説明

プロセスカートリッジ、及びこれを備えた画像形成装置

【課題】搬送時の振動等によって像担持体が帯電するのを簡易な方法で防止することができるプロセスカートリッジ、及びこれを備えた画像形成装置を得る。
【解決手段】保護カバー90の係合突起部94と像担持体16の被係合部16Cが係合しており、像担持体16の回転が阻止されるようになっている。これにより、プロセスカートリッジ14を搬送する際に、プロセスカートリッジ14へ入力される振動等により、像担持体16と帯電ロール18が従動回転し、像担持体16と帯電ロール18の当接部で剥離放電を起こし、像担持体16の表面が帯電してしまうのを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に装着されるプロセスカートリッジ、及びこのプロセスカートリッジを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像形成装置に装着されると共に、帯電ロール(帯電部材)や像担持体を備えたプロセスカートリッジが記載されている。
【0003】
このプロセスカートリッジには、工場で組み立て生産された未使用状態において、帯電ロール(帯電部材)と像担持体の表面を離間させるスペーサが設けられている。
【0004】
そして、プロセスカートリッジがユーザーへ渡り、画像形成装置へプロセスカートリッジを装着する前に、ユーザーはスペーサを取り外して画像形成が可能となるように帯電ロールを像担持体に圧接させてからプロセスカートリッジを画像形成装置に装着するようになっている。
【0005】
これにより、プロセスカートリッジを搬送する際に、プロセスカートリッジへ入力される振動等により、像担持体と帯電ロールが従動回転し、像担持体と帯電ロールの当接部で剥離放電が起こり、像担持体の表面が帯電してしまうのを防止している。
【0006】
このように、像担持体の表面の帯電を防止することで、プロセスカートリッジを画像形成装置に装着させた直後から濃度ムラの無い出力画像を得ることができるようになっている。
【特許文献1】特開平2−39169公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このプロセスカートリッジによると、専用のスペーサを設けなければならないため、高価なプロセスカートリッジとなっている。
【0008】
本発明は、上記事実を考慮し、搬送時の振動等によって像担持体が帯電するのを簡易な方法で防止することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係るプロセスカートリッジは、筐体に回転可能に支持される像担持体と、前記像担持体と従動回転して前記像担持体の表面を帯電させる帯電部材と、前記筐体に脱着可能に取り付けられ、露出した前記像担持体の表面を覆うと共に、前記像担持体の回転を阻止する回転阻止手段を備えた保護部材と、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、筐体には、像担持体が回転可能に支持されており、さらに、この像担持体と従動回転して像担持体の表面を帯電させる帯電部材が設けられている。
【0011】
また、筐体には、プロセスカートリッジが画像形成装置に装着されるまでの間、像担持体の表面を覆う保護部材が着脱可能に取り付けられている。この保護部材には、像担持体の回転を阻止する回転阻止手段が設けられている。そして、この回転阻止手段が、像担持体の回転を阻止するようになっている。
【0012】
このように、回転阻止手段によって、像担持体の回転を阻止することで、プロセスカートリッジを搬送する際に、プロセスカートリッジへ入力される振動等により、像担持体と帯電部材が従動回転し、像担持体と帯電部材の当接部で剥離放電を起こし、像担持体の表面が帯電することを防止できる。
【0013】
本発明の請求項2に係るプロセスカートリッジは、請求項1に記載において、前記保護部材に設けられた回転阻止手段は、凸状に設けられた係合突起部であって、前記像担持体には、前記係合突起部と係合する被係合部が形成されることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、保護部材に設けられた係合突起部が、像担持体に形成された被係合部と係合して、像担持体の回転が阻止される。
【0015】
保護部材が、樹脂の成形品である場合には、係合突起部を一体的に成形することで簡易な構成とすることができる。
【0016】
本発明の請求項3に係るプロセスカートリッジは、請求項2に記載において、前記被係合部は像担持体の端部に設けられると共に、外周に前記係合突起と噛合うギア歯が形成された駆動ギアであることを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、保護部材に設けられた係合突起部が、像担持体に設けられた駆動ギアのギア歯と噛み合って、像担持体の回転が阻止される。
