説明

プラグおよび電力供給システム

【課題】情報信号を電力に重畳して供給する電力供給システムにおいて、プラグとコンセントとの間の電気的接続を遮断することで、コンセントからプラグを抜き取る際にプラグとコンセントとの間の火花の発生を防ぐことが可能な、新規かつ改良されたプラグを提供すること。
【解決手段】バスラインを介して情報信号が重畳される電力が供給される電源線に接続されるプラグ電極と、プラグ電極の少なくとも一つと直列に接続される第1半導体スイッチング素子と、プラグ電極の少なくとも一つと直列に接続され、第1半導体スイッチング素子と並列に設けられるキャパシタと、を備えるプラグが提供される。かかる構成により、情報信号を電力に重畳して供給する電力供給システムにおいて、コンセントからプラグを抜き取る際にプラグとコンセントとの間の火花の発生を防ぐことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグおよび電力供給システムに関し、より詳細には、情報信号を電力に重畳して供給する電力サーバと、情報信号および電力の供給を受ける機器との間を接続及び切断するプラグ、および当該プラグを備えた電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータやゲーム機のような電子機器の多くは、機器の動作やバッテリの充電のために、商用電源より交流(AC)の電力を入力して機器に合わせた電力を出力するACアダプタが用いられている。通常、電子機器では直流(DC)によって動作するが、電圧や電流はそれぞれの機器で異なる。従って、機器に合わせた電力を出力するACアダプタの規格も、機器毎に異なることになり、同じような形状を有するACアダプタであっても互換性を有しないことになる、機器の増加に伴ってACアダプタの数も増加してしまう問題があった。
【0003】
このような問題に対して、バッテリやACアダプタ等の、機器に電力を供給する電源供給ブロックと、当該電源供給ブロックから電力が供給される電源消費ブロックとを、直流の1つの共通バスラインに接続した電源バスシステムが提案されている(例えば特許文献1)。かかる電源バスシステムにおいては直流の電流がバスラインを流れている。また、かかる電源バスシステムにおいては、各ブロックは自らがオブジェクトとして記述されており、各ブロックのオブジェクトがバスラインを介して相互に情報(状態データ)の送受信を行っている。また各ブロックのオブジェクトは、他のブロックのオブジェクトからの要求に基づいて情報(状態データ)を生成し、回答データとして送信している。そして、回答データを受信したブロックのオブジェクトは、受信した回答データの内容に基づいて電力の供給や消費を制御することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2001−306191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の交流電力の供給を受ける電子機器では、電子機器が電力を消費しており、かつ交流のピーク値付近である場合に、コンセント(プラグ受け)からプラグを抜き取ると、コンセントとプラグとの間で火花が発生する。また、この火花の発生が、直流電力が供給される電源バスシステムにおいては、常に発生することが考えられる。火花の発生はプラグ及びコンセントの劣化を招くという問題がある。従って、情報信号を電力に重畳して供給するような電力供給システムにおける電子機器においては、火花を発生させずにプラグをコンセントに抜き差しできるようにする必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、情報信号を電力に重畳して供給する電力供給システムにおいて、プラグとコンセントとの間の電気的接続を遮断することで、コンセントからプラグを抜き取る際にプラグとコンセントとの間の火花の発生を防ぐことが可能な、新規かつ改良されたプラグおよび電力供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、バスラインを介して情報信号が重畳される電力を供給する電源線に接続されるプラグ電極と、プラグ電極の少なくとも一つと直列に接続される第1半導体スイッチング素子と、プラグ電極の少なくとも一つと直列に接続され、第1半導体スイッチング素子と並列に設けられるキャパシタと、を備えるプラグが提供される。
【0008】
かかる構成によれば、プラグ電極はバスラインを介して情報信号が重畳される電力を供給する電源線に接続され、第1半導体スイッチング素子はプラグ電極の少なくとも一つと直列に接続され、キャパシタはプラグ電極の少なくとも一つと直列に接続され、第1半導体スイッチング素子と並列に設けられる。その結果、情報信号を電力に重畳して供給する電力供給システムにおいて、コンセントからプラグを抜き取る際に、第1半導体スイッチング素子によってプラグとコンセントとの間の電気的接続を遮断することで、プラグとコンセントとの間の火花の発生を防ぐことが可能となる。
