説明

プログラム、情報記憶媒体及び画像表示制御装置

【課題】 感情の急激な変化が生じた場合でも、見る者に違和感の少ないキャラクタの表情変化を提供すること。
【解決手段】会話の相手キャラクタ6の感情を、プレーヤの話題や応答の選択に応じて遷移させる。遷移元の感情と遷移先の感情との関係が感情急変化条件を満たす場合には、遷移先の感情が昂揚したときの昂揚感情に対応して予め定められた制御データ(特別顔制御テクスチャ30)に基づき相手キャラクタ6の画像を特別画像W12として一時的にインサート表示するように制御した後、遷移先の感情に対応する制御データ(顔制御テクスチャ22)に基づいて相手キャラクタ6の画像を表示制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報記憶媒体及び画像表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のビデオゲームでは、プレーヤが操作するプレーヤキャラクタと、他のキャラクタとが対面して会話するといったシーンを含むものが良く見られる。例えば、RPG(ロールプレイングゲーム)では、プレーヤキャラクタが訪れた村で村人NPC(ノンプレーヤキャラクタ)と会話して情報を聞き出すシーンが登場したり、プレーヤキャラクタとパーティを組んでいる味方NPCと会話して意見を交換して味方内での共感を得たり反目し合ったりといったドラマを豊かにする要素として利用されたりもしている。
そういったキャラクタが対面するシーンでは、キャラクタの表情をより感情豊かに表現することが重要となる。例えば、情報を聞き出すシーンであれば、相手のキャラクタの表情から相手の思惑を推測し、会話の話題を適当に切り換えたり、時にブラフの質問をするなどの駆け引きのための重要な材料となる。また、相手キャラクタとの対話では、表情を変えず人形のようなキャラクタが表示されているよりも会話に応じて表情を変えることで、プレーヤが会話中に感じるリアリティが大きく異なり、ゲームの楽しさを増すことができる。
【0003】
こうしたコンピュータグラフィックスで表現されるキャラクタに表情の変化をつける技術は進歩を続けており、例えばキーフレームを逐一指示しなくとも、当人が意識していなくても自然に変化するまばたきや微妙な首の傾き、視線の変化などと言った無意識な表情の変化を簡単に表現するための技術もある(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2007−156650号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、人間の感情は常になだらかに変化するとは限らず、急激な変化をすることがあるのは良く知られるところである。例えば、不機嫌な人がある会話をきっかけとして突然気をよくしてご機嫌になるといったことは日常よく見られる。
ビデオゲームでの対面シーンにおいても、よりリアリティを高め、対面するキャラクタの人間性を豊かにするためにそうした急激な感情変化も表現したいと考えるのは当然である。しかし、上記従来技術では、顔モデルを無意識動作に基づく変化量と意識表情に基づく変化量とを合成することで、無意識動作の表情変化を含んだ意識表情を形成する。そのため、急激な感情変化を同技術で実現しようとすると顔モデルの変化が不自然になり違和感を生じる場合があった。特に、漫画キャラクタ的記号論で描かれたキャラクタ(例えば、非写実的なアニメキャラクタや漫画キャラクタ)を対象とすると、感情を表す表情が現実の人間のように必ずしも連続性を有しておらず、記号論的に切り換えられるケースが多く、違和感が更に感じられやすい。
【0005】
本発明は、こうした事情を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、感情の急激な変化が生じた場合でも、見る者に違和感の少ないキャラクタの表情変化を実現することである。より具体的な例を挙げれば、漫画キャラクタ的記号論で描かれたキャラクタの急激な感情変化に基づく表情変化を違和感なく見せることを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決する第1の発明は、コンピュータに、操作入力された指示内容に応じて表情が変化するキャラクタの画像を表示制御させるためのプログラムであって、
前記キャラクタが取り得る一般的な感情である一般感情のうち、現在の感情が何れの一般感情であるかを記憶する現感情記憶手段(例えば、図8の処理部200、感情決定部214、現在感情種類データ592、図16のステップS40,S44)、
操作入力された指示内容が予め定められた感情変化条件(例えば、図10の感情遷移設定データ550、選択肢属性554)を満たしたことを検出する感情変化条件成立検出手段(例えば、図8の処理部200、感情決定部214、図15のステップS18)、
現在の一般感情からの遷移先の一般感情を決定する遷移先感情決定手段(例えば、図8の処理部200、感情決定部214、図15のステップS24)、
現在の一般感情から前記決定された遷移先の一般感情への変化が急激な感情変化であるか否かを判定するための所定の感情急変化条件(例えば、図13の遷移時特別出力素材データ560、遷移パターン561)を満たすか否かを判定する感情変化判定手段(例えば、図8の処理部200、急感情変化判定部216、図16のステップS26)、
前記感情急変化条件を満たさない場合に、前記決定された遷移先の一般感情に対応して予め定められた当該一般感情のときに表示する前記キャラクタの画像の制御データ(例えば、図9のキャラクタ初期設定データ520、顔制御テクスチャ524)に基づいて前記キャラクタの画像を表示制御し、前記感情急変化条件を満たす場合には、所与の感情が昂揚したときの昂揚感情に対応して予め定められた制御データ(例えば、図13の遷移時特別出力素材データ560、特別顔制御テクスチャ562)に基づき前記キャラクタの画像を一時的に表示制御した後、前記決定された遷移先の一般感情に対応する制御データに基づき前記キャラクタの画像を表示制御する感情遷移時表示制御手段(例えば、図8の処理部200、感情遷移時表示制御部218、画像生成部260、図16のステップS26〜S28、S46、S36、S38)、として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0007】
また、第10の発明は、操作入力された指示内容に応じて表情が変化するキャラクタの画像を表示制御する画像表示制御装置であって、
前記キャラクタが取り得る一般的な感情である一般感情のうち、現在の感情が何れの一般感情であるかを記憶する現感情記憶手段と、
操作入力された指示内容が予め定められた感情変化条件を満たしたことを検出する感情変化条件成立検出手段と、
現在の一般感情からの遷移先の一般感情を決定する遷移先感情決定手段と、
現在の一般感情から前記決定された遷移先の一般感情への変化が急激な感情変化であるか否かを判定するための所定の感情急変化条件を満たすか否かを判定する感情変化判定手段と、
前記感情急変化条件を満たさない場合に、前記決定された遷移先の一般感情に対応して予め定められた当該一般感情のときに表示する前記キャラクタの画像の制御データに基づいて前記キャラクタの画像を表示制御し、前記感情急変化条件を満たす場合には、所与の感情が昂揚したときの昂揚感情に対応して予め定められた制御データに基づき前記キャラクタの画像を一時的に表示制御した後、前記決定された遷移先の一般感情に対応する制御データに基づき前記キャラクタの画像を表示制御する感情遷移時表示制御手段と、を備えた画像表示制御装置である。
【0008】
第1又は第10の発明によれば、キャラクタの感情が急激な変化を起こした場合に、遷移先の感情に対応する制御データでキャラクタを制御する前に、感情が昂揚した時の昂揚感情に対応した特別な制御データに基づいてキャラクタの画像を一時的に制御した画像を表示させることができる。
つまり、表情の時間的な不連続性位置にあえて極端に高まった感情(昂揚感情)による表情を短時間だけ挿入することで、見る者に昂揚感情に基づく表情から受ける印象によって表情の不連続性に感覚的な合理性を与え、表情の不連続性に起因する違和感を払拭させることが可能になる。
【0009】
第2の発明は、前記感情遷移時表示制御手段が、前記感情急変化条件を満たす場合に、前記決定された遷移先の一般感情が昂揚したときの昂揚感情に対応して予め定められた制御データに基づき前記キャラクタの画像を一時的に表示制御した後、前記決定された遷移先の一般感情に対応する制御データに基づき前記キャラクタの画像を表示制御するように前記コンピュータを機能させるための第1の発明のプログラムである。
