説明

プレガバリンを含有する固形の薬学的組成物

プレガバリンを含有する固形の薬学的組成物が記載される。この組成物はマトリクス形成剤および膨張剤を含み、一日一回の経口投与に適している。典型的なマトリクス形成剤には、ポリ酢酸ビニルおよびポリビニルピロリドンの混合物が含まれ、典型的な膨張剤には、ポリビニルピロリドンの架橋ポリマーが含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一日一回(QD)の経口投与に適した、プレガバリンを含有する固形の薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プレガバリン、すなわち(S)−(+)−3−アミノメチル−5−メチル−ヘキサン酸は、カルシウムチャンネルのアルファ−2−デルタ(α2δ)サブユニットに結合し、脳神経活動の調節に関与する、内因的な阻害性神経伝達物質γ−アミノ酪酸(GABA)に関連する。プレガバリンは、R.B.Silvermanらに対する米国特許第5,563,175号に記載されるように抗発作活性を示し、特に、てんかん、疼痛、精神運動興奮薬に関連する生理学的状態、炎症、胃腸障害、アルコール中毒、不眠症、線維筋痛症、ならびに不安、うつ、躁病、および双極性障害を含む様々な精神障害を処置するのに有用である。米国において、プレガバリンは、糖尿病性末梢神経障害、帯状疱疹後神経痛の処置に関して、および成人における部分的初期発作(partial onset seizures)に対する補助的処置として認可されている。プレガバリンは、カプセル状の即効型(immediate release)(IR)処方物として入手でき、患者に一日二回または三回(BIDまたはTID)投与される。
【0003】
プレガバリンまたは一日二回もしくはそれ以上投与される他の薬剤を服用している多くの患者は、一日一回投与からの利益を享受する可能性がある。一般的に、QD投与の簡便さは患者、特に老齢患者および複数の医薬を服用している患者のコンプライアンスを改善する。一日一回投与はまた、ピーク血中レベル(CMAX)を低下させることによって、用量に関係する望ましくない効果を潜在的に減少または防止し、かつ最小血漿濃度(CMIN)を上昇させることによって薬物の効能を増大させもする。
【0004】
しかし、プレガバリンの一日一回投与は、多くの困難を伴う。プレガバリンは胃腸(GI)管において均一に吸収されないため、従来的な持続放出(extended release)(ER)組成物はQD投与に不向きである。臨床研究は、プレガバリンがヒトの小腸および上行結腸において吸収されるが、右結腸曲を超えると吸収が乏しくなることを示している。これは、プレガバリンの平均吸収時間枠(mean absorption window)が、平均で、約6時間またはそれ未満であり、従って、従来的なER剤形からの6時間超のあらゆる薬物放出は、その剤形がすでに右結腸曲を通過しているため、無駄であることを示唆している。さらに、プレガバリンは、γ−アミノ酸であり、通常の保存条件下で分子内環化を起こしてラクタム、4−イソブチル−ピロリジン−2−オンを形成する場合がある。例えば両方ともA.AomatsuによるWO99/10186およびWO99/59573を参照のこと。薬学的組成物の非活性成分がラクタムの形成に影響を及ぼし得ることは公知であるが、どの賦形剤が望ましくないラクタム形成をもたらし得るのかを予測することは困難である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一日一回の経口投与に有用なプレガバリンを含有する安定な薬学的組成物を提供する。固形剤形、例えば錠剤として投与される場合、この薬学的組成物は、IR剤形よりも長い期間、胃に滞留する。胃に滞留している間、この薬学的組成物は、継続的にプレガバリンを放出する。最終的には、この薬学的組成物は胃を通過して小腸に至り、小腸でプレガバリンの放出を継続し得る。プレガバリンが胃で放出される期間を延長することは、IR投与に関連する吸収時間枠を効果的に拡げ、それによってQD投与が実現する。
さらに、安定性研究は、この薬学的組成物のいずれの成分も望ましくないラクタム形成を促進しないことを示唆している。
【0006】
本発明の一つの局面は、QD投与に適しており、かつ薬学的有効成分および賦形剤を含む、薬学的組成物を提供する。薬学的有効成分は、プレガバリン、またはプレガバリンの薬学的に許容される錯体、塩、溶媒和物、もしくは水和物を含み、賦形剤は、マトリクス形成剤および膨張剤を含む。マトリクス形成剤は、ポリ酢酸ビニル(PVAc)およびポリビニルピロリドン(PVP)を含み、膨張剤は架橋型ポリビニルピロリドンを含む。薬学的有効成分は、典型的には、薬学的組成物の約5質量%〜約60質量%を占め;マトリクス形成剤は、典型的には、薬学的組成物の約5質量%〜約45質量%を占め、膨張剤は、典型的には、薬学的組成物の約5質量%〜約70質量%を占める。
【0007】
本発明のさらなる局面は、一日一回の経口投与に適合された、固形剤形、例えば錠剤を提供する。固形剤形は、上記の薬学的組成物を含む。この剤形は、水分、例えばヒトの胃液に含まれる水分との接触により、約9mmまたはそれ以上の大きさに膨張または拡大する。
【0008】
本発明のさらなる局面は、被検体におけるプレガバリン応答性の状態または障害の処置方法を提供する。この方法は、上記の薬学的組成物を被検体に一日一回経口投与することを含む。
【0009】
本発明の別の局面は、薬学的組成物を被検体に一日一回経口投与することを含む方法であり、被検体におけるプレガバリン応答性の状態または障害の処置方法を提供する。この薬学的組成物は、プレガバリンおよび一つまたはそれ以上の賦形剤を含む。この組成物は、9μg/mLまたはそれ未満の単独定常状態時最大プレガバリン濃度および約0.7μg/mLまたは以上の定常状態時最小プレガバリン濃度を任意の24時間の間に被検体に提供するよう適合されている。
【0010】
定義および略称
そうでないことが示されない限り、本開示では以下の定義を用いる。
【0011】
「約」、「およそ」等は、数値的な変数と組み合わせて使用する場合、一般的にその変数の値を意味すると共に、実験誤差内(例えば、平均に対する95%信頼区間内)または、どんなに大きな値であっても、示される値の±10%以内の全ての変数の値を意味する。
【0012】
「被検体」は、ヒトを含む哺乳動物を意味する。
【0013】
「薬学的に許容される」物質は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等を伴わずに被検体の組織と接触させて使用するのに適しており、合理的な利益対リスク比に相応しい、それらの意図する用途に関して有効である、妥当な医学的判断(sound medical judgement)の範囲内の物質を意味する。
【0014】
「処置する」は、一般的に、被検体における障害もしくは状態を逆転、軽減、その進行を抑制、もしくは予防すること、または被検体におけるそのような障害もしくは状態の一つまたはそれ以上の症状を予防することを意味する。
【0015】
「処置」は、直前に定義した「処置する」という行動を意味する。
【0016】
「薬物」、「原薬(drug substance)」、「薬学的有効成分」等は、処置が必要な被検体を処置するのに使用され得る化合物(例えばプレガバリン)を意味する。
【0017】
薬物の「治療有効量」は、被検体を処置するのに使用され得る薬物の量を意味し、一般的には成人に対して約0.001〜約100mg/kg/日の範囲であり、しばしば成人に対して約0.1〜約50mg/kg/日の範囲である。成人に関して、典型的な薬物の日用量は約1mg〜約1000mgの範囲である。プレガバリンに関して、成人に対する日用量は、約50mg〜約1800mgの範囲であり得、しばしば約50mg〜約900mgの範囲である。
【0018】
「不活性」物質は、薬物のバイオアベイラビリティに影響し得るがそれ以外に関しては薬学的な活性がない物質を意味する。
【0019】
「賦形剤」または「補助剤」は任意の不活性物質を意味する。
【0020】
「薬学的組成物」は、一つまたはそれ以上の原薬および一つまたはそれ以上の賦形剤を組み合わせたものを意味する。
【0021】
「医薬品」、「薬学的剤形」、「剤形」、「最終剤形」等は、処置を必要とする被検体に投与される薬学的組成物を意味し、一般的に、錠剤、カプセル剤、粉末または顆粒を含有するサシェ剤、液体溶液剤または懸濁剤、パッチ剤等の形態であり得る。
【0022】
「溶媒和物」は、原薬(例えばプレガバリン)および化学量論的または非化学量論的な量の一つまたはそれ以上の薬学的に許容される溶媒分子(例えばエタノール)を含む分子錯体を意味する。溶媒が薬物に緊密な結合をする場合、得られる錯体は湿度に非依存的な明確な化学量論を有し得る。しかし、チャンネル溶媒和物(channel solvate)および吸湿性化合物の場合のように、溶媒の結合が弱い場合、溶媒の内容物は、乾湿条件に依存し得る。このような場合、錯体はしばしば非化学量論的になり得る。
【0023】
「水和物」は、原薬および化学量論的または非化学量論的な量の水分を含む溶媒和物を表す。
【0024】
「胃に滞留する」は、薬学的組成物または剤形と組み合わせて使用する場合、経口投与後に剤形の少なくとも一部が約3時間またはそれ以上(これは実質的に、対応するIR剤形の平均残留時間よりも長い)、被検体の胃の中に残存することを意味する。胃に滞留している間、剤形は継続的に薬物を放出する。
【0025】
「放出」、「放出される」等は、薬学的組成物または剤形と組み合わせて使用する場合、原薬の一部が、水性環境と接触した後に剤形を離れることを意味する。そうでないことが示されない限り、剤形から放出される薬物の量は、米国薬局方、第28改訂版、第711章、第二補遺版(2005年8月1日〜2005年12月31日)に記載されるような、水中溶出試験により測定される(37℃、初期pH6.8、アパラタス2(apparatus 2)使用)。溶出試験の結果は、時間の関数としての放出された%(w/w)として、または放出時間tN(Nは放出または溶出した薬物の%(w/w)である)として報告される。本開示の目的上、完全な薬物放出は、薬物の少なくとも90%が剤形から放出された場合に(すなわちt90で)起こる。
【0026】
「定常状態」は、薬物動態学的(PK)パラメータ、例えば被検体の血漿中での原薬の最小(CMIN)および最大(CMAX)の濃度と組み合わせて使用する場合、均一な投与間隔での剤形の反復投与から生じるほぼ一定のPKパラメータ値を意味する。プレガバリンを含有する剤形については、定常状態のCMAX値およびCMIN値は通常、最初の投与から約24〜48時間後に得られる。
【0027】
試験剤形は、参照剤形による処置からの総暴露(total exposure)の平均値に対する試験剤形による処置からの総暴露の平均値の比率に対する90%信頼区間の概算値が80%〜125%の範囲にある場合に、参照剤形と「生物学的に等価(bioequivalent)」である。ここでは、比率は、百分率(100%×試験/参照)で表され、90%信頼区間は、参照平均値の百分率で表される。単回投与研究については、総暴露は、ゼロ時(投与時)から無限時までの血漿濃度・時間曲線下の面積であり;定常状態研究については、総暴露は、投与間隔分の血漿濃度・時間曲線下の面積である。米国保健社会福祉省食品医薬品局医薬品評価センター、Guidance for Industry,Bioavailability and Bioequivalence Studies for Orally Administered Drug Products−General Considerations(第1版、2003年3月)を参照のこと。
【0028】
「難溶性(poorly soluble)」物質は、室温かつpH5〜7で測定した場合に、「やや溶けにくい(sparingly soluble)」、「わずかに溶ける(slightly soluble)」、「ごく僅か溶ける(very slightly soluble)」、または「実質的に溶けない(practically insoluble)」と分類される物質、すなわち、それぞれ、1部の水から約30〜100部の水、約100〜1000部の水、約1000〜約10,000部の水、または約10,000部もしくはそれ以上の水への溶解性を有する化合物である。
【0029】
表1は本明細書を通じて使用する略称のリストである。
【表1】

