説明

プラズマ処理装置

【課題】電極への異物の付着に起因する不具合を抑制したプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】基板の表面に膜を形成するプラズマ処理装置のリアクタは、原料ガスを噴射する噴射体を兼ねる噴射体電極と、基板を支持する支持体を兼ねる支持体電極とをチャンバの内部に収容した構造を有する。リアクタには、支持体電極と噴射体電極との対に直流パルス電圧を印加するパルス電源と、噴射体電極に処理ガスを供給する処理ガス供給回路とが接続される。噴射体電極の内部には、処理ガスの噴射孔が形成された対向面から支持面へ向かう方向(下方向)とは反対の方向(上方向)へ延在する側面に沿う冷媒の流路が形成される。冷媒の流路を形成することに代えて側面に冷却機構を取りつけてもよい。対向面を含まない本体と対向面を含む着脱体とに噴射体電極を分離可能とし、チャンバの外部で着脱体を洗浄してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物の表面に膜を形成するプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のプラズマ処理装置は、支持体電極(下部電極4)の支持面と噴射体電極(上部電極兼用ガス噴出プレート5,105)の対向面とを間隙を挟んで対向させ、支持体電極と噴射体電極との対に高周波を印加し、原料ガスをプラズマ化する。被処理物(基板2)は、支持体電極の支持面で支持される。噴射体電極の対向面には原料ガスの噴射孔(ガス噴出孔5a,105a)が形成される。
【0003】
特許文献1は、中央と縁との温度差のために噴射体電極が変形することを従来の技術の問題点として指摘しており、その解決策として、噴射体電極の中央を冷却すること(段落0018)を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3310171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、中央が冷却される噴射体電極(上部電極兼用ガス噴出プレート105)又は中央が冷却されない噴射体電極(上部電極兼用ガス噴出プレート5)は、原料ガスに由来する異物が対向面の縁や噴射孔の縁に付着し、放電が不均一になる等の不具合を生じる。特に、プラズマ処理装置でDLC膜を形成する場合は、炭素を含む原料ガスを用いるので、炭素を主成分とする導電性の異物が対向面の縁や噴射孔の縁に付着し、放電が不均一になりやすい。
【0006】
本発明は、この問題を解決するためになされたもので、電極への異物の付着に起因する不具合を抑制したプラズマ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1のプラズマ処理装置は、被処理物の表面に膜を形成するプラズマ処理装置であって、被処理物を支持面で支持する支持体電極と、前記支持面と間隙を挟んで対向する対向面に処理ガスの噴射孔が形成され、前記対向面の縁から前記支持面へ向かう方向とは反対の方向に延在する側面に沿う冷媒の流路が内部に形成された噴射体電極と、前記支持体電極と前記噴射体電極との対に直流パルス電圧を印加するパルス電源と、前記支持体電極及び前記噴射体電極を内部に収容するチャンバと、前記噴射体電極に処理ガスを供給する処理ガス供給回路と、前記噴射体電極に冷媒を供給し前記噴射体電極から冷媒を回収する冷媒循環回路と、を備える。
【0008】
請求項2のプラズマ処理装置は、請求項1のプラズマ処理装置において、前記噴射体電極の内部に処理ガスのガスたまりが形成され、前記ガスたまりと前記噴射体電極の外部を隔てる側壁に前記流路が形成される。
【0009】
請求項3のプラズマ処理装置は、被処理物の表面に膜を形成するプラズマ処理装置であって、被処理物を支持面で支持する支持体電極と、前記支持面と間隙を挟んで対向する対向面に処理ガスの噴射孔が形成された噴射体電極と、前記対向面の縁から前記支持面へ向かう方向とは反対の方向に延在する前記噴射体電極の側面と密着し前記側面と密着する面に沿う冷媒の流路が内部に形成された冷却機構と、前記支持体電極と前記噴射体電極との対に直流パルス電圧を印加するパルス電源と、前記支持体電極及び前記噴射体電極を内部に収容するチャンバと、前記噴射体電極に処理ガスを供給する処理ガス供給回路と、前記冷却機構に冷媒を供給し前記冷却機構から冷媒を回収する冷媒循環回路と、を備える。
【0010】
請求項4のプラズマ処理装置は、請求項1ないし請求項3のいずれかのプラズマ処理装置において、前記噴射孔の縁が面取りされている。
【0011】
請求項5のプラズマ処理装置は、請求項1ないし請求項4のいずれかのプラズマ処理装置において、直流パルス電圧を独立して印加可能な複数の処理部の各々に対応して前記パルス電源がひとつずつ設けられ、複数の前記パルス電源の各々は、対応する前記処理部の前記支持体電極と前記噴射体電極との対に直流パルス電圧を印加する。
【0012】
請求項6のプラズマ処理装置は、被処理物の表面に膜を形成するプラズマ処理装置であって、被処理物を支持面で支持する支持体電極と、前記支持面と間隙を挟んで対向し処理ガスの噴射孔が形成された対向面を有し、前記対向面を含まない本体と前記対向面を含み前記本体に着脱される着脱体とに分離可能な噴射体電極と、前記対向面が前記支持面と間隙を挟んで対向する位置に前記着脱体を支持する支持体と、前記支持体電極と前記噴射体電極との対に直流パルス電圧を印加するパルス電源と、前記支持体電極及び前記噴射体電極を内部に収容するチャンバと、前記噴射体電極に処理ガスを供給する処理ガス供給回路と、を備える。
【0013】
請求項7のプラズマ処理装置は、請求項6のプラズマ処理装置において、前記対向面の縁から前記支持面へ向かう方向とは反対の方向に延在する側面に沿う冷媒の流路が前記噴射体電極の内部に形成され、前記噴射体電極に冷媒を供給し前記噴射体電極から冷媒を回収する冷媒循環回路、をさらに備える。
【0014】
請求項8のプラズマ処理装置は、請求項7のプラズマ処理装置において、前記噴射体電極の内部に処理ガスのガスたまりが形成され、前記ガスたまりと前記噴射体電極の外部とを隔てる側壁に前記流路が形成される。
【0015】
請求項9のプラズマ処理装置は、請求項6のプラズマ処理装置において、前記対向面の縁から前記支持面へ向かう方向とは反対の方向に延在する前記噴射体電極の側面と密着し前記側面と密着する面に沿う冷媒の流路が内部に形成された冷却機構と、前記冷却機構に冷媒を供給し前記冷却機構から冷媒を回収する冷媒循環回路と、をさらに備える。
【0016】
請求項10のプラズマ処理装置は、請求項6ないし請求項9のいずれかのプラズマ処理装置において、前記噴射孔の縁が面取りされている。
【0017】
請求項11のプラズマ処理装置は、請求項6ないし請求項10のいずれかのプラズマ処理装置において、直流パルス電圧を独立して印加可能な複数の処理部の各々に対応して前記パルス電源がひとつずつ設けられ、複数の前記パルス電源の各々は、対応する前記処理部の前記支持体電極と前記噴射体電極との対に直流パルス電圧を印加する。
【発明の効果】
【0018】
請求項1ないし請求項5の発明によれば、噴射体電極の対向面の縁が冷却されるので、対向面の縁への異物の付着が抑制される。これにより、異物の付着に起因する不具合が抑制される。
【0019】
請求項2の発明によれば、噴射体電極の中央の冷却に冷却能力が浪費されないので、噴射体電極の対向面の縁が効率的に冷却される。これにより、異物の付着に起因する不具合がさらに抑制される。
