説明

プラスチック容器のラベル分離装置

【課題】円筒内に多数突設された針にプラスチック容器を回転させながら送り込むことで、プラスチック容器に装着又は貼り付けられた樹脂系ラベルなどを容易かつ安価に分離処理する。
【解決手段】プラスチック容器が供給される円筒状本体11の軸芯部に設けられた多角形状回転体12と、多角形状回転体12のそれぞれの矩形状側面に所定の傾斜角度で互いに平行配置される一対の第1及び第2回転刃ブレード部13、14と、プラスチック容器の動きを規制するように前記円筒状本体の内側に所定長さに突設された複数の固定針部15とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエステルなどのプラスチック容器を再資源化するに際して、当該容器類からそれに装着又は貼り付けられているラベル類を剥離して分離回収するためのプラスチック容器のラベル分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来プラスチック容器は、ポリエチレンテレフタレートや、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン製のものがある。これらペットボトルなどのプラスチック容器には、商品名や内容物の表示のために容器本体とは異なる材質で形成され表面に印刷等が施された、PVC、PE、PP等の樹脂や紙からなるラベルが装着又は貼り付けられて市場に流通している。
【0003】
これらの使用済みとなったペットボトルなどは分別回収され、回収されたペットボトルなどからポリエチレンテレフタレートなどの有用なプラスチック材を分離することで、繊維再生などの利用促進が図られている。これらのプラスチック容器を樹脂別に分別して再利用する際には、装着又は貼り付けられたラベルを取り除いてプラスチック容器と分別することが必要になる。プラスチック容器本体からのラベルの分別法として、プラスチック容器を機械的に破砕したものを洗浄液中などで剥離したり、その比重差により風力分別したりする方法等が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1(特開平10−15495号公報)には、複数の破砕室を直列配置した装置にペットボトルを投入粉砕し、各部材の比重の違いにより各々分離する方法が提案されている。
【特許文献1】特開平10−15495号公報
【0005】
また、特許文献2(特開平9−192523号公報)には、ペットボトルを粗破砕機より大まかに破砕後、金属除去装置で金属材を除去し、その金属が除去されたフレークを微細破砕する方法が提案されている。
【特許文献2】特開平9−192523号公報
【0006】
更に、特許文献3(特開平8−151438号公報)には、粉砕物をグリコール液中で分解して、各成分を回収する方法が提案されている。
【特許文献3】特開平8−151438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記従来の機械的手段によりプラスチック容器を破砕処理する特許文献1、2のものでは、その粉砕処理されたプラスチック片にラベルが残存してラベル分離処理が不十分となる場合が多く、結果として多数の工程を必要とするために、トータル設備費やランニングコスト等のコストが増大するという問題を有していた。
【0008】
また、特許文献3のグリコールで処理する方法では、確実な分離が期待できるがグリコール液に関わる処理コストが大きく適用が困難となる場合があった。
【0009】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、円筒内に多数突設された針にプラスチック容器を回転させながら送り込むことで、プラスチック容器に装着又は貼り付けられた樹脂系ラベルなどを容易かつ安価に分離処
