説明

プロピレンオキサイドの製造方法

【課題】金触媒の存在下にプロピレンを分子状酸素で酸化して、プロピレンオキサイドを製造する方法を提供する。
【解決手段】アルカリ処理チタノシリカライト担体またはアルカリ処理メソ孔チタノシリケート担体担持金クラスター触媒の存在下に、プロピレンを分子状酸素により気相で直接酸化することによりプロピレンオキサイドを製造する。このとき原料ガスに水を添加するか、または触媒量の水素ガスを添加すると、プロピレンの転化率およびプロピレンオキサイドの選択率が著しく上昇する。チタノシリカライトのアルカリ処理は、例えば、チタノシリカライトをpH12の30℃水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウム水溶液中に懸濁し、1〜4時間攪拌することにより得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロピレンオキサイドの製造方法、さらに詳細には、金触媒と分子状酸素を用いてプロピレンからプロピレンオキサイドを気相一段で製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロピレンオキサイドは、自動車や家電製品など種々の製品の製造に用いられる化学品、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、医薬品、化粧品用添加剤、熱媒体、溶剤、不凍液(プロピレングリコール)などを製造する際の汎用中間体として有用なものである。現在の主要な工業的製造方法は、プロピレンと塩素と水を用いてプロピレンクロロヒドリンを製造し、これを水酸化カルシウムを用いてエポキシ化するクロロヒドリン法、および有機過酸化物を用いてプロピレンをエポキシ化する有機過酸化物法である。後者の有機過酸化物法としては、t−ブタノール、クミルアルコール、またはスチレンを副生する方法が知られている。有機過酸化物法では過酸化物に対応する副生物としてアルコールが生成されることから、これら副生物またはそれらの誘導体の市場の問題、すなわち副生成物の需要と供給のアンバランスに基づく副生成物処分の難しさの問題があった。一方、クロロヒドリン法では大量の塩化カルシウムが副生するとともに、有害な有機塩素化合物も副生する。このため、副生物の産生を伴わずにプロピレンオキサイドを製造する方法が研究されており、クメンを用いる製造方法において副生物であるクミルアルコールを再度クメンに戻して再利用し、結果として副生物が発生しないようにする方法(例えば、特許文献1参照)あるいは副生物として水だけが生成するよう過酸化物として過酸化水素を用い、副生物の処理をなくす方法(例えば、特許文献2参照)が近年稼働したところである。しかし、過酸化水素を用いる方法は、過酸化水素のコストの問題、および高濃度過酸化水素使用による危険性などの問題がある。また、副生物であるクミルアルコールを再利用する方法では、クメンにまで還元する際に水素が必要なことが問題として挙げられる。
【0003】
また、上記以外にも、プロピレンからプロピレンオキサイドを製造する実験室規模の方法として、触媒の存在下にプロピレンと分子状酸素とを直接気相で反応させる方法も広く知られている(例えば、非特許文献1、2参照)。そして気相系での反応には、銀触媒や金触媒が広く研究されている。またこれらの触媒を用いた場合において、分子状酸素と水素の存在下、プロピレンを酸化することによりプロピレンオキサイドが高選択的に製造できることも、本発明者他により既に報告されている(例えば、特許文献2参照)。この方法は、分子状酸素と水素の混合ガス存在下にAu/TiO2触媒、Au/Ti−SiO2触媒などの金−チタン含有酸化物触媒を用いプロピレンを直接酸化するものである。さらに、Au/チタノシリカライト(TS−1)が、触媒安定性に優れた金触媒であることも知られている。
【0004】
上記触媒を用いてプロピレンからプロピレンオキサイドを製造する方法においては、金触媒を含め、酸素と水素が必要とされる。一方、最近、平面基板上に形成したアモルファスアルミナ担体上に6−10原子の金クラスターを分散・固定化させた触媒を用いてのプロピレン−酸素系、プロピレン−酸素−水素系あるいはプロピレン−酸素−水系でのプロピレンオキサイドの生成についての論文が発表され、プロピレンオキサイドの生成が確認されている(非特許文献3参照)。しかし、触媒が薄膜状であるため、プロピレンの転化率、COおよびCO2の生成率が不明であり、実用上の意義を論ずることは難しい。一方、平均粒子径3.5nmの金ナノ粒子を分散・固定化したTiO2触媒を用いてプロピレン−酸素−水素系あるいはプロピレン−酸素−水系でのプロピレンオキサイドの生成についても論文が発表された(非特許文献4参照)が、プロピレンオキサイドの転化率が0.02〜0.06%と非常に小さく、実用には程遠い段階である。
【0005】
このように、従来のプロピレンオキサイドの製造においては、水素を化学量論量用いることが必要とされるが、水素は高価であり、爆発の危険性もある。したがって、水素を化学量論量用いることなくプロピレンを直接酸化してプロピレンオキサイドを高転化率で形成することができれば、安価かつ安全にプロピレンからプロピレンオキサイドを製造することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−81955号公報
