説明

プラグロック構造

【課題】プラグロック構造において、セキュリティ性を向上させることができる。
【解決手段】給電プラグ10をインレット31へ挿入する際、係止爪16がスライドピース56を押圧して、スライドピース56は、ロックピース50を超えた位置まで変位する。すると、係止爪16が係止部21に係止されるとともに、ロックピース50は係止爪16に当接する位置まで係止部21側に変位する。これに伴い、プランジャ44と規制部53との当接状態が解除され、プランジャ44はロックピース50側に変位して規制部53と係合する。これにより、給電プラグ10をインレット31に挿し込むだけで、自動で給電プラグ10をロック状態とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プラグロック構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両からの排出ガスを少なく抑えることを目的として、各車両メーカでは電気自動車の開発機運が非常に高くなってきている。電気自動車では、車両の動力源であるバッテリの電力残量が少なくなる度に、例えば家庭や電気スタンド等においてバッテリに充電を行わなくてはならないことから、電気自動車には様々な充電システムが設けられることになる(例えば、特許文献1参照)。例えば、家庭の商用電源に繋がる給電プラグを接続可能としたインレットを車両に設ける。そして、そのインレットに給電プラグを接続し、商用電源から車両に送電することで車両のバッテリに充電を行う。
【0003】
しかし、バッテリの充電には、ガソリン車のガソリン補給に比べて長い時間を要する。従って、給電プラグをインレットに接続して充電を開始した後、その状態で車両を長時間放置するケースが多くなる。このため、例えば、給電中の車両から給電プラグを取り外して別の車両のインレットに装着して盗電されたり、給電プラグ自体が盗まれたりすることも想定される。
【0004】
そこで、インレットに接続された給電プラグの不正な抜き出しを規制する給電プラグのロック構造が考えられている。例えば、給電プラグのロック構造として、図7に示すような構成が検討されている。給電プラグには、その内部から先端側に突出するロックアーム101が設けられている。ロックアーム101の先端には係止爪102が形成されている。給電プラグに設けられる操作部を操作することで、ロックアーム101とともに係止爪102を上側に変位させることができる。
【0005】
また、インレット104の上部には、係止爪102が係止される係止部105が形成されている。給電プラグは、インレット104に差し込まれると、係止爪102が係止部105に係止されることにより給電プラグのインレット104からの抜き出しが規制される。この状態において、操作部が操作されると、係止爪102が上側へ変位することにより係止部105による係止が解除され、給電プラグのインレット104からの抜き出しが可能となる。
【0006】
ロック構造106は、係止爪102を係止部105に係止された状態に保持する。ロック構造106はモータ107を備え、モータ107の出力軸の回転運動は、図示しない変換機構によりロックバー108の直線運動に変換される。モータ107の駆動に伴いロックバー108は、係止部105に係止された係止爪102の上側に位置することで給電プラグをロック状態とする。給電プラグのロック状態においては、その操作部が操作されても、係止爪102の上側への変位がロックバー108により規制されるので係止爪102は係止部105に係止された状態に保たれて、給電プラグのインレット104からの抜き出しが規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−161898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記ロック構造においては、所定の条件が成立したとき、車両側にて給電プラグがロック状態とされる。ここで、所定の条件とは、電子キーシステムを利用した構成においては、例えば、係止爪102が係止部105に係止されたこと、ユーザが携帯する電子キーと車両との通信を通じてユーザが車両周辺に存在する旨確認されたこと等である。
【0009】
しかし、給電プラグがインレット104に挿し込まれた後で、車両側にて上記所定の条件が成立したか否かの判断を行う必要があるため、給電プラグの挿し込みから給電プラグをロック状態とするまで一定時間を要していた。このようにロック状態となることが遅れることで給電プラグがインレットから不正に抜き出されるおそれがある。
【0010】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、セキュリティ性を向上させたプラグロック構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、給電対象に固定されるインレットに給電プラグが挿し込まれた状態において、同給電プラグに設けられる係止爪が前記インレットに形成される係止部に係止されることにより前記給電プラグを抜け止め状態とする一方で、同給電プラグに設けられる操作部の操作に連動して前記係止爪を前記係止部と反対側へ変位させてその係止状態を解除することにより前記給電プラグを引き抜き可能とするプラグ保持機構における前記操作部の操作を通じた前記係止爪の動作を規制するプラグロック構造において、前記係止部の頂面に配置されて前記給電プラグの挿入方向に沿って変位し、かつ当該挿入方向と反対方向へ付勢されるスライドピースと、前記スライドピースを前記係止部との間で挟む態様で設けられて前記挿入方向に直交する方向に沿って変位し、かつ前記係止部側へ付勢されるロックピースと、前記ロックピースが変位する方向に直交する方向に沿って変位し、かつ前記ロックピース側へ付勢された状態で同ロックピースに当接するプランジャと、を備え、前記給電プラグの前記インレットへの挿入時において前記係止爪を介して前記スライドピースが自身に加わる付勢力に抗して前記挿入方向へ前記ロックピースを超えて変位したとき、前記係止爪が前記係止部に係止されるとともに、前記ロックピースが自身に加わる付勢力により前記係止部側に変位して前記係止爪の前記係止部と反対側の部分に当接する一方、前記プランジャは、自身に加わる付勢力により前記ロックピース側へ変位して前記ロックピースとの係合を通じて前記係止爪の前記係止部と反対側への変位を規制することをその要旨としている。
