説明

ヘキサフルオロイソブチレンおよびそのより高い同族体およびそれらの誘導体のフルオロスルファート

【課題】他のモノマーと容易に共重合する置換ヘキサフルオロイソブチレンを提供する。
【解決手段】式CH2=C(R)CF2X(式中、Rは、1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、または環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよく、Xは、水素化物、フッ化物を除くハロゲン化物、シアン化物、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、エステルアルコキシド、およびチオールメルカプチドからなる群から選択される)を有する化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロオレフィンの合成に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘキサフルオロイソブチレンの有用性は、それが共重合する、フルオロモノマーおよび炭化水素モノマーの多様性によって示されている。例えば、それはフッ化ビニリデンと(米国特許公報(特許文献1))、フッ化ビニルと(特許文献2)、エチレンおよびテトラフルオロエチレンまたはクロロトリフルオロエチレンと(特許文献3)、トリフルオロエチレンと(特許文献2)、およびテトラフルオロエチレンおよび酢酸ビニル(特許文献4)と共重合する。ポリマーの一成分としてのその有用性は、それに置換基を加える手段を見つけ出すことができたならば、高めることができる。例えば、ヘキサフルオロイソブチレンを置換して、酸などの官能基を付与することが可能である場合、そのモノマーをフッ素化イオン交換ポリマーの製造に使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第3,706,723号明細書
【特許文献2】国際公開第2001−037043号パンフレット
【特許文献3】欧州特許第0 121 073 B1号明細書
【特許文献4】欧州特許第1 169 399 A2号明細書
【特許文献5】米国特許第3,301,893号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2003/0013816号明細書
【特許文献7】米国特許第6,140,436号明細書
【特許文献8】米国特許第4,131,740号明細書
【特許文献9】米国特許第3,894,097号明細書
【特許文献10】特開平第09−077700号明細書
【特許文献11】米国特許第2,852,554号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】ジェリー・マーチ(Jerry March)著「マーチ有機化学(Advanced Organic Chemistry)」第4版、ワイリー(Wiley)、ニューヨーク(New York)、1992、p.205
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態において、本発明は、式CH2=C(R)CF2OSO2F(式中、Rは、1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、または環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよい)を有する化合物を提供する。
【0006】
第2の実施形態において、本発明は、式CH2=C(CF2OSO2F)2を有する化合物を提供する。
【0007】
第3の実施形態において、本発明は、式CH2=C(R)CF2X(式中、Rは、1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、または環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよく、Xは、水素化物、フッ化物を除くハロゲン化物、シアン化物、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、例えばOCF2CF2SO2F、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、エステルアルコキシド、およびチオールメルカプチドからなる群から選択される)を有する化合物を提供する。
【0008】
第4の実施形態において、本発明は、式CH2=C(CF2X)CF2X’(式中、XおよびX’は、水素化物、フッ化物を除くハロゲン化物、シアン化物、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、例えばOCF2CF2SO2F、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、エステルアルコキシド、およびチオールメルカプチドからなる群から独立して選択される)を有する化合物を提供する。
【0009】
第5の実施形態において、本発明は、ルイス酸の存在下でCH2=C(R)CF3(式中、Rは1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、または環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよい)をSO3と接触させ、CH2=C(R)CF3/SO3付加物を生成することを含む方法を提供する。この方法において使用される式CH2=C(R)CF3の好ましい化合物は、ヘキサフルオロイソブチレン(RはCF3である)である。
【0010】
第6の実施形態において、本発明は、CH2=C(R)CF2OSO2F(式中、Rは1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、または環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよい)と第1求核剤と接触させて、置換体を生成することを含む方法を提供する。好ましい求核剤は、水素化物、ハロゲン化物、シアン化物、アルコール、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、例えば-OCF2CF2SO2F、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、エステルアルコキシド、およびチオールメルカプチドからなる群から選択される。
【0011】
第7の実施形態において、本発明は、CH2=C(CF2OSO2F)2を第1求核剤と接触させて、次いで前記第1求核剤と異なる第2求核剤と接触させ、置換体を生成することを含む方法を提供する。
【0012】
第8の実施形態において、本発明は、CH2=C(R)CF2X(式中、Rは、1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、または環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよく、Xは、水素化物、フッ化物を除くハロゲン化物、シアン化物、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、例えばOCF2CF2SO2F、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、エステルアルコキシド、およびチオールメルカプチドからなる群から選択される)と、少なくとも1種類の他のモノマーと、のコポリマーを提供する。
【0013】
第9の実施形態において、本発明は、式CF2=C(R)CH2X(式中、Rは1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、または環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよく、Xは、水素化物、フッ化物を除くハロゲン化物、シアン化物、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、例えばOCF2CF2SO2F、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、エステルアルコキシドおよびチオールメルカプチドからなる群から選択される)を有する化合物を提供する。
【0014】
第10の実施形態において、本発明は、式CF2=C(CF2X)CH2X’(式中、XおよびX’は、水素化物、フッ化物を除くハロゲン化物、シアン化物、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、例えばOCF2CF2SO2F、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、エステルアルコキシド、およびチオールメルカプチドからなる群から独立して選択される)を有する化合物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ヘキサフルオロイソブチレンは、ルイス酸の存在下で三酸化硫黄(SO3)と容易に反応し、本明細書ではヘキサフルオロイソブチレンフルオロスルファートまたはHFIBFSと呼ばれる、ヘキサフルオロイソブチレン/SO3付加物、CH2=C(CF3)CF2OSO2Fを生成することが発見されている。適切なルイス酸としては、BF3、B(OCH33、SbF5、SbCl5、BCl3、B(OC(=O)CF33、B(OSO2CF33、B23、H3BO3、およびNa247が挙げられる(Na247はそれ自体はルイス酸ではないと認識されている。しかしながら、SO3の存在下ではルイス酸と同様に作用する)。好ましいルイス酸は、BF3、B(OCH33、およびSbF5である。反応温度は、約−50〜100℃、好ましくは約−25〜75℃、さらに好ましくは約0〜50℃、またさらに好ましくは約10〜40℃、最も好ましくは約20〜30℃の範囲である。時折もしくは継続的に攪拌するかまたはかき混ぜて、十分な収率のHFIBFSが、約1分以上、好ましくは約1分〜約100時間で得られる。