【特許文献2】特開平8−127550号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Shigeo T.Oyama、村田和久、春田正毅、触媒、41(1)、13−18頁(2004)
【非特許文献2】‘Mechanisms in Homogeneous and Heterogeneous Epoxidtion Catalysis’,ed.S.T.Oyama,Elsevir B.V.(2008),pp.297−313
【非特許文献3】Sungsik Lee他10名,Angew.Chem,Int.Ed.,48,1467−1471(2009)
【非特許文献4】Manuel Ojeda and Enrique Iglesia,Chem.Commun,352−354(2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これまで、プロピレンからプロピレンオキサイドを製造する方法として種々の方法が検討され、それらのうちのいくつかは工業的に実用化されているが、安全管理の必要がなく、また比較的高価な水素や過酸化水素を用いることなく、さらに有機過酸化物を用いた際における過酸化物対応副生物の生成なく、安価にまた安全にプロピレンオキサイドを製造する方法が要望されている。
【0009】
したがって、本発明の目的は、プロピレンを触媒の存在下に直接酸素と反応させてプロピレンオキサイドを製造する方法において、高選択率でプロピレンオキサイドを製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討、研究を行ってきたところ、触媒として特定の金触媒を用いると、酸素のみによる直接酸化によってプロピレンからプロピレンオキサイドを製造することが可能となり、またこのとき、反応ガスに水を含有させておく、すなわち水を反応ガスに添加することによって、あるいは触媒量の水素やCOガスなどの還元性ガスを反応ガスに加えることによって、高い転化率、高選択率でプロピレンオキサイドを製造することができることを見出し、これら知見に基づいて本発明をなしたものである。
【0011】
すなわち、本発明は、以下のプロピレンオキサイドの製造方法に関する。
(1)アルカリ処理チタノシリカライトまたはアルカリ処理メソ孔チタノシリケート担体担持金クラスター触媒の存在下に、プロピレンを酸素により気相で直接酸化することを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。
【0012】
(2)上記(1)に記載のプロピレンオキサイドの製造方法において、さらに水が原料ガスに添加されることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。
【0013】
(3)上記(1)または(2)に記載のプロピレンオキサイドの製造方法において、さらに触媒量の水素ガスが原料ガスに添加されることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。
【0014】
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のプロピレンオキサイドの製造方法において、チタノシリカライトまたはメソ孔チタノシリケートのアルカリ処理が、NaOH、KOH、またはCsOHの水溶液での処理であることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。
【0015】
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のプロピレンオキサイドの製造方法において、金クラスターが2nm以下の平均粒径を有し、担体への担持量が0.01〜10wt%であることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。
【0016】
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のプロピレンオキサイドの製造方法において、アルカリ処理されたチタノシリカライトまたはアルカリ処理されたメソ孔チタノシリケート担体への金クラスターの担持が、固相混合法、含浸法、析出還元法、析出沈殿法、または気相グラフティング法により行われることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。
【0017】
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載のプロピレンオキサイドの製造方法において、プロピレン;酸素の比(容積比)は、100:1〜1;100であることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。
【0018】
(8)上記(2)〜(6)のいずれかに記載のプロピレンオキサイドの製造方法において、プロピレン;酸素:水の比(容積比)は、1〜100:1〜100:0.1〜10であることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。
【0019】
(9)上記(3)〜(6)のいずれかに記載のプロピレンオキサイドの製造方法において、プロピレン;酸素:水素の比(容積比)は、1〜100;1〜100:0.1〜10であることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。
