プリント配線板の製造方法およびプリント配線板
【課題】3層,5層…と言った奇数層構成のプリント配線板をプレスによって製造するにあたって、反りが生じないようにするとともに、生産性を高める。
【解決手段】支持基板100の周囲に第1プリプレグ101を配置し、支持基板の両面にそれぞれ第1銅箔層210,310を配置し、各第1銅箔層の上に第2プリプレグ220,320をそれぞれ配置し、各第2プリプレグの上に第2銅箔層230,330をそれぞれ配置して第1回目の積層プレスを行ったのち、各第2銅箔層の上にさらに第3プリプレグ240,340をそれぞれ配置し、各第3プリプレグの上に第3銅箔層250,350をそれぞれ配置して第2回目の積層プレスを行って得られた積層体130を支持基板100の端部より内側の輪郭線Cに沿って切断して周辺のプリプレグ結合部分を切り離すことにより、支持基板100の両面から3層構成のプリント配線板200,300を分離する。
【解決手段】支持基板100の周囲に第1プリプレグ101を配置し、支持基板の両面にそれぞれ第1銅箔層210,310を配置し、各第1銅箔層の上に第2プリプレグ220,320をそれぞれ配置し、各第2プリプレグの上に第2銅箔層230,330をそれぞれ配置して第1回目の積層プレスを行ったのち、各第2銅箔層の上にさらに第3プリプレグ240,340をそれぞれ配置し、各第3プリプレグの上に第3銅箔層250,350をそれぞれ配置して第2回目の積層プレスを行って得られた積層体130を支持基板100の端部より内側の輪郭線Cに沿って切断して周辺のプリプレグ結合部分を切り離すことにより、支持基板100の両面から3層構成のプリント配線板200,300を分離する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3層に代表される奇数構成の薄膜プリント配線板の製造方法およびそれによって製造されたプリント配線板に関し、さらに詳しく言えば、奇数層構成特有の問題とされたていた基板の反りを防止する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器、特に携帯型電子機器等の分野では、近年ますます薄型化の要求が厳しくなっており、これに伴って電子機器に搭載されるプリント配線板にもミクロンオーダーでの薄型化が求められている。
【0003】
この要望に応える方法の1つとして、例えば4層構成のプリント配線板を1層減らして3層構成とすることが行われている。1層減らすことにより、例えば20μm程度の薄型化がはかれる。
【0004】
特許文献1には、3層構成のプリント配線板の製造方法の一例が記載されており、これについて、図2(a)〜(e)により説明する。
【0005】
まず、図2(a)に示すように、コア基板10として、基材11の両面に銅箔層12,13を有する両面銅張り積層基板を用いる。
【0006】
次に、図2(b)に示すように、コア基板10の両面に図示しない感光性のフィルムを貼り付け、回路を形成する一方の銅箔層13のみに内層回路配線形成用のパターンを焼き付け、エッチングして内層回路配線13aを形成する。他方の銅箔層12は、外層回路配線形成用としてベタパターンのまま残す。
【0007】
次に、両面を他の材料との密着性を高めるため所定の薬剤にて粗面化処理したのち、図2(c)に示すように、内層回路配線13aを形成した面側に、絶縁層としてのプリプレグ14を介して外層回路配線形成用の銅箔層15を積層しプレスして、図2(d)に示す配線板20を作製する。
【0008】
そして、銅箔層12の粗面化処理面を化学研磨などで除去したのち、図2(e)に示すように、銅箔層12,15にそれぞれ外層回路配線12a,15aを形成し、適宜穴明けを行い、めっき層やソルダレジスト層等を形成して、3層のプリント配線板20の実基板を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−261441号公報(段落〔0002〕参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来技術では、両面銅張り積層基板からなるコア基板10の片面側(内層回路配線形成面側)に、プリプレグ14を介して外層回路配線形成用の銅箔層15をプレスするようにしているため、次のような問題が生ずる。
【0011】
ずなわち、コア基板10に用いられる基材11とプリプレグ14とでは、積層プレス時の基材収縮量(発生内部応力)に差がある。そのため、図3に示すように、プリント配線板20に反りが発生することがある。この反りは、後工程での内部応力の解放時にも現れる。
【0012】
この種の基板の反りは、製造工程での搬送時や、ハンドリングする際のトラブルを引き起こす原因になるばかりでなく、部品実装位置にずれを生じさせ、自動機での部品実装時に誤実装を招きかねない。
【0013】
なお、この反りは、上記のようにして3層プリント配線板を製造するかぎり、3層プリント配線板の両面にさらにプリプレグを介して銅箔層を積層プレス(ビルドアップ)して、5層以上とする奇数層プリント配線板についても同様に発生する。
【0014】
したがって、本発明の課題は、3層,5層…と言った奇数層構成のプリント配線板をプレスによって製造するにあたり、内部応力の差によって反りが生じないようにするとともに、生産性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明は、奇数層構成の回路配線を有するプリント配線板を製造するプリント配線板の製造方法において、両面が平滑な支持基板と、上記支持基板の周囲に配置される第1プリプレグと、上記支持基板の両面に配置される第1銅箔層と、それぞれが上記支持基板よりも大きな面積を有して順次積層される第2プリプレグ,第2銅箔層,第3プリプレグおよび第3銅箔層を含む多層用積層体とを有し、上記支持基板の周囲に第1プリプレグを配置するとともに、上記支持基板の両面にそれぞれ第1銅箔層を配置したのち、上記各第1銅箔層の上に、それぞれ上記多層用積層体を所定層数分積層してプレスにより一体化した積層母体を得たのち、上記積層母体を上記支持基板の端部より内側の所定の輪郭線に沿って切断することにより、上記支持基板の両面から、奇数層構成の回路配線を有するプリント配線板を分離することを特徴としている。
【0016】
上記多層用積層体の第2プリプレグ,第2銅箔層,第3プリプレグおよび第3銅箔層を積層する際、好ましくは、上記第2銅箔層の積層後および上記第3銅箔層の積層後にそれぞれプレスを行う。
【0017】
本発明で、3層構成の回路配線を有するプリント配線板を製造するには、両面が平滑な支持基板の周囲に第1プリプレグを配置する第1工程と、上記支持基板の両面にそれぞれ第1銅箔層を配置する第2工程と、上記各第1銅箔層の上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第2プリプレグをそれぞれ配置する第3工程と、上記各第2プリプレグの上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第2銅箔層をそれぞれ配置して第1回目の積層プレスを行う第4工程と、上記各第2銅箔層の上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第3プリプレグをそれぞれ配置する第5工程と、上記各第3プリプレグの上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第3銅箔層をそれぞれ配置して第2回目の積層プレスを行う第6工程と、上記第2回目の積層プレスで得られた積層体を上記支持基板の端部より内側の所定の輪郭線に沿って切断する第7工程とを順次行って、上記支持基板の両面から、それぞれ上記第1銅箔層,上記第2プリプレグ,上記第2銅箔層,上記第3プリプレグおよび上記第3銅箔層を含む3層構成のプリント配線板を分離する。