【0012】
同構成によれば、給電プラグをインレットへ挿入する前においては、スライドピースがロックピース及び係止部間に位置する。そして、給電プラグをインレットへ挿入する際、係止爪がスライドピースを給電プラグの挿入方向に押圧する。そして、スライドピースは、ロックピースに対応する位置からロックピースを超えた位置まで変位する。すると、ロックピース及び係止部間にスライドピースが存在しなくなる。このとき、係止爪が係止部に係止されるとともに、ロックピースは係止爪に接する位置まで係止部側に変位する。このロックピースの変位に伴い、プランジャはロックピース側に変位してロックピースに係合する。これにより、プランジャは、ロックピースを介して係止状態を解除する方向への係止爪の動きを規制する。具体的には、給電プラグの操作部が操作された場合であっても、係止爪は、ロックピースを押圧するものの同ロックピースの動きはプランジャによって規制される。このため、係止爪が係止部に係止されて状態に保たれ、給電プラグのインレットからの抜出が規制される。これにより、給電プラグをインレットに挿し込むだけで、自動で給電プラグのインレットからの抜出が規制されたロック状態とすることができる。従って、プラグロック構造のセキュリティ性を向上させることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプラグロック構造において、前記プランジャをそれに加わる付勢力に抗して前記ロックピースと反対側へ変位させるアクチュエータを備えたことをその要旨としている。
【0014】
同構成によれば、アクチュエータを通じたプランジャの駆動により給電プラグをロック状態からインレットからの抜出が許容されるアンロック状態に切り替えることができる。具体的には、ロック状態においては、プランジャは突出してロックピースとの係合を通じて係止爪の係止部と反対側、すなわち係止状態を解除する方向への動きを規制している。アクチュエータがプランジャをそれに加わる付勢力に抗してロックピースと反対側へロックピースとの係合が解除される位置まで変位させることで、ロックピースは係止部と反対側に変位することが可能となる。従って、給電プラグの操作部が操作されると、係止爪はロックピースとともに、係止部と反対側に変位する。従って、係止爪が係止部に係止された状態が解除される。これにより、給電プラグをインレットから引き抜くことができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のプラグロック構造において、前記係止爪を外部から前記係止部側へ挿通させる係止孔が形成されるとともに、前記プラグロック構造を覆うケースを備え、同ケース内において、前記アクチュエータの本体は前記ロックピースに対して前記挿入方向における給電対象側に設置されることをその要旨としている。
【0016】
同構成によれば、アクチュエータの本体は、ロックピースに対して給電対象側、すなわち、給電プラグ側から離間した位置に設置される。このため、例えば、係止孔を介して工具等によるアクチュエータへの攻撃を抑制することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のプラグロック構造において、前記ロックピースは、前記プランジャを前記係止孔側から覆う形状でなることをその要旨としている。
同構成によれば、ロックピースによって係止孔側へのプランジャの露出が防止されている。従って、係止孔を通じて不正に工具等でプランジャの先端側を操作して、アンロック状態とされることが抑制される。従って、プラグロック構造におけるセキュリティ性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、プラグロック構造において、セキュリティ性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】充電システム及びハイブリッド式の車両の構成を示す構成図。
【図2】ロック構造の分解斜視図。
【図3】給電プラグの挿入前のインレット及びロック構造の断面図。
【図4】給電プラグの挿入中のインレット及びロック構造の断面図。
【図5】ロック状態におけるインレット及びロック構造の断面図。
【図6】アンロック状態におけるインレット及びロック構造の断面図。
【図7】従来のロック構造の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図1〜図6を参照して説明する。
図1に示されるように、ハイブリッド式の車両1には、駆動輪2の駆動源としてエンジンとモータとを組み合わせて使用するハイブリッドシステム3が備えられている。ハイブリッドシステム3は、エンジンの動力のみを機械的に駆動輪2に伝えて走行するモードと、エンジンの動力で発電を行ってモータにより走行するモードと、エンジン及びモータの双方で駆動輪2を直接駆動するモードと、エンジンを使用せずにモータのみで走行するモードの各種モードを有している。
【0021】
ハイブリッドシステム3には、モータに電力を供給するバッテリ4が接続されている。バッテリ4は、エンジンの動力によって発電された電力が充電されるだけでなく、車両1の外部電源61からの電力が充電可能とされている。
【0022】
車両1には、例えば運転者が実際に車両キーを操作しなくてもドアの施解錠を可能とする電子キーシステム70が搭載されている。電子キーシステム70は、車両1との間で相互に無線通信を行う電子キー80を備える。
【0023】
車両1には、電子キー80及び車両1のIDコードの照合を行う照合ECU(Electronic Control Unit)71が設けられている。照合ECU71は、固有のキーコードとしてIDコードが記憶されたメモリ71aを備えている。照合ECU71には、車外LF(Low Frequency)発信機72と、車内LF発信機73と、UHF(Ultra High Frequency)受信機74とが接続されている。車外LF発信機72は、車両1の各ドアに埋設されて車外にLF帯の信号を発信する。車内LF発信機73は、車内床下等に埋設されて車内にLF帯の無線信号を発信する。UHF受信機74は、車内に埋設されてUHF帯の無線信号を受信する。