【0020】
(10)上記(3)〜(6)のいずれかに記載のプロピレンオキサイドの製造方法において、プロピレン;酸素:水:水素の比(容積比)は、1〜100;1〜100:0.1〜10:0.1〜10であることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。
【0021】
(11)上記(1)〜(10)のいずれかに記載のプロピレンオキサイドの製造方法において、反応温度が50〜300℃であり、ガスの流量が1,000〜20,000h-1・ml/g−cat.であることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明においては、触媒としてアルカリ処理チタノシリカライトまたはアルカリ処理メソ孔チタノシリケート担体に担持された金クラスター触媒を用いることにより、高選択率でプロピレンオキサイドを製造することができ、さらに供給ガスに水および/または水素を添加することによりプロピレンの転化率およびプロピレンオキサイドの選択率をさらに改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図面代用写真であり、本発明の実施例1で得られた水酸化カリウム処理TS−1担体担持金クラスター触媒(0.2wt%Au/TS−1−K1)のHAADF−STEM(高角度散乱暗視野走査透過電子顕微鏡)写真である。
【図2】本発明の実施例1で得られた水酸化カリウム処理TS−1担体担持金クラスター触媒(0.2wt%Au/TS−1−K1)の粒径分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明のプロピレンオキサイドの製造方法について、さらに詳細に説明する。
本発明のプロピレンオキサイドの製造においては、触媒としてアルカリ処理されたチタノシリカライトまたはアルカリ処理されたメソ孔チタノシリケート担体に担持した金クラスターを触媒として用いることが必要とされる。
【0025】
上記金触媒の担体として用いられるチタノシリカライトは、TS−1やTi−MWWなどとして、またメソ孔チタノシリケートはTi−MCM41やTi−TUDなどとして既に触媒担体として公知の材料である。チタノシリカライト(以下、TS−1と略記する)は、例えば、式:xTiO2(1−x)SiO2(式中、xは0.0005〜0.04である。)で示され、その製法は例えば米国特許第3329481号明細書、米国特許第4410501号明細書などに記載されている。また、Ti−MWWは、TS−1と同様の組成を有するものであり、その製法は例えば、Peng Wu and Takashi Tatumi,J.Phys.Chem.B 106,748−753(2002)などに記載されている。
【0026】
本発明においては、触媒担体としてアルカリ処理されたTS−1またはアルカリ処理されたTi−MWWが用いられるが、TS−1またはTi−MWWのアルカリ処理では、使用するアルカリとして、NaOH、KOH、CsOH、Mg(OH)2、Ba(OH)2などのアルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物が好ましいものとして挙げられ、NaOH、KOH、CsOHなど、アルカリ金属水酸化物の水溶液での処理がより好ましい。処理は、TS−1またはTi−MWWをアルカリ水溶液に投入し、所定温度で、所定時間攪拌した後、ろ過などによりアルカリ水溶液を除去し、アルカリ処理されたTS−1またはTi−MWWを水により十分洗浄し、乾燥する方法によればよい。処理の際のアルカリ水溶液の濃度、pH、処理温度、処理時間は任意でよい。通常これらの条件は、アルカリ水溶液のpHが10〜13、好ましくは11〜12であり、処理温度は10〜80℃、好ましくは25〜50℃であり、処理時間は0.5〜10時間、好ましくは1〜4時間である。例えば、TS−1をNaOHあるいはKOHの30℃水溶液(pH12)を用い、1〜4時間程度攪拌処理することにより、平均孔径が約5〜15nmのメゾポーラスなTS−1多孔体が形成される。
【0027】
このようにして得られたアルカリ処理TS−1またはアルカリ処理Ti−MWWに金クラスターが担持される。金クラスターの担持方法は、前記アルカリ処理TS−1またはアルカリ処理Ti−MWWに金クラスターが担持できる方法であればどのような方法でもよく、例えば、固相混合法、含浸法、析出還元法、析出沈殿法、気相グラフティング法などが挙げられる。金クラスターとしては、2nm以下の平均粒径を有するものが好ましい。その主な理由としては、2nm以下になると量子サイズ効果により金クラスターの電子構造が変化し、触媒特性が著しく変わる可能性があるからである。平均粒径が2nmを超えるとプロピレンオキサイドへの選択率が極めて低くなるという現象が見られる。また、金クラスターの担持量は、0.01〜10重量%程度が好ましい。金クラスターの担持方法としては、前記2nm以下の平均粒径の金クラスターを担体上に容易に形成できる点から、固相混合法が好ましい。なお、Ti−MCM41やTi−TUDなどメソ孔チタノシリケートを担体として用いる場合も、TS−1やTi−MWWを担体とする場合と同様である。
【0028】