【0010】
第2の発明によれば、第1の発明と同様の効果を奏するとともに、遷移先の感情がオーバーシュートした表情を短時間見せた後に、本来の遷移先の感情に対応する表情を見せることができる。従って、見る者に「これだけ感情が大きく変化するのだから表情の時間的な不連続性があってもおかしくない」といった感覚を与えることができるので、より効果的に表情の不連続性に起因する違和感を払拭させることが可能になる。
【0011】
第3の発明は、前記キャラクタがプリミティブ面のモデルで構成され、
前記キャラクタのモデルを構成するプリミティブ面の頂点位置を変移させて前記キャラクタの無意識動作を制御する無意識動作制御手段として前記コンピュータを機能させるための第1又は第2の発明のプログラムである。
【0012】
第3の発明によれば、キャラクタの表情に、瞬きや僅かな首の傾け、目線の細かな移動といった人が無意識に起こす動作を加えることができる。よって、キャラクタの表情をより自然に見せることができる。本来であれば感情の急激な変化にともなう表情の時間的不連続性が違和感の元であるから、無意識動作の付加はむしろ逆効果となる印象であるが、感情遷移の前後ではよりリアルで自然に見せておいて、遷移の瞬間に昂揚感情に基づく表情を見せることによる印象をより強調させることで、表情の不連続性に対する感覚的合理性を強く感じさせることができる。
【0013】
第4の発明は、前記感情変化条件成立検出手段が、複数種類の感情変化条件の何れの条件を満たしたかを検出し、前記遷移先感情決定手段が、少なくとも現在の一般感情と、前記感情変化条件成立検出手段により満たすとして検出された感情変化条件の種類とに基づいて、遷移先の一般感情を決定するように前記コンピュータを機能させるための第1〜第3の何れかの発明のプログラムである。
【0014】
第4の発明によれば、第1〜第3の発明の何れかと同様の効果を奏するとともに、例えば同じ刺激があっても感情変化が起こる直前の感情状態が喜んでいれば少々不機嫌に成る程度で済むが、そもそも不機嫌なところに同じ刺激が有った場合には激怒するに至るといった、対象とするキャラクタの感情の遷移パターンをより豊かに、人間のそれらしく実現することができる。
【0015】
第5の発明は、感情の変化のし易さを表す変化率を設定する感情変化率設定手段(例えば、図8の処理部200、図12の感情変化率設定データ575、図15のステップS22)として前記コンピュータを機能させるとともに、前記遷移先感情決定手段が、前記変化率を更に加味して遷移先の一般感情を決定するように前記コンピュータを機能させるための第4の発明のプログラムである。
【0016】
第5の発明によれば、更に感情の変化のし易さを可変することができるので、対象とするキャラクタの感情の遷移パターンをより豊かに、人間のそれらしく実現することができる。
【0017】
第6の発明は、前記感情遷移時表示制御手段が、現在の一般感情から前記決定された遷移先の一般感情へ前記キャラクタの画像の表示制御を切り換える際に、前記キャラクタの背景画像を感情遷移時用の特別背景画像(例えば、図13の特別背景データ563の画像)に一時的に切り換えて表示制御する背景画像表示制御手段(例えば、図8の処理部200、感情遷移時表示制御部218、図16のS30〜S32)を有するように前記コンピュータを機能させるための第1〜第5の何れかの発明のプログラムである。
【0018】
第6の発明によれば、第1〜第5の発明の何れかと同様の効果を奏するとともに、昂揚感情の表情を表示する際の背景を感情遷移の前後とは異なる特別な背景画像とすることで、遷移の瞬間に昂揚感情に基づく表情を見せることによる印象をより強調して、表情の不連続性に対する感覚的合理性を強く感じさせることができる。
【0019】
第7の発明は、前記背景画像表示制御手段が、遷移元と遷移先の一般感情の対応関係に応じて予め定められた複数の特別背景画像の中から、現在の一般感情及び前記決定された遷移先の一般感情に対応する特別背景画像を用いて前記キャラクタの背景画像を一時的に切り換えるように前記コンピュータを機能させるための第6の発明のプログラムである。
【0020】
第7の発明によれば、第6の発明と同様の効果を奏するとともに、特別背景画像のデザインを介して遷移元と遷移先の一般感情の対応関係をプレーヤに繰り返し示すことで、特別背景画像を急激な感情変化が起こることの記号として認識させることができるようになり、表情の不連続性に対する感覚的合理性をより一層強く感じさせることができる。
【0021】
第8の発明は、前記感情遷移時表示制御手段によって、現在の一般感情から前記決定された遷移先の一般感情へ前記キャラクタの画像の表示制御が切り換えられる際に、所定の効果音(例えば、図13の特別効果音データ564による効果音)の出力制御を行う効果音出力制御手段(例えば、図8の処理部200、感情遷移時効果音出力制御部220、図16のステップS34〜S36)として前記コンピュータを機能させるための第1〜第7の何れかの発明のプログラムである。
【0022】
第8の発明によれば、第1〜第7の発明の何れかと同様の効果を奏するとともに、昂揚感情に対応して予め定められた制御データによる表情をより印象づけ、表情の不連続性に対する感覚的合理性をより一層強く感じさせることができる。
【0023】
第9の発明は、第1〜第8の発明の何れかのプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な情報記憶媒体である。ここで言う「情報記憶媒体」とは、例えば磁気ディスクや光学ディスク、ICメモリなどを含む。第9の発明によれば、第1〜第8の発明の何れかのプログラムをコンピュータに読み取らせて実行させることによって、コンピュータに第1〜第8の発明の何れかと同様の効果を発揮させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、キャラクタの感情が急激な変化を起こした場合に、遷移先の感情に対応する制御データでキャラクタを制御する前に、感情が昂揚した時の昂揚感情に対応した特別な制御データに基づいてキャラクタの画像を一時的に制御した画像を表示させることができる。
つまり、表情の時間的な不連続性位置にあえて極端に高まった感情(昂揚感情)による表情を短時間だけ挿入することで、見る者に昂揚感情に基づく表情から受ける印象によって表情の不連続性に感覚的な合理性を与え、表情の不連続性に起因する違和感を払拭させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
〔第1実施形態〕
以下、本発明を適用した第1実施形態として、家庭用ゲーム装置でキャラクタと対面する会話シーンを有するゲームを実行する場合を例に挙げて説明する。
【0026】
[ゲーム装置の構成]
図1は、本実施形態における家庭用ゲーム装置の構成例を説明するシステム構成図である。同図に示すように、家庭用ゲーム装置1200は、ゲーム装置本体1201と、ゲームコントローラ1230と、ビデオモニタ1220とを備える。
【0027】
ゲーム装置本体1201は、例えばCPUや画像処理用LSI、ICメモリ等が実装された制御ユニット1210と、光学ディスク1202やメモリカード1204といった情報記憶媒体の読み取り装置1206,1208とを備える。そして、家庭用ゲーム装置1200は、光学ディスク1202やメモリカード1204からゲームプログラム及び各種設定データを読み出し、ゲームコントローラ1230に為される操作入力に基づいて制御ユニット1210が各種のゲーム演算を実行し、所与のビデオゲームを実行する。
【0028】
制御ユニット1210は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)及びDSP(Digital Signal Processor)などの各種マイクロプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ICメモリなどの電気電子機器を備え家庭用ゲーム装置1200の各部を制御する。また、制御ユニット1210は、インターネットやLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)と言った通信回線1と接続して外部装置との間でデータ通信を実現する通信装置1212を備える。
【0029】
