説明

プロジェクター、プロジェクター調整システム、プロジェクター調整方法、光源装置、色分離装置、及び光変調装置

【課題】光学部品を交換したとしても画像の測定を行うことなく画質の向上を図ることができるプロジェクター等を提供する。
【解決手段】画像信号に基づいて画像を投射するプロジェクターは、光源部と、前記光源部からの光を前記画像信号に基づいて変調する光変調部と、少なくとも、前記光源部からの光の分光分布に対応した分光情報と前記光変調部の分光変調率に対応した分光情報とに基づいて算出された補正データによって更新される補正データ記憶部と、前記補正データ記憶部に記憶される前記補正データに基づいて前記画像信号を補正する画像信号補正部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクター、プロジェクター調整システム、プロジェクター調整方法、該プロジェクターに搭載される光源装置、色分離装置、及び光変調装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、投写型の画像表示装置としてのプロジェクターは、高画質化や低コスト化が進み、種々の場面で使用されるに至っている。そのため、プロジェクターについては、使用される場面に応じて、色の再現性や画質が、より一層、重要視されるようになっている。そこで、投射画像の色ムラ、輝度ムラやプロジェクターの個体差等を考慮して、画質を精度良く向上させることが重要になっている。
【0003】
一般的に、プロジェクターの投射画像の画質を調整する場合、この投射画像をマルチバンド測定(マルチバンド撮影)により測定し、その測定結果をプロジェクターに反映させることが行われる。このようなマルチバンド測定については、例えば特許文献1に開示されている。
【0004】
この特許文献1には、黒信号レベルによるオフセット画像を、複数の原色それぞれに対応するバンドのフィルターを切り替えながら順次マルチバンド測定を行い、プロジェクターの補正データを算出する技術が開示されている。即ち、特許文献1では、撮像側(測定側)であるカメラに、複数の原色それぞれに対応するバンドのフィルターを取り付けることでマルチバンド測定が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−20581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、プロジェクターの投射画像の明るさや色を決める要素として、プロジェクターを構成する光学部品である光源、照明光学系、光変調光学系、及び投射光学系や、画像が投射されるスクリーン等がある。このようなプロジェクターは、その品質維持のために、光学部品(例えば光源)を交換できるように構成される。
【0007】
しかしながら、例えばランプ(光源)を交換した場合に、ランプが持つ特性のばらつきに起因して、交換後のランプと交換前のランプの明るさや色が変化してしまうことが多い。ここで、ランプの十分な選別によって特性を揃えることは可能であるが、コスト面において現実的ではない。また、例えば非常に狭い帯域のフィルターにランプからの光を通過させることで、色成分の純度を上げることができる。この場合、たとえランプの分光分布が変化しても、投射画像の画質を一定に維持できる。しかしながら、帯域の狭いフィルターの使用によってランプからの光の利用効率が下がり、画像が暗くなるという問題があり、現実的には、ランプの交換後に、投射画像を再度測定して、画質調整を再度行う必要がある。
【0008】
このように、光学部品を交換してしまうと特性のばらつきに起因して画質が変化してしまい、交換作業の度に、例えば特許文献1に開示されたような画像の測定が必要となり、測定に必要な部品の追加によるコスト高や交換作業の煩わしさを招く。
【0009】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、光学部品を交換したとしても画像の測定を行うことなく画質の向上を図ることができるプロジェクター、プロジェクター調整システム、プロジェクター調整方法、光源装置、色分離装置、及び光変調装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の一態様は、画像信号に基づいて画像を投射するプロジェクターが、光源部と、前記光源部からの光を前記画像信号に基づいて変調する光変調部と、少なくとも、前記光源部からの光の分光分布に対応した分光情報と前記光変調部の分光変調率に対応した分光情報とに基づいて算出された補正データによって更新される補正データ記憶部と、前記補正データ記憶部に記憶される前記補正データに基づいて前記画像信号を補正する画像信号補正部とを含む。
【0011】
本態様によれば、光源部からの光の分光分布に対応した分光情報と光変調部の分光変調率に対応した分光情報とを用いて補正データを算出して更新した補正データに基づいて画像信号を補正するようにしたので、プロジェクターを構成する光源部や光変調部を交換した場合であっても、交換後にプロジェクターの投射画像を測定することなく補正データが更新されるため、測定の煩わしさを伴うことなく、光源部や光変調部の交換に起因した画質の劣化を防止できるようになる。
【0012】
(2)本発明の他の態様は、画像信号に基づいて画像を投射するプロジェクターが、光源部と、前記光源部からの光を複数の色光に分離する色分離部と、各色光に対応して設けられ、色光を前記画像信号に基づいて変調する複数の光変調部と、前記光源部からの光の分光分布に対応した分光情報、前記色分離部の分光変調率に対応した分光情報、及び前記複数の光変調部の分光変調率に対応した分光情報に基づいて算出された補正データによって更新される補正データ記憶部と、前記補正データ記憶部に記憶される前記補正データに基づいて前記画像信号を補正する画像信号補正部とを含む。
【0013】
本態様によれば、光源部からの光の分光分布に対応した分光情報、色分離部の分光変調率に対応した分光情報及び光変調部の分光変調率に対応した分光情報とを用いて補正データを算出して更新した補正データに基づいて画像信号を補正するようにしたので、プロジェクターを構成する光源部、色分離部や光変調部を交換した場合であっても、交換後にプロジェクターの投射画像を測定することなく補正データが更新されるため、測定の煩わしさを伴うことなく、光源部や色分離部や光変調部の交換に起因した画質の劣化を防止できるようになる。
【0014】
(3)本発明の他の態様に係るプロジェクターでは、前記光源部からの光の分光分布に対応した分光情報を記憶する光源情報記憶部を含み、前記補正データが、少なくとも、前記光源情報記憶部に記憶された分光情報と、前記分光変調率に対応した分光情報とに基づいて算出される。
【0015】
本態様によれば、光源部からの光の分光分布に対応した分光情報を記憶する光源情報記憶部を含むようにしたので、光源部を除く光学部品(例えば光変調部)を交換した場合であっても、交換する度に、プロジェクターを構成する光学部品の分光情報に基づいて補正データを更新することができ、交換が繰り返されたとしても画質を維持できるようになる。
【0016】
(4)本発明の他の態様に係るプロジェクターでは、前記光源部からの光の分光分布に対応した分光情報を記憶する光源情報記憶部と、前記色分離部の分光変調率に対応した分光情報を記憶する色分離情報記憶部と、前記複数の光変調部の分光変調率に対応した分光情報を記憶する光変調情報記憶部とを含み、前記補正データが、前記光源情報記憶部に記憶された分光情報、前記色分離情報記憶部に記憶された分光情報、及び前記光変調情報記憶部に記憶された分光情報に基づいて算出される。
【0017】
本態様によれば、光源情報記憶部、色分離情報記憶部及び光変調情報記憶部を含むようにしたので、光源部や色分離部や光変調部の少なくとも1つを交換した場合であっても、交換する度に、プロジェクターを構成する光学部品の分光情報に基づいて補正データを更新することができ、交換が繰り返されたとしても画質を維持できるようになる。
【0018】
(5)本発明の他の態様に係るプロジェクターでは、前記光源部が、前記光源情報記憶部を有する。
【0019】
本態様によれば、光源部に特有の分光情報を光源情報記憶部に記憶させておくことができるので、交換の度に光源情報記憶部の記憶内容を更新する手間を省くことができ、光学部品の特性に応じた画質の向上を精度良く実現できるようになる。
【0020】
(6)本発明の他の態様に係るプロジェクターでは、前記光源部が、前記光源情報記憶部を有し、前記色分離部が、前記色分離情報記憶部を有し、前記複数の光変調部を構成する各光変調部が、前記光変調情報記憶部を有する。