固相混合法による場合は、昇華性の金前駆体を用い、これを担体と固相で摩擦を加えながら混合した後、還元処理または焼成処理することにより金クラスターを担体に分散・固定化する。金前駆体の量は、上記粒径の金クラスターおよび担持量となるような量で用いられる。通常担体1重量部に対し、10-4〜10-1重量部程度の量とされる。
【0029】
前記昇華性の金前駆体としては、例えば、(CH32Au(CH3COCHCOCH3)、(CH32Au(CF3COCHCOCH3)、(CH32Au(CF3COCHCOCF3)、(C252Au(CH3COCHCOCH3)、(CH32Au(C65COCHCOCF3)、ClAuP(CH33、CH3AuP(CH33および下記一般式(1)あるいは(2)で表される金錯体などが用いられる。
【0030】
【化1】


(式中、R1は−CH3または−CF3を表す。)
【0031】
【化2】


(式中、R2は、−CH3または−CF3を表し、R3は、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、チグロイル基、アンゲロイル基、セネシオイル基、フェニル基、チエニル基、またはフリル基を表す。)
【0032】
また、還元方法としては、金前駆体を担持する前記固相混合後の担体を、例えば水素、一酸化炭素、アルコール等の還元性ガスの雰囲気で、50〜150℃程度の温度、10分〜24時間程度処理する方法、あるいは例えば200〜400℃で1〜5時間焼成する焼成還元法を用いることができる。
【0033】
含浸法による場合は、例えば、四塩化金酸、四塩化金酸塩、三塩化金、シアン化金、シアン化金カリウム、三塩化ジエチルアミン金酸、エチレンジアミン金錯体、ジメチル金β−ジケトン誘導体金錯体、エチル金β−ジケトン誘導体金錯体などの水溶液あるいは有機溶媒溶液に、アルカリ処理されたTS−1またはアルカリ処理されたTi−MWWを加え、十分に攪拌処理を行い、混合物から溶媒を蒸発除去した後、還元性ガスの雰囲気で加熱処理する、あるいは焼成還元することによる。
【0034】
析出還元法による場合は、四塩化金酸、四塩化金酸塩、三塩化金、シアン化金、シアン化金カリウム、三塩化ジエチルアミン金酸、エチレンジアミン金錯体、ジメチル金β−ジケトン誘導体金錯体、エチル金β−ジケトン誘導体金錯体などの水溶液、あるいは有機溶媒溶液に前記したアルカリ処理されたTS−1またはアルカリ処理されたTi−MWWを加え、クエン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤溶液を加えて、TS−1またはTi−MWW表面に金微粒子を析出還元させた後、沈殿物をろ過、乾燥することにより、アルカリ処理TS−1またはアルカリ処理Ti−MWW担体担持金クラスター触媒を得ることができる。
【0035】
析出沈殿法による場合は、四塩化金酸、四塩化金酸塩、三塩化金、シアン化金、シアン化金カリウム、三塩化ジエチルアミン金酸、エチレンジアミン金錯体、ジメチル金β−ジケトン誘導体金錯体、エチル金β−ジケトン誘導体金錯体などの水溶液あるいは有機溶媒溶液にアルカリ処理されたTS−1またはアルカリ処理されたTi−MWWを加え、TS−1表面にAu(OH)を析出沈殿させた後、水酸化金が沈着したTS−1またはTi−MWWを遠心ろ過器により母液から分離、回収し、これを十分洗浄した後焼成還元することにより、アルカリ処理TS−1またはアルカリ処理Ti−MWW担体担持金クラスター触媒を得ることができる。
【0036】
気相グラフティング法による場合は、昇華性の金前駆体を用い、これを真空ラインで気化させ、担体に減圧下で吸着させた後、該担体を還元処理または焼成処理することにより金クラスターを担体に分散・固定化する(特許第2832336号公報参照)。昇華性の金前駆体としては、上記固相混合法で挙げられた金前駆体と同様のものが用いられる。
【0037】
本発明においては、プロピレンオキサイドの製造は気相状態で行われ、プロピレンと酸素、あるいはプロピレンと酸素と水、さらにはこれらにさらにプロピレンまたは酸素の量に対し1/10以下の触媒量の水素を含有する気体を、アルカリ処理されたTS−1に担持させた金クラスター触媒と、例えば50〜300℃で接触させればよい。このときの装置は、通常気相反応を行う際に利用されている一般的な装置によればよい。例えば、触媒を反応管内に充填し、反応管を所定の温度で加熱した状態で、プロピレン、酸素、および必要に応じ水を含有する気体を反応管に送り込み、これら原料ガスと触媒とを接触させ、反応ガスを回収することにより行われる。反応圧は、1〜100気圧であることが好ましい。原料ガスには、必要に応じ希釈ガス(例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素など)を用いてもよい。希釈ガスの使用量は、反応熱を勘案して、通常プロピレンに対し、1〜20容量倍とされることが好ましい。
【0038】
