説明

プリントヘッドの製造方法および画像形成装置

【課題】封止不良を無くすことができるプリントヘッドの製造方法等を提供する。
【解決手段】プリントヘッド1のカバー2と発光素子基板装置5の隙間36を埋めるように第1の封止材33を塗布し、常温よりも4℃〜10℃高い温度で加熱しつつ第1の封止材33を固化させた後、カバー2とレンズアレイ3の隙間35を埋めるように第2の封止材34を塗布し、第2の封止材34を常温で固化させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機等の画像形成装置、および該画像形成装置に用いられるプリントヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機等の画像形成装置においては、複数の発光素子を略直線状に配設したプリント配線基板を備えた発光素子基板装置と、複数のロッドレンズを略直線状に配設したレンズアレイとを、発光素子の発光点とレンズアレイが対向するようにカバー等に配設(固定)したプリントヘッドが使用されている。
【0003】
かかるプリントヘッドは、発光素子の発光点とレンズアレイの焦点位置を略一致させる必要があるため、発光素子基板装置とレンズアレイ間に所定の空間がある。そして、かかる空間は、下記の理由により、カバーおよび封止材によって外気(外部)から遮断することが一般に行われている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
(理由1)前記した空間内に外部から埃等の異物が侵入すると、ロッドレンズの光学面に当該異物が付着し、発光素子の発光点から出射された光が当該異物によって遮られ、画像形成装置の画質劣化を引き起こす。
(理由2)前記した空間内に外部から水分が侵入すると、金パターンや半導体素子が劣化し、プリントヘッドの寿命を低下させ、ひいては画像形成装置の寿命を低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−135052号公報
【特許文献2】特開平11−266037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、シリコン樹脂、エポキシ樹脂等の封剤材は、固化する際にガスを発生するため、このガスの一部がカバー内部の圧力を高くし、封止材の固化していない部分をカバーの外側に向かって膨らませるという問題があった。かかる封止材の膨らみがレンズアレイの近傍で発生すると、当該封止材の膨らみに光が反射し、迷光を発生するという問題があった。また、かかる封止材の膨らみが破裂することもあり、この場合は、カバーの内部と外部が連通することになるので、プリントヘッドを完全に封止できないという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであって、封止不良を無くすことができるプリントヘッドの製造方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔第1発明から第4発明〕
第1発明から第4発明は、貫通穴が形成されたカバーと、カバーの貫通穴の下部を閉じるように配設され、複数の発光素子が実装された発光素子基板装置と、カバーの貫通穴の上部を閉じるように配設されたレンズアレイとを備え、カバーおよび発光素子基板装置の隙間、並びにカバーおよびレンズアレイの隙間を固化する際にガスを発生する封止材によって封止するプリントヘッドの製造方法に関するものである。
【0009】
(第1発明)
第1発明は、カバーと発光素子基板装置の隙間を埋めるように第1の封止材を塗布し、常温よりも4℃〜10℃高い温度で加熱しつつ第1の封止材を固化させた後、カバーとレンズアレイの隙間を埋めるように第2の封止材を塗布し、第2の封止材を常温で固化させることを特徴とする。
【0010】
(第2発明)
また、第2発明は、カバーと発光素子基板装置の隙間を埋めるように第1の封止材を塗布し、第1の封止材を常温で固化させ、カバー内部が常温よりも4℃〜10℃高くなるように加熱した後、カバーとレンズアレイの隙間を埋めるように第2の封止材を塗布し、第2の封止材を常温で固化させることを特徴とする。
【0011】
第1発明および第2発明は、カバーと発光素子基板装置の隙間を埋めるように塗布した第1の封止材を固化させる際に、常温よりも4℃〜10℃高い温度で加熱するので、カバー内部の空気が常温よりも4℃〜10℃高くなり体積が膨張する。そして、その直後(カバー内部の空気が膨張しているとき)にカバーとレンズアレイの隙間を埋めるように第2の封止材を塗布して常温で固化させるので、カバー内部において、空気の冷却による体積縮小と、第2の封止材から発生するガスによる体積膨張が釣り合い、第2の封止材に気泡が発生しない。
