説明

プロジェクタ

【課題】照明系および合成系の光路調整が容易に実施可能で、かつ高精細な画像を投射可能なプロジェクタを提供する。
【解決手段】プロジェクタは、R,G,Bの各色光を射出する光源装置、および各色光をP偏光光束およびS偏光光束に分離する3つの第一PBS130を含む上段と、光束を画像情報に応じて光変調する第二PBS160の光入射端面に固定された6つの光束透過型の液晶パネル150、光変調された光束の直線偏光光束を色光毎に合成するとともに、第一PBS130と平面視で重なる位置に設けられる3つの第二PBS160、第二PBS160から射出される各色光を色合成する第二クロスダイクロイックプリズム170、および合成された画像光を投射する投射光学系180を含む下段と、第一PBS130から液晶パネル150に光束を導く導光光学系140と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの光束を画像情報に応じて変調して投射するプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各色光を画像情報に応じて変調して投射するプロジェクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の投射型表示装置は、光源からの白色光をダイクロイックミラーにより赤色光(R)、緑色光(G)、青色光(B)に色分解する。そして、これらの分解された各色光を、偏光ビームスプリッタによりS偏光とP偏光とに分離する。また、偏光ビームスプリッタの各偏光光の射出面には、反射型空間光変調素子が固定されていて、分離された各偏光光はこの反射型空間光変調素子で光変調されて反射される。そして、反射された各偏光光のうち、光変調されて偏光方向が変化した光束は、偏光ビームスプリッタにより合成されてクロスダイクロイックプリズムに入射する。また、クロスダイクロイックプリズムで各色光が合成されて投射レンズから投射される。
【0003】
【特許文献1】特開平9−159988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、光変調素子に光束を入射させ、変調された光束を合成して投射させるプロジェクタでは、光変調素子に入射する照明系の光束の光路調整と、光変調素子から射出された後、精度よく結像させるための合成系の光束の光路調整とが必要となる。しかしながら、上記特許文献1のような投射型表示装置では、偏光ビームスプリッタの各偏光光束の射出面に反射型空間光変調素子が貼り付けられているため、照明系の光束の光路調整と、合成系の光束の光路調整とのうち、いずれか一方しか調整することができない。すなわち、高画質の画像を結像させるために、合成系の光路調整を実施すると、照明系の光路調整が実施できないため、照度ムラなどが生じるおそれがあり、照明系の光路調整を実施すると、結像のための調整が実施できず、画素ずれなどが生じるおそれがあるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みて、照明系および合成系の光路調整が容易に実施可能で、かつ高精細な画像を投射可能なプロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプロジェクタは、複数の色光を射出する光源装置と、複数の前記色光を、直線偏光方向の違いにより、それぞれ2つの直線偏光光束に分離する複数の偏光分離素子と、複数の前記直線偏光光束を画像情報に応じて光変調する複数の光束透過型の光変調素子と、前記偏光分離素子にて分離された各直線偏光光束を前記光変調素子に導く導光光学系と、複数の前記光変調装置で光変調された複数の前記直線偏光光束を、前記色光毎に合成する複数の偏光合成素子と、前記偏光合成素子で直線偏光光束が合成された各色光を合成して画像光を形成する色合成光学系と、前記画像光を投射する投射光学系と、を具備し、前記光源装置、および複数の前記偏光分離素子は、同一面上である第一段に配置され、複数の前記光変調素子、複数の前記偏光合成素子、前記色合成光学系、および前記投射光学系は、前記第一段に平行する面上である第二段に配置され、前記第二段に配置される前記偏光合成素子は、平面視において、前記第一段に配置される前記偏光分離素子と重なる位置に設けられることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、光源装置および複数の偏光分離素子が第一段に設けられ、この第一段と平行する第二段に複数の光変調素子、複数の偏光合成素子、および色合成光学系が設けられ、偏光分離素子および偏光合成素子が平面視において、重なる位置に設けられている。このような2段構成により各光学系を配置することにより、光源装置から射出される各色光の光路長を等しくすることができる。したがって、プロジェクタ内において特定色光の光量損失を抑えることができ、光源装置からの光束を効率的に利用することができる。よって、良好な色再現性を実現でき、高精度な画像光を投射光学系から射出させることができる。また、各色光の光路長を短く設定することができるため、各色光における光損失を抑えることができるとともに、プロジェクタの小型化をも促進できる。
【0008】
さらに、各偏光分離素子により分離された各色光の2種の直線偏光光束は、導光光学系により各色光の各直線偏光光束に対応した透過型の光変調素子に導かれ、この光変調素子を透過した後、偏光合成素子で各色光において2種の直線偏光光束が合成される。このような構成では、光変調素子に入射する光束を均一にする調整(照明系の調整)は、各色光に対応した複数の偏光分離素子や導光光学系の位置や配置角度を調整することで容易に実施可能となる。
