説明

プロペラレーシング監視装置

【課題】船舶における操船性の向上が図れるプロペラレーシング監視装置を得る。
【解決手段】船体10に設置され、水面11にレーザ光1aを照射するレーザ発振器1と、船体10の側壁に設置されレーザ光が水面11から散乱する散乱光を検出する複数の光センサ2を備え、これらにより水面位置を検出する水面位置検出装置と、水面位置検出装置で検出した水面位置と、プロペラの位置との関係からプロペラレーシングの可能性を判断するプロペラレーシング判断装置とを具備し、プロペラレーシングの可能性ありと判断したとき、推進器4に対してプロペラ3の回転数を下げるように指令を与えるもの。
水面位置検出装置は、船舶周辺の水面状態が逐次どのように変化しているのかを定量的に測定する。そして、プロペラ3の空気中への露出する可能性が高いと判断した場合、予めプロペラ3の回転数を下げるよう推進器4を制御する指令を送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、船舶における操船性の向上を目的とするプロペラレーシング監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、船体の動揺によって、プロペラが一時的に水面上に露出し、プロペラが空転する現象、プロペラレーシング現象を防止するためには、荒天状態においては予め船速を落として低速で運航するなどの操船上の考慮が行なわれていた。
【0003】
また、水位検出器を用いて、プロペラ近くの船体と水面との相対位置を検出して演算の上、推進器の負荷調整をする方法もある。
【0004】
プロペラレーシングが引き起こされると、推進器の回転数制御が困難になり、船速の著しい低下や前進力の喪失、電気推進装置の場合は、船内電力の急激な負荷変動を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58−152697号公報
【特許文献2】特開昭58−143144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の船舶では、荒天時には推進器の回転数を落として低速で荒天海域から離れる、若船舶における操船性の向上を目的とするしくは荒天状態の回復を待つような方法しかなく、推進器を効率的に運用できないという問題があった。
【0007】
本実施形態は、船舶における操船性の向上が図れるプロペラレーシング監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態のプロペラレーシング監視装置は、船体外部に設置されているプロペラに対して回転駆動力を与える推進器を備えた船舶において、前記船体に設置され、水面にレーザ光を照射して前記水面から散乱する散乱光を検出することで水面位置を検出する水面位置検出装置と、前記水面位置検出装置で検出した水面位置と、前記プロペラの位置との関係からプロペラレーシングの可能性を判断するプロペラレーシング判断装置と、を具備し、前記プロペラレーシング判断装置がプロペラレーシングの可能性ありと判断したとき、前記推進器に対して前記プロペラの回転数を下げるように指令を与えるようにしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1のプロペラレーシング監視装置の構成図。
【図2】本実施の形態1のプロペラレーシング監視装置の制御ブロック図。
【図3】本実施の形態1のプロペラレーシング監視装置の作用効果を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
水面位置検出装置は、船体10に設置され、水面11にレーザ光1aを照射するレーザ発振器1と、船体10の側壁に設置されレーザ光が水面11から散乱する散乱光を検出する複数の光センサ2を備え、これらにより水面位置を検出するものである。
【0012】
プロペラレーシング判断装置は、水面位置検出装置で検出した水面位置と、プロペラの位置との関係からプロペラレーシングの可能性を判断するもので、プロペラレーシング判断装置がプロペラレーシングの可能性ありと判断したとき、推進器4に対してプロペラ3の回転数を下げるように指令を与えるようにしたものである。
【0013】
水面位置検出装置は、船舶周辺の水面状態が逐次どのように変化しているのかを定量的に測定する。そして、プロペラ3の空気中への露出する可能性が高いと判断した場合、予めプロペラ3の回転数を下げるよう推進器4を制御する指令を送出する。
【0014】
本実施形態の水面位置検出装置は、レーザを用いることにより、水位計などによる計測とは異なり、水面を三次元で能動的に捉え、水面の変動が予測できる点と実際にプロペラのどの部分が空気中に露出しているのか、時々刻々の変化を捉えることが可能であり、制御性能が向上するものと考える。
【0015】
本実施形態のプロペラレーシング監視装置によれば、水面状態に応じて、プロペラレーシングの可能性を予測して、効率よく自動的に操船することが可能である。
【0016】
図2は、レーシング予測の監視ブロック図である。レーザ発振器1と光センサ2による水面位置検出(S1)して得られた情報から、水面11とプロペラ3の位置関係の予測を行い(S2)、レーシングの可能性予測を行い(S3)、レーシングの可能性大かどうかを判断する(S4)。ここで、レーシングの可能性大でないと判断するとプロペラ3の回転数を通常のまま指令とし(S6)、S4においてレーシングの可能性大と判断した場合に、回転数を下げるよう指令を推進器4に与える(S5)。
【0017】
図3は、プロペラ3と水面11の位置確認のイメージ図であり、三次元でプロペラ3に対する水面11の変化を確認できる。
【0018】
プロペラと水面の位置イメージ図であり、プロペラ3が水面から露出する割合が大きいとレーシングになりやすいため、露出の少ない段階でのレーシングの可能性予測が重要である。
【符号の説明】
【0019】
1…レーザ発振器、1a…レーザ光、2…光センサ、3…プロペラ、4…推進器、11…水面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体外部に設置されているプロペラに対して回転駆動力を与える推進器を備えた船舶において、
前記船体に設置され、水面にレーザ光を照射して前記水面から散乱する散乱光を検出することで水面位置を検出する水面位置検出装置と、
前記水面位置検出装置で検出した水面位置と、前記プロペラの位置との関係からプロペラレーシングの可能性を判断するプロペラレーシング判断装置と、
を具備し、前記プロペラレーシング判断装置がプロペラレーシングの可能性ありと判断したとき、前記推進器に対して前記プロペラの回転数を下げるように指令を与えるようにしたことを特徴とするプロペラレーシング監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−250565(P2012−250565A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122776(P2011−122776)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(501137636)東芝三菱電機産業システム株式会社 (904)
【Fターム(参考)】