説明

ブーム作業車のノンストップ作動制御装置

【課題】ブームの先端部が円弧運動から直進運動に移行する際にブームの先端部に大きな力が作用することを防止でき、加えてブームの倒伏作動速度が大きいときでも限界負荷率を大きく超えてしまうことを防止することが可能な構成のブーム作業車のノンストップ作動制御装置を提供する。
【解決手段】コントローラのノンストップ作動制御部は、コントローラの負荷率算出部において算出された算出負荷率γが限界負荷率γ0よりも(第1の所定負荷率γ1よりも)小さい値として定められた第2の所定負荷率γ2に達したときにブームの収縮作動を開始するとともに、ブームの倒伏作動に伴う算出負荷率γの変化に応じてブームの収縮作動速度を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブームの倒伏作動の途中でブームの収縮作動を併せて行うことにより、走行体に作用する転倒モーメントの負荷率が限界値を超えることなくブームの倒伏作動を続行できるようにしたブーム作業車のノンストップ作動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ブーム作業車は、走行体上に起伏、伸縮、旋回動自在に設けたブームの先端部に作業機を備えた車両であり、作業機が作業者搭乗用の作業台であるものは高所作業車として、また作業機が吊り上げ装置であるものはクレーン車として知られている。このようなブーム作業車では、オペレータが操作するブーム操作レバーの操作によりブームを起伏、伸縮、旋回作動させることができ、ブームの先端部に設けられた作業機を所望の位置に移動させて所要の作業を行うことができる。
【0003】
このようなブーム作業車では、ブームの自重及び作業機の負荷等により生ずる転倒モーメントによって走行体が転倒することを防止する転倒防止装置が備えられている。この転倒防止装置には種々のものが知られているが、例えば、走行体に作用する転倒モーメントを検出してこれが過大とならないようにするタイプ(モーメント規制タイプ)のものでは、予め定められた許容転倒モーメントに対する検出転倒モーメントの比として求められる算出負荷率が設定された限界負荷率を超えるようなブームの作動が禁止されるようになっている。
【0004】
また、このような転倒防止装置とは別に、ブームの倒伏作動時における作業性を高める装置として、ノンストップ作動制御装置が知られている(例えば、下記の特許文献参照)。この装置は、上記モーメント規制タイプのものでは、ブームの倒伏作動中、算出負荷率が限界負荷率よりも小さい所定負荷率に達した後は、ブームの倒伏作動のみならずブームの収縮作動も行うことにより、算出負荷率が上記所定負荷率を維持する状態で、ブームの先端部を下降移動させるようになっている。このようなノンストップ作動制御装置によれば、ブームの倒伏作動によって算出負荷率が限界負荷率に達するような場合であっても、ブームの作動を止めることなく倒伏作動を継続して行うことができるので、作業性を向上させることができる。
【特許文献1】特開平4−19159号公報
【特許文献2】特開2002−265199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のノンストップ作動制御では、ブームの先端部がそれまでの円弧運動から直線運動(ノンストップ作動)に移行する際、ブームの先端部の進行方向が急変させられるためにブームの先端部に大きな慣性力が作用してしまうという問題があった。この作業機に作用する慣性力は、作業機が作業者搭乗用の作業台である場合には、作業台に搭乗した作業者に大きなショックを与えることになってしまう。また、ブームの倒伏作動速度が大きいときには算出負荷率が限界負荷率を超えることがあり、算出負荷率が限界負荷率を予想以上に超えてしまった場合には走行体の安定度が低下するおそれがでてくる。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、ブームの先端部が円弧運動から直進運動に移行する際にブームの先端部に大きな力が作用することを防止でき、加えてブームの倒伏作動速度が大きいときでも算出負荷率が限界負荷率を大きく超えてしまうことを防止することが可能な構成のブーム作業車のノンストップ作動制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るブーム作業車のノンストップ作動制御装置は、走行体と、走行体に起伏及び伸縮動自在に設けられ、先端部に作業機(例えば、実施形態における作業台40)を有したブームと、走行体に作用する転倒モーメントを検出する転倒モーメント検出手段と、走行体に作用する転倒モーメントの限界値として設定された許容転倒モーメントを記憶した記憶手段(例えば、実施形態におけるコントローラ60の記憶部64)と、転倒モーメント検出手段において検出された検出転倒モーメント及び記憶手段に記憶された許容転倒モーメントから、許容転倒モーメントに対する検出転倒モーメントの比である算出負荷率を算出する負荷率算出手段(例えば、実施形態におけるコントローラ60の負荷率算出部67)と、ブームの倒伏作