ゲームコントローラ1230は、選択の決定やキャンセル、タイミングの入力などに用いられるコントローラ上面に設けられたプッシュボタン1232と、左右の前側面に設けられたプッシュボタン1233R,1233Lと、上下左右の各方向をそれぞれ入力する方向入力キー1234とを備える。
【0030】
本実施形態では、プレーヤはゲームコントローラ1230の方向入力キー1234で会話の話題や返答の選択肢を選択操作し、プッシュボタン1232で選択の決定やキャンセル、会話の進行操作などを入力する。
【0031】
ゲーム装置本体1201の制御ユニット1210は、ゲームコントローラ1230から受信した検出信号や操作入力信号に基づいて、ゲーム画像やBGMや効果音と言ったゲーム音を生成してビデオゲームを実行する。生成されたゲーム画像を表示させるための画像信号やゲーム音を放音させるための音信号は、信号ケーブル1209で接続されたビデオモニタ1220(ディスプレイモニタ)に出力される。ビデオモニタ1220には、画像を表示するディスプレイ1222と音声を放音するスピーカ1224とが備えられており、ゲーム機本体1201から受信した画像信号に従ってディスプレイ1222にゲーム画面を表示し、受信した音声信号に従ってスピーカ1224から放音する。つまり、プレーヤはディスプレイ1222に映し出されるゲーム画像を見ながら、スピーカ1224から放音されるゲーム音を聞きつつゲームをプレイする。
【0032】
[会話シーンの制御の概要説明]
次に、本実施形態における会話シーンの制御について概要を説明する。
図2及び図3は本実施形態におけるビデオゲームの会話シーンにおけるゲーム画面例を示す図である。図2に示すように、会話シーンの基本となるゲーム画面W2は、仮想空間に背景オブジェクト4と会話相手となる相手キャラクタ6のオブジェクトとが配置された様子を、プレーヤキャラクタの視線となる仮想カメラで撮影した画像をレンダリングして生成される。画面下部には、話者名などの識別情報を表示する話者識別表示部8と、会話内容をテキスト表示するテキスト表示部10とを備える。
【0033】
プレーヤが話題や返答の選択肢を入力する場面では、図3のゲーム画面W4に示すように、画面中央に選択肢内容がテキスト表示された選択肢表示部11が表示される。選択肢表示部11の内一つが他と異なる表示形態で表示されており選択状態を示すように表示制御される。プレーヤは方向入力キー1234の上下方向操作で選択肢の何れかを選択操作し、所定のプッシュボタン1232を操作して選択決定を入力する。
【0034】
さて、背景オブジェクト4及び相手キャラクタ6のオブジェクトは、何れもポリゴンモデルに指定のテクスチャが適用されてレンダリングされる。
背景オブジェクトとしては、会話場所となる喫茶店内や学校の教室内を形成するためのモデルが設定される。相手キャラクタ6は、仮想カメラの前方位置に胸部モデルの上に頭部モデルが配置され、頭部モデルには、表情を制御する為の制御データの一つとして漫画キャラクタ的記号論に基づいてデザインされた顔制御テクスチャが適用される。そして、特許文献1に記載の技術と同様にして、頭部モデルの頂点位置を変化させて無意識動作が表現される。
【0035】
また、相手キャラクタ6については、内部情報の一つとして「感情」のパラメータを有し、設定される感情の種類は会話の進行、具体的にはプレーヤによる話題や応答の選択操作の結果に応じて変化するように制御される。
例えば、図4は本実施形態における相手キャラクタ6の感情の種類とその遷移パターン例を示す図である。同図に示すように、相手キャラクタ6は大きく分けて「喜」「怒」「哀」「楽」の4つの一般感情の分類12,14,16,10を有し、更に各一般感情分類内に2つずつより詳細に区分された感情が含まれている。同図の例では、「楽」の一般感情分類には「平静」「微笑」の二つ(10a、10b)、「喜」の一般感情分類には「うれしい」「大喜び」の二つ(12a、12b)が含まれる。また、「哀」の一般感情分類には「不安」「哀しい」の二つ(14a,14b)、「怒」の一般感情分類には「不機嫌」「怒り」の各二つ(16a,16b)の感情が含まれている。
【0036】
相手キャラクタ6の取り得る感情種類は「楽」の「平静」を初期状態・基本位置とする。そして、「平静」→「微笑」→「うれしい」→「大喜び」の順に喜びの度合が高くなる。また、「平静」→「不機嫌」→「怒り」の順に怒りの度合が高くなり、「平静」→「不安」→「哀しい」の順に哀しみの度合が高くなる。勿論、感情の遷移はこれらの順にするに限らず、逆順も取り得る。
【0037】
また、同図黒矢印で示すような、「怒」→「喜」及びその逆順のような急激な感情変化の遷移パターンも取り得る。同様に、「怒」→「哀」及びその逆順、「喜」→「哀」及びその逆順の急激な感情変化の遷移パターンも取り得る。そして、本実施形態では、図5に示すようにこれらの各感情それぞれに対応付けて顔制御テクスチャが設定されているとともに、感情の急激な変化に特別顔制御テクスチャが設定されている。
【0038】
同図では「喜」「怒」「哀」「楽」の各一般感情分類については、各分類を代表する顔制御テクスチャ22,26,24,20のみを示しているが、実際には各一般感情分類に含まれる二つの詳細な感情それぞれについて顔制御テクスチャが設定されており、相手キャラクタ6の感情がゲームの進行に伴って変化すると相手キャラクタ6の頭部モデルに適用される顔制御テクスチャが切り換えられてその表情が変化する。
これら顔制御テクスチャ20,22,24,26は、漫画キャラクタ的記号論に基づいて「平静」→「微笑」→「うれしい」→「大喜び」の順に喜び度合が段階的に高くなるように、「平静」→「不機嫌」→「怒り」の順に怒りの度合が高くなり、「平静」→「不安」→「哀しい」の順に哀しみの度合が高くなるようにデザインされている。これらの顔制御テクスチャは、隣接する間で切り換えられる限りでは違和感が小さい。
【0039】
そして、本実施形態では特に急激な感情変化の場合にのみ適用される特別顔制御テクスチャ30〜35が急激な感情変化の遷移パターンそれぞれに設定されている。同図の例では、「喜」→「怒」、「怒」→「喜」、「喜」→「哀」、「哀」→「喜」、「哀」→「怒」、「怒」→「哀」の遷移パターンがこれに該当する。
特別顔制御テクスチャ30〜35は、漫画キャラクタ的記号論に基づいて、驚きの表情や遷移先の感情が極端に現れた昂揚感情を表す表情としてデザインされている。例えば、「怒」→「喜」の遷移パターンに対応づけられている特別顔制御テクスチャ30は、驚きの表情、より具体的には喜びで驚いた表情でデザインされている。また、「喜」→「怒」の遷移パターンに対応づけられている特別顔制御テクスチャ31は、「怒」で設定されている顔制御テクスチャが表す怒りよりもより大きい怒りの程度が現れた表情としてデザインされている。勿論、両遷移パターンともに単に驚いた表情の特別顔制御テクスチャを設定することもできる。
【0040】
同様にして、「喜」→「哀」の遷移パターンに対応づけられている特別顔制御テクスチャ32は、「哀」で設定されている顔制御テクスチャが表す哀しみよりもより深い哀しみが現れた表情や、哀しみでショックを受けている表情がデザインされている。また、「哀」→「喜」の遷移パターンに対応づけられている特別顔制御テクスチャ33は喜びで驚いた表情でデザインされている。また、「哀」→「怒」の遷移パターンに対応づけられている特別顔制御テクスチャ34は思いっきり怒った表情としてデザインされ、「怒」→「哀」の遷移パターンに対応づけられている特別顔制御テクスチャ35は哀しみでショックを受けている表情がデザインされている。
【0041】
そして、これら遷移パターンに対応付けられた特別顔制御テクスチャ30〜35は、相手キャラクタ6の感情が急激に変化する場合に、遷移元感情に対応する顔制御テクスチャから遷移先感情に対応する顔制御テクスチャに切り換えられる間に、該当する遷移パターンに対応付けられた特別顔制御テクスチャに一旦切り換えられて、特別顔制御テクスチャが適用された相手キャラクタ6の画像が表示されてから、遷移先感情に対応する顔制御テクスチャに切り換えられることとなる。
【0042】
この結果、例えば図6のゲーム画面W10〜W13のように変化する。即ち、ゲーム画面W10では、相手キャラクタ6の感情は「怒:怒り(「怒」一般感情分類中の「怒り」)である。相手キャラクタ6の頭部モデルには、「怒り」を表す眉がつり上がって口が山なりとなった表情がデザインされた顔制御テクスチャ26が適用されている。
【0043】
ここで、ゲーム画面W11のように、会話の選択肢で相手の気分をすこぶる改善するものを選択したとすると、相手キャラクタ6の感情は急激な感情変化を起こして「喜:うれしい(「喜」一般感情分類の「大喜び」)」に遷移するように制御されたとする。
