説明

ブースタ

【課題】 放送信号及びGPS信号を適切なレベルに1台で増幅できる。
【解決手段】 GPS受信用アンテナにより受信されたGPS信号と、放送受信アンテナにより受信された放送信号との合成信号から分波した放送信号を、増幅器128a乃至128cが増幅し、出力端子130に供給する。前記合成信号から分波されたGPS信号を増幅器136a乃至136cが増幅してGPS信号再送信アンテナに供給する。増幅器136a乃至136cには、GPS再送信アンテナからの送信出力が所定レベルとなるように、レベル調整器134と検波回路140とによる自動利得制御回路が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS信号が内部に到来しにくい電波遮断体内でもGPS信号の受信を可能にするGPS信号伝送システムにおいて使用するブースタに関する。
【背景技術】
【0002】
上述したシステムとしては、例えば特許文献1に開示されているものがある。この文献1に開示されている技術では、1台のGPS信号アンテナで受信したGPS信号とBS放送信号とを合成して、伝送路に伝送する。伝送路に設けた分配器によってBS放送信号とGPS信号とに分けられる。BS信号は分配器からBSチューナに供給される。分配器からのGPS信号を受けるためにターミナルが設けられ、ターミナルから出力されるGPS信号が発信器に供給され、発信される。
【0003】
【特許文献1】特開2005−244625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている技術を利用して、例えばGPS信号アンテナをビルの屋上に設置し、発信器をビルの内部に設置すれば、電波が到来しにくいビル内においてもGPS信号を受信することができる。従って、ビル内においてGPS受信機を用いてGPS信号を受信することによって、GPS受信機の使用者は、ビルの位置を知ることができる。ところで、伝送路を伝送されてきたBS放送信号は、BSチューナに供給する前に増幅することが望ましい場合がある。また、GPS信号を発信する場合、そのレベルを予め定めたレベルに維持しておくことが望ましいことがある。これらの点について、特許文献1では考慮されていない。
【0005】
本発明は、放送信号及びGPS信号を適切なレベルに1台で増幅できるブースタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様のブースタは、GPS受信アンテナにより受信されたGPS信号と、放送受信アンテナにより受信された放送信号との合成信号が伝送される伝送路に設けられた分波手段を有している。分波手段は、伝送路中に設けることが望ましい。分波手段は、GPS信号と放送信号とを分波する。分波された放送信号が放送信号増幅手段によって増幅され、受信手段接続端子に供給される。分波されたGPS信号がGPS信号増幅手段で増幅され、GPS信号再送信アンテナに供給される。GPS信号増幅手段は、GPS信号再送信アンテナからの送信出力が所定レベルとなるように自動利得制御される。
【0007】
このように構成されたブースタでは、放送信号が放送信号増幅手段によって増幅され、受信手段接続端子に供給されるので、受信手段には、適切なレベルの放送信号が供給される。更に、GPS信号は、自動利得制御されるGPS信号増幅手段で増幅され、GPS信号再送信アンテナに供給されるので、必要とされるレベルでGPS信号を再送信することができる。
【0008】
本発明の他の態様のブースタは、伝送路に設けた分波手段を有している。伝送路には、電波遮断体、例えばビルや地下鉄や地下街の外部のそれぞれ異なる位置に設けられた複数のGPS受信用アンテナで受信したGPS信号を互いに異なる周波数に周波数変換された周波数変換GPS信号と、放送受信用アンテナにより受信された放送信号とが、合成された合成信号が伝送される。この伝送路は、前記各GPS受信用アンテナに対応する電波遮断体内の位置にまで敷設されている。これら各位置には、複数のGPS信号再送信アンテナが設置されている。これらの位置において、分波手段は、合成信号中の前記各周波数変換GPS信号のうち、当該位置に対応する前記GPS受信用アンテナで受信されたGPS信号に対応する周波数変換GPS信号を再周波数変換した再周波数変換GPS信号と、前記放送信号とを、分波する。分波された放送信号は、放送信号増幅手段で増幅され、受信手段接続端子に供給される。分波された再周波数変換GPS信号をGPS信号増幅手段が増幅して対応する前記GPS信号再送信アンテナに供給する。GPS信号増幅手段は、前記対応するGPS信号再送信アンテナからの送信出力が所定レベルとなるように自動利得制御される。
