説明

プローブユニット、回路基板検査装置およびプローブユニット製造方法

【課題】製造コストの高騰、および故障の発生を抑えつつ小形化を実現する。
【解決手段】複数のプローブ12と、各プローブ12を保持する保持部11とを備え、保持部11は、挿通孔11cを有する板状体で構成され、プローブ12は、先端部21cが保持部11の下面11aから突出するように挿通孔11cに挿通された被覆導線21で構成されると共に、挿通孔11cの中心軸Aに沿って移動可能でかつ他の被覆導線21に対して絶縁された状態で挿通孔11cに充填された弾性材料13を介して保持部11に保持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のプローブと各プローブを保持する保持部とを備えたプローブユニット、そのプローブユニットを備えた回路基板検査装置、およびそのプローブユニットを製造するプローブユニット製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回路基板の検査等に用いられるプローブユニットとして、特開2000−292439号公報に開示されたプローブユニット(垂直作動型プローブカード)が知られている。このプローブユニットは、中央部に座屈部を有する複数のプローブと、異方性導電体を介して各プローブの接続部に接触される配線パターンが形成された基板と、複数の貫通孔がそれぞれ形成された上側支持基板および下側支持基板を有するプローブ支持部材とを備えて構成されている。このプローブユニットでは、各プローブが、上側支持基板の貫通孔および下側支持基板の貫通孔に貫通させられた状態で接着剤によって上側支持基板に固定されている。このプローブユニットでは、プロービング対象基板の導体パターンの配列に合わせてプローブの配列が規定されて、各導体パターンに各プローブを一度にプロービングさせることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−292439号公報(第3頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のプローブユニットには、以下の問題点がある。すなわち、このプローブユニットでは、中央部に座屈部を有するプローブを、複数の部材(上記の例では、上側支持基板および下側支持基板)で座屈可能に支持する複雑な構造となっている。また、このプローブユニットは、信号を入出力するための電極(上記の例では、異方性導電体におけるプローブとの対向部位)とプローブの接続部とがプロービング時に接触し、非プロービング時には離反する構造のため、その電気的接点において接触不良が生じるなどの故障が発生するおそれもある。一方、回路基板の高密度化に伴って導体パターンの微細化および狭ピッチ化が進んでおり、これに対応するため、プローブユニットの小形化が求められている。しかしながら、従来のプローブユニットは、上記したように複雑な構造であるため、小形化が困難で、回路基板の高密度化への対応が困難となっている。また、小形化が可能であったとしても、その小形化には高度な加工技術が必要なため、これに起因してプローブユニットの製造コストが高騰することに加えて、小形化に伴って上記した接触不良などの故障が発生し易くなるおそれもある。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、製造コストの高騰、および故障の発生を抑えつつ小形化を実現し得るプローブユニット、回路基板検査装置およびプローブユニット製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載のプローブユニットは、複数のプローブと、当該各プローブを保持する保持部とを備えたプローブユニットであって、前記保持部は、挿通孔を有する板状体で構成され、前記プローブは、先端部が前記保持部の一面から突出するように前記挿通孔に挿通された線状または棒状の導電体で構成されると共に、当該挿通孔の中心軸に沿って移動可能でかつ他の前記導電体に対して絶縁された状態で前記挿通孔に充填された弾性材料を介して前記保持部に保持されている。
【0007】
また、請求項2記載のプローブユニットは、請求項1記載のプローブユニットにおいて、前記プローブは、被覆導線で構成されている。
【0008】
また、請求項3記載のプローブユニットは、請求項1または2記載のプローブユニットにおいて、1つの前記挿通孔に複数の前記プローブが挿通されている。
【0009】
また、請求項4記載のプローブユニットは、請求項3記載のプローブユニットにおいて、前記複数のプローブが撚られた状態で前記1つの挿通孔に挿通されている。
【0010】
