説明

プラグ検出装置および電子機器

【課題】 簡素な構成でモジュラープラグの誤抜去を未然に防ぐことができるプラグ検出装置を提供する。
【解決手段】 複数のモジュラージャック個々についてモジュラープラグの挿入状態の当否を検出する複数の挿入検出器20と、複数のモジュラージャック個々についてレバー付きロック爪の起立状態/伏倒状態を検出する複数のロック検出器30と、モジュラープラグの挿入状態が検出され、かつ、レバー付きロック爪の伏倒状態が検出されたときに、モジュラープラグが当該モジュラージャックから抜去されようとしていると判断する制御部10と、制御部10による判断に基づき、その旨を複数のモジュラージャック個々について発光によって報知する複数の抜去予報知ランプ40とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれモジュラープラグが挿抜される複数のモジュラージャックを有するスイッチングハブ等の電子機器に適用され、各モジュラージャックに対するモジュラープラグの挿抜状態を検出するプラグ検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モジュラージャックや、端部にモジュラープラグを備えたモジュラーケーブルとしては、例えば、米国ANSI/TIA−968−Aで規格された8P8Cタイプが広く知られている。この8P8Cモジュラージャックを有する電子機器は数多くあるが、複数のモジュラージャックを有するものとしては、例えば、スイッチングハブ、ルータ、電話交換機等がある。
【0003】
複数のモジュラージャックを有する電子機器として、例えばスイッチングハブを使用していく上で、スイッチングハブと他の電子機器との接続体系を変更することがある。この場合、スイッチングハブのモジュラージャックに挿入されているモジュラープラグを抜去する必要があるが、複数のモジュラージャックが並んで形成されている場合には、抜去すべきモジュラープラグとは異なるモジュラープラグを作業者が抜去してしまう誤抜去が起こり得る。この際、仮に誤抜去されたモジュラープラグを介して通信が行われていた場合は、意図しない通信断が発生することになるため、誤抜去の防止策が望まれる。
【0004】
ところで、主に業務用として用いられるスイッチングハブには、例えば、JISや米国EIAで規格された19インチラック等と通称されるラック規格に対応したものがある。19インチラックに対応したスイッチングハブは、幅500mm近くもある幅広い筐体を有しているため、例えば24個もの多数のモジュラージャックが僅かな間隔を置いて筐体の幅方向に並列して設けられている。一方、19インチラックに対応した電子機器の高さ寸法については、1〜4U(ユニット)程度のものがある。ここで、1Uは、EIAの場合は1.75インチ(44.45mm)である(JISの場合は、1Uは50mm)。近年の電子機器の小型化に伴い、19インチラックのスイッチングハブとしては、高さ1Uの低背、薄型の筐体に複数(例えば、24個)のモジュラージャックから成る段を僅かな間隔を置いて筐体の高さ方向に2段並べて設けたものもある。このように、19インチラック対応のスイッチングハブは、筐体の幅方向および高さ方向共に僅かな間隔しか置かずに多数のモジュラージャックが高密度に配置されているため、上述した誤抜去もより起こり易いといえる。
【0005】
誤抜去の対策として、例えば、特許文献1には、プラグの抜去に先立ち、該当するジャックに対応したランプを点灯させることにより、どのジャックからプラグを抜去すべきか作業者に案内する技術が開示されている。また、特許文献2には、プラグの抜去に先立ち、該当するジャックを挟む2つのランプを点灯させることによってどのジャックからプラグを抜去すべきか作業者に案内すると共に、該当するジャックのみプラグ抜去に対するロックを解除することにより、案内しているにも拘わらず依然として起こり得る誤抜去を強制的に不可能とする技術が開示されている。
【0006】
また、誤抜去自体の対策ではないが、特許文献3には、ジャックからプラグを抜去する過程、即ち、プラグ抜去が完了する直前に、これらジャックおよびプラグを介して接続されている電子機器の電源を自動的にオフにするようにした技術が開示されている。
【0007】
さらに、誤抜去の対策ではないが、特許文献4には、フラットケーブルと接続すると共にフラットケーブルが不要に取り外されることがないように保持するクランプコネクタにおいて、保持のための保護カバーが正しく閉じられていることを発光によって報知するようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−234710号公報
【特許文献2】特開2010‐176990号公報
【特許文献3】特開2006‐210001号公報
【特許文献4】特開2002‐42980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1、2に開示された技術によって抜去すべきものであると発光によって案内を行ったとしても、例えば19インチラックのスイッチングハブのように多数のジャックが高密度に配置されている電子機器の場合には、案内されているものとは異なるプラグを結局は抜去してしまう可能性がある。
【0010】
また、特許文献3に開示された技術は、プラグの誤抜去自体を防ぐことはできないため、その抜去が誤抜去である場合、作業者は誤抜去に気付くことができない。また、抜去すべきでないプラグに接続した電子機器の電源がオフにされてしまう。つまり、通信や動作を本来は停止する必要のない電子機器の電源がオフにされてしまう。
【0011】
また、特許文献4に開示された技術は、フラットケーブルの保持が正しくなされていることを報知するに過ぎず、フラットケーブルの誤った取り外しを未然に防ぐことはできない。
【0012】
さらに、特許文献1〜4に開示された技術のいずれも、複雑な構成であったり、既存のジャックやプラグの大幅な構造変更を要する。
【0013】