【0009】
上記プラグは、第1半導体スイッチング素子を開閉させるスイッチ部をさらに備えてもよい。
【0010】
スイッチ部は、押しボタンであり、押しボタンを押下することで第1半導体スイッチング素子を遮断させるようにしてもよい。
【0011】
上記プラグは、第1半導体スイッチング素子の開閉を制御する第2半導体スイッチング素子をさらに備えていてもよい。
【0012】
上記電源は直流電源であってもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、バスラインを介して情報信号が重畳される電力を供給する電源サーバと、電源サーバから電力の供給を受けるクライアントと、を含み、電源サーバまたはクライアントの少なくともいずれかに、電源に接続されるプラグ電極と、プラグ電極の少なくとも一つと直列に接続される第1半導体スイッチング素子と、プラグ電極の少なくとも一つと直列に接続され、第1半導体スイッチング素子と並列に設けられるキャパシタと、を備えるプラグを含む、電力供給システムが提供される。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、情報信号を電力に重畳して供給する電力供給システムにおいて、プラグとコンセントとの間の電気的接続を遮断することで、コンセントからプラグを抜き取る際にプラグとコンセントとの間の火花の発生を防ぐことが可能な、新規かつ改良されたプラグおよび電力供給システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
また、以下の順序に従って本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
〔1〕電力供給システムの構成
〔2〕電力伝送システムによる電力供給処理
〔3〕本発明の一実施形態にかかるプラグの構成
〔4〕本発明の一実施形態にかかるプラグの変形例
〔5〕まとめ
【0017】
〔1〕電力供給システムの構成
まず、本発明の一実施形態にかかるプラグを用いた電力供給システムの構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる電力供給システム1の構成について説明する説明図である。以下、図1を用いて本発明の一実施形態にかかる電力供給システム1の構成について説明する。
【0018】
図1に示したように、本発明の一実施形態にかかる電力供給システム1は、電源サーバ100と、クライアント200と、を含んで構成される。電源サーバ100とクライアント200とは、バスライン10を介して接続されている。
【0019】
電源サーバ100は、クライアント200に対して直流電力を供給するものである。また、電源サーバ100は、クライアント200との間で情報信号を送受信する。本実施形態においては、電源サーバ100とクライアント200との間の直流電力の供給および情報信号の送受信は、バスライン10で共用されている。電源サーバ100の構成については後述する。
【0020】
クライアント200は、電源サーバ100から直流電力の供給を受けるものである。また、クライアント200は、電源サーバ100との間で情報信号を送受信する。クライアント200の構成については後述する。
【0021】
なお、図1に示した電源供給システム1では、1つの電源サーバ100と、2つのクライアント200とを図示しているが、本発明においては、電源サーバの数とおよびクライアントの数はかかる例に限定されないことは言うまでも無い。
【0022】
以上、図1を用いて本発明の一実施形態にかかる電力供給システム1の構成について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかる電源サーバ100の構成について説明する。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態にかかる電源サーバ100の構成について説明する説明図である。以下、図2を用いて本発明の一実施形態にかかる電源サーバ100の構成について説明する。
【0024】
図2に示したように、本発明の一実施形態にかかる電源サーバ100は、AC/DCコンバータ110と、サーバコントローラ120と、モデム130と、インダクタ140と、スイッチ150と、プラグ170と、を含んで構成される。
【0025】
AC/DCコンバータ110は、商用電源160から供給される交流の電力を、クライアント200に供給できるように直流の電力に変換する交流/直流変換部である。AC/DCコンバータ110で交流から直流へ変換された電力はバスライン10を経由してクライアント200に供給される。なお、バスライン10のうちの1本と、AC/DCコンバータ110との間には、図2に示したようにインダクタ140およびスイッチ150が設けられる。インダクタ140は、AC/DCコンバータ110の出力部に通常設けられるバイパスコンデンサによって、通信路のインピーダンスを低下させないために設けられるものである。また、スイッチ150は、電源サーバ100からいきなりバスライン10に電力が出力されないようにするために設けられるものである。
