説明

プロセスカートリッジ、画像形成装置

【課題】端部部材と軸受けとの間に潤滑剤を必要としない画像形成装置を提供する。
【解決手段】円筒形の感光体ドラムと、前記感光体ドラムの端部に装着され摺動面となる外周面を有する筒状体を備えた部材と、前記摺動面と対向する内周面を規定する孔を有し前記部材の前記筒状体を前記孔に挿入されることで前記筒状体を支持する軸受けと、を備え、前記部材の前記摺動面が具備された部位の外径と前記軸受けの前記孔の径との差が0.06mm以上0.5mm以下である画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタ、複写機等の画像形成装置及びここに含まれるプロセスカートリッジに関し、詳しくは、感光体ドラムユニットを備えるプロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザプリンタ、複写機等の画像形成装置には、画像形成装置本体、及び該本体に着脱可能に装着されたプロセスカートリッジが備えられている。
プロセスカートリッジとは、文字や図形等、表されるべき内容を紙等の記録媒体に転写する部材であり、ここには転写する内容が形成される感光体ドラムユニットが備えられる。従ってプロセスカートリッジには、転写すべき内容を感光体ドラムユニットに形成するための各種手段が併せて配置される。各種手段としては、例えば現像、帯電、クリーンニングを行う手段等を挙げることができる。
【0003】
感光体ドラムユニットに具備される感光体ドラムは円筒形の部材であり、その作動時には円筒の軸を中心に回転させる。このように感光体ドラムを回転させるために、駆動軸を介して、画像形成装置本体側に設けられたギヤが感光体ドラムの端部に設けられた部材(端部部材)に具備されるギヤに対して駆動力を伝達する。
このような方式では、特に複数の感光体ドラムを具備するカラー機においては回転精度不足に起因した色ずれ・色むら等が懸念されることから、端部部材に高精度ギヤを設ける必要がある。
【0004】
この問題に対応するために次のような2種類の駆動方式を適用する場合が増えてきている。これら駆動方式によれば、高精度のギヤを必要とすることなく、上記のような問題を解消することができ、カラー機だけでなくモノクロ機においても同様の効果を奏するものとなる。
【0005】
第一の駆動方式は感光体ドラムに貫通軸を通し、キー溝等を用いることにより感光体ドラムへ駆動力を伝達する方法である。この駆動方式によれば、画像形成装置本体からの駆動力を受けるための高精度ギヤは不要となる。しかしながら、貫通軸が必要であるため、組み立てが困難であり、消耗品である感光体ドラムの交換作業に手間を生じる問題がある。
【0006】
第二の駆動方式は貫通軸を用いず、感光体ドラムに設けた端部部材に具備されたカップリングに直接駆動力を伝達する方式である。この駆動方式においてもいくつかの種類を挙げることができるが、そのなかでも端部部材に設けられたカップリングで駆動力を受けつつ、樹脂による摺動面を軸として用いる形式、又は樹脂による摺動面を軸として補助的に用いる形式がある。このような、樹脂による摺動面を軸として用いる形式(補助的に用いる形式を含む)によれば、回転駆動力伝達精度が高く、その組み立てや感光体ドラムの交換も容易である。
【0007】
例えば特許文献1には、カップリングで駆動力を受けつつ、樹脂による摺動面を用いた技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4415532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、特許文献1のように樹脂による摺動面を用いた形式では、端部部材の当該摺動面に対向してこれを受けるように軸受けが設けられていることがある。軸受けは端部部材の摺動面を覆うように配置された円環状の部位を備えている。
【0010】
従来において、感光体ドラムユニットが回転したとき、軸受けと端部部材の摺動面(側面)との間で摩擦熱が発生し、当該摩擦熱による端部部材や軸受けの溶融、又はこれらの溶着が起こることがあった。
このような問題を解決するため、摺動面にグリース等の潤滑剤を供給することが行われていた。
【0011】
しかしながら、潤滑剤を用いた場合、潤滑剤切れを起こしたり、潤滑剤が流れ出して感光体ドラムを汚してしまったりする不具合を生じる虞があった。これにより現像不良が発生し、適切な印刷がされなくなり、ひいては感光体ドラムとしての機能をも損なってしまう。また、製造の観点からも潤滑剤を塗工する工程を要するのでこれによる生産性の低下、コストの増大の問題があった。すなわち、品質上、及び製造上のこのような問題を解決するため、潤滑剤を必要としない態様が求められている。
【0012】
また、特に、近年における印刷速度の高速化に伴い感光体ドラムの回転速度が上昇し、これにより端部部材と軸受けとの摺動速度は上昇する傾向にあり、潤滑剤を必要としない態様がさらに求められている。
【0013】
そこで本発明は、端部部材と軸受けとの間に潤滑剤を必要としないプロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
【0015】
(1)円筒形の感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの端部に装着され摺動面となる外周面を有する筒状体を備えた部材と、
前記摺動面と対向する内周面を規定する孔を有し前記部材の前記筒状体を前記孔に挿入されることで前記筒状体を支持する軸受けと、