【0021】
本態様によれば、光源部に特有の分光情報を光源情報記憶部に記憶させ、色分離部に特有の分光情報を色分離情報記憶部に記憶させ、光変調部に特有の分光情報を光変調情報記憶部に記憶させておくことができるので、交換の度に光源情報記憶部や色分離情報記憶部や光変調情報記憶部の記憶内容を更新する手間を省くことができ、光学部品の特性に応じた画質の向上を精度良く実現できるようになる。
【0022】
(7)本発明の他の態様に係るプロジェクターでは、少なくとも、前記光源部からの光の分光分布に対応した分光情報と前記光変調部の分光変調率に対応した分光情報とに基づいて前記補正データを算出する補正データ算出部を含む。
【0023】
本態様によれば、プロジェクター内で補正データを算出できるようにしたので、上記の効果に加えて、光学部品を交換しても調整可能なプロジェクターの調整システムの構成を簡素化できる。
【0024】
(8)本発明の他の態様に係るプロジェクターでは、前記補正データ算出部が、所与の色空間上の色彩値に変換した後、前記補正データを算出する。
【0025】
本態様によれば、光学部品を交換してプロジェクターの投射画像の色が変化してしまう場合であっても、精度良く補正データを算出できるようになる。
【0026】
(9)本発明の他の態様は、複数の色光を画像信号に基づいて変調して画像を投射するプロジェクターを調整するプロジェクター調整システムが、上記のいずれか記載のプロジェクターと、前記プロジェクターの投射画像を調整する画像調整装置とを含み、前記画像調整装置は、少なくとも、前記光源部からの光の分光分布に対応した分光情報と前記光変調部の分光変調率に対応した分光情報とに基づいて前記補正データを算出する補正データ算出部を含む。
【0027】
本態様によれば、プロジェクターを構成する光学部品を交換した場合であっても、交換後にプロジェクターの投射画像を測定することなく補正データが更新されるため、測定の煩わしさを伴うことなく、光学部品の交換に起因した画質の劣化を防止できるようになる。
【0028】
(10)本発明の他の態様に係るプロジェクター調整システムでは、前記補正データ算出部が、所与の色空間上の色彩値に変換した後、前記補正データを算出する。
【0029】
本態様によれば、光学部品を交換してプロジェクターの投射画像の色が変化してしまう場合であっても、精度良く補正データを算出できるようになる。
【0030】
(11)本発明の他の態様は、光源部と、前記光源部からの光を画像信号に基づいて変調する光変調部とを含むプロジェクターを調整するプロジェクター調整方法が、少なくとも、前記光源部からの光の分光分布に対応した分光情報と前記光変調部の分光変調率に対応した分光情報とに基づいて補正データを算出する補正データ算出ステップと、前記補正データ算出ステップにおいて算出された前記補正データに基づいて前記画像信号を補正する画像信号補正ステップとを含む。
【0031】
本態様によれば、光源部からの光の分光分布に対応した分光情報と光変調部の分光変調率に対応した分光情報とを用いて補正データを算出して更新した補正データに基づいて画像信号を補正するようにしたので、プロジェクターを構成する光源部や光変調部を交換した場合であっても、交換後にプロジェクターの投射画像を測定することなく補正データが更新されるため、測定の煩わしさを伴うことなく、光源部や光変調部の交換に起因した画質の劣化を防止できるようになる。
【0032】
(12)本発明の他の態様は、光源部と、前記光源部からの光を複数の色光に分離する色分離部と、色光毎に設けられ、各色光を画像信号に基づいて変調する複数の光変調部とを含むプロジェクターを調整するプロジェクター調整方法が、前記光源部からの光の分光分布に対応した分光情報、前記色分離部の分光変調率に対応した分光情報、及び前記複数の光変調部の分光変調率に対応した分光情報に基づいて補正データを算出する補正データ算出ステップと、前記補正データ算出ステップにおいて算出された前記補正データに基づいて前記画像信号を補正する画像信号補正ステップとを含む。
【0033】
本態様によれば、光源部からの光の分光分布に対応した分光情報、色分離部の分光変調率に対応した分光情報及び光変調部の分光変調率に対応した分光情報とを用いて補正データを算出して更新した補正データに基づいて画像信号を補正するようにしたので、プロジェクターを構成する光源部、色分離部や光変調部を交換した場合であっても、交換後にプロジェクターの投射画像を測定することなく補正データが更新されるため、測定の煩わしさを伴うことなく、光源部や色分離部や光変調部の交換に起因した画質の劣化を防止できるようになる。
【0034】
(13)本発明の他の態様に係るプロジェクター調整方法では、前記補正データ算出ステップが、所与の色空間上の色彩値に変換した後、前記補正データを算出する。
【0035】
本態様によれば、光学部品を交換してプロジェクターの投射画像の色が変化してしまう場合であっても、精度良く補正データを算出できるようになる。
【0036】
(14)本発明の他の態様は、複数の色光を画像信号に基づいて変調して画像を投射するプロジェクターに搭載される光源装置が、前記複数の色光を含む光を発生する光源と、前記光源からの光の分光分布に対応した分光情報を記憶する光源情報記憶部とを含み、前記分光情報が、読み出し可能に構成される。
【0037】
本態様によれば、光源部に特有の分光情報を読み出すことができるので、この分光情報を用いた補正データの算出等に供することができ、光源装置を交換した場合であっても、交換後にプロジェクターの投射画像を測定することなく、光源装置の交換に起因した画質の劣化を防止に寄与できるようになる。
【0038】
(15)本発明の他の態様は、複数の色光を画像信号に基づいて変調して画像を投射するプロジェクターに搭載される色分離装置が、光源からの光を前記複数の色光に分離する色分離部と、前記色分離部の分光変調率に対応した分光情報を記憶する色分離情報記憶部とを含み、前記分光情報が、読み出し可能に構成される。
【0039】
本態様によれば、色分離部に特有の分光情報を読み出すことができるので、この分光情報を用いた補正データの算出等に供することができ、色分離装置を交換した場合であっても、交換後にプロジェクターの投射画像を測定することなく、色分離装置の交換に起因した画質の劣化を防止に寄与できるようになる。
【0040】
(16)本発明の他の態様は、複数の色光を画像信号に基づいて変調して画像を投射するプロジェクターに搭載される光変調装置が、前記画像信号に基づいて前記複数の色光の1つを変調する光変調部と、前記光変調部の分光変調率に対応した分光情報を記憶する光変調情報記憶部とを含み、前記分光情報が、読み出し可能に構成される。
【0041】
本態様によれば、光変調部に特有の分光情報を読み出すことができるので、この分光情報を用いた補正データの算出等に供することができ、色分離装置を交換した場合であっても、交換後にプロジェクターの投射画像を測定することなく、色分離装置の交換に起因した画質の劣化を防止に寄与できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施形態1におけるプロジェクター調整システムの構成例のブロック図。
【図2】図1の投射部の構成例のブロック図。
【図3】図2の投射部の詳細な構成例を示す図。
【図4】プロジェクターの投射光の分光分布の一例を示す図。
【図5】図4の各階調をxy色度図上の色度座標に変換した図。
【図6】実施形態1における補正データ算出部の動作説明図。
【図7】図2又は図3の光源部の分光分布の説明図。
【図8】図3のR成分用ダイクロイックミラー及びG成分用ダイクロイックミラーの分光透過率の説明図。
【図9】図3のR成分用液晶パネル、G成分用液晶パネル及びB成分用液晶パネルの入射光の分光分布の説明図。
【図10】等色関数の説明図。
【図11】実施形態1における画像調整装置のハードウェア構成例のブロック図。
【図12】実施形態1における画像調整装置における補正データの算出処理例のフロー図。
【図13】実施形態1におけるプロジェクター調整システムの処理例のフロー図。
【図14】実施形態2における投射部の構成例のブロック図。
【図15】実施形態3におけるプロジェクター調整システムの構成例のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の課題の解決に必須の構成要件であるとは限らない。
【0044】
以下の実施形態では、光学部品の分光透過率又は分光反射率を用いる例を説明するが、この分光透過率、分光反射率及びこれに類する概念の上位概念である分光変調率を用いるものに本発明を適用できる。
【0045】
〔実施形態1〕
