説明

プラズマディスプレイパネルの駆動方法およびプラズマディスプレイ装置

【課題】黒面積が大きい画像を表示する際には表示画像の黒輝度を低減してコントラストを高め、黒面積が小さい画像を表示する際には書込み放電を安定に発生させて画像表示品質を高める。
【解決手段】初期化期間において所定の走査電極に強制初期化波形を印加し、他の走査電極に非初期化波形を印加する特定セル初期化サブフィールドと、初期化期間に選択初期化波形を全ての走査電極に印加する選択初期化サブフィールドとを設けるとともに、特定セル初期化サブフィールドと複数の選択初期化サブフィールドとを有する特定セル初期化フィールドを設け、画像表示面において輝度の階調値が所定値未満となる領域が占める割り合いを黒面積として算出し、黒面積が大きくなるにつれて強制初期化波形を走査電極に印加する頻度が低減されるように、強制初期化波形の発生頻度を黒面積の大きさに応じて変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁掛けテレビや大型モニターに用いられるプラズマディスプレイパネルの駆動方法およびプラズマディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(以下、「パネル」と略記する)として代表的な交流面放電型パネルは、対向配置された前面板と背面板との間に多数の放電セルが形成されている。前面板は、1対の走査電極と維持電極とからなる表示電極対が前面ガラス基板上に互いに平行に複数対形成され、それら表示電極対を覆うように誘電体層および保護層が形成されている。背面板は、背面ガラス基板上に複数の平行なデータ電極と、それらを覆うように誘電体層と、さらにその上にデータ電極と平行に複数の隔壁とがそれぞれ形成され、誘電体層の表面と隔壁の側面とに蛍光体層が形成されている。そして、表示電極対とデータ電極とが立体交差するように前面板と背面板とが対向配置されて密封され、内部の放電空間には、例えば分圧比で5%のキセノンを含む放電ガスが封入されている。ここで表示電極対とデータ電極とが対向する部分に放電セルが形成される。このような構成のパネルにおいて、各放電セル内でガス放電により紫外線を発生させ、この紫外線で赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色の蛍光体を励起発光させてカラー表示を行っている。
【0003】
パネルを駆動する方法としては一般にサブフィールド法が用いられている。サブフィールド法では、1フィールドを複数のサブフィールドに分割し、それぞれのサブフィールドで各放電セルの発光と非発光とを制御する。そして、1フィールドに発生する発光の回数を制御することにより階調表示を行う。
【0004】
各サブフィールドは、初期化期間、書込み期間および維持期間を有する。初期化期間では、各走査電極に初期化波形を印加し、各放電セルで初期化放電を発生させる。これにより、続く書込み動作のために必要な壁電荷を各放電セルに形成するとともに、書込み放電を安定して発生させるためのプライミング粒子(書込み放電を発生させるための励起粒子)を発生させる。
【0005】
書込み期間では、走査電極には走査パルスを順次印加し、データ電極には表示すべき画像信号に対応した書込みパルスを選択的に印加する。これにより、発光すべき放電セルにおいて、走査電極とデータ電極との間に書込み放電を発生させ、壁電荷を形成する(以下、この動作を「書込み」とも記す)。
【0006】
維持期間では、走査電極と維持電極とからなる表示電極対に、サブフィールド毎に定められた回数の維持パルスを交互に印加する。これにより、書込み放電による壁電荷形成が行われた放電セルで維持放電を発生させ、その放電セルの蛍光体層を発光させる。このようにして、パネルの画像表示領域に画像を表示する。
【0007】
パネルにおける画像表示品質を高める上で重要な要因の1つにコントラストの向上がある。そして、サブフィールド法の1つとして、階調表示に関係しない発光を極力減らしコントラスト比を向上させる駆動方法が開示されている。
【0008】
この駆動方法では、1フィールドを構成する複数のサブフィールドのうち、1つのサブフィールドの初期化期間では全ての放電セルに初期化放電を発生させる初期化動作を行う。また、他のサブフィールドの初期化期間では直前の維持期間で維持放電を行った放電セルに対して選択的に初期化放電を行う初期化動作を行う。
【0009】
維持放電を発生させない黒表示領域の輝度(以下、「黒輝度」と略記する)は画像の表示に関係のない発光、例えば、初期化放電によって生じる発光等によって変化する。しかし、上述の駆動方法では、黒表示領域における発光は全ての放電セルに初期化動作を行うときの微弱発光だけとなる。これにより、黒輝度を低減してコントラストの高い画像表示が可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
また、徐々に増加する緩やかな傾斜部分を持つ立ち上がり部と、徐々に減少する緩やかな傾斜部分を持つ立ち下がり部とを有する初期化波形を維持期間に放電した放電セルに印加する初期化期間を設け、かつ1フィールドの任意の初期化期間の直前に、全放電セルを対象として維持電極と走査電極の間で微弱放電を起こす期間を設けることで、黒輝度を下げて黒の視認性を向上させる技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−242224号公報
【特許文献2】特開2004−37883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように、例えば特許文献1に記載された技術では、全ての放電セルに初期化放電を発生させる初期化動作を1フィールドに1回にすることで、サブフィールド毎に全ての放電セルに初期化放電を発生させる場合と比較して、表示画像の黒輝度を下げ、コントラストを高めることができる。
【0013】
しかしながら、近年、パネルの大画面化、高精細化にともない画像表示品質の更なる向上が望まれている。
【0014】
本発明はこのような要望に鑑みなされたものであり、黒面積が大きい画像を表示する際には表示画像の黒輝度を低減してコントラストを高め、黒面積が小さい画像を表示する際には書込み放電を安定に発生させて画像表示品質を高めることができるパネルの駆動方法およびプラズマディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のパネルの駆動方法は、走査電極と維持電極とからなる表示電極対を有する放電セルを複数備えたパネルを、初期化期間と書込み期間と維持期間とを有するサブフィールドを1フィールド内に複数設けて階調表示するパネルの駆動方法であって、初期化期間において、直前のサブフィールドの動作にかかわらず放電セルに初期化放電を発生する強制初期化波形と、直前のサブフィールドの維持期間に維持放電を発生した放電セルだけに初期化放電を発生する選択初期化波形と、放電セルに初期化放電が発生しない非初期化波形とのいずれかを走査電極に印加し、初期化期間において所定の走査電極に強制初期化波形を印加し、他の走査電極に非初期化波形を印加する特定セル初期化サブフィールドと、初期化期間に選択初期化波形を全ての走査電極に印加する選択初期化サブフィールドとを設けるとともに、特定セル初期化サブフィールドと複数の選択初期化サブフィールドとを有する特定セル初期化フィールドを設け、パネルの画像表示面において輝度の階調値が所定値未満となる領域が占める割り合いを黒面積として算出するとともに、黒面積が大きくなるにつれて強制初期化波形を走査電極に印加する頻度が低減されるように、強制初期化波形の発生頻度を黒面積の大きさに応じて変更することを特徴とする。
【0016】
これにより、黒輝度を上昇させる主な要因の1つである強制初期化波形による初期化放電の発生頻度を表示画像に占める黒面積の大きさに応じて制御することが可能となる。したがって、パネルの画像表示面において暗い領域が占める割り合いが大きい画像を表示する際には、強制初期化波形による初期化放電の発生頻度を低減して表示画像の黒輝度を低減し、コントラストを高めることが可能となる。また、パネルの画像表示面において暗い領域が占める割り合いが小さい画像を表示する際には、強制初期化波形による初期化放電の発生頻度を上げて、書込み放電を安定に発生させることが可能となる。これにより、プラズマディスプレイ装置における画像表示品質を高めることが可能となる。
【0017】
また、このパネルの駆動方法においては、初期化期間に非初期化波形を発生して全ての走査電極に印加する非初期化サブフィールドと、初期化期間に強制初期化波形を発生して全ての走査電極に印加する全セル初期化サブフィールドとを設けるとともに、特定セル初期化フィールドに、非初期化サブフィールドと複数の選択初期化サブフィールドとを有する非初期化フィールドと、全セル初期化サブフィールドと複数の選択初期化サブフィールドとを有する全セル初期化フィールドとを加えた少なくとも3種類のフィールドを設け、3種類のフィールドのいずれか1種類またはいずれか2種類を用いて時間的に連続する複数のフィールドで1つのフィールド群を構成し、黒面積が大きくなるにつれて強制初期化波形を走査電極に印加する頻度が低減されるように、フィールド群を構成するフィールドの組み合わせを黒面積の大きさに応じて変更してもよい。これによっても、黒面積が大きい画像を表示する際には、強制初期化波形による初期化放電の発生頻度を低減し表示画像の黒輝度を低減してコントラストを高め、黒面積が小さい画像を表示する際には、強制初期化波形による初期化放電の発生頻度を上げて、書込み放電を安定に発生させることが可能となる。
【0018】
また、このパネルの駆動方法においては、複数の特定セル初期化フィールドを用いて構成されたフィールド群では、強制初期化波形を印加する走査電極の数がそれぞれの特定セル初期化サブフィールドで互いに等しくなるように強制初期化波形を発生してもよい。これにより、強制初期化波形により生じる初期化放電を各フィールドに分散することができるので、表示画像にちらつきが発生するのを防止することが可能となる。
【0019】
また、このパネルの駆動方法においては、黒面積の大きさが複数の数値範囲に分けられ、それぞれの数値範囲に対してフィールド群を構成するフィールドの組み合わせが設定されており、黒面積の大きさが、1つの数値範囲から、他の数値範囲に変化するときには、まず強制初期化波形の最大電圧を変化させ、次にフィールド群を構成するフィールドの組み合わせを変更する構成としてもよい。これにより、フィールド群を構成するフィールドの組み合わせを変更する際に、強制初期化波形による初期化放電の放電継続時間を徐々に変更して黒輝度を徐々に変化させることができるので、フィールドの組み合わせを変更する際に生じる黒輝度の変化を緩やかにして黒輝度の変化を認識されにくくし、画像表示品質をさらに高めることが可能となる。
【0020】
また、このパネルの駆動方法においては、黒面積の大きさが、1つの数値範囲から、その数値範囲に隣接する他の数値範囲に変化するときには、強制初期化波形の最大電圧を基準電圧値から所定電圧値まで所定の遷移期間をかけて徐々に変化させ、最大電圧が所定電圧値に到達した後に、フィールド群を構成するフィールドの組み合わせを変更すると同時に最大電圧を所定電圧値から基準電圧値に変化させ、黒面積の大きさが、1つの数値範囲から、その数値範囲に隣接する数値範囲を超えて他の数値範囲に変化するときには、最大電圧を変化させることなくフィールド群を構成するフィールドの組み合わせを変更する構成としてもよい。これにより、黒面積の大きさが緩やかに変化し、黒輝度の変化が認識されやすいときには、上述と同様に、フィールドの組み合わせを変更する際の黒輝度の変化を緩やかにして、黒輝度の変化を認識されにくくすることができるようになる。一方、黒面積の大きさが大きく変化し、黒輝度の変化が認識されにくく、フィールド群を構成するフィールドの組み合わせを速やかに変更することが望ましいときには、黒面積の大きさの変化にもとづき直ちにフィールドの組み合わせを変更することができるようになる。
【0021】
また、このパネルの駆動方法においては、上述のパネルを搭載したプラズマディスプレイ装置の動作時間の累積値を計測し、その累積値に応じて強制初期化波形の発生頻度を変更してもよい。これにより、動作時間の累積値に応じて放電特性に変化が生じるようなパネルを用いてプラズマディスプレイ装置を構成する場合でも、放電特性の変化に応じて、フィールド群を構成するフィールドの組み合わせを変更することが可能となる。
【0022】