【0026】
サーバコントローラ120は、電源サーバ100による電力供給のための各種機能を実行するための制御部である、サーバコントローラ120は、例えば、マイクロプロセッサおよび当該マイクロプロセッサを動作させる周辺回路から構成される。サーバコントローラ120が実行する制御には、例えば、AC/DCコンバータ110から供給される電力をバスライン10と接続するか否かの制御、クライアント200との間の通信における通信プロトコルの制御、クライアント200との間の情報信号の送受信制御などがある。またサーバコントローラ120は、その電力仕様(サーバプロファイル)や情報信号のためのプロトコル、通信により取得したクライアント200の情報などを内部情報として記憶する記憶部(図示せず)を備えている。
【0027】
モデム130は、バスライン10を介した、電源サーバ100とクライアント200との間の情報信号の送受信を可能とするものである。本実施形態にかかる電力供給システム1においては、情報信号と電力とは、同一の一対の導線を共有する。従って、混信しないように、周波数分割により、情報信号と電力とを分離する必要がある。本実施形態にかかる電力供給システム1では、電源サーバ100とクライアント200との間では、バスライン10を介して情報信号の送受信が行われる。この情報信号の送受信は、電力の伝送で使用する周波数帯域(例えば400Hz以下程度の低周波帯域)と混信しないように、十分高い周波数帯域を使用して行われる。モデム130は、この十分高い周波数帯域を使用して行われる情報信号の送受信における、信号の変調・復調を行うものである。
【0028】
プラグ170は、本発明の直流プラグの一例であり、電源サーバ100とバスライン10とを接続するものである。プラグ170の構成については後に詳述する。
【0029】
以上、本発明の一実施形態にかかる電源サーバ100の構成について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかるクライアント200の構成について説明する。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態にかかるクライアント200の構成について説明する説明図である。以下、図3を用いて本発明の一実施形態にかかるクライアント200の構成について説明する。
【0031】
図3に示したように、本発明の一実施形態にかかるクライアント200は、DC/DCコンバータ210と、クライアントコントローラ220と、モデム230と、インダクタ240と、スイッチ250、260と、バッテリ270と、プラグ290と、を含んで構成される。
【0032】
DC/DCコンバータ210は、電源サーバ100から供給された直流の電力を、クライアント200に接続された負荷280が必要とする電流・電圧に変換するものである。そして、図3に示したように、DC/DCコンバータ210とバスライン10のうちの1本のバスラインとの間には、インダクタ240、およびスイッチ250、260が設けられている、これらのインダクタおよびスイッチは、上述した電源サーバ100のインダクタ140およびスイッチ150と同様に機能する。
【0033】
クライアントコントローラ220は、クライアント200が電源供給を受けるために、各種機能を実行するためのものである。クライアントコントローラ220は、上述したサーバコントローラ120と同様に、例えば、マイクロプロセッサおよび当該マイクロプロセッサを動作させる周辺回路から構成される。クライアントコントローラ220は、例えば、電源サーバ100から供給された電力をどのように消費するかの決定、電源サーバ100との間の情報信号の通信におけるプロトコルの制御などを行う。また、クライアントコントローラ220は、情報信号の送受信のためのプロトコルや、クライアント200の仕様に関するクライアント情報(クライアント電源プロファイル)などを内部情報として記憶する記憶部(図示せず)を備えている。
【0034】
モデム230は、バスライン10を介した、電源サーバ100とクライアント200との間の情報信号の送受信を可能とするものである。モデム230は、上述したモデム130と同じく、十分高い周波数帯域を使用して行われる情報信号の送受信における、信号の変調・復調を行うものである。
【0035】
なお、クライアント200は、負荷280の消費電力がゼロまたは少ない場合に、電源サーバ100から供給された電力をバッテリ270に蓄積することができる。
【0036】
