説明

プリント配線板加工装置

【課題】加工すべきプリント配線板を加工装置に誤った方向でセットすることができないようにしたプリント配線板加工装置を得る。
【解決手段】プリント配線板加工装置のテーブル16には、加工するプリント配線板2の上辺及び下辺の中央付近に一対のガイド穴に抜き挿し可能な一対のガイドピンを挿入したプリント配線板の前記ガイドピン19、19'を挿入してプリント配線板の位置決めを行って前記テーブルにセットさせる一対の穴が設けられると共に、一対の穴の左右方向の予め定められた距離の位置に、1つだけが突出制御される4つのマークピン6、9、13、15が設けられている。プリント配線板2には、下辺となるガイド穴の左右いずれか一方の側の予め定められた距離と同一の距離の位置にマーク穴が設けられ、マーク穴をテーブル上に突出しているマークピンに挿入して前記プリント配線板を位置決めして前記テーブルにセットする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板加工装置に係り、特に、加工すべきプリント配線板をセットする際にセット方向ミスを防止することを可能としたプリント配線板加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は一般的なプリント配線板の製造工程を説明する図であり、背景技術として、これについて説明する。
【0003】
プリント配線板の製造は、一般に、図6(a)〜図6(i)に示しているように、内層穴明工程29、内層めっき工程30、内層パターン形成工程31、積層接着工程32、外層穴明工程33、外層めっき工程34、外層パターン形成工程35、外形加工工程36、検査工程37の9つの工程により行われる。そして、内層を製造する工程は、図6(a)〜図6(c)に示すように、内層となる1枚のプリント配線板にドリルを用いて穴を開け、その穴に銅等の金属めっきを行い、そのプリント板の一方の面あるいは両面に回路パターンを形成する工程であり、これにより1枚の内層を製造する。前述の図6(a)〜図6(c)に示す内層穴明工程29、内層めっき工程30、内層パターン形成工程31は、複数の内層となるプリント配線板に対して複数回繰り返して実施され、このようにして内層を複数枚製造する。これらの製造された複数枚の内層は、それらを積層接着する図6(d)に示す積層接着工程32で積層接着される。
【0004】
次に実施される外層を製造する工程は、図6(e)〜図6(g)に示すように、積層接着したプリント配線板にドリルを用いて穴を開け、その穴に銅等の金属めっきを行い、その積層接着したプリント板の一方の面あるいは両面に回路パターンを形成する工程である。その後、図6(h)に示す外形加工工程36で製品に不要な部分を切断し、図6(i)に示す検査工程で外観検査、導通検査等の検査が行われた後、完成したプリント配線板とされる。なお、さらに多数の内層を積層した多層構成のプリント配線板が必要な場合、前述で説明した工程を何度も繰り返す場合もある。
【0005】
前述したようにして製造される多層構成のプリント配線板の厚さが増すと、図6(e)に示す多層構成のプリント配線板に対する外層穴明工程33で、ドリルの刃長が足らず片面からだけでは、プリント配線板に貫通した穴を開けることができない場合があり、貫通した穴を開けるためにドリルの刃長を長くすると、ドリルの先端がぶれ、精度の高い穴を明けることができない。そのため、ドリルの刃長を長くすることなく、まず、多層構成のプリント配線板の片面から穴を開け、次に反対面から同じ位置に穴を開けて貫通させるという方法がある。このような加工を行う際、加工すべきプリント配線板を加工装置である穴明装置へセットする場合、左右、上下、表裏を予め定めた方向でセットした後に加工を開始する必要がある。もし、加工すべきプリント配線板を誤った方向でセットして加工を開始するとそのプリント配線板が不良品となってしまう。
【0006】
このようなプリント配線板の誤った穴明装置へのセットを防止するめための方法として、プリント配線板の方向を作業者に認識させるために、プリント配線板の四隅の内、一隅かつ片面に基板原点と呼ばれるマークを付けてプリント配線板の方向を作業者が目視により認識される方法がある。
【0007】
この方法は、作業者の目視での確認のため見間違い等によるミスが発生する可能性があるという問題を有し、また、この方法は、様々なサイズのプリント配線板の製造を行う場合に、複数種あるプリント配線板を正しい方向、位置で穴明装置にセットさせるためには不充分であるという問題をも有している。