本発明のプラズマディスプレイ装置は、初期化期間と書込み期間と維持期間とを有するサブフィールドを1フィールド内に複数設けて階調表示するサブフィールド法で駆動し、サブフィールドとして特定セル初期化サブフィールドと選択初期化サブフィールドを設けるとともに、特定セル初期化サブフィールドおよび複数の選択初期化サブフィールドを有する特定セル初期化フィールドを設けて駆動する、走査電極と維持電極とからなる表示電極対を有する放電セルを複数備えたパネルと、初期化期間に、直前のサブフィールドの動作にかかわらず放電セルに初期化放電を発生する強制初期化波形と、直前のサブフィールドの維持期間に維持放電を発生した放電セルだけに初期化放電を発生する選択初期化波形と、放電セルに初期化放電が発生しない非初期化波形とのいずれかを発生して走査電極に印加するとともに、特定セル初期化サブフィールドの初期化期間では、所定の走査電極には強制初期化波形を印加し、他の走査電極には非初期化波形を印加し、選択初期化サブフィールドの初期化期間では、選択初期化波形を全ての走査電極に印加する走査電極駆動回路と、輝度の階調値が所定値未満となる画素の数をそれぞれのフィールドで計数して黒面積を算出する黒面積算出回路とを備え、走査電極駆動回路は、黒面積算出回路において算出された黒面積が大きくなるにつれて強制初期化波形を走査電極に印加する頻度が低減されるように、強制初期化波形の発生頻度を黒面積の大きさに応じて変更することを特徴とする。
【0023】
これにより、黒輝度を上昇させる主な要因の1つである強制初期化波形による初期化放電の発生頻度を表示画像に占める黒面積の大きさに応じて制御することが可能となる。したがって、パネルの画像表示面において暗い領域が占める割り合いが大きい画像を表示する際には、強制初期化波形による初期化放電の発生頻度を低減して表示画像の黒輝度を低減し、コントラストを高めることが可能となる。また、パネルの画像表示面において暗い領域が占める割り合いが小さい画像を表示する際には、強制初期化波形による初期化放電の発生頻度を上げて、書込み放電を安定に発生させることが可能となる。これにより、プラズマディスプレイ装置における画像表示品質を高めることが可能となる。
【0024】
また、このプラズマディスプレイ装置においては、非初期化サブフィールドと、全セル初期化サブフィールドとをさらに設け、走査電極駆動回路は、非初期化サブフィールドにおいては、初期化期間に非初期化波形を発生して全ての走査電極に印加し、全セル初期化サブフィールドにおいては、初期化期間に強制初期化波形を発生して全ての走査電極に印加し、特定セル初期化フィールドに、非初期化サブフィールドと複数の選択初期化サブフィールドとを有する非初期化フィールドと、全セル初期化サブフィールドと複数の選択初期化サブフィールドとを有する全セル初期化フィールドとを加えた少なくとも3種類のフィールドを設け、3種類のフィールドのいずれか1種類またはいずれか2種類を用いて時間的に連続する複数のフィールドで1つのフィールド群を構成し、黒面積が大きくなるにつれて強制初期化波形を走査電極に印加する頻度が低減されるように、黒面積の大きさに応じてフィールド群の構成を切換える構成であってもよい。これによっても、黒面積が大きい画像を表示する際には、強制初期化波形による初期化放電の発生頻度を低減し表示画像の黒輝度を低減してコントラストを高め、黒面積が小さい画像を表示する際には、強制初期化波形による初期化放電の発生頻度を上げて、書込み放電を安定に発生させることが可能となる。
【0025】
また、このプラズマディスプレイ装置において、走査電極駆動回路は、上昇する傾斜電圧を発生する傾斜電圧発生回路を有し、傾斜電圧発生回路が出力する傾斜電圧に所定の電圧を重畳した電圧を強制初期化波形として発生し、所定の電圧を重畳しない傾斜電圧を非初期化波形として発生する構成であってもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、黒面積が大きい画像を表示する際には表示画像の黒輝度を低減してコントラストを高め、黒面積が小さい画像を表示する際には書込み放電を安定に発生させて画像表示品質を高めることができるパネルの駆動方法およびプラズマディスプレイ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態1におけるパネルの構造を示す分解斜視図である。
【図2】同パネルの電極配列図である。
【図3】同パネルの各電極に印加する駆動電圧波形図である。
【図4】本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置の回路ブロック図である。
【図5】同プラズマディスプレイ装置の走査電極駆動回路の一構成例を示す回路図である。
【図6】本発明の実施の形態1における特定セル初期化サブフィールドの初期化期間の走査電極駆動回路の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】本発明の実施の形態1における黒面積の数値範囲と数値範囲毎に設定した強制初期化波形の発生頻度の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態1における各放電セルで強制初期化動作を行う頻度を6フィールドに1回とするときの強制初期化波形および非初期化波形の発生パターンの一例を示す概略図である。
【図9】同頻度を4フィールドに1回とするときの強制初期化波形および非初期化波形の発生パターンの一例を示す概略図である。
【図10】同頻度を3フィールドに1回とするときの強制初期化波形および非初期化波形の発生パターンの一例を示す概略図である。
【図11】同頻度を2フィールドに1回とするときの強制初期化波形および非初期化波形の発生パターンの一例を示す概略図である。
【図12】同頻度を4フィールドに3回とするときの強制初期化波形および非初期化波形の発生パターンの一例を示す概略図である。
【図13】各放電セルで強制初期化動作を行う頻度を変更したときの黒輝度の変化(相対値)を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態2における強制初期化波形を発生する間隔を変更するときの動作の一例を概略的に示す図である。
【図15】本発明の実施の形態3におけるプラズマディスプレイ装置の動作時間の累積値と強制初期化波形の発生頻度との一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置について、図面を用いて説明する。
【0029】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるパネル10の構造を示す分解斜視図である。ガラス製の前面板21上には、走査電極22と維持電極23とからなる表示電極対24が複数形成されている。そして走査電極22と維持電極23とを覆うように誘電体層25が形成され、その誘電体層25上に保護層26が形成されている。また、保護層26は、酸化マグネシウム(MgO)を主成分とする材料から形成されている。
【0030】
背面板31上にはデータ電極32が複数形成され、データ電極32を覆うように誘電体層33が形成され、さらにその上に井桁状の隔壁34が形成されている。そして、隔壁34の側面および誘電体層33上には赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色に発光する蛍光体層35が設けられている。
【0031】
これら前面板21と背面板31とは、微小な放電空間を挟んで表示電極対24とデータ電極32とが交差するように対向配置され、その外周部をガラスフリット等の封着材によって封着されている。そして、内部の放電空間には、ネオンとキセノンの混合ガスが放電ガスとして封入されている。なお、本実施の形態では、発光効率を向上させるためにキセノン分圧を約10%とした放電ガスを用いている。放電空間は隔壁34によって複数の区画に仕切られており、表示電極対24とデータ電極32とが交差する部分に放電セルが形成されている。そしてこれらの放電セルが放電、発光することにより画像が表示される。
【0032】
なお、パネル10の構造は上述したものに限られるわけではなく、例えばストライプ状の隔壁を備えたものであってもよい。また、放電ガスの混合比率も上述した数値に限られるわけではなく、その他の混合比率であってもよい。
【0033】
図2は、本発明の実施の形態1におけるパネル10の電極配列図である。パネル10には、行方向に長いn本の走査電極SC1〜走査電極SCn(図1の走査電極22)およびn本の維持電極SU1〜維持電極SUn(図1の維持電極23)が配列され、列方向に長いm本のデータ電極D1〜データ電極Dm(図1のデータ電極32)が配列されている。そして、1対の走査電極SCi(i=1〜n)および維持電極SUiと1つのデータ電極Dk(k=1〜m)とが交差した部分に放電セルが形成され、放電セルは放電空間内にm×n個形成されている。そして、m×n個の放電セルが形成された領域がパネル10の表示領域となる。
【0034】
次に、パネル10を駆動するための駆動電圧波形とその動作の概要について説明する。なお、本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置は、サブフィールド法、すなわち1フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、各サブフィールドに輝度重みをそれぞれ設定し、サブフィールド毎に各放電セルの発光・非発光を制御することによって階調表示を行うものとする。
【0035】
このサブフィールド法では、例えば、1フィールドを8つのサブフィールド(第1SF、第2SF、・・・、第8SF)で構成し、各サブフィールドはそれぞれ1、2、4、8、16、32、64、128の輝度重みを有する構成とすることができる。そして、各サブフィールドの維持期間においては、それぞれのサブフィールドの輝度重みに所定の輝度倍率を乗じた数の維持パルスを表示電極対24のそれぞれに印加する。
【0036】
なお、複数のサブフィールドのうち、1つのサブフィールドの初期化期間においては、直前のサブフィールドの動作にかかわらず放電セルに初期化放電を発生する強制初期化動作と、放電セルに初期化放電が発生しない非初期化動作とを選択的に行う初期化動作を行い(以下、このような初期化動作を「特定セル初期化動作」と呼称し、特定セル初期化動作を行うサブフィールドを「特定セル初期化サブフィールド」と呼称する)、他のサブフィールドの初期化期間においては、直前のサブフィールドの維持期間に維持放電を発生した放電セルだけに初期化放電を発生する選択初期化動作を行う(以下、選択初期化動作を行うサブフィールドを「選択初期化サブフィールド」と呼称する)ことで、階調表示に関係しない発光を極力減らしコントラスト比を向上させることが可能である。
【0037】
なお、本実施の形態では、上述した特定セル初期化サブフィールドおよび選択初期化サブフィールドに加え、初期化期間に全ての放電セルで非初期化動作を行う(すなわち、全ての放電セルで初期化放電を発生させない)非初期化サブフィールドと、初期化期間に全ての放電セルで強制初期化動作を行う(すなわち、全ての放電セルで初期化放電を発生させる)全セル初期化サブフィールドとを発生させる構成としている。
【0038】
そして、本実施の形態では、1フィールドを8つのサブフィールド(第1SF、第2SF、・・・、第8SF)で構成し、第1SFは特定セル初期化サブフィールドと非初期化サブフィールドと全セル初期化サブフィールドとのいずれかとし、第2SF〜第8SFは選択初期化サブフィールドとする。これにより、画像の表示に関係のない発光は第1SFにおける強制初期化動作の放電にともなう発光のみとなり、維持放電を発生させない黒表示領域の輝度である黒輝度は強制初期化動作における微弱発光だけとなる。したがって、表示画像における黒輝度を低減して、コントラストを高めることが可能となる。
【0039】
以下、特定セル初期化サブフィールド(例えば、第1SF)と複数の選択初期化サブフィールド(例えば、第2SF〜第8SF)とを有するフィールドを「特定セル初期化フィールド」と呼称し、非初期化サブフィールド(例えば、第1SF)と複数の選択初期化サブフィールド(例えば、第2SF〜第8SF)を有するフィールドを「非初期化フィールド」と呼称し、全セル初期化サブフィールド(例えば、第1SF)と複数の選択初期化サブフィールド(例えば、第2SF〜第8SF)とを有するフィールドを「全セル初期化フィールド」と呼称する。
【0040】
しかし、本実施の形態は、サブフィールド数や各サブフィールドの輝度重みが上記の値に限定されるものではなく、また、画像信号等にもとづいてサブフィールド構成を切換える構成であってもよい。
【0041】
次に、特定セル初期化フィールドを例に挙げて駆動電圧波形を説明する。
【0042】
図3は、本発明の実施の形態1におけるパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形図である。図3には、書込み期間において最初に書込み動作を行う走査電極SC1、書込み期間において2番目に書込み動作を行う走査電極SC2、書込み期間において最後に書込み動作を行う走査電極SCn(例えば、走査電極SC1080)、維持電極SU1〜維持電極SUn、およびデータ電極D1〜データ電極Dmの駆動波形を示す。
【0043】
また、図3には、2つのサブフィールドの駆動電圧波形、すなわち特定セル初期化サブフィールドである第1サブフィールド(第1SF)と、選択初期化サブフィールドである第2サブフィールド(第2SF)とを示す。また、以下における走査電極SCi、維持電極SUi、データ電極Dkは、各電極の中からサブフィールドデータ(サブフィールド毎の発光・非発光を示すデータ)にもとづき選択された電極を表す。
【0044】
まず、特定セル初期化サブフィールドである第1SFについて説明する。
【0045】