それ故、本発明の課題は、簡素な構成でモジュラープラグの誤抜去を未然に防ぐことを可能にするプラグ検出装置を提供することである。
【0014】
本発明の他の課題は、上記のようなプラグ検出装置を有する電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、それぞれモジュラープラグが挿抜される複数のモジュラージャックを有する電子機器に適用され、複数のモジュラージャック個々に対するモジュラープラグの挿抜状態を検出するプラグ検出装置であって、各モジュラープラグは、プラグインシュレータに植設されたプラグコンタクトと、プラグインシュレータから延びるように形成されたレバー付きロック爪とを備え、各モジュラージャックは、プラグインシュレータを受容する受容孔部ならびにレバー付きロック爪が係合するロック壁面が形成されたジャックインシュレータと、ジャックインシュレータに植設され、挿入されたモジュラープラグのプラグコンタクトと接続するジャックコンタクトとを備え、レバー付きロック爪は、ロック壁面に係合してモジュラージャックに対するモジュラープラグの挿入状態を保持する起立状態に付勢されている一方、モジュラープラグの挿入状態の際に伏倒状態となるように操作されることによってロック壁面から係合解除され、これにより、モジュラージャックからモジュラープラグの抜去を許すものである、プラグ検出装置において、ジャックコンタクトとプラグコンタクトとの接続に基づいて複数のモジュラージャック個々に対するモジュラープラグの挿入状態の当否を検出する複数の挿入検出器と、複数のモジュラージャック個々に挿入されたモジュラープラグのレバー付きロック爪の起立状態/伏倒状態を検出する複数のロック検出器と、モジュラープラグのモジュラージャックへの挿入状態が前記挿入検出器によって検出され、かつ、レバー付きロック爪の伏倒状態が前記ロック検出器によって検出されたときに、モジュラープラグが当該モジュラージャックから抜去されようとしていると判断する制御部と、複数のモジュラージャック個々について、モジュラープラグが抜去されようとしているとの前記制御部による判断に基づき、その旨を発光によって報知する複数の抜去予報知ランプとを有することを特徴とするプラグ検出装置が得られる。
【0016】
電子機器は、複数のモジュラージャック個々に対して設けられ、複数のモジュラージャック個々について各ジャックコンタクトを介した通信状況を検出する複数の通信状況検出部と、複数のモジュラージャック個々に対して設けられ、複数のモジュラージャック個々について通信状況を点滅によって表示する複数の通信表示ランプとをさらに有するものであり、前記複数の挿入検出器は、複数の通信状況検出部と兼用に構成され、前記複数の抜去予報知ランプは、複数の通信表示ランプと兼用に構成され、複数のモジュラージャック個々についてモジュラープラグが抜去されようとしているとの前記制御部による判断に基づき、その旨を通信状況の表示とは異なる周期の点滅によって報知するものであってもよい。
【0017】
前記制御部は、モジュラープラグを抜去すべきモジュラージャックを示す抜去該当情報を外部から取得し、さらに、モジュラープラグが当該モジュラージャックから抜去されようとしていると判断したとき、当該モジュラージャックがモジュラープラグの抜去を行うべきものであるか/否かを前記抜去該当情報に基づいて判別し、前記抜去予報知ランプは、モジュラープラグが抜去されようとしているとの前記制御部による判断結果と、当該モジュラージャックがモジュラープラグの抜去を行うべきものであるか/否かの該制御部による判別結果とに基づき、モジュラープラグが抜去されようとしている旨を、当該モジュラージャックがモジュラープラグの抜去を行うべきものであるか/否かで周期を違えた点滅で区別して、報知するものであってもよい。
【0018】
前記複数のロック検出器は、モジュラージャックのジャックインシュレータと個別かつ単一の部材である支持部材を介して、ジャックインシュレータに取り付けられていてもよい。
【0019】
前記ロック検出器は、レバー付きロック爪の起立状態/伏倒状態を、機械動作をする接点の接触/離脱によって検出する機械スイッチ式、検出光の透過率の低下/上昇によって検出する光学検出式、圧電素子の検出信号によって検出する圧力検出式、あるいは、静電容量の変化によって検出する静電容量検出式であってもよい。
【0020】
また、本発明によれば、前記複数のモジュラージャックと、前記プラグ検出装置とを有することを特徴とする電子機器が得られる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によるプラグ検出装置は、簡素な構成でモジュラープラグの誤抜去を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1によるプラグ検出装置が適用された電子機器としてのスイッチングハブの正面図である。
【図2】本発明の実施例1によるプラグ検出装置の構成を示すブロック図である。
【図3】(a)および(b)は、本発明の実施例1によるプラグ検出装置の要部を示す正面図および断面図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明の実施例1によるプラグ検出装置の動作を説明するための断面図である。
【図5】本発明の実施例2によるプラグ検出装置が適用された電子機器としてのスイッチングハブの正面図である。
【図6】本発明の実施例2によるプラグ検出装置の要部を示す断面図である。
【図7】本発明の実施例3によるプラグ検出装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明によるプラグ検出装置は、それぞれモジュラープラグが挿抜される複数のモジュラージャックを有する電子機器に適用され、複数のモジュラージャック個々に対するモジュラープラグの挿抜状態を検出するものである。
【0024】
