説明

ヘッド洗浄装置

【課題】洗浄液を無駄に消費することなく、機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路を適切に洗浄することができるヘッド洗浄装置を提供する。
【解決手段】機能液滴吐出ヘッド1のヘッド内流路5に洗浄液を供給する洗浄液供給部13と、機能液滴吐出ヘッド1のノズル面8に密接する吸引キャップ14と、吸引キャップ14を介して、ヘッド内流路5に洗浄液を通液して洗浄を行う吸引機構17と、吸引流路に介設したサンプリング機構20と、吸引手段を制御すると共に、通常洗浄モードとサンプリング洗浄モードとの間でモード切替え可能に構成された制御装置21と、を備え、制御装置21は、サンプリング洗浄モードにおいて、吸引手段の吸引による洗浄動作の終了直前に、洗浄液のサンプリングのために洗浄動作を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッドである機機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路を洗浄するヘッド洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のヘッド洗浄装置として、複数(12個)の機能液滴吐出ヘッドをキャリッジに搭載したヘッドユニットを単位として、複数の機能液滴吐出ヘッドを一括して洗浄するものが知られている(特許文献1参照)。この洗浄装置では、各機能液滴吐出ヘッドのノズル面に密接すると共に洗浄に用いる洗浄液を吸引する複数のキャップからなるキャップユニットと、機能液滴吐出ヘッドの導入口に接続して洗浄液を供給する複数の導入口接続アタッチメントと、キャップユニットを介して洗浄液を吸引して機能液滴吐出ヘッドに洗浄液を通液する吸引ポンプと、を有している。この場合の洗浄動作は、タイマー制御により、純水を数十秒間通液する純水洗浄と、アルコールを数十秒間通液するアルコール洗浄と、をこの順で実施するようにしている。
【特許文献1】特開2003−182095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、機能液滴吐出ヘッドの吐出試験に用いるインク(機能液)と、描画装置に搭載し実際の描画に用いるインク(機能液)とが異なる場合、試験に用いた機能液を洗浄により完全に洗い流さないと、描画に用いる機能液が汚染されることになる。この点において、上記従来のヘッド洗浄装置では、タイマー制御により洗浄を行うため、時間が短いと完全な洗浄が達成できなくなるおそれがあり、一方で時間が長いと、洗浄液を無駄に消費してしまう問題があった。
【0004】
本発明は、洗浄液を無駄に消費することなく、機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路を適切に洗浄することができるヘッド洗浄装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のヘッド洗浄装置は、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路を洗浄するヘッド洗浄装置であって、機能液滴吐出ヘッドの機能液導入部に接続した供給流路を介して、ヘッド内流路に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、機能液滴吐出ヘッドのノズル面に密接する吸引キャップと、吸引キャップを介して洗浄液を吸引し、ヘッド内流路に洗浄液を通液して洗浄を行う吸引手段と、吸引キャップと吸引手段とを接続する吸引流路に介設され、洗浄液をサンプリングするためのサンプリング機構と、吸引手段を制御すると共に、通常洗浄モードとサンプリング洗浄モードとの間でモード切替え可能に構成された制御手段と、を備え、制御手段は、サンプリング洗浄モードにおいて、吸引手段の吸引による洗浄動作の終了直前に、洗浄動作を停止させると共に、サンプリング機構による洗浄液のサンプリングおよびサンプリング後の再起動を待つことを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、洗浄液供給手段により洗浄液を供給しながら、吸引手段により吸引キャップを介して洗浄液を吸引することで、機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路に洗浄液を通液し、洗浄を行う。