説明

プリンタシステム

【課題】様々な要因によりプリンタシステムに障害が発生した場合に、ユーザーの誤操作を防ぎ、障害対応作業の工数を低減させたプリンタシステムを提供する。
【解決手段】障害発生時にユーザーが障害を復旧させるために操作が必要な部位をランプ等で表示する第1の表示手段を有し、前記障害を復旧させるために手順を誤らないように表示する第2の表示手段を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カット紙プリンタシステムまたは連続紙プリンタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
片面印刷可能なカット紙プリンタがある。このカット紙プリンタシステムでは、印刷中に緊急に停止を要する障害が発生した時は操作パネルに障害が発生した場所を記号などで表示する機能を持つ。
【0003】
さらに、前記カット紙プリンタシステムは操作パネルとは別に該当する本体や周辺機の操作が必要な部位に前記操作パネルでの表示記号と一致する記号が記載されている。
また、ジャムが発生した時にはジャム個所をジャム表示ランプで表示するという事例もある。
【0004】
例えば特許文献1(特開平4−153145号公報)は、ジャムが発生した時に限定して操作レバーを発光させる事でジャムを復旧している。この方法では操作する部位の順番が不明なため、順番を誤ると場合によっては用紙を取り除く際に用紙が破断し、プリンタ内部に詰まる事も考えられる。
【0005】
また、特許文献2(特開平7−172625号公報)は、高速複写においては複数個所で発生したジャム位置のシートを破損せず順序よく除去するために、優先順位の高い発生場所を他の箇所における表示とは異なる点滅表示で実現している。この方法では、シートを破損せず順序よく除去するために優先順位の高い発生場所をランプで表示するが、復旧のための操作手順については明確にされていない。
【0006】
また、特許文献3(特開2001−247235号公報)は、ジャム位置を検出し該当個所を発光させ、ジャム処理方法を説明する表示部の該当する場所を発光させる事で作業を容易に行っている。この方法では操作する部位をランプ等で発光させる事は行わないため、経験の少ないユーザーにとっては復旧作業が困難となる。
【0007】
更に、特許文献4(特開2005−269093号公報)は、原稿を取り出すために、カバーを開ける順序がある場合、開けるカバーの順番にカバーの表示器を表示させることが記載されている。しかしながら、用紙詰まりに限定した構成である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来の方法では、発生個所や優先順位の高い位置が把握できたとしても実際にどの部位を操作すれば良いのかが分かり難い。特に障害発生時の対応が未経験な大多数のユーザーは、障害発生時の対応方法を習得していないケースが想定される。
【0009】
更には、復旧方法を習得していないユーザーが操作することで復旧作業に手間がかかるだけではなく、対応方法が分からないことによる必要の無い部位へのアクセスにより、機器を損傷させることで印刷品質を劣化させる可能性もある。
【0010】
一方、連続紙プリンタシステムは、カット紙プリンタシステムと異なり、用紙詰まりによる個所特定は容易であるが、障害は用紙詰まりだけではなく他にも多数存在するため、カット紙プリンタシステムと同様に復旧方法を習得していないユーザーが操作することで復旧作業に手間がかかるだけではなく、復旧方法が分からないことによる必要の無い部位へのアクセスによって機器に影響が生じ、その結果、印刷品質を劣化させる可能性もある。
【0011】
本発明の目的は、様々な要因によりプリンタシステムに障害が発生した場合に、ユーザーの誤操作を防ぎ、障害対応作業の工数を低減させたプリンタシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、障害発生時にユーザーが障害を復旧させるために操作が必要な部位をランプ等で表示する第1の表示手段を有し、前記障害を復旧させるために手順を誤らないように表示する第2の表示手段を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、様々な要因によりプリンタシステムに障害が発生しても、ユーザーの誤操作を防ぎ、障害対応作業の工数を低減させたプリンタシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例に係るプリンタシステムの概略構成図である。
【図2】そのプリンタシステムにおいて、第一給紙トレイから給紙し、第二排紙トレイへ排紙した時の状態を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、プリンタエンジン1dに給紙装置1cや様々な排紙装置を接続したプリンタシステムの一例を示す構成図である。