を備え、
前記部材の前記摺動面が具備された部位の外径と前記軸受けの前記孔の径との差が0.06mm以上0.5mm以下である画像形成装置。
【0016】
(2)円筒形の感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの端部に装着され摺動面となる外周面を有する筒状体を備えた部材と、
前記摺動面と対向する内周面を規定する孔を有し前記部材の前記筒状体を前記孔に挿入されることで前記筒状体を支持する軸受けと、
を備え、
前記部材の前記摺動面が具備された部位の外径と前記軸受けの前記孔の径との差が0.25mm以上0.5mm以下である画像形成装置。
【0017】
(3)円筒形の感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの端部に装着され摺動面となる外周面を有する筒状体を備えた部材と、
前記摺動面と対向する内周面を規定する孔を有し前記部材の前記筒状体を前記孔に挿入されることで前記筒状体を支持する軸受けと、
を備え、
前記部材の前記摺動面が具備された部位の外径と前記軸受けの前記孔の径との差が0.06mm以上0.5mm以下であるプロセスカートリッジ。
【0018】
(4)円筒形の感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの端部に装着され摺動面となる外周面を有する筒状体を備えた部材と、
前記摺動面と対向する内周面を規定する孔を有し前記部材の前記筒状体を前記孔に挿入されることで前記筒状体を支持する軸受けと、
を備え、
前記部材の前記摺動面が具備された部位の外径と前記軸受けの前記孔の径との差が0.25mm以上0.5mm以下であるプロセスカートリッジ。
【0019】
本発明は、摺動面における摺動速度が速いほど有効であり、摺動速度は3.2m/分〜18.9m/分が好ましく、特に10m/分以上が好ましい。
本発明において、摺動面のとがりKuは2.8以下が好ましく、2.6以下がより好ましい。
本明細書における、算術平均粗さRa及びとがりKuについては、JIS B 0601−1994、JIS B 0601−2001に規定されている。
本発明において、軸受けの材料は特に限定されないが、好ましくは、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアセタールであり、より好ましくは、ポリアセタールである。
【発明の効果】
【0020】
本発明において、従来用いられていたグリース等の潤滑剤は使われない。
本発明において、感光体ドラムの端部に装着される部材の、摺動面が具備された部位の外径と軸受けの内径との差が0.06mm以上0.5mm以下、又は0.25mm以上0.5mm以下であるが、従来、このような径差を有する、部材と軸受けとの組み合わせはなかった。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】画像形成装置の構成を説明する図である。
【図2】プロセスカートリッジの構成を説明する図である。
【図3】感光体ドラムユニット、回転駆動軸及び軸受けを示した分解斜視図である。
【図4】図4(a)は、図3にIII−IIIで示した線に沿った断面図、図4(b)はこれを組み合わせた図である。
【図5】図4(b)の一部を拡大して示した図である。
【図6】図6(a)は端部部材の外観を示した図であり、図6(b)は図6(a)のVIb部の拡大図である。
【図7】図7(a)は他の例の端部部材の外観を示した図であり、図7(b)は図7(a)のVIIb部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
【0023】
[第1実施形態]
第1実施形態は、感光体ドラムの端部に装着される部材(端部部材)の筒状体と、この筒状体を支持する軸受けとの、摺動面間の隙間の量に特徴を有する。
図1は第1実施形態を説明する図で、画像形成装置1を模式的に表した斜視図である。画像形成装置としては、例えばレーザプリンタ、複写機、ファクシミリ等を挙げることができる。図1からわかるように画像形成装置1は、画像形成装置本体2と、プロセスカートリッジ3と、を備えている。
【0024】
画像形成装置本体2は、画像形成装置1の主要部をなす部位で、後で説明するように回転駆動軸21を有し、その他、プロセスカートリッジ3以外の必要な各構成部品を備えている。
【0025】
プロセスカートリッジ3は、紙等の媒体に転写されるべき画像が形成される部材であり、図1に矢印Aで示したように画像形成装置本体2に着脱可能とされている。図2にはプロセスカートリッジ3の構成を概念的に示した。
【0026】
プロセスカートリッジ3は、その外郭を形成する筐体4を有し、その内側に各種部品が内包されている。本実施形態では具体的には、感光体ドラムユニット10(図3参照)、帯電ローラ5、現像ローラ6、規制部材7、転写手段8、及びクリーニングブレード9を有している。紙等の媒体がプロセスカートリッジ3の内部を図2にBで示した線に沿って移動することにより、当該媒体に画像が形成される。
【0027】
感光体ドラムユニット10には、紙等の記録媒体に転写すべき文字や図形等が形成される。図3には、画像形成装置本体2に備えられる回転駆動軸21、画像形成装置本体2又はプロセスカートリッジ3に備えられる軸受け22、及びプロセスカートリッジ3に備えられる感光体ドラムユニット10の分解斜視図を示した。図4(a)には図3にIII−IIIに沿った断面図を示し、図4(b)には、当該断面において回転駆動軸21、軸受け22、及び感光体ドラムユニット10が組み合わされた状態の図を示した。
