての遮蔽部材84が、設けられている。この遮蔽部材84は、例えば、セパレータ本体12の形成材料と同様な合成樹脂材料等の絶縁材料からなり、取付枠部86と遮蔽部88とそれらを互いに連結する複数個(ここでは、8個)の連結部90とを一体的に有して、構成されている。
【0112】
より具体的には、かかる遮蔽部材84の取付枠部86は、セパレータ本体12の筒壁部14の内径と略同一乃至は僅かに小さな外径と低い高さとを有する円筒形状を有している。また、遮蔽部88は、取付枠部86の高さ方向の一方側から他方側に向かって徐々に大径化するテーパ筒形状を有しており、取付枠部86の内側に、テーパ筒形状の基部側部位を位置せしめた状態で、取付枠部86と同軸的に配置されている。そして、このような遮蔽部88の外周面が、遮蔽部88の全体形状に対応したテーパ面からなる遮蔽面92とされている。
【0113】
一方、それら取付枠部86と遮蔽部88とを一体的に連結する複数個の連結部90は、取付枠部86の内周面と遮蔽部88の基部側外周面との間において、互いに周方向に等距離を隔てた状態で、遮蔽部88から取付枠部86に向かって放射状に延びるように位置せしめられて、延出方向の両端部において、取付枠部86の内周面と遮蔽部88の基部側外周面とに対して、それぞれ一体化せしめられている。そして、それにより、周方向に隣り合う連結部90同士の間に、扇形の透孔94が、それぞれ設けられている。
【0114】
而して、かくの如き構造とされた遮蔽部材84にあっては、セパレータ本体12内におけるブローバイガス流通方向中間部に、取付枠部86において、セパレータ本体12の筒壁部14に圧入されるか、或いは接着乃至は溶着される等して、固定されている。そしてまた、そのような固定状態下において、遮蔽部88における小径の先端側がガス導入口18側に位置せしめられて、テーパ状の遮蔽面92が、ガス導入口18側からガス排出口22側に向かって、つまりブローバイガスの流通方向上流側から下流側に向かって、徐々に大径化するように配置されると共に、そのようなテーパ状の遮蔽面92の基部側で、複数の透孔94が、ブローバイガスの流通方向と直角な方向において、セパレータ本体12の周方向に並べられて、ブローバイガスが各透孔94内を流通可能に配置されている。なお、テーパ遮蔽面の高さや大径部分の径等は、圧力損失が可及的に抑えられ得る寸法において、適宜に設定される。
【0115】
かくして、本実施形態のオイルセパレータ10においては、ガス導入口18を通じてセパレータ本体12内に導入されたブローバイガスが、図14に矢印で示されるように、針状電極30の配設部位を通過した後、遮蔽部材84のテーパ状の遮蔽面92に案内乃至は導かれて、ガス導入口18からガス排出口22に向かう一方向流から、そのような流れに交差して、セパレータ本体12の内周面の全周に向かうように流れる非一方向流に、容易に且つ確実に変更される。そして、そのような非一方向流となったブローバイガスが、遮蔽部材84の複数の透孔94を通過し、筒状電極34の配設部位を経て、ガス排出口22からガス排出管24内に排出されるようになる。これにより、セパレータ本体12内を流動せしめられるブローバイガス中のオイルミストが、ブローバイガスの流れに乗って、セパレータ本体12の下流側部分を、筒状電極34に対して、より接近するように流動せしめられるようになる。
【0116】
このように、本実施形態においても、針状電極30と筒状電極34との間でコロナ放電が発生せしめられるようになっていることによって、前記幾つかの実施形態と同様に、オイルセパレータ10を通じて強制的に環流せしめられるブローバイガス中のオイルミストが、その粒径の大小に拘わらず、しかも圧力損失の増大を伴うこともなく、クーロン力により、筒状電極34に吸着され得る。しかも、帯電状態のオイルミストが、非一方向流とされたブローバイガスの流れによって、セパレータ本体12内の下流側部分を、筒状電極34の内周面に対して、より近接するように流動せしめられることで、それら帯電状態のオイルミストと筒状電極34との間の距離が効果的に小さく為され得て、それらの間に作用せしめられるクーロン力が効果的に増大せしめられ得る。そして、その結果として、オイルミストの分離性能が、更に効果的に高められ得ることとなる。
