説明

プラスチックペレット選別機

【課題】 透明プラスチックペレットの表面と内部で起きる複雑な反射による悪影響を抑えて、ペレットの良否を的確に判別し、精度よく選別することのできるプラスチックペレット選別機を提供する。
【解決手段】 透明プラスチックペレットPの搬送手段16と照明手段32と撮影手段26を備え、撮影された画像信号に基づいて透明プラスチックペレットPの良否を判定し選別するプラスチックペレット選別機において、照明手段32は、内周面を面光源とした照明ケース32で透明プラスチックペレットPを包囲し間接照明して撮影する構成にしてある。これにより、透明プラスチックペレットPは軟らかい光質の光で均一に照明されて、複雑な反射による明部と暗部が現れなくなり、良否を的確に判別できるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に透明プラスチックペレットに含まれる着色ペレットを取り除くためのプラスチックペレット選別機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
透明なプラスチック製品の原料となる透明プラスチックペレットには、その製造工程において変色したり微小斑点が付着した着色ペレットが含まれている。透明プラスチックペレットに着色ペレットが含まれていると、成形した透明なプラスチック製品に異常な着色部が現れて不良になるため、着色ペレットを除去する必要がある。特に、成形した透明なプラスチック製品は外観が重要であり、光学部品などへの利用も多く、着色ペレットを除去する要求が強い。
【0003】
一般的に、このような粒体の中から異常着色した不良粒体を取り除くための手段としては、色彩選別機がある。この色彩選別機は、搬送される多量の粒体をCCDラインセンサカメラなどで撮影し、その画像信号に基づいて良否を判定し、不良と判定されたものを弾き飛ばして選別するものである。
【0004】
ところで、透明な粒体は、一方から光が当たるとその表面と内部で複雑な反射が起きて、強い反射光を出す部分と殆ど反射光を出さない部分が生じ、明部と暗部が現れる性質をもっている。そのため、色彩選別機では、本来無色透明である正常な透明プラスチックペレットであっても、その画像の一部が着色部と同様に暗く撮影されてしまい、正常な良ペレットと着色した不良ペレットとの画像の差異を判別することができず、精度よく選別することが極めて困難であった。
【0005】
また、色彩選別機では、撮影される透明プラスチックペレットの周辺背景が写り込み、透明プラスチックペレットの画像の一部が影のように暗く撮影されてしまうことがある。そのため、上記と同様に正常な良ペレットと着色した不良ペレットとの画像の差異を判別することができなくなり、このことも精度よく選別することができない要因となっていた。
【0006】
近年、この問題を解決しようとする透明プラスチックペレット用の色彩選別機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これは、落下する透明プラスチックペレットの軌道に沿った近接位置に湾曲状のバックグラウンドを設けることにより、透明プラスチックペレットを照明する光源の影響と、透明プラスチックペレットの周辺背景の影響を抑えようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−026469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記従来の透明プラスチックペレット用の色彩選別機では、バックグラウンドにより背景の影響は抑えられるが、光源の影響はまだ十分に抑えられない。すなわち、透明プラスチックペレットのバックグラウンド側の面は、光源の光がバックグラウンドで反射して間接的に当たるため、透明プラスチックペレットに生じる明暗部が弱く薄く現れる。しかし、その反対面は光源の光が直接的に当たるため、その表面と内部で複雑な反射が起きて、強い反射光を出す部分と殆ど反射光を出さない部分が生じ、透明プラスチックペレットに生じる明暗部が強く濃く現れる。その結果、撮影した画像にも明暗部が強く濃く現れ、良ペレットの暗部の画像と不良ペレットの着色部の画像との判別精度はあまり向上していない。
【0009】
本発明は、上記事実を考慮し、高屈折率透明体、光源及び撮像装置の関係について光学理論解析と実証実験を繰り返した結果、透明プラスチックペレットの表面と内部で起きる複雑な反射による悪影響を抑えて、良ペレットと不良ペレットを的確に判別し、精度よく選別することのできるプラスチックペレット選別機の提供を可能としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下において、プラスチックペレットは主に透明プラスチックペレットを例にとって説明する。
【0011】
