説明

プラズマキーホール溶接のバックシールド方法及びプラズマキーホール溶接装置

【課題】バックシールド治具に不活性ガスを充満させて裏波ビードの酸化を防止し、裏波ビード形状を安定できるプラズマキーホール溶接のバックシールド方法及びプラズマキーホール溶接装置を提供する。
【解決手段】バックシールド治具9とワーク2の間に隙間を設けて、治具9内の余剰な不活性ガスと、トーチ54からのプラズマ流をスムーズに外部に排出することにより、開先部21での上下からのガスの衝突を防止でき、スムーズにプラズマが開先部21を通過できる。これにより良好なプラズマアーク形状を得ることができ、酸化を防止しながら安定した裏波ビードを形成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は金属板を突き合わせて、その開先部分を溶接するプラズマキーホール溶接のバックシールド方法およびプラズマキーホール溶接装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来レーザー溶接では特許文献1のようにバックシールド治具を設置し、その中にバックシールドガスとして不活性ガスを噴出して裏波ビードの酸化を防止する技術が用いられている。
また、管材をプラズマキーホール溶接する場合は、特許文献2のように、溶接される管材の両端を塞いで内部に不活性ガスを充填して溶接する方法などが採用されている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−215870号公報(段落0008)
【特許文献2】特開平8−25052号公報(段落0008)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
厚板を突き合わせて裏波溶接するプラズマキーホール溶接において、特許文献1のような治具を用いて、治具内部に不活性ガスを充満すると、治具内に溜まった不活性ガスの逃げ場が無く、トーチからのプラズマの噴射が被溶接ワークの開先部をストレス無く貫通できない、或いはプラズマの一部が治具内に滞留している不活性ガスによって上方に跳ね返され、裏波ビードが適当に形成できない、従って、溶接品質を一定に保てないという問題があった。
また、特許文献2のように管の内部に不活性性ガスを充填するためには大量の不活性ガスを必要として費用がかかる。また、溶接前に不活性ガスを管内全体に充填するのに長時間かかるという経済性及び生産性上の問題があった。
【0005】
この発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、プラズマキーホール溶接でも治具に不活性ガスを充満させて裏波ビードの酸化を防止し、裏波ビード形状を安定できるプラズマキーホール溶接のバックシールド方法及びプラズマキーホール溶接装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るプラズマキーホール溶接のバックシールド方法は、トーチからプラズマを噴射して、突き合わせた被溶接ワーク間の開先を溶接するプラズマキーホール溶接において、被溶接ワークの反トーチ側の開先に沿って延在し、開先に正対する面に開先の幅より広い溝部を有するバックシールド治具を、溝部の縁が被溶接ワークに対して所定の隙間を保持するように設置し、バックシールド治具の溝部内に不活性ガスを噴射しながら被溶接ワークを溶接するものである。
【0007】
また、この発明に係るプラズマキーホール溶接装置は、トーチからプラズマを噴射して、突き合わせた被溶接ワーク間の開先を溶接するプラズマキーホール溶接装置において、
被溶接ワーク間の開先をトーチに正対させながら、被溶接ワークを所定のスピードで移動させるワーク搬送手段と、
被溶接ワークの反トーチ側の開先に沿って延在し、開先に正対する面に開先の幅より広い溝部を有するバックシールド治具と、
このバックシールド治具の溝部に不活性ガスを噴射する不活性ガス噴射手段と、
