プローブカード
【課題】ウエハが接触子非形成領域に接触して破損してしまうことを防止することができるプローブカードを提供すること。
【解決手段】本発明のプローブカード1Aは、配線層2A、再配線層3Aおよび接触子4を備える。配線層2Aは、接触子形成領域CAを接触子非形成領域CBよりも突出させて形成されている。再配線層3Aは、接触子形成領域CAを接触子非形成領域CBよりも高くして配線層2Aの表面2Aaに形成されている。接触子4は、再配線層3Aにおける接触子形成領域CAの表面3Aaに形成されている。
【解決手段】本発明のプローブカード1Aは、配線層2A、再配線層3Aおよび接触子4を備える。配線層2Aは、接触子形成領域CAを接触子非形成領域CBよりも突出させて形成されている。再配線層3Aは、接触子形成領域CAを接触子非形成領域CBよりも高くして配線層2Aの表面2Aaに形成されている。接触子4は、再配線層3Aにおける接触子形成領域CAの表面3Aaに形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブカードに係り、特に、立体らせん状の接触子を有するプローブカードに好適に利用できるプローブカードに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、IC(集積回路)やLSI (大型集積回路)といった半導体部品に対する不良の有無を検査するため、プローブカードが頻繁に用いられている。
【0003】
一般的なプローブカードにおいては、半導体部品に用いるウエハに形成された多数の電極をプローブカードの配線層(配線層の表面に再配線層が形成されている場合はその再配線層)の表面に形成された多数の接触子にそれぞれ1個ずつ接触させることにより半導体部品の導通検査を行ない、その半導体部品が良品であるか否かを検査する。このプローブカードに用いる接触子の形態としては、大きく分けて2種類ある。
【0004】
1種目の接触子としては、プローブピンと称される針の根元にばねが付いた接触子であり、一般的に広く用いられている(特許文献1を参照)。このプローブピンを採用するメリットとしては、ストローク長を容易に長くすることができることが挙げられる。しかし、半導体部品の狭小化による電極の高密度化に対し、プローブピンの形状および構造上、150μmピッチ以下のプローブピンの高密度化が困難であるというデメリットがあった。また、ストローク長が長いため、高周波特性を向上させることが難しかった。
【0005】
そこで、図7に示すように、従来のプローブカード101においては、接触子の高密度化および高周波特性の向上に対応すべく、プローブカード101の配線層102に積層された再配線層103の表面103aに薄膜素線をスパイラル状に形成して薄膜素線にばね性をもたせた接触子104が2種目の接触子として採用されていた(特許文献2を参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平6−140481号公報
【特許文献2】特開2006−269148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、2種目のスパイラル状の接触子104においては、その高さを高くして形成することが困難であるため、針状に形成された1種目の接触子のストローク長よりも2種目の接触子104のストローク長を長く形成することができなかった。そのため、図8に示すように、プローブカード101に対して半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)110が斜めに接触した場合、半導体部品が接触子104だけでなく、配線層102または再配線層103の接触子非形成領域CBにも接触してしまい、半導体部品のウエハ110が破損してしまうという問題があった。
【0008】
また、図9に示すように、2種目の接触子104の直径が100μm程度であり、その高さは50μm程度であることから、配線層102または再配線層103の接触子形成領域CAの平坦度が25〜30μm程度であると、各々の接触子104がそれぞれ接触子形成領域CAの平坦度に依存して大きく傾いてしまう。そのため、傾いた接触子104の全てに電極を接触させようとすると、ウエハ110が接触子非形成領域CBにも接触してしまう場合もあるため、ウエハ110が配線層102または再配線層103の接触子非形成領域CBに接触した場合、前述と同様、ウエハ110が破損してしまうという問題があった。
【0009】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ウエハが接触子非形成領域に接触して破損してしまうことを防止することができるプローブカードを提供することを本発明の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するため、本発明のプローブカードは、その第1の態様として、接触子形成領域を接触子非形成領域よりも突出させて形成されている配線層と、配線層における突出した接触子形成領域の高さを利用して接触子形成領域を接触子非形成領域よりも高くして配線層の表面に形成されている再配線層と、再配線層における接触子形成領域の表面に形成されている接触子とを備えていることを特徴としている。
【0011】
本発明の第1の態様のプローブカードによれば、接触形成領域が接触子非形成領域よりも高く形成されているため、ウエハが配線層に対して斜めに接触した場合であっても、ウエハが接触子非形成領域に接触することを防止することができる。
【0012】
本発明の第2の態様のプローブカードは、第1の態様のプローブカードにおいて、再配線層における接触子形成領域の表面に形成されており、再配線層と接触子との間に介在している樹脂配線層を備えていることを特徴としている。
【0013】
本発明の第2の態様のプローブカードによれば、樹脂配線層が形成されていない配線層よりも接触子形成領域の平坦度を向上させることができる。また、樹脂配線層の厚さ分だけ接触子形成領域を高くすることができる。
【0014】
本発明の第3の態様のプローブカードは、接触子形成領域および接触子非形成領域を表面に有する配線層と、配線層の表面に形成されている再配線層と、再配線層における接触子形成領域の表面にのみ形成されているとともに最配線層における接触子非形成領域よりも高く形成されている樹脂配線層と、樹脂配線層の表面に形成されている接触子とを備えていることを特徴としている。
【0015】
