説明

プリンタ

【課題】 プリンタの薄型化とそれに伴う問題点を解決する。
【解決手段】 (1)用紙を分離して用紙送り機構とその負荷をなくす。この時、印刷完了後ヘッドが格納されてから印刷完了表示を出す。
(2)クリーニング時に退避自在のノズル保護部を持つ。
(3)紙を挟んで印刷する新しいレイアウト。紙挟みモードと設置モードで特性を変る。印刷終了後は用紙の上を通過しないでインクヘッドを格納する。
(4)事故発生時と通常時でインクヘッド退避様式を変える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェットプリンタにおける小型化の為の新しい形態に関するものであり、更に詳しくにはインクノズルをX−Y2方向に走査して印刷を行うことで印刷用紙の送り機構を廃止して小型化を図ったプリンタの汎用性を高める事と信頼性の向上に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のプリンタとしては例えば特開2000−99214号公報にあるように印刷用紙を一方向に搬送(副走査)して用紙を印刷位置に搬送し、副走査と直交する方向にインクタンク、インクノズルを備えるヘッドを走査(主走査)して印刷する方式が一般的である。
【0003】
図25、図31はその機構を説明する図であり、図25において給紙ローラー5と給紙カム31は用紙Pを送紙部12へ送り込む。
【0004】
送紙部12に送られた用紙Pはプラテン46に案内されて搬送ローラー36とピンチローラー37との間に送り込まれる。
【0005】
ローラー36,37の間に送り込まれた用紙Pは搬送モーター47により回転する搬送ローラー36、ピンチローラー37によりプラテン46上に沿って進み(副走査)、記録ヘッド49により印刷が行われる。
【0006】
記録ヘッド49はガイド部51により用紙Pの搬送方向に対して直角方向に走査(主走査)可能であり、この方向にキャリッジモータ53により駆動される。
【0007】
ここで図31をみて分かるように用紙Pはその上面と下面をローラで挟まれている。
【0008】
そしてその搬送動作のためにローラー36等で構成される搬送部12は用紙Pの下面部にも設けられており、プリンタ全体を厚くする結果になってしまう。
【0009】
又、用紙Pが副走査時にすべりを起こさない様にする為に搬送ローラー36とピンチローラー37は互いに強い力で押し付けあっている。
【0010】
その様な大きな負荷に負けない為に搬送モーター47は大型化しており、且つ、その駆動の為に大きな電力を必要としている。
【0011】
ここでインクノズルを副走査方向にも走査することで用紙送りを廃止する事を考える。
【0012】
このとき用紙Pの下面に設けられていた搬送部12が不要になるためにプリンタを薄型に出来る。
【0013】
又、インクノズルの副走査方向の駆動は用紙送りに比べて負荷が少ないので、副走査の為の駆動モーターは搬送モーター47に比べて小型化する事が可能である。
【0014】
更に、副走査の為の駆動モーターの小型化にともないその駆動電力も少なくなるので小さな乾電池、或いは少ない本数の乾電池によるプリンタの駆動が可能になって持ち運びに便利な小型プリンタを実現できる。
【0015】
図29は特開平11−235814号公報に開示されているプリンタの斜視図であり、図29において1は例えば図25で説明したような親プリンタでありパソコンからの信号やデジタルカメラ2からの信号により用紙Pに印刷を行う。
【0016】
3はプリンタ親機1に接続されるプリンタ子機であり、インクタンク、インクノズル、それらを主走査、副走査方向に駆動する駆動部を有する印刷部4とインクノズルのクリーニングやインク詰まりを解消するためのインクノズル回復系を備えたクレイドル5で構成されている。
【0017】
ここで印刷部4はクレイドル5に対して着脱可能であり、印刷時には印刷部4をクレイドル5より外して用紙上に設置し、インクノズルを主、副走査方向に走査しつつインクを吐出して印刷を行う。
【0018】
印刷が終了した後は印刷部4をクレイドル5の上に取り付けてクレイドル5によりインクノズルのクリーニングやインク詰まり解消の為の回復動作を行うと共にクレイドル5によりインクノズルを保護する。
【0019】
この例の場合においてはプリンタ子機3はプリンタ親機1に接続されて制御され、電力の供給もプリンタ親機1より受けているがプリンタ子機3にインクノズル制御や画像処理用の回路を設け、電池を搭載することでプリンタ親機1とは独立した持ち運び自在の小型プリンタに出来る。
【特許文献1】特開2000−99214号公報
【特許文献2】特開平11−235814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
ところで図29に示したプリンタ子機3(以下用紙分離プリンタと称する)においては印刷媒体(主に用紙)上にプリンタ本体を設置して印刷を行う訳であるから印刷面に向けてインクノズルが露出している。
【0021】
それにより3つの問題が生じている。
【0022】
通常のプリンタにおいては図31に示す様にインクノズルは常にプラテン46に対向しており、且つプリンタの外装カバーに保護されているので外乱に対して高い信頼性を保っている。
【0023】
しかしながら用紙分離プリンタにおいては上述した様にインクノズルが露出しており、インクノズル部をぶつけてノズルを壊してしまったり、或いはユーザーが誤ってインクノズル部を触ってしまい、ノズルの性能を変化させてしまう問題がある。
【0024】
又、用紙の上に硬いゴミなどが乗っていた時に用紙上にプリンタを設置して印刷を行うとゴミをインクノズルが走査方向に引きずりノズルを壊してしまう。
【0025】
以上ノズルの信頼性低下と云う第1の問題がある。
【0026】
又、用紙分離プリンタは印刷中にプリンタを用紙から引き離すことが出来る。
【0027】
その為にインクノズルが用紙以外の方向にインクを吐出してしまい、周囲をインクで汚してしまう。
【0028】
以上安全性の劣化と云う第2の問題がある。
【0029】
薄手の印刷用紙の場合にはインクを含む事でしわが生ずる場合がある。
【0030】
図30に示すプリンタでは印刷後の用紙領域はプラテン46にガイドされると共に搬送ローラー36とピンチローラー37により搬送されてインクノズルと再び対向する事はない。
【0031】
ところが用紙分離プリンタでは印刷終了後にインクノズルを主、副走査方向に駆動させてインクノズルを初期位置に戻す動作が有る。
【0032】
その動作のときに再度インクノズルが印刷済みの用紙領域と対向する。
【0033】
用紙と印刷ノズルの間隔は印刷品位向上の為に極めて短く設定されており、印刷により用紙のしわが出来ているときには用紙とインクノズルが接触する場合がある。
【0034】
そして、それによりインクノズルの汚れが用紙に付着する。
【0035】
以上印刷品位の劣化と云う第3の問題がある。
【0036】
この様な3つの問題点と共に用紙分離型のプリンタの場合には用紙が水平でない場合は印刷中のノズルの主、副走査の駆動振動でプリンタが動いてしまい精度よい印刷は出来ない。
【0037】
それを防ぐためには印刷中はプリンタを用紙に対して押さえておく必要がある。
【0038】
このように操作性の劣化と云う問題があった。
【0039】
そこで本発明においてはこれら4点の問題点、即ち、
1.ノズルの信頼性の向上
2.安全性の向上
3.印刷品位の向上
4.操作性の向上
を解決して小型で持ち運びの出来るプリンタを実現する事を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本発明においては用紙分離プリンタにおける前述した問題に対してメカニカルな機構や駆動制御方法、プリンタの形態で対策を施しており、
請求項1から請求項6においては
インクノズルと、インクノズル近傍に設けられインクノズルに対して退避自在なインクノズル保護部と、インクノズル保護部を退避させる退避駆動手段をプリンタに設け、退避駆動手段は印刷時にインクノズルを印刷媒体上に沿って走査する走査駆動手段の駆動力を利用してインクノズル保護部を退避させる構成にしており、インクノズル保護部をノズルより退避させた状態でインクノズルのクリーニングを行うインクノズルクリーニング手段を設けている。
【0041】
そしてインクノズル保護部はインクノズル近傍より印刷媒体側に延出するインクノズル保護突起部であり、インクノズル保護突起部はインクノズル外周を囲む略周回する土手形状になっており、特にインクノズルが各色ごとに整列された複数のライン上のインクノズルで構成される時はインクノズル保護突起部は各インクノズルごとにその外周を囲む略周回する土手形状になっている。
【0042】
以上の構成によりインクノズルの信頼性を向上させている。
【0043】
請求項7から請求項9では
印刷面上に設置することで印刷面を印刷するプリンタにおいて、印刷面への設置を検出する接地検出手段と、印刷中の接地検出手段の出力変化によりインク吐出を制御する吐出制御手段をプリンタに設け、吐出制御手段は印刷中の接地検出手段出力変化によりインク吐出を禁止する様にしており、更に吐出制御手段はインク吐出禁止以降は接地検出手段出力変化に基づいたインク吐出を再開させない構成にして安全性を向上させている。
【0044】
請求項10、請求項11においては
インクノズルと、印刷時にインクノズルを印刷媒体に沿って走査する走査駆動手段と、走査駆動手段によりインクノズルと共に走査される接地検出手段の出力に基づきインク吐出を制御するインク制御手段をプリンタに設け、接地検出手段出力が印刷中に変化したときにはインク吐出を禁止する構成にすることで安全性を向上させている。
【0045】
請求項12では
第1待機位置を有する第1方向と、第2待機位置を有する第2方向にインクノズルを駆動して固定されている印刷媒体に印刷を行うプリンタにおいて、印刷終了時にはインクノズルを第1待機位置に収納した後に第2方向にのみ駆動して第2待機位置に収納する様にしており印刷品位を向上させている。
【0046】
請求項13から請求項17では
プリンタ本体と、プリンタ本体に対して回動自在に軸支され、閉じ状態ではプリンタ本体に設けられたインクノズルに対向する用紙トレイとで構成され、プリンタ本体と用紙トレイの間に印刷媒体を挟んで印刷を行うプリンタ形状を採用し、用紙トレイはプリンタ本体に対して着脱自在であり、用紙トレイがプリンタ本体に装着されている時に用紙トレイとプリンタ本体の間に印刷媒体を挟んで印刷を行う第1印刷形態と、用紙トレイがプリンタ本体から外されている時にプリンタ本体を印刷媒体上に設置して印刷を行う第2印刷形態を選択することを可能にし、更にインク吐出制御の為の状態検出手段を有し、第1印刷形態と第2印刷形態で状態検出手段によるインク吐出制御様式を異ならせる様にしており、具体的には状態検出手段はプリンタ本体の姿勢或いは振動を検出し、その出力と予め定めた閾値との比較に応じてインク吐出を禁止する構成であって、状態検出手段の検出する姿勢或いは振動の出力が閾値の第1のレベルを超えていた場合には少なくとも第2の印刷形態ではインク吐出を禁止するようにして操作性を向上させている。
【0047】
請求項18では
印刷面上に設置し、退避位置から2次元方向にインクノズルを走査しながらインクノズルよりインク吐出を行うことで印刷面全域を印刷するプリンタにおいて、インクノズルが印刷面全域の走査を終了し、インクノズルからのインク吐出終了を検出するインク吐出終了検出手段と、インク吐出終了検出手段の出力に基づいてインクノズルを退避位置に設定するノズル設定手段と、インクノズルが退避位置に設定された後に印刷終了を表示する印刷終了表示手段を備えた。