理することのできるプラスチック容器のラベル分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)前記課題を解決する本発明のプラスチック容器のラベル分離装置は、ペットボトルなどのプラスチック容器に装着又は貼り付けられたラベルを分離するプラスチック容器のラベル分離装置(10)であって、前記プラスチック容器が供給される供給口(11a)が上部に、処理後のプラスチック容器が分離排出される排出口(11b)が底部に設けられた円筒状本体(11)と、前記円筒状本体(11)の軸芯部に設けられ、駆動部を介して所定の回転速度で回転駆動される多角形状回転体(12)と、前記多角形状回転体(12)のそれぞれの矩形状側面に所定の傾斜角度で互いに平行配置され前記プラスチック容器のラベル面にその回転駆動に伴って順次当接する一対の第1及び第2回転刃ブレード部(13,14)と、前記多角形状回転体(12)外側と円筒状本体(11)内側との間を移送される前記プラスチック容器の動きを規制するように前記円筒状本体(11)の内側に所定長さに突設された複数の固定針部(15)とを備えた、ことを特徴とする。
【0011】
(2)本発明は前記多角形状回転体(12)が、その断面が正六角形に形成された正六角形状回転体であって、前記正六角状回転体()のそれぞれの矩形状側面から突出する前記第1回転刃ブレード部(13,14)の高さが前記第2回転刃ブレード部(13,14)の高さより低く配置されていることにも特徴を有している。
【0012】
(3)本発明は前記円筒状本体(11)の供給口(11a)に供給されるプラスチック容器の種類、大きさ、供給量に応じて前記多角形状回転体(12)の回転刃ブレード部(13,14)に対向する前記固定針部(15)の突出長さが調整可能に設けられていることにも特徴を有している。
【0013】
(4)本発明は前記円筒状本体(11)の上部に設けられたラベル片用排出口(23)に、プラスチック容器から剥離されたラベル片を吸引排出するエアダクト(24)が連結されたことにも特徴を有している。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、前記プラスチック容器が供給される供給口(11a)が上部に、処理後のプラスチック容器が分離排出される排出口(11b)が底部に設けられた円筒状本体(11)と、前記円筒状本体(11)の軸芯部に設けられ、駆動部を介して所定の回転速度で回転駆動される多角形状回転体(12)と、前記多角形状回転体(12)のそれぞれの矩形状側面に所定の傾斜角度で互いに平行配置され前記プラスチック容器のラベル面にその回転駆動に伴って順次当接する一対の第1及び第2回転刃ブレード部(13,14)と、前記多角形状回転体(12)外側と円筒状本体(11)内側との間を移送される前記プラスチック容器の動きを規制するように前記円筒状本体(11)の内側に所定長さに突設された複数の固定針部(15)とを、備えているので、プラスチックボトルなどに装着又は貼り付けられた紙や樹脂系などのラベルを容易に分離除去することができる。すなわち、筐体となる円筒状本体(11)に設けた回転駆動される多角形状回転体(12)の回転刃ブレード部(13,14)によりプラスチック容器のラベルを円筒状本体(11)に設けた固定針部(15)と協動して引き剥がすことができ、さまざまな形状に圧縮変形されたペットボトルなどを円筒状本体(11)に投入混合しても、プラスチック容器とこれに装着又は貼り付けられたラベルとを分離回収することができる。
【0015】
特に、多数の固定針部(15)が配置されている円筒状本体(11)内で、多角形状回転体(12)を回転させることにより、第1回転刃ブレード部(13)及び第2回転刃ブレード部(14)に引っ掛かったプラスチック容器と固定針部(15)との隙間の間隔が変化する。この隙間の間隔が変化することによりプラスチック容器が自転しやすくなり、
回転刃ブレード部(13,14)又は固定針部(15)でラベル片に裂け目が入ると、この自転により容易にラベル片を剥離することができる。
【0016】
こうして、再資源化する廃ペットボトルなどのプラスチック容器の純度を予め高めることができる上に、ペットボトルを破砕する回転刃ブレード部(13,14)が円筒状本体(11)内に収められ、破砕されるペットボトルやラベル片を周囲に飛散させることがないので安全かつ衛生的に分離作業を行なうことができる。
【0017】
円筒状本体(11)に設けられたラベル片用排出口(23)にエアダクト(24)が連結されたものでは、このエアダクト(24)から質量の小さいラベル片は吸引され、質量の大きいプラスチック容器は排出口(22)から落下して両者を容易に分別できる。
【0018】