【0012】
(第3発明)
また、第3発明は、カバーとレンズアレイの隙間を埋めるように第2の封止材を塗布し、常温よりも4℃〜10℃高い温度で加熱しつつ第2の封止材を固化させた後、カバーと発光素子基板装置の隙間を埋めるように第1の封止材を塗布し、第1の封止材を常温で固化させることを特徴とする。
【0013】
(第4発明)
また、第4発明は、カバーとレンズアレイの隙間を埋めるように第2の封止材を塗布し、第2の封止材を常温で固化させ、カバー内部が常温よりも4℃〜10℃高くなるように加熱した後、カバーと発光素子基板装置の隙間を埋めるように第1の封止材を塗布し、第1の封止材を常温で固化させることを特徴とする。
【0014】
第3発明および第4発明は、カバーとレンズアレイの隙間を埋めるように塗布した第2の封止材を固化させる際に、常温よりも4℃〜10℃高い温度で加熱するので、カバー内部の空気が常温よりも4℃〜10℃高くなり体積が膨張する。そして、その直後(カバー内部の空気が膨張しているとき)にカバーと発光素子基板装置の隙間を埋めるように第1の封止材を塗布して常温で固化させるので、カバー内部において、空気の冷却による体積縮小と、第1の封止材から発生するガスによる体積膨張が釣り合い、第1の封止材に気泡が発生しない。
【0015】
〔第5発明〕
第5発明は、前記した第1発明〜第4発明のいずれか1つに記載のプリントヘッドの製造方法により製造されたプリントヘッドと、表面に静電潜像を形成する感光体とが対向して配設された画像形成装置に関するものである。
かかる構成により、第5発明の画像形成装置は、プリントヘッドが前記した効果を奏するので、寿命が長く、高画質の画像を形成できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、プリントヘッドの封止材の部分に気泡が発生しないので、プリントヘッドの内部を外気(外部)と完全に遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】プリントヘッドの平面図
【図2】プリントヘッドの断面図(図1における断面A−A)
【図3】プリントヘッドの上面の斜視図
【図4】プリントヘッドの下面の斜視図
【図5】カバーの平面図
【図6】カバーの断面図(図5における断面B−B)
【図7】発光素子基板装置の平面図
【図8】発光素子基板装置の表面の斜視図(図7のW部分の部分拡大図)
【図9】製造途中のプリントヘッドの上面の斜視図
【図10】製造途中のプリントヘッドの下面の斜視図
【図11】製造途中のプリントヘッドの側面図
【図12】製造途中のプリントヘッドの側面図
【図13】画像形成装置の構成を説明するための図
【図14】プリントヘッドと感光体の位置関係を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に実施例を用いて、本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
〔プリントヘッド〕
図1乃至図4に示すように、本発明が対象とするプリントヘッド1は、貫通穴30が形成されたカバー2と、カバー2の貫通穴30の下部32を閉じるように配設され、複数のLEDアレイチップ等の発光素子4が実装された発光素子基板装置5と、カバー2の貫通穴30の上部31を閉じるように配設されたレンズアレイ3とを備え、カバー2および発光素子基板装置5の隙間36、並びにカバー2およびレンズアレイ3の隙間35を、固化する際にガスを発生する第1の封止材33および第2の封止材34によって封止したものである。尚、第1の封止材33および第2の封止材34の材質は、同一であっても良いし、異なっていても良い。
【0020】
このプリントヘッド1は、図2に示すように、発光素子基板装置5の表面10に実装(固定)された発光素子4の発光点を発光させた場合に、当該発光点から出射した光がレンズアレイ3により収束(集光)する結像点(焦点位置)までの距離が共役長TCになるように設定されている。この共役長TCは、発光点からレンズアレイ3の下面(一方のレンズ面)までの距離Lと、レンズアレイ4の上面(他方のレンズ面)から結像点までの距離Lと、レンズアレイ4の高さTとの和であり、TC=T+2Lという関係が成り立つ。
【0021】
(カバー)
カバー2は、ABS等の樹脂からなり、図5および図6に示すように、中央部に長尺な貫通穴30が形成されている。そして、貫通穴30の上部31は、レンズアレイ3の一部を挿入して位置決めすることができるように、レンズアレイ3よりも若干大きくなっている。また、貫通穴30の下部32は、発光素子基板装置5を挿入して位置決めすることができるように、発光素子基板装置5よりも若干大きくなっている。
【0022】
(発光素子基板装置)