【0008】
前述したような問題を解決するために、プリント配線板の上辺及び下辺(穴明装置にセットした際の奥側及び手前側)の左右からほぼ等距離となる中央付近に一対のガイド穴を設け、そのガイド穴に抜き挿し可能なガイドピンを挿入し、そのガイドピンを穴明装置に設けられた穴に挿入することにより、プリント配線板の位置決めを行ってプリント配線板を穴明装置にセットするという方法がある。
【0009】
しかし、この方法は、プリント配線板のガイド穴に挿入した一対のガイドピンと、穴明装置に設けた一対の穴とによる位置決めであるため、左右、上下または表裏を誤った場合でもセットすることができてしまうという問題を有し、また、穴明装置上の奥の穴は、一般に、複数サイズに対応するために長穴になっているため、加工すべきプリント配線板のサイズが異なる場合にも誤ってセットされてしまうことを防止することができないという問題を生じさせてしまう。
【0010】
また、前述したプリント配線板のガイド穴の1つのガイド穴の横に1つのガイド穴を設けて、合計3つのガイド穴のそれぞれに挿入したガイドピンにより、プリント配線板を穴明装置にセットするという方法もある。
【0011】
この方法は、プリント配線板の3つの穴にガイドピンを挿入し、穴明装置のテーブル上に用意されたプリント配線板を固定するための3つの穴に前述の3つのガイドピンを挿入することにより、加工するプリント配線板の方向を決定することができるものであるが、決められた方向にしかプリント配線板をセットすることができず、反対面を穴明する際にはプリント配線板を穴明装置にセットすることができないという問題を有している。
【0012】
また、画像認識によって穴明装置にセットしたプリント配線板の方向性を認識する方法が、例えば、特許文献1等に記載されて知られている。しかし、この方法は、プリント配線板を穴明装置にセットした後でプリント配線板の方向性を認識しているので、プリント配線板が誤った方向にセットされていた場合には、作業者が穴明装置から配線板を取り外し再度セットする作業を行わなければならないという問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第3248092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前述したように、従来からのプリント配線板のプリント配線板加工装置としての穴明装置へのセットの方法は、いずれの方法も、必要とする種々の方向で誤りなく正しく穴明装置へプリント配線板をセットすることができず、また、一旦穴明装置へセットした後に、再度セットしなければならないという問題点を有している。
【0015】
本発明の目的は、加工すべきプリント配線板をプリント配線板加工装置に誤った方向でセットすることができないようにしたプリント配線板加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば前記目的は、上辺及び下辺の左右からほぼ等距離となる中央付近に一対のガイド穴が設けられ、そのガイド穴に抜き挿し可能なガイドピンを挿入したプリント配線板を、プリント配線板加工装置のプリント配線板をセットするテーブルに設けられた一対の穴に前記プリント配線板に挿入したガイドピンを挿入することにより、位置決めを行って前記テーブルにセットさせて加工を行うプリント配線板加工装置において、前記テーブルは、前記一対の穴の左右方向の予め定められた距離となる位置に、いずれか1つだけが突出制御される4つのマークピンが設けられて構成され、前記プリント配線板の前記下辺となるガイド穴の左右いずれか一方の側の前記予め定められた距離と同一の距離となる位置に設けられたマーク穴を、前記テーブル上に突出制御されて突出しているマークピンに挿入して前記プリント配線板を位置決めして前記テーブルにセットさせることにより達成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、プリント配線板加工装置へ加工すべきプリント配線板をセットする際に、プリント配線板のセット方向、表裏を誤った方向にセットすることによるプリント配線板の加工不良を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態によるプリント配線板加工装置で加工するプリント配線板の上面及びプリント配線板に設けたガイド穴に挿入されるガイドピンの形状を説明する側面を示す図である。