すると、「怒」→「喜」の感情の遷移パターンに対応付けられた特別顔制御テクスチャ30が適用された特別なゲーム画像W12(本明細書では以降「特別画像」とも言う。)が、例えばインサート表示(前後のカットに比べて大幅に短い時間での切り換え表示)される。更にこの時、本実施形態では背景を、背景オブジェクト4をレンダリングしたものではない特別背景画像40とする。
そして、特別画像W12が例えば1〜2秒程度表示された後、遷移先の「大喜び」に対応する顔制御テクスチャを相手キャラクタ6の頭部オブジェクトに適用して、背景オブジェクト4をレンダリングした画像を背景としたゲーム画像W13が表示される。
【0044】
この結果、表情の基本デザインが、漫画キャラクタ的記号論にデザインされたとしても、感情が大きく変化する場合に驚きや遷移先感情のオーバーシュートした状態と言った昂揚感情の表情で相手キャラクタ6の様子をインサート表示できる。これによって、「怒り」の表情から「大喜び」の表情への遷移パターンのように、単にテクスチャを切り換えただけでは見るものに突然顔が変わったような違和感を感じるところを、切り換えに伴う違和感を大幅に緩和することができる。
換言すると、その直前まで無意識動作が折り込まれた自然な表情を見ていたところに、特別顔制御テクスチャを用いた画像をインサート表示して、感情の急変が起こったことをプレーヤに視覚的に明示し認識の切り換えを促すことで、切り換えに伴う違和感を大幅に緩和することができる。
【0045】
また、本実施形態では前述のような急激な感情変化の遷移パターンでなくとも、感情の一般感情分類が隣接する分類間で変わる程度の遷移パターン(図4の白矢印に相当)でも、背景オブジェクト4に変えて特別画像をインサート表示することで同様の効果を発揮する構成としている。
【0046】
具体的には、例えば図7のゲーム画面W15〜W18に示すように、「怒り」状態の相手キャラクタ6に対して機嫌を良くする話題をプレーヤが選択した場合(ゲーム画面W15〜W18)、相手キャラクタ6の感情は「怒:怒り」から「楽:平静」に変化したとする。この場合、感情の一般感情分類が「怒」から「楽」に変化するので、ゲーム画面W17に示すように、相手キャラクタ6の頭部モデルには遷移先の感情である「平静」に対応づけられた顔制御テクスチャ20が即座に適用されるが、背景は特別背景画像42を用いる。そして、特別背景画像42のインサート表示がされたらならば、ゲーム画面W18のように背景オブジェクト4をレンダリングした画像に戻す。
これによって、先ほどの急激な感情変化ではないが一般感情分類が変化したことをプレーヤに明示するとともに、隣接する一般感情分類間で遷移するケースでも顔制御テクスチャが切り換えられたことへの違和感をより一層少なくすることができる。
【0047】
尚、同じ一般感情分類内での感情変化については、感情の変更に伴って遷移先の感情に対応する顔制御テクスチャが即座に適用され、特別背景画像40,42のインサート表示はされない。
【0048】
[機能ブロックの説明]
次に、本実施形態を実現するための具体的な構成について説明する。
図8は、本実施形態における家庭用ゲーム装置1200の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。同図に示すように本実施形態では、操作入力部100と、処理部200と、音出力部350と、画像表示部360と、通信部370と、記憶部500とを備える。
【0049】
操作入力部100は、プッシュボタンや、レバー、タッチパッド、ダイヤル、キーボード、マウス、各種ポインタ、加速度センサ、傾斜センサなどの入力デバイスやセンサ類によって実現され、プレーヤによって為された各種の操作入力に応じて操作入力信号を処理部200に出力する。図1のゲームコントローラ1230が操作入力部100に該当する。
【0050】
処理部200は、例えばマイクロプロセッサやASIC(特定用途向け集積回路)、ICメモリなどの電子部品によって実現され、各機能部との間でデータの入出力を行うとともに所定のプログラムやデータ及び操作入力部100からの操作入力信号に基づいて各種の演算処理を実行して、家庭用ゲーム装置1200の動作を制御する。図1では、ゲーム装置本体1201に内蔵された制御ユニット1210が処理部200に該当する。
【0051】
そして、本実施形態における処理部200は、ゲーム演算部210と、音生成部250と、画像生成部260と、通信制御部270とを備える。
【0052】
ゲーム演算部210は、ゲームの進行に係る処理を実行する。例えば、3次元仮想空間中にゲーム空間を形成する処理や、ゲーム空間中に配置されたキャラクタ等のオブジェクトの配置制御処理、NPCの動作の自動制御処理、会話の進行制御、ゲーム結果の判定処理が実行対象に含まれる。
【0053】
より具体的には、本実施形態のゲーム演算部210は、無意識動作制御部212と、感情決定部214と、急感情変化判定部216と、感情遷移時表示制御部218と、感情遷移時効果音出力制御部220とを含んでいる。
【0054】
無意識動作制御部212は、相手キャラクタ6の頭部モデルを構成するプリミティブ面の頂点位置を変移させて当該キャラクタの無意識動作を制御する。当該制御部は、例えば特許文献1の技術によって実現することができる。
【0055】
感情決定部214は、相手キャラクタ6との対面シーンにおいてプレーヤによって操作入力された会話の話題や返答の選択などの指示内容が予め定められた感情変化条件を満たしたことを検出し、現在の一般感情からの遷移先の一般感情を決定する。
具体的には、記憶部500に予め記憶されている話題設定データ540を参照して、対面シーンの会話中におけるプレーヤによる選択操作の結果から感情設定ポイント590を増減し、増減された感情設定ポイント590で遷移先の感情を決定する。感情設定ポイント590は、図20に示すように一般感情分類「楽」の詳細な感情「平静」を原点とする「喜」「怒」「哀」の3次元に設定される座標値(ポイント)として扱う。取り得る座標値は本実施形態では最小値「0」の整数とし、例えば:(喜,怒,哀)=(1,3,2)と言った具合に3次元座標値として扱い、座標値のうち最大値をとる次元を現在の一般感情分類とし、最大値を予め設定した範囲設定(後述する遷移先感情判定TBL570)と照合して詳細な感情を決定する。そして、座標の移動を感情の変化と見なす。同図の例では、(喜,怒,哀)=(1,3,2)から(喜,怒,哀)=(4,1,1)に感情が変化しており、白矢印が感情の遷移の大きさと方向を示している。
【0056】
また、感情決定部214は、プレーヤによる選択操作の結果からこれらの数値を増減するとともに時間の経過とともに自動的にこれらの数値を「0」に近づける処理を行い、感情設定ポイント590の最大値を示す次元を遷移先の一般感情分類と決定し、その値の大小で当該一般感情分類に含まれる詳細な感情を決定する。
尚、決定に係り現在の一般感情を示す情報を、記憶部500に現在感情種類データ592として一時的に記憶させ、遷移先の一般感情を示す情報を同様に遷移先感情種類データ594として一時的に記憶させる。
【0057】
更に本実施形態における感情決定部214は、ゲーム進行に応じて感情の変化のし易さを可変する感情変化率設定部215を含む。
感情変化率設定部215は、感情設定ポイント590の増減量を相手キャラクタ6の状態やゲームの進行状況に応じて可変する。例えば、相手キャラクタ6が「ほろ酔い」状態では、感情設定ポイント590の「喜」次元の値の増加量を加算して感情が好転する方向に調整して酔うと機嫌が良くなりやすい状態とすると言った具合である。勿論、可変する感情設定ポイント590の次元の数や増加量・減少量は適宜設定すると良い。また、可変の方法はポイントの補正値を加算/減算するに限らず、補正割合を定義しておいて補正割合で元の増加量を乗算によって可変するとしても良い。
【0058】
急感情変化判定部216は、現在の一般感情から遷移先の一般感情への変化が急激な感情変化であるか否かを判定するための感情急変化条件を満たすか否かを判定する。本実施形態では、遷移元の一般感情分類と遷移先の一般感情分類との相対関係、つまり遷移パターンによって感情急変化条件を定義している。
【0059】