【0016】
HFIBFSに加えて、ヘキサフルオロイソブチレンをSO3と反応させて、本明細書ではヘキサフルオロイソブチレンジフルオロスルファートまたはHFIBFS2と呼ばれる、二付加物(diadduct)CH2=C(CF2OSO2F)2を生成することもできる。CH2=C(CF2OSO2F)2は、SO3とヘキサフルオロイソブチレンとのモル比を1を超える比に上げることによって生成される。ジフルオロスルファートの収率は、SO3とヘキサフルオロイソブチレンのモル比が上げられた場合に増加する。2を超えるモル比では、ジフルオロスルファートが主要な生成物であると予想することができる。
【0017】
SO3との反応はヘキサフルオロイソブチレンに限定されないが、CH2=C(CR)CF3の種類のオレフィンと一般的に行われ、CH2=C(CR)CF3/SO3付加物(式中、Rは、炭素原子1〜約10個のフルオロアルキル基、好ましくはパーフルオロアルキル基であり、直鎖状、環状、または分枝鎖状である)が生成される。そのアルキル基はエーテル酸素を含有してもよい。この種類の一メンバーがCH2=C(C25)CF3である。CH2=C(C25)CF2OSO2Fを生成するためのSO3とのその反応を実施例に開示する。
【0018】
「フルオロスルファート」は、HFIBFS、HFIBFS2、CH2=C(C25)CF2OSO2F、および上記の一般式CH2=CRCF2OSO2Fの化合物を指すために、本明細書において使用される。
【0019】
上述のフルオロスルファート、HFIBFS、HFIBFS2、およびCH2=CRCF2OSO2Fは求核剤と反応して、置換体、つまり一般式CH2=C(R)CF2XおよびCH2=C(CF2X)2(式中、Xは、求核剤の特性を示す置換基である)の化合物(HFIBFS2から)を生成することが見出されている。例えば、求核剤が塩化物イオンである場合、次いで反応によってCH2=C(R)CF2Clが得られる。その反応は穏やかな条件下で進行し、フルオロスルファート基(−OSO2F)が有効な「脱離基」である、つまり求核剤によって容易に置換されることが示されている。
【0020】
求核剤は、「遊離」電子対としても知られる、未結合の原子または原子群である。それらは中性であることが可能であり、例としてはアミンが挙げられ、またはハロゲン化物などの陰イオン性であることが可能である。求核剤は感受性のある分子と反応し、例えば飽和炭素原子を攻撃し、原子または原子群を置換し、それによって求核剤は飽和炭素原子に結合するようになる。求核剤についての考察は、(非特許文献1)に記載されている。
【0021】
フルオロスルファートとの反応に適している求核剤の中では、ハロゲン化物、アルコール、例えばメタノール、アルコキシド、例えばメトキシド(CH3-)、フルオロアルコキシド、例えばCF3CH2-、およびパーフルオロアルコキシド、例えば(CF32CFO-、および-OCF2(CF(CF3)−O−CF2nCF2SO2F(n=0〜5)、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、例えばC65-、メルカプタン、フルオロメルカプタン、パーフルオロメルカプタン、フッ素化されていてもよい第2級アミン、および水素化ホウ素ナトリウムおよび水素化アルミニウムリチウムなどの水素化物が挙げられる。パーフルオロアルコキシドは、通常フッ化カリウム(KF)からのフッ化物イオンとの反応によって、相当するパーフルオロケトンまたはパーフルオロ酸フッ化物(perfluoroacid fluoride)から、好ましくは原位置(in situ)で製造されることは当業者によって理解されるだろう。メタノールおよびヘキサフルオロイソプロピルアルコールなどのアルコールから誘導されるアルコキシドについては、本発明による反応において有効である、そのアルカリ金属塩に転化する必要はない。好ましくは追加された第3級アミンと共に、アルコールを直接使用し、反応を促進することができる。当然のことながら、陰イオン求核剤は陽イオンを伴う。というのは、それらは塩であるからである。陽イオンは、その塩が反応媒体に適度に可溶性であるように選択される、アルカリ金属陽イオンであることが好ましい。好ましい求核剤は、ハロゲン化物、さらに好ましくは塩化物、臭化物、およびヨウ化物;シアン化物、アルコール、アルコキシド、フルオロアルコキシド、パーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシドである。さらに好ましい求核剤は、エチレンシアノヒドリン(HOCH2CH2CN)、グリシドール(2,3−エポキシプロパノール)などの置換アルコール、エチレンクロロヒドリン、エチレンブロモヒドリン、およびエチレンヨードヒドリンなどのエチレンハロヒドリン(XCH2CH2OH)であり、シアノ、エポキシおよびハロゲン官能性を有する置換ヘキサフルオロイソブチレンが提供されるだろう。これらは、上記で用いられるアルコキシド用語と一致して、シアノアルコキシド、エポキシアルコキシドおよびハロアルコキシドと同様に説明することも可能であり、上述の2炭素および3炭素分子の他に、フッ素化されていてもよい高級アルキレン基が含まれることは理解されるだろう。同様に、カルボキシレート官能性は、グリコール酸のメチルエステルなどのヒドロキシ置換有機エステルを使用することにより、好ましくはそのエステルによって導入することができる。これらは、本明細書においてエステルアルコキシドと呼ばれる。その酸は、フッ素を含有し得る。
【0022】
さらに好ましい求核剤は、グリコール(上記で用いられているアルコキシド用語と一致して、本明細書では、ヒドロキシアルコキシドと呼ばれる)、およびチオール官能性を付与する、本明細書でチオールメルカプチドと呼ばれるジチオール、例えばHSCH2CH2-である。
【0023】
上記の求核剤、特にエポキシ、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、およびチオール官能基によって得られる様々な官能性は、これらの官能性を含有する、本発明に従って1種または複数種の化合物をコモノマーとして組み込んだポリマーに有用な特性を付与する。これらの有用な特性には、架橋性、可染性、金属およびガラスおよび極性ポリマー、例えばポリアミドおよびポリエステルなどの他の材料に対する付着性が含まれる。向上した付着性は、多層構造におけるフルオロポリマーで有用である。非フルオロポリマー層に対するフルオロポリマー層の付着性は乏しい場合が多いため、中間層または接着剤の使用を要する。コポリマーへの接着性を付与するコモノマーを組み込むことによって、中間層および接着剤を不要にすることができる。これらの官能基は、本発明の1種または複数種の化合物をコモノマーとして組み込むコポリマーを改変するための、小分子または大分子、例えばポリマーが付着するグラフト部位でもあり得る。
【0024】
特に有用なパーフルオロアルコキシ求核剤は、米国特許公報(特許文献5)の開示内容に従って製造される、-OCF2(CF(CF3)−O−CF2nCF2SO2F(n=0〜5)である。これは、n=0に対してF(O)CF2CF2SO2FおよびKFで本明細書において例示される、相当するフッ化カルボニルから製造される。-OCF2CF2SO2FはHFIBFSまたはHFIBFS2と反応し、それぞれCH2=C(CF3)OCF2CF2SO2FおよびCH2=C(OCF2CF2SO2F)2が得られる。これらの分子のフルホロスルホネート官能性、つまり−SO2Fを加水分解し、−SO3H官能性を得ることができる。この強酸基は有効な触媒およびイオン交換基である。したがって、CH2=C(CF3)OCF2CF2SO2Fとフッ化ビニリデンまたは他の適切なモノマーとの重合によって、加水分解後にイオン交換特性を有し、かつ例えばバッテリー、燃料電池の膜、および他の電気化学的用途に適したポリマーが得られる。同様に、CH2=C(OCF2CF2SO2F)2の共重合から、そのイオン交換基が「対」になっているポリマーが得られ、ポリマーに二座配位子特性が付与される。かかるポリマーは、異常なイオン交換特性および金属イオン封鎖(sequestering)特性を示すと予想される。これらのフッ化スルホニルを含有するポリマーの加水分解は、ジメチルスルホキシド(DMSO)水溶液中にて水酸化カリウム(KOH)で行うことができる。通常の配合は、水15%、DMSO60%、およびKOH15%である。70〜90℃にて1時間で十分である。塩およびDMSOがなくなるまで、そのポリマーを洗浄する。この時点で、ポリマーはカリウムイオンの形をとり、つまり、それはスルホン酸カリウム基を含有するポリマーである。例えば1N塩酸または硝酸水溶液でそれを数回処理することによる酸交換によって、そのポリマーをスルホン酸の形に転化する。それらの炭素主鎖上に水素およびフッ素の両方を含有するポリマーに好ましいより穏やかな加水分解法では、より穏やかな条件下にて塩基として炭酸アンモニウムが使用され、その方法は米国特許公報(特許文献6)に開示されている。リチウム電池用途を目的とするポリマーの場合、米国特許公報(特許文献7)に開示されているように、塩基として炭酸リチウムを使用して、イオノマーのリチウム塩を直接製造することができる。
【0025】
ポリマーにイオン交換特性を付与し、かつ反応性部位として作用することができる関連するパーフルオロアルコキシ求核剤は、-OCF2−(CF(CF3)−O−CF2n−CF2COOR(式中、Rは、炭素原子1〜5個のアルキル基であり、n=0〜6である)である。これは、F(O)C−(CF(CF3)−O−CF2n−CF2COORおよびKFから製造される。酸フッ化物は、米国特許公報(特許文献8)に開示のように製造される。
【0026】
HFIBFS2と求核剤との反応は、混在する置換が得られるように調節することができる。つまり、得られた分子CH2=C(CF2X)2において、X基は同一である必要はない。同一ではないXを有する、かかる分子は、CH2=C(CF2X)CF2X’と表される。混在する置換を促進する一方法は、第1求核剤の反応媒体中の濃度をHFIBFS2と等モル以下に制限し、次いで、反応が完了した後に、第2求核剤を添加することである。