バックシールド治具を、溝部の縁が被溶接ワークから所定の隙間を保持しながら被溶接ワークの移動に追従するよう搬送するバックシールド治具搬送手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係るプラズマキーホール溶接のバックシールド方法は、トーチからプラズマを噴射して、突き合わせた被溶接ワーク間の開先を溶接するプラズマキーホール溶接において、被溶接ワークの反トーチ側の開先に沿って延在し、開先に正対する面に開先の幅より広い溝部を有するバックシールド治具を、溝部の縁が被溶接ワークに対して所定の隙間を保持するように設置し、バックシールド治具の溝部内に不活性ガスを噴射しながら被溶接ワークを溶接するものなので、トーチからのプラズマの噴射が、スムーズに被溶接ワークの開先部を貫通し溶接後に良好な裏波ビード形状を得ることができる。
また、溶接中に溶融金属が空気から十分遮断されるので、被溶接ワークの溶接部分に添加金属が酸化して析出することに起因するブローホールやスラグ巻き込み、溶接割れ等の発生を防止できる。
また、不活性ガスの充填時間を短縮し、使用量を削減できるのでプラズマキーホール溶接作業の経済性、生産性を向上できる。
【0009】
また、この発明に係るプラズマキーホール溶接装置は、トーチからプラズマを噴射して、突き合わせた被溶接ワーク間の開先を溶接するプラズマキーホール溶接装置において、
被溶接ワーク間の開先をトーチに正対させながら、被溶接ワークを所定のスピードで移動させるワーク搬送手段と、
被溶接ワークの反トーチ側の開先に沿って延在し、開先に正対する面に開先の幅より広い溝部を有するバックシールド治具と、
このバックシールド治具の溝部に不活性ガスを噴射する不活性ガス噴射手段と、
バックシールド治具を、溝部の縁が被溶接ワークから所定の隙間を保持しながら被溶接ワークの移動に追従するよう搬送するバックシールド治具搬送手段とを備えたものなので、トーチからのプラズマの噴射が、スムーズに被溶接ワークの開先部を貫通し溶接後に良好な裏波ビード形状を得ることができる。
また、溶接中に溶融金属が空気から十分遮断されるので、被溶接ワークの溶接部分に添加金属が酸化して析出することに起因するブローホールやスラグ巻き込み、溶接割れ等の発生を防止できる。
また、不活性ガスの充填時間を短縮し、使用量を削減できるので経済性、生産性の高いプラズマキーホール溶接装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1を図に基づいて説明する。
まず、この発明によるプラズマキーホール溶接機の機能の概略を説明する。
図1は、本発明を高張力鋼板の管材の溶接に適用したプラズマキーホール溶接装置1(以下、溶接装置1という)の側断面図である。図2はこの溶接装置1を用いて溶接するワーク2の横断面図である。図7は、高張力鋼板からパイプを製造するまでの手順を示すフローチャートである。
図7に示すように、溶接の前工程で長方形の高張力鋼板の厚板(5mm以上の厚さがあれば良い)をプレス又はロール、あるいはその両方を用いて図2のようなオープンパイプ状に成形した溶接前のワーク2を製造しておき、図1に示す溶接装置1を用いて、ワーク2の外側から、突き合わせた開先部21をプラズマキーホール溶接し、1本のパイプを製造する。
【0011】
図1に基づいて、溶接装置1の概略構成を説明する。
溶接装置1は、溶接前のワーク2を載置する投入側ワーク載置台3と、溶接済みのワーク2を載置する排出側ワーク載置台4、実際の溶接工程を司るトンネル溶接機構5と、溶接時にワーク2(パイプ)の内側から溶接中のワーク2の開先部21をバックシールドするバックシールド機構6、そして、投入側ワーク載置台3上のワーク2をトンネル溶接機構5に挿入し、排出側ワーク載置台4に排出する押し込み機構7から成る。
【0012】
更に、溶接装置1を構成する主要機構の詳細を各図に基づき工程に沿って説明する。
図1に示すように、まず投入側ワーク載置台3上にパイプ状のワーク2を、溶接する開先部が真上になるように載置する。次に、押し込み機構7の押圧板71によりトンネル溶接機構5にワーク2を挿入するのであるが、押圧板71は図示しないサーボモータ等で駆動され、ワーク2を図1の右側から左側に押し進める。
【0013】
トンネル溶接機構5は、ワーク2をスムーズに同機構内部に挿入するため設けられたテーパ部51と、ワーク2がテーパ部51へ挿入される時に、ワーク2の最上部に開いた開先部21に挿入してワーク2の周方向への回転を防止する回転防止ガイド52と、溶接時にワーク2の形状を規制し、支持するトンネル金型53と、ワーク2の真上から高温のプラズマを噴射してワーク2をプラズマキーホール溶接するトーチ54とからなる。図1は、押圧板71によって左方向に押されたワーク2の左端が、ワーク2の開先部21に回転防止ガイド52を挿入した状態でテーパ部51に接触した状態を示している。