特に、本プラグ検出装置は、複数の挿入検出器と、複数のロック検出器と、制御部と、複数の抜去予報知ランプとを有している。
【0025】
各挿入検出器は、ジャックコンタクトとプラグコンタクトとの接続に基づいてモジュラージャックに対するモジュラープラグの挿入状態の当否を検出する。
【0026】
各ロック検出器は、モジュラージャックに挿入されたモジュラープラグのレバー付きロック爪の起立状態/伏倒状態を検出する。
【0027】
制御部は、モジュラープラグのモジュラージャックへの挿入状態が挿入検出器によって検出され、かつ、レバー付きロック爪の伏倒状態がロック検出器によって検出されたときに、モジュラープラグが当該モジュラージャックから抜去されようとしていると判断する。
【0028】
各抜去予報知ランプは、モジュラープラグが抜去されようとしているとの制御部による判断に基づき、その旨を発光によって報知する。
【0029】
本発明によるプラグ検出装置は、レバー付きロック爪を伏倒状態とする操作、即ち、モジュラープラグを抜去するのに先立って作業者が必ず行う操作に基づいて抜去予報知ランプを点灯するため、作業者は、自らがモジュラープラグの抜去を行おうとしているモジュラージャックを確実に知ることができる。このため、抜去すべきモジュラープラグとは異なるモジュラープラグを抜去してしまう誤抜去を確実に防止できる。
【0030】
しかも、モジュラープラグがモジュラージャックからの不要な抜去を防止するために元来備えているレバー付きロック爪を抜去の予報知にいわば流用するため、モジュラープラグの構造変更は不要であり、また、モジュラージャックについてもロック検出器をジャックインシュレータに具備させる程度の軽微な構造変更で済み、よって、本プラグ検出装置は、構造が簡素である。
【0031】
以下、本発明のより具体的な実施例を、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0032】
図1を参照すると、本発明の実施例1によるプラグ検出装置は、電子機器としての19インチラックに対応したスイッチングハブ100に適用され、8P8Cタイプのモジュラージャックに対する同じく8P8Cタイプのモジュラープラグの挿抜状態を検出するものである。
【0033】
スイッチングハブ100は、それぞれモジュラープラグが挿抜される複数のモジュラージャック60(A60−1〜24、B60−1〜24)と、スイッチングハブ100に電源が供給され、動作していることを示す電源ランプ105と、後述する複数の通信状況検出部と、同じく後述する複数の通信表示ランプとを有している。
【0034】
さらに図3(a)および(b)ならびに図4(a)〜(c)を参照すると、モジュラープラグ70は、プラグインシュレータ71に植設されたプラグコンタクト72と、プラグインシュレータ71から延びるように形成されたレバー付きロック爪73とを備えている。尚、レバー付きロック爪73は、レバー73aと、ロック爪73bとを含んでいる。
【0035】
モジュラージャック60は、プラグインシュレータ71を受容する受容孔部63ならびにレバー付きロック爪73のロック爪73bが係合するロック壁面64が形成されたジャックインシュレータ61(A61、B61)と、ジャックインシュレータ61に植設され、挿入されたモジュラープラグ70のプラグコンタクト72と接続するジャックコンタクト62とを備えている。尚、本例において、ジャックインシュレータ61は、図1から明らかなように、24個並列したモジュラージャックA60−1〜24に対して兼用に一体となっている(ジャックインシュレータA61)。同様に、24個並列したモジュラージャックB60−1〜24に対して兼用に一体となっている(ジャックインシュレータB61)。尚、複数のモジュラージャックに対して兼用に一体となったジャックインシュレータとしては、本実施例の形態(1段×24並列)に限定されない。例えば、1段×4並列、1段×6並列、2段×4並列、2段×6並列等、種々の形態がある。これらは、電子機器が必要とする総段数および総並列数に応じて、適宜組み合わせて用いられる。
【0036】
一方、モジュラープラグ70のレバー付きロック爪73は、ロック壁面64に係合してモジュラージャック60に対するモジュラープラグ70の挿入状態を保持する起立状態に付勢されている(図4(a))一方、モジュラープラグ70の挿入状態の際に伏倒状態となるようにレバー73aが操作されることによってロック壁面64からロック爪73bの係合が解除され(図4(b))、これにより、モジュラージャック60からモジュラープラグ70の抜去(図4(c))を許すものである。
【0037】
以上の構成は、従前のものと同様である。
【0038】
さらに図2を参照すると、特に、本プラグ検出装置は、複数のモジュラージャックA60−1〜24、B60−1〜24それぞれに対して設けられた複数の挿入検出器20(A20−1〜24、B20−1〜24)と、複数のモジュラージャックA60−1〜24、B60−1〜24それぞれに対して設けられた複数のロック検出器30(A30−1〜24、B30−1〜24)と、制御部10と、複数のモジュラージャックA60−1〜24、B60−1〜24それぞれに対して設けられた複数の抜去予報知ランプ40(A40−1〜24、B40−1〜24)とを有している。
【0039】
各挿入検出器20は、ジャックコンタクト62とプラグコンタクト72との接続に基づいてモジュラージャック60に対するモジュラープラグ70の挿入状態の当否を検出する。
【0040】
各ロック検出器30は、モジュラージャック60に挿入されたモジュラープラグ70のレバー付きロック爪73の起立状態/伏倒状態を検出する。ロック検出器30のレバー付きロック爪73の起立状態/伏倒状態の検出方式としては、起立するレバー付きロック爪73に押されて機械動作をする接点の接触/離脱によって検出する機械スイッチ式、起立するレバー付きロック爪73が検出光出射器と受光センサとの間に入り込むことによって検出光の透過率の低下/上昇によって検出する光学検出式、起立するレバー付きロック爪73に押されて変化する圧電素子の検出信号によって検出する圧力検出式、あるいは、起立するレバー付きロック爪73がキャパシタの二電極間に入り込むことによって変化する静電容量によって検出する静電容量検出式等を採用することができる。いずれの検出方式も、モジュラープラグ70のレバー付きロック爪73の構造変更を伴わない。