なお、図3には、配置的に見て上から(1+3×N)番目(Nは整数)の走査電極SC(1+3×N)には直前のサブフィールドの動作にかかわらず放電セルに初期化放電を発生する強制初期化波形を印加し、それ以外の走査電極22には放電セルに初期化放電が発生しない非初期化波形を印加する構成を示す。
【0046】
第1SFの初期化期間前半部では、データ電極D1〜データ電極Dm、維持電極SU1〜維持電極SUnにはそれぞれ0(V)を印加し、走査電極SC(1+3×N)には、所定の電圧である電圧Vi1を印加し、電圧Vi1から電圧Vi2に向かって緩やかに(例えば、約0.5V/μsecの勾配で)上昇する傾斜電圧(以下、「上りランプ電圧」と呼称する)L1を印加する。このとき、電圧Vi1は、維持電極SU(1+3×N)に対して放電開始電圧以下の電圧にし、電圧Vi2は維持電極SU(1+3×N)に対して放電開始電圧を超える電圧にする。
【0047】
この上りランプ電圧L1が上昇する間に、走査電極SC(1+3×N)と維持電極SU(1+3×N)との間、および走査電極SC(1+3×N)とデータ電極D1〜データ電極Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が持続して起こる。そして、走査電極SC(1+3×N)上部に負の壁電圧が蓄積されるとともに、走査電極SC(1+3×N)と交差するデータ電極D1〜データ電極Dm上部および維持電極SU(1+3×N)上部には正の壁電圧が蓄積される。この電極上部の壁電圧とは、電極を覆う誘電体層上、保護層上、蛍光体層上等に蓄積された壁電荷により生じる電圧を表す。
【0048】
初期化期間後半部では、走査電極SC(1+3×N)の印加電圧を、電圧Vi2から電圧Vi2よりも低い電圧Vi3に下降させる。維持電極SU1〜維持電極SUnには正の電圧Veを印加し、データ電極D1〜データ電極Dmには0(V)を印加する。そして、走査電極SC(1+3×N)に、電圧Vi3から負の電圧Vi4に向かって緩やかに(例えば、約−0.5V/μsecの勾配で)下降する傾斜電圧(以下、「下りランプ電圧」と呼称する)L2を印加する。このとき、電圧Vi3は、維持電極SU(1+3×N)に対して放電開始電圧以下の電圧にし、電圧Vi4は維持電極SU(1+3×N)に対して放電開始電圧を超える電圧にする。
【0049】
この間に、走査電極SC(1+3×N)と維持電極SU(1+3×N)との間、および走査電極SC(1+3×N)とデータ電極D1〜データ電極Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が起こる。そして、走査電極SC(1+3×N)上部の負の壁電圧および維持電極SU(1+3×N)上部の正の壁電圧が弱められ、走査電極SC(1+3×N)と交差するデータ電極D1〜データ電極Dm上部の正の壁電圧は書込み動作に適した値に調整される。
【0050】
以上の波形が、直前のサブフィールドの動作にかかわらず放電セルに初期化放電を発生する強制初期化波形である。そして、強制初期化波形を走査電極22に印加して行う上述の動作が強制初期化動作である。
【0051】
一方、走査電極SC(1+3×N)以外の走査電極22は、第1SFの初期化期間前半部では、所定の電圧である電圧Vi1を印加せず、0(V)のままとし、0(V)から電圧Vi2’に向かって緩やかに上昇する上りランプ電圧L1’を印加する。この上りランプ電圧L1’は、上りランプ電圧L1と同じ勾配で、上りランプ電圧L1と同じ時間だけ上昇を続けるものとする。したがって、電圧Vi2’は電圧Vi2から電圧Vi1を引いた電圧に等しい電圧となる。このとき、電圧Vi2’は維持電極23に対して放電開始電圧以下の電圧となるように各電圧および上りランプ電圧L1’を設定する。これにより、上りランプ電圧L1’を印加した放電セルでは放電は実質的に発生しない。
【0052】
初期化期間後半部では、走査電極SC(1+3×N)以外の走査電極22にも、走査電極SC(1+3×N)と同様に、下りランプ電圧L2を印加する。このとき、走査電極SC(1+3×N)以外の走査電極22を有する放電セルでは、第1SFの初期化期間前半部で放電が発生していないので、初期化期間後半部でも放電は実質的に発生しない。
【0053】
以上の波形が、放電セルに初期化放電が発生しない非初期化波形である。そして、非初期化波形を走査電極22に印加して行う上述の動作が非初期化動作である。
【0054】
なお、本発明における強制初期化波形は、何ら上述した波形に限定されるものではない。強制初期化波形は、直前のサブフィールドの動作にかかわらず放電セルに初期化放電を発生する波形であればどのような波形であってもかまわない。また、本発明における非初期化波形も、何ら上述した波形に限定されるものではない。本実施の形態に示す非初期化波形は放電セルに初期化放電が発生しない波形の一例を示したものに過ぎず、例えば、0(V)クランプ波形等、初期化放電が発生しない波形であればどのような波形であってもかまわない。
【0055】
以上により、所定の走査電極22(例えば、走査電極SC(1+3×N))に強制初期化波形を印加し、他の走査電極22に非初期化波形を印加して、特定の放電セルで強制初期化動作を行い、他の放電セルで非初期化動作を行う特定セル初期化サブフィールドの初期化期間における特定セル初期化動作が終了する。
【0056】
続く書込み期間では、走査電極SC1〜走査電極SCnに対しては走査パルス電圧Vaを順次印加し、データ電極D1〜データ電極Dmに対しては発光させるべき放電セルに対応するデータ電極Dk(k=1〜m)に正の書込みパルス電圧Vdを印加して、各放電セルに選択的に書込み放電を発生させる。
【0057】
具体的には、まず維持電極SU1〜維持電極SUnに電圧Veを、走査電極SC1〜走査電極SCnに電圧Vccを印加する。
【0058】
そして、配置的に見て上から1番目(1行目)の走査電極SC1に負の走査パルス電圧Vaを印加するとともに、データ電極D1〜データ電極Dmのうち1行目に発光させるべき放電セルのデータ電極Dk(k=1〜m)に正の書込みパルス電圧Vdを印加する。このときデータ電極Dk上と走査電極SC1上との交差部の電圧差は、外部印加電圧の差(電圧Vd−電圧Va)にデータ電極Dk上の壁電圧と走査電極SC1上の壁電圧との差が加算されたものとなり放電開始電圧を超える。これにより、データ電極Dkと走査電極SC1との間に放電が発生する。また、維持電極SU1〜維持電極SUnに電圧Veを印加しているため、維持電極SU1上と走査電極SC1上との電圧差は、外部印加電圧の差である(電圧Ve−電圧Va)に維持電極SU1上の壁電圧と走査電極SC1上の壁電圧との差が加算されたものとなる。このとき、電圧Veを、放電開始電圧をやや下回る程度の電圧値に設定することで、維持電極SU1と走査電極SC1との間を、放電には至らないが放電が発生しやすい状態にすることができる。これにより、データ電極Dkと走査電極SC1との間に発生する放電を引き金にして、データ電極Dkと交差する領域にある維持電極SU1と走査電極SC1との間に放電を発生させることができる。こうして、発光させるべき放電セルに書込み放電が起こり、走査電極SC1上に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU1上に負の壁電圧が蓄積され、データ電極Dk上にも負の壁電圧が蓄積される。
【0059】
このようにして、1行目に発光させるべき放電セルで書込み放電を起こして各電極上に壁電圧を蓄積する書込み動作が行われる。一方、書込みパルス電圧Vdを印加しなかったデータ電極D1〜データ電極Dmと走査電極SC1との交差部の電圧は放電開始電圧を超えないので、書込み放電は発生しない。以上の書込み動作をn行目の放電セルに至るまで順次行い、書込み期間が終了する。
【0060】
続く維持期間では、輝度重みに所定の輝度倍率を乗じた数の維持パルスを表示電極対24に交互に印加して、書込み放電を発生した放電セルで維持放電を発生させて発光させる。
【0061】
具体的には、まず走査電極SC1〜走査電極SCnに正の維持パルス電圧Vsを印加するとともに維持電極SU1〜維持電極SUnにベース電位となる接地電位、すなわち0(V)を印加する。すると書込み放電を起こした放電セルでは、走査電極SCi上と維持電極SUi上との電圧差が、維持パルス電圧Vsに走査電極SCi上の壁電圧と維持電極SUi上の壁電圧との差が加算されたものとなり、放電開始電圧を超える。
【0062】
そして、走査電極SCiと維持電極SUiとの間に維持放電が起こり、このとき発生した紫外線により蛍光体層35が発光する。そして走査電極SCi上に負の壁電圧が蓄積され、維持電極SUi上に正の壁電圧が蓄積される。さらにデータ電極Dk上にも正の壁電圧が蓄積される。なお、書込み期間において書込み放電が起きなかった放電セルでは維持放電は発生しない。
【0063】
続いて、走査電極SC1〜走査電極SCnにはベース電位となる0(V)を、維持電極SU1〜維持電極SUnには維持パルス電圧Vsをそれぞれ印加する。すると、維持放電を起こした放電セルでは、維持電極SUi上と走査電極SCi上との電圧差が放電開始電圧を超えるので、再び維持電極SUiと走査電極SCiとの間に維持放電が起こり、維持電極SUi上に負の壁電圧が蓄積され、走査電極SCi上に正の壁電圧が蓄積される。以降同様に、走査電極SC1〜走査電極SCnと維持電極SU1〜維持電極SUnとに、輝度重みに輝度倍率を乗じた数の維持パルスを交互に印加し、表示電極対24の電極間に電位差を与える。これにより、書込み期間において書込み放電を起こした放電セルで維持放電が継続して発生する。
【0064】
そして、維持期間における維持パルスの発生後に、維持電極SU1〜維持電極SUnおよびデータ電極D1〜データ電極Dmには0(V)を印加したまま、走査電極SC1〜走査電極SCnに、0(V)から放電開始電圧を超える電圧Versに向かって緩やかに(例えば、約10V/μsecの勾配で)上昇する傾斜電圧(以下、「消去ランプ電圧」と呼称する)L3を印加する。これにより、維持放電を起こした放電セルの維持電極SUiと走査電極SCiとの間に、微弱な放電が持続して発生する。そして、この微弱な放電で発生した荷電粒子は、維持電極SUiと走査電極SCiとの間の電圧差を緩和するように、維持電極SUi上および走査電極SCi上に壁電荷となって蓄積されていく。これにより、データ電極Dk上の正の壁電圧を残したまま、走査電極SCi上の壁電圧および維持電極SUi上の壁電圧は、走査電極SCiに印加した電圧と放電開始電圧の差、例えば(電圧Vers−放電開始電圧)の程度まで弱められる。
【0065】
その後、走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する電圧を0(V)に戻し、維持期間における維持動作が終了する。
【0066】
次に、選択初期化サブフィールドである第2SFについて説明する。
【0067】
第2SFの初期化期間では、選択初期化波形を全ての走査電極22に印加する。本実施の形態における選択初期化波形は、強制初期化波形の前半部を省略した駆動電圧波形である。具体的には、維持電極SU1〜維持電極SUnに電圧Veを、データ電極D1〜データ電極Dmに0(V)をそれぞれ印加する。そして、走査電極SC1〜走査電極SCnには放電開始電圧以下となる電圧(例えば、0(V))から負の電圧Vi4に向かって、下りランプ電圧L2と同じ勾配で下降する下りランプ電圧L4を印加する。
【0068】
これにより直前のサブフィールド(図3では、第1SF)の維持期間で維持放電を起こした放電セルでは微弱な初期化放電が発生し、走査電極SCi上部および維持電極SUi上部の壁電圧が弱められ、データ電極Dk(k=1〜m)上部の壁電圧も書込み動作に適した値に調整される。
【0069】
以上の波形が、直前のサブフィールドの維持期間に維持放電を発生した放電セルだけに初期化放電を発生する選択初期化波形である。そして、選択初期化波形を全ての走査電極22に印加して行う上述の動作が選択初期化動作である。以上により、選択初期化サブフィールドの初期化期間における選択初期化動作が終了する。
【0070】
なお、本発明における選択初期化波形は、何ら上述した波形に限定されるものではない。選択初期化波形は、直前のサブフィールドの維持期間に維持放電を発生した放電セルだけに初期化放電を発生する波形であればどのような波形であってもかまわない。例えば、本実施の形態では、下りランプ電圧L4を全て同じ勾配で発生させる構成を説明したが、下りランプ電圧L4を複数の期間に分け、各期間で勾配を変えて下りランプ電圧L4を発生させる構成としてもよい。
【0071】
第2SFの書込み期間では、第1SFの書込み期間と同様の駆動波形を各電極に印加する。また、第2SFの維持期間では、維持パルスの発生数を除き、第1SFの維持期間と同様の駆動波形を各電極に印加する。
【0072】
また、第3SF以降のサブフィールドでは、維持期間における維持パルスの発生数を除き、第2SFと同様の駆動波形を各電極に印加する。
【0073】
以上が、本実施の形態におけるパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形の概要である。
【0074】