【0117】
そして、このような本実施形態のオイルセパレータ10にあっては、特に、遮蔽部材84の遮蔽面92が、ブローバイガスの流通方向の上流側から下流側に向かって徐々に大径化するテーパ形状を有しているところから、ブローバイガスが、かかる遮蔽面92にて比較的にスムーズに導かれるようになり、それによって、ブローバイガスのテーパ状遮蔽面92との衝突による圧力損失が、可及的に低く抑えられ得る。
【0118】
なお、本実施形態では、遮蔽部材84が、セパレータ本体12内における針状電極30の配設部位と筒状電極34の配設部位との間に、1個だけ設けられていたが、それら針状電極30と筒状電極34のそれぞれの配設部位の間に、複数個を、ブローバイガスの流通方向やそれと交差する方向に並べて設けても良い。それによって、ブローバイガスが、確実に、セパレータ本体12の内周面に向かって流れる一方向流と為され得、以て、筒状電極34でのオイルミストの吸着効率が、更に一層高められ得る。
【0119】
また、遮蔽部材84の1個若しくは複数個を、セパレータ本体12内における針状電極30の配設部位よりもブローバイガスの流通方向上流側に配設することも可能である。しかしながら、セパレータ本体12内における筒状電極34の配設部位でのブローバイガスの流れを効率的に旋回流と為すためには、遮蔽部材84の1個若しくは複数個が、セパレータ本体12内における針状電極30と筒状電極34のそれぞれの配設部位の間に配設されていることが望ましい。即ち、そのような配設形態を採用することによって、筒状電極34でのオイルミストの吸着効率が、より十分に高められ得ることとなるのである。
【0120】
さらに、遮蔽部材84に設けられる遮蔽面92は、ブローバイガスの流れを一方向流から非一方向流として、ブローバイガス中のオイルミストを対極電極たる筒状電極34に近接するように流動せし得るものであれば、その形状が、上記実施形態に示されるものに、何等限定されるものではない。然るに、圧力損失を可及的に小さくする上で、ブローバイガスの流通方向上流側から下流側に向かって、外周寸法が漸増するような形状が、望ましい。従って、遮蔽面92の形状としては、例示されるテーパ形状に代えて、例えば、角錐形状や紡錘形状、球面形状等を採用することも出来る。
【0121】
次に、図16には、前記幾つかの実施形態とは、放電電極や対極電極への通電構造が異なる、本発明に従うブローバイガス用オイルセパレータの他の実施形態が、縦断面形態において概略的に示されている。
【0122】
すなわち、図16に示される本実施形態のオイルセパレータ10にあっては、セパレータ本体12内におけるブローバイガス流通方向の上流側と下流側とに、放電電極としての針状電極30と対極電極としての筒状電極34とが、それぞれ、図1に示される前記実施形態と同様にして、配設されている。
【0123】
そして、ここでは、特に、それら2種類の電極30,34のうち、針状電極30が、負の高電圧(例えば、2〜10kV程度)を発生する第一の高電圧発生器96に対して電気的に接続されており、また、筒状電極34が、正の高電圧(例えば、10V〜1kV程度)を発生する第二の高電圧発生器98に対して電気的に接続されている。
【0124】
かくして、本実施形態のオイルセパレータ10においては、第一の高電圧発生器96から針状電極30に対して負の高電圧が印加される一方、第二の高電圧発生器98から筒状電極34に対して正の高電圧が印加されることにより、針状電極30と筒状電極34との間でコロナ放電が発生せしめられるようになっている。また、ブローバイガスが、オイルセパレータ10を通じて環流せしめられる際に、針状電極30と筒状電極34との間でコロナ放電が発生せしめられることにより、ブローバイガス中のオイルミストが、その粒径の大小に拘わらず、しかも圧力損失の増大を伴うこともなく、負に帯電せしめられて、筒状電極34にて吸着されるようになっている。