図1に、本発明に係る実施形態1におけるプロジェクター調整システムの構成例のブロック図を示す。
【0046】
実施形態1におけるプロジェクター調整システム10は、プロジェクターPJと、画像調整装置20とを含む。
【0047】
画像調整装置20は、画像信号生成部22と、補正データ算出部24とを含む。画像調整装置20は、プロジェクターPJと接続されており、プロジェクターPJを制御することができるようになっている。より具体的には、画像調整装置20は、プロジェクターPJを構成する光学部品の分光情報に基づいて補正データを算出し、該補正データに基づいてプロジェクターPJの投射画像の画質を調整する制御を行う。プロジェクターPJは、この補正データに基づいて投射画像の輝度及び色度を調整できる。
【0048】
そのため、画像調整装置20において、画像信号生成部22は、コンテンツ画像に対応した画像信号を生成し、該画像信号をプロジェクターPJに対して出力する。この画像信号生成部22の機能は、画像調整装置20の外部に設けられてもよい。また、画像調整装置20において、補正データ算出部24は、プロジェクターPJから、このプロジェクターPJを構成する光学部品の分光情報を取得し、該分光情報に基づいて補正データを算出する。画像調整装置20は、この補正データを含むコマンドをプロジェクターPJに対して送信することができる。このような画像調整装置20の機能は、例えばパーソナルコンピューター等を用いたソフトウェア処理や専用ハードウェア等によるハードウェア処理により実現される。
【0049】
プロジェクターPJは、分光情報記憶部30と、画像処理部(画像処理装置)40と、投射部(画像表示部)100とを含む。画像処理部40は、画像信号入力部42と、色補正テーブル記憶部(補正テーブル記憶部)44と、画像信号補正部46とを含む。分光情報記憶部30には、投射部100を構成する光学部品の分光情報が記憶されている。この分光情報は、補正データ算出部24により読み取り可能に構成されている。画像調整装置20の補正データ算出部24は、分光情報記憶部30に記憶された分光情報を取得し、該分光情報に基づいて補正データを算出する。
【0050】
画像処理部40は、画像信号生成部22からの画像信号に対して、補正データ算出部24において算出された補正データに基づいて補正処理を行い、該補正信号を投射部100に対して出力する。即ち、画像信号入力部42は、画像調整装置20からの画像信号の受信インターフェース処理を行い、入力画像の画像信号として画像信号補正部46に出力する。この受信インターフェース処理としては、物理層の信号レベルの変換処理やプログレッシブ変換処理を含むことができる。一方、画像調整装置20からのコマンドにより補正データを受け取った画像処理部40は、色補正テーブル記憶部44において、この補正データを色補正テーブルとして順次記憶していく。この色補正テーブル記憶部44に記憶された色補正テーブルは、補正データ算出部24によって補正データが算出される毎に、そのテーブル内容が更新されるようになっている。色補正テーブルは、画像を構成する色成分毎に、複数の階調値のそれぞれに対応付けられた補正データにより構成される。画像信号補正部46は、画像信号入力部42からの画像信号に対し、色補正テーブル記憶部44に記憶された色補正テーブルを参照して補正処理を行い、輝度及び色度の少なくとも一方を補正した画像信号を生成し、該画像信号を投射部100に対して出力する。
【0051】
図1において、画像調整装置20の機能が、プロジェクターPJに内蔵されていてもよい。この場合、プロジェクターPJは、画像信号生成部22及び補正データ算出部24の少なくとも1つの機能が内蔵される。また、分光情報記憶部30は、投射部100又は画像処理部40の外部に設けられているが、投射部100又は画像処理部40の内部に設けられていてもよい。
【0052】
図2に、図1の投射部100の構成例のブロック図を示す。なお、実施形態1では、投射部100が図2の構成を有するものとして説明するが、本発明に係るプロジェクターにおける投射部の構成が図2の構成に限定されるものではない。
【0053】
投射部100は、光源部110と、色分離部180と、光変調部190〜190(Nは2以上の整数)と、合成部192と、投射レンズ170とを含む。
【0054】
光源部110は、複数の色光を含む光を発生する。色分離部180は、光源部110からの光を複数の色光に分離する。色分離部180によって分離された各色光は、対応する光変調部に入射される。
【0055】
光変調部は、色分離部180により分離される色光数だけ設けられており、色分離部180が光源部110からの光をRGBの3つの色成分の色光に分離する場合、Nが3となる。例えば、光変調部190は、色分離部180によって分離された色光のうちR成分の色光を、画像信号補正部46によって補正された画像信号に基づいて変調し、変調後の光を合成部192に出射する。また光変調部190は、色分離部180によって分離された色光のうちG成分の色光を、画像信号補正部46によって補正された画像信号に基づいて変調し、変調後の光を合成部192に出射する。更に、光変調部190は、色分離部180によって分離された色光のうちB成分の色光を、画像信号補正部46によって補正された画像信号に基づいて変調し、変調後の光を合成部192に出射する。
【0056】
合成部192は、光変調部190〜190のそれぞれからの変調後の光を合成し、合成した光を投射レンズ170に出射する。投射レンズ170は、合成部192によって複数の変調光が合成された光を用いて投射画像をスクリーンSCR上に拡大して結像させる。
【0057】
図3に、図2の投射部100の詳細な構成例を示す。図3において、図2と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。図3では、実施形態1における投射部100が、いわゆる3板式の液晶プロジェクターにより構成されるものとして説明するが、本発明に係るプロジェクターの投射部がいわゆる3板式の液晶プロジェクターにより構成されるものに限定されるものではない。即ち、以下では、1画素がR成分のサブ画素、G成分のサブ画素、及びB成分のサブ画素により構成されるものとして説明するが、1画素を構成するサブ画素数(色成分数)に限定されるものではない。
【0058】
実施形態1における投射部100は、光源部110、インテグレーターレンズ112、114、偏光変換素子116、重畳レンズ118、R成分用ダイクロイックミラー120R、G成分用ダイクロイックミラー120G、反射ミラー122、R成分用フィールドレンズ124R、G成分用フィールドレンズ124G、R成分用液晶パネル130R(第1の光変調部)、G成分用液晶パネル130G(第2の光変調部)、B成分用液晶パネル130B(第3の光変調部)、リレー光学系140、クロスダイクロイックプリズム160、投射レンズ170を含む。R成分用液晶パネル130R、G成分用液晶パネル130G及びB成分用液晶パネル130Bとして用いられる液晶パネルは、透過型の液晶表示装置である。リレー光学系140は、リレーレンズ142、144、146、反射ミラー148、150を含む。
【0059】
光源部110は、例えば超高圧水銀ランプにより構成され、少なくともR成分の光、G成分の光、B成分の光を含む光を射出する。インテグレーターレンズ112は、光源部110からの光を複数の部分光に分割するための複数の小レンズを有する。インテグレーターレンズ114は、インテグレーターレンズ112の複数の小レンズに対応する複数の小レンズを有する。重畳レンズ118は、インテグレーターレンズ112の複数の小レンズから射出される部分光を液晶パネル上で重畳する。
【0060】
また偏光変換素子116は、偏光ビームスプリッターアレイとλ/2板とを有し、光源部110からの光を略一種類の偏光光に変換する。偏光ビームスプリッターアレイは、インテグレーターレンズ112により分割された部分光をp偏光とs偏光に分離する偏光分離膜と、偏光分離膜からの光の向きを変える反射膜とを、交互に配列した構造を有する。偏光分離膜で分離された2種類の偏光光は、λ/2板によって偏光方向が揃えられる。この偏光変換素子116によって略一種類の偏光光に変換された光が、重畳レンズ118に照射される。
【0061】
重畳レンズ118からの光は、R成分用ダイクロイックミラー120Rに入射される。R成分用ダイクロイックミラー120Rは、R成分の光を反射して、G成分及びB成分の光を透過させる機能を有する。R成分用ダイクロイックミラー120Rを透過した光は、G成分用ダイクロイックミラー120Gに照射され、R成分用ダイクロイックミラー120Rにより反射した光は反射ミラー122により反射されてR成分用フィールドレンズ124Rに導かれる。
