説明

プラント監視システム及びプラント監視方法

【課題】膨大なプロセス信号が入力処理される実プラントに配備されたプラント制御システムについて、人為的エラーを防止し、小人員で信頼性の高い自動試験が実施可能なプラント監視システム及びその方法を提供する。
【解決手段】プラント監視システムは、自動試験用プラント表示装置、模擬信号制御装置及び模擬信号発生装置を備え、前記自動試験用プラント表示装置からの指令に基づき模擬信号制御装置及び模擬信号発生装置がプロセス信号入力処理装置の入力端に模擬信号を印加し、前記プロセス信号入力制御装置は、前記模擬信号を工学値に変換処理して前記自動試験用プラント表示装置に伝送し、前記自動試験用プラント表示装置は、少なくともプロセス信号入力処理装置に印加した前記模擬信号値及び変換処理された前記模擬信号の前記工学値を表示処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電所などのプラントにおいて、温度、圧力、流量などのパラメータ値や機器の状態などを表す、プラントの状態を監視制御するためのプロセス信号が入力処理されるプラント制御システムの妥当性を確認試験するためのプラント監視システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所などのプラントにおいて、プラントの状態を監視制御するためのプロセス信号が入力処理される従来のプラント制御システムの妥当性を確認試験するためのプラント監視システムを図12乃至14を用いて説明する。
【0003】
プラント制御システムは、主に、プロセス信号入力制御装置2、プロセス入力処理装置3及びプラント表示装置5から構成されるが、従来のプラント監視システムは、プロセス入力処理装置3の端子台に模擬信号を印加し、プラント表示装置5で工学値(例えば、流量等の単位付き値)を表示/記録/判定していた。
【0004】
図12において、このプラント監視システム1のプロセス信号の入力処理の妥当性確認は、プロセス信号入力処理装置3の入力端をプラントセンサ6との接続から模擬信号発生装置7に切替え、模擬信号を印加するなどにより、プロセス信号入力制御装置2を経てプラント表示装置5で表示される工学値を参照していた。
【0005】
図13において、模擬信号発生装置7からプロセス信号入力処理装置3の入力端に印加された模擬信号は、プロセス信号入力処理装置3のA/D変換処理部31によりカウント値に変換される。このカウント値は、プロセス信号入力制御装置2の工学値変換処理部21により工学値変換情報部211参照して工学値に変換される。さらに、この工学値は伝送出力処理部22により伝送出力情報部221を参照して伝送バス4を介して伝送データとして図14のプラント表示装置5に送信される。
【0006】
図14において、プラント表示装置5は、プロセス信号入力制御装置2から伝送された伝送データを、伝送入力処理部51が伝送入力情報部511に書込む。一方、試験員はプロセス信号入力処理装置3に印加した模擬信号に対応するプラント表示装置5での工学値を確認するために、プラント表示装置5に入力点符号などを入力し、その入力点符合の工学値の表示を要求する。この要求は、入力点表示処理部53から入力点情報処理部52に伝わり、入力点情報処理部52は入力点情報部521と伝送入力情報部511を参照し、プラント表示装置5に入力点符号と入力点名称、現在の工学値、工学単位などを表示部54に表示する。試験員は、プロセス信号入力処理装置3の入力端に印加した模擬信号から算出されるべき工学値と、プラント表示装置5に表示された工学値が判定基準内であることを確認/評価する。
【0007】
上記従来のプラント監視システムは、プロセス信号入力装置の入力端がプラント表示装置の近傍に無い場合が多く、電気信号を印加する人とプラント表示装置で工学単位値を確認する人は、電話などの通信手段によって連絡をとりながら複数の人員で試験を実施しなければならないといった課題があった。
【0008】
また、プラント監視システムのプロセス信号入力処理の妥当性確認は、各入力種別毎に判定基準が定められているが、試験出力の値が判定基準を満たしているかの確認は、プラント表示装置で工学値を確認する試験員によって行われる。しかし、プラント監視システムの入力は膨大であり、間違った判定をすることがあった。
【0009】
さらに、従来の装置においては、予め定められた期間を超えない時間間隔で試験を実施する必要があるが、試験計画作成や試験準備等は試験員が行っており、試験漏れなどの課題があったほか、プラント監視システムの入力妥当性確認試験における試験結果の記録は、手書きやデータの手入力で行われていたため、誤記や入力ミス等の人為的エラーが生じる可能性があった。
