説明

プリント回路基板における部品実装構造及び部品実装方法、並びにプリント回路基板

【課題】曲げ応力による回路配線と接合材及び電子部品との間の断線を抑制する。
【解決手段】絶縁性基材11の一面11aに回路配線12が配されたプリント回路基板において、複数の電極部3,3を有する電子部品1を実装するための部品実装構造10であって、プリント回路基板には、複数の電極部3,3にそれぞれ対応した複数のランド部13,13が設けられ、それぞれのランド部13と電極部3との間が導電性を有する接合材17により電気的に接続され、ランド部13と回路配線12との接続部分が、電子部品1の直下においてランド部13と接合材17との接続部分より内側に設けられている。また、ランド部13は、絶縁性基材11の一面11a上において、間隙16を介して互いに分離された複数の部分13a,13bを有し、これら複数の部分13a,13bが接合材17を介して同一の電極部3に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁性基材の一面に回路配線が配されたプリント回路基板において、複数の電極部を有する電子部品を実装するための部品実装構造及び部品実装方法、並びにプリント回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の電極部を有する電子部品をプリント回路基板に実装するため、半田や導電性接着剤が用いられている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−120677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図6に、従来の部品実装構造20の一例を示す。この部品実装構造20は、絶縁性基材21と、絶縁性基材21の一面21aに配された回路配線22及びランド部23と、2つのランド部23の間に搭載された電子部品1とを備える。電子部品1は部品本体2の両端に電極部3,3を有し、電極部3とランド部23との間が半田や導電性接着剤等の接合材27によって電気的に接続されている。ランド部23は、絶縁性基材21に密着する第1導体層24と、接合材27と接続される第2導体層25を有する積層体からなる。第1導体層24は回路配線22と同じ材料からなり、印刷等によってパターン形成されている。第2導体層25は、ランド部23と接合材27との接着強度を向上するため、接合材27に用いられる半田との濡れ性のよい材料から構成されている。
【0005】
フレキシブルプリント回路基板など、絶縁性基材21が柔らかく可とう性を有する場合には、部品実装構造20に外部から曲げ応力が加わると、接合材27及び電子部品1は硬く、曲げに追従できない。このため、接合材27がランド部23に接合された端部に曲げ応力が集中して亀裂が入り、最終的には図7に示すように、絶縁性基材21の折れ目28に沿ってランド部23に割れ目29が形成されることがある。割れ目29によってランド部23が2つの部分23a,23bに分断されると、第1の部分23aがランド部23と接合材27との接続部分を含み、第2の部分23aがランド部23と回路配線22との接続部分を含むので、回路配線22と接合材27及び電子部品1の電極部3との間が断線されてしまう。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、曲げ応力による回路配線と接合材及び電子部品の電極部との間の断線を抑制することが可能な部品実装構造及び部品実装方法、並びにプリント回路基板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、絶縁性基材の一面に回路配線が配されたプリント回路基板において、複数の電極部を有する電子部品を実装するための部品実装構造であって、前記プリント回路基板には、前記複数の電極部にそれぞれ対応した複数のランド部が設けられ、それぞれのランド部と電極部との間が導電性を有する接合材により電気的に接続され、前記ランド部と前記回路配線との接続部分が、前記電子部品の直下において前記ランド部と前記接合材との接続部分より内側に設けられていることを特徴とする部品実装構造を提供する。
前記ランド部は、前記絶縁性基材の一面上において、間隙を介して互いに分離された複数の部分を有し、これら複数の部分が前記接合材を介して同一の電極部に接続されていることが好ましい。