【図2】本発明の実施形態によるプリント配線板加工装置のプリント配線板をセットするテーブルの上面及びそのA−A’断面を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態によるプリント配線板加工装置の全体の構成例の概要を説明するブロック図である。
【図4】セット方向マスタテーブルの構成とセット方向マスタテーブルへのデータの格納方法について説明する図である。
【図5】制御コンピュータがセット方向マスタテーブルのデータを抽出してプリント配線板加工穴明装置に送信する処理動作を説明するフローチャートである。
【図6】一般的なプリント配線板の製造工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明によるプリント配線板加工装置の一実施形態を図面により詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明の実施形態によるプリント配線板加工装置で加工するプリント配線板の上面及びプリント配線板に設けたガイド穴に挿入されるガイドピンの形状を説明する側面を示す図である。
【0021】
本発明の実施形態によるプリント配線板加工装置で加工(本発明の実施形態では穴明加工)するプリント配線板2には、図1(a)に示すように、プリント配線板2の上辺及び下辺(穴明装置にセットした際の奥側及び手前側)の左右からほぼ等距離となる中央付近に一対のガイド穴1、5が設けられると共に、プリント配線板2の四隅の内、一隅かつ片面、図示例では、基板面の左下隅に基板原点と呼ぶマーク3が付けられている。さらに、プリント配線板2には、前述の基板面の下辺に設けられたガイド穴5から基板原点のマーク3のある方向の予め定めた一定の距離となる位置にマーク穴4が設けられる。このマーク穴4は、ガイド穴5の基板原点側の方向ではなく、その反対側の方向に設けられてもよい。
【0022】
前述したプリント配線板2の設けたガイド穴1、5には、プリント配線板加工装置へのセット時に、図1(b)に示すようなつば部を持った断面形状を有し、ガイド穴1、5に抜き挿し可能なガイドピン19、19’が、そのつば部が上面側となるように挿入される。また、マーク穴4は、プリント配線板のセット方向を認識させるものであるため、厳密に穴径を決める必要はなく、後述するプリント配線板加工装置のプリント配線板をセットするテーブルに設けられるマークピン直径より大きな穴径であればよい。
【0023】
図2は本発明の実施形態によるプリント配線板加工装置のプリント配線板をセットするテーブルの上面及びそのA−A’断面を示す図である。
【0024】
加工するプリント配線板をセットするプリント配線板加工装置のテーブル16の上面を図2(a)に示しているが、この図には、テーブル16の上面に図1により説明した加工すべきプリント配線板2がセットされた状態をも示している。そして、図2(a)に示すように、プリント配線板加工装置のテーブル16には、テーブル16の手前側の左右方向のほぼ中央に、加工すべきプリント配線板2のガイド穴に挿入したガイドピンの1つが挿入される穴14と、テーブル16の奥側の左右方向のほぼ中央に、加工すべきプリント配線板2のガイド穴に挿入したガイドピンの他の1つが挿入される長穴12とが設けられている。また、プリント配線板加工装置のテーブル16には、複数のマークピン、図示例では8つのマークピン6〜11、13、15が、テーブル16の面から上方に突出制御可能に設けられている。
【0025】
前述において、テーブル16の奥側に設けた長穴12は、加工すべきプリント配線板の複数のサイズに対応することができるように長穴とされているもので、前述のテーブル16の手前側に設けた穴14を基点として、加工すべきプリント配線板を固定する。また、テーブル16に設けられる突出制御される前述の複数のマークピンは、少なくとも4つ設けられればよく、また、テーブル16に設けられる前述の長穴12、穴14から左右のそれぞれの方向に、加工すべきプリント配線板2に設けられたガイド穴5とマーク穴4との間の距離と同一の距離だけ離れた位置に設けられる。
【0026】
