説明

プリント配線板の製造方法及びプリント配線板

【課題】バイアホールを精度良く形成することが可能なプリント配線板の製造方法を提供する。
【解決手段】バイアホールを有するプリント配線板の製造方法は、第1の凸部を有する第1のインプリントモールドを、樹脂フィルムの第1の主面に押し付けて、樹脂フィルムに凹部を形成する第1の工程S11〜S13と、第2の凸部を有する第2のインプリントモールドを樹脂フィルムの第2の主面2に押し付け、第2の凸部を凹部まで貫通させて、樹脂フィルムに貫通孔を形成する第2の工程S21〜S23と、貫通孔の内部に導体を充填して、バイアホールを形成する第3の工程S30〜S50と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱インプリント法を用いたプリント配線板の製造方法、及びその製法によって製造されたプリント配線板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
突起部を有するインプリントモールドを用いて絶縁層に貫通孔を形成し、めっきによって当該貫通孔に銅を充填することで、バイアホールを有するプリント配線板を形成する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−36217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のバイアホールを有するプリント配線板を形成する場合には、インプリントモールドの突起部の加工バラツキによって、複数の貫通孔の中で絶縁層を完全に貫通しないものが生じる場合があり、複数のバイアホールを精度良く形成することが困難であるという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、バイアホールを精度良く形成することが可能なプリント配線板の製造方法及びプリント配線板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明に係るプリント配線板の製造方法は、バイアホールを有するプリント配線板の製造方法であって、第1の凸部を有する第1のインプリントモールドを、被成形体の第1の主面に押し付けて、前記被成形体に凹部を形成する第1の工程と、第2の凸部を有する第2のインプリントモールドを前記被成形体の第2の主面に押し付け、前記第2の凸部を前記凹部まで貫通させて、前記被成形体に貫通孔を形成する第2の工程と、前記貫通孔の内部に導体を充填して、前記バイアホールを形成する第3の工程と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
[2]上記発明において、前記第2の凸部は、前記第2の凸部の先端に向かうに従って連続的又は段階的に細くなる先細形状を有し、前記第2の凸部の先端の幅は、前記第1の凸部の幅よりも狭くてもよい。
【0008】
[3]上記発明において、前記第2の凸部は、前記第2の凸部の根元部分に台座部を有しており、前記第2の工程は、前記被成形体の前記第2の主面における前記貫通孔の開口に、前記台座部に対応した大径部を形成することを含み、前記第3の工程は、前記大径部の内部に導体を充填して、前記プリント配線板のランド部を形成することを含んでもよい。
【0009】
[4]上記発明において、前記第1の凸部は、前記第1の凸部の先端に向かうに従って連続的又は段階的に細くなる先細形状を有し、前記第1の凸部の先端の幅は、前記第2の凸部の幅よりも狭くてもよい。
【0010】
[5]上記発明において、前記第1の凸部は、前記第1の凸部の根元部分に台座部を有しており、前記第1の工程は、前記被成形体の前記第1の主面における前記貫通孔の開口に、前記台座部に対応した大径部を形成することを含み、前記第3の工程は、前記大径部の内部に導体を充填して、前記プリント配線板のランド部を形成することを含んでもよい。
【0011】
[6]上記発明において、前記第1のインプリントモールドは、前記第1の凸部とは独立した第3の凸部を有しており、前記第1の工程は、前記第3の凸部に対応した第1の溝部を、前記被成形体の前記第1の主面に形成することを含み、前記第3の工程は、前記第1の溝部の内部に導体を充填して、前記プリント配線板の第1の配線パターンを形成することを含んでもよい。
【0012】
[7]上記発明において、前記第2のインプリントモールドは、前記第2の凸部とは独立した第4の凸部を有しており、前記第2の工程は、前記第4の凸部に対応した第2の溝部を、前記被成形体の前記第2の主面に形成することを含み、前記第3の工程は、前記第2の溝部の内部に導体を充填して、前記プリント配線板の第2の配線パターンを形成することを含んでもよい。
【0013】
[8]また、本発明に係るプリント配線板は、基材と、前記基材を貫通するバイアホールと、を備えており、前記バイアホールは、ランド部と、先端で前記ランド部に繋がっていると共に、前記ランド部に向かうに従って連続的又は段階的に細くなっている貫通部と、を有し、前記貫通部の先端の幅は、前記ランド部の幅よりも狭くなっており、前記ランド部及び前記貫通部は、前記基材に埋め込まれていることを特徴とする。
【0014】
[9]また、本発明に係るプリント配線板は、基材と、前記基材を貫通するバイアホールと、を備えており、前記バイアホールは、前記バイアホールの上部に位置する第1のランド部と、前記バイアホールの下部に位置する第2のランド部と、前記第1のランド部と前記第2のランド部との間に介在する貫通部と、を有し、前記貫通部の幅は、前記第1のランド部の幅よりも狭くなっていると共に前記第2のランド部の幅よりも狭くなっており、前記第1のランド部、前記貫通部、及び前記第2のランド部は、前記基材に埋め込まれていることを特徴とする。
【0015】
[10]上記発明において、前記プリント配線板は、前記基材の少なくとも一方の主面に埋め込まれた配線パターンを備えてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第1のインプリントモールドを被成形体の第1の主面に押し付けて被成形体に凹部を形成し、第2のインプリントモールドを被成形体の第2の主面に押し付け、第2の凸部を凹部まで貫通させて、被成形体に貫通孔を形成するので、バイアホールを精度良く形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態におけるプリント配線板の構造を示す断面図である。
【図2】図2は、図1のII部における結晶の模式図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態におけるプリント配線板の製造方法を示すフローチャートである。