【0028】
図3、図4(a)、図4(b)からわかるように感光体ドラムユニット10は、感光体ドラム11、フランジ12、及び端部部材13を備えている。
【0029】
感光体ドラム11は、円筒形であるドラムシリンダの外周面に感光層を被覆した部材である。ドラムシリンダは、アルミニウム等の導電性の円筒形シリンダに感光層を塗布して構成されている。形成される感光層は特に限定されるものではなく、その目的に応じて公知のものを適用することができる。
感光体ドラム11の一端には後述するように端部部材13が配置され、他端にはフランジ12が具備されている。
【0030】
フランジ12は、樹脂により形成された部材で、感光体ドラム11の円筒内側に嵌合される嵌合部と、感光体ドラム11の一端面を覆うように配置される軸受部とが同軸に形成されている。軸受部は、感光体ドラム11の端面を覆う円板状であるとともに、画像形成装置本体2に具備される不図示の軸を受ける部位が設けられている。また、フランジ12には、導電性材料によりなるアース板が配置され、これにより感光体ドラム11と画像形成装置本体2とを電気的に接続させている。
【0031】
端部部材13は、感光体ドラム11に装着され、潤滑剤を必要としない摺動面を有する部材の一例であり、感光体ドラム11の端部のうち上記フランジ12とは反対側の端部に取り付けられる部材である。端部部材13は、画像形成装置本体2の回転駆動軸21からの回転駆動力を受けて感光体ドラムユニット10自体を回転させるとともに、感光体ドラムユニット10に隣接する他のローラ(帯電ローラ等)にもこの回転力を伝達する機能を有する。具体的に端部部材13は、筒状体14、筒状体14の外周面に備えられる歯車部15及び連結部16を具備している。
【0032】
筒状体14は、一方の端部に底を具備する有底の円筒状の部材であり、その外周面に立設するリング状の接触壁14aを備えている。筒状体14のうち接触壁14aよりも底が具備されていない側の外径は、感光体ドラム11の内径と概ね同じであり、図4(a)、図4(b)からわかるように、該筒状体14の一端側を感光体ドラム11に差し込んで嵌合することができる。これにより端部部材13を感光体ドラム11に固定することが可能となる。この際には、感光体ドラム11の端面が接触壁14aに当てられる深さまで挿入される。このとき、より強固な取り付けのために接着剤を用いてもよい。
【0033】
また、筒状体14の外周面のうち感光体ドラム11に差し込まれないで突出する部位で、底が設けられた側には摺動面14bが形成されている。摺動面14bは後で説明するように軸受け22の内周面に対向するように配置される部位である。
筒状体14の摺動面14bが具備された部位(以下、単に摺動面14bということもある。)の外径Daは、後述する軸受け22のうち、摺動面14bが挿入される部位(孔)の内径(以下、単に軸受けの内径ということもある。)Dbよりも0.06mm以上小さく形成されている。摺動面14b及び軸受け22の内周面22aの少なくとも一方が軸方向の傾斜(いわゆるテーパ)を有する場合には、後述するように端部部材13を軸受け22に挿入した姿勢で、摺動面14bと内周面22aとが対向する各部位において摺動面14bが具備された部位の外径Daと軸受け22の内径Dbとの差が0.06mm以上である。
【0034】
歯車部15は、筒状体14の外周面のうち接触壁14aと摺動面14bとの間に備えられる歯車であり、現像ローラに回転力を伝達する。図示した本実施形態では歯車部15は平歯車である。ただし歯車の種類は特に限定されることはなく、目的を達することができるものであればよく、はす歯歯車等であってもよい。
【0035】
連結部16は、筒状体14の底のうち外側面から突出するように設けられた部位である。連結部16は後で説明する回転駆動軸21に連結することにより該回転駆動軸21からの回転力を感光体ドラムユニット10に伝達する機能を有している。従って、連結部16は回転力が効率よく回転駆動軸21から端部部材13に伝わるような形状を有している。このような機能を奏する形状であれば特に限定されることはないが、例えば感光体ドラムユニット10の回転軸方向に連結部を見たときに矩形となる形状を挙げることができる。
【0036】
このような端部部材13は、成形性の観点から樹脂により形成されることが好ましい。これによれば、形状が複雑なものであっても射出成型等により製造することができる。
【0037】
次に、図3、図4(a)、図4(b)に表した回転駆動軸21及び軸受け22について説明する。回転駆動軸21は画像形成装置本体2に備えられた部材であり、軸受け22は、画像形成装置本体2又はプロセスカートリッジ3に備えられた部材である。
【0038】
回転駆動軸21は、円柱状の部材であり、その回転軸が感光体ドラムユニット10の回転軸と同軸になるように配置されている。また、回転駆動軸21は、感光体ドラムユニット10の端部部材13に対向して配置される面に端部部材13の連結部16を受け入れ可能な穴21aを具備している。
【0039】
穴21aは、連結部16を挿入可能であるとともに、当該挿入した姿勢で回転駆動軸21の回転力を感光体ドラムユニット10に伝達することができるように形成されている。従って回転駆動軸21は、穴21aが設けられた側の端面が感光体ドラムユニット20の端部部材13の端面に対向するように配置される。一方、回転駆動軸21の端面のうち穴21aが設けられていない側の面は画像形成装置本体2の駆動源となる部材に連結されている。