【0041】
制御部10は、モジュラープラグ70のモジュラージャック60への挿入状態が挿入検出器20によって検出され、かつ、レバー付きロック爪73の伏倒状態がロック検出器30によって検出されたときに、モジュラープラグ70がモジュラージャック60から抜去されようとしていると判断する。
【0042】
各抜去予報知ランプ40は、LED等によって構成され、モジュラープラグ70が抜去されようとしているとの制御部10による判断に基づき、その旨を発光によって報知する。
【0043】
ここで、スイッチングハブ100は、複数のモジュラージャックA60−1〜24、B60−1〜24個々に対して設けられた複数の通信状況検出部と、複数のモジュラージャックA60−1〜24、B60−1〜24個々に対して設けられた複数の通信表示ランプとを有している。
【0044】
通信状況検出部は、モジュラージャックA60−1〜24、B60−1〜24個々について各ジャックコンタクトを介した通信状況を検出する。通信表示ランプは、LED等によって構成され、複数のモジュラージャックA60−1〜24、B60−1〜24個々に対して設けられ、モジュラージャックA60−1〜24、B60−1〜24個々について通信状況を点滅によって表示する。尚、通信状況検出部、通信表示ランプは、従前のスイッチングハブであっても有していることが多い構成である。
【0045】
そして、複数の挿入検出器20は、複数の通信状況検出部と兼用に構成されている。また、複数の抜去予報知ランプ40は、複数の通信表示ランプと兼用に構成され、モジュラージャックA60−1〜24、B60−1〜24個々についてモジュラープラグが抜去されようとしているとの制御部10による判断に基づき、その旨を通信状況の表示とは異なる周期の点滅によって報知する。
【0046】
次に、本プラグ検出装置の動作を説明する。
【0047】
いま、図3(b)に代表して示される複数のモジュラージャック60に、図4(a)に示されるように、モジュラープラグ70が挿入されているとする。図4(a)に示される状態では、挿入検出器20(図2)はモジュラープラグ70の挿入状態を検出しており、なおかつ、ロック検出器30(図2)はレバー付きロック爪73の起立状態を検出している。尚、モジュラージャック60にモジュラープラグ70が挿入されている状態では、抜去予報知ランプ40(図2、図1)を兼用しているスイッチングハブ100の通信表示ランプは、そのモジュラージャック60を介した信号の通信状況を点滅によって表示している。この点滅は、信号の通信状態に対応しており、周期的には不定周期である。
【0048】
ここで、スイッチングハブ100の接続体系を変更すべく、作業者がモジュラージャック60からモジュラープラグ70を抜去しようとして、図4(b)に示されるように、モジュラープラグ70のレバー付きロック爪73を摘んで伏倒状態にする。尚、この段階では、モジュラージャック60のジャックコンタクト62とモジュラープラグ70のプラグコンタクト72とは依然として接続されているため、これらコンタクトを介した信号の通信状態は維持されている。図4(b)に示される状態では、挿入検出器20はモジュラープラグ70の挿入状態を検出しており、なおかつ、ロック検出器30はレバー付きロック爪73の伏倒状態を検出する。つまり、モジュラープラグ70のモジュラージャック60への挿入状態が挿入検出器20によって検出され、かつ、レバー付きロック爪73の伏倒状態がロック検出器30によって検出されたという条件を満たしているため、制御部10(図2)は、そのモジュラージャック60からモジュラープラグ70が抜去されようとしていると判断する。そして、そのモジュラージャック60に対応する抜去予報知ランプ40(図2、図1)は、モジュラープラグ70が抜去されようとしているとの制御部10による判断に基づき、その旨を上述した不定周期の通信状況の表示とは異なる特定の周期の点滅によって報知する。この特定の周期は、その抜去が誤抜去である可能性もあるため、人間が視覚的に認識し得る範囲内で比較的速い周期等、重要な報知に適した周期に設定されることが好ましい。あるいは、抜去予報知ランプ40として複数色発光可能なLEDを採用した場合には、通信状況の表示(例えば、緑色や青色)とは異なる発光色(例えば、黄色、オレンジ色、赤色)の発光または点滅によって報知してもよい。これにより、作業者は、自らがモジュラープラグの抜去を行おうとしているモジュラージャックを確実に知ることができる。このため、抜去すべきモジュラープラグとは異なるモジュラープラグを抜去してしまう誤抜去が確実に防止される。
【0049】
作業者は、抜去予報知ランプ40の発光(点滅)によってモジュラープラグ70の抜去を行うべきモジュラージャック60であることを認識した後、そのモジュラージャック60から、図4(c)に示されるようにして、レバー付きロック爪73を摘んだまま、モジュラープラグ70を抜去する。モジュラープラグ70が抜去されると、モジュラージャック60は、図3(b)に示された状態となる。
【実施例2】
【0050】
本発明の実施例2によるプラグ検出装置は、モジュラージャックのジャックインシュレータと個別かつ単一の部材である支持部材を介して、複数のロック検出器がジャックインシュレータに取り付けられている点で、実施例1と異なっている。このため、実施例2における実施例1と同一または同様の部分については、同一符号を付すと共に、詳細な説明を省略する。
【0051】
図5および図6を参照すると、本発明の実施例2によるプラグ検出装置は、実施例1と同様に、電子機器としての19インチラックに対応したスイッチングハブ120に適用され、8P8Cタイプのモジュラージャックに対する同じく8P8Cタイプのモジュラープラグの挿抜状態を検出するものである。