【図4】図4(a)は、本発明の第1実施形態における第1のインプリントモールドを示す断面図、図4(b)は本発明の第1実施形態における第2のインプリントモールドを示す断面図である。
【図5】図5(a)〜図5(c)は、図3のステップS11〜S13をそれぞれ示す図である。
【図6】図6(a)〜図6(c)は、図3のステップS21〜S23をそれぞれ示す図である。
【図7】図7(a)〜図7(c)は、図3のステップS30〜S50をそれぞれ示す図である。
【図8】図8(a)は、本発明の第2実施形態における第2のインプリントモールドを示す断面図であり、図8(b)は、図8(a)に示す第2のインプリントモールドを用いて製造されたプリント配線板を示す断面図である。
【図9】図9(a)は、本発明の第3実施形態における第2のインプリントモールドを示す断面図であり、図9(b)は、図9(a)に示す第2のインプリントモールドを用いて製造されたプリント配線板を示す断面図である。
【図10】図10(a)は、本発明の第4実施形態における第2のインプリントモールドを示す断面図であり、図10(b)は、図10(a)に示す第2のインプリントモールドを用いて製造されたプリント配線板を示す断面図である。
【図11】図11(a)は、本発明の第5実施形態における第1のインプリントモールドを示す断面図であり、図11(b)は、本発明の第5実施形態における第2のインプリントモールドを示す断面図である。
【図12】図12(a)は、本発明の第6実施形態における第1のインプリントモールドを示す断面図であり、図12(b)は、本発明の第6実施形態における第2のインプリントモールドを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
<<第1実施形態>>
先ず、本発明の第1実施形態におけるプリント配線板の製造方法によって製造されるプリント配線板10の構成について、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0020】
図1は本実施形態におけるプリント配線板の構成を示す断面図、図2は図1のII部における結晶の模式図である。
【0021】
本実施形態におけるプリント配線板10は、図1に示すように、絶縁性基材11と、バイアホール12と、第1の配線パターン13と、を備えている。
【0022】
絶縁性基材11は、例えば、ポリイミド(PI)、液晶ポリマ(LCP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の熱可塑性樹脂材料から構成されており、電気絶縁性を有している。
【0023】
この絶縁性基材11には、後述する熱インプリント法によって、バイアホール12に対応する貫通孔111や、第1の配線パターン13に対応する第1の溝部115が一体的に形成されている。この貫通孔111は、比較的大きな内径を有する凹部112を上部に有していると共に、凹部112よりも小さな内径の小径部113を下部に有している。
【0024】
本実施形態におけるバイアホール12は、第1のランド部121を上部に有すると共に、貫通部122を下部に有している。
【0025】
第1のランド部121は、絶縁性基材11の凹部112内に充填された銅(Cu)等の金属材料から構成されている。この第1のランド部121は、絶縁性基材11の第1の主面117(図1における上面)に埋設されていると共に、第1のランド部121の上面が絶縁性基材11の第1の主面117から露出している。
【0026】
貫通部122も、絶縁性基材11の小径部113内に充填された銅(Cu)等の金属材料から構成されている。この貫通部122は、第1のランド部121から絶縁性基材11の第2の主面118(図中における下面)まで当該絶縁性基材11を貫通している。
【0027】
本実施形態では、第1のランド部121と貫通部122とは界面のない状態で一体的に形成されている。第1のランド部121と貫通部122の断面を走査イオン顕微鏡法(SIM:Scanning Ion Microscopy)で観察すると、図2に示す模式図のように、境界のない結晶粒を観察することができる。
【0028】
第1の配線パターン13も、絶縁性基材11の第1の溝部115内に充填された銅(Cu)等の金属材料から構成されている。この第1の配線パターン13は、第1のランド部121と同様に、絶縁性基材11の第1の主面117に埋設されていると共に、その上面が絶縁性基材11の第1の主面117から露出している。なお、特に図示しないが、この第1の配線パターン13は、バイアホール12の第1のランド部121と繋がっている。
【0029】
なお、特に図示しないが、バイアホール12は、平面視において円形、矩形、或いは多角形等となっているのに対し、第1の配線パターン13は、平面視において絶縁性基材11上を線状に延在している。また、図1に示すプリント配線板10におけるバイアホール12や第1の配線パターン13の配置は一例に過ぎず、特にこれに限定されない。また、絶縁性基材11の第2の主面118に、サブトラクティブ法やセミアディティブ法によって配線パターンを形成してもよい。
【0030】
次に、本実施形態におけるプリント配線板10の製造方法について、図3〜図7を参照しながら説明する。図3は本実施形態におけるプリント配線板の製造方法を示すフローチャートであり、図4(a)及び図4(b)は本実施形態における第1及び第2のインプリントモールドをそれぞれ示す断面図、図5〜図7は図3の各ステップを示す図である。
【0031】
本実施形態では、熱インプリント法によって絶縁性基材11を形成した後に、めっき処理によって絶縁性基材11の貫通孔111や第1の溝部115に導体を充填することによってプリント配線板10を形成するが、特に絶縁性基材11を形成する際に、2つのインプリントモールド33,43を用いて、樹脂フィルム21の両面に対して成形を行う。
【0032】
具体的には、先ず、図3のステップS11において、図5(a)に示すように、第1のインプリント装置30の第1のステージ(下型)31の上に、絶縁性基材11を形成することとなる樹脂フィルム21を載置する。この際、特に図示しないが、樹脂フィルム21に形成されたアライメント用の貫通孔を基準として、画像認識によって樹脂フィルム21を第1のステージ31に対して位置決めする。この樹脂フィルム21は、例えば、10〜100[μm]程度の厚さを有している。本実施形態における樹脂フィルム21が、本発明における被成形体の一例に相当する。
【0033】
一方、第1のインプリント装置30のプレスヘッド32には、第1のインプリントモールド33が取り付けられている。ここで、第1のインプリントモールド33の構成について、図4(a)を参照しながら説明する。