本発明の第3の態様のプローブカードによれば、接触形成領域が接触子非形成領域よりも高く形成されているため、ウエハが配線層に対して斜めに接触した場合であっても、ウエハが接触子非形成領域に接触することを防止することができる。
【0016】
本発明の第4の態様のプローブカードは、第2または第3の態様のプローブカードにおいて、樹脂配線層に用いる樹脂基板は、再配線層の表面に液体樹脂をコーティングした後に液体樹脂を硬化させることにより、その表面を平滑にして形成されていることを特徴としている。
【0017】
本発明の第4の態様のプローブカードによれば、樹脂配線層により平坦度を10μm以下にすることができるので、コーティング以外の方法により再配線層が形成された場合の接触子形成領域の平坦度よりもその平坦度を向上させることができる。
【0018】
本発明の第5の態様のプローブカードは、第1から第4のいずれか1の態様のプローブカードにおいて、再配線層に用いる再配線基板は、樹脂を用いて薄膜形成されていることを特徴としている。
【0019】
本発明の第5の態様のプローブカードによれば、ウエハが接触子非形成領域に接触しても、再配線層が緩衝材となってウエハの破損を防止することができる。また、接触子形成領域に形成された配線層の平坦度よりも再配線層の平坦度を滑らかに形成することができるため、接触子が傾いてしまうことを防止することができる。
【0020】
本発明の第6の態様のプローブカードは、第2から第5のいずれか1の態様のプローブカードにおいて、配線層に用いる配線基板は、セラミックを用いて形成されていることを特徴としている。
【0021】
本発明の第6の態様のプローブカードによれば、セラミックは熱ひずみが小さいので、配線基板が反り曲がってウエハと接触してしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のプローブカードによれば、ウエハが接触子非形成領域に接触することを防止しているともに、仮にウエハが接触子非形成領域に接触しても再配線層をクッション化してウエハに大きな衝撃が加わることを防止しているので、ウエハが接触子非形成領域に接触して破損してしまうことを防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図を用いて、本発明のプローブカードをその2つの実施形態により説明する。
【0024】
はじめに、図1を用いて、第1の実施形態のプローブカード1Aを説明する。図1は、第1の実施形態のプローブカード1Aを示す縦断面図である。第1の実施形態のプローブカード1Aは、図1に示すように、配線層2A、再配線層3Aおよび接触子4を備えている。
【0025】
配線層2Aは、配線基板21、ビア22および図示しない内層電極を有している。第1の実施形態の配線基板21は、樹脂やセラミックなどの絶縁材料を用いて形成された絶縁基板21aを積層させることにより形成されている。ただし、この配線基板21は、単層の絶縁基板21aであっても良い。第1の実施形態の配線基板21としては、LTCC(低温焼成セラミック)基板もしくはHTCC(高温焼成セラミック)基板などのセラミック基板を積層させたセラミック多層基板が用いられている。
【0026】
また、第1の実施形態の配線基板21においては、接触子形成領域CAに積層される絶縁基板21aの積層枚数を接触子非形成領域CBに積層される絶縁基板21aの積層枚数よりも多くすることにより、接触子形成領域CAを接触子非形成領域CBよりも突出させて形成されている。この配線層2AがWIP(温間静水圧)などの等方加圧により圧縮形成される場合、接触子形成領域CAに積層された絶縁基板21aに加える圧力を接触子非形成領域CBに積層される絶縁基板21aに加える圧力よりも減圧することにより、相対的に接触子形成領域CAを突出させてもよい。
【0027】
再配線層3Aは、再配線基板31、ビア32および内層電極33を有して形成されている。またこの再配線層3Aは、配線層2Aの表面2Aaにおいて、配線層2Aにおける突出した接触子形成領域CAの高さを利用してその接触子形成領域CAを接触子非形成領域CBよりも高くして形成されている。この再配線基板31は、樹脂やセラミックなどの絶縁材料を用いて形成された絶縁基板31aを積層させることにより形成されており、その厚さは10μm〜20μm程度である。ただし、この再配線基板31は、単層の絶縁基板31aであっても良い。
【0028】
第1の実施形態においては、この再配線基板31は、ポリイミドなどの感光性樹脂を用いて任意の形状に形成された多数の樹脂基板を絶縁基板31aとして積層させることにより形成されている。再配線基板31の作成方法は、樹脂シートの貼付や液体樹脂のコーティング(スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、スプレーコート法など均一の厚さに塗布する液体樹脂塗布方法)など、一般的な樹脂層の形成方法を用いることができる。第1の実施形態において、この再配線基板31は、スピンコート法を用いて液体樹脂を遠心力により配線層2Aの表面2Aaに均一にコーティングした後に硬化させることにより形成された樹脂基板を積層枚数分だけ積層することによって形成されている。そのため、再配線基板31は、セラミック製の配線層2Aの平坦度よりも滑らかな平坦度をもって形成されている。
【0029】
再配線層3Aのビア32は、配線層2Aのビア22よりも狭いピッチをもって配設されている。第1の実施形態において、配線層2Aにおけるビア22のピッチは200μm程度であるが、再配線層3Aにおけるビア32のピッチは50μm〜150μm程度となっている。
【0030】
接触子4は、薄膜素線を立体らせん状に形成されている。この接触子4は、従来と同様、円錐状のレジストの表面にらせん溝を形成し、そのらせん溝に金属薄膜をめっき形成した後、円錐状のレジストを除去する方法によって形成されている。接触子4の直径は100μm程度であり、その高さは50μm程度である。また、この接触子4は、再配線層3Aにおける接触子形成領域CAの表面3Aaに配設されている。図1においては、接触子4が3個ほどしか示されていないが、実際には、50μm〜150μmピッチで5000個〜10000個ほど配設されている。
【0031】
次に、図2を用いて、第1の実施形態のプローブカード1Aの作用を説明する。図2は、第1の実施形態のプローブカード1Aに係る配線層2Aに対してウエハ10が斜めに接触した状態を示す縦断面図である。
【0032】
