説明

プラスチック成形体、その製造法及びその使用

本発明は、基材層、ポリビニルアルコールを含有するバリヤー層及びカバー層を有するプラスチック−成形体に関し、このカバー層は架橋可能な化合物を含有することを特徴としている。更に、本発明は、架橋されたカバー層を有するプラスチック−成形体、本発明によるプラスチック−成形体の製造法並びにその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック成形体、その製造法及びその使用に関する。殊に本発明は、炭酸含有及び/又は酸化敏感な液体の貯蔵のために極めて好適である、ポリビニルアルコールからのバリヤー層及びカバー層を有するプラスチック成形体に関する。
【0002】
特に飲料包装の分野での重量減少した包装の使用は絶えず増加しており、ガラスをプラスチック殊にポリエチレンテレフタレート(PET)−容器で置換することが常に先行している。しかしながら、殊に二酸化炭素及び酸素に対するガスバリヤー特性に関するガラスの特性を得るためには、ポリエチレンテレフタレートは、ボトルが適当な壁厚を有する場合のみに充分である。しかしながら、これによって、統計的理由から必要であるより高い材料使用量が必要になるであろう。しかしながらこのことは、高い材料使用量の費用と共に、殊に所望の重量減少のための不利な負担をもたらす作用をする。
【0003】
この理由から、文献中には、例えば最も簡単な場合には多層連続、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)/バリヤー層/ポリエチレンテレフタレート(PET)を得る共押出を用いて、又は有利には一次層材料としてのアルミニウム又はその酸化物、珪素又はその酸化物又は炭素を用いるプラズマ蒸気化法を用いて製造される、バリヤー層を備えたポリエチレンテレフタレート−容器の使用が提案されている。この方法で原則的に容器のガスバリヤー特性を改善することができるとしても、これらの双方の処置法は、それが必要機械の高い購入費用、低い機械耐用時間及び機械の高い敏感性に基づき、極めて経費集中的及び時間消費性であるので、実際のためには好適性が低い。更に、これらの方法で得られる容器の機械特性は日用のためには充分ではない。被覆された容器が通常の充填−及び包装プロセスの間に既に、かつ後の販売時及び使用時にはじめて曝される大きな機械的荷重は、屡々、このバリヤー層の表面の損傷をもたらし、これが再びこのバリヤー層のガスバリヤー作用を極端に低下させる。
【0004】
この問題の解決のための最初の手がかりは、刊行物GB2337470Aに記載されており、これは、基材、例えばPET−ボトルのガス透過性を次の方法で低下させることを提案している:第1のポリマー、例えばポリビニルアルコールのバリヤー層を基材上に施与し、次いで、このバリヤー層を5000〜50000g/モルの範囲の分子量を有する第2のポリマーの保護層の施与により環境から保護する。保護層のための可能な材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエステル−コポリマー、ポリカーボネート、ポリオレフィン、PEN、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリスチレン、脂肪族ポリケトン及び/又はポリエチレンが挙げられる。
【0005】
この解決の利点は、バリヤーポリマーとしてのポリビニルアルコールの使用にある。それというのも、これは殊に二酸化炭素及び酸素に対する優れたガスバリヤー特性を示すからである。同時に、ポリビニルアルコールは、食料品包装のために疑念なく使用できる、健康に対して無害で、かつ環境に優しい原料として格付けされている。しかしながら、GB233470Aにより得られる被覆されたPET−ボトルは、通常の充填−及び包装プロセスの間の及び後の販売時及び使用時の大きい機械的負荷性を必ずしも増大しないことが欠点である。反対に、屡々、短時間後に既に、保護層中に亀裂が観察され、これが更に、大抵の場合には保護層を、むしろバリヤー層を含んで部分的に又は完全に剥離させ、かつ/又はバリヤー層を、水、例えば凝縮水、水蒸気等との接触により分離させ、これによって、所望のバリヤー作用は殆ど完全に消失する。
【0006】
従ってこの技術水準を考慮すると、本発明の課題は、殊に酸素及び二酸化炭素のできるだけ低いガス透過性を有し、同時にできるだけ高い機械的安定性及び耐久性を有して、通常の充填−及び包装プロセスの間の、並びに後の販売時及び使用時の大きな機械的荷重に耐える、プラスチック−成形体を提供することであった。
【0007】
本発明のもう一つの課題は、食料品包装として疑念なく使用することのできるプラスチック−成形体を提供することであった。従って、これは、できるだけ健康に対して無害であり、かつ環境に優しい材料から成り、有利にはできるだけ簡単な方法でリサイクル可能であるべきである。
【0008】
本発明の第3の課題は、できるだけ簡単な方法で、大規模かつ好適な費用で実施可能である、本発明によるプラスチック−成形体の製造法を見つけることであった。この場合には、殊に機械耐用時間を最大にすると同時に、機械の必要な投資−及び保守管理費用を最少にするために、工業的に高価な装置の使用をできるだけ避けるべきである。
【0009】
更に、本発明によるプラスチック−成形体の可能な用途分野を示すべきである。
【0010】
更に、このプラスチック−成形体は容易にリサイクル可能であるべきである。更にこのプラスチック−成形体は、できるだけ高い割合の1材料から製造できるべきである。
【0011】
これらの並びに詳述されていないがここに記載の関連性から容易に演繹可能又は推測可能である更なる課題は、特許請求の範囲1の全ての特徴を有するプラスチック−成形体によって解決される。本発明によるプラスチック−成形体の有利な変更は、請求項1の従属請求項で保護される。方法カテゴリーの請求項は、本発明のプラスチック−成形体の特に好適な製造法を保護しており、使用カテゴリーの請求項は、本発明のプラスチック−成形体の特に有利な用途範囲に関する。
【0012】
バリヤー層及びカバー層を有するプラスチック−成形体(この際、バリヤー層はポリビニルアルコールを含有し、かつこの際、プラスチック−成形体は、カバー層が架橋可能である化合物を含有する特徴を有する)を提供することによって、直ちに予測可能ではない方法で、殊に酸素及び二酸化炭素に関する極めて低いガス透過性を有し、同時に極めて高い機械的安定性及び耐久性を有し、従って通常の充填−及び包装プロセスの間の及び後の販売時及び使用時の大きい機械的荷重に対して難なく耐える、プラスチック−成形体を入手可能にすることができる。カバー層中の亀裂の形成又はカバー層の剥離は、長時間の使用の後にも観察できない。
【0013】
同時に、本発明のプラスチック−成形体は、一連の他の利点を有する。次にこれらを特別に挙げる:
⇒本発明のプラスチック−成形体は、長時間の使用の後にも殆ど変らないガスバリヤー特性を有する。
【0014】
⇒本発明のプラスチック−成形体は、必要な場合には、簡単な方法で、大規模にかつ経費的に好適にリサイクル可能である。
【0015】
⇒本発明のプラスチック−成形体の製造は、簡単な方法で、大規模にかつ経費的に好適に可能である。この場合に、技術的に高価な装置の使用は必要ではないので、機械耐用時間を最大にし、かつ同時に機械の必要な投資−及び保守管理費用を最低にすることができる。
【0016】
⇒本発明の特に有利な1実施形によれば、カバー層の硬化は、UV−及び/又は電子線照射により行われる。このことは他の慣用の方法、例えば溶液からのカバー層の塗布と比べて特に有利である。それというのも、この方法では、必要な場合には溶剤なしで作業することができ、これに付随する食料品規定の問題を避けることができるからである。この方法で、特に次のような更なる利点が得られる:
* この方法で硬化が極めて迅速に行われ、生じるプラスチック−成形体の迅速な後処理が可能になる、
* 熱的乾燥法に比べて著しく低いエネルギー要求量である、
* 熱敏感な材料も問題なく被覆することができる、
* 場合により使用される染料は、被覆のために使用される補助手段、例えば圧延ローラ、ラーケル等上に乾燥付着しない。このことは、浄化費用を著しく減少させる、
* 照射線硬化は、非常に規則的かつ平坦な表面をもたらす。
【0017】
⇒ 特に酸素及び二酸化炭素に関する持続性の、極めて低いガス透過性に基づき、本発明のプラスチック−成形体は、殊に炭酸含有及び/又は酸化敏感な液体、特にビール、茶、炭酸含有果実ジュース及び他のガス含有及び/又は酸化敏感な飲料(炭酸含有ソフトドリンク)の貯蔵のために好適である。
【0018】
⇒バリヤー層及びカバー層は、非常に薄くレイアウトすることができる。相応してこのプラスチック−成形体は、非常に高い割合の1プラスチック材料から成ることができる。従って、本発明の成形体は非常に経済的であり、かつ簡単にリサイクル可能である。
【0019】
本発明は、全質量に対して、有利に、少なくとも80.0質量%、適切には少なくとも90.0質量%、殊に少なくとも95.0質量%がプラスチックから成るプラスチック−成形体に関する。この場合に、用途に応じて、原則的に全ての公知プラスチックを使用することができるが、この際、熱可塑性の加工可能なプラスチック、殊にポリエチレンテレフタレート(PET)の使用は全く特別に効を奏する。
【0020】
更に、このプラスチック−成形体は、いわゆる予備成形体(プリフォーム)であっても、既に(吹き込み−)押出成形された完成成形体であってもよい。殊にプラスチック−ボトル用のプリフォームの使用は、本発明による被覆物が既にそれ自体の製造時に施与することができ、かつ例えば瓶詰めの際の後の使用は、存在する装置の僅かのみの変更を必要とするだけであるという利点を有する。
【0021】
本発明によれば、プラスチック−成形体は、有利に、その外側上にポリビニルアルコールを含有する1バリヤー層を有する。この場合には、原則的にポリビニルアルコールに更なる限定はなく、むしろ全ての公知のポリビニルアルコール−タイプを使用することができる。しかしながら、本発明の目的のためには、それぞれその全質量に対して、
a) 式(2):
【0022】
【化1】