【0040】
これにより、画像形成装置本体2から回転駆動軸21を通じて感光体ドラムユニット10に回転力を付与することができる。
【0041】
本実施形態では、端部部材13側に凸状の連結部16、回転駆動軸21側に凹状の穴21aを有することにより両者が連結する形態を示したが、凹凸が逆となる形態であってもよい。また、他の連結手段で両者が回転力伝達可能に連結されていてもよい。
【0042】
軸受け22は、感光体ドラムユニット10の回転を安定して行ない、感光体ドラムの位置を保持して現像ローラ等の他のローラとの適切な位置関係を維持するための部材である。その形状は図3、図4(a)、図4(b)からわかるように円筒状とされ、一方側の開口が若干狭められている。軸受け22は、回転が禁止されて画像形成装置本体2又はプロセスカートリッジ3に配置され、その円筒軸は回転駆動軸21及び感光体ドラムユニット10の回転軸に同軸とされている。
【0043】
ここで、軸受け22の内径Dbは、上記したように、筒状体14の摺動面14bが具備された部位の外径Daよりも0.06mm以上大きく形成されている。摺動面14b及び軸受け22の内周面22aの少なくとも一方に軸方向の傾斜(いわゆるテーパ)を有する場合には、後述するように端部部材13を軸受け22に挿入した姿勢で、摺動面14bと内周面22aとが対向する各部位において摺動面14bが具備された部位の外径Daと軸受け22の内径Dbとの差が0.06mm以上である。
【0044】
このような軸受け22は、成形性の観点から樹脂により形成されることが好ましい。これによれば、射出成型等により製造することができる。
【0045】
図4(b)によく表れているように、上記した感光体ドラムユニット10、回転駆動軸21、及び軸受け22は次のように組み合わせられる。すなわち、感光体ドラムユニット10の端部部材13のうち摺動面14bが具備された部位が軸受け22の円筒の内側に挿入される。従って摺動面14bが軸受け22の内周面22aに対向するように配置される。
【0046】
このとき、摺動面14bが具備された部位の外径Daと軸受け22の内径Dbとの差が上記したように規定されている。従って、感光体ドラムユニット10が後述するように回転したときに、図4(b)にVで示した部位を拡大して示した図5に表したように、摺動面14bと内周面22aとの間に所定の間隙を形成することが可能となる。又は、当該回転時に感光体ドラムユニット10の振れ等により、必ずしも常に当該間隙が形成されるとは限らない場合であっても、摺動面14bと内周面22aとの接触の機会を減じることができる。これにより感光体ドラムユニット10が回転した場合に端部部材13、軸受け22の溶融や融着を抑制することができる。本実施形態では、摺動面14bにその軸方向の傾斜が設けられているが、この場合には摺動面14bが具備された部位の外径Daと軸受け22の内径Dbとの差が最も小さい部位(本実施形態では図5にEで表した部位)でその差が0.06mm以上、好ましくは0.12mm以上、より好ましくは0.25mm以上である。DbとDaとの差をより大きく設定することで、摺動面14bと内周面22aの接触の機会がより少なくなり、軸受け22の溶融や融着を抑制する効果を大きくすることができる。
【0047】
一方で、軸受け22は感光体ドラムユニット10が回転する際において感光体ドラムの位置を保持して現像ローラ等の他のローラとの適切な位置関係を維持し、安定した回転をさせる機能を有するので、かかる観点から、摺動面14bが具備された部位の外径Daと軸受け22の内径Dbとの差は0.5mm以下であることが好ましい。
【0048】
以上のように、端部部材13の一部を軸受け22内に配置すると、端部部材13に設けられた連結部16が軸受け22の開口を貫通して突出する。当該突出した連結部16が回転駆動軸21の穴21aに挿入されることにより、感光体ドラムユニット10と回転駆動軸21とが連動して回転可能に連結される。
【0049】
図2に戻って、プロセスカートリッジ3について説明を続ける。プロセスカートリッジ3の筐体4の内側に備えられる他の構成である帯電ローラ5、現像ローラ6、規制部材7、転写手段8、及びクリーニングブレード9は次のようなものである。
【0050】
帯電ローラ5は、画像形成装置本体からの電圧印加により感光体ドラム11を帯電させる。これは、当該帯電ローラ5が感光体ドラム11に追随して回転し、感光体ドラム11の外周面に接触することにより行われる。
現像ローラ6は、感光体ドラム11に現像剤を供給するローラである。そして、当該現像ローラ6により、感光体ドラム11に形成された静電潜像が現像される。なお現像ローラ6には、固定磁石が内蔵されている。
規制部材7は、上記した現像ローラ6の外周面に付着する現像剤の量を調整するとともに、現像剤自体に摩擦帯電電荷を付与する部材である。
転写手段8は、感光体ドラム11に形成された像を紙等の記録媒体に転写するためのローラである。
クリーニングブレード9は、感光体ドラム11の外周面に接触してその先端により転写後に残存した現像剤を除去するブレードである。
【0051】
上記各ローラは筐体4の内側に回転可能に収められる。すなわち各ローラは筐体4の内側で必要に応じて回転してその機能を発揮する。
【0052】
ここでは、プロセスカートリッジ3に備えられる各ローラ及びブレードについて説明したが、ここに具備される部材はこれに限定されるものではなく、その他プロセスカートリッジに通常に備えられる部材、部位、及び現像剤等が具備されていることが好ましい。