第1の実施形態のプローブカード1Aにおいては、図2に示すように、接触子4が接触子形成領域CAに形成されている。従来においては、傾いたウエハ10がプローブカード1Aの接触子非形成領域CBに接触してウエハ10が破損してしまうおそれがあった(図8を参照)。第1の実施形態のプローブカード1Aにおいては、配線層2Aの接触子形成領域CAが接触子非形成領域CBよりも突出している。接触子形成領域CAが接触子非形成領域CBよりも突出すると、接触子4が接触子非形成領域CBの表面3Aaの高さから底上げされるため、接触子4の頂部から接触子非形成領域CBの高さまでの距離を長くすることができる。このことから、接触子4のストローク長を長くすることができなくてもウエハ10と再配線基板31とのクリアランスを大きくすることができるので、ウエハ10が接触子非形成領域CBに接触して破損することを防止することができる。
【0033】
この配線基板21は、セラミックを用いて形成されていることが好ましい。プローブカード1Aを用いて半導体部品の高温導通検査を行なう場合があるが、セラミックは熱ひずみが小さいので、配線基板21の接触子非形成領域が熱ひずみによりウエハ10側に出っ張るように反り曲がってしまい、配線基板21がウエハ10と接触してしまうことを防止することができる。
【0034】
また、第1の実施形態のプローブカード1Aにおいては、図2に示すように、接触子形成領域CAが突出した配線層2Aの表面2Aaに再配線層3Aが形成されている。この再配線層3Aに用いられる再配線基板31は、樹脂を用いて形成されているため、ウエハ10が接触子非形成領域CBに接触しても、再配線層3Aが緩衝材となってウエハ10の破損を防止することができる。また、配線基板21はセラミック製であるため、25〜30μm程度の平坦度が限界であるが、再配線基板31は樹脂製であるため、その平坦度を10μm以下程度にまで滑らかにすることができる。このことから、接触子形成領域CAに形成された配線層2Aの平坦度よりも再配線層3Aの平坦度を滑らかに形成することができるため、接触子4が大きく傾いてしまうことを防止することができる。接触子4が傾いておらずに同一平面から同一方向にそろって突出していれば、傾いて配置された接触子(図9参照)と比較して接触子4のストローク長を有効に利用して接触子4と全ての電極とを確実に接触させることができるので、従来のようにプローブカード1Aの接触子4にウエハ10の電極を必要以上に押し込むことになってウエハ10が再配線層3Aに接触することを防止することができる。
【0035】
すなわち、第1の実施形態のプローブカード1Aによれば、ウエハ10がプローブカード1Aの接触子非形成領域CBに接触することを防止しているともに、仮にウエハ10がプローブカード1Aの接触子非形成領域CBに接触しても再配線層3Aをクッション化してウエハ10に大きな衝撃が加わることを防止しているので、ウエハ10が接触子非形成領域CBに接触して破損してしまうことを防止することができるという効果を奏する。
【0036】
なお、再配線層3Aの平坦度を滑らかにすることが困難である場合、図3に示すように、再配線層3Aにおける接触子形成領域CAの表面3Aaであって、再配線層3Aと接触子4との間に樹脂配線層5Aが形成されていることが好ましい。この樹脂配線層5Aは樹脂基板51およびビア52を有しており、その樹脂基板51は、再配線層3Aの表面3Aaに液体樹脂を遠心力により均一に引き延ばしてコーティングした後にコーティングされた液体樹脂を硬化させることにより、形成されている。液体樹脂をコーティングして樹脂基板51を形成すると、液体樹脂の自重で樹脂配線層5Aの表面5Aaが滑らかになる。そのため、樹脂配線層5Aにより平坦度を10μm以下にすることができるので、コーティング以外の方法により再配線層3Aが形成された場合の接触子形成領域CAの平坦度よりもその平坦度を向上させることができる。
【0037】
次に、図4および図5を用いて、第2の実施形態のプローブカード1Bを説明する。図4は、第2の実施形態のプローブカード1Bを示す縦断面図である。第2の実施形態のプローブカード1Bは、配線層2B、再配線層3B、樹脂配線層5Bおよび接触子4を備えている。第1の実施形態のプローブカード1Aとの差異は、配線層2Bにおける接触子形成領域CAが突出していないことである。
【0038】
第2の実施形態の配線層2Bは、配線基板21、ビア22および図示しない内層電極を有している。第1の実施形態と同様、配線基板21は絶縁基板21aを積層することにより形成されているが、積層枚数に特段の制限はなく、接触子形成領域CAおよび接触子非形成領域CBをその表面2Baに有していればよい。よって、第2の実施形態の配線基板21における接触子形成領域CAまたは接触子非形成領域CBは、他方に対して突出しておらず、均一の厚さに形成されている。配線層2Bに用いる配線基板21は、第1の実施形態と同様、セラミックを用いて形成されている。
【0039】
再配線層3Bは、再配線基板31、ビア32および内層電極33を有しており、配線層2Bの表面2Baに形成されている。再配線基板31は、平板状の樹脂基板を絶縁基板31aとして積層させて形成されており、均一の厚さになっている。配線層2Bにおいて接触子形成領域CAおよび接触子非形成領域CBが他方に対して突出していないため、再配線層3Bにおける接触子形成領域CAおよび接触子非形成領域CBは他方に対して突出しておらず、均一の厚さに形成されている。
【0040】
樹脂配線層5Bは、樹脂基板51、ビア52および電極を有しており、再配線層3Bにおける接触子形成領域CAの表面3Baにのみ形成されている。第2の実施形態のプローブカード1Bにおいては、配線層2Bおよび再配線層3Bがともに均一の厚さに形成されているため、樹脂配線層5Bの厚さ分だけ接触子形成領域CAが接触子非形成領域CBよりも高くなる。したがって、樹脂配線層5Bの厚さは、接触子形成領域CAと接触子非形成領域CBとの高さの差をどの位だけ所望するかによって決定されている。第2の実施形態の樹脂配線層5Bの厚さは10μm〜20μm程度になっている。もし、配線層2Bまたは再配線層3Bの厚さが均一でない場合、配線層2Bおよび再配線層3Bにおける接触子形成領域CAから接触子非形成領域CBまでの高さの差に樹脂配線層5Bの厚さを加えることにより、プローブカード1Bにおける接触子形成領域CAが接触子非形成領域CBよりも高くなるように、樹脂配線層5Bの厚さが設定されている。
【0041】