また、請求項5記載の回路基板検査装置は、請求項1から4のいずれかに記載のプローブユニットと、プロービング対象体としての回路基板に接触させた前記プローブユニットの前記プローブを介して入出力した電気信号に基づいて当該回路基板に対する電気的検査を実行する検査部とを備えている。
【0011】
また、請求項6記載のプローブユニット製造方法は、複数のプローブと、当該各プローブを保持する保持部とを備えたプローブユニットを製造するプローブユニット製造方法であって、板状体に挿通孔を形成して前記保持部を作製し、前記プローブとして機能させる線状または棒状の導電体の先端部が前記保持部の一面から突出するように当該導電体を前記挿通孔に挿通させ、前記挿通孔の中心軸に沿って移動可能でかつ他の前記導電体に対して絶縁した状態で弾性材料を介して当該導電体を当該保持部に保持させるように当該挿通孔に当該弾性材料を充填して前記プローブユニットを製造する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載のプローブユニット、および請求項6記載のプローブユニット製造方法では、板状体に挿通孔を形成して保持部が作製され、プローブとして機能させる線状または棒状の導電体の先端部が保持部の一面から突出するように導電体を挿通孔に挿通させ、挿通孔の中心軸に沿って移動可能に弾性材料を介して導電体を保持部に保持させるように挿通孔に弾性材料を充填してプローブユニットが製造される。つまり、このプローブユニットは、1枚の板状体で構成された保持部と、線状または棒状の導電体で構成されたプローブとで構成される。このため、このプローブユニットおよびプローブユニット製造方法によれば、ピン状のプローブを複数の部材で座屈可能に支持するタイプの従来のプローブユニットと比較して、プローブユニットの構成要素の種類が少なく単純な構造であるため、製造する際の工程を単純化することができる結果、その分、製造コストを十分に低減することができる。したがって、このプローブユニットおよびプローブユニット製造方法によれば、構造が単純な分、プロービング対象体としての高密度の回路基板に対応してプローブユニットを容易に小形化することができると共に、その製造コストを十分に低減することができる。また、このプローブユニットおよびプローブユニット製造方法によれば、信号を入出力するための電極とプローブの接続部との接触および離反がプロービングの度に繰り返される従来の構成とは異なり、このようなプロービングの度に接触および離反繰り返される部分が存在しないため、その部分における接触不良に起因する故障の発生を確実に防止することができる。
【0013】
請求項2記載のプローブユニットによれば、プローブを被覆導線で構成したことにより、被覆導線自体が絶縁性を有しているため、各被覆導線同士を確実に絶縁した状態で、各被覆導線を保持部に保持させることができる。また、プローブを被覆導線で構成することで、この被覆導線を回路基板検査装置の検査部等に直接接続することができる。つまり、プローブとしての被覆導線をそのまま検査部等との接続用のリード線として用いることができる。このため、プローブとしての導電体とは別体の接続用のリード線を用いる構成と比較して、プローブとしての導電体と接続用のリード線との連結が不要な分、プローブユニットの製造コストをさらに低減することができる。
【0014】
請求項3記載のプローブユニットによれば、1つの挿通孔に複数のプローブが挿通されているため、1つの挿通孔に1つのプローブが挿通されている構成と比較して、各プローブ同士の間隔(ピッチ)を狭めることができる。このため、このプローブユニットによれば、製造コストを十分に低減しつつ、より高密度の回路基板に対応して、プローブユニットをより小形化することができる。
【0015】
請求項4記載のプローブユニットによれば、撚った状態の複数のプローブが1つの挿通孔に挿通されているため、1つの挿通孔に挿通される複数のプローブ同士の間隔(ピッチ)を一層狭めることができる。このため、このプローブユニットによれば、製造コストを十分に低減しつつ、さらに高密度の回路基板に対応して、プローブユニットをさらに小形化することができる。
【0016】
請求項5記載の回路基板検査装置によれば、上記のプローブユニットを備えたことにより、上記のプローブユニットが有す効果と同様の効果を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】回路基板検査装置1の構成を示す構成図である。
【図2】プローブユニット2の構成を示す構成図である。
【図3】プローブユニット2の断面図である。
【図4】プローブユニット2をプローブ12の先端部12a側から見た平面図である。
【図5】プローブユニット2の製造方法を説明する第1の説明図である。