【0125】
そして、本実施形態においては、特に、コロナ放電の発生に際して、針状電極30と筒状電極34とに対して、互いに逆電位の高電圧が印加せしめられるため、コロナ放電の発生により帯電せしめられたオイルミストの電荷量と筒状電極34の電荷量の積が十分に大きく為され、それによって、オイルミストを筒状電極34に引きつけるように作用せしめられるクーロン力が、効果的に増大され得る。以て、オイルミストが、対極電極に対して、更に効率的に且つ確実に吸着され得るようになり、その結果として、オイルミストの分離性能の更なる向上が、極めて有利に達成され得ることとなるのである。
【0126】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0127】
例えば、放電電極は、前記幾つかの実施形態において例示される針状電極30に、何等限定されるものではなく、エッジ部を備えた従来より公知の構造を有する電極が、適宜に採用される得る。
【0128】
また、対極電極も、前記幾つかの実施形態において例示される筒状電極34や網状電極68等に、特に限定されるものではなく、従来より一般に使用される対極電極に変更可能である。
【0129】
さらに、セパレータ本体12の形状も、如何なる形状であっても良い。
【0130】
更にまた、前記幾つかの実施形態では、セパレータ本体が、エンジンの構成部品とは独立した別個の形態において構成されていたが、例えば、シリンダヘッドカバー等のエンジン部品に対して組み付けられてなる構造とされていても、何等差し支えない。
【0131】
加えて、前記実施形態では、本発明を、自動車エンジン用オイルセパレータに適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、自動車エンジン以外の内燃機関の内部で発生するブローバイガス中のオイルミストを分離するブローバイガス用オイルセパレータの何れに対しても適用可能であることは、勿論である。
【0132】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明に従うブローバイガス用オイルセパレータの一実施形態を示す断面説明図である。
【図2】図1に示されたオイルセパレータにより、ブローバイガス中からオイルミストを分離する原理を模式的に示す説明図である。
【図3】本発明に従うブローバイガス用オイルセパレータであって、異なる構造の放電電極を備えた別の実施形態を示す縦断面説明図である。
【図4】図3のIV−IV断面における拡大説明図である。
【図5】本発明に従うブローバイガス用オイルセパレータであって、更に異なる構造の放電電極を備えた更に別の実施形態を示す図3に対応する図である。
【図6】本発明に従うブローバイガス用オイルセパレータであって、別異の構造の放電電極を備えた他の実施形態を示す図3に対応する図である。
【図7】図6のVII−VII断面における拡大説明図である。
【図8】本発明に従うブローバイガス用オイルセパレータであって、更に別異の構造の放電電極を備えた更に他の実施形態を示す図3に対応する説明図である。
【図9】本発明に従うブローバイガス用オイルセパレータであって、異なる構造の対極電極を備えた別の実施形態を示す図3に対応する説明図である。
【図10】図9のX−X断面における拡大説明図である。
【図11】本発明に従うブローバイガス用オイルセパレータであって、更に異なる構造の対極電極を備えた更に別の実施形態を示す図3に対応する説明図である。
【図12】本発明に従うブローバイガス用オイルセパレータであって、セパレータ本体内に、変更部としての旋回リボン板が設けられた他の実施形態を示す図3に対応する説明図である。
【図13】本発明に従うブローバイガス用オイルセパレータであって、セパレータ本体の内周面に、変更部としての螺旋突条と螺旋溝とが設けられた更に他の実施形態を示す図3に対応する説明図である。