一方、光変調素子を透過して光変調された各直線偏光光束は、偏光合成素子により合成され、さらに色合成光学系により色合成されて投射光学系から射出される。ここで、投射光学系から射出される画像光による光学像を精度よく結像させるためには、色合成光学系に入射する各色光の入射角などを調整する必要がある。これには、偏光合成素子の位置や角度を調整することで、光変調素子を透過した光を合成して結像させる合成系の調整を実施することが可能となる。
したがって、偏光分離素子、導光光学系、および偏光合成素子の位置や角度を調整することで、照明系および合成系の双方の調整を実施することができ、照明ムラなどがない良好な画像を結像させることができる。
【0009】
また、本発明のプロジェクタでは、前記第一段は、前記第二段の鉛直上側に設けられることが好ましい。
この発明によれば、光源装置が設けられる第一段が第二段の鉛直上方に設けられる。これにより、光源装置にて発生する熱を、他の光学系が設けられていない上方に逃がすことができる。したがって、例えば光変調素子などの光学部材の光源装置の熱による悪影響を抑えることができる。
【0010】
さらに、本発明のプロジェクタは、前記光源装置は、白色光を射出する光源と、前記白色光を複数の前記色光に分離する色分離光学素子と、を備え、前記色分離光学素子は、前記平面視において、前記色合成光学系と重なる位置に設けられることが好ましい。
この発明によれば、色分離光学系が、平面視において色合成光学系と重なる位置に設けられているため、各色光が分離された後、再び色合成光学系により合成されるまでの各色光の光路長を等しくすることができる。したがって、良好な色再現性を実現できるとともに、プロジェクタの小型化をより促進させることができる。また、単一の光源から白色光を射出させてこの白色光を色分離光学系で複数の色光に分離させるので、複数の色光に対応して複数の光源を設ける必要がなく、構成を簡単にできる。
【0011】
ここで、本発明のプロジェクタは、前記光源は、前記偏光分離素子の光入射端面に設けられるとともに、複数の偏光分離素子に対してそれぞれ異なる色光を射出する複数の固体光源である構成としてもよい。
この発明によれば、例えば各色光を射出するLED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)などの固体光源を、各色に対応する偏光分離素子の入射側端面に対向して設ける。これにより、白色光などの基本色の光束から複数の色光を分離させる必要がなく、容易に所望の色光を偏光分離素子に射出させることができる。
【0012】
そして、本発明のプロジェクタは、光束を射出する光源装置と、前記光源装置からの光束を直線偏光方向の違いにより分離する偏光分離素子と、前記分離された各直線偏光光束をそれぞれ複数の色光に分離する複数の色分離光学系と、前記色分離光学系により分離された各色光を画像情報に応じて光変調する複数の透過型の光変調素子と、前記色分離光学系にて分離された各色光を前記光変調素子に導く導光光学系と、前記光変調素子により光変調された各色光を色合成する複数の色合成光学系と、前記色合成光学系により色合成された各直線偏光光束を合成して、画像光を形成する偏光合成素子と、前記画像光を投射する投射光学系と、を具備し、前記光源装置、前記偏光分離素子、および複数の前記色分離光学系は、同一面上である第一段に配置され、複数の前記光変調素子、複数の前記色合成光学系、前記偏光合成素子、および投射光学系は、前記第一段に平行する面上である第二段に配置され、前記色分離光学系および前記色合成光学系は、平面視において重なる位置に設けられ、前記偏光分離素子および前記偏光合成素子は、平面視において重なる位置に設けられることを特徴とする。
この発明によれば、光源から射出されて偏光分離素子により分離される各直線偏光光束が偏光合成素子により合成されるまでの各光路長が等しく、直線偏光光束が色分離光学系により各色光に分離されて色合成光学系により再び合成されるまでの各光路長が等しくなるため、例えば特定色の色再現性が悪化するなどの不都合がない。また、各色光、各直線偏光光束の光路を短く設定できるため、光量損失を抑えることができる。したがって、高画質な画像を表示させることができる。さらに、各光学部品を各色光の光路長が短くなるように設定されるので、プロジェクタの小型化をも促進できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
〔第一の実施の形態〕
以下、本発明に係る第一の実施の形態のプロジェクタについて、図面に基づいて説明する。
【0014】
[プロジェクタの構成]
図1は、本発明に係る第一の実施の形態のプロジェクタの光学ユニットにおける上段の概略構成を示す図である。図2は、前記第一の実施の形態の光学ユニットにおける下段の概略構成を示す図である。図3は、前記第一の実施の形態の光学ユニットにおける青色光の光路に沿った各光学部品の構成を示す斜視図である。
【0015】
プロジェクタは、画像情報に応じた画像光を射出してスクリーンなどの画像投影面に画像を表示させる装置である。このプロジェクタは、内部に、図1ないし図3に示すような光学ユニット1を備えている。
この光学ユニット1は、光源装置を構成する光源ランプ110と、光源装置を構成する色分離光学素子としての第一クロスダイクロイックプリズム120と、3つの偏光分離素子としての第一PBS(Polarizing Beam Splitter)130と、導光光学系140と、6つの光変調装置としての液晶パネル150と、3つの偏光合成素子としての第二PBS160と、色合成光学系としての第二クロスダイクロイックプリズム170と、投射光学系180と、を備えている。
【0016】