【0020】
請求項4の発明によれば、電界集中に起因する噴射孔の縁への異物の付着が抑制される。これにより、異物の付着に起因する不具合がさらに抑制される。
【0021】
請求項5の発明によれば、一の支持体電極と噴射体電極との間隙にアーク放電が発生しても、他の支持体電極と噴射体電極との対への直流パルス電圧の印加が影響を受けないので、アーク放電による生産性の低下が抑制される。
【0022】
請求項6ないし請求項11の発明によれば、対向面を含む着脱体が本体に着脱されるので、対向面に付着した異物がチャンバの外部で容易に除去される。これにより、異物の付着に起因する不具合が抑制される。
【0023】
請求項7ないし請求項9の発明によれば、噴射体電極の対向面の縁が冷却されるので、対向面の縁への異物の付着が抑制される。これにより、異物の付着に起因する不具合がさらに抑制される。
【0024】
請求項8の発明によれば、噴射体電極の中央の冷却に冷却能力が浪費されないので、噴射体電極の対向面の縁が効率的に冷却される。これにより、異物の付着に起因する不具合がさらに抑制される。
【0025】
請求項10の発明によれば、電界集中に起因する噴射孔の縁への異物の付着が抑制される。これにより、異物の付着に起因する不具合がさらに抑制される。
【0026】
請求項11の発明によれば、一の支持体電極と噴射体電極との間隙にアーク放電が発生しても、他の支持体電極と噴射体電極との対への直流パルス電圧の印加が影響を受けないので、アーク放電による生産性の低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態のプラズマ処理装置の模式図である。
【図2】第1実施形態の噴射体電極の斜視図である。
【図3】第1実施形態の噴射体電極の横断面図である。
【図4】第1実施形態の噴射体電極の縦断面図である。
【図5】噴射孔の近傍を拡大した断面図である。
【図6】IES電源の回路図である。
【図7】処理の手順を説明するフローチャートである。
【図8】第2実施形態の噴射体電極の斜視図である。
【図9】第2実施形態の噴射体電極の横断面図である。
【図10】第2実施形態の噴射体電極の縦断面図である。
【図11】第3実施形態の結合体の斜視図である。
【図12】第3実施形態の結合体の横断面図である。
【図13】第3実施形態の結合体の縦断面図である。
【図14】第4実施形態の冷却機構の斜視図である。
【図15】第4実施形態の冷却機構の横断面図である。
【図16】第4実施形態の冷却機構の縦断面図である。
【図17】直流パルス電圧の波形を示す図である。
【図18】第5実施形態のプラズマ処理装置の断面図である。
【図19】第5実施形態の噴射体電極の縦断面図である。
【図20】第5実施形態の噴射体電極の縦断面図である。
【図21】第5実施形態の被搬送物の移動を説明する図である。
【図22】第5実施形態の被搬送物の移動を説明する図である。
【図23】第5実施形態の被搬送物の移動を説明する図である。
【図24】第5実施形態の被搬送物の移動を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<1 第1実施形態>
(プラズマ処理装置102の概略)
第1実施形態は、プラズマ処理装置102に関する。
【0029】
図1は、第1実施形態のプラズマ処理装置102の模式図である。図1は、プラズマ処理装置102のリアクタ104の断面を示すとともに、リアクタ104に付随する電気回路及びエア回路を示している。
【0030】
図1に示すように、プラズマ処理装置102のリアクタ104は、処理ガスを噴射する噴射体(ノズル)を兼ねる噴射体電極(ノズル電極)106と、基板198を支持する支持体を兼ねる支持体電極108と、基板198を加熱するヒータ110とをチャンバ112の内部に収容した構造を有する。
【0031】
チャンバ112の内部には、基板198を処理する複数の処理部114が配列される。複数の処理部114の各々には、噴射体電極106及び支持体電極108がひとつずつ設けられる。
【0032】
リアクタ104には、支持体電極108と噴射体電極106との対に直流パルス電圧を印加するパルス電源116と、噴射体電極106に処理ガスを供給する処理ガス供給回路118と、チャンバ112の内部からガスを排出するガス排出回路120と、チャンバ112の内部の圧力を測定する圧力計122と、噴射体電極106に冷媒を供給し噴射体電極106から冷媒を回収する冷媒循環回路124とが接続される。
【0033】
望ましくは、パルス電源116は、処理部114の各々に対応してひとつずつ設けられる。複数の処理部114の各々は、直流パルス電圧を独立して印加可能である。複数のパルス電源116の各々は、対応する処理部114の支持体電極108と噴射体電極106との対に直流パルス電圧を印加する。これにより、一の支持体電極108と噴射体電極106との間隙にアーク放電が発生しても、他の支持体電極108と噴射体電極106との対への直流パルス電圧の印加への影響がないので、アーク放電による生産性の低下が抑制される。処理部114が「直流パルス電圧を独立して印加可能」であるためには、支持体電極108及び噴射体電極106の両方又は片方が処理部114ごとにひとつずつ設けられる。支持体電極108及び噴射体電極106の片方のみを処理部114ごとにひとつずつ設ける場合、支持体電極108を複数の処理部114について共通化して接地し、噴射体電極106のみを処理部114ごとにひとつずつ設けることが望ましい。
【0034】
プラズマ処理装置102は、複数の処理部114の各々において、噴射体電極106から処理ガスとして原料ガスを噴射しつつ噴射体電極106と支持体電極108との対に直流パルス電圧を印加することにより、噴射体電極106と支持体電極108との間隙に原料ガスのプラズマを生成し、支持体電極108の支持面160で支持された基板198の表面に膜を形成する。複数の処理部114の各々において処理する基板198は、1個であってもよいが、2個以上であってもよい。
【0035】
(噴射体電極106の概略)
図2、図3及び図4は、第1実施形態の噴射体電極106の模式図である。図2は、斜め下方から見た斜視図、図3は、対向面132に平行な断面を示す横断面図、図4は、対向面132に垂直な断面を示す縦断面図である。
【0036】
図2、図3及び図4に示すように、噴射体電極106は、円柱の底面の近傍の径を底面に向かって連続的に細くした立体形状を有し、先細り部分の先端が対向面132となっている。もちろん、底面の近傍だけでなく全体を先細り構造としてもよい。
【0037】
噴射体電極106は、鉄又は鉄を主成分とする合金、例えば、ステンレス鋼、ダイス鋼、ハイスピード鋼等、アルミニウム又はアルミニウムを主成分とする合金からなることが望ましい。ただし、材質を変更してもよいし、表面を例えばタングステンやクロム、ニッケルなどの材質にてコーティングしてもよい。
【0038】
図3及び図4に示すように、噴射体電極106の内部には、処理ガスのガスたまり126と、ガスたまり126から対向面132へ至る処理ガスの流路128と、非対向面134からガスたまり126へ至る処理ガスの流路130とが形成される。これにより、対向面132には、処理ガスの噴射孔136が形成され、非対向面134には、処理ガスの供給孔138が形成される。「対向面」とは、噴射体電極106の表面のうちの支持体電極108の支持面160と平行に対向する範囲であり、「非対向面」とは、噴射体電極106の表面のうちの「対向面」を除く残余の範囲である。噴射体電極106は、対向面132が水平になるように設置される。
