説明

プローブ組立体

【課題】被検査体の電極周辺に残存する異物によってプローブが損傷を受けることを防止できるプローブ組立体を提供する。
【解決手段】 プローブ組立体は、複数のプローブと、該プローブが設けられるプローブ基板と、該プローブ基板に設けられる複数の保護部材とを備える。各プローブは、一端がプローブ基板に支持され、該プローブ基板の取付け面から間隔をおいて該取付け面にほぼ沿って伸長するアーム部を有する。各アーム部の他端には、プローブ基板の取付け面から離れる方向へ突出する針先が形成されている。保護部材は、各アーム部の近傍の少なくともその一側で、プローブ基板に支持されている。保護部材は、保護面を有する。保護面は、プローブ基板の取付け面に対向するアーム部の一方の面と反対側の他方の面の高さ位置の近傍に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路のような平板状の被検査体の通電試験に用いるのに好適なプローブ組立体に関する。
【0002】
半導体チップの電極にバンプ電極を用いたものがある。このバンプ電極によれば、該バンプ電極と回路基板の電極との直接的な接合により、半導体チップを回路基板に実装することができる。このような半導体チップは、一般的に、半導体ウエハ上に集合的に形成され、該半導体ウエハがそれぞれのチップに分離される前に、電気的検査を受ける。
【0003】
この種の電気的検査では、半導体ウエハ上の各チップ領域の各電極に接触する多数のプローブが設けられたプローブ組立体を通して、被検査体である複数のチップ領域がテスタに接続される。
【0004】
前記したプローブ組立体の各プローブは、針先が設けられたアーム部を有する。このアーム部の一端は前記プローブ組立体のプローブ基板の回路に固定され、アーム部は、前記プローブ基板の表面から間隔をおいてこれにほぼ沿って横方向に伸びる。このアーム部の他端に、前記プローブ基板の表面から離れる方向へ伸びる前記針先が形成されている(特許文献1参照)。
【0005】
プローブ組立体は、各プローブの針先が対応するバンプ電極に接触するように、半導体ウエハに向けて相対的に押圧される。このとき、各プローブと対応するバンプ電極との確実な電気的接触のために、前記アーム部に僅かな撓み変形が生じるように、各プローブにはオーバドライブ力が付与される。
【0006】
特許文献1に記載の発明では、プローブとプローブ基板との間に、プローブの過剰な変形を防止する突起部が設けられている。この突起部の変形規制作用により、過剰なオーバドライブ力によるアーム部の過剰な変形が抑制され、該アーム部の過剰な変形によるプローブの損傷が防止される。
【0007】
しかしながら、アーム部に適正なオーバドライブ力を付与すべく、各プローブのアーム部の針先部近傍が半導体ウエハのチップ領域に向けて変位しても、チップ領域のバンプ電極の近傍にバンプ材料の屑のような異物が残存していると、該異物がプローブのアーム部に当たる虞がある。
【0008】
前記半導体チップが液晶パネルのICドライバの場合、特に、プローブが接触する電極およびその配列ピッチは、数十μmの微少な値である。このため、そのような電気検査に用いるプローブ組立体の各プローブには、厚さ寸法あるいは径がそれに対応した小さな寸法の針部材が用いられている。このことから、プローブが電極の周辺に残存する異物に当接して該異物から強い押圧力を受けると、損傷を受け易い。そのため、このような電極近傍に残存する異物とプローブとの干渉によるプローブの損傷を確実に防止できるプローブ組立体が望まれていた。
【0009】
【特許文献1】特開2002−340932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明の目的は、被検査体の電極周辺に残存する異物によってプローブが損傷を受けることを防止できるプローブ組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るプローブ組立体は、複数のプローブと、該プローブが設けられるプローブ基板と、該プローブ基板に設けられる保護部材とを備える。前記プローブは、一端が前記プローブ基板に支持され、該プローブ基板の取付け面から間隔をおいて該取付け面にほぼ沿って伸長するアーム部を有する。該アーム部の他端には、前記取付け面から離れる方向へ突出する針先が形成されている。前記保護部材は、前記各アーム部の近傍で少なくともその一側に配置され、前記プローブ基板に支持されている。前記保護部材は、前記プローブ基板の前記取付け面に対向する前記アーム部の一方の面と反対側の他方の面の高さ位置の近傍に位置する保護面を有する。
【0012】