前記電子部品は、その長径方向の両端にそれぞれ電極部を有し、前記間隙は、前記長径方向に垂直な方向に設けられていることが好ましい。
前記ランド部は、前記絶縁性基材に密着する第1導体層と、前記接合材と接続される第2導体層を有する積層体からなり、前記第1導体層は少なくとも銀を含む第1の材料から構成され、前記第2導体層は少なくとも銅を含む第2の材料から構成され、前記接合材は少なくとも錫を含む半田から構成されていることが好ましい。
【0008】
また、本発明は、絶縁性基材の一面に回路配線が配されたプリント回路基板において、複数の電極部を有する電子部品を実装するための部品実装方法であって、前記複数の電極部にそれぞれ対応した複数のランド部と、前記ランド部と前記回路配線との接続部分が、前記電子部品の直下において前記ランド部と前記接合材との接続部分より内側に設けられている回路配線とを、前記絶縁性基材の一面に形成する工程と、それぞれのランド部と電極部との間を、導電性を有する接合材により電気的に接続することによって、前記電子部品を実装する工程とを有することを特徴とする部品実装方法を提供する。
また、本発明は、上記本発明の部品実装構造を備えることを特徴とするプリント回路基板を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、曲げ応力によって、ランド部や接合材に破断が生じても、ランド部と回路配線との接続、及びランド部と接合材との接続を確保して、断線を抑制することができる。
【0010】
ランド部が間隙を介して互いに分離された複数の部分を有し、これら複数の部分が接合材を介して同一の電極部に接続されている場合、接合材がランド部に接合する面積を確保して接続信頼性を得やすくなる。また、曲げ応力によって電子部品の外側の部分で生じた割れ目が電子部品の内側に向かって広がるようなときでも、その割れ目の広がりを間隙によって食い止めることができ、ランド部と回路配線との接続部分の破断を、より確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の部品実装構造の第1形態例を模式的に示す(a)断面図、及び(b)平面図である。
【図2】図1に示す部品実装構造における回路配線及びランド部の接続を模式的に示す平面図である。
【図3】図1に示す部品実装構造において、曲げ応力による破断が生じた場合の一例を模式的に示す断面図である。
【図4】(a)〜(d)は、図1に示す部品実装構造の製造工程を順に示す断面図である。
【図5】本発明の部品実装構造の第2形態例を模式的に示す(a)断面図、及び(b)平面図である。
【図6】従来の部品実装構造の一例を模式的に示す(a)断面図、及び(b)平面図である。
【図7】図6に示す従来の部品実装構造において、曲げ応力による破断が生じた場合の一例を模式的に示す(a)断面図、及び(b)平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
なお、図1(a)は図1(b)のA−A線に沿う断面図であり、図5(a)は図5(b)のB−B線に沿う断面図であり、図6(a)は図6(b)のC−C線に沿う断面図であり、図7(a)は図7(b)のD−D線に沿う断面図である。
【0013】
図1に、本発明の第1形態例に係る部品実装構造10を模式的に示す。また、図2には、この部品実装構造10における回路配線12及びランド部13を示す。
この部品実装構造10は、絶縁性基材11と、絶縁性基材11の一面11aに配された回路配線12及びランド部13と、2つのランド部13の間に搭載された電子部品1とを備える。電子部品1は部品本体2の両端に電極部3,3を有し、電極部3とランド部13との間が半田や導電性接着剤等の接合材17によって電気的に接続されている。
なお、本発明における上下方向は、特に断らない限り、絶縁性基材11の一面11aに垂直な方向において、一面11aから電子部品1に向かう方向(例えば図1(a)の上向き)を上、その反対方向を下とする。
【0014】
ランド部13は、電子部品1の2つの電極部3,3に対応して、2箇所に設けられている。それぞれのランド部13は、絶縁性基材11の一面11a上において、間隙16を介して互いに分離された2つの部分13a,13bを有する。電極部3とランド部13とを接合する接合材17は、ランド部13側において、内側部分13aと外側部分13bとの両方に接合されている。つまり、1つの電極部3につき、2つのランド部パターン13a,13bが設けられている。これにより、電子部品1の寸法が小型であっても、接合材17がランド部13に接合する面積を確保して接続信頼性を得やすくなる。