【0024】
一方、電子キー80には、通信制御部81が設けられている。通信制御部81は、固有のIDコードが記憶されたメモリ81aを備えている。通信制御部81には、LF帯の無線信号を受信するLF受信部82と、通信制御部81の指令に従いUHF帯の無線信号を発信するUHF発信部83とが接続されている。
【0025】
照合ECU71は、車外LF発信機72からLF帯のリクエスト信号Srqを間欠的に発信させることにより、車両1の周辺に車外通信エリアを形成する。車外通信エリアは、車両の周囲に亘り形成される。電子キー80は、車外通信エリアに進入すると、LF受信部82を介してリクエスト信号Srqを受信する。通信制御部81は、LF受信部82を介して受信したリクエスト信号Srqを認識すると、自身のメモリ81aに登録されたIDコードを含ませたUHF帯のIDコード信号Sidを、UHF発信部83を介して発信する。照合ECU71は、UHF受信機74を介してIDコード信号Sidを受信すると、自身のメモリ71aに登録されたIDコードとIDコード信号Sidに含まれるIDコードとのID照合(車外照合)を行う。照合ECU71は、車外照合が成立すると、図示しないドアロック装置による車両ドアの施解錠を許可又は実行する。
【0026】
照合ECU71は、車外照合が成立して車両ドアが解錠された後、ドアが開けられて運転者が乗車したことを認識すると、今度は車内LF発信機73からリクエスト信号Srqを発信して車内全域に車内通信エリアを形成する。上記同様に電子キー80は、車内通信エリアに進入すると、IDコード信号Sidを送信する。照合ECU71は、UHF受信機74を介してIDコード信号Sidを受信すると、自身のメモリ71aに登録されたIDコードとIDコード信号Sidに含まれるIDコードとのID照合(車内照合)を行う。照合ECU71は、車内照合が成立すると、ハイブリッドシステム3の始動を許可する。
【0027】
図1に示すように、車両1に搭載されるバッテリ4は、プラグイン式の充電システム60によって充電される。充電システム60は、住宅や電気スタンド等の外部電源61に接続ケーブル12を介して接続される給電プラグ10を備えている。給電プラグ10は、車両1に接続可能とされている。外部電源61からは交流電力が給電プラグ10を介して車両1に供給される。接続ケーブル12には、充電を開始する際に操作される充電スイッチ62が設けられている。給電プラグ10が車両1に接続された状態において、充電スイッチ62がオン操作又はオフ操作されると、その旨の信号が給電プラグ10を介して車両1に出力される。
【0028】
車両1には、給電プラグ10の接続先としてインレット31が取り付けられている。インレット31は、給電プラグ10を挿し込むコネクタ部品であって、例えば車体の側面に設けられている。インレット31には、後述するロック構造41が設けられていて、同ロック構造41はインレット31に挿し込まれた給電プラグ10を自動でロック状態とする。ロック状態とは、インレット31からの給電プラグ10の抜き出しが規制された状態である。インレット31に給電プラグ10を挿し込むことにより、これらは電気的に接続される。インレット31から送り込まれた交流電力はコンバータ6によって直流電力に変換され、この直流電力がバッテリ4に供給される。これにより、バッテリ4が充電される。
【0029】
車両1には充電に関わる制御を行う充電ECU75が設けられている。充電ECU75は、図示しない車内LAN(Local Area Network)を介して照合ECU71との間で通信可能とされている。充電ECU75は、当該通信を通じて照合ECU71におけるID照合の成立結果を確認可能である。また、インレット31には、自身に給電プラグ10が挿し込まれたか否かを検出する検知センサ40が設けられている。充電ECU75は、検知センサ40の検出結果を通じて給電プラグ10がインレット31に挿し込まれたことを認識できる。充電ECU75は、車外照合が成立した旨、並びに給電プラグ10がインレット31に挿し込まれた旨認識すると、充電可能状態となる。この状態において、充電ECU75は、充電スイッチ62がオン操作された旨の信号を給電プラグ10及びインレット31を介して受けるとコンバータ6の制御を通じてバッテリ4への給電を開始する。
【0030】
また、ロック構造41は、ソレノイド36を備える。充電ECU75は、ソレノイド36の通電状態を切り替える制御を行う。ソレノイド36が通電されると、給電プラグ10のロック状態が解除され、アンロック状態となる。アンロック状態においては、給電プラグ10をインレット31から抜き出すことができる。また、車両1におけるインレット31の近傍には、解除スイッチ76が設けられている。解除スイッチ76が操作されると、その旨の信号が充電ECU75に出力される。充電ECU75は、車外照合が成立した旨を確認した状態において、解除スイッチ76が操作された旨を認識すると、ソレノイド42に通電して給電プラグ10をアンロック状態に切り替える。これにより、給電プラグ10をインレット31から抜き出すことが可能となる。
【0031】
次に、給電プラグ10、インレット31及びロック構造41の具体的構成について図2及び図3を参照しつつ説明する。
<給電プラグ>
図3に示されるように、給電プラグ10の内部には、インレット31に挿入される円筒状の嵌着部14が形成されている。この嵌着部14は、給電プラグ10の先端から突出している。嵌着部14の内部には、給電プラグ10をインレット31に電気的に繋ぐ複数の接続端子(図示略)が設けられている。接続端子は、電力線を介して外部電源61に接続されてその送電経路となるパワー端子や、充電スイッチ62に信号線を介して接続されて、そこからの信号の通信経路となる制御端子を備える。なお、接続ケーブル12は、これら電力線及び信号線が絶縁体で被覆されてなる。
【0032】