【0053】
次に画像形成装置1の動作について説明する。画像形成装置1を作動させる際には、上記した感光体ドラムユニット10を備えるプロセスカートリッジ3を図1に示したように画像形成装置本体2に挿入して装着し、回転駆動軸21及び軸受け22に連結させる。そして回転駆動軸21を必要に応じて回転させる。これにより感光体ドラムユニット10が回転し、帯電ローラ5により帯電させることができる。
【0054】
このように感光体ドラムユニット10が回転している状態で、各種光学部材を用いて画像情報に対応したレーザ光を感光体ドラム11に照射し、当該画像情報に基づいた静電潜像を得る。この潜像は現像ローラ6により現像される。
【0055】
一方、紙等の記録媒体は、画像形成装置本体2にセットされ、該画像形成装置本体2に設けられた送り出しローラ、搬送ローラ等により転写位置に搬送され、図2の線Bに沿って移動する。転写位置には転写手段8が配置されており、記録媒体の通過に伴い転写手段8に電圧が印加されて感光体ドラム11から記録媒体に像が転写される。その後、記録媒体に熱及び圧力が加えられることにより当該像が記録媒体に定着する。そして排出ロール等により画像形成装置本体から像が形成された記録媒体が排出される。
【0056】
このような動作において、感光体ドラムユニット10が回転すると、軸受け22の内側で筒状体14が回転することになる。本発明では摺動面14bが具備された部位と軸受け22のとの間に上記した直径の差があるので、摺動面14bと内周面22aとの接触を防止、又は減じることができるので、その摩擦を防止又は減らすことが可能となる。
すなわち、従来において溶融が発生する原因として、摺動面と内周面との間の間隙が十分でないため摩擦が大きくなり、熱が発生しやすくなっていたことが考えられる。また、摩擦により発生した摩耗粉の逃げ場が少ないため、この摩耗粉が当該間隙に滞留し、溶融することで、融着を起こしやすくなっていたことが考えられる。これに対して本発明は上記した構成により潤滑剤を用いることなくこれを防止又は抑制することが可能となった。
特に近年では、印刷の高速化等により感光体ドラムユニット10の回転速度も高速化しており、本発明の効果が顕著に奏するものとなる。
【0057】
[第2実施形態]
第2実施形態は、感光体ドラムの端部に装着される端部部材の、軸受けと摺動する摺動面の算術平均粗さRaに特徴を有する。
第2実施形態が第1実施形態と異なるのは、感光体ドラムの端部に装着される端部部材の、軸受けと摺動する摺動面の算術平均粗さRaである。図1〜図5の第1実施形態の構成は第2実施形態にも共通するので、共通する構成については、その説明を省略又は簡略する。
【0058】
摺動面14bは、その表面粗さがRaで0.5μm以上の粗面さとされている。図6(a)には、端部部材13を図3の上方から見た図を示した。図6(b)は図6(a)にVIbで示した部位を拡大した図で、摺動面14bの表面状態を説明する図である。図6(a)、図6(b)からわかるように、本実施形態では、端部部材13の回転軸に沿った方向に凹部及び凸部が延びるとともに、摺動面14bの周方向に凹凸が並列されるように粗さを有する摺動面14bとしている。従って、図6(b)にCで示した方向(摺動面14bの周方向)における表面粗さRaは通常0.5μm以上、好ましくは1.5μm以上である。一方、表面粗さRaは500μm以下であることが好ましい。表面粗さRaがこれより大きくなると摺動時にがたつきの原因となるからである。
【0059】
摺動面14bをこのような粗さを有する面にすることで、摺動面14bが実質的に軸受け22の内周面22aに接触する面積を減じることができ、摺動面14bと軸受け22の内周面22aとの摩擦を減じ、これにより潤滑剤を用いることなく端部部材13や軸受け22の溶融や融着を抑制することが可能となる。また、摩擦により摺動面から削れ落ちた微細な切り子の排出が促進され、切り子が研磨剤(動摩擦係数の上昇要因)として振る舞うことを防止することができると考えられる。
【0060】
さらに、摺動面14bのとがりKuは2.8以下であることが好ましい。「とがりKu」は表面形状曲面の鋭さの尺度であり、表面高さ分布の広がりを特徴づけることができる。とがりKuは表面形状曲面の四次モーメントを計算して得ることができ、「粗さ曲線のクルトシス」と呼ばれることもある。摺動面14bにおいてとがりKuを2.8以下にすることにより、表面高さの分布がつぶれているような(尖っていない)ものとなり、局所的な摩擦を低減させることが可能になる。これによりさらに潤滑剤を用いない場合でも端部部材13や軸受け22の溶融や融着を抑制することが可能となる。一方とがりKuは1以上であることが好ましい。
【0061】
また、図4(a)に示した摺動面14bの直径(摺動面14bが形成される部位における筒状体14の外径)Daは、後述する軸受け22のうち、摺動面14bが挿入される部位の内周面22aの直径(軸受け22の内径)Dbよりも0.06mm以上小さく形成されていることが好ましい。摺動面14b及び軸受け22の内周面22aの少なくとも一方が軸方向の傾斜(いわゆるテーパ)を有する場合には、後述するように端部部材13を軸受け22に挿入した姿勢で、摺動面14bと内周面22aとが対向する各部位において摺動面14bの直径と内周面22aの直径との差が0.06mm以上であることが好ましい。
【0062】