【0034】
第1のインプリントモールド33は、例えば、シリコン(Si)から構成される熱インプリント用の金型である。この第1のインプリントモールド33は、図4(a)に示すように、第1のベース331と、第1の凸部333と、第3の凸部336と、を備えている。この第1のインプリントモールド33は、例えば、電子ビームリソグラフィ、フォトリソグラフィ、エッチングといった半導体製造技術等を用いて形成される。
【0035】
なお、この第1のインプリントモールド33を、シリコン(Si)に代えて、石英(SiO)、シリコンカーバイト(SiC)、グラッシーカーボン(GC)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、タンタル(Ta)等で構成してもよい。
【0036】
因みに、第1のインプリントモールド33を、ニッケル(Ni)や銅(Cu)等の金属材料で構成する場合には、シリコン(Si)等でモールドを一旦形成し、当該モールドの凹凸パターンを樹脂材料に転写して離型した後に、その樹脂材料にめっき等で金属を充填して剥離することで、金属製のモールドを形成する。
【0037】
第1の凸部333は、第1のベース331の一方の主面332(図中における下面)に設けられており、第1のベース331から下方に向かって突出している。この第1の凸部333は、プリント配線板10のバイアホール12に対応するように配置されており、この第1の凸部333によって、貫通孔111の凹部112が絶縁性基材11に形成される。
【0038】
また、第3の凸部336は、上述の第1の凸部333とは独立して、第1のベース331の一方の主面332上に設けられている。この第3の凸部336も、第1の凸部333と同様に、第1のベース331の一方の主面332から下方に向かって突出している。この第3の凸部336によって、第1の配線パターン13を形成するための第1の溝部115が絶縁性基材11に形成される。
【0039】
なお、特に図示しないが、第1の凸部333は、平面視において円形、矩形、或いは多角形等となっているのに対し、第3の凸部336は、平面視において第1のベース331上を線状に延在している。また、図4(a)に示す第1のインプリントモールド33における第1の凸部333や第3の凸部336の配置は一例に過ぎず、プリント配線板10のバイアホール12や第1の配線パターン13の配置に応じて決定される。
【0040】
図3のステップS11に戻り、第1のステージ31上に樹脂フィルム21が載置されたら、第1のステージ31や第1のプレスヘッド32に埋設されたヒータ(不図示)によって、樹脂フィルム21や第1のインプリントモールド33を、例えば150℃〜300℃程度まで加熱する。
【0041】
次いで、図3のステップS12において、減圧下で第1のプレスヘッド32を第1のステージ31に向かって下降させることで、図5(b)に示すように、第1のインプリントモールド33を樹脂フィルム21の第1の主面211(図中における上面)に押し付ける。
【0042】
第1のインプリントモールド33を樹脂フィルム21の第1の主面211に押し付けると、同図に示すように、第1のインプリントモールド33の表面形状(第1の凸部333や第3の凸部336の形状)が樹脂フィルム21に転写される。これにより、樹脂フィルム21に、貫通孔111の凹部112と第1の溝部115が形成される。この凹部112や第1の溝部115の深さは、例えば、1〜10[μm]程度である。
【0043】
なお、特に図示しないが、このステップS12において、樹脂フィルム21に凹部112と第1の溝部115と共に、樹脂フィルム21にアライメント用の貫通孔も形成する。
【0044】
次いで、図3のステップS13において、樹脂フィルム21を所定温度(例えば室温程度)まで冷却した後に、図5(c)に示すように、第1のプレスヘッド32を第1のステージ31から上昇させることで、第1のインプリントモールド33を樹脂フィルム21から取り外す。
【0045】
そして、第1のインプリント装置30から樹脂フィルム21を取り外したら、今度は、図3のステップS21において、図6(a)に示すように、第2のインプリント装置40の第2のステージ(下型)41の上に、当該樹脂フィルム21を載置する。この際、特に図示しないが、上述のステップS12で樹脂フィルム21に形成したアライメント用の貫通孔を基準として、画像認識によって樹脂フィルム21を第2のステージ41に対して位置決めする。
【0046】
なお、このステップS21では、樹脂フィルム21を上述のステップS11〜S13での姿勢から反転させて、樹脂フィルム21の第1の主面211が第2のステージ41と接するように、樹脂フィルム21を第2のステージ41上に載置する。
【0047】
この第2のインプリント装置40のプレスヘッド42には、第2のインプリントモールド43が取り付けられている。ここで、第2のインプリントモールド43の構成について、図4(b)を参照しながら説明する。
【0048】
第2のインプリントモールド43は、上述の第1のインプリントモールド33と同様に、例えば、シリコン(Si)から構成される熱インプリント用の金型である。この第2のインプリントモールド43は、図4(b)に示すように、第2のベース部431と、第2の凸部433と、を備えている。
【0049】
なお、この第2のインプリントモールド43を、シリコン(Si)に代えて、石英(SiO)、シリコンカーバイト(SiC)、グラッシーカーボン(GC)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、タンタル(Ta)等で構成してもよい。
【0050】
第2の凸部433は、第2のベース431の一方の主面432(図中における下面)に設けられており、第2のベース431から下方に向かって突出している。この第2の凸部433は、上述の第1のインプリントモールド33の第1の凸部333に対応するように配置されている。
【0051】
ここで、第2の凸部433の先端の幅wは、第1の凸部333の幅w(図4(a)参照)よりも相対的に狭くなっている(w<w)。一方、第2の凸部433の高さhは、第1の凸部333の高さh(図4(a)参照)よりも相対的に高くなっている(h>h)。すなわち、第2の凸部433は、第1の凸部333と比べて高アスペクト比となっている。
【0052】
また、第1の凸部333の高さhと第2の凸部433の高さhの合計は、樹脂フィルム21の厚さt(図5(a)参照)よりも相対的に厚くなっている(h+h>t)。このため、第2のインプリントモールド43を樹脂フィルム21に押し付けると、第2の凸部433が凹部112に到達し、第2の凸部433が樹脂フィルム21を貫通する。この第2の凸部433によって、貫通孔111の小径部113が絶縁性基材11に形成される。