の構造単位15.0〜99.9質量%、有利には25.0〜99.9質量%、
適切には40.0〜99.9質量%、殊に50.0〜99.9質量%
b) 式(3):
【0023】
【化2】

の構造単位0.0〜50.0質量%、有利には0.1〜50.0質量%
c) 式(4):
【0024】
【化3】

の構造単位0.0〜50.0質量%
を包含するポリビニルアルコールを使用するのが全く特別に好適であることが判明した。
【0025】
この場合に、それぞれの構造単位は、勿論相互に異なっており、殊に一般式(4)の構造単位は、一般式(2)及び/又は(3)の構造単位を包含しない。
【0026】
基Rは、それぞれ相互に独立して、水素又はメチル、特に水素を表す。
【0027】
基Rは、炭素原子数1〜6を有するアルキル基、適切にはメチル−、エチル−、n−プロピル−、イソ−プロピル−、n−ブチル−、s−ブチル−、t−ブチル−、n−ペンチル−又はn−ヘキシル基、有利にはメチル−又はエチル基、殊にメチル基を表すことを特徴とする。
【0028】
基R、R、R及びRは、それぞれ相互に独立して、1〜500g/モルの範囲の分子量を有する基、適切には水素、炭素原子数1〜6を有し、場合により分枝した脂肪族又は環状脂肪族基であり、これらは場合により1個以上のカルボン酸−、無水カルボン酸−、カルボン酸エステル−、カルボン酸アミド−、シリル−及び/又はスルフォン酸基を含有していてよい。
【0029】
式(4)の特別に有利な構造単位は、炭素原子数2〜18を有する直鎖の又は分枝したオレフィン、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、(メタ)アクリルアミド、トリアルコキシビニルシラン及び/又はエチレンスルホン酸から生じる。この場合に、オレフィン、殊に末端位C−C−二重結合を有し、有利に炭素原子数2〜6を有するもの、殊にエチレンが全く特別有利であることが判明した。更に、アクリルアミドプロペニルスルホン酸(AMPS)から生じる構造単位(4)も、本発明によれば全く特別有利な結果をもたらす。
【0030】
式(3)の構造単位の総数は、式(2)及び(3)の構造単位の総数に対してそれぞれ0.1〜50モル%の範囲、有利には0.1〜30モル%の範囲、適切には0.1〜20モル%の範囲、殊に0.1〜16モル%の範囲内にあるのが有利である。本発明の範囲では、式(3)の構造単位の総数に対して、0.3〜13モル%の範囲、殊に0.5〜10モル%の範囲(それぞれ、式(2)及び(3)の構造単位の総数に対して)で、特別有利な結果を認めることができる。
【0031】
式(4)の構造単位の総数は、0.1〜20モル%の範囲、適切には2〜19モル%の範囲、殊に2.5〜17モル%の範囲(それぞれ、式(2)、(3)及び(4)の構造単位の総数に対して)内にあるのが有利である。本発明の範囲内では、式(4)の構造単位の総数に対して3.0〜15モル%の範囲、殊に3.5〜13モル%の範囲(それぞれ式(2)、(3)及び(4)の構造単位の総数に対する)で、特に有利な結果を得ることができる。
【0032】
本発明の特に有利な実施形の範囲では、ポリビニルアルコールとして、エチレンに由来する単位(4)1〜19モル%、有利には2〜10モル%及びRが水素である単位(2)75〜99モル%、有利には90〜98モル%(それぞれ、単位(2)、(3)及び(4)の含分に対して)を有するエチレン−ビニルアルコール−コポリマーが使用される。このようなコポリマーは、例えばExceval(R)なる商品名で市場で入手可能である。
【0033】
本発明によれば、ポリビニルアルコールは、それぞれ全質量に対して>60質量%、好ましくは>70質量%、殊に>80質量%の式(2)及び/又は(3)の構造単位を含有するのが有利である。この場合に、それぞれその全質量に対して>85質量%、適切には>90質量%、有利には>95質量%、殊に>99質量%の式(2)及び/又は(3)の構造単位を含有するポリビニルアルコールを用いて、特に有利な結果を得ることができる。
【0034】
本発明の範囲内で、ポリビニルアルコールは、シンジオタクチック、アイソタクチック及び/又はアタクチックな連鎖構造を有することができる。更に場合によっては、これは、ランダムコポリマーとしても及びブロックコポリマーとしても存在することができる。
【0035】
このポリビニルアルコールの製造は、自体公知の方法で2工程法により行うことができる。第1工程で、相応するビニルエステルを、適当な溶剤中、通常は水又はアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール及び/又はブタノール中で、適当なラジカル開始剤の使用下にラジカル重合させる。ラジカル共重合可能なモノマーの存在下に重合を実施する場合には、相応するビニルエステル−コポリマーが得られる。
【0036】
次いで、第2工程で、このビニルエステル(コ)ポリマーを、通常はメタノールを用いるエステル交換により鹸化し、この際、鹸化度を、自体公知の方法で、例えば触媒濃度、反応温度及び/又は反応時間の変更により、目的に応じて調節することができる。更なる詳細に関しては、通常の専門文献、殊にUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Fifth Edition on CD−Rom Wiley−VCH, 1997, Keyword: Poly(Vinyl Acetals) 及びそこに挙げられている文献を参照することができる。
【0037】
本発明により特に好適なコポリマーの製造は、欧州特許出願EP−1008605Aに記載されており、これに伴うその開示が明らかに参照されうる。
【0038】
ポリビニルアルコールの粘度は、本発明によれば重要性が低く、原則的には低分子量のポリビニルアルコールも高分子量のポリビニルアルコールも使用することができる。それでもなお、本発明の範囲内では、ポリビニルアルコールが2〜100mPasの範囲、有利には2〜40mPas、適切には3〜30mPasの範囲、殊に3〜15mPasの範囲の粘度を有する(Hoepplerにより、20℃で4質量%水溶液として測定、DIN53015)ことが全く好適であることが判明した。
【0039】
本発明の範囲内では、プラスチック−成形体は更に、バリヤー層を殊に空中水分、水蒸気及び水並びに例えば充填プロセスの際の機械的荷重に対して保護する、カバー層を有する。これは、直接バリヤー層上に施与されるのが適切である。
【0040】
本発明によれば、このカバー層は架橋可能な化合物を含有する。架橋可能な化合物は、一般に少なくとも2、3個又はそれ以上のエチレン系不飽和基及び/又はポリ芳香族基を有する。このような化合物は、当業界では自体公知であり、この際、例えば参考書Roempp Chemie−Lexikon,2.Auflage auf CD−ROM,2000及びUllmann's Enzyklopaedie der technischen Chemie 5. Auflage, 1997 が重要な示唆を提供している。
【0041】
この場合に、架橋は、例えばラジカル反応及び/又は付加環化によって行なうことができる。
【0042】
架橋可能な化合物は、高い沸点を有し、従ってこの化合物は難揮発性であることが有利である。特に常圧(1023ミリバール)での沸点は、80℃以上、殊に100℃以上、特別好ましくは120℃以上であるのが有利である。本発明の特に有利な1態様によれば、この架橋可能な化合物は、200℃以上の分解温度を有し、この化合物はこの温度まではガス状状態に移行しない。カバー層の組成物は、常圧(1023℃)で80℃以上、殊に100℃以上、特別好ましくは120℃以上の沸点を有するのが有利である。
【0043】
好ましい架橋可能な化合物の分子量は、最低で100g/モル、特に最低で200g/モルである。
【0044】
カバー層中の架橋可能な化合物の割合は、有利には少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも10質量%、特に好ましくは少なくとも50質量%である。
【0045】
架橋可能な化合物中に含有することができ、ラジカル反応によって反応されうる有利な基には、有利に末端位にあるエチレン系不飽和基、殊に次式のアクリル−及び/又はフマル−及び/又はマレイン基:
【0046】
【化4】

[式中、基R1*は、それぞれ独立して、水素及び/又は炭素原子数1〜8を有するアルキル基、有利にメチルを表し、R2*は、それぞれ独立して、水素及び/又は式:COOR’の基を表し、ここで、R’は水素又は炭素原子数1〜10を有するアルキル基、殊にメチル又はエチル又は炭素原子数6〜12を有するアリール基、殊にフェニル又はトリルを表し、Xは独立して、酸素、硫黄又は式NR”の基を表し、ここで、R”は水素又は炭素原子数1〜10を有するアルキル基、殊にメチル又はエチル又は炭素原子数6〜12を有するアリール基、殊にフェニル又はトリルを表す]がこれに属する。
【0047】
架橋可能な化合物中に含有することができ、付加環化によって反応されうる有利な基は、活性化されている複数のエチレン系不飽和基を有する。この活性化された基には、殊に芳香族及び/又はヘテロ芳香族基、例えばフェニル基、ピリジン基及び/又はチアゾール基がこれに属する。更にエチレン系不飽和基は、同様にエステル基により活性化されていてよい。付加環化により架橋可能である基には、殊に次式の基:
【0048】
【化5】