また、図3に示すように、給電プラグ10の内部には、給電プラグ10の長手方向(左右方向)に延出するロックアーム18が設けられている。このロックアーム18は、その長手方向の略中央に位置する回動軸17を中心として回動可能である。ロックアーム18の先端部には係止爪16が形成されている。ロックアーム18の係止爪16と反対側の端部には、給電プラグ10の外部に露出する操作部19が形成されている。係止爪16には、その先端が下側に屈曲されてなる屈曲部16aが形成されている。
【0033】
ロックアーム18と給電プラグ10の内周面との間には付勢ばね15が設けられている。付勢ばね15は、給電プラグ10内における回動軸17及び係止爪16間に設けられている。従って、付勢ばね15は、ロックアーム18を、回動軸17を中心として右回りに付勢する。通常、係止爪16は付勢ばね15が伸長した状態における初期位置に保たれる。ロックアーム18と給電プラグ10の内周面との間には隙間があるので係止爪16は付勢ばね15の弾性力に抗して左方向へ回転可能である。すなわち、操作部19が押圧操作されることで、係止爪16は付勢ばね15の弾性力に抗して回動軸17を中心として図3に示される初期位置から上側に変位し、操作力が解除されると付勢ばね15の弾性力により初期位置に戻る。
<インレット>
図3に示すように、インレット31には、筒状の挿込口33が形成されている。挿込口33は、給電プラグ10の嵌着部14が挿し込み可能に形成されている。挿込口33の内部には接続端子(図示略)が設けられている。接続端子は、コンバータ6に電力線を介して接続されて外部電源61からの送電経路となるパワー端子や、充電ECU75に信号線を介して接続されて充電スイッチ62からの信号の通信経路となる制御端子を備える。
【0034】
嵌着部14が挿込口33に挿し込まれたとき、嵌着部14の接続端子及び挿込口33の接続端子は電気的に接続された状態となる。すなわち、この状態においては、電力線を介して外部電源61からの電力がバッテリ4に供給可能となり、信号線を介して充電スイッチ62からの信号が充電ECU75に出力可能となる。
【0035】
図3に示すように、挿込口33の外周面には、直方状の係止部21が形成されている。係止部21は、挿込口33の基端側(図3右側)に向かうにつれて挿込口33の周面を基準とする高さが大きくなる傾斜面21aと、挿込口33の周面に略垂直をなす係止面21bとを有する。傾斜面21aは給電プラグ10側に、係止面21bは車両1側にそれぞれ形成されている。詳しくは、後述するが、給電プラグ10がインレット31に挿し込まれたとき、係止爪16は係止部21に係止される。インレット31における係止部21の右側には係止爪16の接近を検出する検知センサ40が設けられている。検知センサ40は、係止爪16の接近に応じた信号を充電ECU75に出力する。充電ECU75は、検知センサ40の検出結果に基づき、係止爪16が係止部21に係止されているか否か、ひいては給電プラグ10がインレット31に挿し込まれた否かを認識することができる。なお、係止爪16及び係止部21等が給電プラグ10のインレット31からの引き抜きを規制するプラグ保持機構に相当する。
<ロック構造>
ロック構造41は、図3に示すように、インレット31の上部にそれと一体で形成されるケース35内に設けられている。
【0036】
ロック構造41の前述したソレノイド42は、吸引型のソレノイドが採用されている。具体的には、ソレノイド42は、その本体43から突出した棒状のプランジャ44を備える。プランジャ44の外周には、付勢ばね45が設けられている。ソレノイド42の本体43は、ケース35内のインレット31の周面における最も車両側(図3の右側)の部位に形成される設置部39に固定されている。設置部39は、インレット31の周面を基準として係止部21よりも高く形成されている。プランジャ44は、係止部21の上方において、インレット31の軸方向に沿って変位する。
【0037】
ソレノイド42が通電されていない状態においては、プランジャ44は、付勢ばね45の弾性力によりその先端側に突出した状態となる。ソレノイド42が通電されるとプランジャ44が付勢ばね45の弾性力に抗して本体43に引き込まれ、再び通電が解除されると付勢ばね45の弾性力によりプランジャ44はその先端側に突出する。すなわち、ソレノイド42の通電が継続される期間においてのみ、プランジャ44が本体43に引き込まれた状態が維持される。
【0038】
図3に示すように、ケース35の内部において、係止部21の上方には、直方体状のスライドピース56が左右方向にスライド可能に設けられている。スライドピース56は、その面がプランジャ44の軸方向に対して垂直に交わる向きに設けられる。また、スライドピース56は、設置部39に対向して設けられている。ここで、ケース35には、給電プラグ10がインレット31に挿し込まれる際、係止爪16がその先端側から挿通される係止孔49が形成されている。スライドピース56は、この係止孔49を介して挿入される係止爪16の先端部に対応して位置している。
【0039】
具体的には、図2に示すように、スライドピース56のケース35側の両側面には、プランジャ44の軸方向に延びる凸部57が形成されている。また、図3に示すように、ケース35において、プランジャ44を間に挟んで互いに対向する2つの内面には、左右方向に延びる凹部35aがそれぞれ形成されている。図3においては、一方の凹部35aのみ図示されている。凹部35aは、プランジャ44に対応する範囲に亘ってその下側に形成されている。凹部35aには、凸部57がその延びる方向へ摺動可能に嵌合されている。これにより、スライドピース56は、凹部35aに沿って変位することが可能となる。
【0040】
互いに対面するスライドピース56及び設置部39間には、コイル状のスライドスプリング58が設けられている。このスライドスプリング58の弾性力により、スライドピース56は、常時左方(設置部39から離間する方向)へ付勢される。スライドピース56の左方への変位は、その設置部39と反対側の側面の一部がケース35の係止孔49の周縁部に当接されることにより規制される。これにより、図3に示されるように、スライドピース56は、ケース35内における最左側の初期位置に保持される。給電プラグ10のインレット31への装着に伴い、スライドピース56は、係止爪16に押圧されることにより、スライドスプリング58の弾性力に抗して右方へ変位する。給電プラグ10がインレット31に挿し込まれていない状態、すなわちスライドピース56が初期位置に保たれている状態においては、スライドピース56の下面は係止部21の上面に接している。