【0009】
電波遮断体の外部の複数の位置に設けられたGPS受信用アンテナによって受信されたGPS信号が、電波遮断体内におけるGPS受信用アンテナに対応する再送信アンテナによって再送信される。この再送信の際に、本発明の他の態様のブースタによって、GPS信号再送信アンテナからの送信出力が所定レベルとなるように再送信用のGPS信号が自動利得制御されて、送信される。更に、放送信号も適切なレベルに増幅されて、受信手段に供給される。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、放送信号及びGPS信号を1台のブースタでありながら、適切なレベルに増幅することができ、コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の第1の実施形態のGPS信号伝送システムは、図1(a)乃至(c)に示すように、内部では直接に電波を受信しにくい電波遮断体、例えばビル2の外部、例えば屋上2Rに、複数、例えば8基のGPS受信アンテナ4a乃至4hが配置されている。これらGPS受信アンテナ4a乃至4hは、それぞれ異なる位置に配置されている。このビル2内の各階の天井には、それぞれGPS再送信アンテナ6a乃至6hが配置されている。これらGPS再送信アンテナ6a乃至6hは、GPS受信アンテナ4a乃至4hとそれぞれ対応する位置に配置されている。即ち、各GPS再送信アンテナ6aは、GPS受信アンテナ4aと同じ緯度、経度の位置に配置され、各GPS再送信アンテナ6bは、GPS受信アンテナ6bと同じ緯度、経度の位置に配置されている。他のGPS再送信アンテナ6c乃至6hも同様である。
【0012】
各GPS受信アンテナ4a乃至4hで受信されたGPS信号を、対応するGPS再送信アンテナ6a乃至6hから送信すると、例えばGPS受信アンテナ4aで受信したGPS信号を各GPS再送信アンテナ6aから、・・・・GPSアンテナ4hで受信したGPS信号を各GPS再送信アンテナ6hから再送信すると、ビル2の各階においてGPS受信機(図示せず)の携帯者は、GPS再送信アンテナ6a乃至6hのいずれかが再送信しているGPS信号を受信しているかによって、ビル2のいずれの位置に携帯者が位置しているかを知ることができる。
【0013】
しかし、各GPS受信アンテナ4a乃至4hで受信するGPS信号は、図2に示すように同じ周波数、例えば1.57542GHzである。従って、単に各GPS受信アンテナ4a乃至4hで受信したGPS信号をそのまま各GPS再送信アンテナ6a乃至6hに伝送して、各再送信アンテナ6a乃至6hから再送信しても、GPS受信機では、その位置を知ることはできない。各GPS受信アンテナ4a乃至4hと各GPS再送信アンテナ6a乃至6hを個別の伝送路で接続すれば、GPS受信アンテナ4aの受信信号は、GPS再送信アンテナ6aから、・・・GPS受信アンテナ4hの受信信号は、GPS再送信アンテナ6hから確実に再送信されるので、上記の問題は解消される。しかし、8系統もの伝送路を別々に各階に敷設する作業は非常に面倒になる。
【0014】
そこで、各GPS受信アンテナ4a乃至4hで受信した各GPS信号を、図2に示すようにそれぞれ異なる周波数の周波数変換GPS信号、例えばGPS変換信号に周波数変換し、これらGPS変換信号を各階に1系統の伝送路を介して伝送する。各GPS再送信アンテナ6a乃至6hでは、自己に対応するGPS変換信号を選択し、これを元のGPS信号と同じ周波数に再周波数変換し、再送信している。
【0015】
そのため、図3に示すヘッド装置において、各GPS受信アンテナ4a乃至4hには、第1周波数変換手段、例えばダウンコンバータ8a乃至8hが設けられ、対応するGPS受信アンテナが受信したGPS信号をGPS変換信号に周波数変換している。これらダウンコンバータ8a乃至8hからの各GPS変換信号は、合成手段、例えば合成器10によって合成され、例えば同軸ケーブルによって構成された1系統の伝送路12に伝送される。
【0016】