プラグ290は、本発明の直流プラグの一例であり、クライアント200とバスライン10とを接続するものである。プラグ290の構成については後に詳述する。
【0037】
以上、本発明の一実施形態にかかるクライアント200の構成について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかる電力伝送システム1による電力供給処理について説明し、続いて、電源サーバ100およびクライアント200に用いられるプラグ170、290の構成について説明する。
【0038】
〔2〕電力伝送システムによる電力供給処理
本発明の一実施形態にかかる電力伝送システム1では、電源サーバ100からクライアント200への電力供給処理は、電源サーバ100からバスライン10に対して定期的に出力される同期パケットに基づいて行われる。クライアント200は、バスライン10を伝送されてくる同期パケットによって電源サーバ100の存在を認識し、電源サーバ100にアクセスすることができる。クライアント200からのアクセスを受けた電源サーバ100は、クライアント200に対して自身のアドレスを送信する。電源サーバ100のアドレスを受信したクライアント200は、電源サーバ100に対して、受信したアドレス宛に電力供給を要求する情報信号を送信する。クライアント200からの電力供給を要求する情報信号を受信した電源サーバ100は、クライアント200に対して電力を供給する。
【0039】
図8は、本発明の一実施形態にかかる電力伝送システム1による電力供給処理について説明する説明図である。以下、図8を用いて、本発明の一実施形態にかかる電力伝送システム1による電力供給処理についてより詳細に説明する。
【0040】
図8に示したように、電源サーバ100は、バスライン10に対して定期的に同期パケットA1、A2、A3、・・・を出力する。また、電源サーバ100は、クライアント200に電力を供給するために、クライアント200との間で送受信される情報信号である情報パケットB1、B2、B3、・・・および電力エネルギーをパケット化した電力パケットC1、C2、C3、・・・を出力する。一方、クライアント200は、電源サーバ100から電力の供給を受けるために、電源サーバ100との間で送受信される情報信号である情報パケットD1、D2、D3、・・・を出力する。
【0041】
電源サーバ100は、所定の間隔(例えば1秒間隔)のタイムスロットの開始時に、同期パケットA1、A2、A3、・・・を出力する。タイムスロットは、情報パケットが送信される情報スロットと、電力パケットが送信される電力スロットとからなる。情報スロットIS1、IS2、IS3、・・・は、電源サーバ100とクライアント200との間で情報パケットのやり取りが行われる区間である。また電源スロットPS1、PS2、PS3、・・・は、電源サーバ100からクライアント200へ供給される電力パケットC1、C2、C3、・・・が出力される区間である。情報パケットは、情報スロットIS1、IS2、IS3、・・・の区間においてのみ出力可能なパケットである。従って、1つの情報スロットにおいて情報パケットの送受信が完了しない場合には複数の情報スロットに渡って情報パケットが送信される。一方、電力パケットは、電源スロットPS1、PS2、PS3、・・・の区間においてのみ出力可能なパケットである。
【0042】
電源サーバ100は、自身が供給可能な電力仕様を示すサーバ電源プロファイルを1または2以上有しており、クライアント200は、自身の仕様に適合する電力を供給可能な電源サーバ100から、電力の供給を受けるものとする。このとき、クライアント200は、電源サーバ100からサーバ電源プロファイルを取得して、自身に対する電源サーバ100の仕様(サーバ電源プロファイル)を決定する。このためにまず、クライアント200は、電源サーバ100が出力する同期パケットA1を検出して、同期パケットA1に含まれる電源サーバ100のアドレスを取得する。アドレスは、例えばMACアドレスとすることができる。次いで、クライアント200は、電源サーバ100に対して、電源サーバ100が有するサーバ電源プロファイルの数の送信を要求する情報パケットD1を送信する。
【0043】
情報パケットD1を受信した電源サーバ100は、情報パケットB1において、電源サーバ100が有するサーバ電源プロファイルの数であるサーバ電源プロファイル数を送信する。情報パケットB1を受信したクライアント200は、電源サーバ100のサーバ電源プロファイルの数だけサーバ電源プロファイルの内容を電源サーバ100から取得する。例えば電源サーバ100が2つのサーバ電源プロファイルを有する場合、クライアント200は、まず、1つめのサーバ電源プロファイルを取得する。1つめのサーバ電源プロファイルを取得したクライアント200は、電源の使用を要求する情報パケットD2として電源サーバ100に送信する。
【0044】