動中、負荷率算出手段により算出された算出負荷率が予め定められた限界負荷率に達しようとしていると判断したとき、ブームの倒伏作動に併せてブームの収縮作動を行わせることにより、負荷率算出手段により算出された算出負荷率が限界負荷率を超えないようにブームの先端部を下降移動させるノンストップ作動制御手段(例えば、実施形態におけるコントローラ60のノンストップ作動制御部65)とを備え、ノンストップ作動制御手段は、負荷率算出手段により算出された算出負荷率が限界負荷率よりも小さい値として定められた所定負荷率(実施形態における第2の所定負荷率γ2に相当)に達したときにブームの収縮作動を開始するとともに、ブームの倒伏作動に伴う算出負荷率の変化に応じてブームの収縮作動速度を変化させるようになっている。なお、上記ブームの先端部とは作業機をも含む概念である。
【0008】
ここで、上記所定負荷率は、ブームの長さに応じた値に(ブームの長さが大きいときほど小さい値に)設定されることが好ましい。また、所定負荷率は、ブームの倒伏作動速度に応じた値に(ブームの倒伏作動速度が大きいときほど小さい値に)設定されることが好ましい。
【0009】
また、ノンストップ作動制御手段は、負荷率算出手段により算出された算出負荷率が限界負荷率に達する前にブームの倒伏作動速度を低下させるようになっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るブーム作業車のノンストップ作動制御装置では、ブームの倒伏作動中、負荷率算出手段により算出された算出負荷率が限界負荷率よりも小さい値として定められた所定負荷率(実施形態における第2の所定負荷率に相当)に達したときにブームの収縮作動を開始するとともに、ブームの倒伏作動に伴う算出負荷率の変化に応じてブームの収縮作動速度を変化させる(具体的にはブームの倒伏作動に伴う算出負荷率の増大に応じて収縮作動速度を増大させる)ようになっている。このため、それまで円弧運動を行っていたブームの先端部はその円弧軌道の下方領域を通って滑らかに直進運動(算出負荷率が限界負荷率、若しくは限界負荷率よりも小さく上記所定負荷率よりも大きい負荷率(実施形態における第1の所定負荷率に相当)を維持する状態で下降移動する運動)に移行できるようになり、ブームの先端部に作用する力(慣性力)を軽減することができる。また、これにより作業機が作業者搭乗用の作業台であっても、作業台上の作業者は大きなショックを受けずに済む。また、ブームの倒伏作動速度が大きいときでもブームの先端部の急激な方向変化を抑えることができるので、算出負荷率が限界負荷率を大きく超えてしまうことを防止することができる。
【0011】
ここで、上記所定負荷率(実施形態における第2の所定負荷率に相当)が、ブームの長さに応じた値に(ブームの長さが大きいときほど小さい値に)設定されるのであれば、ブームの長さが大きいときほどブームの収縮作動の開始位置は早くなるので、ブームの長さによらず、円弧運動をしていたブームの先端部を滑らかに直進運動に移行させることができる。
【0012】
また、上記所定負荷率(実施形態における第2の所定負荷率に相当)が、ブームの倒伏作動速度に応じた値に(ブームの倒伏作動速度が大きいときほど小さい値に)設定されるのであれば、円弧運動をしていたブームの先端部を滑らかに直進運動に移行させることができる。
【0013】
また、ノンストップ作動制御手段が、負荷率算出手段により算出された算出負荷率が限界負荷率に達する前にブームの倒伏作動速度を低下させるようになっているのであれば、ブームの倒伏作動速度が比較的大きい場合であっても、ブームの先端部を滑らかに上記所定の負荷率線(実施形態における第1所定負荷率線に相当)上に乗せることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。図2は本発明の一実施形態に係るノンストップ作動制御装置が適用されたクローラ式の高所作業車1である。この高所作業車1は、走行体(クローラ走行体)10の上部に旋回体20を有し、旋回体20の上部にはブーム(伸縮ブーム)30がフートピン23を介して起伏自在に取り付けられた構成を有している。
【0015】
旋回体20は旋回体20の内部に設けられた旋回モータ(油圧モータ)21を回転作動させることにより走行体10に対して水平面内360度の範囲で旋回動させることができ、ブーム30は旋回体20との間に設けられた起伏シリンダ(油圧シリンダ)22を伸縮作動させることにより旋回体20に対して起伏動させることができる。ブーム30は基端ブーム30a、中間ブーム30b及び先端ブーム30cが入れ子式に構成されており、ブーム30の内部に設けられた伸縮シリンダ(油圧シリンダ)31を伸縮作動させることにより長手方向に伸縮動させることができる。
【0016】
ブーム30の先端部には垂直ポスト32が設けられており、この垂直ポスト32には作業者搭乗用の作業台40が回動自在に取り付けられている。作業台40は作業台40の内部に設けられた首振りモータ(油圧モータ)41を回転作動させることにより垂直ポスト32に対して水平面内で首振り動させることができる。なお、垂直ポスト32は図示しない平衡装置により常時垂直姿勢に保持されるため、結果として作業台40の床面は常に水平姿勢が保たれる。