【0030】
【表2】

【0031】
本開示における、温度範囲、pH範囲、重量(質量)範囲、分子量範囲、百分率範囲等に関する全ての言及は、明示的に「範囲(range)」または「範囲(ranges)」という単語を用いているかどうかによらず、示されたエンドポイントおよびそのエンドポイント間のポイントを含む。
【0032】
上記のように、口腔用薬学的組成物は、薬学的有効成分(API)および賦形剤を含む。薬学的有効成分には、プレガバリンまたは薬学的に許容されるその錯体、塩、溶媒和物、もしくは水和物が含まれる。APIは一般的に、薬学的組成物の約5質量%〜約60質量%を占め、これは典型的には約50mg〜約600mgのプレガバリンを含有する固形剤形(例えば錠剤)に相当するであろう。プレガバリンに加えて、他の有用な薬学的有効成分には、GI管において類似の半減期(例えば約9時間またはそれ未満)および吸収特性を有する成分が含まれ得る。
【0033】
プレガバリンは、公知の方法を用いて製造され得る。これらのいくつかの方法においては、3−アミノメチル−5−メチル−ヘキサン酸のラセミ混合物が合成され、その後にそのR鏡像体およびS鏡像体に分離される。このような方法は、R.B.Silvermanらに対する米国特許第5,563,175号、T.M.Groteらに対する米国特許第6,046,353号、T.M.Groteらに対する米国特許第5,840,956号、T.M.Groteらに対する米国特許第5,637,767号、B.K.HuckabeeおよびD.M.Sobierayに対する米国特許第5,629,447号、ならびにB.K.HuckabeeおよびD.M.Sobierayに対する米国特許第5,616,793号に記載されている。これらの方法の各々においては、ラセミ化合物をキラル酸(分割剤)と反応させてジアステレオマー塩の対を形成し、これが公知の技術、例えば分別結晶化およびクロマトグラフィによって分離される。他の方法において、プレガバリンは、キラル補助剤(4R,5S)−4−メチル−5−フェニル−2−オキサゾリジノンを用いて直接的に合成される。例えば、全てSilvermanらに対する米国特許第6,359,169号、同第6,028,214号、同第5,847,151号、同第5,710,304号、同第5,684,189号、同第5,608,090号、および同第5,599,973号を参照のこと。別の方法において、プレガバリンは、シアノ置換オレフィンの不斉水素化により(S)−3−アミノメチル−5−メチルヘキサン酸のキラルシアノ前駆体を生成し、これがその後に還元されてプレガバリンが生成されることにより製造される。Burkらによる米国特許出願2003/0212290 A1を参照のこと。
【0034】
薬学的組成物は、その遊離形態(両性イオン)ならびにその薬学的に許容される錯体、塩、溶媒和物、水和物、および多型体を含む、任意の薬学的に許容されるプレガバリンの形態を利用し得る。塩には、ヘミ塩(hemisalts)を含む、酸付加塩および塩基付加塩が含まれるがこれらに限定されない。薬学的に許容される酸付加塩には、無機酸、例えば塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、亜リン酸等から得られる非毒性塩、ならびに有機酸、例えば脂肪族モノ−およびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸等から得られる非毒性塩が含まれ得る。潜在的に有用な塩には、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩、炭酸塩、重硫酸塩、硫酸塩、ピロ硫酸塩、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、カプリル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシレート、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩、塩化物、臭化水素酸塩、臭化物、ヨウ化水素酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシレート、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモエート、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、フタル酸塩、プロピオン酸塩、サッカリン酸塩、セバシン酸塩、ステアリン酸塩、スベリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシレート、トリフルオロ酢酸塩等が含まれる。
【0035】
薬学的に許容される塩基塩には、金属カチオン、例えばアルカリ金属カチオンまたはアルカリ土類金属カチオン、およびアミンを含む塩基から得られる非毒性塩が含まれ得る。潜在的に有用な塩の例には、アルミニウム、アルギニン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン、カルシウム、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、グリシン、リジン、マグネシウム、N−メチルグルカミン、オラミン、カリウム、プロカイン、ナトリウム、トロメタミン、亜鉛等が含まれるがこれらに限定されない。有用な酸付加塩および塩基付加塩の議論については、S.M.Berge et al.,J.of Pharm.Sci.,66:1−19(1977)を参照のこと;Stahl and Wermuth,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use(2002)もまた参照のこと。
【0036】
薬学的に許容されるプレガバリンの塩は、その遊離(または両性イオン)形態を所望の酸もしくは塩基と反応させることによって;適当なプレガバリン前駆体から酸もしくは塩基不安定性の保護基を除去することによって;所望の酸もしくは塩基を用いて適当な環状(ラクタム)前駆体を開環することによって;または適当な酸もしくは塩基と反応させることによってまたは適当なイオン交換カラムと接触させることによって、あるプレガバリン塩を別の塩に変換することによって製造され得る。これらの変換は全て、典型的には溶媒中で行われる。得られる塩は沈降させ濾過によって回収され得るかまたは溶媒の蒸発によって回収され得る。得られる塩におけるイオン化の程度は、完全なイオン化状態からほぼ非イオン化状態まで様々であり得る。
【0037】
プレガバリンは、非溶媒和物形態および(水和物を含む)溶媒和物形態で、ならびに薬物および少なくとも一つのさらなる成分が化学量論的または非化学量論的な量で存在する他の多成分錯体の形態で存在し得る。多成分錯体(塩および溶媒和物以外)には、包接体(薬物・ホスト包接錯体)および薬学的な共結晶体が含まれる。後者は、非共有結合性相互作用を通じて結合してひとつになった中性分子成分の結晶性錯体と定義される。共結晶体は、溶融結晶化によって、溶媒からの再結晶化によって、またはその成分をまとめて物理的に粉砕することによって生成され得る。例えば、O.Almarsson & M.J.Zaworotko,Chem.Comm.1889−1896(2004)を参照のこと。多成分錯体の一般的な概説については、J.K.Haleblian,J.Pharm.Sci.64(8):1269−88(1975)を参照のこと。
【0038】