伝送路12としては、テレビジョン共同受信システムにおいて使用するものを利用している。これによって、テレビジョン共同受信システム用の伝送路と別に伝送路を敷設する必要がなくなる。従って、放送信号、例えばUHFテレビジョン放送受信用アンテナ14で受信したUHFテレビジョン放送信号、VHFテレビジョン放送受信用アンテナ16で受信したVHFテレビジョン放送信号及びBS衛星放送受信用アンテナ18で受信し、周波数変換された衛星放送中間周波信号が混合器20で混合され、更に増幅器22で増幅されたものも、混合器24によって伝送路12に混合されている。
【0017】
なお、このように共同受信システムの伝送路12を使用するので、GPS変換信号の周波数帯としては、共同受信システムの伝送路12で伝送可能な周波数帯、例えば図2に示すようにUHFテレビジョン放送周波数帯と衛星放送中間周波数帯との間の空き周波数帯を使用している。また、このような空き周波数帯を利用しているので、各GPS変換信号の周波数は、比較的接近している。
【0018】
伝送路12を伝送された各放送信号とGPS変換信号とは、図4に示すように、各階において分岐手段、例えば1分岐器26によって分岐され、分配手段、例えば8分配器28によって各再送信アンテナ6a乃至6hに対応するように分配され、それぞれ各GPS再送信アンテナ6a乃至6hに対応する第2周波数変換手段、例えばアップコンバータ30a乃至30hに供給される。アップコンバータ30aは再送信アンテナ6aに、・・・アップコンバータ30hは再送信アンテナ6hに対応している。アップコンバータ30a乃至30hは、供給された各GPS変換信号のうち、対応するもの、例えばアンプコンバータ30aは、供給された各GPS変換信号のうちGPS受信アンテナ4aで受信されたGPS信号に対応するGPS変換信号を選択し、元のGPS信号に再変換する。この再変換されたGPS信号を再変換GPS信号と称する。なお、各アップコンバータ30a乃至30hは、各放送信号をスルーさせる。
【0019】
各アップコンバータ30a乃至30hからの再変換GPS信号と放送信号とは、ブースタ32a乃至32hでそれぞれ増幅され、再変換GPS信号は、対応するGPS再送信アンテナから再送信される。例えばアップコンバータ30aからの再変換GPS信号は、ブースタ32で増幅された後、再送信アンテナ6aから再送信される。また、ブースタ32から各放送信号が出力され、受信手段、例えばテレビジョン受信機やBSチューナに供給される。
【0020】
各ダウンコンバータ8a乃至8hでは、図5及び図6に示すように、入力端子32から入力されたGPS信号は、例えば3段の増幅器34a乃至34cで増幅される。これら増幅器34a乃至34cの間に、GPS信号を抽出するフィルタ、例えばSAWフィルタ36a、36bが挿入され、不要な信号が除去されている。最終段の増幅器34cの出力信号が、ミキサ38に供給される。ミキサ38には、局部発振信号も供給されている。ミキサ38は、入力されたGPS信号を所定のGPS変換信号に局部発振信号を利用して、周波数変換し、フィルタ、例えばバンドパスフィルタ40によって不要な信号が除去された後、レベル調整器42を間に設けた増幅器44、46で増幅され、出力端子48から出力される。
【0021】
ミキサ38において周波数変換するためには、局部発振信号が必要である。この局部発振信号を発生するために、局部発振手段として、いわゆるPLL発振回路を使用している。即ち、局部発振信号を発生する電圧制御発振器50と、この局部発振信号を1/nに分周する分周器52と、この分周器52の分周信号を、分周器54の分周信号に一致するように電圧制御発振器50の発振周波数を制御するPLL回路56とが設けられている。分周器54は、基準信号を1/Nに分周している。そして、分周器52の分周数nを適切に選択すれば、必要とされる局部発振信号を電圧制御発振器50が発生する。
【0022】
ところで、PLL発振回路では、局部発振信号を発生する周波数基準として基準信号が必要であるが、各ダウンコンバータ8a乃至8hで個別に生成した基準信号を使用していると、ダウンコンバータ8a乃至8hの各基準信号にずれが生じる可能性がある。各ダウンコンバータ8a乃至8hのGPS変換信号の周波数は接近しているので、最悪の場合、これらGPS変換信号の周波数が一部で重複する可能性がある。これを避けるために、全てのダウンコンバータ8a乃至8hが共通の基準信号を使用する必要がある。