【0014】
さて、ワーク2は先述のように、1枚の高張力鋼板をパイプ状に曲げてあるが、図2に示すように、溶接を施す開先部21は実際の溶接時の間隔より広がっている。従って、トンネル金型53に挿入する前のワーク2の横断面は真円ではなく、その直径は溶接後のパイプより大きくなっていて、そのままではトンネル金型53に直接挿入することができない。そこで、トンネル金型53の直前(図の左側)に隣接して、トンネル金型53側の内径がトンネル金型53の内径と等しく、押し込み機構7側に次第に内径が広くなるテーパ部51を設置してある。
【0015】
押圧板71によって押されたワーク2は、テーパ部51の内側の傾斜に沿って外径を縮められながら整形され、トンネル金型53内部に押し込まれる。そしてワーク2の先端が溶接用のトーチ54の真下である溶接開始位置に到達すると、押し込み機構7は一時停止する。図3は、このようにしてトーチ54の真下でワーク2が停止した状態にある溶接装置1の側断面図である。
【0016】
バックシールド機構6は、ワーク2の内側の開先部を溶接時に空気からシールするバックシールド治具9(以後、単に治具9という)と、この治具9を上に載せて、図1左右方向にスライドするスライド機構62と、このスライド機構62と共に治具9の高さを調整する高さ調整機構61とからなる。
【0017】
ワーク2の左端がトーチ54の真下に達したところで押し込み機構7が一時停止すると、図4に示すように、スライド機構62のスライドテーブル63がワーク2内部に向かって伸長し、スライドテーブル63の右端が押圧板71に突き当って停止する。
スライドテーブル63の駆動は図示しないが、圧搾空気やサーボモータによっておこなわれる。
【0018】
スライドテーブル63が押圧板71に突き当たって停止すると、スライド機構62の下面を支え、当該機構の高さを調節する高さ調整機構61が作動する。高さ調整機構61は治具9とワーク2の間の隙間が所定の値になるようにスライド機構62を上昇させる。この隙間の機能の詳細については後述する。
【0019】
図4は、ワーク2が溶接開始位置にあり、治具9が所定の位置にセットされた状態を示している。この位置から、治具9内にバックシールドガスを噴射充満し、押し込み機構7でワーク2を順次左方向へ押し込みながら開先部21を連続して溶接する。この時、スライド機構62の動力は切断されており、押圧板71による押圧を受けて、治具9もワーク2と共に図4左方向に移動する。ワーク2の右端まで溶接を終えると、スライド機構62によりスライドテーブル63とその上に載置された治具9をワーク2内から抜き出し、押し込み機構7でワーク2を完全に排出側ワーク載置台4に払い出す。
【0020】
以上、各機構の動作を、ワーク2と各機構との位置関係を中心に説明した。次に、本発明によるプラズマキーホール溶接について図5、図6に基づいて説明する。図5は溶接中の溶接装置1をトーチ54の位置でワーク2長手方向垂直に切断した断面図である。治具9は、開口部を上に向けて溝型形状をしており、両側壁の中には、治具9の長手方向に伸びるガス管94が形成されている。また、このガス管94は、所定の間隔をあけて複数のガス噴射口95に接続されている。ガス噴射口95は治具9の内壁面から水平方向に向けて開口していて、溶接時に治具9内に不活性ガス、例えばアルゴンガスを噴射する。治具9とワーク2の間には先述のように所定の隙間を設けてある。また、治具9の左端部は溝側壁と同じ高さまで閉じている。端部からのガスの大量流出を防止するためである。
【0021】
次に、この隙間の効果を、隙間の有無の各場合に言及しながら説明する。
図6はレーザ溶接装置などの従来例における、図5と同じ部分の断面を示す図である。バックシールド治具109(以下治具109と言う)はワーク102に密着している。これをプラズマキーホール溶接に適用すると、トーチ154から噴射されるプラズマの流れ(以下、プラズマ流2aという)は、次の2点においてバックシールドガスの影響を受ける。
【0022】