【0027】
相溶性の溶媒、好ましくは非プロトン極性溶媒は、フルオロスルファートと求核剤との反応のための反応媒体として有利に使用される。ジグリム(ビス(2−メトキシエチル)エーテル)、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、スルホラン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、およびN,N−ジメチルアセトアミドがさらに好ましい。ジグリムが最も好ましい。溶媒とフルオロスルファートとの反応を調節することができるか、またはそれが望まれるのでなければ、プロトン性溶媒は一般に好ましくない。
【0028】
フルオロスルファートと求核剤との反応の温度は、約−25〜100℃、好ましくは約0〜50℃、さらに好ましくは約15〜30℃、最も好ましくは約20〜30℃の範囲である。
【0029】
メチレン、つまりCH2=官能性を有する反応生成物の他に、ジフルオロメチレン官能基を有する異性体もまた形成される。例えば、HFIBFSと塩化物イオンとの反応によって、CH2=C(CF3)CF2Cl(メチレン異性体)、およびCF2=C(CF3)CH2Cl(ジフルオロメチレン異性体)も形成する。メチレン異性体とジフルオロメチレン異性体との比は、反応条件によって影響を受ける。HFIBFSと塩化物イオンとの反応において、反応が長くなると、実施例17に示されるように、CH2=C(CF3)CF2Clの収率が増加し、CF2=C(CF3)CH2Clの収率が減少する。重合の目的のためには、メチレン異性体がさらに望ましい。
【0030】
本明細書に記載の化合物、CH2=C(R)CF2XおよびCH2=C(CF2X)CF2X’(式中、XおよびX’は、同一または異なり、上記に開示される置換基を表す)が重合に適している。XおよびX’が、水素化物、フッ化物を除くハロゲン化物、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、例えばOCF2CF2SO2F、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、好ましくはクロロアルコキシド、エステルアルコキシドの群から選択される、化合物が特に好ましい。
【0031】
背景に記述されるように、実験から、ヘキサフルオロイソブチレンは、多くのモノマー、二重結合炭素原子に結合する少なくとも1つのフッ素原子を有するモノマーとして本明細書に定義される両方のフルオロモノマー、およびオレフィン系炭化水素モノマーと共重合することが示されている。これらのモノマーは、本発明に従ってコポリマーを製造するのに適しており、例えば、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、式CH2=CH−Cn2n+1(n=1〜10)のパーフルオロアルキルエチレン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、ジオキソールタイプのフルオロおよびパーフルオロモノマー、例えば4,5−ジフルオロ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)−1,3−ジオキソール、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、例えばパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、およびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)が挙げられる。好ましいコモノマーは、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、およびトリフルオロエチレンである。コモノマーは、2種類以上のモノマーの重合から得られるポリマーとして本明細書において定義される。
【0032】
本発明によるコモノマーは、結晶質であることが可能であり、つまり示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点を有するか、または非晶質であることが可能である。非晶質ポリマーは、良好な透明性を有するコーティングおよび物品に適した、ポリマー溶液の成分としての有用性を有する。低いガラス転移温度(Tg)を有する非晶質ポリマーは、エラストマーとして有用であり、好ましくは約20℃未満、さらに好ましくは約0℃未満、最も好ましくは約−25℃未満のTgを有する。本発明による化合物には、エラストマー技術にしばしば使用される種類の架橋に適した官能基を有するモノマーが含まれる。
【0033】
本発明の化合物のうちの2つと、フッ化ビニリデンとのコポリマーが実施例に記述されている。
【実施例】
【0034】
ヘキサフルオロイソブチレンの製造が、米国特許公報(特許文献9)に開示されている。CH2=C(CF3)C25(3−トリフルオロメチル−1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−4−ブテン)の製造が、未審査の(特許文献10)に開示されている。米国特許公報(特許文献11)には、FSO2CF2COFの製造が開示されている。Ausimont社の商標である、H−ガルデン(Galden)(登録商標)ZT85は、HCF2O(CF2O)n(CF2CF2O)mCF2Hである。DP開始剤は、ヘキサフルオロプロピレンオキシドダイマーパーオキシド:CF3CF2CF2OCF(CF3)(C=O)OO(C=O)CF(CF3)OCF2CF2CF3である。本願出願人の製品であるバートレル(Vertrel)(登録商標)XFは、CF3CFHCFHCF2CF3である。
【0035】
実施例の生成物の分析は、プロトンNMR(1H)およびフッ素NMR(19F)の両方の核磁気共鳴(NMR)ならびに質量分析(MS)を用いて行われる。記載されている場合を除いて、NMR分析は、トリフルオロ酢酸またはフルオロトリクロロメタン(CFCl3、F−11)の外部標準を用いて行われる。MSの結果において、「M」は親分子を表す。溶媒が記述されていない場合、分析は純粋な(neat)材料で行った。
【0036】
(実施例1)
(BF3を用いた、ヘキサフルオロイソブチレンフルオロスルファート(CH2=C(CF3)CF2OSO2F)の製造)
BF3約0.05%を含有する、ヘキサフルオロイソブチレン(60g、0.36モル)およびSO3(14ml、0.33モル)を鋼製オートクレーブに装入した。オートクレーブを閉め、18℃に温め、40時間振盪した。次いで、オートクレーブを冷却し、開き、内容物を冷たい(−10℃)濃硫酸(H2SO4)30mlで洗浄する。有機層を分離し、蒸留して、ヘキサフルオロイソブチレン(15g)およびCH2=C(CF3)CF2OSO2F(57.5g、収率85%、沸点(b.pt.)104〜106℃)が得られる。転化率は75%である。
【0037】
1H NMR:δ5.77(br.s)。19F NMRδ−125(t,(FSO2O);−11.5(t,(CF3);J(FO2SO−CF2)=7Hz、J(CF3−CF2)=7Hz。
MS(m/z、種、強度%):225[M−F]+(<1);161[M−SO2F]+(12);145[M−OSO2F]+(100);95[M−C33H]+(16);69[CF3+(20)。
【0038】
(実施例2)
(SbF5を用いた、ヘキサフルオロイソブチレンフルオロスルファートCH2=C(CF3)CF2OSO2Fの製造)
SbF51重量%を含有する三酸化硫黄を50ml鋼管に装入する。次いで、鋼管を−70℃に冷却し、真空にし、次いでヘキサフルオロイソブチレン(32.8g、0.2モル)を添加する。一定間隔を空けて鋼管を振盪しながら20℃で48時間維持し、その後、−70℃に冷却し、開く。反応混合物を冷たい(−30℃)濃H2SO4で洗浄し、次いで25℃に温める。ヘキサフルオロイソブチレン(14g)を冷却トラップ中に回収する。残留物(15.7g)は、CH2=C(CF3)CF2OSO2F(収率70%)、および一般式CH2=C(CF3)CF2(OSO2nOSO2F(n=1、2、および3)のピロスルファートの混合物である。ビスフルオロスルファートCH2=C(CF2OSO2F)2は検出されない。この実施例によって、反応のための触媒としてSbF5の有用性が実証されている。
【0039】
(実施例3)
(B(OMe)3を用いた、ヘキサフルオロイソブチレンフルオロスルファートCH2=C(CF3)CF2OSO2Fの製造)
オートクレーブに、SO3(28ml)、ホウ酸トリメチル(B(OMe)3)0.3gおよびヘキサフルオロイソブテン(130g、0.79モル)を装入する。その混合物を周囲温度で40時間振盪する。4つのかかる反応からの生成物を合わせ、蒸留して、ヘキサフルオロイソブテン(49g)、97℃未満で沸騰するヘキサフルオロイソブテンとCH2=C(CF3)CF2OSO2Fとの混合物(60g)、およびCH2=C(CF3)CF2OSO2F(451.4g、64%)(沸点98〜108℃)が得られる。この実施例から、反応のための触媒としてB(OMe)3の有用性が実証されている。
【0040】
(実施例4)
(BF3を用いた、ヘキサフルオロイソブチレンジフルオロスルファートCH2=C(CF2OSO2F)2の製造)
BF3約0.5%を含有する、ヘキサフルオロイソブチレン(96g、0.59モル)およびSO3(76g、0.95モル)を鋼製オートクレーブに装入し、18〜20℃で72時間攪拌する。次いで、オートクレーブを−70℃に冷却し、開く。反応混合物を冷たい(−20℃)濃硫酸(H2SO4)で洗浄する。次いで、反応混合物を蒸留し、その結果ヘキサフルオロイソブチレン(13.9g);CH2=C(CF3)CF2OSO2F(65.8g、53.7%);CH2=C(CF2OSO2F)2(40.6g、25%)(15mm Hgで沸点71〜73℃)が得られる。この実施例から、SO3とヘキサフルオロイソブチレンとのモル比を>1に上げた結果として、ジフルオロスルファートが生成されることが示されている。ジフルオロスルファートの量を増加するために、SO3とヘキサフルオロイソブチレンとの比をさらに上げることのみ必要である。>2のモル比では、ジフルオロスルファートが主要な生成物であると予想することができる。
