説明

プロセスカートリッジ

【課題】耐衝撃性に優れ、取扱いの容易なプロセスカートリッジを得る。
【解決手段】感光体ユニット12Aと、帯電ユニットと、現像ユニット14Aと、クリーニングユニット15Aと、トナー供給ユニット16Aとを備えたプロセスカートリッジ。ユニット12A,14A,15Aはブラケット51,52,53に取り付けられて一体的に構成されている。トナー供給ユニット16Aはブラケット53に軸部17を支点として搖動自在である。この搖動を制限するために脚片61を有する搖動制限部材60が、ブラケット53とトナー供給ユニット16Aとの間に着脱可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスカートリッジ、特に、電子写真複写機などの画像形成装置本体に着脱可能な、感光体を中心とするプロセスカートリッジに関する
【背景技術】
【0002】
電子写真法によって画像を形成する複写機、プリンタなどの画像形成装置においては、感光体ユニット、現像ユニット、トナー供給ユニットなどを一体化したプロセスカートリッジが画像形成装置本体に着脱可能とされている。即ち、感光体などの寿命が尽きたとき、あるいは、トナーなどの消耗品が切れたときにプロセスユニットごと交換するように構成されている。
【0003】
従来では、感光体ユニットや現像ユニットは一体的に固定され、トナー供給ユニットはこれらの固定ユニットに対して若干のガタつきを有して搖動自在とされていた。感光体ドラムや現像ローラなどは本体から駆動力を伝達されるために本体に対して正確に位置決めされる必要があり、また、トナー供給ユニットもトナー供給ローラに本体から駆動力を伝達されるために本体に対して正確に位置決めされる必要がある。本体装着時にこれらが干渉し合わないためには、例えば、図6(A),(B)に示すように、感光体ユニットや現像ユニットを一体的に保持するブラケットの大径の穴に、トナー供給ユニットの小径の軸部を装着している。これにて、トナー供給ユニットはブラケットに若干のガタつきを有して搖動自在に取り付けられ、図6(A),(B)の間で搖動する。
【0004】
しかしながら、図6(A)、(B)に示すように、プロセスユニットが単独で梱包状態にあるとき、あるいは、梱包を解いて本体に装着するときに、トナー供給ユニットが搖動自在であると、衝撃で結合部分が破損しやすく、操作性も低下する。従って、トナー供給ユニットなどの搖動部材は、本体装着前はある程度搖動が規制されていることが望ましく、また、本体装着後はフリーな状態になることが望ましい。
【0005】
特許文献1には、画像形成装置本体に装着した状態で出荷される現像装置に対して、現像剤の漏れ防止部材を本体に着脱可能に取り付ける構成が記載されている。輸送時の振動などにより現像装置から現像剤が漏れること防止し、小型化された画像形成装置にも対応できることを目的としている。但し、この文献1では、ユニットの搖動を制限することまでも言及することはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−191677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、画像形成装置本体に装着されるまではユニットの搖動を制限して該ユニットの破損などを未然に防止でき、取扱いの容易なプロセスカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の目的を達成するため、本発明の一形態であるプロセスカートリッジは、
画像形成装置本体に着脱可能であって、少なくとも感光体ユニット、現像ユニット、トナー供給ユニットを備えたプロセスカートリッジにおいて、
前記感光体ユニット、現像ユニット、トナー供給ユニットのいずれかは他のユニットに対して搖動自在に取り付けられ、
前記他のユニットと前記搖動自在なユニットは、それぞれ、画像形成装置本体に対して独立して位置決め固定され、
プロセスカートリッジに装着されたとき、前記他のユニットと前記搖動自在なユニットの両方に係合して前記搖動自在なユニットの搖動を制限する搖動制限部材をさらに備えたこと、
を特徴とする。
【0009】
前記プロセスカートリッジにおいては、プロセスカートリッジに搖動制限部材を装着しておくことにより、搖動自在なユニットの搖動が制限される。従って、プロセスカートリッジは、単独での取扱い時に、搖動自在なユニットも他のユニットと同様に固定的に取り扱うことができ、耐衝撃安定性が向上する。また、画像形成本体への装着時においても搖動することがないので、プロセスカートリッジを一体的に取り扱うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像形成装置本体に装着されるまではユニットの搖動を制限して該ユニットの破損などを未然に防止でき、画像形成装置本体への装着時の取扱いも容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るプロセスカートリッジを備えたプリンタを示す概略構成図である。