請求項1に記載の発明に係るプラスチックペレット選別機は、プラスチックペレットを供給する供給手段と、その供給手段により供給されるプラスチックペレットを搬送する搬送手段と、その搬送手段により搬送されるプラスチックペレットを照明する照明手段と、その照明手段により照明されて所定の撮影領域を通過するプラスチックペレットを撮影する撮影手段と、その撮影手段からの画像信号に基づいてプラスチックペレットの良否を判定する判定手段と、その判定手段の判定結果に基づいてプラスチックペレットを選別する選別手段と、を備えたプラスチックペレット選別機において、前記照明手段は、前記撮影領域におけるプラスチックペレットをその周囲から照明する面光源を備えていることを特徴としている。
【0012】
請求項1に記載のプラスチックペレット選別機では、プラスチックペレットが供給手段により供給され、搬送手段により搬送されながら、照明手段により照明され、所定の撮影領域を通過する際に撮影手段により撮影され、撮影された画像信号に基づいて判定手段により良否を判定され、その判定結果に基づいて選別手段により選別される。
【0013】
ここで、照明手段は、面光源の光が透明プラスチックペレットのほぼ全周を均一に照明する。この面光源の光は、光質が軟らかく、しかも拡散して均一に照明する性質をもっている。そのため、透明プラスチックペレットはその表面と内部で起きる複雑な反射による悪影響が抑えられ、明部と暗部が殆ど生じなくなる。その結果、透明プラスチックペレットの撮影画像において、暗部は本来分別すべき着色部によって生じるもののみとなり、良ペレットと不良ペレットを的確に判別し、精度よく選別することができる。
【0014】
なお、面光源は、電球の点状光や蛍光灯の線状光を、平面又は弧面に反射させて、あるいは特殊媒体に通して、面状光を発光するようにしたものである。
【0015】
請求項2に記載の発明に係るプラスチックペレット選別機は、請求項1に記載のプラスチックペレット選別機において、前記照明手段は、前記撮影領域を包囲してプラスチックペレットを間接照明する照明ケースを備えていることを特徴としている。
【0016】
請求項2に記載のプラスチックペレット選別機では、照明ケースが透明プラスチックペレットのほぼ全周を均一に間接照明する。この間接照明は、光質が軟らかく、しかも拡散して均一に照明する性質をもっている。そのため、透明プラスチックペレットはその表面と内部で起きる複雑な反射による悪影響が抑えられ、明部と暗部が殆ど生じなくなる。その結果、透明プラスチックペレットの撮影画像において、暗部は本来分別すべき着色部によって生じるもののみとなり、良ペレットと不良ペレットを的確に判別し、精度よく選別することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明に係るプラスチックペレット選別機は、請求項2に記載のプラスチックペレット選別機において、前記照明ケースは、前記撮影領域に対して開閉自在に構成してあることを特徴としている。
【0018】
請求項3に記載のプラスチックペレット選別機では、照明ケースを開くことで、照明ケースにより包囲された撮影領域が開放され、撮影領域近辺の掃除、調整、メンテナンス等を容易に行うことができる。
【0019】
請求項4に記載の発明に係るプラスチックペレット選別機は、プラスチックペレットを供給する供給手段と、その供給手段により供給されるプラスチックペレットを搬送面に載せて搬送する搬送手段と、その搬送手段により搬送されるプラスチックペレットを照明する照明手段と、その照明手段により照明されて前記搬送面上の所定の撮影領域を通過するプラスチックペレットを撮影する撮影手段と、その撮影手段からの画像信号に基づいてプラスチックペレットの良否を判定する判定手段と、その判定手段の判定結果に基づいてプラスチックペレットを選別する選別手段と、を備えたプラスチックペレット選別機において、前記照明手段は、前記撮影領域を包囲し内周面に面光源を形成してプラスチックペレットを間接照明する照明ケースを備えていることを特徴としている。
【0020】
請求項4に記載のプラスチックペレット選別機では、プラスチックペレットが供給手段により供給され、搬送手段により搬送面に載って搬送されながら、照明手段により照明され、搬送面上の所定の撮影領域を通過する際に撮影手段により撮影され、撮影された画像信号に基づいて判定手段により良否を判定され、その判定結果に基づいて選別手段により選別される。
【0021】
ここで、照明手段は、照明ケース内の面光源の光が透明プラスチックペレットのほぼ全周を均一に間接照明する。この面光源による間接照明は、光質が軟らかく、しかも拡散して均一に照明する性質をもっている。そのため、透明プラスチックペレットはその表面と内部で起きる複雑な反射による悪影響が抑えられ、明部と暗部が殆ど生じなくなる。その結果、透明プラスチックペレットの撮影画像において、暗部は本来分別すべき着色部によって生じるもののみとなり、良ペレットと不良ペレットを的確に判別し、精度よく選別することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明に係るプラスチックペレット選別機は、請求項4に記載のプラスチックペレット選別機において、前記搬送面上の前記撮影領域に背景板を設け、その背景板に対向する位置に前記撮影手段を設けたことを特徴としている。