ここで、図1に示すように、光源ランプ110、第一クロスダイクロイックプリズム120、および第一PBS130は、光学ユニット1の第一段である上段となる平面上に配置されている。また、図2に示すように、液晶パネル150、第二PBS160、第二クロスダイクロイックプリズム170、および投射光学系180は、光学ユニット1の第二段である下段となる平面上に配置されている。上段および下段の各光学部品が配置される平面は互いに平行であり、上段は下段の鉛直上側に配置される。そして、平面視において、第一クロスダイクロイックプリズム120は、第二クロスダイクロイックプリズム170と重なる位置に、第一PBS130は第二PBS160と重なる位置にそれぞれ配置されている。
【0017】
光源ランプ110は、白色光束を一定方向に揃えて第一クロスダイクロイックプリズム120に射出する。具体的には、光源ランプ110は、放射された白色光束を反射鏡111により反射させて、光源ランプ110の前方に集束光として射出させる。また、光源ランプ110の前方に平行化レンズなどを設け、光源ランプ110からの射出光束を平行化する構成などとしてもよい。
なお、図示は省略するが、光源ランプ110から射出された白色光束は、画面照度均一分布化光学系により、照明領域の画面照度を均一化された後、第一クロスダイクロイックプリズム120に入射する。
【0018】
第一クロスダイクロイックプリズム120は、光源ランプ110から入射した白色光を赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光に分離する。具体的には、第一クロスダイクロイックプリズム120は、4つの直角プリズムを張り合わせた平面視略正方形状に形成され、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、誘電体多層膜が形成されている。そして、略X字状の一方の誘電体多層膜は、赤色光を反射し、他方の誘電体多層膜は青色光を反射する。これらの誘電体多層膜により曲折された赤色光および青色光、および誘電体多層膜を透過した緑色光は、それぞれ第一クロスダイクロイックプリズムの射出側端面から射出して第一PBS130に入射する。
【0019】
第一PBS130は、第一クロスダイクロイックプリズム120の射出側端面に対向して、それぞれ第一クロスダイクロイックプリズム120の射出側端面からの距離が等しくなる位置に配置される。すなわち、第一クロスダイクロイックプリズム120の赤色光が射出される射出側端面に対向する所定距離の位置に第一PBS130Rが配置され、第一クロスダイクロイックプリズム120の緑色光が射出される射出側端面に対向する前記所定距離の位置に第一PBS130Gが配置され、第一クロスダイクロイックプリズム120の青色光が射出される射出側端面に対向する前記所定距離の位置に第一PBS130Bが配置される。
これらの第一PBS130は、各色光を直線偏光の違いにより分離する。具体的には、第一PBS130は、上段および下段を構成する平面(図1および図2における紙面と平行な面)に対して平行なP偏光光束と、前記平面に直交するS偏光光束と、に分離する。ここで、第一PBS130は、入射された光束のうち、P偏光光束を透過、S偏光光束を反射させて、それぞれの直線偏光光束を導光光学系140に向かって射出する。
【0020】
導光光学系140は、図1ないし図3に示すように、上段反射ミラー141(141RP,141RS,141GP,141GS,141BP,141BS)と、下段反射ミラー142(142RP,142RS,142GP,142GS,142BP,142BS)とを備えている。
【0021】
上段反射ミラー141RPは、赤色光に対応した第一PBS130RのP偏光光束の射出面に対向して設けられ、上段反射ミラー141RSは、第一PBS130RのS偏光光束の射出面に対向して設けられている。同様に、上段反射ミラー141GPは、緑色光に対応した第一PBS130GのP偏光光束の射出面に対向して設けられ、上段反射ミラー141GSは、第一PBS130GのS偏光光束の射出面に対向して設けられている。同様に、上段反射ミラー141BPは、青色光に対応した第一PBS130BのP偏光光束の射出面に対向して設けられ、上段反射ミラー141BSは、第一PBS130BのS偏光光束の射出面に対向して設けられている。
これらの上段反射ミラー141は、図3に示すように、上段を構成する前記平面に対して例えば45度傾斜した状態で配置され、第一PBS130から射出された各色の直線偏光光束を鉛直下側に向かって反射させる。
【0022】
また、下段反射ミラー142RPは、上段反射ミラー141RPの鉛直下側で、下段に配置される第二PBS160Rの一方の光入射端面に対向して設けられ、下段反射ミラー142RSは、上段反射ミラー141RSの鉛直下側で、第二PBS160Rの他方の光入射端面に対向して設けられている。同様に、下段反射ミラー142GPは、上段反射ミラー141GPの鉛直下側で、第二PBS160Gの一方の光入射端面に対向して設けられ、下段反射ミラー142GSは、上段反射ミラー141GSの鉛直下側で、第二PBS160Gの他方の光入射端面に対向して設けられている。同様に、下段反射ミラー142BPは、上段反射ミラー141BPの鉛直下側で、第二PBS160Bの一方の光入射端面に対向して設けられ、下段反射ミラー142BSは、上段反射ミラー141BSの鉛直下側で、第二PBS160Bの他方の光入射端面に対向して設けられている。
そして、これらの下段反射ミラー142は、下段を構成する前記平面に対して例えば45度傾斜した状態で配置され、上段反射ミラー141にて反射された各直線偏光光束をそれぞれ第二PBS160に向かって反射する。
また、各反射ミラー141,142は、それぞれ第一PBS130、第二PBS160から等距離となる位置に配置されている。これにより、第一PBS130から射出される各色光の各直線偏光光束は、同一光路長で各液晶パネル150に導かれる。