また、サンプリング洗浄モードにおいて、洗浄動作の終了直前に洗浄動作を停止させ、サンプリング機構により吸引流路から機能液のサンプリングおよびサンプリング後の再起動を待つ。サンプリングした洗浄液は、別装置により洗浄液中に汚れ(被洗浄液)が残っているか否かが検出されることになる。このように、洗浄液のサンプリングを可能とすることにより、洗浄液の無駄な消費を抑制しつつ、機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路を適切に洗浄することができる。なお、サンプリングの結果、汚れが残っていれば、吸引手段を再起動して洗浄動作を継続し、残っていなければ、洗浄液の液抜き動作を行って洗浄動作を終了する。また、汚れが極端に残っていれば、装置に不良があることが確認される。
【0007】
この場合、洗浄液供給手段は、洗浄液である純水を貯留する純水タンクと、 洗浄液であるアルコールを貯留するアルコールタンクと、供給流路に介設され、供給する洗浄液を純水とアルコールとの間で切り替える洗浄液切替え手段と、を有し、制御手段は、洗浄液切替え手段を更に制御し、吸引手段に同期して、純水を供給する純水洗浄およびアルコールを供給するアルコール洗浄の順で洗浄動作を実施させることが、好ましい。
【0008】
この構成によれば、洗浄液切替え手段により、適宜供給流路を切り替えて純水洗浄およびアルコール洗浄を行う。純水洗浄では、ヘッド内流路のよごれである被洗浄液がほぼ洗い落とされ、続くアルコール洗浄により被洗浄液が完全に洗い落とされる。また、純水と親和性のあるアルコールにより洗浄を行うことにより、最終的にヘッド内流路から純水を洗い流すことができる。これにより、機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路を、清浄な状態に洗浄することができる。
【0009】
この場合、洗浄液供給手段は、洗浄液切替え手段の下流側に位置して供給流路にエアーを導入するエアー導入手段を、更に有し、制御手段は、エアー導入手段を更に制御し、純水洗浄とアルコール洗浄との間の洗浄動作として、エアーを間欠的に導入しながら純水を供給する純水バブリング洗浄を実施させることが、好ましい。
【0010】
この構成によれば、純水バブリング洗浄により、ヘッド内流路の被洗浄液を確実に洗い落とすことができる。
【0011】
これらの場合、サンプリング機構は、吸引流路に介設した三方弁と、三方弁の分岐ポートに接続され、分岐ポートとサンプル容器とを接続するためのアタッチメントと、を有していることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、吸引流路に三方弁を設けておくだけで、サンプル容器による洗浄液のサンプリングを、簡単且つ迅速に行うことができる。
【0013】
本発明の他のヘッド洗浄装置は、インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路を洗浄するヘッド洗浄装置であって、機能液滴吐出ヘッドの機能液導入部に接続した供給流路を介して、ヘッド内流路に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、機能液滴吐出ヘッドのノズル面に密接する吸引キャップと、吸引キャップを介して洗浄液を吸引し、ヘッド内流路に洗浄液を通液して洗浄を行う吸引手段と、吸引キャップと吸引手段とを接続する吸引流路に介設され、洗浄液を周期的にサンプリングするサンプリング手段と、サンプリング手段によりサンプリングされた洗浄液中の被洗浄液の濃度を検出するサンプル濃度検出手段と、サンプル濃度検出手段の検出濃度がゼロになるまで、吸引手段を制御して洗浄動作を継続させる制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、サンプリング手段およびサンプル濃度検出手段により、洗浄液のサンプリングを周期的に実施することで、洗浄液中の被洗浄液の濃度をリアルタイムで検出することができる。したがって、機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路を確実に洗浄することができるだけでなく、洗浄液の無駄な消費を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係るヘッド洗浄装置について説明する。