【0041】
また、図3に示すように、ケース35の内部において、プランジャ44の先端側であって、スライドピース56の上方にはロックピース50が設けられている。図2に示すように、ロックピース50には、略四角柱状の案内部51が形成されている。案内部51におけるプランジャ44の軸方向に延びる両側面には、同軸方向に対して直交する方向(上下方向)に延びる凸部52が形成されている。図3に示すように、ケース35において、プランジャ44を挟んで互いに対向する2つの内面には、上下方向に延びる凹部35bがそれぞれ形成されている。図3においては、一方の凹部35bのみ図示されている。これら凹部35bは、プランジャ44の先端側に設けられるとともに、凸部52が摺動可能に形成されている。凸部52は、ケース35の凹部35bに沿って上下に変位する。これにより、ロックピース50はプランジャ44の先端側を上下方向に変位することが可能となる。図2に併せ示されるように、案内部51の上面には、スプリング穴54が形成されている。このスプリング穴54の底面及びケース35の内頂面間には、コイル状のロックスプリング55が設けられている。ロックピース50は、ロックスプリング55の弾性力によりインレット31側(下方)に付勢される。ロックピース50の下方への変位は、ロックピース50の下面がスライドピース56の上面に当接することにより規制される。
【0042】
ロックピース50は、ロックスプリング55の弾性力によりスライドピース56を下方へ押圧しつつ、スライドピース56の上下方向の長さ分だけ係止部21の上面から離間した状態に保たれている。
【0043】
また、ロックピース50において、プランジャ44に対向する側面の下部には規制部53が設けられる。規制部53は、プランジャ44の軸方向に延びる板状に形成されている。ソレノイド42が非通電状態のとき、図3に示すように、ロックピース50の下面がスライドピース56の上面に当接した状態において、プランジャ44の先端面は、規制部53の先端面に当接する。これにより、プランジャ44は規制部53によって本体43からの完全な突出が阻害される。すなわち、プランジャ44は完全な突出状態からわずかに本体43に付勢ばね45の弾性力に抗して押し込まれた状態に維持される。従って、このとき、規制部53はプランジャ44により給電プラグ10側(図3左側)に付勢される。ロックピース50は、凹部35bに沿って上下方向に変位するため、プランジャ44からの付勢力によって、その付勢方向に変位することはない。
【0044】
図3に示されるように、給電プラグ10がインレット31に挿し込まれていない状態においては、ロックピース50及びスライドピース56は、ケース35の係止孔49を内側から塞ぐ態様で位置している。すなわち、ロックピース50及びスライドピース56は、係止孔49の蓋としても機能する。これにより、給電プラグ10の非挿入時におけるごみ等の侵入が抑制される。このとき、ロックピース50及びスライドピース56の給電プラグ10側の側面(係止孔49からの露出面)は略同一面上に位置している。この図3に示される位置がロックピース50及びスライドピース56の初期位置となる。
【0045】
ソレノイドが非通電状態にあって、初期位置におけるスライドピース56は、係止孔49に挿入された係止爪16に押圧されることにより、ロックピース50から外れる位置まで変位する。このとき、ロックピース50はロックスプリング55の弾性力によって下側に変位する。これにより、規制部53とプランジャ44との当接状態が解除され、プランジャ44は付勢ばね45の弾性力により案内部51側へ変位して、規制部53の上面に沿って完全に突出した状態となる。
【0046】
次に、給電プラグ10をインレット31へ挿し込んだときのロック構造41の作用について図3〜図6を参照しつつ説明する。なお、給電プラグ10がインレット31に挿し込まれていない状態においてはソレノイド42に通電はされていない。
【0047】
図3に示すように、給電プラグ10の嵌着部14が挿込口33に接近するのに伴い係止爪16の屈曲部16aがスライドピース56に接近する。そして、給電プラグ10の嵌着部14を挿込口33に挿入していくと、係止爪16の屈曲部16aは傾斜面21aを介して係止部21を登っていく。係止爪16が傾斜面21aを登るにつれてロックアーム18は付勢ばね15の付勢力に抗して左方向へ回転しつつ、やがて係止爪16の先端がスライドピース56に当接する。
【0048】
さらに、給電プラグ10が挿込口33に押し込まれることで、図4に示すように、スライドピース56は係止爪16に押圧されることによりスライドスプリング58の弾性力に抗してロックピース50に対応する初期位置から規制部53に対応する位置まで右側に変位する。このとき、ロックピース50及び係止部21の上面間には、スライドピース56が右側に変位した分だけ係止爪16の先端部が挿入されており、いままでスライドピース56が受けていたロックピース50からの付勢力を係止爪16が分担して受けることになる。さらに、給電プラグ10が押し込まれることで、図5に示すように、スライドピース56は、スライドスプリング58の弾性力に抗して、右側へ変位し規制部53から外れた位置に至る。また、このとき、屈曲部16aは係止部21の上面を経て係止面21bを超える。すると、付勢ばね15の付勢力により係止爪16(ロックアーム18)は右方向へ回転して下側に変位する。これにより、係止爪16の屈曲部16aは係止部21に係止される。この係止爪16の下側への変位に伴い、ロックピース50、ひいては規制部53も下側に変位する。換言すると、このとき、ロックピース50が下側に変位するように、ロックスプリング55の弾性力は、付勢ばね45の弾性力よりも大きく設定されている。ロックピース50の下方への変位は、ロックピース50が係止爪16の上面に当接することにより規制される。そして、規制部53が下方へ変位することにより、規制部53とプランジャ44との係合関係が解除される。これにより、プランジャ44は、付勢ばね45の弾性力により左方に変位して、完全に突出した状態となる。プランジャ44の左方への変位は、その先端が案内部51に当接することにより規制される。このとき、プランジャ44の先端部は規制部53の上面に位置する。プランジャ44の先端部はロックピース50によって係止孔49からの露出が防止されている。