【0039】
噴射体電極106は、供給孔138から処理ガスを受け取り、ガスたまり126に処理ガスを一時的に貯留し、噴射孔136から処理ガスを下方に噴射する。これにより、支持体電極108に支持された基板198に処理ガスが吹きつけられる。
【0040】
噴射孔136の直径は、1〜4mmであることが望ましい。噴射孔136の直径がこの範囲より小さくなると、処理ガスの流れが悪くなる傾向があり、噴射孔136の直径がこの範囲より大きくなると処理が不均一になる傾向があるからである。
【0041】
(対向面132の縁154への異物の付着の抑制)
噴射体電極106の内部には、対向面132から支持面160へ向かう方向(下方向)とは反対の方向(上方向)へ延在する側面135に沿う冷媒196の流路140が形成される。図2、図3及び図4に示す噴射体電極106の側面135は、対向面132と垂直をなす。しかし、対向面132と側面135とが垂直をなすことは必須ではない。流路140は、始端142から終端144へ周方向に延在する不完全環状の空洞である。流路140の始端142と終端144との間には周方向の冷媒196の流れを断つ隔壁146がある。噴射体電極106には、側面135から流路140の始端142へ至る流入孔148と、側面135から流路140の終端144へ至る流出孔150も形成される。流入孔148へ流入した冷媒196は、流路140を略一周して噴射体電極106を冷却した後、流出孔150から流出する。これにより、対向面132の縁154が冷却されるので、対向面132の縁154への異物の付着が抑制され、異物の付着に起因する不具合が抑制される。
【0042】
流路140が「側面に沿う」とは、流路140と側面135との距離DS(図4参照)が噴射体電極106の直径DA(図4参照)より十分に短いことを意味する。望ましくは、距離DSは直径DAの1/5以下である。
【0043】
流路140は、ガスたまり126と噴射体電極106の外部とを隔てる側壁152に形成される。これにより、ガスたまり126は熱を伝達しにくいので、対向面132の中央156の冷却に冷却能力が浪費されず、対向面132の縁154が効率的に冷却される。
【0044】
(噴射孔136の縁158への異物の付着の抑制)
図5は、図4の噴射孔136の近傍を拡大した断面図である。
【0045】
図5に示すように、噴射孔136の縁158は、面取りされることが望ましい。これにより、噴射孔136の縁158への電界集中に起因する異物の付着が抑制され、異物の付着に起因する不具合がさらに抑制される。面取りは、C面取り及びR面取りのいずれでもよい。
【0046】
(支持体電極108)
支持体電極108は、複数の孔を板に形成した外形形状を有する。支持体電極108に形成された孔により、上方から下方へのガスの流れが支持体電極108によって妨げられることが抑制される。
【0047】
支持体電極108も、鉄又は鉄を主成分とする合金、例えば、ステンレス鋼、ダイス鋼、ハイスピード鋼、アルミニウム又はアルミニウムを主成分とする合金等からなることが望ましい。ただし、材質を変更してもよいし、表面を例えばタングステンやクロム、ニッケルなどの材質にてコーティングしてもよい。
【0048】
支持体電極108は、「パンチングメタル」と称される部材である。
【0049】
支持体電極108は、水平に設置され、支持面(上面)160に載置された基板198を下方から支持する。
【0050】
(噴射体電極106及び支持体電極108の配置)
噴射体電極106及び支持体電極108は、上下に離隔して配置され、噴射体電極106の対向面132と支持体電極108の支持面160とは間隙162を挟んで対向する。間隙162の幅は、1〜20mmであることが望ましい。間隙162の幅がこの範囲より狭くなるとアーク放電が起こりやすくなり、間隙162の幅がこの範囲より広くなると後述するグロー放電が起こりにくくなるからである。
【0051】
(噴射体電極106及び支持体電極108の被覆)
噴射体電極106の対向面132及び支持体電極108の支持面160は、誘電体バリアで被覆せず、導電体が露出した状態とすることが望ましい。これは、対向面132及び支持面160を誘電体バリアで被覆すると、プラズマ中をイオンが移動することが妨げられ、基板198の表面への膜の形成が阻害されるからである。対向面132及び支持面160を誘電体バリアで被覆しないと、アーク放電が起こりやすくなるが、プラズマ処理装置102では、複数の処理部114の各々に対応してパルス電源116をひとつずつ設けることにより、アーク放電による生産性の低下を抑制しているので、大きな問題とはならない。
【0052】
(直流パルス電圧)
パルス電源116から噴射体電極106と支持体電極108との対に繰り返し印加される直流パルス電圧は、間隙162にグロー放電を発生させる立ち上がりの速い直流パルス電圧であることが望ましい。
【0053】
グロー放電を発生させる直流パルス電圧は、ピーク電圧が概ね0.1〜20kV、半値幅FWHM(Full Width at Half Maximum)が概ね100〜5000ns、立ち上がり時の電圧の時間上昇率dV/dtが概ね0.1〜100kV/μs、周波数が概ね1〜200kHzの直流パルス電圧である。直流パルス電圧は、極性が変化しない単極性の直流パルス電圧である。直流パルス電圧とは、図17に示すように、ある一定期間のみ印加される直流電圧であり、交流成分を含まない。直流パルス電圧を印加するのは、噴射体電極106の対向面132及び支持体電極108の支持面160が誘電体バリアで被覆されていない場合に交流パルス電圧を印加すると、放電が起こりにくくなったりアーク放電が起こりやすくなったりして生産性が低下するからである。
【0054】
グロー放電が間隙162に発生しているときには、図1に示すように、噴射体電極106から支持体電極108へ向かって均一に発光するプラズマ194が観察される。
【0055】
上述の説明において半値幅等の範囲を「概ね」としているのは、噴射体電極106及び支持体電極108の構造及び材質、間隙162の間隔並びに処理ガスの圧力等のプラズマ処理装置102の構造や処理条件によっては、グロー放電が発生する半値幅等の範囲が上述の範囲よりも広くなる場合があるからである。したがって、放電がグロー放電になっているか否かは、実際の放電を観察して判断することが望ましい。ただしグロー放電中の一部にアーク放電に移行しないストリーマー放電が含まれてもよい。
【0056】
(チャンバ112の内部の圧力及び投入する電力)
基板198の表面に膜を形成するときのチャンバ112の内部の圧力は、10hPa〜常圧(1013hPa)であることが望ましく、100hPa〜常圧であることがさらに望ましい。チャンバ112の内部の圧力がこの範囲内であれば、膜の形成が速くなり、生産性が向上するからである。なお、チャンバ112の内部の圧力が高くなると、アーク放電が起こりやすくなるが、プラズマ処理装置102では、複数の処理部114の各々に対応してパルス電源116をひとつずつ設けることにより、アーク放電による生産性の低下を抑制しているので、大きな問題とはならない。
【0057】
投入する電力を噴射体電極106の対向面132と支持体電極108の支持面160とが対向する面積で除した単位面積あたりの投入電力は、チャンバ112の内部の圧力が10hPa〜常圧である場合は、150W/cm2以上であることが望ましく、チャンバ112の内部の圧力が100hPa〜常圧である場合は、75W/cm2以上であることが望ましい。単位面積あたりの投入電力がこの範囲内にあれば、膜の形成が速くなり、生産性が向上するからである。