さらに、廃プラスチックボトルからプラスチック材を選別する工程などを省略することができ、廃プラスチックボトルに含まれるPET材のみを安価に分解処理することができる。また、元のボトル形状を保ったままラベルのみを分離させることもでき、粗破砕機などを用いて破砕する大きさ以上のプラスチック材として以降の工程で処理することができる。これにより、弱い風力でも粗重量片と粗軽量片との分離能を高めて、不要な粗軽量片の除去率を向上させることができる。こうして、プラスチック容器のラベル分離装置を適用することによってエネルギ効率性やメンテナンス性、大量処理性に優れた廃プラスチック処理システムを構築することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例1のプラスチック容器のラベル分離装置の一部切り欠いた正面図である。
【図2】実施例1のラベル分離装置の側面断面図である。
【図3】実施例1のラベル分離装置の一部拡大図である。
【図4】実施例1のラベル分離装置の回転刃ブレード部の配置を示す説明図である。
【図5】円筒状本体内における多角形状回転体の動作状態とプラスチック容器との位置関係を示す説明断面図であり、(a)はプラスチック容器が広い隙間にある状態、(b)はプラスチック容器が狭い隙間にある状態、(c)はプラスチック容器が動いた状態である。
【図6】剥離されたラベル片とプラスチック容器との分別構造を備えた実施例2のラベル分離装置を示す正断面図である。
【図7】実施例2のラベル分離装置から構成される一連の設備を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本実施形態に係るプラスチック容器のラベル分離装置は、ペットボトルなどのプラスチック容器に装着されたラベルを引き剥がして分離するプラスチック容器のラベル分離装置であって、前記プラスチック容器が供給される供給口が上部に、処理後のプラスチック容器が分離排出される排出口が底部に設けられた円筒状本体と、前記円筒状本体の軸芯部に設けられ、駆動部を介して所定の回転速度で回転駆動される多角形状回転体と、前記多角形状回転体のそれぞれの矩形状側面に所定の傾斜角度で互いに平行配置され前記プラスチック容器のラベル面にその回転駆動に伴って順次当接する一対の第1及び第2回転刃ブレード部と、前記多角形状回転体外側と円筒状本体内側との間を移送される前記プラスチック容器の動きを規制するように前記円筒状本体の内側に所定長さに突設された複数の固定針部とを備えて構成されている。
【0021】
これによって、円筒状本体内側と多角形状回転体外側との隙間にプラスチック容器を固定針部を介して移送させる。回転駆動される多角形状回転体の第1及び第2回転刃ブレード部をプラスチック容器のラベル面に当接してラベルを円筒状本体に設けた固定針部と協
動して引き剥がすことができ、ペットボトルなどを分断することなくその原形を維持したまま効率的に処理して、再資源化する廃ペットボトルの純度を予め高めておくことができる。
【0022】
プラスチック容器のラベル分離装置は、リサイクルされた廃プラスチック容器から有用なプラスチック材を回収するための廃プラスチック処理システムなどに適用される。ポリエチレンテレフタレートなどを含む廃プラスチック容器は、ラベル分離装置により処理された後、水又は薬品などを用いて洗浄され、この水分等を多く含む粉砕物は遠心分離などにより脱水され、最終的に乾燥処理されてプラスチック原料となる。
【0023】
その内部が円筒状に形成される円筒状本体は、その軸芯が水平方向となる横置き型の固定筐体部分であり、廃プラスチック容器が供給される供給口と、分離処理後のプラスチック材が排出される排出口とがその筐体部分の上部及び下部にそれぞれ設けられている。
【0024】
多角形状回転体は、四角形や六角形もしくは八角形などの正多角形状断面を有する回転体であって、円筒状本体の軸芯部に設けられてモータ駆動部などを介して所定の回転速度、例えば50〜300rpm、好ましくは120〜240rpmの回転速度で回転駆動される。
【0025】
第1及び第2回転刃ブレード部は、プラスチック容器のラベル面に当接して引き剥がすための略矩形状の刃部を有した部分であり、多角形状回転体のそれぞれの矩形状側面に前記回転体の軸芯に対して約10〜30度の傾斜角度で互いに平行配置される。