【0016】
最初にプリンタシステムの用紙の流れ1bについて説明する。プリンタシステムの制御装置1aは、上位より印刷ジョブを受け取り展開し、印刷ジョブデータの内容により所定のトレイから用紙を給紙する。給紙された用紙はプリンタエンジン1dにより印刷され、印刷ジョブデータの内容により所定の排紙位置(1g,1i,1m,1n)に排紙する。
【0017】
図2は、画面右下の第一給紙トレイ1pから給紙を行い、画面左下の第二排紙トレイ1nに排紙される場合を示す用紙の流れ1bの一例を示す図である。
【0018】
今、用紙の流れ1bの一例として図2の場合で、障害の一例として用紙づまりが発生したとする。用紙づまりが発生すると、どの部位に用紙が残っているかを給紙装置1c、プリンタエンジン1d、第一スタッカ1f、第二スタッカ1hおよびフィニッシャー1k内に設置されているセンサ(図示せず)が用紙づまりを検知し、検知結果を制御装置1aに報告する。
【0019】
制御装置1aは、報告された検知結果を元にどの部位で用紙詰まりが発生しているかを判断する。制御装置1aはどの部位で用紙づまりが発生しているかを把握したのち操作パネル1eに用紙詰まりの発生個所を表示する。
【0020】
障害復旧作業の経験があるユーザーは操作パネル1eに用紙詰まりの発生個所を表示するだけで充分かもしれないが、経験の無いユーザーは上記操作パネル1cに用紙詰まりの発生個所を表示しただけでは具体的にどの部位を操作すれば良いのかが不明である事が想定される。そのため、用紙詰まりの発生個所を把握した制御装置1aが障害を復旧するために操作が必要な部位を特定し、該当する部位のランプ1jを点灯させる。
【0021】
また、手順を誤ると用紙が切断するなど復旧作業が困難となる恐れのある部位については、復旧手順に操作する部位の順番を持たせるなどすればよい。具体的には、最初に操作をされたくない部位については制御装置1aがランプ1jを点灯させず、操作すべき部位のランプ1jを点灯させ、実際に操作が行われたことを制御装置1aが確認することで次に操作すべき部位のランプ1jを点灯させるなどして誤操作を防止すればよい。
【0022】
本発明の実施例においては、カット紙プリンタシステムにおける用紙づまりの場合について説明したが、用紙詰まりだけではなく他の障害発生時や連続紙プリンタシステムの場合においても、同様の方法で障害復旧の経験が少ないユーザーが復旧させるために操作が必要な部位を把握する事が可能である。
【0023】
上記したように、本発明では、様々な要因によりプリンタシステムに障害が発生しても、復旧するために操作が必要な部位をランプで表示することや、最初は優先順位の高い部位のみランプで表示することで、ユーザーの誤操作を防ぎ、障害対応作業の工数を低減させたプリンタシステムを提供できる。
【0024】
なお本発明は、カット紙プリンタシステムや連続紙プリンタシステムに適用することが可能である。また、印刷メカニズムとしては本電子写真方式に限らず、インクジェット方式および各種方式に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0025】
1a…制御装置、1b…用紙の流れ、1c…給紙装置、1d…プリンタエンジン、1e…操作パネル、1f…第一スタッカ(排紙装置)、1g…第一スタッカの排紙テーブル、1h…第二スタッカ(排紙装置)、1i…第二スタッカの排紙テーブル、1j…ランプ、1k…フィニッシャー(排紙装置)、1m…第一排紙トレイ、1n…第二排紙トレイ、1p…第一給紙トレイ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】特開平04−153145号公報
【特許文献2】特開平07−172625号公報
【特許文献3】特開2001−247235号公報
【特許文献4】特開2005−269093号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
障害発生時にユーザーが障害を復旧させるために操作が必要な部位をランプ等で表示する第1の表示手段を有し、前記障害を復旧させるために手順を誤らないように表示する第2の表示手段を有することを特徴とするプリンタシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−194938(P2010−194938A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44031(P2009−44031)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】