【図6】プローブユニット2の製造方法を説明する第2の説明図である。
【図7】プローブユニット2の製造方法を説明する第3の説明図である。
【図8】プローブユニット202の構成を示す断面図である。
【図9】プローブユニット302の構成を示す断面図である。
【図10】プローブユニット402の構成を示す断面図である。
【図11】プローブユニット502の構成を示す断面図である。
【図12】プローブユニット602の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るプローブユニット、回路基板検査装置およびプローブユニット製造方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
最初に、回路基板検査装置1の構成について説明する。図1に示す回路基板検査装置1は、プロービング対象体の一例としての回路基板100についての電気的検査を実行可能に構成されている。具体的には、回路基板検査装置1は、同図に示すように、プローブユニット2、移動機構3、回路基板支持部4、検査部5および制御部6を備えて構成されている。
【0020】
プローブユニット2は、プローブユニットの一例であって、図2に示すように、保持部11と複数のプローブ12とを備えて構成されている。
【0021】
保持部11は、図2に示すように、1枚の板状体で構成され、プローブ12を保持する。この場合、保持部11は、一例として、非導電性(絶縁性)を有する樹脂で構成されている。また、図3に示すように、保持部11には、プローブ12を構成する被覆導線21が挿通可能な挿通孔11cが形成されている。
【0022】
プローブ12は、図3,4に示すように、被覆導線21(線状または棒状の導電体の一例)で構成されている。被覆導線21は、導体部21aの周囲(端面21dを除く部分)に絶縁皮膜21bが形成されて構成されている。このプローブ12では、一例として、外径D2が50μm〜500μm程度のマグネットワイヤが被覆導線21として使用されている。また、プローブ12は、図3に示すように、先端部12a(つまり、被覆導線21の先端部21c)が保持部11の一面(同図における下側の面であって、以下「下面11a」ともいう)から突出するように保持部11の挿通孔11cに挿通され、その挿通孔11cに充填された弾性材料としての弾性接着剤13を介して保持部11に保持されている。この場合、先端部12aの下面11aからの突出長は、被覆導線21の外径D2や材質等に応じて任意に規定することができる。このプローブユニット2では、この突出長が、一例として、外径D2の10倍〜100倍程度に規定されている。なお、図2,3および後述する図6〜12では、先端部12aの突出長と他の部分の長さの比率を実際とは異なる比率で図示している。
【0023】
弾性接着剤13としては、初期状態において流動性を有し、塗布(供給)後に弾性を有した状態で固化する性質を有する各種の接着剤を用いることができる。具体的には、このプローブユニット2では、一例として、天然ゴム系接着剤、合成ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、および変成シリコーン系接着剤などが弾性接着剤13として用いられている。
【0024】
このプローブユニット2では、図3に示すように、プローブ12が弾性接着剤13を介して保持部11に保持されているため、プロービング対象体としての回路基板100の端子101に対するプロービング時に先端部12a(被覆導線21の先端部21c)に対して力が加わったときには、弾性接着剤13が弾性変形することで、挿通孔11cの中心軸Aに沿った方向(同図における上下方向)にプローブ12が移動することが可能となっている。また、プロービング時において、弾性接着剤13の弾性変形に伴う弾性力によって先端部12aが端子101を押圧し、これによって先端部12aが端子101に確実に接触して電気的に接続される。また、プローブ12は、絶縁皮膜21bによって絶縁された被覆導線21で構成され、その被覆導線21が非導電性を有する保持部11によって保持されているため、他のプローブ12(他の被覆導線21)に対して絶縁された状態となっている。
【0025】
移動機構3は、プローブユニット2を固定可能に構成されて、制御部6の制御に従い、回路基板支持部4に対して近接する向きおよび離反する向きにプローブユニット2を移動させる。回路基板支持部4は、回路基板100を保持可能に構成されている。検査部5は、制御部6の制御に従い、プローブユニット2の各プローブ12を介して入出力した電気信号に基づいて回路基板100に対して断線検査や短絡検査などの予め決められた電気的検査を実行する。制御部6は、移動機構3を制御することにより、移動機構3に固定されたプローブユニット2を移動させる。また、制御部6は、検査部5を制御して、回路基板100に対する電気的検査を実行させる。