【0062】
G成分用ダイクロイックミラー120Gは、G成分の光を反射して、B成分の光を透過させる機能を有する。G成分用ダイクロイックミラー120Gを透過した光は、リレー光学系140に入射され、G成分用ダイクロイックミラー120Gにより反射した光はG成分用フィールドレンズ124Gに導かれる。
【0063】
リレー光学系140では、G成分用ダイクロイックミラー120Gを透過したB成分の光の光路長と他のR成分及びG成分の光の光路長との違いをできるだけ小さくするために、リレーレンズ142、144、146を用いて光路長の違いを補正する。リレーレンズ142を透過した光は、反射ミラー148によりリレーレンズ144に導かれる。リレーレンズ144を透過した光は、反射ミラー150によりリレーレンズ146に導かれる。リレーレンズ146を透過した光は、B成分用液晶パネル130Bに照射される。
【0064】
R成分用フィールドレンズ124Rに照射された光は、平行光に変換されてR成分用液晶パネル130Rに入射される。R成分用液晶パネル130Rは、光変調部(光変調素子)として機能し、R成分用画像信号に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従って、R成分用液晶パネル130Rに入射された光(第1の色成分の光)は、R成分用画像信号に基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
【0065】
G成分用フィールドレンズ124Gに照射された光は、平行光に変換されてG成分用液晶パネル130Gに入射される。G成分用液晶パネル130Gは、光変調部(光変調素子)として機能し、G成分用画像信号に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従って、G成分用液晶パネル130Gに入射された光(第2の色成分の光)は、G成分用画像信号に基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
【0066】
リレーレンズ142、144、146で平行光に変換された光が照射されるB成分用液晶パネル130Bは、光変調部(光変調素子)として機能し、B成分用画像信号に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従って、B成分用液晶パネル130Bに入射された光(第3の色成分の光)は、B成分用画像信号に基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
【0067】
R成分用液晶パネル130R、G成分用液晶パネル130G、B成分用液晶パネル130Bは、それぞれ同様の構成を有している。各液晶パネルは、電気光学物質である液晶を一対の透明なガラス基板に密閉封入したものであり、例えばポリシリコン薄膜トランジスターをスイッチング素子として、各サブ画素の画像信号に対応して各色光の通過率を変調する。
【0068】
実施形態1では、1画素を構成する色成分毎に光変調部としての液晶パネルが設けられ、各液晶パネルの透過率がサブ画素に対応した画像信号により制御される。即ち、R成分のサブ画素用の画像信号が、R成分用液晶パネル130Rの透過率(通過率、変調率)の制御に用いられ、G成分のサブ画素用の画像信号が、G成分用液晶パネル130Gの透過率の制御に用いられ、B成分のサブ画素用の画像信号が、B成分用液晶パネル130Bの透過率の制御に用いられる。
【0069】
クロスダイクロイックプリズム160は、R成分用液晶パネル130R、G成分用液晶パネル130G及びB成分用液晶パネル130Bからの入射光を合成した合成光を出射光として出力する機能を有する。投射レンズ170は、出力画像をスクリーンSCR上に拡大して結像させるレンズである。
【0070】
図3において、R成分用ダイクロイックミラー120R及びG成分用ダイクロイックミラー120Gは、図2の色分離部180の機能を実現する。また、図3は、図2においてNが「3」である例を表しており、R成分用液晶パネル130Rは図2の光変調部190の機能を実現し、G成分用液晶パネル130Gは図2の光変調部190の機能を実現し、B成分用液晶パネル130Bは図2の光変調部190の機能を実現する。また、クロスダイクロイックプリズム160は、図2の合成部192の機能を実現する。
【0071】
このように、投射部100は、光源部110と、色分離部180と、光変調部190〜190とを含むことができる。このような構成を有するプロジェクターPJにおいて、実施形態1では、分光情報記憶部30は、光源部110からの光の分光分布に対応した分光情報を記憶する光源情報記憶部と、色分離部180の分光透過率(広義には分光変調率。以下、同様)に対応した分光情報を記憶する色分離情報記憶部と、色成分毎の光変調部の分光透過率に対応した分光情報を記憶する光変調情報記憶部とを含む。
【0072】
なお、投射部100は、図2又は図3に示す構成をすべて含む必要はなく、例えば色分離部180を省略した構成を採用することができる。この場合、投射部100は、光源部と、光変調部とを含むということができる。そして、プロジェクターPJにおいて、分光情報記憶部30には、光源部110からの光の分光分布に対応した分光情報と、色成分毎の光変調部の分光透過率に対応した分光情報とが記憶される。
【0073】
ところで、プロジェクターPJの投射光の分光分布は、各色成分について、階調が異なると分光分布の形状も異なってしまう。この分光分布の形状の変化は、色の変化を意味する。
【0074】
図4に、プロジェクターPJの投射光の分光分布の一例を示す。図4は、横軸に投射光の波長を示し、縦軸に投射光のエネルギーを示し、RGBの色成分毎に、階調値の最大値と最小値とを含む9階調のそれぞれについての分光分布を表している。
図5に、図4の各階調をxy色度図上の色度座標に変換した図を示す。図5では、横軸にx、縦軸にyを表している。
【0075】
図4では、短波長側からB成分、G成分、R成分の投射光のエネルギーが示されている。そして、図4は、色成分毎に、階調値を「255」、「224」、「192」、「160」、「128」、「96」、「64」、「32」、「0」に変化させたときのエネルギーの変化を表す。各色成分においても、階調値が大きいほど、エネルギーが大きくなる。
【0076】
ところが、図4に示すように、例えば階調値「255」の約半分である階調値「128」の分光分布の形状は、階調値「255」の分光分布と比較してピークが失われたりして形状が異なってくる。そのため、図5に示すように、xy色度図上の色度座標が階調値毎に変化してしまい、色が変化していることがわかる。
【0077】
そこで、プロジェクターPJにおいては、色補正テーブルによって、画像信号により表される階調値に対応した補正を行うことが望ましい。しかしながら、投射部100を構成する光学部品(特に、光源部110)を交換したときには、交換前の光学部品の分光特性に対して交換後の光学部品の分光特性が異なることにより、交換後のプロジェクターPJの投射光の分光分布も所望の特性を得ることができなくなってしまう。そのため、色補正テーブル自体を変更することが望ましいが、光学部品の交換の度に投射画像を測定し、その測定結果を色補正テーブルに反映させることは、手間がかかるばかりか、プロジェクターPJの測定システムが必要になる。
【0078】
そこで、実施形態1では、投射部100を構成する光学部品を交換する度に、補正データ算出部24が、分光情報記憶部30に記憶される分光情報を取得し、この分光情報を用いて補正データを算出し、この補正データにより色補正テーブルを更新する。
【0079】
図6に、実施形態1における補正データ算出部24の動作説明図を示す。
図7に、図2又は図3の光源部110の分光分布の説明図を示す。図7は、横軸に光源部110からの光の波長、縦軸に光のエネルギーを表す。
図8に、図3のR成分用ダイクロイックミラー120R及びG成分用ダイクロイックミラー120Gの分光透過率の説明図を示す。図8は、横軸に入射光の波長、縦軸に各ダイクロイックミラーの透過率を表す。
図9に、図3のR成分用液晶パネル130R、G成分用液晶パネル130G及びB成分用液晶パネル130Bの入射光の分光分布の説明図を示す。図9は、横軸に各色成分の入射光の波長、縦軸に各色成分の色光のエネルギーを表す。
【0080】