【0053】
なお、特に図示しないが、第2の凸部433は、第1の凸部333と同様に、平面視において円形、矩形、或いは多角形等となっている。また、図4(b)に示す第2のインプリントモールド43における第2の凸部433の配置は一例に過ぎず、プリント配線板10のバイアホール12の配置に応じて決定される。
【0054】
図3のステップS21に戻り、第2のステージ41上に樹脂フィルム21が載置されたら、第2のステージ41や第2のプレスヘッド42に埋設されたヒータ(不図示)によって、樹脂フィルム21や第2のインプリントモールド43を、例えば150℃〜300℃程度まで加熱する。
【0055】
次いで、図3のステップS22において、減圧下で第2のプレスヘッド42を第2のステージ41に向かって下降させることで、図6(b)に示すように、第2のインプリントモールド43を樹脂フィルム21の第2の主面212(図中における上面)に押し付ける。
【0056】
第2のインプリントモールド43を樹脂フィルム21の第2の主面212に押し付けると、同図に示すように、第2のインプリントモールド43の表面形状(第2の凸部433の形状)が樹脂フィルム21に転写される。これにより、第2の凸部433が凹部112まで樹脂フィルム21を貫通し、樹脂フィルム21に貫通孔111の小径部113が形成されて、絶縁性基材11が完成する。
【0057】
次いで、図3のステップS23において、絶縁性基材11を所定温度(例えば室温程度)まで冷却した後に、図6(c)に示すように、第2のプレスヘッド42を第2のステージ41から上昇させることで、第2のインプリントモールド43を絶縁性基材11から取り外す。
【0058】
次いで、図3のステップS30において、図7(a)に示すように、絶縁性基材11の表面に、無電解めっきによって給電層22を形成する。この給電層22は、例えば、銅(Cu)等から構成されている。なお、無電解めっきに代えて、DPP(Direct Plating Process)、スパッタリング、真空蒸着、CVD(Chemical Vapor Deposition)等によって給電層を形成してもよく、給電層22を、例えばカーボンやパラジウム等で構成してもよい。
【0059】
次いで、図3のステップS40において、図7(b)に示すように、ステップS30で形成した給電層22を利用して、絶縁性基材11の貫通孔111及び第1の溝部115の内部に、電解めっきによって銅(Cu)等の金属材料を充填して、めっき層23を形成する。
【0060】
なお、図3のステップS30及びS40に代えて、絶縁性基材11の貫通孔111及び第1の溝部115の内部に、銀ペースト等の導電性ペーストをスクリーン印刷等によって充填することで、バイアホール12や第1の配線パターン13を形成してもよい。或いは、絶縁性基材11の貫通孔111及び第1の溝部115の内部に、ナノ銀インク等の導電性インクをインクジェット印刷等によって充填することで、バイアホール12や第1の配線パターン13を形成してもよい。
【0061】
次いで、図3のステップS50において、図7(c)に示すように、絶縁性基材11の第1の主面117が露出するまで、めっき層23をCMP(Chemical Mechanical Polishing)等によって研磨して平坦化する。これにより、プリント配線板10のバイアホール12や第1の配線パターン13が形成される。
【0062】
なお、めっき層23の上面を、テープ研磨、ラッピング研磨、ポリッシング等によって研磨することで平坦化してもよい。或いは、塩化銅、塩化鉄、アルカリエッチング液、又は過酸化水素水/硫酸系エッチング液等を用いたエッチングによって平坦化してもよいし、研磨とエッチングを組み合わせて平坦化してもよい。
【0063】
以上のように、本実施形態では、第1のインプリントモールド33を樹脂フィルム21の第1の主面211に押し付けて樹脂フィルム21に凹部112を形成し、第2のインプリントモールド43を樹脂フィルム21の第2の主面212に押し付け、第2の凸部433を凹部112まで貫通させて、樹脂フィルム21に貫通孔111を形成する。このため、高アスペクト比の第2の凸部433の加工バラツキを凹部112で吸収することができるので、貫通孔111を確実に貫通させることができ、バイアホール12を精度良く形成することができる。
【0064】
また、本実施形態では、第2の凸部433の先端の幅が、第1の凸部333の幅よりも狭くなっていると共に、第2のインプリントモールド43よりも先に、第1のインプリントモールド33によって貫通孔111の凹部112を形成する。このため、第2のインプリントモールド43によって貫通孔111の小径部113を形成しやすくなっており、貫通孔111をより確実に貫通させることが可能となっている。
【0065】
また、本実施形態では、第1の凸部333の高さと第2の凸部433の高さの合計は、樹脂フィルム21の厚さよりも相対的に厚くなっている。このため、第2のインプリントモールド43を樹脂フィルム21に押し付けると、第2の凸部433が凹部112に確実に到達する。
【0066】
なお、本実施形態では、第2のインプリントモールド43の第2の凸部433が第1のインプリントモールド33の第1の凸部333よりも細くなっているが、特にこれに限定されない。例えば、第2のインプリントモールドの第2の凸部と第1のインプリントモールドの第1の凸部とが実質的に同一の太さであってもよい。或いは、後述の第5実施形態や第6実施形態で説明するように、第2の凸部を第1の凸部よりも太くして、第1の凸部を第2の凸部と比較してアスペクト比を高くしてもよい。
【0067】
<<第2実施形態>>
図8(a)は本発明の第2実施形態における第2のインプリントモールドを示す断面図、図8(b)は図8(a)に示す第2のインプリントモールドを用いて製造されたプリント配線板を示す断面図である。
【0068】
本実施形態では、図3のステップS21〜S23において使用する第2のインプリントモールド43Bの構成が第1実施形態と相違するが、それ以外は第1実施形態と同様である。以下に、第2実施形態におけるプリント配線板の製造方法について第1実施形態との相違点についてのみ説明し、第1実施形態と同様である部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0069】
本実施形態における第2のインプリントモールド43Bは、図8(a)に示すように、第1実施形態と同様に、第2のベース431と、第2の凸部433Bと、を備えているが、第2の凸部433Bの形状が第1実施形態と相違している。
