説明

プラテン支持装置及び型締装置

【課題】耐久性を向上させることができ、成形不良が発生するのを防止することができ、小型化することができるようにする。
【解決手段】タイバーに沿って進退させられる可動プラテン18と、可動プラテン18の移動方向に沿って配設されたガイド部材と、ガイド部材上を走行させられる被ガイド部材と、被ガイド部材上に配設され、可動プラテン18を非拘束状態で支持する支持ユニットとを有する。可動プラテン18が被ガイド部材上に非拘束状態で支持されるので、型閉じ時及び型締め時に、トグル機構によって発生させられた大きな力が可動プラテン18に伝達されても、曲げモーメントが発生することがない。曲げモーメントによって可動プラテン18が不均等に変形したり、傾斜したりするのを防止することができるので、プラテン支持装置の耐久性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラテン支持装置及び型締装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、成形機、例えば、射出成形機においては、加熱シリンダ内において加熱され溶融させられた成形材料としての樹脂を、高圧で射出して金型装置のキャビティ空間に充填し、該キャビティ空間内において冷却して固化させることによって成形品を得ることができるようになっている。
【0003】
そのために、前記射出成形機は金型装置、型締装置及び射出装置を有し、前記金型装置は固定金型及び可動金型を備え、前記型締装置は、固定金型を取り付けるための固定プラテン、可動金型を取り付けるための可動プラテン、トグル機構等を備える。そして、前記型締装置は、タイバーに沿って可動プラテンを進退させることによって金型装置の型閉じ、型締め及び型開きを行う。
【0004】
一方、前記射出装置は、ホッパから供給された樹脂を加熱して溶融させる加熱シリンダ、及び溶融させられた樹脂を射出する射出ノズルを備え、前記加熱シリンダ内にスクリューが、回転自在に、かつ、進退自在に配設される。そして、該スクリューを、後端に連結された駆動部によって前進させることにより射出ノズルから樹脂が射出され、前記駆動部によって後退させることにより樹脂の計量が行われる。
【0005】
ところで、前記可動プラテンをタイバーに沿って円滑に進退させることができるように、射出成形機のフレームと可動プラテンとの間にプラテン支持装置が配設され、該プラテン支持装置によって可動プラテンが支持されるようになっている。
【0006】
この場合、可動金型の重量が変化すると、タイバーの下方への撓み量(以下「沈込み量」という。)が変化するので、沈込み量の変化量を少なくすることができるように、また、プラテン支持装置の耐久性を向上させることができるように、プラテン支持装置にリニアガイドが使用される(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−71894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来のプラテン支持装置においては、可動プラテンとリニアガイドとが互いに拘束されているので、型閉じ時及び型締め時にトグル機構によって発生させられた大きな力が可動プラテンに伝達されると、可動プラテンに曲げモーメントが発生し、該曲げモーメントによって、可動プラテンが不均等に変形したり、傾斜したりしてしまう。その結果、型閉じ時及び型締め時に、金型装置の合せ面に無理な力が加わり、金型装置が破損したり、リニアガイドに上下方向の力が加わり、リニアガイドが破損したりして、プラテン支持装置の耐久性が低くなってしまう。また、可動プラテンが不均等に変形したり、傾斜したりするのに伴って、キャビティ空間に充填された樹脂が漏れ出して、成形不良が発生してしまうことがある。
【0008】
そして、例えば、リニアガイド又はガイドレールが互いに平行に配設されておらず、「ハ」字状に開いて配設されている場合にも、リニアガイドに左右方向の力が加わり、リニアガイドが破損して、プラテン支持装置の耐久性が低くなってしまう。
【0009】
そこで、曲げモーメントが発生したときに、可動プラテンが不均等に変形したり、傾斜したりすることがなく、リニアガイドに上下方向の力が加わることがないように、リニアガイドを大型化することが考えられるが、リニアガイドを大型化すると、プラテン支持装置が大型化してしまう。