【0010】
一方、先行技術文献である特許文献1に開示のプラント制御システムの自動試験装置は、例えば原子力プラントで用いられる大規模なデジタル制御システムの性能を工場出荷時に確認試験するための発明であって、模擬信号発生装置から出力された模擬信号を、プロセス信号入出力装置を経由してデジタル制御システムに出力し、その応答信号を基準値と比較することにより、前記デジタル制御システムの試験をおこなうものである。この従来例は、膨大なプロセス信号が入力されるデジタル制御システムを小人数で自動的に試験することが可能であるが、あくまでも、工場出荷時の試験装置であって、単に、模擬信号発生装置と応答信号処理装置を備えたものにすぎず、高信頼性が要求される実プラントに配備されたプラント制御システムの監視システムに適用できるものではなかった。
【特許文献1】特開平8−95819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、従来のプラント監視システムは、確認試験のために多数の人員を必要としたり、人為的ミスが発生しやすいシステムとなっているとともに、実プラントに配備されたプラント制御システムについて信頼性の高い確認試験をシステマチックにかつ定期的に行うことはできないという課題があった。
【0012】
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、膨大なプロセス信号が入力処理される実プラントに配備されたプラント制御システムについて、人為的エラーを防止し、小人員で信頼性の高い自動試験が実施可能なプラント監視システム及びその方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、プラント監視システムについての発明であって、プラントの状態を監視制御するためにプロセス信号を電気信号へ変換処理するプロセス信号入力処理装置と前記電気信号を工学値に変換処理するプロセス信号入力制御装置と、前記工学値を表示処理するプラント表示装置とからなるプラント監視システムにおいて、自動試験用プラント表示装置、模擬信号制御装置及び模擬信号発生装置を有し、前記自動試験用プラント表示装置からの指令に基づき模擬信号制御装置及び模擬信号発生装置がプロセス信号入力処理装置の入力端に模擬信号を印加し、前記プロセス信号入力制御装置は、前記模擬信号を工学値に変換処理して前記自動試験用プラント表示装置に伝送し、前記自動試験用プラント表示装置は、少なくともプロセス信号入力処理装置に印加した前記模擬信号値及び変換処理された前記模擬信号の前記工学値を表示処理することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、プラント監視方法についての発明であって、プラントの状態を監視制御するためにプロセス信号を電気信号へ変換処理するプロセス信号入力処理手段と、前記電気信号を工学値に変換処理するプロセス信号入力制御手段と、前記工学値を表示処理するプラント表示手段と、自動試験用プラント表示手段と、模擬信号制御手段及び模擬信号発生手段とを有し、前記自動試験用プラント表示手段からの指令に基づき模擬信号制御手段及び模擬信号発生手段がプロセス信号入力処理手段の入力端に模擬信号を印加し、前記プロセス信号入力制御手段は、前記模擬信号を工学値に変換処理して前記自動試験用プラント表示手段に伝送し、前記自動試験用プラント表示手段は、少なくともプロセス信号入力処理手段に印加した前記模擬信号値及び変換処理された前記模擬信号の前記工学値を表示処理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、実プラントに配備されたプラント制御システムを確認試験する際に、膨大なプロセス信号が入力処理されるプラント制御システムの自動試験を行うことが可能となるとともに、小人員で確認試験を行うことができ、かつ、人為的なエラーを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明の第1乃至第4の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1に示されるように、自動試験用プラント表示装置9からの試験要求を模擬信号制御装置8が処理し、模擬信号発生装置7がプロセス信号入力処理装置3の入力端に印加される。プロセス信号入力処理装置3は通常のプロセス信号入力処理と同様に模擬信号をA/D変換し、その変換出力をプロセス信号入力制御装置2が伝送バス4を介して自動試験用プラント表示装置9に伝送する。模擬信号発生装置7は、プロセス信号入力処理装置3の入力端に印加された模擬信号の読み値を、模擬信号制御装置8を経由して伝送バス4を介して自動試験用プラント表示装置9に伝送する。プロセス信号処理装置3において、温度、圧力、流量等のプロセス信号は電気信号に変更処理される。自動試験用プラント表示装置9は、プロセス信号入力制御装置2からの工学値と、模擬信号発生装置7が印加した模擬信号の値を表示することで、プラント監視システム1の自動試験が可能な構成としている。