【0017】
作業台40には上部操作装置50が設けられており、ここにはブーム30の起伏、伸縮及び旋回操作を行うブーム操作レバー51と、作業台40の首振り操作を行う作業台操作レバー52とが設けられている(図1参照)。このため作業台40に搭乗したオペレータ(作業者)OPは、ブーム操作レバー51を操作してブーム30を起伏、伸縮、旋回させ、また作業台操作レバー52を操作して作業台40を垂直ポスト32まわりに首振り作動させることにより、自身の乗った作業台40を自在に移動させて、所望の位置で高所作業を行うことが可能である。
【0018】
走行体10は、フレーム11の左右両側にクローラ走行装置12を一基ずつ備えている。各クローラ走行装置12はフレーム11の後部に取り付けられた起動輪12aと、フレーム11の前部に取り付けられた遊動輪12bと、これら起動輪12a及び遊動輪12bに巻き掛けられたクローラベルト12cとを有して構成されている。左右のクローラ走行装置12の各起動輪12aはそれぞれフレーム11に取り付けられた走行モータ(油圧モータ)13,14(図2では左側の走行モータ13のみを示す)により図示しないスプロケットを回転させて駆動することが可能であり、左右の走行モータ13,14は上部操作装置50に備えられた走行操作レバー53,54(図1参照)を操作することにより所望に回転・停止動作を行わせることができる。
【0019】
図1に示すように、走行体10内に設けられた油圧ポンプPは図示しない動力源(エンジンや電動モータ等)により駆動され、油圧ポンプPが吐出した作動油は起伏シリンダ22の作動を制御する起伏シリンダ制御バルブV1、伸縮シリンダ31の作動を制御する伸縮シリンダ制御バルブV2、旋回モータ21の作動を制御する旋回モータ制御バルブV3、首振りモータ41の作動を制御する首振りモータ制御バルブV4及び左右の走行モータ13,14の作動を制御する走行モータ制御バルブV5,V6を介して対応する油圧アクチュエータ(起伏シリンダ22、伸縮シリンダ31、旋回モータ21首振りモータ41及び左右の走行モータ13,14)に供給されるようになっている。
【0020】
ブーム操作レバー51又は作業台操作レバー52が作業台40上のオペレータOPにより操作されると、そのレバーの操作方向(傾動方向)及び操作量(傾動量)に対応した電圧信号が出力され、それぞれコントローラ60のバルブ作動制御部61に入力される。そして、コントローラ60のバルブ作動制御部61は、これらレバー51,52の操作により出力された電圧信号に応じた方向及び量で対応する制御バルブV1,V2,V3,V4の各スプール(図示せず)を電磁駆動する。ここで、制御バルブV1,V2,V3,V4の各スプールの駆動方向は対応する油圧アクチュエータの駆動方向(伸縮若しくは回転方向)に関係し、各スプールの駆動量は対応する油圧アクチュエータに供給される作動油の流量(単位時間当たりの流量)、すなわち各油圧アクチュエータの作動速度に関係する。したがって、各制御バルブのスプールの駆動方向が逆になると対応する油圧アクチュエータの作動方向が逆になり、各制御バルブのスプールの駆動量が大きくなるほど対応する油圧アクチュエータの作動速度は大きくなる。
【0021】
ここで、ブーム操作レバー51又は首振り操作レバー52の操作により出力される電圧信号の電圧レベルはその操作量にほぼ比例するようになっており、オペレータOPは各操作レバー51,52の操作量を調節することで、対応する上記油圧アクチュエータの作動速度を自在に調節することができる。
【0022】
また、左右の走行操作レバー53,54がオペレータOPにより操作されると、その操作方向(傾動方向)及び操作量(傾動量)に対応した電圧信号が出力され、それぞれコントローラ60のバルブ作動制御部61に入力される。そして、このバルブ作動制御部61は、これら走行操作レバー53,54の操作により出力された電圧信号に応じた方向及び量で対応する左右の走行モータ制御バルブV5,V6の各スプール(図示せず)を電磁駆動する。ここで、両制御バルブV5,V6の各スプールの駆動方向は対応する走行モータ13,14の回転方向に関係し、各スプールの駆動量は走行モータ13,14に供給される作動油の流量(単位時間当たりの流量)、すなわち走行モータ13,14の回転数(回転速度)に関係する。したがって、制御バルブのスプールの駆動方向が逆になると対応する走行モータ13,14の作動方向が逆になり、各制御バルブのスプールの駆動量が大きくなるほど対応する走行モータ13,14の作動速度は大きくなる。
【0023】
ここで、左右の走行操作レバー53,54の操作により出力される電圧信号の電圧レベルはその操作量にほぼ比例し、左右の走行操作レバー53,54の操作量が同じであれば出力される電圧レベルは同じになるようになっている。このため、オペレータOPは走行操作レバー53,54の操作量を調節することで、左右の走行モータ13,14の回転速度を自在に調節して直進走行或いはターン走行をすることができる。なお、ターン走行はピボットターン(小半径での旋回ターン)とスピンターン(その場でのターン)とがあり、左右のクローラ走行装置12の一方を(ほぼ)固定した状態で他方を順方向或いは逆方向に回転させることによりピボットターンをすることができ、左右のクローラ走行装置12を互いに異なる方向に回転させることによりスピンターンをすることができる。