プレガバリンの有用な形態には、その多型体および晶癖の全て、それに相当するプレガバリンのR鏡像体、ならびにプレガバリンおよびそのR鏡像体のラセミ混合物を含むプレガバリンおよびそのR鏡像体の様々な混合物が含まれる。
【0039】
さらに、薬学的組成物は、プレガバリンのプロドラッグを利用し得る。このようなプロドラッグは、プレガバリンの適当な官能基を、例えばH.Bundgaar,Design of Prodrugs(1985)に記載されるような「プロ部分」として公知の官能基で置換することによって製造され得る。従ってプロドラッグの例には、エステル基がカルボン酸基と置き換わったまたはアミド基がアミノ基と置き換わったプレガバリンの誘導体が含まれ得る。
【0040】
プレガバリンの有用な形態には、一つまたはそれ以上の原子が、同じ原子番号を有するが自然界で優勢な原子量または質量数と異なる原子量または質量数を有する原子で置換されている、薬学的に許容される同位体標識された化合物も含まれ得る。プレガバリンに組み込むのに適した同位体の例には、水素(2Hおよび3H)、炭素(11C、13C、および14C)、ならびに窒素(13Nおよび15N)の同位体が含まれる。プレガバリンの同位体標識形態は、一般的に、当業者に公知の技術によって製造され得る。
【0041】
薬学的組成物は、APIに加えて、マトリクス形成剤および膨張剤を含む様々な賦形剤を含む。口腔用固形剤形(例えば錠剤)において、マトリクス形成剤は、構造的完全性を与え、特に薬物放出速度を制御または延長するのを助ける。マトリクス形成剤は、薬学的組成物の約5質量%〜約45質量%を占め、しばしば薬学的組成物の約20質量%〜約35質量%を占める。
【0042】
有用なマトリクス形成剤には、ポリ酢酸ビニル(PVAc)およびポリビニルピロリドン(PVP)の物理的混合物が含まれる。ポビドンまたはポビドナム(povidonum)としても公知のポリビニルピロリドン(PVP)は、1−ビニル−ピロリジン−2−オンのホモポリマーであり、典型的には約1×103〜約1×107、約2.5×103〜約3×106、または約1×104〜約1×105の分子量(Mw)を有する。ポリビニルピロリドンは、KOLLIDON(登録商標)という商品名でBASFから、およびPLASDONE(登録商標)という商品名でISPから販売されている。ポリ酢酸ビニル(PVAc)は、酢酸ビニルのホモポリマーであり、典型的には約1×105〜約1×106の分子量(Mw)を有する。PVAcおよびPVPの総重量に基づき、マトリクス形成剤は、約0質量%〜約90質量%のPVAc、約20質量%〜約90質量%のPVAc、約40質量%〜約90質量%のPVAc、約60質量%〜約90質量%のPVAc、約70質量%〜約90質量%のPVAc、または約80質量%〜約90質量%のPVAcを含み得る。多くの場合、マトリクス形成剤は、PVAcおよびPVPの総重量に基づき、約70質量%〜約85質量%のPVAcを含む。有用なマトリクス形成剤は、KOLLIDON(登録商標)SRという商品名でBASFから販売されており、これは名目上、PVAcおよびPVPのそれぞれ80/19(w/w)混合物である。
【0043】
薬学的組成物は、膨張剤を含むその他の賦形剤を含む。その名が示唆する通り、膨張剤は、胃液から水分を吸収して固形剤形のサイズを拡大し、かつ例えばチャンネルを生成することによってまたは親水コロイドを形成することによって薬物放出速度にも影響を及ぼし得る。膨張剤は水溶性であっても水不溶性であってもよい。膨張剤は、薬学的組成物の約5質量%〜約70質量%、薬学的組成物の約10質量%〜約70質量%、または薬学的組成物の約15質量%〜約70質量%を占め得る。多くの場合、膨張剤は、薬学的組成物の約10質量%〜約55質量%、薬学的組成物の約20質量%〜約55質量%、または薬学的組成物の約30質量%〜約55質量%を占め得る。
【0044】
有用な膨張剤には、1−ビニル−ピロリジン−2−オンの架橋ホモポリマーが含まれ、これはクロスポビドン(crospovidon)、クロスポビドナム、架橋ポビドン、およびポリビニルポリピロリドン(PVPP)として公知である。水不溶性のクロスポビドンは、KOLLIDON(登録商標)CLおよびKOLLIDON(登録商標)CL−10という商品名でBASFから、ならびにPOLYPLASDONE(登録商標)XLおよびPOLYPLASDONE(登録商標)XL−10という商品名でISPから販売されている。
【0045】
クロスポビドンに加えて、膨張剤にはポリエチレンオキシド(PEO)が含まれ得、これはポリオキシランおよびポリオキシエチレンとしても公知である。ポリエチレンオキシドは、エチレンオキシドのホモポリマーであり、典型的には約1×105〜約1×107または約1×106〜約1×107の分子量(Mw)を有する。ポリエチレンオキシドは分子量に基づく様々な等級で供給され、POLYOX(登録商標)という商品名でUnion Carbideから販売されている。クロスポビドンと組み合わせて使用する場合、PEOは典型的には、薬学的組成物の約5質量%〜約35質量%または約10質量%〜約25質量%を占め、クロスポビドンは典型的には、薬学的組成物の約10質量%〜約35質量%または約20質量%〜約30質量%を占める。
【0046】
マトリクス形成剤および膨張剤に加えて、薬学的組成物は、場合により、その剤形の薬物放出特性を修正(例えば延長)するゲル化剤を含み得る。親水コロイドとしても公知のゲル化剤には、典型的には水に対して難溶性(例えば、わずかに溶ける〜やや溶けにくい)の合成および天然由来のポリマーが含まれる。ゲル化剤は、水に曝されると粘性の混合物(すなわち、水より大きな粘度)を形成し、これが剤形を通じた薬物の拡散を遅らせ、それによって剤形からの薬物放出時間を延長する。ゲル化剤は典型的には、重量ベースで薬学的組成物の約0%〜約25%、約5%〜約25%、または約5%〜約20%を占める。有用なゲル化剤にはカルボマー、多糖類、またはその両方が含まれる。
【0047】
カルボマーは、ペンタエリスリトール(pentaerythritol)のアリルスクロースまたはアリルエーテルで架橋されたアクリル酸ポリマーであり、カルボキシポリメチレン、ポリアクリル酸、およびカルボキシビニルポリマー等の様々な名称で公知である。カルボマーは、ドライベースで約56%〜約68%のカルボキシ部分を有し、かつ約1×105〜約1×1010または約7×105〜約4×109の数平均分子量を有する。カルボマーはACRITAMER(登録商標)という商品名でRITAからならびにCARBOPOL(登録商標)およびPEMULEN(登録商標)という商品名でNoveonから販売されている。
【0048】
代表的な多糖類は、キサンタンガム、イヌリン、グアールガム、キトサン、セラトニア(ceratonia)、およびカラゲナン(carregeenan)を単独でまたは組み合わせて含む。コーンシュガーガムとしても公知のキサンタンガムは、約2×106の分子量(Mw)を有する多糖類である。このポリマーは、(1→4)グリコシド結合により連結されたβ−D−グルコース部分の主鎖、および一つ置きのグルコピラノース部分に付加された三糖の側鎖から構成される。各側鎖は、(1→4)および(1→2)グリコシド結合を通じて、それぞれ、β−D−マンノース部分およびα−D−マンノース部分に連結された、β−D−グルクロン酸部分から構成される。α−D−マンノース部分は、(1→3)グリコシド結合を通じて主鎖に連結され、末端のβ−D−マンノース部分の大部分はピルビン酸部分に連結されている。キサンタンガムは、典型的には、ナトリウム塩、カリウム塩、またはカルシウム塩として製造され、異なる粒径を有する様々な等級のものが、KELTROL(登録商標)およびXANTURAL(登録商標)という商品名でCP Kelcoから、RHODIGEL(登録商標)という商品名でRhodiaから、ならびにVANZAN(登録商標)という商品名でR.T.Vanderbilt Company,Inc.から販売されている。