【0023】
液晶パネル150は、導光光学系140から入射した色光を第二PBS160側に透過し、液晶セルに封入された液晶により、透過した色光を画像情報に応じて光変調する。これらの液晶パネル150は、各第二PBS160の一対の光入射端面にそれぞれ貼り付け固定されている。
すなわち、赤色光の光路上に配置される第二PBS160RのP偏光光束が入射する光入射端面に赤色P偏光光束用の液晶パネル150RP、第二PBS160RのS偏光光束が入射する光入射端面に赤色S偏光光束用の液晶パネル150RSがそれぞれ貼り付け固定されている。同様に、緑色光の光路上に配置される第二PBS160GのP偏光光束が入射する光入射端面に緑色P偏光光束用の液晶パネル150GP、第二PBS160GのS偏光光束が入射する光入射端面に緑色S偏光光束用の液晶パネル150GSがそれぞれ貼り付け固定されている。同様に、青色光の光路上に配置される第二PBS160BのP偏光光束が入射する光入射端面に青色P偏光光束用の液晶パネル150BP、第二PBS160BのS偏光光束が入射する光入射端面に青色S偏光光束用の液晶パネル150BSがそれぞれ貼り付け固定されている。
【0024】
具体的には、各液晶パネル150は、第二PBS160との間に図示しない位相差板および図示しない射出側偏光板を介在した状態で、第二PBS160に貼り付けられて固定されている。また、各液晶パネル150は、それぞれ導光光学系140からの光入射面に図示しない入射側偏光板が貼り付けられて固定されている。
より具体的には、P偏光光束が入射する液晶パネル150RP,150GP,150BPは、P偏光光束のみを透過させる入射側偏光板と、P偏光光束のみを透過させる射出側偏光板とが貼り付けられて固定されている。これにより、液晶パネル150RP,150GP,150BPに入射したP偏光光束は、画像情報に応じた所定画素に対応する部分光束がS偏光光束に光変調され、さらに、位相差板により再びP偏光光束に偏光変換される。一方、液晶パネル150RP,150GP,150BPにより変換されなかったP偏光光束は、位相差板によりS偏光光束に偏光変換される。そして、位相差板によりP偏光光束に変換された光束のみが射出側偏光板を透過して第二PBS160に入射する。
一方、S偏光光束が入射する液晶パネル150RS,150GS,150BSは、S偏光光束のみを透過させる入射側偏光板と、S偏光光束のみを透過させる射出側偏光板とが貼り付けられて固定されている。これにより、液晶パネル150RS,150GS,150BSに入射したS偏光光束は、画像情報に応じて、所定画素に対応する部分光束がP偏光光束に光変調され、さらに、位相差板により再びS偏光光束に偏光変換される。一方、液晶パネル150RS,150GS,150BSにより変換されなかったS偏光光束は、位相差板によりP偏光光束に偏光変換される。そして、位相差板によりS偏光光束に変換された光束のみが射出側偏光板を透過して第二PBS160に入射する。
【0025】
第二PBS160は、前記したように、一対の光入射端面を備え、これらの光入射端面にそれぞれ各色に対応する液晶パネル150が貼り付け固定されている。そして、第二PBS160は、偏光分離膜を備え、この偏光分離膜によりS偏光光束をP偏光光束の光路上に反射させて各直線偏光光束を合成する。
具体的には、赤色光の各直線偏光光束が入射される第二PBS160Rは、赤色光のP偏光光束を透過させ、赤色光のS偏光光束を赤色光のP偏光光束の光進行方向に向かって反射させる。これにより、第二PBS160Rは、P偏光光束とS偏光光束が合成された赤色光を第二クロスダイクロイックプリズム170に向かって射出する。
同様に、緑色光の各直線偏光光束が入射される第二PBS160Gは、緑色光のP偏光光束を透過させ、緑色光のS偏光光束を緑色光のP偏光光束の光進行方向に向かって反射させる。これにより、第二PBS160Gは、P偏光光束とS偏光光束が合成された緑色光を第二クロスダイクロイックプリズム170に向かって射出する。
同様に、青色光の各直線偏光光束が入射される第二PBS160Bは、青色光のP偏光光束を透過させ、青色光のS偏光光束を青色光のP偏光光束の光進行方向に向かって反射させる。これにより、第二PBS160Bは、P偏光光束とS偏光光束が合成された青色光を第二クロスダイクロイックプリズム170に向かって射出する。
【0026】
第二クロスダイクロイックプリズム170は、各第二PBS160から入射する各色光の光学像を合成して、カラー画像を形成する。この第二クロスダイクロイックプリズム170は、第一クロスダイクロイックプリズム120と同様に、4つの直角プリズムを張り合わせた平面視略正方形状に形成され、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、誘電体多層膜が形成されている。そして、略X字状の一方の誘電体多層膜は、赤色光を反射し、他方の誘電体多層膜は青色光を反射する。これらの誘電体多層膜により曲折された赤色光および青色光は、緑色光の進行方向と揃えられることにより、3つの色光が合成される。
また、第二クロスダイクロイックプリズム170は、各光入射端面から対向する第二PBS160までの距離がそれぞれ同一距離となるように、配置されている。これにより、第一クロスダイクロイックプリズム120にて分離される各色光は、同一光路長で第二クロスダイクロイックプリズム170に入射して色合成される。
【0027】
投射光学系180は、第二クロスダイクロイックプリズム170により合成された画像光を拡大投射し、図示しないスクリーン上で画像を形成する。
【0028】
〔光路調整〕