【0023】
請求項5に記載のプラスチックペレット選別機では、透明プラスチックペレットが背景板に載った状態で撮影されるため、空間軌道上で撮影されるのとは違い、撮影手段による焦点が常に正確に合っており、しかも周辺背景が遮断されて写り込むこともなく、透明プラスチックペレットの鮮明な画像が得られ、精度よく選別することができる。
【0024】
請求項6に記載の発明に係るプラスチックペレット選別機は、請求項4に記載のプラスチックペレット選別機において、前記搬送面上の前記撮影領域に透明板を設け、その透明板より前記撮影手段の反対側に所定距離だけ離して背景板を設けたことを特徴としている。
【0025】
請求項6に記載のプラスチックペレット選別機は、前記請求項5に記載のプラスチックペレット選別機を一部改良している。前記請求項5に記載のものでは、透明プラスチックペレットを背景板に載せた状態で撮影すると、背景板に透明プラスチックペレット自体の影が写って薄い暗部となり、僅かではあるが選別精度を下げることがある。これに対し、請求項6に記載のものは、透明プラスチックペレットを透明板に載せた状態で撮影しても、透明板には透明プラスチックペレットの影が写ることはなく、背景板にも透明プラスチックペレットから離れているので透明プラスチックペレットの影が写ることはない。そのため、選別精度は良好に保持される。
【0026】
請求項7に記載の発明に係るプラスチックペレット選別機は、請求項6に記載のプラスチックペレット選別機において、前記背景板は、前記透明板を通過するプラスチックペレットを間接照明する面光源としていることを特徴としている。
【0027】
請求項7に記載のプラスチックペレット選別機では、透明プラスチックペレットを面光源としての背景板からも十分な光量で間接照明することができる。そのため、透明プラスチックペレットは、全周が均一に照明され、その表面と内部で起きる複雑な反射による悪影響がより一層抑えられ、明部と暗部が生じなくなる。
【0028】
なお、請求項1ないし請求項3に記載の発明に係るプラスチックペレット選別機は、プラスチックペレットが搬送手段の搬送面から落下する空間軌道上で撮影される方式の色彩選別機や、搬送手段の搬送面上で撮影される方式の色彩選別機などに適用される。また、請求項4ないし請求項7に記載の発明に係るプラスチックペレット選別機は、プラスチックペレットが搬送手段の搬送面上で撮影される方式の色彩選別機に適用される。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明に係るプラスチックペレット選別機によれば、透明プラスチックペレットの表面と内部で起きる複雑な反射による悪影響を抑えて、良ペレットと不良ペレットを的確に判別し、精度よく選別することができる。
【0030】
また、本発明に係るプラスチックペレット選別機によれば、無色透明なプラスチックペレットに混入している着色ペレットの選別のみならず、有色不透明なプラスチックペレットに混入している異常着色ペレットも的確に選別することができる。すなわち、有色不透明なプラスチックペレットは、無色透明なプラスチックペレットのように表面と内部で起きる複雑な反射による悪影響がなく、明部と暗部が生じることはないので、比較的容易に精度よく選別することができる。
【0031】
さらに、本発明に係るプラスチックペレット選別機によれば、プラスチックペレットに混入している小石やその他の異物を選別することができるのは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態に係るプラスチックペレット選別機を示す縦断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るプラスチックペレット選別機の撮影領域部分を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るプラスチックペレット選別機の照明ケースを示す斜視図である。
【図4】本発明の別の実施形態に係るプラスチックペレット選別機の撮影領域部分を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明に係るプラスチックペレット選別機の実施形態を図面(図1〜図3)と共に説明する。
【0034】