【0048】
この様にインクノズルが退避位置に設定されてから印刷終了を表示するので、インクノズルが退避位置に設定される前にプリンタを印刷面より外してインクノズルを露出させ、インクノズルを破損させてしまう事故を未然に防ぐことが出来る。
【0049】
請求項19では
印刷面上に設置し、退避位置から2次元方向にインクノズルを走査しながらインクノズルよりインク吐出を行うことで印刷面全域を印刷するプリンタにおいて、印刷面への設置を検出する接地検出手段と、印刷中に接地検出手段の出力変化が生じたときにインクノズルを退避位置に復帰させる復帰手段を設けたことで印刷中のインクノズルが外部に露出することが防げて信頼性の高いプリンタを実現できる。
【発明の効果】
【0050】
本発明においては用紙分離プリンタにおける前述した問題に対してメカニカルな機構や駆動制御方法、プリンタの形態で対策を施しており、
請求項1から6においては
インクノズルと、インクノズル近傍に設けられインクノズルに対して退避自在なインクノズル保護部と、インクノズル保護部を退避させる退避駆動手段をプリンタに設け、退避駆動手段は印刷時にインクノズルを印刷媒体上に沿って走査する走査駆動手段の駆動力を利用してインクノズル保護部を退避させる構成にしており、インクノズル保護部をノズルより退避させた状態でインクノズルのクリーニングを行うインクノズルクリーニング手段を設けている。
【0051】
そしてインクノズル保護部はインクノズル近傍より印刷媒体側に延出するインクノズル保護突起部であり、インクノズル保護突起部はインクノズル外周を囲む略周回する土手形状になっており、特にインクノズルが各色ごとに整列された複数のライン上のインクノズルで構成される時はインクノズル保護突起部は各インクノズルごとにその外周を囲む略周回する土手形状になっている。
【0052】
以上の構成によりインクノズルの信頼性を向上させている。
【0053】
請求項7から9では
印刷面上に設置することで印刷面を印刷するプリンタにおいて、印刷面への設置を検出する接地検出手段と、印刷中の接地検出手段の出力変化によりインク吐出を制御する吐出制御手段をプリンタに設け、吐出制御手段は印刷中の接地検出手段出力変化によりインク吐出を禁止する様にしており、更に吐出制御手段はインク吐出禁止以降は接地検出手段出力変化に基づいたインク吐出を再開させない構成にして安全性を向上させている。
【0054】
請求項10、11においては
インクノズルと、印刷時にインクノズルを印刷媒体に沿って走査する走査駆動手段と、走査駆動手段によりインクノズルと共に走査される接地検出手段の出力に基づきインク吐出を制御するインク制御手段をプリンタに設け、接地検出手段出力が印刷中に変化したときにはインク吐出を禁止する構成にすることで安全性を向上させている。
【0055】
請求項12では
第1待機位置を有する第1方向と、第2待機位置を有する第2方向にインクノズルを駆動して固定されている印刷媒体に印刷を行うプリンタにおいて、印刷終了時にはインクノズルを第1待機位置に収納した後に第2方向にのみ駆動して第2待機位置に収納する様にしており印刷品位を向上させている。
【0056】
請求項13から17では
プリンタ本体と、プリンタ本体に対して回動自在に軸支され、閉じ状態ではプリンタ本体に設けられたインクノズルに対向する用紙トレイとで構成され、プリンタ本体と用紙トレイの間に印刷媒体を挟んで印刷を行うプリンタ形状を採用し、用紙トレイはプリンタ本体に対して着脱自在であり、用紙トレイがプリンタ本体に装着されている時に用紙トレイとプリンタ本体の間に印刷媒体を挟んで印刷を行う第1印刷形態と、用紙トレイがプリンタ本体から外されている時にプリンタ本体を印刷媒体上に設置して印刷を行う第2印刷形態を選択することを可能にし、更にインク吐出制御の為の状態検出手段を有し、第1印刷形態と第2印刷形態で状態検出手段によるインク吐出制御様式を異ならせる様にしており、具体的には状態検出手段はプリンタ本体の姿勢或いは振動を検出し、その出力と予め定めた閾値との比較に応じてインク吐出を禁止する構成であって、状態検出手段の検出する姿勢或いは振動の出力が閾値の第1のレベルを超えていた場合には少なくとも第2の印刷形態ではインク吐出を禁止するようにして操作性を向上させている。
【0057】
請求項18では
印刷面上に設置し、退避位置から2次元方向にインクノズルを走査しながらインクノズルよりインク吐出を行うことで印刷面全域を印刷するプリンタにおいて、インクノズルが印刷面全域の走査を終了し、インクノズルからのインク吐出終了を検出するインク吐出終了検出手段と、インク吐出終了検出手段の出力に基づいてインクノズルを退避位置に設定するノズル設定手段と、インクノズルが退避位置に設定された後に印刷終了を表示する印刷終了表示手段を備えた。
【0058】
この様にインクノズルが退避位置に設定されてから印刷終了を表示するので、インクノズルが退避位置に設定される前にプリンタを印刷面より外してインクノズルを露出させ、インクノズルを破損させてしまう事故を未然に防ぐことが出来る。
【0059】
請求項19では
印刷面上に設置し、退避位置から2次元方向にインクノズルを走査しながらインクノズルよりインク吐出を行うことで印刷面全域を印刷するプリンタにおいて、印刷面への設置を検出する接地検出手段と、印刷中に接地検出手段の出力変化が生じたときにインクノズルを退避位置に復帰させる復帰手段を設けたことで印刷中のインクノズルが外部に露出することが防げて信頼性の高いプリンタを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【実施例1】
【0061】
図1は本発明の用紙分離プリンタの外観斜視図でありプリンタ1はプリンタ本体11とプリンタ本体に対して後述するヒンジを中心に回転可能であり、且つプリンタ本体11から着脱可能な用紙トレイ13により構成されている。
【0062】
図1においてプリンタ本体11に設けられる窓12は透明のアクリルで形成されており、窓を通して下面に配置される用紙の印刷の様子が見えるようになっている。
【0063】
14はメインスイッチであり、メインスイッチ14を操作してプリンタ本体11の電源を入れ、プリント準備状態にする。
【0064】
15はプリンタ本体11が電源オン状態か否かを表示するLEDなどの表示部であり、点灯することで電源オンを表示し、点滅することで電池の消耗を表示する。
【0065】
更にこの表示部15は消灯することで印刷の終了を表示する構成になっている。
【0066】
又、印刷終了時には不図示の発音体より印刷終了表示音が発音されるようになっており、印刷終了がユーザーに分かりやすくなっている。
【0067】
尚、ここで印刷終了とは印刷面へのインク吐出が終了後にノズルを退避位置に退避させた状態を示す。
【0068】
16はノズルクリーニング用の操作ボタンであり、ノズルの連続使用により印刷品位が低下したときやインクを交換したときに操作してノズルより強制的に一定の量のインクを吐出させてノズル内部に詰まったインクを排出させると共にノズル周囲の汚れを拭く。
【0069】
17はインク交換が必要な場合に点灯するLEDなどの表示部であり、印刷中の外乱などで印刷を中止した場合には点滅してエラー表示を行う。
【0070】
18はUSBなどのデータ通信ケーブルの接続部であり、デジタルカメラとプリンタ本体11をUSBケーブルで接続し、画像の転送を行う。
【0071】
図1ではデジタルカメラと接続されていないが、実際の印刷を行うときには
・デジタルカメラとプリンタ本体11をケーブルで接続
・プリンタ本体のメインスイッチ14をオン
・デジタルカメラのメインスイッチをオン
・デジタルカメラの表示部に印刷したい画像を表示
・デジタルカメラの印刷コマンドを操作
・印刷
・印刷終了を表示部15及び発音で確認
・デジタルカメラのメインスイッチをオフ
・プリンタ本体11のメインスイッチをオフ
・ケーブルの取り外し
などの操作手順で印刷を行う。
【0072】
尚、USBケーブルなどでデジタルカメラと接続する代わりに、コンパクトフラッシュ(登録商標)やスマートメディアなどの記録媒体を挿入するスロットをプリンタ本体11に設け、ケーブルなしで印刷を行っても良い。
【0073】
図2はプリンタ本体11に対して用紙トレイ13を開いた状態を示しており、ヒンジ19を中心にプリンタ本体11が跳ね上げられている図である。
【0074】
図2においてプリンタ本体11の裏面からはプリンタヘッド110が見えている。
【0075】
プリンタヘッド110にはインクタンク110a、インクノズル駆動回路110b、インクノズル110c(共に図2では不図示)、及びインクノズル保護部111が設けられている。
【0076】
プリンタヘッド110はガイド軸112に支持されており、更にガイド軸112回りのプリンタヘッドの回転を押さえる回り止め軸113が設けられている。
【0077】
そしてプリンタヘッド110とナットでかみ合っているリードねじ軸114を不図示の主走査モータで回転させることでプリンタヘッドは矢印115方向に走査される。
【0078】
又、図ではプリンタ本体11の内部に隠れて見えないがガイド軸112、回り止め軸113、リードねじ軸114を矢印116方向に副走査する機構も設けられており、プリンタヘッド110は矢印115、116に2方向に走査され、その走査量に応じてノズルからのインク吐出を制御することで用紙に印刷を行う。
【0079】
尚、図2では説明の為にプリンタヘッド110がプリンタ本体1の裏面に見えるように配置してあるが、実際にはプリンタ本体11を図2の様に跳ね上げた状態の時にはプリンタヘッド110はプリンタ本体1の内部の初期位置に位置されている。
【0080】
そのために図2の様にプリンタヘッド110が露出していることは無い。
【0081】
用紙トレイ13には用紙ガイド118、119が設けられており、この用紙ガイドに合わせて印刷用紙117をおくことで用紙の適切な位置に印刷が行われる。
【0082】
ここで用紙ガイド118は例えばカードサイズの用紙に印刷する場合のガイドであり、用紙ガイド119はLサイズの用紙に印刷する場合のガイドである。
【0083】
カードサイズの用紙に印刷する場合もLサイズの用紙に印刷する場合も実際の印刷面積は変わらず、本発明の用紙分離プリンタの印刷の大きさはカードサイズである。
【0084】
しかし本発明の用紙分離プリンタの特徴は用紙の大きさを問わないことであり、Lサイズの用紙を用いる場合には印刷範囲はカードサイズであるが余白にコメントを記入に利用できる。
【0085】
又、はがきサイズの用紙を使用する場合は余白に住所などを記入することが出来る。
【0086】
更に用紙ガイド118、119を無視すれば用紙の任意の部分に印刷を行うことが出来る。
【0087】
図3はプリンタ本体11を側面から見た図であり、用紙トレイ13、印刷用紙117、接続部18が見えている。
【0088】
図3でプリンタ本体11の端部に設けられた支持軸123には用紙トレイ13のヒンジ19が係合されている。
【0089】
図4はその拡大図であり、図から分かるようにヒンジ19は支持軸123回りに回動可能であると共に用紙トレイ13をプリンタ本体11に対して一定以上回転させた状態で軽く引っ張るとヒンジ19の弾性で弱い力で用紙トレイ13がプリンタ本体11から分離できる。