次に、本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置の構成について説明する。図4は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置1の回路ブロック図である。プラズマディスプレイ装置1は、パネル10、画像信号処理回路41、データ電極駆動回路42、走査電極駆動回路43、維持電極駆動回路44、タイミング発生回路45、黒面積算出回路48、および各回路ブロックに必要な電源を供給する電源回路(図示せず)を備えている。
【0075】
画像信号処理回路41は、パネル10の画素数に応じて、入力された画像信号sigをサブフィールド毎の発光・非発光を示すサブフィールドデータに変換する。
【0076】
黒面積算出回路48は、入力された画像信号の輝度の階調値が所定値未満となる画素、すなわち「黒」の画素の数をそれぞれのフィールドで計数する。そして、その計数結果がパネル10の画像表示面における全画素数に対して占める割り合いを「黒面積」として算出する。例えば、所定値未満となる画素の数が約100万であり、全画素数が1920×1080であれば、黒面積は約50%となる。そして、算出した結果をタイミング発生回路45に送信する。
【0077】
なお、本実施の形態では、黒の画素の数を計数するのに用いる所定値を「1」としているが、本発明は何らこの数値に限定されるものではない。この所定値はパネル10の特性やプラズマディスプレイ装置1の仕様等に応じて最適に設定すればよい。また、黒面積算出回路48では、輝度の階調値が所定値未満となる画素の数を計数することで黒面積を算出しているが、輝度の階調値に代えて、例えば、1つの画素を構成するRGBの3つの放電セルで発生する維持放電の回数の1フィールドの総和を用いる構成としてもよい。
【0078】
タイミング発生回路45は、水平同期信号H、垂直同期信号V、および黒面積算出回路48から出力される検出結果にもとづき、各回路ブロックの動作を制御する各種のタイミング信号を発生し、それぞれの回路ブロック(画像信号処理回路41、データ電極駆動回路42、走査電極駆動回路43および維持電極駆動回路44)へ供給する。
【0079】
データ電極駆動回路42は、サブフィールド毎のサブフィールドデータを各データ電極D1〜データ電極Dmに対応する信号に変換し、タイミング発生回路45から供給されるタイミング信号にもとづいて各データ電極D1〜データ電極Dmを駆動する。
【0080】
走査電極駆動回路43は、初期化期間において走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する初期化波形を発生するための初期化波形発生回路、維持期間において走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する維持パルスを発生するための維持パルス発生回路、複数の走査電極駆動IC(以下、「走査IC」と略記する)を備え書込み期間において走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する走査パルスを発生するための走査パルス発生回路を有する。そして、タイミング発生回路45から供給されるタイミング信号にもとづいて各走査電極SC1〜走査電極SCnを駆動する。
【0081】
維持電極駆動回路44は、維持パルス発生回路および電圧Veを発生するための回路を備え、タイミング発生回路45から供給されるタイミング信号にもとづいて維持電極SU1〜維持電極SUnを駆動する。
【0082】
次に、走査電極駆動回路43の詳細とその動作について説明する。
【0083】
図5は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置1の走査電極駆動回路43の一構成例を示す回路図である。走査電極駆動回路43は、維持パルスを発生させる維持パルス発生回路50、初期化波形を発生させる初期化波形発生回路51、走査パルスを発生させる走査パルス発生回路52を備え、走査パルス発生回路52の各出力端子はパネル10の走査電極SC1〜走査電極SCnのそれぞれに接続されている。なお、本実施の形態では、走査パルス発生回路52に入力される電圧を「基準電位A」と記す。また、以下の説明においてスイッチング素子を導通させる動作を「オン」、遮断させる動作を「オフ」と表記し、スイッチング素子をオンさせる信号を「Hi」、オフさせる信号を「Lo」と表記する。
【0084】
また、図5には、負の電圧Vaを用いた回路(例えば、ミラー積分回路54)を動作させているときに、その回路と、維持パルス発生回路50および電圧Vrを用いた回路(例えば、ミラー積分回路53)、電圧Versを用いた回路(例えば、ミラー積分回路55)とを電気的に分離するためのスイッチング素子Q4を用いた分離回路を示している。また、電圧Vrを用いた回路(例えば、ミラー積分回路53)を動作させているときに、その回路と、電圧Vrよりも低い電圧の電圧Versを用いた回路(例えば、ミラー積分回路55)とを電気的に分離するためのスイッチング素子Q6を用いた分離回路を示している。
【0085】
維持パルス発生回路50は、一般に用いられている電力回収回路とクランプ回路とを備え、タイミング発生回路45から出力されるタイミング信号にもとづき、内部に備えた各スイッチング素子を切換えて維持パルスを発生させる。なお、図5では、タイミング信号の信号経路の詳細は省略する。
【0086】
走査パルス発生回路52は、n本の走査電極SC1〜走査電極SCnのそれぞれに走査パルスを印加するためのスイッチング素子QH1〜スイッチング素子QHnおよびスイッチング素子QL1〜スイッチング素子QLnを備えている。スイッチング素子QHj(j=1〜n)の一方の端子とスイッチング素子QLjの一方の端子とは互いに接続されており、その接続箇所が走査パルス発生回路52の出力端子となって、走査電極SCjに接続されている。また、スイッチング素子QHjの他方の端子は入力端子INbとなっており、スイッチング素子QLjの他方の端子は入力端子INaとなっている。なお、スイッチング素子QH1〜スイッチング素子QHn、スイッチング素子QL1〜スイッチング素子QLnは複数の出力毎にまとめられIC化されている。このICが走査ICである。
【0087】
また、走査パルス発生回路52は、書込み期間において基準電位Aを負の電圧Vaに接続するためのスイッチング素子Q5と、基準電位Aに電圧Vscを重畳した電圧Vcを発生させるための電源VSC、ダイオードD31、コンデンサC31とを備えている。そして、スイッチング素子QH1〜スイッチング素子QHnの入力端子INbには電圧Vcが接続され、スイッチング素子QL1〜スイッチング素子QLnの入力端子INaには基準電位Aが接続されている。
【0088】
このように構成された走査パルス発生回路52では、書込み期間においては、スイッチング素子Q5をオンにして基準電位Aを負の電圧Vaに等しくし、入力端子INaには負の電圧Vaを、入力端子INbには電圧Va+電圧Vscとなった電圧Vc(図3に示す電圧Vcc)を印加する。そして、サブフィールドデータにもとづき、走査パルスを印加する走査電極SCiに対しては、スイッチング素子QHiをオフ、スイッチング素子QLiをオンにすることで、スイッチング素子QLiを経由して走査電極SCiに負の走査パルス電圧Vaを印加し、走査パルスを印加しない走査電極SCh(hは、1〜nのうちiを除いたもの)に対しては、スイッチング素子QLhをオフ、スイッチング素子QHhをオンにすることで、スイッチング素子QHhを経由して走査電極SChに電圧Va+電圧Vscを印加する。
【0089】
また、走査パルス発生回路52は、維持期間においては、維持パルス発生回路50の電圧波形を出力するようにタイミング発生回路45によって制御されるものとする。
【0090】
なお、走査パルス発生回路52の初期化期間における動作の詳細は後述する。
【0091】
初期化波形発生回路51は、ミラー積分回路53、ミラー積分回路54、およびミラー積分回路55を有する。図5には、ミラー積分回路53の入力端子を入力端子IN1、ミラー積分回路54の入力端子を入力端子IN2、ミラー積分回路55の入力端子を入力端子IN3として示している。なお、ミラー積分回路53およびミラー積分回路55は上昇する傾斜電圧を発生させる傾斜電圧発生回路であり、ミラー積分回路54は下降する傾斜電圧を発生させる傾斜電圧発生回路である。
【0092】
ミラー積分回路53は、スイッチング素子Q1とコンデンサC1と抵抗R1とを有し、初期化動作時に、走査電極駆動回路43の基準電位Aを電圧Vi2’までランプ状に緩やかに(例えば、0.5V/μsecで)上昇させて上りランプ電圧L1’を発生させる。
【0093】
ミラー積分回路55は、スイッチング素子Q3とコンデンサC3と抵抗R3とを有し、維持期間の最後に、基準電位Aを上りランプ電圧L1よりも急峻な勾配(例えば、10V/μsec)で電圧Versまで上昇させて消去ランプ電圧L3を発生させる。
【0094】
ミラー積分回路54は、スイッチング素子Q2とコンデンサC2と抵抗R2とを有し、初期化動作時に、基準電位Aを電圧Vi4までランプ状に緩やかに(例えば、−0.5V/μsecの勾配で)下降させて下りランプ電圧L2を発生させる。
【0095】
次に、特定セル初期化サブフィールドの初期化期間において、強制初期化波形および非初期化波形を発生させる動作を図6を用いて説明する。
【0096】
図6は、本発明の実施の形態1における特定セル初期化サブフィールドの初期化期間の走査電極駆動回路43の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。なお、この図面では、強制初期化波形を印加する走査電極22を「走査電極SCx」と表し、非初期化波形を印加する走査電極22を「走査電極SCy」と表す。
【0097】
なお、選択初期化サブフィールドにおいて選択初期化波形を発生させるときの走査電極駆動回路43の動作については説明を省略するが、選択初期化波形である下りランプ電圧L4を発生させる動作は、図6に示す下りランプ電圧L2を発生させる動作と同様であるものとする。また、非初期化サブフィールドにおける非初期化動作は、初期化期間に非初期化波形を発生して全ての走査電極22に印加する動作であり、全セル初期化サブフィールドにおける全セル初期化動作は、初期化期間に強制初期化波形を発生して全ての走査電極22に印加する動作であるので、非初期化サブフィールドの初期化期間および全セル初期化サブフィールドの初期化期間における走査電極駆動回路43の動作についても説明を省略する。
【0098】
また、図6では、初期化期間を期間T1〜期間T4で示す4つの期間に分割し、それぞれの期間について説明する。また、以下、電圧Vi1は電圧Vscに等しいものとし、電圧Vi2は電圧Vsc+電圧Vrに等しいものとし、電圧Vi2’は電圧Vrに等しいものとし、電圧Vi3は維持パルスを発生させるときに用いる電圧Vsに等しいものとし、電圧Vi4は負の電圧Vaに等しいものとして説明する。また、図面にはスイッチング素子をオンさせる信号を「Hi」、オフさせる信号を「Lo」と表記する。
【0099】
なお、図6には、電圧Vsが電圧Vscよりも高い電圧値に設定された例を示しているが、電圧Vsと電圧Vscとが互いに等しい電圧値であってもよく、あるいは、電圧Vsの方が電圧Vscよりも低い電圧値であってもかまわない。
【0100】
まず、期間T1に入る前に維持パルス発生回路50のクランプ回路を動作させて基準電位Aを0(V)にしておき、スイッチング素子QH1〜スイッチング素子QHnをオフ、スイッチング素子QL1〜スイッチング素子QLnをオンにして、走査電極SC1〜走査電極SCnに基準電位A、すなわち0(V)を印加する。
【0101】
(期間T1)
期間T1では、走査電極SCxに接続されたスイッチング素子QHxをオンにし、スイッチング素子QLxをオフにする。これにより、強制初期化波形を印加する走査電極SCxには、基準電位A(このとき、0(V))に電圧Vscを重畳した電圧Vc(すなわち、電圧Vc=電圧Vsc)を印加する。
【0102】
一方、走査電極SCyに接続されたスイッチング素子QHyはオフを、スイッチング素子QLyはオンをそれぞれ維持したままにする。これにより、非初期化波形を印加する走査電極SCyには、基準電位A、すなわち0(V)を印加する。
【0103】
(期間T2)
期間T2では、スイッチング素子QH1〜スイッチング素子QHn、スイッチング素子QL1〜スイッチング素子QLnは、期間T1と同じ状態を維持する。すなわち、走査電極SCxに接続されたスイッチング素子QHxはオンを、スイッチング素子QLxはオフをそれぞれ維持し、走査電極SCyに接続されたスイッチング素子QHyはオフを、スイッチング素子QLyはオンをそれぞれ維持する。
【0104】
次に、上りランプ電圧L1’を発生するミラー積分回路53の入力端子IN1を「Hi」にする。具体的には入力端子IN1に、所定の定電流を入力する。これにより、コンデンサC1に向かって一定の電流が流れ、スイッチング素子Q1のソース電圧がランプ状に上昇し、基準電位Aが0(V)からランプ状に上昇し始める。この電圧上昇は、入力端子IN1を「Hi」にしている期間、もしくは、基準電位Aが電圧Vrに到達するまで継続させることができる。