上記のような、プロジェクタの光学ユニット1では、各液晶パネル150に入射する入射光の角度を調整することで、液晶パネル150の各液晶セルに入射する光量を均一にし、照明ムラを無くす処理をする(照明系の調整)。これには、各第一PBS130の角度や位置調整、導光光学系140の各反射ミラー141,142の角度や位置調整を実施し、液晶パネル150に入射する各色光を均一化する。
【0029】
また、各液晶パネル150から射出される各色光を同一光路軸に揃えて、投射光学系180から投射される画像光の結像状態を調整する(合成系の調整)。これには、第二クロスダイクロイックプリズム170にて合成される各色光の画像光が、画素単位で一致して同一光路に沿って射出されるように、各第二PBS160の角度や位置調整を実施する。
【0030】
〔プロジェクタの作用効果〕
上述したように、上記第一の実施の形態のプロジェクタでは、上段に配置される光源ランプ110および第一クロスダイクロイックプリズム120により、各色光を色毎に対応した第一PBS130R,130G,130Bに射出し、これらの第一PBS130R,130G,130BでP偏光光束とS偏光光束とに分離する。そして、これらのP偏光光束およびS偏光光束は、導光光学系140により下段に設けられる第二PBS160R,160G,160Bの光入射端面に設けられる各色光、各偏光方向に対応した液晶パネル150に導かれて光変調される。そして、平面視で第一PBS130R,130G,130Bと重なる位置に設けられる第二PBS160R,160G,160Bにより各色光のP偏光光束およびS偏光光束とが合成され、さらに、第二クロスダイクロイックプリズム170によりこれらの直線偏光光束が合成された各色光が合成されてカラー画像の画像光が形成される。
このため、第一クロスダイクロイックプリズム120にて分離される各色光が第二クロスダイクロイックプリズム170にて再び色合成されるまでの各光路長は、同一距離となる。これにより、光路長の差による所定色の光量減少などの不都合を防止でき、良好な色再現性を実現でき、高精度な画像を表示させることができる。また、各色光の光路長を短くすることができるため、光量損失が抑えられ、光源ランプ110からの光束を有効に利用することができ、光学ユニット1およびプロジェクタの小型化にも貢献できる。
さらには、液晶パネル150は光束透過型であり、導光光学系140から入射した光束を光変調して第二PBS160側に射出する。したがって、各第一PBS130や導光光学系140の各反射ミラー141,142の角度や位置を調整することにより、容易に照明系の調整を実施することができ、液晶パネル150に入射する光束を均一化して照明ムラなどの不都合を回避できる。また、各液晶パネル150を透過した光束は、第二PBS160の角度や位置を調整することで、容易に第二クロスダイクロイックプリズム170にて合成される画像の調整(合成系の調整)を実施することができ、良好な結像状態を実現することができる。すなわち、照明系の調整と合成系の調整との双方の調整を実施することができるため、より良好な画質の画像光を投射光学系180から投射させることができ、高精度な画像を表示させることができる。
【0031】
また、上段に光源ランプ110が設けられているため、光源ランプ110で発生した熱を上方に逃がすことで、下段に設けられる液晶パネル150などの光学部品に影響を与えず、プロジェクタを冷却するための冷却ファンなどの駆動電力をも抑えることができる。
【0032】
また、光源ランプ110から射出される白色光を、平面視において第二クロスダイクロイックプリズム170と重なる位置で上段に設けられる第一クロスダイクロイックプリズム120でR,G,Bの各色光に分離し、各第一PBS130に入射させている。このため、光源として単一色のみを発色させる光源ランプ110を用いた場合でも、各色光の光路長を略同一にすることができ、良好な色再現性の画像を表示させることができる。また、光源として白色光のみを射出する光源ランプ110を1つ用いるのみの構成であるため、構成を簡単にでき、光学ユニット1の小型化およびコストダウンに貢献できる。
【0033】
また、導光光学系140は、上段反射ミラー141により各直線偏光光束を下段に反射させ、下段反射ミラー142により各液晶パネル150に前記各直線偏光光束を反射させる。すなわち、導光光学系140としては、複数の反射ミラーを用い、容易に光を導くことができる。したがって、プリズムなどの高価な光学部品が不要であり、プロジェクタのコストダウンに貢献できる。
【0034】
〔第二の実施の形態〕
次に、本発明の第二の実施の形態のプロジェクタについて、図面に基づいて説明する。
図4は、本発明に係る第二の実施の形態のプロジェクタにおける光学ユニットの上段の構成を示す図である。なお、以降の図において第一の実施の形態と同様の構成については、同符号を付し、その説明を省略または簡略する。
【0035】
前記第一の実施の形態では、光源装置として、光源ランプ110および第一クロスダイクロイックプリズム120を用いる例を示したが、第二の実施の形態では、図4に示すように、光源装置として、固体光源としてのLD(Laser Diode)基板112を用いる。具体的には、赤色レーザ光を射出するLD基板112Rと、緑色レーザ光を射出するLD基板112Gと、青色レーザ光Bを射出するLD基板112Bとを用いる。
【0036】
LD基板112Rは、赤色レーザ光を射出する赤色半導体レーザがプロジェクタの表示解像度に対応してマトリクス状に基板上に配置され、第一PBS130Rの光入射端面に貼り付けて固定、または光入射端面に平行に配置される。同様に、LD基板112Gは、緑色レーザ光を射出する緑色半導体レーザがプロジェクタの表示解像度に対応してマトリクス状に配列され、第一PBS130Gの光入射端面に貼り付けて固定、または光入射端面に平行に配置される。同様に、LD基板112Bは、青色レーザ光を射出する青色半導体レーザがプロジェクタの表示解像度に対応してマトリクス状に配置され、第一PBS130Bの光入射端面に貼り付けて固定、または光入射端面に平行に配置される。これらのLD基板112に配置される各半導体レーザは、径偏光レーザダイオードであり、円偏光レーザ光を射出する。