【0070】
この第2の凸部433Bは、同図に示すように、当該第2の凸部433Bの先端に向かうに従って連続的に細くなる先細形状を有している。この第2の凸部433Bの先端の幅wは、第1のインプリントモールド33の第1の凸部333の幅w(図4(a)参照)よりも狭くなっている(w<w)。
【0071】
この第2のインプリントモールド43Bを用いて製造されたプリント配線板10Bを図8(b)に示す。このプリント配線板10Bでは、図8(b)に示すように、絶縁性基材11において貫通孔111Bの小径部113Bが凹部112に向かうに従って連続的に細くなる先細形状に形成されていると共に、絶縁性基材11の貫通孔111Bにおける小径部113Bの先端の幅が、凹部112の幅よりも狭くなっている。このため、バイアホール12Bの貫通部122Bが第1のランド部121に向かうに従って連続的に細くなる先細形状となっていると共に、バイアホール12Bにおける貫通部122Bの先端の幅wが、第1のランド部121の幅wよりも狭くなっている(w<w)。また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、この貫通部122Bと第1のランド部121とは界面のない状態で一体的に形成されている。
【0072】
なお、第2のインプリントモールド43Bの第2の凸部433Bの形状を、当該第2の凸部433Bの先端に向かうに従って段階的に(すなわち階段状に)細くなる形状としてもよい。この場合には、プリント配線板10Bのバイアホール12Bの貫通部122Bの形状も、第1のランド部121に向かうに従って段階的に細くなる形状となる。
【0073】
以上のように、本実施形態では、第1実施形態と同様に、第1のインプリントモールド33を樹脂フィルム21の第1の主面211に押し付けて樹脂フィルム21に凹部112を形成し、第2のインプリントモールド43Bを樹脂フィルム21の第2の主面212に押し付け、第2の凸部433Bを凹部112まで貫通させて、樹脂フィルム21に貫通孔111Bを形成する。このため、高アスペクト比の第2の凸部433Bの加工バラツキを凹部112で吸収することができるので、貫通孔111Bを確実に貫通させることができ、バイアホール12Bを精度良く形成することができる。
【0074】
また、本実施形態では、第2の凸部433Bの先端の幅が第1の凸部333の幅よりも狭くなっていると共に、第2のインプリントモールド43Bよりも先に、第1のインプリントモールド33によって貫通孔111Bの凹部112を形成する。このため、第2のインプリントモールド43Bによって貫通孔111Bの小径部113Bを形成しやすくなっており、貫通孔111Bをより確実に貫通させることが可能となっている。
【0075】
また、本実施形態では、第1実施形態と同様に、第1の凸部333の高さと第2の凸部433Bの高さの合計が、樹脂フィルム21の厚さよりも相対的に厚くなっている。このため、第2のインプリントモールド43Bを樹脂フィルム21に押し付けると、第2の凸部433Bが凹部112に確実に到達する。
【0076】
また、本実施形態では、第2のインプリントモールド43Bの第2の凸部433Bが先端に向かって細くなる先細形状を有しているので、第2の凸部433Bを樹脂フィルム21に押し付ける際に凸部433Bの根元で発生する応力集中が緩和され、当該第2の凸部433Bの破損を抑制することができる。
【0077】
さらに、本実施形態のプリント配線板10Bでは、バイアホール12Bの貫通部122Bが第1のランド部121に向かって細くなる先細形状を有していると共に、当該貫通部122Bの先端の幅が、第1のランド部121の幅よりも狭くなっており、バイアホール12Bが絶縁性基材11に強固に係合している。このため、熱膨張や熱収縮に伴ってバイアホール12Bが絶縁性基材11から脱落してしまうのを防止することができ、信頼性向上を図ることもできる。
【0078】
<<第3実施形態>>
図9(a)は本発明の第3実施形態における第2のインプリントモールドを示す断面図、図9(b)は図9(a)に示す第2のインプリントモールドを用いて製造されたプリント配線板を示す断面図である。
【0079】
本実施形態では、図3のステップS21〜S23において使用する第2のインプリントモールド43Cの構成が第1実施形態と相違するが、それ以外は第1実施形態と同様である。以下に、第3実施形態におけるプリント配線板の製造方法について第1実施形態との相違点についてのみ説明し、第1実施形態と同様である部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0080】
本実施形態における第2のインプリントモールド43Cは、図9(a)に示すように、第1実施形態と同様に、第2のベース431と、第2の凸部433Cと、を備えているが、第2の凸部433Cの形状が第1実施形態と相違している。
【0081】
この第2の凸部433Cは、同図に示すように、台座部434と柱部435を有している。台座部434は、第2のベース431の一方の主面432(図中における下面)に設けられており、第2の凸部433Cの根元部分に位置している。一方、柱部435は、この台座部434から下方に向かって突出している。
【0082】
この柱部435の幅wは、台座部434の幅wよりも狭くなっている(w<w)。また、この柱部435の幅wは、第1のインプリントモールド33の第1の凸部333の幅w(図4(a)参照)よりも狭くなっている(w<w)。
【0083】
この第2のインプリントモールド43Cを用いてプリント配線板を製造する場合には、図3のステップS21〜S23において、台座部434によって、絶縁性基材11の貫通孔111Cに大径部114が形成され、図3のステップS40において、当該大径部114に金属材料が充填されてバイアホール12Cの第2のランド部123が形成される(図9(b)参照)。
【0084】
この第2のインプリントモールド43Cを用いて製造されたプリント配線板10Cを図9(b)に示す。このプリント配線板10Cでは、図9(b)に示すように、バイアホール12Cが、第1のランド部121と、貫通部122Cと、第2のランド部123と、を有している。
【0085】
第1のランド部121は、第1実施形態と同様に、バイアホール12Cの上部に位置しており、絶縁性基材11の第1の主面117(図9(b)における上面)に埋設されていると共に、当該第1のランド部121の上面が絶縁性基材11の第1の主面117から露出している。
【0086】
一方、第2のランド部123は、バイアホール12Cの下部に位置しており、絶縁性基材11の第2の主面118(図9(b)における下面)に埋設されていると共に、当該第2のランド部123の下面が絶縁性基材11の第2の主面118から露出している。