【0105】
このとき、傾斜電圧の勾配が所望の値(例えば、0.5V/μsec)になるように、入力端子IN1に入力する定電流を発生させる。こうして、0(V)から電圧Vi2’(本実施の形態では、電圧Vrに等しい)に向かって上昇する上りランプ電圧L1’を発生させる。
【0106】
スイッチング素子QHyはオフ、スイッチング素子QLyはオンなので、走査電極SCyには、この上りランプ電圧L1’がそのまま印加される。
【0107】
一方、スイッチング素子QHxはオン、スイッチング素子QLxはオフなので、走査電極SCxには、この上りランプ電圧L1’に電圧Vscが重畳された電圧、すなわち電圧Vi1(本実施の形態では、電圧Vscに等しい)から電圧Vi2(本実施の形態では、電圧Vsc+電圧Vrに等しい)に向かって上昇する上りランプ電圧L1が印加される。
【0108】
(期間T3)
期間T3では入力端子IN1を「Lo」にする。具体的には、入力端子IN1への定電流入力を停止する。こうして、ミラー積分回路53の動作を停止する。また、スイッチング素子QH1〜スイッチング素子QHnをオフ、スイッチング素子QL1〜スイッチング素子QLnをオンにして、基準電位Aを走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する。合わせて、維持パルス発生回路50のクランプ回路を動作させて基準電位Aを電圧Vsにする。これにより、走査電極SC1〜走査電極SCnの電圧は電圧Vi3(本実施の形態では、電圧Vsに等しい)まで低下する。
【0109】
(期間T4)
期間T4では、スイッチング素子QH1〜スイッチング素子QHn、スイッチング素子QL1〜スイッチング素子QLnは、期間T3と同じ状態を維持する。
【0110】
次に、下りランプ電圧L2を発生するミラー積分回路54の入力端子IN2を「Hi」にする。具体的には入力端子IN2に、所定の定電流を入力する。これにより、コンデンサC2に向かって一定の電流が流れ、スイッチング素子Q2のドレイン電圧がランプ状に下降し始め、走査電極駆動回路43の出力電圧も、負の電圧Vi4に向かってランプ状に下降し始める。この電圧下降は、入力端子IN2を「Hi」にしている期間、もしくは、基準電位Aが電圧Vaに到達するまで継続させることができる。
【0111】
このとき、傾斜電圧の勾配が所望の値(例えば、−0.5V/μsec)になるように、入力端子IN2に入力する定電流を発生させる。
【0112】
そして、走査電極駆動回路43の出力電圧が負の電圧Vi4(本実施の形態では、電圧Vaに等しい)に到達したら、入力端子IN2を「Lo」にする。具体的には、入力端子IN2への定電流入力を停止する。こうして、ミラー積分回路54の動作を停止する。
【0113】
こうして、電圧Vi3(本実施の形態では、電圧Vsに等しい)から負の電圧Vi4に向かって下降する下りランプ電圧L2を発生させ、走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する。
【0114】
なお、入力端子IN2を「Lo」にしてミラー積分回路54の動作を停止したら、スイッチング素子Q5をオンにして、基準電位Aを電圧Vaにする。合わせて、スイッチング素子QH1〜スイッチング素子QHnをオン、スイッチング素子QL1〜スイッチング素子QLnをオフにする。こうして、基準電位Aに電圧Vscを重畳した電圧Vc、すなわち、電圧Vcc(本実施の形態では、電圧Va+電圧Vscに等しい)を走査電極SC1〜走査電極SCnに印加し、続く書込み期間に備える。
【0115】
本実施の形態ではこのようにして、特定セル初期化サブフィールドの初期化期間において、強制初期化波形および非初期化波形を発生する。そして、スイッチング素子QH1〜スイッチング素子QHnと、スイッチング素子QL1〜スイッチング素子QLnとを制御することで、強制初期化波形を走査電極SCxに印加し、非初期化波形を走査電極SCyに印加する、というように、強制初期化波形および非初期化波形を選択的に走査電極22に印加することができる。また、同様にして、非初期化サブフィールドの初期化期間においては非初期化波形だけを発生して全ての走査電極22に印加し、全セル初期化サブフィールドの初期化期間においては強制初期化波形だけを発生して全ての走査電極22に印加することができる。
【0116】
なお、下りランプ電圧L2、下りランプ電圧L4は、図6に示すように電圧Vaまで下降させる構成であってもよいが、例えば、下降する電圧が、電圧Vaに所定の正の電圧Vset2を重畳した電圧に到達した時点で、下降を停止させる構成としてもよい。また、下りランプ電圧L2および下りランプ電圧L4は、あらかじめ設定された電圧に到達した後、直ちに上昇させる構成であってもよいが、例えば、下降する電圧が、あらかじめ設定された低電圧に到達したら、その後、その電圧を一定期間維持する構成であってもよい。
【0117】
次に、本実施の形態における強制初期化波形および非初期化波形の発生パターンについて説明する。
【0118】
プラズマディスプレイ装置1において、画像表示品質を高める上で重要な要素の1つとして、パネル10に表示される画像のコントラストを向上することが挙げられる。パネル10のコントラストを向上するには、表示画像の輝度の最大値を高めるか、あるいは表示画像の輝度の最小値、すなわち黒輝度を低減するかの、少なくとも一方を実現すればよい。このとき、家庭内における一般的なテレビジョン視聴環境を考慮すると、黒輝度を低減してコントラストを向上することが、画像表示品質を高める上でより重要であると考えられる。
【0119】
黒輝度は、画像の表示に関係のない発光によって変化する。そのため、画像の表示に関係のない発光を低減することで黒輝度を低減することができる。画像の表示に関係のない発光の主なものに、初期化放電による発光がある。ただし、上述した選択初期化動作は、直前のサブフィールドで維持放電を発生しなかった放電セルでは放電が発生しないので、黒輝度の明るさに実質的に影響を与えない。一方、上述した強制初期化動作は、直前のサブフィールドの動作にかかわらず放電セルに初期化放電を発生させるため、黒輝度の明るさに影響を与える。
【0120】
したがって、各放電セルで強制初期化動作を行う頻度を低減することで、表示画像の黒輝度を低減することができる。
【0121】
一方、黒面積が小さい画像を表示するときには、黒面積が大きい画像を表示するときと比較して、発光する放電セルの割り合い(「点灯率」とも呼称する)が増加し、そのために、書込み放電を発生させる放電セルの割り合いも増加する。そして、書込みパルスの発生数が増えると、データ電極駆動ICが有するインピーダンス等により、書込みパルスに電圧降下が生じることがある。
【0122】
また、初期化放電によって放電セル内に形成される壁電荷やプライミング粒子は、時間の経過とともに徐々に減少する。そのため、強制初期化動作を行う時間的な間隔が長くなるほど、壁電荷やプライミング粒子の減少量の平均値は増加する。
【0123】
書込み動作は、放電セル内に残存する壁電荷やプライミング粒子に関連しており、書込みパルスの電圧降下が予想される画像、すなわち、黒面積が小さく、書込みパルスの発生数が多い画像を表示するときには、初期化動作から書込み動作までの時間的な間隔を短くし、壁電荷やプライミング粒子の減少が比較的少ないうちに書込み放電を発生させる方が望ましい。
【0124】
そこで、本実施の形態では、黒面積が大きい画像を表示するときには強制初期化波形を走査電極22に印加する時間的な間隔を延長し、黒面積が小さい画像を表示するときには強制初期化波形を走査電極22に印加する時間的な間隔を短縮するように、強制初期化波形の発生頻度を黒面積の大きさに応じて変更するものとする。
【0125】
すなわち、本実施の形態では、パネル10の画像表示面において暗い領域が占める割り合いが比較的多く、黒輝度を下げることで画像表示品質の改善効果が大きい画像(黒面積の大きい画像)を表示する際には、強制初期化波形による初期化放電の発生頻度を低減して表示画像の黒輝度を低減し、表示画像のコントラストを高めるものとする。また、書込み放電の発生回数が比較的多く書込み放電が不安定になりやすい画像(黒面積の小さい画像)を表示する際には、強制初期化波形による初期化放電の発生頻度を上げて、書込み放電を安定に発生させるものとする。
【0126】
なお、本実施の形態では、強制初期化波形を発生する頻度を制御するために、特定セル初期化サブフィールドおよび複数の選択初期化サブフィールドを有する特定セル初期化フィールドと、非初期化サブフィールドおよび複数の選択初期化サブフィールドを有する非初期化フィールドと、全セル初期化サブフィールドおよび複数の選択初期化サブフィールドを有する全セル初期化フィールドとの3種類のフィールドを設け、これら3種類のフィールドのいずれか1種類またはいずれか2種類を用い、時間的に連続する複数のフィールドで1つのフィールド群を構成するものとする。また、配置的に連続する複数の走査電極22で1つの走査電極群を構成するものとする。
【0127】
そして、黒面積が大きくなるにつれて強制初期化波形を走査電極22に印加する頻度が低減されるように、フィールド群を構成するフィールドの組み合わせを黒面積の大きさに応じて変更するものとする。
【0128】
このとき、本実施の形態では、黒面積の大きさを複数の数値範囲に分け、それぞれの数値範囲に対して、フィールド群を構成するフィールドの組み合わせをあらかじめ設定しておき、検出された黒面積が1つの数値範囲から、他の数値範囲に変化するときに、フィールド群を構成するフィールドの組み合わせを変更するものとする。
【0129】
具体的には、黒面積算出回路48において、あらかじめ定めた複数のしきい値と黒面積とを比較し、比較結果を示す信号をタイミング発生回路45に出力する。そして、タイミング発生回路45は、それぞれの数値範囲に対して、フィールド群を構成するフィールドの組み合わせをあらかじめ記憶しておき、検出された黒面積に応じたフィールドの組み合わせでパネル10が駆動されるように、黒面積算出回路48から出力される比較結果にもとづくタイミング信号を各駆動回路に出力する。こうすることで、強制初期化波形を走査電極22に印加する頻度を黒面積に応じて変更することができる。
【0130】
図7は、本発明の実施の形態1における黒面積の数値範囲と数値範囲毎に設定した強制初期化波形の発生頻度の一例を示す図である。
【0131】
本実施の形態では、図7に示すように、例えば、黒面積80%以上の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を6フィールドに1回とし、黒面積60%以上80%未満の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を4フィールドに1回とし、黒面積40%以上60%未満の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を3フィールドに1回とし、黒面積20%以上40%未満の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を2フィールドに1回とし、黒面積10%以上20%未満の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を4フィールドに3回とし、黒面積10%未満の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を1フィールドに1回とする。
【0132】
次に、それぞれの数値範囲に対して設定された強制初期化波形および非初期化波形の発生パターンの具体的な構成例について説明する。
【0133】
図8は、本発明の実施の形態1における各放電セルで強制初期化動作を行う頻度を6フィールドに1回とするときの強制初期化波形および非初期化波形の発生パターンの一例を示す概略図である。図8において、横軸はフィールドを、縦軸は走査電極22を表す。
【0134】
図8に示す例では、時間的に連続する6つのフィールドで1つのフィールド群を構成し、配置的に連続する3本の走査電極22で1つの走査電極群を構成するものとする。また、図8に示す例では、第1SFを上述した特定セル初期化サブフィールドまたは非初期化サブフィールドとし、残りのサブフィールド(第2SF〜第8SF)を、上述した選択初期化サブフィールドとする。すなわち、図8に示す例では、特定セル初期化フィールドと非初期化フィールドとの2種類のフィールドでフィールド群を構成するものとする。
【0135】
そして、図8に示す「○」は、第1SFの初期化期間において強制初期化動作を行うこと、すなわち、図6に示した上りランプ電圧L1と下りランプ電圧L2とを有する強制初期化波形を走査電極22に印加することを表し、「×」は、第1SFの初期化期間において上述した非初期化動作を行うこと、すなわち、図6に示した上りランプ電圧L1’と下りランプ電圧L2とを有する非初期化波形を走査電極22に印加することを表す。
【0136】
以下、1つの走査電極群を構成する走査電極SCi〜走査電極SCi+2、および1つのフィールド群を構成するjフィールド〜j+5フィールドを例に挙げて説明を行う。
【0137】