【0015】
なお、ランド部13における内側とは、複数のランド部13に囲まれる間の部分(図1(a)ではランド部13,13間の空間4の側)であり、外側とは、内側とは反対の側(図1(a)では左右両方の外側)である。
また、電子部品1が絶縁性基材11の一面11aにおいて占有する面積は電子部品1の寸法及び形状に依存するので、電子部品1の直下に位置する面積が十分に広い場合には、ランド部全体を電子部品1の直下に配置して、電子部品1の外側のランド部を省略することもできる。
【0016】
図2に示すように、電子部品1の真下(直下)に位置する内側部分13aは、回路配線12に接続されている。また、電子部品1の外側に位置する外側部分13bは、間隙16によって内側部分13aから分離されている。
【0017】
図3に示すように、部品実装構造10に外部から曲げ応力が加わり、絶縁性基材11が曲がったときには、接合材17及び電子部品1は硬く、曲げに追従できない。このため、接合材17がランド部13に接合された端部に曲げ応力が集中して亀裂が入り、最終的には、絶縁性基材11の折れ目18に沿ってランド部13に割れ目19が生じることがある。その場合であっても、割れ目19が接合材17とランド部13の内側部分13aとの接続部分やランド部13の内側部分13aと回路配線12との接続部分を破断することがなく、回路配線12と接合材17及び電子部品1の電極部3との間の断線を防止することができる。
【0018】
また、割れ目19が生じた外側部分13bと、回路配線12に接続された内側部分13aとの間には間隙16が設けられているので、割れ目19の広がりを間隙16によって食い止めることができる。これにより、外側部分13bに生じた割れ目19が内側部分13aまで広がることがなく、ランド部13と回路配線12との接続部分の破断を、より確実に防ぐことができる。
本形態例の場合、電子部品1は細長形状で、その長径方向(図1の左右方向)の両端にそれぞれ電極部3,3を有する。また、ランド部13の間隙16は、絶縁性基材11の一面11aの面内において電子部品1の長径方向に垂直な方向(図1(b)の上下方向)に設けられている。これにより、外部から曲げ応力が加わったときには、ランド部13の外側部分13bと接合材17とが接合する端部において曲げ応力が集中しやすくなり、内側部分13aに割れ目19が生じる可能性をさらに低減することができる。
【0019】
絶縁性基材11は、ポリイミド、ポリエステルや液晶ポリマーなどの可とう性を有する基板(フレキシブル基材)や、ガラスやセラミックスなどの硬質の基板(リジッド基材)などを特に制限なく用いることができる。このうち、本発明の曲げに対する耐久性の効果がより大きいことから、絶縁性樹脂のフィルムやシート等のフレキシブル基材が好ましい。
【0020】
また、本形態例において、ランド部13は、絶縁性基材11に密着する第1導体層14と、接合材17と接続される第2導体層15を有する積層体からなる。この場合、間隙16は、第1導体層14及び第2導体層15を、それぞれ複数の部分に分離している。つまり、第1導体層14において、内側部分13aの第1導体層14aと、外側部分13bの第1導体層14bとの間は、間隙16によって分離されており、第2導体層15において、内側部分13aの第2導体層15aと、外側部分13bの第2導体層15bとの間も、間隙16によって分離されている。
【0021】
第1導体層14と第2導体層15とは、両者の電気抵抗値が近く、また両者の界面で生じる化学反応が極力抑制されるものからそれぞれ構成されることが好ましい。
このような第1導体層14及び第2導体層15の組み合わせとしては、第1導体層14が少なくとも銀を含む第1の材料から構成され、第2導体層15が少なくとも銅を含む第2の材料から構成されるものが好ましい。これは、銅が銀と抵抗値が近く、界面で化学反応等が生じ難いためである。
第1の材料としては、例えば、銀の他に、白金、金、ニッケル、パラジウム等が含まれた合金や金属混合物が挙げられる。
第2の材料としては、例えば、銅の他に、金、白金、ニッケル、パラジウム等が含まれた合金や金属混合物が挙げられる。
これら第1導体層14及び第2導体層15の厚さは、例えば1〜100μmである。
【0022】