発光素子基板装置5は、図7および図8に示すように、少なくともベアボード(プリント配線基板)9と、このベアボード9に実装された発光素子4とを有するものである。図2に示すようにベアボード9の裏面にバイパスコンデンサ7を有していても良く、ベアボード9の裏面に金属製のベースやヒートシンク(図示せず)が固定されていても良い。
【0023】
発光素子基板装置5は、表面10において所定の幅の銅からなるベタパターン8が長手方向(Y方向)に沿って形成され、裏面において同一の幅寸法の複数の配線パターンが主に長手方向(Y方向)に沿って形成された長尺なベアボード9を備えている。そして、ベタパターン8の表面に、千鳥状に複数の発光素子4が導電性接着剤等により固定されている。
【0024】
発光素子4の表面には図示しない発光点が直線状に形成されており、複数のパッド13も形成されている。この複数のパッド13と、ベアボード9の表面10に形成された複数のパッド14は、ワイヤー(金線)12で接続されている。
【0025】
尚、図8においては、パッド13および14は、説明を簡単にするため1つのみ図示したが実際には複数ある。また、図7および図8においては発光素子4が千鳥状に固定されたものを示したが、発光素子4は、直線状に固定されていても良い。
【0026】
〔プリントヘッドの製造方法〕
次に本発明に係るプリントヘッド1の製造方法について説明する。
まず、図9および図10に示すように、カバー2の貫通穴30の上部31にレンズアレイ3、下部32に発光素子基板装置5をセットし、接着剤37を用いて固定する。カバー2にレンズアレイ3および発光素子基板装置5を固定するに際し、長手方向(Y方向)の全領域について図2に示したTC=2L+Hの関係が成立するように公知の技術を用いて微調整を行う。
【0027】
次に、図4に示すように、カバー2と発光素子基板装置5の隙間36を埋めるように公知の塗布装置を用いて第1の封止材33を常温で塗布し、常温よりも4℃〜10℃高い温度で加熱しつつ第1の封止材33を固化させる。
【0028】
本実施例1においては、室温が22℃の塗布工程でシリコン樹脂からなる第1の封止材33を隙間36を埋めるように塗布した後、図11に示すように、乾燥工程において、60ワットの白熱灯38の近傍にプリントヘッド1を約15分間置き、第1の封止材33を固化させた。この際、プリントヘッド1の内部の温度は30℃になり、プリントヘッド1の内部の空気の体積は膨張した状態になる。
【0029】
そして、プリントヘッド1の内部の空気の体積が膨張した状態にあるときに(プリントヘッド1の内部が室温よりも4℃〜10℃高い温度であるときに)、図3に示すように、カバー2とレンズアレイ3の隙間35を埋めるように公知の塗布装置を用いてシリコン樹脂からなる第2の封止材34を室温(22℃)で塗布し、第2の封止材34を室温(22℃)で固化させた。尚、第2の封止材34は、第1の封止材33と同じもの(東レダウコーニング社製 型式:SE9176)を用いた。
【0030】
そうすると、プリントヘッド1のカバー2等の温度低下に伴い、プリントヘッド1の内部の空気の体積が縮小を始める。また、シリコン樹脂からなる封止材33が固化する際にガスを発生するため、その一部がプリントヘッド1の内部に侵入し、プリントヘッド1内部の気体の体積の膨張が始まる。つまり、前記したプリントヘッド1の温度低下に伴うプリントヘッド1の内部の空気の体積の縮小と、前記したプリントヘッド1内部への第2の封止材34のガスの侵入によるプリントヘッド1の内部の気体の体積の膨張が釣り合う状態になる。
【0031】
このため、プリントヘッド1の第2の封止材34は、カバー2の外側に向かって膨らむことが無く、プリントヘッド1の内部を外気(外部)と完全に遮断することができる。
【0032】
〔比較実験〕
尚、前記したプリントヘッド1の製造方法において、プリントヘッド1を60ワットの白熱灯38の近傍に置く時間を変化させてプリントヘッド1の内部の温度を変えた場合の気泡の有無を確認する実験を行った。気泡の有無は、黙視により確認した。その結果を表1に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
表1により、プリントヘッド1の内部の温度が常温(室温=22℃)よりも3℃以下であれば、プリントヘッド1の内部の空気の体積収縮よりも、第2の封止材34のプリントヘッド1内部へのガスの侵入量の方が多く、第2の封止材34に気泡が発生することがわかった。逆に、プリントヘッド1の内部の温度が常温(室温=22℃)より11℃以上高いと、プリントヘッド1の内部の空気の体積収縮が、第2の封止材34のプリントヘッド1内部へのガスの侵入量よりも多く、第2の封止材34に窪みが発生することがわかった。
【0035】