情報パケットD2を受信した電源サーバ100は、サーバコントローラ120の記憶部(図示せず)に記憶された第1のサーバ電源プロファイルを、情報パケットB2としてクライアント200に送信する。電源サーバ100から情報パケットB2を受信したクライアント200は、第2のサーバ電源プロファイルを取得するための情報パケットを送信する。しかし、この時点では情報スロットIS1が終了し、電源パケットを送信するための電源スロットPS1が開始している。従って、かかる情報パケットは次の情報スロットIS2において送信される。また、電源スロットPS1においては、クライアント200が電源サーバ100から供給を受ける電源仕様が確定していないため、電力の供給は行われない。
【0045】
電源スロットPS1が終了し、次のタイムスロットの開始を示す同期パケットA2が電源サーバ100から出力される。その後、電源サーバ100から情報パケットB2を受信したクライアント200は、第2のサーバ電源プロファイルを取得するための情報を情報パケットD3として送信する。
【0046】
情報パケットD3を受信した電源サーバ100は、サーバコントローラ120の記憶部(図示せず)に記憶された第2のサーバ電源プロファイルを、情報パケットB3としてクライアント200に送信する。情報パケットB3を受信して電源サーバ100の有する2つのサーバ電源プロファイルを取得したクライアント200は、自身に適合する電源仕様のサーバ電源プロファイルを選択する。そして、クライアント200は、電源サーバ100に対して選択したサーバ電源プロファイルを確定させるための情報パケットD4を送信する。
【0047】
情報パケットD4を受信した電源サーバ100は、クライアント200に対して第1のサーバ電源プロファイルを確定したことを通知するため、情報パケットB4として電源仕様が確定した旨の応答を表す情報を、クライアント200に送信する。その後、情報スロットIS2が終了して電源スロットPS2が開始すると、電源サーバ100はクライアント200に対して電源パケットC1を出力し、電源供給を行う。なお、電力パケットの送信のタイミングについては、送信開始時間設定リクエストを表す情報を用いることにより、電力供給開始時間をクライアント200から電源サーバ100に指定することができる。
【0048】
以上、本発明の一実施形態にかかる電力伝送システム1による電力供給処理について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかる電力伝送システム1における電源サーバ100およびクライアント200に用いられる、プラグ170、290の構成について説明する。なお、以下の説明では、プラグ170のみを例示して説明するが、以下において説明する構成はプラグ290にも同様に適用可能であることは言うまでも無い。
【0049】
〔3〕本発明の一実施形態にかかるプラグの構成
図4は、本発明の一実施形態にかかるプラグ170の構成について説明する説明図である。以下、図4を用いて本発明の一実施形態にかかるプラグ170の構成について説明する。
【0050】
図4に示したように、本発明の一実施形態にかかるプラグ170は、プラグ電極171、172と、第1半導体スイッチング素子173と、キャパシタ174と、抵抗175と、を含んで構成される。
【0051】
プラグ電極171、172は、それぞれ電源サーバ100をバスライン10に接続するための電極である。プラグ電極171、172には極性があり、逆の極性で電源サーバ100をバスライン10に接続しないよう、誤挿入を防ぐ構成であることが望ましい。本実施形態では、プラグ電極172をGND(負極)側とするものとして説明するが、本発明においては逆の極性であってもよい。
【0052】
第1半導体スイッチング素子173は、半導体スイッチ173aと、導通および切断を制御するLED173bと、を含んで構成されるスイッチング素子である。半導体スイッチ173aは、例えばパワーMOSトランジスタ等によって構成されていてもよい。抵抗175は、LED173bを動作させるための抵抗である。第1半導体スイッチング素子173は、外部(例えばサーバコントローラ120)からの制御によって導通・切断される。
【0053】
このように、プラグ電極171と直列に第1半導体スイッチング素子173を設けることで、プラグ170を外す際に、第1半導体スイッチング素子173によって予めバスライン10と電源サーバ100との間の電力供給路の接続を遮断することができる。そして、第1半導体スイッチング素子173によってバスライン10と電源サーバ100との間の接続を遮断した状態でプラグ170を外すことで、火花を発生させることなくプラグ170をコンセントから引き抜くことができる。火花を発生させることなくプラグ170をコンセントから引き抜くことができるので、プラグ170の劣化を抑えることができる。
【0054】