感情遷移時表示制御部218は、感情急変化条件を満たさない場合に、感情決定部214で決定された遷移先の一般感情に対応して予め定められた当該一般感情のときに表示する相手キャラクタ6の画像の制御データ(本実施形態では顔制御テクスチャ20,22,24,26)に基づいて同キャラクタの画像を表示制御し、感情急変化条件を満たす場合には、所与の感情が昂揚したときの昂揚感情に対応して予め定められた制御データ(本実施形態では特別顔制御テクスチャ30〜35)に基づき相手キャラクタ6の画像を特別画像として一時的にインサート表示するように制御した後、感情決定部214で決定された遷移先の一般感情に対応する制御データに基づいて相手キャラクタ6の画像を表示制御する。また、感情遷移時表示制御部218は、遷移元感情と遷移先感情とで一般感情分類が変化する場合には、特別背景画像を一時的にゲーム画面の背景として用いるように表示制御する。
【0060】
感情遷移時効果音出力制御部220は、遷移元感情と遷移先感情とで一般感情分類が変化する場合には、特別な効果音を一時的に出力制御して、一般感情分類が変わるほどの感情変化が有ったことをプレーヤに知らせる。
【0061】
音生成部250は、例えばデジタルシグナルプロセッサ(DSP)などのプロセッサやその制御プログラムなどの公知技術によって実現され、ゲーム演算部210による処理結果に基づいてゲームに係る効果音やBGM、各種操作音の音信号を生成し、音出力部350に出力する。
【0062】
音出力部350は、音生成部250から入力される音信号に基づいて効果音やBGM等を音出力する装置によって実現される。図1ではビデオモニタ1220のスピーカ1224がこれに該当する。
【0063】
画像生成部260は、例えば、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)などのプロセッサ、その制御プログラム、フレームバッファ等の描画フレーム用ICメモリ等の公知技術によって実現される。例えば画像生成部260は、ゲーム演算部210による処理結果に基づいて1フレーム時間(1/60秒)で1枚のゲーム画像を生成し、生成したゲーム画像の画像信号を画像表示部360に出力する。
【0064】
画像表示部360は、画像生成部260から入力される画像信号に基づいて各種ゲーム画像を表示する。例えば、フラットパネルディスプレイ、ブラウン管(CRT)、プロジェクター、ヘッドマウントディスプレイといった画像表示装置によって実現できる。図1ではビデオモニタ1220のディスプレイ1222が該当する。
【0065】
通信制御部270は、データ通信に係るデータ処理を実行し、通信部370を介して外部装置とのデータのやりとりを実現する。
【0066】
通信部370は、通信回線1と接続して通信を実現する。例えば、無線通信機、モデム、TA(ターミナルアダプタ)、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等によって実現され、図1では通信装置1212がこれに該当する。
【0067】
記憶部500は、予め定義されたプログラムやデータを記憶するとともに、処理部200の作業領域として用いられて処理部200が各種プログラムに従って実行した演算結果や操作入力部100から入力される入力データ等を一時的に記憶する。この機能は、例えばRAMやROMなどのICメモリ、ハードディスク等の磁気ディスク、CD−ROMやDVDなどの光学ディスクなどによって実現される。
【0068】
本実施形態における記憶部500は、処理部200にゲーム装置1200を統合的に制御させるための諸機能を実現するためのシステムプログラム501や、ゲームを実行させるために必要なゲームプログラム502、並びに各種データ等を記憶する。
ゲームプログラム502は、相手キャラクタ6の頭部モデルに無意識動作をさせるための無意識動作制御プログラム504を含み、処理部200がゲームプログラム502を読み出して実行することによって処理部200にゲーム演算部210としての機能を実現させることができる。
【0069】
また記憶部500には、予め用意されるデータとしてゲーム空間初期設定データ510、キャラクタ初期設定データ520、無意識動作設定データ530、話題設定データ540が記憶されている。
更にゲームの進行に伴って生成され、随時書き換えられるデータとして、ステータスデータ580と、感情設定ポイント590と、現在感情種類データ592と、遷移先感情種類データ594とが記憶される。また、ゲームの進行に係る処理を実行するに当たり必要となる情報として、例えば仮想カメラを制御するための画角・視線方向・姿勢情報などのデータ、各種制限時間のカウントデータなどが適宜記憶される。
【0070】
ゲーム空間初期設定データ510には、3次元仮想空間にゲーム空間を形成するための各種データが格納されている。例えば、空や地表、建物などの配置物に関するモデルデータやテクスチャデータ及びモーションデータが格納されている。対面シーンの背景オブジェクト4を定義するデータもここに含まれる。また、ポーカーゲームの場合には、トランプなどのアイテムを表示するためのデータも含まれる。
【0071】
キャラクタ初期設定データ520は、相手キャラクタ6を含むゲームに登場するキャラクタの動作制御に係る初期設定データを格納する。例えば、ゲーム内容がRPGであれば、戦闘シーンなどでキャラクタにアクションを取らせるために、全身のモデル、適用されるテクスチャ、モーションデータなどを適宜含む。
そして、本実施形態に係るものとしては、例えば図9に示すように頭部モデルデータ521と、顔制御テクスチャTBL(テーブル)522と、胸部モデルデータ525と、胸部テクスチャデータ526と、感情遷移設定データ550と、遷移時特別出力素材データ560とを含んでいる。
【0072】
顔制御テクスチャTBL522は、感情種類523と対応づけて頭部モデルに表情を形成される為の制御データを対応付けて格納する。本実施形態では、制御データとして頭部モデルに貼り付けられる顔制御テクスチャ524を格納する。つまり、顔制御テクスチャTBL522は当該キャラクタの表情集の一つに相当する。
【0073】
感情遷移設定データ550は、当該キャラクタの感情が変化するための条件や、変化の仕方、変化の度合を定義する人格の設定に相当するデータである。
例えば図10に示すように、適用状況552毎に複数のデータセット551が定義されている。一つのデータセット551には、適用状況552とともに、現在感情種類553と選択肢属性554と感情設定ポイント増減設定555とが対応付けられたTBL(テーブル)が格納されている。つまり、適用状況552で定義された特定の状況下において、相手キャラクタ6の現在の感情種類が現在感情情報553である場合で、プレーヤが会話中に選択した話題や返答の選択肢の属性が選択肢属性554である場合に当該感情変化条件を満たすと判定されて、対応する感情設定ポイント増減設定555に設定されている値だけ感情設定ポイント590が増減されることとなる。
【0074】
また、感情遷移設定データ550は、更に遷移先感情判定TBL570と感情変化率設定データ575とを含む。
【0075】
遷移先感情判定TBL570は、感情設定ポイント590から感情を判定するための条件を定義する。例えば、図11に示すように、判定条件571と遷移先感情572とが対応付けて格納されている。
本実施形態では、判定条件571として感情設定ポイント590の喜・怒・哀のポイントの内、最大値をとる次元(喜・怒・哀)とその値の範囲として設定されている。同図の「(喜,怒,哀)=(1,x,x)〜(2,x,x)」の例では、「喜」次元のポイントが最も高く、その値が「1」又は「2」の場合には、一般感情分類「楽」の「微笑」感情が遷移先として設定されていることを示している。
【0076】
感情変化率設定データ575は、ゲームの進行状況に応じて感情設定ポイント590の増減の変化度合を可変する為の情報を格納する。
例えば、図12に示すように、ゲーム進行状況を示す情報を格納する適用条件576と、補正値577とを対応付けて格納する。感情決定部214は、適用条件576に合致する補正値577を読み出して、感情遷移設定データ550の感情設定ポイント増減設定555(図10参照)に、読み出した補正値577だけ補正して感情設定ポイント590を変更する。つまり、感情変化率設定データ575は、状況別における感情変化度合のゆらぎを定義する情報である。尚、補正値577に代えて、補正率(感情設定ポイントを増減する際に乗ずる係数)で定義するとしても良いのは勿論である。
【0077】
遷移時特別出力素材データ560は、遷移元と遷移先の一般感情分類が異なる場合に特別に実行される出力制御のためのデータを格納する。
例えば、図13に示すように、感情急変化条件の検出条件に相当する遷移パターン561と対応づけて、特別顔制御テクスチャ562と、特別背景データ563と、特別画像表示時に一緒に音出力される効果音等の特別効果音データ564とを対応付けて格納する。