【0023】
そこで、この実施形態では、図5に示すようにダウンコンバータ8aのみに基準信号を発生する基準発振器58を設け、この基準信号のみを通過させるフィルタ、例えばバンドパスフィルタ60に基準信号を通過させ、増幅器62で増幅した後、合成手段、例えば合成器64で、GPS変換信号と合成して、出力端子48に供給する。
【0024】
この基準信号とGPS変換信号とは、図7に示すように合成器10に供給される。合成器10は、2分配器64を有し、その一方の分配信号は、分波器66を介して双方向の分配器68に供給され、各ダウンコンバータ8b乃至8hに供給される。
【0025】
各ダウンコンバータ8b乃至8hでは、図6に示すように、出力端子48に分配器68から供給された基準信号とGPS変換信号とが、1分岐器70の分岐端子から出力端子を介して増幅器72に供給されて増幅され、フィルタ、例えばバンドパスフィルタ74で基準信号のみが抽出されて、分周器54に供給される。従って、各ダウンコンバータ8a乃至8hは、ダウンコンバータ8aの基準発振器58の基準信号を共通に使用している。従って、各ダウンコンバータ8a乃至8hからのGPS変換信号の周波数は、重なり合うことがなく、所定の周波数関係を維持している。
【0026】
各ダウンコンバータ8b乃至8hからのGPS変換信号は、図7に示す分配器68、1分岐器66の分岐端子から出力端子を介して合成器76に供給され、2分配器64からの分配出力であるダウンコンバータ8aからのGPS変換信号及び基準信号と合成され、合成器24に供給される。即ち、各ダウンコンバータ8a乃至8hのGPS変換信号と共に、基準信号も、伝送路12に伝送される。従って、基準信号は、伝送路12で伝送可能なように、図2に示すように、例えばVHFテレビジョン放送周波数帯より低い周波数に、この実施形態では選択されている。
【0027】
図8に示すように、各アップコンバータ30a乃至30hでは、各GPS変換信号、基準信号及び各放送信号が、入力端子78に供給され、これらは2分配器80に供給される。
【0028】
2分配器80の一方の分配出力は、1分岐器82に供給され、その出力は各GPS変換信号のうち、対応する1波のGPS変換信号を抽出するフィルタ、例えばバンドパスフィルタ84に供給される。例えばアップコンバータ30aは、GPS受信アンテナ4aで受信されたGPS信号をダウンコンバータ8aで周波数変換したGPS変換信号が抽出される。このバンドパスフィルタ84から抽出された1波のGPS変換信号は、レベル調整器86を介して増幅器88に供給され、ここで増幅され、ミキサ90に供給される。
【0029】
一方、1分岐器82の分岐出力は、基準信号を抽出するフィルタ、例えばバンドパスフィルタ92に供給される。このバンドパスフィルタ92で抽出された基準信号は、増幅器94で増幅され、局部発振手段の分周器96に供給され、1/N分周される。この分周信号がPLL回路98に供給され、PLL回路98が、局部発振信号を発生する電圧制御発振器100の発振周波数を制御する。この制御は、局部発振信号を1/n1に分周する分周器102の分周信号が分周器96の分周信号に一致するように行われる。分周器102の分周数n1を適切に選択することによって、ミキサ90に供給されているGPS変換信号を元のGPS信号と同じ周波数に再周波数変換するのに必要な周波数に、局部発振信号の周波数を維持することができる。しかも、各アップコンバータ30a乃至30hでは、ダウンコンバータ8aで発生させ、他のダウンコンバータ8b乃至8hでも使用している基準信号を使用しているので、再周波数変換された各GPS信号の周波数は、元になったGPS信号と完全に同一になる。
【0030】
ミキサ90から出力された再変換GPS信号は、不要な信号を除去するフィルタ、例えばSAWフィルタ104、106を入力側及び出力側に有する増幅器108によって増幅される。後段のSAWフィルタ106の出力信号は1分岐器110によって分岐され、その分岐出力は検波回路112に供給され、レベル検出が行われ、このレベルが予め定めた値になるようにレベル調整器86のレベルが調整される。即ち、自動利得制御が行われている。
【0031】
一方、分配器80の他方の分配出力は、各放送信号を抽出するフィルタ、例えばバンドパスフィルタ114に供給される。バンドパスフィルタ114からの各放送信号は、増幅器116で増幅された後、合成器118において1分岐器110の出力(再変換GPS信号)と合成され、出力端子120に供給され、ブースタ32a乃至32hのうち対応するものに供給される。