【0018】
このように、駆動ギアのギア歯を利用することで、像担持体の形状を変えることなく像担持体の回転を阻止することができる。
【0019】
本発明の請求項4に係るプロセスカートリッジは、請求項1から3何れか1項に記載において、前記帯電部材の回転軸には、周方向に沿って突起部が設けられ、前記回転軸の軸受部材には、前記突起部を回転可能に保持する凹部が設けられることを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、帯電部材の回転軸には、周方向に沿って突起部が設けられ、この回転軸の軸受部材には、突起部を回転可能に保持する凹部が設けられている。
【0021】
これにより、搬送時の振動等によって帯電部材が帯電部材の回転軸方向へ移動するのを抑制することができ、さらに、帯電部材と擦れることで像担持体が帯電するのを防止することができる。
【0022】
本発明の請求項5に係るプロセスカートリッジは、請求項1から3何れか1項に記載において、前記帯電部材の回転軸には、環状溝部が設けられ、前記回転軸の軸受部材には、前記環状溝部を回転可能に保持する凸部が設けられることを特徴とする。
【0023】
上記構成によれば、帯電部材の回転軸には、環状溝部が設けられ、この回転軸の軸受部材には、環状溝部を回転可能に保持する凸部が設けられている。
【0024】
これにより、搬送時の振動等によって帯電部材が帯電部材の回転軸方向へ移動するのを抑制することができ、さらに、帯電部材と擦れることで像担持体が帯電するのを防止することができる。
【0025】
本発明の請求項6に係る画像形成装置は、請求項1から5何れか1項に記載されるプロセスカートリッジと、前記プロセスカートリッジに備えられた像担持体を露光する露光装置と、前記プロセスカートリッジを前記露光装置へ位置決めする位置決手段と、を備えることを特徴とする。
【0026】
上記構成によれば、請求項1から5何れか1項に記載されるプロセスカートリッジと露光装置は、位置決手段によって位置決めされている。このため、プロセスカートリッジ装着直後から濃度ムラのない出力画像を得ることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、搬送時の振動等によって像担持体が帯電するのを簡易な方法で防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の第1実施形態に係るプロセスカートリッジ14が採用された画像形成装置10の実施形態を図1〜図8に従って説明する。
【0029】
図4に示されるように、画像形成装置10には、4つの色(本実施形態では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のプロセスカートリッジ14が上下方向に配列されている。
【0030】
プロセスカートリッジ14は、画像形成装置10に着脱可能に設けられており、さらに、円柱状の像担持体16を有する像担持体カートリッジ62と、現像カートリッジ64とで構成されている。
【0031】
図3に示されるように、像担持体カートリッジ62は、像担持体16、像担持体16の周囲に配設されたクリーニング装置22、帯電部材としての帯電ロール18、帯電ロール18を清掃する清掃ロール20、除電ランプ24、及びクリーニング装置22の横方向に配設されたサブトナー補給ユニット66を備えている。
【0032】
また、画像形成装置10へプロセスカートリッジ14を装着する際に取り外されると共に、露出した像担持体16の表面を覆う保護部材としての保護カバー90が設けられている。
【0033】
なお、保護カバー90については詳細を後述する。
【0034】
また、画像形成装置10には、画像形成装置10へ取り付けられるプロセスカートリッジ14を後述する露光装置36へ位置決めする位置決手段(図示省略)が設けられている。
【0035】
さらに、現像カートリッジ64には、像担持体16上の静電潜像を現像剤Gでトナー画像へと現像する現像ロール76が、像担持体16に対向配置されている。また、現像ロール76の下方には、現像ロール76へ現像剤収納室68内に収納された現像剤Gを供給する第1攪拌搬送オーガー78及び第2攪拌搬送オーガー79が配設されている。
【0036】
これにより、第1攪拌搬送オーガー78及び第2攪拌搬送オーガー79から供給された現像剤Gが現像ロール76上に付着し、現像ロール76がこの現像剤Gを像担持体16と対向する位置まで搬送する。そして、像担持体16に形成された静電潜像が現像ロール76上の現像剤Gによってトナー画像として可視化される構成となっている。
【0037】
また、図4に示されるように、プロセスカートリッジ14は、用紙搬送経路34の上流側からイエロー色、マゼンタ色、シアン色、ブラック色の順に配設されており、プロセスカートリッジ14の側方には、プロセスカートリッジ14に走査光を照射する露光装置36が配設されている。