【0049】
【化6】

【0050】
【化7】

[式中、基Rは単結合を表すか、又は12〜1000g/モルの範囲の分子量を有し、有利に随意の原子C、H、O及びN、適切には随意の原子C、H及びO、殊に随意の原子C及びHから成る少なくとも2結合性の基を表し、
nは1以上の、殊に1〜4の範囲の整数を表し、この際、これらの数値は先に記載の基を介して架橋可能な化合物の残りの部分に結合している結合の数を示している、
基R’、R”又はR’”は独立して、水素、炭素原子数1〜20、殊に1〜4を有するアルキル基、例えばメチル又はエチル及び/又は炭素原子数6〜24、殊に6〜12を有するアリール基、例えばフェニル又はトリルを表し、
基Xはアニオン、例えばハロゲニド−又はスルフェートアニオンを表す]がこれに属する。
【0051】
特別な1態様によれば、基Rは、3結合性の基を表し、この際、これはアセタール基に由来するのが有利である。
【0052】
本発明の特別な1態様によれば、架橋可能な化合物は、架橋可能な基を有するポリマーである。
【0053】
有利なこのポリマーには、ポリビニルアセタール及び/又はポリアクリレートがこれに属する。このポリマーの重量平均分子量Mは、10000〜500000、殊に20000〜150000であるのが有利である。このポリマーの数平均分子量Mは、5000〜400000の範囲、殊に15000〜120000の範囲にあるのが有利である。比 M/Mは、1.0〜5.0、殊に1.1〜4.0の範囲にあるのが有利である。これらの大きさは、ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィを用いて測定することができる。
【0054】
有利なポリビニルアセタールは、先に記載のポリビニルアルコールに由来し、この際、これはアセタール基並びに架橋可能な基を有する。これらのポリマーは、先に記載のポリビニルアルコールと式(13):
【0055】
【化8】

[式中、R9*及びR10*はそれぞれ独立して、水素、COOH、炭素原子数1〜10を有するアルキル基又は炭素原子数6〜12を有する置換又は非置換のアリール基を表す]の化合物(B)並びに少なくとも1個の架橋可能な基を有する化合物との反応によって得ることができる。
【0056】
この場合に、これらアルキル−及びアリール基は、1個以上のカルボキシル−、ヒドロキシル−、スルホン酸基及び/又はハロゲン原子、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素で置換されていてよい。有利な化合物(B)には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソ−ブチルアルデヒド、2−エトキシブチルアルデヒド、パラアルデヒド、1,3,5−トリオキサン、カプロンアルデヒド、2−エチルヘキサナール、ペラルゴンアルデヒド、3,5,5−トリメチルヘキサナール、2−ホルミルベンゾエスルホン酸、アセトン、エチルメチルケトン、ブチルエチルケトン及び/又はエチルヘキシルケトンがこれに属する。本発明の範囲内で、アルデヒド、即ち式(13)の化合物(式中、R9*=水素及び/又はR10*=水素、メチル−、エチル−、n−プロピル−又はイソプロピル基である)、有利にホルムアルデヒド及び/又はn−ブチルアルデヒド、殊にn−ブチルアルデヒドの使用が全く特別に効を奏する。
【0057】
化合物(B)の量は、原則的に任意に選択することができる。化合物(B)0.1〜300質量部、特に25〜150質量部、適切には49〜99質量部、殊に50〜99質量部(それぞれポリマー(A)100質量部に対して)を使用するのが有利である。ポリビニルアセタールのアセタール化度は、出発ポリマー中に存在するビニルアルコールから生じる全ての基(殊にヒドロキシル基、アセタール基及びエステル基)に対して有利に50〜86.5%、特に好ましくは70〜86%の範囲内にある。
【0058】
架橋可能な基を、例えば化合物(C)によってポリビニルアセタールの遊離ヒドロキシ−基と反応するポリビニルアセタール中に入れることができ、この際、この化合物(C)は、エチレン系不飽和基及び/又はポリ芳香族基を有するのが有利である。遊離ヒドロキシ基と反応することのできる基には、特にN−メチロール基及び/又はアルデヒド基がこれに属する。殊に付加環化によって架橋されうる架橋可能な化合物を得るためにポリビニルアセタールと反応させることのできる化合物(C)には、殊に、式(14)及び/又は(15)のアルデヒド:
【0059】
【化9】

[式中、基R11*は独立して、アルキル、アリール、アルコキシ、−COOR’、−NR”R’”、ハロゲン、シアノ及び−NH−CO−CHから選択され、ここで、基R’、R”及びR’”は独立して、水素及び/又は有利に炭素原子数1〜20を有するアルキルを表し、基R12*はアルキル、アリールを表し、指数mは0〜3の範囲の整数、有利に0又は1を表し、基Y及びXはそれぞれ単結合又は12〜1000g/モルの範囲の分子量を有する2結合性の基を表し、これは有利に随意の原子C、H、O及びNから、適切には随意の原子C、H及びOから、殊に随意の原子C及びHから成っている]がこれに属する。有利には、基R11*及び/又はR12*は、炭素原子数1〜20、特に1〜6を有する。好ましいアルキル基は、メチル及び/又はエチルである。好ましいアルコキシ基は、メトキシ及び/又はエトキシである。好ましいアリール基は、フェニル及び/又はキシリルである。
【0060】
基Xは単結合、酸素原子及び/又は式−NR13*−Z−の基(ここで、Zは炭素原子数1〜20を有するアルキレン−又はアリーレン基を表し、基R13*は水素又は有利に炭素原子数1〜20を有するアルキル−又はリール基を表す)を表すのが有利である。
【0061】
基Yは、式−NH−CO−NR14*−Z−の基(ここで、Zは炭素原子数1〜20を有するアルキレン又はアリーレン基を表し、基R14*は水素又は有利に炭素原子数1〜20を有するアルキル−又はアリール基を表す)が有利である。
【0062】
更に、それを用いて殊にラジカル架橋可能な基をポリビニルアセタール中に入れることができる化合物(C)には、物質(16):
【0063】
【化10】

がこれに属する。
【0064】
化合物(C)の量は、原則的には任意に選択することができる。それぞれポリマー(A)100質量部に対して、化合物(C)0.1〜300質量部、有利に20〜70質量部、適切には50〜60質量部を使用するのが有利である。
【0065】
架橋可能な基を有する先に記載のポリビニルアセタールは、例えば特許US6596456及びUS4965313中に記載されている。
【0066】
ポリアクリレートは、殊に自体公知である(メタ)アクリレートの重合によって得られる。架橋可能な基を、例えばエステル交換反応によって、架橋可能な基と並んでヒドロキシ−基を有する化合物のポリマー中に入れることができる。更に、ポリアクリレートは反応性基を包含するコモノマーを含有することができ、この際、これらの基は、架橋可能な基を含有する化合物と反応することができる。
【0067】
ポリマー中の、殊にポリビニルアセタール及び/又はポリアクリレート中の架橋をもたらすことのできる基の割合は、2モル/モル〜4000モル/モル、特に好ましくは3モル/モル〜2500モル/モル、全く特別好ましくは15モル/モル〜2000モル/モルの範囲内にあるのが有利である。この値は、架橋可能な化合物の数に対する架橋をもたらすことのできる基の数に関連している。
【0068】
本発明の特別な1実施形によれば、架橋可能な化合物は、10000〜1000000g/モルの範囲、殊に15000〜500000g/モルの範囲、特に好ましくは20000〜200000g/モルの範囲の重量平均分子量を有するのが有利である。これらの大きさは、ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィにより測定することができる。
【0069】
本発明のもう一つの態様によれば、カバー層は、次の成分を含有するアクリル−組成物である:
A) 式(1):
【0070】
【化11】

の基少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個を有する(メタ)アクリル−官能化オリゴマー又はポリマー少なくとも1種 5.0〜100質量%、有利には10.0〜90.0質量%、特に好ましくは20.0〜80.0質量%、殊に30.0〜70.0質量%
B) 式(1)の基少なくとも1個を有する(メタ)アクリル−モノマー少なくとも1種
0〜70質量%、有利には20.0〜60.0質量%、特に好ましくは30.0〜50.0質量%及び
C) B)とは異なるエチレン系不飽和モノマー少なくとも1種 0.0〜30.0質量%、有利には0.1〜20.0質量%、殊に1.0〜10.0質量% 。
【0071】
この場合に、数値はそれぞれアクリル−組成物の全質量に関連し、かつA)、B)及びC)の割合の合計は、アクリル−組成物の重合可能な成分の100.0質量%になる。
【0072】
成分A)〜C)の少なくとも1成分は、少なくとも2個の不飽和基を有するのが有利である。
【0073】
基Rは、水素又はメチル基、有利には水素を表す。
【0074】
基Rは、水素又はカルボキシル基、有利には水素である。
【0075】
基Xは、酸素、硫黄及び/又は式NR”の基(ここで、基R”は水素又は炭素原子数1〜10を有するアルキル基、殊にメチル又はエチル又は炭素原子数6〜12を有するアリール基、殊にフェニル又はトリルを表す)である。
【0076】
本発明の範囲内で、オリゴマー又はポリマーとは、1種の(=ホモポリマー)又は複数種の繰り返し構造単位(=コポリマー)、いわゆる反復単位並びに2個の末端基から構成されている化合物を称する。この場合に、重合度、即ち繰り返し構造単位がその分子中で繰り返す数に応じて、重合度が2〜8の範囲内にある場合にはオリゴマーと、又は重合度が8より大きい場合にはポリマーと称する。このテーマに関する更なる詳細に関しては、通常の専門文献、例えばHans Georg Elias;Makromolekuele; Basel, Heidelberg, New York; Huething und Wepf;; 5. Auflage; 1990 が参照される。
【0077】
(メタ)アクリル−官能化オリゴマー又はポリマーA)は、原則的に任意のオリゴマー又はポリマーから誘導できる。式(1)の(メタ)アクリル−基の結合の方式も原則的に任意であり、1方又は双方の連鎖端のところでも、1以上の繰り返し構造単位のところでも行うことができる。本発明により特別好適なオリゴマー又はポリマーA)は、文献Peter Garrat; Strahlenhaertung; Hannover: Vincentz 1996; S.71−82に記載されており、その開示も明らかに参照される。
【0078】
有利に、(メタ)アクリル−官能化オリゴマー又はポリマーA)は、
式(17)又は(18):
【0079】
【化12】