【0018】
本発明において、上記支持基板には、好ましくは両面銅張り積層基板が用いられる。
【0019】
上記支持基板が両面銅張り積層基板である場合、上記第1プリプレグとして、上記両面銅張り積層基板から引き出された基材を用いることができる。
【0020】
上記第1銅箔層が面積的に上記支持基板よりも小さい場合には、上記第7工程における切断が上記第1銅箔層の端部より内側の輪郭線に沿って行われる。
【0021】
本発明には、上記第4工程と上記第5工程との間で上記第2銅箔層に内層回路配線が形成され、上記第7工程を行ったのちに上記第1銅箔層と上記第3銅箔層とにそれぞれ外層回路配線が形成される態様が含まれる。
【0022】
また、上記外層回路配線に、上記外層回路配線と上記内層回路配線との間で電気的導通をとるビアコンタクトが形成されてよい。
【0023】
本発明で、5層構成の回路配線を有するプリント配線板を製造するには、上記第6工程と上記第7工程との間で、上記各第3銅箔層の上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第4プリプレグをそれぞれ配置したのち、上記各第4プリプレグの上にさらに上記支持基板よりも大きな面積を有する第4銅箔層を積層して第3回目の積層プレスを行い、上記各第4銅箔層の上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第5プリプレグをそれぞれ配置したのち、上記各第5プリプレグの上にさらに上記支持基板よりも大きな面積を有する第5銅箔層を積層して第4回目の積層プレスを行い、上記第7工程の切断工程を経て、上記支持基板の両面から、それぞれ上記第1銅箔層,上記第2プリプレグ,上記第2銅箔層,上記第3プリプレグ,上記第3銅箔層,上記第4プリプレグ,上記第4銅箔層,上記第5プリプレグおよび上記第5銅箔層からなる5層構成のプリント配線板を分離する。
【0024】
また、本発明で、7層構成の回路配線を有するプリント配線板を製造するには、上記第4回目のプレスを行った後に、上記各第5銅箔層の上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第6プリプレグをそれぞれ配置したのち、上記各第6プリプレグの上にさらに上記支持基板よりも大きな面積を有する第6銅箔層を積層して第5回目の積層プレスを行い、上記各第6銅箔層の上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第7プリプレグをそれぞれ配置したのち、上記各第7プリプレグの上にさらに上記支持基板よりも大きな面積を有する第7銅箔層を積層して第6回目の積層プレスを行い、上記第7工程の切断工程を経て、上記支持基板の両面から、それぞれ上記第1銅箔層,上記第2プリプレグ,上記第2銅箔層,上記第3プリプレグ,上記第3銅箔層,上記第4プリプレグ,上記第4銅箔層,上記第5プリプレグ,上記第5銅箔層,上記第6プリプレグ,上記第6銅箔層,上記第7プリプレグおよび上記第7銅箔層からなる7層構成のプリント配線板を分離する。
【0025】
上記プリプレグに代えて、ビルドアップ用の絶縁樹脂が用いられてもよい。
【0026】
本発明には、上記プリント配線板の製造方法によって製造された奇数層構成の回路配線を有するプリント配線板も含まれる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、支持基板の両面に、それぞれ第1銅箔層,第2プリプレグ,第2銅箔層,第3プリプレグおよび第3銅箔層を含む少なくとも3層構成の回路配線を有するプリント配線板が同時に形成されるため、生産性が2倍程度高められる(5層以上の奇数層構成のプリント配線板も同様)。
【0028】
また、各プリント配線板は、内層回路配線形成用の第2銅箔層の両面に、それぞれプリプレグを介して外層回路配線形成用の第1銅箔層と第3銅箔層とが対称的に積層され、その層構成が第2銅箔層の両面で同一であることから、積層プレス時、およびその後の工程での内部応力の解放に伴う基板の反りを最小限にとどめることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1a】本発明に使用される支持基板を示す模式図。
【図1b】本発明の第1工程〜第4工程を説明するための模式図。
【図1c】本発明の第1回目の積層プレスで得られる積層体を示す模式図。
【図1d】本発明で上記積層体に内層回路配線を形成した状態を示す模式図。
【図1e】本発明の第5工程〜第6工程を説明するための模式図。
【図1f】本発明の第7工程を説明するための模式図。
【図1g】本発明で支持基板からプリント配線板を分離する工程を示す模式図。
【図1h】上記支持基板から分離された2枚のプリント配線板を示す模式図。
【図1i】上記各プリント配線板に外層回路配線を形成した状態を示す模式図。
【図2】(a)〜(e)従来の3層プリント配線板の製造工程を示す模式図。
【図3】従来例で作製された3層プリント配線板に反りが発生した状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、図1a〜図1iにより、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
奇数層構成の回路配線を有するプリント配線板を製造するにあたって、本発明では、両面が平滑な支持基板と、上記支持基板の周囲に配置される第1プリプレグと、上記支持基板の両面に配置される第1銅箔層と、それぞれが上記支持基板よりも大きな面積を有して順次積層される第2プリプレグ,第2銅箔層,第3プリプレグおよび第3銅箔層を含む多層用積層体とを有し、上記支持基板の周囲に第1プリプレグを配置するとともに、上記支持基板の両面にそれぞれ第1銅箔層を配置したのち、上記各第1銅箔層の上に、それぞれ上記多層用積層体を所定層数分積層してプレスにより一体化した積層母体を得たのち、上記積層母体を上記支持基板の端部より内側の所定の輪郭線に沿って切断することにより、上記支持基板の両面から、奇数層構成の回路配線を有するプリント配線板を分離する。
【0032】
上記多層用積層体の第2プリプレグ,第2銅箔層,第3プリプレグおよび第3銅箔層を積層する際、好ましくは、上記第2銅箔層の積層後および上記第3銅箔層の積層後にそれぞれプレスを行うとよい。
【0033】
次に、奇数層構成のプリント配線板のうち、3層構成のプリント配線板を製造する場合について説明すると、まず、図1aに示すように、両面が平滑な支持基板100を用意する。
【0034】
支持基板100は、最終的に廃材として処理されるが、その廃材処理時の分別を容易とするため、積層基板と同じ組成の両面プリント配線板、すなわち、基材(プリプレグ)111の両面に銅箔層112,113を有する両面銅張り積層基板110であることが好ましい。