【0041】
ジフルオロスルファートの1H NMR:δ6.6(s,CH2)。
19F NMRδ−126.7(m,(OSO2F);−8.6(m,(CF2)。MS(m/z、種、強度%):225[M−OSO2F]+(49.9);145[CH2=C(CF3)CF2+(95.2);123[C423O]+(100);141[C4HF4O]+(40.5);95[C323+(29.5);83[SO2F]+(88.5);76[C322+(40);75[C3HF2+(56.2);69[CF3+(25.3)。
【0042】
(実施例5)
(B(OMe)3を用いた、CH2=C(CF3)C25(3−トリフルオロメチル−1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−4−ブテン)のフルオロスルファートの製造)
3−トリフルオロメチル−1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−4−ブテン(CH2=C(CF3)C25)(10g、46ミリモル)、SO3(3.6g、46ミリモル)およびB(OMe)3(1滴)をガラス管に入れる。そのカラス管を密閉し、一定間隔を空けて振盪しながら、18〜21℃で7日間維持する。次いで、その管を−70℃に冷却し、開く。反応混合物を冷たい(−30℃)濃硫酸(H2SO4)で洗浄し、蒸留する。3−トリフルオロメチル−1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−4−ブテン(2g)およびCH2=C(C25)CF2OSO2F(8g)(沸点137℃)が回収される。収率は59%である。この実施例から、フルオロスルホン化反応はヘキサフルオロイソブチレンに限定されないが、ヘキサフルオロイソブチレンのより高い同族体で有効であることが示されている。
【0043】
19F NMR:δ−126(t,14F);−12(m,23F);8(m,31F);38(m,22F)。
「F」の前にある上つき添字は、分子上のフッ素原子を特定する。
13−C22−C(=CH2)−C32OSO24
【0044】
(実施例6)
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fと(CF32CFO-との反応)
新たに乾燥させたフッ化カリウム(KF)(2.4g、0.041モル)、ヘキサフルオロアセトン(HFA)(9.3g、0.056モル)および無水ジグリム(10ml)から製造された(CF32CFOKに、CH2=C(CF3)CF2OSO2F(10g、0.041モル)を20℃で添加する。その反応混合物を2時間攪拌し、次いで水に注ぎ、有機層を分離する。その有機層を希塩酸で、次いで重炭酸ナトリウム溶液、次いで水で洗浄し、その後にそれを硫酸マグネシウム(MgSO4)上で乾燥させる。反応混合物の蒸留によって、CH2=C(CF3)CF2OCF(CF32(10.2g、収率75%、沸点87〜88℃)が得られる。
【0045】
元素分析:実測値:C、25.35%;H、0.60%;F、69.36%。計算値:C、25.45%;H、0.60%;F、69.09%。1H NMR(ppm):δ5.48。19F NMR(ppm):δ−11(CF3);−10(CF2);5(CF32;69.5(CF)2。MS(m/z、種、強度%):311[M−F]+(5.5);[M−CF3+(2.1);169[CF(CF32+(10.8);145[CH2=C(CF3)CF2+(100);123]CH2=C(CF3)CO]+(90);69[CF3+(100)。
【0046】
(実施例7)
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fと(CF32CFO-との反応)
ドライボックス中でKF(12g)およびジグリム(55ml)を250mlフラスコに装入する。ドライアイス凝縮器を介してHFA(40.5g)を混合物に添加する。固体を完全に溶解する。CH2=C(CF3)CF2OSO2F(49g)を一滴ずつ添加する。得られた混合物を室温で3時間攪拌する。次いで、その混合物を蒸留し、その結果液体が得られ、それを再蒸留して(回転バンド蒸留塔)、CH2=C(CF3)CF2OCF(CF32(沸点84〜86℃、収率55%)36.3gが得られる。純度の低い画分は収率の計算に含まれない。
【0047】
外部CFCl3標準を用いた19F NMR:δ−65.3(t,J=8Hz,3F);−66.6(m,2F);−81.0(m,6F);−146.4(t,J=23Hz,1F)ppm。1H NMRδ6.39(m)ppm。13C NMRδ101.5(d&七重項、J=269,38Hz);117.1(qd,J=258,32Hz);118.6(t,J=274Hz);127.4(m);131.2(m)ppm。
【0048】
(実施例8)
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fとヘキサフルオロイソプロパノールとの反応)
ドライボックス中でトリブチルアミン(15g)、ジグリム(15ml)、およびヘキサフルオロイソプロパノール(13.7g)を100mlフラスコに装入する。CH2=C(CF3)CF2OSO2F(20.0g)を3〜12℃で一滴ずつ添加する。得られた混合物を室温で2時間攪拌する。次いで、その混合物を蒸留し、液体が得られる。それを再蒸留して(回転バンド蒸留塔)、収率83%で沸点92〜93℃の生成物21.1gが得られる。純度の低い画分は収率の計算に含まれない。
【0049】
外部CFCl3標準を用いた重クロロホルム中の19F NMR:δ−65.3(t,J=7Hz,2F);−70.8(m,2F);−74.0(q,J=5Hz,6F)ppm。重クロロホルム中の1H NMR:δ4.99(七重項、J=5Hz,1H);6.37(m,2H)。重クロロホルム中の13C NMR:δ69.4(七重項、t,J=35,4Hz);118.8(t,J=269Hz);120.2(q,J=283Hz);120.6(六重項、J=5Hz);130.9(六重項、J=35Hz)ppm。
【0050】
(実施例9)
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fとフッ化トリフルオロアセチルとの反応)
フッ化トリフルオロアセチル(6g、0.051モル)を、KF(2.4g、0.041マイル)と無水ジグリム(15ml)との混合物中に泡立てる。反応混合物を20℃で30分間攪拌し、次いでCH2=C(CF3)CF2OSO2F(10g、0.041モル)を少しずつ加える。得られた混合物を20℃で1時間攪拌する。ヘキサフルオロイソブチレンを反応混合物から蒸留し、残留物を水に注ぐ。有機層を分離し、そして次に重炭酸ナトリウム水溶液および水で洗浄し、次いでMgSO4上で乾燥させる。蒸留によって、3,3−ジフルオロ−3−ペンタフルオロエトキシ−2−トリフルオロメチルプロペン(CH2=C(CF3)CF2OCF2CF3)(3.5g、収率31%、沸点67℃)が得られる。
【0051】
1H NMRδ5.65(br.s,CH2)。19F NMRδ−11(t,31F);−8.1(tt,22F);J(1F−2F)=13Hz;J(3F−3F)=7Hz。MS(m/z、種、強度%):280[M]+(5);261[M−F]+(15);211[M−CF3+(90);145[M−C25O]+(95);[CH2=CCF3+(80);69[CF3+(100)。
13−C(=CH2)C22−O−C3243
【0052】
(実施例10)
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fとトリフルオロエタノールとの反応)
ドライボックス中でトリブチルアミン(15g)、ジグリム(20ml)を100mlフラスコに装入する。2,2,2−トリフルオロエタノール(8.05g)を混合物に添加する。混合物を氷水浴中で冷却しながらCH2=C(CF3)CF2OSO2F(19.5g)を一滴ずつ添加する。得られた混合物を室温で3時間攪拌する。次いで、その混合物を蒸留し、液体が得られ、それを再蒸留し(回転バンド蒸留塔)その結果、収率30%で沸点85〜86℃のCH2=C(CF3)CF2OCH2CF35.8gが得られる。純度の低い画分は収率の計算に含まれない。
【0053】
19F NMR(CDCl3)δ−65.4(t,J=6Hz,3F);−72.7(m,2F);−75.0(t,J=8Hz,3F)ppm。1H NMR(CDCl3)::δ4.30(q,J=6Hz,2H);6.25(m,1H);6.28(m,1H)ppm。13C NMR(CDCl3):δ60.9(qt,J=38,6Hz);118.9(t,J=264Hz)、121.4(q,J=264Hz);122.5(q,J=277Hz);126.7(ヘックス(hex)、J=5Hz);131.5(ヘックス、J=33Hz)ppm。
【0054】
(実施例11)
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fと1,1−ジヒドロパーフルオロプロパノールとの反応)
ドライボックス中でトリブチルアミン(15g)、ジグリム(20ml)を100mlフラスコに装入する。1,1−ジヒドロパーフルオロプロパノール(24.0g)を添加する。CH2=C(CF3)CF2OSO2F(19.5g)を0〜5℃で一滴ずつ添加する。得られた混合物を室温で3時間攪拌する。次いで、その混合物を蒸留し、液体が得られ、それを再蒸留し(回転バンド蒸留塔)その結果、200mm Hgで沸点54℃のCH2=C(CF3)CF2OCH2CF2CF327.3gが得られる。収率は58%である。純度の低い画分は収率の計算に含まれない。
【0055】