[式中、X及びYは、それぞれ相互に独立して、単結合又は14〜1000g/モルの範囲の分子量を有する2結合性の基であり、これは有利に随意の原子C、H、O及びN、適切には随意の原子C、H及びO、殊に随意の原子C及びHから成る]に対応する。
【0080】
Zは、有利に随意の原子C、H、O及びN、適切には随意の原子C、H及びO、殊に随意の原子C及びHから成る、1〜1000g/モルの範囲の分子量を有する基を表す。
【0081】
は、少なくとも1種の繰り返し構造単位から構成されているオリゴマー又はポリマー基(=ホモポリマー)を表す。Rが複数種の異なる繰り返し構造単位を有する場合には、それぞれの構造単位の順番(ブロック、ランダム、交互)は原則的に任意である。
【0082】
本発明により特に好適な基Rは、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステル又はポリ(メタ)アクリレートから生じる。
【0083】
この場合に、本発明の目的のために次の化合物が全く特別に効を奏する:
【0084】
【化13】

[式中、R15は水素又はメチル基、有利にメチル基であり、R16は炭素原子数1〜20、有利に1〜18を有する脂肪族又は環状脂肪族基を表し、指数nは2以上の、殊に2〜1000の範囲の整数である]。
【0085】
(メタ)アクリル−モノマーB)は、(メタ)アクリル−官能化オリゴマー/ポリマーA)とは異なる。これは、有利に式(19):
【0086】
【化14】

[式中、基R10は、1〜10000g/モルの範囲、有利に1〜5000g/モルの範囲、適切には1〜1000g/モルの範囲、殊に1〜500g/モルの範囲の分子量を有する基を表す]に対応する。この場合に、R10は、随意の原子C、H、O及びN、適切には随意の原子C、H及びO、殊に随意の原子C及びHから成っているのが有利である。Rは水素が有利である。
【0087】
本発明の目的のために特に好適であるモノマーB)は、文献Peter Garrat; Strahlen−haertung; Hannover: Vincentz 1996; S.82−94に記載されており、これに伴う開示も明らかに参照される。
【0088】
本発明により全く特別に好適な(メタ)アクリル−モノマーB)には、特に次のものが包含される:
飽和アルコールから生じる(メタ)アクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソ−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソ−オクチル(メタ)アクリレート、イソ−ノニル(メタ)アクリレート、2−t−ブチルヘプチル(メタ)アクリレート、3−イソ−プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、5−メチルウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−メチルドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、5−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、2−メチルヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、5−イソ−プロピルヘプタデシル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルオクタデシル(メタ)アクリレート、5−エチルオクタデシル(メタ)アクリレート、3−イソ−プロピルオクタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、セチルエイコシル(メタ)アクリレート、ステアリルエイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート及び/又はエイコシルテトラトリアコニチル(メタ)アクリレート;
シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えばシクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、3−ビニル−2−ブチル−シクロヘキシル(メタ)アクリレート及びボルニル(メタ)アクリレート;
不飽和アルコールから生じる(メタ)アクリレート、例えば2−プロピオニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート及びオレイル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート;
アリール(メタ)アクリレート、例えばベンジル(メタ)アクリレート又はフェニル(メタ)アクリレート(この際、アリール基はそれぞれ非置換であるか又は4個まで置換されていてよい);
ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート、例えば3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,4−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオール(メタ)アクリレート、1,2−プロパンジオール(メタ)アクリレート;
ジ(メタ)アクリレート、例えば1,2−エタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2’−チオジエタノールジ(メタ)アクリレート(チオジグリコールジ(メタ)アクリレート)、
アミノアルキル(メタ)アクリレート、例えばトリス(2−メタクリルオキシエチル)アミン、N−メチルホルムアミドエチル(メタ)アクリレート、2−ウレイドエチル(メタ)アクリレート;
カルボニル含有(メタ)アクリレート、例えば2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシメチル(メタ)アクリレート、オキサゾリジニルエチル(メタ)アクリレート、N−(メタクリロイルオキシ)ホルムアミド、アセトニル(メタ)アクリレート、N−メタクリロイルモルホリン、N−メタクリロイル−2−ピロリジノン;
エーテルアルコールの(メタ)アクリレート、例えばテトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、ビニルオキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、1−ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、1−メチル−(2−ビニルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシメトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジルオキシメチル(メタ)アクリレート、フルフリール(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシメチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、アリロキシメチル(メタ)アクリレート、1−エトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシメチル(メタ)アクリレート、1−エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート;
ハロゲン化アルコールの(メタ)アクリレート、例えば2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、4−ブロモフェニル(メタ)アクリレート、1,3−ジクロロ−2−プロピル(メタ)アクリレート、2−ブロモエチル(メタ)アクリレート、2−ヨードエチル(メタ)アクリレート、クロロメチル(メタ)アクリレート;
オキシラニル(メタ)アクリレート、例えば2,3−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート;
ヘテロ環式(メタ)アクリレート、例えば2−(1−イミダゾリル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−モルホリニル)エチル(メタ)アクリレート及び1−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリドン;
燐−、硼素−及び/又は珪素−含有(メタ)アクリレート、例えば2−(ジメチルホスファト)プロピル(メタ)アクリレート、2−(エチレンホスフィト)プロピル(メタ)アクリレート、ジメチルホスフィノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルホスホノエチル(メタ)アクリレート、ジエチル(メタ)アクリロイルホスホネート、ジプロピル(メタ)アクリロイルホスフェート;
(メタ)アクリル酸のアミド、例えばイソブトキシメチルアクリルアミド及びジメチルアクリルアミド;
硫黄含有(メタ)アクリレート、例えばエチルスルフィニルエチル(メタ)アクリレート、4−チオシアナトブチル(メタ)アクリレート、エチルスルホニルエチル(メタ)アクリレート、チオシアナトメチル(メタ)アクリレート、メチルスルフィニルメチル(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロイルオキシエチル)スルフィド;
トリ(メタ)アクリレート、例えばトリメチロイルプロパントリ(メタ)アクリレート及びグリセリントリ(メタ)アクリレート。
【0089】
本発明によれば、表現「(メタ)アクリレート」には、メタクリレート及びアクリレート並びに双方の混合物が包含される。相応して、表現「(メタ)アクリル酸」には、メタアクリル酸及びアクリル酸並びに双方の混合物が包含される。
【0090】
(メタ)アクリル−モノマーB)としては、次の成分から成る混合物が適切に使用される:
B−1) 1分子当たり正確に1個の式(1)の基を有する1官能性(メタ)アクリル−モノマー少なくとも1種 80.0〜99.9質量%及び
B−2) 1分子当たり少なくとも2個の式(1)の基を有する二官能性又は多官能性の(メタ)アクリル−モノマー少なくとも1種 0.1〜20.0質量%
を含有し、この際、数値は、それぞれ(メタ)アクリルモノマーB)の全質量に関連し、割合B−1)とB−2)との合計は100.0質量%になる。
【0091】
この関係で特別好適な、1分子当たり正確に1個の式(1)の基を有する(メタ)アクリル−モノマーB−1)には、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート又はこれら化合物の混合物が包含される。
【0092】
1分子当たり式(1)の基少なくとも2個を有する、特に好適な二官能性又は多官能性の(メタ)アクリル−モノマーB−2)には、次のものが包含される:
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−トリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール−ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレート−トリ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−A−エトキシレート−ジ(メタ)アクリレート、チオジエチレングリコール−ジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール−ジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール−ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール−ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−トリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、
【0093】
【化15】

又はこれら化合物の混合物。
【0094】
A)及びB)とは異なるエチレン系−不飽和モノマーC)は、本発明の範囲内では原則的に任意に選択することができる。これは、有利に式(20):
【0095】
【化16】