【0017】
図2において、自動試験用プラント表示装置9は、試験員の対話要求を処理する試験対話処理部91とプロセス信号入力制御装置2及びプロセス信号入力処理装置3のプロセス信号入力情報を有する試験情報部911、試験対話処理部91の試験要求を処理する試験対話処理部92、プロセス信号入力制御装置2の伝送入力を処理する伝送入力処理部51を備えるとともに、前記伝送入力処理部51は、入力点の現在値を記録した伝送入力情報部511、試験対話処理部91からの入力点情報要求を処理する入力点情報処理部52とプロセス信号入力の入力符号や名称、工学単位など記録した入力点情報部521を備えている。
【0018】
次に図3を用いて、プロセス信号入力処理装置3、模擬信号制御装置8及び模擬信号発生装置7について説明する。
【0019】
プロセス信号入力処理装置3は、入力端に印加された模擬信号をデジタル値に変換するA/D変換処理部31を備えている。プロセス信号入力制御装置2は、プロセス信号入力処理装置3から伝送されるデジタル値を工学値に変換する工学値変換処理部21と入力点毎の工学値変換情報を記録した工学値変換情報部211、工学値変換処理部21が変換した工学値を自動試験用プラント表示装置9に伝送する伝送出力処理部22、及び伝送出力の並び情報を記録した伝送出力情報部221を備える。
【0020】
模擬信号制御装置8は、自動試験用プラント表示装置9からの試験要求を処理する伝送入力処理部81と自動試験用プラント表示装置9との試験要求などの伝送入出力を記録した模擬信号伝送入出力情報部811、模擬信号発生装置7に模擬信号を要求する模擬信号処理部82、模擬信号発生装置7が印加した模擬信号の値を処理する入力値伝送処理部83、及び模擬信号発生装置7が印加した模擬信号の値を自動試験用プラント表示装置9に伝送する入力値伝送出力処理部84を備える。
【0021】
模擬信号発生装置7は、模擬信号制御装置8からの模擬信号要求に基づきプロセス信号入力処理装置3の入力端に模擬信号を印加する模擬信号出力処理部71、及び印加した電気信号の値を検出し模擬信号制御装置8に伝送する入力値読み取り処理部72を備える。
【0022】
本発明の第1の実施の態様においてプラント制御システムの自動試験は以下の態様で行われる。
【0023】
図1のプラント監視システム1において、入力の妥当性を確認する入力点のプロセス信号入力処理装置3の入力端に模擬信号発生装置7を接続し、自動試験用プラント表示装置9から、妥当性を確認する入力点と模擬信号値を指定することで、試験対話処理部91が試験情報部911から模擬信号印加箇所a1の情報と模擬信号値b1を算出し、模擬信号制御装置8に模擬信号印加箇所a1と模擬信号値b1が出力される。模擬信号制御装置8が自動試験機能を備えたプラント表示装置9からの模擬信号印加箇所a1と模擬信号値b1に従い、模擬信号発生装置7に模擬信号の発生を要求すると、模擬信号発生装置7は、プロセス信号入力処理装置3の入力端に模擬信号を印加するとともに、模擬信号発生装置7の出力端でプロセス信号入力処理装置2の入力端に印加した模擬信号を検出し、その値c1を模擬信号制御装置8に送信する。模擬信号制御装置8は、値c1を自動試験用プラント表示装置9に送信する。自動試験機能用表示装置9は妥当性を確認する入力点a1の工学値d1を読み取り、模擬信号発生装置7への模擬値b1と模擬信号発生装置7が出力端でプロセス信号入力処理装置3の入力端に印加した信号の読み値c1、工学値d1及び工学単位e1を図5の様に表示部54に表示する。
【0024】
図2を用いて、自動試験用プラント表示装置9の処理態様を説明する。試験員が自動試験用プラント表示装置9の図4に示す試験対象選択対話画面で、図3に示す模擬信号発生装置7を接続したプロセス信号入力処理装置3が接続されているプロセス信号入力制御装置2を選択する。この選択要求を受けた試験対話処理部91は、試験情報部911からプロセス信号入力制御装置2が接続しているプロセス信号入力処理装置3の一覧情報を参照する。試験対話処理部91は、この情報を試験対象選択対話画面に表示する。さらに試験員は、自動試験用プラント表示装置9の試験対話で模擬信号発生装置7を接続したプロセス信号入力処理装置3を選択する。この選択要求を受けた試験対話処理部91は、試験情報部911からプロセス信号入力処理装置3の入力基板の一覧を試験対象選択対話画面に表示する。さらに、試験員は、自動試験用プラント表示装置9の試験対象選択対話画面で試験対象の基板を選択し、実施する試験での測定点の数を入力し実行要求する。