【0090】
ここで141はトレイ着脱スイッチであり、用紙トレイがプリンタ本体11に取り付いているとき(図4の状態)ではヒンジ19の厚みでトレイ着脱スイッチ141はオンになり、用紙トレイ13がプリンタ本体11から外されている時にはトレイ着脱スイッチ141はオフになる。
【0091】
このトレイ着脱スイッチ141の役割は後述する。
【0092】
図5は用紙トレイ13を分離したプリンタ本体11の図であり、この状態でも印刷が可能なことを説明する図である。
【0093】
図5においてプリンタ本体11は印刷用紙120の上において印刷用紙120に印刷を行う訳であり、その順番を以下に述べる。
【0094】
1.窓12を通して印刷用紙120の印刷したい位置を見つけ、その位置に位置あわせしてプリンタ本体11を印刷用紙120上にセットする。
【0095】
2.印刷
3.印刷終了表示(ランプや音)により印刷終了を確認
4.プリンタ本体11を印刷用紙120から離す。(図5の状態)
以上の操作によりプリント121が出来上がる。
【0096】
尚、プリント121は前述したようにカードサイズ迄しか印刷できない。
【0097】
しかし、この様に印刷用紙120の任意の位置にプリンタ本体11を設置出来ることからカードサイズのプリントをくり返して図6の様なつなぎ写真(プリント121a、121b、121c)を作成が出来、迫力有るプリントが実現する。
【0098】
この様に本発明のプリンタにおいては用紙トレイ13に用紙を挟んで印刷する第1の印刷形態と、印刷用紙上に直接プリンタを乗せて印刷する第2の印刷形態をとる事ができる。
【0099】
図7はプリンタ本体11を印刷面側から見た平面図及び側面図である。
図7はプリンタ1が待機状態を示しており、インクヘッド110は退避位置に位置している。
【0100】
インクヘッド110には3色のノズル143a,143b,143cを有するノズル基盤110dが設けられている。
【0101】
これらのインクノズル143a,143b,143cはインクタンク142a、142b、142cの各色(シアン、マゼンタ、イエロー)各色ごとに例えば256のノズルが設けてあり、各色おのおのインクを吐出するノズルの数により所望の濃さで所望の色の印刷を行う。
【0102】
ノズル基盤110dは通常インクノズル保護部111に保護されているが、図7においてはノズル保護部111はインクノズル基盤110dから外れている。
【0103】
インクノズル保護部111はインクノズル基盤110dに対して保護バネ144a、144bにより矢印111b方向に付勢されているため通常はインクノズル基盤110d上に位置する訳であるが、後述する構成によりインクヘッド110が退避位置にある時にはインクノズル保護部111が保護バネ144a、144bに逆らって移動し、インクノズル基盤110dが露出されるようになっている。
【0104】
そのために図7の様にインクヘッド110が退避位置にある時にはインクノズル基盤110dが露出している。
【0105】
インクヘッドが退避位置に無いとき(印刷中)には図8に示す様にインクノズル保護部111は保護バネ144a、144b(図8では不図示)によりインクノズル基盤上に位置しており、インクノズル111c1,111c2,111c3を保護している。
【0106】
ここで各インクノズル143a,143b,143cとインクノズル保護部110dの関係を説明する。
【0107】
断面A−A、B−Bをみて分かるようにインクノズル保護部111はインクノズル基盤110dより印刷用紙側に延出する突起であり、インクタンク142a、142b、142cの各色(シアン、マゼンタ、イエロー)ごとに対応したインクノズル143a,143b,143cの各々の外周を囲む略周回する土手である。
【0108】
この様に各インクノズル143a,143b,143cのぎりぎりまで囲む土手構造にすると、インクノズルの開口面積が狭くなるために、例えば指などでインクノズルを触ろうとしても土手に阻まれて指の腹が各インクノズル143a,143b,143cと接するところまで到達しない。
【0109】
例えば図9に示す様にインクノズル保護部111が3つのインクノズル143a,143b,143c全体を囲む土手の場合にはその開口部に指の爪などが入りインクノズル143a,143b,143cを破損させる恐れがあるが、図8の様に各々のインクノズル143a,143b,143c毎に周回土手が形成されているとノズル破損の事故は少なくなる。
【0110】
印刷時には図10に示す様にインクヘッド115は矢印115の方向に走査(主走査)されながらインクノズルは所定の量のインクを印刷用紙120に向けて吐出してゆく訳であるが、このとき印刷用紙120にゴミが付着している場合にはノズル保護部111が跳ね除けてインクノズル143a,143b,143cを保護する。
【0111】
インクヘッドは矢印115の方向に走査されて印刷を行った後は同じ経路を戻って次の印刷領域に移る。
【0112】
そのためにインクヘッド110が矢印115と反対の方向に駆動されるときには既にゴミは跳ね飛ばされている。
【0113】
よってこの方向の走査の時にゴミの力でインクノズル保護部111が保護バネ144a、144bの付勢力に負けてインクノズル基盤110dから外れる事は無い。
【0114】
尚、ゴミ120aの印刷用紙120への付着が強くインクヘッド110を矢印115方向に走査していてもノズル保護部111がゴミ120aを跳ね飛ばすことが出来ない場合も考えられる。
【0115】
その様な大きな負荷が加わった場合には、そのことをインクヘッド110を走査するモータの負荷(電流変化や走査検出のエンコーダパルスの出力波形)により検出して印刷を中止することでノズルの破損を防止する。
【0116】
図7に戻ってプリンタヘッド110はガイド軸112に支持されており、更にガイド軸112回りのプリンタヘッドの回転を押さえる回り止め軸113が設けられている。
【0117】
更にプリンタヘッド110とナットでかみ合っているリードねじ軸114を有し、ガイド軸112、回り止め軸113、リードねじ軸114はその両端で主走査地板125に支持されている。(インクヘッドに隠れて一方は見えない)
そして地板125に取り付けられた主走査モータ126でリードねじ軸114を回転させることでプリンタヘッド110は矢印115方向に走査される。
【0118】
ここでは主走査モータ126はステップモータであり、その回転角度は駆動入力ステップと対応しており、その回転をリードねじ軸114に伝える事よりインクヘッド110は矢印115方向に駆動される。
【0119】
そのため主走査モータ126の駆動ステップに応じてインクヘッド110の各インクノズル143a,143b,143cからインクを吐出するか否かを制御すれば適切な画像を得ることが出来る。
【0120】
ガイド軸112、回り止め軸113、リードねじ軸1114はその両端で主走査地板125に支持されている。(インクヘッドに隠れて一方は見えない)
主走査地板125は副ガイド軸123に支持されており、更にガイド軸123回りの地板125の回転を押さえる回り止め軸124が設けられている。
【0121】
そして地板125とナットでかみ合っているリードねじ軸122をプリンタ本体11に取り付けられた副走査モータ127で回転させることで地板125は矢印116方向に走査される。(副走査)
副走査される駆動部材(地板125、主走査モーター126、ガイド軸112、回り止め軸113、リードねじ軸114、プリンタヘッド110)は主走査される駆動部材(プリンタヘッド110)より重いが主走査方向ほどスピードが不要なために副走査モータ127は主走査モータと同程度のトルク発生を行うモータでよい。
【0122】
この様にインクヘッド110は主走査115と副走査116の2次元方向に走査されながらインクノズルよりインク吐出を行うことで印刷用紙120に印刷を実行する。
【0123】
尚、図7において線画であるインクヘッド142は2次元方向の走査を終了した後にインクノズル143a,143b,143cを印刷用紙120の領域から退避させた時のインクヘッド110の位置である。
【0124】
印刷終了後はこの位置からインクヘッド110は副走査初期位置に戻り、それから主走査初期位置(図7のインクヘッド110の位置)に戻る。
【0125】
128はプリンタ1を制御するための実装部及び電源収納部である。
【0126】
実装部128には姿勢センサ140が設けられている。
【0127】
姿勢センサ140は公知の振り子錘やボールの転がり位置によりプリンタ本体11の姿勢を検出するものであり、図5の様に印刷用紙120にプリンタ本体11を直接乗せて印刷する状況の場合(第2の印刷形態)にはプリンタ本体11が水平状態に近くないと印刷中の振動や重心変化でプリンタ本体11が印刷用紙120からずれてしまい良好な印刷が出来ない。
【0128】
そこで第2の印刷形態の場合にはプリンタ本体11が水平でないことを検出すると印刷を禁止、或いは中断する構成になっている。
【0129】
図11は退避位置にあるインクヘッド110の拡大図である。
【0130】
ここでインクヘッド110を退避位置に位置させる為には図7のインクヘッド142の位置から副走査モータ127を駆動してインクヘッド110を副走査初期位置に位置させて、その後主走査モータ126を駆動してインクヘッドを図7、図11の退避位置に移動する。
【0131】
このときにインクヘッドは矢印130の方向から駆動されて来るわけであるが、プリンタ本体11の端部11aにインクノズル保護部111が当たり、インクヘッド110の移動を妨げる。
【0132】
しかしインクヘッド110はインクノズル保護部111と保護バネ144a、144bで連結されているのでインクヘッド110は保護バネ144a、144bの付勢力に逆らって退避位置に位置される。(インクノズル保護部111はおいていかれる)
そして、インクノズルは矢印130方向より退避位置に位置される途中でシリコンゴムなどで形成されたクリーナー129に拭かれることでインクノズル回りに付着したインクを取り除かれる。
【0133】
退避位置に位置するインクヘッド110はそのインクノズル部分をキャップ130により保護される。
【0134】
キャップ130は受容槽130a、受容槽130a内に設けられるインク吸収体130c及びインクノズル基盤110dと受容槽130aを隙間無く結合するためのOリング130bにより構成されており、キャップ130はインクヘッド110が図11の退避位置に来たときにはインクノズル基盤110dに不図示の板バネなどにより押し付けられている。
【0135】
キャップは図11の断面では小さくインク受容体積は小さいが、実際には受容体積は紙面奥側に広がりインク受容体積は大きい。
【0136】
ここで受容槽130aはインクノズル143a,143b,143cが直接外気に触れて乾かないようにする役目と、印刷を開始する時や印刷中インターバルに印刷安定化の目的ですべてのノズルから吐出されたインクを受け取る役目をする。
【0137】
従来の発明においても図32に示す特開平9−48121の様にインクノズル143a,143b,143cに保護の為の土手17を取り付けた開示がある。
この土手は本発明のインクノズル保護部111に比べると極めて小さいものであり、ユーザーが指でノズルを触れるような柔らかい接触があった場合には簡単にインクノズル143a,143b,143cは汚れてしまう。
【0138】