【0032】
各アップコンバータ30a乃至30hの出力信号、即ち再変換GPS信号と各放送信号とは、図9に示すように、ブースタ32a乃至32hの入力端子122に供給され、2分配器124によって2分配される。この2分配器124の一方の分配出力は、各放送信号を抽出するフィルタ、例えばバンドパスフィルタ126に供給される。バンドパスフィルタ126から出力された各放送信号は、複数段、例えば3段の増幅器128a乃至128cによって増幅され、出力端子130から受信手段、例えばBSチューナ、テレビジョン受信機に供給される。このように増幅器128a乃至128cによって各放送信号は増幅されているので、伝送路12を伝送中に減衰したとしても、BSチューナ、テレビジョン受信機には適切なレベルで各放送信号が供給される。
【0033】
2分配器124の他方の分配出力は、再変換GPS信号を抽出するフィルタ、例えばバンドパスフィルタ132に供給される。バンドパスフィルタ132によって抽出された再変換GPS信号は、途中にレベル調整器134を有する3段の増幅器136a、136b、136cの入力側に供給され、増幅される。3段の増幅器136a乃至136cの中間段の増幅器136bの出力の一部が1分岐器138によって分岐され、その分岐出力が検波器140に供給される。検波器140では、分岐出力のレベルを検出し、これが予め定めたレベルとなるようにレベル調整器134が検波器140の出力信号によって調整される。即ち、自動利得制御が行われている。最終段の増幅器136cの出力信号が出力端子142を介して、再送信アンテナ6a乃至6hのうち対応するものに供給される。
【0034】
このようにブースタ32a乃至32h、アップコンバータ30a乃至30hにおいて、再変換GPS信号の自動レベル調整を行っているのは、GPS再送信アンテナ6a乃至6hからの送信出力を、電波法施行規則に定められた出力電力以下の微弱電波として、免許不要で使用できるようにするためである。
【0035】
バンドパスフィルタ126、132が放送信号とGPS信号とを分波する分波手段として機能する。
【0036】
本発明の第2の実施形態を図10に示す。この実施形態では、伝送路の幹線が光伝送路12aとされている。そのため、図3に示すダウンコンバータ8a乃至8h、合成器10、混合器20、24及び増幅器22からなるヘッド装置142からの各放送信号、各GPS変換信号及び基準信号を、電気−光変換手段、例えば光送信機144によって光信号に変換し、光伝送路12aに伝送する。光伝送路12aの各階に対応する位置にある光分岐器26a、26a・・・によって光信号が分岐される。分岐された光信号は、光−電気変換手段、例えば光受信機146、146・・・によって電気信号、即ち、各放送信号、各GPS変換信号及び基準信号に変換され、分配器28、28・・・に供給される。以下、第1の実施の形態と同様に処理される。
【0037】
このように、各放送信号、各GPS変換信号及び基準信号を光信号に変換して、この光信号を光伝送路12aによって各階に伝送しているので、高層ビル等の長距離伝送が可能となり、また信頼性が向上する。
【0038】
上記の両実施形態では、GPS受信アンテナ及びGPS再送信アンテナは、共に8台としたが、その台数は2台以上であれば、任意に変更することができる。その場合、ダウンコンバータ及びアップコンバータの台数も、両アンテナの台数に応じて増減される。上記の両実施形態では、各GPS変換信号の周波数帯をUHF帯と衛星放送中間周波信号の周波数帯との間に設定したが、伝送路12で伝送可能な周波数帯であれば、任意の周波数帯とすることができる。また、上記の両実施形態では、テレビジョン共同受信システムの伝送路を、GPS変換信号の伝送路として使用したが、これに限ったものではなく、例えばGPS信号変換信号専用の伝送路を敷設することも可能である。上記の両実施形態では、電波遮断体として、ビルを使用したが、これに限ったものではなく、例えば地下鉄の構内、地下街、トンネル内などの電波を直接に受信しにくい領域であれば、任意のものを電波遮断体として使用することができる。