【0035】
第1工程として、図1bに示すように、支持基板100の周囲に第1プリプレグ101を配置する。支持基板100に両面銅張り積層基板110を用いる場合、その周面から基材111を引き出し、基材部が銅箔部よりも大きくなっている形態として、第1プリプレグ101の代わりとしてもよい。
【0036】
第2工程として、図1bに示すように、支持基板100の両面に、それぞれ第1銅箔層210,310を配置する。第1銅箔層210,310は、面積的に支持基板100と同じであることが好ましいが、支持基板100よりも大きくてもよいし、反対に小さくてもよい。
【0037】
第3工程として、図1bに示すように、一方の第1銅箔層210の上に、支持基板100よりも大きな面積を有する第2プリプレグ220を配置し、同様に、他方の第1銅箔層310の上にも、支持基板100よりも大きな面積を有する第2プリプレグ320を配置する。第2プリプレグ220と第2プリプレグ320は、同一素材かつ同一厚さであることが好ましい。
【0038】
第4工程として、図1bに示すように、一方の第2プリプレグ220の上に、支持基板100よりも大きな面積を有する第2銅箔層230を配置し、同様に、他方の第2プリプレグ320の上にも、支持基板100よりも大きな面積を有する第2銅箔層330を配置したのち、第1回目の積層プレスを行う。
【0039】
この第1回目の積層プレスにより、支持基板100の周辺部において、第1プリプレグ101と、第2プリプレグ220,320とが密着結合し、図1cに示すように、支持基板100を中心コアとして第1銅箔層210,310と第2銅箔層230,330とが一体化された積層体120が得られる。
【0040】
3層構成のプリント配線板において、積層体120の外面に露出している第2銅箔層230,330は内層回路配線形成用の銅箔層であるため、図1dに示すように、第2銅箔層230,330に内層回路配線230a,330aを必要に応じて形成する。回路配線の形成は、例えばサブトラクティブ法などでよい。
【0041】
なお、第2銅箔層230,330を例えば回路基板の内部電源層もしくは内部シールド層とする場合には、第2銅箔層230,330をベタパターンとして、そのまま残すこともできる。また、内層回路配線230a,330aの回路パターンは任意に設計されてよい。
【0042】
次に、第5工程として、好ましくは内層回路配線230a、330aの銅箔に粗面化処理を施したのち、図1eに示すように、一方の内層回路配線230a(第2銅箔層230)の上に、支持基板100よりも大きな面積を有する第3プリプレグ240を配置するとともに、他方の内層回路配線330a(第2銅箔層330)の上に、支持基板100よりも大きな面積を有する第3プリプレグ340を配置する。
【0043】
そして、第6工程として、図1eに示すように、一方の第3プリプレグ240の上に、支持基板100よりも大きな面積を有する第3銅箔層250を配置し、同様に、他方の第3プリプレグ340の上にも、支持基板100よりも大きな面積を有する第3銅箔層350を配置したのち、第2回目の積層プレスを行う。
【0044】
この第2回目の積層プレスにより、図1fに示すように、上記積層体120の両面に第3プリプレグ240,340を介して第3銅箔層250,350が一体的に積層された積層体130が得られる。
【0045】
この積層体130には、第1銅箔層210,第2プリプレグ220,第2銅箔層230,第3プリプレグ240,第3銅箔層250を含み支持基板100の一方の面側に形成された3層構成のプリント配線板200と、第1銅箔層310,第2プリプレグ320,第2銅箔層330,第3プリプレグ340,第3銅箔層350を含み支持基板100の他方の面側に形成された3層構成のプリント配線板300の2枚の3層構成のプリント配線板が含まれている。
【0046】
積層体130の周辺部分は、各プリプレグの樹脂によって封止されているため、内部に空気溜まりが発生したり、製造プロセスで外部から薬品等が流入することもない。
【0047】
次に、第7工程として、積層体130を図1fに示す支持基板100の端部より内側の所定の輪郭線に沿ってルーターなどにより切断して、積層体130の各プリプレグ101,220,320,240,340にて結合されている周辺部分を切り離す。
【0048】
なお、第1銅箔層210,310が面積的に支持基板100よりも小さい場合には、第1銅箔層210,310の端部より内側の所定の輪郭線に沿って積層体130の周辺部分を切り離す。
【0049】
支持基板100と第1銅箔層210,310は接着されていないため、積層体130の周辺部分を切り離すことにより、図1gに示すように、支持基板100から3層構成のプリント配線板200と300とを容易に分離することができる。図1hに、支持基板100から分離された2枚の3層構成のプリント配線板200,300を示す。
【0050】
この3層構成のプリント配線板200,300において、第1銅箔層210,310と、第3銅箔層250,350は、それぞれ外層回路配線形成用の銅箔層であるため、最終的に図1iに示すように、レーザー穴あけ加工により、第1銅箔層210,310と、第3銅箔層250,350とに、内層回路配線との導通接続用のビアを形成し、また、銅めっき(必要に応じて、ビアフィルめっき)を行って、第1銅箔層210,310と、第3銅箔層250,350とに、それぞれ外層回路配線210a,310a,250a,350aを形成し、必要に応じて、ソルダレジスト層等を形成して、3層構成のプリント配線板200,300の実基板を得る。
【0051】
外層回路配線210a,310a,250a,350aの形成は、内層回路配線と同じく、例えばサブトラクティブ法などでよい。また、プリプレグに代えてビルドアップ用の絶縁樹脂を用いてもよい。さらに、必要に応じて、レーザー穴あけ後に、ドリルによる穴あけを追加してもよい。
【0052】
支持基板100の厚さが薄く、第2プリプレグ220,320にて支持基板100の周辺部分を結合できる場合には、第1プリプレグ101を省略することができる。
【0053】
なお、5層構成のプリント配線板を製造する方法の一つの例としては、第6工程と第7工程との間で、各第3銅箔層250,350の上に支持基板100よりも大きな面積を有する第4プリプレグをそれぞれ配置したのち、各第4プリプレグの上にさらに支持基板100よりも大きな面積を有する第4銅箔層を積層して第3回目の積層プレスを行い、各第4銅箔層の上に支持基板100よりも大きな面積を有する第5プリプレグをそれぞれ配置したのち、各第5プリプレグの上にさらに支持基板100よりも大きな面積を有する第5銅箔層を積層して第4回目の積層プレスを行って、第7工程での切断を行えばよい。
【0054】
また、5層構成のプリント配線板を製造する方法の他の例としては、第7工程で切断、分離された各3層構成のプリント配線板200,300の各第1銅箔層と各第3銅箔層の上に、プリント配線板200,300よりも大きな面積を有する第4プリプレグをそれぞれ配置したのち、その各第4プリプレグの上にさらにプリント配線板200,300よりも大きな面積を有する第4銅箔層を積層して積層プレスを行えばよい。
【0055】