樹脂配線層5Bに用いる樹脂基板51は、再配線層3Bの表面3Baに液体樹脂をコーティングした後に液体樹脂を硬化させることにより、その表面5Baを平滑にして形成されている。コーティングの一例としては、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、スプレーコート法などが挙げられるが、第2の実施形態においては、スピンコート法が採用されている。また、接触子形成領域CAのみに樹脂配線層5Bの樹脂基板51を形成する方法としては、図5に示すように、ポリイミドなどの感光性樹脂を用いて、接触子形成領域CAおよび接触子非形成領域CBに均一に液体樹脂層を形成し、不要部6を露光・現像して除去することにより、樹脂配線層5Bにおける接触子形成領域CAと接触子非形成領域CBとの高低差を設ける。
【0042】
接触子4は、第1の実施形態と同様、立体らせん状に形成されており、樹脂配線層5Bの表面5Baに多数配置されている。
【0043】
次に、図6を用いて、第2の実施形態のプローブカード1Bに係る作用を説明する。
【0044】
第3の実施形態のプローブカード1Bにおいては、図6に示すように、均一の厚さの配線層2Bの表面2Baに均一の厚さの再配線層3Bが形成されているとともに、その再配線層3Bにおける接触子形成領域CAの表面3Baに樹脂配線層5Bが形成されている。このことから、接触子形成領域CAが接触子非形成領域CBよりも高く形成されるため、ウエハ10が配線層2Bに対して斜めに接触した場合であっても、ウエハ10が接触子非形成領域CBに形成された再配線層3Bに接触することを防止することができる。
【0045】
また、樹脂配線層5Bに用いる樹脂基板51は、再配線層3Bの表面3Baに液体樹脂をコーティングした後に液体樹脂を硬化させることにより、その表面5Baを平滑にして形成されている。液体樹脂のコーティングにより樹脂基板51を形成すると、樹脂配線層5Bの平坦度を10μm以下にすることができる。このことから、コーティング以外の方法により樹脂配線層5Bが形成された場合の接触子形成領域CAの平坦度よりも樹脂配線層5Bの平坦度を向上させることができるので、接触子4が大きく傾いてしまうことを防止することができる。接触子4が傾いておらずに同一平面から同一方向にそろって突出していれば、接触子4のストローク長を有効に利用することができるので、プローブカード1Bの接触子4にウエハ10を必要以上に押し込んでウエハ10が再配線層3Bに接触することを防止することができる。
【0046】
仮に、ウエハ10が再配線層3Bに接触したとしても、第1の実施形態と同様、再配線層3Bに用いる再配線基板31は、樹脂を用いて形成されており、セラミックと比較して弾力性および柔軟性を有しているため、再配線層3Bが緩衝材となってウエハ10の破損を防止することができる。また、接触子形成領域CAに形成された配線層2Bの平坦度よりも再配線層3Bの平坦度を滑らかに形成することができるため、接触子4が傾いてしまうことを防止することができる。
【0047】
また、再配線層3Bの下層に位置する配線層2Bの配線基板21は、第1の実施形態と同様、セラミックを用いて形成されていることが好ましい。プローブカード1Bを用いて半導体部品の高温導通検査を行なう場合があるが、セラミックは熱ひずみが小さいので、配線基板21がウエハ10側に反り曲がってウエハ10と接触してしまうことを防止することができる。
【0048】
すなわち、第2の実施形態のプローブカード1Bによれば、ウエハ10が接触子非形成領域CBに接触することを防止しているともに、仮にウエハ10が接触子非形成領域CBに接触しても再配線層3Bをクッション化してウエハ10に大きな衝撃が加わることを防止しているので、ウエハ10が接触子非形成領域CBに接触して破損してしまうことを防止することができるという効果を奏する。
【0049】
なお、本発明は、前述した実施形態などに限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】第1の実施形態のプローブカードを示す部分縦断面図
【図2】第1の実施形態のプローブカードにウエハが押し込まれた状態を示す部分縦断面図
【図3】第1の実施形態のプローブカードにおいて再配線層に樹脂配線層を形成した状態を示す部分縦断面図
【図4】第2の実施形態のプローブカードを示す部分縦断面図
【図5】第2の実施形態の樹脂配線層における不要部を示す部分縦断面図
【図6】第2の実施形態のプローブカードにウエハが押し込まれた状態を示す部分縦断面図
【図7】従来のプローブカードの一例を示す部分縦断面図
【図8】従来のプローブカードにウエハが押し込まれた状態を示す部分縦断面図
【図9】従来のプローブカードにおいて接触子が傾いて配置された状態を示す縦断面図
【符号の説明】
【0051】
1A、1B プローブカード
2A、2B 配線層
3A、3B 再配線層
4 接触子
5A、5B 樹脂配線層
CA 接触子形成領域
CB 接触子非形成領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブカードに係り、特に、立体らせん状の接触子を有するプローブカードに好適に利用できるプローブカードに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、IC(集積回路)やLSI (大型集積回路)といった半導体部品に対する不良の有無を検査するため、プローブカードが頻繁に用いられている。
【0003】
一般的なプローブカードにおいては、半導体部品に用いるウエハに形成された多数の電極をプローブカードの配線層(配線層の表面に再配線層が形成されている場合はその再配線層)の表面に形成された多数の接触子にそれぞれ1個ずつ接触させることにより半導体部品の導通検査を行ない、その半導体部品が良品であるか否かを検査する。このプローブカードに用いる接触子の形態としては、大きく分けて2種類ある。
【0004】
1種目の接触子としては、プローブピンと称される針の根元にばねが付いた接触子であり、一般的に広く用いられている(特許文献1を参照)。このプローブピンを採用するメリットとしては、ストローク長を容易に長くすることができることが挙げられる。しかし、半導体部品の狭小化による電極の高密度化に対し、プローブピンの形状および構造上、150μmピッチ以下のプローブピンの高密度化が困難であるというデメリットがあった。また、ストローク長が長いため、高周波特性を向上させることが難しかった。
【0005】
そこで、図7に示すように、従来のプローブカード101においては、接触子の高密度化および高周波特性の向上に対応すべく、プローブカード101の配線層102に積層された再配線層103の表面103aに薄膜素線をスパイラル状に形成して薄膜素線にばね性をもたせた接触子104が2種目の接触子として採用されていた(特許文献2を参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平6−140481号公報