プロジェクターPJの投射光の色は、光源部110の分光分布、色分離部180の分光透過率、光変調部の分光透過率によって決まる。そこで、補正データ算出部24は、まず、図6に示すように、光源部110からの光の分光分布に対応した分光情報、色分離部としてのダイクロイックミラーの分光透過率に対応した分光情報、及び光変調部としての液晶パネルの分光透過率に対応した分光情報を乗算し、その乗算結果に等色関数を掛け合わせることにより、CIE(Commission Internationale de l'Eclairage)表色系の色彩値を出力する。
【0081】
より具体的には、補正データ算出部24は、上記の分光情報を用いてRGBの色成分毎に、プロジェクターPJの出射光の分光分布を算出する。分光情報記憶部30には、各分光情報が、光の波長に対応したエネルギー又は透過率(反射率)が記憶されており、光の波長毎に分光情報により重み付けして足し合わせる処理によって、上記の分光分布が求められる。
【0082】
即ち、補正データ算出部24は、R成分の出射光の分光分布について、図7に示すような光源部110からの光の分光分布に対応した分光情報、図8に示すようなR成分用ダイクロイックミラー120Rの分光反射率(広義には分光変調率。以下、同様)に対応した分光情報、及びR成分用液晶パネル120Rの分光透過率に対応した分光情報を乗算してR成分の光の分光分布を算出する。ここで、R成分用ダイクロイックミラー120Rの分光反射率は、図8に示す分光透過率より求められる。
【0083】
同様に、補正データ算出部24は、G成分の出射光の分光分布について、図7に示すような光源部110からの光の分光分布に対応した分光情報、図8に示すようなR成分用ダイクロイックミラー120Rの分光透過率に対応した分光情報、G成分用のダイクロイックミラー120Gの分光反射率に対応した分光情報、及びG成分用液晶パネル120Gの分光透過率に対応した分光情報を乗算してG成分の光の分光分布を算出する。ここで、G成分用ダイクロイックミラー120Gの分光反射率は、図8に示す分光透過率より求められる。
【0084】
更に、補正データ算出部24は、B成分の出射光の分光分布について、図7に示すような光源部110からの光の分光分布に対応した分光情報、図8に示すようなR成分用ダイクロイックミラー120Rの分光透過率に対応した分光情報、G成分用ダイクロイックミラー120Gの分光透過率に対応した分光情報、及びB成分用液晶パネル120Bの分光透過率に対応した分光情報を乗算してB成分の光の分光分布を算出する。
【0085】
この結果、図9に示すようなR成分用液晶パネル130R、G成分用液晶パネル130G及びB成分用液晶パネル130Bの各色成分の入射光の分光分布に対して、波長毎に、各色成分の液晶パネルの分光透過率により重み付けされて足し合わされた値が、出射光の分光分布として求められる。
【0086】
その後、補正データ算出部24は、各色成分の出射光の分光分布に等色関数を掛け合わせることにより、CIE(Commission Internationale de l'Eclairage)表色系の色彩値を出力する。
【0087】
図10に、等色関数の説明図を示す。図10は、横軸に光の波長、縦軸に分光応答度を示し、人間の目に対応する分光応答度を示す等色関数の一例を表す。
【0088】
補正データ算出部24は、上記のように求められた各色成分の分光分布を、図10に示す等色関数に従って重み付けを行って足し合わせることでXYZ表色系の色彩値を出力する。そして、補正データ算出部24は、この色彩値を基準に、色が変化しないように画像信号に対する補正データを算出する。
【0089】
これにより、光学部品を交換してプロジェクターPJの投射画像の色が変化してしまう場合であっても、測定システムにより投射画像を測定することなく色補正テーブルを修正して更新できるので、低コスト、且つ、容易に画質の向上を図ることができるプロジェクターを提供できるようになる。
【0090】
このような補正データ算出部24を含む画像調整装置20の機能は、ハードウェア処理により実現されてもよいし、ソフトウェア処理により実現されてもよい。
【0091】
図11に、実施形態1における画像調整装置20のハードウェア構成例のブロック図を示す。
【0092】
画像調整装置20は、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)50、インターフェース(InterFace:I/F)回路52、読み出し専用メモリー(Read Only
Memory:ROM)54、ランダムアクセスメモリー(Random Access Memory:RAM)56、バス58を有し、バス58を介して、CPU50、I/F回路52、ROM54、及びRAM56は電気的に接続されている。
【0093】
例えばROM54には、画像調整装置20の機能を実現するプログラムが記憶される。CPU50は、ROM54に記憶されたプログラムを読み出し、該プログラムに対応した処理を実行することで、画像調整装置20の機能をソフトウェア処理で実現できる。なお、RAM56は、CPU50による処理の作業エリアとして用いられたり、I/F回路52やROM54のバッファエリアとして用いられたりする。I/F回路52は、プロジェクターPJに送られる画像信号や補正データを含むコマンドの入力インターフェース処理を行う。
【0094】
図12に、実施形態1における画像調整装置20における補正データの算出処理例のフロー図を示す。例えば、図11のROM54に図12に示す処理手順を指示するプログラムが記憶されており、CPU50がROM54から読み込んだプログラムに対応した処理を実行することで、画像調整装置20の補正データ算出部24の機能を図12に示すようにソフトウェア処理により実現できるようになっている。
【0095】
まず、画像調整装置20は、プロジェクターPJの分光情報記憶部30に記憶される分光情報のうち、光源部110の分光分布に対応した分光情報を読み出す(ステップS10)。続いて、画像調整装置20は、分光情報記憶部30からR成分用ダイクロイックミラー120R及びG成分用ダイクロイックミラー120Gの分光透過率に対応した分光情報を読み出す(ステップS12)。更に、画像調整装置20は、分光情報記憶部30からR成分用液晶パネル130R、G成分用液晶パネル130G及びB成分用液晶パネル130Bの分光透過率に対応した分光情報を読み出す(ステップS14)。
【0096】
そして、画像調整装置20は、上記したように、9階調のうちの1つの階調値に対応した分光分布を算出し、XYZ表色系の色彩値を算出する(ステップS16)。ステップS16では、RGBの各色成分の9階調のそれぞれについてXYZ表色系の色彩値が算出される。
【0097】
次に、画像調整装置20は、ステップS16で算出したXYZ表色系の色彩値をRGBの階調値に変換する処理を行う(ステップS18)。この変換処理については、例えば特開2007−281559号公報に開示されている処理を採用することができ、回帰計算を行うことで変換精度を向上させて、RGBの階調値を得ることができる。ステップS18では、ステップS16で求められた色彩値のそれぞれについて、RGBの各色成分の階調値に変換される。
【0098】
その後、画像調整装置20は、ステップS16でXYZ表色系の色彩値を求める際に用いたRGBの階調値に対応した画像信号を入力としたときにステップS18で変換されたRGBの階調値に変換するための補正データを算出し(ステップS20)、一連の処理を終了する(エンド)。
【0099】
ここで、ステップS18において行われるXYZ表色系の色彩値からRGBの階調値への変換処理について説明する。
【0100】
まず、RGBの単色の各階調におけるXYZ表色系の色彩値X(R,0,0)、Y(R,0,0)、Z(R,0,0)等を上記のように投射部100を構成する光学部品の分光情報を用いて算出する。ここでは、R成分のみを示しているが、G成分やB成分も同様に各階調について算出する。また、R成分の階調値の最大値をRmax、G成分の階調値の最大値をGmax、B成分の階調値の最大値をBmaxとすると、白色の輝度Y(Rmax,Gmax,Bmax)についても、同様に算出する。
【0101】
そして、次式のように正規化する。なお、次式ではR成分のみを示しているが、G成分及びB成分も同様である。
【数1】

【0102】
ここで、各色におけるRGBの階調値とX(R)、Y(R)、Z(R)等とを関連づけてテーブル化しておく。
【0103】
次に、以下のような回帰計算(例えば2回)行うことで、RGBの階調値に変換する。
【0104】
即ち、まず、RGB単色の最大値におけるXYZ表色系の色彩値を用いて、次のような変換行列Mを求める。
【数2】

【0105】
そして、この変換行列Mを用いてRGBの各色の輝度Y(R)、Y(G)、Y(B)を求める。
【数3】

【0106】