そして、キャパシタ174は、図4に示したように、第1半導体スイッチング素子173と並列に接続されている。このようにキャパシタ174を設けることで、第1半導体スイッチング素子173によってバスライン10と電源サーバ100との間の電力供給路の接続が遮断されていても、高周波帯域での接続は遮断されない。従って、第1半導体スイッチング素子173によって、バスライン10と電源サーバ100との間の電力供給路の接続が遮断されていても、電源サーバ100とクライアント200との間の情報信号の授受を継続することができる。
【0055】
以上、図4を用いて本発明の一実施形態にかかるプラグ170の構成について説明した。なお、本発明における直流プラグの構成は、図4に図示した例に限られない。以下では、本発明の一実施形態にかかるプラグの変形例について説明する。
【0056】
〔4〕本発明の一実施形態にかかるプラグの変形例
図5は、本発明の一実施形態の第1の変形例にかかるプラグ170’の構成について説明する説明図である。以下、図5を用いて本発明の一実施形態の第1の変形例にかかるプラグ170’の構成について説明する。
【0057】
図5に示した本発明の一実施形態の第1の変形例にかかるプラグ170’は、図4に示したプラグ170と比較して、スイッチ176が追加されている。スイッチ176は、押しボタン式のスイッチであり、いわゆるノーマリオンタイプのスイッチであることが望ましい。スイッチ176を指などによって押下することでLED173bへの電流の供給を遮断することができる。
【0058】
図6Aは、図5に示したプラグ170’を上部から見た場合の一例について示す説明図であり、図6Bは、図5に示したプラグ170’の断面の一例について示す説明図である。
【0059】
図6Aおよび図6Bに示したようにプラグ170’を構成すると、スイッチ176が押されていない状態であれば、接点176a、176bを導体176cによって短絡することができる。また、スイッチ176が押されている状態であれば、接点176a、176bとの間が短絡されなくなる。
【0060】
電源サーバ100やクライアント200が通常に動作しており、ある程度の電圧によって電流が流れている際にコンセントからプラグを抜き去ると、コンセントとプラグとの間で火花が発生する。この火花の発生は、電極を焼損するだけでなく、大きなノイズ源となるので、避けることが望ましい。
【0061】
従って、図6Aおよび図6Bに示したようにプラグ170’を構成することにより、ユーザがプラグ170’をコンセントに差し込む際には、スイッチ176を押し下げた状態で差し込むことで、スイッチ176から指を離すまで電力は供給されない。そして、ユーザがプラグ170’をコンセントから抜き取る際には、スイッチ176を押し下げた状態で抜き取ることで、火花を発生させることなく抜き取ることができる。
【0062】
以上、本発明の一実施形態の第1の変形例にかかるプラグ170’の構成について説明した。次に、本発明の一実施形態の第2の変形例にかかるプラグの構成について説明する。
【0063】
図7は、本発明の一実施形態の第2の変形例にかかるプラグ170’’の構成について説明する説明図である。以下、図7を用いて本発明の一実施形態の第2の変形例にかかるプラグ170’’の構成について説明する。
【0064】
図7に示したプラグ170’’は、図5に示したプラグ170’と比較して、第2半導体スイッチング素子177が追加されている点で、図5に示したプラグ170’と異なっている。第2半導体スイッチング素子177は、例えばMOSトランジスタまたはバイポーラトランジスタその他のスイッチング素子を用いることができる。
【0065】
図7に示したようにプラグ170’’を構成することで、プラグ170’’の先に接続されている電気機器(電源サーバ100)から論理的に第2半導体スイッチング素子177をオフさせることができる。第2半導体スイッチング素子177をオフさせることで第1半導体スイッチング素子173をオフにさせることができ、バスライン10から電源サーバ100への電力の供給を遮断することができる。そして、第1半導体スイッチング素子173をオフにさせても、キャパシタ174の存在によってプラグ170’’がコンセントから引き抜かれるまでは高周波的な接続は遮断されない。
【0066】
以上、本発明の一実施形態の第2の変形例にかかるプラグ170’’の構成について説明した。なお、プラグ170’’における第2半導体スイッチング素子177のオン・オフは上述の例に限定されないことは言うまでも無い。例えば、プラグ170’’の内部や、プラグ170’’を接続する電子機器の内部に赤外線または無線による制御機構を備え、プラグ170’’の外部から送信される赤外線または無線によって制御してもよい。また、図7ではスイッチ176を図示しているが、スイッチ176は設けなくても良い。
【0067】
なお、上述したプラグを備える電子機器においては、半導体スイッチング素子やスイッチによって電力の供給が遮断された場合であっても、バッテリによって動作できるようにしてもよい。
【0068】
〔5〕まとめ