更にこの従来例においては土手がインクノズル143a,143b,143cを周回していないために前述した爪に様に薄くて長い異物を防ぐことは出来ない。
【0139】
又、土手17はインクノズル基盤57に固定されている。
【0140】
そのためにノズル周囲の付着インクをクリーナー129などで除去することが出来ない。
【0141】
図11の断面図において110eは用紙センサである光センサであり投光部と受光部を備え保護ガラス110fを通し印刷用紙120に向けた投光の反射光を検出している。(図9に平面図)
この用紙センサ110eは印刷用紙の在否を検出しており、印刷用紙がある場合にはその反射(印刷用紙は白い)を検出しインク吐出の許可を与える。
【0142】
そして用紙センサ110eに変化があった場合には印刷用紙が取り除かれたと判断し、インク吐出を禁止する。
【0143】
従来例においても図33に示す特開2002−11919の様にインクヘッド511に光センサ510を設け、印刷開始に先立って印刷用紙512の外形を検出し、その後、その外形をはみ出さないように印刷を行う開示がある。
【0144】
本発明においては印刷する範囲は予め決められているので印刷に先立って印刷外形を検出することはしないで、印刷前及び印刷中の用紙在否を行っている。
【0145】
ここでインクヘッド110に用紙センサ110eを搭載したのはいたずら防止の目的がある。
【0146】
インクヘッド110上に用紙センサ110eを搭載しておくと印刷しないときにはインクヘッド110は図7の様に退避位置にあるので用紙センサは外からは触れられない。
【0147】
そのための用紙センサの上面に例えば反射する白い紙などを貼って、印刷在否検出機能を常時用紙有にすることは出来ない。
【0148】
又、印刷中に電池を抜く操作を行うとインクヘッド110は印刷範囲に露出したままになり、そのときには用紙センサ110eの上面の保護ガラスに反射する白い紙などを貼る事は出来る。
【0149】
しかしながらその状態で再び電池を入れるとインクヘッド110は一端退避位置に戻る。
【0150】
このとき図11に示す様にインクノズル保護部111が保護ガラス110fの上面に位置しようとして貼られた紙を剥がす。
【0151】
或いは紙が強固に貼られている場合にはインクヘッド110が退避位置に戻る前に過負荷検知で停止してしまい印刷まで移行することが出来ない。
【0152】
この様にインクヘッドに用紙在否用のセンサを設ける事で外乱にも強いプリンタになる。
【0153】
図12は図7における実装部128のブロック図である。
【0154】
ここで131は接続部18を介してカメラの信号をプリンタに入力すると共に、カメラに対して信号の発信停止を制御するUSBなどのインターフェイス。
【0155】
132aは画像処理部(画像を2値化する2値化処理部を含む)、132bは画像処理を行う上で使用する第2メモリ、134aはバンドメモリ制御部、134cはバンドメモリ、134bはマスクメモリ、135はヘッド制御部、110はインクヘッド、136はインク残量センサである。
【0156】
133はプリンタを制御するCPU、126aは主走査モータドライバ、126は主走査ステップモータ、137は主走査端スイッチ、127aは副走査モータードライバ、127は副走査ステップモータ、138は副操作端スイッチ、110eは用紙センサ、139はプリンタの電源部である。
【0157】
図13は信号処理の説明図であり、インターフェイス131によりカメラから入力される画像信号は画像処理部132aに送られ、画像データのRGB信号への変換132c、カメラの特性に応じた入力γ補正132d、ルックアップテーブル(LUT)132eを用いての色補正及び色変換、プリントする為の2値化信号への変換を行う。(132f)
2値化信号処理の際には誤差拡散処理(ED)132gを行うために誤差メモリ132hとして第2メモリ132bを用いる。
【0158】
本例の場合には画像処理部132aにおける2値化処理は誤差拡散処理を行っているがディザパターン処理を使った2値化処理等他の処理を行うことも可能である。
【0159】
2値化されたプリントデータはバンドメモリ制御部134aのバンドメモリ134cに一旦記憶される。インクヘッド110の主走査の移動量はステップモータ126の駆動パルスと対応しているので主走査駆動を制御すると、その主走査方向の位置は正確にCPU133に認識されている。
【0160】
そこで、CPU133に認識されているインクヘッド110の現在位置に対応してバンドメモリ134cとマスクメモリ134bからプリントデータが読み出され、そのプリントデータに基づいてヘッド制御部135がインクヘッド110を制御してプリントを行う。
【0161】
図13のバンドメモリ制御134aについて説明する。
【0162】
インクヘッド110における複数のインクノズル(143a,143b,143cに形成される各256個のノズル)は例えば600dpiの密度をなすように列状に形成されている。このようなインクヘッド110を用いて画像をプリントすべくインクヘッド110を1回主走査させるときには副走査方向においてはノズル数分、主走査方向においては記録領域分の記録データ(1主走査分の記録データ)を予め作成しておく必要がある。
【0163】
記録データは画像処理部132aにて作成されてからバンドメモリ制御部134aに一旦蓄えられる。バンドメモリ134cに1走査分の記録データが蓄えられた後インクヘッド110が主走査方向に走査される。
【0164】
その際CPU133によりインクヘッド110の現在位置が認識されているのでこの認識データにしたがってバンドメモリ134cから記録データが読み出され、その記録データにに基づいてインクヘッド110からインク滴が吐出される。
【0165】
インクヘッド110の主走査の往路と復路共にプリントを行う双方向記録方式を採用した場合にはインクヘッド110の走査方向に応じてバンドメモリ134cから記録データが読み出される。
【0166】
例えば往路においてはバンドメモリ134cから読み出される記録データのアドレスが順次インクリメントされ、復路ではバンドメモリ134cから読み出される記録データのアドレスが順次デクリメントされる。
【0167】
実際には画像処理部132aにより作成された画像データ(C,M,Y)がバンドメモリ134cに書き込まれて1バンド分の画像データが準備されたときインクヘッド110の走査が可能になる。
【0168】
そしてインクヘッド110を走査し、バンドメモリ134cより画像データを読み出してその画像データに基づいてインクヘッド110が画像をプリントする。プリント動作の間に次に記録すべき画像データが画像処理部132aにて作成され、その画像データはそのプリント位置に対応するバンドメモリ134cの領域に書き込まれる。
【0169】
このようにバンドメモリ制御134aは画像処理部132aにより作成された記録データ(C,M,Y)をバンドメモリ134cに書き込む作業と、インクヘッド110の走査動作にあわせて記録データ(C,M,Y)をヘッド制御部135に送る為の読み出す作業とを切り替えながら行う。
【0170】
図13のマスクメモリ制御134dについて説明する。
【0171】
このマスクメモリ制御134dはマルチパス記録方式を採用した場合に必要となる。
【0172】
マルチパス記録方式の場合インクヘッド110のノズル列長さに相当する幅を持つ1行分のプリントはインクヘッド110の複数回の走査に分けて記録される。
【0173】
即ち副走査方向に間欠的に搬送されるインクヘッド110の副走査方向の搬送量がノズル列の長さの1/Nとされ、例えばN=2のときは1行分の記録が2回の主走査に分けてプリント(2パス記録)されN=4のときは1行分の記録が4回の主走査に分けてプリント(4パス記録)される。同様にN=8のときは8パス記録、N=16のときは16パス記録となる。
【0174】
したがって1行分の記録画像がインクヘッド110の複数回の走査によって完成されることになる。
【0175】
実際にはマスクメモリ134cに画像データをインクヘッド110の複数回の走査に割り当てる為のマスクデータが格納されており、その画像データとマスクデータの論理積(AND)データに基づきインクヘッド110がインクを吐出してプリントを行う。
【0176】
以上の様なプリント制御動作に対して本発明の特徴を表す部分をフローチャートにして図14に示す。
【0177】
図14のフローは主にインクヘッド110の主走査と副走査、インク吐出制御の関係を示したものであり、その動作に直接関係の無い動作(例えば電池の残量チェックや警告動作、画像データの読み出し動作など)は省いてある。
【0178】
図14のフローはユーザーがこのプリンタの操作手段或いはプリンタに接続されたカメラの操作手段を操作してプリントを開始したときにスタートする。
【0179】
ステップ#1001では各インクノズル143a,143b,143cに吸引動作を行わせる。
【0180】
吸引動作とはキャップ130の受容槽130a内を負圧にしてインクヘッド110内のインクがノズルから出やすくし、その状態で各インクノズル143a,143b,143cを同時に制御してインク吐出を行わせる動作であり、放置後乾いてしまい詰まったインクノズル143a,143b,143cを回復する回復動作である。
【0181】
ステップ#1002ではインクヘッド110の主走査駆動を開始する。
【0182】
これによりインクヘッドは図7に示す初期位置から矢印115a方向に駆動を開始する。
【0183】
しかしこのとき今まで待機していた退避位置が正確な位置であるかを確認する必要がある。そこでステップ#1003以降で主走査端スイッチ137を用いてインクヘッド110の正確な退避位置を求めている。
【0184】
主走査端スイッチ137は図7のインクヘッド110の位置にあるときにはスイッチがオフであり、それ以外の主走査領域にいるときにはオンになる例えばリーフスイッチなどで構成されたスイッチである。
【0185】
ステップ#1003ではこの主走査端スイッチ137がオンになるまでインクヘッド110を駆動する。
【0186】
そして主走査端スイッチ137がオンになった時点をインクヘッド110の初期位置とする。
【0187】
ここでステップ#1002の時点で既に主走査端スイッチ137がオンになっているときには主走査端スイッチ137がオフになるまでインクヘッド110を図7の矢印115b方向に駆動し、主走査端スイッチ137がオフになると今度はインクヘッド110を図7の矢印115a方向に駆動する。
【0188】
ステップ#1004では主走査端スイッチ137がオンになったのでこの位置を退避位置とし、主走査モータ126であるステップモータの駆動ステップのカウントをリセットし、この位置より再カウントを始める。
【0189】
これによりこの後からカウントされる主走査モータ126のパルスは正確に退避位置(主走査端スイッチ137のオン位置)からの主走査位置に対応する。
【0190】
ステップ#1005では主走査モータ126が所定パルス分駆動されるまで待機し、所定パルス駆動されるとステップ#1006に進む。
【0191】
これはインクヘッド110を図7の位置から図15の位置に移動させる動作であり、この動作によりインクノズル保護部111は保護バネ144a、144bの付勢力でインクノズル基盤110dに位置され、インクノズル143a,143b,143cを保護する。
【0192】
(今まではプリンタ本体11の端部11aによりインクノズル保護部111は保護バネ144a、144bに逆らってインクノズル基盤110dから退避していた)