【0037】
これらのLD基板112から射出されるレーザ光は、前記第一の実施の形態における第一クロスダイクロイックプリズム120により分離された各色光と同様の光路に沿って射出される。すなわち、各色レーザ光は、各色に対応した第一PBS130により、P偏光光束とS偏光光束とに分離される。そして、各色レーザ光の各直線偏光光束は、第一の実施の形態と同様に、導光光学系140により下段に設けられる各色および各直線偏光に対応した液晶パネル150を透過して、画像情報に応じて光変調され、第二PBS160に入射する。そして、第二PBS160により各色レーザ光のP偏光光束とS偏光光束とが合成され、合成された各色レーザ光が第二クロスダイクロイックプリズム170に入射する。この後、第二クロスダイクロイックプリズム170で各色レーザ光が合成されてカラー画像の画像光を形成し、投射光学系180から投射される。
【0038】
〔第二の実施の形態のプロジェクタの作用効果〕
上述したように、上記第二の実施の形態のプロジェクタの光学ユニット1Aでは、光源装置として、固体光源である半導体レーザが配置されるLD基板112が用いられる。そして、各LD基板112から射出されるレーザ光は、各第一PBS130の入射側端面に入射し、導光光学系140により下段に導かれた後、各色、各直線偏光方向に対応する液晶パネル150を透過し、各第二PBS160および第二クロスダイクロイックプリズム170を経て投射光学系180から投射される。
このため、第一クロスダイクロイックプリズム120が不要となるため、光学ユニット1の構成をより簡単にでき、プロジェクタの小型化により貢献することができる。
【0039】
また、固体光源として、平行光であるレーザ光を射出する半導体レーザがマトリクス状に配置されるLD基板112を用いるため、射出された光を平行化する平行化レンズなどが不要となり、射出される光を部分光束にするための均一照明光学系などをも不要にできる。したがって、光学ユニット1の構成をより簡単にすることができる。
【0040】
〔他の実施の形態〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0041】
例えば、上記第一の実施の形態において、第一クロスダイクロイックプリズム120と第二クロスダイクロイックプリズム170とを別体としたが、上段および下段に跨って長手となる1つのクロスダイクロイックプリズムを用いてもよい。このようなクロスダイクロイックプリズムでは、上段において、光源ランプ110から射出される白色光を各色光に分離し、下段において、第二PBS160R,160G,160Bから射出される各色光を合成する。この構成では、長手状の4つの直角プリズムを張り合わせることで、容易に上記クロスダイクロイックプリズムを形成することができ、製造コストを低減させることができる。
【0042】
また、第二の実施の形態において、固体光源として半導体レーザがマトリクス状に配設されるLD基板112を用いる例を示したが、これに限定されない。例えば、固体光源としては、LEDを用いてもよい。
【0043】
また、上段に光源装置および各第一PBS130、下段に各液晶パネル150、各第二PBS160、第二クロスダイクロイックプリズム170、および投射光学系180が配置される例を示したが、これに限定されない。例えば、上段に各液晶パネル150、各第二PBS160、第二クロスダイクロイックプリズム170、および投射光学系180、下段に光源装置および各第一PBS130が配置される構成としてもよい。この場合、光源ランプ110からの熱を冷却する冷却機構を別途設けることで、他の光学部品の熱に影響を抑えることができる。
【0044】
さらに、上記第一および第二の実施の形態では、光源装置から射出される各色光を、P偏光光束とS偏光光束とに分離し、これらP偏光光束およびS偏光光束を導光光学系140により下段に導いた後、各液晶パネル150により光変調させる。そして、光変調された各直線偏光光束を第二PBS160で合成した後、第二クロスダイクロイックプリズム170で色合成する構成としたが、これに限定されない。
例えば、図5および図6に示す構成としてもよい。図5は、他の実施の形態におけるプロジェクタの光学ユニットにおいて、上段の構成を示す図である。図6は、図5に示されるプロジェクタにおいて、下段の構成を示す図である。
この光学ユニット1Bでは、上段には、図5に示すように、光源装置としての光源ランプ110と、偏光分離素子としての上段PBS220と、2つの色分離光学系としての上段クロスダイクロイックプリズム230とが設けられている。また、下段には、図6に示すように、2つの色合成光学系としての下段クロスダイクロイックプリズム260と、下段クロスダイクロイックプリズム260の光入射面に設けられる液晶パネル150と、偏光合成素子としての下段PBS270と、を備えている。ここで、上段PBS220と下段PBS270とは、平面視において、重なる位置に配置されている。同様に、上段クロスダイクロイックプリズム230および下段クロスダイクロイックプリズム260は、平面視において重なる位置に配置されている。また、上段および下段の間には、上段クロスダイクロイックプリズム230から射出される各色光を、下段クロスダイクロイックプリズム260の光入射端面に設けられる各液晶パネル150に導く導光光学系140Aが設けられている。なお、上段PBS220と下段PBS270とは、一体形成されていてもよい。
【0045】
上段PBS220は、光源ランプ110から射出される白色光を、P偏光光束とS偏光光束とに分離する。