【0087】
本実施形態における貫通部122Cは、第1のランド部121と第2のランド部123の間に介在しており、この貫通部122Cを介して、第1のランド部121と第2のランド部123とが電気的に接続されている。図9(b)に示すように、この貫通部122Cの幅wは、第1のランド部121の幅wや第2のランド部123の幅w10よりも狭くなっている(w<w,w<w10)。
【0088】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、第1のランド部121と貫通部122Cとは界面のない状態で一体的に形成されている。同様に、第2のランド部123と貫通部122Cとも界面のない状態で一体的に形成されている。
【0089】
以上のように、本実施形態では、第1実施形態と同様に、第1のインプリントモールド33を樹脂フィルム21の第1の主面211に押し付けて樹脂フィルム21に凹部112を形成し、第2のインプリントモールド43Cを樹脂フィルム21の第2の主面212に押し付け、第2の凸部433Cを凹部112まで貫通させて、樹脂フィルム21に貫通孔111Cを形成する。このため、高アスペクト比の第2の凸部433Cの加工バラツキを凹部112で吸収することができるので、貫通孔111Cを確実に貫通させることができ、バイアホール12Cを精度良く形成することができる。
【0090】
また、本実施形態では、第1実施形態と同様に、第2の凸部433Cの先端の幅が第1の凸部333の幅よりも狭くなっていると共に、第2のインプリントモールド43Cよりも先に、第1のインプリントモールド33によって貫通孔111Cの凹部112を形成する。このため、第2のインプリントモールド43Cによって貫通孔111Cの小径部113Cを形成し易くなっており、貫通孔111Cをより確実に貫通させることが可能となっている。
【0091】
また、本実施形態では、第1実施形態と同様に、第1の凸部333の高さと第2の凸部433Cの高さの合計が、樹脂フィルム21の厚さよりも相対的に厚くなっている。このため、第2のインプリントモールド43Cを樹脂フィルム21に押し付けると、第2の凸部433Cが凹部112に確実に到達する。
【0092】
さらに、本実施形態のプリント配線板10Cでは、バイアホール12Cの貫通部122Cの幅が、第1のランド部121の幅や第2のランド部123の幅よりも狭くなっており、バイアホール12Cが絶縁性基材11に強固に係合している。このため、熱膨張や熱収縮に伴ってバイアホール12Cが絶縁性基材11から脱落してしまうのを防止することができ、信頼性向上を図ることもできる。
【0093】
<<第4実施形態>>
図10(a)は本発明の第4実施形態における第2のインプリントモールドを示す断面図、図10(b)は図10(a)に示す第2のインプリントモールドを用いて製造されたプリント配線板を示す断面図である。
【0094】
本実施形態では、図3のステップS21〜S23において使用する第2のインプリントモールド43Dの構成が第1実施形態と相違するが、それ以外は第1実施形態と同様である。以下に、第4実施形態におけるプリント配線板の製造方法について第1実施形態との相違点についてのみ説明し、第1実施形態と同様である部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0095】
本実施形態における第2のインプリントモールド43Dは、図10(a)に示すように、第2のベース431及び第2の凸部433に加えて、第4の凸部436を備えている。
【0096】
この第4の凸部436は、第2の凸部433とは独立して、第2のベース431の一方の主面432上に設けられている。この第4の凸部436は、第2の凸部433と同様に、第2のベース431の一方の主面432から下方に向かって突出している。
【0097】
この第2のインプリントモールド43Dを用いてプリント配線板を製造する場合には、図3のステップS21〜23において、第4の凸部436によって、絶縁性基材11の第2の主面118に第2の溝部116が形成され、図3のステップS40において、当該第2の溝部116に金属材料が充填されて第2の配線パターン14が形成される(図10(b)参照)。
【0098】
この第2のインプリントモールド43Dを用いて製造されたプリント配線板10Dを図10(b)に示す。このプリント配線板10Dでは、図10(b)に示すように、絶縁性基材11の第1の主面117に形成された第1の配線パターン13に加えて、当該絶縁性基材11の第2の主面118に第2の配線パターン14が形成されている。
【0099】
第1の配線パターン13は、第1実施形態と同様に、絶縁性基材11の第1の主面117に埋設されていると共に、その上面が絶縁性基材11の第1の主面117から露出している。
【0100】
これに対し、第2の配線パターン14は、絶縁性基材11の第2の主面118に埋設されていると共に、その下面が絶縁性基材11の第2の主面118から露出している。
【0101】
以上のように、本実施形態では、第1実施形態と同様に、第1のインプリントモールド33を樹脂フィルム21の第1の主面211に押し付けて樹脂フィルム21に凹部112を形成し、第2のインプリントモールド43Dを樹脂フィルム21の第2の主面212に押し付け、第2の凸部433を凹部112まで貫通させて、樹脂フィルム21に貫通孔111を形成する。このため、高アスペクト比の第2の凸部433の加工バラツキを凹部112で吸収することができるので、貫通孔111を確実に貫通させることができ、バイアホール12を精度良く形成することができる。
【0102】
また、本実施形態では、第1実施形態と同様に、第2の凸部433の先端の幅が第1の凸部333の幅よりも狭くなっていると共に、第2のインプリントモールド43Dよりも先に、第1のインプリントモールド33によって貫通孔111の凹部112を形成する。このため、第2のインプリントモールド43Dによって貫通孔の小径部113を形成し易くなっており、貫通孔111を確実に貫通させることが可能となっている。
【0103】
また、本実施形態では、第1実施形態と同様に、第1の凸部333の高さと第2の凸部433の高さの合計が、樹脂フィルム21の厚さよりも相対的に厚くなっている。このため、第2のインプリントモールド43Dを樹脂フィルム21に押し付けると、第2の凸部433が凹部112に確実に到達する。
【0104】
<<第5実施形態>>
図11(a)は本発明の第5実施形態における第1のインプリントモールドを示す断面図、図11(b)は本発明の第5実施形態における第2のインプリントモールドを示す断面図である。