【0049】
このプランジャ44の先端部が規制部53の上面に位置した状態においては、給電プラグ10がロック状態とされる。具体的には、図5に示される状態で操作部19が押圧された場合、係止爪16を介してロックピース50に上側への力が加わる。ロックピース50は、その規制部53の上面がプランジャ44の先端に係止されることで上側への変位が規制される。このとき、プランジャ44には、その軸方向に対して垂直方向に力が加わるものの、プランジャ44は同垂直方向からの力に対して変位しない。このため、プランジャ44は、ロックピース50及び係止爪16の上方への変位を規制する。従って、操作部19を押し下げることができず、係止爪16の係止状態を解除することができない。このように、給電プラグ10をインレット31に挿し込むだけで、自動で給電プラグ10をロック状態とすることができる。従って、例えば給電プラグ10がインレット31に挿し込まれたこと等を条件として給電プラグ10をロック状態とする場合に比べて、より迅速に給電プラグ10をロック状態とすることができ、セキュリティ性を向上させることができる。さらに、給電プラグ10をロック状態とする際にはソレノイド42に通電する必要がないため、例えば、電気系統の故障時においても確実に給電プラグ10をロック状態とすることができる。それに加えて、給電プラグ10のロックに係る消費電力の低減を図ることができる。さらに、給電プラグ10をロック状態とする際に、ソレノイド42を通電する必要がなく、給電プラグ10のロックに係る消費電力の低減を図ることができる。
【0050】
前述のように、充電ECU75は、検知センサ40を通じて係止爪16が係止部21に係止されたことを認識可能である。ここで、係止爪16が係止部21に係止されたときには、給電プラグ10のインレット31への挿し込みがなされて給電プラグ10がロック状態となる。すなわち、充電ECU75は、検知センサ40を通じて給電プラグ10がロック状態となったことを認識できる。そして、充電ECU75は、給電プラグ10がロック状態となったことを認識したうえで、車外照合が成立した旨を認識すると充電可能状態となる。この充電可能状態において、充電ECU75は充電スイッチ62のオン操作がされた旨の信号を受けるとバッテリ4の充電を開始する。
【0051】
バッテリ4の充電が完了する等して、給電プラグ10をインレット31から取り出す際には、解除スイッチ76が操作される。充電ECU75は、車外照合が成立した旨を確認した状態において、解除スイッチ76が操作された旨を認識すると、ソレノイド42に通電する。ソレノイド42が通電されると、図5に示すように突出した状態にあるプランジャ44が図6に示すように本体43に引き込まれる。このプランジャ44が引き込まれた状態においては、プランジャ44の先端面と、規制部53の先端面とが僅かに離間した状態となる。このように、プランジャ44と規制部53との係合状態が解除されるので、ロックピース50はロックスプリング55の弾性力に抗して上側へ変位可能となる。具体的には、操作部19が押圧されると、ロックスプリング55の弾性力に抗して係止爪16はロックピース50を上側に押し退ける。これにより、図6の2点鎖線で示すように、係止爪16の係止状態が解除される。この状態を保ちつつ、給電プラグ10を手前側に引っ張ることで給電プラグ10をインレット31から引き抜くことが可能となる。このように、ソレノイド42に通電されているときには、給電プラグ10はアンロック状態となる。
【0052】
給電プラグ10がインレット31から引き抜かれると、係止爪16の後退に伴いスライドピース56はスライドスプリング58の弾性力により初期位置に復帰し、ロックピース50もロックスプリング55の弾性力によりスライドピース56の上面に当接した状態に復帰する。充電ECU75は、検知センサ40を通じて係止爪16の係止状態が解除されたときから一定時間経過後にソレノイド42への通電を停止する。この一定時間経過は、操作部19の操作から給電プラグ10がインレット31から完全に引き抜かれるまでに要すると予想される時間に設定される。これにより、再びプランジャ44は付勢ばね45の弾性力により本体43から突出する方向へ変位し、規制部53の先端面に当接した状態に維持される。従って、ロック構造41は、先の図3に示したもとの状態に戻る。
【0053】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)給電プラグ10をインレット31へ挿入する前においては、スライドピース56は、ロックピース50及び係止部21間に位置する。また、プランジャ44はロックピース50側に付勢された状態で、ロックピース50の規制部53に当接している。そして、給電プラグ10をインレット31へ挿入する際、係止爪16がスライドピース56を設置部39側に押圧する。そして、スライドピース56は、ロックピース50に対応する位置からロックピース50を超えた位置まで変位する。すると、ロックピース50及び係止部21間にスライドピース56が存在しなくなる。このとき、係止爪16が係止部21に係止されるとともに、ロックピース50は係止爪16に当接する位置まで係止部21側に変位する。これに伴い、プランジャ44と規制部53との当接状態が解除され、プランジャ44はロックピース50側に変位し、その先端が規制部53における係止部21の反対側に位置する。このときの規制部53とプランジャ44との係合を通じて、ロックピース50の係止部21から離間する方向への変位が規制される。これにより、係止部21による係止状態を解除する方向(上方向)への係止爪16の動きが規制される。従って、給電プラグ10の操作部19が操作された場合であっても、係止爪16が係止部21に係止されて状態に保たれ、給電プラグ10のインレット31からの抜出が規制される。これにより、給電プラグ10をインレット31に挿し込むだけで、自動で給電プラグ10をロック状態とすることができる。給電プラグ10の挿入検知後に所定のロック動作を行う場合と異なり給電プラグ10の挿入完了と同時にロック状態とする。従って、給電プラグ10の装着後の僅かな時間での給電プラグ10の取り外し等が抑制され、ロック構造41におけるセキュリティ性を向上させることができる。