まず、jフィールドの第1SFでは、走査電極SCiに強制初期化波形を印加し、走査電極SCi+1および走査電極SCi+2には非初期化波形を印加する。
【0138】
続くj+1フィールドの第1SFでは、全ての走査電極22に非初期化波形を印加する。
【0139】
続くj+2フィールドの第1SFでは、走査電極SCi+1に強制初期化波形を印加し、走査電極SCiおよび走査電極SCi+2には非初期化波形を印加する。
【0140】
続くj+3フィールドの第1SFでは、全ての走査電極22に非初期化波形を印加する。
【0141】
続くj+4フィールドの第1SFでは、走査電極SCi+2に強制初期化波形を印加し、走査電極SCiおよび走査電極SCi+1には非初期化波形を印加する。
【0142】
続くj+5フィールドの第1SFでは、全ての走査電極22に非初期化波形を印加する。
【0143】
こうして、1つの走査電極群における1つのフィールド群の動作を終了する。他の走査電極群に対しても、上述と同様の動作を行い、これ以降においても、各フィールド群で上述と同様の動作を繰り返す。なお、図8に示す構成においては、jフィールド、j+2フィールド、j+4フィールド、・・・、は特定セル初期化フィールドとなり、j+1フィールド、j+3フィールド、j+5フィールド、・・・、は非初期化フィールドとなる。
【0144】
このように、図8に示す例では、各放電セルで強制初期化動作を行う回数が、1つのフィールド群(図8に示す例では、6フィールド)でそれぞれ1回となるように強制初期化波形および非初期化波形を選択的に発生してパネル10を駆動する。これにより、フィールド毎に全ての放電セルで強制初期化動作を行う構成と比較して、各放電セルで強制初期化動作を行う頻度を低減(図8に示す例では、6分の1に低減)することができ、表示画像の黒輝度を低減することができる。
【0145】
なお、本実施の形態では、図8に示すように、複数の特定セル初期化フィールドを用いて構成されたフィールド群では、強制初期化波形を印加する走査電極22の数がそれぞれの特定セル初期化サブフィールドで互いに等しくなるように強制初期化波形を発生するものとする。これは、「フリッカー」と呼ばれる細かいちらつきが表示画像に発生するのを防止するためである。
【0146】
例えば、6フィールドのうちの1つを全セル初期化フィールドとし、残りの5つを非初期化フィールドとしても、強制初期化動作を行う頻度を6フィールドに1回とすることができる。しかし、この構成では、パネル10の全放電セルが、強制初期化動作による放電によって、6フィールドに1回の割り合いで発光することになる。そのため、例えば、60フィールド/秒の周期で更新される画像をパネル10に表示すると、パネル10の画像表示面において、10フィールド/秒の周期の輝度の変化が発生することになる。この周期的な輝度の変化は、表示画像における細かいちらつき、すなわちフリッカーとして使用者に認識されるおそれがある。
【0147】
しかし、本実施の形態では、図8に示すように、強制初期化波形を印加する走査電極22の数がそれぞれの特定セル初期化サブフィールドで互いに等しくなるように強制初期化波形を発生しているので、強制初期化動作による初期化放電を各フィールドに分散することができる。したがって、パネル10の画像表示面における強制初期化動作による発光輝度を全セル初期化動作を行うときと比較して低減(図8に示す例では、3分の1)することができる。さらに、各放電セルにおいて強制初期化動作を行う頻度が6フィールドに1回であっても、パネル10の画像表示面における強制初期化動作による発光の周期を、それよりも早める(図8に示す例では、2フィールドに1回)ことができる。これにより、フリッカーの発生を防止することができる。
【0148】
なお、上述した「等しくなるように」は、厳密に等しいことを意味するのではなく、実質的に「等しい」ことを表しており、多少のばらつきは許容されるものとする。
【0149】
なお、黒面積が大きい画像は、書込み放電の発生回数が少なく書込みパルスの電圧降下も少ないため、書込み放電は比較的安定に発生する。したがって、図8に示すように初期化動作から書込み動作までの時間的な間隔が長くなっても書込み放電を安定に発生させることができる。
【0150】
図9は、本発明の実施の形態1における各放電セルで強制初期化動作を行う頻度を4フィールドに1回とするときの強制初期化波形および非初期化波形の発生パターンの一例を示す概略図である。
【0151】
図9に示す例では、時間的に連続する4つのフィールドで1つのフィールド群を構成し、配置的に連続する2本の走査電極22で1つの走査電極群を構成するものとする。そして、図9に示す例では、図8に示した例と同様に、特定セル初期化フィールドと非初期化フィールドとの2種類のフィールドでフィールド群を構成するものとする。
【0152】
以下、1つの走査電極群を構成する走査電極SCi、走査電極SCi+1、および1つのフィールド群を構成するjフィールド〜j+3フィールドを例に挙げて説明を行う。
【0153】
まず、jフィールドの第1SFでは、走査電極SCiに強制初期化波形を印加し、走査電極SCi+1には非初期化波形を印加する。
【0154】
続くj+1フィールドの第1SFでは、全ての走査電極22に非初期化波形を印加する。
【0155】
続くj+2フィールドの第1SFでは、走査電極SCi+1に強制初期化波形を印加し、走査電極SCiには非初期化波形を印加する。
【0156】
続くj+3フィールドの第1SFでは、全ての走査電極22に非初期化波形を印加する。
【0157】
こうして、1つの走査電極群における1つのフィールド群の動作を終了する。他の走査電極群に対しても、上述と同様の動作を行い、これ以降においても、各フィールド群で上述と同様の動作を繰り返す。なお、図9に示す構成においては、jフィールド、j+2フィールド、j+4フィールド、・・・、は特定セル初期化フィールドとなり、j+1フィールド、j+3フィールド、j+5フィールド、・・・、は非初期化フィールドとなる。
【0158】
そして、図9に示す例では、フィールド毎に全ての放電セルで強制初期化動作を行う構成と比較して、各放電セルで強制初期化動作を行う頻度を4分の1に低減することができる。
【0159】
図10は、本発明の実施の形態1における各放電セルで強制初期化動作を行う頻度を3フィールドに1回とするときの強制初期化波形および非初期化波形の発生パターンの一例を示す概略図である。
【0160】
図10に示す例では、時間的に連続する3つのフィールドで1つのフィールド群を構成し、配置的に連続する3本の走査電極22で1つの走査電極群を構成するものとする。そして、図10に示す例では、図8に示した例とは異なり、特定セル初期化フィールドだけでフィールド群を構成するものとする。
【0161】
以下、1つの走査電極群を構成する走査電極SCi〜走査電極SCi+2、および1つのフィールド群を構成するjフィールド〜j+2フィールドを例に挙げて説明を行う。
【0162】
まず、jフィールドの第1SFでは、走査電極SCiに強制初期化波形を印加し、走査電極SCi+1、走査電極SCi+2には非初期化波形を印加する。
【0163】
続くj+1フィールドの第1SFでは、走査電極SCi+1に強制初期化波形を印加し、走査電極SCi、走査電極SCi+2には非初期化波形を印加する。
【0164】
続くj+2フィールドの第1SFでは、走査電極SCi+2に強制初期化波形を印加し、走査電極SCi、走査電極SCi+1には非初期化波形を印加する。
【0165】
こうして、1つの走査電極群における1つのフィールド群の動作を終了する。他の走査電極群に対しても、上述と同様の動作を行い、これ以降においても、各フィールド群で上述と同様の動作を繰り返す。なお、図10に示す構成においては、全フィールドが特定セル初期化フィールドとなる。
【0166】
そして、図10に示す例では、フィールド毎に全ての放電セルで強制初期化動作を行う構成と比較して、各放電セルで強制初期化動作を行う頻度を3分の1に低減することができる。
【0167】
図11は、本発明の実施の形態1における各放電セルで強制初期化動作を行う頻度を2フィールドに1回とするときの強制初期化波形および非初期化波形の発生パターンの一例を示す概略図である。
【0168】
図11に示す例では、時間的に連続する2つのフィールドで1つのフィールド群を構成し、配置的に連続する2本の走査電極22で1つの走査電極群を構成するものとする。そして、図11に示す例では、図9に示した例と同様に、特定セル初期化フィールドだけでフィールド群を構成するものとする。
【0169】
以下、1つの走査電極群を構成する走査電極SCi、走査電極SCi+1、および1つのフィールド群を構成するjフィールド、j+1フィールドを例に挙げて説明を行う。
【0170】
まず、jフィールドの第1SFでは、走査電極SCiに強制初期化波形を印加し、走査電極SCi+1には非初期化波形を印加する。
【0171】
続くj+1フィールドの第1SFでは、走査電極SCi+1に強制初期化波形を印加し、走査電極SCiには非初期化波形を印加する。
【0172】
こうして、1つの走査電極群における1つのフィールド群の動作を終了する。他の走査電極群に対しても、上述と同様の動作を行い、これ以降においても、各フィールド群で上述と同様の動作を繰り返す。なお、図11に示す構成においては、全フィールドが特定セル初期化フィールドとなる。
【0173】
そして、図11に示す例では、フィールド毎に全ての放電セルで強制初期化動作を行う構成と比較して、各放電セルで強制初期化動作を行う頻度を2分の1に低減することができる。
【0174】
図12は、本発明の実施の形態1における各放電セルで強制初期化動作を行う頻度を4フィールドに3回とするときの強制初期化波形および非初期化波形の発生パターンの一例を示す概略図である。
【0175】
図12に示す例では、時間的に連続する4つのフィールドで1つのフィールド群を構成し、配置的に連続する2本の走査電極22で1つの走査電極群を構成するものとする。そして、図12に示す例では、図8〜図11に示した例とは異なり、特定セル初期化フィールドと全セル初期化フィールドとの2種類のフィールドでフィールド群を構成するものとする。
【0176】
以下、1つの走査電極群を構成する走査電極SCi、走査電極SCi+1、および1つのフィールド群を構成するjフィールド〜j+3フィールドを例に挙げて説明を行う。
【0177】
まず、jフィールドの第1SFでは、走査電極SCi+1に強制初期化波形を印加し、走査電極SCiには非初期化波形を印加する。
【0178】
続くj+1フィールドの第1SFでは、全ての走査電極22に強制初期化波形を印加する。
【0179】
続くj+2フィールドの第1SFでは、走査電極SCiに強制初期化波形を印加し、走査電極SCi+1には非初期化波形を印加する。
【0180】
続くj+3フィールドの第1SFでは、全ての走査電極22に強制初期化波形を印加する。
【0181】
こうして、1つの走査電極群における1つのフィールド群の動作を終了する。他の走査電極群に対しても、上述と同様の動作を行い、これ以降においても、各フィールド群で上述と同様の動作を繰り返す。なお、図12に示す構成においては、jフィールド、j+2フィールド、j+4フィールド、・・・、は特定セル初期化フィールドとなり、j+1フィールド、j+3フィールド、j+5フィールド、・・・、は全セル初期化フィールドとなる。
【0182】
そして、図12に示す例では、フィールド毎に全ての放電セルで強制初期化動作を行う構成と比較して、各放電セルで強制初期化動作を行う頻度を4分の3に低減することができる。
【0183】
なお、強制初期化動作を1フィールドに1回とするときには、全フィールドを強制初期化フィールドにすればよいので、説明を省略する。
【0184】
なお、黒面積が小さい画像は、パネル10の画像表示面において黒の領域が占める割り合いが比較的少なく、黒輝度の明るさが画像表示品質へ与える影響は比較的小さい。したがって、強制初期化波形の発生頻度を上げても、画像表示品質に実質的に影響を与えることはない。
【0185】
以上示したように、本実施の形態では、黒面積が大きいときには強制初期化波形を走査電極22に印加する時間的な間隔が延長され、黒面積が小さいときには強制初期化波形を走査電極22に印加する時間的な間隔が短縮されるように、強制初期化波形の発生頻度を黒面積算出回路48において算出される黒面積の大きさに応じて変更するものとする。これにより、黒輝度を下げたときの画像表示品質の改善効果が大きい画像(黒面積の大きい画像)を表示する際には、強制初期化波形による初期化放電の発生頻度を低減し表示画像の黒輝度を低減して表示画像のコントラストを高め、書込み放電の発生回数が比較的多い画像(黒面積の小さい画像)を表示する際には、強制初期化波形による初期化放電の発生頻度を上げて、書込み放電を安定に発生させることが可能となる。
【0186】
なお、本発明は、フィールドを構成するサブフィールドが、上述した特定セル初期化サブフィールド、非初期化サブフィールド、全セル初期化サブフィールド、選択初期化サブフィールドの4種類のサブフィールドに限定されるものではなく、フィールド群を構成するフィールドが、上述した特定セル初期化フィールド、非初期化フィールド、全セル初期化フィールドの3種類のフィールドに限定されるものではない。上述した4種類以外のサブフィールドを設けてフィールドを構成してもよく、あるいは、上述した3種類以外のフィールドを設けてフィールド群を構成してもよい。