このヘッド洗浄装置は、検査用インクを用いて吐出検査を行った後の機能液滴吐出ヘッドに、洗浄液を通液して機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路を洗浄するものである。カラーフィルタの製造等の各種工業応用の描画に用いる機能液滴吐出ヘッドは、応用別に検査用インクとは異なる機能液を導入して描画を行なう。このため、描画装置に導入するにあたって、検査用インクによる機能液の汚染を防止すべく、本ヘッド洗浄装置により、検査用インクを機能液滴吐出ヘッドから洗い流すようにしている。そこで先ず、ヘッド洗浄装置の説明に先立ち、洗浄対象物となる機能液滴吐出ヘッドについて簡単に説明する。
【0016】
図2に示すように、機能液滴吐出ヘッド1は、いわゆる2連のものであり、2連の接続針2を有する機能液導入部3と、機能液導入部3に連なる2連のヘッド基板4と、機能液導入部3の下方に連なり、内部に洗浄液が通液されるヘッド内流路5が形成された駆動部6と、機能液導入部3と駆動部6との間に介設した略方形のフランジ部7と、を備えている。詳細は後述するが、機能液滴吐出ヘッド1は、フランジ部7を着座させるようにして、セットプレート42に機械的にセットされ、また両接続針2には、流路接続ユニット33を介して後述する供給配管12が接続されるようになっている。
【0017】
図1に示すように、ヘッド洗浄装置11は、2個の機能液滴吐出ヘッド1に対し同時並行で洗浄を行うものであり、供給配管(供給流路)12を介して、両機能液滴吐出ヘッド1に洗浄液を供給する洗浄液供給部(洗浄液供給手段)13と、各機能液滴吐出ヘッド1のノズル面8に密接する2個の吸引キャップ14を有するキャップユニット15と、各吸引キャップ14に接続した吸引配管(吸引流路)16と、吸引配管16の下流端に接続した吸引機構(吸引手段)17と、吸引機構17の流出側に廃液配管18を介して接続した廃液タンク19と、吸引配管16に介設した2つのサンプリング機構20と、洗浄液供給部13の各種バルブ24,30および吸引機構17を制御する制御装置(制御手段)21と、を備えている。
【0018】
吸引機構17を駆動し、キャップユニット15を介して、両機能液滴吐出ヘッド1を吸引することにより、洗浄液供給部13から供給された洗浄液を各機能液滴吐出ヘッド1のヘッド内流路5に通液して、両機能液滴吐出ヘッド1の洗浄を行う。また、洗浄後の洗浄液は、使い捨てとすべく吸引機構17から廃液タンク19に廃液される。
【0019】
洗浄液供給部13は、洗浄液である純水を貯留する純水タンク22と、洗浄液であるアルコール(エタノール)を貯留するアルコールタンク23と、供給配管12に介設され、供給する洗浄液を純水とアルコールとの間で切り替える流路切替え弁(洗浄液切替え手段)24と、供給配管12にエアーを導入するためのエアー導入弁(エアー導入手段)30と、を有している。
【0020】
一方、供給配管12は、純水タンクと流路切替え弁24とを接続する純水配管25と、アルコールタンク23と流路切替え弁24とを接続するアルコール配管26と、両機能液滴吐出ヘッド1の機能液導入部3に接続された2本の個別供給配管27と、流路切替え弁24と2本の個別供給配管27の分岐部28とを接続する共有供給配管29と、を有している。
【0021】
流路切替え弁24は、いわゆる3方弁或いは3個の2方弁で構成され、流入側に純水配管25の下流端およびアルコール配管26の下流端が接続されると共に、流出側に上記の共有供給配管29の上流端が接続されている。流路切替え弁24は、上記の制御装置21に接続されており、純水配管25およびアルコール配管26は、制御装置21により選択的に切り替えられるようになっている。
【0022】
共有供給配管29には、流路切替え弁24の近傍に位置して上記のエアー導入弁30が介設されている。エアー導入弁30は、3方弁で構成されており、その1の分岐ポート48にエアー配管31が接続されている。また、エアー配管31の上流端にはエアーフィルタ32が接続されている。エアー導入弁30も、上記の流路切替え弁24と同様に制御装置21に接続されており、後述するバブリング洗浄の際には間欠的に開閉され、また液抜き動作の際にも開放される。そして、各個別供給配管27の下流端には、逆止弁付の流路接続ユニット33が接続され、流路接続ユニット33を、機能液滴吐出ヘッド1の機能液導入部3に接続することにより、個別供給配管27と機能液滴吐出ヘッド1のヘッド内流路5とが連通する。なお、図示では省略したが、流路接続ユニット33は昇降機構に保持され、昇降機構により機能液滴吐出ヘッド1に離接される。