このような端部部材13は、成形性の観点から樹脂により形成されることが好ましい。これによれば、形状が複雑なものであっても射出成型等により製造することができる。摺動面14bに備えられる上記した粗面は、射出成形金型に旋盤・フライス盤等による切削加工、研削やショットブラスト等を用いた加工により摺動面を転写する部位を粗面化して得ることができる。また、かかる粗面形成の際に、後で説明するような、摺動面14bの周方向に凹部及び凸部が延びるとともに、端部部材の回転軸に沿った方向に凹凸が並列されるように粗面を形成する場合には、無理抜き、スライドコア等のアンダーカット処理を用いることができる。また、螺旋状に粗面を形成し、コマを回転させながら抜くことも可能である。さらに、射出成形金型におけるシボ加工を施す場合には、有機溶剤を使用したエッチング処理等を用いることもできる。
【0063】
本実施形態では、上記したように摺動面14bにおいて、端部部材13の回転軸に沿った方向に凹部及び凸部が延びるとともに、摺動面14bの周方向に凹凸が並列されるように粗さを有する面とした。ただし、本発明では凹凸の方向がこれに限定されることはなく、摺動面上のいずれかの方向においてRaが0.5μm以上とされていればよい。図7には他の例の端部部材13’を示した。図7(a)は図6(a)に相当し、図7(b)は図6(b)に相当し、図7(b)は図7(a)のVIIbの部分を拡大して示した図である。端部部材13’では、摺動面14b’の表面性状が端部部材13と異なるのみであり、他の部位は端部部材13と共通するので、同じ符号を付すとともに、説明は省略する。
【0064】
端部部材13’の摺動面14b’は、図7(a)、図7(b)からわかるように、端部部材13’の周方向に沿った方向に凹部及び凸部が延びるとともに、回転軸に沿った方向に凹凸が並列されるような粗面を有する。従って、図7(b)にDで示した方向(端部部材13’の回転軸方向)における表面粗さRaが0.5μm以上である。
【0065】
このように、端部部材の摺動面がRa≧0.5μmであることに関し、その方向は特に限定されることなく、いずれかの方向において満たされればよい。
【0066】
ここで、軸受け22の内径Dbは、上記したように、筒状体14の摺動面14bが具備された部位の外径Daよりも0.06mm以上大きく形成されていることが好ましい。摺動面14b及び軸受け22の内周面22aの少なくとも一方に軸方向の傾斜(いわゆるテーパ)を有する場合には、端部部材13を軸受け22に挿入した姿勢で、摺動面14bと内周面22aとが対向する各部位において摺動面14bが具備された部位の外径Daと軸受け22の内径Dbとの差が0.06mm以上であることが好ましい。
【0067】
このとき、摺動面14bが具備された部位の外径Daと軸受け22の内径Dbとの差が上記したように規定されている場合には、感光体ドラムユニット10が後述するように回転したときに、図4(b)にVで示した部位を拡大して示した図5に表したように、摺動面14bと内周面22aとの間に所定の間隙を形成することが可能となる。又は、当該回転時に感光体ドラムユニット10の振れ等により、必ずしも常に当該間隙が形成されるとは限らない場合であっても、摺動面14bと内周面22aとの接触の機会をさらに減じることができる。これにより感光体ドラムユニット10が回転した場合に端部部材13、軸受け22の溶融や融着をさらに抑制することが可能である。本実施形態では、摺動面14bにその軸方向の傾斜が設けられているが、この場合には摺動面14bが具備された部位の外径Daと軸受け22の内径Dbとの差が最も小さい部位(本実施形態では図5にEで表した部位)でその差が0.06mm以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.12mm以上、より好ましくは0.25mm以上である。
【0068】
一方で、軸受け22は感光体ドラムユニット10が回転する際において感光体ドラムの位置を保持して現像ローラ等の他のローラとの適切な位置関係を維持し、安定した回転をさせる機能を有するので、かかる観点から、摺動面14bが具備された部位の外径Daと軸受け22の内径Dbとの差は0.5mm以下であることが好ましい。
【0069】
画像形成装置の動作において、感光体ドラムユニット10が回転すると、軸受け22の内側で端部部材13が回転することになる。第2実施形態では、摺動面14bの表面性状をRa≧0.5μmとしているので、摺動面14bと内周面22aとの接触面積を減じることができ、その摩擦を減らすことが可能となる。
すなわち、従来において溶融が発生する原因として、摺動面と内周面との接触面積が大きいため摩擦が大きくなり、熱が発生しやすくなっていたことが考えられる。これに対して本発明は上記した構成により潤滑剤を用いることなくこれを抑制することが可能となった。
特に近年では、印刷の高速化等により感光体ドラムユニット10の回転速度も高速化しており、本発明の効果が顕著に奏するものとなる。
【0070】
また、摺動面14bのとがりKuを2.8以下とすれば、凹凸の尖りが抑えられているので、さらに摺動面14bと内周面22aとの摩擦を抑えることが可能となる。
【0071】
さらに、摺動面14bが具備された部位と軸受け22との間に上記した直径の差を設けた場合には、摺動面14bと内周面22aとの接触を防止、又は減じることができるので、その摩擦をさらに防止又は減らすことが可能となる。
【0072】
以上では端部部材13側に上記した所定の構成の摺動面14bを形成する実施形態を説明した。しかしながら、本発明の効果を奏する観点からはこれに限定されるものではなく、軸受け側に上記説明したと同様の摺動面を形成してもよい。