上記したように、本発明によれば、支持基板を中心に配置し、その両面側に均等に逐次積層(ビルドアップ)していくため、積層状態での反りはほとんど発生しない。また、積層体の周囲の接合部を切断・除去することにより、2枚の3層基板を分割して得るため、3層基板自体の反りも小さく抑えることができる。
【0056】
また、製造工程で取り扱う積層基板の厚さが比較的厚くなるため、薄板特有の搬送トラブルの発生や設備改造(専用設備の新規導入を含む)を回避することができ、既存の厚膜基板の製造設備で対応することができる。
【符号の説明】
【0057】
100 支持基板
101 第1プリプレグ
110 両面銅張り積層基板
210,310 第1銅箔層
220,320 第2プリプレグ
230,330 第2銅箔層
230a,330a 内層回路配線
240,340 第3プリプレグ
250,350 第3銅箔層
250a,350a 外層回路配線
【技術分野】
【0001】
本発明は、3層に代表される奇数構成の薄膜プリント配線板の製造方法およびそれによって製造されたプリント配線板に関し、さらに詳しく言えば、奇数層構成特有の問題とされたていた基板の反りを防止する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器、特に携帯型電子機器等の分野では、近年ますます薄型化の要求が厳しくなっており、これに伴って電子機器に搭載されるプリント配線板にもミクロンオーダーでの薄型化が求められている。
【0003】
この要望に応える方法の1つとして、例えば4層構成のプリント配線板を1層減らして3層構成とすることが行われている。1層減らすことにより、例えば20μm程度の薄型化がはかれる。
【0004】
特許文献1には、3層構成のプリント配線板の製造方法の一例が記載されており、これについて、図2(a)〜(e)により説明する。
【0005】
まず、図2(a)に示すように、コア基板10として、基材11の両面に銅箔層12,13を有する両面銅張り積層基板を用いる。
【0006】
次に、図2(b)に示すように、コア基板10の両面に図示しない感光性のフィルムを貼り付け、回路を形成する一方の銅箔層13のみに内層回路配線形成用のパターンを焼き付け、エッチングして内層回路配線13aを形成する。他方の銅箔層12は、外層回路配線形成用としてベタパターンのまま残す。
【0007】
次に、両面を他の材料との密着性を高めるため所定の薬剤にて粗面化処理したのち、図2(c)に示すように、内層回路配線13aを形成した面側に、絶縁層としてのプリプレグ14を介して外層回路配線形成用の銅箔層15を積層しプレスして、図2(d)に示す配線板20を作製する。
【0008】
そして、銅箔層12の粗面化処理面を化学研磨などで除去したのち、図2(e)に示すように、銅箔層12,15にそれぞれ外層回路配線12a,15aを形成し、適宜穴明けを行い、めっき層やソルダレジスト層等を形成して、3層のプリント配線板20の実基板を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−261441号公報(段落〔0002〕参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来技術では、両面銅張り積層基板からなるコア基板10の片面側(内層回路配線形成面側)に、プリプレグ14を介して外層回路配線形成用の銅箔層15をプレスするようにしているため、次のような問題が生ずる。
【0011】
ずなわち、コア基板10に用いられる基材11とプリプレグ14とでは、積層プレス時の基材収縮量(発生内部応力)に差がある。そのため、図3に示すように、プリント配線板20に反りが発生することがある。この反りは、後工程での内部応力の解放時にも現れる。
【0012】
この種の基板の反りは、製造工程での搬送時や、ハンドリングする際のトラブルを引き起こす原因になるばかりでなく、部品実装位置にずれを生じさせ、自動機での部品実装時に誤実装を招きかねない。
【0013】
なお、この反りは、上記のようにして3層プリント配線板を製造するかぎり、3層プリント配線板の両面にさらにプリプレグを介して銅箔層を積層プレス(ビルドアップ)して、5層以上とする奇数層プリント配線板についても同様に発生する。
【0014】
したがって、本発明の課題は、3層,5層…と言った奇数層構成のプリント配線板をプレスによって製造するにあたり、内部応力の差によって反りが生じないようにするとともに、生産性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明は、奇数層構成の回路配線を有するプリント配線板を製造するプリント配線板の製造方法において、両面が平滑な支持基板と、上記支持基板の周囲に配置される第1プリプレグと、上記支持基板の両面に配置される第1銅箔層と、それぞれが上記支持基板よりも大きな面積を有して順次積層される第2プリプレグ,第2銅箔層,第3プリプレグおよび第3銅箔層を含む多層用積層体とを有し、上記支持基板の周囲に第1プリプレグを配置するとともに、上記支持基板の両面にそれぞれ第1銅箔層を配置したのち、上記各第1銅箔層の上に、それぞれ上記多層用積層体を所定層数分積層してプレスにより一体化した積層母体を得たのち、上記積層母体を上記支持基板の端部より内側の所定の輪郭線に沿って切断することにより、上記支持基板の両面から、奇数層構成の回路配線を有するプリント配線板を分離することを特徴としている。
【0016】
上記多層用積層体の第2プリプレグ,第2銅箔層,第3プリプレグおよび第3銅箔層を積層する際、好ましくは、上記第2銅箔層の積層後および上記第3銅箔層の積層後にそれぞれプレスを行う。
【0017】
本発明で、3層構成の回路配線を有するプリント配線板を製造するには、両面が平滑な支持基板の周囲に第1プリプレグを配置する第1工程と、上記支持基板の両面にそれぞれ第1銅箔層を配置する第2工程と、上記各第1銅箔層の上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第2プリプレグをそれぞれ配置する第3工程と、上記各第2プリプレグの上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第2銅箔層をそれぞれ配置して第1回目の積層プレスを行う第4工程と、上記各第2銅箔層の上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第3プリプレグをそれぞれ配置する第5工程と、上記各第3プリプレグの上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第3銅箔層をそれぞれ配置して第2回目の積層プレスを行う第6工程と、上記第2回目の積層プレスで得られた積層体を上記支持基板の端部より内側の所定の輪郭線に沿って切断する第7工程とを順次行って、上記支持基板の両面から、それぞれ上記第1銅箔層,上記第2プリプレグ,上記第2銅箔層,上記第3プリプレグおよび上記第3銅箔層を含む3層構成のプリント配線板を分離する。
【0018】
本発明において、上記支持基板には、好ましくは両面銅張り積層基板が用いられる。
【0019】
上記支持基板が両面銅張り積層基板である場合、上記第1プリプレグとして、上記両面銅張り積層基板から引き出された基材を用いることができる。
【0020】
上記第1銅箔層が面積的に上記支持基板よりも小さい場合には、上記第7工程における切断が上記第1銅箔層の端部より内側の輪郭線に沿って行われる。