【図2】前記プロセスカートリッジの内部構造を示す概略構成図である。
【図3】前記プロセスカートリッジを示す斜視図である。
【図4】前記プロセスカートリッジにおける搖動制限部材の装着前の状態を示す斜視図である。
【図5】前記プロセスカートリッジにおける搖動制限部材の装着後の状態を示す斜視図である
【図6】前記プロセスカートリッジを構成するトナー供給ユニットの搖動状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るプロセスカートリッジの実施例について、添付図面を参照して説明する。なお、各図面において、同一部材、部分に関しては同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
(画像形成装置の概略構成、図1参照)
本発明に係るプロセスカートリッジが搭載される画像形成装置について、図1を参照して説明する。この画像形成装置は、タンデム方式のカラープリンタであり、概略、Y,M,C,Kの各色のトナー画像を形成するためのプロセスカートリッジ10(10y,10m,10c,10k)とレーザ走査ユニット20と、中間転写ユニット30を中心として構成されている。
【0014】
プロセスカートリッジ10は、それぞれ、図1に点線で示す筺体の内部に、感光体ドラム12、帯電ローラ13、現像器14、残留トナーや残留電荷のクリーニング部材などを配置したもので、図1の紙面に垂直な方向に装置本体から出し入れ可能である。このプロセスカートリッジ10においては、レーザ走査ユニット20から照射されるレーザによって感光体ドラム12に描画された静電潜像を現像ローラ14aで現像してトナー像を形成する。
【0015】
中間転写ユニット30は、矢印B方向に無端状に回転駆動される中間転写ベルト31を備え、各感光体ドラム12と対向する転写ローラ32から付与される電界にて、各感光体ドラム12上に形成されたトナー画像を中間転写ベルト31上に1次転写して合成する。なお、このような電子写真法による画像形成プロセスは周知であり、詳細な説明は省略する。
【0016】
装置本体の下部には記録シートを1枚ずつ給紙する自動給紙ユニット40が配置され、記録シートは給紙ローラ41からタイミングローラ42を経て、前記中間転写ベルト31と2次転写ローラ35とのニップ部に搬送され、ここでトナー画像(カラー合成画像)が2次転写される。その後、記録シートは定着ユニット45に搬送されてトナーの加熱定着を施され、装置本体の上面に配置されたトレイ部46に排出される。
【0017】
(プロセスカートリッジの構成、図2参照)
プロセスカートリッジ10は、図2に示すように、感光体ドラム12を組み込んだ感光体ユニット12A、現像ローラ14aやトナー搬送ローラ14b,14cを組み込んだ現像ユニット14A、帯電ローラ13を組み込んだ帯電ユニット13A、クリーニングブレード15を組み込んだクリーニングユニット15Aにて構成されている。
【0018】
図3に示すように、感光体ユニット12Aと現像ユニット14Aと帯電ユニット13Aとクリーニングユニット15Aとは、ブラケット51、52,53にて一体的に固定されている。以下このように一体化されたユニットを固定ユニット50と称する。一方、現像器14にトナーを供給するトナー容器16を有するトナー供給ユニット16Aはブラケット53に対して若干のガタつきを持って搖動自在に組み付けられている。
【0019】
具体的には、トナー供給ユニット16Aの両側には軸部17が突設され、この軸部17がブラケット53に形成した大径の穴53aに挿入されている。従って、図6(A),(B)に示すように、トナー供給ユニット16Aはブラケット53に対して軸部17を支点として搖動自在である。
【0020】
そして、プロセスカートリッジ10がプリンタ本体に装着された際(装着方向は図3の矢印x参照)、前記固定ユニット50とトナー供給ユニット16Aとは互いに独立して位置決め固定される。即ち、固定ユニット50は位置決め用突起50aによってプリンタ本体に位置決めされ、トナー供給ユニット16Aは位置決め用突起18によってプリンタ本体に位置決めされる。
【0021】
このように、固定ユニット50とトナー供給ユニット16Aとが独立してプリンタ本体に位置決め固定されることにより、感光体ドラム12や現像ローラ14aなどの被駆動部が本体側の駆動部に確実に連結され、トナー供給ユニット16Aもその被駆動部が本体側の駆動部に確実に連結されることになる。
【0022】
(搖動制限部材、図4及び図5参照)