まず、治具109内に形成されたバックシールドガス用のガス噴射口195がトーチ154の真下となるような場所にある場合は、下方からのバックシールドガス流2bが、トーチ154から噴射されるプラズマ流2aと衝突し、その流れに沿って発生するプラズマアークの形状を不安定にする。次に、例え噴射口195からのバックシールドガスが直接トーチ154からのプラズマ流2aと衝突しなくとも、バックシールドガスの逃げ場は未だ溶接されていない開先部121しかなく、そこから上方へ抜けようとするバックシールドガスが上方からのプラズマ流2aと開先部121近傍で衝突し、プラズマ流2aの一部は上方に跳ね返される。そしてプラズマアークの形状が不安定となり、結果的に安定した裏波ビード形状を得ることができない。そこで本発明ではバックシールド治具9とワーク2の間に所定の隙間を開けるようにした。
【0023】
再度、図5を用いて本発明における隙間の機能を説明する。治具9の両壁面に設けたガス噴射口95から治具9内部へ向けて、水平方向に噴射されたバックシールドガス流bは互いに治具9内で衝突し、直接トーチ54から噴射されるプラズマの流れ(以下プラズマ流aという)と正面から衝突しない。また治具9とワーク2の間に隙間があるので、治具9内のバックシールドガス流bは、図のようにこの隙間から外部に排出できる。また、開先部21を通過したプラズマ流aもバックシールドガス流bに沿って、この治具9とワーク2の間の隙間を通って外部に排出されるので、先述したような、プラズマ流aが下方からのシールドガス流bによってワーク2の開先部21近傍で衝突しワーク2の上方に跳ね返されるような不具合は発生しない。
従って、プラズマ流aに沿ってトーチ54とワーク2の開先部21の間で発生するプラズマアークの形状を良好に保つことができる。
【0024】
なお、この隙間の高さは、プラズマ流aとバックシールドガス流bが、隙間部分で層流cとなって流出する程度が理想である。隙間から流出するガス流は、完全に層流とならなくても、治具9外の空気を治具9内に巻き込まない程度であればよい。治具9内のガスの流れは、隙間の高さだけでなく、プラズマ流aとバックシールドガス流bの流量によっても影響される。高さ調整機構61によって、ガス流が多い場合は隙間を大きく、少ない場合は隙間を小さくして、隙間からスムーズにガスが外部へ流出するように調整すればよい。
【0025】
このように、この実施の形態に係る発明によれば、トーチ54からのプラズマの噴射が、スムーズにワーク2の開先部21を貫通し、バックシールド治具9内の余剰ガスがスムーズに外部に排出できるので、溶接後に良好な裏波ビード形状を得ることができる。
また、溶接中に溶融金属が空気から十分遮断されるので、ワークの溶接部分に添加金属が酸化して析出することに起因するブローホールやスラグ巻き込み、溶接割れ等の発生を防止できる。
また、ワーク2内部全体に不活性ガスを充填する必要がなく、ガスの充填時間を短縮し、使用量を削減できるのでプラズマキーホール溶接作業の経済性、生産性を向上できる。
【0026】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2を説明する。
図8はこの実施の形態におけるバックシールド治具209(以下治具209という)の側面図である。図9は、溶接開始時にあるプラズマキーホール溶接装置101の側断面図である。
実施の形態1では治具9とワーク2の間の隙間は自由に変更できた。しかしながら、ワークの長さが長くなればなるほど、治具も長いものが必要となり、隙間の高さを全体に渡って均等に保つことは難しくなる。
【0027】
そこで、本実施の形態では治具209の溝部の側壁上面に突起8を設け、これがワーク2の内壁に当たるまで、高さ調整機構61で治具209を上方へ押圧するように構成している。突起8の設置場所と数は、治具209とワーク2の内壁間の隙間を均一に保つことができれば特段の制限はない。
【0028】
これにより治具209とワーク2間の隙間は、最低限、突起8の高さ分を確保できるので、スムーズに治具209内の余剰なガスを排出でき、実施の形態1の効果に加えて、更に安定した品質の裏波ビード形状を得ることができる。
また隙間を突起8の高さ以上に広げることは実施の形態1と同様に可能なので、プラズマおよび不活性ガスの流量にフレキシブルに対応できる。
【0029】
実施の形態3.