よって、第1の塗布材33を硬化させた後、プリントヘッド1の内部の温度を室温よりも4℃〜10℃高い状態にし、第2の塗布材34を塗布して室温(常温)で硬化させるのが望ましい。
【0036】
尚、前記したプリントヘッド1の製造方法においては、カバー2と発光素子基板装置5の隙間36を埋めるように公知の塗布装置を用いて第1の封止材33を常温で塗布し、常温よりも4℃〜10℃高い温度で加熱しつつ第1の封止材33を固化させる方法を示したが、これに限定されるものではなく、カバー2と発光素子基板装置5の隙間36を埋めるように第1の封止材33を塗布し、第1の封止材33を常温で固化させた後、カバー2の内部が常温よりも4℃〜10℃高くなるようにプリントヘッド1を加熱しても良い。この場合においても、前記したプリントヘッド1の製造方法と同様の結果が得られた。
【実施例2】
【0037】
本発明に係る第2実施例を、図12を用いて説明する。
尚、説明を分かりやすくするため、実施例1との違いについてのみ説明する。
【0038】
本実施例2は、実施例1において第1の塗布材33と第2の塗布材34を塗る順序を逆にし、かつ、白熱灯38による加熱を第2の塗布材34を塗布した後にしたものである。すなわち、まず、カバー2とレンズアレイ3の隙間35を埋めるように第2の封止材34を常温(室温=22℃)で塗布し、図12に示すように、常温よりも4℃〜10℃高い温度で加熱しつつ第2の封止材34を固化させる。そして、その直後、カバー2と発光素子基板装置5の隙間36を埋めるように第1の封止材33を常温(室温=22℃)で塗布し、第1の封止材33を常温で固化させるものである。
【0039】
かかる製造方法であっても、実施例1と同様の結果を得ることができる。また、詳細は省略するが、比較実験を行った結果、表1と同じ結果が得られた。
【0040】
尚、前記したプリントヘッド1の製造方法においては、カバー2とレンズアレイ3の隙間35を埋めるように公知の塗布装置を用いて第2の封止材34を常温で塗布し、常温よりも4℃〜10℃高い温度で加熱しつつ第2の封止材34を固化させる方法を示したが、これに限定されるものではなく、カバー2とレンズアレイ3の隙間35を埋めるように第2の封止材34を常温で塗布し、第2の封止材34を常温で固化させた後、カバー2の内部が常温よりも4℃〜10℃高くなるようにプリントヘッド1を加熱しても良い。この場合においても、前記したプリントヘッド1の製造方法と同様の結果が得られる。
【実施例3】
【0041】
本発明に係る第3実施例を、図13および図14を用いて説明する。尚、図14は、プリントヘッド1と感光体ドラム25との位置関係を分かりやすくするために図13の一部を拡大した部分拡大図である。
【0042】
(画像形成装置)
図13に示すように、本発明に係る画像形成装置は、所謂タンデム型のデジタルカラープリンタ131であり、各色の画像データに対応して画像形成を行う画像形成プロセス部110、画像形成プロセス部110を制御する制御部130、パーソナルコンピュータ102や画像読取装置103から受信された画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理部140を備えている。
【0043】
画像形成プロセス部110は、一定の間隔をおいて並列配置される4つの画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kを備えている。
【0044】
そして、これらの画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kのそれぞれは、静電潜像を形成してトナー像を担持する像担持体(感光体)としての感光体ドラム25と、この感光体ドラム25の表面を所定電位で一様に帯電する帯電装置113と、帯電装置113によって表面が帯電された感光体ドラム25を露光する露光装置としてのプリントヘッド1と、プリントヘッド1によって得られた静電潜像を現像する現像装置115と、転写後の感光体ドラム25の表面を清掃するクリーナー(ブレード)116とを備えている。尚、プリントヘッド1は、本発明に係る製造方法により製造されたプリントヘッドであることは言うまでもない。
【0045】
さらに、現像装置115の下流側近傍には、感光体ドラム25に対向して、感光体ドラム25上に形成されたテスト用パッチ(濃度見本)のトナー像濃度を検出する濃度検出回路117が備えられている。この濃度検出回路117は制御部130に接続され、トナー像濃度検出値を出力する。
【0046】
ここで、各画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kは、現像装置115に収納されたトナーを除いて、略同様に構成されている。そして、画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kは、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