【特許文献2】特開2006−269148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、2種目のスパイラル状の接触子104においては、その高さを高くして形成することが困難であるため、針状に形成された1種目の接触子のストローク長よりも2種目の接触子104のストローク長を長く形成することができなかった。そのため、図8に示すように、プローブカード101に対して半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)110が斜めに接触した場合、半導体部品が接触子104だけでなく、配線層102または再配線層103の接触子非形成領域CBにも接触してしまい、半導体部品のウエハ110が破損してしまうという問題があった。
【0008】
また、図9に示すように、2種目の接触子104の直径が100μm程度であり、その高さは50μm程度であることから、配線層102または再配線層103の接触子形成領域CAの平坦度が25〜30μm程度であると、各々の接触子104がそれぞれ接触子形成領域CAの平坦度に依存して大きく傾いてしまう。そのため、傾いた接触子104の全てに電極を接触させようとすると、ウエハ110が接触子非形成領域CBにも接触してしまう場合もあるため、ウエハ110が配線層102または再配線層103の接触子非形成領域CBに接触した場合、前述と同様、ウエハ110が破損してしまうという問題があった。
【0009】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ウエハが接触子非形成領域に接触して破損してしまうことを防止することができるプローブカードを提供することを本発明の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するため、本発明のプローブカードは、その第1の態様として、接触子形成領域を接触子非形成領域よりも突出させて形成されている配線層と、配線層における突出した接触子形成領域の高さを利用して接触子形成領域を接触子非形成領域よりも高くして配線層の表面に形成されている再配線層と、再配線層における接触子形成領域の表面に形成されている接触子とを備えていることを特徴としている。
【0011】
本発明の第1の態様のプローブカードによれば、接触形成領域が接触子非形成領域よりも高く形成されているため、ウエハが配線層に対して斜めに接触した場合であっても、ウエハが接触子非形成領域に接触することを防止することができる。
【0012】
本発明の第2の態様のプローブカードは、第1の態様のプローブカードにおいて、再配線層における接触子形成領域の表面に形成されており、再配線層と接触子との間に介在している樹脂配線層を備えていることを特徴としている。
【0013】
本発明の第2の態様のプローブカードによれば、樹脂配線層が形成されていない配線層よりも接触子形成領域の平坦度を向上させることができる。また、樹脂配線層の厚さ分だけ接触子形成領域を高くすることができる。
【0014】
本発明の第3の態様のプローブカードは、接触子形成領域および接触子非形成領域を表面に有する配線層と、配線層の表面に形成されている再配線層と、再配線層における接触子形成領域の表面にのみ形成されているとともに最配線層における接触子非形成領域よりも高く形成されている樹脂配線層と、樹脂配線層の表面に形成されている接触子とを備えていることを特徴としている。
【0015】
本発明の第3の態様のプローブカードによれば、接触形成領域が接触子非形成領域よりも高く形成されているため、ウエハが配線層に対して斜めに接触した場合であっても、ウエハが接触子非形成領域に接触することを防止することができる。
【0016】
本発明の第4の態様のプローブカードは、第2または第3の態様のプローブカードにおいて、樹脂配線層に用いる樹脂基板は、再配線層の表面に液体樹脂をコーティングした後に液体樹脂を硬化させることにより、その表面を平滑にして形成されていることを特徴としている。
【0017】
本発明の第4の態様のプローブカードによれば、樹脂配線層により平坦度を10μm以下にすることができるので、コーティング以外の方法により再配線層が形成された場合の接触子形成領域の平坦度よりもその平坦度を向上させることができる。
【0018】
本発明の第5の態様のプローブカードは、第1から第4のいずれか1の態様のプローブカードにおいて、再配線層に用いる再配線基板は、樹脂を用いて薄膜形成されていることを特徴としている。
【0019】
本発明の第5の態様のプローブカードによれば、ウエハが接触子非形成領域に接触しても、再配線層が緩衝材となってウエハの破損を防止することができる。また、接触子形成領域に形成された配線層の平坦度よりも再配線層の平坦度を滑らかに形成することができるため、接触子が傾いてしまうことを防止することができる。
【0020】
本発明の第6の態様のプローブカードは、第2から第5のいずれか1の態様のプローブカードにおいて、配線層に用いる配線基板は、セラミックを用いて形成されていることを特徴としている。
【0021】
本発明の第6の態様のプローブカードによれば、セラミックは熱ひずみが小さいので、配線基板が反り曲がってウエハと接触してしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のプローブカードによれば、ウエハが接触子非形成領域に接触することを防止しているともに、仮にウエハが接触子非形成領域に接触しても再配線層をクッション化してウエハに大きな衝撃が加わることを防止しているので、ウエハが接触子非形成領域に接触して破損してしまうことを防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図を用いて、本発明のプローブカードをその2つの実施形態により説明する。
【0024】
はじめに、図1を用いて、第1の実施形態のプローブカード1Aを説明する。図1は、第1の実施形態のプローブカード1Aを示す縦断面図である。第1の実施形態のプローブカード1Aは、図1に示すように、配線層2A、再配線層3Aおよび接触子4を備えている。
【0025】