[式中、R11、R12、R13及びR14はそれぞれ相互に独立して、1〜10000g/モルの範囲、有利には1〜5000g/モルの範囲、適切には1〜1000g/モルの範囲、殊に1〜500g/モルの範囲の分子量を有する基を表し、これらは相互に架橋されていてもよい]に対応する。この場合に、これらの基は、有利に随意の原子C、H、O及びNから、適切には随意の原子C、H及びOから、殊に随意の原子C及びHから成っている。本発明の特に好適な実施形によれば、R11及びR12は水素である。他の特別有利な更なる1実施形によれば、R13は水素である。
【0096】
本発明により特別好適なエチレン系−不飽和モノマーC)には、特に次のものが包含される:
ビニルハロゲニド、例えば塩化ビニル、弗化ビニル、塩化ビニリデン及び弗化ビニリデン;
ビニルエステル、例えば酢酸ビニル;
スチレン、側鎖中に1個のアルキル置換基を有する置換スチレン、例えばα−メチルスチレン及びα−エチルスチレン、環に1個のアルキル置換基を有する置換スチレン、例えばビニルトルエン及びp−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、例えばモノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロムスチレン及びテトラブロムスチレン;
ヘテロ環式ビニル化合物、例えば2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルピペリジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾール及び水素化ビニルチアゾール、ビニルオキサゾール及び水素化ビニルオキサゾール;
ビニル−及びイソプレニルエーテル;
マレイン酸及びマレイン酸誘導体、例えばマレイン酸のモノ−及びジエステル(この際、アルコール基は炭素原子数1〜9を有する)、無水マレイン酸、無水メチルマレイン酸、マレインイミド、メチルマレインイミド;
フマル酸及びフマル酸誘導体、例えばフマル酸のモノ−及びジエステル(この際、アルコール基は炭素原子数1〜9を有する);
ジエン、例えば1,2−ジビニルベンゾール、1,3−ジビニルベンゾール、1,4−ジビニルベンゾール、1,2−ジイソプロペニルベンゾール、1,3−ジイソプロペニルベンゾール及び1,4−ジイソプロペニルベンゾール
並びに記載の化合物の混合物。
【0097】
本発明の目的のために全く特別好適なエチレン系−不飽和モノマーC)には、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、スチレン、イソブトキシメチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド又はこれら化合物の混合物が包含される。
【0098】
このエチレン系不飽和モノマーC)には、殊に(メタ)アクリル−モノマーB)と共重合することのできるエチレン系−不飽和モノマーが包含される。
【0099】
重合の開始のために、カバー層の組成物に、少なくとも1種の重合開始剤を添加するのが有利である。この関係で特に好適な重合開始剤には、殊にラジカル重合のために使用される開始剤及び開始剤系が包含される。本発明の有利な1実施形によれば、重合の開始のために親油性のラジカル重合開始剤が使用される。このラジカル重合開始剤は殊にそれ故に親油性であり、従ってこれは、カバー層の組成物中に溶ける。使用可能な化合物には、典型的なアゾ開始剤、例えばアゾイソ酪酸ニトリル(AIBN)又は1,1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリルと並んで、特に脂肪族ペルオキシ化合物、例えばt−アミルペルオキシネオデカノエート、t−アミルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、エチル−3,3−ジ−(t−アミルペルオキシ)−ブチレート、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルヒドロペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド及び記載の化合物の任意の混合物がこれに属する。記載の化合物の内AIBNが全く特別に有利である。
【0100】
本発明のもう一つの有利な実施形によれば、公知の光開始剤の使用下にUV−線又は類似物の照射によって重合が開始される。ここでは、慣用の市場で入手可能な化合物、例えばベンゾフェノン、α,α−ジエトキシアセトフェノン、4,4−ジエチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4−イソプロピルフェニル−2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソアミル−p−ジメチルアミノベンゾエート、メチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド等が使用でき、この際、記載の光開始剤を、単独で又は2種以上と組み合わせて、又は前記重合開始剤の1種と組み合わせて使用することができる。
【0101】
ラジカル形成剤の量は、広い範囲内で変動することができる。例えばカバー層のラジカル重合可能な化合物及び重合開始剤からの全組成物の質量に対して0.1〜10.0質量%の範囲の量を使用するのが有利である。それぞれカバー層のラジカル重合可能な化合物及び重合開始剤からの全組成物の質量に対して0.1〜7.0質量%の範囲の量、殊に0.2〜5.0質量%の範囲の量が特に有利である。
【0102】
カバー層の架橋可能な化合物が付加環化によって反応する基を有する場合には、このカバー層は、同様にこの付加環化を促進する化合物を含有することができる。殊に光増感剤がこれに属する。このような化合物は、特にDE−A−2626769、DE−4231324及びUS5476754中に記載されている。特に次のものがこれに属する:キサントン、チオキサントン、アセトフェノン、ベンズアルデヒド、カルバゾール、トリフェニルアミン、ヘキサクロロベンゾール、4,4−ジフェニルシクロヘキサジエノン、1,2−ジベンゾイルベンゾール、ベンゾフェノン及びこれらの誘導体、1,4−ジアセチルベンゾール、フルオレン、アンスロン、ベンズアンスロン及びこれらの誘導体,2−ニトロフルオレン、1,4−ベンゾジアジン、4−ニトロビフェニル、4−シアノベンゾフェノン、チオキサントン、フェニルグリオキサール、アントラキノン、キノリン、フェナントレン、フラボン、ミヒラー・ケトン、4−アセチルジフェニル、2−アセトナフテン、アクリジンイエロー、1−ナフチルフェニルケトン、クリセン、1−アセトナフトール、1−ナフトアルデヒド、コロネン、ベンジル、フルオレノン、フルオレッセイン、芳香族窒素化合物、例えばp−ニトロスチルベン、5−ニトロアセナフテン及び4−ニトロアニリン、ナフトチアゾリン及びこれらの誘導体、1−アセチルアミノ−4−ニトロナフタリン、キノン、ベンゾチアゾリン誘導体、ナフトチアゾール誘導体、ケトクマリン誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ナフトフラノン化合物、ベンゾチアゾリン、ピリリウム塩及びチアピリリウム塩。
【0103】
光増感剤の量は、全カバー層に対して0.5〜20質量%、特に有利には1〜10質量%の範囲内にあるのが有利である。
【0104】
カバー層の架橋可能な化合物は、公知方法で硬化させることができる。この硬化されたカバー層は、優れた特性を有する。殊に機械特性がこれに属する。
【0105】
有利なカバー層の組成物から得られる架橋された成形体の上部降伏点(die obere Streckgrenze)(引張り伸び;Streckdehnung)は、有利に1%〜100%の範囲、殊に3%〜50%の範囲、特に好ましくは6%〜20%の範囲の引張り伸びを示す。
【0106】
本発明のもう一つの有利な実施形によれば、有利なカバー層の組成物から得られている架橋された成形体は、有利に1%〜100%の範囲、殊に3%〜50%の範囲、特に好ましくは6%〜20%の範囲の引裂き時の伸び(Reissdehnung)を示す。
【0107】
引張り伸びは、ISO527−2(1996)による引張り伸び試験から得られ、この際には、一般に50mm/minの試験速度で測定される。
【0108】
本発明の特別な1実施態様によれば、架橋されたカバー層は、有利にISO15184による室温(23℃)での硬度(鉛筆硬度)で2〜9Hの範囲、殊に3〜8Hの範囲、特に好ましくは4〜7Hの範囲の硬度を有し、この際、測定のためにFaber−Castell(R)の鉛筆が使用される。
【0109】
この機械特性は、有利にISO291−23/50により、標準気候で測定される。
【0110】
カバー層の組成物には一連の他の添加剤が添加されていてよい。この場合に、これは、カバー層の組成物から硬化の後に得られる層の特性に影響し、かつそれにより調節することができることを目的とする添加剤である。従って、カバー層の組成物に、下地上の又は他の被覆層への付着を改善する付着助剤又は付着改良剤を添加することができる。
【0111】
カバー層の組成物は、被覆の硬度の改善のため又は引掻き強度の改善のため又は他の表面特性の合目的調節のための物質を添加することも可能である。
【0112】
このような添加剤の量は、広い範囲にわたり変動することができる。しかしながら、これは、一般にカバー層の組成物の全質量に対して50質量%よりも低い。これは0.1〜<50質量%の範囲内にあるのが有利である。特別な範囲には、0.5〜15質量%並びに16〜40質量%が包含される。
【0113】
特別有利な1実施形によれば、UV/EB−線硬化性カバー層は、下地上の付着性を改善し、かつ/又は引掻き硬度又は弾性を改善する添加剤を含有する。添加剤としては、ポリビニルアセタールが、かつここでは殊にポリビニルブチラール及びポリビニルアセタール−コポリマーが好適である。この場合にポリビニルブチラールとしては、当業者に公知の全てのポリビニルブチラールを使用することができる。更に、2種以上の異なるアルデヒドから製造されるポリビニルアセタール、例えばブチルアルデヒドとアセトアルデヒド及び/又はホルムアルデヒドとからの混合物も使用できる。ポリビニルアセタール(例えば異なる分子量、異なる残留アセテート含有率、異なるアセタール化度及び/又は異なるアセタール化成分(アルデヒド)を有する)の混合物の使用も可能である。例えば、それぞれ、出発物質とは異なるアルデヒドから製造されたポリビニルアセタールを混合し、かつ使用することができる。ここで、組み合わせ可能性に限界は設定されていない。
【0114】
更に、ナノ粒子を含有する無機及び有機添加剤が好適である。これら添加剤は、不活性であるか又は被覆の硬化の間に相互に又は被覆組成物の他の成分と化学的に反応する、無機及び/又は有機のハイブリッドポリマーから成っていてもよい。殊に、有利に10〜500nmの範囲、特に好ましくは20〜200nmの範囲の大きさを有する無機粒子がこれに属する。このような粒子は、市場で入手することができる。特に有利な1実施形では、記載の添加剤が被覆組成物の主成分であってもよい。
【0115】
もう一つの有利な実施形では、カバー層の組成物は、シラン、シラノール及びそれらの誘導体から生じる架橋可能な原料を含有する。珪素含有原料は、モノマー、オリゴマー及びポリマーであってよい。珪素含有化合物は、水(例えば被覆の施与の後の空中水分による)の存在の場合に凝固することができるか、又はそれらはそれ自体で又はカバー層の組成物からの反応成分と、熱的、UV/EB又はレドックス開始硬化によって架橋する。これら化合物は、ナノメーター範囲の大きさを有し、従ってナノ粒子として層中に存在することができる。珪素含有化合物で変性されたカバー層の組成物は、付着及び柔軟化の改善のためにポリビニルアセタールを含有することもできる。
【0116】
もう一つの特に有利な実施形では、このカバー層は、主要部分が記載の珪素含有化合物から成る組成物によって得られる。この組成物は、付着及び柔軟化の改善のためにポリビニルアセタールを含有していてもよい。
【0117】
もう一つの有利な実施形では、カバー層は、適当な原料の化学的又は熱的架橋によって生じる成分を含有する。原料としては、反応性原子群を介して架橋反応を開始することのできるモノマー、オリゴマー及びポリマーが好適である。殊に、その分子構造中にヒドロキシド−、カルボニル−、アルデヒド−、カルボキシル−並びに窒素−及び珪素−含有基を含有する原料が好適である。
【0118】
本発明の特に有利な1実施形によれば、バリヤー層及び/又はカバー層は、少なくとも1種の染料及び/又は顔料を含有する。この場合に、概念「顔料」及び「染料」は、当業者には文献から周知である。「顔料」は、使用媒体中に実際に不溶な、無機又は有機の、有彩又は無彩の着色剤を称し、かつ「染料」は、使用媒体中に可溶な、無機又は有機の、有彩又は無彩の着色剤を表す。更なる詳細については、慣用の文献、例えば、Roempp−Lexikon, Chemie; Hrsg.;Juergen Falbe , Manfred Regitz; Stuttgart, New York; Thieme ; 10.Auflage; 1997; Stichwoerter "Pigmente" und "Farbstoffe" 及びそこに挙げられている文献が参照される。
【0119】
本発明によるバリヤー層のために特に好適な染料には、水溶性染料、殊に(R)Vitasyn−染料, 例えばFirma Clariant Chemie GmbH社の(R)Vitasyn−Blau AE 90 及び(R)Vitasyn−Tartrazine X 90が包含される。これに反して、水不溶性の染料、顔料又はこれらの混合物、殊に顔料−調整物(R)Renol HW 30(Firma Clariant GmbH) 及び/又は(R)Savinal−Farbstoffe(Firma Clariant GmbH)は、カバー層の着色のために全く特別な効を奏した。染料及び/又は顔料の量は、0.0001〜20.0質量%の範囲、殊に0.01〜10.0質量%(それぞれ着色されたバリヤー層及び/又はカバー層の全質量に対して)の範囲にあるのが有利である。