【0026】
次に、プローブユニット2の製造方法について、図面を参照して説明する。
【0027】
最初に、図5に示すように、非導電性を有する樹脂で構成された板状体に対して、プロービング対象体としての回路基板100の端子101の配列パターン(図2参照)と同じ配列パターンで挿通孔11cを形成して、保持部11を作製する。この場合、プローブ12を構成する被覆導線21の外径D2が例えば50μmのときには、挿通孔11cの内径D1を100μm程度(つまり、外径D2の2倍程度)に規定する(図3参照)。
【0028】
次いで、図6に示すように、上記した外径D2が50μmの被覆導線21を保持部11の各挿通孔11cに挿通させる。この際に、同図および図7に示すように、被覆導線21の先端部21cが保持部11の下面11aから突出するように被覆導線21を挿通孔11cに挿通させる。
【0029】
続いて、すべての挿通孔11cへの被覆導線21の挿入が終了したときには、図7に示すように、保持部11の他面(同図における上側の面であって、以下「上面11b」ともいう)における挿通孔11cの縁部(つまり、挿通孔11cに挿通した被覆導線21の周囲)に弾性接着剤13(一例として、シリコーン系接着剤)を塗布(供給)する。次いで、保持部11の下面11a側から吸引を行う。この際に、図3に示すように、上面11bに塗布した弾性接着剤13が挿通孔11cの内周面と被覆導線21との間の隙間に引き込まれて、その隙間に充填される。
【0030】
続いて、弾性接着剤13が固化(乾燥)した後に、各被覆導線21の先端部21cに対して切削加工や研磨加工を行うことにより、保持部11の下面11aからの各先端部21cの突出長が予め決められた長さとなるように揃える。この場合、先端部12aの端面21dに酸化皮膜が形成されていたり、端面21dに絶縁皮膜21bの破片や汚れが付着していたりするときには、切削加工や研磨加工によってそれらが除去される。
【0031】
次いで、被覆導線21における先端部21cの端面21dに対してメッキ処理(例えば、金メッキ処理)を行い、端面21dに導電性を有する(低抵抗の)金属皮膜を形成する。以上により、プローブユニット2が完成する。
【0032】
この場合、このプローブユニット2は、1枚の板状体で構成された保持部11と、被覆導線21で構成されたプローブ12とで構成されている。このため、このプローブユニット2は、ピン状のプローブを複数の部材で座屈可能に支持するタイプの従来のプローブユニットと比較して、構成要素の種類が少なく単純な構造となっている。また、構造が単純なため、上記したように、製造する際の工程も単純であり、その分、製造コストを低減することが可能となっている。
【0033】
次に、回路基板検査装置1を用いて回路基板100に対する電気的検査を行う方法について、図面を参照して説明する。
【0034】
まず、移動機構3にプローブユニット2を固定する。次いで、回路基板支持部4に回路基板100を固定する。続いて、回路基板検査装置1を作動させる。この際に、制御部6が、移動機構3を制御することにより、回路基板100に対して近接する向き(図2における下向き)にプローブユニット2を移動させる。次いで、制御部6は、プローブユニット2の各プローブ12における先端部12aが回路基板100の端子101に接触したときには、移動機構3を制御して、予め決められた大きさの荷重をプローブユニット2に対して下向きに加えつつ、プローブユニット2を下向きに更に移動させる。
【0035】
この際に、プローブユニット2に加わる荷重が各プローブ12に分散し、分散した荷重が回路基板100の端子101を押圧する。ここで、このプローブユニット2では、プローブ12(プローブ12を構成する被覆導線21)が弾性接着剤13を介して保持部11に保持されている。このため、このプローブユニット2では、プロービングの際に端子101に対する押圧力の反力が各プローブ12に加わったときに、プローブ12を保持している弾性接着剤13が弾性変形し、これによって保持部11における挿通孔11cの中心軸Aに沿ったプローブ12の移動が許容される。したがって、各プローブ12の先端部12aと端子101との間の距離が各プローブ12毎に異なっている場合においても、弾性接着剤13を弾性変形させることで、各プローブ12の先端部12aと端子101とを確実に接触させることができる。
【0036】