【0105】
本実施形態では、図3のステップS11〜S13で使用する第1のインプリントモールドの構成と、図3のステップS21〜S23で使用する第2のインプリントモールドの構成と、が第1実施形態と相違するが、それ以外は第1実施形態と同様である。以下に、第5実施形態におけるプリント配線板の製造方法について第1実施形態との相違点についてのみ説明し、第1実施形態と同様である部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0106】
具体的には、本実施形態では、上述の第1実施形態にて説明した第1のインプリントモールド33と第2のインプリントモールド43とを入れ替えて使用する。
【0107】
すなわち、本実施形態における第1のインプリントモールド33Eは、図11(a)に示すように、第1のベース331と、高アスペクト比の第1の凸部333Eと、を有しており、第1実施形態における第2のインプリントモールド43と同一の構成を有している。
【0108】
一方、本実施形態における第2のインプリントモールド43Eは、図11(b)に示すように、第2のベース431と、低アスペクト比の第2の凸部433Eと、同様に低アスペクト比の第4の凸部436と、を有しており、第1実施形態における第1のインプリントモールド33と同一の構成を有している。
【0109】
この第1及び第2のインプリントモールド33E,43Eを用いてプリント配線板を製造する場合には、図3のステップS11〜S13において、第1のインプリントモールド33Eを樹脂フィルム21の第1の主面211に押し付けて、貫通孔111の小径部113を先に形成する。次いで、図3のステップS21〜S23において、第2のインプリントモールド43Eを樹脂フィルム21の第2の主面212に押し付けて、第2の凸部433Eを小径部113まで貫通させ、貫通孔111の凹部112を形成する。なお、本実施形態では、小径部113が本発明における凹部の一例に相当する。
【0110】
このように本実施形態において第1及び第2のインプリントモールド33E,43Eを用いて製造されたプリント配線板は、図1に示すプリント配線板10と同様の構成となる。
【0111】
本実施形態では、高アスペクト比の第1の凸部333Eの加工バラツキを凹部112で吸収することができるので、貫通孔111を確実に形成させることができ、バイアホール12を精度良く形成することができる。
【0112】
また、本実施形態では、第1の凸部333Eの高さと第2の凸部433Eの高さの合計が、樹脂フィルム21の厚さよりも相対的に厚くなっている。このため、第2のインプリントモールド43Eを樹脂フィルム21に押し付けると、第2の凸部433Eが小径部113に確実に到達する。
【0113】
<<第6実施形態>>
図12(a)は本発明の第6実施形態における第1のインプリントモールドを示す断面図であり、図12(b)は本発明の第6実施形態における第2のインプリントモールドを示す断面図である。
【0114】
本実施形態では、図3のステップS11〜S13において使用する第1のインプリントモールドの構成と、図3のステップS21〜S23において使用する第2のインプリントモールドの構成と、が第1実施形態と相違するが、それ以外は第1実施形態と同様である。以下に、第6実施形態におけるプリント配線板の製造方法について第1実施形態との相違点についてのみ説明し、第1実施形態と同様である部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0115】
本実施形態では、図12(a)に示すように、第1のインプリントモールド33Fが、低アスペクト比の第1の凸部333Fと、高アスペクト比の第1の凸部333Gと、を有している。これに対し、図12(b)に示すように、第2のインプリントモールド43Fも、この第1のインプリントモールド33Fに対応するように、高アスペクト比の第2の凸部433Fと、低アスペクト比の第2の凸部433Gと、を有している。
【0116】
なお、高アスペクト比の凸部333G、433Fはいずれも、第3実施形態において説明した第2の凸部433Cと同様に、当該凸部の根元部分に台座部を有している。
【0117】
本実施形態では、第2のインプリントモールド43Fにおける高アスペクト比の第2の凸部433Fが、第1のインプリントモールド33Fにおける低アスペクト比の第1の凸部333Fに対応している。一方、第2のインプリントモールド43Fにおける低アスペクト比の第2の凸部433Gが、第1のインプリントモールド33Fにおける高アスペクト比の第1の凸部333Gに対応している。
【0118】
この第1及び第2のインプリントモールド33F,43Fを用いてプリント配線板を製造する場合には、図3のステップS11〜S13において、第1のインプリントモールド33Fを樹脂フィルム21の第1の主面211に押し付けて、一方の貫通孔の凹部112Fのみを形成すると共に、他方の貫通孔の凹部112Gと小径部113Gを形成する。なお、本実施形態では、この凹部112F,112G及び小径部113Gが、本発明における凹部の一例に相当する。
【0119】
次いで、図3のステップS21〜S23において、特に図示しないが、第2のインプリントモールド43Fを樹脂フィルム21の第2の主面212に押し付けて、第2の凸部433Fを凹部112Fまで貫通させて、一方の貫通孔の小径部と大径部を形成すると共に、第2の凸部433Gを小径部113Gまで貫通させて、他方の貫通孔の大径部のみを形成して、2つの貫通孔を貫通させる。
【0120】
なお、本実施形態において第1及び第2のインプリントモールド33F,43Fを用いて製造されたプリント配線板は、第3実施形態において説明した図9(b)に示すプリント配線板10Cと同様の構成となる。
【0121】
本実施形態では、高アスペクト比の凸部333G,433Fの加工バラツキを大径部や凹部112Fで吸収することができるので、貫通孔を確実に貫通させることができ、バイアホールを精度良く形成することができる。
【0122】
また、本実施形態では、第1の凸部333Fの高さと第2の凸部433Fの高さの合計や、第1の凸部333Gの高さと第2の凸部433Gの高さの合計が、樹脂フィルム21の厚さよりも相対的に厚くなっている。このため、第2のインプリントモールド43Fを樹脂フィルム21に押し付けることで、貫通孔を確実に貫通させることができる。
【0123】
なお、上述した第1〜第6実施形態における図3のステップS11〜S13が本発明における第1の工程の一例に相当し、第1〜第6実施形態における図3のステップS21〜S23が本発明における第2の工程の一例に相当し、第1〜第6実施形態における図3のS30〜S50が本発明における第3の工程の一例に相当する。