【0010】
また、可動プラテンとリニアガイドとの間にスプリング等を配設することも考えられるが、スプリング等の付勢力が可動プラテン、リニアガイド等に加わるので、金型装置が破損したり、リニアガイドが破損したりするのを十分に防止することができない。したがって、プラテン支持装置の耐久性が低くなってしまう。
【0011】
本発明は、前記従来のプラテン支持装置の問題点を解決して、耐久性を向上させることができ、成形品に成形不良が発生するのを防止することができ、小型化することができるプラテン支持装置及び型締装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのために、本発明のプラテン支持装置においては、タイバーに沿って進退させられる可動プラテンと、該可動プラテンの移動方向に沿って配設されたガイド部材と、該ガイド部材上を走行させられる被ガイド部材と、該被ガイド部材上に配設され、前記可動プラテンを非拘束状態で支持する支持ユニットとを有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、プラテン支持装置においては、タイバーに沿って進退させられる可動プラテンと、該可動プラテンの移動方向に沿って配設されたガイド部材と、該ガイド部材上を走行させられる被ガイド部材と、該被ガイド部材上に配設され、前記可動プラテンを非拘束状態で支持する支持ユニットとを有する。
【0014】
この場合、支持ユニットによって、可動プラテンが被ガイド部材上に非拘束状態で支持されるので、型閉じ時及び型締め時に、例えば、トグル機構によって発生させられた大きな力が可動プラテンに伝達されても、それに伴って、可動プラテンに曲げモーメントが発生することがない。したがって、曲げモーメントによって、可動プラテンが不均等に変形したり、傾斜したりするのを防止することができるので、金型装置の合せ面に無理な力が加わることがなく、プラテン支持装置の耐久性を向上させることができる。
【0015】
また、可動プラテンが不均等に変形したり、傾斜させられたりするのを防止することができるので、キャビティ空間に充填された成形材料が漏れ出して成形不良が発生することがない。
【0016】
さらに、被ガイド部材を大型化する必要がないので、プラテン支持装置を小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、成形機としての射出成形機について説明する。
【0018】
図2は本発明の実施の形態における射出成形機の要部を示す概念図である。
【0019】
図において、11は射出成形機を支持するフレーム、12は該フレーム11に取り付けられた固定金型支持部材としての固定プラテン、13は、該固定プラテン12との間に所定の距離を置いて、前記フレーム11に対して移動自在に配設されたベースプレートとしてのトグルサポート、14は、前記固定プラテン12とトグルサポート13との間に架設された第1のガイド部材としての複数の、本実施の形態においては、4本のタイバーであり、該各タイバー14の一端が固定具15を介して前記固定プラテン12に固定され、前記各タイバー14の他端が型厚調整部材16を介して前記トグルサポート13に固定される。
【0020】
そして、18は、前記固定プラテン12と対向させて、前記タイバー14に沿って進退自在に配設された可動金型支持部材としての可動プラテンである。
【0021】
前記固定プラテン12における可動プラテン18と対向する金型取付面21に第1の金型としての固定金型23が取り付けられ、前記可動プラテン18における前記固定プラテン12と対向する金型取付面22に第2の金型としての可動金型24が取り付けられる。前記固定金型23及び可動金型24によって金型装置25が構成される。
【0022】
前記固定プラテン12、型厚調整部材16及び可動プラテン18には、前記各タイバー14と対応する位置に、タイバー14を貫通させる貫通孔としての図示されないタイバーガイド孔が形成され、該各タイバーガイド孔の内周面と前記タイバー14の外周面とが接触させられ、摺動させられる。そして、前記可動プラテン18の背面 (型厚調整部材16と対向する側の面) には図示されないエジェクタピンを進退させるための突出し装置が取り付られる。
【0023】