【0021】
本発明には、上記第4工程と上記第5工程との間で上記第2銅箔層に内層回路配線が形成され、上記第7工程を行ったのちに上記第1銅箔層と上記第3銅箔層とにそれぞれ外層回路配線が形成される態様が含まれる。
【0022】
また、上記外層回路配線に、上記外層回路配線と上記内層回路配線との間で電気的導通をとるビアコンタクトが形成されてよい。
【0023】
本発明で、5層構成の回路配線を有するプリント配線板を製造するには、上記第6工程と上記第7工程との間で、上記各第3銅箔層の上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第4プリプレグをそれぞれ配置したのち、上記各第4プリプレグの上にさらに上記支持基板よりも大きな面積を有する第4銅箔層を積層して第3回目の積層プレスを行い、上記各第4銅箔層の上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第5プリプレグをそれぞれ配置したのち、上記各第5プリプレグの上にさらに上記支持基板よりも大きな面積を有する第5銅箔層を積層して第4回目の積層プレスを行い、上記第7工程の切断工程を経て、上記支持基板の両面から、それぞれ上記第1銅箔層,上記第2プリプレグ,上記第2銅箔層,上記第3プリプレグ,上記第3銅箔層,上記第4プリプレグ,上記第4銅箔層,上記第5プリプレグおよび上記第5銅箔層からなる5層構成のプリント配線板を分離する。
【0024】
また、本発明で、7層構成の回路配線を有するプリント配線板を製造するには、上記第4回目のプレスを行った後に、上記各第5銅箔層の上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第6プリプレグをそれぞれ配置したのち、上記各第6プリプレグの上にさらに上記支持基板よりも大きな面積を有する第6銅箔層を積層して第5回目の積層プレスを行い、上記各第6銅箔層の上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第7プリプレグをそれぞれ配置したのち、上記各第7プリプレグの上にさらに上記支持基板よりも大きな面積を有する第7銅箔層を積層して第6回目の積層プレスを行い、上記第7工程の切断工程を経て、上記支持基板の両面から、それぞれ上記第1銅箔層,上記第2プリプレグ,上記第2銅箔層,上記第3プリプレグ,上記第3銅箔層,上記第4プリプレグ,上記第4銅箔層,上記第5プリプレグ,上記第5銅箔層,上記第6プリプレグ,上記第6銅箔層,上記第7プリプレグおよび上記第7銅箔層からなる7層構成のプリント配線板を分離する。
【0025】
上記プリプレグに代えて、ビルドアップ用の絶縁樹脂が用いられてもよい。
【0026】
本発明には、上記プリント配線板の製造方法によって製造された奇数層構成の回路配線を有するプリント配線板も含まれる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、支持基板の両面に、それぞれ第1銅箔層,第2プリプレグ,第2銅箔層,第3プリプレグおよび第3銅箔層を含む少なくとも3層構成の回路配線を有するプリント配線板が同時に形成されるため、生産性が2倍程度高められる(5層以上の奇数層構成のプリント配線板も同様)。
【0028】
また、各プリント配線板は、内層回路配線形成用の第2銅箔層の両面に、それぞれプリプレグを介して外層回路配線形成用の第1銅箔層と第3銅箔層とが対称的に積層され、その層構成が第2銅箔層の両面で同一であることから、積層プレス時、およびその後の工程での内部応力の解放に伴う基板の反りを最小限にとどめることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1a】本発明に使用される支持基板を示す模式図。
【図1b】本発明の第1工程〜第4工程を説明するための模式図。
【図1c】本発明の第1回目の積層プレスで得られる積層体を示す模式図。
【図1d】本発明で上記積層体に内層回路配線を形成した状態を示す模式図。
【図1e】本発明の第5工程〜第6工程を説明するための模式図。
【図1f】本発明の第7工程を説明するための模式図。
【図1g】本発明で支持基板からプリント配線板を分離する工程を示す模式図。
【図1h】上記支持基板から分離された2枚のプリント配線板を示す模式図。
【図1i】上記各プリント配線板に外層回路配線を形成した状態を示す模式図。
【図2】(a)〜(e)従来の3層プリント配線板の製造工程を示す模式図。
【図3】従来例で作製された3層プリント配線板に反りが発生した状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、図1a〜図1iにより、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
奇数層構成の回路配線を有するプリント配線板を製造するにあたって、本発明では、両面が平滑な支持基板と、上記支持基板の周囲に配置される第1プリプレグと、上記支持基板の両面に配置される第1銅箔層と、それぞれが上記支持基板よりも大きな面積を有して順次積層される第2プリプレグ,第2銅箔層,第3プリプレグおよび第3銅箔層を含む多層用積層体とを有し、上記支持基板の周囲に第1プリプレグを配置するとともに、上記支持基板の両面にそれぞれ第1銅箔層を配置したのち、上記各第1銅箔層の上に、それぞれ上記多層用積層体を所定層数分積層してプレスにより一体化した積層母体を得たのち、上記積層母体を上記支持基板の端部より内側の所定の輪郭線に沿って切断することにより、上記支持基板の両面から、奇数層構成の回路配線を有するプリント配線板を分離する。
【0032】
上記多層用積層体の第2プリプレグ,第2銅箔層,第3プリプレグおよび第3銅箔層を積層する際、好ましくは、上記第2銅箔層の積層後および上記第3銅箔層の積層後にそれぞれプレスを行うとよい。
【0033】
次に、奇数層構成のプリント配線板のうち、3層構成のプリント配線板を製造する場合について説明すると、まず、図1aに示すように、両面が平滑な支持基板100を用意する。
【0034】
支持基板100は、最終的に廃材として処理されるが、その廃材処理時の分別を容易とするため、積層基板と同じ組成の両面プリント配線板、すなわち、基材(プリプレグ)111の両面に銅箔層112,113を有する両面銅張り積層基板110であることが好ましい。
【0035】
第1工程として、図1bに示すように、支持基板100の周囲に第1プリプレグ101を配置する。支持基板100に両面銅張り積層基板110を用いる場合、その周面から基材111を引き出し、基材部が銅箔部よりも大きくなっている形態として、第1プリプレグ101の代わりとしてもよい。
【0036】
第2工程として、図1bに示すように、支持基板100の両面に、それぞれ第1銅箔層210,310を配置する。第1銅箔層210,310は、面積的に支持基板100と同じであることが好ましいが、支持基板100よりも大きくてもよいし、反対に小さくてもよい。
【0037】
第3工程として、図1bに示すように、一方の第1銅箔層210の上に、支持基板100よりも大きな面積を有する第2プリプレグ220を配置し、同様に、他方の第1銅箔層310の上にも、支持基板100よりも大きな面積を有する第2プリプレグ320を配置する。第2プリプレグ220と第2プリプレグ320は、同一素材かつ同一厚さであることが好ましい。