【0047】
また、画像形成プロセス部110は、各画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kの感光体ドラム25にて形成された各色のトナー像が多重転写される中間転写ベルト121と、各画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kの各色のトナー像を中間転写ベルト121に順次転写(一次転写)させる一次転写帯電装置としての一次転写ロール122と、中間転写ベルト121上に転写された重畳トナー像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写帯電装置としての二次転写ロール123と、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置125とを備えている。
【0048】
画像形成プロセス部110は、制御部130から供給された同期信号等の制御信号に基づいて画像形成動作を行う。その際に、パーソナルコンピュータ102や画像読取装置103から入力された画像データは、画像処理部140によって画像処理が施され、インタフェースを介して各画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kに供給される。
【0049】
そして、例えばイエローの画像形成ユニット111Yでは、帯電装置113により所定電位で一様に帯電された感光体ドラム25の表面が、画像処理部140から得られた画像データに基づいて発光するプリントヘッド1により露光されて、感光体ドラム25上に静電潜像が形成される。
【0050】
この静電潜像は、現像装置115により現像され、感光体ドラム25上にはイエローのトナー像が形成される。同様に、画像形成ユニット111M、111C、111Kのそれぞれの感光体ドラム25においても、マゼンタ、シアン、黒の各色トナー像が形成される。
【0051】
各画像形成ユニット111Y、111M、111C、111Kのそれぞれの感光体ドラム25に形成された各色トナー像は、図13の矢印A方向に回動する中間転写ベルト121上に、一次転写ロール122により順次静電吸引され、中間転写ベルト121上に重畳されたトナー像が形成される。
【0052】
この重畳トナー像は、中間転写ベルト121の回動に伴って二次転写ロール123が配設された領域(二次転写部)に搬送される。そして、重畳トナー像が二次転写部に搬送されると、トナー像が二次転写部に搬送されるタイミングに合わせて用紙Pが二次転写部に供給される。
【0053】
そして、二次転写部にて二次転写ロール123により形成される転写電界により、重畳トナー像は搬送されてきた用紙P上に一括して静電転写される。その後、重畳トナー像が静電転写された用紙Pは、中間転写ベルト121から剥離され、搬送ベルト124により定着装置125まで搬送される。
【0054】
定着装置125に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着装置125によって熱および圧力による定着処理を受けることで用紙P上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Pは、デジタルカラープリンタ131の排出部に設けられた図示しない排紙載置部に搬送される。
【0055】
つまり、本実施例8に係る画像形成装置は、プリントヘッド1を備えているので、高画質な画像を形成できる。
【0056】
前記した実施例は、説明のために例示したものであって、本発明としてはそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明、及び図面の記載から当事者が認識する事ができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【0057】
例えば、前記した実施例で説明した発光素子基板装置5は、ベアボード9の表面に複数の発光素子4が実装されたものを示したが、これに限るものではなく、特許文献1、2に示されたように、ベアボード9に放熱効果を有するヒートシンクを備えたものであっても良い。
【0058】
また、前記した実施例においては、第1の封止材33および第2封止材34として、共にシリコン樹脂からなる同一の封止材を用いたものを示したが、固化する際にガスを発生する封止材であって常温で硬化するものであれば、異なる種類の封止材であっても良い。また、固化する際にガスを発生する封止材であって、常温で硬化するものであれば良いため、エポキシ樹脂等からなる封止材を用いても良い。