本発明に係る前記プローブ組立体では、前記アーム部の側方に配置される前記保護部材は、前記プローブにオーバドライブ力を与えるべく前記プローブ基板が相対的に被検査体である半導体ウエハの電極へ向けて押圧されたとき、アーム部と一体的に変位する。この保護部材には、前記アーム部の前記他方の面の高さ位置の近傍に位置する保護面が形成されていることから、電極近傍に異物があると、該異物が前記プローブに当接する前またはその後に前記保護部材がこの異物に当接する。保護部材の前記保護面が前記異物に当接すると、既に異物が前記アーム部に当接していたとしても、前記プローブ組立体と前記半導体ウエハとの引き続く相対運動に拘わらず、前記保護部材は、その保護面と異物との干渉によって、該異物から前記プローブのアーム部に損傷を与えるほどに強い押圧力がアーム部に作用することを防止する。
【0013】
したがって、たとえ異物がプローブのアーム部に当接しても、この保護部材の保護作用により、該アーム部が異物から損傷を受けるほどに強い押圧力を受けることはなく、該アーム部への損傷を防止できる。また、前記プローブのアーム部に異物との当接による過剰なオーバドライブ力が作用することを防止することができるので、従来のようなプローブの過剰な変形を防止するための突起を設けることなく、アーム部と異物との当接によるプローブの過剰な変形をも防止することが可能となる。
【0014】
前記アーム部の前記他端に前記プローブ基板の前記取付け面から離れる方向へ伸長する針先部を設け、該針先部の伸長端に前記針先を形成することができる。また、前記保護部材の前記保護面を前記アーム部の前記他方の面に沿って伸長させることができる。このアーム部に沿って伸長する前記保護部材の保護面は、より広範囲にわたる領域でアーム部を異物との当接による損傷から防止する。
【0015】
前記アーム部の前記他方の面が平坦面であるとき、前記保護部材の前記保護面も平坦面とすることができる。この平坦な保護面は、前記プローブ基板の前記取付け面から前記アーム部の前記他方の面よりも離れた高さ位置に形成することができる。これにより、異物が前記アーム部に当接する前に、前記保護面を異物に干渉させることが可能になるので、異物と前記アーム部との当接を阻止することが可能となる。したがって、前記アーム部の異物との当接による損傷をより確実に防止することができる。
【0016】
前記保護部材は前記プローブと同一材料で形成することができる。
【0017】
また、前記保護部材をプローブ毎にそれぞれの両側に対をなして配置することができる。これに代えて、前記保護部材および前記プローブを交互に配列することができる。この交互配列により、隣合うプローブで、その間の保護部材を共用することができるので、保護部材によるプローブの保護作用を損なうことなく、保護部材の配置個数をほぼ半値に削減することができる。
【0018】
前記プローブおよび保護部材は、ホトリソグラフィ技術および電鋳技術を利用して形成することができる。
【0019】
前記電極がバンプ電極である半導体装置では、バンプ屑が電極の近傍に付着し易いことから、本発明に係るプローブ組立体はこのようなバンプ電極の半導体装置の電気的検査に、特に有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、前記したような保護部材と異物との干渉によって、プローブのアーム部が被検査体の電極周辺に残存する異物との当接によって損傷を受けることを確実に防止することができる。さらに、異物との当接による前記アーム部に損傷を与えるようなアーム部の過剰な変形をも防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係るプローブ組立体10は、これを分解して示す図1に示されているように、リジッド配線基板12と、該リジッド配線基板にばね部材14を介して弾性支持されるブロック16と、リジッド配線基板12内の図示しない複数の配線路に電気的にそれぞれ接続される従来よく知られた複数の導電路が設けられるプローブ基板18(図2および図3参照)を有するプローブシート20とを備える。この実施例では、本発明に係るプローブ基板18が可撓性のプローブシート20の中央部として用いられている。
【0022】
リジッド配線基板12内には、従来よく知られているように、テスタ本体の電気回路に接続される配線路が形成されており、リジッド配線基板12は、その中央に円形開口12aを有する。リジッド配線基板12の上面には、図示の例では、図2に示すように、リジッド配線基板12に螺合するボルト22を介して、例えばステンレスのような金属からなる円形の支持板24が固定されている。支持板24は、リジッド配線基板12を支持し、該リジッド配線基板の補強作用をなす。