【0078】
遷移パターン561には、遷移元と遷移先の一般感情分類が定義されている。同図の例では矢印の元側が遷移元の一般感情分類、矢印の先側が遷移先の一般感情分類を示している。
特別背景データ563には、遷移先と遷移元の感情の相対的な関係(例えば、感情設定ポイント590の増加される次元と増加量に着目した関係)に基づいてデザインされた特別画像40,42に相当する2次元画像が定義されている。例えば、喜び方向に感情が変化する場合には、星マークが飛来するようなイメージ画像が定義されているので、遷移パターン561が「怒→喜」と「怒→楽」と「楽→喜」とでは同じイメージ画像が設定されると言った具合である。勿論、特別背景データ563は画像データそのものではなく、画像を生成するための制御データ(例えば、シンボルマークとその移動制御データなど)でも良い。
【0079】
また、本実施形態では、特別顔制御テクスチャ562及び特別効果音データ564は、急激な感情変化の遷移パターンにのみ設定されており、遷移元或いは遷移先の一般感情分類を「楽」とする隣接する一般感情分類間の遷移パターン(例えば、怒→楽など)には設定無しを示す「NULL」が対応付けられている。
【0080】
話題設定データ540は、対面シーンで用いられる会話内容を設定するためのデータを格納する。
例えば、図14に示すように、発生タイミング541と、状況種別542と、ダイアログデータ543と、選択肢データ544と、選択肢属性545とを対応付けて格納している。発生タイミング541は、ある特定のゲーム進行状況を示す情報、例えばプレーヤキャラクタのゲーム空間内における位置、ゲーム世界内での時間、特定アイテムの取得状況などを適宜設定することができる。そして、発生タイミング541で定義された状況の種別を示す情報が状況種別542に格納されている。発生タイミング541で定義される条件に合致すれば、対面する会話シーンに移行し、対応するダイアログデータ543に従って会話が進行制御される。ダイアログデータ543には、従来のゲームで実行される公知の会話と同様にして、話者とその台詞テキストが表示順に対応づけて格納されており、その一部にはプレーヤによる選択操作入力を要求する箇所が設定さている。そして、プレーヤの入力可能な選択肢は、対応する選択肢データ544に格納されており、それぞれに選択肢属性545が設定されている。
【0081】
ステータスデータ580は、ゲーム内に登場するキャラクタの現在状態を示す情報をキャラクタ毎に格納する。例えば、現在のゲーム空間内での位置座標、移動速度、所持するアイテムの状態、「ほろ酔い」「ねぼけ」「ヒステリー」などのステータス情報などを適宜設定できる。
【0082】
[処理の流れの説明]
次に、本実施形態における処理の流れについて説明する。尚、ゲームの全体的な処理については公知のビデオゲームと同様にして実現できるので、ここでは対面する会話シーンに係る処理を中心に説明するものとする。
【0083】
図15〜図17は、本実施形態における会話シーンに係る処理の流れを説明するためのフローチャートである。先ず、図15に示すように、処理部200はゲーム空間初期設定データ510を参照して、仮想3次元空間内で会話が行われる場所の背景オブジェクト4を配置してゲーム空間を生成し(ステップS2)、キャラクタ初期設定データ520の顔制御テクスチャTBL522から、現在感情種類データ592に設定されている感情種類に対応する顔制御テクスチャを読み出し、これを適用した相手キャラクタ6の頭部モデルと、胸部テクスチャデータ526が適用された胸部モデルとを配置する(ステップS4)。
【0084】
次に、処理部200は無意識動作制御を開始して相手キャラクタ6に無意識動作をさせて(ステップS6)、会話シーンのゲーム画面(図2のゲーム画像W2を参照)の生成処理と表示制御処理とを開始する(ステップS8)。そして、話題設定データ540に従って会話を進行制御する(ステップS10)。
【0085】
次いで、処理部200は所定の会話終了条件を満たすか否かを判定する(ステップS12)。会話終了条件としては、例えば話題設定データ540のダイアログデータ543が最後まで表示された場合や、制限時間に達した場合、特定感情(例えば、「怒り」)が基準時間以上継続された場合などを適宜設定することができる。
【0086】
そして、会話終了条件を満たすと判定した場合には(ステップS12のYES)、処理部200は対面する会話シーンを実現する一連の処理を終了する。
一方、会話終了条件を満たしていないと判定した場合には(ステップS12のNO)、処理部200はプレーヤによる話題や応答の選択肢の入力操作が有ったか否かを判定する(ステップS14)。
【0087】
プレーヤによる選択肢の入力操作が有ったと判定した場合には(ステップS14のYES)、処理部200は次に、話題設定データ540を参照してプレーヤによって選択された選択肢の選択肢データ544に対応する選択肢属性545を読み出し(ステップS16)、感情遷移設定データ550を参照してステップS16で読み出した選択肢属性545に合致する現在の感情種類553に対応する選択肢属性554の感情設定ポイント増減設定555の設定値を読み出す(ステップS18)。
【0088】
更に、処理部200は感情変化率設定データ575とステータスデータ580とを参照して、現在の相手キャラクタ6の状況に適合する適用条件576に対応する補正値577を読み出し(ステップS20)、ステップS18で読み出した感情設定ポイント増減設定555の設定値をステップS20で読み出した補正値577で補正した後、補正後の値で感情設定ポイント590を変更・更新する(ステップS22)。
【0089】
そして、処理部200は遷移先感情判定TBL570を参照し、変更後の感情設定ポイント590に基づいて遷移先の感情を判定し、遷移先感情種類データ594に遷移先感情を示す情報を格納する(ステップS24)。
【0090】
次に、図16のフローチャートに移って、処理部200は現在感情種類データ592と遷移先感情種類データ594とを参照するとともに遷移時特別出力素材データ560を参照する。そして、現在感情と遷移先感情との相対関係が満たされる遷移パターン561に対応する特別顔制御テクスチャ562が設定されているか否かを判定する(ステップS26)。設定されていれば(ステップS26のYES)、相手キャラクタ6の頭部モデルに設定されている特別顔制御テクスチャ562に切り換える(ステップS28)。
【0091】
次いで、処理部200は現在感情と遷移先感情とに合致する遷移パターン561に対応する特別背景データ563が設定されているか否かを判定する(ステップS30)。
設定されていなければ(ステップS30のNO)、処理部200はプレーヤが選択した選択肢では、特別表示制御をするほどの感情変化は無かったと判断して、遷移先感情の種類で現在感情種類データ592を更新し(ステップS44)、更新後の現在感情種類データ592に設定されている現在感情に対応する顔制御テクスチャを顔制御テクスチャTBL522より読み出して相手キャラクタ6の頭部モデルに適用を切り換え(ステップS46)、ステップS10に戻る。
【0092】
一方、特別背景データ563が設定されている場合(ステップS30のYES)、処理部200は特別背景データ563の画像を相手キャラクタ6の背景とする特別画像を生成する(ステップS32)。具体的には、特別背景データ563を貼ったポリゴンを相手キャラクタ6の後方で且つ背景オブジェクト4より仮想カメラ側に配置しても良い。または、背景オブジェクト4をレンダリング対象外として、特別背景データ563上に相手キャラクタ6のレンダリング結果を合成するとしても良い。ステップS28で相手キャラクタ6の頭部モデルに特別顔制御テクスチャが適用されていれば、図6の特別画像W12のような画像が生成され、特別顔制御テクスチャが適用されていなければ、図7の特別画像W17のような画像が生成されることになる。
【0093】
次いで、処理部200は現在の感情と遷移先の感情とに合致する遷移パターン561に対応する特別効果音データ564が設定されているか否かを判定する(ステップS34)。設定されていれば(ステップS34のYES)、先に生成された特別画像を画像表示部360に一時的に表示させるとともに特別効果音を音出力部350に放音させるようにして、インサート表示制御する(ステップS36)。
特別効果音564が設定されていなければ(ステップS34のNO)、特別画像のみを画像表示部360に表示させるようにしてインサート表示制御する(ステップS38)。本実施形態では、インサート表示制御によって特別画像は1〜2秒程度表示される。