【0049】
オリゴフルクトースおよびポリフルクトースとしても公知のイヌリンは、(2→1)グリコシド結合により連結されたβ−D−フルクトース部分の直鎖から構成され、通常は末端がグルコース分子である、天然由来の多糖類の一種である。D−フルクトース部分の数は2〜約140個の範囲であり得るが、典型的には約25〜約30個の範囲である。イヌリンは、FRUTAFIT(登録商標)という商品名でSensus Operations CVから販売されている。
【0050】
グアールガラクトマンナン、グアール粉(guar flour)、およびジャガーガムとしても公知のグアールガムは、約2×105の分子量(Mw)を有する親水コロイド性多糖類である。グアールガムは、(1→4)グリコシド結合により連結されたβ−D−マンノース部分の直鎖から構成され、かつ(1→6)グリコシド結合によりグルコピラノース部分に連結されたα−D−ガラクトース部分から構成される単糖の側鎖を有する。β−D−マンノース部分とα−D−ガラクトース部分の比は、一般的には約1:1.4〜約1:2の範囲であり、その数平均分子量は、典型的には約2×105である。グアールガムは天然源から獲得されるが、酢酸グアール、フタル酸グアール、酢酸フタル酸グアール、酸化グアールガム、およびナトリウムカルボキシメチルグアールを含む合成誘導体もまた入手可能である。グアールガムは、様々な粒径のものが、GALACTASOL(登録商標)という商品名でAqualonから、ならびにMEYPRO(登録商標)GuarおよびMEYPRODORという商品名でDaniscoから販売されている。
【0051】
キトサンは、塩酸キトサン、塩酸キトサン(chitosani hydrochloridum)、脱アセチル化キチン、デアクチルキチン(deactylchitin)、ポリ−β−(1,4)−2−アミノ−2−デオキシ−D−グルコース、2−アミノ−2−デオキシ−(1,4)−β−D−グルコピラナン、β−1,4−ポリ−D−グルコサミン、ポリ−D−グルコサミン、およびポリ(1,4−β−D−グルコピラノサミン)を含む様々な名称で知られている。キトサンは、β−D−グルコサミンおよびN−アセチル−β−グルコサミンのコポリマーから構成されるやや水に溶けにくい多糖類の一種であり、キチンの脱アセチル化および解重合により製造される。脱アセチル化および解重合の程度は製造元によって異なるが、約80%またはそれ以上の脱アセチル化および約1×104〜約1×106の数平均分子量が典型的である。
【0052】
セラトニアは、イナゴマメガム、イナゴマメ粉、セラトニアガム、チェシャーガム、ローカストビーンガム、およびセントジョンブレッドとしても公知の天然由来の多糖類である。グアールガム同様、セラトニアはガラクトマンナンである。セラトニアは、(1→4)グリコシド結合によって連結されたβ−D−マンノース部分の主鎖から構成され、(1→6)グリコシド結合により4個または5個ごとのD−マンノピラノース部分に連結された単一のβ−D−ガラクトース部分から構成される側鎖を含む。セラトニアの分子量(Mw)は、約5×104〜約3×106の範囲であり得、様々な粒径のものがGRINDSTED(登録商標)LBGおよびMEYPRO(登録商標)LBGという商品名でDaniscoから販売されている。
【0053】
カラゲナンは、ツノマタ抽出物およびアイルランドゴケ抽出物としても公知であり、主としてD−ガラクトースのカリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、または硫酸アンモニウムエステルおよび3,6−アンヒドロ−D−ガラクトースのコポリマーから構成される親水コロイド性多糖類である。ピラノース部分は、交互のα(1→3)およびβ(1→4)グリコシド結合によって連結される。λ−カラゲナン、ι−カラゲナン、およびκ−カラゲナンとして公知の少なくとも三種のカラゲナンが存在し、これらは硫酸エステルおよび3,6−アンヒドロガラクトピラノース部分の量が異なる。λ−カラゲナンは、約35質量%の硫酸エステル基を含み3,6−アンヒドロガラクトース部分を含まない非ゲル化ポリマーであり;ι−カラゲナンは、約32質量%の硫酸エステル基および約30質量%の3,6−アンヒドロガラクトース部分を含むゲル化ポリマーであり;κ−カラゲナンは、約25質量%の硫酸エステル部分および約34質量%の3,6−アンヒドロガラクトース部分を含む、比較的強い(すなわち弾力のない、脆い、または堅い)ゲル化ポリマーである。カラゲナンは、水とブレンドした場合のゲル化タイプ、水溶性、および粘度に基づく多くの等級のものが販売されており、GELCARIN(登録商標)、VISCARIN(登録商標)、およびSEASPEN(登録商標)という商品名でFMC Corporationから購入できる。
【0054】
他の有用な多糖類には、1〜8のpH範囲(包括的)の少なくとも一部で水溶性を示すセルロース誘導体が含まれる。従って有用なポリマーには、いわゆる「腸溶性」および「非腸溶性」のポリマーを含む、エーテルもしくはエステルまたはエーテルおよびエステル置換基を有するポリマーならびにそのコポリマーを含む、イオン性および非イオン性のセルロースポリマーが含まれる。
【0055】
典型的なイオン性セルロースポリマーには、カルボキシメチルセルロース(CMC)およびそのナトリウム塩またはカルシウム塩;カルボキシエチルセルロース(CEC);カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC);酢酸フタル酸ヒドロキシエチルメチルセルロース;酢酸コハク酸ヒドロキシエチルメチルセルロース;フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP);コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース;酢酸フタル酸ヒドロキシプロピルセルロース(HPCAP);酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルセルロース(HPCAS);酢酸フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAP);酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS);酢酸トリメリト酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAT);酪酸フタル酸ヒドロキシプロピルセルロース;カルボキシメチルエチルセルロースおよびそのナトリウム塩;酢酸フタル酸セルロース(CAP);酢酸フタル酸メチルセルロース;酢酸トリメリト酸セルロース(CAT);酢酸テレフタル酸セルロース;酢酸イソフタル酸セルロース;プロピオン酸フタル酸セルロース;プロピオン酸トリメリト酸セルロース;酪酸トリメリト酸セルロース;ならびにそれらの混合物が含まれる。イオン性セルロースポリマーは、多くの販売元から販売されている。例えば、ナトリウムCMCは、粒径および無水グルコース単位のカルボキシメチル置換の程度(例えば、約0.7〜約1.2)に基づく様々な等級のものがAQUALON(登録商標)およびBLONASE(登録商標)という商品名でHerculesから購入できる。