以上説明したように本発明の一実施形態によれば、プラグをコンセントから抜き取る前に、バスライン10とプラグ電極との接続を、第1半導体スイッチング素子173、スイッチ176、第2半導体スイッチング素子177によって遮断する。これらを用いてバスライン10とプラグ電極との接続を遮断してからプラグをコンセントから抜き取ることで、プラグの火花の発生を防ぐことができ、火花の発生によるプラグの劣化を抑えることができる。
【0069】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、プラグおよび電力供給システムに関し、特に、情報信号を電力に重畳して供給する電力サーバと、情報信号および電力の供給を受ける機器との間を接続及び切断するプラグ、および当該プラグを備えた電力供給システムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の一実施形態にかかる電力供給システム1の構成について説明する説明図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる電源サーバ100の構成について説明する説明図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるクライアント200の構成について説明する説明図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかるプラグ170の構成について説明する説明図である。
【図5】本発明の一実施形態の第1の変形例にかかるプラグ170’の構成について説明する説明図である。
【図6A】プラグ170’を上部から見た場合の一例について示す説明図である。
【図6B】プラグ170’の断面の一例について示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態の第2の変形例にかかるプラグ170’’の構成について説明する説明図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかる電力伝送システム1による電力供給処理について説明する説明図である。
【符号の説明】
【0072】
1 電力伝送システム
10 バスライン
100 電源サーバ
110 AC/DCコンバータ
120 サーバコントローラ
130 モデム
140 インダクタ
150 スイッチ
160 商用電源
170、170’、170’’ プラグ
171、172 プラグ電極
173 第1半導体スイッチング素子
173a スイッチ
173b LED
174 キャパシタ
175 抵抗
176 スイッチ
176a、176b 接点
176c 導体
177 第2半導体スイッチング素子
200 クライアント
210 DC/DCコンバータ
220 クライアントコントローラ
230 モデム
240 インダクタ
250 スイッチ
270 バッテリ
280 負荷
290 プラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスラインを介して情報信号が重畳される電力を供給する電源線に接続されるプラグ電極と、
前記プラグ電極の少なくとも一つと直列に接続される第1半導体スイッチング素子と、
前記プラグ電極の少なくとも一つと直列に接続され、前記第1半導体スイッチング素子と並列に設けられるキャパシタと、
を備えるプラグ。
【請求項2】
前記第1半導体スイッチング素子を開閉させるスイッチ部をさらに備える、請求項1に記載のプラグ。
【請求項3】
前記スイッチ部は、押しボタンであり、前記押しボタンを押下することで前記第1半導体スイッチング素子を遮断させる、請求項2に記載のプラグ。
【請求項4】
前記第1半導体スイッチング素子の開閉を制御する第2半導体スイッチング素子をさらに備える、請求項1に記載のプラグ。
【請求項5】
前記電源は直流電源である、請求項1に記載のプラグ。
【請求項6】
バスラインを介して情報信号が重畳される電力を供給する電源サーバと、前記電源サーバから電力の供給を受けるクライアントと、を含み、
前記電源サーバまたは前記クライアントの少なくともいずれかに、
電源に接続されるプラグ電極と、
前記プラグ電極の少なくとも一つと直列に接続される第1半導体スイッチング素子と、
前記プラグ電極の少なくとも一つと直列に接続され、前記第1半導体スイッチング素子と並列に設けられるキャパシタと、
を備えるプラグを含む、電力供給システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−140671(P2010−140671A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−313470(P2008−313470)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】