【0052】
スイッチングハブ120は、それぞれモジュラープラグが挿抜される複数のモジュラージャック60’(A60−1’〜24’、B60−1’〜24’)と、スイッチングハブ120に電源が供給され、動作していることを示す電源ランプ105と、ジャックインシュレータ61’(A61’、B61’)と個別かつ単一の部材である支持部材50(A50、B50)と、複数の通信状況検出部と、複数の通信表示ランプとを有している。
【0053】
特に、実施例2において、モジュラージャック60’は、実施例1のモジュラージャック60とは異なり、いわゆるスリムタイプである。即ち、モジュラージャック60’は、プラグインシュレータ71を受容する受容孔部ならびにレバー付きロック爪73のロック爪73bが係合するロック壁面64’が形成された薄型のジャックインシュレータ61’(A61’、B61’)と、ジャックインシュレータ61’に植設され、挿入されたモジュラープラグ70のプラグコンタクト72と接続するジャックコンタクト62とを備えている。尚、薄型のジャックインシュレータを有するスリムタイプのモジュラージャックは、電子機器の小型化に適しているとして、従前より存在するものである。
【0054】
薄型のジャックインシュレータ61’は、図6から明らかなように、モジュラープラグ70が挿入されたとき、起立状態のレバー付きロック爪73(のうちのレバー73a)が食み出るようになっている。薄型のジャックインシュレータ61’は、図5から明らかなように、24個並列したモジュラージャックA60−1’〜24’に対して兼用に一体となっている(ジャックインシュレータA61’)。同様に、24個並列したモジュラージャックB60−1’〜24’に対して兼用に一体となっている(ジャックインシュレータB61’)。
【0055】
一方、モジュラープラグ70のレバー付きロック爪73は、ロック壁面64’に係合してモジュラージャック60’に対するモジュラープラグ70の挿入状態を保持する起立状態に付勢されている一方、モジュラープラグ70の挿入状態の際に伏倒状態となるようにレバー73aが操作されることによってロック壁面64’からロック爪73bの係合が解除され、これにより、モジュラージャック60’からモジュラープラグ70の抜去を許すものである。
【0056】
さらに実施例1の図2を援用的に参照すると、本プラグ検出装置は、複数のモジュラージャックA60−1’〜24’、B60−1’〜24’それぞれに対して設けられた複数の挿入検出器20(A20−1〜24、B20−1〜24)と、複数のモジュラージャックA60−1’〜24’、B60−1’〜24’それぞれに対して設けられた複数のロック検出器30(A30−1〜24、B30−1〜24)と、制御部10と、複数のモジュラージャックA60−1’〜24’、B60−1’〜24’それぞれに対して設けられた複数の抜去予報知ランプ40(A40−1〜24、B40−1〜24)とを有している。
【0057】
各挿入検出器20は、ジャックコンタクト62とプラグコンタクト72との接続に基づいてモジュラージャック60’に対するモジュラープラグ70の挿入状態の当否を検出する。
【0058】
各ロック検出器30は、モジュラージャック60’に挿入されたモジュラープラグ70のレバー付きロック爪73の起立状態/伏倒状態を検出する。ロック検出器30のレバー付きロック爪73の起立状態/伏倒状態の検出方式としては、起立するレバー付きロック爪73に押されて機械動作をする接点の接触/離脱によって検出する機械スイッチ式、起立するレバー付きロック爪73が検出光出射器と受光センサとの間に入り込むことによって検出光の透過率の低下/上昇によって検出する光学検出式、起立するレバー付きロック爪73に押されて変化する圧電素子の検出信号によって検出する圧力検出式、あるいは、起立するレバー付きロック爪73がキャパシタの二電極間に入り込むことによって変化する静電容量によって検出する静電容量検出式等を採用することができる。いずれの検出方式も、モジュラープラグ70のレバー付きロック爪73の構造変更を伴わない。
【0059】
特に、実施例2において、図6から明らかなように、ロック検出器30(A30−1’〜24’、B30−1’〜24’)は、支持部材50(A50、B50)を介して、ジャックインシュレータ61’(A61’、B61’)に取り付けられている。支持部材50(A50、B50)は、図5および図6から明らかなように、モジュラージャック60’(A60−1’〜24’、B60−1’〜24’)のジャックインシュレータ61’(A61’、B61’)と個別、かつ、単一の部材である。
【0060】
再び実施例1の図2を援用的に参照すると、制御部10は、モジュラープラグ70のモジュラージャック60’への挿入状態が挿入検出器20によって検出され、かつ、レバー付きロック爪73の伏倒状態がロック検出器30によって検出されたときに、モジュラープラグ70がモジュラージャック60’から抜去されようとしていると判断する。
【0061】
各抜去予報知ランプ40は、LED等によって構成され、モジュラープラグ70が抜去されようとしているとの制御部10による判断に基づき、その旨を発光によって報知する。
【0062】
ここで、スイッチングハブ120は、複数のモジュラージャックA60−1’〜24’、B60−1’〜24’個々に対して設けられた複数の通信状況検出部と、複数のモジュラージャックA60−1’〜24’、B60−1’〜24’個々に対して設けられた複数の通信表示ランプとを有している。
【0063】
通信状況検出部は、モジュラージャックA60−1’〜24’、B60−1’〜24’個々について各ジャックコンタクトを介した通信状況を検出する。通信表示ランプは、LED等によって構成され、複数のモジュラージャックA60−1’〜24’、B60−1’〜24’個々に対して設けられ、モジュラージャックA60−1’〜24’、B60−1’〜24’個々について通信状況を点滅によって表示する。尚、通信状況検出部、通信表示ランプは、従前のスイッチングハブであっても有していることが多い構成である。