【0023】
ばね部材14は、平板状のばね材料からなり、その環状外縁部14a(図1参照)を両面から挟持する環状の取付板26および環状に相互に組み合わされる複数の押さえ板28を介して、リジッド配線基板12の円形開口12a内で該開口を横切って保持される。このばね部材14の保持のために、取付板26は支持板24の下面にボルト30で結合され、また各押さえ板28は、該押さえ板およびばね部材14の環状外縁部14aを貫通し取付板26に螺合するボルト32で取付板26に結合されている。
【0024】
図2に示す例では、ボルト30を緩めた状態でばね部材14の保持姿勢を調整するための平行調整ねじ部材34が、その先端を取付板26の頂面に当接可能に、支持板24に螺合する。
【0025】
リジッド配線基板12の円形開口12a内に保持されたばね部材14の本体部14b(図1参照)に、前記したブロック16が固定されている。ブロック16は、矩形横断面を有するステム部16aと、該ステム部の下端に連なる正八角形の横断面形状を有する支持部16bとを備える。支持部16bは、その軸線に沿って一定の径を有する台座部分36に連なりその横断面形状と相似な横断面形状を有する底部38を有し、該底部は、その外径を下端に向けて漸減する。これより、図3に示すように、ブロック16は、その底部38にテーパ面40で取り巻かれた領域の中央に平坦な矩形の支持面部分42を有する。
【0026】
ブロック16は、図2に示したように、その台座部分36の底部38に形成された支持面部分42を下方に向けて、ステム部16aの頂面でばね部材14の本体部14bに結合されている。この結合のために、ステム部16aと共同して本体部14bを挟持する固定板44が、ステム部16aに螺合するねじ部材46により、ステム部16aに固定されている。
【0027】
プローブシート20の中央部のプローブ基板18は、図3に示す例では、ブロック16の底部38に対応して形成された八角形部分である。この八角形部分の中央部には、支持面部分42に対応する矩形の接触子領域48が形成されている。この接触子領域48の一方の面には、多数のプローブ50がそれらの針先50aを2列に整列させて配置されている。
【0028】
図3に示された2列のうちの右方に示されたプローブ列の一部が、代表的に図4ないし図6に拡大して示されている。図4はそのプローブ列を針先50aの側から見た底面図であり、図5は図4に矢印Aで示す方向からプローブ列を見た側面図である。さらに、図6はプローブ列を図5に示す矢印Bに沿って見た正面断面図である。
【0029】
各プローブ50は、図6に示すように、プローブ基板18の一方の面である取付け面18aから下方に伸びる取付け部50bを介してプローブ基板18に結合されたアーム部50cと、該アーム部に設けられた針先部50dとを備える。アーム部50cは、取付け部50bの下端から横方向へプローブ基板18の取付け面18aに沿って伸び、その先端に前記針先部50dが設けられている。
【0030】
アーム部50cは、矩形横断面形状を有し、取付け面18aに対向し、プローブ50の無負荷時に取付け面18aから一様な間隔をおく平坦な上面52aと、該上面と反対側に上面52aに平行な下面52bとを有する。針先部50dは、取付け面18aに対向する一方の面54aをプローブ50の無負荷時に取付け面18aから間隔をおきかつ取付け面18aから離れる方向へ伸びるように、アーム部50cの他端すなわち先端に形成されている。この針先部50dの伸長端に前記した針先50aが形成されている。
【0031】
図3に示したように、プローブ列毎に、各プローブ50の針先50aおよび取付け部50bが整列するように配列され、また図4に示したように、整列方向に隣り合うプローブ50のアーム部50cが相互に平行に一様な間隔をおいて配列されている。各プローブ50は、その取付け部50bで、プローブ基板18内の前記各導電路に電気的に接続されている。
【0032】
各プローブ列の隣り合うプローブ50間には、図3ないし図6に示すように、細長い直方体からなる保護部材54が、隣接するプローブ50に当接することなく該プローブと平行に、配置されている。各保護部材54は、その一方の面56aを取付け面18aに当接させて該面に支持されており、アーム部50cに沿ってほぼ取付け部50bから針先部50dに至る長さ寸法Lを有する。また、図示の例では、プローブ基板18への取付け面となる保護部材54の一方の面56aの反対側に位置する下面56bが、プローブ50の無負荷状態でそのアーム部50cの下面52bの高さ位置よりも低くかつ針先50aの高さ位置よりも上方に位置する高さ寸法Hを有する。
【0033】