【0058】
(パルス電源116の形式)
パルス電源116は、アーク放電を発生させることなくグロー放電を発生させる直流パルス電圧を出力するものであればよいが、誘導性素子に磁界の形で蓄積したエネルギーを短時間で放出する誘導エネルギー蓄積型(IES;Inductive Energy Storage)の電源(以下では、「IES電源」という)であることが望ましい。これは、IES電源は、容量性素子に電界の形で蓄積したエネルギーを短時間で放出する静電エネルギー蓄積型(CES;Capacitive Energy Storage)の電源(以下では、「CES電源」という)と比較して、著しく大きいエネルギーを高い繰り返し頻度で投入することができるからである。典型的には、電極構造が同じならば、IES電源を採用した場合、プラズマを生成する反応に使われる1パルスあたりのエネルギー(以下では、「1パルスエネルギー」という)は、CES電源を採用した場合よりも概ね1桁大きくなる。IES電源とCES電源とのこの相違は、IES電源が発生する直流パルス電圧は電圧の上昇が急激であるのに対して、CES電源が発生する直流パルス電圧は電圧の上昇が緩慢であることにより生じる。すなわち、IES電源を採用した場合、電圧が十分に上昇してから放電が始まり、1パルスエネルギーが十分に大きくなるとともに、面内の放電均一性が高いのに対して、CES電源を採用した場合、電圧が十分に上昇しないうちに放電が始まり、1パルスエネルギーが十分に大きくならないとともに、面内の放電均一性が悪いことがある。
【0059】
(スイッチング素子)
IES電源としては、静電誘導型サイリスタ(以下では、「SIサイリスタ」という)を誘導性素子への電流の供給を制御するスイッチング素子として用いた電源を採用することが望ましい。SIサイリスタをスイッチング素子として用いることにより、立ち上がりの速い直流パルス電圧を発生することができるので、上述のグロー放電を容易に発生させることができるからである。SIサイリスタをスイッチング素子として用いることにより立ち上がりの速い直流パルス電圧を発生することができるのは、SIサイリスタは、ゲートが絶縁されておらずゲートから高速にキャリアが引き抜かれるので、高速にターンオフするからである。IES電源の動作原理等の詳細は、例えば、飯田克二、佐久間健:「SIサイリスタによる極短パルス発生回路(IES回路)」、SIデバイスシンポジウム講演論文集、Vol.15,Page.40−45(2002年6月14日発行)に記載されている。
【0060】
(SIサイリスタ172をスイッチング素子として用いたIES電源164の回路図)
図6は、パルス電源116に好適に用いられるSIサイリスタ172をスイッチング素子として用いたIES電源164の回路図である。もちろん、図6に示す回路図は一例にすぎず、様々に変形される。
【0061】
図6に示すように、IES電源164は、電気エネルギーを供給する直流電源166と直流電源166の放電能力を強化するキャパシタ168とを備える。
【0062】
直流電源166の電圧は、IES電源164が発生させる直流パルス電圧のピーク電圧より著しく低い電圧であることが許容される。例えば、後述する昇圧トランス170の1次側に発生させる1次側電圧V1のピーク電圧が4kVに達しても、直流電源166の電圧は数10〜数100Vで足りる。この電圧の下限は後述するSIサイリスタ172のラッチング電圧によって決まる。IES電源164は、このような低電圧の直流電源166を電気エネルギー源として利用可能であるので、小型・低コストに構築可能である。
【0063】
キャパシタ168は、直流電源166と並列に接続される。キャパシタ168は、直流電源166のインピーダンスを見かけ上低下させることにより直流電源166の放電能力を強化する。
【0064】
IES電源164は、さらに、昇圧トランス170、SIサイリスタ172、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)174、ゲート駆動回路176及びダイオード178を備える。
【0065】
IES電源164では、直流電源166と、昇圧トランス170の1次側と、SIサイリスタ172のアノード(A)・カソード(K)間と、MOSFET174のドレイン(D)・ソース(S)間とが直列接続される。すなわち、昇圧トランス170の1次側の一端が直流電源166の正極に、昇圧トランス170の1次側の他端がSIサイリスタ172のアノードに、SIサイリスタ172のカソード(K)がMOSFET174のドレイン(D)に、MOSFET174のソース(S)が直流電源166の負極に接続される。これにより、直流電源166からこれらの回路素子に電流を供給する閉回路が形成される。また、IES電源164では、SIサイリスタ172のゲート(G)がダイオード178を介して昇圧トランス170の1次側の一端と接続される。すなわち、SIサイリスタ172のゲート(G)がダイオード178のアノード(A)に、ダイオード178のカソード(K)が昇圧トランス170の1次側の一端(直流電源166の正極)に接続される。FETのゲート(G)・ソース(S)間には、ゲート駆動回路176が接続される。
【0066】
昇圧トランス170は、1次側に与えられた直流パルス電圧をさらに昇圧して2次側に出力する。昇圧トランス170の2次側の一端は支持体電極108に接続され、他端は噴射体電極106に接続される。
【0067】
SIサイリスタ172は、ゲート(G)に与えられる信号によりターンオン及びターンオフされる。
【0068】
MOSFET174は、ゲート駆動回路176から与えられる信号に応答してドレイン(D)・ソース(S)間の導通状態が変化するスイッチング素子である。MOSFET174のオン電圧ないしはオン抵抗は低いことが望ましい。また、MOSFET174の耐圧は直流電源166の電圧より高いことを要する。
【0069】
ダイオード178は、MOSFET174がターンオフした直後にSIサイリスタ172に蓄積されたキャリアを高速に引き抜き、SIサイリスタ172を高速にターンオフさせるために設けられる。
【0070】
(IES電源164の動作の概略)
IES電源164に直流パルス電圧を発生させる場合、まず、ゲート駆動回路176からMOSFET174のゲートにオン信号を与え、MOSFET174のドレイン(D)・ソース(S)間を導通状態にする。すると、SIサイリスタ172はノーマリオン型のスイッチング素子であってSIサイリスタ172のアノード(A)・カソード(K)間は導通状態となっているので、昇圧トランス170の1次側に電流が流れる。この状態においては、SIサイリスタ172のゲート(G)に正バイアスが与えられるので、SIサイリスタ172のアノード(A)・カソード(K)間の導通状態は維持される。
【0071】
続いて、ゲート駆動回路176からMOSFET174へオン信号を与えることを中止し、MOSFET174のドレイン(D)・ソース(S)間を非導通状態にする。すると、SIサイリスタ172のゲート(G)からキャリアが電流駆動により高速に排出されSIサイリスタ172のアノード(A)・カソード(K)間が非導通状態となるので、昇圧トランス170の1次側への電流の流入が高速に停止される。これにより、昇圧トランス170の1次側には誘導起電力が発生し、昇圧トランス170の2次側にも高圧が発生する。