【0120】
従って、プラスチック−成形体のバリヤー層及び/又はカバー層の着色は、特に有利である。それというのも、このような着色されたプラスチック−成形体は、着色されたバリヤー層及び/又はカバー層の分離の後に簡単な方法でリサイクルすることができるからである。これに反して、プラスチック−コアが着色されている成形体は、経費のかかる方法で分別し、かつ別々にリサイクルしなければならない。
【0121】
カバー層は場合による更なる添加物質、例えば分散助剤、ワックス、消泡剤及び可塑剤を含有することができる。これらは、有利に10.0%まで、適切には5.0質量%まで、殊に0.1〜2.0質量%の範囲(それぞれカバー層の全質量に対して)の量で存在する。
【0122】
本発明によるプラスチック−成形体は、殊に二酸化炭素及び酸素に対する持続的な低いガス透過性によって優れている。この場合に、この被覆によって得られるガスバリヤー作用は自体公知の方法で測定することができる。この測定は、通常は、メスシリンダー中の圧力増加の測定又は検査すべき物体の外(同様に密閉されたシリンダー中)での当該ガスの赤外線スペクトル分光学を用いる検出に基づく。この場合に、標準との比較の結果は、バリヤー特性の改善のファクターを生じ、これは、英語でバリヤー改善ファクター(barrier improvement factor;BIF)と称される。従って、被覆されていないPET−ボトルのBIFは約1である。3のBIFは、瓶詰めされた製品の保存期間(CO−損失及び酸素侵入)が、被覆されていないPET−ボトルの約3倍も長く、即ち1ケ月(1)の代わりに3ケ月(3)であることを意味する。
【0123】
例えば二酸化炭素及び酸素に対する外への遮断作用と並んで、反対に外からの遮断作用もある。これは、殊に容器壁を通る外からの酸素の侵入を阻止することを意味する。このことは、(容易に)酸化可能であるか又は酸素との反応によって損傷されうる(これは充填物の腐敗を意味する)品物の場合には特に重要である。これには、殊にビタミン、芳香物質及び酵素が挙げられる。バリヤーが1方向のみに限られないかぎり、これはむしろ同時に2つの機能(例えば:ボトル中の炭酸残留(外へのバリヤー)及び外からの酸化(酸素)に対する保護(外からのバリヤー))を実現する。首尾一貫して、本発明のバリヤー改善は、充填物の長時間保存可能性(これは概念「保存期間」とも称される)を意味する。1のBIFの場合には、保存可能性(保存期間)が例えば1ケ月であり、2のBIFの場合には、この期間は2倍になり、2ヶ月である。高いBIF−値の場合には、相応して長い。これらの例は、炭酸含有、アルコール不含の飲料(コーラ及びリモネード)に当てはまる。
【0124】
ビールの場合には、酸素バリヤーは、二酸化炭素バリヤーと並んでなお大きな重要な役割を果たす。通例、BIF−値のなお高い最低要求が課され、このBIFは通常は最低でも5であるべきである。このことは5ヶ月の保存期間に相当する。
【0125】
本発明のプラスチック−成形体の製造は、自体公知の方法で、簡単かつ経費的に好適に行うことができる。特別な経費のかかる技術、例えば共押出し又はプラズマ被覆の使用が必要である。プラスチック−成形体を、先ず所望のポリビニルアルコールで、次いでカバー層の先に詳述した組成物で被覆するのが有利である。この場合に、浸漬−、吹き付け塗装−、フローコーティング−、スプレー−及び/又は静電気的スプレー法が全く特別に効を奏するが、原則的には、全ての公知の被覆法を使用することができる。
【0126】
ポリビニルアルコール含有バリヤー層は、有利に水溶液から施与され、次いで次の工程で乾燥されるのが有利である。このことは、場合により水以外の溶剤から塗布される次の層の施与を最適化するために有利である。湿式塗布の場合に、即ち層の混合の危険が生じ、これは一方でバリヤー作用に不利に影響し、他方で光学的現象を悪化させ、この際に濁りをもたらす。乾燥は、多様な方法で行うことができる。この場合に、ベース材料が乾燥により変化されないか又は全く害されない(例えば熱的成形により)ことが重要である。乾燥のために(熱)−空気乾燥機と並んで、赤外線又はマイクロ波線も使用することができる。最良かつ最適な系は、滞留時間、処理量、熱負荷等の要求によって決まる。使用溶液の濃度は、その肉眼的特性に左右され、この際、系に応じて、使用温度で最適を示す最適な他の範囲がある。ポリビニルアルコール−濃度は、1.0〜30.0質量%の範囲、特に好ましくは3〜20質量%の範囲、殊に5〜15質量%の範囲(それぞれ、水溶液の全質量に対する)にあるのが有利である。
【0127】
形成され、かつ乾燥された完成ポリビニルアルコール含有バリヤー層は、今や、特に次のカバー層を良好に受容することができる。従って状況に応じて、バリヤー層へのカバー層の付着をプライマーにより高めることが全く有利であり得る。
【0128】
カバー層は、有利に同様に前記の被覆法を用いて塗布され、この際、各々の層のために選択される技術は全く異なるものであってよく、双方の層にとって必ずしも同じである必要はない。このことは、同様に既に詳述された所望の要求によって決まる。本発明の特に有利な実施形によれば、カバー層の組成物は溶剤を使用することなしに塗布される。
【0129】
カバー層の硬化は、組成物の重合の開始を自体公知の方法で、例えば熱的に及び/又はレドックス開始により行うこともできる。本発明の特に有利な1実施形によれば、重合をUV−線により開始させる。周知のように水性ポリビニルアルコール溶液においてUV−光での照射が分子量減少をもたらしうるとしても、本発明によるポリビニルアルコール含有バリヤー層は、カバー層の硬化のために使用されるUV−照射によっては攻撃されない。反対に、被覆されたプラスチック−成形体の高いBIFは変わらずに保持されるか又は、むしろなお僅かに高められる。
【0130】
本発明の第2の有利な実施形によれば、重合は電子線(EB−線)により開始される。
【0131】
適用される層の厚さは、所望の特性により決まる。このバリヤー層の層厚は、0.5〜10μmの範囲、特に好ましくは1〜5μmの範囲にあるのが有利である。カバー層の層厚は、0.5〜10μmの範囲、特に好ましくは1〜5μmの範囲にあるのが有利である。既に、個々の層の各々の2μm、殊に1μmの層厚が、耐水性と同時にバリヤー改善ファクター>3を得るために充分である。このことは、0.5リットルPET−ボトルの場合に、一般に約0.2gのみの質量増加を意味する。
【0132】
本発明の特別な1実施態様によれば、基材層、バリヤー層並びに架橋可能な化合物を含有するカバー層を包含するプリフォーム(Vorformling)が製造される。このプリフォームは、引き続きブロー成形によりプラスチック成形体にされる。もう一つの工程で、このプラスチック成形体のカバー層は架橋される。
【0133】
プリフォームが被覆される場合に、層厚を差し当たり相応して厚く選択するのが有利である。それというのも、延伸ブロー時に成分が伸ばされるからである。所望の最終の層厚、即ち延伸ブローされた成形体のバリヤー層及びカバー層の所望の層厚に応じて、バリヤー層及びカバー層は相応して厚く塗布すべきである。従ってこの場合には、個々の成分の多数回(繰り返し)施与又は高濃度の使用が有利でありうる。このプリフォームは通常は直ちには延伸ブロー成形装置中で加工されないので、被覆の施与の速度は充填装置(Befuellanlage)の速度に無関係である。従って、このプリフォームは、他の技術、例えば浸漬によって被覆することもできる。
【0134】
カバー層の組成物は有利に均一に延伸可能であり、この特性は、延伸された容器の大きさに応じて10倍も延伸されるプリフォームの被覆の場合に殊に有利である。本発明の特別な1態様によれば、概念「均一に延伸可能な」とは、被覆に対して平行して10倍も延伸される成形体の架橋されていないカバー層の最大層厚が、最少層厚よりも有利に最大で5μm、特に好ましくは最大で2μm、かつ全く特別好ましくは最大で1μm厚いことを意味する。この特性は、一般に、バリヤー層と非常に相容性である架橋可能なポリマーによって得られる。殊に先に記載の架橋可能なポリビニルアセタールがこれに属する。
【0135】
カバー層の組成物のガラス転移温度、殊にカバー層の組成物中に含有しうる架橋可能なポリマーのガラス転移温度は、基材層の加工温度より低い又は同じであるのが有利である。特別な1態様によれば、カバー層の組成物のガラス転移温度、殊にカバー層の組成物中に含有しうる架橋可能なポリマーのガラス転移温度は、120℃以下、殊に110℃以下、特に好ましくは100℃以下である。このガラス転移温度は、示差走査熱量測定法(DSC)により測定することができる。この特性は、殊にプリフォームの被覆の場合に有利である。ガラス転移温度は、本発明の目的のために、架橋可能な基を有する全ての有機ポリマー、殊にポリビニルアセタール及び/又はアクリルポリマーに近似的に当てはまるフォックス−式の使用下に査定することができる。
【0136】
このフォックス−式の内容は、次のとおりである:
1/T=x/Tg1+x/Tg2+x/Tg3+・・・・
[式中、
はコポリマーのガラス転移温度、
g1はコポリマーの第1モノマーから製造されているホモポリマーのガラス転移温度、
g2はコポリマーの第2モノマーから製造されているホモポリマーのガラス転移温度、Tg3はコポリマーの第3モノマーから製造されているホモポリマーのガラス転移温度、
はコポリマー中の第1モノマーの質量割合、
はコポリマー中の第2モノマーの質量割合及び
はコポリマー中の第3モノマーの質量割合である]。4種以上のコモノマーの使用の場合には、前記式は相応して拡大する。このフォックス−式は、Bull.Am.Phys.Soc.1,123(1956)中に記載されており、この際、これらが参照される。この場合にこの温度はケルビンで記載される。
【0137】
有利に、架橋されたカバー層は、瓶詰め装置による機械的荷重の後にバリヤー改善ファクターの減少を全く示さない。本発明の特別な1態様によれば、このバリヤー改善ファクターは、有利に最大20%、殊に最大10%、特に好ましくは最大5%(瓶詰め装置による機械的荷重の前のバリヤー改善ファクターに対して)だけ減少する。
【0138】
架橋されたカバー層は、優れた耐引掻き性を有する。この耐引掻き性は、DIN53754によるテーバー試験(Taber−Test)により測定することができる。この場合に、CS17型摩擦ロール及びFirma Taber Industries社のModell 5131の試験装置の使用下での1000gの荷重で、600回転後の摩耗量は30mgより小さい、殊に20mgより小さい、特に好ましくは15mgより小さい。300回転後に、この摩耗量は特に12mgより小さい、殊に8mgより小さい。1000回転後に、この摩耗量は特に40mgより小さい、殊に30mgより小さい、かつ特に好ましくは25mgより小さい。
【0139】
本発明によるプラスチック−成形体の可能な使用分野は、当業者には直ちに明らかである。これは、殊にガス敏感な物質、殊に炭酸含有及び/又は酸化敏感な液体の貯蔵のために好適である。本発明の全く特別有利な1実施形によれば、このプラスチック−成形体は、ガス敏感な食料品、適切に、特に炭酸含有飲料、殊にビール又はビール含有飲料の貯蔵のために使用される。
【0140】
次の実施例及び比較例につき本発明を詳述するが、本発明の思想はこれらのみに限定されるべきものではない。
【0141】
例1
PET−プリフォーム28gから慣用の方法でブロー成形された未処理の0.5リットルPET−ボトルを、差し当たりポリビニルアルコール((R)Mowiol 28−99、Firma Kuraray Specialities Europe GmbH)の5質量%水溶液中に浸漬させる。過剰の物質の分離除去の後に、ボトルを循環空気乾燥箱中、50℃で4時間乾燥させる。引き続き、このボトルを、所定の詳細規定を満足し、溶剤を含有せず、ポリビニルアルコール−含有バリヤー層上に付着する、カバー層の市販のUV−硬化性組成物で被覆する(1ボトル当たりの塗布量0.1〜0.15g)。その後、このボトルを酸素含有雰囲気下にUV−光(10cm管、電力120W/cm、Firma Dr.Hoenle AG)で30秒間露光させ、これにより硬化させる。
【0142】
次いで、この被覆されたPET−ボトルに、瓶詰め装置中で水を充填する。この装置を通った後に、ボトルをカバー層の引掻きに関して評価し、引き続き、水中で7日間貯蔵する。この水中貯蔵の後にカバー層の品質を評価する。結果は次の第1表に示されている。
【0143】
比較例1
PET−プリフォーム28gから慣用の方法でブロー成形された未処理の0.5リットルPET−ボトルを、差し当たりポリビニルアルコール((R)Mowiol 28−99、Firma Kuraray Specialities Europe GmbH)の5質量%水溶液中に浸漬させる。過剰の物質の分離除去の後に、ボトルを循環空気乾燥箱中、50℃で4時間乾燥させる。引き続きこのボトルを、10質量%ポリビニルブチラール溶液((R)Mowital B 30H,Firma Kuraray Specialities Europe GmbH)中に浸漬させる。その後、改めて乾燥箱中、50℃で乾燥させる。
【0144】
次いで、この被覆されたPET−ボトルに、瓶詰め装置中で水を充填する。この装置を通った後に、ボトルをカバー層の引掻きに関して評価し、引き続き水中で7日間貯蔵する。この水中貯蔵の後に、カバー層の品質を評価する。結果は次の第1表に記載されている。
【0145】
【表1】