また、前記型厚調整部材16の背面(可動プラテン18と対向しない側の面)には、型締め用の駆動部としての型締用モータ26が配設され、該型締用モータ26を駆動することによって進退部材としてのクロスヘッド27が進退させられる。また、前記型厚調整部材16と可動プラテン18との間に型締機構としてのトグル機構28が伸縮自在に配設される。
【0024】
該トグル機構28は、前記クロスヘッド27に対して揺動自在に配設されたトグルレバー31、前記トグルサポート13に対して揺動自在に配設されたトグルレバー32、及び、前記可動プラテン18に対して揺動自在に配設されたトグルアーム33を備え、前記トグルレバー31、32間、及びトグルレバー32とトグルアーム33との間が、それぞれリンク結合される。
【0025】
なお、前記固定プラテン12、型厚調整部材16、可動プラテン18、型締用モータ26、クロスヘッド27、トグル機構28等によって型締装置35が構成される。
【0026】
ところで、前記可動プラテン18をタイバー14に沿って円滑に進退させるために、可動プラテン18とフレーム11との間にプラテン支持装置36が配設される。該プラテン支持装置36は、フレーム11上において可動プラテン18の移動方向に沿って平行に配設された第2のガイド部材としての2本のガイドレール38、及び該各ガイドレール38に対して摺動自在に配設され、かつ、可動プラテン18を支持する支持・案内ユニット39を備え、前記ガイドレール38は、くびれ部を備えた形状の断面を有する。
【0027】
なお、前記固定プラテン12と対向させて、図示されない射出装置が配設される。該射出装置は、シリンダ部材としての加熱シリンダ、該加熱シリンダ内において、回転自在に、かつ、進退自在に配設された射出部材としてのスクリュー、前記加熱シリンダの前端に取り付けられた射出ノズル、前記加熱シリンダの後端の近傍に配設されたホッパ、前記スクリューと連結された計量用の駆動部としての計量用モータ、前記スクリューと連結された射出用の駆動部としての射出用モータ等を備える。そして、前記金型装置25、型締装置35及び射出装置によって射出成形機が構成される。
【0028】
次に、前記構成の射出成形機の動作について説明する。
【0029】
前記型締装置35において、型締用モータ26を駆動すると、トグル機構28が伸展させられ、可動プラテン18が前進(固定プラテン12に向けて移動)させられて型閉じが行われ、可動金型24が固定金型23に当接させられ、可動金型24と金型取付面22との間にキャビティ空間が形成される。続いて、型締用モータ26を更に駆動すると、トグル機構28において型締力が発生させられ、該型締力で可動金型24が固定金型23に押し付けられる。
【0030】
一方、前記射出装置においては、計量工程において、計量用モータを駆動し、スクリューを回転させると、ホッパから供給された成形材料としての樹脂が、加熱シリンダ内において加熱され溶融させられ、前方(金型装置25側)に移動させられ、スクリューの前方に溜められる。これに伴って、スクリューは、所定の位置まで後退させられる。
【0031】
また、射出工程において、型締めが行われた状態の金型装置25の図示されないスプルーに、前記射出ノズルを押し当て、射出用モータを駆動し、スクリューを前進させると、スクリューの前方に溜められた樹脂は射出ノズルから射出され、キャビティ空間に充填される。
【0032】
そして、キャビティ空間内の樹脂は、冷却され、固化させられ、このとき、成形品が形成される。続いて、前記型締用モータ26を逆方向に駆動すると、トグル機構28が屈曲させられ、可動プラテン18が後退させられ、型開きが行われる。このとき、前記突出し装置によって成形品が突き出される。
【0033】
次に、前記支持・案内ユニット39について説明する。
【0034】
図1は本発明の実施の形態における支持・案内ユニットの配設状態を示す第1の斜視図、図3は本発明の実施の形態における支持・案内ユニットの配設状態を示す正面図、図4は本発明の実施の形態における支持・案内ユニットの配設状態を示す側面図、図5は本発明の実施の形態における支持・案内ユニットの配設状態を示す第2の斜視図である。
【0035】
図において、18は可動プラテン、39は支持・案内ユニットであり、該支持・案内ユニット39は、可動プラテン18の下端の両縁においてタイバーガイド孔43の直下に配設される。また、41はトグル機構28(図2)のトグルアーム33を揺動自在に支持するブラケット、44はタイバーガイド孔43内に取り付けられたタイバーブッシュである。