【0023】
吸引配管16は、各吸引キャップ14に接続した2本の個別吸引配管35と、2本の個別吸引配管35の合流部34と吸引機構17とを接続する共有吸引配管36と、を有している。吸引機構17は、例えばチューブポンプやエジェクタ等で構成されており、上記の制御装置21によりその駆動を制御される。吸引機構17が駆動すると、両吸引キャップ14を介して両機能液滴吐出ヘッド1から洗浄液の吸引が行われる。この吸引により、両機能液滴吐出ヘッド1の両ヘッド内流路5に洗浄液が通液され、ヘッド内流路5の洗浄が行われる。
【0024】
この場合の洗浄形態には、流路切替え弁24を純水側に切り替えると共にエアー導入弁30を洗浄液側に切り替えて、純水を通液(吸引)する純水洗浄と、流路切替え弁24を純水側に切り替えると共にエアー導入弁30を洗浄液側とエアー側に交互に間欠的に切り替えて、純水およびエアーを通液(吸引)するバブリング洗浄と、さらに流路切替え弁24をアルコール側に切り替えると共にエアー導入弁30を洗浄液側に切り替えて、アルコールを通液(吸引)するアルコール洗浄と、がある(詳細は後述する)。
【0025】
キャップユニット15は、上記の2個の吸引キャップ14と、2個の吸引キャップ14を保持するキャッププレート41と、で構成されている。キャッププレート41は、2個の機能液滴吐出ヘッド1がセットされた上記のセットプレート42の下方に位置して、セットプレート42と平行に配設されている。セットプレート42に、機能液滴吐出ヘッド1をセットすると、機能液滴吐出ヘッド1のノズル面8が吸引キャップ14に密接し、吸引可能な状態となる。
【0026】
図3に示すように、各サンプリング機構20は、上記の個別吸引配管35に介設した三方弁43と、三方弁43の分岐ポート48に接続されたアタッチメント44と、アタッチメント44に抜差し自在に装着されたサンプル容器45と、を備えている。サンプル容器45は、注射器様の容器であり、外筒(シリンダ)46に対しプランジャ(内筒)47を引くことで、洗浄液を容器内に流入させてサンプリングを行うようになっている。アタッチメント44は、一端部を三方弁43の分岐ポート48に継手接続され、他端部にサンプル容器45の先端ノズル部が抜き差しされる受け口49を有している。この場合、各サンプリング機構20によりサンプリングされた洗浄液は、本ヘッド洗浄装置11とは別に設けたガスマス分析装置(GCMS)により、スペクトル分析される。なお、上記の2つのサンプリング機構20に代えて、廃液配管18に単一のサンプリング機構20を設け、洗浄液のサンプリングを行うようにしてもよい。
【0027】
制御装置21は、上記の吸引機構17、流路切替え弁24およびエアー導入弁30を制御して、機能液滴吐出ヘッド1の洗浄動作(プロセス制御)を実施すると共に、上記した各洗浄動作における時間を設定可能に構成されている。また、制御装置21は、洗浄液のサンプリングを前提としない通常洗浄モードと、洗浄液のサンプリングを前提するサンプリング洗浄モードと、の相互間でモード切替え可能に構成されている。この場合、通常洗浄モードでは、予め設定した洗浄プロセスに従って洗浄動作を実施するが、サンプリング洗浄モードでは、洗浄動作の終了直前に、洗浄動作を停止させ、上記のサンプリングおよびサンプリング後のオペレータによる再起動を待つようにしている。
【0028】
ここで、図4のフローチャートを参照しながら、上記の通常洗浄モードおよびサンプリング洗浄モードを含む、ヘッド洗浄装置11による機能液滴吐出ヘッド1の洗浄方法について説明する。オペレータにより、2個の機能液滴吐出ヘッド1は既にセットされており、この状態から先ず、昇降機構により各流路接続ユニット33が機能液滴吐出ヘッド1に接続される(S−1)。次に、流路切替え弁24を純水側に切り替えると共にエアー導入弁30を洗浄液側に切り替えて、吸引機構17を駆動し、純水を通液する純水洗浄を数十秒間行う(S−2)。また、純水洗浄の後、エアー導入弁30を洗浄液側と大気側とに交互に頻繁に切り替えて、バブリング洗浄を数十秒間行う(S−2)。