【0054】
また、ロック状態とする際にソレノイド42への通電が不要であるため、ソレノイド42に通電できない状況においても、給電プラグ10をロック状態とすることができる。さらに、給電プラグ10のロックに係る消費電力の低減を図ることができる。
【0055】
(2)ソレノイド42を通じてプランジャ44を引き込むだけで、給電プラグ10をロック状態からアンロック状態に簡易に切り替えることができる。具体的には、ロック状態においては、プランジャ44は突出してロックピース50(規制部53)との係合を通じてロックピース50の係止部21と反対側への動きを規制している。ソレノイド42がプランジャ44を引き込むことで、プランジャ44と規制部53との係合は解除されて、ロックピース50は係止部21と反対側に変位することが可能となる。従って、給電プラグ10の操作部19が操作されると、係止爪16はロックピース50とともに、係止部21と反対側に変位する。これにより、係止爪16が係止部21に係止されて状態が解除される。この状態において、給電プラグ10をインレット31から引き抜くことができる。
【0056】
(3)ソレノイド42は、ロックピース50に対して車両1側、すなわち、車外側から離間した位置に設置される。このため、例えば、係止孔49を介した車外側から工具等によるソレノイド42への攻撃を抑制することができる。
【0057】
また、インレット31の軸方向に沿ってロックピース50及びソレノイド42が配置される。従って、インレット31の軸方向からみてロック構造41をコンパクトに構成することができる。インレット31の軸方向からみたときのロック構造41のコンパクト化は特に以下の観点から有益である。インレット31は、車両側部に凹状に形成される充電口内に設けられる。この充電口のサイズは予め決まっており、ロック構造41のために充電口自体のサイズを変更することは現実的でない。そこで、ロック構造41の各要素をインレット31の軸方向に配列することで、充電口のサイズに適したロック構造41を備えたインレット31を形成することができる。
【0058】
(4)プランジャ44が突出した状態において、ロックピース50によって同プランジャ44の先端の係止孔49側への露出が防止されている。従って、不正に工具等で係止孔49を介してプランジャ44の先端側を操作して、アンロック状態とされることが防止される。従って、セキュリティ性を向上させることができる。また、給電プラグ10がインレット31に挿入されていないとき、係止孔49がロックピース50及びスライドピース56により内側から閉塞される。これにより、工具等の係止孔49内への侵入を妨害できるため、セキュリティ性を向上させることができる。
【0059】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記実施形態においては、充電ECU75は、車外照合が成立した旨を確認した状態において、解除スイッチ76が操作された旨を認識したときから給電プラグ10がインレット31から引き抜かれるまでソレノイド42に通電していた。ここで、ソレノイド42に長時間に亘って通電し続けると発熱するおそれがある。そこで、充電ECU75は、タイマを備え、同タイマを通じて通電時間を計測する。充電ECU75は、この通電時間が一定時間を超えた場合、ソレノイド等の温度が低下するまで通電を停止してもよい。一定時間はソレノイドの温度が低下すると予想される時間に設定される。一定時間経過後には、ソレノイド42に再び通電がなされる。
【0060】
・上記実施形態においては、電子キーシステムとして、電子キー80及び車両1間でリクエスト信号Srq及びIDコード信号Sidの授受を介して行われる、いわゆる操作フリーキーシステムを採用していた。しかし、電子キー80及び車両1間でのID照合が可能であれば、電子キー80から車両1に単方向にリクエスト信号が送信されるワイヤレスキーシステムを採用してもよい。さらに、電子キーシステムを省略してもよい。この場合、例えば、メカニカルキーによって車両ドアが施錠されたとき、給電プラグ10をロック状態とする。そして、メカニカルキーによって車両ドアが解錠されたとき、給電プラグ10をアンロック状態とする。すなわち、車両ドアの施解錠状態に応じて給電プラグ10のロック状態が切り替わる。本構成においては、例えば、インレット31の近傍に第1のモード及び第2のモード間でモードの切り替えが可能とされる新たなスイッチを設ける。当該スイッチは、例えば、プッシュ式のスイッチであって、操作毎に充電ECU75においてモードが切り替わる。充電ECU75は、第1のモードにあるとき、車両ドアの施解錠状態に連動して給電プラグ10のロック状態を切り替える。また、充電ECU75は、第2のモードにあるとき、給電プラグ10のロック状態を車両ドアの施解錠状態に連動させない。すなわち、ユーザは、車両ドアの施解錠状態のみを切り替えたいときには、当該スイッチを第2のモードとする。これにより、利便性が向上する。
【0061】
以上のような、車両ドアの施解錠状態に基づき給電プラグ10のロック状態を切り替える構成は、メカニカルキーを採用した場合に限らず、上記実施形態の電子キーシステム及びワイヤレスキーシステムにおいても採用することができる。
【0062】
・上記実施形態においては、検知センサ40は、近接センサであったが、係止爪16が係止部21に係止されているか否かを監視可能であれば、例えば押圧センサ等であってもよい。押圧センサは、係止爪16が係止部21に係止されてときに押圧される位置に設ける。
【0063】
