説明

プロトン伝導性高分子膜の製造方法

【課題】160℃における固有伝導度が0.001S/cm以上であるプロトン伝導性電解質膜を提供する。
【解決手段】ビニル含有スルホン酸とビニル含有ホスホン酸を含む液体中にポリマーフィルムを浸漬して該フィルムに該液体を含浸させて該フィルムを膨潤させるステップA)、及び、前記フィルム中に存在するビニル含有スルホン酸とビニル含有ホスホン酸を重合させるステップB)を含む方法による、160℃における固有伝導度が0.001S/cm以上であるプロトン伝導性電解質膜の製法。但し、前記膨潤用のフィルムはポリアゾールから製造され、前記膨潤用の液体はビニル含有ホスホン酸を20質量%以上含有し、前記膨潤用の液体中のビニル含有ホスホン酸のビニル含有スルホン酸に対する質量比は1:1以上であり、膨潤後のフィルムはビニル含有スルホン酸を10質量%含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリビニルスルホン酸を主成分とする低メタノール透過性のプロトン伝導性電解質膜であって、その優れた化学的性質のため非常に用途が広く、特にいわゆるPEM燃料電池において高分子電解質膜(PEM)として使用できる膜に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、電解質と、その電解質により隔てられた2つの電極とを通常備えている。燃料電池の場合、2つの電極の一方に水素ガスまたはメタノール/水混合物などの燃料が供給され、また他方の電極に酸素ガスまたは空気などの酸化剤が供給され、したがってその燃料の酸化に由来する化学的エネルギーが、電気エネルギーに直接変換される。その酸化反応の間に、プロトンおよび電子が生成される。
【0003】
この電解質は水素イオンすなわちプロトンについて透過性であるが、水素ガスまたはメタノールなどの反応性燃料および酸素ガスに対して透過性がない。
【0004】
燃料電池は一般に、MEE(膜電極単位)として知られている複数の単一電池を有し、それぞれの単一電池は1つの電解質と、その電解質により隔てられた2つの電極とを有する。
【0005】
高分子電解質膜などの固体、またはリン酸などの液体が、燃料電池向けの電解質として使用されている。高分子電解質膜が、燃料電池向け電解質として最近関心を持たれてきている。高分子膜の2つの異なった範疇が、基本的に存在する。
【0006】
第1の範疇には、共有結合された酸基、好ましくはスルホン酸基を含有するポリマー骨格からなるカチオン交換膜が包含される。このスルホン酸基は水素イオンを放出してアニオンとなり、したがってプロトンを伝導する。プロトンの移動度したがってプロトン伝導度は、水分含量に直接関連している。メタノールおよび水の優れた混和性のため、これらのカチオン交換膜は高いメタノール透過性を有し、したがって直接メタノール型燃料電池に使用するには不適当である。例えば高温のため膜が完全に乾燥する場合、膜の伝導度、したがって燃料電池の性能は劇的に低下する。これらのカチオン交換膜を内蔵する燃料電池の作動温度は、したがって水の沸騰する温度までに限定される。燃料電池の加湿は、ナフィオンなどの従来のスルホン化膜を用いている高分子電解質膜燃料電池(PEMFC)を使用するための、大きな技術的課題である。
【0007】
したがって、例えばパーフルオロスルホン酸ポリマーが高分子電解質膜向けの材料として使用される。パーフルオロスルホン酸ポリマー(例えばナフィオン)は、例えばテトラフルオロエチレンとトリフルオロビニルとのコポリマーなどの過フッ化炭化水素骨格と、パーフルオロアルキレン基に結合されたスルホン酸基を有する側鎖などの、その骨格に結合されたスルホン酸基を含有する側鎖とを一般に有する。
【0008】
カチオン交換膜は、共有結合された酸基、特にスルホン酸基を有する有機ポリマーであるのが好ましい。ポリマーをスルホン化する方法は、F.Kucera et al.ポリマーエンジニアリングアンドサイエンス 1988,Vol.38,No.5,783〜792中に記載されている。
【0009】
燃料電池において商業用に使用されている、最も重要な型のカチオン交換膜について以下に述べる。
【0010】
パーフルオロスルホン酸ポリマー、ナフィオン(登録商標)(米国特許第3692569号)が最も重要な代表的なものである。米国特許第4453991号中に記述されるように、このポリマーは溶解され、イオノマーとして使用できる。カチオン交換膜はまた、多孔性支持体に、この型のイオノマーを充填することによっても得られる。発泡テフロン(登録商標)が好ましい支持体である(米国特許第5635041号)。
【0011】
他のパーフルオロ化カチオン交換膜は、米国特許第5422411号中に記述されるように、トリフルオロスチレンとスルホニル変性トリフルオロスチレンとから共重合により生成させることができる。これらのスルホニル変性トリフルオロスチレンコポリマーからなるイオノマーを充填した多孔性支持体、特に発泡テフロン(登録商標)からなる複合膜が米国特許第5834523号に記載されている。
【0012】
米国特許第6110616号では燃料電池向けカチオン交換膜を製造するための、ブタジエンとスチレンとのコポリマー、およびその後のそれらのスルホン化を記述している。
【0013】
放射線グラフト化およびその後のスルホン化によって、他の部類の部分フッ素化カチオン交換膜を調製することができる。そこでは、欧州特許第667983号またはドイツ特許第19844645号中に記述されるように、前もって照射されたポリマーフィルム上で、好ましくはスチレンとのグラフト化反応が行われる。その後のスルホン化反応において、次いで側鎖のスルホン化が行われる。グラフト化と同時に架橋を行うこともでき、したがって機械的性質が変化する。
【0014】
上述の膜のほかに、高温で安定な熱可塑性プラスチック材料のスルホン化によって得られる他の部類の非フッ化膜が開発されてきている。すなわち、スルホン化ポリエーテルケトン(ドイツ特許第4219077号、欧州特許第96/01177号)、スルホン化ポリスルホン(J,Membr.Sci.83(1993)p.211)、スルホン化ポリフェニレンスルフィド(ドイツ特許第19527435号)の膜が知られている。スルホン化ポリエーテルケトンから生成されたイオノマーが国際公開第00/15691号中に記載されている。
【0015】
ドイツ特許第19817374号または国際公開第01/18894号に記載されるように、スルホン化ポリマーと塩基性ポリマーとを混合することにより生成される酸および塩基ブレンド膜も知られている。
【0016】
従来技術で知られているカチオン交換膜を、高温で安定なポリマーと混合することにより膜の性質をさらに改良できる。スルホン化PEKと、a)ポリスルホン(ドイツ特許第4422158号)、b)芳香族ポリアミド(第42445264号)、またはc)ポリベンズイミダゾール(ドイツ特許第19851498号)とのブレンドからなるカチオン交換膜の製造および性状がそれぞれ記述されている。
【0017】
全てのこれらのカチオン交換膜は、膜を湿らせていなければならず、作動温度が100℃までに制限され、また膜が高いメタノール透過性を有するという欠点を有する。これらの欠点は、プロトンの移動が水分子の移動と関連している、膜の伝導性機構のためである。この機構は、「媒質機構」(K.−D.Kreuer,Chem.Mater.1996,8,610〜641)として知られている。
【0018】
塩基性ポリマーと強酸との複合体を含有する高分子電解質膜が、第2の範疇として開発されてきている。すなわち、国際公開第96/13872号および対応する米国PS5525436号は、ポリベンズイミダゾールなどの塩基性ポリマーを、リン酸、硫酸などの強酸で処理しているプロトン伝導性高分子電解質膜の製造方法を記述している。
【0019】
リン酸によるポリベンズイミダゾールのドーピングが、J.Electrochem.Soc.,Volume 142,No.7,1995,pp.L121〜L123中に記述されている。
【0020】
従来技術から知られている塩基性高分子膜では、ドイツ特許出願第10117686.4号、第10144815.5号、および第10117687.2号におけるように、必要なプロトン伝導度に到達するために使用している無機酸(通常は濃リン酸)が成形後導入されるか、または別法として、ポリリン酸から直接塩基性高分子膜が生成されるかのいずれかである。このポリマーは、高度の濃リン酸またはポリリン酸からなる電解質のための支持体として使用される。この高分子膜は、他の機能を果しており、特に、高分子膜は高い機械的強度を有し、かつ先に言及した2つの燃料のためのセパレータとして作用しなければならない。
【0021】
リン酸またはポリリン酸をドープした膜の著しい利点は、この型の高分子電解質膜をその中に使用している燃料電池は、そうでない場合に必要な燃料の加湿なしに100℃を超える温度において作動できるという点である。このことは、いわゆるグロータスの機構(K.−D.Kreuer,Chem.Mater.1996,8,610〜641)により、付加的な水がなくてもプロトンを移動させるリン酸の能力によるものである。
【0022】
100℃を超える温度で作動させることが可能である点から、燃料電池系のさらなる利点が生じる。一方、ガス状不純物、特にCO、に対するPt触媒の感受性が著しく低減される。COは、天然ガス、メタノール、またはガソリンなどの炭素含有化合物からの水素に富んだガスへの改質の際に副生物として生成され、またはメタノールの直接酸化において中間生成物としても生成される。温度<100℃において、燃料のCO含量は、典型的に100ppm未満でなければならない。しかし、150〜200℃の範囲における温度では、10000ppm以上のCOさえも許容できる(N.J.Bjerrum et al.ジャーナルオブアプライドエレクトロケミストリー 2001,31,773〜779)。このことにより、先行する改質工程がかなり簡易化され、したがって燃料電池系全体のコストが低減される。
【0023】
燃料電池の大きな利点は、電気化学反応の間に、燃料のエネルギーが直接電気エネルギーおよび熱に変換されるという点である。陽極において反応生成物として水が生成される。したがって、電気化学反応の間に副生物として熱が発生される。例えば自動車の用途向けに、または電池系を多方面で置き換えるものとして電気モータを駆動するため電流だけが使用される用途の場合、その系の過熱を避けるために熱を運び出さなければならない。その際には、冷却の目的のため付加的なエネルギー消費装置を要し、それが燃料電池の全体の電気的効率をさらに低下させる。既存の技術により、例えば熱交換器において、また集中型もしくは非集中型の発電および熱発生などの固定用途について、熱を効率的に利用できる。効率を上げるため、高温が所望される。作動温度が100℃を超える場合、あるいは室温と作動温度との間の温度差が大きい場合、膜の加湿のため100℃未満で作動させなければならない燃料電池と比較して、より効率的に燃料電池系を冷却すること、または小さい冷却表面積を用い、かつ付加的な装置を省くことが可能になる。
【0024】
これらの利点のほかに、この型の燃料電池系は重大な欠点を有する。すなわち、リン酸またはポリリン酸は電解質の形態にあり、この電解質はイオン相互作用のため塩基性ポリマーに永久的に結合しておらず、水により洗い出される恐れがある。上述のように、電気化学反応の間に陽極で水が生成される。作動温度が100℃を超えると、大部分の水はガス拡散電極を通して水蒸気として排出され、酸の損失は非常に僅かである。しかし、例えば電池を始動し、また停止する場合、または高い電流効率が所望される場合に、部分的負荷により作動していると、作動温度が100℃未満に下がる場合、生成される水が凝縮し、電解質すなわち高度に濃縮されたリン酸またはポリリン酸の洗い出しが増加する恐れがある。ここにおいて前述の燃料電池の作動方式では、そのことが、伝導度および電池性能の連続的な損失につながる恐れがあり、それにより燃料電池の有効寿命が短縮される恐れがある。
【0025】
また、リン酸をドープした公知の膜は、いわゆる直接メタノール型燃料電池(DMFC)に使用することができない。しかし、これらの電池は、燃料としてメタノールおよび水の混合物が使用されるので特に興味のあるものである。リン酸を用いた公知の膜を使用する場合、この燃料電池は極めて短時間後に機能しなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
したがって、電解質の浸出を防止する新規な高分子電解質膜を提供することが本発明の目的である。本発明による高分子電解質膜を含んだ燃料電池は、純粋な水素に、また数多くの炭素含有燃料、特に天然ガス、ガソリン、メタノールおよびバイオマスに適している。
【0027】
また、本発明による膜の作製は、高価でなくかつ簡単である。本発明の他の目的は、高性能、特に高い伝導度を有する高分子電解質膜を提供することである。
【0028】
また、高い機械的強度、例えば高い弾性率、高い引裂強さ、低いクリープ、および高い破壊靭性、を有する高分子電解質膜を提供しようとしている。
【0029】
したがって、作動中においても、水素またはメタノールなどの広く様々な燃料に対する最小の透過性を有する膜を提供することが本発明のさらなる目的であった。本膜は酸素に対する最小の透過性をも有している。
【課題を解決するための手段】
【0030】
これらの目的は、ビニル含有スルホン酸を含む液体を生成させ、またこの液体中でポリマーのフィルムを膨潤させ、その後ポリビニルスルホン酸へと重合させることにより高分子電解質膜を生成させる方法によって達成される。本発明による高分子電解質膜は、メタノールに対する非常に低い透過性を有しており、DMFCにおける使用に特に適している。これにより、水素、天然ガス、ガソリン、メタノールまたはバイオマスなどの複数の燃料による燃料電池の連続的な作動が可能である。本膜によりこれらの燃料の特に高い活性度が可能になっている。高温のため、高い活性度でメタノールの酸化を行うことができる。
本発明による膜はまた、高い機械的強度、特に高い弾性率、高い引裂強さ、低いクリープ、および高い破壊靭性をも示す。これらの膜はまた、驚くほど長い有効寿命をも有する。
【0031】
本発明は、以下のステップA)およびB)を含む方法によって得られる、160℃における固有伝導度が0.001S/cm以上であるプロトン伝導性電解質膜の製造方法である。
A)ビニル含有スルホン酸とビニル含有ホスホン酸を含む液体中にポリマーフィルムを浸漬して該フィルムに該液体を含浸させて該フィルムを膨潤させるステップ、及び、
B)前記フィルム中に存在するビニル含有スルホン酸とビニル含有ホスホン酸を重合させるステップ。
但し、(i)前記膨潤用のフィルムはポリアゾールから製造されたものであり、
(ii)前記膨潤用の液体はビニル含有ホスホン酸を20質量%以上含有し、
(iii)前記膨潤用の液体中のビニル含有ホスホン酸のビニル含有スルホン酸に対する質量比は1:1以上であり、
(iv)膨潤後のフィルムは、ビニル含有スルホン酸を10質量%以上含有し、
(v)ビニル含有スルホン酸は、下記の化学式(1)、(2)または(3)のいずれかの構造を有する化合物であり、
(vi)ビニル含有ホスホン酸は、下記の化学式(4)、(5)または(6)のいずれかの構造を有する化合物である。
【0032】
【化1】