こうして、多角形状回転体の回転運動に伴って前記プラスチック容器に第1回転刃ブレード部が接触した後、第2回転刃ブレード部が順次当接するように構成されている。
【0026】
固定針部は直径が釣1〜3mmの金属ピンなどを備え、その先端を円筒状本体の内側に向けて多数配置され、多角形状回転体外側と円筒状本体内側との間を移送される前記プラスチック容器の動きを規制する機能を有している。すなわち、円筒状本体の供給口に投入されたプラスチック容器を円筒状本体の内側に所定長さで突設固定された固定針部により係止するとともに、固定針部に対して相対的に駆動される一対の回転刃ブレード部を用いてプラスチック容器に装着されたラベルに刺さり、そこに裂け目を形成し、これが契機になり効率的に剥離させることができるようになっている。
【0027】
また、本実施形態に係るプラスチック容器のラベル分離装置は、前記多角形状回転体がその断面が正六角形に形成された正六角形状回転体であって、前記正六角状回転体のそれぞれの矩形状側面から突出する前記第1回転刃ブレード部の高さが前記第2回転刃ブレード部の高さより低く配置することができる。これによって、プラスチック容器に装着されたラベルをさらに効率的かつ確実に剥離又は削り落とすことが可能となる。なお、本実施例では円筒状本体内に配置される多角形状回転体として正六角柱状のものを適用したが、他にも例えば八角柱状や四角柱状の外形のものを適宜適用することも可能である。
【0028】
多角形状回転体の矩形状側面から突出する第1回転刃ブレード部の高さH1と、前記第2回転刃ブレード部の高さH2との差(H2−H1)は、2〜10mm、好ましくは4〜8mmの範囲に設定することが望ましい。
【0029】
さらに、本実施形態に係るプラスチック容器のラベル分離装置は、前記円筒状本体の供給口に供給されるプラスチック容器の種類、大きさ、供給量に応じて前記多角形状回転体の回転刃ブレード部に対向する前記固定針部の突出長さを調整可能に設けることができる。これによって、日毎に変化する回収された種々雑多なプラスチック容器に対して、その円筒状本体と多角形状回転体との間における動作環境を適正に設定することができ、設備
費やランニングコスト等を増大させることなくラベル分離処理を効率的に行なうことができる。
【0030】
このような固定針部における金属ピンなどの突出長さ調整機構としては、例えば、金属ピンを固定する内側のパイプに螺旋状の溝を切り、ねじ回転により金属ピンを多角形状回転体に向けて繰り出すための回転ねじ調整タイプのものや、基端部に設けたノックボタンを押すことにより内蔵構造が進退して、芯となる金属ピンを先端側に押し出すノック式調整タイプのものなどを適用できる。
【実施例1】
【0031】
図1は本発明の実施例1のプラスチック容器のラベル分離装置の一部切り欠いた正面図である。図2は実施例1のラベル分離装置の側面断面図である。図3は実施例1のラベル分離装置の一部拡大図である。
次いで、本発明の実施例1について図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付して、その詳しい繰り返しの説明は省略する。
実施例1のプラスチック容器のラベル分離装置10は、円筒状本体11と多角形状回転体12とを備えて構成されている。円筒状本体11は、その上部に設けた供給口11aからプラスチック容器が供給されるとともに、その底部の排出口11bからプラスチック材が分離排出されるようになっており、例えば内径D1が約700mm、長さが約2000mm程度の大きさである。
多角形状回転体12は、例えば円筒状本体11の軸芯部に設けられ電動モータなどの回転駆動部12aを介して回転駆動され、その最大外径D2が約500mm程度の大きさである。
【0032】
図1に示すように、その断面が正六角形状に形成された多角形状回転体12の外周面は、例えば6枚の矩形状側面(長さ約2000mm、幅約120mm)によって構成されており、各矩形状側面の上には、一対の第1回転刃ブレード部13と第2回転刃ブレード部14とが複数組設けられており、円筒状本体11の軸芯に対して約15度の角度に傾斜させて互いに平行配置されている。
このように、所定の傾斜角度を設けて各回転刃ブレード部13、14を配置することによって、供給口11aから供給されたペットボトルなどのプラスチック容器を円筒状本体11の軸芯方向に沿って移送させることができるようになっている。