【0025】
実行要求を受けた試験対話処理部91は、試験情報部911から選択された基板で処理される入出点の一覧情報を取得する。さらに試験対話処理部91は入力点情報処理部52に対し、選択された基板で処理される入力点情報の入力レンジとその単位、出力工学値の単位の一覧情報の取得を要求する。入力点情報処理部52は、入力点情報部521を参照し、試験対話処理部91に、この情報を打ち返す。試験対話処理部91は、これらの情報をもとに図5に示す試験実施対話を表示する。図5の例において、試験対話処理部91は、入力レンジと試験測定点数の情報から、模擬値を算出して試験実施対話画面に表示する。
【0026】
そして、試験員は自動試験用プラント表示装置9の試験実施対話画面の試験対象入力点の入力値の行を選択し、実行を要求するか又はキーボードの特定のキーを押すことで、模擬箇所に模擬信号が印加要求される。模擬要求を受けた試験対話処理部91は、試験処理部92に対し模擬箇所と模擬値の指令を出力する。試験対話処理部92は、伝送バス4経由で図3に示す模擬信号制御装置8に模擬箇所と模擬値の情報を伝送する。
【0027】
図3に示す模擬信号制御装置8に伝送された模擬箇所と模擬値の指令は、伝送入力処理部81で処理される。伝送入力処理部81は模擬信号伝送入出力情報部811を参照し、模擬信号処理部82に通知する。模擬信号処理部82は、模擬信号発生装置7に対し模擬箇所と模擬値を出力する。模擬信号発生装置7において、模擬信号出力処理部71が模擬信号処理部82からの指令に基づき、プロセス信号入力処理装置3の入力端の模擬箇所に模擬値相当の電気信号を印加する。この時、入力値読取処理部72は、模擬信号発生装置7の出力端で模擬信号出力処理部71が出力する電気信号を検出し、これを模擬信号制御装置8に通知する。模擬信号制御装置8で模擬信号発生装置7の入力値読取処理部72から通知された模擬信号出力処理部71が出力した模擬信号の値を、入力値伝送処理部83が入力値伝送出力処理部84に通知する。入力値伝送出力処理部84は、模擬信号伝送入出力情報部811を参照し、伝送バス4を経由して図2に示す自動試験用プラント表示装置9に通知する。
【0028】
一方、図3に示すプロセス信号入力処理装置3の入力端に模擬信号発生装置7によって印加された電気信号は、A/D変換処理部31によってデジタル値に変換され、プロセス信号入力制御装置2に伝送される。プロセス信号入力制御装置2において、プロセス信号入力処理装置3から伝送されたデジタル値は、工学値変換処理部21により、工学値変換情報211に基づき工学値に変換され、伝送出力処理部22に通知される。伝送出力処理部22は、伝送出力情報221に基づき、伝送バス4を介して自動試験用プラント表示装置9に通知される。
【0029】
図2に示す自動試験機能を備えたプラント表示装置9において、図3に示す信号模擬発生装置7が接続されたプロセス信号入力処理装置3でA/D変換処理され、プロセス信号入力制御装置2で工学値変換されて伝送された試験対象入力の工学値は、他の入力点の伝送データ同様に、伝送入力処理部51により、伝送入力情報部511に書込まれる。試験対話処理部91は入力点情報処理部52に試験対象入力点の工学値を要求し、入力点情報処理部52は伝送入力情報部511を参照し、要求された入力点の工学値を試験対話処理部91に通知する。試験対話処理部91は、試験処理部92から通知される模擬発生装置7の模擬信号の値と入力点情報処理部52から伝送される試験対象入力の工学値を図5に示す試験実施対話画面に表示する。
【0030】
この時、試験員は試験実施対話画面を確認し、実行を要求するか又はキーボードの特定のキーを押すことで、試験対話処理部91が試験対象入力点に対する模擬値/入力値/読み値を試験情報部911に書込み、次の模擬値または試験対象入力の行が選択され、さらに実行を要求するか又はキーボードの特定のキーを押すことで継続して試験を実施することができる。
【0031】
なお、第1の実施の形態はアナログ入力の試験について記載したが、接点入力、パルス入力などについても同様である。
【0032】
上記第1の実施の態様によれば、プラント制御システムの確認試験は、小人員、例えば一人でかつ自動で確認試験を実施することができる。すなわち、多くの場合、プラント監視システムの構成装置は、同じ部屋または隣接する部屋に設置されるため、一人で試験を実施することが可能である。
【0033】