配線層2Aは、配線基板21、ビア22および図示しない内層電極を有している。第1の実施形態の配線基板21は、樹脂やセラミックなどの絶縁材料を用いて形成された絶縁基板21aを積層させることにより形成されている。ただし、この配線基板21は、単層の絶縁基板21aであっても良い。第1の実施形態の配線基板21としては、LTCC(低温焼成セラミック)基板もしくはHTCC(高温焼成セラミック)基板などのセラミック基板を積層させたセラミック多層基板が用いられている。
【0026】
また、第1の実施形態の配線基板21においては、接触子形成領域CAに積層される絶縁基板21aの積層枚数を接触子非形成領域CBに積層される絶縁基板21aの積層枚数よりも多くすることにより、接触子形成領域CAを接触子非形成領域CBよりも突出させて形成されている。この配線層2AがWIP(温間静水圧)などの等方加圧により圧縮形成される場合、接触子形成領域CAに積層された絶縁基板21aに加える圧力を接触子非形成領域CBに積層される絶縁基板21aに加える圧力よりも減圧することにより、相対的に接触子形成領域CAを突出させてもよい。
【0027】
再配線層3Aは、再配線基板31、ビア32および内層電極33を有して形成されている。またこの再配線層3Aは、配線層2Aの表面2Aaにおいて、配線層2Aにおける突出した接触子形成領域CAの高さを利用してその接触子形成領域CAを接触子非形成領域CBよりも高くして形成されている。この再配線基板31は、樹脂やセラミックなどの絶縁材料を用いて形成された絶縁基板31aを積層させることにより形成されており、その厚さは10μm〜20μm程度である。ただし、この再配線基板31は、単層の絶縁基板31aであっても良い。
【0028】
第1の実施形態においては、この再配線基板31は、ポリイミドなどの感光性樹脂を用いて任意の形状に形成された多数の樹脂基板を絶縁基板31aとして積層させることにより形成されている。再配線基板31の作成方法は、樹脂シートの貼付や液体樹脂のコーティング(スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、スプレーコート法など均一の厚さに塗布する液体樹脂塗布方法)など、一般的な樹脂層の形成方法を用いることができる。第1の実施形態において、この再配線基板31は、スピンコート法を用いて液体樹脂を遠心力により配線層2Aの表面2Aaに均一にコーティングした後に硬化させることにより形成された樹脂基板を積層枚数分だけ積層することによって形成されている。そのため、再配線基板31は、セラミック製の配線層2Aの平坦度よりも滑らかな平坦度をもって形成されている。
【0029】
再配線層3Aのビア32は、配線層2Aのビア22よりも狭いピッチをもって配設されている。第1の実施形態において、配線層2Aにおけるビア22のピッチは200μm程度であるが、再配線層3Aにおけるビア32のピッチは50μm〜150μm程度となっている。
【0030】
接触子4は、薄膜素線を立体らせん状に形成されている。この接触子4は、従来と同様、円錐状のレジストの表面にらせん溝を形成し、そのらせん溝に金属薄膜をめっき形成した後、円錐状のレジストを除去する方法によって形成されている。接触子4の直径は100μm程度であり、その高さは50μm程度である。また、この接触子4は、再配線層3Aにおける接触子形成領域CAの表面3Aaに配設されている。図1においては、接触子4が3個ほどしか示されていないが、実際には、50μm〜150μmピッチで5000個〜10000個ほど配設されている。
【0031】
次に、図2を用いて、第1の実施形態のプローブカード1Aの作用を説明する。図2は、第1の実施形態のプローブカード1Aに係る配線層2Aに対してウエハ10が斜めに接触した状態を示す縦断面図である。
【0032】
第1の実施形態のプローブカード1Aにおいては、図2に示すように、接触子4が接触子形成領域CAに形成されている。従来においては、傾いたウエハ10がプローブカード1Aの接触子非形成領域CBに接触してウエハ10が破損してしまうおそれがあった(図8を参照)。第1の実施形態のプローブカード1Aにおいては、配線層2Aの接触子形成領域CAが接触子非形成領域CBよりも突出している。接触子形成領域CAが接触子非形成領域CBよりも突出すると、接触子4が接触子非形成領域CBの表面3Aaの高さから底上げされるため、接触子4の頂部から接触子非形成領域CBの高さまでの距離を長くすることができる。このことから、接触子4のストローク長を長くすることができなくてもウエハ10と再配線基板31とのクリアランスを大きくすることができるので、ウエハ10が接触子非形成領域CBに接触して破損することを防止することができる。
【0033】
この配線基板21は、セラミックを用いて形成されていることが好ましい。プローブカード1Aを用いて半導体部品の高温導通検査を行なう場合があるが、セラミックは熱ひずみが小さいので、配線基板21の接触子非形成領域が熱ひずみによりウエハ10側に出っ張るように反り曲がってしまい、配線基板21がウエハ10と接触してしまうことを防止することができる。
【0034】
また、第1の実施形態のプローブカード1Aにおいては、図2に示すように、接触子形成領域CAが突出した配線層2Aの表面2Aaに再配線層3Aが形成されている。この再配線層3Aに用いられる再配線基板31は、樹脂を用いて形成されているため、ウエハ10が接触子非形成領域CBに接触しても、再配線層3Aが緩衝材となってウエハ10の破損を防止することができる。また、配線基板21はセラミック製であるため、25〜30μm程度の平坦度が限界であるが、再配線基板31は樹脂製であるため、その平坦度を10μm以下程度にまで滑らかにすることができる。このことから、接触子形成領域CAに形成された配線層2Aの平坦度よりも再配線層3Aの平坦度を滑らかに形成することができるため、接触子4が大きく傾いてしまうことを防止することができる。接触子4が傾いておらずに同一平面から同一方向にそろって突出していれば、傾いて配置された接触子(図9参照)と比較して接触子4のストローク長を有効に利用して接触子4と全ての電極とを確実に接触させることができるので、従来のようにプローブカード1Aの接触子4にウエハ10の電極を必要以上に押し込むことになってウエハ10が再配線層3Aに接触することを防止することができる。
【0035】
すなわち、第1の実施形態のプローブカード1Aによれば、ウエハ10がプローブカード1Aの接触子非形成領域CBに接触することを防止しているともに、仮にウエハ10がプローブカード1Aの接触子非形成領域CBに接触しても再配線層3Aをクッション化してウエハ10に大きな衝撃が加わることを防止しているので、ウエハ10が接触子非形成領域CBに接触して破損してしまうことを防止することができるという効果を奏する。