プラスチックペレット選別機2は、架台4のベース6に供給手段としての供給ホッパ8と振動フィーダ10が取り付けられている。供給ホッパ8は、透明プラスチックペレットPを貯留し供給するもので、その下端の供給口12には振動フィーダ10の搬送面14が近接しており、振動フィーダ10が駆動することにより透明プラスチックペレットPを一定量ずつ繰り出しながら下流側(図1において左側)に搬送する構成になっている。
【0035】
なお、透明プラスチックペレットPは2〜3mm程度の小さな球状又は円柱状の粒体である。
【0036】
振動フィーダ10の下流側には、同じく架台4のベース6に振動フィーダ16が取り付けられている。振動フィーダ16は、これの搬送面18が振動フィーダ10の搬送面14より一段低く配置され、透明プラスチックペレットPを搬送面14から受け継いで搬送面18の幅方向(搬送方向と直角方向)に均一に拡げながら一定の速度で下流側に水平搬送する構成になっている。
【0037】
振動フィーダ16の搬送面18の搬送終端部には、搬送面18の全幅にわたりこれと面を一にして背景板20が埋設されている(図2参照)。背景板20は、透明プラスチックペレットPとほぼ同じ画像濃度値を示す白色の表面平滑なセラミック材である。
【0038】
背景板20の真上位置には、ベース6上のフレーム(図示せず)に天板22が架設されており、この上にカメラケース24が設けられ、この中に撮影手段としてのラインセンサカメラ26が取り付けられている。ラインセンサカメラ26は、これの撮影光軸28が当たる背景板20上に線状の撮影領域30をもち(図2参照)、この撮影領域30を通過する透明プラスチックペレットPを撮影するものである。
【0039】
撮影領域30は、ラインセンサカメラ26側において複数個に分割され、分割された各領域の画像信号が判定手段としての制御部(図示せず)に出力される構成になっている。また、分割された各領域は後記する選別手段(複数個のエジェクタ58)に対応しており、各領域の画像信号の判定結果に基づいて対応するエジェクタ58が作動し選別する構成になっている。
【0040】
前記天板22には、ラインセンサカメラ26の撮影光軸28を中心にして撮影領域30を包囲する形で、照明手段としての照明ケース32が取り付けられている。すなわち、照明ケース32は搬送面18の搬送終端部上面を極近接した状態で周囲から包囲している。
【0041】
ここで、照明ケース32の説明の便宜上、透明プラスチックペレットPの搬送方向の上流側を右側、同搬送方向の下流側を左側、機体の手前側を前側、機体の奥側を後側として説明する(図3参照)。
【0042】
照明ケース32は、略半円筒形に形成されており、天板22の右側と左側に取り付けられた略四半円筒形の光源ケース34と、この両光源ケース34の間に挟まれて天板22の前側と後側に取り付けられた台形の幕板36とから構成されている。光源ケース34は、四半円弧状の笠板38と、その前後側の略扇形の側板40と、下側の底板42と、中央側の照明板44とから構成されている。照明板44は、枠板46とその中に嵌められた防塵用のガラス製の透光板48とからできている。光源ケース34内の下側には蛍光灯50が取り付けられている。
【0043】
照明ケース32は、その内周面全体が面光源となり、撮影領域30上の透明プラスチックペレットPを間接照明する構成になっている。すなわち、蛍光灯50の光が笠板38をはじめとする光源ケース34の各構成板に当たって反射し、透光板48を通って中央に集光し、さらに幕板36に当たって反射し、拡散され、軟らかい光質となって、透明プラスチックペレットPを全周から均一に照明する構成になっている。
【0044】
また、照明ケース32の内周面は、透光板48を除き、背景板20と同じ白色に塗色されている。光源ケース34の照明板44は、蛍光灯50の光が撮影領域30上の透明プラスチックペレットPを直接照明しないように、枠板46の下縁部が蛍光灯50の位置より高く形成されている。
【0045】
なお、面光源としては上記のような蛍光灯を反射する構造のほか、照明ケース32の内周面に発光ダイオード(LED)、有機ELシート、無機ELシート又は導光板等を敷設した構造とすることも可能である。これらの面光源はいずれも当業者に公知であり、コストやメンテナンス性などを考慮して適宜に選択し採用すればよい。
【0046】
照明ケース32の光源ケース34は、撮影領域30に対して開閉自在に構成されている。すなわち、光源ケース34は、天板22に支持されモータ52に連結された回動軸54に、笠板38のヒンジ56を固定して、モータ駆動により上下方向に回動される構成になっている。
【0047】
なお、照明ケース32と搬送面18との間に空き部分があれば、必要に応じてこの空き部分を塞ぐような白色のブラケット51をベース6又は照明ケース32に設けるのが好ましい。これによって、透明プラスチックペレットPをこの部分からも間接照明することができるし、ラインセンサカメラ26に余計な背景が写り込むのを防止することもできる。
【0048】