・上記実施形態においては、ロックピース50は、ロック状態においてプランジャ44の先端部の係止孔49側への露出が防止される形状、すなわち略L字状に形成されていた。しかし、プランジャ44の突出によりロックピース50の上側への変位が規制されれば、ロックピース50の形状はこれに限定されるものではなく、例えば、略直方状に形成されてもよい。
【0064】
・上記実施形態においては、ソレノイド42の本体43は、ケース35内において最も車両側(図3の右側)における設置部39に設置されていた。しかし、ソレノイド42の設置位置はこれに限定されるものではない。例えば、プランジャ44が図3の紙面方向において、規制部53に当接するようにしてもよい。この場合、プランジャ44が図3の紙面方向へ延びるようにソレノイド42を設ける。
【0065】
・上記実施形態においては、ソレノイド42は吸引型のソレノイドが採用されていた。しかし、プランジャ44を進退運動させることができれば、吸引型に限らず、さらにソレノイドに限らない。例えば、自己保持型のソレノイドを採用してもよいし、モータを採用してもよい。モータを採用した場合には、その出力軸の回転運動をプランジャの直線運動に変換する変換機構を構成する必要がある。
【0066】
さらに、ソレノイド42等のアクチュエータを省略して構成してもよい。この場合、例えば、プランジャ44に相当する部材を付勢ばね45で規制部53側へ付勢した状態で規制部53に当接させる。これにより、上記実施形態と同様に、給電プラグ10がインレット31に挿し込まれたときには、給電プラグ10をロック状態とすることができる。ロック状態からアンロック状態への切り替えは例えば手動で行う。すなわち、プランジャ44に相当する部材に連動する操作部をユーザが操作可能な位置に設け、その操作部を操作することで、給電プラグ10をアンロック状態とすることができる。セキュリティ性を考慮すると、この操作部は車内からのみ操作可能とすることが望ましい。
【0067】
・上記実施形態においては、給電対象はハイブリッド式の車両であったが、給電対象は電気自動車であってもよい。また、給電プラグ10を通じて給電が行われるものであれば、給電対象は車両に限定されない。
【0068】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想をその効果と共に記載する。
(イ)請求項2〜4の何れか一項に記載のプラグロック構造において、前記アクチュエータは吸引型ソレノイドであって、前記吸引型ソレノイドの非通電状態においては前記プランジャは前記ロックピースに付勢するとともに、その状態から前記ロックピースが前記係止部側に変位したとき前記ロックピースと係合し、通電状態においては前記プランジャを前記ロックピースと係合した状態が解除される位置まで変位されるプラグロック構造。
【0069】
同構成によれば、給電プラグのロック状態を解除するときにのみ、吸引型ソレノイドを通電すればよい。従って、給電プラグのロックに係る消費電力を低減することができる。
【符号の説明】
【0070】
1…車両、2…駆動輪、3…ハイブリッドシステム、10…給電プラグ、16…係止爪、21…係止部、31…インレット、36…ソレノイド、41…ロック構造、44…プランジャ、50…ロックピース、51…案内部、53…規制部、56…スライドピース、60…充電システム、70…電子キーシステム、71…照合ECU、75…充電ECU、80…電子キー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電対象に固定されるインレットに給電プラグが挿し込まれた状態において、同給電プラグに設けられる係止爪が前記インレットに形成される係止部に係止されることにより前記給電プラグを抜け止め状態とする一方で、同給電プラグに設けられる操作部の操作に連動して前記係止爪を前記係止部と反対側へ変位させてその係止状態を解除することにより前記給電プラグを引き抜き可能とするプラグ保持機構における前記操作部の操作を通じた前記係止爪の動作を規制するプラグロック構造において、
前記係止部の頂面に配置されて前記給電プラグの挿入方向に沿って変位し、かつ当該挿入方向と反対方向へ付勢されるスライドピースと、
前記スライドピースを前記係止部との間で挟む態様で設けられて前記挿入方向に直交する方向に沿って変位し、かつ前記係止部側へ付勢されるロックピースと、
前記ロックピースが変位する方向に直交する方向に沿って変位し、かつ前記ロックピース側へ付勢された状態で同ロックピースに当接するプランジャと、を備え、
前記給電プラグの前記インレットへの挿入時において前記係止爪を介して前記スライドピースが自身に加わる付勢力に抗して前記挿入方向へ前記ロックピースを超えて変位したとき、前記係止爪が前記係止部に係止されるとともに、前記ロックピースが自身に加わる付勢力により前記係止部側に変位して前記係止爪の前記係止部と反対側の部分に当接する一方、前記プランジャは、自身に加わる付勢力により前記ロックピース側へ変位して前記ロックピースとの係合を通じて前記係止爪の前記係止部と反対側への変位を規制するプラグロック構造。
【請求項2】
請求項1に記載のプラグロック構造において、
前記プランジャをそれに加わる付勢力に抗して前記ロックピースと反対側へ変位させるアクチュエータを備えたプラグロック構造。
【請求項3】
請求項2に記載のプラグロック構造において、
前記係止爪を外部から前記係止部側へ挿通させる係止孔が形成されるとともに、前記プラグロック構造を覆うケースを備え、
同ケース内において、前記アクチュエータの本体は前記ロックピースに対して前記挿入方向における給電対象側に設置されるプラグロック構造。
【請求項4】
請求項3に記載のプラグロック構造において、
前記ロックピースは、前記プランジャを前記係止孔側から覆う形状でなるプラグロック構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−243343(P2011−243343A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112905(P2010−112905)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】