上式中、Rは、単結合、C1〜C15のアルキレン基、C1〜C15のアルキレンオキシ基、またはC5〜C20のアリーレンもしくはヘテロアリーレン基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換されていてもよく、Zは、互いに独立して、水素、C1〜C15のアルキル基、C1〜C15のアルコキシ基、またはC5〜C20のアリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、−CNで置換されていてもよく、またxは、整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10を表し、yは、整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10を表す。
【化2】



上式中、Rは、単結合、C1〜C15のアルキレン基、C1〜C15のアルキレンオキシ基、またはC5〜C20のアリーレンもしくはヘテロアリーレン基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換されていてもよく、Zは、互いに独立して、水素、C1〜C15のアルキル基、C1〜C15のアルコキシ基、またはC5〜C20のアリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、−CNで置換されていてもよく、xは、整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10を表す。
【化3】


上式中、Aは、式COOR2、CN、CONR22、OR2、および/またはR2の基を表し、ここでR2は、水素、C1〜C15のアルキル基、C1〜C15のアルコキシ基、またはC5〜C20のアリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換されていてもよく、Rは、単結合、C1〜C15のアルキレン基、C1〜C15のアルキレンオキシ基、またはC5〜C20のアリーレンもしくはヘテロアリーレン基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換されていてもよく、Zは、互いに独立して、水素、C1〜C15のアルキル基、C1〜C15のアルコキシ基、またはC5〜C20のアリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、−CNで置換されていてもよく、xは、整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10を表す。
【化4】


上式中、Rは、単結合、C1〜C15のアルキレン基、C1〜C15のアルキレンオキシ基、またはC5〜C20のアリーレンもしくはヘテロアリーレン基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換されていてもよく、Zは、互いに独立して、水素、C1〜C15のアルキル基、C1〜C15のアルコキシ基、またはC5〜C20のアリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、−CNで置換されていてもよく、xは、整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10を表し、yは、整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10を表す。
【化5】


上式中、Rは、単結合、C1〜C15のアルキレン基、C1〜C15のアルキレンオキシ基、またはC5〜C20のアリーレンもしくはヘテロアリーレン基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換されていてもよく、Zは、互いに独立して、水素、C1〜C15のアルキル基、C1〜C15のアルコキシ基、またはC5〜C20のアリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、−CNで置換されていてもよく、またxは、整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10を表す。
【化6】


上式中、Aは、式COOR2、CN、CONR22、OR2、および/またはR2の基を表し、その場合R2は、水素、C1〜C15のアルキル基、C1〜C15のアルコキシ基、またはC5〜C20アリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換されていてもよく、Rは、単結合、C1〜C15のアルキレン基、C1〜C15のアルキレンオキシ基、またはC5〜C20のアリーレンもしくはヘテロアリーレン基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換されていてもよく、Zは、互いに独立して、水素、C1〜C15のアルキル基、C1〜C15のアルコキシ基、またはC5〜C20のアリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、−CNで置換されていてもよく、またxは、整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10を表す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
ステップA)において使用しているポリマーフィルムは、ビニルスルホン酸含有液体中で少なくとも3%の膨潤を示すフィルムである。膨潤とは、フィルムの重量における少なくとも3重量%の増加を意味する。膨潤は少なくとも5%、特に好ましくは少なくとも10%であることが好ましい。
【0034】
膨潤Qは、膨潤前のフィルムの質量m0と、ステップB)による重合後のフィルムの質量m2とから重量的に測定される。
【0035】
Q=(m2−m0)/m0×100
少なくとも5重量%のビニルスルホン酸を含有しているビニルスルホン酸含有液体中で0℃を超える温度、特に室温(20℃)と180℃の間で膨潤が行われることが好ましい。加圧下で膨潤を行わせることもできる。その限界は経済的考察および技術的設備により決まる。
【0036】
膨潤させるのに使用しているポリマーフィルムは、好ましくは5〜3000μm、特に好ましくは10〜1500μmの範囲の厚さを有する。ポリマーからのこれらのフィルムの作製は一般に知られており、これらフィルムの幾つかのものは市販されている。用語「ポリマーフィルム」は、膨潤させるために使用しようとするフィルムがポリマーを含んでなることを意味するが、このフィルムは他の一般的な慣用的添加剤を含有することもできる。
【0037】
好ましいポリマーとしては、なかんずく、ポリ(クロロプレン)のようなポリオレフィン;ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリ(p−キシリレン)、ポリアリールメチレン、ポリスチレン、ポリメチルスチレ、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルアミン、ポリ(N−ビニルアセタミド)、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン;ヘキサフルオロプロピレンとの、パーフルオロプロピルビニルエーテルとの、トリフルオロニトロソメタンとの、カルブアルコキシパーフルオルアルコキシビニルエーテルとのPTFEのコポリマー;ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクロレイン、ポリアクリルアミド、ポリアクリルニトリル、ポリシアンアクリレート、ポリメタクリルイミド、特にノルボルネンのようなシクロオレフィン性コポリマー;主鎖中にC−O結合を有するポリマー、例えばポリアセタール、ポリオキシメチレン、ポリエーテル、ポリプロピレンオキシド、ポリエピクロルヒドリン、ポリテトラヒドロフラン、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルケトン、ポリエステル、特にポリヒドロキシ酢酸、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヒドロキシベンゾエート、ポリヒドロキシプロピオン酸、ポリピバロラクトン、ポリカプロラクトン、ポリマロン酸、ポリカーボネート;主鎖中にC−S結合を有するポリマー、例えばポリスルフィドエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン;主鎖中にC−N結合を有するポリマー、例えばポリイミン、ポリイソシアニド、ポリエーテルイミン、ポリエーテルイミド、ポリアニリン、ポリアラミド、ポリアミド、ポリヒドラジド、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアゾール、ポリアゾールエーテルケトン、ポリアジン;液晶性ポリマー、特にベクトラ、ならびに無機ポリマー、例えばポリシラン、ポリカルボシラン、ポリシロキサン、ポリケイ酸、ポリシリケート、シリコーン、ポリホスファゼン、およびポリチアジルが挙げられる。
【0038】
本発明の特定の態様では、高温で安定であり、かつ1つまたは複数の反復単位内に、少なくとも1個の窒素、酸素および/または硫黄原子を有するポリマーを使用している。
【0039】
120℃を超える温度において燃料電池内の高分子電解質として連続的に作動できるポリマーは、本発明において、高温で安定であるとされる。連続的にとは、国際公開第01/18894A2号中に記載された方法により測定することができる性能が、初期性能に対して50%を超えて低下することなく、少なくとも120℃において、好ましくは少なくとも160℃において少なくとも100時間、好ましくは少なくとも500時間、本発明による膜を作動させることができることを意味する。
【0040】
ステップA)において使用しているポリマーは、少なくとも100℃、好ましくは少なくとも150℃、またより特に好ましくは少なくとも180℃のガラス転移温度またはビカット軟化温度VST/A/50を有するポリマーであることが好ましい。
【0041】
1つの反復単位内に少なくとも1個の窒素原子を含有しているポリマーが特に好ましい。特に、1つの反復単位当り少なくとも1個の窒素のヘテロ原子を有する少なくとも1つの芳香環を含有しているポリマーが好ましい。この群内では、ポリアゾールを主成分とするポリマーが特に好ましい。これらの塩基性ポリアゾールポリマーは、1つの反復単位当り少なくとも1個の窒素のヘテロ原子を有する少なくとも1つの芳香環を含有する。
【0042】
この芳香環は、1〜3個の窒素原子を有する5員もしくは6員環であることが好ましく、他の環、特に他の芳香環と縮合していてもよい。
【0043】
ポリアゾールを主成分とするポリマーは、一般式(I)および/または(II)および/または(III)および/または(IV)および/または(V)および/または(VI)および/または(VII)および/または(VIII)および/または(IX)および/または(X)および/または(XI)および/または(XII)および/または(XIII)および/または(XIV)および/または(XV)および/または(XVI)および/または(XVII)および/または(XVIII)および/または(XIX)および/または(XX)および/または(XXI)および/または(XXII):
【0044】
【化7】