【0146】
例2
US4965313による架橋可能な基を有するポリビニルブチラールの製造
ポリビニルブチラール(Mowital(R)B60T)1000gを、脱イオン水1.8リットル中に懸濁させる。この懸濁液に、絶えず撹拌しながら、85%燐酸2g、ヒドロキノンモノメチルエーテル6g及びN−ヒドロキシメチルアクリルアミド300gを含有する溶液1リットルを加える。この懸濁液を更に30分間撹拌し、引き続き濾過する。このようにして得られた固体を、引き続き50℃で10時間乾燥させる。精製のために、粗生成物を水で数回洗浄し、改めて乾燥させる。
【0147】
カバー層の製造のための、架橋可能な基を有するポリビニルブチラールの使用
架橋可能な基を有するポリビニルブチラール10gをエタノール90g中に溶かす。この溶液に、光開始剤(Irgacure(R)184−Ciba)400mgを添加する。この溶液を、例1による成分を含有するバリヤー層を有する基材上に適用する。乾燥及び溶剤の除去の後に、UV−線(Hg−中圧照射装置/電力消費120W)を用いる硬化を2分間行う。
【0148】
比較例2
本質的に例2を繰り返すが、ここでは変性されたポリマーの代わりに、Mowital(R)B60Tを使用した。
【0149】
カバー層を備えている基材を、テーバー試験に供し、この際、試験を、1000gの荷重で、CS17型の摩擦ロール及びFirma Taber Industries 社の試験装置Modell 5131の使用下に実施した。100、300、600、800及び1000回転の後に摩耗量を測定した。得られた結果は第1表中に記載されている。
【0150】
例3
本質的に例2を繰り返すが、ここでは、Irgacure(R)184(Ciba)の代わりにベンゾフェノン(Darocur(R)BP−Ciba)を使用した。
【0151】
カバー層を備えている基材を、テーバー試験に供し、この際、試験を、1000gの荷重で、CS17型の摩擦ロール及びFirma Taber Industries 社の試験装置Modell 5131の使用下に実施した。100、300、600、800及び1000回転の後に摩耗量を測定した。得られた結果は第1表中に記載されている。
【0152】
例4
本質的に例2を繰り返すが、ここでは、Irgacure(R)184(Ciba)の代わりにIrgacure(R)500(Ciba)を使用した。
【0153】
例5
本質的に例2を繰り返すが、ここでは、Irgacure(R)184(Ciba)の代わりにIrgacure(R)2959−(Ciba)を使用した。
【0154】
例6
本質的に例2を繰り返すが、ここでは、Irgacure(R)184(Ciba)の代わりにDarocur(R)1173−(Ciba)を使用した。
【0155】
例7
例2による架橋可能な基を有するポリビニルブチラール10g及びTPGDA(トリプロピレングリコールジアクリレート)10gをエタノール80g中に溶かす。この溶液に、光開始剤(Irgacure(R)184−Ciba)400mgを添加する。この溶液を、例1による成分を含有するバリヤー層を有する基材上に適用する。乾燥及び溶剤の除去の後に、UV−線(Hg−中圧照射装置/電力消費量120W)を用いて2分間硬化させる。
【0156】
カバー層を備えている基材を、テーバー試験に供し、この際、試験を、1000gの荷重で、CS17型の摩擦ロール及びFirma Taber Industries 社の試験装置Modell 5131の使用下に実施した。100、300、600、800及び1000回転の後に摩耗量を測定した。得られた結果は第1表中に記載されている。
【0157】
例8
本質的に例7を繰り返すが、ここではTPGDAの代わりに、架橋可能であるDPGDA(ジプロピレングリコールジアクリレート)を使用した。
【0158】
例9
本質的に例7を繰り返すが、ここではTPGDAの代わりに、3官能性のアクリレート−TMPTA(トリメチロールプロパントリ−アクリレート)−を付加的架橋のために使用した。
【0159】
例10
本質的に例7を繰り返すが、ここではTPGDAの代わりに、5官能性のアクリレート−DPPA(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート)−を付加的架橋のために使用した。
【0160】
例11
本質的に例7を繰り返すが、ここではTPGDAの代わりに、DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)を付加的架橋のために使用した。
【0161】
例12
例2による架橋可能な基を有するポリビニルブチラール10g、TPGDA(トリプロピレングリコールジアクリレート)9.5g及びDPHDA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)0.5gをエタノール80g中に溶かす。この溶液に、光開始剤(Irgacure(R)184−Ciba)400mgを添加する。この溶液を、例1による成分を含有するバリヤー層を有する基材上に適用する。乾燥及び溶剤の除去の後にUV−線(Hg−中圧照射装置/電力消費120W)を用いる硬化を2分間行う。
【0162】
カバー層を備えている基材を、テーバー試験に供し、この際、試験を、1000gの荷重で、CS17型の摩擦ロール及びFirma Taber Industries 社の試験装置Modell 5131の使用下に実施した。100、300、600、800及び1000回転の後に摩耗量を測定した。得られた結果は第1表中に記載されている。
【0163】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層、ポリビニルアルコールを含有するバリヤー層及びカバー層を有するプラスチック−成形体において、カバー層は架橋可能な化合物を含有することを特徴とする、プラスチック−成形体。
【請求項2】
カバー層は、架橋可能な化合物少なくとも10質量%を含有することを特徴とする、請求項1に記載のプラスチック成形体。
【請求項3】
化合物は、UV−線照射により架橋可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方プラスチック成形体。
【請求項4】
架橋可能な化合物は、常圧(1023ミリバール)で120℃以上の沸点を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載のプラスチック成形体。
【請求項5】
架橋可能な化合物は、100g/モルより大きい分子量を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載のプラスチック成形体。
【請求項6】
架橋可能な化合物は、式:
【化1】