【0029】
バブリング洗浄が終了したら、エアー導入弁30を大気側に切り替えて供給配管12にエアーを導入し、吸引機構17により純水の液抜きを行う(S−3)。続いて、流路切替え弁24をアルコール側に切り替えると共にエアー導入弁30を洗浄液側に切り替えて、アルコールを通液するアルコール洗浄を数十秒間行う(S−4)。ここで、通常洗浄モードが設定されている場合には、サンプリング「無」とし(S−5)、エアー導入弁30を大気側に切り替えて、アルコールの液抜きを行う(S−6)。そして最後に、各流路接続ユニット33を上昇させ、機能液滴吐出ヘッド1との接続を解除する(S−7)。
【0030】
一方、サンプリング洗浄モードが設定されている場合には、サンプリング「有」とし(S−5)、吸引機構17をいったん停止する(S−8)。その後、数秒間のディレイを経て(S−9)、エアー導入弁30を大気側に切り替える(S−10)。ここで、図外のディスプレイに、サンプリング中であることを表示し(S−11)、オペレータによる洗浄液のサンプリングおよびスペクトル分析の結果を待つ(S−12)。スペクトル分析の結果、洗浄液に検査用インクが混入していなければ、オペレータは、制御装置21の再起動スイッチを操作し(S−13)、吸引機構17を再起動して(S−14)、アルコールの液抜きに移行する(S−6)。一方、洗浄液に検査用インクが混入していれば、オペレータは、制御装置21の設定を再洗浄(数十秒のアルコール洗浄)にシフトした後、再起動スイッチを操作する(図示省略)。そして、再洗浄の後、アルコールの液抜きに移行する(S−6)。
【0031】
以上のように、本実施形態によれば、サンプリングした洗浄液をスペクトル分析し、洗浄液中に汚れ(検査用インク)が残っているか否かで、吸引機構17の再起動形態を変更するようにしているため、機能液滴吐出ヘッド1のヘッド内流路5を清浄な状態に洗浄することができると共に、洗浄液の無駄な消費を抑制することができる。
【0032】
次に、図5を参照して、ヘッド洗浄装置11の第2実施形態について説明する。この実施形態は、ヘッド洗浄装置11に上記のガスマス分析装置(サンプル濃度検出手段)19を組み込んで、構成されている。各個別吸引配管35に介設した三方弁(の分岐ポート48)43には、第1実施形態のアタッチメント44およびサンプル容器45に代えて、サンプリング配管51が接続されている。また、サンプリング配管51の下流端は、ガスマス分析装置19の試料導入部19aに接続されている。そして、三方弁43は自動弁(防爆仕様)で構成され、制御装置21に接続される一方、ガスマス分析装置19も制御装置21に接続されている。
【0033】
制御装置21には、サンプリングのタイミングが設定可能に構成されており、例えば、洗浄動作の終盤において、所定の時間間隔(周期)で2つの三方弁43を交互に開放して、サンプリングを実施し、且つガスマス分析装置19により都度、洗浄液中に検査用インクが混入しているか否かが分析(検出)される。第2実施形態のヘッド洗浄装置11では、洗浄動作の停止(吸引機構17の停止)は行わず、この分析結果(洗浄液中に検査用インクが混入しているか否か)が、制御装置21にフィードバックされ、検査用インクが検出されなくなるまで(或いは、所定の濃度閾値となるまで)洗浄動作が継続される。
【0034】
以上のように、第2実施形態によれば、洗浄液のサンプリングを周期的に実施することで、洗浄液中に検査用インクが残っているか否かをリアルタイムで検出することができる。したがって、機能液滴吐出ヘッド1のヘッド内流路5を確実に洗浄することができるだけでなく、洗浄液の無駄な消費を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係るヘッド洗浄装置の模式図である。
【図2】洗浄対象となる機能液滴吐出ヘッドの斜視図である。
【図3】サンプリング機構廻りの斜視図である。
【図4】ヘッド洗浄装置の洗浄動作(洗浄シーケンス)を表したフローチャートである。
【図5】第2実施形態に係るヘッド洗浄装置の模式図である。
【符号の説明】
【0036】