【0024】
また、本高所作業車1には、図2及び図1に示すように、ブーム30の起伏角度θ(図3参照)を検出する起伏角度検出器81、ブーム30の長さL(図3参照)を検出する長さ検出器82及びブーム30の(旋回体20の)旋回角度を検出する旋回角度検出器83が設けられており、これら検出器81,82,83により検出されたブーム30の起伏角度θ、長さL及び旋回角度の各情報はコントローラ60の位置算出部62に入力されるようになっている(図1参照)。ここで、コントローラ60の位置算出部62は、検出器81,82,83からの情報に基づいて走行体10を基準としたブーム30の先端部(このブーム30の先端部とは作業台40をも含む概念である。ブーム先端部と称することがある)の位置を算出し、その結果得られたブーム先端部の位置の情報を検出器81,82,83が検出する各情報とともにコントローラ60の規制制御部63に出力する(図1参照)。
【0025】
起伏角度検出器81、長さ検出器82、旋回角度検出器83及びコントローラ60の位置算出部62はブーム先端部の位置(座標)を検出する機能を有しており、以下、これらを一組にして位置検出手段80と称する。なお、位置検出手段80は、直接的には、或るブーム30の旋回角度におけるブーム先端部の位置を座標(θ,L)として求めるが、ブーム30の作業半径R(図3に示すようにフートピン23を含む鉛直線PLからブーム30の先端部BPまでの間の水平距離)及びブーム30の先端部高さH(図3に示すようにフートピン23を含む水平線WLからのブーム30の先端部BPの高さ)はそれぞれθとLとを用いて表すことができるので、ブーム先端部の位置を座標(R,H)として求めることも可能である。
【0026】
図1に示すように、コントローラ60は上述のバルブ作動制御部61、位置算出部62及び規制制御部63のほか、記憶部64、ノンストップ作動制御部65、転倒モーメント算出部66及び負荷率算出部67を有している。コントローラ60の記憶部64には、走行体10に作用する転倒モーメントの限界値として設定された許容転倒モーメントM0がブーム30の起伏角度θ及び長さLに対応した値として記憶されている。また、コントローラ60の転倒モーメント算出部66は、起伏シリンダ22の軸力を検出する軸力検出器84(図1参照)からの検出情報及び起伏角度検出器81からの検出情報に基づいて、走行体10に作用する転倒モーメントMを算出する。これら軸力検出器84、起伏角度検出器81及びコントローラ60の転倒モーメント算出部66は、走行体10に作用する転倒モーメントを検出する(検出された転倒モーメントを検出転倒モーメントMとする)機能を有しており、以下、これらを一組にして転倒モーメント検出手段90と称する。
【0027】
コントローラ60の負荷率算出部67は、転倒モーメント検出手段90において検出された検出転倒モーメントMと、その時々で検出されているブーム30の起伏角度θ及び長さLに応じて求められる許容転倒モーメントM0とから、許容転倒モーメントM0に対する検出転倒モーメントMの比である算出負荷率γ(=M/M0)を算出し、その結果を規制制御部63とノンストップ作動制御部65とに出力する。
【0028】
コントローラ60の負荷率算出部67において算出される(モニターされる)算出負荷率γはブーム30の姿勢(ブーム先端部の位置)及び作業台40の積載荷重に応じて変化し、その値が大きいときほど転倒に対する不安定度が増大していることを示す。但し、算出負荷率γが、予め定められた限界負荷率γ0(例えば100%)を超えるようなブーム30作動は後述するようにコントローラ60の規制制御部63によって規制されるので、算出負荷率γは限界負荷率γ0を超えて大きくなることはない。
【0029】
図3は作業台40の積載荷重が或る値をとっているときにブーム30の先端部を移動させることができる領域の外縁を示したものである。この外縁において、直線L1、直線L2、曲線L3及び曲線L4はブーム30の長さがとり得る範囲とブーム30の起伏角度がとり得る範囲との関係から自ずと画定される外縁(作動限界線)であり、直線Lγ0は、算出負荷率γが限界負荷率γ0となるときのブーム先端部の位置をブーム30の長さごとにプロットすることにより形成される線である(この線を限界負荷率線と称する)。また、点線で示す曲線L4′は、最大伸長状態のブーム30を倒伏させていったときに、算出負荷率γが限界負荷率γ0を超えることが許されると仮定した場合にブーム30の先端部が描くであろう仮想の作動限界線である。すなわち、限界負荷率線Lγ0と仮想の作動限界線L4′との間の領域は、ブーム30の先端部の移動が禁止される領域(構造上はブーム30の先端部を移動させ得るが、算出負荷率γが限界負荷率γ0を超えないように規制制御部63が働くために、結果としてブーム30の先端部の移動ができない領域)であり、限界負荷率線Lγ0は、このブーム30の先端部の移動が禁止される領域との境界線ということもできる。なお、当然ながら、設定された限界負荷率γ0の値が同じであっても作業台40の積載荷重に応じて限界負荷率線Lγ0の位置は変化し、作業台40の積載荷重が大きいときには限界負荷率線Lγ0は走行体10に寄る側(図3では図の右側)に移動する。また、作業台40の積載荷重が同じであっても、設定した限界負荷率γ0の値が大きいときには限界負荷率線Lγ0は走行体10から離れる側(図3では図の左側)に移動することになる。