【0038】
露光装置36は、筐体38内に半導体レーザ(図示省略)、ポリゴンミラー40、結像レンズ44、及びミラー46が配設されており、半導体レーザからの光はポリゴンミラー40で偏向走査され、結像レンズ44とミラー46を介して像担持体16に照射される。これにより、像担持体16に、画像データに応じた静電潜像が形成されるようになっている。
【0039】
さらに、像担持体16に対して用紙搬送経路34を挟んで対向する位置には、搬送ユニット48が配設されている。搬送ユニット48は、画像形成装置10の側壁10Aに沿って設けられた一対の張架ロール51、52と、この張架ロール51、52に巻き掛けられた搬送ベルト53とで構成されている。また、張架ロール52は、図示しないモータによって回転され、搬送ベルト53が移動するようになっている。
【0040】
さらに、張架ロール51の近傍には、吸着ロール55が配設されており、この吸着ロール55に電圧が印加されることによって、搬送ベルト53にシート材Pが静電的に吸着されるようになっている。
【0041】
また、搬送ベルト53の裏面の、各色の像担持体16に対向する位置には、それぞれ転写ロール54が配設されており、転写ロール54と像担持体16で画像形成部74が構成されている。この画像形成部74で、像担持体16上のトナー画像が、搬送ベルト53によって搬送されるシート材Pに転写される。
【0042】
また、画像形成装置10の下部には、シート材Pが収納された給紙カセット26が設けられている。給紙カセット26の近傍には、シート材Pを所定のタイミングで送り出すシート材供給ロール28が設けられている。さらに、シート材供給ロール28によって給紙カセット26から送り出されたシート材Pを、用紙搬送経路34へ送り出す複数の搬送ロール30、及び位置合わせロール32が設けられている。
【0043】
また、用紙搬送経路34の下流には、各色の画像形成部74でトナー画像が転写されたシート材Pへトナー画像を定着させる定着装置56が設けられており、さらに、定着装置56の下流には、シート材Pを排出トレイ60へ排出させる排出ロール58が設けられている。
【0044】
さらに、搬送ユニット48のプロセスカートリッジ14と反対側には、定着装置56によって片面に画像が定着されたシート材Pの表裏を反転させた状態で再度画像形成部74へシート材Pを搬送する両面印刷用の反転搬送路50が設けられている。反転搬送路50には、反転させるシート材Pを搬送する複数の搬送ロール72が配設されており、シート材Pは、搬送ロール72によって反転搬送路50を搬送され、搬送装置70に備えられた位置合わせロール32によって所定のタイミングで画像形成部74に送り込まれる構成となっている。
【0045】
上記構成による画像形成装置10では、次のようにして画像が形成される。
【0046】
図4に示されるように、まず、電圧が印加された帯電ロール18は、像担持体16の表面を予定の帯電部電位で一様にマイナス帯電する。
【0047】
さらに、帯電された像担持体16上の画像部分が予定の露光部電位になるように露光装置36で露光を行ない静電潜像が形成される。
【0048】
すなわち、図示しない制御装置から供給される画像データに基づき、半導体レーザ(図示省略)をオン・オフして変調することによって画像に対応した潜像が像担持体16上に形成される。
【0049】
さらに、図3に示されるように、現像カートリッジ64の第1攪拌搬送オーガー78、及び第2攪拌搬送オーガー79によって攪拌搬送された現像剤Gが現像ロール76に供給され、現像剤Gは、現像ロール76の磁力によって現像ロール76上に吸着される。吸着された現像剤Gは、現像ロール76によって像担持体16と対向する位置まで搬送される。
【0050】
現像ロール76には各色毎に所定の現像バイアス電圧が電源装置(図示省略)から印加されており、像担持体16上の静電潜像は、現像ロール76の位置を通過する時に、現像剤Gのトナーが電気力によって付着しトナー画像として可視化される。
【0051】
そこで、図4に示される給紙カセット26に載置されたシート材Pがシート材供給ロール28によって、用紙搬送経路34に送りだされ、さらに、搬送ロール30及び搬送装置70に備えられた位置合わせロール32によって所定のタイミングで画像形成部74へ搬送され、像担持体16上のトナー画像がシート材Pに転写される。この転写されたトナー画像は定着装置56で定着され、トナー画像が定着されたシート材Pは、排出ロール58によって排出トレイ60へ排出される。
【0052】
さらに、シート材Pの両面に画像を形成させる場合には、定着装置56から排出されたシート材Pが搬送ロール72によって反転搬送路50に沿って搬送され、搬送装置70に備えられた位置合わせロール32によって所定のタイミングで画像形成部74に再度送り込まれる。これにより、シート材Pの表面に画像が形成されたのと同様にシート材Pの裏面に画像が形成され、シート材Pは排出ロール58によって排出トレイ60へ排出される。