そして、プリント配線板加工装置が1種類のサイズのプリント配線板の穴明を行うものの場合、テーブル16に設けられる突出制御される前述の複数のマークピンは、4つだけ設けられればよく、プリント配線板加工装置が、例えば、図1により説明し、図2(a)にも描画しているプリント配線板2とその上下方向のサイズが同一のプリント配線板だけの加工を行うものである場合、マークピンとしては、マークピン6、9、13、15の4つだけでよい。図2(a)に示しているマークピン7、8、10、11は、加工すべきプリント配線板の上下方向のサイズがプリント配線板2より小さいプリント配線板の加工のために設けられるものであり、プリント配線板加工装置が加工すべきプリント配線板のサイズによって、その奥行き方向の位置が設定され、また、マークピン全体の数は、加工すべきプリント配線板のサイズの種類数によって決められることになる。
【0027】
図2(b)には、プリント配線板加工装置のプリント配線板をセットするテーブルの図2(a)でのA−A’断面を示しており、この断面の位置には、マークピン7、10及び長穴12があり、図2(b)には、マークピン10だけがテーブル16の上面から突出制御されている状態を示している。
【0028】
前述で説明したテーブル16の上面から突出制御されてテーブル16の面から突出しているマークピンは、作業者が加工すべきプリント配線板をプリント配線板加工装置にセットしようとしたときに、プリント配線板に設けられたマーク穴4に挿入されて、加工すべきプリント配線板を正しくセット可能とするものであり、1つのマークピンだけがテーブル16の面から突出制御されて突出していればよい。
【0029】
次に、図1により説明したプリント配線板2の加工のために、プリント配線板2を種々の方向でプリント配線板加工装置にセットする場合に、どのマークピンが突出制御されればよいかを説明する。
【0030】
いま、図1(a)に示しているプリント配線板2の図示面を上面として、図2(a)に示しているようにプリント配線板加工装置のテーブル16にセットする場合、作業者は、まず、ガイドピン19及び19’のそれぞれをプリント配線板2のガイド穴1及び5にプリント配線板2の上面から挿入する。次に、作業者は、ガイドピンが挿入されたプリント配線板をプリント配線板加工装置のテーブル16にセットするが、その際、プリント配線板加工装置は、マークピン13を突出させている。これにより、加工すべきプリント配線板2は、ガイド穴に挿入されたガイドピン19と19’とがプリント配線板加工装置のテーブル16に設けた長穴12と穴14とに挿入され、突出させられているプリント配線板加工装置側のマークピン13がプリント配線板2のマーク穴4に挿入されるような方向でのみプリント配線板加工装置のテーブル16にセットすることが可能となる。このため、加工すべきプリント配線板2を、誤って回転さて上下逆となったような場合、あるいは、裏表を逆とした場合、突出させられているマークピン13の位置とプリント配線板2のマーク穴4の位置とが一致しなくなり、プリント配線板2を正しくセットすることができないこととなる。特に、プリント配線板2の裏表を逆としてセットしようとして場合には、プリント配線板2に挿入したガイドピンのつば部が下面となるので、ガイドピンをプリント配線板加工装置のテーブル16に設けた長穴12と穴14とに挿入することができず、これによっても、プリント配線板2を正しくセットすることができないこととなる。
【0031】
次に、図1(a)に示しているプリント配線板2の図示面を上面としたまま、プリント配線板2を180度回転させ、すなわち、上下を逆にした状態でプリント配線板2をセットして加工を行わせるものとする。この場合、プリント配線板2が正しくセットされれば、そのマーク穴4は、右奥側の位置、すなわち、マークピン9の位置に一致する位置となるはずである。このため、プリント配線板加工装置は、マークピン9を突出させるように制御してマークピン9を突出させる。これにより、前述で説明した場合と同様に、加工すべきプリント配線板を、正しい方向でのみセット可能にすることができる。
【0032】
また、図1(a)に示しているプリント配線板2をその上下を変えずに裏表逆にして加工を行おうとする場合、作業者は、まず、ガイドピン19及び19’のそれぞれをプリント配線板2の裏側からガイド穴1及び5に挿入する。そして、この場合、プリント配線板2が正しくセットされれば、そのマーク穴4は、右手前側の位置、すなわち、マークピン15の位置に一致する位置となるはずである。このため、プリント配線板加工装置は、マークピン15を突出させるように制御してマークピン15を突出させる。これにより、前述で説明した場合と同様に、加工すべきプリント配線板を、正しい方向でのみセット可能にすることができる。
【0033】