【0045】
【化8】

【0046】
【化9】

【0047】
【化10】

【0048】
(式中、Arは同一でも異なっていてもよく、かつそれぞれ単環もしくは多環でもよい4価の芳香族またはヘテロ芳香族基を表し、Ar1は同一でも異なっていてもよく、かつそれぞれ単環もしくは多環でもよい2価の芳香族またはヘテロ芳香族基を表し、Ar2は同一でも異なっていてもよく、かつそれぞれ単環もしくは多環でもよい2価もしくは3価の芳香族またはヘテロ芳香族基を表し、Ar3は同一でも異なっていてもよく、かつそれぞれ単環もしくは多環でもよい3価の芳香族またはヘテロ芳香族基を表し、Ar4は同一でも異なっていてもよく、かつそれぞれ単環もしくは多環でもよい3価の芳香族またはヘテロ芳香族基を表し、Ar5は同一でも異なっていてもよく、かつそれぞれ単環もしくは多環でもよい4価の芳香族またはヘテロ芳香族基を表し、Ar6は同一でも異なっていてもよく、かつそれぞれ単環もしくは多環でもよい2価の芳香族またはヘテロ芳香族基を表し、Ar7は同一でも異なっていてもよく、かつそれぞれ単環もしくは多環でもよい2価の芳香族またはヘテロ芳香族基を表し、Ar8は同一でも異なっていてもよく、かつそれぞれ単環もしくは多環でもよい3価の芳香族またはヘテロ芳香族基を表し、Ar9は同一でも異なっていてもよく、かつそれぞれ単環もしくは多環でもよい2価もしくは3価もしくは4価の芳香族またはヘテロ芳香族基を表し、Ar10は同一でも異なっていてもよく、かつそれぞれ単環もしくは多環でもよい2価もしくは3価の芳香族またはヘテロ芳香族基を表し、Ar11は同一でも異なっていてもよく、かつそれぞれ単環もしくは多環でもよい2価の芳香族またはヘテロ芳香族基を表し、Xは同一または異なっており、かつそれぞれ酸素、硫黄、または水素原子を有するアミノ基、炭素原子1〜20個を含有する基、好ましくは分枝したもしくは非分枝のアルキルもしくはアルコキシ基、またはさらなる基としてアリール基を表し、Rは同一または異なっており、かつ水素、アルキル基、および芳香族基を表し、n、mは、10を超える、好ましくは100を超える整数である。)のアゾール反復単位を含有する。
【0049】
本発明により好ましい芳香族もしくはヘテロ芳香族基は、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ビスフェノン、ジフェニルスルホン、チオフェン、フラン、ピロール、チアゾール、オキサゾール、イミダゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピラゾール、1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ジフェニル−1,3,4−オキサジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,3,4−トリアゾール、2,5−ジフェニル−1,3,4−トリアゾール、1,2,5−トリフェニル−1,3,4−トリアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,3,4−テトラゾール、ベンゾ[b]チオフェン、ベンゾ[b]フラン、インドール、ベンゾ[c]チオフェン、ベンゾ[c]フラン、イソインドール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズイソキサゾール、ベンズイソチアゾール、ベンゾピラゾール、ベンゾチアジアゾ−ル、ベンゾトリアゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、ピリジン、ビピリジン、ピラジン、ピラゾール、ピリミジン、ピリダジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,4,5−トリアジン、テトラジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、1,8−ナフチリジン、1,5−ナフチリジン、1,6−ナフチリジン、1,7−ナフチリジン、フタルアジン、ピリドピリミジン、プリン、プテリジンまたはキノリジン、4H−キノリジン、ジフェニルエーテル、アントラセン、ベンゾピロール、ベンゾオキサチアジアゾール、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾピリジン、ベンゾピラジン、ベンゾピラジジン、ベンゾピリミジン、ベンゾトリアジン、インドリジン、ピリドピリジン、イミダゾピリミジン、ピラジノピリミジン、カルバゾール、アシリジン、フェナジン、ベンゾキノリン、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジン、ベンゾプテリジン、フェナントロリン、およびフェナントレン由来のものであり、これらは場合によって置換されていてもよい。
【0050】
Ar1、Ar4、Ar6、Ar7、Ar8、Ar9、Ar10、Ar11の置換パターンは任意選択である。フェニレンの場合、例えば、Ar1、Ar4、Ar6、Ar7、Ar8、Ar9、Ar10、Ar11は、オルト−、メタ−およびパラ−フェニレンとすることができる。特に好ましい基はベンゼンおよびビフェニレン由来のものであり、これらは場合によって置換することもできる。
【0051】
好ましいアルキル基としては、1〜4個の炭素原子を含有する短鎖アルキル基、例えばメチル、エチル、n−もしくはi−プロピル、およびt−ブチル基が挙げられる。
【0052】
好ましい芳香族基としてはフェニルまたはナフチル基が挙げられる。アルキル基および芳香族基は、置換されていてもよい。
【0053】
好ましい置換基としては、ハロゲン原子、例えばフッ素、アミノ基、ヒドロキシ基、または短鎖アルキル基、例えばメチルもしくはエチル基が挙げられる。
【0054】
1つの反復単位内の基Xが同一である式(I)の反復単位を有するポリアゾールが好ましい。ポリアゾールは、基本的に、異なった反復単位、例えばそれらの基Xが異なっている反復単位、を含有することもできる。しかし、1つの反復単位内では同一の基を含有するだけであることが好ましい。
【0055】
本発明の他の一実施形態において、アゾール反復単位を含有するポリマーは、互いに異なっている少なくとも2種の式(I)〜(XXII)の単位を有するコポリマーまたはブレンドである。このポリマーはブロックコポリマー(ジブロック、トリブロック)、ランダムコポリマー、周期性コポリマーおよび/または交互ポリマーの形とすることができる。
【0056】
ポリマー中のアゾール反復単位の数は、10を超える整数であることが好ましい。特に好ましいポリマーは、少なくとも100個のアゾール反復単位を含有する。
【0057】
本発明に関連して、ベンズイミダゾール反復単位を含有するポリマーが好ましい。下記の式は、ベンズイミダゾール反復単位を含有する最も適切なポリマーの例を示している:
【0058】
【化11】

【0059】
【化12】

【0060】
【化13】

【0061】
【化14】

【0062】
(式中、nおよびmは10を超える、好ましくは100を超える整数である。)
ステップA)において使用するポリアゾール、特にポリベンズイミダゾールは、高い分子量で特徴づけられ。固有粘度として測定して、この分子量は少なくとも0.2dl/g、特に0.8〜10dl/g、特に好ましくは1〜5dl/gであることが好ましい。
【0063】
さらに好ましいポリアゾールポリマーとしては、ポリイミダゾール、ポリベンズチアゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリトリアゾール、ポリオキサジアゾール、ポリチアジアゾール、ポリピラゾール、ポリキノキサリン、ポリ(ピリジン)、ポリ(ピリミジン)、およびポリ(テトラザピレン)が挙げられる。
【0064】
セラニーズ社製のセラゾール、特にドイツ特許出願第10129458.1号中に記載され、またふるい処理されたポリマーを使用しているセラゾールが特に好ましい。
【0065】
さらに、ドイツ特許出願第10117687.2号中に記載される方法により得られているポリアゾールが好ましい。
【0066】
好ましいポリマーにはポリスルホン、特に主鎖中に芳香族基および/またはヘテロ芳香族基を有するポリスルホンが挙げられる。本発明の特定の態様により、好ましいポリスルホンおよびポリエーテルスルホンは、ISO 1133に従って測定し40cm3/10分以下の、特に30cm3/10分以下の、また特に好ましくは20cm3/10分以下のメルトボリュームフローレートMVR300/21,6を有する。180℃〜230℃のビカー軟化温度VST/A/50を有するポリスルホンが好ましい。本発明のさらに好ましい実施形態において、ポリスルホンの数平均分子量は30,000g/モルを超えるものである。
【0067】
ポリスルホンを主成分とするポリマーには、特に、一般式A、B、C、D、E、Fおよび/またはG:
【0068】
【化15】

【0069】
(式中、基Rは、互いに独立して、同一でも異なっていてもよく、かつ芳香族もしくはヘテロ芳香族基を表し、これらの基は先に詳述している。これらの基としては、特に1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、4,4′−ビフェニル、ピリジン、キノリン、ナフタレン、フェナントレンが挙げられる。)による、結合しているスルホン基を有する反復単位を含有するポリマーが挙げられる。
【0070】
本発明に関連して好ましいポリスルホンとしては、ホモポリマーおよびコポリマー、例えばランダムコポリマーが挙げられる。特に好ましいポリスルホンは式H〜N:
【0071】
【化16】