【0053】
次に、プロセスカートリッジ14に設けられた保護カバー90について説明する。
【0054】
図1(A)に示されるように、画像形成装置10(図4参照)に装着する前のプロセスカートリッジ14の筐体92には、露出した像担持体16を覆う保護カバー90が設けられている。
【0055】
保護カバー90は、樹脂材料で一体的に形成され、保護カバー90の両端部には、矩形状の開口部90Aが設けられ、さらに、開口部90Aの上側には、L字状の引掛部90Bが設けられている。
【0056】
筐体92には、保護カバー90が筐体92に取り付けられた状態で、保護カバー90に形成された開口部90Aが挿通される突起部92Aと、保護カバー90の引掛部90Bが係合する凸状の凸部92Bが設けられている。また、保護カバー90は、ユーザーが保護カバー90を筐体92から取り外す際に把持する把持部90Cを備えている。
【0057】
図1(B)は、筐体92から、保護カバー90を取り外した状態を示すが、保護カバー90の裏面(像担持体16側の面)の端部には、直方体状の係合突起部94が設けられている。
【0058】
さらに、像担持体16の画像形成面部16Aと像担持体16の駆動ギア16Bの間には、保護カバー90が筐体92に取り付けられた状態で、保護カバー90の係合突起部94と係合する被係合部16Cが設けられている(図2参照)。
【0059】
つまり、プロセスカートリッジ14が工場で生産されて出荷され、ユーザーがプロセスカートリッジ14を画像形成装置10(図4参照)に取り付けるまでの間は、プロセスカートリッジ14に保護カバー90が取り付けられている。このため、保護カバー90の係合突起部94と像担持体16の被係合部16Cが係合しており、像担持体16の回転が阻止されるようになっている。これにより、プロセスカートリッジ14を搬送する際に、プロセスカートリッジ14へ入力される振動等により、像担持体16と帯電ロール18が従動回転し、像担持体16と帯電ロール18の当接部で剥離放電が起こり、像担持体16の表面が帯電してしまうのを防止できるようになっている。
【0060】
ここで、本出願の発明者は、工場出荷時のプロセスカートリッジを想定し、プロセスカートリッジの振動試験、及び落下試験を行った後、このプロセスカートリッジを使用して出力画像の濃度ムラを評価した。
【0061】
以下試験方法、及び評価基準について記載する。
【0062】
<評価品>
本第1実施形態に係る保護カバーの係合突起部を備えた3つのプロセスカートリッジを実施例1、実施例2、実施例3として評価した。一方、従来の2つのプロセスカートリッジを比較のため、従来例1、従来例2として評価した。
【0063】
<振動試験>
図6に示されるように、工場出荷時と同等となるように、プロセスカートリッジを梱包(出荷荷姿)して振動盤上に載置する。さらに、プロセスカートリッジが振動盤上で左右に移動しないように、直方形状のブロックで四方向の移動を規制する。
【0064】
この状態で、図5に示す振動条件でプロセスカートリッジを振動させる。
【0065】
詳細には、先ず、振動Aとして、加速度(6.9m/s)を一定とし、掃引割合を0.3Hz/sとして周波数3Hz〜100Hz〜3Hzとして10分間加振する。
【0066】
次に、振動Bとして、加速度(6.9m/s)を一定とし、予め求めていた共振周波数で20分間加振する。
【0067】
次に、振動CのモードAとして、周波数1Hz〜200Hzを所定のエネルギーで15分間加振する。
【0068】
さらに、振動CのモードBで15分間、振動CのモードCで15分間加振する。
【0069】
合計、プロセスカートリッジを1時間15分加振する。
【0070】
<落下試験>
前述した振動試験により加振されたプロセスカートリッジを使用し、落下試験を行う。
【0071】
図7に示されるように、面・角・稜を定義し、6面1角3稜を1mより自由落下させる。つまり、各6面を下方へ向けて6回自由落下させ、さらに、任意に決めた1つの角を下方へ向けて1回自由落下させ、また、任意に決めた3つ稜を夫々下方へ向けて3回自由落下させ、合計10回自由落下させる。
【0072】
<濃度ムラ評価試験>
前述した振動試験及び落下試験を終えたプロセスカートリッジを箱より取り出し、画像形成装置に取り付け、画像を出力させて画質評価を実施する。
【0073】
具体的には、画像形成装置(DocuPrintC2100:富士ゼロックス社製)にプロセスカートリッジを取り付け、雰囲気温度22℃、湿度55%RH環境下で30%濃度のハーフトーン画像をA4用紙(富士ゼロックス製P紙)に出力し、出力画像の1枚目、及び15枚目の濃度ムラを目視により評価する。
【0074】