【0036】
なお、再配線層3Aの平坦度を滑らかにすることが困難である場合、図3に示すように、再配線層3Aにおける接触子形成領域CAの表面3Aaであって、再配線層3Aと接触子4との間に樹脂配線層5Aが形成されていることが好ましい。この樹脂配線層5Aは樹脂基板51およびビア52を有しており、その樹脂基板51は、再配線層3Aの表面3Aaに液体樹脂を遠心力により均一に引き延ばしてコーティングした後にコーティングされた液体樹脂を硬化させることにより、形成されている。液体樹脂をコーティングして樹脂基板51を形成すると、液体樹脂の自重で樹脂配線層5Aの表面5Aaが滑らかになる。そのため、樹脂配線層5Aにより平坦度を10μm以下にすることができるので、コーティング以外の方法により再配線層3Aが形成された場合の接触子形成領域CAの平坦度よりもその平坦度を向上させることができる。
【0037】
次に、図4および図5を用いて、第2の実施形態のプローブカード1Bを説明する。図4は、第2の実施形態のプローブカード1Bを示す縦断面図である。第2の実施形態のプローブカード1Bは、配線層2B、再配線層3B、樹脂配線層5Bおよび接触子4を備えている。第1の実施形態のプローブカード1Aとの差異は、配線層2Bにおける接触子形成領域CAが突出していないことである。
【0038】
第2の実施形態の配線層2Bは、配線基板21、ビア22および図示しない内層電極を有している。第1の実施形態と同様、配線基板21は絶縁基板21aを積層することにより形成されているが、積層枚数に特段の制限はなく、接触子形成領域CAおよび接触子非形成領域CBをその表面2Baに有していればよい。よって、第2の実施形態の配線基板21における接触子形成領域CAまたは接触子非形成領域CBは、他方に対して突出しておらず、均一の厚さに形成されている。配線層2Bに用いる配線基板21は、第1の実施形態と同様、セラミックを用いて形成されている。
【0039】
再配線層3Bは、再配線基板31、ビア32および内層電極33を有しており、配線層2Bの表面2Baに形成されている。再配線基板31は、平板状の樹脂基板を絶縁基板31aとして積層させて形成されており、均一の厚さになっている。配線層2Bにおいて接触子形成領域CAおよび接触子非形成領域CBが他方に対して突出していないため、再配線層3Bにおける接触子形成領域CAおよび接触子非形成領域CBは他方に対して突出しておらず、均一の厚さに形成されている。
【0040】
樹脂配線層5Bは、樹脂基板51、ビア52および電極を有しており、再配線層3Bにおける接触子形成領域CAの表面3Baにのみ形成されている。第2の実施形態のプローブカード1Bにおいては、配線層2Bおよび再配線層3Bがともに均一の厚さに形成されているため、樹脂配線層5Bの厚さ分だけ接触子形成領域CAが接触子非形成領域CBよりも高くなる。したがって、樹脂配線層5Bの厚さは、接触子形成領域CAと接触子非形成領域CBとの高さの差をどの位だけ所望するかによって決定されている。第2の実施形態の樹脂配線層5Bの厚さは10μm〜20μm程度になっている。もし、配線層2Bまたは再配線層3Bの厚さが均一でない場合、配線層2Bおよび再配線層3Bにおける接触子形成領域CAから接触子非形成領域CBまでの高さの差に樹脂配線層5Bの厚さを加えることにより、プローブカード1Bにおける接触子形成領域CAが接触子非形成領域CBよりも高くなるように、樹脂配線層5Bの厚さが設定されている。
【0041】
樹脂配線層5Bに用いる樹脂基板51は、再配線層3Bの表面3Baに液体樹脂をコーティングした後に液体樹脂を硬化させることにより、その表面5Baを平滑にして形成されている。コーティングの一例としては、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、スプレーコート法などが挙げられるが、第2の実施形態においては、スピンコート法が採用されている。また、接触子形成領域CAのみに樹脂配線層5Bの樹脂基板51を形成する方法としては、図5に示すように、ポリイミドなどの感光性樹脂を用いて、接触子形成領域CAおよび接触子非形成領域CBに均一に液体樹脂層を形成し、不要部6を露光・現像して除去することにより、樹脂配線層5Bにおける接触子形成領域CAと接触子非形成領域CBとの高低差を設ける。
【0042】
接触子4は、第1の実施形態と同様、立体らせん状に形成されており、樹脂配線層5Bの表面5Baに多数配置されている。
【0043】
次に、図6を用いて、第2の実施形態のプローブカード1Bに係る作用を説明する。
【0044】
第3の実施形態のプローブカード1Bにおいては、図6に示すように、均一の厚さの配線層2Bの表面2Baに均一の厚さの再配線層3Bが形成されているとともに、その再配線層3Bにおける接触子形成領域CAの表面3Baに樹脂配線層5Bが形成されている。このことから、接触子形成領域CAが接触子非形成領域CBよりも高く形成されるため、ウエハ10が配線層2Bに対して斜めに接触した場合であっても、ウエハ10が接触子非形成領域CBに形成された再配線層3Bに接触することを防止することができる。
【0045】
また、樹脂配線層5Bに用いる樹脂基板51は、再配線層3Bの表面3Baに液体樹脂をコーティングした後に液体樹脂を硬化させることにより、その表面5Baを平滑にして形成されている。液体樹脂のコーティングにより樹脂基板51を形成すると、樹脂配線層5Bの平坦度を10μm以下にすることができる。このことから、コーティング以外の方法により樹脂配線層5Bが形成された場合の接触子形成領域CAの平坦度よりも樹脂配線層5Bの平坦度を向上させることができるので、接触子4が大きく傾いてしまうことを防止することができる。接触子4が傾いておらずに同一平面から同一方向にそろって突出していれば、接触子4のストローク長を有効に利用することができるので、プローブカード1Bの接触子4にウエハ10を必要以上に押し込んでウエハ10が再配線層3Bに接触することを防止することができる。
【0046】
仮に、ウエハ10が再配線層3Bに接触したとしても、第1の実施形態と同様、再配線層3Bに用いる再配線基板31は、樹脂を用いて形成されており、セラミックと比較して弾力性および柔軟性を有しているため、再配線層3Bが緩衝材となってウエハ10の破損を防止することができる。また、接触子形成領域CAに形成された配線層2Bの平坦度よりも再配線層3Bの平坦度を滑らかに形成することができるため、接触子4が傾いてしまうことを防止することができる。