搬送面18の搬送終端部の真下位置に、選別手段としてのエジェクタ58が設置されている。エジェクタ58は、搬送面18の搬送終端部から落下する透明プラスチックペレットPのうち不良ペレットと判定されたものを吸引して取り除く吸引口であり、搬送面18の幅方向に沿って複数個配置してある。各々のエジェクタ58には、不良品回収管60が連結されており、これにコンプレッサ62から圧縮空気を供給すると吸引力が生じる吸引装置64と、吸引装置64に圧縮空気の供給をオン・オフする電磁開閉弁66が連結されている。
【0049】
また、搬送面18の搬送終端部の下方位置には、搬送終端部から落下する良ペレットをそのまま受け取ることのできる良品回収管68が取り付けられている。
【0050】
なお、図1の符号70は良品受箱、72は不良品受箱、74は機体カバーである。
【0051】
次に、この実施形態の作用を説明する。
【0052】
供給ホッパ8に透明プラスチックペレットPが投入され、振動フィーダ10が駆動されると、透明プラスチックペレットPは一定量ずつ繰り出され、振動フィーダ10の搬送面14に載って下流側に搬送される。そして、透明プラスチックペレットPは次の振動フィーダ16に受け継がれ、それの搬送面18上で幅方向に均一に拡げられながら一定の速度で下流側に水平搬送される。
【0053】
透明プラスチックペレットPは、搬送面18の搬送終端部付近まで搬送されると、照明ケース32内の面光源により間接照明される。この面光源による間接照明は、光質が軟らかく、しかも拡散して透明プラスチックペレットPのほぼ全周を均一に照明するので、透明プラスチックペレットPの表面と内部で起きる複雑な反射による悪影響が抑えられ、明部と暗部が殆ど生じない。
【0054】
この状態で、透明プラスチックペレットPは背景板20上の撮影領域30を通過する際にラインセンサカメラ26によって撮影される。背景板20上の透明プラスチックペレットPとラインセンサカメラ26の距離は常に一定であるため、空間軌道上で撮影されるものとは違い、焦点が常に正確に合っており、ピンボケすることはない。ラインセンサカメラ26側で複数個に分割されて撮影された各領域の画像信号は、制御部に出力される。
【0055】
制御部では、ある領域で撮影されたものが正常な良ペレットの場合、その画像の濃度値は予め設定されている濃度値とほぼ同じで差がないため、良と判定される。ところが、不良ペレットの場合、例えば透明プラスチックペレットPの一部に微小斑点がある場合、その微小斑点の画像の濃度値が設定濃度値と違い差があるため、否と判定される。
【0056】
透明プラスチックペレットPが良と判定された場合、制御部からは何の信号も出力されず、良ペレットは搬送面18の搬送終端部から落下してそのまま良品回収管68に入り、良品受箱70に収納される。
【0057】
一方、透明プラスチックペレットPが否と判定された場合、制御部からその領域に対応するエジェクタ58の電磁開閉弁66に出力され、その不良ペレットが搬送面18の搬送終端部から落下してエジェクタ58の吸引口に達したとき、その吸引口から吸引されて取り除かれ、不良品回収管60を通って不良品受箱72に収納される。
【0058】
撮影領域30の近辺の掃除、調整、メンテナンス等をするときは、モータ52のスイッチを入れて照明ケース32の光源ケース34を上方に回動させ持ち上げる。これにより、包囲された撮影領域30の近辺が開放され、作業がしやすくなる。
【0059】
次に、本発明に係るプラスチックペレット選別機の別の実施形態を図面(図4)と共に説明する。
【0060】
この別の実施形態は、前記実施形態と撮影領域部分の構成が異なり、他は同じである。同じ構成のものは説明を省略すると共に、図面に同一符号を付す。
【0061】
振動フィーダ16の搬送面18の搬送終端部付近に、搬送面18の全幅にわたりこれと面を一にしてガラス製の透明板80が埋設されており、その下に透明板80より少しだけ小さい通光孔82が形成されている。
【0062】
透明板80の真上位置には、ラインセンサカメラ26が取り付けられている。ラインセンサカメラ26は、これの撮影光軸28が当たる透明板80上に線状の撮影領域30をもち、この撮影領域30を通過する透明プラスチックペレットPを撮影する。
【0063】
一方、透明板80の真下位置には、密閉された箱状の背景ケース84が透明板80と対向するように平行に併設されている。背景ケース84は、内周面が白色に塗色されており、上面部には通光孔82と対向する通光孔86が形成され、内側の底面部には白色の背景板88が取り付けられている。透明板80と背景板88の距離は2〜4cmに設定されている。なお、この背景板88はプラスチックペレットPと接触せず磨耗することはないので、別途設けずに、背景ケース84の内側の底面部を直に背景板としてもよい。
【0064】