ステップ#1006ではインクヘッド110の主走査駆動を一旦停止する。
【0193】
ステップ#1007ではインクヘッド110の副走査駆動を開始する。
【0194】
これによりインクヘッド110は図15に示す位置から矢印116a方向に駆動を開始する。
【0195】
しかしこのとき今まで待機していた副走査方向の初期位置が正確な位置であるかを確認する必要がある。そこでステップ#1008以降で副走査端スイッチ138を用いてインクヘッド110の正確な副走査初期位置を求めている。
【0196】
副走査端スイッチ138は図7や図15のインクヘッド110の副走査位置にあるときにはスイッチがオフであり、それ以外の主走査領域にいるときにはオンになる例えばリーフスイッチなどで構成されたスイッチである。
【0197】
ステップ#1008ではこの副走査端スイッチ138がオンになるまでインクヘッド110を駆動する。
【0198】
そして副走査端スイッチ138がオンになった時点をインクヘッド110の副走査初期位置とする。
【0199】
ここでステップ#1007の時点で既に副走査端スイッチ138がオンになっているときには副走査端スイッチ138がオフになるまでインクヘッド110を図15の矢印116b方向に駆動し、副走査端スイッチ138がオフになると今度はインクヘッド110を図15の矢印116a方向に駆動する。
【0200】
ステップ#1009では副走査端スイッチ138がオンになったのでこの位置を副走査初期位置とし、副走査モータ127であるステップモータの駆動ステップのカウントをリセットし、この位置より再カウントを始める。
【0201】
これによりこの後からカウントされる副走査モータ127のパルスは正確に退避位置(主走査端スイッチ137のオン位置)からの主走査位置に対応する。
【0202】
ステップ#1010では副走査モータ127が所定パルス分駆動されるまで待機し、所定パルス駆動されるとステップ#1011に進む。
【0203】
ステップ#1011では副走査モータ127を停止する。
【0204】
このときのインクヘッド110の位置は図16に示す位置であり、この位置が印刷を始める印刷開始端位置である。
【0205】
ステップ#1012は印刷用紙の在否を検出し、この後インク吐出を始めるか否かを判定するサブルーチンである。
【0206】
ここで先にサブルーチンの説明を行う。
【0207】
ステップ#1033ではインクヘッド110に搭載される用紙センサ110eの出力を観察する。
【0208】
前述したように用紙センサ110eは用紙面への投光の反射を検出しており、十分な反射が得られたときには用紙が設置されていると判断する。
【0209】
ここで用紙トレイ13のインクヘッド110走査対抗面はその表面が光を反射しにくい形状(凸凹)や色(黒など)になっており、白い用紙を設置することで用紙センサからの投光を反射する構成になっている。
【0210】
そのために色の黒い用紙の場合には用紙在否の確認が出来ず印刷が行えないが、もともと黒い用紙に印刷を行うことはインクが発色しないために好ましくないため印刷を実行しないことが問題にはならない。
【0211】
そして用紙の確認が出来たらステップ#1034に進み、確認できない時はステップ#1037に進む。
【0212】
尚、ステップ#1037以降のフローはインク吐出は好ましくないと判断してインクヘッド110を退避位置に格納させ、エラー表示を行うと共にプリンタ本体11の電源を切るフローである。
【0213】
ステップ#1034ではトレイ着脱スイッチ141の出力を観察し用紙トレイ13を用いた第1の印刷形態か用紙トレイ13を外し、印刷用紙120の上にプリンタ本体11を直接乗せて印刷する第2の印刷形態のいずれかを判断する。
【0214】
そして第1の印刷形態の場合にはそのままステップ#1035に進みリターンする。
【0215】
第2の印刷形態の場合にはステップ#1036に進む。
【0216】
ステップ#1036では姿勢センサ140の出力を観察し,プリンタ本体11が水平状態であるか否かを判定しており、水平状態の場合にはステップ#1035に進みリターンするが水平状態でないときにはステップ#1037に進む。
【0217】
即ち、第2の印刷形態の場合には姿勢センサ140によりプリンタ本体11の姿勢を検出し、用紙120が設けられており、且つプリンタ本体11が水平状態の時のみインク吐出を許可するようにしている。
【0218】
これは前述したようにの印刷用紙120にプリンタ本体11を直接乗せて印刷する第2の印刷形態の場合にはプリンタ本体11が水平状態に近くないと印刷中の振動や重心変化でプリンタ本体11が印刷用紙120からずれてしまい良好な印刷が出来ない為である。
【0219】
ステップ#1013に戻り、ステップ#1013ではインクの吐出を行う。
【0220】
これはインクヘッド110が主走査方向に走査される際CPU133によりインクヘッド110の現在位置が逐一認識されているので、この認識データにしたがってバンドメモリ134cから記録データが読み出され、その記録データに基づいてインクヘッド110からインク滴が吐出される動作である。
【0221】
そしてこのステップではインク吐出が終了するまで待機する。
【0222】
ステップ#1014では主走査モータ126を駆動し、インクヘッド110を矢印115a方向に駆動すると共にインクヘッド110が主走査モータ126の所定パルス走行するまで待機する。
【0223】
これによりインクヘッド110は用紙上次に印刷する場所まで移動する。
【0224】
ステップ#1016はステップ#1012と同様に用紙の在否を検出するサブルーチンであり、印刷可能な状態の場合にはステップ#1017に進む。
【0225】
ステップ#1017はステップ#10013と同様なステップであり、CPU133により認識される新たなインクヘッド110の主走査方向位置に基づいてバンドメモリ134cから記録データが読み出され、その記録データに基づいてインクヘッド110からインク滴が吐出される。
【0226】
そしてインク吐出が終了するまで待機する。
【0227】
ステップ#1018ではインクヘッド110が予め設定されたパルスだけ走行したか否かを判定しており、走行した場合にはステップ#1019に進み、そうでない時にはステップ#1014に戻る。
【0228】
これはステップ1014からステップ#1017の動作を繰り返させてインクを所望の位置に吐出することで主走査方向のすべての領域で印刷を進めるための動作であり、図17に示すインクヘッド110の位置(インクヘッド110が予め設定されたパルスだけ走行した位置)に達し、このバンド(この副走査位置における主走査方向のすべての領域)での印刷が終了し、且つインクノズル143a,143b,143cが印刷用紙120から外れてプリンタ本体11内に収まる位置に達したと判定されるとステップ#1019に進みインクヘッド110を元の位置に戻して次のバンド(次の副走査位置における主走査全印刷領域)にインクヘッド110を移動させる。
【0229】
ステップ#1019以降ではインクヘッド110を所定のピッチ副走査して次のプリントを行うフローである。
【0230】
ステップ#1019は始めにインクヘッド110が副走査方向で設定パルスまで駆動が終了しているか否かを判定する。
【0231】
ここで設定パルスとは副走査方向の印刷領域を副走査駆動すべて終了し(すべてのバンドの印刷が完了)次のピッチ副走査するときに必要な副走査モータ127のステップ駆動パルスである。
【0232】
そして副走査方向に設定パルス駆動完了しているときはすべての印刷が完了していると判断してステップ#1020に進み、設定パルスまで副走査駆動が完了していないときには未印刷領域があると判断してステップ#1028に進む。
【0233】
ステップ#1028では図17の位置にあるインクヘッド110を図16のインクヘッド110の位置(主走査方法のヘッド印刷開始位置)に戻すためにインクヘッド110を主走査方向に逆駆動(矢印115b方向)する。
【0234】
ここで“主走査方法のヘッド印刷開始位置”とは各副走査位置(各バンド)におけるインクノズル143a,143b,143cの用紙左端対向位置である。
【0235】
ステップ#1029ではインクヘッド110が印刷開始端位置に戻るまで待機する。
【0236】
尚、開始端位置は前述した主走査方向の設定パルスをデクリメントして検出する。
【0237】
ステップ#1030は主走査方向の駆動を停止する。
【0238】
ステップ#1031では副走査駆動を開始する。
【0239】
ステップ#1032では副走査方向に所定のパルス駆動するまで待機し、所定のパルス駆動するとステップ#1011に戻り副走査駆動を停止する。(図18の状態)
この様にステップ#1011からステップ#1032を循環して用紙の全領域を印刷する。
【0240】
そして全領域の印刷を完了すると前述の様にステップ#1019からステップ#10020に進む。
【0241】
ステップ#1020以降は印刷完了後の整理動作である。
【0242】
ステップ#1020では図19のインクヘッド110の位置に来ている。
【0243】
ステップ#1011からステップ#1032のフローの循環ではこのときインクヘッド110を主走査方向のヘッド開始位置まで戻していたが、ステップ#1020ではこの動作を行わず、インクノズル143a,143b,143cは図19の様にプリンタ本体11に格納(用紙面と対向していないでプリンタ本体11の外装部材にカバーされた位置)された状態で副走査の復帰動作を始める。
【0244】
これはインクノズル143a,143b,143cを用紙面に露出した状態で副走査の復帰を行うと印刷してたわんだ用紙と汚れたインクノズル保護部111が接触して印刷面を劣化させてしまう為に、その予防としてインクノズル保護部111が印刷用紙面120と対向させないようにして副走査の復帰動作を行う為である。
【0245】
即ち副走査モータ127を逆回転してインクヘッドを副走査初期位置に戻す。
【0246】
ステップ#1021では副走査端スイッチ138がオフするまで待機する。
ステップ#1022ではインクヘッド110が副走査の初期位置に戻ったと判断して副走査モータ127の駆動を停止する。(図20の位置)
ステップ#1023では図20の位置にあるインクヘッド110を図7のインクヘッド110の位置(退避位置)に戻すためにインクヘッド110を主走査方向に逆駆動(矢印115b方向)する。
【0247】
この場合もインクノズル保護部111は図20に示す様に印刷用紙120とは対向しないで退避動作を行う為にこの動作でインクノズル保護部111が印刷面と接触して印刷用紙120を汚すことを防止している。
【0248】
ステップ#1024ではインクヘッド110が主走査端スイッチ137をオフさせるまで待機する。
【0249】
図20の位置から図7の位置にインクヘッド110が戻る動作の最終段階にはプリンタ本体11の端部11aがインクノズル保護部111に当接するためインクヘッド110の駆動抵抗となるが、このときの保護バネ144a、144bの力に逆らってインクヘッド110が退避位置に駆動されることでインクノズル基盤110dのインクノズル143a,143b,143cはインクノズル保護部111から露出する。
【0250】
それと同時にインクノズル143a,143b,143cは図11の矢印130方向より退避位置に位置される途中でシリコンゴムなどで形成されたクリーナー129に拭かれることでインクノズル143a,143b,143c回りに付着したインクを取り除かれ、更に退避位置に位置するインクヘッド110はそのインクノズル143a,143b,143c部分をキャップ130により保護される。