【実施例】
【0073】
以下実施例で本発明をさらに説明する。ただし本発明は実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
本実施例1では摺動面が具備された部位の外径Daと軸受けの孔の内径Dbとの関係を変更した試験体を作製し、溶融、溶着について調べた。以下に詳しく説明する。
【0074】
<異なる摺動面直径を有する端部部材の作製>
端部部材及び軸受けはいずれもポリアセタールを用いた。端部部材の摺動面の直径Daは、該端部部材を射出成形する時に樹脂の射出後の保圧条件を変更することにより調整した。具体的には、以下に示す比較例1及び2に対して保圧を大きくすることで実施例1−1〜1−5のような摺動面の直径Daを有する端部部材を製作した。
【0075】
<摺動面の直径の測定方法>
摺動面の直径Daはレーザースキャンマイクロメーター(株式会社ミツトヨ、RA−801)を用いて測定した。
【0076】
<評価の方法>
摺動面と軸受けの内周面との相対的な摺動速度は9.3m/分とし、感光体ドラムに端部部材を取り付け、上記摺動速度で画像形成装置にて5000枚印刷した。その後、端部部材及び軸受けを取り出し、摺動面及び軸受けの内周面の溶融及び摩耗の程度を観察した。
【0077】
<結果の評価基準>
摺動面及び軸受けの内周面を観察し、次のような基準で評価した。
×:摩擦による温度上昇により摺動面が溶融した痕跡が見られる。又は摺動面あるいは軸受けの内周面が摩擦により著しく削られた痕跡が見られる。
○:摺動面又は軸受けの内周面が摩擦により若干削られた痕跡が見られる。また溶融した痕跡は見られない。
◎:摺動面又は軸受けの内周面に削られた痕跡は見られず、温度上昇により溶融した痕跡も見られない。
【0078】
<結果>
表1に摺動面が具備された部位の外径(Da)、軸受けの内径(Db)、その差(Db−Da)、及び評価の結果を示した。
【0079】
【表1】

【0080】
端部部材の摺動面が具備された部位の外径と軸受けの内径との差(Db−Da)が0.06mmより小さい比較例1及び比較例2では、評価がいずれも×であった。
一方、差(Db−Da)が0.06mm以上である実施例1−1〜1−3では、摺動面に摩擦により削られた痕跡が見られるものの、溶融した痕跡は見られず、評価は○であった。さらに、差(Db−Da)が0.25mm以上である実施例1−4、1−5では◎の評価の表面を得ることができた。
【0081】
[実施例2]
実施例2では、摺動面の表面粗さを変更した端部部材を作製し、溶融、融着について調べた。以下に詳しく説明する。
【0082】
<異なる粗面を具備する摺動面が形成された端部部材の作製>
後述する表2のうち、参考例2以外の端部部材にはポリアセタール樹脂の一般グレード(三菱エンジニアリングプラスチックス社製・F20−03)、軸受けにはポリスチレンを用いた。参考例2の端部部材は、ポリアセタールに摺動性の高いフッ素樹脂20重量%を含有させた樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製・FL−2020)を用いた。
【0083】
参考例1及び参考例2は従来の金型を用いて射出成形により端部部材を作製し、摺動面を含めてそのまま用いた。
一方、実施例2−1〜実施例2−3、及び実施例2−6は従来の金型を用いて射出成形によって端部部材を成形し、その摺動面を切削機を用いて表面を切削し、切削工具・切削条件(送り・回転数・バイトの当て角等)を変更することで周方向の表面粗さを調整した。
また実施例2−4、2−5は、従来の金型を用いて射出成形によって端部部材を成形し、その摺動面をNCフライス加工機を用いて加工し、面粗さは加工工具の大きさや彫りこみ深さを、プログラムを変更することで軸方向の表面粗さを調整した。
【0084】
<摺動面のRa及びとがりKuの測定方法>
摺動面の周方向に凹部及び凸部が延び、軸方向に並列された凹凸を有する粗面(実施例2−1〜2−3、2−6)は、表面粗さ測定機(株式会社ミツトヨ、SURF TEST−SV−548)を使用して、プローブ径5μmのプローブによる接触測定を実施した。一方、端部部材の軸方向に凹部及び凸部が延び、摺動面の周方向に並列された凹凸を有する粗面(実施例2−4、2−5)も上記と同様の表面粗さ測定機を使用してプローブによる接触測定をすることは可能である。しかし、本実施例2ではこの測定機によると測定レンジを超えてしまうため、画像測定機(TESA社、TESA VISIO 300)により段差を非接触で測定した。
【0085】
<評価の方法>
評価の方法は次の通りである。各例において1種類の印字パターンを繰り返し印刷し、4000ページ毎に1時間の休止を挟みながら、12000ページの印刷を実施し、実験後の端部部材の摺動面を目視して評価した。また、試験での途中(4000ページ)段階での評価も行った。さらに、最後に出力された被印刷物の画質評価を行った。なお、参考例1では摺動面と内周面との間に潤滑剤を用いたが、他の例では潤滑剤を用いなかった。なお、このときの摺動速度は13m/分であった。
【0086】
<評価の基準>
摺動面の目視による評価の基準は次の通りである。
◎:摺動面が溶融しておらず、摺動面又は軸受けの内周面が摩擦により削られてない。
○:摺動面は溶融していないが、摺動面又は軸受けの内周面が摩擦により削られた痕跡が見られる。
×:摺動面が溶融しているとともに、摺動面又は軸受けの内周面が摩擦により全面に亘って削られた痕跡が見られる。