【0072】
(式中、n>oである。)
【0073】
【化17】

【0074】
(式中、n<oである。)
【0075】
【化18】

【0076】
の反復単位を含む。
【0077】
上述のポリスルホンは、(登録商標)ビクトレックス200P、(登録商標)ビクトレックス720P、(登録商標)ウルトラソンE、(登録商標)ウルトラソンS、(登録商標)ミンデル、(登録商標)ラデルA、(登録商標)ラデルR、(登録商標)ビクトレックスHTA、(登録商標)アストレル、および(登録商標)ユーデルの商品名で市販されている。
【0078】
さらに、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンケトン、およびポリアリールケトンが特に好ましい。これらの高性能ポリマーは公知であり、ビクトレックス(登録商標)PEEK(商標)、(登録商標)ホスタテック、(登録商標)カデルの商品名で市販されている。
【0079】
上述のポリマーは単独で、または混合物(ブレンド)として使用できる。特に、ポリアゾールおよび/またはポリスルホンを含有するブレンドが好ましい。ブレンドの使用により、機械的性質を改善し、かつ材料費を低減させることができる。
【0080】
さらに、本ポリマーフィルムは、ドイツ特許出願第10110752号や国際公開第00/44816号におけるように、例えば架橋によって、さらなる改質を示すことができる。好ましい実施形態では、塩基性ポリマーと少なくとも1種のブレンド成分とを含む、膨潤向けに使用されるポリマーフィルムは、ドイツ特許出願第10140147.7号に記載されるような、架橋剤を付加的に含有する。
【0081】
ドイツ特許出願第10109829.4号に記載されるように、膨潤向けに使用されるポリマーフィルムが前処理されることも有利である。この変形形態は、ポリマーフィルムの膨潤を促進するために有利である。
【0082】
従来法で製造されるポリマーフィルムの代わりに、ドイツ特許出願第10117686.4号、第10144815.5号、第10117687.2号に記載されているようなポリアゾール含有高分子膜を使用できる。この目的のため、これらの膜からポリリン酸および/またはリン酸を除き、ステップA)に導入する。
【0083】
本発明による高分子膜は、他の添加剤、すなわち充填材および/または補助剤を含有することもできる。
【0084】
適用技術に関連して性質をより改良するために、充填材、特にプロトン伝導性充填材、および付加的な酸を本膜に添加することもできる。添加は、例えばステップA)において実施できる。また、これらの添加剤が液体である場合、ステップB)による重合の後これらの添加剤を添加することもできる。
【0085】
プロトン伝導性充填材の具体例としては、特に限定されるものではないが、CsHSO4、Fe(SO42、(NH43H(SO42、LiHSO4、NaHSO4、KHSO4、RbSO4、LiN25SO4、NH4HSO4などの硫酸塩;Zr3(PO44、Zr(HPO42、HZr2(PO43、UO2PO4.3H2O、H8UO2PO4、Ce(HPO42、Ti(HPO42、KH2PO4、NaH2PO4、LiH2PO4、NH42PO4、CsH2PO4、CaHPO4、MgHPO4、HSbP28、HSb3214、H5Sb5220などのリン酸塩;H3PW1240.nH2O(n=21〜29)、H3SiW1240.nH2O(n=21〜29)、HxWO3、HSbWO6、H3PMo1240、H2Sb411、HTaWO6、HNbO3、HTiNbO5、HTiTaO5、HSbTeO6、H5Ti49、HSbO3、H2MoO4などの多酸;(NH43H(SeO42、UO2AsO4、(NH43H(SeO42、KH2AsO4、Cs3H(SeO42、Rb3H(SeO42などの亜セレン酸塩およびヒ素化物;Al23、Sb25、ThO2、SnO2、ZrO2、MoO3などの酸化物;ゼオライト、ゼオライト(NH4+)、層状ケイ酸塩、立体網状ケイ酸塩、H−ソーダ沸石、H−モルデン沸石、NH4−方沸石、NH4−ソーダライト、NH4−ガレート、H−モンモリロナイトなどのケイ酸塩;HClO4、SbF5などの酸;炭化物、特にSiC、Si34、繊維、特にガラス繊維、ガラス粉末、および/または、好ましくはポリアゾールを主成分とするポリマー繊維などの充填材が挙げられる。
【0086】
これらの添加剤は、高分子膜中に従来の量で含有できるが、膜の高い伝導度、長い有効寿命、および高い機械的強度などの前向きの性質が、過剰な量の添加剤によって悪影響を受けてはならない。一般に、ステップB)における重合後、本膜は多くて80重量%、好ましくは多くて50重量%、また特に好ましくは多くて20重量%の添加剤を含む。
【0087】
また、本膜はパーフルオロ化スルホン酸添加剤を含有することもできる(好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.2〜15重量%、また特に好ましくは0.2〜10重量%)。これらの添加剤は性能を改良し、陽極領域における酸素溶解性および酸素拡散を促進し、また白金へのリン酸およびリン酸塩の吸着を減少させる。(「リン酸燃料電池に対する電解質添加剤」Gang,Xiao;Hjuler,H.A.;Olsen,C.;Berg,R.W.;Bjerrum,N.J.,Chem.Dep.A,Tech.Univ.Denmark,Lyngby,Den. J.Electrochem.Soc.(1993),140(4),896〜902、および「リン酸燃料電池における添加剤としてのパーフルオロスルホンイミド」Razaq,M.;Razaq,A.;Yeager,E.;DesMarteau,Darryl D.;Singh,S. Case Cent.Electrochem.Sci.,Case West.Reserve Univ.,Cleveland,OH,USA. J.Electrochem.Soc.(1989),136(2),385〜90。)
パースルホン化添加剤の具体例としては、特に限定されるものではないが、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸アンモニウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸カリウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸リチウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸アンモニウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸カリウム、ノナフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、ノナフルオロブタンスルホン酸リチウム、ノナフルオロブタンスルホン酸アンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸セシウム、パーフルオロヘキサスルホン酸トリエチルアンモニウム、およびパーフルオロスルホイミドが挙げられる。
【0088】
ビニル含有スルホン酸は、当業者に公知である。これらは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合と、少なくとも1つのスルホン酸基とを有する化合物である。炭素−炭素二重結合を形成する2つの炭素原子は、二重結合の最小の立体障害をもたらす基への少なくとも2つの、好ましくは3つの、結合を有することが好ましい。これらの基としては、なかんずく水素原子、およびハロゲン原子、特にフッ素原子が挙げられる。本発明に関連して、ビニル含有スルホン酸単独による重合、またはビニル含有スルホン酸のさらなるモノマーおよび/もしくは架橋剤との重合により得られる重合生成物からポリビニルスルホン酸が得られる。
【0089】
ビニル含有スルホン酸は、1つ、2つ、3つ、またはそれを超える炭素−炭素二重結合を含むことができる。また、ビニル含有スルホン酸は、1つ、2つ、3つ、またはそれを超えるスルホン酸基を含有できる。
【0090】
一般に、ビニル含有スルホン酸は、2〜20個の、好ましくは2〜10個の炭素原子を含有する。
【0091】
ステップA)において使用されるビニル含有スルホン酸は、下式
【0092】
【化19】

【0093】
(式中、Rは、単結合、C1〜C15−アルキル基、C1〜C15−アルコキシ基、エチレンオキシ基、またはC5〜C20−アリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換されていてもよく、Zは、互いに独立して、水素、C1〜C15−アルキル基、C1〜C15−アルコキシ基、エチレンオキシ基、またはC5〜C20−アリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、−CNで置換されていてもよく、またxは、整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10を表し、yは、整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10を表す)、
および/または下式
【0094】
【化20】

【0095】
(式中、Rは、単結合、C1〜C15−アルキル基、C1〜C15−アルコキシ基、エチレンオキシ基、またはC5〜C20−アリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換されていてもよく、
Zは、互いに独立して、水素、C1〜C15−アルキル基、C1〜C15−アルコキシ基、エチレンオキシ基、またはC5〜C20−アリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、−CNで置換されていてもよく、またxは、整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10を表す)、
および/または下式
【0096】
【化21】

【0097】
(式中、Aは、式COOR2、CN、CONR22、OR2、および/またはR2の基を表し、その場合R2は、水素、C1〜C15−アルキル基、C1〜C15−アルコキシ基、エチレンオキシ基、またはC5〜C20−アリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換されていてもよく、Rは、単結合、2価のC1〜C15−アルキレン基、2価のC1〜C15−アルキレンオキシ基、例えばエチレンオキシ基、または2価のC5〜C20−アリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換されていてもよく、Zは、互いに独立して、水素、C1〜C15−アルキル基、C1〜C15−アルコキシ基、エチレンオキシ基、またはC5〜C20−アリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、−CNで置換されていてもよく、またxは、整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10を表す)の化合物であることが好ましい。
【0098】
好ましいビニル含有スルホン酸としては、エテンスルホン酸、プロペンスルホン酸、ブテンスルホン酸などのスルホン酸基を含有するアルケン;例えば2−スルホメチルアクリル酸、2−スルホメチルメタクリル酸、2−スルホメチルアクリル酸アミド、および2−スルホメチルメタクリル酸アミドなどのスルホン酸基を含有するアクリル酸および/またはメタクリル酸化合物が挙げられる。
【0099】
例えばアルドリッチ社またはクラリアントGmbH社製の市販のビニルスルホン酸(エテンスルホン酸)が、特に好ましく使用される。好ましいビニルスルホン酸は、70%を超える純度、特に90%、また特に好ましくは97%を超える純度を有する。
【0100】
ビニル含有スルホン酸は、誘導体の形で使用することもでき、この誘導体は後で酸に変換でき、その酸への変換は重合された状態で行うこともできる。これらの誘導体としては、特にビニル含有スルホン酸の塩、エステル、アミドおよびハロゲン化物が挙げられる。
【0101】
ステップA)において調製される膨潤したポリマーフィルムは、膨潤した後、合計重量に対して少なくとも1重量%の、特に少なくとも10重量%の、また特に好ましくは少なくとも30重量%の、ビニル含有スルホン酸を含有するのが好ましい。本発明の特定の態様では、ステップA)において生成される膨潤したポリマーフィルムは、合計重量に対して多くて60重量%の、特に多くて50重量%のポリマーフィルム、また特に好ましくは多くて30重量%のポリマーフィルムを含有する。この値は、膨潤に起因する重量の増加から測定できる。
【0102】
本発明の特定の実施形態により、ステップA)による混合物は、ビニル含有ホスホン酸を含む。本膜の高温での性質は、ビニル含有ホスホン酸の添加により、驚くほど向上させることができる。本発明による膜は、これらのホスホン酸の比較的少量の導入によってさえも、加湿せずに短時間作動でき、それによって膜が破壊されることはない。ビニル含有ホスホン酸の含量を増加させると、温度を上げるにつれて効率が上がり、この効率は加湿しなくとも達成される。
【0103】
本膜中に含有され、かつ反応性基により架橋させることもできるポリビニルホスホン酸は、高温で安定であるポリマーと相互貫入性の網目を形成する。形成される生成物水による、もしくはDMFCの場合は水性燃料による電解質の洗い出しが著しく減少される。本発明による高分子電解質膜は、非常に低いメタノール透過性を有し、特に、DMFCにおける使用に適している。したがって、水素、天然ガス、ガソリン、メタノールまたはバイオマスなどの複数の燃料による燃料電池の連続的作動が可能である。本膜により、これらの燃料の特に高い活性度が可能になっている。高温において、高い活性度によりメタノール酸化を行うことができる。特定の実施形態において、これらの膜は、特に100〜200℃の範囲における温度での、いわゆる蒸気状DMFCにおける作動に適している。
【0104】
100℃を超える温度で作動できることにより、ガス状不純物、特にCOに対するPt触媒の感受性が著しく低減される。COは、天然ガス、メタノール、またはガソリンなどの炭素含有化合物からの水素に富んだガスの改質の間副生物として生成され、またはメタノールの直接酸化の間に中間生成物としても生成される。120℃を超える温度において、燃料のCO含量は、Pt触媒の触媒効果が劇的に低下することなしに、典型的に5000ppmを超えることができる。しかし、150〜200℃の範囲における温度では、10000ppm以上のCOであっても許容することができる(N.J.Bjerrum et al.ジャーナルオブアプライドエレクトロケミストリー 2001,31,773〜779)。このことにより、上流の改質工程がかなりの簡易化され、また燃料電池系全体のコストが低減される。
【0105】
高いホスホン酸含量を有する本発明による膜は、広い温度範囲にわたって高い伝導度を有し、この伝導度は加湿なしでも達成される。また、本発明による膜を装着した燃料電池は、スルホン酸含量が比較的高い場合、低温で、例えば加湿して5℃で作動させることもできる。
【0106】
ビニル含有ホスホン酸は、当業者に公知である。これらは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合と、少なくとも1つのホスホン酸基とを有する化合物である。炭素−炭素二重結合を形成する2つの炭素原子は、二重結合の最小の立体障害をもたらす基への少なくとも2つの、好ましくは3つの、結合を有することが好ましい。これらの基としては、なかんずく水素原子、およびハロゲン原子、特にフッ素原子が挙げられる。本発明においては、ビニル含有ホスホン酸単独による重合、またはビニル含有ホスホン酸の他のモノマーおよび/もしくは架橋剤との重合により得られる重合生成物からポリビニルホスホン酸が得られる。
【0107】
ビニル含有ホスホン酸は、1つ、2つ、3つ、またはそれを超える炭素−炭素二重結合を含むことができる。また、ビニル含有ホスホン酸は、1つ、2つ、3つ、またはそれを超えるホスホン酸基を含有できる。
【0108】
一般に、ビニル含有ホスホン酸は、2〜20個の、好ましくは2〜10個の炭素原子を含有する。
【0109】
ステップA)において使用されるビニル含有ホスホン酸は、下式
【0110】
【化22】