ただし、プロセス信号入力処理装置3が他のプラント監視システムの構成装置と離れた部屋に設置される場合も考えられるが、この場合では、可搬型の模擬信号発生装置7をプロセス信号入力処理装置3の近傍に設置、接続し、試験対象のプロセス信号入力制御装置2とプロセス信号入力処理装置3の予備ケーブルなどで模擬信号制御装置8と模擬信号発生装置7を接続することで、同様に試験を実施することができる。
【0034】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態が、第1の実施の形態と異なる点は、図6に示す試験対象選択対話画面において、試験を実施するプロセス信号入力制御装置2及びプロセス信号入力処理装置3と入力基板の選択、測定点の入力の他に、判定基準値とその単位を入力することにより、試験対話処理部91が図7の様に試験実施対話画面に判定基準をあわせて表示し、自動判定するようにした点である。判定結果は、判定基準に満たない試験項目行を色変え表示すること等により、試験員に通知する。
【0035】
第2の実施の形態によれば、プラント制御システムの妥当性試験及び判定を小人員、例えば一人でかつ迅速に実施することができる。
【0036】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態が第2の実施の形態と異なる点は、図2の試験情報部911に試験実施履歴情報を記録しておき、試験対話処理部91は、例えば前回実施した試験年月日が予め定められた推奨試験実施期間から1年を引いた期間より前、即ち次回の年次点検前に推奨試験実施期間を迎える基板を図8の試験対象選択対話画面の入力基板の一覧表示で試験実施選択とは異なる色で色替表示することで、試験実施のための選択を促すようにした点である。
【0037】
また、試験対象選択対話画面で履歴を要求することにより、図9に示す様な試験履歴一覧を表示する。試験履歴一覧では、基板とその基板の最近の試験実施日の一覧が表示される。この一覧でも同様に前回実施した試験年月日が予め定められた推奨試験実施期間から1年を引いた期間より前、即ち次回の年次点検前に推奨試験実施期間を迎える基板を色替え表示することで、試験実施のための選択を促す。
【0038】
第3の実施の形態によれば、プラント監視システムの入力の妥当性試験を計画的に実施することができる。
【0039】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態について図10を用いて説明する。
第4の実施の形態の特徴は、自動試験機能を備えたプラント表示装置9が、試験員の対話要求を処理する試験対話処理部91とプロセス信号入力制御装置2、プロセス信号入力処理装置3及びプロセス信号入力の情報を有する試験情報部911、試験対話処理部91の試験要求を処理する試験対話処理部92、プロセス信号入力制御装置2の伝送入力を処理する伝送入力処理部51と伝送入力処理部51が、入力点の現在値を記録した伝送入力情報部511、試験対話処理部91からの入力点情報要求を処理する入力点情報処理部52とプロセス信号入力の入力符号や名称、工学単位など記録した入力点情報521に加え、試験成績出力要求を処理する試験成績出力対話処理部93、試験成績出力対話処理部93からの試験成績出力要求を処理する試験成績出力処理部94、試験成績出力処理部94からの印刷要求を処理する印刷処理部95を備えていることにある。
【0040】
第4の実施の形態において、図11に示す試験成績出力対話画面で試験成績の出力要求をすると、図10において、試験成績出力対話処理部92が試験情報部911の試験履歴データと試験成績書の様式を参照して試験成績の印刷要求のあった試験データと試験成績書の様式データを試験成績出力処理部94に通知する。試験成績出力処理部94は、試験データを試験成績書の様式に組込み、印刷処理部95に印刷データを出力する。印刷処理部95は、このデータをプリンタに出力要求すること、プリンタAから、出力要求のあった試験成績書のデータシートが出力される。
【0041】
第4の実施の形態によれば、試験データの転記や入力による誤記,誤入力、改竄なしに、すなわち、人為的なエラーをシステム的に発生させることなく、プラント制御システムの確認試験の成績書データシートを出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第1〜4の実施形態のプラント監視システムの構成図。
【図2】第1の実施形態の自動試験用プラント表示装置のブロック図。
【図3】第1の実施形態の模擬信号制御装置及び模擬信号処理装置のブロック図。
【図4】第1の実施形態のプロセス信号入力試験の試験対象選択対話画面。
【図5】第1の実施形態のプロセス信号入力試験の試験実施対話画面。