【0064】
そして、複数の挿入検出器20は、複数の通信状況検出部と兼用に構成されている。また、複数の抜去予報知ランプ40は、複数の通信表示ランプと兼用に構成され、モジュラージャックA60−1’〜24’、B60−1’〜24’個々についてモジュラープラグが抜去されようとしているとの制御部10による判断に基づき、その旨を通信状況の表示とは異なる周期の点滅によって報知する。
【0065】
尚、説明は省略するが、実施例2のプラグ検出装置も、実施例1と同様に動作する。
【0066】
実施例3においては、モジュラープラグの構造変更が不要であることに加え、さらに、薄型のジャックインシュレータを有するスリムタイプのモジュラージャックの構造変更も不要であり、既存の電子機器にも容易に適用できる。
【実施例3】
【0067】
本発明の実施例3によるプラグ検出装置は、モジュラープラグがそのモジュラージャックから抜去されようとしているときに、そのモジュラージャックがモジュラープラグの抜去を行うべきものであるか/否かを判別する点で、実施例1と異なっている。このため、実施例3における実施例1と同一または同様の部分については、同一符号を付すと共に、詳細な説明を省略する。
【0068】
実施例1を示す図1を援用的に参照すると、本発明の実施例3によるプラグ検出装置は、実施例1と同様に、電子機器としての19インチラックに対応したスイッチングハブ100に適用され、8P8Cタイプのモジュラージャックに対する同じく8P8Cタイプのモジュラープラグの挿抜状態を検出するものである。
【0069】
スイッチングハブ100は、それぞれモジュラープラグが挿抜される複数のモジュラージャック60(A60−1〜24、B60−1〜24)と、スイッチングハブ100に電源が供給され、動作していることを示す電源ランプ105と、後述する複数の通信状況検出部と、同じく後述する複数の通信表示ランプとを有している。
【0070】
さらに図3(a)および(b)ならびに図4(a)〜(c)を援用的に参照すると、モジュラープラグ70は、プラグインシュレータ71に植設されたプラグコンタクト72と、プラグインシュレータ71から延びるように形成されたレバー付きロック爪73とを備えている。尚、レバー付きロック爪73は、レバー73aと、ロック爪73bとを含んでいる。
【0071】
モジュラージャック60は、プラグインシュレータ71を受容する受容孔部63ならびにレバー付きロック爪73のロック爪73bが係合するロック壁面64が形成されたジャックインシュレータ61(A61、B61)と、ジャックインシュレータ61に植設され、挿入されたモジュラープラグ70のプラグコンタクト72と接続するジャックコンタクト62とを備えている。尚、本例において、ジャックインシュレータ61は、図1から明らかなように、24個並列したモジュラージャックA60−1〜24に対して兼用に一体となっている(ジャックインシュレータA61)。同様に、24個並列したモジュラージャックB60−1〜24に対して兼用に一体となっている(ジャックインシュレータB61)。
【0072】
一方、モジュラープラグ70のレバー付きロック爪73は、ロック壁面64に係合してモジュラージャック60に対するモジュラープラグ70の挿入状態を保持する起立状態に付勢されている(図4(a))一方、モジュラープラグ70の挿入状態の際に伏倒状態となるようにレバー73aが操作されることによってロック壁面64からロック爪73bの係合が解除され(図4(b))、これにより、モジュラージャック60からモジュラープラグ70の抜去(図4(c))を許すものである。
【0073】
以上の構成は、従前のものと同様である。
【0074】
さらに図7を参照すると、本プラグ検出装置は、複数のモジュラージャックA60−1〜24、B60−1〜24それぞれに対して設けられた複数の挿入検出器20(A20−1〜24、B20−1〜24)と、複数のモジュラージャックA60−1〜24、B60−1〜24それぞれに対して設けられた複数のロック検出器30(A30−1〜24、B30−1〜24)と、制御部10’と、複数のモジュラージャックA60−1〜24、B60−1〜24それぞれに対して設けられた複数の抜去予報知ランプ40(A40−1〜24、B40−1〜24)とを有している。
【0075】
各挿入検出器20は、ジャックコンタクト62とプラグコンタクト72との接続に基づいてモジュラージャック60に対するモジュラープラグ70の挿入状態の当否を検出する。
【0076】
各ロック検出器30は、モジュラージャック60に挿入されたモジュラープラグ70のレバー付きロック爪73の起立状態/伏倒状態を検出する。ロック検出器30のレバー付きロック爪73の起立状態/伏倒状態の検出方式としては、起立するレバー付きロック爪73に押されて機械動作をする接点の接触/離脱によって検出する機械スイッチ式、起立するレバー付きロック爪73が検出光出射器と受光センサとの間に入り込むことによって検出光の透過率の低下/上昇によって検出する光学検出式、起立するレバー付きロック爪73に押されて変化する圧電素子の検出信号によって検出する圧力検出式、あるいは、起立するレバー付きロック爪73がキャパシタの二電極間に入り込むことによって変化する静電容量によって検出する静電容量検出式等を採用することができる。いずれの検出方式も、モジュラープラグ70のレバー付きロック爪73の構造変更を伴わない。
【0077】
特に、実施例3において、制御部10’は、スイッチングハブ100にモジュラーケーブルを介して接続している電子機器等から、モジュラープラグを抜去すべきモジュラージャックを示す抜去該当情報を取得するように構成されている。尚、制御部10’は、取得した抜去該当情報を少なくとも一時的に記憶するように構成されていてもよい。制御部10’はまた、モジュラープラグ70のモジュラージャック60への挿入状態が挿入検出器20によって検出され、かつ、レバー付きロック爪73の伏倒状態がロック検出器30によって検出されたときに、モジュラープラグ70がモジュラージャック60から抜去されようとしていると判断する。さらに、制御部10’は、モジュラープラグがそのモジュラージャックから抜去されようとしていると判断したとき、そのモジュラージャックがモジュラープラグの抜去を行うべきものであるか/否かを抜去該当情報に基づいて判別する。