【0111】
(式中、Rは、単結合、C1〜C15のアルキル基、C1〜C15のアルコキシ基、エチレンオキシ基、またはC5〜C20のアリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換されていてもよく、Zは、互いに独立して、水素、C1〜C15のアルキル基、C1〜C15のアルコキシ基、エチレンオキシ基、またはC5〜C20のアリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、−CNで置換されていてもよく、またxは、整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10を表し、yは、整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10を表す)、
および/または式
【0112】
【化23】

【0113】
(式中、Rは、単結合、C1〜C15のアルキル基、C1〜C15のアルコキシ基、エチレンオキシ基、またはC5〜C20のアリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換されていてもよく、Zは、互いに独立して、水素、C1〜C15のアルキル基、C1〜C15のアルコキシ基、エチレンオキシ基、またはC5〜C20のアリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、−CNで置換されていてもよく、またxは、整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10を表す)、
および/または式
【0114】
【化24】

【0115】
(式中、Aは、式COOR2、CN、CONR22、OR2、および/またはR2の基を表し、その場合R2は、水素、C1〜C15のアルキル基、C1〜C15のアルコキシ基、エチレンオキシ基、またはC5〜C20のアリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換されていてもよく、Rは、単結合、2価のC1〜C15のアルキレン基、2価のC1〜C15のアルキレンオキシ基、例えばエチレンオキシ基、または2価のC5〜C20のアリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換されていてもよく、Zは、互いに独立して、水素、C1〜C15のアルキル基、C1〜C15のアルコキシ基、エチレンオキシ基、またはC5〜C20のアリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、−CNで置換されていてもよく、またxは、整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10を表す)の化合物であることが好ましい。
【0116】
好ましいビニル含有ホスホン酸としては、なかんずく、エテンホスホン酸、プロペンホスホン酸、ブテンホスホン酸などのホスホン酸基を含有するアルケン;例えば2−ホスホメチルアクリル酸、2−ホスホメチルメタクリル酸、2−ホスホメチルアクリル酸アミド、および2−ホスホメチルメタクリル酸アミドなどのホスホン酸基を有するアクリル酸および/またはメタクリル酸化合物が挙げられる。
【0117】
例えばアルドリッチ社またはクラリアントGmbH社製の市販のビニルホスホン酸(エテンホスホン酸)が特に好ましく使用される。好ましいビニルホスホン酸は、70%を超える純度、特に90%、また特に好ましくは97%を超える純度を有する。
【0118】
ビニル含有ホスホン酸は誘導体の形で使用することもでき、この誘導体は後で酸に変換することができ、またその酸への変換を重合された状態で実施することもできる。これらの誘導体としては、特にビニル含有ホスホン酸の塩、エステル、アミドおよびハロゲン化物が挙げられる。
【0119】
ビニル含有ホスホン酸の使用は、任意選択である。ステップA)において膨潤のため使用される液体は、液体の合計重量に対して、少なくとも20重量%の、特に少なくとも30重量%の、また特に好ましくは少なくとも50重量%の、ビニル含有ホスホン酸を含むことが好ましい。
【0120】
ステップA)において膨潤のため使用される液体は、さらに有機および/または無機溶媒を付加的に含有できる。有機溶媒としては、特に、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの極性非プロトン性溶媒、酢酸エチルなどのエステル、ならびにエタノール、プロパノール、イソプロパノールおよび/またはブタノールなどのアルコールなどの極性プロトン性溶媒が挙げられる。無機溶媒には、特に水、リン酸、およびポリリン酸が挙げられる。
【0121】
これらの溶媒は、加工に有利となることができる。特に、有機溶媒を添加することによってポリマーの溶解性を向上させることができる。このような溶液中のビニル含有スルホン酸の含量は一般に少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、特に好ましくは10〜97重量%の範囲にある。このような溶液中のビニル含有ホスホン酸の含量は好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%、特に好ましくは10〜97重量%の範囲にある。
【0122】
ビニル含有ホスホン酸のビニル含有スルホン酸に対する重量比は、広い範囲で変化させることができる。ビニル含有ホスホン酸のビニル含有スルホン酸に対する比率は、1:100〜99:1の範囲に、特に1:10〜10:1の範囲にあるのが好ましい。1:1以上の、特に3:1以上の、特に好ましくは5:1以上の比率において、本膜を加湿せずに100℃を超える温度でやはり作動できる。
【0123】
本発明の他の実施形態において、ビニル含有スルホン酸を含む液体は、架橋することが可能な他のモノマーを含有する。これらのモノマーは、特に少なくとも2つの炭素−炭素二重結合を含む化合物である。ジエン、トリエン、テトラエン、ジメチルアクリレート、トリメチルアクリレート、テトラメチルアクリレート、ジアクリレート、トリアクリレート、テトラアクリレートが好ましい。
【0124】
特に好ましいものは、下式
【0125】
【化25】