【0251】
ステップ#1026では1秒ほど継続して発音をすることで印刷完了を表示する。
【0252】
ステップ#1027では各インクノズル143a,143b,143cに吸引動作を行わせ印刷終了後のノズル内を掃除する。
【0253】
そしてプリンタ本体の電源を切ってこのフローは終了する。
【0254】
ステップ#1012、1016のサブルーチンで印刷禁止になった場合には前述した様にステップ#1037に進む。
【0255】
ステップ#1037では、印刷禁止をステップ#1033、1036で判定したインクヘッド110の位置から副走査方向初期位置まで副走査方向にインクヘッド110を駆動する。
【0256】
正常に印刷終了した場合にはインクヘッド110は主走査方向にプリンタ本体11に格納された後に副走査が行われるが、印刷禁止になった場合にはなるべく早くインクヘッド110を退避位置に退避させたいのでインクノズル保護部が用紙に対向した状態のまま副走査初期位置に復帰させている。
【0257】
ステップ#1038では副走査端スイッチ138がオフするまで待機する。
【0258】
ステップ#1039ではインクヘッド110が副走査の初期位置に戻ったと判断して副走査モータ127の駆動を停止する。
【0259】
ステップ#1040ではインクヘッド110を図7のインクヘッド110の位置(退避位置)に戻すためにインクヘッド110を主走査方向に逆駆動(矢印115b方向)する。
【0260】
ステップ#1041ではインクヘッド110が主走査端スイッチ137をオフさせるまで待機する。
【0261】
ここでも図7の位置にインクヘッド110が戻る動作の最終段階にはプリンタ本体11の端部11aがインクノズル保護部111に当接するためインクヘッド110の駆動抵抗となるが、このときの保護バネ144a、144bの力に逆らってインクヘッド110が退避位置に駆動されることでインクノズル基盤110dのインクノズル143a,143b,143cはインクノズル保護部111から露出する。
【0262】
それと同時にインクノズル143a,143b,143cは図11の矢印130方向より退避位置に位置される途中でシリコンゴムなどで形成されたクリーナー129に拭かれることでインクノズル143a,143b,143c回りに付着したインクを取り除かれ、更に退避位置に位置するインクヘッド110はそのインクノズル143a,143b,143c部分をキャップ130により保護される。
【0263】
ステップ#1043では0.2秒の発音を0.2秒間隔で1.5秒ほど継続して発音をすることで印刷エラーを表示するとともにステップ#1027に進む。
【0264】
ステップ#1027では各インクノズル143a,143b,143cに吸引動作を行わせ印刷終了後のノズル内を掃除する。
【0265】
そしてプリンタ本体の電源を切ってこのフローは終了する。
【0266】
このフローを見て分かるように用紙センサ110eや姿勢センサ140の出力が異常であると印刷をやめるばかりでなくインクヘッド110を退避位置に格納すると共に電源もオフしている。
【0267】
そのために印刷を再開するためにはユーザーは再びプリンタ本体11の電源をオンにする操作をしなければならない。
【0268】
これは面倒な操作ではあるが安全のためには欠かせない動作である。
【0269】
例えば用紙センサ110eや姿勢センサ140の出力により一旦インク吐出を止め、再び用紙センサ110eや姿勢センサ140の出力が正常を示したときに印刷を再開するようなインク吐出制御(ポーズ制御)を行ったとする。
【0270】
このとき、例えば用紙120がインクヘッド110と対向していない場合でも用紙センサ110eや姿勢センサ140の出力が正常を示す場合がある。
【0271】
これは第2の印刷形態で印刷中にした時にプリンタ本体11を持ち上げ、用紙センサ110eや姿勢センサ140の出力により一旦インク吐出が停止した場合に、更にプリンタ本体11を水平に保って、プリンタ本体11の裏面から強い光源が照射された場合である。
【0272】
その様な時にポーズ制御ではインク吐出が再開されてしまい、周囲をインクで汚してしまう。
【0273】
又、ポーズ制御の場合にはインク吐出禁止時には主走査や副走査のメカがプリンタ本体11内部に格納されず露出している。
【0274】
そのためにポーズ状態のままプリンタ本体11をひっくり返してこれら機構部を触れることが出来るのでそれら機構の信頼性が問題になる。
【0275】
本発明の様に用紙がプリンタ本体11をカバーしていないことを用紙センサ110eや姿勢センサ140で検出すると主走査、副走査の機構を格納してしまうのでそれらの信頼性は高くなり、更に主電源を入れなおさなければならないがプリンタ本体11を印刷用紙120から離して空中把持した状態でプリンタ本体11が水平を保ったまま主電源をオンにする操作は難しく、誤動作によるインク吐出は起きない。
【0276】
以上の様にインクノズル143a,143b,143cと、インクノズル143a,143b,143c近傍に設けられインクノズル143a,143b,143cに対して退避自在なインクノズル保護部111と、インクノズル保護部111を退避させる退避駆動手段(主走査モータ126など)をプリンタ本体11に設け、退避駆動手段(主走査モータ126など)は印刷時にインクノズル143a,143b,143cを印刷媒体上(印刷用紙120)に沿って走査する走査駆動手段(主走査モータ126など)の駆動力を利用してインクノズル保護部111を退避させる構成にしており、インクノズル保護部111をインクノズル143a,143b,143cより退避させた状態でインクノズル143a,143b,143cのクリーニングを行うインクノズルクリーニング手段(クリーナ129、キャップ130)を設けている。
【0277】
そしてインクノズル保護部111はインクノズル143a,143b,143c近傍より印刷媒体側(印刷用紙120)に延出するインクノズル保護突起部(図11など)であり、インクノズル保護突起部111はインクノズル143a,143b,143c外周を囲む略周回する土手形状になっており、特にインクノズル143a,143b,143cが各色ごとに整列された複数のライン上のインクノズル143a,143b,143cで構成される時はインクノズル保護突起部は各インクノズル143a,143b,143cごとにその外周を囲む略周回する土手形状になっている。
【0278】
又、印刷面上(印刷用紙120上)に設置することで印刷面を印刷するプリンタ本体11において、印刷面(印刷用紙120)への設置を検出する接地検出手段(用紙センサ110e、姿勢センサ140)と、印刷中の接地検出手段(用紙センサ110e、姿勢センサ140)の出力変化によりインク吐出を制御する吐出制御手段(CPU133、ヘッド制御部135)をプリンタ本体11に設け、吐出制御手段(CPU133、ヘッド制御部135)は印刷中の接地検出手段出力変化(用紙センサ110e、姿勢センサ140)によりインク吐出を禁止する様にしており、更に吐出制御手段(CPU133、ヘッド制御部135)はインク吐出禁止以降は接地検出手段(用紙センサ110e、姿勢センサ140)出力変化に基づいたインク吐出を再開させない構成にして安全性を向上させている。
【0279】
又、インクノズル143a,143b,143cと、印刷時にインクノズル143a,143b,143cを印刷媒体(印刷用紙120)に沿って走査する走査駆動手段(主操作モータ126や副操作モータ127)と、走査駆動手段(主操作モータ126や副操作モータ127)によりインクノズル143a,143b,143c共に走査される接地検出手段(用紙センサ110e)の出力に基づきインク吐出を制御するインク制御手段(CPU133、ヘッド制御部135)をプリンタ本体11に設け、接地検出手段(CPU133、ヘッド制御部135)出力が印刷中に変化したときにはインク吐出を禁止する構成にすることで安全性を向上させている。
【0280】
ここで“出力変化”とは出力が一旦変化したときにはインク吐出を禁止し、その後の変化でインク吐出を再開することはない事を示している。
【0281】
又、第1待機位置(図17、図19の様にインクヘッド110がそのバンドの印刷を終了し、プリンタ本体11の主面向かって右側の用紙非対抗面に格納された位置)を有する第1方向(矢印115の主走査方向)と、第2待機位置(図7などの様にインクヘッド110が副走査を開始する初期位置)を有する第2方向(矢印116の副走査方向)にインクノズル143a,143b,143c駆動して固定されている印刷媒体(印刷用紙120)に印刷を行うプリンタにおいて、印刷終了時にはインクノズル143a,143b,143cを第1待機位置(図17、図19の様にインクヘッド110がそのバンドの印刷を終了し、プリンタ本体11の主面向かって右側の用紙非対抗面に格納された位置)に収納した後に第2方向(矢印116の副走査方向)にのみ駆動して第2待機位置(図7などの様にインクヘッド110が副走査を開始する初期位置)に収納する様にしており印刷品位を向上させている。
【0282】
又、プリンタ本体11と、プリンタ本体11に対して回動自在に軸支(ヒンジ19、支持軸123)され、閉じ状態ではプリンタ本体11に設けられたインクノズル143a,143b,143cに対向する用紙トレイ13とで構成され、プリンタ本体11と用紙トレイ13の間に印刷媒体(印刷用紙120)を挟んで印刷を行うプリンタ形状を採用し、用紙トレイ13はプリンタ本体11に対して着脱自在であり、用紙トレイ13がプリンタ本体11に装着されている時に用紙トレイ13とプリンタ本体11の間に印刷媒体(印刷用紙120)を挟んで印刷を行う第1印刷形態と、用紙トレイ13がプリンタ本体11から外されている時にプリンタ本体11を印刷媒体上(印刷用紙120)に設置して印刷を行う第2印刷形態を選択することを可能にし、更にインク吐出制御の為の状態検出手段(姿勢センサ140)を有し、第1印刷形態と第2印刷形態で状態検出手段(姿勢センサ140)によるインク吐出制御様式を異ならせる様にしており、具体的には状態検出手段はプリンタ本体の姿勢を検出し、その出力と予め定めた閾値(水平か否か)との比較に応じてインク吐出を禁止する構成であって、状態検出手段(姿勢センサ140)の検出する姿勢の出力が閾値の第1のレベルを超えていた場合(水平でない時)には第2の印刷形態ではインク吐出を禁止するようにして操作性を向上させている。
【0283】
又、印刷面(印刷用紙120)上に設置し、退避位置(図7のインクヘッド110の位置)から2次元方向(主走査方向と副走査方向)にインクノズル143a,143b,143c走査しながらインクノズル143a,143b,143cよりインク吐出を行うことで印刷面(印刷用紙120)全域(プリンタ本体11が定める印刷領域)を印刷するプリンタにおいて、インクノズル143a,143b,143cが印刷面(印刷用紙120)全域(プリンタ本体11が定める印刷領域)の走査を終了し、インクノズル143a,143b,143cからのインク吐出終了を検出するインク吐出終了検出手段(主走査、副走査の駆動パルスやCPU133)と、インク吐出終了検出手段(主走査、副走査の駆動パルスやCPU133)の出力に基づいてインクノズル143a,143b,143cを退避位置(図7のインクヘッド110の位置)に設定するノズル設定手段(主走査モータ126、副走査モータ127、CPU133)と、インクノズル143a,143b,143cが退避位置(図7のインクヘッド110の位置)に設定された後に印刷終了を表示する印刷終了表示手段(発音体や表示部15)を備えた。