一方、最後に出力された被印刷物の画質評価は次の通りである。
◎:画像欠陥が見あたらない。
○:印刷面積の5%未満の領域に画像欠陥が見られる。
×:印刷面積の5%以上の領域に画像欠陥が見られる。
【0087】
<結果>
表2に端部部材の材質、潤滑剤の有無、Db−Da、Ra、とがりKu、粗面方向、及び評価結果を示した。表2の「Db−Da」は、端部部材の摺動面が具備された部位の外径(Da)と軸受けの内径(Db)との差である。また、「粗面方向」は、摺動面の周方向に凹部及び凸部が延び、軸方向に並列された凹凸を有する粗面を「周方向」、端部部材の軸方向に凹部及び凸部が延び、周方向に並列された凹凸を有する粗面を「軸方向」とした。
【0088】
【表2】

【0089】
参考例1、2と実施例2−1〜2−6との対比からわかるように、潤滑剤を用いなくても、摺動面をRa≧0.5μmとすることにより、潤滑剤を用いた場合と同様の結果を得ることができた。また、かかる結果を得るための粗面方向は周方向及び軸方向のいずれでもよいこともわかった。従って、これ以外の方向のである、斜め方向、非連続形態(点状等)、シボ加工等のパターンを有する粗面、エンボス加工により形成される粗面でも、同様の効果があると考えられる。
【0090】
また、参考例2と実施例2−1〜2−6との対比からわかるように、参考例2で用いた端部部材の樹脂は非常に摺動性が優れているにもかかわらず、実施例2−1〜2−5の方が結果が良好であり、実施例2−6と同等である。従って樹脂自体の摺動性よりも表面粗さRaが重要であることがわかる。
【0091】
実施例2−6からもわかるように、Db−Daが小さい場合であってもRaを適切に調整することにより良好な結果を得ることができる。
【0092】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0093】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
【0094】
本出願は、2011年3月24日出願の日本特許出願(特願2011−066706)、2011年3月24日出願の日本特許出願(特願2011−066705)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明によれば、潤滑剤を用いることなく感光体ドラムユニットの端部部材と軸受けとの摩擦による溶融及び融着を抑制することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 画像形成装置
2 画像形成装置本体
3 プロセスカートリッジ
10 感光体ドラムユニット
11 感光体ドラム
12 フランジ
13 端部部材(部材)
14 筒状体
14b 摺動面
16 連結部
21 回転駆動軸
21a 穴
22 軸受け

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形の感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの端部に装着され摺動面となる外周面を有する筒状体を備えた部材と、
前記摺動面と対向する内周面を規定する孔を有し前記部材の前記筒状体を前記孔に挿入されることで前記筒状体を支持する軸受けと、
を備え、
前記部材の前記摺動面が具備された部位の外径と前記軸受けの前記孔の径との差が0.06mm以上0.5mm以下である画像形成装置。
【請求項2】
円筒形の感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの端部に装着され摺動面となる外周面を有する筒状体を備えた部材と、
前記摺動面と対向する内周面を規定する孔を有し前記部材の前記筒状体を前記孔に挿入されることで前記筒状体を支持する軸受けと、
を備え、
前記部材の前記摺動面が具備された部位の外径と前記軸受けの前記孔の径との差が0.25mm以上0.5mm以下である画像形成装置。
【請求項3】
円筒形の感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの端部に装着され摺動面となる外周面を有する筒状体を備えた部材と、
前記摺動面と対向する内周面を規定する孔を有し前記部材の前記筒状体を前記孔に挿入されることで前記筒状体を支持する軸受けと、
を備え、
前記部材の前記摺動面が具備された部位の外径と前記軸受けの前記孔の径との差が0.06mm以上0.5mm以下であるプロセスカートリッジ。
【請求項4】
円筒形の感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの端部に装着され摺動面となる外周面を有する筒状体を備えた部材と、
前記摺動面と対向する内周面を規定する孔を有し前記部材の前記筒状体を前記孔に挿入されることで前記筒状体を支持する軸受けと、
を備え、
前記部材の前記摺動面が具備された部位の外径と前記軸受けの前記孔の径との差が0.25mm以上0.5mm以下であるプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−212137(P2012−212137A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−65778(P2012−65778)
【出願日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】