反応管に供給されるプロピレンと酸素の割合は、特に限定されるわけではないが、通常容積比で1〜100:100〜1、好ましくは1〜10:10〜1である。また、プロピレンと酸素と水の割合も特に限定されるわけではないが、通常容積比で1〜100:1〜100:0.1〜10であり、1〜10:1〜10:0.1〜5であることが好ましい。また、プロピレンと酸素と水素ガスの割合およびプロピレンと酸素と水と水素ガスの割合は、各々容積比で1〜100:1〜100:0.1〜10および各々1〜100:1〜100:0.1〜10:0.1〜10とされることが好ましい。このような量での水および水素ガスの添加により、プロピレンの転化率およびプロピレンオキサイドへの選択率が向上する。原料ガスの供給量は、担持金触媒の重量に対し、通常1,000〜20,000h-1・ml/g−cat.であり、2,000〜8,000h-1・ml/g−cat.であることが好ましい。その理由は、このような範囲での反応ガスの供給で、時間当り、触媒重量当りのプロピレンオキサイドの生成速度が極大となるからである。
【0039】
触媒の使用量も、特に限定されるものではないが、反応管の内径が6〜10mmの条件であれば、一般的には0.1〜1g程度とされればよい。実用的には、ガス流量との関係で、空間速度(SV)が2,000〜8,000hr-1・ml/g−cat.程度の範囲内となる量を使用することが好ましい。
【0040】
こうして得られたプロピレンオキサイド含有気体は集められ、反応ガスからプロピレンオキサイドを分離し、分離後の気体は必要に応じ原料ガスとして再度使用されてもよい。
【実施例】
【0041】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0042】
実施例1
〔担体の調製〕
5gのポリ(アクリルアミド・コ・ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)を溶解した10wt%の水50mlを、36gのテトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイドを溶解した25重量%の水144mlに攪拌しながら加える。攪拌を1時間続けた後、29gのテトラエチルオルソシリケートと0.98gのテトラブチルオルソチタネートを加える。この混合溶液をさらに24時間攪拌した後、180℃で5日間水熱合成を行った。得られた固形物を分離、洗浄した後、100℃で乾燥し、さらに空気中550℃で4時間焼成を行うことにより、チタノシリカライト(TS−1)を調製した。得られたTS−1をpH=12、30℃の水酸化カリウム水溶液中に懸濁し、攪拌を1時間続けた。TS−1を吸引ろ過分離した後、蒸留水で洗浄を行い、100℃で半日間乾燥して、水酸化カリウムによる1時間処理TS−1であるTS−1−K1を得た。
【0043】
〔金クラスター担持触媒の調製〕
ジメチル金アセチルアセトナート(分子量326g/mol)6.6mgを秤量し、上記で得られたTS−1−K1の2gと一緒に乳鉢で20分間磨砕混合した。その後、混合粉末をU字管に充填し、水素10vol%を含む窒素ガスを流通させてから150℃に昇温して2時間還元処理を行い、0.2wt%金クラスター担持水酸化カリウム処理TS−1−K1である0.2wt%Au/TS−1−K1を得た。こうして得られた金クラスター担持水酸化カリウム処理TS−1−K1の金粒子径の観察を以下の方法で行った。
【0044】
〔金粒子径の観察〕
得られた粉末試料の一部を蒸留水に懸濁し、超音波に10分間かけて、凝集した粉末試料の分散を促した。この懸濁液に細いガラス棒を入れてよくかき混ぜ、透過型電子顕微鏡(TEM)観察用の炭素蒸着銅グリッドに1滴落とし、これをデシケーターに半日間保存し、乾燥させた。この試料を通常のTEMで観察したところ、金の存在をはっきり確認することが出来なかった。そこで、HAADF−STEM(高角度散乱暗視野走査透過電子顕微鏡:原子番号の2乗に比例してコントラストが増大するので、微小な金クラスターの観察に有効)で観察を行った。図1に、HAADF−STEMによる電子顕微鏡写真を示す。また、無作為に撮影した10ヶ所以上の電子顕微鏡写真について1個1個の金粒子の直径の計測を行い、粒径分布を調べた。結果を図2に示す。図2から、金の約90%は直径が2.0nm以下で、平均粒子径は1.5nm(原子数で約55個)であることが判明した。
【0045】
〔プロピレンの酸素による酸化〕
上記で得た0.2wt%Au/TS−1−K1を0.3g秤量し、U字形反応管に充填して、反応ガスC/O/Ar(容積比)=1/1/7を20ml/minの流速で流通させた。時間空間速度は4000h-1・ml/g−cat.とした。触媒層の温度を200℃にするとプロピレンの転化率は1.0−2.0%に到達するが、時間とともに徐々に低下した。しかし、2時間後では転化率の変化はほとんど見られなくなり定常状態に達したので、この時のプロピレン転化率、プロピレンオキサイド(PO)、アクロレイン(AC)、CO2の選択率をガスクロマトグラフィーにより調べた。結果を表1に示す。
【0046】
比較例1
担体として、実施例1において製造された水酸化カリウム処理前のTS−1を用い、これに実施例1と同様の方法により0.2wt%の金クラスターを担持させて、0.2wt%Au/TS−1を調製した。
このTS−1担体担持金クラスター触媒を用いて、実施例1と同様の条件でプロピレンの酸化を行い、この時のプロピレン転化率、プロピレンオキサイド(PO)、アクロレイン(AC)およびCO2の選択率を調べた。結果を表1に示す。
【0047】
比較例2
実施例1と同様の固相混合法(SG)、ただし150℃の水素還元に代えて空気中200℃のか焼を行う方法により、ノンポーラスカーボン上に1.0重量%の金クラスターを担持させ、1.0wt%Au/C触媒を調製した。