【0036】
前記支持・案内ユニット39は、可動プラテン18を支持するサポートブロック45、該サポートブロック45の下方における一端側(固定プラテン12側)においてサポートブロック45を摺動自在に支持する第1のスライドブロック46、前記サポートブロック45の下方における他端側(トグルサポート13側)においてサポートブロック45を摺動自在に支持する第2のスライドブロック47、前記第1のスライドブロック46の下方に配設された第1のリニアガイド48、前記第2のスライドブロック47の下方に配設された第2のリニアガイド49等を備える。前記サポートブロック45及び第1、第2のスライドブロック46、47によって支持ユニットが構成され、サポートブロック45によって第1の支持体が、第1、第2のスライドブロック46、47によって第2の支持体が構成される。
【0037】
前記第1、第2のリニアガイド48、49は、固定要素としてのボルトbt1、bt2によってそれぞれ第1、第2のスライドブロック46、47に取り付けられる。また、前記第1、第2のリニアガイド48、49は、ガイドレール38上を走行させられ、ガイドレール38によって案内される被ガイド部材を構成する。そのために、各第1、第2のリニアガイド48、49は、それぞれガイドレール38の両縁を被う第1、第2の側縁g1、g2を備え、該各第1、第2の側縁g1、g2間に主として前記ガイドレール38の上半部を包囲する収容部50が形成される。
【0038】
この場合、プラテン支持装置36に第1、第2のリニアガイド48、49が使用されるので、可動金型24の種類によって重量が変化しても、タイバー14の沈込み量の変化量を少なくすることができる。
【0039】
ところで、前記可動プラテン18と第1、第2のリニアガイド48、49とが互いに拘束されていると、型閉じ時及び型締め時にトグル機構28によって発生させられた大きな力が可動プラテン18に伝達される。このとき、伝達された大きな力によって可動プラテン18に曲げモーメントが発生すると、該曲げモーメントによって、可動プラテン18が不均等に変形したり、傾斜したりしてしまう。
【0040】
その場合、型閉じ時及び型締め時に、金型装置25の合せ面に無理な力が加わり、金型装置25が破損したり、第1、第2のリニアガイド48、49に上下方向の力が加わり、第1、第2のリニアガイド48、49が破損したりして、プラテン支持装置36の耐久性が低くなってしまう。また、可動プラテン18が不均等に変形したり、傾斜したりするのに伴って、キャビティ空間に充填された樹脂が漏れ出して、成形不良が発生してしまうことがある。
【0041】
そこで、本実施の形態においては、前記可動プラテン18と第1、第2のリニアガイド48、49とが、互いに前後方向、左右方向及び上下方向において拘束されないように、可動プラテン18を、サポートブロック45上に固定することなく載置し、サポートブロック45によって非拘束状態で支持するようになっている。この場合、仮に、第1、第2のリニアガイド48、49が互いに平行に配設されていなかったり、ガイドレール38が互いに平行に配設されていなかったりしても、可動プラテン18とサポートブロック45との間に生じる相対的な移動によって、偏荷重が可動プラテン18に伝達されるのを防止することができる。すなわち、可動プラテン18及びサポートブロック45は、リニアガイド38とタイバー14との取付誤差等によって生じる変形を許容する変形許容機構として機能する。
【0042】
そして、可動プラテン18がサポートブロック45に載置された状態を維持するために、前記サポートブロック45は、可動プラテン18より固定プラテン12側に突出させて形成された第1のサポート部51、及び可動プラテン18の下方に位置する第2のサポート部52を備え、第1、第2のサポート部51、52間に、第1の前後方向の規制部としての段部53が形成される。また、前記サポートブロック45は、水平に形成され、可動プラテン18を支持するための支持面を形成する第1の上面s1、該第1の上面s1より低い水平な第2の上面s2、外側の側面s3、内側の側面s4、前面(固定プラテン12側の面)s5、後面(トグルサポート13側の面)s6、傾斜さて形成され、第1のスライドブロック46を摺動自在に支持するための摺動面を形成する第1の底面s7、傾斜さて形成され、第2のスライドブロック47を摺動自在に支持するための摺動面を形成する第2の底面s8、及び第1、第2の底面s7、s8間に水平に形成された第3の底面s9を備える。前記第1の底面s7は、前方ほど高く、後方ほど低く傾斜させて形成され、前記第2の底面s8は、前方ほど低く、後方ほど高く傾斜させて形成される。