【0030】
作業台40の積載荷重が或る値をとっているとき、ブーム30を伸長或いは倒伏作動させていった場合には、負荷率算出部67において算出される算出負荷率γの値は次第に大きくなっていく。ここで、倒伏作動を伴わないブーム30の作動(例えばブーム30の単純伸長作動)が行われた場合であって、算出負荷率γの値が限界負荷率γ0に達したときには(これは、ブーム30の先端部が限界負荷率線Lγ0に達したとみることもできる)、ブーム30の作動は停止される。なお、このようなブーム30の規制は、コントローラ60の規制制御部63において行われる。すなわち、コントローラ60の規制制御部63は、負荷率算出部67により算出された算出負荷率γが限界負荷率γ0を超えるようなブーム30の作動を禁止する働きをする。
【0031】
コントローラ60のノンストップ作動制御部65は、ブーム30の倒伏作動中、コントローラ60の負荷率算出部67により算出されている(モニターされている)算出負荷率γが限界負荷率γ0に達しようとしていると判断したときには、ブーム30の倒伏作動に併せてブーム30の収縮作動を行わせることにより、算出負荷率γが限界負荷率γ0を超えないようにブーム30の先端部を下降移動させる。具体的には、算出負荷率γが限界負荷率γ0と同じ若しくは限界負荷率γ0よりも小さい値として定めた第1の所定負荷率γ1(例えば98%)を維持する状態でブーム30の先端部を下降移動させる(図4参照。以下、このような制御をノンストップ作動制御と称する)。なお、図4中に示す一点鎖線は算出負荷率γが第1の所定負荷率γ1を維持する状態でブーム30を倒伏作動させた場合にブーム30の先端部が描く軌跡(以下、第1所定負荷率線Lγ1と称する)である。
【0032】
コントローラ60のノンストップ作動制御部65がこのようなノンストップ作動制御を行わなかったとした場合、上記ケースでは、ブーム30の倒伏作動により算出負荷率γが限界負荷率γ0に達したところでコントローラ60の規制制御部63によりブーム30の作動は強制停止されてしまうところであるが、コントローラ60のノンストップ作動制御部65が上記のようなノンストップ作動制御を行うことにより、ブーム30の先端部の外方(走行体10から離れる側)への移動は規制されるものの、オペレータOPが意図していたブーム30の倒伏作動は続行することができるので、作業性が向上することになる。
【0033】
コントローラ60のノンストップ作動制御部65は、上記ノンストップ作動制御を開始する条件となる、ブーム30が倒伏作動中であることの検知を、位置検出手段80により検出されている(モニターされている)ブーム30の先端部の移動軌跡に基づいて、或いはブーム操作レバー51の操作状態を検出することにより行う。また、算出負荷率γが限界負荷率γ0に達しようとしているか否かの判断は、コントローラ60の負荷率算出部67により算出されている(モニターされている)算出負荷率γが第1の所定負荷率γ1よりも小さい値として予め定められた第2の所定負荷率γ2(例えば90%近傍)に達したか否かに基づいて行う。なお、これら第1の所定負荷率γ1のデータと第2所定負荷率γ2のデータとは、コントローラ60の記憶部64に予め記憶されている。
【0034】
コントローラ60のノンストップ作動制御部65は、上記のようにして、ブーム30の倒伏作動中、算出負荷率γが限界負荷率γ0に達しようとしていると判断したとき、伸縮シリンダ31を作動させてブーム30の収縮作動を開始する(ブーム30の収縮作動を開始する軌道m上の点を開始点P1とする。図4参照)。また、必要があれば、ブーム30の倒伏作動速度を低下させる制御も開始する。そして、このようにブーム30の収縮作動を開始した後は、ブーム30の先端部がそれまで描いていた軌道mの下方領域を通って(例えば図4に示すような曲線軌跡n或いは図7に示すような直線軌跡nを描いて)第1所定負荷率線Lγ1に至るようにブーム30を作動させる。このとき、コントローラ60のノンストップ作動制御部65は、ブーム30の倒伏作動に伴う算出負荷率γの変化に応じてブーム30の収縮作動速度を変化させる。具体的には、ブーム30の倒伏作動に伴う算出負荷率γの増大に応じてブーム30の収縮作動速度を増大させる。これによりブーム30の先端部は滑らかな軌道を描いて第1所定負荷率曲線Lγ1に乗り移り、その後はこの第1所定負荷率線Lγ1に沿って下降移動することになる。なお、図4中に示す点P0は、ブーム30の先端部が第1所定負荷率線Lγ1に至るまでブーム30の収縮作動を行わなかったと仮定した場合にブーム30の先端部が描くであろう仮想軌道m′と第1所定負荷率線Lγ1との交点であり、点P2は、軌跡nと第1所定負荷率線Lγ1とが交わるときの点である。