ここで、上記の通り、各色におけるRGBの階調値と式(1)に従って求めたX(R)、Y(R)、Z(R)等とを関連づけたテーブルを参照して、各色のRGBの階調値R、G、Bを求める。
【数4】

【0107】
続いて、式(2)の変換行列Mの精度を高めるために、式(4)で求めたRGBの階調値とこれに対応するXYZ表色系の色彩値を用いて変換行列Mを再計算する。
【0108】
即ち、この階調値を式(5)のように正規化する。なお、式(5)はR成分のみを示しているが、G成分及びB成分についても同様である。
【数5】

【0109】
その後、式(6)のように変換行列Mを求める。
【数6】

【0110】
そして、この変換行列Mを用いてRGBの各色の輝度Y(R)、Y(G)、Y(B)を求める。
【数7】

【0111】
その後、各色におけるRGBの階調値と式(1)に従って求めたX(R)、Y(R)、Z(R)等とを関連づけたテーブルを参照して、各色のRGBの階調値R、G、Bを求める。
【数8】

【0112】
同様に、式(6)の変換行列Mの精度を高めるために、式(8)で求めたRGBの階調値とこれに対応するXYZ表色系の色彩値を用いて変換行列Mを再計算する。即ち、この階調値を次式のように正規化した後、変換行列Mを求め、この変換行列Mを用いてRGBの各色の輝度Y(R)、Y(G)、Y(B)を求める。
【数9】

【0113】
このように求められたRGBの階調値を、ステップS18における変換処理後の結果として取得する。なお、実施形態1では、回帰計算を2回行うものとして説明したが、3回以上繰り返して、更に変換行列の精度を向上させるようにしてもよい。
【0114】
こうして、RGBの各色成分の9階調のそれぞれについて補正データが算出されると、コマンドとしてプロジェクターPJに送信する。プロジェクターPJでは、画像処理部40の色補正テーブル記憶部44に記憶される色補正テーブルが、ステップS10〜ステップS20で算出された補正データにより更新される。
【0115】
以上のように、実施形態1では、投射画像を測定することなく、投射部100を構成する光学部品の分光情報を用いて、色補正テーブルの補正データが算出される。このような色補正テーブルの更新は、投射部100を構成する光学部品の少なくとも1つが交換される毎に行われることが望ましい。このとき、XYZ表色系の色彩値に変換した後に補正データを算出するようにしたので、プロジェクターPJの分光特性の違いに依存しない基準値を基準に、補正データを精度良く算出することができるようになる。
【0116】
次に、実施形態1におけるプロジェクター調整システムの処理例について説明する。
【0117】
図13に、実施形態1におけるプロジェクター調整システム10の処理例のフロー図を示す。
【0118】
プロジェクター調整システム10を構成するプロジェクターPJにおいて、光学部品の1つが交換されたものとする。このとき、画像調整装置20は、補正データ算出ステップとして、上記のように、プロジェクターPJの分光情報記憶部30に記憶される分光情報を取得し、補正データを算出する(ステップS30)。このステップS30の処理は、図12において説明した処理であり、XYZ表色系の色彩値に変換した後に、補正データを算出する。
【0119】
そして、画像調整装置20は、補正テーブル更新ステップとして、コマンドにより、算出した補正データをプロジェクターPJに送信し、プロジェクターPJ内の色補正テーブル記憶部44に記憶される色補正テーブルを、ステップS30において算出された補正テーブルにより更新する(ステップS32)。
【0120】
その後、プロジェクターPJは、画像調整装置20からの画像信号の入力を待つ(ステップS34)。プロジェクターPJは、画像調整装置20から画像信号が入力されると、画像処理部40において、画像信号補正ステップとして、色補正テーブル記憶部44に記憶された色補正テーブルを参照して、該画像信号に対応した階調値に関連づけられた補正データを読み出し(ステップS36)、この補正データを用いて該画像信号を補正する(ステップS38)。
【0121】
続いて、プロジェクターPJは、画像信号の入力が継続するとき(ステップS40:N)、ステップS34に戻って処理を継続し、画像信号の入力が終了するとき(ステップS40:Y)、一連の処理を終了する(エンド)。
【0122】
以上説明したように、実施形態1によれば、プロジェクターPJを構成する光学部品を交換した場合であっても、光学部品を交換後にプロジェクターPJの投射画像を測定することなく色補正テーブルを更新できるので、測定の煩わしさを伴うことなく、光学部品の交換に起因した画質の劣化を防止できるようになる。
【0123】
〔実施形態2〕
実施形態1では、プロジェクターPJ内に分光情報記憶部30が内蔵される例について説明したが、投射部100を構成する光学部品の分光情報は、それぞれの光学部品自体が記憶しておくことが望ましい。この場合、図1の分光情報記憶部30の機能が、各光学部品に内蔵された記憶部に分割される。
【0124】
図14に、実施形態2における投射部100の構成例のブロック図を示す。図14において、図2と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0125】
実施形態2では、投射部100は、光源装置200と、色分離装置300と、光変調装置400〜400と、合成部192と、投射レンズ170とを含む。以下では、Nが3であるものとする。
【0126】
光源装置200の光源部110は、光源部110は、複数の色光を含む光を発生する。色分離装置300の色分離部180は、光源部110からの光を複数の色光に分離する。色分離部180によって分離された各色光は、対応する光変調部に入射される。
【0127】
実施形態2における光源装置200は、光源部110と、光源部110からの光の分光分布に対応した分光情報を記憶する光源情報記憶部210とを含み、光源情報記憶部210に記憶される分光情報が、外部に読み出し可能に構成される。このような光源部110は、実施形態1と同様に、例えば超高圧水銀ランプにより構成される。光源情報記憶部210は、フラッシュROM等の不揮発性メモリー素子により構成される。
【0128】
そして、図2又は図3の光源部110に代えて、光源装置200が、投射部100に交換可能に設けられる。この場合、投射部100は、光源装置200の交換後においても、光源情報記憶部210が画像調整装置20の補正データ算出部24によってアクセスできるように構成されている。
【0129】
こうすることで、光源装置200を交換した場合に、分光情報記憶部30に記憶される分光情報を更新する必要がなくなり、交換後の光源部110に特有の分光情報を予め光源情報記憶部210に記憶させておくだけでよい。
【0130】
実施形態2における色分離装置300は、色分離部180と、色分離部180の分光透過率に対応した分光情報を記憶する色分離情報記憶部310とを含み、色分離情報記憶部310に記憶される分光情報が、外部に読み出し可能に構成される。このような色分離部180は、実施形態1と同様に、例えばR成分用ダイクロイックミラー120R、G成分用ダイクロイックミラー120Gにより構成される。色分離情報記憶部310は、フラッシュROM等の不揮発性メモリー素子により構成される。
【0131】
そして、図2の色分離部180又は図3のR成分用ダイクロイックミラー120RやG成分用ダイクロイックミラー120Gに代えて、色分離装置300が、投射部100に交換可能に設けられる。この場合、投射部100は、色分離装置300の交換後においても、色分離情報記憶部310が画像調整装置20の補正データ算出部24によってアクセスできるように構成されている。
【0132】
こうすることで、色分離装置300を交換した場合に、分光情報記憶部30に記憶される分光情報を更新する必要がなくなり、交換後の色分離部180に特有の分光情報を予め色分離情報記憶部310に記憶させておくだけでよい。
【0133】
実施形態2における光変調装置400は、光変調部190と、光変調部190の分光透過率に対応した分光情報を記憶する光変調情報記憶部410とを含み、光変調情報記憶部410に記憶される分光情報が、外部に読み出し可能に構成される。このような光変調部190は、実施形態1と同様に、例えばR成分用液晶パネル130Rにより構成される。光変調情報記憶部410は、フラッシュROM等の不揮発性メモリー素子により構成される。
【0134】
そして、図2の光変調部190又は図3のR成分用液晶パネル130Rに代えて、光変調装置400が、投射部100に交換可能に設けられる。この場合、投射部100は、光変調装置400の交換後においても、光変調情報記憶部410が画像調整装置20の補正データ算出部24によってアクセスできるように構成されている。