19F NMR(CDCl3):δ−65.4(t,J=6Hz,3F);−73.1(m,2F);−84.2(s,3F);−124.3(t,J=11Hz,2F)ppm。1H NMR(CDCl3):δ4.40(tq,J=12Hz,2H);6.27(m,1H);6.29(m,1H)ppm。13C NMR(CDCl3):δ59.9(tt,J=29,6Hz);111.6(tq,J=264,38Hz);118.3(qt,J=286,35Hz);118.8(t,J=265Hz);120.6(q,J=273Hz);126.7(ヘックス、J=5Hz);131.5(6,J=33Hz)ppm。
【0056】
(実施例12)
(CH2=C(CF2CF3)CF2OSO2Fと(CF32CFO-との反応)
新たに乾燥させたKF(3g、17.2ミリモル)、ヘキサフルオロアセトン(HFA)(3g、18ミリモル)および無水ジグリム(15ml)から10℃で製造された(CF32CCFOKに、CH2=C(CF2CF3)CF2OSO2F(5g、17ミリモル)を20℃で添加する。その反応混合物を20℃で1時間攪拌し、次いで水に注ぎ、有機層を分離する。その有機層を重炭酸ナトリウム溶液、次いで水で洗浄し、その後にそれをMgSO4上で乾燥させる。反応混合物の蒸留によってCH2=C(CF2CF3)CF2OCF(CF32(4g、収率62%、沸点118〜120℃)が得られる。この実施例から、ヘキサフルオロイソブチレンのより高い同族体のフルオロスルファートが、CH2=C(CF3)CF2OSO2Fの反応を特徴付ける穏やかな同じ条件下で求核剤と反応することが実証されている。
【0057】
19F NMRδ−8(tth,23F);7.9(m,31F);38.2(m,22F);5(dt,6F);70(th,14F);J(3F−3F)=33Hz、J(3F−5F)=8Hz。「F」の前にある上つき添字は、以下の構造、
13−C22−C(=CH2)−C32OC4F(C532
に示されるように、化合物上の特定のフッ素原子を特定する。
【0058】
(実施例13)
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fとメタノールとの反応)
無水メタノール(10ml)中のCH2=C(CF3)CF2OSO2F(5g、0.02モル)に、トリエチルアミン(2.5g、0.02モル)を10℃で少しずつ加える。20分後、その反応混合物を水に注ぐ。有機層を分離し、そして次に希塩酸水溶液、水、重炭酸ナトリウム溶液、水で洗浄し、次いでMgSO4上で乾燥させる。乾燥させた混合物の蒸留によって、3,3−ジフルオロ−3−メトキシ−2−トリフルオロメチルプロペン(1.8g、収率50%)が得られる。異性体1,1−ジフルオロ−2−トリフルオロメチル−3−メトキシプロペン(約1%)およびCH2=C(CF3)COOCH3(約3%)もまた、ガスクロマトグラフィー−質量分析(GC−MS)によって検出される。
【0059】
3,3−ジフルオロ−3−メトキシ−2−トリフルオロメチルプロペン:1H NMRδ3.1(s,CH3);5.6(s,CH)5.7(s,CH)。19F NMRδ−11.8(t,CF3);−2.45(q,CF2);J(CF3−CF3)=7Hz。MS(m/z、種、強度%):176[M]+(100);145[M−OCH3+(75);95[CH2=C(CF3)]+(30);81[CF2OCH3+(90);69[CF3+(30)。
【0060】
1,1−ジフルオロ−2−トリフルオロメチル−3−メトキシプロペン:MS(m/z、種、強度%):176[M]+(100);145[CF2=C(CF3)CH2+(90);107[M−CF3+(60);45[CH3OCH2+(90);69[CF3+(30)。
【0061】
CH2=C(CF3)COOCH3:MS(m/z、種、強度%):153[M−H]+(5);123[M−OCH3+(100);95[CH2C(CF3)]+(30);69[CF3+(40);59[COOCH3+(10)。
【0062】
(実施例14)
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fとペンタフルオロフェノールとの反応)
無水エチルエーテル(7ml)中のペンタフルオロフェノール(7.5g、0.040モル)およびトリエチルアミン(4.5g、0.044モル)を、20℃でエチルエーテル(14ml)中のCH2=C(CF3)CF2OSO2F(11g、0.045モル)に少しずつ加える。その反応混合物を20℃で30分間攪拌し、そして次に水、希塩酸水溶液、水、重炭酸ナトリウム溶液、および水で洗浄し、得られたエーテル溶液をMgSO4上で乾燥させる。乾燥させた混合物の蒸留によって、CH2=C(CF3)CF2OC65(9.8g、収率73%、20mm Hgで沸点86〜88℃)が得られる。
【0063】
元素分析:実測値:C、36.75%;H、0.71%;F、57.06%。計算値:C、36.58%;H、0.61%;F、57.93%。1H NMR:δ5.28(s)、5.36(s)。19F NMR:δ−10.5(CF3);−6.5(CF2);76(オルト位のF);81.5(パラ位のF);87.5(メタ位のF)。MS(m/z、種、強度%):328[M]+(16.8);183[C65O]+(25.6);167[C65+(100);145[CH2=C(CF3)CF2+(90);95[CH2=C(CF3)]+(100)。
【0064】
(実施例15)
(CH2=C(CF3)CF2OSO2FとFSO2CF2COFとの反応)
実施例6の条件下で、KF(2.4g、0.041モル)、フルオロスルホンオキシジフルオロアセチルフルオライド(FSO2CF2COF)(96、0.05モル)およびCH2=C(CF3)CF2OSO2F(10g、0.041モル)およびジグリム(10ml)から、CH2=C(CF3)CF2OCF2CF2SO2F(11g、収率78.6%、沸点124〜125℃)が得られる。
【0065】
元素分析:実測値C、20.62%;H、0.69%;F、55.28%。計算値:C、20.93%;H、0.58%;F、55.23%。1H NMR:δ6.05(m)。19F NMR(ppm):δ−121(SO2F);−11.5(CF3);−9(CF2O);6(CF2);36.5(CF2S)。MS(m/z、種、強度%):344[M]+(7.9);325[M−F]+(3.2);261[M−SO2F]+(2.3);164(C24SO2F]+(45);161[CH2=C(CF3)CF2O]+(15.6);145[CH2=C(CF3)CF2+(99);95[CH2=C(CF3)]+(100);69[CF3+(100)。
【0066】
(実施例16)
(CH2=C(CF2OSO2F)2とFSO2CF2COFとの反応)
無水ジグリム(30ml)中の新たに乾燥させたKF(3.9g、0.067モル)およびFSO2CF2COF(12g、0.067モル)から製造されたFSO2CF2CF2OKに、CH2=C(CF2OSO2F)2を少しずつ添加する。得られた混合物を20℃で3時間攪拌する。その反応混合物を水に注ぐ。有機層を重炭酸ナトリウムで、次いで水で洗浄し、次にMgSO4上で乾燥させる。蒸留によってCH2=C(CF3)CF2OSO2F(0.5g)およびCH2=C(CF2OCF2CF2SO2F)2(9g、収率58%、15mm Hgでの沸点95〜96℃)が得られる。
【0067】
元素分析:実測値:C、18.32%;H、0.38%;F、50.76%。計算値:C、18.32%;H、0.46%;F、50.81%。1H NMR:δ6.68(s)。19F NMR(CCl4):δ−122.5(21F);−10(44F);5(42F);35(42F)。MS(m/z、種、強度%):534[M]+(0.1);505[M−F]+(0.07);325[M−OCF2CF2SO2F]+(22.8);183[CF2CF2SO2F]+(13.43);145[C23SO2+(100);101[C24H]+(56.5);100[C24+(21.2);83[SO2F]+(1.2);69[CF3+(18.7)。19F NMR分析において、「F」の前にある上つき添字は、分子:
CH2=C(C42OC3222SO21F)2
上のフッ素原子を特定する。
【0068】
(実施例17)
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fと塩化物との反応)
乾燥塩化リチウム(LiCl)(1.5g、0.036モル)と無水ジグリム(15ml)との混合物に、10℃で攪拌しながらCH2=C(CF3)CF2OSO2F(7.9g、0.032モル)を15分にわたり添加する。他の実施例に記載のようにその反応混合物を一般に仕上げ、2つの生成物、異性体:2−トリフルオロメチル−3,3,−ジフルオロ−3−クロロプロペン(CH2=C(CF3)CF2Cl)(80%)および1,1−ジフルオロ−2−トリフルオロメチル−3−クロロプロペン(CF2=C(CF3)CH2Cl)(14%)がGC−MSおよび19F NMRによって同定される。反応混合物を20℃でさらに30分間攪拌する。ここで分析によって、30:1の比で存在するCH2=C(CF3)CF2ClおよびCF2=C(CF3)CH2Clの量が示される。反応混合物を0℃でさらに12時間維持し、ここでCH2=C(CF3)CF2Clが見出される唯一の生成物である。反応混合物を真空蒸留し、CH2=C(CF3)CF2Clを分離して、次いでそれを再蒸留してCH2=C(CF3)CF2Cl(沸点46〜48℃、収率72.4%)4.2gが得られる。
【0069】
この実施例から、異性体の比は反応時間の関数であり、かつメチレン異性体は、ジフルオロメチレン異性体に対してより長い反応時間で優勢であることが示されている。これは、メチレン異性体が、この実施例で用いられる温度でより安定な異性体であることを示すものである。
【0070】
CH2=C(CF3)CF2Cl:1H NMR:δ6.38(m,および6.32m(CH2)。19F NMR:δ−24.5(q,CF2Cl);−12.7(t,CF3);J(CF3−CF2)=7Hz。MS(m/z、種、強度%):180[M]+(0.2);161[M−F]+(3.4);145[M−Cl]+(100);119[C25+(21);111[M−CF3+(6.8);95[CH2CCF3+(31);85[CF2Cl]+(7.8);75[CH=CCF2+(20.4);69[CF3]22.4);49[CH2Cl](1.2)。