【図14】本発明に従うブローバイガス用オイルセパレータであって、セパレータ本体内に、変更部としての遮蔽部材が設けられた別の実施形態を示す図3に対応する説明図である。
【図15】図14のXV−XV断面における拡大説明図である。
【図16】本発明に従うブローバイガス用オイルセパレータであって、放電電極と対極電極のそれぞれに対して逆電位の高電圧が印加される構造を備えた他の実施形態を示す図1に対応する説明図である。
【符号の説明】
【0134】
10 オイルセパレータ 12 セパレータ本体
18 ガス導入口 22 ガス排出口
30 針状電極 34 筒状電極
50,96,98 高電圧発生器 56 オイルミスト
58 電極列 60 電極支持部材
68 網状電極 76 旋回リボン板
78 変更面 80 螺旋突条
82 螺旋溝 84 遮蔽部材
92 遮蔽面



【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の内部で発生するブローバイガスに含まれるオイルミストを、該ブローバイガス中から分離するオイルセパレータであって、(a)前記ブローバイガスが導入される導入口と、該導入されたブローバイガスを外部に排出するための排出口とを有し、該導入口から導入されたブローバイガスが、該排出口に向かって筒内を流通せしめられる、絶縁材料からなる筒状のセパレータ本体と、(b)該セパレータ本体の筒内における前記ブローバイガスの流通方向の上流側部分に位置せしめられて、コロナ放電を発生させることにより、該ブローバイガス中の前記オイルミストを帯電させる放電電極と、(c)前記セパレータ本体の筒内における前記ブローバイガスの流通方向の下流側部分に位置せしめられて、前記ブローバイガス中の前記帯電したオイルミストを、クーロン力により吸着して、該ブローバイガス中から分離する対極電極とを含んで構成し、且つ
前記放電電極として、針状形態を呈する針状電極の複数を用い、それら複数の針状電極を、それぞれ前記セパレータ本体の筒壁部の内周面に立設せしめると共に、該セパレータ本体の筒壁部の内周面の周方向に互いに間隔をおいて1列に並べてなる電極列として配設したことを特徴とするブローバイガス用オイルセパレータ。
【請求項2】
前記セパレータ本体が、前記内燃機関のクランクケースと吸気管路とを連通状態で連結する管体からなり、且つ前記導入口が、該クランクケース内に開口する該管体の一端側開口部にて構成される一方、前記排出口が、該吸気管路内に開口する該管体連結管の他端側開口部にて構成されている請求項1に記載のブローバイガス用オイルセパレータ。
【請求項3】
前記複数の針状電極が、前記セパレータ本体の筒壁部の内周面上における周方向に一定の距離を隔てた位置のそれぞれにおいて、該筒壁部の中心軸上の一点に向かって延びるように立設されている請求項1又は請求項2に記載のブローバイガス用オイルセパレータ。
【請求項4】
前記放電電極の複数が、前記セパレータ本体の筒壁部の内周面における前記上流側部分のうち、前記ブローバイガスの流通方向に間隔をおいた複数個所に、前記電極列をそれぞれ形成した状態で立設されている請求項1乃至請求項3のうちの何れか1項に記載のブローバイガス用オイルセパレータ。
【請求項5】
前記対極電極が、筒状形態を呈する筒状電極にて構成されて、該筒状電極が、前記セパレータ本体の筒内における前記下流側部分に位置せしめられることにより、該セパレータ本体の筒壁部の内周面における前記ブローバイガス流通方向の下流側部分の全面が、該筒状電極の内周面にて構成されるようになっている請求項1乃至請求項4のうちの何れか1項に記載のブローバイガス用オイルセパレータ。
【請求項6】
前記対極電極が、前記ブローバイガスが流通可能な網目を多数備えた網状形態を呈する網状電極にて構成されて、該網状電極が、前記セパレータ本体の筒内における前記下流側部分に、該多数の網目を該ブローバイガスの流通方向に対して交差する方向に並べた状態で固定されている請求項1乃至請求項4のうちの何れか1項に記載のブローバイガス用オイルセパレータ。