【0124】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0125】
上述の第1〜第6実施形態において説明した各構成要素を組み合わせてもよい。特に限定されないが、例えば、第2実施形態におけるテーパ状の第2の凸部433Bの根元部分に、第3実施形態で説明した台座部434を設けてもよい。また、第2又は第3実施形態における第2のインプリントモールド43B又は43Cに、第4実施形態で説明した第4の凸部436を形成してもよい。
【0126】
或いは、特に限定されないが、例えば、第5実施形態における第1のインプリントモールド33Eとして、第2〜第4実施形態で説明した第2のインプリントモールド43B〜43Dを用いてよい。また、第6実施形態における第1及び第2のインプリントモールド33F,43Fの高アスペクト比の凸部333G,433Fを、第2実施形態で説明したようにテーパ状にしてもよいし、第6実施形態における第2のインプリントモールド43Fに第4の凸部436を追加してもよい。
【符号の説明】
【0127】
10…プリント配線板
11…絶縁性基材
111…貫通孔
112…凹部
117…第1の主面
118…第2の主面
12…バイアホール
121…第1のランド部
122…貫通部
13,14…配線パターン
21…樹脂フィルム
22…給電層
23…めっき層
30…第1のインプリント装置
33…第1のインプリントモールド
333…第1の凸部
336…第3の凸部
40…第2のインプリント装置
43…第2のインプリントモールド
433…第2の凸部
434…台座部
436…第4の凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイアホールを有するプリント配線板の製造方法であって、
第1の凸部を有する第1のインプリントモールドを、被成形体の第1の主面に押し付けて、前記被成形体に凹部を形成する第1の工程と、
第2の凸部を有する第2のインプリントモールドを前記被成形体の第2の主面に押し付け、前記第2の凸部を前記凹部まで貫通させて、前記被成形体に貫通孔を形成する第2の工程と、
前記貫通孔の内部に導体を充填して、前記バイアホールを形成する第3の工程と、を備えたことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記第2の凸部は、前記第2の凸部の先端に向かうに従って連続的又は段階的に細くなる先細形状を有し、
前記第2の凸部の先端の幅は、前記第1の凸部の幅よりも狭いことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記第2の凸部は、前記第2の凸部の根元部分に台座部を有しており、
前記第2の工程は、前記被成形体の前記第2の主面における前記貫通孔の開口に、前記台座部に対応した大径部を形成することを含み、
前記第3の工程は、前記大径部の内部に導体を充填して、前記プリント配線板のランド部を形成することを含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記第1の凸部は、前記第1の凸部の先端に向かうに従って連続的又は段階的に細くなる先細形状を有し、
前記第1の凸部の先端の幅は、前記第2の凸部の幅よりも狭いことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
請求項1又は4に記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記第1の凸部は、前記第1の凸部の根元部分に台座部を有しており、
前記第1の工程は、前記被成形体の前記第1の主面における前記貫通孔の開口に、前記台座部に対応した大径部を形成することを含み、
前記第3の工程は、前記大径部の内部に導体を充填して、前記プリント配線板のランド部を形成することを含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記第1のインプリントモールドは、前記第1の凸部とは独立した第3の凸部を有しており、
前記第1の工程は、前記第3の凸部に対応した第1の溝部を、前記被成形体の前記第1の主面に形成することを含み、
前記第3の工程は、前記第1の溝部の内部に導体を充填して、前記プリント配線板の第1の配線パターンを形成することを含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記第2のインプリントモールドは、前記第2の凸部とは独立した第4の凸部を有しており、
前記第2の工程は、前記第4の凸部に対応した第2の溝部を、前記被成形体の前記第2の主面に形成することを含み、
前記第3の工程は、前記第2の溝部の内部に導体を充填して、前記プリント配線板の第2の配線パターンを形成することを含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項8】
基材と、
前記基材を貫通するバイアホールと、を備えており、
前記バイアホールは、
ランド部と、
先端で前記ランド部に繋がっていると共に、前記ランド部に向かうに従って連続的又は段階的に細くなっている貫通部と、を有し、
前記貫通部の先端の幅は、前記ランド部の幅よりも狭くなっており、
前記ランド部及び前記貫通部は、前記基材に埋め込まれていることを特徴とするプリント配線板。
【請求項9】
基材と、
前記基材を貫通するバイアホールと、を備えており、
前記バイアホールは、
前記バイアホールの上部に位置する第1のランド部と、
前記バイアホールの下部に位置する第2のランド部と、
前記第1のランド部と前記第2のランド部との間に介在する貫通部と、を有し、
前記貫通部の幅は、前記第1のランド部の幅よりも狭くなっていると共に前記第2のランド部の幅よりも狭くなっており、
前記第1のランド部、前記貫通部、及び前記第2のランド部は、前記基材に埋め込まれていることを特徴とするプリント配線板。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のプリント配線板であって、
前記基材の少なくとも一方の主面に埋め込まれた配線パターンを備えたことを特徴とするプリント配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−65798(P2013−65798A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204892(P2011−204892)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】