【0071】
CF2=C(CF3)CH2Cl:1H NMR:δ4.58(CH2Cl)。19F NMR:δ−16(dd,CF3);−4.5(q,2F);−0.5(q,1F);J(CF3−1F)=9HzおよびJ(CF31F)=19Hz。注記:1Fは、二重結合のジヒドロクロロメチル側のビニルフッ素(vinyl fluorine)である。2Fは、二重結合のトリフルオロメチル側のビニルフッ素である。
【0072】
MS(m/z、種、強度%):180[M]+(6);161[M−F]+(13);145[M−Cl]+(100);119[C25+(3);111[M−CF3+(8);95[CH2=CCF3](57.6);85[CF2Cl]+(8.6);76[CH2CCF2](25);75[CH=CCF2+(61);69[CF3+(50);49[CH2Cl]+(8.7)。
【0073】
(実施例18)
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fと臭素との反応)
乾燥臭化ナトリウム(NaBr)(4.5g、0.044モル)と無水ジグリム(15ml)との混合物に、10℃で攪拌しながらCH2=C(CF3)CF2OSO2F(9g、0.037モル)を少しずつ加える。反応混合物を20℃で20分間攪拌し、次いで他の実施例に記載のように一般に仕上げ、2つの生成物、異性体:2−トリフルオロメチル−3,3,−ジフルオロ−3−ブロモプロペン(CH2=C(CF3)CF2Br)(67%)および1,1−ジフルオロ−2−トリフルオロメチル−3−ブロモプロペン(CF2=C(CF3)CH2Br)(27%)がGC−MSおよび19F NMRによって同定される。反応混合物を真空蒸留し、CH2=C(CF3)CF2Brを分離して、次いでそれを再蒸留してCH2=C(CF3)CF2Cl(沸点69〜71℃、収率69%)5.5gが得られる。
【0074】
実施例17と同様に、メチレンおよびジフルオロメチレン異性体が見出され、実施例17と同様に、反応が延長されると、メチレン異性体の優勢が増加するであろうことが予想される。
【0075】
CH2=C(CF3)CF2Br:1H NMR:δ6.38mおよび6.28m(CH2)。19F NMR:δ−29.2(q,CF2Br);−13(t,CF3);J(CF3−CF2)=7Hz。MS(m/z、種、強度%):205[M−F]+(6.9);155[M−CF3]1.6);145[M−Br]+(100);129[CF2Br]+(2);95[CH2=CCF3]31.3);93[CH2Br]29;79[Br]+(2.3);69[CF2+(24.7)。
【0076】
CF2=C(CF3)CH2Br:1H NMR:δ4.2m(CH2Br)。19F NMR:δ−15.9(dd,CF3:−5.2(q,2F);−1.4(q.1F);J(CF31F)=10HzおよびJ(CF32F)=19Hz。注記:1Fは、二重結合のジヒドロブロモメチル側のビニルフッ素である。2Fは、二重結合のトリフルオロメチル側のビニルフッ素である。
【0077】
MS(m/z、種、強度%):226[M]+(1);207[M−F]+(4.4);155[M−CF3+(1.3);145[M−Br]+(100);131[CF2Br]+(1);126[M−C22+(4.7);119[C25+(2.7);95[C323+(33.9);81[Br]+(2);75[C32H]+(23.2);69[CF2+(20.2)。
【0078】
(実施例19)
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fとヨウ化物との反応)
乾燥ヨウ化ナトリウム(NaI)(7g、0.047モル)と無水ジグリム(20ml)との混合物に、10℃で攪拌しながらCH2=C(CF3)CF2OSO2F(10g、0.04モル)を少しずつ加える。反応混合物一晩保持し、次いで水に注ぐ。有機層を分離し、重炭酸ナトリウム水溶液で、次いで水で洗浄し、次いでMgSO4上で乾燥させる。蒸留することによって、GC−MSおよび19F NMRに示されるように、2−トリフルオロメチル−3,3,−ジフルオロ−3−ヨードプロペン(CH2=C(CF3)CF2I)(10%)と1,1−ジフルオロ−2−トリフルオロメチル−3−ヨードプロペン(CF2=C(CF3)CH2I)(90%)との混合物(6g、54%)が得られる。沸点98〜99℃。ジフルオロメチレン異性体CF2=C(CF3)CH2Iがこの実施例では優勢である。求核剤として塩化物を用いた実験(実施例17)によって、反応条件、実施例17の場合には時間を変化させて、メチレン異性体とジフルオロメチレン異性体との比を制御できることが示されている。求核剤としてのヨウ化物によって、高い量のメチレンモノマーが生成される条件が簡単な実験作業で特定されるはずである。
【0079】
CH2=C(CF3)CF2I:1H NMR:δ3.7(CH2I)。19F NMR:δ−15.5(dd,CF3);−5(q,2F);−1.9(q,1F);J(CF31F)=9HzおよびJ(CF32F)=18Hz。注記:1Fおよび2Fは、実施例16および17における同定と類似のビニルフッ素を特定する。
【0080】
MS(m/z、種、強度%):272[M]+(12.9);253[M−F]+(4.8);241[M−CF]+(0.05);221[M−CHF2+(0.9);203[M−CF3+(0.6);177[CF2I]+(0.8)145[M−I]+(100)141[CH2I]+(1.5);127[I](38);119[C25+(1);100[C24+(1);69[CF3+(65);31[CF]+(32.7)。
【0081】
CF2=C(CF3)CH2I:1H NMR:δ5.75mおよび5.85m(CH2)。19F NMR:δ−34.2(q,CF2I);−133(t,CF3);J(CF3−CF3)=7Hz。MS(m/z、種、強度%):272[M]+(0.1);253[M−F]+(4.6);177[CF2I]+(1.5);145[M−I]+(100);141[CH2I]+(0.2);127[I]+(22);119[C26+(2.5);100C24+(0.6);69[CF3+(58);31[CF]+(48)。
【0082】
(実施例20)
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fとフッ化物との反応)
この実施例における生成物は、CH2=C(CF3)CF2OSO2Fと求核剤フッ化物イオンとの反応によって生成されるヘキサフルオロイソブチレンであることを留意のこと。これは一般に、実際的な反応ではないだろう。CH2=C(CF3)CF2OSO2Fはヘキサフルオロイソブチレンから生成される。その反応は、本発明の合成方法がいかに一般的かを実証するために本明細書に包含される。
【0083】
KF(1.2g、0.02モル)と無水ジグリム(10ml)との混合物に、CH2=C(CF3)CF2OSO2F(5g、0.02モル)を加え、20℃で40時間攪拌する。19F NMR分析によって反応混合物がCH2=C(CF32(ヘキサフルオロイソブチレン)を7.7%含有することが分かる。KF(2.4g)をさらに添加し、得られた混合物を20℃で16時間攪拌する。反応混合物を蒸留し、ヘキサフルオロイソブチレン2.5g(73.5%)が得られる。
【0084】
(実施例21)
(CH2=C(CF2OSO2F)2と塩化物との反応)
乾燥LiCl(2.5g、0.059モル)と無水ジグリム(20ml)との攪拌混合物に、CH2=C(CF2OSO2F)2(9g、0.028モル)を10℃で少しずつ加える。添加が完了して15分後、反応混合物は、2種類の異性体、CH2=C(CF2Cl)2およびCF2=C(CH2Cl)CF2Clを79:14の比で含有する(GC−MSおよび19F NMRによる分析)。反応混合物を20℃でさらに30分間攪拌する。異性体比(CH2=C(CF2Cl)2とCF2=C(CH2Cl)CF2Clとの)は、90:3に増加した。反応混合物を20℃でさらに2日間維持し、次いで蒸留し、その結果沸点85〜87℃のCH2=C(CF2Cl)24g(73%)が得られる。この実施例から、塩化物イオンでのジフルオロスルファートCH2=C(CF2OSO2F)2の挙動は、フルオロスルファートCH2=C(CF3)CF2OSO2Fの挙動に類似していることが示されている。反応時間が長くなると、ジフルオロメチレン異性体の形成よりもメチレン異性体の形成を促進する。
【0085】
CH2=C(CF2Cl)21H NMR:δ6.46br.s(CH2)。19F NMR:δ−26.5(s,CF2Cl)。MS(m/z、種、強度%):196[M]+(0.2);177[M−F]+(2.6;161[M−Cl]+(100);141[M−HClF]+(0.4);126[M−2Cl]+(11.4);111[M−CF2Cl]+(23.8);93[C33+(7.3};85[CF2Cl]+(32.3);75[CF2=C=CH]+(59);57[CF=C=CH2+(245.4);49[CH2Cl]+(26)。
【0086】
CF2=C(CH2Cl)CF2Cl:1H NMR:δ3.85br.s(CH2Cl)。19F NMR:δ−29.5(dd,CF2Cl);−6.5(t,1F);−0.4(t,2F);J(CF2Cl−1F)=34HzおよびJ(CF2Cl−2F)=9Hz。注記:1Fは、クロロメチル基に対してシス位にあるビニルフッ素を表す。2Fは、クロロメチル基に対してトランス位にあるビニルフッ素を表す。
【0087】
MS(m/z,種,強度%):196[M]+(2.4);177[M−F]+(1.7);161[M−Cl]+(100);141[M−HClF]+(0.4);126[M−Cl]+(11.4;111[M−CF2Cl]+(23.8);93[C33+(7.2);85[CF2Cl]+(32.3);75CF2=C=CH]+(59);57[CF=C=CH2+(25.4);49[CH2Cl]+(26)。