接合材17は、半田(低融点合金)や導電性接着剤、導電性ペースト等から構成することができる。ランド部13と接合材17との間が金属同士でより強固に接着されることから、半田が好ましい。半田は、環境上の観点から鉛を含まないものが好ましく、少なくとも錫を含む半田が好ましい。電子部品1の電極部3が仮に錫を含んでいたとしても、錫と相性のよいビスマスを更に含むものが好ましい。このような30としては、例えばSn−Bi系半田が挙げられる。Bi含有量は適用する電子部品1の電極部3や絶縁性基材11、ランド部13を構成する材料等を考慮して適宜調節することができるが、例えばSn42Bi58などの半田を用いることができる。
特に絶縁性基材11がポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂フィルムよりなるメンブレン回路基板に半田付けする場合、通常の鉛フリー半田であると、半田付け温度が180℃以上であるため絶縁性基材11に損傷が生じるおそれがある。従って、半田付け温度が165℃以下であるSn−Bi系低融点半田を用いることが好ましい。
【0023】
本形態例の部品実装構造10は、ランド部13と電子部品1の電極部3とを半田からなる接合材17を用いて金属接合により電気的に接続している。したがって、接続状態が安定し導通不良が低減される。また、半田は、導電性接着剤のように粘度が低下して流れ出し、各々の半田が電気的に接続されることはない。ゆえに、それぞれの半田間の距離を狭くすることができるので、小型の電子部品1を備えることが可能な部品実装構造10を得ることができる。
【0024】
第1導体層14は銀を含む第1の材料から構成され、第2導体層15は銅を含む第三部材から構成されている場合、接合材17を構成する半田には、第1導体層14との濡れ性が悪いが、第2導体層15とは濡れ性が良好である、錫を含んだ半田を用いることで、接合材17とランド部13との接続信頼性を向上することができる。
また、錫を含んだ半田と銅を含んだ第2の材料との接触は、錫を含んだ半田と銀を含んだ第1の材料との接触と比較し、ガルバニック腐食が生じ難い。更に、この錫を含んだ半田は、電極部3が錫や銅、金等から構成されたいずれのものであっても、安定した接続状態を保つことができる。したがって、半田とランド部13及び電極部3との接続信頼性の向上が図れる。ランド部13に関しては、銅はその抵抗値が銀と近いことから、第1の材料と第2の材料との間の界面で化学反応が生じ難い。以上より、接続信頼性の向上した部品実装構造10を得ることができる。
【0025】
電子部品1は、部品本体2に複数の電極部3が設けられ、複数の電極部3がそれぞれ接合材17を介して複数のランド部13に接続されている。本形態例の場合、部品本体2は直方体状でその長径方向の両端に電極部3を有する形状である。
本発明においては、電子部品1及びその部品本体2としては、特に限定されるものではなく、公知のものを適宜適用することができる。部品本体2の形状は、底面が長方形である直方体に限られず、底面が正方形である直方体、楕円体、円柱体、多角柱体、錐体、紡錘形等、各種形状を採用することが可能である。部品本体2の底面の形状が略正方形の場合、電極部3は、対向する2辺、4辺、4隅、底面等に適宜配置することができる。
電極部3を構成する導体材料としては、公知のものを用いることができ、例えば、錫、金、銅等、あるいはこれらを含む合金等が挙げられる。
【0026】
次に、本発明の部品実装構造10の製造方法について図4を参照して説明する。
まず、図4(a)に示すように、絶縁性基材11の一面11aに銀ペースト等からなる第1の材料を例えばスクリーン印刷で塗布し、加熱によって乾燥させ、ランド部13の第1導体層14及び回路配線12を形成する。第1導体層14は、間隙16によって分離された内側部分14a及び外側部分14bを有するようにパターニングする。
また、回路配線12は、上述したように、ランド部13と回路配線12との接続部分が、電子部品1の直下に設けられ、かつランド部13と接合材17との接続部分より内側となるように配置される。
【0027】
次に、図4(b)に示すように、ランド部13の第1導体層14の上に銅ペースト等からなる第2の材料をスクリーン印刷で塗布し、加熱によって乾燥させ、ランド部13の第2導体層15を形成する。第2導体層15も、第1導体層14と同じ位置に間隙16が設けられ、かつ、この間隙16によって分離された内側部分15a及び外側部分15bを有するようにパターニングする。