実施の形態1では、ワーク2、209と治具9、209が溶接中に移動するように構成していたが、実施の形態3ではトーチを移動するものとする。
具体的には、実施の形態1における、押し込み機構7に代えて、トンネル溶接機構5に移動手段(図示しない)を備えるものとする。ワークが固定され、トーチが移動するものである。
これにより、実施の形態1及び2と同様の効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施の形態1のプラズマキーホール溶接装置1の側断面図である。
【図2】実施の形態1のプラズマキーホール溶接装置を用いて溶接するワーク2の横断面図である。
【図3】実施の形態1において、溶接開始位置まで押し込まれたワーク2とプラズマキーホール溶接装置1の側断面図である。
【図4】実施の形態1において、ワーク2が溶接開始位置にあり、治具9が所定の位置にセットされた状態のプラズマキーホール溶接装置1の側断面図。
【図5】実施の形態1の溶接中のプラズマキーホール溶接装置1の横断面図である。
【図6】従来例の治具を使用したプラズマキーホール溶接装置の横断面図である。
【図7】高張力鋼板を使用したパイプの製造工程のフローチャートである。
【図8】実施の形態2のバックシールド治具209の側面図である。
【図9】溶接開始時にある実施の形態2のプラズマキーホール溶接装置101の側断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1,101 プラズマキーホール溶接装置、2,102 ワーク、
21,121 開先部、3 投入側ワーク載置台、4 排出側ワーク載置台、
5 トンネル溶接機構、51 テーパ部、52 回転防止ガイド、53 トンネル金型、54,154 トーチ、6 バックシールド機構、61 高さ調整機構、
62 スライド機構、63 スライドテーブル、7 押し込み機構、71 押圧板、
8 突起、9,109,209 バックシールド治具、94,194 ガス管、
95,195 ガス噴射口、a,2a プラズマ流、b,2b バックシールドガス流、c 層流。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トーチからプラズマを噴射して、突き合わせた被溶接ワーク間の開先を互いに溶接するプラズマキーホール溶接において、前記被溶接ワークの反トーチ側の前記開先に沿って延在し、前記開先に正対する面に前記開先の幅より広い溝部を有するバックシールド治具を、前記溝部の縁が前記被溶接ワークに対して所定の隙間を保持するように設置し、前記バックシールド治具の前記溝部内に不活性ガスを噴射しながら前記被溶接ワークを溶接するプラズマキーホール溶接のバックシールド方法。
【請求項2】
前記バックシールド治具の前記溝部の縁上に凸部を設け、この凸部を前記被溶接ワークに押圧することにより前記隙間の高さを規制する請求項1に記載のプラズマキーホール溶接のバックシールド方法。
【請求項3】
前記不活性ガスは前記バックシールド治具の長手方向に、前記バックシールド治具に内蔵した配管と噴射口から前記溝部内に噴射する請求項1又は請求項2に記載のプラズマキーホール溶接のバックシールド方法。
【請求項4】
前記不活性ガスは前記トーチからの前記プラズマの噴射流と正対しないように噴射する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のプラズマキーホール溶接のバックシールド方法。
【請求項5】
前記被溶接ワーク間とは、1枚の長方形の鋼板を円筒状に丸めた時に相対する前記鋼板の2辺間である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のプラズマキーホール溶接のバックシールド方法。
【請求項6】
前記溝部の両端の少なくとも一方は閉じている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のプラズマキーホール溶接のバックシールド方法。
【請求項7】
トーチからプラズマを噴射して、突き合わせた被溶接ワーク間の開先を互いに溶接するプラズマキーホール溶接装置において、
前記被溶接ワーク間の前記開先を前記トーチに正対させながら、前記被溶接ワークを所定のスピードで移動させるワーク搬送手段と、
前記被溶接ワークの反トーチ側の開先に沿って延在し、前記開先に正対する面に前記開先の幅より広い溝部を有するバックシールド治具と、
このバックシールド治具の前記溝部に不活性ガスを噴射する不活性ガス噴射手段と、
前記バックシールド治具を、前記溝部の縁が前記被溶接ワークから所定の隙間を保持しながら前記被溶接ワークの移動に追従するよう搬送するバックシールド治具搬送手段とを備えたプラズマキーホール溶接装置。
【請求項8】
前記バックシールド治具の前記溝部の縁上に凸部を設け、この凸部を前記バックシールド治具搬送手段によって前記被溶接ワークに押圧することにより前記隙間の高さを規制する請求項7に記載のプラズマキーホール溶接装置。
【請求項9】
前記不活性ガスは前記バックシールド治具の長手方向に、前記バックシールド治具に内蔵した配管から前記溝部内に噴射する請求項7又は請求項8に記載のプラズマキーホール溶接装置。
【請求項10】
前記不活性ガスは前記トーチからの前記プラズマの噴射流と正対しないように噴射する請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載のプラズマキーホール溶接装置。
【請求項11】
前記ワーク搬送手段に代えて、前記トーチを前記被溶接ワークの開先に沿って移動しながら前記開先を溶接するトーチ移動手段を備えた請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載のプラズマキーホール溶接装置。
【請求項12】
前記被溶接ワーク間とは、1枚の長方形の鋼板を円筒状に丸めた時に相対する前記鋼板の2辺間である請求項7乃至請求項11のいずれか1項に記載のプラズマキーホール溶接装置。
【請求項13】
前記溝部の両端の少なくとも一方は閉じている請求項7乃至請求項12のいずれか1項に記載のプラズマキーホール溶接装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−82670(P2010−82670A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256113(P2008−256113)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】