【0088】
(実施例22)
(CH2=C(CF2OSO2F)2とヨウ化物との反応)
乾燥NaI(16.5g、0.055モル)と無水スルホラン(20ml)との攪拌混合物に、10℃で攪拌しながらCH2=C(CF2OSO2F)2(15g、0.046モル)を少しずつ添加する。反応混合物を20℃でさらに20分間攪拌し、水に注ぐ。有機層を分離し、重炭酸ナトリウム水溶液で、水で洗浄し、次いでMgSO4上で乾燥させる。蒸留することによって、5mm Hgで沸点58〜59℃のCF2=C(CH2I)CF2I(7.9g、57%)が得られる。これらの反応条件下でメチレン異性体CH2=C(CF2I)CF2Iは見出されないが、求核剤として塩化物を用いた実験(実施例20)によって、反応条件、実施例20の場合には時間を変化させて、メチレン異性体とジフルオロメチレン異性体との比を制御することができることが示されている。求核剤としてのヨウ化物によって、高い量のメチレンモノマーが生成される条件が簡単な実験作業で特定されるはずである。
【0089】
1H NMR:δ3.2br.s(CH2I)。19F NMR:δ−39.9(dd,CF2I);−9.5(t,2F);−2.1(br.s,1F);J(CF2I−1F)=8HzおよびJ(CF2I−2F)=23Hz。注記:1Fは、ヨードメチル基に対してシス位にあるビニルフッ素を表す。2Fは、ヨードメチル基に対してトランス位にあるビニルフッ素を表す。MS(m/z、種、強度%):253[M−I]+(83.7);177[CF2I]+(2);141[CH2I]+(1.6);127[I]+(31.4);126[C224+(63.7);100[C24+(3.4);75[C3HF2+(100);69[CF3+(2.3);31[CF]+(48)。
【0090】
(実施例23)
(CH2=C(CF3)CF2OSO2Fとシアン化物との反応)
10℃で無水アセトニトリル(15ml)中のCH2=C(CF3)CF2OSO2F(10g、0.04モル)に、シアン化ナトリウム(2.4g、0.04モル)を少しずつ加える。反応混合物を15℃で4時間攪拌し、次いで水に注ぐ。有機層を分離し、水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させる。蒸留によって、化合物の混合物(3.5g、50%、沸点120〜122℃):CF2=C(CF3)CH2CN(93%)およびNC−CH2CH(CF32(7%)が得られる。
【0091】
CF2=C(CF3)CH2CN:1H NMR:δ2.74dd(CH2)。19F NMR:δ−15.1dd(31F);−3.8dtq(2F);J(1F−2F)=21.5Hz;J(1F−3F)=12Hz;J(3F−2F)=11.5Hz;J(2F−CH2)=2.5;J(1F−CH2)=2.5Hz。MS(m/z、種、強度%):171[M]]30);152[M−F]+(25);102[M−CF3+(100);75[F2C=C=CH]+(25);69[CF3+(40)。注記:1Fは、トリフルオロメチル基のフッ素を表す。2Fは、トリフルオロメチル基のシス位にあるビニルフッ素を表す。3Fは、トリフルオロメチル基のトランス位にあるビニルフッ素を表す。メチレン異性体CH2=C(CF3)CF2CNは見いだされないが、求核剤として塩化物を用いた実験(実施例17)によって、反応条件、実施例17の場合には時間を変化させて、メチレン異性体とジフルオロメチレン異性体との比を制御することができることが示されている。求核剤としてのシアン化物によって、高い量のメチレンモノマーが生成される条件が簡単な実験作業で特定されるはずである。
【0092】
NC−CH2CH(CF32 1H NMR:δ2.39d(CH2)、4.8m(CH);J(H−F)=7.5Hz;J(H−CH2)=5.5Hz。19F NMR:δ−9.1d(CF3)。MS(m/z、種、強度%):172[M−F]+(30);122[M−CF3+(100);102[M−CF3−HF]+(50);77[F2C=CH−CH2+(50)69[CF3+(90)。
【0093】
(実施例24)
(CH2=C(CF3)CF2OCH(CF32とCF2=CH2との重合)
CH2=C(CF3)CF2OCF(CF32を実施例8の方法に従って生成する。<−20℃に冷却された75mlステンレス鋼オートクレーブに、CH2=C(CF3)CF2OCH(CF3211.6g、CF3CH2CF2CH3溶媒10ml、およびCF3CFHCFHCF2CF3中の約0.17M DP開始剤10mlを装入する。オートクレーブを冷却し、排気し、さらにフッ化ビニリデン(CF2=CH2)約2gをさらに装入する。オートクレーブを室温で一晩振盪する。その結果得られた濁った液体を窒素下、次いでポンプ真空下で乾燥させ、最後に75℃の真空オーブン内で66時間乾燥させて、白色のポリマー12.9gが得られる。ヘキサフルオロベンゼン中のフッ素NMRによって、そのポリマー組成物がフッ化ビニリデン53.4モル%およびCH2=C(CF3)CF2OCH(CF3246.6モル%であることが分かる。25℃のヘキサフルオロベンゼン中のインヘレント粘度は0.116dL/gである。Hガルデン(Galden)ZT(商標)85溶媒[HCF2O(CF2O)m(CF2CF2O)nCF2H]3gにポリマー0.5gを溶解し、0.45μmPTFEシリンジフィルター(ワットマン・オートバイアル(Whatman Autovial)(登録商標))を用いてその濁りを濾過し、余分な溶媒を蒸発させ、75℃の真空オーブン内で16時間乾燥させることによって、少量の試料をDSC測定のために精製する。Tgは47℃である(10℃/分、N2、第2熱)。
【0094】
溶液の調製:濁った溶液は、Hガルデン(Galden)(商標)ZT85溶媒18gでポリマー2gをローリングすることによって調製される。その濁りは、0.45μmガラス繊維ミクロファイバーシリンジフィルター(ワットマン・オートバイアル(Whatman Autovial)(商標))中のクロマトグラフィーシリカ層を通して最初に濾過し、15000rpmで遠心分離し、最後に0.2μmPTFEシリンジフィルター(ゲルマン・アクロディスク(Gelman Acrodisc)CR)で再び濾過することによって除去される。ガラススライド上のこの溶液119.2mgを蒸発させ、重さ8.5mgの透明なフィルムが得られる(固体約7重量%の溶液)。
【0095】
(実施例25)
(CH2=C(CF3)CF2OCF(CF32とCF2=CH2との重合)
CH2=C(CF3)CF2OCF(CF32を実施例7の方法に従って生成する。<−20℃に冷却された110mlステンレス鋼オートクレーブに、CH2=C(CF3)CF2OCF(CF3226g、CF3CFHCFHCF2CF3溶媒25ml、およびCF3CFHCFHCF2CF3中の約0.17M DP開始剤10mlを装入する。オートクレーブを冷却し、排気し、さらにフッ化ビニリデン(CF2=CH2)約5gをさらに装入する。オートクレーブを室温で一晩振盪する。その結果得られた粘性の液体を窒素下、次いでポンプ真空下で乾燥させ、最後に75℃の真空オーブン内で88時間乾燥させて、白色のポリマー26.7gが得られる。ヘキサフルオロベンゼン中で行われたフッ素NMRによって、そのポリマー組成物がCH2=C(CF3)CF2OCF(CF3251モル%およびCH2=CF249モル%であることが分かる。
【0096】
DSC、10℃/分、N2、第2熱、TgもTmも検出されず。
【0097】
インヘレント粘度、ヘキサフルオロベンゼン、25℃:0.083
溶液の調製:透明な無色の溶液が、Hガルデン(Galden)(商標)ZT85溶媒18gでポリマー2gをローリングし、0.45μmガラス繊維ミクロファイバーシリンジフィルター(ワットマン・オートバイアル(Whatman Autovial)(商標))に通すことによって調製される。
以下に、本発明の好ましい態様を示す。
1. 式CH2=C(R)CF2OSO2F(式中、Rは、1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、または環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよい)を有することを特徴とする化合物。
2. Rが、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、およびヘプタフルオロプロピルからなる群から選択されることを特徴とする1.に記載の化合物。
3. Rがトリフルオロメチルであることを特徴とする1.に記載の化合物。
4. Rがペンタフルオロエチルであることを特徴とする1.に記載の化合物。
5. 式CH2=C(CF2OSO2F)2を有することを特徴とする化合物。
6. 式CH2=C(R)CF2X(式中、Rは、1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、または環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよく、Xは、水素化物、フッ化物を除くハロゲン化物、シアン化物、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、エステルアルコキシド、およびチオールメルカプチドからなる群から選択される)を有することを特徴とする化合物。
7. XがOCF2(CF(CF3)−O−CF2nCF2SO2F(n=0〜5)であることを特徴とする6.に記載の化合物。
8. Xがハロゲンであることを特徴とする6.に記載の化合物。
9. Xがシアン化物であることを特徴とする6.に記載の化合物。
10. Xがアルコキシドであることを特徴とする6.に記載の化合物。
11. XがR’mCHnO(m=0〜3、n=3〜0、m+n=3であり、かつR’が、アルキル、フルオロアルキル、およびパーフルオロアルキルからなる群から選択される)であることを特徴とする6.に記載の化合物。
12. 複数のR’基が存在する場合に、それらが前記基から独立して選択されることを特徴とする11.に記載の化合物。