【0284】
この様にインクノズル143a,143b,143cが退避位置(図7のインクヘッド110の位置)に設定されてから印刷終了を表示するので、インクノズル143a,143b,143cが退避位置(図7のインクヘッド110の位置)に設定される前にプリンタ本体11を印刷面(印刷用紙120)より外してインクノズル143a,143b,143cを露出させ、インクノズル143a,143b,143cを破損させてしまう事故を未然に防ぐことが出来る。
【0285】
又、印刷面(印刷用紙120)上に設置し、退避位置(図7のインクヘッド110の位置)から2次元方向(主走査方向と副走査方向)にインクノズル143a,143b,143cを走査しながらインクノズル143a,143b,143cよりインク吐出を行うことで印刷面(印刷用紙120)全域(プリンタ本体11が定めるプリンタ領域)を印刷するプリンタにおいて、印刷面(印刷用紙120)への設置を検出する接地検出手段(用紙センサ110e、姿勢センサ140)と、印刷中に接地検出手段(用紙センサ110e、姿勢センサ140)の出力変化が生じたときにインクノズル143a,143b,143cを退避位置(図7のインクヘッド110の位置)に復帰させる復帰手段(主走査モータ126、副走査モータ127、CPU133)を設けたことで印刷中のインクノズル143a,143b,143cが外部に露出することが防げて信頼性の高いプリンタを実現できる。
【実施例2】
【0286】
図21は本発明の第2の実施例であり第1の実施例と異なるのは用紙在否の判定方法である。
【0287】
第1の実施例では用紙センサ110eはインクヘッド110の上に設けられた光センサであった。
【0288】
第2の実施例では用紙センサは接触スイッチ21であり、印刷用紙120に接触することでスイッチが押され用紙在否を検出する。
【0289】
接触スイッチ21はプリンタ本体11の裏面で印刷用紙の印刷面ぎりぎりの位置に設けられており、対向する用紙トレイ13には接触スイッチ21の逃げ穴22が設けられている。
【0290】
図22は接触スイッチ21の側断面図であり、印刷用紙が設けられておらず、用紙トレイ13を閉じた状態を示している。
【0291】
このときには接触スイッチ21はバネ23に付勢されてプリンタ本体11より突出して用紙トレイ13の逃げ穴22内に入り込んでいる。
【0292】
この様な状態のときはスイッチはオフであり、印刷用紙はセットされていないと判定する。
【0293】
図23の様にプリンタ本体11と用紙トレイ13の間に印刷用紙が挟まれたときには印刷用紙の端部により接触スイッチ21はバネ23に逆らって押し込まれスイッチがオンになる。
【0294】
又、用紙トレイ13が取り外された第2の印刷形態の場合にも図24に示す様に接触スイッチ21はバネ23に逆らって押し込まれスイッチがオンになる。
【0295】
又、第1の実施例ではプリンタ本体11の実装部128には姿勢センサ140が設けられていた。
【0296】
しかし第2の実施例においては姿勢センサ140の変わりに加速度センサなどの振動検出センサ24が設けられている。
【0297】
プリンタ本体11は印刷中はインクヘッド110の主走査、副走査駆動の振動により微小に振れている。
【0298】
第1の印刷形態の場合には印刷用紙120は用紙トレイ13に押さえられているので用紙とプリンタヘッド110の関係がずれる事はない。
【0299】
しかし第2の印刷形態であって用紙の摩擦係数が小さい場合や、プリンタ本体11が水平に設置されていない場合にはインクヘッド110の主走査、副走査駆動の振動によりプリンタ本体11は印刷用紙120に対して印刷中にずれることがある。
【0300】
この様なことが起きると良好な印刷が行えないので印刷が開始されてからのプリンタヘッド11の振動を検出して、大きな振動が起きた場合には印刷を中止するようにしている。
【0301】
ここで振動検出手段24の信号は第1の印刷形態の場合にも、第2の印刷形態の場合にも利用している。(第1の実施例では第1の印刷形態では姿勢センサ140の信号は利用しなかった。)
図25は振動検出手段の振動検出波形25を示しており、検出波形が第1の閾値26を超えた場合には第2の印刷形態の場合のみ印刷を禁止し、検出波形が第2の閾値27を超えた場合には第1の印刷形態及び第2の印刷形態でも印刷を禁止する。
【0302】
即ち印刷用紙120を用紙トレイ13に挟む第1の印刷形態において用紙120がセットされている状態でもプリンタ本体11に加わる振動が大きければ印刷を禁止している点が第1の実施例とは異なる。
【0303】
これは第1の印刷形態において印刷用紙120を用紙トレイ13に挟み、プリンタ本体11を持ち歩きながら印刷する場合においても大きな振動が加わるとプリンタ本体11の各部が歪みインクヘッド110の位置がずれて印刷品位を落とす恐れがあるためである。
【0304】
そのために第1の印刷形態においてもプリンタ本体13の振動が大きい場合には印刷を禁止するようになっている。
【0305】
図26は印刷禁止を行う為のフローを示しており、図14の第1の実施例と同じステップは同じ部番で示し説明は省く。
【0306】
図26において図14と異なるのはステップ#1012、1016の用紙在否の判定サブルーチンである。
【0307】
ステップ#2001ではプリンタン本体11に設けられた接触スイッチ21の出力を観察する。
【0308】
前述したように接触スイッチ21は第1の印刷形態でも第2の印刷形態でもスイッチがオンになることで用紙が設置されていると判断する。
【0309】
そして用紙の確認が出来たらステップ#1034に進み、確認できない時はステップ#1037に進む。
【0310】
前述したようにステップ#1037以降のフローはインク吐出は好ましくないと判断してインクヘッド110を退避位置に格納させ、エラー表示を行うと共にプリンタ本体11の電源を切るフローである。
【0311】
ステップ#1034ではトレイ着脱スイッチ141の出力を観察し用紙トレイ13を用いた第1の印刷形態か用紙トレイ13を外し、印刷用紙120の上にプリンタ本体11を直接乗せて印刷する第2の印刷形態のいずれかを判断する。
【0312】
そして第1の印刷形態の場合にはステップ#2002に進む。
【0313】
ステップ#2002では振動検出センサ24の出力が第2の閾値以内であるか、即ち大きなブレがプリンタ本体11に加わっていないか判定する。
【0314】
そして大きなブレが加わっているときにはステップ#1037に進み大きなブレが加わっていないときはそのままステップ#1035でリターンしてメインルーチンに戻る。
【0315】
第2の印刷形態の場合にはステップ#2003に進む。
【0316】
ステップ#2003では振動検出センサ24の出力を観察し,その出力が第1の閾値以内であるか判定する。
【0317】
そして比較的大きいブレが加わっているときにはステップ#1037に進み、そうでない時にはステップ#1035でリターンしてメインルーチンに戻る。
【0318】
ここでこの様にインクヘッド110ではなくプリンタ本体11の裏面に接触スイッチ21を設けると、そのスイッチを誤って押したまま印刷を開始してしまうと、第2の印刷形態において用紙がない状態でもインクの吐出が起きてしまうように思われる。(第1の実施例では用紙センサ110eはインクヘッド110に設けられ、動き回るので人為的に容易にスイッチが誤動作することはない。)
しかし、第2の実施例においては姿勢センサ140の代わりに振動検出センサ24が設けられており、ユーザーがプリンタ本体11を持ち上げた状態では、その手ブレを検出する為に振動は第1の閾値を超え、印刷を始める事はない。
【0319】
第2の実施例の様に接触スイッチ21をプリンタ本体11に設けると第1の実施例に比べて以下の点でメリットがある。
【0320】
・インクヘッド110が軽く出来、駆動負荷が減少する。
【0321】
・インクヘッド110に接続する通信線が少なくなり駆動負荷が減少する。
【0322】
共にインクヘッド110の高速駆動化ができ印刷速度を上げる事が可能になる。
【0323】
以上の様に本発明の第2の実施例においては印刷面上(印刷用紙120上)に設置することで印刷面を印刷するプリンタ本体11において、印刷面(印刷用紙120)への設置を検出する接地検出手段(接触スイッチ21、振動検出センサ24)と、印刷中の接地検出手段(接触スイッチ21、振動検出センサ24)の出力変化によりインク吐出を制御する吐出制御手段(CPU133、ヘッド制御部135)をプリンタ本体11に設け、吐出制御手段(CPU133、ヘッド制御部135)は印刷中の接地検出手段出力変化(接触スイッチ21、振動検出センサ24)によりインク吐出を禁止する様にしており、更に吐出制御手段(CPU133、ヘッド制御部135)はインク吐出禁止以降は接地検出手段(接触スイッチ21、振動検出センサ24)出力変化に基づいたインク吐出を再開させない構成にして安全性を向上させている。
【0324】
又、プリンタ本体11と、プリンタ本体11に対して回動自在に軸支(ヒンジ19、支持軸123)され、閉じ状態ではプリンタ本体11に設けられたインクノズル143a,143b,143cに対向する用紙トレイ13とで構成され、プリンタ本体11と用紙トレイ13の間に印刷媒体(印刷用紙120)を挟んで印刷を行うプリンタ形状を採用し、用紙トレイ13はプリンタ本体11に対して着脱自在であり、用紙トレイ13がプリンタ本体11に装着されている時に用紙トレイ13とプリンタ本体11の間に印刷媒体(印刷用紙120)を挟んで印刷を行う第1印刷形態と、用紙トレイ13がプリンタ本体11から外されている時にプリンタ本体11を印刷媒体上(印刷用紙120)に設置して印刷を行う第2印刷形態を選択することを可能にし、更にインク吐出制御の為の状態検出手段(振動検出センサ24)を有し、第1印刷形態と第2印刷形態で状態検出手段(振動検出センサ24)によるインク吐出制御様式を異ならせる様にしており、具体的には状態検出手段(振動検出センサ24)はプリンタ本体の振動を検出し、その出力と予め定めた閾値(第1の閾値26、第2の閾値27)との比較に応じてインク吐出を禁止する構成であって、状態検出手段(振動検出センサ24)の検出する姿勢の出力が閾値の第1のレベルを超えていた場合(第1の閾値26)には第2の印刷形態ではインク吐出を禁止するようにして操作性を向上させている。
【実施例3】
【0325】
図27は本発明の第3の実施例であり図21の第2の実施例のとの違いは接触スイッチ21が印刷面を囲む4点に設けられており、それらすべての接触スイッチ21がオンにならないと印刷用紙がセッティングされたと判定しないようにしている点である。
【0326】
そのために第2の印刷形態において誤ってひとつの接触スイッチを押さえたままプリンタ本体11が空中にあるときにカメラから印刷開始命令が来ても印刷は行われず事故の発生を防ぐことが出来る。
【0327】
更に第3の実施例の特徴的な点を図28のフローチャートを用いて説明する。
【0328】
図28は印刷禁止を行う為のフローを示しており、図14の第1の実施例と同じステップは同じ部番で示し説明は省く。
【0329】