背景ケース84の内側の上部には蛍光灯90が取り付けられている。蛍光灯90は、その光が背景板88に当たって反射し、通光孔86・82を経て透明板80上の透明プラスチックペレットPを間接照明する構成になっている。すなわち、背景板88は面光源になっている。蛍光灯90には、その光が透明板80上の透明プラスチックペレットPを直接照明しないように、遮光笠92が取り付けられている。
【0065】
なお、この背景から透明プラスチックペレットPを均一に照明する手段としても、発光ダイオード、有機ELシート、無機ELシート又は導光板等を用いることができる。
【0066】
ここで、この別の実施形態の作用を説明する。
【0067】
透明プラスチックペレットPが透明板80上に搬送されると、透明プラスチックペレットPは照明ケース32内の面光源により間接照明され、次いで透明板80上の撮影領域30を通過する際にラインセンサカメラ26によって撮影される。このとき、照明やカメラなどの周辺物の写り込みで生じる僅かな影が、透明板80には勿論のこと、2〜4cm離れた背景板88にもぼけて写らず、撮影画像にも全く写らない。
【0068】
また同時に、透明プラスチックペレットPはその下面も、面光源としての背景板88から十分な光量で間接照明される。そのため、透明プラスチックペレットPは全周が均一に照明され、透明プラスチックペレットPの表面と内部で起きる複雑な反射による悪影響がより一層抑えられ、明部と暗部が生じなくなる。
【符号の説明】
【0069】
8 供給ホッパ(供給手段)
10 振動フィーダ(供給手段)
16 振動フィーダ(搬送手段)
20 背景板
26 ラインセンサカメラ(撮影手段)
30 撮像領域
32 照明ケース(照明手段)
34 光源ケース(照明手段)
50 蛍光灯(照明手段)
58 エジェクタ(選別手段)
80 透明板
88 背景板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックペレットを供給する供給手段と、その供給手段により供給されるプラスチックペレットを搬送する搬送手段と、その搬送手段により搬送されるプラスチックペレットを照明する照明手段と、その照明手段により照明されて所定の撮影領域を通過するプラスチックペレットを撮影する撮影手段と、その撮影手段からの画像信号に基づいてプラスチックペレットの良否を判定する判定手段と、その判定手段の判定結果に基づいてプラスチックペレットを選別する選別手段と、を備えたプラスチックペレット選別機において、
前記照明手段は、前記撮影領域におけるプラスチックペレットをその周囲から照明する面光源を備えていることを特徴とするプラスチックペレット選別機。
【請求項2】
前記照明手段は、前記撮影領域を包囲してプラスチックペレットを間接照明する照明ケースを備えていることを特徴とする請求項1に記載のプラスチックペレット選別機。
【請求項3】
前記照明ケースは、前記撮影領域に対して開閉自在に構成してあることを特徴とする請求項2に記載のプラスチックペレット選別機。
プラスチックペレット選別機。
【請求項4】
プラスチックペレットを供給する供給手段と、その供給手段により供給されるプラスチックペレットを搬送面に載せて搬送する搬送手段と、その搬送手段により搬送されるプラスチックペレットを照明する照明手段と、その照明手段により照明されて前記搬送面上の所定の撮影領域を通過するプラスチックペレットを撮影する撮影手段と、その撮影手段からの画像信号に基づいてプラスチックペレットの良否を判定する判定手段と、その判定手段の判定結果に基づいてプラスチックペレットを選別する選別手段と、を備えたプラスチックペレット選別機において、
前記照明手段は、前記撮影領域を包囲し内周面に面光源を形成してプラスチックペレットを間接照明する照明ケースを備えていることを特徴とするプラスチックペレット選別機。
【請求項5】
前記搬送面上の前記撮影領域に背景板を設け、その背景板に対向する位置に前記撮影手段を設けたことを特徴とする請求項4に記載のプラスチックペレット選別機。
【請求項6】
前記搬送面上の前記撮影領域に透明板を設け、その透明板より前記撮影手段の反対側に所定距離だけ離して背景板を設けたことを特徴とする請求項4に記載のプラスチックペレット選別機。
【請求項7】
前記背景板は、前記透明板を通過するプラスチックペレットを間接照明する面光源としていることを特徴とする請求項6に記載のプラスチックペレット選別機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−78922(P2011−78922A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234002(P2009−234002)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(391027011)テクマン工業株式会社 (2)
【出願人】(593022021)山形県 (34)
【Fターム(参考)】