【0033】
多角形状回転体12は、軸受部12bを介して円筒状本体11の軸芯となる水平位置に渡設されており、電動モータを備えた回転駆動部12aにより約120rpmの回転速度で駆動される。なお、略円筒状に形成された円筒状本体11の下部側は、処理物の排出される排出口11bが設けられている。そして、排出口11bから排出される廃プラスチックは、必要に応じて粉砕処理などが順次なされる。
【0034】
図4は実施例1のラベル分離装置の回転刃ブレード部配置を示す説明図である。
図4に示すように、第1回転刃ブレード部13と第2回転刃ブレード部14は、例えば全体長さが約80mmの略角柱状を呈して投入されるプラスチック容器の表面に装着されたラベルに当接させるための刃部である。第1回転刃ブレード部13及び第2回転刃ブレード部14は、それぞれ2本のボルト状の係止部材16を介して多角形状回転体12のそれぞれの矩形状側面に取り付けられている。
【0035】
また、第1回転刃ブレード部13及び第2回転刃ブレード部14の刃部は、例えば図2、図3に示すように、それぞれが取り付けられる矩形状側面からの突出高さがH1=55mm、H2=61mmに設定されている。
これにより、多角形状回転体12の回転に伴って、まずは第1回転刃ブレード部13をプラスチック容器表面に先に当接させてラベルを剥離させ、次に、残ったラベルを第2回転刃ブレード部14により補足して剥離させるようにしている。
【0036】
また、多角形状回転体12外側と円筒状本体11内側との間を移送されるプラスチック容器の動きを規制するように、円筒状本体11の内側には所定長さに調整可能にした多数の固定針部15が、互いに所定の間隔(例えば5〜10cmの範囲)で略格子状に多数配置されている。
【0037】
この固定針部15は、円筒状本体11の内側に向けて所定長さで金属ピン15aを突出させるための突出長さ調節機構を備えている。これによって、円筒状本体11に供給されるプラスチック容器の供給量やその種類、サイズなどに応じて、回転駆動部12aによる多角形状回転体12の回転速度などに連係させて金属ピンの突出長さを適宜調整するようにしている。
【0038】
こうして、プラスチック容器を円筒状本体11の内側の固定針部15により係止するとともに、固定針部15に対して相対的に駆動される一対の回転刃ブレード部13,14を用いてプラスチック容器に装着されたラベルに刺さり、そこに裂け目を形成し、これが契機になり効率的に剥離する。プラスチック容器を破砕することなくその原形を保持したままでそのラベルのみを剥離するようにして容器本体から分離させることを可能にしている。
【0039】
なお、図4に示すように、円筒状本体11の供給口11a直下となる多角形状回転体12の各矩形状側面には、長さ300mm、幅50mmの略直方体状に形成された移送ブレード17を円筒状本体11の軸芯に対して釣45度の傾斜角度で配置しており、円筒状本体11の供給口11aから投入されるプラスチック容器を円筒状本体11の軸線方向に沿
って旋回させながら排出口11bに向けて移送するようにしている。
【0040】
このプラスチック材からなるラベルはその熱収縮によりプラスチック容器本体に巻き付けられるようにして装着されており、その一部を切り裂くことによって容器本体から容易に分離することができる。
こうして、プラスチック容器のラベル分離装置10の供給口11aにラベルが装着されたプラスチック容器が投入されると、プラスチック容器が多角形状回転体12の移送ブレード17で受け止められて円筒状本体11の軸線方向に移送され、次に、第1、第2回転刃ブレード部13、14の回転力によりプラスチック容器の外面に装着されたラベルを剥離するとともに排出口11bに向けて移送する。剥離されたラベル片やプラスチック容器を排出口11bの方へ引き寄せることができる。
【0041】
図5は円筒状本体内における多角形状回転体の動作状態とプラスチック容器との位置関係を示す説明断面図であり、(a)はプラスチック容器が広い隙間にある状態、(b)はプラスチック容器が狭い隙間にある状態、(c)はプラスチック容器が動いた状態である。