13. 前記アルキル、フルオロアルキル、およびパーフルオロアルキルが、直鎖状、分枝鎖状、または環状であり、かつエーテル酸素を含有してもよく、かつ炭素原子1〜10個を含有してもよいことを特徴とする12.に記載の化合物。
14. Xが、アリールオキシ、フルオロアリールオキシ、およびパーフルオロアリールオキシからなる群から選択されることを特徴とする6.に記載の化合物。
15. 式CH2=C(CF2X)CF2X’(式中、XおよびX’が、水素化物、フッ化物を除くハロゲン化物、シアン化物、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、エステルアルコキシドおよびチオールメルカプチドからなる群から独立して選択される)を有することを特徴とする化合物。
16. XおよびX’がOCF2(CF(CF3)−O−CF2nCF2SO2F(n=0〜5)であることを特徴とする15.に記載の化合物。
17. ルイス酸の存在下でCH2=C(R)CF3(式中、Rは、1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、または環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよい)をSO3と接触させ、CH2=C(R)CF3/SO3付加物を生成することを含むことを特徴とする方法。
18. ルイス酸の存在下でCH2=C(R)CF3(式中、RはCF3である)をSO3と接触させ、CH2=C(CF32/SO3付加物を生成することを含むことを特徴とする方法。
19. 最も高い収率で生成された前記付加物が、CH2=C(CF3)CF2OSO2Fであることを特徴とする18.に記載の方法。
20. 最も高い収率で生成された前記付加物が、CH2=C(CF2OSO2F)2であることを特徴とする18.に記載の方法。
21. 前記ルイス酸が、BF3、B(OCH33、B(OR)3(Rがアルキル基である)、SbF5、SbCl5、BCl3、B(OC(=O)CF33、B(OSO2CF33、B23、H3BO3、およびNa247からなる群から選択されることを特徴とする17.に記載の方法。
22. 前記ルイス酸が、BF3、B(OCH33、およびSbF5からなる群から選択されることを特徴とする17.に記載の方法。
23. CH2=C(R)CF2OSO2F(式中、Rは、1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、または環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよい)を求核剤と接触させ、置換体を生成することを含むことを特徴とする方法。
24. CH2=C(CF2OSO2F)2を第1求核剤と接触させ、置換体を生成することを含むことを特徴とする方法。
25. CH2=C(CF2OSO2F)2を第1求核剤と接触させ、次いで前記第1求核剤と異なる第2求核剤と接触させて、置換体を生成することを含むことを特徴とする方法。
26. 前記求核剤が、水素化物、ハロゲン化物、シアン化物、アルコール、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、エステルアルコキシド、およびチオールメルカプチドからなる群から選択されることを特徴とする23.に記載の方法。
27. 前記第1求核剤が、水素化物、ハロゲン化物、シアン化物、アルコール、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、エステルアルコキシド、およびチオールメルカプチドからなる群から選択されることを特徴とする24.に記載の方法。
28. 前記第1求核剤および第2求核剤が、水素化物、ハロゲン化物、シアン化物、アルコール、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、エステルアルコキシド、およびチオールメルカプチドからなる群から選択されることを特徴とする25.に記載の方法。
29. 前記水素化物、ハロゲン化物、シアン化物、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、およびチオールメルカプチドが、それらのアルカリ金属塩として存在することを特徴とする26.に記載の方法。
30. 前記CH2=C(R)CF2OSO2Fと求核剤との前記接触が、相溶性の溶媒中で行われることを特徴とする23.に記載の方法。
31. 前記溶媒が少なくとも1種類の非プロトン極性溶媒を含むことを特徴とする30.に記載の方法。
32. 前記溶媒がジグリムを含むことを特徴とする30.に記載の方法。
33. CH2=C(R)CF2X(式中、Rが、1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、または環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよく、Xが、水素化物、フッ化物を除くハロゲン化物、シアン化物、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、エステルアルコキシド、およびチオールメルカプチドからなる群から選択される)と、少なくとも1種類の他のモノマーとのコポリマー。
34. CH2=C(R)CF2X(式中、Rが、1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、または環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよく、Xが、水素化物、フッ化物を除くハロゲン化物、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、ヒドロキシアルコキシド、エステルアルコキシドからなる群から選択される)と、少なくとも1種類の他のモノマーとのコポリマー。
35. 前記少なくとも1種類の他のモノマーが、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、エチレン、プロピレン、トリフルオロエチレン、および酢酸ビニルからなる群から選択されることを特徴とする33.に記載のコポリマー。
36. 式CF2=C(R)CH2X(式中、Rが、1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、または環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよく、Xが、水素化物、フッ化物を除くハロゲン化物、シアン化物、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、エステルアルコキシド、およびチオールメルカプチドからなる群から選択される)を有することを特徴とする化合物。
37. 式CF2=C(CF2X)CH2X’(式中、XおよびX’が、水素化物、フッ化物を除くハロゲン化物、シアン化物、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、エステルアルコキシド、およびチオールメルカプチドからなる群から独立して選択される)を有することを特徴とする化合物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式CH2=C(R)CF2X(式中、Rは、1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、または環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよく、Xは、水素化物、フッ化物を除くハロゲン化物、シアン化物、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、エステルアルコキシド、およびチオールメルカプチドからなる群から選択される)を有することを特徴とする化合物。
【請求項2】
CH2=C(R)CF2X(式中、Rが、1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、または環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよく、Xが、水素化物、フッ化物を除くハロゲン化物、シアン化物、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、フルオロアリールオキシド、およびパーフルオロアリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、シアナート、イソシアナート、チオシアナート、ヒドロキシアルコキシド、ハロアルコキシド、エポキシアルコキシド、シアノアルコキシド、エステルアルコキシド、およびチオールメルカプチドからなる群から選択される)と、少なくとも1種類の他のモノマーとのコポリマー。
【請求項3】
CH2=C(R)CF2X(式中、Rが、1〜10個の炭素原子からなる直鎖状、分枝鎖状、または環状のフルオロアルキル基であり、かつエーテル酸素を含有してもよく、Xが、水素化物、フッ化物を除くハロゲン化物、アルコキシド、フルオロアルコキシド、およびパーフルオロアルコキシド、アリールオキシド、メルカプチド、フルオロメルカプチド、パーフルオロメルカプチド、フッ素化されてもよい第2級アミン、アジド、ヒドロキシアルコキシド、エステルアルコキシドからなる群から選択される)と、少なくとも1種類の他のモノマーとのコポリマー。

【公開番号】特開2010−31058(P2010−31058A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260902(P2009−260902)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【分割の表示】特願2004−505321(P2004−505321)の分割
【原出願日】平成15年5月14日(2003.5.14)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】