【0059】
また、前記した実施例においては、60ワットの白熱灯38を用いてプリントヘッド1を加熱する方法を示したが、これに限定されるものではなく、他の公知の加熱機器を用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、複写機、プリンタ等で用いられるプリントヘッドの製造方法等に適用される。
【符号の説明】
【0061】
1 プリントヘッド
2 カバー
3 レンズアレイ
4 発光素子
5 発光素子基板装置
30 貫通穴
31 貫通穴の上部
32 貫通穴の下部
33 第1の封止材
34 第2の封止材
35 隙間
36 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通穴が形成されたカバーと、
該カバーの前記貫通穴の下部を閉じるように配設され、複数の発光素子が実装された発光素子基板装置と、
該カバーの前記貫通穴の上部を閉じるように配設されたレンズアレイとを備え、
前記カバーおよび前記発光素子基板装置の隙間、並びに前記カバーおよび前記レンズアレイの隙間を、固化する際にガスを発生する封止材によって封止するプリントヘッドの製造方法において、
前記カバーと前記発光素子基板装置の隙間を埋めるように第1の封止材を塗布し、
常温よりも4℃〜10℃高い温度で加熱しつつ該第1の封止材を固化させた後、
前記カバーと前記レンズアレイの隙間を埋めるように第2の封止材を塗布し、該第2の封止材を常温で固化させることを特徴とするプリントヘッドの製造方法
【請求項2】
貫通穴が形成されたカバーと、
該カバーの前記貫通穴の下部を閉じるように配設され、複数の発光素子が実装された発光素子基板装置と、
該カバーの前記貫通穴の上部を閉じるように配設されたレンズアレイとを備え、
前記カバーおよび前記発光素子基板装置の隙間、並びに前記カバーおよび前記レンズアレイの隙間を、固化する際にガスを発生する封止材によって封止するプリントヘッドの製造方法において、
前記カバーと前記発光素子基板装置の隙間を埋めるように第1の封止材を塗布し、該第1の封止材を常温で固化させ、
前記カバー内部が常温よりも4℃〜10℃高くなるように加熱した後、
前記カバーと前記レンズアレイの隙間を埋めるように第2の封止材を塗布し、該第2の封止材を常温で固化させることを特徴とするプリントヘッドの製造方法
【請求項3】
貫通穴が形成されたカバーと、
該カバーの前記貫通穴の下部を閉じるように配設され、複数の発光素子が実装された発光素子基板装置と、
該カバーの前記貫通穴の上部を閉じるように配設されたレンズアレイとを備え、
前記カバーおよび前記発光素子基板装置の隙間、並びに前記カバーおよび前記レンズアレイの隙間を、固化する際にガスを発生する封止材によって封止するプリントヘッドの製造方法において、
前記カバーと前記レンズアレイの隙間を埋めるように第2の封止材を塗布し、
常温よりも4℃〜10℃高い温度で加熱しつつ該第2の封止材を固化させた後、
前記カバーと前記発光素子基板装置の隙間を埋めるように第1の封止材を塗布し、該第1の封止材を常温で固化させることを特徴とするプリントヘッドの製造方法
【請求項4】
貫通穴が形成されたカバーと、
該カバーの前記貫通穴の下部を閉じるように配設され、複数の発光素子が実装された発光素子基板装置と、
該カバーの前記貫通穴の上部を閉じるように配設されたレンズアレイとを備え、
前記カバーおよび前記発光素子基板装置の隙間、並びに前記カバーおよび前記レンズアレイの隙間を、固化する際にガスを発生する封止材によって封止するプリントヘッドの製造方法において、
前記カバーと前記レンズアレイの隙間を埋めるように第2の封止材を塗布し、該第2の封止材を常温で固化させ、
前記カバー内部が常温よりも4℃〜10℃高くなるように加熱した後、
前記カバーと前記発光素子基板装置の隙間を埋めるように第1の封止材を塗布し、該第1の封止材を常温で固化させることを特徴とするプリントヘッドの製造方法
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載のプリントヘッドの製造方法により製造されたプリントヘッドと、
表面に静電潜像を形成する感光体とが対向して配設された画像形成装置

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−121196(P2011−121196A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278749(P2009−278749)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】