【0126】
のジエン、トリエン、テトラエン、下式
【0127】
【化26】

【0128】
のジメチルアクリレート、トリメチルアクリレート、テトラメチルアクリレート、下式
【0129】
【化27】

【0130】
のジアクリレート、トリアクリレート、テトラアクリレート
(式中、Rは、C1〜C15のアルキル基、C5〜C20のアリールもしくはヘテロアリール基、NR′、−SO2、PR′,Si(R′)2を表し、その場合上述の基は、次には置換されていてもよく、R′は、互いに独立して、水素、C1〜C15のアルキル基、C1〜C15のアルコキシ基、C5〜C20のアリールもしくはヘテロアリール基を表し、またnは少なくとも2である。)である。
【0131】
上述の基Rの置換基は、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシ、カルボキシル、カルボキシルエステル、ニトリル、アミン、シリル、またはシロキサン基であることが好ましい。
【0132】
特に好ましい架橋剤としては、メタクリル酸アリル、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラ−およびポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ジウレタンジメタクリレート、トリメチルプロパントリメタクリレート、エポキシアクリレート、例えばエバクリル、N′,N−メチレンビスアクリルアミド、カルビノール、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、ジビニルベンゼン、および/またはビスフェノール−A−ジメチルアクリレートである。これらの化合物は、例えばサートマーカンパニー社エクストン、ペンシルバニア、から名称CN−120、CN104、およびCN−980により市販されている。
【0133】
架橋剤の使用は、任意選択であり、これらの化合物はビニル含有スルホン酸および所望により加えられるビニル含有ホスホン酸の重量に対して0.05〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%、特に好ましくは1〜10重量%の範囲で通常使用できる。
【0134】
ビニル含有スルホン酸を含む液体は溶液とすることができ、また懸濁された、かつ/または分散された成分をも含有できる。ビニル含有スルホン酸を含む液体の粘度は、広い範囲で変化させることができ、粘度を調節するために溶媒の添加または温度上昇が行われる。動粘度は、0.1〜10000mPa.s、特に0.2〜2000mPa.s、の範囲にあることが好ましく、これらの値は、例えばDIN53015に従って測定可能である。
【0135】
ステップAにおけるフィルムの膨潤は、0℃を超える温度、特に好ましくは室温(20℃)と160℃の間で行われることが好ましい。膨潤は基本的により低い温度で実施することもできるが、膨潤のために要する時間が延び、費用効果性が低下する。高過ぎる温度では、膨潤のために使用するフィルムが損傷する恐れがある。膨潤の持続時間は、選択された温度に依存している。処理の持続時間は、所望の膨潤が達成されるように選択されるべきである。
【0136】
ステップB)におけるビニル含有スルホン酸および所望により加えられるビニル含有ホスホン酸の重合は、ラジカル的に行われることが好ましい。ラジカルは、熱的に、光化学的に、化学的に、かつ/または電気化学的に形成できる。
【0137】
例えば、ラジカルを形成させることが可能な少なくとも1種の物質を含有する開始剤溶液を、ステップA)による液体に添加できる。また、開始剤溶液は、膨潤したシートに塗布できる。この塗布は従来技術で知られている公知の手法(例えば吹付け、浸漬など)によって実施できる。
【0138】
適切なラジカル形成剤としては、なかんずく、アゾ化合物、過酸化物、過硫酸塩化合物、またはアゾアミジンが挙げられる。特に限定されるものではないが、具体例としては、過酸化ジベンゾイル、過酸化ジクメン、過酸化クメン、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、過硫酸二カリウム、アンモニウムパーオキシジサルフェート、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)、2,2′−アゾビス(イソ酪酸アミジン)ヒドロクロリド、ベンゾピナコール、ジベンジル誘導体、メチルエチレンケトンパーオキシド、1,1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、過酸化メチルエチルケトン、過酸化アセチルアセトン、過酸化ジラウリル、過酸化ジデカノイル、tert.−ブチルパー−2−エチルヘキサノエート、過酸化ケトン、過酸化メチルイソブチルケトン、過酸化シクロヘキサノン、過酸化ジベンゾイル、tert.−ブチルパーオキシベンゾエート、tert.−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ビス(2−エチルヘキサノイル−パーオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、tert.−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert.−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert.−ブチルパーオキシイソブチレート、tert.−ブチルパーオキシアセテート、過酸化ジクミル、1,1−ビス(tert.−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert.−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、クミルヒドロパーオキシド、tert.−ブチルヒドロパーオキシド、ビス(4−tert.−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ならびに、デュポン社製のラジカル形成剤(登録商標)バゾ、例えば(登録商標)バゾV50および(登録商標)バゾWSが挙げられる。
【0139】
また、照射されるとラジカルを形成するラジカル形成剤も使用できる。好ましい化合物としては、なかんずく、α,α−ジエトキシアセトフェノン(DEAp、アップジョン社)、n−ブチルベンゾインエーテル((登録商標)トリゴナール−14、アクゾ社)、ならびに、チバガイギー社からそれぞれ市販されている2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン((登録商標)イルガキュア651)および1−ベンゾイルシクロヘキサノール((登録商標)イルガキュア184)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド((登録商標)イルガキュア819)および1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−フェニルプロパン−1−オン((登録商標)イルガキュア2959)が挙げられる。
【0140】
0.0001〜5重量%の、特に0.01〜3重量%(ビニル含有スルホン酸および場合によってビニル含有ホスホン酸の合計に対して)のラジカル形成剤が通常添加される。基形成剤の量は、所望される重合度によって、変更できる。
【0141】
IRまたはNIRの作用によって重合を行うこともできる(IR=赤外、すなわち700nmを超える波長を有する光;NIR=近赤外、すなわちおよそ700〜2000nmの範囲にある波長、またはおよそ0.6〜1.75eVの範囲にあるエネルギーを有する光)。
【0142】
400nm未満の波長を有するUV−光の作用によって重合を行うこともできる。この重合方法は、それ自体知られており、例えば、HansJoerg Elias,マクロモレキュラーケミ,5.Auflage,Vol.1,p.492〜511;D.R.Arnold,N.C.Baird、J.R.Bolton,J.C.D.Brand,P.W.MJacobs,P.de Mayo,W.R.Ware,「光化学序説」Academic Press,New York、およびM.K.Mishra,「ビニルモノマーのラジカル光重合」J.Macromol.Sci.−Revs.Macromol.Chem.Phys.C22(1982〜1983)409に記載されている。
【0143】
β線、γ線および/もしくは電子線の作用によって重合を行うこともできる。本発明の特定の実施形態において、1〜300キログレイ(kGy)、好ましくは3〜200kGy、またより特に好ましくは20〜100kGyの範囲にある照射線量により膜に照射している。
【0144】
ステップB)におけるビニル含有スルホン酸および所望により加えられるビニル含有ホスホン酸の重合は、室温(20℃)を超え、かつ200℃未満の温度、特に40℃と150℃の間、特に好ましくは50℃と120℃の間の温度で実施することが好ましい。重合は、常圧下で行われることが好ましいが、加圧下で行うこともできる。ステップA)により膨潤したポリマーフィルムは重合により固化され、この固化に続いて微小硬度の測定を実施できる。重合による硬度の増加は、ステップA)において膨潤したポリマーフィルムの硬度に対して、少なくとも20%であることが好ましい。
【0145】
本発明の特定の実施形態では、本膜は高い機械的強度を有する。この値は、DIN 50539に従って測定される膜の硬度から得られる。この目的のため、3mNの力まで連続して20秒間、ビッカースダイヤモンドにより膜に荷重を掛け、貫入の深さを測定している。したがって、室温における硬度は、少なくとも0.01N/mm2、好ましくは少なくとも0.1N/mm2、またより特に好ましくは少なくとも1N/mm2とするが、それらに限定されない。次いで、力を3mNで5秒間一定に保ち、貫入の深さからクリープを計算している。好ましい膜では、これらの条件下におけるクリープCHU0.003/20/5は20%未満、好ましくは10%未満、またより特に好ましくは5%未満である。微小硬度測定によって測定したモジュラスYHUは、少なくとも0.5MPa、特に少なくとも5MPa、またより特に好ましくは少なくとも10MPaとするが、それらに限定されない。
【0146】
所望される重合度によって、ポリマーフィルムの膨潤およびその後の重合により得られるシートは、自己支持性膜である。重合度は、少なくとも2、特に少なくとも5、特に好ましくは少なくとも30反復単位が好ましく、特に少なくとも50反復単位、より特に好ましくは少なくとも100反復単位である。この重合度は、GPC法により測定できる数平均分子量Mnを介して測定される。分解せずに、膜に含有されるポリビニルホスホン酸を単離することが困難であるため、この重合度の値は、溶媒なしで、またポリマーの添加なしでビニルホスホン酸の重合によって得られる試料について測定される。ビニルホスホン酸とラジカル開始剤との重量割合は、膜を溶解した後の比率に比べて一定に保つ。比較重合の間に達成される変換率は、使用したビニル含有ホスホン酸に対して20%以上、特に40%以上、また特に好ましくは75%以上であることが好ましい。
【0147】
本発明による高分子膜は、1〜90重量%のポリマーと、99〜0.5重量%のポリビニルスルホン酸とを含有することが好ましい。本発明による高分子膜は、高分子膜の全重量に対して、3〜85重量%のポリマーと、70〜1重量%のポリビニルスルホン酸とを含有することがより好ましく、5〜50重量%のポリマーと、50〜5重量%の間のポリビニルスルホン酸とを含有することが特に好ましい。ポリビニルホスホン酸の割合は、それぞれの場合高分子膜の全重量に対して、5〜97重量%の範囲、特に20〜95重量%の範囲にあることが好ましい。さらに、本発明による高分子膜は、さらに充填材および/または補助剤を含有することもできる。
【0148】
ステップB)による重合の後、本膜は、その表面を熱的に、光化学的に、化学的に、かつ/または電気化学的に架橋できる。この膜表面の硬化により、本膜の性質はさらに改良される。
【0149】
特定の態様では、本膜を少なくとも150℃、好ましくは少なくとも200℃、また特に好ましくは少なくとも250℃、の温度まで加熱できる。熱的架橋は、酸素の存在において行うことが好ましい。この工程ステップの間の酸素濃度は、通常5〜50体積%、好ましくは10〜40体積%の範囲にあるが、それらに限定されない。
【0150】
架橋は、IRもしくはNIR(IR=赤外、すなわち700nmを超える波長を有する光;NIR=近赤外、すなわちおよそ700〜2000nmの範囲にある波長、またはおよそ0.6〜1.75eVの範囲にあるエネルギーを有する光)および/またはUV−光の作用によって行うこともできる。他の方法は、β線、γ線および/もしくは電子線による照射である。この場合、照射線量は5kGyと200kGy、特に10kGyと100kGyの間が好ましい。照射は、空気中または不活性ガス下で実施できる。それにより、膜の性能特性、特にその耐久性が改良される。
【0151】
所望される架橋度によって、架橋反応の継続時間は広い範囲で選択できる。この反応時間は、一般に1秒〜10時間、好ましくは1分〜1時間であるが、それらに限定されない。
【0152】
本発明による高分子膜は、公知のドープした高分子膜よりも良好な材料性質を有する。本発明による膜が高い割合のポリビニルホスホン酸を有する場合、公知のドープしない高分子膜に匹敵する固有伝導度を有する。
【0153】
本発明による膜の固有伝導度は、場合によって加湿して、温度80℃において一般に少なくとも0.1ミリジーメンス毎センチメートル(mS/cm)、好ましくは少なくとも1mS/cm、特に少なくとも2mS/cm、また特に好ましくは少なくとも5mS/cmである。
【0154】
本膜の全重量に対して10%を超えるポリビニルホスホン酸の重量割合において、温度160℃で本膜は一般に少なくとも1mS/cm、好ましくは少なくとも3mS/cm、特に少なくとも5mS/cm、また特に好ましくは少なくとも10mS/cmの伝導度を示す。これらの値は、加湿なしで達成される。
【0155】
比伝導度は、白金電極(直径0.25mmワイヤー)を使用してインピーダンス分光法により定電位方式における4極配置で測定される。集電電極間の距離は2cmである。オーム抵抗およびコンデンサの並列配置からなる簡易モデルによって、得られたスペクトルを評価している。試料の取付け直前にリン酸をドープした膜の試料断面積を測定する。温度依存性を測定するため、炉内で試験セルを所望温度まで到達させ、試料の直近に置いたPt−100熱電対によって調節する。その温度に達した後、測定開始の前に、試料を10分間その温度に保つ。
【0156】
本発明による高分子膜は、公知のドープした高分子膜よりも良好な材料性質を有する。本発明による高分子膜が高い割合のポリビニルホスホン酸を有する場合、公知のドープしない高分子膜に匹敵する固有伝導度を有する。
【0157】
いわゆる液体直接メタノール型燃料電池において、0.5Mメタノール溶液を用いて90℃で作動させたとき、クロスオーバ電流密度は100mA/cm2未満、特に70mA/cm2未満、特に好ましくは50mA/cm2未満、またより特に好ましくは10mA/cm2未満であることが好ましい。いわゆるガス状直接メタノール型燃料電池において2Mメタノール溶液を用いて160℃で作動させたとき、クロスオーバ電流密度は100mA/cm2未満、特に50mA/cm2未満、より特に好ましくは10mA/cm2未満であることが好ましい。
【0158】
クロスオーバ電流密度を測定するため、CO2センサによって、陽極で放出される二酸化炭素の量を測定している。S.Gottesfeld,T.F.Fuller「プロトン伝導性膜燃料電池II」ECS Proc.Vol.98−27,pp.300〜308においてP.Zelenay,S.C.Thomas,S.Gottesfeldにより記述される、こうして測定したCO2の量から、クロスオーバ電流密度を計算する。
【0159】
本発明の高分子膜の可能な適用の分野としては、なかんずく、燃料電池、電気分解、コンデンサ、または電池系における使用が挙げられる。その性質のため、本高分子膜は燃料電池において使用されることが好ましい。
【0160】
本発明はまた、本発明による少なくとも1つの高分子膜を備える膜電極単位にも関する。本膜電極単位は、白金、ルテニウムまたはパラジウムなどの触媒活性物質が低含量であっても高度に効率的である。この目的のために、触媒活性層を備えたガス拡散層を使用できる。
【0161】
ガス拡散層は一般に電子伝導性を有する。この目的のために平坦な、電気伝導性の、かつ耐酸性の構造体が通常使用される。これらの構造体には、例えば炭素繊維紙、黒鉛化炭素繊維紙、炭素繊維織布、黒鉛化炭素繊維織布、および/またはカーボンブラックの添加により伝導性としているシートが挙げられる。
【0162】
触媒活性層は触媒活性物質を含有する。これらの物質には、なかんずく、貴金属、特に白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、および/またはルテニウムが挙げられる。これらの物質は、相互の合金の形でも使用できる。また、これらの物質は、例えばCr、Zr、Ni、Co、および/またはTiなどの非貴金属との合金の形で使用することもできる。さらに、上述の貴金属および/または非貴金属の酸化物をも使用できる。本発明の特定の態様により、触媒活性化合物は、1〜1000nm、特に10〜200nm、また好ましくは20〜100nm、の範囲にある粒径を有することが好ましい粒子の形で使用される。
【0163】
上述の物質を含む触媒活性粒子は、粉末状金属、いわゆるブラック貴金属、特に白金および/または白金合金、として使用できる。この型の粒子は、一般に5nm〜200nmの範囲、好ましくは10nm〜100nmの範囲にある粒径を有する。
【0164】
さらに、この金属は支持体上に使用することもできる。この支持体は炭素を含むことが好ましく、この炭素は特にカーボンブラック、黒鉛、または黒鉛化カーボンブラックの形で使用できる。これらの支持された粒子の金属含量は、粒子の全重量に対して一般に1〜80重量%、好ましくは5〜60重量%、また特に好ましくは10〜50重量%の範囲にあるが、それらに限定されない。支持体の粒径、特に炭素粒子の粒径は20〜100nm、特に30〜60nm、の範囲にあることが好ましい。それらの中に位置する金属粒子の粒径は、1〜20nm、特に1〜10nm、また特に好ましくは2〜6nmの範囲にあることが好ましい。
【0165】
種々の粒子の粒径は重量平均の平均値を表し、透過型電子顕微鏡により測定できる。上述の触媒活性粒子は一般に市販されている。