【0035】
ブーム30の倒伏作動中、コントローラ60の負荷率算出部67により算出されている(モニターされている)算出負荷率γが第2の所定負荷率γ2に至るまでの間は、ブーム30は倒伏作動のみが行われるが、算出負荷率γが第2の所定負荷率γ2に至った後、算出負荷率γが第1の所定負荷率γ1になるまでの間は、ブーム30は倒伏作動に加えて収縮作動が行われる(倒伏作動と収縮作動とが連動して行われる)。そして、算出負荷率γが第1の所定負荷率γ1に達した後も、ブーム30は倒伏作動に加えて収縮作動が行われるが、算出負荷率γが第1の所定負荷率γ1を維持する状態で下降移動している間のブーム30の収縮作動速度は、算出負荷率γが第1の所定負荷率γ1に至るまでの間のブーム30の収縮作動速度よりも大きくする必要がある。これは、図4において、算出負荷率γが第1の所定負荷率γ1に至るまでの領域を移動しているブーム30の先端部が仮想軌道m′から離れていく距離と、算出負荷率γが第1の所定負荷率γ1に維持された状態での移動中(第1所定負荷率線Lγ1に沿っての移動中)にブーム30の先端部が仮想軌道m′から離れていく距離とを比較したとき、後者の方が前者よりも大きくなることから容易に推察することができる。なお、上述のように、算出負荷率γが第1の所定負荷率γ1に至るまでの間及び算出負荷率γが第1の所定負荷率γ1に維持されている間は、必要に応じて(ブーム30の収縮作動速度に合わせて)ブーム30の倒伏作動速度を低下させる制御が行われる。
【0036】
図5は、ブーム30の倒伏作動時における、算出負荷率γに対するブーム30の収縮作動速度を示すグラフである。このグラフは、或るブーム30の長さ及び倒伏作動速度に対するものであるが、このように、算出負荷率γが第2の所定負荷率γ2よりも小さいときにはブーム30の収縮作動速度を零とし、算出負荷率γが第2の所定負荷率γ2を超えて大きくなると、その算出負荷率γの増大に従ってブーム30の収縮作動速度を増大させるという傾向はブーム30の長さやブーム30の倒伏作動速度によらず同じである。
【0037】
このように、本実施形態に係るノンストップ作動制御装置では、ブーム30の倒伏作動中、算出負荷率γが限界負荷率γ0よりも(更にはこの限界負荷率γ0より小さい第1の所定負荷率γ1よりも)小さい値として定められた所定負荷率(第2の所定負荷率γ2)に達したときにブーム30の収縮作動を開始するとともに、ブーム30の倒伏作動に伴う算出負荷率γの変化に応じてブーム30の収縮作動速度を変化させる(具体的には、ブーム30の倒伏作動に伴う算出負荷率γの増大に応じて収縮作動速度を増大させる)ようになっている。このため、それまで円弧運動を行っていたブーム30の先端部はその円弧軌道の下方領域を通って滑らかに直進運動(第1の所定負荷率γ1を維持する状態で下降移動する運動)に移行できるようになり、ブーム30の先端部に作用する力(慣性力)を軽減することができる。また、これにより作業台40上のOPは大きなショックを受けずに済む。また、ブーム30の倒伏作動速度が大きいときでもブーム30の先端部の急激な方向変化を抑えることができるので、算出負荷率γが第1の所定負荷率γ1を(すなわち限界負荷率γ0を)大きく超えてしまうことを防止することができる。
【0038】
ここで、第2の所定負荷率γ2は、長さ検出器82により検出されるブーム30の長さに応じた値に(ブーム30の長さが大きいときほど小さい値に)設定されるようになっている。このため、ブーム30の長さが大きいときほどブーム30の収縮作動の開始位置は早くなる(第1所定負荷率線Lγ1から離れた位置から開始される)ことになり、ブーム30の長さによらず、円弧運動をしていたブーム30の先端部を滑らかに直進運動に移行させることができる。これによりブーム30の先端部は算出負荷率γが第2の所定負荷率γ2に達した後、軌道mの下方領域を滑らかな軌跡を描いて移動し、算出負荷率γが第1の所定負荷率γ1を維持する状態で下降移動する(これは、ブーム30の先端部が第1所定負荷率線Lγ1に沿って下降移動したとみることもできる)。なお、第2の所定負荷率γ2となる点をブーム30の長さごとにプロットすると、図3中に示す破線のようになる(この線を第2所定負荷率線Lγ2と称する)。この第2所定負荷率線Lγ2は、第1所定負荷率線Lγ1よりも走行体10側の領域内において、第1所定負荷率線Lγ1から内側(走行体10側)に離れる距離が、高さ方向距離が大きくなるほど大きくなるように延びる。
【0039】
また、上記のように第2の所定負荷率γ2が、ブーム30の長さに応じた値に(ブーム30の長さが大きいときほど小さい値に)設定されることにより、算出負荷率γが第1の所定負荷率γ1を超えてしまう(ブーム30の先端部が第1所定負荷率線Lγ1をオーバーシュートしてしまう)事態を効果的に防止することができる。これは、図6に示すように、倒伏作動をしているブーム30の先端部が描く軌道mが第1所定負荷率線Lγ1と交わるときの交叉角αは、第1所定負荷率線Lγ1と交わるときのブーム30の高さが大きいとき(ブーム30の長さが大きいとき)ほど大きく、軌道mと第1所定負荷率線Lγ1とは滑らかに交わらなくなるので、開始点P1を第1所定負荷率線Lγ1から遠ざけなければ(開始点P1を早めに設定、すなわち開始点P1が設定されるときの算出負荷率γを小さくしなければ)算出負荷率γが第1の所定負荷率γ1を超え易くなることによる。