【0056】
典型的な非イオン性セルロースには、メチルセルロース(MC);エチルセルロース(EC);ヒドロキシエチルセルロース(HEC);ヒドロキシプロピルセルロース(HPC);ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);酢酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ヒドロキシエチルメチルセルロース;酢酸ヒドロキシエチルセルロース;ヒドロキシエチルエチルセルロース;およびそれらの混合物が含まれる。非イオン性セルロースは様々な販売元から販売されている。例えば、MCは、重量ベースで無水グルコース単位あたり約27.5%〜約31.5%のメトキシ基を有するものが、METHOCEL(登録商標)という商品名でDow Chemical Companyから購入でき;HPCは、約8×104〜約1.2×106の範囲の分子量(Mw)を有する様々な等級(例えばEF、EXF、LF、JF、GF、MF、HF、およびHXF)のものがKLUCEL(登録商標)という商品名でHerculesから購入でき;HECは、約9×104〜約1.3×106の範囲の分子量(Mv)を有する様々な等級(例えばL、G、M、H、H、およびHHX)のものがNATROSOL(登録商標)250という商品名でHerculesから購入でき;HPMCは、水溶液粘度(aqueous viscosity)に基づき様々な等級(例えばMP843、MP814、MP824、MP844、およびMP874)のものがBENECEL(登録商標)という商品名でHerculesから、ならびに重量ベースで無水グルコース単位あたり約18%〜約29%および約5%〜約27%のそれぞれメトキシ基および2−ヒドロキシプロポキシ基を有する様々な等級(例えばE、F、J、K、および310)のものがMETHOCEL(登録商標)という商品名でDOW Chemical Companyから購入できる。
【0057】
薬学的組成物は、場合により、成分のブレンドおよび打錠を含む様々な処理工程において補助をする、一つまたはそれ以上の滑沢剤を含み得る。滑沢剤は、存在する場合、典型的には重量ベースで薬学的組成物の約0.5%〜約2%を占める。代表的な滑沢剤には、タルク、ステアリン酸ならびにステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸亜鉛を含むその金属塩;ステアリン酸ポリオキシエチレン、モノステアリン酸グルセリル、パルミトステアリン酸グリセリル等を含むステアリン酸エステル;ベヘン酸グリセリル(例えばGattefosse Inc.から販売されているCOMPRITOL(登録商標))、ラウリル硫酸ナトリウム、硬化植物油、鉱油、ポロキサマー(エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマー)、ポリエチレングリコール、塩化ナトリウム、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0058】
薬学的組成物は、その他の賦形剤、例えば希釈剤または増量剤を含み得、これらは組成物の約0質量%〜約30質量%を占める。希釈剤は、成分のブレンドおよび打錠時の薬学的組成物の流動性を改善し得、かつ錠剤の物理的特性を強化し、例えば高い圧縮強度または硬度、低い脆弱性等を提供し得る。代表的な希釈剤には、単糖類、二糖類、多価アルコール、およびそれらの混合物、例えばデキストロース、ラクトース一水和物、噴霧乾燥ラクトース一水和物、無水ラクトース、スクロース、マンニトール、噴霧乾燥マンニトール、キシリトール、およびソルビトールが含まれる。他の有用な希釈剤には、微結晶性セルロース、デンプン、アルファ化でんぷん、リン酸二水素カルシウム、無水リン酸二カルシウム、およびそれらの混合物が含まれ得る。
【0059】
医薬品を製造するために、薬学的組成物の成分は、典型的には、例えばvコーン型ブレンダーを用いて乾式ブレンドされる。得られる混合物はその後、プレスで圧縮され、個々の(単位)剤形(錠剤)が生成される。製品の均一性を向上させるため、成分は段階的に混合およびブレンドされ得る。例えば、APIは、例えば流動床または押出し造粒によって一つまたはそれ以上の成分と共に造粒され、その後に残りの成分とブレンドされ得る。同様に、APIは、最初に一つまたはそれ以上のマトリクス形成剤と乾式ブレンドされ得、その他の賦形剤、例えば膨張剤、ゲル化剤、希釈剤、滑沢剤等はその後の一つまたはそれ以上のブレンド操作において混合され得る。所望の場合、一つまたはそれ以上の成分は、ブレンド前に、ふるい分けもしくは粉砕またはその両方により分級され得る。最終医薬品を製造するため、圧縮された剤形はさらなる加工、例えば研磨、コーティング等に供され得る。乾式ブレンド、湿式造粒および乾式造粒、粉砕、ふるい分け、打錠、コーティング等の考察、ならびに医薬品を製造するための代替技術の解説については、A.R.Gennaro(ed.),Remington:The Science and Practice of Pharmacy(20th ed.,2000);H.A.Lieberman et al.(ed.),Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Vol.1−3(2d ed.,1990);およびD.K.Parikh & C.K.Parikh,Handbook of Pharmaceutical Granulation Technology,Vol.81(1997)を参照のこと。
【0060】
薬学的組成物は丸ごと摂取され、被検体の胃において胃液(水分)と接触すると膨張または拡大を始める。剤形は任意の形状を有し得、連続する実質的に平らな側表面によりつながれた、円形もしくは楕円形の凸状または平らな表面の対により規定される円板形または卵形の錠剤;実質的な平らな側表面によりつながれた、丸みのある角および縁を有しかつ凸状または平らな複数の側面を持つ表面(例えば三角形、四角形、五角形、六角形等)の対により規定される多角形(例えば三角形、四角形、五角形、六角形等)の錠剤;ならびに半球形または半球状の端面を有しかつ円形または楕円形の断面を有する円筒形の錠剤が含まれ得る。
【0061】
QD剤形は、サイズ排除により、食事と共に投与することにより、就寝前に投与することにより、またはこれらの機構の組み合わせにより、胃の中で滞留させ得る。サイズ排除のみを通じた滞留については、剤形は、それが幽門を通って胃から出て行くのを防止するサイズに拡大する。成人における幽門の平均径は約13mmなので、拡大後の剤形のサイズは約13mm〜約20mmもしくはそれ以上、約15mm〜約20mmもしくはそれ以上、または約17mm〜約20mmもしくはそれ以上の範囲であり得る。本明細書において、剤形の「サイズ」は、最小の面積を有する剤形の断面における最長の直線の寸法に対応する。例えば、円板形錠剤のサイズはその直径に対応し、円筒形錠剤のサイズはその円形断面の直径またはその楕円形断面の長軸に対応する。
【0062】