【0078】
各抜去予報知ランプ40は、LED等によって構成されている。特に、実施例3において、各抜去予報知ランプ40は、モジュラープラグが抜去されようとしているとの制御部10’による判断結果と、そのモジュラージャックがモジュラープラグの抜去を行うべきものであるか/否かの制御部10’による判別結果とに基づき、モジュラープラグが抜去されようとしている旨を、そのモジュラージャックがモジュラープラグの抜去を行うべきものであるか/否かで周期もしくは発光色を違えた発光または点滅で区別して、報知する。
【0079】
尚、そのモジュラージャックがモジュラープラグの抜去を行うべきものでないとの制御部10’による判別結果の場合は、そのまま抜去すると誤抜去となるため、作業者に対して警告として報知することが好ましい。このため、抜去予報知ランプ40は、人間が視覚的に認識し得る範囲内で可及的に速い周期等、警告に適した周期に設定されることが好ましい。あるいは、抜去予報知ランプ40として複数色発光可能なLEDを採用した場合には、通信状況の表示や、そのモジュラージャックがモジュラープラグの抜去を行うべきものであるとの制御部10’による判別結果の場合(例えば、緑色や青色)と異なる発光色(例えば、赤色)の発光または点滅によって警告するようにしてもよい。
【0080】
次に、本プラグ検出装置の動作を説明する。
【0081】
いま、図3(b)に代表して示される複数のモジュラージャック60に、図4(a)に示されるように、モジュラープラグ70が挿入されているとする。図4(a)に示される状態では、挿入検出器20(図2)はモジュラープラグ70の挿入状態を検出しており、なおかつ、ロック検出器30(図2)はレバー付きロック爪73の起立状態を検出している。尚、モジュラージャック60にモジュラープラグ70が挿入されている状態では、抜去予報知ランプ40(図2、図1)を兼用しているスイッチングハブ100の通信表示ランプは、そのモジュラージャック60を介した信号の通信状況を点滅によって表示している。この点滅は、信号の通信状態に対応しており、周期的には不定周期である。
【0082】
ここで、スイッチングハブ100の接続体系を変更すべく、スイッチングハブ100にモジュラーケーブルを介して接続している電子機器等から、モジュラープラグを抜去すべきモジュラージャックを示す抜去該当情報が出力される。制御部10’は、抜去該当情報を取得する。そして、作業者がモジュラージャック60からモジュラープラグ70を抜去しようとして、図4(b)に示されるように、モジュラープラグ70のレバー付きロック爪73を摘んで伏倒状態にする。尚、この段階では、モジュラージャック60のジャックコンタクト62とモジュラープラグ70のプラグコンタクト72とは依然として接続されているため、これらコンタクトを介した信号の通信状態は維持されている。図4(b)に示される状態では、挿入検出器20はモジュラープラグ70の挿入状態を検出しており、なおかつ、ロック検出器30はレバー付きロック爪73の伏倒状態を検出する。つまり、モジュラープラグ70のモジュラージャック60への挿入状態が挿入検出器20によって検出され、かつ、レバー付きロック爪73の伏倒状態がロック検出器30によって検出されたという条件を満たしているため、制御部10’(図7)は、そのモジュラージャック60からモジュラープラグ70が抜去されようとしていると判断する。さらに、制御部10’は、モジュラープラグがそのモジュラージャックから抜去されようとしていると判断したとき、そのモジュラージャックがモジュラープラグの抜去を行うべきものであるか/否かを抜去該当情報に基づいて判別する。そして、そのモジュラージャック60に対応する抜去予報知ランプ40(図7、図1)は、モジュラープラグ70が抜去されようとしているとの制御部10’による判断結果と、そのモジュラージャックがモジュラープラグの抜去を行うべきものであるか/否かの制御部10’による判別結果とに基づき、モジュラープラグが抜去されようとしている旨を、そのモジュラージャックがモジュラープラグの抜去を行うべきものであるか/否かで周期もしくは発光色を違えた発光または点滅で区別して、報知する。これにより、作業者は、自らがモジュラープラグの抜去を行おうとしているモジュラージャックを確実に知ることができると共に、そのモジュラージャックからモジュラープラグの抜去を行うべきか否かを知ることができる。このため、抜去すべきモジュラープラグとは異なるモジュラープラグを抜去してしまう誤抜去が実施例1よりもさらに確実に防止される。
【0083】
作業者は、抜去予報知ランプ40の発光(点滅)によってモジュラープラグ70の抜去を行うべきモジュラージャック60であることを認識した後、そのモジュラージャック60から、図4(c)に示されるようにして、レバー付きロック爪73を摘んだまま、モジュラープラグ70を抜去する。モジュラープラグ70が抜去されると、モジュラージャック60は、図3(b)に示された状態となる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上、本発明の実施例について説明してきたが、本発明はこれら実施例に限定されるもためはなく、当該特許請求の範囲に記載された技術範囲内であれば、種々の変形が可能であることは云うまでもない。
【0085】
例えば、本発明は、スイッチングハブに限らず、ルータ、電話交換機等の複数のモジュラージャックを有する電子機器全般に適用可能である。また、本発明におけるモジュラージャックは、米国ANSI/TIA−968−Aで規格されたものに限らず、レバー付きロック爪による抜け防止機構を持つジャックであればよく、例えば、光通信用のLCコネクタ等であってもよい。