【0072】
(処理ガス供給回路118)
処理ガス供給回路118は、噴射体電極106の供給孔138に接続される。処理ガス供給回路118が供給するガスは、プラズマ処理装置102が行う処理によって異なる。プラズマ処理装置102がDLC膜を形成するときには、処理ガス供給回路118は、例えば、メタン、アセチレン、トルエン、ベンゼン等の炭化水素ガスをヘリウム、アルゴン、水素、窒素等のガスで希釈した混合ガスを原料ガスとして供給する。
【0073】
(ガス排出回路120)
ガス排出回路120は、チャンバ112の下面に設けられたガス排出口に接続される。ガス排出回路120は、圧力調整バルブ180と真空ポンプ182とを備える。チャンバ112の内部の圧力は、圧力計122を監視しながら真空ポンプ182でチャンバ112の内部のガスを排出するとともに圧力調整バルブ180を調整することにより調整される。
【0074】
(冷媒循環回路124)
冷媒循環回路124は、噴射体電極106の流入口148及び流出口150に接続され、流入口148に冷媒196を供給し流出口150から冷媒196を回収する。冷媒循環回路124が循環させる冷媒196は、水、フッ素系不活性熱媒体等の液体であってもよいし、ヘリウムガス等の熱伝導性が高い気体であってもよい。
【0075】
(ヒータ110)
ヒータ110は、支持体電極108の下方に設けられる。ヒータ110は、例えば、赤外線を照射するセラミックヒータである。基板198から離れて基板198を加熱するセラミックヒータに代えて、基板198に接触して基板198を直接加熱するステージヒータ、シーズヒータ等を用いてもよい。
【0076】
(チャンバ112)
チャンバ112は、ステンレス製の容器である。チャンバ112の内部は、閉空間となっている。
【0077】
(被処理物)
プラズマ処理装置102の被処理物の形状は特に制限されない。したがって、基板198のような板形状を有する被処理物以外の被処理物、例えば、切削加工用の工具、自動車用の部品等の表面にもプラズマ処理装置102により膜が形成される。
【0078】
プラズマ処理装置102の被処理物の材質も特に制限されない。ただし、プラズマ処理装置102は、体積抵抗率が小さい物質、特に、体積抵抗率が例えば半導体に用いられるような純度の高いシリコン材より小さい金属又は合金からなる被処理物の表面に膜を形成する場合に好適に用いられる。これは、体積抵抗率が小さい物質からなる被処理物の表面に膜を形成する場合、アーク放電が発生しやすくなるが、プラズマ処理装置102では、複数の処理部114の各々に対応して直流パルス電源116をひとつずつ設けることにより、アーク放電による生産性の低下を抑制しているからである。
【0079】
体積抵抗率が例えば半導体に用いられるような純度の高いシリコン材より小さい金属又は合金の例は、鉄又は鉄を主成分とする合金、例えば、ステンレス鋼、ダイス鋼、ハイスピード鋼等である。ステンレス鋼には、SUS304、SUS430、SUS440等があり、ダイス鋼には、SKD11、SKD61等があり、ハイスピード鋼には、SKH51、SKH55等がある。
【0080】
この他、被処理物の材質の他の例として、アルミニウム又は銅を主成分とする合金があげられる。
【0081】
(プラズマ処理装置102が形成する膜)
プラズマ処理装置102が形成する膜は、典型的には、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜、BN(ボロンナイトライド)膜、c−BN(キュービックボロンナイトライド)膜、ダイヤモンド膜等である。DLC膜は、「ダイヤモンド状炭素」「硬質炭素膜」又は「アモルファスカーボン膜」「iカーボン」とも称される。
【0082】
(処理の手順)
図7は、鉄を主成分とする合金からなる基板198の表面にDLC膜を形成する場合の処理の手順を説明するフローチャートである。
【0083】
DLC膜の形成にあたっては、まず、準備した処理部114と同数の基板198をアセトンその他の有機溶媒で洗浄し、複数の処理部114の各々の支持体電極108の支持面160にひとつずつ基板198を載置する(ステップS101)。
【0084】
続いて、基板198の表面を改質する(ステップS102)。「改質」とは、基板198の表面に付着した有機物、酸化膜等を除去する処理である。改質にあたっては、噴射体電極106と支持体電極108との対に直流パルス電圧を印加するとともに、チャンバ112の内部の圧力を約173hPaに調整し、処理ガス供給回路118からヘリウムガス及び水素ガスの混合ガスを改質ガスとして供給する。これにより、基板198に向かって噴射された改質ガスにプラズマが発生し、基板198の表面に付着した有機物、酸化膜等が除去される。なお、改質ガスはここにあげたガス以外を用いても構わない。
【0085】
さらに続いて、基板198の表面にアモルファスSiC膜を形成する(ステップS103)。アモルファスSiC膜は、DLC膜の密着性を向上する下地膜となる。アモルファスSiC膜の形成にあたっては、チャンバ112の内部の圧力を約173hPaに調整し、噴射体電極106と支持体電極108との対に直流パルス電圧を印加し、処理ガス供給回路118からヘリウムガス及びテトラメチルシランガスの混合ガスを原料ガスとして供給する。これにより、基板198に向かって噴射された原料ガスがプラズマ化し、基板198の表面にアモルファスSiC膜が形成される。
【0086】
次に、基板198の表面に目的とするDLC膜を形成する(ステップS104)。DLC膜の形成にあたっては、処理ガス供給回路118からヘリウムガス及びメタンガスを供給し、チャンバ112の内部の圧力を10hPa〜常圧に調整する。この状態で、噴射体電極106と支持体電極108との対に直流パルス電圧を印加する。これにより、基板198に向かって噴射された原料ガスがプラズマ化し、基板198の表面にDLC膜が形成される。
【0087】
アモルファスSiC膜の形成及びDLC膜の形成をひとつのチャンバ112の内部で行うことは必須ではなく、別々のチャンバ112の内部で行ってもよい。この場合、ロボットアーム、搬送ベルト等により基板198をチャンバ間で搬送する。
【0088】
<2 第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態の噴射体電極106に代えて用いられる噴射体電極206に関する。
【0089】
図8、図9及び図10は、第2実施形態の噴射体電極206の模式図である。図8は、斜め下方から見た斜視図、図9は、対向面232に平行な断面を示す横断面図、図10は、対向面232に垂直な断面を示す縦断面図となっている。
【0090】
噴射体電極206は、第1実施形態の噴射体電極106と同様の外形形状を有し、噴射体電極106と同様の材質からなる。また、第1実施形態の噴射体電極106と同様に、噴射体電極206の内部には、処理ガスのガスたまり226と、ガスたまり226から対向面232へ至る処理ガスの流路228と、非対向面234からガスたまり226へ至る処理ガスの流路230とが形成され、対向面232には、処理ガスの噴射孔236が形成される。
【0091】
第1実施形態の噴射体電極106と第2実施形態の噴射体電極206との相違は、冷媒296の流路240の形状にある。
【0092】