図8の縦軸は、濃度ムラ発生グレードを示すが、数字が大きい程、濃度ムラが発生したことを示す。また、この濃度ムラ発生グレードが0〜3の間である場合は、画像品質として問題ないと判断される。
【0075】
<濃度ムラ評価結果>
図8に示されるように、本発明の実施品である実施例1、実施例2、実際例3については、プロセスカートリッジを画像形成装置に装着させた直後の1枚目から濃度ムラ発生グレードが2以下であるため、出力画像品質について問題ないと判断される。
【0076】
一方、従来例1、従来例2については、装着直後の1枚目、及び15枚目にいて濃度ムラ発生グレードが3より大きいため、出力画像品質について問題があることが分かる。
【0077】
このように、図1に示す保護カバー90に係合突起部94を設けることで、像担持体16の回転が阻止され、プロセスカートリッジ14を搬送する際に、プロセスカートリッジ14へ入力される振動等により、像担持体16と帯電ロール18が従動回転し、像担持体16と帯電ロール18の当接部で剥離放電が起こり、像担持体16の表面が帯電するのを防止することができる。
【0078】
また、像担持体16の帯電が防止されることで、濃度ムラ評価結果からも分かるように、プロセスカートリッジ14を画像形成装置10に装着させた直後から濃度ムラの無い出力画像を得ることができる。
【0079】
次に本発明の第2実施形態に係るプロセスカートリッジ100が採用された画像形成装置10について図9、図10に従って説明する。
【0080】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0081】
この実施形態では第1実施形態とは違い、保護カバー102の裏面には、2つの係合突起部104、106が設けられている。
【0082】
詳細には、図9(B)に示されるように、保護カバー102の裏面(像担持体16側の面)の両端部には、直方体状の係合突起部104と係合突起部106が設けられている。
【0083】
像担持体16の駆動ギア16B側に設けられた係合突起部104は、第1実施形態と同様に、被係合部16Cと係合するようになっている。
【0084】
さらに、像担持体16の被係合部16Cに対して反対側には、被係合部16Cと同様形状の被係合部16Dが設けられており、係合突起部106は、保護カバー102が筐体92に取り付けられた状態で、像担持体16の被係合部16Dと係合するようになっている(図10参照)。
【0085】
このように、2つの係合突起部104、106によって、像担持体16の回転を阻止できるようになっている。
【0086】
次に本発明の第3実施形態に係るプロセスカートリッジ110が採用された画像形成装置10について図11〜図13に従って説明する。
【0087】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0088】
この実施形態では第1実施形態とは違い、保護カバー112の裏面に設けられた係合突起部114は、像担持体16の駆動ギア16Bと噛み合うようになっている。
【0089】
詳細には、図11(B)に示されるように、保護カバー112の裏面(像担持体16側の面)の端部には、凸状の係合突起部114が設けられており、この係合突起部114の頂面は、駆動ギア16Bのギア歯と噛み合うように凹凸形状とされている(図12参照)。
【0090】
このように、係合突起部114を駆動ギア16Bへ噛み合わせることで、像担持体16に新たに被係合部を設けることなく、像担持体16の回転を阻止できるようになっている。
【0091】
ここで、本出願の発明者は、工場出荷時のプロセスカートリッジを想定し、プロセスカートリッジの振動試験、及び落下試験を行いを行った後にこのプロセスカートリッジを使用して出力画像の濃度ムラを評価した。
【0092】
なお、試験方法、及び評価基準については第1実施形態と同一である。以下評価品、及び濃度ムラ評価結果について示す。
【0093】
<評価品>
本第2実施形態に係る保護カバーの係合突起部を備えた2つのプロセスカートリッジを実施例1、実施例2として評価した。一方、従来のプロセスカートリッジを比較のため、従来例1として評価した。
【0094】
<濃度ムラ評価結果>
図13に示されるように、本発明の実施品である実施例1、実施例2については、プロセスカートリッジを画像形成装置に装着させ、装着直後の1枚目から濃度ムラ発生グレードが2以下であるため、出力画像品質について問題がないと判断される。
【0095】
次に本発明の第4実施形態に係るプロセスカートリッジ120が採用された画像形成装置10について図14、図15に従って説明する。
【0096】
なお、第3実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0097】
この実施形態では第3実施形態とは違い、保護カバー122の裏面には、2つの係合突起部124、126が設けられている。
【0098】