【0094】
そして、処理部200はインサート表示制御を終了したならば、遷移先感情種類データ594を参照して、遷移先感情種類データ594の情報を現在感情種類データ592に格納して現在感情を更新し(ステップS40)、ステップS2に戻る。
【0095】
一方、図15のステップS14において選択肢の入力が無いと判定された場合(ステップS14のNO)、図17のフローチャートに移って、処理部200は公知の内部タイマー処理を利用して感情のクールダウン時間のカウントを実行する(ステップS50)。そして、カウントされたクールダウン時間が所定の基準値(例えば2分)に到達していなければ(ステップS52のNO)、ステップS10に戻る。
【0096】
一方、クールダウン時間が基準値に達している場合(ステップS52のYES)、処理部200はクールダウン時間のカウンタをリセットして(ステップS54)、感情設定ポイント590の喜・怒・哀の各値を「1」づつ減算する(ステップS56)。但し、本実施形態では感情設定ポイント590の各値の最小値は「0」である。
【0097】
次に、処理部200は変更後の感情設定ポイント590に基づいて、遷移先感情判定TBL570を参照して、喜・怒・哀の各値のうち最大値を示す次元とその値とを判定条件571と照合して、該当する遷移先感情572をクールダウンされた遷移先の感情と決定する(ステップS58)。そして、決定した遷移先の感情を示す情報を現在感情種類データ592に格納し(ステップS60)、現在感情種類データ592に設定されている現在感情に対応する顔制御テクスチャを顔制御テクスチャTBL522より選択して、相手キャラクタ6の頭部モデルに適用して(ステップS62)、ステップS10に戻る。
【0098】
よって、ステップS50〜S62の処理によって、プレーヤによる選択肢の操作入力がされなければ、やがて感情設定ポイント590の全次元の値が「0」に至り感情が「平静」になることで、刺激がなければ感情は平静を取り戻すといった人間感情の特性を、相手キャラクタ6の表情制御に表すことができる。しかも、これらの処理過程では遷移時特別出力素材データ560は参照されないので隣接する一般感情分類間で感情が遷移したとしても特別画像は表示されない。このため、自然と感情が穏やかになるにつれて表情が平静なものになって行く。
【0099】
このように、本実施形態によれば、対面する会話シーンに登場する相手キャラクタの表情が感情豊かに表現されるため、従来の対話式ゲームに見られた感情レベルなどのゲージ表示制御を行わなくとも、プレーヤは見た目で感情を判別できるようになる。このことは、ゲージではなく対話相手の表情を見据えて会話をするといった会話本来の姿でゲームを楽しむ助けとなる。そして、相手キャラクタの表情を漫画キャラクタ的記号論に基づいてデザインされた複数の制御データ(本実施形態では顔制御テクスチャ)を切り換えて表現する構成しても、感情が急変化した場合に見られる表情の急激な変化に対する違和感を軽減することができる。
【0100】
〔変形例〕
以上、本発明を適用した実施形態について説明したが、本発明の適用形態はこれに限るものでは無く、適宜構成要素の追加・省略・変更を行うことができる。
【0101】
例えば、上記実施形態では特別顔制御テクスチャを用いた特別画像(図6の特別画像W12参照)のサイズを全画面サイズとしているがこれに限らず、図18の特別画像W12Bの特別背景画像44に示すように相手キャラクタ6の顔を覆うことができるサイズであれば良い。
また、特別背景画像44に含まれる相手キャラクタ6の顔の大きさは、インサート表示の直前や直後の画像と同じ大きさに限定されるものではなく、同図に示すように、顔中央のアップでも良い。この場合、仮想3次元空間に特別背景画像を背景として、特別顔制御テクスチャを適用した相手キャラクタ6の頭部モデルを別途の仮想3次元空間に配置するとともに、その顔中央を第2の仮想カメラでアップ撮影した画像を別途生成・トリミングする。そして、直前のゲーム画面(図6の例で言えばゲーム画面W11)の上に、相手キャラクタ6の顔を隠す帯状に合成することでインサート表示制御すれば良い。
【0102】
また、相手キャラクタ6の表情を制御するデータとして、顔制御テクスチャを使用する例を挙げて説明したがこれに限らない。例えば、頭部モデルに目や眉毛、鼻、口、口から見える歯にいたるまで、成形されたリアルな3次元モデルを使用するといった場合には、それら表情を決定する各部が形成されている部分の頂点位置の移動制御情報を、制御データとしても良い。つまり、図6の例では「怒り」の表情から「驚き」の表情を経てから「大喜び」の表情となるように、目や眉毛、鼻、口といった部分の頂点位置を変移させて、表情を表現するとしても良い。
【0103】
また、上記実施形態では座標値のポイントとして扱う値を整数としているが、小数点以下の数値を扱う構成としても良いのは勿論である。
また更に、上記実施形態のように遷移時特別出力素材データ560の遷移パターン561において遷移元感情の識別情報と遷移先感情の識別情報との組み合わせによって遷移前後の感情の相対関係を条件として定義しても良いが、遷移元感情の3次元座標から遷移先感情の3次元座標へのベクトル(図20の白矢印相当)を条件として定義する構成としても良い。より具体的には、例えばベクトルの方向の範囲毎に特別顔制御テクスチャを設定し、ベクトルの大きさが基準値以上であることを条件にして対応する特別顔制御テクスチャの適用/不適用を判定するとしても良い。
【0104】
より具体的には、(喜,怒,哀)の直交座標系を極座標系(r,θ,φ)に変換する。一方、例えば偏角θが0〜180度と180度〜360度のどちらであるか、偏角φが0〜180度と180度〜360度のどちらであるかの計4つのベクトル方向範囲の組合せに応じた特別顔制御テクスチャを予め用意する。そして、極座標系に変換した(r,θ,φ)の偏角θ,φが、何れのベクトル方向範囲の組合せであるかによって、特別顔制御テクスチャを選択する。そして、半径r(ベクトルの大きさ)が基準値以上であれば、選択した特別顔制御テクスチャを適用する。
勿論、扱う感情の分類を喜怒哀楽の4分類より増やす場合には、次元をより多次元として同様に扱ってもよい。
【0105】
また、本実施形態は家庭用ゲーム装置1200で実行されるビデオゲームに限らず、図19に示すような業務用ゲーム装置1300で実行するとしても良い。
業務用ゲーム装置1300は、画像表示部360に相当する画像表示装置1302と、音出力部350に相当するスピーカ1304と、操作入力部100に相当するジョイスティック1306及びボタンスイッチ1308とを備える。また、筐体内には制御ユニット1210に相当する制御基板1320を搭載する。制御基板1320は、ゲーム演算などを実行するCPUや音声生成LSI、GPU等のLSIや、RAMやROMと言ったICメモリを搭載し、業務用ゲーム装置1300全体の動作を制御する手段であり、処理部200及び記憶部500に相当する。システムプログラムやゲームプログラム、及び各種データは予めICメモリに記憶させておく構成としても良いし、第1実施形態と同様に通信部370に相当する無線通信モジュールを搭載して、通信回線を介して外部装置からダウンロードして使用する構成でも良い。
また、同様に上記実施形態は、パソコン、PDF、携帯電話機などで実行されるゲームにも適用できる。
【0106】
また、上記実施形態では例えば恋愛シミュレーションを題材としたテキストアドベンチャーゲームやRPGなどのようにゲーム内に挿入される会話シーンを実行する例を挙げて説明したが会話を伴わなくても、相手の表情変化が見分けられる程度に接近して対面するシチュエーションを含むゲームであれば同様に適用できる。
例えば対戦相手(ゲームキャラクタ)の顔を見ながらプレイする麻雀やポーカーなどのテーブルゲーム、仮想的に動物を飼育する飼育ゲームなどにも適用できる。ポーカーゲームの場合では、会話の話題や返答の選択肢(例えば図10の選択肢属性554、図14の選択肢データ544)の内容を、相手キャラクタ6の引いたカードの種類や引いたカードで現在の手札でつくれる役の種類で定義すれば、相手キャラクタ6がカードを引く毎に感情を変化させ、表情が変わる様に制御できる。勿論、この場合、選択肢となるカードは公知のポーカーゲームと同様にしてランダムに自動選択される。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】家庭用ゲーム装置の構成例を示すシステム構成図。
【図2】会話シーンにおけるゲーム画面例を示す図。