したがって、プローブ50の無負荷状態では、プローブ50の配列方向へ該プローブと交互に配置された保護部材54の下面56bは、アーム部50cの下面52bよりもプローブ基板18の取付け面18aから離れた高さ位置にあり、針先50aよりも取付け面18aに近い高さ位置にある。
【0034】
隣り合うプローブ50間に保護部材54が設けられたプローブ基板18を備えるプローブシート20は、図2に示したように、このプローブ50および保護部材54が設けられた取付け面18aを下方に向けて、取付け面18aと反対側の面で、ブロック16の底部38に支持されるように、接着剤を介して該底部の下面に固着されている。また、プローブシート20は、前記八角形部分であるプローブ基板18から外方へ伸長する部分が僅かな弛みをもつように、その外縁部がリジッド配線基板12に結合されている。
【0035】
プローブシート20の前記外縁部の結合のために、弾性ゴムリング58がプローブシート20の外縁部に沿って配置されており、また、弾性ゴムリング58を覆うリング金具60が配置されている。プローブシート20の外縁部および両部材58、60は、位置決めピン62により、リジッド配線基板12に対する相対位置が決まる。プローブシート20および両部材58、60を貫通するねじ部材64のリジッド配線基板12への締め付けによって、プローブシート20の外縁部がリジッド配線基板12に結合される。前記外縁部のリジッド配線基板12への結合によって、従来におけると同様に、プローブシート20の前記導電路がリジッド配線基板12の対応する前記配線路に電気的に接続される。したがって、各プローブ50はプローブシート20の前記導電路を経て前記テスタ本体に接続される。
【0036】
アライメントピン66が、必要に応じて、プローブシート20を貫通して配置されている。アライメントピン66の下端には、被検査体である半導体ウエハ68(図5、6参照)が保持されるテーブル(図示せず)に支持された図示しないカメラから撮影可能のアライメントマーク66a(図3参照)が設けられている。
【0037】
このアライメントマークの撮影画像から、前記テーブルに対するプローブ組立体10の相対的な位置情報が得られるので、この位置情報に基づいて、プローブ組立体10の各プローブ50の針先50aが前記テーブル上の被検査体68の対応する各電極68aに正確に接触するように、プローブ組立体10の前記支持テーブルに対する相対位置が調整される。
【0038】
支持テーブルとプローブ組立体10の相対的な位置調整によって、図7(a)および図7(b)に示されているように、各プローブ50の針先50aが被検査体である半導体ウエハ68の対応する電極68a上に該電極から間隔をおいて保持される。
【0039】
この状態で、半導体ウエハ68が載る前記テーブルはプローブ組立体10を保持するリジッド配線基板12に向けて上昇するように所定のストロークで作動される。このテーブルの作動により、リジッド配線基板12に保持されたプローブ組立体10の各プローブ50は相対的に半導体ウエハ68に向けて移動する。このプローブ50の相対移動により、図8(a)および図8(b)に示すように、各プローブ50の針先50aが対応する電極68aに接触する。
【0040】
この針先50aと電極68aとの接触後、さらに両者の電気的接触を確実になすために、引き続き、リジッド配線基板12と一体的にプローブ組立体10は半導体ウエハ68へ向けて相対的に移動される。その結果、図9(a)および図9(b)に示すように、各プローブ50の針先50aを電極68aに当接させた状態で、各アーム部50cに上方へ向けての適正な反りが生じるように、適度なオーバドライブ力が作用する。
【0041】
各プローブ50のアーム部50cに適度なオーバドライブ力が作用した状態では、プローブ50と、半導体ウエハ68の電極68aとの確実な電気的接触が行われる。これにより、半導体ウエハ68が確実に前記テスタ本体に接続されることから、該テスタ本体での前記被検査体68の正確な通電検査が可能となる。
【0042】
本発明に係るプローブ組立体10について、図7(a)および図7(b)に示されているように、半導体ウエハ68上の電極68aに近接した位置に例えば異物70がある場合を考える。
【0043】
図8(a)および図8(b)に示したように、各針先50aが対応する電極68aに当接した状態では、異物70の頂部がたとえアーム部50cの前記他方の面すなわち下面52bから間隔をおく状態にあっても、図9(a)および図9(b)に示したように、引き続いてプローブ50の針先50aが電極68aに押し付けられると、異物70の頂部がアーム部50cの下面52bに当接する虞を生じる。
【0044】