詳細には、図14(B)に示されるように、保護カバー122の裏面(像担持体16側の面)の両端部には、凸状の係合突起部124と係合突起部126が設けられている。
【0099】
像担持体16の駆動ギア16B側に設けられた係合突起部124は、第3実施形態と同様に、駆動ギア16Bと噛み合うようになっている。
【0100】
さらに、像担持体16の駆動ギア16Bの反対側には、駆動ギア16Bと同様形状のギア16Eが設けられており、係合突起部126は、保護カバー122が筐体92に取り付けられた状態で、像担持体16のギア16Eと噛み合うようになっている(図15参照)。
【0101】
このように、2つの係合突起部124、126によって、像担持体16の回転を阻止できるようになっている。
【0102】
次に本発明の第5実施形態に係るプロセスカートリッジ130が採用された画像形成装置10について図16、図17に従って説明する。
【0103】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0104】
この実施形態では第1実施形態とは違い、保護カバー132の裏面に設けられた係合突起部134は、直方体状とされておらず、プロセスカートリッジ130の幅方向から見て略三角形状とされている。
【0105】
また、像担持体16の画像形成面部16Aと駆動ギア16Bの間には、保護カバー132が筐体92に取り付けられた状態で、係合突起部134と係合する凹状の被係合部16Fが設けられている(図17参照)。
【0106】
このように、略三角形状の係合突起部134を凹状の被係合部16Fに係合させることで像担持体16の回転を阻止できるようになっている。
【0107】
次に本発明の第5実施形態に係るプロセスカートリッジ140が採用された画像形成装置10について図18に従って説明する。
【0108】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0109】
この実施形態では第1実施形態とは違い、帯電ロール18の軸部材142には、環状溝部144が設けられている。
【0110】
さらに、軸部材142を受ける軸受部材146には、環状溝部144を回転可能に保持する凸部146Aが環状溝部144を挟むように設けられている。
【0111】
これにより、プロセスカートリッジ140を搬送する際に、プロセスカートリッジへ入力される振動等により、帯電ロール18が回転軸方向へ移動するのを抑制することができ、さらに、帯電ロール18と擦れることで像担持体16が帯電するのを防止することができる。
【0112】
次に本発明の第6実施形態に係るプロセスカートリッジ150が採用された画像形成装置10について図19に従って説明する。
【0113】
なお、第5実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0114】
この実施形態では第5実施形態のように、帯電ロール18の軸部材142には、環状溝部が設けられておらず、これに替えて、周方向に突起部156が設けられた円筒状の円筒部材152が固定されている。
【0115】
さらに、軸部材142を受ける軸受部材154には、突起部156を回転可能に保持する凹部154Aが設けられている。
【0116】
これにより、プロセスカートリッジ150を搬送する際に、プロセスカートリッジ150へ入力される振動等により、帯電ロール18が回転軸方向へ移動するのを抑制することができ、さらに、帯電ロール18と擦れることで像担持体16が帯電するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】(A)(B)本発明の第1実施形態に係るプロセスカートリッジを示した斜視図である。
【図2】(A)(B)本発明の第1実施形態に係るプロセスカートリッジに設けられた像担持体、及び保護カバーを示した平面図、側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るプロセスカートリッジを示した断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るプロセスカートリッジが採用された画像形成装置の概略構成図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るプロセスカートリッジの振動試験の試験条件を示した図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るプロセスカートリッジの振動試験の試験状態を示した斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係るプロセスカートリッジの落下試験を説明する説明図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係るプロセスカートリッジの評価結果を示した図である。