上段クロスダイクロイックプリズム230は、光入射端面が、上段PBS220の光射出面に対向するように配置されている。具体的には、上段PBS220のP偏光光束の光射出面に対向して、上段クロスダイクロイックプリズム230Pが配置され、S偏光光束の光射出面に対向して、上段クロスダイクロイックプリズム230Sが配置される。上段クロスダイクロイックプリズム230Pは、P偏光光束の白色光を赤色、緑色、青色の3色に分離する。すなわち、上段クロスダイクロイックプリズム230Pは、緑色光を透過させ、赤色光をX字状に配置される誘電多層膜のうち一方で反射させ、青色光をX字状に配置される誘電多層膜のうち他方で反射させる。上段クロスダイクロイックプリズム230Sも同様に、入射したS偏光光束を、赤色、緑色、青色の3つの色光に分離し、それぞれ異なる方向に射出する。
【0046】
導光光学系140Aは、上段反射ミラー143(143RP,143GP,143BP,143RS,143GS,143BS)と、下段反射ミラー144(144RP,144GP,144BP,144RS,144GS,144BS)とを備えている。
上段反射ミラー143RP,143GP,143BPは、それぞれ上段クロスダイクロイックプリズム230Pの赤色光の射出面、緑色光の射出面、青色面の射出面に対向して設けられている。同様に、上段反射ミラー143RS,143GS,143BSは、それぞれ上段クロスダイクロイックプリズム230Sの赤色光の射出面、緑色光の射出面、青色面の射出面に対向して設けられている。これらの上段反射ミラー143は、上段を構成する前記平面に対して例えば45度傾斜した状態で配置され、上段クロスダイクロイックプリズム230から射出された各色の直線偏光光束を鉛直下側に向かって反射させる。
また、下段反射ミラー144RP,144GP,144BPは、それぞれ上段反射ミラー143RP,143GP,143BPの鉛直下側で、下段に配置される下段クロスダイクロイックプリズム260Pの光入射端面に対向して設けられている。同様に、下段反射ミラー144RS,144GS,144BSは、それぞれ上段反射ミラー143RS,143GS,143BSの鉛直下側で、下段に配置される下段クロスダイクロイックプリズム260Sの光入射端面に対向して設けられている。これらの下段反射ミラー144は、下段を構成する前記平面に対して例えば45度傾斜した状態で配置され、上段反射ミラー143にて反射された各色の各直線偏光光束をそれぞれ下段クロスダイクロイックプリズム260に向かって反射する。
【0047】
液晶パネル150は、導光光学系140から入射した色光を下段クロスダイクロイックプリズム260側に透過し、液晶セルに封入された液晶により、透過した色光を画像情報に応じて光変調する。これらの液晶パネル150は、各下段クロスダイクロイックプリズム260の3つの光入射端面にそれぞれ貼り付け固定されている。すなわち、P偏光光束の光路上に配置される下段クロスダイクロイックプリズム260Pにおいて、赤色光が入射する光入射端面には、赤色P偏光光束用の液晶パネル150RP、緑色光が入射する光入射端面には、緑色P偏光光束用の液晶パネル150GP、青色光が入射する光入射端面には、青色P偏光光束用の液晶パネル150BPが貼り付け固定されている。
同様に、S偏光光束の光路上に配置される下段クロスダイクロイックプリズム260Sにおいて、赤色光が入射する光入射端面には、赤色S偏光光束用の液晶パネル150RS、緑色光が入射する光入射端面には、緑色S偏光光束用の液晶パネル150GS、青色光が入射する光入射端面には、青色S偏光光束用の液晶パネル150BSが貼り付け固定されている。
また、各液晶パネル150は、下段クロスダイクロイックプリズム260との間に図示しない位相差板および図示しない射出側偏光板を介在した状態で、下段クロスダイクロイックプリズム260の光入射端面に貼り付けられて固定されている。さらに、各液晶パネル150は、それぞれ導光光学系140からの光入射面に図示しない入射側偏光板が貼り付けられて固定されている。ここで、P偏光光束が入射する液晶パネル150RP,150GP,150BPは、P偏光光束のみを透過させる入射側偏光板と、P偏光光束のみを透過させる射出側偏光板とが貼り付けられて固定されている。一方、S偏光光束が入射する液晶パネル150RS,150GS,150BSは、S偏光光束のみを透過させる入射側偏光板と、S偏光光束のみを透過させる射出側偏光板とが貼り付けられて固定されている。
【0048】
下段クロスダイクロイックプリズム260は、前記したように、3つの光入射端面を備え、これらの光入射端面にそれぞれ各色、各直線偏光に対応する液晶パネル150が貼り付け固定されている。そして、下段クロスダイクロイックプリズム260は、X字状に配置される一対の誘電多層膜を備え、この誘電多層膜のうち一方で赤色光を反射させ、他方で青色光を反射させ、緑色光を透過させる。これにより、赤色、緑色、青色の3色光を緑色光の光路上で合成する。具体的には、P偏光光束の各色光が入射される下段クロスダイクロイックプリズム260Pは、入射されるP偏光光束の各色光を合成して、P偏光光束のカラー画像の画像光を射出する。また、S偏光光束の各色光が入射される下段クロスダイクロイックプリズム260Sは、入射されるS偏光光束の各色光を合成して、S偏光光束のカラー画像の画像光を射出する。
【0049】
下段PBS270は、各下段クロスダイクロイックプリズム260から入射する各直線偏光光束を合成して、カラー画像の画像光を形成する。
投射光学系180は、下段PBS270により合成された画像光を拡大投射し、図示しないスクリーン上で画像を形成する。
【0050】