続いて、検査部5が、制御部6の制御に従い、プローブ12を介して入出力した電気信号に基づいて回路基板100対する電気的検査を実行する。次いで、回路基板100に対する検査を終了したときには、制御部6は、移動機構3を制御して、回路基板100から離反する向きにプローブユニット2を移動させる。続いて、他の回路基板100に対する電気的検査を行う際には、上記の工程を繰り返して実行する。
【0037】
このように、このプローブユニット2、回路基板検査装置1およびプローブユニット製造方法では、板状体に挿通孔11cを形成して保持部11が作製され、プローブ12として機能させる被覆導線21の先端部21cが保持部11の下面11aから突出するように被覆導線21を挿通孔11cに挿通させ、挿通孔11cの中心軸Aに沿って移動可能に弾性接着剤13を介して被覆導線21を保持部11に保持させるように挿通孔11cに弾性接着剤13を充填してプローブユニットが製造される。つまり、このプローブユニット2は、1枚の板状体で構成された保持部11と、被覆導線21で構成されたプローブ12とで構成される。このため、このプローブユニット2、回路基板検査装置1およびプローブユニット製造方法によれば、ピン状のプローブを複数の部材で座屈可能に支持するタイプの従来のプローブユニットと比較して、プローブユニット2の構成要素の種類が少なく単純な構造であるため、製造する際の工程を単純化することができる結果、その分、製造コストを十分に低減することができる。したがって、このプローブユニット2、回路基板検査装置1およびプローブユニット製造方法によれば、構造が単純な分、高密度の回路基板100に対応してプローブユニット2を容易に小形化することができると共に、その製造コストを十分に低減することができる。また、このプローブユニット2、回路基板検査装置1およびプローブユニット製造方法によれば、信号を入出力するための電極とプローブの接続部との接触および離反がプロービングの度に繰り返される従来の構成とは異なり、このようなプロービングの度に接触および離反繰り返される部分が存在しないため、その部分における接触不良に起因する故障の発生を確実に防止することができる。
【0038】
また、このプローブユニット2および回路基板検査装置1によれば、プローブ12を被覆導線21で構成したことにより、被覆導線21自体が絶縁性を有しているため、各被覆導線21同士を確実に絶縁した状態で、各被覆導線21を保持部11に保持させることができる。また、プローブ12を被覆導線21で構成することで、この被覆導線21を検査部5に直接接続することができる。つまり、プローブ12としての被覆導線21をそのまま検査部5との接続用のリード線として用いることができる。このため、プローブ12としての導電体とは別体の接続用のリード線を用いる構成と比較して、プローブ12としての導電体と接続用のリード線との連結が不要な分、プローブユニット2の製造コストをさらに低減することができる。
【0039】
次に、図8に示すプローブユニット202について説明する。なお、以下の説明において、上記したプローブユニット2と同じ構成要素については、同じ符号を付して、重複する説明を省略する。プローブユニット202は、プローブユニットの他の一例であって、同図に示すように、保持部11とプローブ12とを備えて構成されている。この場合、保持部11の挿通孔11cには、2つ(複数の一例)のプローブ12をそれぞれ構成する2つの被覆導線21が挿通されている。また、挿通孔11cに挿通された各被覆導線21は、挿通孔11cの中心軸Aに沿って移動可能でかつ他の互いに絶縁された状態で挿通孔11cに充填された弾性接着剤13を介して保持部11に保持されている。なお、1つの挿通孔11cに挿通させるプローブ12の数は、2つに限定されず、任意の複数に規定することができる。
【0040】
このプローブユニット202によれば、1つの挿通孔11cに複数のプローブ12が挿通されているため、1つの挿通孔11cに1つのプローブ12が挿通されている構成と比較して、各プローブ12同士の間隔(ピッチ)を狭めることができる。このため、このプローブユニット202によれば、製造コストを十分に低減しつつ、より高密度の回路基板100に対応して、プローブユニット202をより小形化することができる。
【0041】
次に、図9に示すプローブユニット302について説明する。なお、以下の説明において、上記したプローブユニット2と同じ構成要素については、同じ符号を付して、重複する説明を省略する。プローブユニット302は、プローブユニットのさらに他の一例であって、同図に示すように、保持部11とプローブ12とを備えて構成されている。この場合、保持部11の挿通孔11cには、2つ(複数の一例)のプローブ12をそれぞれ構成する2つの被覆導線21が挿通され、各被覆導線21は、挿通孔11cの中心軸Aに沿って移動可能でかつ他の互いに絶縁された状態で挿通孔11cに充填された弾性接着剤13を介して保持部11に保持されている。また、同図に示すように、各プローブ12(1つの挿通孔11cに挿通される各被覆導線21)は撚られた状態で挿通孔11cに挿通されている。