【0187】
なお、本実施の形態に示した特定セル初期化サブフィールドにおける強制初期化波形および非初期化波形の発生パターンは、単なる一実施例を示したものに過ぎず、本発明は、何らこれらの構成に限定されるものではない。強制初期化波形の発生頻度を変更することができる構成であれば、本実施の形態に示した以外の構成であってもかまわない。
【0188】
(実施の形態2)
上述したように、各放電セルで強制初期化動作を行う頻度を変更することで、表示画像の黒輝度は変化する。
【0189】
図13は、各放電セルで強制初期化動作を行う頻度を変更したときの黒輝度の変化(相対値)を示す図である。
【0190】
図13に示すように、本発明者が行った実験結果によれば、例えば、各放電セルにおいて強制初期化動作を行う頻度を6フィールドに1回にしたときの黒輝度に対して、強制初期化動作を行う頻度を4フィールドに1回にしたときの黒輝度は、1.50倍の明るさであった。また、各放電セルにおいて強制初期化動作を行う頻度を4フィールドに1回にしたときの黒輝度に対して、強制初期化動作を行う頻度を3フィールドに1回にしたときの黒輝度は、1.50倍の明るさであった。また、各放電セルにおいて強制初期化動作を行う頻度を3フィールドに1回にしたときの黒輝度に対して、強制初期化動作を行う頻度を2フィールドに1回にしたときの黒輝度は、1.50倍の明るさであった。また、各放電セルにおいて強制初期化動作を行う頻度を2フィールドに1回にしたときの黒輝度に対して、強制初期化動作を行う頻度を4フィールドに3回にしたときの黒輝度は、1.33倍の明るさであった。また、各放電セルにおいて強制初期化動作を行う頻度を4フィールドに3回にしたときの黒輝度に対して、強制初期化動作を毎フィールド行うときの黒輝度は、1.50倍の明るさであった。
【0191】
このように、強制初期化動作を行う頻度を変更したときには黒輝度に変化が生じる。そこで、本実施の形態では、強制初期化動作を行う頻度を変更するときに生じる黒輝度の変化を緩和し、黒輝度の変化を認識されにくくする構成について説明する。
【0192】
本実施の形態では、表示画像の明るさが変化し、黒面積が1つの数値範囲から、他の数値範囲に変化するときには、まず強制初期化波形の最大電圧を変化させ、次にフィールド群を構成するフィールドの組み合わせを変更して、強制初期化波形を発生する間隔を変更するものとする。
【0193】
図14は、本発明の実施の形態2における強制初期化波形を発生する間隔を変更するときの動作の一例を概略的に示す図である。図14に示す各図において、横軸は時間を表す。また、図14の上段に示す図は、強制初期化波形の最大電圧の時間的な変化を表す図であり、縦軸は強制初期化波形の最大電圧Vi2を表す。また、図14の中段に示す図は、強制初期化波形の発生頻度の時間的な変化を表す図であり、縦軸は強制初期化波形の発生頻度を表す。また、図14の下段に示す図は、表示画像における黒輝度の時間的な変化を表す図であり、縦軸は黒輝度を表す。
【0194】
なお、図14には、本実施の形態における一実施例として、時刻t1で黒面積が50%から30%に変化するときの動作を示す。
【0195】
例えば、図7に示した規則にもとづけば、黒面積50%のときには各放電セルで強制初期化動作を行う頻度は3フィールドに1回であり、黒面積30%のときには各放電セルで強制初期化動作を行う頻度は2フィールドに1回である。したがって、図13に示した実験結果によれば、強制初期化動作を行う頻度が3フィールドに1回から2フィールドに1回に変化するときに、黒輝度は1.50倍になる(以下、変化前の黒輝度を「黒輝度P1」と記し、変化後の黒輝度を「黒輝度P2」と記す。図14に示す例では、黒輝度P2は黒輝度P1の1.50倍になる)。
【0196】
そこで、本実施の形態では、黒面積が50%から30%に変化する時刻t1で強制初期化動作を行う頻度を切換えるのではなく、時刻t1から始まる所定の遷移期間Tm(例えば、約1秒)を設け、遷移期間Tmをかけて強制初期化波形の最大電圧Vi2を基準電圧値である電圧VsetAから所定電圧値である電圧VsetBまで徐々に上げていき、遷移期間が終了する時刻t2でフィールド群を構成するフィールドの組み合わせを変更して強制初期化動作を行う頻度を切換えると同時に強制初期化波形の最大電圧Vi2を電圧VsetBから電圧VsetAに戻すものとする(以下、この時刻t1から時刻t2までの一連の動作を「遷移動作」とも記す)。
【0197】
このとき、電圧VsetBは、時刻t2で強制初期化動作を行う頻度を切換えると同時に強制初期化波形の最大電圧Vi2を変更するときに、黒輝度の変化が発生しないように、設定する。
【0198】
すなわち、強制初期化波形の最大電圧Vi2を電圧VsetAに保持したまま各放電セルで強制初期化動作を行う頻度を変更(図14に示す例では、2フィールドに1回の頻度に変更)したときの黒輝度と、各放電セルで強制初期化動作を行う頻度を変更せずに(図14に示す例では、3フィールドに1回の頻度のまま)強制初期化波形の最大電圧Vi2を電圧VsetBに変更したときの黒輝度とが等しくなるように、電圧VsetBを設定する。
【0199】
例えば、図14に示す例では、黒輝度P2は黒輝度P1の1.50倍なので、強制初期化動作を行う頻度を3フィールドに1回に保持した状態で、最大電圧Vi2を電圧VsetAから電圧VsetBに変更したときに黒輝度が1.50倍になるように、電圧VsetBを設定する。
【0200】
これにより、黒輝度を、黒輝度P1から黒輝度P2まで、遷移期間Tmをかけて徐々に上昇させ、時刻t2で黒輝度に変化を生じさせることなく強制初期化動作を行う頻度を切換えることができるので、時刻t1で強制初期化動作を行う頻度を切換えて黒輝度が輝度P1から輝度P2に急峻に変化する場合と比較して、黒輝度の変化を認識されにくくすることが可能となる。
【0201】
なお、図示はしないが、走査電極駆動回路43においては、ミラー積分回路53の入力端子IN1を「Hi」にしている期間、電圧上昇を継続させることができるので、入力端子IN1を「Hi」にする時間の長さを制御することで、強制初期化波形の最大電圧Vi2の大きさを制御することができる。
【0202】
以上示したように、本実施の形態によれば、上述した構成とすることで、強制初期化動作を行う頻度を変更するときに生じる黒輝度の変化を緩和し、黒輝度の変化を認識されにくくして、画像表示品質をさらに向上することが可能となる。
【0203】
なお、遷移期間は黒輝度の変化が認識されにくい長さに設定することが好ましく、本実施の形態では約1秒としているが、本発明は何らこの長さに限定されるものではない。遷移期間の長さは、パネルの特性やプラズマディスプレイ装置の仕様等に応じて最適に設定すればよい。また、遷移期間の長さは、常に一定であってもよく、あるいは、強制初期化波形の最大電圧Vi2の変化量に応じて変更する構成であってもよい。例えば、黒輝度を1.33倍に変化させるときの遷移時間Tm1を、黒輝度を1.50倍に変化させるときの遷移時間Tm2と等しい長さに設定してもよく、遷移時間Tm1が遷移時間Tm2よりも短くなるように設定してもよい。
【0204】
なお、黒面積が急峻に大きく変化するときには黒輝度の変化は認識されにくいので、黒面積が緩やかに変化するとき、すなわち黒面積が1つの数値範囲から、その数値範囲に隣接する他の数値範囲に変化するときにのみ上述した遷移動作を行い、黒面積が、1つの数値範囲から、その数値範囲に隣接する数値範囲を超えて他の数値範囲に急峻に変化するとき(例えば、黒面積が50%から15%に急峻に変化するような場合)には、上述した遷移動作を行わずに強制初期化動作を行う頻度を切換えるように構成してもよい。
【0205】
なお、遷移期間の途中で黒面積がさらに他の数値範囲に変化するときには、その変化量に応じて、遷移動作の継続と打ち切りとのいずれかを最適に選択する構成としてもよい。
【0206】
なお、本実施の形態では、黒輝度が上昇する方向で変化する構成を説明したが、黒輝度が低下する方向で変化するときには、遷移動作において最大電圧Vi2を徐々に低下させるような構成とすればよい。
【0207】
なお、時刻t2において「強制初期化動作を行う頻度を切換えると同時に強制初期化波形の最大電圧Vi2を変更する」と説明したが、この「同時」は、厳密に「同時」であることを意味するのではなく、実質的に「同時」であることを表しており、表示画像に影響を与えない範囲でのばらつきは許容されるものとする。
【0208】
なお、電圧VsetBは、「時刻t2で強制初期化動作を行う頻度を切換えると同時に強制初期化波形の最大電圧Vi2を変更するときに、黒輝度の変化が発生しないように設定する」と説明したが、これは、厳密に「変化が発生しない」ことを意味するのではなく、表示画像に影響を与えない範囲でのばらつきは許容されるものとする。
【0209】
(実施の形態3)
一般的に、プラズマディスプレイ装置1においては、パネル10の使用期間の長さに応じて放電セルの放電特性に変化が生じ、例えば、使用期間が長いパネル10では、使用期間が短いパネル10と比較して、放電セルの放電開始電圧は高くなる。
【0210】
したがって、表示画像の黒輝度を低減して表示画像のコントラストを高めつつ、パネル10の使用期間が長くなってからも安定に書込み放電を発生させるためには、プラズマディスプレイ装置1の使用期間の長さに応じて、強制初期化波形の発生頻度を変更することが望ましい。そこで、本実施の形態では、プラズマディスプレイ装置1の使用期間の長さに応じて、強制初期化波形の発生頻度を変更する構成を示す。
【0211】
なお、プラズマディスプレイ装置1の使用期間の長さは、例えば、プラズマディスプレイ装置1が動作しているときだけ動作するタイマーと、そのタイマーで計測した時間を累積加算して記憶するメモリーとを備えた動作時間累積回路を設ける(図示せず)ことで、計測することができる。
【0212】
図15は、本発明の実施の形態3におけるプラズマディスプレイ装置1の動作時間の累積値と強制初期化波形の発生頻度との一例を示す図である。
【0213】
本実施の形態では、図15に示すように、例えば、動作時間累積回路において計測された動作時間の累積値があらかじめ設定した「第1時間」に達するまでは、黒面積80%以上の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を6フィールドに1回とし、黒面積60%以上80%未満の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を4フィールドに1回とし、黒面積40%以上60%未満の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を3フィールドに1回とし、黒面積20%以上40%未満の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を2フィールドに1回とし、黒面積10%以上20%未満の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を4フィールドに3回とし、黒面積10%未満の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を1フィールドに1回とする。
【0214】
また、動作時間累積回路において計測された動作時間の累積値が、「第1時間」以降、あらかじめ設定した「第2時間」に達するまでは、黒面積80%以上の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を4フィールドに1回とし、黒面積60%以上80%未満の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を3フィールドに1回とし、黒面積40%以上60%未満の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を2フィールドに1回とし、黒面積20%以上40%未満の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を4フィールドに3回とし、黒面積20%未満の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を1フィールドに1回とする。
【0215】
また、動作時間累積回路において計測された動作時間の累積値が、「第2時間」以降、あらかじめ設定した「第3時間」に達するまでは、黒面積80%以上の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を3フィールドに1回とし、黒面積60%以上80%未満の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を2フィールドに1回とし、黒面積40%以上60%未満の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を4フィールドに3回とし、黒面積40%未満の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を1フィールドに1回とする。