このノンポーラスカーボン担体担持金クラスター触媒を用いて、実施例1と同様の条件でプロピレンの酸化を行い、この時のプロピレン転化率、プロピレンオキサイド(PO)、アクロレイン(AC)およびCO2の選択率を調べた。結果を表1に示す。
【0048】
比較例3
実施例1と同様の固相混合法(SG)、ただし150℃の水素還元に代えて空気中300℃のか焼を行う方法により、γ−Al23上に1.0重量%の金クラスターを担持させ、1.0wt%Au/γ−Al23触媒を調製した。
このγ−Al23担体担持金クラスター触媒を用いて、実施例1と同様の条件でプロピレンの酸化を行い、この時のプロピレン転化率、プロピレンオキサイド(PO)、アクロレイン(AC)およびCO2の選択率を調べた。結果を表1に示す。
【0049】
比較例4
実施例1と同様の固相混合法(SG)によりAl23上に0.2重量%の金クラスターを担持させ、0.2wt%Au/Al23触媒を調製した。
このAl23担体担持金クラスター触媒を用いて、実施例1と同様の条件でプロピレンの酸化を行い、この時のプロピレン転化率、プロピレンオキサイド(PO)、アクロレイン(AC)およびCO2の選択率を調べた。結果を表1に示す。
【0050】
比較例5
析出沈殿法(DP)(70℃、pH=7.0(KOH水溶液による調整)、1時間攪拌)を用いてTiO担体上に金水酸化物の沈殿を析出させ、固形物をろ過後水で洗浄した後、100℃で乾燥し、空気中300℃のか焼を行うことによりTiO2上に1.0重量%の金クラスターを担持させ、1.0wt%Au/TiO2触媒を調製した。
このTiO2担体担持金クラスター触媒を用いて、実施例1と同様の条件でプロピレンの酸化を行い、この時のプロピレン転化率、プロピレンオキサイド(PO)、アクロレイン(AC)およびCO2の選択率を調べた。結果を表1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
(水の添加効果)
実施例2
反応ガスを0℃の水中をバブリングさせて飽和水蒸気圧まで水分を加えることを除き実施例1と同様にしてプロピレンの酸化を行い、この時のプロピレン転化率、プロピレンオキサイド(PO)、アクロレイン(AC)およびCO2の選択率を調べた。結果を表2に示す。
【0053】
比較例6〜10
反応ガスを0℃の水中をバブリングさせて飽和水蒸気圧まで水分を加えることを除き比較例1〜5と同様にしてプロピレンの酸化を行い、この時のプロピレン転化率、プロピレンオキサイド(PO)、アクロレイン(AC)およびCOの選択率を調べた。結果を表2に示す。
【0054】
【表2】

【0055】
表1および表2から明らかなように、アルカリ処理したTS−1以外の担体を用いた場合には、POの選択率はいずれもゼロであり、POは形成されない。アルカリ処理したTS−1を担体として用いることにより、はじめてプロピレンオキサイドが形成され、しかもこのとき反応ガス中に水を添加することによりプロピレンの転化率が上がり、POの選択率については顕著に高くなることが分かる。また、比較例1と6から、アルカリ処理を行っていないTS−1を担体として用いた金触媒では、水を添加することによりアクロレインの生成が抑制され、一方COの生成が促進されたが、反応ガスへの水の添加はPOの生成に影響を与えないことがわかった。
すなわち、TS−1をアルカリ処理し、これに直径2nm以下の金クラスターを担持したものを触媒として用いたときのみ分子状酸素だけでPOが生成し、さらに、反応ガス中に水を共存させることにより、プロピレンの転化率およびPOの選択率が向上することが分かる。
【0056】
(アルカリ処理時間の影響)
実施例11〜13
〔担体TS−1−K2〜4の調製〕
水酸化カリウム水溶液中での攪拌時間を2時間、3時間、4時間とすることを除き実施例1と同様にして、水酸化カリウム2時間、3時間、4時間処理0.2wt%Au/TS−1である0.2wt%Au/TS−1−K2、0.2wt%Au/TS−1−K3、0.2wt%Au/TS−1−K4を調製した。
【0057】
〔プロピレンの酸素および水による酸化反応〕
0.2wt%Au/TS−1−K1に代えて上記0.2wt%Au/TS−1−K2、0.2wt%Au/TS−1−K3および0.2wt%Au/TS−1−K4を用いることを除き実施例2と同様にしてプロピレンの酸化を行い、この時のプロピレンの転化率、プロピレンオキサイド(PO)、アクロレイン(AC)、CO2の選択率を調べた。結果を表3示す。また、参考のため実施例2、比較例6の結果も表3に示す(有効数字2桁)。
【0058】
【表3】

【0059】
表3から、実施例2、11、12、13のいずれの例においもプロピレンオキサイド選択率は高い。したがって、これらの例から、TS−1の水酸化カリウムによる処理時間はいずれの時間でもよく、処理時間は特に本発明においては限定されるものでないことが分かる。ただし、実施例2、11、12、13の例からは、水酸化カリウムによる処理時間が1時間から4時間へと長くなるにしたがって、転化率およびプロピレンオキサイド選択率のいずれも低下する傾向を示すことから、アルカリ処理時間はこの例では1時間とすることが好ましいことが分かる。
【0060】
(金クラスターの粒径による影響)
実施例14および15
〔触媒の調製〕
150℃での還元に代えて、200℃あるいは300℃でのか焼を行うことを除き実施例1と同様にして、0.2wt%Au/TS−1−K1(200℃)および0.2wt%Au/TS−1−K1(300℃)を調製した。