【0040】
また、第2の所定負荷率γ2は、ブーム30の倒伏作動速度に応じた値に(ブーム30の倒伏作動速度が大きいときほど小さい値に)設定される。ブーム30の先端部に作用する慣性力は(ブーム30の長さが同一であれば)ブーム30の倒伏作動速度が大きいときほど大きいため、ブーム30の倒伏作動速度が大きいときほど開始点P1を第1所定負荷率線Lγ1から離す(開始点P1を早めに設定する、すなわち開始点P1が設定されるときの算出負荷率γを小さくする)ようにしたものである(図7参照)。これにより、円弧運動をしていたブーム30の先端部を滑らかに直進運動に移行させることができるとともに、算出負荷率γが第1の所定負荷率γ1を超える(ブーム30の先端部が第1所定負荷率線Lγ1をオーバーシュートする)事態を効果的に防止することができる。なお、図8(A)はブーム30の倒伏作動速度と第2の所定負荷率γ2との関係を表したグラフであり、図8(B)はブーム30の倒伏作動速度の大きさに応じて算出負荷率γに対するブーム30の収縮作動速度の関係(図5に示す関係)がどのように変化するかを表したグラフである。
【0041】
コントローラ60のバルブ作動制御部61が出力する制御バルブV1,V2,V3の駆動信号(電圧信号)はコントローラ60のノンストップ作動制御部65にも入力されており、コントローラ60のノンストップ作動制御部65は、これら駆動信号のうち起伏シリンダ制御バルブV1の駆動信号に基づいてブーム30の倒伏作動速度を検知する。これは、起伏シリンダ制御バルブV1の駆動信号(の電圧レベル)が大きいときほど起伏シリンダ制御バルブV1のスプールの駆動量は大きく、起伏シリンダ22に供給される作動油の流量(単位時間当たりの流量)が多くなって起伏シリンダ22の作動速度が大きくなるという関係を利用したものである。このため上記図8(A)におけるγ2を起伏シリンダ制御バルブの駆動信号或いは起伏シリンダの作動制御信号との関係でも規定することができ、図8(A)の横軸を「起伏シリンダ制御バルブの駆動信号」或いは「起伏シリンダの作動制御信号」としてもグラフの形状は図8(A)と同傾向となる。そして、コントローラ60のノンストップ作動制御部65は、その検知したブーム30の倒伏作動速度に対応する第2の所定負荷率γ2のデータを記憶部64から呼び出してノンストップ作動制御に使用する。この場合、コントローラ60のバルブ作動制御部61がブーム30の倒伏作動速度を検出するブーム倒伏作動速度検出手段として機能することになる。
【0042】
また、ブーム30の倒伏作動速度は、ブーム30の起伏角度を検出する起伏角度検出器81により検出されるブーム30の起伏角度の時間変化率(dθ/dt)やブーム30の作業半径Rの時間変化率(dR/dt)或いはブーム先端部高さHの時間変化率(dH/dt)により求めることができるほか、算出負荷率γの時間変化率(dγ/dt)、ブーム30を起伏作動させる起伏シリンダ22の出力や作動速度、或いはブーム30の起伏作動指令を行うブーム操作レバー51の操作量等によっても求めることができるので、γ2はこれらのいずれかとの関係で規定することもできる。このとき図8(A)の横軸を「ブームの起伏角度の時間変化率」、「ブームの作業半径の時間変化率」、「ブーム先端部高さの時間変化率」、「算出負荷率の時間変化率」、「起伏シリンダの出力」、「起伏シリンダの作動速度」或いは「ブーム操作レバーの操作量」とすれば、グラフの形状は図8(A)と同傾向となる。
【0043】
また、コントローラ60のノンストップ作動制御部65は、コントローラ60の負荷率算出部67により算出される算出負荷率γが限界負荷率γ0に達する前に(更にはこの限界負荷率γ0より小さい第1の所定負荷率γ1に達する前に)ブーム30の倒伏作動速度を低下させるようになっている。具体的には、ブーム30の収縮作動を開始した直後など、ブーム30の収縮作動速度がまだ小さい間において、ブーム30の倒伏作動速度を低下させる。これは、ブーム30の倒伏作動速度が比較的大きいとき、その倒伏作動速度を保ったままではブーム30の収縮速度を限界まで大きくしてもブーム30の先端部を目的の軌道に乗せることができない場合があるからである。このような場合には、ブーム30の倒伏作動速度をブーム操作レバー51による指令値(ブーム操作レバー51の傾動量に相当)よりも小さくし、ブーム30の倒伏作動速度を低下させて、ブーム30の収縮作動速度とのバランスをとることにより、算出負荷率γが第1の所定負荷率γ1を超えるのを防ぐことができる。これにより、ブーム30の倒伏作動速度が比較的大きい場合であっても、ブーム30の先端部を滑らかに第1所定負荷率線Lγ1上に乗せることができる。ここで、ブーム30の倒伏作動速度の調整は、起伏シリンダ22の出力、作動速度等を調整することにより行う。なお、ブーム30の倒伏作動速度を低下させ始めるタイミングは算出負荷率γの変化率などに応じて任意に設定することができる。