QD投与を達成するため、この剤形は数時間の間(例えばtR≧3、4、5、または6時間)胃に滞留し、長時間にわたって(t90>10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20時間)プレガバリンを放出する。この剤形は、典型的には、約3時間〜約11時間(3≦tR≦11)、約6時間〜約14時間(6≦tR≦14)、または約8時間〜約14時間(8≦tR≦14)の範囲の期間の間、被検体の胃に滞留し、かつ約12時間〜約16時間(12≦t90≦16)、約12時間〜約18時間(12≦t90≦18)、約12時間〜約20時間(12≦t90≦20)、約14時間〜約20時間(14≦t90≦20)、または約16時間〜約20時間(16≦t90≦20)の範囲の期間にわたってプレガバリンを放出する。以下の実施例におけるPKシミュレーションにおいて記載されるように、剤形が胃に滞留する時間よりも約4時間〜約6時間長い期間にわたってプレガバリンを放出するQD剤形は、患者間のばらつきを最小限に抑えるようである。
【0063】
食事は胃内容排出を遅らせ、睡眠はGIの運動性を低下させるので、この剤形は、一日一回、食後または就寝前(例えば睡眠から約1時間以内)に投与され得る。両方の効果を活かし、薬物放出をさらに延長するため、QD剤形は、最後の食事後、就寝前(例えば夕食後)に摂取され得る。食事時に摂取するまたは就寝前に摂取するまたは食事時および就寝前に摂取するQD剤形については、剤形は、ほとんどまたは全くサイズを拡大させずとも胃に滞留し得る。例えば、このような場合、拡大後の剤形のサイズは、約9mmまたはそれ以上であり得る。
【0064】
任意の24時間の間に、QD剤形は、一日二回または三回摂取される対応するAPIの即効型処方物の定常状態時CMAXとほぼ同等またはそれよりも低い定常状態時CMAXを達成する。同様に、QD処方物は、一日二回または三回摂取されるIR処方物の定常状態時CMINとほぼ同等またはそれより高い定常状態時CMINを理想的に達成する。一日二回摂取される、プレガバリン300mgを含有するIR処方物は、約8.9μg/mLの平均定常状態時CMAXおよび約2.8μg/mLの平均定常状態時CMINを示し、一日二回摂取される、プレガバリン15mgを含有するIR処方物は、約4.4μg/mLの平均定常状態時CMAXおよび約1.4μg/mLの平均定常状態時CMINを示す。プレガバリンを含有するQD処方物は、約9μg/mLまたはそれ未満の平均定常状態時CMAXおよび約0.7μg/mLまたはそれ以上の平均定常状態時CMINを理想的に達成する。
【実施例】
【0065】
以下の実施例は例示を意図しており、非限定的なものである。そうでないことが示されない限り、以下の手順は、医薬品の薬物放出(水への溶出)、膨張、硬度、および安定性を時間の関数として測定するために使用される。
【0066】
医薬品の溶出
37℃の水性溶出媒体(0.06N HClまたは0.5M酢酸緩衝液)に浸した医薬品サンプルから放出されるAPIの量は、USP装置2(パドル法)および装置3(レシプロケーティングシリンダー)をそれぞれ50rpmまたは5dpmで操作して用いて測定した。溶出媒体のサンプル(1mL)は、典型的には、1、2、4、6、9、12、16、および24時間で採取し、以下の条件下でHPLCを用いて分析した:カラム:Zorbax SB−CN、150mm×4.6mm、5μm粒径;カラム温度:23℃;検出波長:210nm;流速1mL/分;注入量:25μL;移動相の組成:0.05Mスルホン酸/ヘキサンおよび2mL Et3N;pHはオルトリン酸:ACN(880:130)で3.1に調整;実行時間:8分。
【0067】
医薬品の膨張
0.06N HCl水性溶出媒体に浸した後の時間の関数としての医薬品のサイズの増大を、USP装置2(パドル法)を用いて測定した。医薬品サンプルを定期的に溶出媒体から取り出し、それらの寸法をカリパスを用いて測定した。
【0068】
医薬品の硬度
医薬品サンプルを、0.06N HCl水性溶出媒体を含むUSP装置2(パドル法)内に置いた。医薬品サンプルを定期的に取り出し、それらの硬度をテクスチャーアナライザー(TA 132)を以下の設定で用いて測定した:5kgロードセル;TA−8 1/4''ボールプローブ;0.5gトリガーフォース;0.2mm/秒 測定スピード;10ポイント/秒 取得速度;10mm間隔。
【0069】
医薬品の安定性
安定性試験は、医薬品サンプルを開口状態のHDPEボトルまたは誘導シールしたHDPEボトルに入れ、これを40℃および75%相対湿度下で保存することにより行った。医薬品サンプルを様々な時間間隔、例えば最初のスクリーニングについては2週間、その後の試験については3週間、6週間、または3ヶ月で取り出し、HPLCを用いてプレガバリン含有量(%、w/w)およびラクタム含有量(%、ラクタム重量/プレガバリンの初期重量)を分析した。
【0070】
実施例1〜11
表2および3は、プレガバリンおよび様々な賦形剤を含有する研究室スケールのバッチ(25g)の組成を示し;表4および5は、時間の関数として薬物放出の結果を示す。各処方物につき、ステアリン酸マグネシウムを除く全ての錠剤成分をTURBULA(登録商標)ミキサーにて約15分間ブレンドすることによって医薬品を製造した。ステアリン酸マグネシウムは#20標準ふるいを通し、スパチュラを用いてTURBULA(登録商標)ミキサーの内容物と混合した。その後、得られた粗ブレンド品をTURBULA(登録商標)ミキサーにてさらに4分間混合し、最終ブレンド品を得た。各最終ブレンド品を、CARVER(登録商標)プレスにて3000ポンド(実施例1〜5)または2000ポンド(実施例6〜11)の圧縮力および0.1分のドウェル時間を用いて圧縮し、約30kpの平均硬度値ならびにそれぞれ1gおよび1.125gの名目錠剤重量を有する錠剤を得た。いくつかの処方物(実施例1〜5)については、プレガバリンを、他の賦形剤とのブレンド前に、COMPRITOL(登録商標)888を用いて高せん断造粒によりコーティングした。
【0071】
実施例12〜14
表6は、プレガバリンおよび賦形剤を含有する研究室スケールのバッチ(100g)の組成を示し、表7は時間の関数として薬物放出を示す。各組成物につき、最初に押出し造粒装置においてプレガバリンをCOMPRITOL(登録商標)888と混合することによって医薬品を製造した。ステアリン酸マグネシウムを除いて、残りの錠剤成分を、得られたプレガバリン粒と1パイントV型ブレンダーにて約15分間ブレンドした。ステアリン酸マグネシウムは#20標準ふるいを通し、スパチュラを用いてV型ブレンダーの内容物と混合した。その後、得られた粗ブレンド品をV型ブレンダーにてさらに4分間混合し、最終ブレンド品を得た。各最終ブレンド品を、疑似KORSCH(登録商標)XL 400プレス(すなわちPRESSTER(登録商標)コンパクションシミュレーター)を約21kNの平均圧縮力および12ミリ秒の平均ドウェル時間で用いて圧縮した。この錠剤は、約20kpの平均硬度および約1gの名目錠剤重量を示した。
【0072】
実施例15〜23
表8は、プレガバリンおよび賦形剤を含有する研究室スケールのバッチの組成を示し;表9は、時間の関数としてラクタム形成を示す。各処方物を、実施例12〜14に記載の上記プロセスと同様のプロセスを用いて製造した。
【0073】
実施例24〜30
表10は、プレガバリンおよび賦形剤を含有する研究室スケールのバッチ(4kgまで)の組成を示し;表11は、時間の関数として薬物放出を示し;表12および13は、水溶液に浸した後の錠剤の膨張および錠剤硬度の変化を示し;表14は、時間の関数としてラクタム形成を示す。いくつかの組成に関する医薬品(実施例25〜29)は、実施例12〜14に記載のプロセスと同様のプロセスを用いて製造した。