1:機能液滴吐出ヘッド、 3:機能液導入部、 5:ヘッド内流路、 8:ノズル面、 11:ヘッド洗浄装置、 12:供給流路、 13:洗浄液供給部、 14:吸引キャップ、 16:吸引配管、 17:吸引機構、 19:ガスマス分析装置、 20:サンプリング機構、 21:制御装置、 22:純水タンク、 23:アルコールタンク、 24:流路切替え弁、 30:エアー導入弁、 43:三方弁、 44:アタッチメント、 45:サンプル容器、 48:分岐ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路を洗浄するヘッド洗浄装置であって、
前記機能液滴吐出ヘッドの機能液導入部に接続した供給流路を介して、前記ヘッド内流路に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、
前記機能液滴吐出ヘッドのノズル面に密接する吸引キャップと、
前記吸引キャップを介して洗浄液を吸引し、前記ヘッド内流路に洗浄液を通液して洗浄を行う吸引手段と、
前記吸引キャップと前記吸引手段とを接続する吸引流路に介設され、前記洗浄液をサンプリングするためのサンプリング機構と、
前記吸引手段を制御すると共に、通常洗浄モードとサンプリング洗浄モードとの間でモード切替え可能に構成された制御手段と、を備え、
前記制御手段は、サンプリング洗浄モードにおいて、前記吸引手段に吸引による洗浄動作の終了直前に、前記洗浄動作を停止させると共に、前記サンプリング機構による洗浄液のサンプリングおよび前記サンプリング後の再起動を待つことを特徴とするヘッド洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄液供給手段は、洗浄液である純水を貯留する純水タンクと、
洗浄液であるアルコールを貯留するアルコールタンクと、
前記供給流路に介設され、供給する洗浄液を前記純水と前記アルコールとの間で切り替える洗浄液切替え手段と、を有し、
前記制御手段は、前記洗浄液切替え手段を更に制御し、前記吸引手段に同期して、前記純水を供給する純水洗浄および前記アルコールを供給するアルコール洗浄の順で洗浄動作を実施させることを特徴とする請求項1に記載のヘッド洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄液供給手段は、前記洗浄液切替え手段の下流側に位置して前記供給流路にエアーを導入するエアー導入手段を、更に有し、
前記制御手段は、前記エアー導入手段を更に制御し、前記純水洗浄と前記アルコール洗浄との間の前記洗浄動作として、エアーを間欠的に導入しながら前記純水を供給する純水バブリング洗浄を実施させることを特徴とする請求項2に記載のヘッド洗浄装置。
【請求項4】
前記サンプリング機構は、前記吸引流路に介設した三方弁と、
三方弁の分岐ポートに接続され、前記分岐ポートとサンプル容器とを接続するためのアタッチメントと、を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のヘッド洗浄装置。
【請求項5】
インクジェット方式の機能液滴吐出ヘッドのヘッド内流路を洗浄するヘッド洗浄装置であって、
前記機能液滴吐出ヘッドの機能液導入部に接続した供給流路を介して、前記ヘッド内流路に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、
前記機能液滴吐出ヘッドのノズル面に密接する吸引キャップと、
前記吸引キャップを介して洗浄液を吸引し、前記ヘッド内流路に洗浄液を通液して洗浄を行う吸引手段と、
前記吸引キャップと前記吸引手段とを接続する吸引流路に介設され、前記洗浄液を周期的にサンプリングするサンプリング手段と、
前記サンプリング手段によりサンプリングされた洗浄液中の被洗浄液の濃度を検出するサンプル濃度検出手段と、
前記サンプル濃度検出手段の検出濃度がゼロになるまで、前記吸引手段を制御して洗浄動作を継続させる制御手段と、を備えたことを特徴とするヘッド洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−119370(P2009−119370A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296315(P2007−296315)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】