[式中、基R1*はそれぞれ独立して、水素及び/又は炭素原子数1〜8を有するアルキル基、有利にはメチルを表し、R2*はそれぞれ独立して、水素及び/又は式
COOR’の基を表し、ここで、R’は水素又は炭素原子数1〜10を有するアルキル基又は炭素原子数6〜12を有するアリール基を表し、Xは独立して、酸素、硫黄又は式NR”の基を表し、ここでR”は水素、炭素原子数1〜10を有するアルキル基又は炭素原子数6〜12を有するアリール基を表す]の基を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載プラスチック成形体。
【請求項7】
架橋可能な化合物は、式:
【化2】

【化3】

【化4】

[式中、基Rは単結合又は12〜1000g/モルの範囲の分子量を有する少なくとも2結合性の基を表し、nは1以上の整数であり、基R’、R”又はR’”は、独立して、水素、炭素原子数1〜20、殊に1〜4を有するアルキル基、例えばメチル又はエチル及び/又は炭素原子数6〜24、殊に6〜12を有するアリール基、例えばフェニル又はトリルを表し、基Xはアニオンを表す]の基を有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載プラスチック成形体。
【請求項8】
架橋可能な化合物は、アクリル化合物及び/又はポリビニルアセタールから生じていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載プラスチック成形体。
【請求項9】
成形体は、全質量に対して少なくとも80質量%のポリエチレンテレフタレートを含有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載プラスチック−成形体。
【請求項10】
成形体は、プラスチック容器用のプリフォームであることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載プラスチック−成形体。
【請求項11】
ポリビニルアルコールは、
a)式(2):
【化5】

[式中、Rは水素又はメチルを表す]の構造単位 15.0〜99.9質量%
b)式(3):
【化6】

[式中、Rは炭素原子数1〜6を有するアルキル基を表す]の構造単位 0.0〜50.0質量%
c)式(4):
【化7】

[式中、R、R、R及びRは、それぞれ相互に独立して、1〜500g/モルの範囲の分子量を有する基を表す]の構造単位 0.0〜50.0質量%
(それぞれ、ポリビニルアルコールの全質量に対する)
を包含することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載プラスチック−成形体。
【請求項12】
ポリビニルアルコールは、それぞれ、式(2)、(3)及び(4)の構造単位の含分に対して、水素に等しいR、R、R及びRを有する式(4)の構造単位1〜19モル%及び水素に等しいRを有する式(2)の構造単位75〜99モル%を含有するエチレン−ビニルアルコール−コポリマーであることを特徴とする、請求項11に記載のプラスチック−成形体。
【請求項13】
式(2)及び(3)の構造単位の総数に対する式(3)の構造単位の総数は20モル%より小さいことを特徴とする、請求項11及び/又は12に記載のプラスチック−成形体。
【請求項14】
基材層、ポリビニルアルコールを含有するバリヤー層及びカバー層を有するプラスチック−成形体において、カバー層は、次の成分:
A) 式(1)
【化8】

[式中、Rは水素又はメチル基を表し、Rは水素又はカルボキシル基を表し、Xは酸素、硫黄及び/又は式NR”の基を表し、ここで、基R”は水素又は炭素原子数1〜10を有するアルキル基又は炭素原子数6〜12を有するアリール基を表す]の基少なくとも1個を有する(メタ)アクリル−官能化オリゴマー又はポリマー少なくとも1種
5〜100質量%
B) 式(1)の基少なくとも1個を有する(メタ)アクリル−モノマー少なくとも1種
0.0〜70.0質量%及び
C) B)とは異なるエチレン系−不飽和モノマー少なくとも1種
0.0〜30.0質量%
(この際、数値は、それぞれアクリル−組成物の全質量に対し、かつA)、B)及びC)の割合の合計は100.0質量%になる)
を含有するアクリル−組成物を包含することを特徴とする、プラスチック−成形体。
【請求項15】
成分A)〜C)の化合物少なくとも1種は、2個のエチレン系不飽和基を有することを特徴とする、請求項14に記載のプラスチック−成形体。
【請求項16】
(メタ)アクリル−官能化オリゴマー/ポリマーは、
A) 式(17)又は(18):
【化9】

[式中、X及びYはそれぞれ相互に独立して、単結合又は14〜1000g/モルの範囲の分子量を有する2結合性の基を表し、式中、Zは1〜1000g/モルの範囲の分子量を有する基を表し、かつ式中、Rは少なくとも1個の繰り返し構造単位から構成されているオリゴマー又はポリマー基を表す]の化合物であることを特徴とする、請求項14又は15に記載のプラスチック−成形体。
【請求項17】
はポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステル又はポリ(メタ)アクリレートから生じていることを特徴とする、請求項16に記載のプラスチック−成形体。
【請求項18】
少なくとも1種の(メタ)アクリル−モノマーB)は、式(19):
【化10】

[式中、基R10は、1〜10000g/モルの範囲の分子量を有する基を表す]に対応することを特徴とする、請求項14から17までのいずれか1項に記載のプラスチック−成形体。
【請求項19】
(メタ)アクリル−モノマーB)は、
B−1) 1分子当たり正確に1個の式(1)の基を有する1官能性(メタ)アクリル−モノマー少なくとも1種 80.0〜99.9質量%及び
B−2) 1分子当たり少なくとも2個の式(1)の基を有する二官能性又は多官能性(メタ)アクリル−モノマー少なくとも1種 0.1〜20.0質量%
(この際、数値は、それぞれ(メタ)アクリル−モノマーB)の全質量に関連し、配分B−1)とB−2)の合計は100.0質量%になる)
を含有する混合物から成っていることを特徴とする、請求項14から18までのいずれか1項に記載のプラスチック−成形体。
【請求項20】
バリヤー層及び/又はカバー層は、少なくとも1種の顔料及び/又は少なくとも1種の染料を含有することを特徴とする、請求項1から19までのいずれか1項に記載のプラスチック−成形体。
【請求項21】
バリヤー層及び/又はカバー層は、少なくとも1種のポリビニルアセタールを含有することを特徴とする、請求項1から20までのいずれか1項に記載のプラスチック−成形体。
【請求項22】
バリヤー層及び/又はカバー層は、珪素ベースの架橋可能な及び/又は架橋した粒子(ナノ粒子)を含有することを特徴とする、請求項1から21までのいずれか1項に記載のプラスチック−成形体。
【請求項23】
請求項1から22までのいずれか1項に記載のプラスチック−成形体のカバー層の架橋可能な化合物の架橋によって得られる、プラスチック−成形体。
【請求項24】
カバー層の架橋可能な化合物は、120℃より低いDSCによるガラス転移温度を有することを特徴とする、請求項23に記載のプラスチック−成形体。
【請求項25】
カバー層は、30mgより小さい、テーバー試験DIN53754による600回転後の摩耗量を有することを特徴とする、請求項23又は24に記載のプラスチック−成形体。
【請求項26】
カバー層は、1〜5μmの範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項23から25までのいずれか1項に記載のプラスチック−成形体。
【請求項27】
バリヤー層は、1〜5μmの範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項23から25までのいずれか1項に記載のプラスチック−成形体。
【請求項28】
プラスチック−成形体を、先ずポリビニルアルコールで、次いで少なくとも1種の架橋可能な化合物を含有する被覆組成物で被覆することを特徴とする、請求項1から22までのいずれか1項に記載のプラスチック−成形体の製造法。
【請求項29】
プラスチック−成形体を、浸漬、吹き付け塗装、フローコーテイング、スプレー及び/又は静電気的スプレーによって被覆することを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
炭酸含有及び/又は酸化敏感な液体の貯蔵のための、請求項1から22までのいずれか1項に記載のプラスチック−成形体の使用。

【公表番号】特表2006−517479(P2006−517479A)
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501722(P2006−501722)
【出願日】平成16年2月4日(2004.2.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000984
【国際公開番号】WO2004/069906
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(505220930)クラレイ スペシャリティーズ ヨーロッパ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (8)
【Fターム(参考)】