【0038】
第4工程として、図1bに示すように、一方の第2プリプレグ220の上に、支持基板100よりも大きな面積を有する第2銅箔層230を配置し、同様に、他方の第2プリプレグ320の上にも、支持基板100よりも大きな面積を有する第2銅箔層330を配置したのち、第1回目の積層プレスを行う。
【0039】
この第1回目の積層プレスにより、支持基板100の周辺部において、第1プリプレグ101と、第2プリプレグ220,320とが密着結合し、図1cに示すように、支持基板100を中心コアとして第1銅箔層210,310と第2銅箔層230,330とが一体化された積層体120が得られる。
【0040】
3層構成のプリント配線板において、積層体120の外面に露出している第2銅箔層230,330は内層回路配線形成用の銅箔層であるため、図1dに示すように、第2銅箔層230,330に内層回路配線230a,330aを必要に応じて形成する。回路配線の形成は、例えばサブトラクティブ法などでよい。
【0041】
なお、第2銅箔層230,330を例えば回路基板の内部電源層もしくは内部シールド層とする場合には、第2銅箔層230,330をベタパターンとして、そのまま残すこともできる。また、内層回路配線230a,330aの回路パターンは任意に設計されてよい。
【0042】
次に、第5工程として、好ましくは内層回路配線230a、330aの銅箔に粗面化処理を施したのち、図1eに示すように、一方の内層回路配線230a(第2銅箔層230)の上に、支持基板100よりも大きな面積を有する第3プリプレグ240を配置するとともに、他方の内層回路配線330a(第2銅箔層330)の上に、支持基板100よりも大きな面積を有する第3プリプレグ340を配置する。
【0043】
そして、第6工程として、図1eに示すように、一方の第3プリプレグ240の上に、支持基板100よりも大きな面積を有する第3銅箔層250を配置し、同様に、他方の第3プリプレグ340の上にも、支持基板100よりも大きな面積を有する第3銅箔層350を配置したのち、第2回目の積層プレスを行う。
【0044】
この第2回目の積層プレスにより、図1fに示すように、上記積層体120の両面に第3プリプレグ240,340を介して第3銅箔層250,350が一体的に積層された積層体130が得られる。
【0045】
この積層体130には、第1銅箔層210,第2プリプレグ220,第2銅箔層230,第3プリプレグ240,第3銅箔層250を含み支持基板100の一方の面側に形成された3層構成のプリント配線板200と、第1銅箔層310,第2プリプレグ320,第2銅箔層330,第3プリプレグ340,第3銅箔層350を含み支持基板100の他方の面側に形成された3層構成のプリント配線板300の2枚の3層構成のプリント配線板が含まれている。
【0046】
積層体130の周辺部分は、各プリプレグの樹脂によって封止されているため、内部に空気溜まりが発生したり、製造プロセスで外部から薬品等が流入することもない。
【0047】
次に、第7工程として、積層体130を図1fに示す支持基板100の端部より内側の所定の輪郭線に沿ってルーターなどにより切断して、積層体130の各プリプレグ101,220,320,240,340にて結合されている周辺部分を切り離す。
【0048】
なお、第1銅箔層210,310が面積的に支持基板100よりも小さい場合には、第1銅箔層210,310の端部より内側の所定の輪郭線に沿って積層体130の周辺部分を切り離す。
【0049】
支持基板100と第1銅箔層210,310は接着されていないため、積層体130の周辺部分を切り離すことにより、図1gに示すように、支持基板100から3層構成のプリント配線板200と300とを容易に分離することができる。図1hに、支持基板100から分離された2枚の3層構成のプリント配線板200,300を示す。
【0050】
この3層構成のプリント配線板200,300において、第1銅箔層210,310と、第3銅箔層250,350は、それぞれ外層回路配線形成用の銅箔層であるため、最終的に図1iに示すように、レーザー穴あけ加工により、第1銅箔層210,310と、第3銅箔層250,350とに、内層回路配線との導通接続用のビアを形成し、また、銅めっき(必要に応じて、ビアフィルめっき)を行って、第1銅箔層210,310と、第3銅箔層250,350とに、それぞれ外層回路配線210a,310a,250a,350aを形成し、必要に応じて、ソルダレジスト層等を形成して、3層構成のプリント配線板200,300の実基板を得る。
【0051】
外層回路配線210a,310a,250a,350aの形成は、内層回路配線と同じく、例えばサブトラクティブ法などでよい。また、プリプレグに代えてビルドアップ用の絶縁樹脂を用いてもよい。さらに、必要に応じて、レーザー穴あけ後に、ドリルによる穴あけを追加してもよい。
【0052】
支持基板100の厚さが薄く、第2プリプレグ220,320にて支持基板100の周辺部分を結合できる場合には、第1プリプレグ101を省略することができる。
【0053】
なお、5層構成のプリント配線板を製造する方法の一つの例としては、第6工程と第7工程との間で、各第3銅箔層250,350の上に支持基板100よりも大きな面積を有する第4プリプレグをそれぞれ配置したのち、各第4プリプレグの上にさらに支持基板100よりも大きな面積を有する第4銅箔層を積層して第3回目の積層プレスを行い、各第4銅箔層の上に支持基板100よりも大きな面積を有する第5プリプレグをそれぞれ配置したのち、各第5プリプレグの上にさらに支持基板100よりも大きな面積を有する第5銅箔層を積層して第4回目の積層プレスを行って、第7工程での切断を行えばよい。
【0054】
また、5層構成のプリント配線板を製造する方法の他の例としては、第7工程で切断、分離された各3層構成のプリント配線板200,300の各第1銅箔層と各第3銅箔層の上に、プリント配線板200,300よりも大きな面積を有する第4プリプレグをそれぞれ配置したのち、その各第4プリプレグの上にさらにプリント配線板200,300よりも大きな面積を有する第4銅箔層を積層して積層プレスを行えばよい。
【0055】
上記したように、本発明によれば、支持基板を中心に配置し、その両面側に均等に逐次積層(ビルドアップ)していくため、積層状態での反りはほとんど発生しない。また、積層体の周囲の接合部を切断・除去することにより、2枚の3層基板を分割して得るため、3層基板自体の反りも小さく抑えることができる。
【0056】
また、製造工程で取り扱う積層基板の厚さが比較的厚くなるため、薄板特有の搬送トラブルの発生や設備改造(専用設備の新規導入を含む)を回避することができ、既存の厚膜基板の製造設備で対応することができる。
【符号の説明】
【0057】
100 支持基板
101 第1プリプレグ
110 両面銅張り積層基板
210,310 第1銅箔層
220,320 第2プリプレグ
230,330 第2銅箔層
230a,330a 内層回路配線
240,340 第3プリプレグ
250,350 第3銅箔層
250a,350a 外層回路配線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