【0043】
また、前記可動プラテン18の底部には、左右方向の規制部としての係止突起部55が、前記サポートブロック45の側面s4と所定の間隙をおいて、かつ、可動プラテン18から下方に垂下させて取り付けられる。前記サポートブロック45と係止突起部55との左右方向の間隙は、可動プラテン18がサポートブロック45上に載置されるだけで、左右方向において拘束されない大きさに設定される。なお、本実施の形態において、係止突起部55は、可動プラテン18と独立させて形成され、固定要素としての図示されないボルトによって可動プラテン18に取り付けられるが、可動プラテン18と一体に形成することができる。したがって、可動プラテン18及びサポートブロック45は、左右方向において相対的に移動自在に配設される。
【0044】
また、前記係止突起部55の後端部に、切欠56が形成され、該切欠56によって、第2の前後方向の規制部としての段部57が形成される。そして、前記サポートブロック45の側面s4における前記切欠56と対応する箇所に、ストッパブロック58が固定要素としてのボルトbt3、bt4によって取り付けられる。前記段部53におけるサポートブロック45と可動プラテン18との前後方向の間隙、及び段部57における係止突起部55とストッパブロック58との前後方向の間隙は、可動プラテン18がサポートブロック45上に載置されるだけで、前後方向において拘束されない大きさに設定される。
【0045】
したがって、段部53に可動プラテン18が係止させられて、可動プラテン18のサポートブロック45に対する前方への移動が非拘束状態で規制され、段部57にストッパブロック58が係止させられて、可動プラテン18のサポートブロック45に対する後方への移動が非拘束状態で規制され、各係止突起部55に可動プラテン18が係止させられ、可動プラテン18のサポートブロック45に対する左右方向への移動が非拘束状態で規制される。そして、可動プラテン18及びサポートブロック45は、前後方向において相対的に移動自在に配設される。
【0046】
その結果、可動プラテン18は、前後方向、左右方向及び上下方向において非拘束状態でサポートブロック45上に載置され、進退させられる。
【0047】
また、上下方向における可動プラテン18の位置を調整するために、前記サポートブロック45の下方に前記第1、第2のスライドブロック46、47が配設され、第1のスライドブロック46は、楔部61、及び該楔部61の前端において上方に向けて突出させて形成された立上部62を、第2のスライドブロック47は、楔部63、及び該楔部63の後端において上方に向けて突出させて形成された立上部64を備える。そして、前記楔部61の上面s11は、第1の底面s7と対応させて、サポートブロック45を摺動自在に支持する摺動面を形成し、前方ほど高く、後方ほど低く傾斜させて形成され、前記楔部63の上面s12は、第2の底面s8と対応させて、サポートブロック45を摺動自在に支持する摺動面を形成し、前方ほど低く、後方ほど高く傾斜させて形成される。
【0048】
また、前記立上部62、64には、可動プラテン18の高さを調整するための調整要素としてのボルトbt5、bt6が螺合させられ、各ボルトbt5、bt6のねじ部の先端が、サポートブロック45の前端において前面s5と、サポートブロック45の後端において後面s6と当接させられる。したがって、ボルトbt5、bt6を回動させることによって、立上部62、64をサポートブロック45に近接させると、楔部61、63による楔作用によって、サポートブロック45を上方に移動させ、第1、第2のリニアガイド48、49に対して可動プラテン18を上方に移動させることができる。また、ボルトbt5、bt6を反対方向に回動させることによって、立上部62、64をサポートブロック45から離すと、サポートブロック45を下方に移動させ、第1、第2のリニアガイド48、49に対して可動プラテン18を下方に移動させることができる。したがって、本実施の形態においては、上下方向における可動プラテン18の位置を調整することができる。
【0049】