【0135】
同様に、図示しない光変調装置400は、光変調部190と、光変調部190の分光透過率に対応した分光情報を記憶する光変調情報記憶部410とを含み、光変調情報記憶部410に記憶される分光情報が、外部に読み出し可能に構成される。このような光変調部190は、実施形態1と同様に、例えばG成分用液晶パネル130Gにより構成される。光変調情報記憶部410は、フラッシュROM等の不揮発性メモリー素子により構成される。そして、図2の光変調部190又は図3のG成分用液晶パネル130Gに代えて、光変調装置400が、投射部100に交換可能に設けられる。この場合、投射部100は、光変調装置400の交換後においても、光変調情報記憶部410が画像調整装置20の補正データ算出部24によってアクセスできるように構成されている。
【0136】
また、同様に、図示しない光変調装置400は、光変調部190と、光変調部190の分光透過率に対応した分光情報を記憶する光変調情報記憶部410とを含み、光変調情報記憶部410に記憶される分光情報が、外部に読み出し可能に構成される。このような光変調部190は、実施形態1と同様に、例えばB成分用液晶パネル130Bにより構成される。光変調情報記憶部410は、フラッシュROM等の不揮発性メモリー素子により構成される。そして、図2の光変調部190又は図3のB成分用液晶パネル130Bに代えて、光変調装置400が、投射部100に交換可能に設けられる。この場合、投射部100は、光変調装置400の交換後においても、光変調情報記憶部410が画像調整装置20の補正データ算出部24によってアクセスできるように構成されている。
【0137】
こうすることで、光変調装置400〜400の少なくとも1つを交換した場合に、分光情報記憶部30に記憶される分光情報を更新する必要がなくなり、交換後の光変調部190〜190に特有の分光情報を予め光変調情報記憶部に記憶させておくだけでよい。
【0138】
図14において、光変調装置400〜400のそれぞれは、色分離部180によって分離された色光のうち対応する色成分の色光を、画像信号補正部46によって補正された画像信号に基づいて変調し、変調後の光を合成部192に出射する。合成部192は、光変調装置400〜400の光変調部190〜190のそれぞれからの変調後の光を合成し、合成した光を投射レンズ170に出射する。投射レンズ170は、合成部192によって複数の変調光が合成された光を用いて投射画像をスクリーンSCR上に拡大して結像させる。
【0139】
図14に示す構成を有する投射部100もまた、図3の構成を有することができる。また、画像調整装置20の処理例やプロジェクター調整システム10の処理例も実施形態1と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0140】
以上説明したように、実施形態2によれば、プロジェクターPJを構成する光学部品を交換した場合であっても、光学部品を交換後にプロジェクターPJの投射画像を測定することなく色補正テーブルを更新できるので、測定の煩わしさを伴うことなく、光学部品の交換に起因した画質の劣化を防止できるようになる。更に、実施形態2によれば、投射部100を構成する各光学部品を交換した場合に、分光情報記憶部30に記憶される分光情報を更新する必要がなくなり、交換後の光学部品に特有の分光情報を予め該光学部品に内蔵された記憶部に記憶させておくだけでよい。
【0141】
〔実施形態3〕
実施形態1又は実施形態2では、補正データ算出部24の機能を画像調整装置20が有していたが、補正データ算出部24の機能をプロジェクターPJが有していてもよい。
【0142】
図15に、本発明に係る実施形態3におけるプロジェクター調整システムの構成例のブロック図を示す。図15において、図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図15では、実施形態2と同様に投射部100を構成する光学部品毎に分光情報を記憶するものとして説明するが、実施形態1と同様に、分光情報記憶部30に投射部100を構成する光学部品の分光情報をすべて記憶させるようにしてもよい。
【0143】
実施形態3におけるプロジェクター調整システム500は、プロジェクターPJ1と、画像生成装置510とを含む。画像生成装置510は、画像信号生成部22を含む。プロジェクターPJ1は、画像処理部(画像処理装置)520と、投射部(画像表示部)100とを含む。画像処理部520は、画像信号入力部42と、色補正テーブル記憶部(補正テーブル記憶部)44と、画像信号補正部46と、補正データ算出部24とを含む。
【0144】
画像生成装置510において、画像信号生成部22は、コンテンツ画像に対応した画像信号を生成し、該画像信号をプロジェクターPJ1に対して出力する。プロジェクターPJ1では、画像生成装置510からの画像信号に基づいて画像を投射する。この際、プロジェクターPJ1では、投射部100を構成する光学部品の分光情報に基づいて補正データを算出し、該補正データに基づいてプロジェクターPJ1の投射画像の輝度及び色度を調整する制御を行う。なお、画像生成装置510の機能は、例えばパーソナルコンピューター等を用いたソフトウェア処理や専用ハードウェア等によるハードウェア処理により実現される。
【0145】
より具体的には、プロジェクターPJ1においても、投射部100を構成する光学部品毎に分光情報が記憶されると共に該分光情報が読み出し可能に構成されており、プロジェクターPJ1において、実施形態1と同様に補正データ算出部24によって補正データが算出される。そして、プロジェクターPJ1において、算出された補正データを色補正テーブル記憶部44において順次色補正テーブルとして記憶していく。この色補正テーブル記憶部44に記憶された色補正テーブルは、補正データ算出部24によって補正データが算出される毎に、そのテーブル内容が更新されるようになっている。画像信号補正部46は、画像信号入力部42からの画像信号に対し、色補正テーブル記憶部44に記憶された色補正テーブルを参照して補正処理を行い、輝度及び色度の少なくとも一方を補正した画像信号を生成し、該画像信号を投射部100に対して出力する。
【0146】
以上、本発明に係るプロジェクター、プロジェクター調整システム、プロジェクター調整方法、光源装置、色分離装置、及び光変調装置を上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0147】
(1)上記の各実施形態では、プロジェクターの外部に画像調整装置20又は画像生成装置510が設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、プロジェクターが画像調整装置20又は画像生成装置510の機能を内蔵していてもよい。
【0148】
(2)上記の各実施形態では、補正データを算出する際に、一旦、XYZ表色系の色彩値に変換するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の表色系の値に変換するようにしてもよい。
【0149】
(3)上記の各実施形態では、色分離部の分光透過率に対応した分光情報を用いる例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、色分離部の分光透過率に代えて、色分離部の分光反射率であってもよい。
【0150】
(4)上記の各実施形態では、光変調部の分光透過率又は分光反射率を用いる例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、光変調部の分光透過率に代えて、光変調部の分光反射率であってもよい。また、例えば、光変調部の分光反射率に代えて、光変調部の分光透過率であってもよい。
【0151】
(5)上記の各実施形態では、プロジェクターを調整する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、液晶表示装置、プラズマディスプレイ装置、有機ELディスプレイ装置等の画像を調整する各種の画像調整システムにも適用できる。
【0152】
(6)上記の各実施形態では、光変調部として液晶パネルを用いるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。光変調部として、例えばDLP(Digital Light Processing)(登録商標)、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)等を採用してもよい。
【0153】