さらに、プリント配線板2をその上下を逆にし、かつ、裏表逆にして加工を行おうとする場合、プリント配線板2が正しくセットされれば、そのマーク穴4は、左奥側の位置、すなわち、マークピン6の位置に一致する位置となるはずである。このため、プリント配線板加工装置は、マークピン6を突出させるように制御してマークピン6を突出させる。これにより、前述で説明した場合と同様に、加工すべきプリント配線板を、正しい方向でのみセット可能にすることができる。
【0034】
また、上下方向のサイズが前述したプリント配線板2より小さいサイズのプリント配線板を加工する場合には、プリント配線板加工装置のテーブルに設けられたマークピン7、10またはマークピン8、11と、マークピン13、15とが前述と同様に制御されることになる。
【0035】
図3は本発明の一実施形態によるプリント配線板加工装置の全体の構成例の概要を説明するブロック図、図4はセット方向マスタテーブルの構成とセット方向マスタテーブルへのデータの格納方法について説明する図である。
【0036】
本発明の実施形態によるプリント配線板加工装置は、後述する加工すべきプリント配線板のセット方向等を含む各種のデータを格納したセット方向マスタテーブル23を持つ図示しないサーバと、該サーバにLAN25を介して接続された制御コンピュータ24と、該制御用コンピュータ24にI/Oボード25、専用線26を介して接続されたプリント配線板加工穴明装置28とにより構成されている。そして、プリント配線板加工穴明装置28の加工すべきプリント配線板をセットするテーブルは、図2に説明したように、テーブル16の手前側の左右方向のほぼ中央に、加工すべきプリント配線板2のガイド穴に挿入したガイドピンの1つが挿入される穴14と、テーブル16の奥側の左右方向のほぼ中央に、加工すべきプリント配線板2のガイド穴に挿入したガイドピンの他の1つが挿入される長穴12とが設けられ、また、複数のマークピン6〜11、13、15が、テーブル16の面から上方に突出制御可能に設けられて構成されている。
【0037】
制御コンピュータ24は、加工すべきプリント配線板の種類毎に前述したサーバ内のセット方向マスタテーブル23内のデータを読み出して、前述した複数のマークピンの突出を制御すると共に、セットされたプリント配線板に対する加工制御を行う。マークピンの突出制御は、I/Oボードからの信号を検知したソレノイドにより行わせるようにすればよい。
【0038】
セット方向マスタテーブル23には、図4に示すように、プリント配線板加工穴明装置28により加工するプリント配線板の種類の情報と、そのプリント配線板を裏表どちらの方向から加工するかを示す表裏の情報と、そのプリント配線板のサイズの情報と、プリント配線板加工穴明装置28のテーブルに設けられたどのマークピンをテーブル面から突出させるかを示すセット方向の情報とによる複数のレコードが格納されている。
【0039】
図4に示す例では、プリント配線板のサイズの情報として、L、Sの2種類しか示していないが、プリント配線板加工穴明装置28で加工可能なプリント配線板のサイズが2種類以上ある場合には、それらを識別できるようにサイズの情報が設定される。また、図4に示す例では、セット方向の情報として、左右上下のマークピンしかないように示しているが、プリント配線板のサイズ2種以上あって、マークピンが4つ以上の多数が設けられている場合には、それらを識別できるようにセット方向の情報が設定される。
【0040】
セット方向マスタテーブル23に設定される前述したようなデータは、予めサーバ上に格納しておく必要があり、処理S100として示すように、作業者が、プリント配線板の種類毎、その表裏毎に、そのサイズ、そのプリント配線板の穴明装置へのセット方向を入力し、処理S101として示すようにサーバ上に格納しておくものであり、プリント配線板加工穴明装置28へ加工するプリント配線板をセットする前に登録しておく。
【0041】
図5は制御コンピュータがセット方向マスタテーブルのデータを抽出してプリント配線板加工穴明装置に送信する処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0042】
(1)制御コンピュータ24は、作業時に、作業者が入力した加工すべきプリント配線板の品種名、表裏の情報をKEYとしてセット方向マスタを検索し、加工すべきプリント配線板のサイズ、セット方向を取得する。作業者の入力は、プリント配線板の品種名、表裏を含むデータを予めバーコード化しておいて行わせることも可能である(ステップS200〜S202)。
【0043】
(2)次に、制御コンピュータ24は、取得した加工すべきプリント配線板のサイズとセット方向とを元にどのマークピンを上げるかを判定し、I/Oボードを介して判定した情報をプリント配線板加工穴明装置28に送信する(ステップS203)。