【0028】
次に、図4(c)に示すように、ランド部13の第2導体層15の上に、例えばスクリーン印刷やディスペンスにより、錫を含んだ半田(例えば、Sn/Bi系低融点半田)からなる接合材17を塗布する。
次に、図4(d)に示すように、接合材17が設けられた位置に電子部品1の電極部3を位置合わせした後、個々の接合材17に対して個別に各々の電極部3を接触させて加熱し、電子部品1を実装する。ランド部13上の接合材17は、一部が間隙16内に入り込み、より強固に接合される。
複数のランド部13における接合材17同士の距離、及び空間4を介した絶縁性基材11と電子部品1との距離は、実装する電子部品1に応じて適宜調節することができる。
以上で、本発明の部品実装構造10を作製することができる。
【0029】
本発明の部品実装構造10の製造方法、すなわち複数の電極部3を有する電子部品1の実装方法は、接合材17として半田を用いてランド部13と電子部品1の電極部3とを電気的に接続するので、接合材17間の距離を狭く設定することができるので、より小型の電子部品1を実装することが可能である。
【0030】
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば図5に示す部品実装構造10Bのように、ランド部13に間隙16を設けることなくともよい。この場合であっても、ランド部13と回路配線12との接続部分が、電子部品1の直下に設けられ、かつランド部13と接合材17との接続部分より内側に設けられていることにより、曲げ応力によって接合材17の外側の端部に割れ目が生じた場合であっても、ランド部13と回路配線12との接続部分を破断することがなく、回路配線12と接合材17及び電子部品1の電極部3との間の断線を防止することができる。
【実施例】
【0031】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
【0032】
(実施例の作製)
図1に示す構造の部品実装構造10を以下の手順により作製し、これを実施例とした。
厚さ100μmのPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製、商品名:HS)を絶縁性基材11として用いた。この絶縁性基材11の一面11a上に、銀フィラーを主成分とする導電性ペースト(東洋紡社製、商品名:DX−351H−30)をスクリーン印刷にて塗布し、膜厚10μmの回路パターンを作製した。その後、導電性ペーストを加熱により乾燥させ、絶縁性基材11上に回路配線12及びランド部13の第1導体層14を形成した。
次に、ランド部13の第1導体層14の上に、銅フィラーを主成分とする導電性ペースト(日本シイエムケイ社製、商品名:Cu−I)をスクリーン印刷にて塗布した。その後、導電性ペーストを加熱により乾燥させ、ランド部13の第2導体層15を形成した。
次に、ランド部13の第2導体層15の上に、ディスペンサーでSn/Bi系低融点半田(千住金属社製、商品名:L20)を塗布した。なお、半田の塗布条件は、ノズル径が0.2mm、エアー圧力が60kPa、吐出時間は500msec、ランド部の第2導体層からノズルまでの高さ(クリアランス)を0.1mmとした。
上記で塗布したSn/Bi系低融点半田からなる接合材17と電子部品1の電極部3とが電気的に接続するように電子部品1を実装した。電子部品1としては、寸法(L×W×H)が、1.6mm×0.8mm×0.45mm、電極部3が錫メッキされたジャンパーチップ抵抗器(KOA社製、商品名:RK73Z1JTTD)を使用した。その後加熱して、Sn/Bi系低融点半田を溶解させて部品実装構造10を完成させた。
【0033】
(比較例の作製)
図6に示すようにランド部23と回路配線22との接続部分が電子部品1の外側で、かつランド部23と接合材27との接続部分よりも外側に配置されている以外は、実施例1と同じ材料及び手順を用いて部品実装構造20を作製し、これを比較例とした。
【0034】
(実施例と比較例との対比)
上記で得た実施例及び比較例の部品実装構造に関して、下記の評価を実施した。
【0035】
(R曲げ試験)
電子部品を実装した箇所に曲げを加え、その状態で5秒間保持した後に、プリント回路基板を元の平坦な状態に戻し、電子部品1の両側の回路配線12,22において抵抗値をマルチメーター(ケースレー製、MODEL2000)にて測定し、電極部3と接合材17とランド部13との接続部分及びその近傍に破壊(亀裂や断線)があるかを確認した。