その結果、各タイバー14は軸方向において可動プラテン18を案内する機能だけを有する。
【0050】
このように、本実施の形態においては、可動プラテン18が、前後方向、左右方向及び上下方向において非拘束状態でサポートブロック45上に載置され、進退させられるので、型閉じ時及び型締め時にトグル機構28によって発生させられた大きな力が可動プラテン18に伝達されても、それに伴って、可動プラテン18に曲げモーメントが発生することがなくなる。
【0051】
したがって、曲げモーメントによって、可動プラテン18が不均等に変形したり、傾斜したりすることがない。
【0052】
また、型閉じ時及び型締め時に、金型装置25の合せ面に無理な力が加わることがないので、金型装置25が破損することがなく、第1、第2のリニアガイド48、49に上下方向の力が加わることがないので、第1、第2のリニアガイド48、49が破損することがない。したがって、プラテン支持装置36の耐久性を向上させることができる。
【0053】
そして、第1、第2のリニアガイド48、49を大型化する必要がないので、プラテン支持装置36を小型化することができる。
【0054】
また、ガイドレール38の配設精度が低い場合に、ガイドレール38に沿って第1、第2のリニアガイド48、49を走行させても、第1、第2のリニアガイド48、49に左右方向の力が加わることがない。したがって、第1、第2のリニアガイド48、49が破損して、プラテン支持装置36の耐久性が低くなるのを防止することができる。
【0055】
さらに、可動プラテン18が不均等に変形したり、傾斜したりすることがないので、キャビティ空間に充填した樹脂が漏れ出して、成形品に成形不良が発生するのを防止することができる。
【0056】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態における支持・案内ユニットの配設状態を示す第1の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態における射出成形機の要部を示す概念図である。
【図3】本発明の実施の形態における支持・案内ユニットの配設状態を示す正面図である。
【図4】本発明の実施の形態における支持・案内ユニットの配設状態を示す側面図である。
【図5】本発明の実施の形態における支持・案内ユニットの配設状態を示す第2の斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
14 タイバー
18 可動プラテン
36 プラテン支持装置
38 ガイドレール
45 サポートブロック
46、47 第1、第2のスライドブロック
48、49 第1、第2のリニアガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)タイバーに沿って進退させられる可動プラテンと、
(b)該可動プラテンの移動方向に沿って配設されたガイド部材と、
(c)該ガイド部材上を走行させられる被ガイド部材と、
(d)該被ガイド部材上に配設され、前記可動プラテンを非拘束状態で支持する支持ユニットとを有することを特徴とするプラテン支持装置。
【請求項2】
前記支持ユニットと可動プラテンとの間には、可動プラテンの支持ユニットに対する前後方向の移動を規制する規制部が形成される請求項1に記載のプラテン支持装置。
【請求項3】
前記支持ユニットと可動プラテンとの間には、可動プラテンの支持ユニットに対する左右方向の移動を規制する規制部が形成される請求項1に記載のプラテン支持装置。
【請求項4】
前記支持ユニットは、可動プラテンを、水平に形成された支持面を介して支持する第1の支持体、及び該第1の支持体を、傾斜させて形成された摺動面を介して支持する第2の支持体を備える請求項1に記載のプラテン支持装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のプラテン支持装置を備えた型締装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−262514(P2009−262514A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−118481(P2008−118481)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】