奇数層構成の回路配線を有するプリント配線板を製造するプリント配線板の製造方法において、
両面が平滑な支持基板と、上記支持基板の周囲に配置される第1プリプレグと、上記支持基板の両面に配置される第1銅箔層と、それぞれが上記支持基板よりも大きな面積を有して順次積層される第2プリプレグ,第2銅箔層,第3プリプレグおよび第3銅箔層を含む多層用積層体とを有し、
上記支持基板の周囲に第1プリプレグを配置するとともに、上記支持基板の両面にそれぞれ第1銅箔層を配置したのち、上記各第1銅箔層の上に、それぞれ上記多層用積層体を所定層数分積層してプレスにより一体化した積層母体を得たのち、上記積層母体を上記支持基板の端部より内側の所定の輪郭線に沿って切断することにより、上記支持基板の両面から、奇数層構成の回路配線を有するプリント配線板を分離することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項2】
上記多層用積層体の第2プリプレグ,第2銅箔層,第3プリプレグおよび第3銅箔層を積層する際、上記第2銅箔層の積層後および上記第3銅箔層の積層後にそれぞれプレスを行うことを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項3】
奇数層構成の回路配線を有するプリント配線板を製造するプリント配線板の製造方法において、
両面が平滑な支持基板の周囲に第1プリプレグを配置する第1工程と、
上記支持基板の両面にそれぞれ第1銅箔層を配置する第2工程と、
上記各第1銅箔層の上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第2プリプレグをそれぞれ配置する第3工程と、
上記各第2プリプレグの上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第2銅箔層をそれぞれ配置して第1回目の積層プレスを行う第4工程と、
上記各第2銅箔層の上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第3プリプレグをそれぞれ配置する第5工程と、
上記各第3プリプレグの上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第3銅箔層をそれぞれ配置して第2回目の積層プレスを行う第6工程と、
上記第2回目の積層プレスで得られた積層体を上記支持基板の端部より内側の所定の輪郭線に沿って切断する第7工程とを順次行って、
上記支持基板の両面から、それぞれ上記第1銅箔層,上記第2プリプレグ,上記第2銅箔層,上記第3プリプレグおよび上記第3銅箔層を含む3層構成のプリント配線板を分離することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項4】
上記支持基板に、両面銅張り積層基板を用いることを特徴とする請求項3に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
上記第1プリプレグとして、上記両面銅張り積層基板から引き出された基材を用いることを特徴とする請求項4に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項6】
上記第1銅箔層が面積的に上記支持基板よりも小さい場合には、上記第7工程における切断が上記第1銅箔層の端部より内側の輪郭線に沿って行われることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項7】
上記第4工程と上記第5工程との間で上記第2銅箔層に内層回路配線が形成され、上記第7工程を行ったのちに上記第1銅箔層と上記第3銅箔層とにそれぞれ外層回路配線が形成されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項8】
上記外層回路配線に、上記外層回路配線と上記内層回路配線との間で電気的導通をとるビアコンタクトが形成される請求項7に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項9】
上記第6工程と上記第7工程との間で、上記各第3銅箔層の上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第4プリプレグをそれぞれ配置したのち、上記各第4プリプレグの上にさらに上記支持基板よりも大きな面積を有する第4銅箔層を積層して第3回目の積層プレスを行い、
上記各第4銅箔層の上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第5プリプレグをそれぞれ配置したのち、上記各第5プリプレグの上にさらに上記支持基板よりも大きな面積を有する第5銅箔層を積層して第4回目の積層プレスを行い、
上記第7工程の切断工程を経て、上記支持基板の両面から、それぞれ上記第1銅箔層,上記第2プリプレグ,上記第2銅箔層,上記第3プリプレグ,上記第3銅箔層,上記第4プリプレグ,上記第4銅箔層,上記第5プリプレグおよび上記第5銅箔層からなる5層構成のプリント配線板を分離することを特徴とする請求項3ないし8のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項10】
上記第4回目のプレスを行った後に、上記各第5銅箔層の上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第6プリプレグをそれぞれ配置したのち、上記各第6プリプレグの上にさらに上記支持基板よりも大きな面積を有する第6銅箔層を積層して第5回目の積層プレスを行い、
上記各第6銅箔層の上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第7プリプレグをそれぞれ配置したのち、上記各第7プリプレグの上にさらに上記支持基板よりも大きな面積を有する第7銅箔層を積層して第6回目の積層プレスを行い、
上記第7工程の切断工程を経て、上記支持基板の両面から、それぞれ上記第1銅箔層,上記第2プリプレグ,上記第2銅箔層,上記第3プリプレグ,上記第3銅箔層,上記第4プリプレグ,上記第4銅箔層,上記第5プリプレグ,上記第5銅箔層,上記第6プリプレグ,上記第6銅箔層,上記第7プリプレグおよび上記第7銅箔層からなる7層構成のプリント配線板を分離することを特徴とする請求項9に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項11】
上記プリプレグに代えて、ビルドアップ用の絶縁樹脂を用いることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法によって製造された奇数層構成の回路配線を有するプリント配線板。
【請求項1】
奇数層構成の回路配線を有するプリント配線板を製造するプリント配線板の製造方法において、
両面が平滑な支持基板と、上記支持基板の周囲に配置される第1プリプレグと、上記支持基板の両面に配置される第1銅箔層と、それぞれが上記支持基板よりも大きな面積を有して順次積層される第2プリプレグ,第2銅箔層,第3プリプレグおよび第3銅箔層を含む多層用積層体とを有し、