(7)上記の各実施形態において、本発明を、プロジェクター、プロジェクター調整システム、プロジェクター調整方法、光源装置、色分離装置、及び光変調装置等として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明を実現するためのプロジェクターの調整方法の処理手順が記述されたプログラムや、該プログラムが記録された記録媒体であってもよい。
【符号の説明】
【0154】
10,500…プロジェクター調整システム、 20…画像調整装置、
22…画像信号生成部、 24…補正データ算出部、 30…分光情報記憶部、
40,520…画像処理部、 42…画像信号入力部、 44…色補正テーブル記憶部、
46…画像信号補正部、 50…CPU、 52…I/F回路、 54…ROM、
56…RAM、 58…バス、 100…投射部、 110…光源部、
112,114…インテグレーターレンズ、 116…偏光変換素子、
118…重畳レンズ、 120R…R成分用ダイクロイックミラー、
120G…G成分用ダイクロイックミラー、 122,148,150…反射ミラー、
124R…R成分用フィールドレンズ、 124G…G成分用フィールドレンズ、
130R…R成分用液晶パネル、 130G…G成分用液晶パネル、
130B…B成分用液晶パネル、 140…リレー光学系、
142,144,146…リレーレンズ、 160…クロスダイクロイックプリズム、
170…投射レンズ、 180…色分離部、 190〜190…光変調部、
192…合成部、 200…光源装置、 210…光源情報記憶部、
300…色分離装置、 310…色分離情報記憶部、
400〜400…光変調装置、 410〜410…光変調情報記憶部、
510…画像生成装置、 PJ,PJ1…プロジェクター、 SCR…スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像信号に基づいて画像を投射するプロジェクターであって、
光源部と、
前記光源部からの光を前記画像信号に基づいて変調する光変調部と、
少なくとも、前記光源部からの光の分光分布に対応した分光情報と前記光変調部の分光変調率に対応した分光情報とに基づいて算出された補正データによって更新される補正データ記憶部と、
前記補正データ記憶部に記憶される前記補正データに基づいて前記画像信号を補正する画像信号補正部とを含むことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
画像信号に基づいて画像を投射するプロジェクターであって、
光源部と、
前記光源部からの光を複数の色光に分離する色分離部と、
各色光に対応して設けられ、色光を前記画像信号に基づいて変調する複数の光変調部と、
前記光源部からの光の分光分布に対応した分光情報、前記色分離部の分光変調率に対応した分光情報、及び前記複数の光変調部の分光変調率に対応した分光情報に基づいて算出された補正データによって更新される補正データ記憶部と、
前記補正データ記憶部に記憶される前記補正データに基づいて前記画像信号を補正する画像信号補正部とを含むことを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記光源部からの光の分光分布に対応した分光情報を記憶する光源情報記憶部を含み、
前記補正データが、
少なくとも、前記光源情報記憶部に記憶された分光情報と、前記分光変調率に対応した分光情報とに基づいて算出されることを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項2において、
前記光源部からの光の分光分布に対応した分光情報を記憶する光源情報記憶部と、
前記色分離部の分光変調率に対応した分光情報を記憶する色分離情報記憶部と、
前記複数の光変調部の分光変調率に対応した分光情報を記憶する光変調情報記憶部とを含み、
前記補正データが、
前記光源情報記憶部に記憶された分光情報、前記色分離情報記憶部に記憶された分光情報、及び前記光変調情報記憶部に記憶された分光情報に基づいて算出されることを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
請求項3又は4において、
前記光源部が、前記光源情報記憶部を有することを特徴とするプロジェクター。
【請求項6】
請求項4において、
前記光源部が、前記光源情報記憶部を有し、
前記色分離部が、前記色分離情報記憶部を有し、
前記複数の光変調部を構成する各光変調部が、前記光変調情報記憶部を有することを特徴とするプロジェクター。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
少なくとも、前記光源部からの光の分光分布に対応した分光情報と前記光変調部の分光変調率に対応した分光情報とに基づいて前記補正データを算出する補正データ算出部を含むことを特徴とするプロジェクター。
【請求項8】
請求項7において、
前記補正データ算出部が、
所与の色空間上の色彩値に変換した後、前記補正データを算出することを特徴とするプロジェクター。
【請求項9】
複数の色光を画像信号に基づいて変調して画像を投射するプロジェクターを調整するプロジェクター調整システムであって、
請求項1乃至6のいずれか記載のプロジェクターと、
前記プロジェクターの投射画像を調整する画像調整装置とを含み、
前記画像調整装置は、
少なくとも、前記光源部からの光の分光分布に対応した分光情報と前記光変調部の分光変調率に対応した分光情報とに基づいて前記補正データを算出する補正データ算出部を含むことを特徴とするプロジェクター調整システム。
【請求項10】
請求項9において、
前記補正データ算出部が、
所与の色空間上の色彩値に変換した後、前記補正データを算出することを特徴とするプロジェクター調整システム。
【請求項11】
光源部と、
前記光源部からの光を画像信号に基づいて変調する光変調部とを含むプロジェクターを調整するプロジェクター調整方法であって、
少なくとも、前記光源部からの光の分光分布に対応した分光情報と前記光変調部の分光変調率に対応した分光情報とに基づいて補正データを算出する補正データ算出ステップと、
前記補正データ算出ステップにおいて算出された前記補正データに基づいて前記画像信号を補正する画像信号補正ステップとを含むことを特徴とするプロジェクター調整方法。
【請求項12】
光源部と、
前記光源部からの光を複数の色光に分離する色分離部と、
色光毎に設けられ、各色光を画像信号に基づいて変調する複数の光変調部とを含むプロジェクターを調整するプロジェクター調整方法であって、
前記光源部からの光の分光分布に対応した分光情報、前記色分離部の分光変調率に対応した分光情報、及び前記複数の光変調部の分光変調率に対応した分光情報に基づいて補正データを算出する補正データ算出ステップと、
前記補正データ算出ステップにおいて算出された前記補正データに基づいて前記画像信号を補正する画像信号補正ステップとを含むことを特徴とするプロジェクター調整方法。
【請求項13】
請求項11又は12において、
前記補正データ算出ステップが、
所与の色空間上の色彩値に変換した後、前記補正データを算出することを特徴とするプロジェクター調整方法。
【請求項14】
複数の色光を画像信号に基づいて変調して画像を投射するプロジェクターに搭載される光源装置であって、
前記複数の色光を含む光を発生する光源と、
前記光源からの光の分光分布に対応した分光情報を記憶する光源情報記憶部とを含み、
前記分光情報が、読み出し可能に構成されることを特徴とする光源装置。
【請求項15】
複数の色光を画像信号に基づいて変調して画像を投射するプロジェクターに搭載される色分離装置であって、
光源からの光を前記複数の色光に分離する色分離部と、
前記色分離部の分光変調率に対応した分光情報を記憶する色分離情報記憶部とを含み、
前記分光情報が、読み出し可能に構成されることを特徴とする色分離装置。
【請求項16】
複数の色光を画像信号に基づいて変調して画像を投射するプロジェクターに搭載される光変調装置であって、
前記画像信号に基づいて前記複数の色光の1つを変調する光変調部と、
前記光変調部の分光変調率に対応した分光情報を記憶する光変調情報記憶部とを含み、
前記分光情報が、読み出し可能に構成されることを特徴とする光変調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−230800(P2010−230800A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75935(P2009−75935)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】