噴射体電極206には、対向面232から支持面160へ向かう方向(下方向)とは反対の方向(上方向)へ延在する側面235に沿う冷媒296の流路240が形成される。流路240は、始端242から終端244へ時計回り・反時計回りに分かれて周方向に延在する環状の空洞である。噴射体電極206には、側面235から流路240の始端242へ至る流入口248と、側面235から流路240の終端244へ至る流出口250も形成される。これにより、冷媒循環回路124から供給され流入口248へ流入した冷媒296は、流路240を時計回り・反時計回りに分かれて略半周して噴射体電極206を冷却した後、流出口250から流出し、冷媒循環回路124に回収される。これにより、対向面232の縁254が冷却されるので、対向面232の縁254への異物の付着が抑制され、異物の付着に起因する不具合が抑制される。
【0093】
流路240と側面235との距離DS(図10参照)が噴射体電極206の直径DA(図10参照)より十分に短く、望ましくは距離DSが直径DAの1/5以下であることは、第1実施形態の場合と同様である。
【0094】
第2実施形態においても、流路240は、ガスたまり226と噴射体電極206の外部とを隔てる側壁252に形成されるので、対向面232の縁254が効率的に冷却される。
【0095】
<3 第3実施形態>
第3実施形態は、第1実施形態の噴射体電極106に代えて用いられる噴射体電極306と冷却機構372との結合体374に関する。
【0096】
図11、図12及び図13は、第3実施形態の結合体374の模式図である。図11は、斜め下方から見た斜視図、図12は、対向面332に平行な断面を示す横断面図、図13は、対向面332に垂直な断面を示す縦断面図である。
【0097】
結合体374は、冷却機構372を噴射体電極306に装着した構造を有する。冷却機構372は、噴射体電極306の側面335に着脱される。
【0098】
噴射体電極306は、第1実施形態の噴射体電極106と同様の外形形状を有し、噴射体電極106と同様の材質で構成される。また、第1実施形態の噴射体電極106と同様に、噴射体電極306の内部には、処理ガスのガスたまり326と、ガスたまり326から対向面332へ至る処理ガスの流路328と、非対向面334からガスたまり326へ至る処理ガスの流路330とが形成され、対向面332には、処理ガスの噴射孔336が形成される。
【0099】
第1実施形態の噴射体電極306と第3実施形態の結合体374との相違は、冷媒396の流路が噴射体電極306の内部ではなく冷却機構372の内部に形成されることにある。
【0100】
冷却機構372は、環形状を有する。冷却機構372は、鉄又は鉄を主成分とする合金、例えば、ステンレス鋼、ダイス鋼、ハイスピード鋼、アルミニウム又はアルミニウムを主成分とする合金等からなることが望ましい。ただし、材質を変更してもよいし、表面を例えばタングステンやクロム、ニッケルなどの材質にてコーティングしても良い。
【0101】
冷却機構372の孔は、噴射体電極306の横断面の外形形状に適合する孔形状を有する。したがって、冷却機構372を噴射体電極306に装着すると、対向面332から支持面160へ向かう方向(下方向)とは反対の方向(上方向)へ延在する噴射体電極306の側面335と冷却機構372の内側面373とが密着する。
【0102】
冷却機構372の内部には、内側面373に沿う冷媒396の流路376が形成される。流路376は、始端378から終端380へ周方向に延在する不完全環状の空洞である。流路376の始端378と終端380との間には周方向の冷媒396の流れを断つ隔壁382がある。冷却機構372には、側面382から流路376の始端378へ至る流入口384と、冷媒循環回路124から供給され側面382から流路376の終端380へ至る流出口386も形成される。これにより、流入口384から流入した冷媒396は、流路376を略一周して噴射体電極306を冷却した後、流出口386から流出し、冷媒循環回路124に回収される。これにより、対向面332の縁354が冷却されるので、対向面332の縁354への異物の付着が抑制され、異物の付着に起因する不具合が抑制される。
【0103】
流路376が「内側面に沿う」とは、流路376と内側面373との距離DS(図13参照)が噴射体電極306の直径DA(図13参照)より十分に短いことを意味する。望ましくは、距離DSは直径DAの1/5以下である。
【0104】
第3実施形態は、対向面332の縁354への異物の付着の抑制対策を既にある噴射体電極306に対して後から行う場合に望ましい実施形態である。
【0105】
<4 第4実施形態>
第4実施形態は、第3実施形態の冷却機構372に代えて噴射体電極306に装着される冷却機構472に関する。
【0106】
図14、図15及び図16は、第4実施形態の冷却機構472の模式図である。図14は、斜め下方から見た斜視図、図15は、噴射体電極306に装着された場合に対向面332に平行な断面を示す横断面図、図15は、噴射体電極306に装着された場合に対向面332に垂直な断面を示す縦断面図となっている。
【0107】
冷却機構472は、第3実施形態の冷却機構372と同様の外形形状を有し、冷却機構372と同様の材質からなる。
【0108】
第3実施形態の冷却機構372と第4実施形態の冷却機構472との相違は、冷媒496の流路476の形状にある。
【0109】
冷却機構472の内部には、内側面473に沿うに沿う冷媒496の流路476が形成される。流路476は、始端478から終端480へ時計回り・反時計回りに分かれて周方向に延在する環状の空洞である。冷却機構472には、側面482から流路476の始端478へ至る流入口484と、側面482から流路476の終端480へ至る流出口486も形成される。これにより、冷媒循環回路124から供給され流入口484へ流入した冷媒496は、流路476を時計回り・反時計回りに分かれて略半周して噴射体電極306を冷却した後、流出口486から流出すし、冷媒循環回路124に回収される。これにより、対向面332の縁354が冷却されるので、対向面332の縁354への異物の付着が抑制され、異物の付着に起因する不具合が抑制される。
【0110】
流路476と内側面473との距離DS(図16参照)が噴射体電極306の直径DA(図16参照)より十分に短く、距離DSが直径DAの1/5以下であることが望ましいこととは、第3実施形態の場合と同様である。
【0111】
<5 第5実施形態>
(プラズマ処理装置502の概略)
第5実施形態は、プラズマ処理装置502に関する。
【0112】
図18は、第5実施形態のプラズマ処理装置502の模式図である。図18は、プラズマ処理装置502のリアクタ504の断面を示すとともに、リアクタ504に付随する電気回路及びエア回路を示している。
【0113】
図18に示すように、プラズマ処理装置502のリアクタ504は、第1実施形態と同じく、処理ガスを噴射する噴射体を兼ねる噴射体電極506と、基板598を支持する支持体を兼ねる支持体電極508と、基板598を加熱するヒータ510と、をチャンバ512の内部に収容した構造を有する。加えて、チャンバ512の内部には、噴射体電極506の着脱体572を噴射体電極506の本体570に着脱する着脱機構574と、着脱体572を支持する支持体576と、が収容される。
【0114】
チャンバ512の内部には、第1実施形態と同じく、基板598を処理する複数の処理部514が配列される。複数の処理部514の各々には、第1実施形態と同じく、噴射体電極506がひとつずつ設けられる。支持体電極508は、第1実施形態と異なり、複数の処理部514について共通化され接地される。ただし、第1実施形態と同じく、支持体電極508を複数の処理部514の各々にひとつずつ設けてもよい。