しかしながら、本発明に係るプローブ組立体10では、プローブ基板18には保護部材54が設けられている。この保護部材54は、各プローブ50のアーム部50cの側方で、該アーム部の下面52bに沿って伸長する下面56bを有する。しかも、図示の例では、保護部材54の下面56bは、アーム部50cの下面52bにおけるよりもプローブ基板18の取付け面18aからの距離が大きい。したがって、保護部材54の下面56bは、アーム部50cの下面52bよりも下方に突出する。
【0045】
そのため、図9(a)および図9(b)に示したように、プローブ50にオーバドライブ力が作用したとき、異物70の頂部がアーム部50cの下面52bに当接しようとするが、該下面よりも下方位置にある保護部材54の下面56bが異物70の頂部に当接することにより、保護部材54はプローブ50のアーム部50cと異物70との当接を阻止する。
【0046】
プローブ150の側方に保護部材54が設けられていない従来構造では、図10(a)および図10(b)に示すように、電極68aの近傍に異物70が在ると、この異物70がプローブ150のアーム部50cに当接することがある。しかも、プローブ150の針先150aが対応する電極68aに当接する前に、異物70がアーム部150cに当接することがある。
【0047】
このような場合、針先150aが電極68aに当接し始めた状態で、図10(a)に示すように、アーム部150cに当接する異物70がアーム部150cを押し上げる。そのため、アーム部150cには、針先150aが電極68aに当接し始める状態で既に大きな撓み変形が導入される。また、図10(b)に示すように、プローブ150に所定のオーバドライブ力を作用させるべく、プローブ150が所定のストロークで半導体ウエハ68に向けて移動されると、さらにアーム部150cに異物70が強く押し付けられることから、アーム部150cは異物70との強い当接により損傷を受ける。また、異物70との当接によってアーム部150cに過度の撓み変形が与えられることから、プローブ150に破損が生じる。
【0048】
これに対し、本発明に係るプローブ組立体10では、前記したように、保護部材54の異物70との当接による干渉作用によって、異物70とアーム部50cとの当接が阻止されることから、異物70との当接によるアーム部50cへの損傷を防止できる。
【0049】
さらに、前記したように、プローブ50と交互に配置されたブロック体からなる保護部材54の下面56bをアーム部50cの下面52bよりも下方に位置させることにより、図9(a)および図9(b)に示したような接触状態においてもアーム部50cと異物70との接触を防止することができる。そのため、プローブ50にオーバドライブ力が作用した状態における該プローブの過度の変形を確実に防止しることができ、過度のオーバドライブによるプローブ50の破損を確実に防止することができる。
【0050】
前記した保護部材54は、図示しない基台上で、従来よく知られたホトリソグラフィ技術および電鋳技術を用いて、複数のプローブ50がそれらの針先50aから順次形成される場合、これらプローブ50の形成と同時的に形成することができる。この場合、保護部材54は、プローブ50と同一の金属材料で形成される。
【0051】
これに代えて、保護部材54を電気絶縁性の樹脂材料で成型し、これをプローブ基板18の取付け面18aに接着剤等を用いて固着することができる。しかしながら、製造工程の簡素化の点で、前記したように保護部材54をプローブ50と同時的に形成することが望ましい。
【0052】
保護部材54をプローブ50と交互に配列することに代えて、各プローブ50の両側に、プローブ毎に専用の一対の保護部材54を配置することができる。しかしながら、省スペース化の点で、前記した交互配置が望ましい。
【0053】
保護部材54の下面56bは、プローブ50の下面52bよりも僅かに上方すなわち取付け面18aに近い位置とすることができる。この場合、異物70とプローブ50との接触を確実に防止することはできない。しかしながら、損傷を与えるほどの強い押圧力が異物70からプローブ50のアーム部50cに作用することを防止することができ、また破損を与えるほどの過大な変形がアーム部50cに作用することを防止することができる。
【0054】
また、前記したところでは、保護部材54がブロック体からなる例を示したが、これに代えて、柱状の複数の保護部材をプローブ50のアーム部50cに沿って配列されるように、それぞれを取付け面18aから下方へ伸長させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、上記実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない限り、種々に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係るプローブ組立体を分解して示す斜視図である。