【0074】
実施例24の医薬品は、ステアリン酸マグネシウムを除く全ての錠剤成分を16クォートV型ブレンダーで15分間ブレンドすることによって製造した。ステアリン酸マグネシウムは#30標準ふるいを通し、スパチュラを用いてV型ブレンダーの内容物と混合した。その後、得られた粗ブレンド品をV型ブレンダーにてさらに5分間混合し、最終ブレンド品を得た。最終ブレンド品は、ダイヤモンド形(四辺形)パンチ(0.6299''×0.748''、0.0700''カップ深さ、0.0040''ランド)および三角形パンチ(0.6665''×0.6906''、0.0600''カップ深さ、0.0040''ランド)を用いてMANESTY(登録商標)Betapressにて圧縮した。ダイヤモンド形の型については、約2.1kNのプレ圧縮力(pre−compression force)設定および約36kNの下部メイン圧縮力(lower main compression)設定で、10個の錠剤において8.6kpの平均錠剤硬度を得た。三角形の型については、約2.2kNのプレ圧縮力設定および約39.8kNの下部メイン圧縮力設定で、10個の錠剤において9.0kpの平均錠剤硬度を得た。脆性(friability)試験における重量の損失は、それぞれ、ダイヤモンド形錠剤については0.3%および三角形錠剤については0.2%であった。
【0075】
MANESTY(登録商標)Betapressを用いて製造した錠剤(実施例24)は、実質的にそれ以前の実施例において製造した錠剤よりも低い錠剤硬度を示した。そのため、錠剤硬度を改善するために、その組成物のステアリン酸マグネシウム含有量を1%から0.5%に減らした(実施例30)。バッチサイズを4kgから2kgに減らしたことおよびステアリン酸マグネシウム添加後のブレンド時間を4分間に減らしたことを除いて、実施例24と同様の様式で医薬品を製造した。最終ブレンド品は、三角形の型を用いてMANESTY(登録商標)Betapressにて圧縮した。2.8kNのプレ圧縮力設定および41.5kNの下部メイン圧縮力設定では、錠剤は15.2kpの平均(n=10)硬度を有し、脆さ試験において0%の重量損失を示した。このプレ圧縮圧設定および下部メイン圧縮圧設定をそれぞれ3.1kNおよび33.2kNに変えた場合、錠剤は12.1kpの平均(n=10)硬度を有し、脆性試験において0.07%の重量損失を示した。
【0076】
実施例31
表15は、プレガバリンの定常状態時最小(CMIN)および最大(CMAX)血漿濃度のシミュレーション、ならびにプレガバリン600mgを含有するQD薬学的組成物についてはCMAXまでの時間(tMAX)を示す。この組成物は、tR=3、5、8、または10時間の間、胃に滞留し、総溶出時間t100=6、8、10、12、または16時間を有する。比較の目的のため、表15は、一日二回投与されるプレガバリン300mgを含有するIR薬学的組成物についての定常状態時PKパラメータも示す。
【0077】
PKのシミュレーションは、表16に提供される標準化された溶出プロフィールを有するQD剤形に基づく。さらに、表15に示されるPKのシミュレーションは、(1)この薬学的組成物が、各シミュレーションごとに特定の期間(tR)胃の中に留まること;(2)総有効吸収時間(時間枠)は、6時間(胃の中での時間のうちの小腸および結腸の上行部分についての平均吸収時間枠)プラスtRであること;(3)小腸下部での吸収速度はその上部と類似すること;ならびに(4)この薬学的組成物を食事時に、就寝時に、または食事時および就寝時に摂取することは吸収速度に対して影響しないことを推測した。食物は、IR処方物のtMAXを遅らせることが示されているが、薬物吸収の程度には影響しないようである。しかし、このシミュレーションはtMAXの遅れを過小評価している可能性があるので、睡眠は、薬物吸収速度を低下させる可能性があろう。
【0078】
上記のように、表15の結果は、6時間というIR処方物に関する平均吸収時間枠に基づく(QD投与を受けた個々の患者のPKプロフィールは異なり得る)。実際、プレガバリン600mgを含有し、12時間のt100および5時間のtRを示し、tRが3.4時間から7.7時間まで変化するQD剤形についてのPKシミュレーションは、tRよりおよそ4〜6時間長いt100(またはt90)が被検体間のばらつきを減らすことを示唆した。
【0079】
実施例32
実施例30のQD処方物の効能を評価するため、単回投与薬物動態研究を行った。QD剤形を、米国食品医薬品局により作製されたガイドラインに従い、(1)絶食状態で、(2)高脂肪の朝食後に(午前処置)、および(3)高脂肪分の夕食後に(夕方処置)与えた。米国保健社会福祉省食品医薬品局医薬品評価センター、Guidance for Industry,Food−Effect Bioavailability and Fed Bioequivalence Studies(2002年12月)を参照のこと。ここで、「高脂肪」は、その食事の総カロリー含有量のおよそ50%が脂肪由来であることを意味する。これらの三種の処置の薬物動態結果を、プレガバリン、ラクトース一水和物、トウモロコシデンプン、およびタルクから構成される同一用量(300mg)の即効型処方物(カプセル)について得られた結果と比較した。
【0080】
プレガバリンのCMAXおよびtMAXの値に基づけば、全三種のQD処方物処置のピーク暴露がIRカプセルと比較して低く遅れて起こった。このことはQD処方物からのより遅い吸収速度を示す。QD処方物の平均tMAXは、絶食処置については約4時間であり、IRカプセルの1.5時間という平均tMAXよりも2倍超遅かった。高脂肪食の摂取後、QD処方物のtMAXは、およそ10時間(午前処置については9.7時間および夕方処置については10.7時間)に増加した。ゼロ時から無限時までの間の血漿濃度・時間曲線下の平均面積に基づけば、絶食時のQD処方物に対する総プレガバリン暴露は、IRカプセルについてのそれの半分未満であった。しかし、QD処方物が高脂肪食の後に投与された場合、午前処置および夕方処置の両方についての総プレガバリン暴露は、IRカプセルからの暴露と同等であった。QD処方物が高脂肪食後に投与された場合に達成された総暴露は、IR処方物と生物学的に等価であり、許容できる一日一回投与プロフィールを達成したはずだ。
【0081】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用する場合、単数冠詞、例えば「一つ(a)」、「一つ(an)」、および「その(the)」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、一つの対象または複数の対象を意味し得る。従って、例えば、「化合物(a compound)」を含む組成物に対する参照は、単一の化合物または二つもしくはそれ以上の化合物を含み得る。
【0082】
上記の説明は例示的なものであり限定を意図するものではないことが理解されるはずである。上記の説明を読めば、多くの実施態様が当業者に明らかとなろう。従って本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を、このような特許請求の範囲に含まれる等価物の範囲全体と共に参照して決定されるべきである。特許、特許出願、および公報を含む全ての論文および参考文献の開示は、その全体を全ての目的のために、参照により本明細書で援用する。
【0083】
【表3】