上記支持基板の周囲に第1プリプレグを配置するとともに、上記支持基板の両面にそれぞれ第1銅箔層を配置したのち、上記各第1銅箔層の上に、それぞれ上記多層用積層体を所定層数分積層してプレスにより一体化した積層母体を得たのち、上記積層母体を上記支持基板の端部より内側の所定の輪郭線に沿って切断することにより、上記支持基板の両面から、奇数層構成の回路配線を有するプリント配線板を分離することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項2】
上記多層用積層体の第2プリプレグ,第2銅箔層,第3プリプレグおよび第3銅箔層を積層する際、上記第2銅箔層の積層後および上記第3銅箔層の積層後にそれぞれプレスを行うことを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項3】
奇数層構成の回路配線を有するプリント配線板を製造するプリント配線板の製造方法において、
両面が平滑な支持基板の周囲に第1プリプレグを配置する第1工程と、
上記支持基板の両面にそれぞれ第1銅箔層を配置する第2工程と、
上記各第1銅箔層の上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第2プリプレグをそれぞれ配置する第3工程と、
上記各第2プリプレグの上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第2銅箔層をそれぞれ配置して第1回目の積層プレスを行う第4工程と、
上記各第2銅箔層の上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第3プリプレグをそれぞれ配置する第5工程と、
上記各第3プリプレグの上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第3銅箔層をそれぞれ配置して第2回目の積層プレスを行う第6工程と、
上記第2回目の積層プレスで得られた積層体を上記支持基板の端部より内側の所定の輪郭線に沿って切断する第7工程とを順次行って、
上記支持基板の両面から、それぞれ上記第1銅箔層,上記第2プリプレグ,上記第2銅箔層,上記第3プリプレグおよび上記第3銅箔層を含む3層構成のプリント配線板を分離することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項4】
上記支持基板に、両面銅張り積層基板を用いることを特徴とする請求項3に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
上記第1プリプレグとして、上記両面銅張り積層基板から引き出された基材を用いることを特徴とする請求項4に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項6】
上記第1銅箔層が面積的に上記支持基板よりも小さい場合には、上記第7工程における切断が上記第1銅箔層の端部より内側の輪郭線に沿って行われることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項7】
上記第4工程と上記第5工程との間で上記第2銅箔層に内層回路配線が形成され、上記第7工程を行ったのちに上記第1銅箔層と上記第3銅箔層とにそれぞれ外層回路配線が形成されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項8】
上記外層回路配線に、上記外層回路配線と上記内層回路配線との間で電気的導通をとるビアコンタクトが形成される請求項7に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項9】
上記第6工程と上記第7工程との間で、上記各第3銅箔層の上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第4プリプレグをそれぞれ配置したのち、上記各第4プリプレグの上にさらに上記支持基板よりも大きな面積を有する第4銅箔層を積層して第3回目の積層プレスを行い、
上記各第4銅箔層の上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第5プリプレグをそれぞれ配置したのち、上記各第5プリプレグの上にさらに上記支持基板よりも大きな面積を有する第5銅箔層を積層して第4回目の積層プレスを行い、
上記第7工程の切断工程を経て、上記支持基板の両面から、それぞれ上記第1銅箔層,上記第2プリプレグ,上記第2銅箔層,上記第3プリプレグ,上記第3銅箔層,上記第4プリプレグ,上記第4銅箔層,上記第5プリプレグおよび上記第5銅箔層からなる5層構成のプリント配線板を分離することを特徴とする請求項3ないし8のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項10】
上記第4回目のプレスを行った後に、上記各第5銅箔層の上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第6プリプレグをそれぞれ配置したのち、上記各第6プリプレグの上にさらに上記支持基板よりも大きな面積を有する第6銅箔層を積層して第5回目の積層プレスを行い、
上記各第6銅箔層の上に上記支持基板よりも大きな面積を有する第7プリプレグをそれぞれ配置したのち、上記各第7プリプレグの上にさらに上記支持基板よりも大きな面積を有する第7銅箔層を積層して第6回目の積層プレスを行い、
上記第7工程の切断工程を経て、上記支持基板の両面から、それぞれ上記第1銅箔層,上記第2プリプレグ,上記第2銅箔層,上記第3プリプレグ,上記第3銅箔層,上記第4プリプレグ,上記第4銅箔層,上記第5プリプレグ,上記第5銅箔層,上記第6プリプレグ,上記第6銅箔層,上記第7プリプレグおよび上記第7銅箔層からなる7層構成のプリント配線板を分離することを特徴とする請求項9に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項11】
上記プリプレグに代えて、ビルドアップ用の絶縁樹脂を用いることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法によって製造された奇数層構成の回路配線を有するプリント配線板。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図1f】
【図1g】
【図1h】
【図1i】
【図2】
【図3】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図1f】
【図1g】
【図1h】
【図1i】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2010−239010(P2010−239010A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86918(P2009−86918)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000103220)エルナー株式会社 (48)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000103220)エルナー株式会社 (48)
【Fターム(参考)】
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