【0061】
〔プロピレンの酸素による酸化〕
0.2wt%Au/TS−1−K1に代えて上記0.2wt%Au/TS−1−K1(200℃)あるいは0.2wt%Au/TS−1−K1(300℃)を用いることを除き実施例1と同様にしてプロピレンの酸化を行い、この時のプロピレンの転化率、プロピレンオキサイド(PO)、アクロレイン(AC)、CO2の選択率を調べた。結果を表4示す。また、参考のため実施例1の結果も表4に示す。
【0062】
比較例11および12
〔触媒の調製〕
150℃での還元に代えて、400℃あるいは500℃でのか焼を行うことを除き実施例1と同様にして、0.2wt%Au/TS−1−K1(400℃)および0.2wt%Au/TS−1−K1(500℃)を調製した。
【0063】
〔プロピレンの酸素による酸化〕
0.2wt%Au/TS−1−K1に代えて上記0.2wt%Au/TS−1−K1(400℃)あるいは0.2wt%Au/TS−1−K1(500℃)を用いることを除き実施例1と同様にして、プロピレンの酸化を行い、この時のプロピレンの転化率、プロピレンオキサイド(PO)、アクロレイン(AC)、CO2の選択率を調べた。結果を表4示す。
【0064】
なお、か焼温度を上げると形成される金クラスターの平均粒子径が大きくなる。上記条件で製造された金クラスター触媒においては、Au/TS−1−K1(200℃)の平均粒径は2.0nm以下、Au/TS−1−K1(300℃)の平均粒径は2.0nm、Au/TS−1−K1(400℃)の平均粒径は3.5nm、Au/TS−1−K1(500℃)の平均粒径は3.5nm以上である。また、Au/TS−1−K1の平均粒子径は実施例1に記載したように1.5nmである。
【0065】
【表4】

【0066】
実施例16および17、比較例13および14
反応ガスを0℃の水中をバブリングさせて飽和水蒸気圧まで水分を加えることを除き実施例14、15、比較例11、12と同様にしてプロピレンの酸化を行い、この時のプロピレンの転化率、プロピレンオキサイド(PO)、アクロレイン(AC)およびCO2の選択率を調べた。結果を表5に示す。参考のため実施例2の結果も表5に示す。
【0067】
【表5】

【0068】
表4、表5から、金クラスターの平均粒子径が2nmを越えると、水を添加しない場合にはプロピレンオキサイドの生成はなくなるし、また平均粒子径が3.5nmを越え2nm以下の金クラスターの存在が無くなると水を添加した場合でもプロピレンオキサイドの生成はなくなる。
【0069】
(TS−1の処理に用いられるアルカリの影響)
実施例18および19
〔触媒の調製〕
水酸化カリウムに代えて水酸化ナトリウムあるいは水酸化セシウムを用いることを除き実施例1と同様にして、水酸化ナトリウム1時間処理TS−1であるTS−1−Na1および水酸化セシウム1時間処理TS−1であるTS−1−Cs1を得た。これによって得たTS−1−Na1およびTS−1−Cs1を用いて、実施例1と同様にして0.2wt%Au/TS−1−Na1および0.2wt%Au/TS−1−Cs1を作製した。
【0070】
〔プロピレンの酸素および水による酸化〕
0.2wt%Au/TS−1−K1に代えて0.2wt%Au/TS−1−Na1、0.2wt%Au/TS−1−Cs1を用いることを除き実施例2と同様にして、プロピレンの酸化を行い、この時のプロピレン転化率、プロピレンオキサイド(PO)、アクロレイン(AC)、CO2の選択率を調べた。結果を表6に示す。なお、参考のため実施例2の結果を示す(有効数字2桁)。
【0071】
【表6】

【0072】
表6から、アルカリの種類が変わっても高転化率、高選択率でプロピレンオキサイドが得られることが分かる。また、表6からは、中でも水酸化カリウム処理したTS−1が好ましいことが分かる。
【0073】
(金の担持方法による影響)
実施例20、21
析出沈殿法(DP)により、12重量%のAuクラスターを担持した1時間アルカリ(水酸化カリウムあるいは水酸化ナトリウム)処理TS−1−K1およびTS−1−Na1を調製し、これを用いて、実施例2と同様にしてプロピレンの酸化を行い、この時のプロピレン転化率、プロピレンオキサイド(PO)、アクロレイン(AC)およびCO2の選択率を調べた。結果を表7に示す。
【0074】
【表7】

【0075】
上記表7から、析出沈殿法の場合でも固相混合法と同程度の効果が得られることが分かる。このことから、本発明の効果は、TS−1がアルカリ処理されていればよく、触媒の製造方法によらないことが分かる。
【0076】
(触媒量の水素の添加効果)
実施例22
反応ガス中に1vol%の水素を加えることを除き、実施例1と同様にしてプロピレンの酸化を行い、このときのプロピレン転化率、プロピレンオキサイド(PO)、アクロレイン(AC)およびCOの選択率を調べた。金触媒として0.2wt%Au/TS−1−K1を用いた場合の結果を表8に示す。
【0077】
【表8】

【0078】
実施例23
反応ガス中に1vol%の水素を加えることを除き、実施例2と同様にしてプロピレンの酸化を行い、このときのプロピレン転化率、プロピレンオキサイド(PO)、アクロレイン(AC)およびCO2の選択率を調べた。金触媒として0.2wt%Au/TS−1−K1を用いた場合の結果を表9に示す。
【0079】
【表9】

【0080】