【0044】
前述のような制御により、I/Oボード25に接続されたプリント配線板加工穴明装置28は、自装置のテーブル上の指定されたマークピンを突出させる制御を行う。
【0045】
作業者は、突出させられたマークピンをプリント配線板のマーク穴4に挿入することができるように、また、プリント配線板に挿入したガイドピン19、19’をプリント配線板加工穴明装置28のテーブルの長穴12、14に挿入することができるようにプリント配線板をセットすれば、正しい位置にプリント配線板をセットすることができる。
【0046】
なお、前述において、加工すべきプリント配線板のマーク穴の位置をプリント配線板加工穴明装置28のテーブル上の奥側に限定することができれば、サイズに合わせたマークピンを突出制御することによりプリント配線板のサイズの間違いを確認することが可能となり、また、サイズの確認は不可となるが、加工すべきプリント配線板のマーク穴の位置をプリント配線板穴明装置28のテーブル上の手前側に限定することができれば、奥側のマークピンを不要とすることができ、プリント配線板加工穴明装置28の構成を簡素化することができる。
【0047】
前述した本発明の実施形態によれば、プリント配線板加工穴明装置へ加工すべきプリント配線板をセットする際に、プリント配線板加工穴明装置のテーブル上のマークピンを動的に制御していることにより、プリント配線板のセット方向、表裏を誤った方向にセットすることによるプリント配線板の加工不良を抑止することができ、また、プリント配線板をセットした後の検査によりセット誤りを検出した場合のように、プリント配線板を取り外し、再度セットする作業を行う必要をなくすことができる。
【符号の説明】
【0048】
1、5 ガイド穴
2 プリント配線板
3 基板原点マーク
4 マーク穴
6〜11、13、15 マークピン
12 長穴
14 穴
16 テーブル
19、19’ ガイドピン
23 セット方向マスタテーブル
24 制御コンピュータ
25 I/Oボード
26 専用線
27 LAN
28 プリント配線板加工穴明装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上辺及び下辺の左右からほぼ等距離となる中央付近に一対のガイド穴が設けられ、そのガイド穴に抜き挿し可能なガイドピンを挿入したプリント配線板を、プリント配線板加工装置のプリント配線板をセットするテーブルに設けられた一対の穴に前記プリント配線板に挿入したガイドピンを挿入することにより、位置決めを行って前記テーブルにセットさせて加工を行うプリント配線板加工装置において、
前記テーブルは、前記一対の穴の左右方向の予め定められた距離となる位置に、いずれか1つだけが突出制御される4つのマークピンが設けられて構成され、前記プリント配線板の前記下辺となるガイド穴の左右いずれか一方の側の前記予め定められた距離と同一の距離となる位置に設けられたマーク穴を、前記テーブル上に突出制御されて突出しているマークピンに挿入して前記プリント配線板を位置決めして前記テーブルにセットさせることを特徴とするプリント配線板加工装置。
【請求項2】
前記テーブルの前記一対の穴の左右方向の予め定められた距離となる位置に、いずれか1つだけが突出制御されるマークピンは、加工すべきプリント配線板の上下方向のサイズの異なるプリント配線板の加工のために、そのプリント配線板のサイズ毎に2つのマークピンが追加して設けられることを特徴とする請求項1記載のプリント配線板加工装置。
【請求項3】
制御コンピュータを備え、該制御コンピュータは、予め設定されたプリント配線板の品種毎のセット方向マスタの情報を用い、作業者により入力された加工すべきプリント配線板の品種名、加工を表裏のどちらから行うかを示す表裏の情報から、加工すべきプリント配線板のサイズとセット方向とを求めて、突出させる前記マークピンの1つを決定し、そのマークピンを突出させることを特徴とする請求項2記載のプリント配線板加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−243858(P2012−243858A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110511(P2011−110511)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】