【図9】(A)(B)本発明の第2実施形態に係るプロセスカートリッジを示した斜視図である。
【図10】(A)(B)(C)本発明の第2実施形態に係るプロセスカートリッジに設けられた像担持体、及び保護カバーを示した平面図、側面図である。
【図11】(A)(B)本発明の第3実施形態に係るプロセスカートリッジを示した斜視図である。
【図12】(A)(B)本発明の第3実施形態に係るプロセスカートリッジに設けられた像担持体、及び保護カバーを示した平面図、側面図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係るプロセスカートリッジの評価結果を示した図である。
【図14】(A)(B)本発明の第4実施形態に係るプロセスカートリッジを示した斜視図である。
【図15】(A)(B)(C)本発明の第4実施形態に係るプロセスカートリッジに設けられた像担持体、及び保護カバーを示した平面図、側面図である。
【図16】(A)(B)本発明の第5実施形態に係るプロセスカートリッジを示した斜視図である。
【図17】(A)(B)本発明の第5実施形態に係るプロセスカートリッジに設けられた像担持体、及び保護カバーを示した平面図、側面図である。
【図18】(A)(B)本発明の第6実施形態に係るプロセスカートリッジに採用された帯電ロールを示した斜視図、及び分解斜視図である。
【図19】(A)(B)本発明の第7実施形態に係るプロセスカートリッジに採用された帯電ロールを示した斜視図、及び分解斜視図である。
【符号の説明】
【0118】
10 画像形成装置
14 プロセスカートリッジ
16 像担持体
16B 駆動ギア(被係合部)
16C 被係合部
16D 被係合部
16E ギア(被係合部)
16F 被係合部
18 帯電ロール(帯電部材)
36 露光装置
90 保護カバー(保護部材)
92 筐体
94 係合突起部
100 プロセスカートリッジ
102 保護カバー(保護部材)
104 係合突起部
106 係合突起部
110 プロセスカートリッジ
112 保護カバー(保護部材)
114 係合突起部
120 プロセスカートリッジ
122 保護カバー(保護部材)
124 係合突起部
126 係合突起部
130 プロセスカートリッジ
132 保護カバー(保護部材)
134 係合突起部
140 プロセスカートリッジ
142 軸部材(回転軸)
144 環状溝部
146 軸受部材
146A 凸部
150 プロセスカートリッジ
154 軸受部材
154A 凹部
156 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に回転可能に支持される像担持体と、
前記像担持体と従動回転して前記像担持体の表面を帯電させる帯電部材と、
前記筐体に脱着可能に取り付けられ、露出した前記像担持体の表面を覆うと共に、前記像担持体の回転を阻止する回転阻止手段を備えた保護部材と、
を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記保護部材に設けられた回転阻止手段は、凸状に設けられた係合突起部であって、前記像担持体には、前記係合突起部と係合する被係合部が形成されることを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記被係合部は像担持体の端部に設けられると共に、外周に前記係合突起と噛合うギア歯が形成された駆動ギアであることを特徴とする請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記帯電部材の回転軸には、周方向に沿って突起部が設けられ、前記回転軸の軸受部材には、前記突起部を回転可能に保持する凹部が設けられることを特徴とする請求項1から3何れか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記帯電部材の回転軸には、環状溝部が設けられ、前記回転軸の軸受部材には、前記環状溝部を回転可能に保持する凸部が設けられることを特徴とする請求項1から3何れか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
請求項1から5何れか1項に記載されるプロセスカートリッジと、
前記プロセスカートリッジに備えられた像担持体を露光する露光装置と、
前記プロセスカートリッジを前記露光装置へ位置決めする位置決手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−63923(P2009−63923A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−233184(P2007−233184)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】