【図2】図1に示したプローブ組立体の縦断面図である。
【図3】図1に示されたプローブ組立体のプローブシートの一部を拡大して示す底面図である。
【図4】図3に示されたプローブ列を示す底面図である。
【図5】図4に示された矢印A方向から見たプローブ列の側面図である。
【図6】図5に示された矢印B方向から見たプローブ列の正面図である。
【図7】プローブ組立体のプローブの針先が半導体ウエハの対応する電極上に位置決められた待機状態でのプローブと異物との関係を示し、(a)は図5と同様な正面図であり、(b)は図6と同様な側面図である。
【図8】プローブ組立体のプローブの針先が対応する電極に接触した状態でのプローブと異物との関係を示し、(a)は図5と同様な正面図であり、(b)は図6と同様な側面図である。
【図9】プローブ組立体のプローブにオーバドライブ力が作用した状態でのプローブと異物との関係を示し、(a)は図5と同様な正面図であり、(b)は図6と同様な側面図である。
【図10】従来のプローブ組立体におけるプローブの針先と異物との関係を示し、(a)はプローブの針先が対応する電極に接触した状態でのプローブと異物との関係を示す図8(b)と同様な図面であり、(b)はプローブにオーバドライブ力が作用した状態でのプローブと異物との関係を示す図9(b)と同様な図面である。
【符号の説明】
【0057】
10 プローブ組立体
18 プローブ基板
18a プローブ基板の取付け面
50 プローブ
50a プローブの針先
50b プローブの取付け部
50c プローブのアーム部
50d プローブの針先部
52a アーム部の一方の面(上面)
52b アーム部の他方の面(下面)
54 保護部材
56b 保護部材の保護面(下面)
68 半導体ウエハ
68a 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極が形成された半導体装置の電気検査に用いるプローブ組立体であって、
複数のプローブと、該プローブをその針先が前記電極に接触可能に保持するプローブ基板と、該プローブ基板に設けられる保護部材とを備え、
前記プローブは、一端が前記プローブ基板に支持され、該プローブ基板のプローブ取付け面から間隔をおいて該取付け面にほぼ沿って伸長するアーム部を有し、該アーム部の他端に前記針先が前記プローブ基板の前記取付け面から離れる方向へ突出して形成されており、
前記保護部材は、前記各プローブの近傍で少なくともその一側に配置され、前記プローブ基板の前記取付け面に支持されており、また前記保護部材は保護面を有し、該保護面は前記取付け面に対向する前記アーム部の一方の面と反対側の他方の面の高さ位置の近傍に在ることを特徴とするプローブ組立体。
【請求項2】
前記アーム部の前記他端には、前記プローブ基板の前記取付け面から離れる方向へ伸長する針先部が設けられ、該針先部の伸長端に前記針先が形成され、前記保護部材の前記保護面は前記アーム部の前記他方の面に沿って伸長する、請求項1に記載のプローブ組立体。
【請求項3】
前記アーム部の前記他方の面は平坦面であり、前記保護部材の前記保護面は平坦面であり、前記保護面は、前記プローブ基板の前記取付け面から前記アーム部の前記他方の面よりも離れた高さ位置にある、請求項2に記載のプローブ組立体。
【請求項4】
前記保護部材は前記プローブと同一材料で形成されている、請求項1に記載のプローブ組立体。
【請求項5】
前記保護部材はプローブ毎にそれぞれの両側に対をなして配置されている、請求項1に記載のプローブ組立体。
【請求項6】
前記保護部材および前記プローブは交互に配列されている、請求項1に記載のプローブ組立体。
【請求項7】
前記プローブおよび保護部材は、ホトリソグラフィ技術および電鋳技術を利用して形成されている、請求項1に記載のプローブ組立体。
【請求項8】
前記電極がバンプ電極である半導体装置に適用される、請求項1に記載のプローブ組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−51501(P2008−51501A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224811(P2006−224811)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(000153018)株式会社日本マイクロニクス (349)
【Fターム(参考)】