本発明では、第1回及び第2回転刃ブレード部13,14が設けられた多角形状回転体12を、多数の固定針部15が配置されている円筒状本体11内で回転させることにより、ラベル片をプラスチック容器から分離する。これらの多数の固定針部15に引っ掛かったプラスチック容器は、第1回及び第2回転刃ブレード部13,14との隙間の間隔が変化する空間で移動させられるようになっている(図5(a)から(c)参照)。この隙間の間隔が変化することによりプラスチック容器が自転しやすくなる。そこで、第1回及び第2回転刃ブレード部13,14又は固定針部15でラベル片に裂け目が入ると、プラスチック容器の自転によりラベル片を容易に剥離することができる。
【0042】
また、上述のようなプラスチック容器のラベル分離装置10を複数組設け、分離吸引されなかったラベル片は、次の分離装置で分離できるようにすることもできる。このようにラベル分離機構を多段にすることでラベル片の除去率をさらに高めることもできる。
【実施例2】
【0043】
図6は剥離されたラベル片とプラスチック容器との分別構造を備えた実施例2のラベル分離装置を示す正断面図である。
実施例2のラベル分離装置21には、排出口を2か所設けた。1か所目は、上述したような円筒状本体11のその軸線方向の移送側の底部に設けたプラスチック容器用排出口22である。このプラスチック容器用排出口22から、ラベル片が剥離されたプラスチック容器を排出する。質量の大きいプラスチック容器はこのプラスチック容器用排出口22に設けたホッパーから落下する。
【0044】
2か所目の排出口は、円筒状本体11のその軸線方向の移送側の上部に設けたラベル片用排出口23である。このラベル片用排出口23から、プラスチック容器から剥離されたラベル片をエアダクト24で吸引排出する。このとき、プラスチック容器はその質量が大きいのでプラスチック容器用排出口22から落下する。一方質量の小さい剥離されたラベル片はエアダクト24の吸引によりラベル片用排出口23から排出される。これによりプラスチック容器とラベル片とに分別することができる。この分別したプラスチック容器とラベル片は、内容に応じて別の粉砕装置(図示していない)を用いて、更に細かく粉砕することにより、所望の種々寸法のプラスチック原料を製造することができる。
【0045】
図7は実施例2のラベル分離装置から構成される一連の設備を示す正面図である。
2か所目の排出口22,23を備えた円筒状本体11には、図示するような設備を備える。プラスチック容器用排出口22の下側には、潰されたプラスチック容器を捕集する梱包袋又は捕集箱を配置する空間を形成する。このプラスチック容器用排出口22の下側にはベルトコンベア(図示していない。)を配置することも可能である。このようにベルトコンベアを用いることで大量のプラスチック容器を捕集することができる。
【0046】
円筒状本体11のラベル片用排出口23には、上方へ向けた縦型のエアダクト24を接続した。この縦型のエアダクト24には内部の状況を観察する窓25を設けている。この縦型のエアダクト24にセクションベンド26を接続し、このセクションベンド26に自由に曲げられるスパイラルダクト27を接続した。このスパイラルダクト27の先に吸引ブロワー28を、集塵用ホース29を介して設けた。この吸引ブロワー28の先にラベル片をサイクロン30で捕集し、梱包袋31に充填して搬送できる状態にして分別を終了する。
【0047】
なお、本発明は上述した発明の実施の形態に限定されず、円筒状本体11内に多数突設された固定針部15にプラスチック容器を回転させながら送り込むことで、プラスチック容器に装着又は貼付された樹脂系ラベルなどを容易かつ安価に分離処理することのできれば、図示したような構成に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上説明したように、本発明は、プラスチック容器が供給される円筒状本体の軸芯部に回転駆動される多角形状回転体を設け、この多角形状回転体のそれぞれの矩形状側面にプラスチック容器のラベル面にその回転駆動に伴って順次当接する一対の回転刃ブレード部と、円筒状本体の内側に所定長さに突設された複数の固定針部とを設けることによって、プラスチックボトルなどに装着された樹脂系ラベルなどを容易かつ安価に分離処理するよ
うにしたことを要旨とするものである。
本発明は、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエステルなどのプラスチック容器に装着されているラベル類を除去して分離回収するための資源化技術の一部として広く適用することができる。