【符号の説明】
【0086】
10、10’ 制御部
20、A20−1〜A20−24、B20−1〜B20−24 挿入検出器
30、A30−1〜A30−24、B30−1〜B30−24 ロック検出器
40、A40−1〜A40−24、B40−1〜A40−24 抜去予報知ランプ
50、A50、B50 支持部材
60、A60−1〜A60−24、B60−1〜B60−24 モジュラージャック
60’、A60−1’〜A60−24’、B60−1’〜B60−24’ モジュラージャック
61、A61、B61 ジャックインシュレータ
62 ジャックコンタクト
63 受容孔部
64、64’ ロック壁面
70 モジュラープラグ
71 プラグインシュレータ
72 プラグコンタクト
73 レバー付きロック爪
73a レバー
73b ロック爪
100、120 スイッチングハブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれモジュラープラグが挿抜される複数のモジュラージャックを有する電子機器に適用され、複数のモジュラージャック個々に対するモジュラープラグの挿抜状態を検出するプラグ検出装置であって、
各モジュラープラグは、プラグインシュレータに植設されたプラグコンタクトと、プラグインシュレータから延びるように形成されたレバー付きロック爪とを備え、
各モジュラージャックは、プラグインシュレータを受容する受容孔部ならびにレバー付きロック爪が係合するロック壁面が形成されたジャックインシュレータと、ジャックインシュレータに植設され、挿入されたモジュラープラグのプラグコンタクトと接続するジャックコンタクトとを備え、
レバー付きロック爪は、ロック壁面に係合してモジュラージャックに対するモジュラープラグの挿入状態を保持する起立状態に付勢されている一方、モジュラープラグの挿入状態の際に伏倒状態へ操作されることによってロック壁面から係合解除され、これにより、モジュラージャックからモジュラープラグの抜去を許すものである、プラグ検出装置において、
ジャックコンタクトとプラグコンタクトとの接続に基づいて複数のモジュラージャック個々に対するモジュラープラグの挿入状態の当否を検出する複数の挿入検出器と、
複数のモジュラージャック個々に挿入されたモジュラープラグのレバー付きロック爪の起立状態/伏倒状態を検出する複数のロック検出器と、
モジュラープラグのモジュラージャックへの挿入状態が前記挿入検出器によって検出され、かつ、レバー付きロック爪の伏倒状態が前記ロック検出器によって検出されたときに、モジュラープラグが当該モジュラージャックから抜去されようとしていると判断する制御部と、
複数のモジュラージャック個々について、モジュラープラグが抜去されようとしているとの前記制御部による判断に基づき、その旨を発光によって報知する複数の抜去予報知ランプとを有することを特徴とするプラグ検出装置。
【請求項2】
電子機器は、複数のモジュラージャック個々に対して設けられ、複数のモジュラージャック個々について各ジャックコンタクトを介した通信状況を検出する複数の通信状況検出部と、複数のモジュラージャック個々に対して設けられ、複数のモジュラージャック個々について通信状況を点滅によって表示する複数の通信表示ランプとをさらに有するものであり、
前記複数の挿入検出器は、複数の通信状況検出部と兼用に構成され、
前記複数の抜去予報知ランプは、複数の通信表示ランプと兼用に構成され、複数のモジュラージャック個々についてモジュラープラグが抜去されようとしているとの前記制御部による判断に基づき、その旨を通信状況の表示とは異なる周期の点滅によって報知する請求項1に記載のプラグ検出装置。
【請求項3】
前記制御部は、モジュラープラグを抜去すべきモジュラージャックを示す抜去該当情報を外部から取得し、さらに、モジュラープラグが当該モジュラージャックから抜去されようとしていると判断したとき、当該モジュラージャックがモジュラープラグの抜去を行うべきものであるか/否かを前記抜去該当情報に基づいて判別し、
前記抜去予報知ランプは、モジュラープラグが抜去されようとしているとの前記制御部による判断結果と、当該モジュラージャックがモジュラープラグの抜去を行うべきものであるか/否かの該制御部による判別結果とに基づき、モジュラープラグが抜去されようとしている旨を、当該モジュラージャックがモジュラープラグの抜去を行うべきものであるか/否かで周期を違えた点滅で区別して、報知する請求項1または2に記載のプラグ検出装置。
【請求項4】
前記複数のロック検出器は、モジュラージャックのジャックインシュレータと個別かつ単一の部材である支持部材を介して、ジャックインシュレータに取り付けられている請求項1乃至3のいずれか一項に記載のプラグ検出装置。
【請求項5】
前記ロック検出器は、レバー付きロック爪の起立状態/伏倒状態を、機械動作をする接点の接触/離脱によって検出する機械スイッチ式、検出光の透過率の低下/上昇によって検出する光学検出式、圧電素子の検出信号によって検出する圧力検出式、あるいは、静電容量の変化によって検出する静電容量検出式である請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプラグ検出装置。
【請求項6】
前記複数のモジュラージャックと、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のプラグ検出装置とを有することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−113872(P2012−113872A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260245(P2010−260245)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】