【0216】
また、動作時間累積回路において計測された動作時間の累積値が、「第3時間」以降、あらかじめ設定した「第4時間」に達するまでは、黒面積80%以上の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を2フィールドに1回とし、黒面積60%以上80%未満の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を4フィールドに3回とし、黒面積60%未満の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を1フィールドに1回とする。
【0217】
また、動作時間累積回路において計測された動作時間の累積値が、「第4時間」以降、あらかじめ設定した「第5時間」に達するまでは、黒面積80%以上の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を4フィールドに3回とし、黒面積80%未満以上の画像を表示するときには強制初期化波形の発生頻度を1フィールドに1回とする。
【0218】
また、動作時間累積回路において計測された動作時間の累積値が、「第5時間」に達してから以降は、常に強制初期化波形の発生頻度を1フィールドに1回とする。
【0219】
以上示したように、本実施の形態によれば、プラズマディスプレイ装置1の使用期間の長さに応じて、強制初期化波形の発生頻度を変更する構成とすることで、表示画像の黒輝度を低減して表示画像のコントラストを高めつつ、パネル10の使用期間が長くなってからも安定に書込み放電を発生させることが可能となる。
【0220】
なお、本発明の実施の形態においては、黒面積算出回路48において、黒面積が増加しているときに用いるしきい値を、黒面積が減少しているときに用いるしきい値よりも大きい値に設定して、黒面積の検出にヒステリシス特性を設ける構成としてもよい。
【0221】
なお、図6に示したタイミングチャートは本発明の実施の形態における一例を示したものに過ぎず、本発明は何らこれらのタイミングチャートに限定されるものではない。
【0222】
また、本発明における実施の形態は、走査電極SC1〜走査電極SCnを第1の走査電極グループと第2の走査電極グループとに分割し、書込み期間を、第1の走査電極グループに属する走査電極のそれぞれに走査パルスを印加する第1の書込み期間と、第2の走査電極グループに属する走査電極のそれぞれに走査パルスを印加する第2の書込み期間とで構成する、いわゆる2相駆動によるパネルの駆動方法にも適用させることができる。
【0223】
なお、本発明における実施の形態は、走査電極と走査電極とが隣り合い、維持電極と維持電極とが隣り合う電極構造、すなわち前面板に設けられる電極の配列が、「・・・走査電極、走査電極、維持電極、維持電極、走査電極、走査電極、・・・」となる電極構造のパネルにおいても有効である。
【0224】
なお、本実施の形態において示した具体的な各数値、例えば、上りランプ電圧L1、下りランプ電圧L2、消去ランプ電圧L3の各傾斜電圧の勾配等は表示電極対数1080の50インチのパネルの特性にもとづき設定したものであって、単に実施の形態の一例を示したものに過ぎない。本発明はこれらの数値に何ら限定されるものではなく、パネルの特性やプラズマディスプレイ装置の仕様等に合わせて最適に設定することが望ましい。また、これらの各数値は、上述した効果を得られる範囲でのばらつきを許容するものとする。
【産業上の利用可能性】
【0225】
本発明は、黒面積が大きい画像を表示する際には表示画像の黒輝度を低減してコントラストを高め、黒面積が小さい画像を表示する際には書込み放電を安定に発生させて画像表示品質を高めることができるので、パネルの駆動方法およびプラズマディスプレイ装置として有用である。
【符号の説明】
【0226】
1 プラズマディスプレイ装置
10 パネル
21 (ガラス製の)前面板
22 走査電極
23 維持電極
24 表示電極対
25,33 誘電体層
26 保護層
31 背面板
32 データ電極
34 隔壁
35 蛍光体層
41 画像信号処理回路
42 データ電極駆動回路
43 走査電極駆動回路
44 維持電極駆動回路
45 タイミング発生回路
48 黒面積算出回路
50 維持パルス発生回路
51 初期化波形発生回路
52 走査パルス発生回路
53,54,55 ミラー積分回路
Q1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6,QH1〜QHn,QL1〜QLn スイッチング素子
C1,C2,C3,C31 コンデンサ
D31 ダイオード
R1,R2,R3 抵抗
L1 上りランプ電圧
L2,L4 下りランプ電圧
L3 消去ランプ電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査電極と維持電極とからなる表示電極対を有する放電セルを複数備えたプラズマディスプレイパネルを、初期化期間と書込み期間と維持期間とを有するサブフィールドを1フィールド内に複数設けて階調表示するプラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、
前記初期化期間において、
直前のサブフィールドの動作にかかわらず前記放電セルに初期化放電を発生する強制初期化波形と、直前のサブフィールドの前記維持期間に維持放電を発生した前記放電セルだけに初期化放電を発生する選択初期化波形と、前記放電セルに初期化放電が発生しない非初期化波形とのいずれかを前記走査電極に印加し、
前記初期化期間において所定の走査電極に前記強制初期化波形を印加し、他の走査電極に前記非初期化波形を印加する特定セル初期化サブフィールドと、
前記初期化期間に前記選択初期化波形を全ての前記走査電極に印加する選択初期化サブフィールドとを設けるとともに、
前記特定セル初期化サブフィールドと複数の前記選択初期化サブフィールドとを有する特定セル初期化フィールドを設け、
前記プラズマディスプレイパネルの画像表示面において輝度の階調値が所定値未満となる領域が占める割り合いを黒面積として算出するとともに、前記黒面積が大きくなるにつれて前記強制初期化波形を前記走査電極に印加する頻度が低減されるように、前記強制初期化波形の発生頻度を前記黒面積の大きさに応じて変更することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【請求項2】
前記初期化期間に前記非初期化波形を発生して全ての前記走査電極に印加する非初期化サブフィールドと、
前記初期化期間に前記強制初期化波形を発生して全ての前記走査電極に印加する全セル初期化サブフィールドとを設けるとともに、
前記特定セル初期化フィールドに、
前記非初期化サブフィールドと複数の前記選択初期化サブフィールドとを有する非初期化フィールドと、
前記全セル初期化サブフィールドと複数の前記選択初期化サブフィールドとを有する全セル初期化フィールドとを加えた少なくとも3種類のフィールドを設け、
前記3種類のフィールドのいずれか1種類またはいずれか2種類を用いて時間的に連続する複数のフィールドで1つのフィールド群を構成し、
前記黒面積が大きくなるにつれて前記強制初期化波形を前記走査電極に印加する頻度が低減されるように、前記フィールド群を構成するフィールドの組み合わせを前記黒面積の大きさに応じて変更することを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【請求項3】
複数の前記特定セル初期化フィールドを用いて構成されたフィールド群では、前記強制初期化波形を印加する前記走査電極の数がそれぞれの前記特定セル初期化サブフィールドで互いに等しくなるように前記強制初期化波形を発生することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【請求項4】
前記黒面積の大きさが複数の数値範囲に分けられ、それぞれの数値範囲に対して前記フィールド群を構成するフィールドの組み合わせが設定されており、
前記黒面積の大きさが、1つの数値範囲から、他の数値範囲に変化するときには、
まず前記強制初期化波形の最大電圧を変化させ、次に前記フィールド群を構成するフィールドの組み合わせを変更することを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【請求項5】
前記黒面積の大きさが、1つの数値範囲から、その数値範囲に隣接する他の数値範囲に変化するときには、
前記強制初期化波形の最大電圧を基準電圧値から所定電圧値まで所定の遷移期間をかけて徐々に変化させ、前記最大電圧が前記所定電圧値に到達した後に、前記フィールド群を構成するフィールドの組み合わせを変更すると同時に前記最大電圧を前記所定電圧値から前記基準電圧値に変化させ、
前記黒面積の大きさが、1つの数値範囲から、その数値範囲に隣接する数値範囲を超えて他の数値範囲に変化するときには、
前記最大電圧を変化させることなく前記フィールド群を構成するフィールドの組み合わせを変更することを特徴とする請求項4に記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【請求項6】
前記プラズマディスプレイパネルを搭載したプラズマディスプレイ装置の動作時間の累積値を計測し、
前記累積値に応じて前記強制初期化波形の発生頻度を変更することを特徴とする請求項4に記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【請求項7】
初期化期間と書込み期間と維持期間とを有するサブフィールドを1フィールド内に複数設けて階調表示するサブフィールド法で駆動し、
前記サブフィールドとして特定セル初期化サブフィールドと選択初期化サブフィールドを設けるとともに、前記特定セル初期化サブフィールドおよび複数の前記選択初期化サブフィールドを有する特定セル初期化フィールドを設けて駆動する、走査電極と維持電極とからなる表示電極対を有する放電セルを複数備えたプラズマディスプレイパネルと、
前記初期化期間に、直前のサブフィールドの動作にかかわらず前記放電セルに初期化放電を発生する強制初期化波形と、直前のサブフィールドの前記維持期間に維持放電を発生した前記放電セルだけに初期化放電を発生する選択初期化波形と、前記放電セルに初期化放電が発生しない非初期化波形とのいずれかを発生して前記走査電極に印加するとともに、
前記特定セル初期化サブフィールドの前記初期化期間では、所定の走査電極には前記強制初期化波形を印加し、他の走査電極には前記非初期化波形を印加し、前記選択初期化サブフィールドの前記初期化期間では、前記選択初期化波形を全ての前記走査電極に印加する走査電極駆動回路と、
輝度の階調値が所定値未満となる画素の数をそれぞれのフィールドで計数して黒面積を算出する黒面積算出回路とを備え、
前記走査電極駆動回路は、
前記黒面積算出回路において算出された黒面積が大きくなるにつれて前記強制初期化波形を前記走査電極に印加する頻度が低減されるように、前記強制初期化波形の発生頻度を前記黒面積の大きさに応じて変更することを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
【請求項8】
非初期化サブフィールドと、全セル初期化サブフィールドとをさらに設け、
前記走査電極駆動回路は、
前記非初期化サブフィールドにおいては、前記初期化期間に前記非初期化波形を発生して全ての前記走査電極に印加し、
前記全セル初期化サブフィールドにおいては、前記初期化期間に前記強制初期化波形を発生して全ての前記走査電極に印加し、
前記特定セル初期化フィールドに、
前記非初期化サブフィールドと複数の前記選択初期化サブフィールドとを有する非初期化フィールドと、
前記全セル初期化サブフィールドと複数の前記選択初期化サブフィールドとを有する全セル初期化フィールドとを加えた少なくとも3種類のフィールドを設け、
前記3種類のフィールドのいずれか1種類またはいずれか2種類を用いて時間的に連続する複数のフィールドで1つのフィールド群を構成し、
前記黒面積が大きくなるにつれて前記強制初期化波形を前記走査電極に印加する頻度が低減されるように、前記黒面積の大きさに応じて前記フィールド群の構成を切換えることを特徴とする請求項7に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項9】
前記走査電極駆動回路は、
上昇する傾斜電圧を発生する傾斜電圧発生回路を有し、
前記傾斜電圧発生回路が出力する傾斜電圧に所定の電圧を重畳した電圧を前記強制初期化波形として発生し、
前記所定の電圧を重畳しない前記傾斜電圧を前記非初期化波形として発生することを特徴とする請求項7または請求項8に記載のプラズマディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−249914(P2010−249914A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96827(P2009−96827)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】