上記の各実施形態では、放送信号に衛星放送中間周波信号を含めたが、これに代えて、或いはこれに加えて、衛星通信信号を衛星通信受信アンテナで受信し、衛星通信中間周波信号に変換したものを使用することもできるし、共同受信システムにおける自主放送信号も、前記放送信号に含めることもできる。また、上記の実施の形態では、複数のGPS受信アンテナで受信したGPS信号をそれぞれ周波数変換して、対応するGPS再送信アンテナまで伝送し、そこで、元のGPS信号に再周波数変換したが、例えば1台のGPS受信アンテナで受信したGPS信号を放送信号と共に伝送路で伝送し、伝送路から分岐した位置に、本発明によるブースタを設置し、放送信号を増幅して、テレビジョン受信機等に供給し、GPS信号を増幅してGPS再送信アンテナに供給する場合にも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1の実施形態のブースタが使用されるGPS信号伝送システムのGPS受信アンテナとGPS再送信アンテナの配置を示す図である。
【図2】図1のGPS信号伝送システムで使用される各信号の周波数を示す図である。
【図3】図1のGPS信号伝送システムのヘッド装置のブロック図である。
【図4】図1のGPS信号伝送システムの各端末のブロック図である。
【図5】図3に示すダウンコンバータ8aのブロック図である。
【図6】図3に示すダウンコンバータ8b乃至8hのブロック図である。
【図7】図3に示す合成器10のブロック図である。
【図8】図4に示すダウンコンバータ30a乃至30hのブロック図である。
【図9】図4に示すブースタ32a乃至32hのブロック図である。
【図10】本発明の第2の実施形態のブースタが使用されるGPS信号伝送システムのブロック図である。
【符号の説明】
【0040】
2 ビル(電波遮断体)
4a乃至4h GPS受信アンテナ
6a乃至6h GPS再送信アンテナ
8a乃至8h ダウンコンバータ(第1周波数変換手段)
12 伝送路
30a乃至30h アップコンバータ(第2周波数変換手段)
128a乃至128c 増幅器(放送信号増幅手段)
136a乃至136c 増幅器(GPS信号増幅手段)
134 レベル調整器(自動利得制御手段)
140 検波回路(自動利得制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS受信用アンテナにより受信されたGPS信号と、放送受信用アンテナにより受信された放送信号との合成信号が伝送される伝送路に設けられ、前記GPS信号と前記放送信号とを分波する分波手段と、
前記分波された放送信号を増幅し、受信手段接続端子に供給する放送信号増幅手段と、
前記分波されたGPS信号を増幅してGPS信号再送信アンテナに供給するGPS信号増幅手段とを、
具備し、前記GPS信号増幅手段は、前記GPS信号再送信アンテナからの送信出力が所定レベルとなるように自動利得制御されるブースタ。
【請求項2】
電波遮断体の外部のそれぞれ異なる位置に設けられた複数のGPS受信用アンテナで受信したGPS信号を互いに異なる周波数に周波数変換された周波数変換GPS信号と、放送受信用アンテナにより受信された放送信号とが、合成された合成信号が伝送路を介して前記電波遮断体内の前記各GPS受信用アンテナに対応して、設置されている複数のGPS信号再送信アンテナまで伝送され、これらの位置において前記合成信号中の前記各周波数変換GPS信号のうち、当該位置に対応する前記GPS受信用アンテナで受信されたGPS信号に対応する周波数変換GPS信号を再周波数変換した再周波数変換GPS信号と、前記放送信号とを、分波する分波手段と、
前記分波された放送信号を増幅し、受信手段接続端子に供給する放送信号増幅手段と、
前記分波された再周波数変換GPS信号を増幅して対応する前記GPS信号再送信アンテナに供給するGPS信号増幅手段とを、
具備し、前記GPS信号増幅手段は、前記対応するGPS信号再送信アンテナからの送信出力が所定レベルとなるように自動利得制御されるブースタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−335965(P2007−335965A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−162407(P2006−162407)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】