【0047】
また、再配線層3Bの下層に位置する配線層2Bの配線基板21は、第1の実施形態と同様、セラミックを用いて形成されていることが好ましい。プローブカード1Bを用いて半導体部品の高温導通検査を行なう場合があるが、セラミックは熱ひずみが小さいので、配線基板21がウエハ10側に反り曲がってウエハ10と接触してしまうことを防止することができる。
【0048】
すなわち、第2の実施形態のプローブカード1Bによれば、ウエハ10が接触子非形成領域CBに接触することを防止しているともに、仮にウエハ10が接触子非形成領域CBに接触しても再配線層3Bをクッション化してウエハ10に大きな衝撃が加わることを防止しているので、ウエハ10が接触子非形成領域CBに接触して破損してしまうことを防止することができるという効果を奏する。
【0049】
なお、本発明は、前述した実施形態などに限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】第1の実施形態のプローブカードを示す部分縦断面図
【図2】第1の実施形態のプローブカードにウエハが押し込まれた状態を示す部分縦断面図
【図3】第1の実施形態のプローブカードにおいて再配線層に樹脂配線層を形成した状態を示す部分縦断面図
【図4】第2の実施形態のプローブカードを示す部分縦断面図
【図5】第2の実施形態の樹脂配線層における不要部を示す部分縦断面図
【図6】第2の実施形態のプローブカードにウエハが押し込まれた状態を示す部分縦断面図
【図7】従来のプローブカードの一例を示す部分縦断面図
【図8】従来のプローブカードにウエハが押し込まれた状態を示す部分縦断面図
【図9】従来のプローブカードにおいて接触子が傾いて配置された状態を示す縦断面図
【符号の説明】
【0051】
1A、1B プローブカード
2A、2B 配線層
3A、3B 再配線層
4 接触子
5A、5B 樹脂配線層
CA 接触子形成領域
CB 接触子非形成領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触子形成領域を接触子非形成領域よりも突出させて形成されている配線層と、
前記配線層における突出した前記接触子形成領域の高さを利用して前記接触子形成領域を前記接触子非形成領域よりも高くして前記配線層の表面に形成されている再配線層と、
前記再配線層における前記接触子形成領域の表面に形成されている接触子と
を備えていることを特徴とするプローブカード。
【請求項2】
前記再配線層における前記接触子形成領域の表面に形成されており、前記再配線層と前記接触子との間に介在している樹脂配線層を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載のプローブカード。
【請求項3】
接触子形成領域および接触子非形成領域を表面に有する配線層と、
前記配線層の表面に形成されている再配線層と、
前記再配線層における接触子形成領域の表面にのみ形成されているとともに、前記最配線層における接触子非形成領域よりも高く形成されている樹脂配線層と、
前記樹脂配線層の表面に形成されている接触子と
を備えていることを特徴とするプローブカード。
【請求項4】
前記樹脂配線層に用いる樹脂基板は、前記再配線層の表面に液体樹脂をコーティングした後に前記液体樹脂を硬化させることにより、その表面を平滑にして形成されている
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のプローブカード。
【請求項5】
前記再配線層に用いる再配線基板は、樹脂を用いて前記配線層の平坦度よりも滑らかな平坦度をもって形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプローブカード。
【請求項6】
前記配線層に用いる配線基板は、セラミックを用いて形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプローブカード。
【請求項1】
接触子形成領域を接触子非形成領域よりも突出させて形成されている配線層と、
前記配線層における突出した前記接触子形成領域の高さを利用して前記接触子形成領域を前記接触子非形成領域よりも高くして前記配線層の表面に形成されている再配線層と、
前記再配線層における前記接触子形成領域の表面に形成されている接触子と
を備えていることを特徴とするプローブカード。
【請求項2】
前記再配線層における前記接触子形成領域の表面に形成されており、前記再配線層と前記接触子との間に介在している樹脂配線層を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載のプローブカード。
【請求項3】
接触子形成領域および接触子非形成領域を表面に有する配線層と、
前記配線層の表面に形成されている再配線層と、
前記再配線層における接触子形成領域の表面にのみ形成されているとともに、前記最配線層における接触子非形成領域よりも高く形成されている樹脂配線層と、
前記樹脂配線層の表面に形成されている接触子と
を備えていることを特徴とするプローブカード。
【請求項4】
前記樹脂配線層に用いる樹脂基板は、前記再配線層の表面に液体樹脂をコーティングした後に前記液体樹脂を硬化させることにより、その表面を平滑にして形成されている
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のプローブカード。
【請求項5】
前記再配線層に用いる再配線基板は、樹脂を用いて前記配線層の平坦度よりも滑らかな平坦度をもって形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプローブカード。
【請求項6】
前記配線層に用いる配線基板は、セラミックを用いて形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプローブカード。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2008−275409(P2008−275409A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−118391(P2007−118391)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
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