【0166】
また触媒活性層は従来の添加剤を含有できる。これらの添加剤としては、なかんずく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素ポリマーおよび界面活性物質が挙げられる。
【0167】
界面活性物質としては、特に、イオン界面活性剤、例えば脂肪酸塩、特にラウリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム;およびアルキルスルホン酸、アルキルスルホン酸塩、特にパーフルオロヘキサンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸リチウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸アンモニウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸カリウム、ならびに非イオン界面活性剤、特にエトキシレート化脂肪族アルコール、およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0168】
特に好ましい添加剤としては、フッ素ポリマー、特にテトラフルオロエチレンポリマーが挙げられる。本発明の特定の実施形態により、フッ素ポリマーの、少なくとも1種の貴金属と場合によって1種または複数の支持材料とを含む触媒材料に対する重量比は、0.1を超えており、この比は0.2〜0.6の範囲にあることが好ましい。
【0169】
本発明の特定の実施形態により、触媒層は1〜1000μm、特に5〜500、好ましくは10〜300μmの範囲にある厚さを有する。この値は、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して得られた顕微鏡写真での断面の層厚を測定することにより測定できる平均値を表す。
【0170】
本発明の特定の実施形態により、触媒層の貴金属含量は0.1〜10.0mg/cm2、好ましくは0.3〜6.0mg/cm2、また特に好ましくは0.3〜3.0mg/cm2である。これらの値は、平面試料の元素分析により決定することができる。
【0171】
膜電極単位は、なかんずく、ホットプレスにより作製できる。この目的のため、触媒活性層を備えたガス拡散層と膜とからなる電極の組立体を、50℃〜200℃のある温度まで加熱し、0.1〜5MPaの圧力で加圧する。触媒層を膜に接合するには一般に数秒で十分である。この時間は、1秒〜5分、特に5秒〜1分の範囲にあることが好ましい。
【0172】
本発明はまた、触媒層で被覆した本発明によるプロトン伝導性高分子膜にも関する。
【0173】
触媒層は、種々の方法により本膜に塗布できる。例えば、触媒層を有する本発明による膜を提供するために、触媒含有コーティングを備えた支持体を使用できる。
【0174】
膜の一方の側または両側に触媒層を提供できる。膜の一方の側だけに触媒層を提供する場合、膜の反対側は、触媒層を備えた電極に圧着しなければならない。膜の両側に触媒層を提供しようとする場合、最適の結果を達成するために、下記の方法を組み合せることもできる。
【0175】
本発明により、触媒懸濁液を使用している方法により触媒を塗布できる。さらに、触媒含有粉末も使用できる。
【0176】
触媒懸濁液は触媒活性物質を含有する。これらの物質は、触媒活性層に関連して先に詳述している。
【0177】
また、触媒懸濁液は従来の添加剤を含有できる。これらには、なかんずく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素ポリマー、増粘剤、特にセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの水溶性ポリマー、ならびに触媒活性層に関連して先に詳述した界面活性物質が挙げられる。
【0178】
界面活性物質としては、特に、イオン界面活性剤、例えば脂肪酸塩、特にラウリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム;およびアルキルスルホン酸、アルキルスルホン酸塩、特にパーフルオロヘキサンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸リチウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸アンモニウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸カリウム、ならびに非イオン界面活性剤、特にエトキシレート化脂肪族アルコール、およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0179】
また、触媒懸濁液は、室温で液体である成分を含むことができる。これらとしては、なかんずく、極性でも無極性でもよい有機溶媒、リン酸、ポリリン酸、および/または水が挙げられる。触媒懸濁液は、1〜99重量%、特に10〜80重量%の液体成分を含有することが好ましい。
【0180】
極性の有機溶媒としては、特に、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、および/またはブタノールなどのアルコールが挙げられる。
【0181】
有機無極性溶媒としては、なかんずく、テレビン油を含むデュポン社製の薄膜エバポレータ8470などの公知の薄膜エバポレータが挙げられる。
【0182】
特に好ましい添加剤としてはフッ素ポリマー、特にテトラフルオロエチレンポリマーが挙げられる。本発明の特定の実施形態では、フッ素ポリマーの、少なくとも1種の貴金属と場合によって1種または複数の支持材料とを含む触媒材料に対する重量比は、0.1を超えており、この比は0.2〜0.6の範囲にあることが好ましい。
【0183】
触媒懸濁液は、従来の方法によって本発明による膜に塗布できる。懸濁液を塗布する種々の方法が知られており、その方法は懸濁液の粘度に依存し、懸濁液はペーストの形態とすることもできる。フィルム、布、織物、および/または紙のコーティングのための方法、特に噴霧方法、ならびに、例えばステンシルおよびスクリーン印刷方法などの印刷方法、インクジェット方法、ローラー塗布、特にスクリーンローラー、スロットダイ塗布、ならびにドクター塗装である。それぞれの方法および触媒懸濁液の粘度は、膜の硬度によって決まる。
【0184】
粘度は、固形分含量、特に触媒活性粒子の割合、および添加剤の割合によって影響を受ける可能性がある。目標とする粘度は、触媒懸濁液の塗布方法に依存しており、粘度の最適値および測定方法は、当分野の技術者によく知られている。
【0185】
膜の硬度によって、加熱および/または加圧により触媒と膜との間の接合性を向上させることができる。
【0186】
本発明の特定の態様では、粉末法により触媒層が塗布される。この目的のため、その例を本明細書において先に示した付加的な添加剤を含有できる粉末状触媒を使用している。
【0187】
粉末状触媒は、なかんずく噴霧方法およびスクリーニング方法によって塗布できる。噴霧方法では、ダイ、例えばスロットダイを使用して、膜上に粉末混合物を噴霧する。次いで、触媒層を備えた膜を通例加熱して、触媒と膜との間の接合性を向上させる。加熱は、例えば熱ローラー上で実施できる。粉末を塗布するためのこの型の方法および装置は、なかんずく、ドイツ特許第19509748号、ドイツ特許第19509749号、およびドイツ特許第19757492号中に記載されている。
【0188】
スクリーニング方法の間、振動スクリーンを使用して粉末状触媒を膜に塗布している。膜に触媒粉末を塗布する装置は、国際公開第00/26982号中に記載されている。粉末状触媒を塗布した後、加熱によって触媒と膜との間の接合を改良できる。少なくとも1つの触媒層を備えている膜を、50〜200℃、特に100〜180℃の範囲にある温度まで加熱できる。
【0189】
さらに、触媒含有コーティングを支持体上に塗布し、次いで支持体上に位置している触媒含有コーティングをその後、本発明による膜に転写する方法により、触媒層を塗布できる。この型の方法は、国際公開第92/15121号中に記載されている。
【0190】
触媒コーティングを備えた支持体は、例えば上述の触媒懸濁液を調製することによって作製できる。この触媒懸濁液を次いで、例えばポリテトラフルオロエチレンの支持フィルムに塗布する。懸濁液を塗布した後、揮発性成分が除去される。
【0191】
触媒含有コーティングは、なかんずく、ホットプレスにより転写できる。この目的のため、触媒層と膜と支持フィルムとを備えた組立体を50℃〜200℃の範囲にある温度まで加熱し、0.1〜5MPaの圧力で加圧する。触媒層を膜に接合するには一般に数秒で十分である。この時間は、1秒〜5分、特に5秒〜1分の範囲にあることが好ましい。
【0192】
本発明の特定の実施形態により、触媒層は1〜1000μm、特に5〜500μm、好ましくは10〜300μmの厚さを有する。この値は、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して撮影できる写真での断面における層厚を測定することにより測定できる平均値である。
【0193】
本発明の特定の実施形態において、少なくとも1つの触媒層を備えた膜は0.1〜10.0mg/cm2、好ましくは0.3〜6.0mg/cm2、また特に好ましくは0.3〜3.0mg/cm2の貴金属を含む。これらの値は、平面試料の元素分析により測定できる。
【0194】
触媒を被覆した後、得られた膜を熱的に、光化学的に、化学的に、かつ/または電気化学的に架橋できる。この膜の硬化により、膜の性質がさらに改良される。膜は、少なくとも150℃、好ましくは少なくとも200℃、また特に好ましくは少なくとも250℃、の温度まで加熱できる。特定の実施形態において、架橋は、酸素の存在において行われる。酸素濃度は、5〜50体積%、好ましくは10〜40体積%の範囲にあることが好ましいが、これらに限定されない。
【0195】
架橋は、IRもしくはNIR(IR=赤外、すなわち700nmを超える波長を有する光;NIR=近赤外、すなわちおよそ700〜2000nmの範囲にある波長、またはおよそ0.6〜1.75eVの範囲にあるエネルギーを有する光)および/またはUV−光の作用によって行うこともできる。他の方法は、β線、γ線および/もしくは電子線による照射である。この場合、照射線量は5kGyと200kGy、特に10kGyと100kGyの間が好ましい。照射は、空気中または不活性ガス下で実施できる。それにより、膜の性能特性、特にその耐久性が改良される。
【0196】
所望される架橋度によって、架橋反応の継続時間を広い範囲で変化させることができる。この反応時間は一般に1秒〜10時間、好ましくは1分〜1時間、の範囲にあるが、それらに限定されない。
【0197】
本発明による触媒被覆した高分子膜は、以前から知られているドープした高分子膜よりも良好な材料の性質を有する。特に、それらは知られているドープした高分子膜よりも良好な性能を有する。これは、特に、膜と触媒との間のより良好な接触によるものである。
【0198】
膜電極単位を作製するため、本発明による膜をガス拡散層に接合できる。膜の両側に触媒層を備えている場合、加圧する前に、ガス拡散層が触媒を有している必要はない。
【0199】
本発明による膜電極単位は、驚くほど高い電力密度を有する。特定の実施形態により、好ましい膜電極単位は、少なくとも0.1A/cm2、好ましくは0.2A/cm2、特に好ましくは0.3A/cm2、の電流密度を有する。この電流密度は、陰極における純粋な水素、また陽極における空気(酸素およそ20体積%、窒素およそ80体積%)による作動の間に常圧(1013絶対ミリバール、セル出口開放による)およびセル電圧0.6Vにおいて測定している。この方法において、150〜200℃、好ましくは160〜180℃の範囲にある、特に170℃の、特に高温を使用できる。
【0200】
上述の電力密度は、両側面における燃料ガスの低い化学量論比においても達成できる。本発明の特定の態様により、その化学量論比は2以下、好ましくは1.5以下、より特に好ましくは1.2以下である。
【0201】
本発明の特定の実施形態では、触媒層は低い貴金属含量を有する。本発明による膜が備えている好ましい触媒層の貴金属含量は、好ましくは多くて2mg/cm2、特に多くて1mg/cm2、より特に好ましくは多くて0.5mg/cm2である。本発明の特定の態様により、膜の一方の側が、その膜の反対側よりも高い金属含量を有する。一方の側の金属含量が、その反対側の金属含量の2倍高いことが好ましい。
【0202】
他の変形形態において、触媒活性層は、本発明による膜に塗布することができ、かつガス拡散層に接合させることができる。この目的のため、ステップA)およびB)によって膜が生成され、触媒が塗布される。一変形形態において、開始剤溶液の前に、もしくは開始剤溶液と一緒に触媒を塗布できる。本発明は、これらの構造体にも関する。
【0203】
さらに、触媒を有する支持体もしくは支持フィルム上に、ステップA)およびB)による膜の形成を行うこともできる。この支持体もしくは支持フィルムを取り除いた後には、触媒は本発明による膜上に位置している。本発明は、これらの構造体にも関する。
【0204】
本発明はまた、少なくとも1つの本発明による高分子膜を含んだ膜電極単位であって、場合によって別のポリアゾールを主成分とする高分子膜またはポリマーブレンド膜と組み合せている膜電極単位に関する。
【0205】
本発明の高分子膜の可能な適用の分野としては、なかんずく、燃料電池、電気分解、コンデンサ、または電池系における使用が挙げられる。本高分子膜は、その性質のため、燃料電池において使用されることが好ましい。
【実施例】
【0206】
実施例1:
ビニルスルホン酸の生成
直径5.5cmを有するカラムに、高さ20cmまで、アドリッチ社製のドウェックス50W−X4型の架橋したスルホン化ポリスチレンからなるイオン交換樹脂を充填する。そのカラムにビニルスルホン酸ナトリウム塩の25%水溶液100ml(0.19モル)を通過させ、80〜90ml(0.16モル)のビニルスルホン酸を得る。次いで、回転蒸発器を使用して溶液の体積をおよそ半減させる(40〜45ml)。
【0207】
実施例2:
実施例1で得たビニルスルホン酸溶液を、90%ビニルホスホン酸56gと一緒に混合し、温度70℃で1時間、炉内で処理する。この混合物に、ビスフェノール−Aジエポキシアクリレート(サートマー社製CN−120)5gと、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社製イルガキュア184)8gとを添加する。次いで、この混合物を均一な溶液が生成するまで攪拌する。この溶液を、70℃で30分間、炉内で再び処理する。この溶液中に、ドイツ特許第10052237.8号によるPBI−DMac溶液から得られ、またドイツ特許第10129458.1号に従う適切なポリマーペレットの選択により製造された高分子量ポリベンズイミダゾールのフィルム0.5gを浸漬する。光からの保護のためにアルミニウム箔でこの溶液を覆い、80℃で3時間、炉内に保持する。膜表面から過剰の溶液をたたいて除去する。得られたフィルムを、次いで2枚の配向したポリプロピレンの透明なシート間に置き、本明細書において以前に記述したように、ロール掛けを反復することにより過剰の空気を除去する。次いで、この積層体を槽内に移し、そこで、ゼネラルエレクトリック社製のH3T7型の300W水銀アーク灯を使用して1分間各葉に照射し、かつこの工程をもう一度繰り返した。この膜から、ポリプロピレンフィルムを注意深く取り外す。温風乾燥機で緩やかに加熱することにより、この方法は簡易化される。この処理の後、350重量%が代表的な重量増加である。
【0208】
実施例3:
室温で、アルドリッチ社製のスチレンスルホン酸ナトリウム塩20g(0.97モル)を、200mlの蒸留水と混合する。実施例1に記述したようにして、イオン交換方法を繰り返すと、160mlのスチレンスルホン酸溶液が得られる。次いで、回転蒸発器を使用して、この量の溶液を、60mlまで減少させる。この溶液に、100mlのビニルホスホン酸を添加し、この混合物を暗所で24時間攪拌する。この溶液に、ビスフェノール−Aジエポキシアクリレート(サートマー社製CN−120)8gと、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社製、イルガキュア184)5.5gとを添加する。次いで、時々攪拌しながら、この混合物を70℃で炉内において4時間処理する。この混合物中に、ドイツ特許第10052237.8号によるPBI−DMac溶液から、またドイツ特許第10129458.1号による適切なポリマーペレットの選択により生成された高分子量ポリベンズイミダゾールのフィルム0.4gを浸漬する。光からの保護のためアルミニウム箔でこの溶液を覆い、80℃で3時間、炉内に保持する。膜表面から過剰の溶液をたたいて除去する。得られたフィルムを、次いで2枚の配向したポリプロピレンの透明なシート間に置き、本明細書において以前に記述したように、ロール掛けを反復することにより過剰の空気を除去する。次いで、この積層体を槽内に移し、そこで、ゼネラルエレクトリック社製のH3T7型の300W水銀アーク灯を使用して1分間各葉に照射し、かつこの工程を一度繰り返している。この膜から、ポリプロピレンフィルムを注意深く取り外す。この処理の後、270重量%が代表的な重量増加である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップA)およびB)を含む方法によって得られる、160℃における固有伝導度が0.001S/cm以上であるプロトン伝導性電解質膜の製造方法:
A)ビニル含有スルホン酸とビニル含有ホスホン酸を含む液体中にポリマーフィルムを浸漬して該フィルムに該液体を含浸させて該フィルムを膨潤させるステップ、及び、
B)前記フィルム中に存在するビニル含有スルホン酸とビニル含有ホスホン酸を重合させるステップ。
但し、(i)前記膨潤用のフィルムはポリアゾールから製造されたものであり、
(ii)前記膨潤用の液体はビニル含有ホスホン酸を20質量%以上含有し、
(iii)前記膨潤用の液体中のビニル含有ホスホン酸のビニル含有スルホン酸に対する質量比は1:1以上であり、
(iv)膨潤後のフィルムは、ビニル含有スルホン酸を10質量%以上含有し、
(v)ビニル含有スルホン酸は、下記の化学式(1)、(2)または(3)のいずれかの構造を有する化合物であり、
(vi)ビニル含有ホスホン酸は、下記の化学式(4)、(5)または(6)のいずれかの構造を有する化合物である。
【化1】