【0115】
リアクタ504には、第1実施形態と同じく、支持体電極508と噴射体電極506との対に直流パルス電圧を印加するパルス電源516と、噴射体電極506に処理ガスを供給する処理ガス供給回路518と、チャンバ512の内部からガスを排出するガス排出回路520と、チャンバ512の内部の圧力を測定する圧力計522と、噴射体電極506に冷媒を供給し噴射体電極506から冷媒を回収する冷媒循環回路524とが接続される。
【0116】
望ましくは、パルス電源516は、第1実施形態と同じく、処理部514の各々に対応してひとつずつ設けられる。複数の処理部514の各々は、第1実施形態と同じく、直流パルス電圧を独立して印加可能である。
【0117】
第1実施形態と第5実施形態との主な違いは、
(イ)対向面532を含まない本体570と対向面532を含む着脱体572とに噴射体電極506を分離可能であること、
(ロ)支持体電極508の支持面560に載置された支持体(スペーサ)576で着脱体572が支持された状態のまま、支持体電極508、支持体576、着脱体572及び基板598からなる被搬送物596が、チャンバ512の外部から内部へ搬入され、チャンバ512の内部から外部へ搬出されること、及び
(ハ)チャンバ512の内部へ被搬送物596が搬入された後であって基板598が処理される前に着脱体572が本体570へ取り付けられ、チャンバ512の内部から被搬送物596が搬出される前であって基板598が処理された後に着脱体572が本体570から取りはずされること、
にある。これにより、基板598の処理によって異物が付着した着脱体572をチャンバ512の外部で洗浄し着脱体572に付着した異物を除去することができるので、異物の付着に起因する不具合が抑制される。
【0118】
支持体576は、支持体電極508の支持面560に載置され、対向面532が支持面560と間隙を挟んで対向する位置に着脱体572を支持する。支持体576の材質は、アルミナセラミックス、マシナブルセラミックス等の絶縁体である。
【0119】
着脱機構574は、被搬送物596を昇降し、着脱体572が本体570へ取り付けられた状態と着脱体572が本体570から取りはずされた状態とを切り替える。被搬送物596を昇降することに代えて本体570を昇降することにより、着脱体572を本体570に着脱してもよい。より一般的には、本体570に対して着脱体572を相対移動させることにより、着脱体572が本体570に着脱される。
【0120】
(噴射体電極506)
以下では、第1実施形態との違いに着目して第5実施形態の噴射体電極506について説明する。
【0121】
図19及び図20は、第5実施形態の噴射体電極506の模式図である。図19及び図20は、対向面532に垂直な断面を示す縦断面図である。図19は、着脱体572が本体570へ取りつけられた状態を示し、図20は、着脱体572が本体570から取りはずされた状態を示す。
【0122】
図19及び図20に示すように、噴射体電極506は、対向面532を含まない本体570と、対向面532を含み本体570に着脱される着脱体572と、を備える。本体570及び着脱体572の材質は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0123】
本体570は、第1実施形態の噴射体電極106と同じ構造を有する。本体570は、円柱の底面の近傍の径を底面に向かって連続的に細くした立体形状を有する。
【0124】
本体570の内部には、処理ガスのガスたまり526と、ガスたまり526から接触面580へ至る処理ガスの流路528と、非接触面534からガスたまり526へ至る処理ガスの流路530とが形成される。これにより、接触面580には、処理ガスの出孔582が形成され、非接触面534には、処理ガスの供給孔538が形成される。本体570の「接触面」とは、本体570の表面のうちの着脱体572が取りつけられたときに着脱体572と接触する部分を含む範囲であり、本体570の「非接触面」とは、本体570の表面のうちの「接触面」を除く残余の範囲である。
【0125】
本体570の内部には、第1実施形態の噴射体電極106の内部に形成された冷媒196の流路140と同じ冷媒596の流路540が形成される。なお、第2実施形態の噴射体電極206の内部に形成された冷媒296の流路240と同じ冷媒の流路が本体570の内部に形成されてもよいし、第3実施形態の冷却機構372又は第4実施形態の冷却機構472と同じ冷却機構が本体570の側面に取りつけられてもよい。第5実施形態においては、異物が付着する対向面532を含む着脱体572を本体570から取りはずして対向面532を洗浄することが容易であるので、本体570の内部への冷媒の流路の形成や本体570の側面への冷却機構の取りつけを省略することも許容される。
【0126】
着脱体572は、板の中央を突出させた立体形状を有する。この突出により、着脱体572の本体570の側にある上面584には、本体570の接触面580の立体形状に適合する立体形状を有する接触面582を持つ凹部586が形成され、着脱体572の支持体電極508の側にある下面588には、径が底面に向かって連続的に細くなる立体形状を有する凸部590が形成される。凸部590の先端は、支持体電極508の支持面560と平行に対向する対向面532となる。
【0127】
着脱体572の内部には、接触面582から対向面532へ至るガスの流路592が形成される。これにより、接触面582には、処理ガスの入孔594が形成され、対向面532には、処理ガスの噴射孔536が形成される。入孔594は、着脱体572が本体570へ取りつけられたときに出孔582に連なる位置に形成される。入孔594の直径と出孔582の直径とは必ずしも一致する必要はない。着脱体572の「接触面」とは、着脱体572の表面のうちの着脱体572が本体570へ取りつけられたときに本体570と接触する部分を含む範囲であり、着脱体572の「対向面」とは、着脱体572の表面のうちの支持体電極508の支持面560と平行に対向する範囲である。接触面580が接触面582に接触することの意義は処理ガスを流路592に流すことにあるため、接触面580の縁部のみが接触面582に接触していてもよい。
【0128】
噴射孔582の縁は、第1実施形態と同じく、面取りされることが望ましい。これにより、噴射孔582の縁への電界集中に起因する異物の付着が抑制され、異物の付着に起因する不具合がさらに抑制される。
【0129】
噴射体電極506は、着脱体572が本体570へ取り付けられた状態において、供給孔538から処理ガスを受け取り、ガスたまり526に処理ガスを一時的に貯留し、噴射孔536から処理ガスを下方に噴射する。これにより、支持体電極508に支持された基板598に処理ガスが吹きつけられる。
【0130】
(被搬送物596の移動)
図21〜図24は、被搬送物596の移動を説明する図である。図21〜図24は、リアクタ504の主要部の断面を示す。
【0131】
基板598への膜の形成にあたっては、まず、図21に示すように、第1実施形態のステップS101の手順と同じ手順により洗浄された基板598及び支持体576が支持体電極508の支持面560に載置され支持体576で着脱体572が支持された被搬送物596が準備される。
【0132】