【図3】会話シーンにおけるゲーム画面例を示す図。
【図4】相手キャラクタに設定される感情の種類と感情の遷移との関係の一例を説明するための図。
【図5】感情種類に対応づけられた顔制御テクスチャ及び特別顔制御テクスチャの例を説明するための図。
【図6】ゲーム画面の変化例を説明するための図。
【図7】ゲーム画面の変化例を説明するための図。
【図8】ゲーム装置の機能構成例を示す機能ブロック図。
【図9】キャラクタ初期設定データのデータ構成例を示す図。
【図10】感情遷移設定データのデータ構成例を示す図。
【図11】遷移先感情判定TBLのデータ構成例を示す図。
【図12】感情変化率設定データのデータ構成例を示す図。
【図13】遷移時特別出力素材データのデータ構成例を示す図。
【図14】話題設定データのデータ構成例を示す図。
【図15】会話シーンに係る処理の流れについて説明するためのフローチャート。
【図16】会話シーンに係る処理の流れについて説明するためのフローチャート。
【図17】会話シーンに係る処理の流れについて説明するためのフローチャート。
【図18】特別顔制御テクスチャを適用した特別画像の変形例について説明するための図。
【図19】業務用ゲーム装置の構成例を示す斜視外観図。
【図20】感情を多次元座標値として扱う概念を説明するための図。
【符号の説明】
【0108】
4 背景オブジェクト
6 相手キャラクタ
10 テキスト表示部
11 選択肢表示部
20,22,24,26 顔制御テクスチャ
30,31,32,33,34,35 特別顔制御テクスチャ
40,42,44 特別背景画像
200 処理部
210 ゲーム演算部
212 無意識動作制御部
214 感情決定部
215 感情変化率設定部
216 急感情変化判定部
218 感情遷移時表示制御部
220 感情遷移時効果音出力制御部
500 記憶部
502 ゲームプログラム
520 キャラクタ初期設定データ
522 顔制御テクスチャTBL
550 感情遷移設定データ
553 現在感情種類
554 選択肢属性
555 感情設定ポイント増減設定
560 遷移時特別出力素材データ
561 遷移パターン
562 特別顔制御テクスチャ
563 特別背景データ
564 特別効果音データ
570 遷移先感情判定TBL
575 感情変化率設定データ
590 感情設定ポイント
592 現在感情種類データ
594 遷移先感情種類データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、操作入力された指示内容に応じて表情が変化するキャラクタの画像を表示制御させるためのプログラムであって、
前記キャラクタが取り得る一般的な感情である一般感情のうち、現在の感情が何れの一般感情であるかを記憶する現感情記憶手段、
操作入力された指示内容が予め定められた感情変化条件を満たしたことを検出する感情変化条件成立検出手段、
現在の一般感情からの遷移先の一般感情を決定する遷移先感情決定手段、
現在の一般感情から前記決定された遷移先の一般感情への変化が急激な感情変化であるか否かを判定するための所定の感情急変化条件を満たすか否かを判定する感情変化判定手段、
前記感情急変化条件を満たさない場合に、前記決定された遷移先の一般感情に対応して予め定められた当該一般感情のときに表示する前記キャラクタの画像の制御データに基づいて前記キャラクタの画像を表示制御し、前記感情急変化条件を満たす場合には、所与の感情が昂揚したときの昂揚感情に対応して予め定められた制御データに基づき前記キャラクタの画像を一時的に表示制御した後、前記決定された遷移先の一般感情に対応する制御データに基づき前記キャラクタの画像を表示制御する感情遷移時表示制御手段、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項2】
前記感情遷移時表示制御手段が、前記感情急変化条件を満たす場合に、前記決定された遷移先の一般感情が昂揚したときの昂揚感情に対応して予め定められた制御データに基づき前記キャラクタの画像を一時的に表示制御した後、前記決定された遷移先の一般感情に対応する制御データに基づき前記キャラクタの画像を表示制御するように前記コンピュータを機能させるための請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記キャラクタは、プリミティブ面のモデルで構成され、
前記キャラクタのモデルを構成するプリミティブ面の頂点位置を変移させて前記キャラクタの無意識動作を制御する無意識動作制御手段として前記コンピュータを機能させるための請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記感情変化条件成立検出手段が、複数種類の感情変化条件の何れの条件を満たしたかを検出し、
前記遷移先感情決定手段が、少なくとも現在の一般感情と、前記感情変化条件成立検出手段により満たすとして検出された感情変化条件の種類とに基づいて、遷移先の一般感情を決定する、
ように前記コンピュータを機能させるための請求項1〜3の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項5】
感情の変化のし易さを表す変化率を設定する感情変化率設定手段として前記コンピュータを機能させるとともに、
前記遷移先感情決定手段が、前記変化率を更に加味して遷移先の一般感情を決定するように前記コンピュータを機能させるための、
請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記感情遷移時表示制御手段が、現在の一般感情から前記決定された遷移先の一般感情へ前記キャラクタの画像の表示制御を切り換える際に、前記キャラクタの背景画像を感情遷移時用の特別背景画像に一時的に切り換えて表示制御する背景画像表示制御手段を有するように前記コンピュータを機能させるための請求項1〜5の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記背景画像表示制御手段が、遷移元と遷移先の一般感情の対応関係に応じて予め定められた複数の特別背景画像の中から、現在の一般感情及び前記決定された遷移先の一般感情に対応する特別背景画像を用いて前記キャラクタの背景画像を一時的に切り換えるように前記コンピュータを機能させるための請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記感情遷移時表示制御手段によって、現在の一般感情から前記決定された遷移先の一般感情へ前記キャラクタの画像の表示制御が切り換えられる際に、所定の効果音の出力制御を行う効果音出力制御手段として前記コンピュータを機能させるための請求項1〜7の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体。
【請求項10】
操作入力された指示内容に応じて表情が変化するキャラクタの画像を表示制御する画像表示制御装置であって、
前記キャラクタが取り得る一般的な感情である一般感情のうち、現在の感情が何れの一般感情であるかを記憶する現感情記憶手段と、
操作入力された指示内容が予め定められた感情変化条件を満たしたことを検出する感情変化条件成立検出手段と、
現在の一般感情からの遷移先の一般感情を決定する遷移先感情決定手段と、
現在の一般感情から前記決定された遷移先の一般感情への変化が急激な感情変化であるか否かを判定するための所定の感情急変化条件を満たすか否かを判定する感情変化判定手段と、
前記感情急変化条件を満たさない場合に、前記決定された遷移先の一般感情に対応して予め定められた当該一般感情のときに表示する前記キャラクタの画像の制御データに基づいて前記キャラクタの画像を表示制御し、前記感情急変化条件を満たす場合には、所与の感情が昂揚したときの昂揚感情に対応して予め定められた制御データに基づき前記キャラクタの画像を一時的に表示制御した後、前記決定された遷移先の一般感情に対応する制御データに基づき前記キャラクタの画像を表示制御する感情遷移時表示制御手段と、
を備えた画像表示制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−153692(P2009−153692A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334833(P2007−334833)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)
【出願人】(507422851)有限会社ガイズウェア (1)
【Fターム(参考)】