前述のように、プロセスカートリッジ10は、プリンタ本体に装着されるまでは、トナー供給ユニット16Aが固定ユニット50(ブラケット53)に対してガタつきを持って搖動自在である。プロセスカートリッジ10が単独で取り扱われるときに搖動を制限するため、本実施例では、搖動制限部材60をプロセスカートリッジ10(ブラケット53)に対して着脱可能に設けるようにした。
【0023】
搖動制限部材60は、図4及び図5に示すように、一対の脚片61と操作部62とを備えている。ブラケット53には脚片61をガイドするレール部54が形成されている。図4は、搖動制限部材60がブラケット53に装着される直前の状態を示している。このとき、搖動制限部材60はトナー供給ユニット16Aを何ら規制することはない。搖動制限部材60を図4の状態から矢印x方向に挿入すると、脚片61がレール部54にガイドされてブラケット53内に侵入する(図5参照)。この装着時において、脚片61の先端部分がブラケット53の壁部55の直下に潜り込み、トナー供給ユニット16Aが図6(A)の矢印Y方向に搖動することを制限する。
【0024】
前記搖動制限部材60の装着によって、トナー供給ユニット16Aの搖動が制限されることにより、プロセスカートリッジ10は、単独での取扱い時に、全てのユニット12A,13A,14A,15A,16Aを固定的に取り扱うことができる。特に、トナー供給ユニット16Aは搖動を制限されているため、衝撃などで破損するおそれがほとんどなくなる。また、プリンタ本体への装着時においても搖動することがないので、プロセスカートリッジ10を一体的に取り扱うことができる。
【0025】
なお、トナー供給ユニット16Aが突起18にてプリンタ本体に位置決めされた後は、搖動制限部材60は図4中矢印xとは逆方向に引き抜かれ、プロセスカートリッジ10からは取り外される。また、プロセスカートリッジ10がプリンタ本体に装着されるとき、突起18がプリンタ本体の位置決め部と係合するときに、図示しない本体側の部材が脚片61の先端に当接して搖動制限部材60を外方に押し出すように構成してもよい。
【0026】
(他の実施例)
なお、本発明に係るプロセスカートリッジは前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更できる。
【0027】
特に、搖動制限部材やブラケットなどの詳細な構成、形状、あるいは、各ユニットの駆動連結部の構成などは任意である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上のように、本発明は、プロセスカートリッジに有用であり、特に、画像形成装置本体に装着されるまではユニットの搖動を制限して該ユニットの破損などを未然に防止でき、取扱いが容易である点で優れている。
【符号の説明】
【0029】
10…プロセスカートリッジ
12…感光体ドラム
12A…感光体ユニット
13…帯電ローラ
13A…帯電ユニット
14…現像器
14A…現像ユニット
15…クリーニングブレード
15A…クリーニングユニット
16A…トナー供給ユニット
17…軸部
50…固定ユニット
53…ブラケット
53a…穴
60…搖動制限部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に着脱可能であって、少なくとも感光体ユニット、現像ユニット、トナー供給ユニットを備えたプロセスカートリッジにおいて、
前記感光体ユニット、現像ユニット、トナー供給ユニットのいずれかは他のユニットに対して搖動自在に取り付けられ、
前記他のユニットと前記搖動自在なユニットは、それぞれ、画像形成装置本体に対して独立して位置決め固定され、
プロセスカートリッジに装着されたとき、前記他のユニットと前記搖動自在なユニットの両方に係合して前記搖動自在なユニットの搖動を制限する搖動制限部材をさらに備えたこと、
を特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記搖動制限部材は、プロセスカートリッジが画像形成装置本体に装着された際にはプロセスカートリッジから取り外されるものであること、を特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記搖動自在なユニットはトナー供給ユニットであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプロセスカートリッジ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−8130(P2011−8130A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153136(P2009−153136)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】