【0084】
【表4】

【0085】
【表5】

【0086】
【表6】

【0087】
【表7】

【0088】
【表8】

【0089】
【表9】

【0090】
【表10】

【0091】
【表11】

【0092】
【表12】

【0093】
【表13】

【0094】
【表14】

【0095】
【表15】

【0096】
【表16】

【0097】
【表17】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的有効成分および賦形剤を含み、薬学的有効成分がプレガバリンまたは薬学的に許容されるその錯体、塩、溶媒和物、もしくは水和物を含み、賦形剤がマトリクス形成剤および膨張剤を含み、マトリクス形成剤がポリ酢酸ビニルおよびポリビニルピロリドンを含み、膨張剤が架橋型ポリビニルピロリドンを含む、一日一回の経口投与に適合された薬学的組成物。
【請求項2】
薬学的組成物が、水分との接触によって、約9mmまたはそれ以上の大きさに拡大する、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
薬学的組成物が、経口投与後約3時間から約14時間の間、被検体の胃に滞留する、請求項1または2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
薬学的有効成分は、薬学的組成物が経口投与後に被検体の胃に滞留する時間よりも約4時間から約6時間長い時間をかけて放出される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
薬学的有効成分が約12時間から約20時間の時間をかけて放出される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
薬学的有効成分が、約9μg/mLもしくはそれ未満のインビボ定常状態時CMAX、または約0.7μg/mLもしくはそれ以上のインビボ定常状態時CMIN、または約9μg/mLもしくはそれ未満のインビボ定常状態時CMAXおよび約0.7μg/mLまたはそれ以上のインビボ定常状態時CMINを示す、請求項1〜5のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
膨張剤がポリエチレンオキシドをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
薬学的組成物が、プレガバリン、ラクトース一水和物、トウモロコシデンプン、およびタルクを含む即効型処方物と生物学的に等価である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
被検体におけるプレガバリン応答性の状態または障害の処置のための、請求項1〜8のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
状態または障害が、てんかん、疼痛、糖尿病性末梢神経障害、帯状疱疹後神経痛、精神運動興奮薬に関連する生理学的状態、炎症、胃腸障害、アルコール中毒、不眠症、線維筋痛症、不安、うつ、躁病、および双極性障害から選択される、請求項9に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の薬学的組成物を被検体に投与することを含み、薬学的組成物は一日一回経口投与される、被検体におけるプレガバリン応答性の状態または障害の処置方法。
【請求項12】
状態または障害が、てんかん、疼痛、糖尿病性末梢神経障害、帯状疱疹後神経痛、精神運動興奮薬に関連する生理学的状態、炎症、胃腸障害、アルコール中毒、不眠症、線維筋痛症、不安、うつ、躁病、および双極性障害から選択される、請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2009−514847(P2009−514847A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538441(P2008−538441)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【国際出願番号】PCT/IB2006/003063
【国際公開番号】WO2007/052125
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】