加える曲げの径(直径)は、順次30mm、20mm、15mm、12mm、10mm、9mm、8mm、7mm、6mm、5mm、4mm、3mm、2mm、1mmと、大きい径から減少させてゆき、破壊が発生したときの曲げ径を記録した。サンプルごとに破壊が発生したときの曲げ径を記録し、実施例及び比較例のそれぞれについて、10個のサンプルで平均値を求めた。その結果を表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
試験結果から、比較例(6.8mm)に比べて実施例(2.8mm)のほうが、破壊が発生する平均の曲げ径が小さいこと、つまりは曲げが加わっても破壊しづらくなっていることが判明した。以上から、ランド設計を本発明のようにすることで、曲げ応力に対する耐久性を向上できることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、メンブレン回路基板等のプリント回路基板に適用して種々の電気機器や電子機器等に利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1…電子部品、2…部品本体、3…電極部、10,10B,20…部品実装構造、11,21…絶縁性基材、11a,21a…絶縁性基材の一面、12,22…回路配線、13,23…ランド部、14,24…第1導体層、15,25…第2導体層、16…間隙、17,27…接合材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基材の一面に回路配線が配されたプリント回路基板において、複数の電極部を有する電子部品を実装するための部品実装構造であって、
前記プリント回路基板には、前記複数の電極部にそれぞれ対応した複数のランド部が設けられ、それぞれのランド部と電極部との間が導電性を有する接合材により電気的に接続され、前記ランド部と前記回路配線との接続部分が、前記電子部品の直下において前記ランド部と前記接合材との接続部分より内側に設けられていることを特徴とする部品実装構造。
【請求項2】
前記ランド部は、前記絶縁性基材の一面上において、間隙を介して互いに分離された複数の部分を有し、これら複数の部分が前記接合材を介して同一の電極部に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の部品実装構造。
【請求項3】
前記電子部品は、その長径方向の両端にそれぞれ電極部を有し、前記間隙は、前記長径方向に垂直な方向に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の部品実装構造。
【請求項4】
前記ランド部は、前記絶縁性基材に密着する第1導体層と、前記接合材と接続される第2導体層を有する積層体からなり、
前記第1導体層は少なくとも銀を含む第1の材料から構成され、前記第2導体層は少なくとも銅を含む第2の材料から構成され、前記接合材は少なくとも錫を含む半田から構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の部品実装構造。
【請求項5】
絶縁性基材の一面に回路配線が配されたプリント回路基板において、複数の電極部を有する電子部品を実装するための部品実装方法であって、
前記複数の電極部にそれぞれ対応した複数のランド部と、前記ランド部と前記回路配線との接続部分が、前記電子部品の直下において前記ランド部と前記接合材との接続部分より内側に設けられている回路配線とを、前記絶縁性基材の一面に形成する工程と、
それぞれのランド部と電極部との間を、導電性を有する接合材により電気的に接続することによって、前記電子部品を実装する工程とを有することを特徴とする部品実装方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の部品実装構造を備えることを特徴とするプリント回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−267903(P2010−267903A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119721(P2009−119721)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】