上記のような構成の光学ユニット1Bでも、上記第一および第二の実施の形態と同様に、各色光、各直線偏光光束の光路長を等しくできるため、良好な色再現性を実現できる。また、光量の損失も少なくできるため、光源ランプ110からの光束を効率的に利用でき、省エネルギー化にも貢献でき、プロジェクタの小型化にも貢献できる。
さらに、上段クロスダイクロイックプリズム230や導光光学系140Aの各反射ミラー143,144を調整することにより、照明系の調整を実施できる。一方、下段クロスダイクロイックプリズム260を調整することにより、各液晶パネル150から射出される光束を良好に結像させるための合成系の調整も実施できる。したがって、照明系および合成系の双方の調整を実施できるため、照明ムラがない良好な結像状態の画像を表示させることができる。
【0051】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る第一の実施の形態のプロジェクタの光学ユニットにおける上段の概略構成を示す図である。
【図2】前記第一の実施の形態の光学ユニットにおける下段の概略構成を示す図である。
【図3】前記第一の実施の形態の光学ユニットにおける青色光の光路に沿った各光学部品の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る第二の実施の形態のプロジェクタにおける光学ユニットの上段の構成を示す図である。
【図5】本発明に係る他の実施の形態のプロジェクタの光学ユニットにおける上段の概略構成を示す図である。
【図6】図5に示されるプロジェクタの光学ユニットにおける下段の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
110…光源装置を構成する光源ランプ、112…光源装置を構成する固体光源としてのLD基板、120…光源装置を構成する色分離光学系としての第一クロスダイクロイックプリズム、130…偏光分離素子としての第一PBS、140,140A…導光光学系、150…光変調素子としての液晶パネル、160…偏光合成素子としての第二PBS、170…色合成光学系としての第二クロスダイクロイックプリズム、180…投射光学系。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色光を射出する光源装置と、
複数の前記色光を、直線偏光方向の違いにより、それぞれ2つの直線偏光光束に分離する複数の偏光分離素子と、
複数の前記直線偏光光束を画像情報に応じて光変調する複数の光束透過型の光変調素子と、
前記偏光分離素子にて分離された各直線偏光光束を前記光変調素子に導く導光光学系と、
複数の前記光変調装置で光変調された複数の前記直線偏光光束を、前記色光毎に合成する複数の偏光合成素子と、
前記偏光合成素子で直線偏光光束が合成された各色光を合成して画像光を形成する色合成光学系と、
前記画像光を投射する投射光学系と、を具備し、
前記光源装置、および複数の前記偏光分離素子は、同一面上である第一段に配置され、
複数の前記光変調素子、複数の前記偏光合成素子、前記色合成光学系、および前記投射光学系は、前記第一段に平行する面上である第二段に配置され、
前記第二段に配置される前記偏光合成素子は、平面視において、前記第一段に配置される前記偏光分離素子と重なる位置に設けられる
ことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
前記第一段は、前記第二段の鉛直上側に設けられる
ことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプロジェクタであって、
前記光源装置は、白色光を射出する光源と、前記白色光を複数の前記色光に分離する色分離光学素子と、を備え、
前記色分離光学素子は、前記平面視において、前記色合成光学系と重なる位置に設けられる
ことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のプロジェクタであって、
前記光源は、前記偏光分離素子の光入射端面に設けられるとともに、複数の偏光分離素子に対してそれぞれ異なる色光を射出する複数の固体光源である
ことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項5】
光束を射出する光源装置と、
前記光源装置からの光束を直線偏光方向の違いにより分離する偏光分離素子と、
前記分離された各直線偏光光束をそれぞれ複数の色光に分離する複数の色分離光学系と、
前記色分離光学系により分離された各色光を画像情報に応じて光変調する複数の透過型の光変調素子と、
前記色分離光学系にて分離された各色光を前記光変調素子に導く導光光学系と、
前記光変調素子により光変調された各色光を色合成する複数の色合成光学系と、
前記色合成光学系により色合成された各直線偏光光束を合成して、画像光を形成する偏光合成素子と、
前記画像光を投射する投射光学系と、を具備し、
前記光源装置、前記偏光分離素子、および複数の前記色分離光学系は、同一面上である第一段に配置され、
複数の前記光変調素子、複数の前記色合成光学系、前記偏光合成素子、および投射光学系は、前記第一段に平行する面上である第二段に配置され、
前記色分離光学系および前記色合成光学系は、平面視において重なる位置に設けられ、前記偏光分離素子および前記偏光合成素子は、平面視において重なる位置に設けられる
ことを特徴としたプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−175306(P2009−175306A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12299(P2008−12299)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】