表8から明らかなように、1vol%の水素を加えるとプロピレンと酸素の反応でも、プロピレンの転化率とPO選択率が大幅に向上した。また、表9から明らかなように、水分存在下でのプロピレンと酸素との反応でも、1vol%の水素を加えることによって、プロピレンの転化率とPO選択率が大幅に向上した。以上のことから、触媒量の水素の添加が有効であることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の製造方法で製造されるプロピレンオキサイドは、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、医薬品、化粧品用添加剤、熱媒体、溶剤、不凍液(プロピレングリコール)などを製造する際の汎用中間体として有用なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ処理チタノシリカライトまたはアルカリ処理メソ孔チタノシリケートを担体とし、これらに金クラスターを担持した触媒の存在下に、プロピレンを酸素により気相で直接酸化することを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のプロピレンオキサイドの製造方法において、さらに水が原料ガスに添加されることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載のプロピレンオキサイドの製造方法において、さらに触媒量の水素ガスが原料ガスに添加されることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のプロピレンオキサイドの製造方法において、チタノシリカライトまたはメソ孔チタノシリケートのアルカリ処理が、NaOH、KOH、あるいはCsOHの水溶液での処理であることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のプロピレンオキサイドの製造方法において、金クラスターが2nm以下の平均粒径を有し、担体への担持量が0.01〜10重量%であることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のプロピレンオキサイドの製造方法において、アルカリ処理されたチタノシリカライト担体またはアルカリ処理されたメソ孔チタノシリケート担体への金クラスターの担持が、固相混合法、含浸法、析出還元法、析出沈殿法、または気相グラフティング法により行われることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のプロピレンオキサイドの製造方法において、プロピレン;酸素の比(容積比)は、100:1〜1;100であることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。
【請求項8】
請求項2〜6のいずれかに記載のプロピレンオキサイドの製造方法において、プロピレン;酸素:水の比(容積比)は、1〜100:1〜100:0.1〜10であることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。
【請求項9】
請求項3〜6のいずれかに記載のプロピレンオキサイドの製造方法において、プロピレン;酸素:水素の比(容積比)は、1〜100;1〜100:0.1〜10であることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。
【請求項10】
請求項3〜6のいずれかに記載のプロピレンオキサイドの製造方法において、プロピレン;酸素:水:水素の比(容積比)は、1〜100;1〜100:0.1〜10:0.1〜10であることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のプロピレンオキサイドの製造方法において、反応温度が50〜300℃であり、ガスの流量が2,000〜8,000h-1・ml/g−cat.であることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。

【図2】
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【図1】
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【公開番号】特開2010−215534(P2010−215534A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61683(P2009−61683)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 「触媒」第51巻、第2号、触媒学会、平成21年3月10日発行
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、独立行政法人科学技術振興機構CREST、「異種物質との接合を利用した金クラスター触媒の機能設計」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(305027401)公立大学法人首都大学東京 (385)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】