被搬送物596が準備された後に、図22に示すように、ローラー搬送機構等の搬送機構により被搬送物596がチャンバ512の内部に搬入される。
【0133】
被搬送物596がチャンバ512の内部に搬入された後に、図23に示すように、着脱機構574により被搬送物596が上昇させられ、着脱体572が本体570へ取りつけられる。着脱体572が本体570へ取りつけられた状態において、第1実施形態のステップS102〜S104の手順と同じ手順により基板598の表面にDLC膜が形成される。
【0134】
基板598の表面にDLC膜が形成された後に、図22に示すように、着脱機構574により被搬送物596が下降させられ、着脱体572が本体570から取りはずされる。
【0135】
被搬送物596が下降させられた後に、図24に示すように、ローラー搬送機構等の搬送機構により被搬送物596がチャンバ512の外部へ搬出される。チャンバ512の外部へ搬出された被搬送物596に含まれる着脱体572は、付着した異物を除去した後に再利用される。着脱体572からの異物の除去は、どのように行ってもよい。着脱体572からの異物の除去の方法は、物理的な除去の方法と化学的な除去の方法とに大別される。物理的な除去の方法には、例えば、ブラスト処理に代表される高速粒子を異物にぶつけて異物を除去する方法、プラズマを異物に作用させて異物を除去する方法等がある。化学的な除去の方法には、エッチング液を異物に作用させて異物を除去する方法等がある。
【0136】
<6 その他>
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。特に、第1実施形態から第5実施形態までに説明したことを組み合わせることは、当然に予定されている。
【符号の説明】
【0137】
102,502 プラズマ処理装置
106,206,306,506 噴射体電極
108,508 支持体電極
110,510 ヒータ
112,512 チャンバ
114,514 処理部
116,516 パルス電源
118,518 処理ガス供給回路
120,520 ガス排出回路
122,522 圧力計
124,524 冷媒循環回路
126,226,326,526 ガスたまり
132,232,332,532 対向面
136,236,336,536 噴射孔
140,240,540 流路
152,252 側壁
154,254,354 対向面の縁
158 噴射孔の縁
160,560 支持面
162 間隙
372,472 冷却機構
374 結合体
376 流路
194 プラズマ
196,296,396,596 冷媒
198,598 基板
570 本体
572 着脱体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物の表面に膜を形成するプラズマ処理装置であって、
被処理物を支持面で支持する支持体電極と、
前記支持面と間隙を挟んで対向する対向面に処理ガスの噴射孔が形成され、前記対向面の縁から前記支持面へ向かう方向とは反対の方向に延在する側面に沿う冷媒の流路が内部に形成された噴射体電極と、
前記支持体電極と前記噴射体電極との対に直流パルス電圧を印加するパルス電源と、
前記支持体電極及び前記噴射体電極を内部に収容するチャンバと、
前記噴射体電極に処理ガスを供給する処理ガス供給回路と、
前記噴射体電極に冷媒を供給し前記噴射体電極から冷媒を回収する冷媒循環回路と、
を備えるプラズマ処理装置。
【請求項2】
請求項1のプラズマ処理装置において、
前記噴射体電極の内部に処理ガスのガスたまりが形成され、
前記ガスたまりと前記噴射体電極の外部を隔てる側壁に前記流路が形成されるプラズマ処理装置。
【請求項3】
被処理物の表面に膜を形成するプラズマ処理装置であって、
被処理物を支持面で支持する支持体電極と、
前記支持面と間隙を挟んで対向する対向面に処理ガスの噴射孔が形成された噴射体電極と、
前記対向面の縁から前記支持面へ向かう方向とは反対の方向に延在する前記噴射体電極の側面と密着し前記側面と密着する面に沿う冷媒の流路が内部に形成された冷却機構と、
前記支持体電極と前記噴射体電極との対に直流パルス電圧を印加するパルス電源と、
前記支持体電極及び前記噴射体電極を内部に収容するチャンバと、
前記噴射体電極に処理ガスを供給する処理ガス供給回路と、
前記冷却機構に冷媒を供給し前記冷却機構から冷媒を回収する冷媒循環回路と、を備えるプラズマ処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかのプラズマ処理装置において、
前記噴射孔の縁が面取りされているプラズマ処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずかのプラズマ処理装置において、
直流パルス電圧を独立して印加可能な複数の処理部の各々に対応して前記パルス電源がひとつずつ設けられ、複数の前記パルス電源の各々は、対応する前記処理部の前記支持体電極と前記噴射体電極との対に直流パルス電圧を印加するプラズマ処理装置。
【請求項6】
被処理物の表面に膜を形成するプラズマ処理装置であって、
被処理物を支持面で支持する支持体電極と、
前記支持面と間隙を挟んで対向し処理ガスの噴射孔が形成された対向面を有し、前記対向面を含まない本体と前記対向面を含み前記本体に着脱される着脱体とに分離可能な噴射体電極と、
前記対向面が前記支持面と間隙を挟んで対向する位置に前記着脱体を支持する支持体と、
前記支持体電極と前記噴射体電極との対に直流パルス電圧を印加するパルス電源と、
前記支持体電極及び前記噴射体電極を内部に収容するチャンバと、
前記噴射体電極に処理ガスを供給する処理ガス供給回路と、
を備えるプラズマ処理装置。
【請求項7】
請求項6のプラズマ処理装置において、
前記対向面の縁から前記支持面へ向かう方向とは反対の方向に延在する側面に沿う冷媒の流路が前記噴射体電極の内部に形成され、
前記噴射体電極に冷媒を供給し前記噴射体電極から冷媒を回収する冷媒循環回路、
をさらに備えるプラズマ処理装置。
【請求項8】
請求項7のプラズマ処理装置において、
前記噴射体電極の内部に処理ガスのガスたまりが形成され、
前記ガスたまりと前記噴射体電極の外部とを隔てる側壁に前記流路が形成されるプラズマ処理装置。
【請求項9】
請求項6のプラズマ処理装置において、
前記対向面の縁から前記支持面へ向かう方向とは反対の方向に延在する前記噴射体電極の側面と密着し前記側面と密着する面に沿う冷媒の流路が内部に形成された冷却機構と、
前記冷却機構に冷媒を供給し前記冷却機構から冷媒を回収する冷媒循環回路と、
をさらに備えるプラズマ処理装置。
【請求項10】
請求項6ないし請求項9のいずれかのプラズマ処理装置において、
前記噴射孔の縁が面取りされているプラズマ処理装置。
【請求項11】
請求項6ないし請求項10のいずれかのプラズマ処理装置において、
直流パルス電圧を独立して印加可能な複数の処理部の各々に対応して前記パルス電源がひとつずつ設けられ、複数の前記パルス電源の各々は、対応する前記処理部の前記支持体電極と前記噴射体電極との対に直流パルス電圧を印加するプラズマ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−242214(P2010−242214A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12291(P2010−12291)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】