【0042】
このプローブユニット302によれば、撚った状態の複数のプローブ12が1つの挿通孔11cに挿通されているため、1つの挿通孔11cに挿通される複数のプローブ12同士の間隔(ピッチ)を一層狭めることができる。このため、このプローブユニット302によれば、製造コストを十分に低減しつつ、さらに高密度の回路基板100に対応して、プローブユニット302をさらに小形化することができる。
【0043】
なお、プローブユニットおよび回路基板検査装置は、上記の構成に限定されない。例えば、線状に形成された導体としての被覆導線21を用いる例について上記したが、被覆導線21に代えて、棒状に形成された導体を用いる構成を採用することもできる。
【0044】
また、プローブ12を構成する被覆導線21における端面21dを除く部分が絶縁皮膜21bで覆われている構成例(図3参照)について上記したが、図10に示すように、先端部21cの周面の一部(端面21dを除く部分)における絶縁皮膜21bが取り除かれている被覆導線21で構成されたプローブ12を用いてプローブユニット402を構成することができ、そのプローブユニット402を備えて回路基板検査装置を構成することもできる。
【0045】
また、図11に示すように、先端部21cがニードル状(先端に向かうに従って徐々に細くなる形状)に形成されている被覆導線21で構成されたプローブ12を用いてプローブユニット502を構成することができ、そのプローブユニット502を備えて回路基板検査装置を構成することもできる。また、図12に示すように、先端部21cが半球体状に形成されている被覆導線21で構成されたプローブ12を用いてプローブユニット602を構成することができ、そのプローブユニット602を備えて回路基板検査装置を構成することもできる。
【符号の説明】
【0046】
1 回路基板検査装置
2,202,302 プローブユニット
5 検査部
11 保持部
11a 下面
11c 挿通孔
12 プローブ
12a 先端部
13 弾性接着剤
21 被覆導線
21a 導体部
21b 絶縁皮膜
21c 先端部
100 回路基板
101 端子
A 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプローブと、当該各プローブを保持する保持部とを備えたプローブユニットであって、
前記保持部は、挿通孔を有する板状体で構成され、
前記プローブは、先端部が前記保持部の一面から突出するように前記挿通孔に挿通された線状または棒状の導電体で構成されると共に、当該挿通孔の中心軸に沿って移動可能でかつ他の前記導電体に対して絶縁された状態で前記挿通孔に充填された弾性材料を介して前記保持部に保持されているプローブユニット。
【請求項2】
前記プローブは、被覆導線で構成されている請求項1記載のプローブユニット。
【請求項3】
1つの前記挿通孔に複数の前記プローブが挿通されている請求項1または2記載のプローブユニット。
【請求項4】
前記複数のプローブが撚られた状態で前記1つの挿通孔に挿通されている請求項3記載のプローブユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のプローブユニットと、プロービング対象体としての回路基板に接触させた前記プローブユニットの前記プローブを介して入出力した電気信号に基づいて当該回路基板に対する電気的検査を実行する検査部とを備えている回路基板検査装置。
【請求項6】
複数のプローブと、当該各プローブを保持する保持部とを備えたプローブユニットを製造するプローブユニット製造方法であって、
板状体に挿通孔を形成して前記保持部を作製し、
前記プローブとして機能させる線状または棒状の導電体の先端部が前記保持部の一面から突出するように当該導電体を前記挿通孔に挿通させ、
前記挿通孔の中心軸に沿って移動可能でかつ他の前記導電体に対して絶縁した状態で弾性材料を介して当該導電体を当該保持部に保持させるように当該挿通孔に当該弾性材料を充填して前記プローブユニットを製造するプローブユニット製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−2976(P2013−2976A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134795(P2011−134795)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】