図28において図14と異なるのはステップ#1012、1016の用紙在否の判定サブルーチンである。
【0330】
ステップ#1034ではトレイ着脱スイッチ141の出力を観察し用紙トレイ13を用いた第1の印刷形態か用紙トレイ13を外し、印刷用紙120の上にプリンタ本体11を直接乗せて印刷する第2の印刷形態のいずれかを判断する。
【0331】
そして第1の印刷形態の場合にはステップ#1033に進み第2の印刷形態の場合にはステップ#2001に進む。
【0332】
ステップ#1033では第1の実施例と同様にインクヘッド110に設けられた用紙センサ110eにより用紙の判別を行っている。
【0333】
これは第1の実施形態においては用紙トレイ13に用紙を挟むときに、指標118,119に沿わない任意の位置に印刷用紙をセットして印刷を行う場合には接触スイッチ21が用紙を検出しない場合があるためであり、その様な時に対処するために第1の印刷形態では用紙センサ110eを用いている。
【0334】
そして用紙の検出が出来た場合にはステップ#2002に進み、そうでない時にはステップ#1037に進む。
【0335】
ステップ#2002では振動検出センサ24の出力が第2の閾値以内であるか、即ち大きなブレがプリンタ本体11に加わっていないか判定する。
【0336】
そして大きなブレが加わっているときにはステップ#1037に進み、大きなブレが加わっていないときはそのままステップ#1035でリターンしてメインルーチンに戻る。
【0337】
第2の印刷形態の場合にはステップ#1034からステップ#2001に進み、プリンタン本体11に設けられた4つの接触スイッチ21の出力を観察する。
【0338】
そして4つの接触スイッチ21のすべてがオンの場合には用紙がセットされていると判断する。
【0339】
ここで用紙センサ110eの出力を用いない理由を説明する。
【0340】
前述したように用紙センサ110eは用紙の反射を利用しており、反射しない用紙の場合にはその時点で印刷禁止にしている。
【0341】
ところが第2の印刷形態の場合にはどのような印刷用紙に印刷を行うかはユーザー任せであり、反射しない用紙や模様があり反射がムラな用紙がある。
【0342】
そのような用紙にユーザーが本当に印刷したいのに印刷禁止を行うのは不都合なので第2の印刷形態の場合には接触スイッチ21を用いて印刷用紙の在否を判定している。
【0343】
そして用紙の確認が出来たらステップ#2003に進み、確認できない時はステップ#1037に進む。
【0344】
ステップ#2003では振動検出センサ24の出力を観察し,その出力が第1の閾値以内であるか判定する。
【0345】
そして比較的大きいブレが加わっているときにはステップ#1037に進み、そうでない時にはステップ#1035でリターンしてメインルーチンに戻る。
【0346】
以上の様に本発明の第3の実施例においては印刷面上(印刷用紙120上)に設置することで印刷面を印刷するプリンタ本体11において、印刷面(印刷用紙120)への設置を検出する接地検出手段(用紙センサ110e、接触スイッチ21、振動検出センサ24)と、印刷中の接地検出手段(用紙センサ110e、接触スイッチ21、振動検出センサ24)の出力変化によりインク吐出を制御する吐出制御手段(CPU133、ヘッド制御部135)をプリンタ本体11に設け、吐出制御手段(CPU133、ヘッド制御部135)は印刷中の接地検出手段出力変化(用紙センサ110e、接触スイッチ21、振動検出センサ24)によりインク吐出を禁止する様にしており、更に吐出制御手段(CPU133、ヘッド制御部135)はインク吐出禁止以降は接地検出手段(用紙センサ110e、接触スイッチ21、振動検出センサ24)出力変化に基づいたインク吐出を再開させない構成にして安全性を向上させている。
【図面の簡単な説明】
【0347】
【図1】本発明の第1実施例プリンタ斜視図
【図2】本発明の第1実施例プリンタ斜視図(第1の印刷形態)
【図3】本発明の第1実施例プリンタ側面図
【図4】本発明の第1実施例プリンタ側面拡大図
【図5】本発明の第1実施例プリンタ斜視図(第2の印刷形態)
【図6】本発明の第1実施例プリンタ印刷見本図
【図7】本発明の第1実施例プリンタ平面透視図及び側面透視図
【図8】本発明の第1実施例インクヘッド説明拡大図
【図9】本発明の第1実施例インクヘッド説明拡大図
【図10】本発明の第1実施例インクヘッド断面図
【図11】本発明の第1実施例インクヘッド断面拡大図
【図12】本発明の第1実施例プリンタ構成ブロック図
【図13】本発明の第1実施例プリンタ画像処理ブロック図
【図14】本発明の第1実施例プリンタフローチャート
【図15】本発明の第1実施例プリンタフローチャート説明図
【図16】本発明の第1実施例プリンタフローチャート説明図
【図17】本発明の第1実施例プリンタフローチャート説明図
【図18】本発明の第1実施例プリンタフローチャート説明図
【図19】本発明の第1実施例プリンタフローチャート説明図
【図20】本発明の第1実施例プリンタフローチャート説明図
【図21】本発明の第2実施例プリンタ斜視図
【図22】本発明の第2実施例プリンタ側面断面図
【図23】本発明の第2実施例プリンタ側面断面図
【図24】本発明の第2実施例プリンタ側面断面図
【図25】本発明の第2実施例プリンタ信号波形図
【図26】本発明の第2実施例プリンタフローチャート
【図27】本発明の第3実施例プリンタ斜視図
【図28】本発明の第3実施例プリンタフローチャート
【図29】従来の用紙送り機構説明図
【図30】従来のプリンタ説明図
【図31】従来のプリンタ説明図
【図32】従来のプリンタ説明図
【図33】従来のプリンタ説明図
【符号の説明】
【0348】
11 プリンタ
13 用紙トレイ
110 インクヘッド
110e 用紙センサ
111 ノズル保護部
140 姿勢センサ
141 トレイ着脱スイッチ
21 接触スイッチ
24 振動検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクノズルと、
インクノズル近傍に設けられインクノズルに対して退避自在なインクノズル保護部と、
インクノズル保護部を退避させる退避駆動手段を有するプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
印刷時に前記インクノズルを印刷媒体上に沿って走査する走査駆動手段を有し、
前記退避駆動手段は走査駆動手段の駆動力を利用して前記インクノズル保護部を退避させるプリンタ。
【請求項3】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
前記インクノズル保護部を前記ノズルより退避させた状態でインクノズルのクリーニングを行うインクノズルクリーニング手段を有するプリンタ。
【請求項4】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
前記インクノズル保護部は前記インクノズル近傍より印刷媒体側に延出するインクノズル保護突起部であるプリンタ。
【請求項5】
請求項4に記載のプリンタにおいて、
前記インクノズル保護突起部はインクノズル外周を囲む略周回する土手であるプリンタ。
【請求項6】
請求項4に記載のプリンタにおいて、
前記インクノズルは各色ごとに整列された複数のライン上のインクノズルで構成され、
前記インクノズル保護突起部は各インクノズルごとにその外周を囲む略周回する土手であるプリンタ。
【請求項7】
印刷面上に設置することで印刷面を印刷するプリンタにおいて、
印刷面への設置を検出する接地検出手段と、
印刷中の接地検出手段の出力変化によりインク吐出を制御する吐出制御手段を有するプリンタ。
【請求項8】
請求項7に記載のプリンタにおいて、
前記吐出制御手段は印刷中の前記接地検出手段出力変化により前記インク吐出を禁止するプリンタ。
【請求項9】
請求項8に記載のプリンタにおいて、
前記吐出制御手段は前記インク吐出禁止以降は前記接地検出手段出力変化に基づいてインク吐出を再開させないプリンタ。
【請求項10】
インクノズルと、
印刷時にインクノズルを印刷媒体に沿って走査する走査駆動手段と、
走査駆動手段によりインクノズルと共に走査される接地検出手段の出力に基づきインク吐出を制御するインク制御手段を有するプリンタ。
【請求項11】
請求項10に記載のプリンタにおいて、
前記接地検出手段出力が印刷中に変化したときにはインク吐出を禁止するプリンタ。
【請求項12】
第1待機位置を有する第1方向と、第2待機位置を有する第2方向にインクノズルを駆動して固定されている印刷媒体に印刷を行うプリンタにおいて、
印刷終了時にはインクノズルを第1待機位置に収納した後に第2方向にのみ駆動して第2待機位置に収納するプリンタ。
【請求項13】
プリンタ本体と、
プリンタ本体に対して回動自在に軸支され、閉じ状態ではプリンタ本体に設けられたインクノズルに対向する用紙トレイとで構成され、
プリンタ本体と用紙トレイの間に印刷媒体を挟んで印刷を行うプリンタ。
【請求項14】
請求項13に記載のプリンタにおいて、
前記用紙トレイは前記プリンタ本体に対して着脱自在であり、
用紙トレイがプリンタ本体に装着されている時に用紙トレイとプリンタ本体の間に印刷媒体を挟んで印刷を行う第1印刷形態と、
用紙トレイがプリンタ本体から外されている時にプリンタ本体を印刷媒体上に設置して印刷を行う第2印刷形態を選択することが可能なプリンタ。
【請求項15】
請求項14に記載のプリンタにおいて、
インク吐出制御の為の状態検出手段を有し、
前記第1印刷形態と第2印刷形態で状態検出手段によるインク吐出制御様式を異ならせるプリンタ。
【請求項16】
請求15に記載のプリンタおいて、
前記状態検出手段は前記プリンタ本体の姿勢或いは振動を検出し、その出力と予め定めた閾値との比較に応じてインク吐出を禁止する構成であって、
前記第1印刷形態と第2印刷形態で閾値を変更するプリンタ。
【請求項17】
請求項16に記載のプリンタにおいて、
前記状態検出手段の検出する姿勢或いは振動の出力が前記閾値の第1レベルを超えていた場合には少なくとも前記第2印刷形態では前記インク吐出を禁止するプリンタ。
【請求項18】
印刷面上に設置し、退避位置から2次元方向にインクノズルを走査しながらインクノズルよりインク吐出を行うことで印刷面全域を印刷するプリンタにおいて、
インクノズルが印刷面全域の走査を終了し、インクノズルからのインク吐出終了を検出するインク吐出終了検出手段と、
インク吐出終了検出手段の出力に基づいてインクノズルを退避位置に設定するノズル設定手段と、
インクノズルが退避位置に設定された後に印刷終了を表示する印刷終了表示手段を備えたプリンタ。
【請求項19】
印刷面上に設置し、退避位置から2次元方向にインクノズルを走査しながらインクノズルよりインク吐出を行うことで印刷面全域を印刷するプリンタにおいて、
印刷面への設置を検出する接地検出手段と、
印刷中に接地検出手段の出力変化が生じたときにインクノズルを退避位置に復帰させる復帰手段を有するプリンタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate


【公開番号】特開2007−144720(P2007−144720A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340608(P2005−340608)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】