【請求項7】
前記セパレータ本体の筒内における前記下流側部分に、前記網状電極からなる前記対極電極の複数が、前記ブローバイガスの流通方向に間隔をおいて、複数固定されている請求項6に記載のブローバイガス用オイルセパレータ。
【請求項8】
前記セパレータ本体の筒壁部の内周面における前記ブローバイガスの流通方向の下流側部分に対して、前記対極電極が位置せしめられる一方、該セパレータ本体における該対極電極の配置部位よりも前記ブローバイガスの流通方向の上流側の内部又は内周面に、該セパレータ本体内での該ブローバイガスの流れを、前記導入口から前記排出口に向かって一方向に直線的に流れる一方向流から、該一方向と交差する方向に流れる非一方向流乃至は旋回流に変更する変更部が設けられている請求項1乃至請求項7のうちの何れか1項に記載のブローバイガス用オイルセパレータ。
【請求項9】
前記変更部が、前記ブローバイガスの流通方向に沿って螺旋状に延びる変更面を有して、前記セパレータ本体の筒内における前記対極電極の配置部位よりも該ブローバイガスの流通方向の上流側部分に固定された、絶縁材料からなる旋回リボン板にて構成されて、該セパレータ本体内での該ブローバイガスの流れが、該旋回リボン板の変更面にて、前記一方向流から前記旋回流に変更されるようになっている請求項8に記載のブローバイガス用オイルセパレータ。
【請求項10】
前記変更部が、前記セパレータ本体の筒壁部の内周面における前記対極電極の配置部位よりも前記ブローバイガスの流通方向の上流側部分に、該ブローバイガスの流通方向に沿って螺旋状に延びるように形成された螺旋溝及び/又は螺旋突条にて構成されて、該セパレータ本体内での該ブローバイガスの流れが、該螺旋溝及び/又は該螺旋突条にて、前記一方向流から前記旋回流に変更されるようになっている請求項8に記載のブローバイガス用オイルセパレータ。
【請求項11】
前記変更部が、前記セパレータ本体内での前記ブローバイガスの流れを部分的に遮る遮蔽面を有して、該セパレータ本体の筒内における前記対極電極の配置部位よりも前記ブローバイガスの流通方向の上流側部分に固定された、絶縁材料からなる遮蔽部材にて構成されて、該セパレータ本体内での該ブローバイガスの流れが、該遮蔽部材の遮蔽面にて、前記一方向流から前記非一方向流に変更されるようになっている請求項8に記載のブローバイガス用オイルセパレータ。
【請求項12】
前記遮蔽部材の前記遮蔽面が、前記ブローバイガスの流通方向の上流側から下流側に向かって次第に大径化するテーパ面とされている請求項11に記載のブローバイガス用オイルセパレータ。
【請求項13】
前記変更部が、前記セパレータ本体の筒内又は内周面における前記対極電極の配置部位よりも前記ブローバイガスの流通方向の上流側で且つ前記放電電極の配置部位よりも該ブローバイガスの流通方向の下流側の部分に設けられている請求項8乃至請求項12のうちの何れか1項に記載のブローバイガス用オイルセパレータ。
【請求項14】
前記放電電極と前記対極電極のうちの何れか一方が、正の電圧を印加する正電源手段に接続される一方、それらのうちの何れか他方が、負の電圧を印加する負電源手段に接続されている請求項1乃至請求項13のうちの何れか1項に記載のブローバイガス用オイルセパレータ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−8096(P2009−8096A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−250678(P2008−250678)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【分割の表示】特願2006−20636(P2006−20636)の分割
【原出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000185617)小島プレス工業株式会社 (515)
【Fターム(参考)】