【0049】
本発明によれば、多角形状回転体の回転刃ブレード部と円筒状本体内に設置した固定針部とを協動させることにより、様々な形状を有し、無差別に変形圧縮されたような廃プラスチック容器を混合して投入しても、容器本体とラベル類とを分離して回収することができる。
【0050】
すなわち、樹脂フィルムの熱収縮や接着剤によりプラスチック容器本体に装着されたラベルを、プラスチック容器は破砕しないようにして確実に剥がすことができ、各種の形状や大きさのプラスチック容器からラベルの剥離を効率的に行うことができる。したがって、ラベルが分離された廃プラスチック容器を破砕して得られるプラスチック片の純度を高めて資源化する際の各種処理工程を単純化して、全体的な処理コストを低減することを可能としている。
【符号の説明】
【0051】
10 プラスチック容器のラベル分離装置(実施例1)
11 円筒状本体
11a 供給口
11b 排出口
12 多角形状回転体
12a 回転駆動部
12b 軸受部
13 第1回転刃ブレード部
14 第2回転刃ブレード部
15 固定針部
15a 金属ピン
16 係止部材
17 移送ブレード
21 プラスチック容器のラベル分離装置(実施例2)
22 プラスチック容器用排出口
23 ラベル片用排出口
24 エアダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットボトルなどのプラスチック容器に装着又は貼り付けられたラベルを分離するプラスチック容器のラベル分離装置(10)であって、
前記プラスチック容器が供給される供給口(11a)が上部に、処理後のプラスチック容器が分離排出される排出口(11b)が底部に設けられた円筒状本体(11)と、
前記円筒状本体(11)の軸芯部に設けられ、駆動部を介して所定の回転速度で回転駆動される多角形状回転体(12)と、
前記多角形状回転体(12)のそれぞれの矩形状側面に所定の傾斜角度で互いに平行配置され前記プラスチック容器のラベル面にその回転駆動に伴って順次当接する一対の第1及び第2回転刃ブレード部(13,14)と、
前記多角形状回転体(12)外側と円筒状本体(11)内側との間を移送される前記プラスチック容器の動きを規制するように前記円筒状本体(11)の内側に所定長さに突設された複数の固定針部(15)とを備えた、ことを特徴とするプラスチック容器のラベル分離装置。
【請求項2】
前記多角形状回転体(12)が、その断面が正六角形に形成された正六角形状回転体であって、前記正六角状回転体のそれぞれの矩形状側面から突出する前記第1回転刃ブレード部(13,14)の高さが前記第2回転刃ブレード部(13,14)の高さより低く配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載のプラスチック容器のラベル分離装置。
【請求項3】
前記円筒状本体(11)の供給口(11a)に供給されるプラスチック容器の種類、大きさ、供給量に応じて前記多角形状回転体(12)の回転刃ブレード部(13,14)に対向する前記固定針部(15)の突出長さが調整可能に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のプラスチック容器のラベル分離装置。
【請求項4】
前記円筒状本体(11)の上部に設けられたラベル片用排出口(23)に、プラスチック容器から剥離されたラベル片を吸引排出するエアダクト(24)が連結されている、ことを特徴とする請求項1又は3に記載のプラスチック容器のラベル分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−5848(P2011−5848A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−317(P2010−317)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【特許番号】特許第4488537号(P4488537)
【特許公報発行日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(394008271)日本シーム株式会社 (3)
【Fターム(参考)】