上式中、Rは、単結合、C1〜C15のアルキレン基、C1〜C15のアルキレンオキシ基、またはC5〜C20のアリーレンもしくはヘテロアリーレン基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換されていてもよく、Zは、互いに独立して、水素、C1〜C15のアルキル基、C1〜C15のアルコキシ基、またはC5〜C20のアリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、−CNで置換されていてもよく、またxは、整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10を表し、yは、整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10を表す。
【化2】

上式中、Rは、単結合、C1〜C15のアルキレン基、C1〜C15のアルキレンオキシ基、またはC5〜C20のアリーレンもしくはヘテロアリーレン基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換されていてもよく、Zは、互いに独立して、水素、C1〜C15のアルキル基、C1〜C15のアルコキシ基、またはC5〜C20のアリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、−CNで置換されていてもよく、xは、整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10を表す。
【化3】

上式中、Aは、式COOR2、CN、CONR22、OR2、および/またはR2の基を表し、ここでR2は、水素、C1〜C15のアルキル基、C1〜C15のアルコキシ基、またはC5〜C20のアリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換されていてもよく、Rは、単結合、C1〜C15のアルキレン基、C1〜C15のアルキレンオキシ基、またはC5〜C20のアリーレンもしくはヘテロアリーレン基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換されていてもよく、Zは、互いに独立して、水素、C1〜C15のアルキル基、C1〜C15のアルコキシ基、またはC5〜C20のアリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、−CNで置換されていてもよく、xは、整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10を表す。
【化4】

上式中、Rは、単結合、C1〜C15のアルキレン基、C1〜C15のアルキレンオキシ基、またはC5〜C20のアリーレンもしくはヘテロアリーレン基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換されていてもよく、Zは、互いに独立して、水素、C1〜C15のアルキル基、C1〜C15のアルコキシ基、またはC5〜C20のアリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、−CNで置換されていてもよく、xは、整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10を表し、yは、整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10を表す。
【化5】

上式中、Rは、単結合、C1〜C15のアルキレン基、C1〜C15のアルキレンオキシ基、またはC5〜C20のアリーレンもしくはヘテロアリーレン基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換されていてもよく、Zは、互いに独立して、水素、C1〜C15のアルキル基、C1〜C15のアルコキシ基、またはC5〜C20のアリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、−CNで置換されていてもよく、またxは、整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10を表す。
【化6】

上式中、Aは、式COOR2、CN、CONR22、OR2、および/またはR2の基を表し、その場合R2は、水素、C1〜C15のアルキル基、C1〜C15のアルコキシ基、またはC5〜C20アリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換されていてもよく、Rは、単結合、C1〜C15のアルキレン基、C1〜C15のアルキレンオキシ基、またはC5〜C20のアリーレンもしくはヘテロアリーレン基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換されていてもよく、Zは、互いに独立して、水素、C1〜C15のアルキル基、C1〜C15のアルコキシ基、またはC5〜C20のアリールもしくはヘテロアリール基を表し、ここで、上記の基は、ハロゲン、−OH、−CNで置換されていてもよく、またxは、整数1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10を表す。
【請求項2】
前記ポリアゾールがベンズイミダゾール単位を有すること特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記膨潤用の液体中のビニル含有ホスホン酸のビニル含有スルホン酸に対する質量比が3:1以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記膨潤用の液体が、架橋することが可能なモノマーを含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップB)における重合が、IRもしくはNIR光、UV光、β線、γ線、および/または電子線による照射によって行われることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかの一項に記載の方法で得られた膜に、触媒的に活性な物質を塗布する、触媒層で被覆したプロトン伝導性高分子膜の製造方法。

【公開番号】特開2011−138782(P2011−138782A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9959(P2011−9959)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【分割の表示】特願2003−573059(P2003−573059)の分割
【原出願日】平成15年3月4日(2003.3.4)
【出願人】(504335714)ビーエーエスエフ フューエル セル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (4)
【Fターム(参考)】