【0044】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明の範囲は上述の実施形態に示されたものに限定されない。例えば、上述の実施形態では、本発明が適用される対象は走行体がクローラ式である高所作業車であったが、走行体は必ずしもクローラ式でなくてもよい。また、本発明が適用される対象は必ずしも高所作業車でなくてもよく、走行体に起伏及び伸縮動自在に設けたブームの先端部に作業機を有して構成されるブーム作業車であれば他のブーム作業車(例えばクレーン車や穴掘り建柱車など)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態に係るノンストップ作動制御装置が適用されたクローラ式高所作業車における油圧アクチュエータの駆動制御系統図である。
【図2】上記クローラ式高所作業車の側面図である。
【図3】作業台の積載荷重が或る値をとっているときにブームの先端部を移動させることができる領域の外縁を示す図である。
【図4】ブームの収縮作動を開始した後におけるブーム先端部の移動軌跡の一例を示す図であり、図3中に示す領域IVの拡大図である。
【図5】ブームの倒伏作動時における、算出負荷率γに対するブームの収縮作動速度を示すグラフである。
【図6】倒伏作動をしているブームの先端部が描く軌道mが第1所定負荷率線Lγ1と交わるときの交叉角αが、ブームの長さが小さいときほど小さくなる様子を示す図である。
【図7】ブームの長さが同一である場合において、ブームの倒伏作動速度が大きいときほど第2の所定負荷率γ2が小さい値に設定される様子を示す図である。
【図8】(A)は、ブームの長さが同一である場合における、ブームの倒伏作動速度と第2の所定負荷率γ2との関係を表したグラフであり、(B)は、ブームの倒伏作動速度の大きさに応じて算出負荷率γに対するブームの収縮作動速度の関係がどのように変化するかを表したグラフである。
【符号の説明】
【0046】
1 高所作業車(ブーム作業車)
10 走行体
30 ブーム
40 作業台(作業機)
51 ブーム操作レバー
60 コントローラ
61 バルブ作動制御部
63 規制制御部
64 記憶部(記憶手段)
65 ノンストップ作動制御部(ノンストップ作動制御手段)
67 負荷率算出部(負荷率算出手段)
90 転倒モーメント検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体と、
前記走行体に起伏及び伸縮動自在に設けられ、先端部に作業機を有したブームと、
前記走行体に作用する転倒モーメントを検出する転倒モーメント検出手段と、
前記走行体に作用する転倒モーメントの限界値として設定された許容転倒モーメントを記憶した記憶手段と、
前記転倒モーメント検出手段において検出された検出転倒モーメント及び前記記憶手段に記憶された前記許容転倒モーメントから、前記許容転倒モーメントに対する検出転倒モーメントの比である算出負荷率を算出する負荷率算出手段と、
前記ブームの倒伏作動中、前記負荷率算出手段により算出された算出負荷率が予め定められた限界負荷率に達しようとしていると判断したとき、前記ブームの倒伏作動に併せて前記ブームの収縮作動を行わせることにより、前記負荷率算出手段により算出された算出負荷率が前記限界負荷率を超えないように前記ブームの先端部を下降移動させるノンストップ作動制御手段とを備え、
前記ノンストップ作動制御手段は、前記負荷率算出手段により算出された算出負荷率が前記限界負荷率よりも小さい値として定められた所定負荷率に達したときに前記ブームの収縮作動を開始するとともに、前記ブームの倒伏作動に伴う前記算出負荷率の変化に応じて前記ブームの収縮作動速度を変化させることを特徴とするブーム作業車のノンストップ作動制御装置。
【請求項2】
前記所定負荷率は、前記ブームの長さに応じた値に設定されることを特徴とする請求項1記載のブーム作業車のノンストップ作動制御装置。
【請求項3】
前記所定負荷率は、前記ブームの倒伏作動速度に応じた値に設定されることを特徴とする請求項1又は2記載のブーム作業車のノンストップ作動制御装置。
【請求項4】
前記ノンストップ作動制御手段は、前記負荷率算出手段により算出された算出負荷率が前記限界負荷率に達する前に前記ブームの倒伏作動速度を低下させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のブーム作業車のノンストップ作動制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−168871(P2006−168871A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−361112(P2004−361112)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(000116644)株式会社アイチコーポレーション (168)
【Fターム(参考)】