【図6】第2の実施形態のプロセス信号入力試験の試験対象選択対話画面。
【図7】第2の実施形態のプロセス信号入力試験の試験実施対話画面。
【図8】第3の実施形態のプロセス信号入力試験の試験対象選択対話画面。
【図9】第3の実施形態のプロセス信号入力試験の試験履歴一覧画面。
【図10】第4の実施形態の自動試験用プラント表示装置のブロック図。
【図11】第4の実施形態のプロセス信号入力試験の試験成績出力対話画面。
【図12】従来のプラント監視システムの構成図。
【図13】従来のプロセス信号入力制御装置及びプロセス信号入力処理装置のブロック図。
【図14】従来のプラント表示装置のブロック図。
【符号の説明】
【0043】
1…プラント監視システム、2…プロセス信号入力制御装置、21…工学値変換処理部、211…工学値変換情報部、22…伝送出力処理部、221…伝送出力情報部、3…プロセス信号入力処理装置、31…A/D変換処理部、4…移送バス、5…プラント表示装置、51…伝送入力処理部、511…伝送入力情報部、52…入力点情報処理部、521…入力点情報部、54…表示部、6…プラントセンサ、7…模擬信号発生装置、71…模擬信出力処理部、72…入力値読取処理部、8…模擬信号制御装置、81…伝送入力処理部、811…模擬信号伝送入出力情報部、82…模擬信号処理部、83…入力値伝送処理部、84…入力値伝送出力処理部、9…自動試験用表示装置、91…試験対話処理部、911…試験情報、92…試験処理部、93…成績出力対話処理部、94…試験成績出力処理部、95…印刷処理部、10…プリンタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントの状態を監視制御するためにプロセス信号を電気信号へ変換処理するプロセス信号入力処理装置と前記電気信号を工学値に変換処理するプロセス信号入力制御装置と、前記工学値を表示処理するプラント表示装置とからなるプラント監視システムにおいて、
自動試験用プラント表示装置、模擬信号制御装置及び模擬信号発生装置を有し、
前記自動試験用プラント表示装置からの指令に基づき模擬信号制御装置及び模擬信号発生装置がプロセス信号入力処理装置の入力端に模擬信号を印加し、
前記プロセス信号入力制御装置は、前記模擬信号を工学値に変換処理して前記自動試験用プラント表示装置に伝送し、
前記自動試験用プラント表示装置は、少なくともプロセス信号入力処理装置に印加した前記模擬信号値及び変換処理された前記模擬信号の前記工学値を表示処理することを特徴とするプラント監視システム。
【請求項2】
前記プラント入力処理装置の入力端に印加された模擬信号値から算出された工学値とプラント表示装置で変換処理された工学値とを比較し、あらかじめ設定された判定基準に基づいてプロセス入力処理の妥当性を自動判定することを特徴とする請求項1記載のプラント監視システム
【請求項3】
前記自動試験用プラント表示装置は、プロセス信号入力処理の妥当性の自動判定結果を実施履歴として記録し、その実施履歴にもとづいて、プロセス信号入力の試験間隔を自動的に算出し、試験実施時期を自動試験用プラント表示装置に表示することを特徴とする請求項2記載のプラント監視システム
【請求項4】
前記自動試験用プラント表示装置は、出力要求のあった試験成績書を印刷処理部に出力することができる試験成績出力対話画面を有することを特徴とする請求項3記載のプラント監視システム。
【請求項5】
プラントの状態を監視制御するためにプロセス信号を電気信号へ変換処理するプロセス信号入力処理手段と、前記電気信号を工学値に変換処理するプロセス信号入力制御手段と、前記工学値を表示処理するプラント表示手段と、自動試験用プラント表示手段と、模擬信号制御手段及び模擬信号発生手段とを有し、
前記自動試験用プラント表示手段からの指令に基づき模擬信号制御手段及び模擬信号発生手段がプロセス信号入力処理手段の入力端に模擬信号を印加し、
前記プロセス信号入力制御手段は、前記模擬信号を工学値に変換処理して前記自動試験用プラント表示手段に伝送し、
前記自動試験用プラント表示手段は、少なくともプロセス信号入力処理手段に印加した前記模擬信号値及び変換処理された前記模擬信号の前記工学値を表示処理することを特徴とするプラント監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−140235(P2008−140235A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−326914(P2006−326914)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】