説明

ベアリング洗浄装置

【課題】 洗浄効率の高いベアリング洗浄装置を提供する。
【解決手段】
2本の回転駆動軸30、30の間にベアリング50を乗せ、回転しつつ支持し、ベアリング50の内部には、軸線55に沿ってノズル中空軸1がされる。ノズル中空軸1には、複数のノズル孔10が形成され、またノズル中空軸1には洗浄液供給装置16から洗浄液が供給され、該ノズル孔10から洗浄液を径方向に噴射する。ノズル孔10は、ノズル中空軸1の周側面上にらせん状に配置され、また駆動装置15によりベアリング50の回転方向とは逆方向回転し、ベアリング50の内周を洗浄する。 また、ノズル中空軸1は駆動装置15により軸線方向に往復動可能に構成されており、ベアリング50の軸線55に沿って往復動しつつ、又回転しつつ、ノズル孔10から洗浄液を噴射して、ベアリング50の内周を洗浄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ベアリング洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベアリングは玉やコロなどの転動体の周囲に大量のグリースを用いるため、洗浄しにくく、従来から種々の洗浄装置が提案されている。
例えば、特開2005−230607号に開示されている洗浄装置では、複数のベアリングを平置きし、各ベアリングの内輪を回転させつつ、上下から洗浄液を吹き付けて洗浄している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−230607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記したような従来の洗浄装置では、単純に洗浄液を吹き付けているだけなので、グリースが十分に除去できず、特に転動体の裏側のグリース除去が十分に洗浄できない問題があった。また、ベアリングを平置きしているため一度に洗浄できるベアリングの数に限界があり、多量のベアリングの洗浄ができない問題があった。
本発明は上記従来技術の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、転動体が軸線側に露出するベアリングの洗浄装置において、ベアリングを立てた状態で回転可能に支持するベアリング回転支持装置と、該ベアリングのほぼ軸線上に挿通され、軸線方向に往復動可能で且つ前記ベアリングの回転方向と逆方向に回転可能なノズル中空軸と、該ノズル中空軸にらせん状に配置されたノズル孔と、前記ノズル中空軸を回転させ、往復動させるノズル中空軸駆動装置と、前記ノズル中空軸に洗浄液を供給し、前記ノズル孔から洗浄液を噴出させる洗浄液供給装置と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のベアリング洗浄装置によれば、グリース除去が十分に行える効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態を示す概略図。
【図2】本発明の一実施形態の動作を示す説明図。
【図3】本発明の一実施形態の平面図。
【図4】本発明の一実施形態の正面図。
【図5】本発明の一実施形態の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の洗浄装置における、ベアリング50内部の洗浄機構を模式的に示すものである。
【0009】
ベアリング50は、転動体であるコロ51が露出したものが対象となる。このベアリング50を立てた状態、即ちベアリング50の軸線55がほぼ水平方向に伸びる状態で回転支持装置3上に載置してある。
回転支持装置3は回転駆動軸30を備えており、2本の回転駆動軸30、30の間にベアリング50を乗せ、ベアリング50の外輪52が回転駆動軸30に接触し、ベアリング50は回転駆動軸30の回転と反対方向に回転しつつ支持されるように構成されている。
【0010】
ベアリング50の内部には、軸線55に沿ってノズル中空軸1が挿通可能になっている。ノズル中空軸1には、複数のノズル孔10が形成され、またノズル中空軸1には洗浄液供給装置16から洗浄液が供給され、該ノズル孔10から洗浄液を径方向に噴射するように構成されている。
【0011】
ノズル孔10は、ノズル中空軸1の周側面上にらせん状に配置されている。即ち、ノズル中空軸1の周側面に軸線方向の位置と周方向の位置とを所定間隔づつずらして配置されている。
【0012】
ノズル中空軸1は、更に駆動装置15により回転可能に構成されている。このノズル中空軸1の回転方向は回転駆動軸30によるベアリング50の回転方向とは逆方向になっており、ベアリング50の内周は逆方向に回転するノズル中空軸1のノズル孔10から噴出する洗浄液により、洗浄される構成になっている。
また、ノズル中空軸1は駆動装置15により軸線方向に往復動可能に構成されており、ベアリング50の軸線55に沿って往復動しつつ、又回転しつつ、ノズル孔10から洗浄液を噴射して、ベアリング50の内周を洗浄するように構成されている。
【0013】
以上の構成において、ベアリング50の内周面及びコロ51は一方向に回転しつつ、この回転方向とは逆方向に回転するノズル中空軸1のノズル孔10から噴射される洗浄液により洗浄されるため、コロ51の裏側まで効率的に洗浄される。
また、ノズル中空軸1は軸線55に沿って往復動するため、ベアリング50の内周面全体を洗浄できる。しかも、ノズル孔10はらせん状に配置されているため、洗い残し部分がなく、ベアリング50の内周面全面を洗浄できる。
【0014】
図2は本実施例の構成による洗浄の概念図である。上記したように、らせん状に配置されるノズル孔10による洗浄部は、らせん状の洗浄ライン12を形成し、この洗浄ライン12が軸線方向に往復し、且つ回転するため、ベアリング50の内周面全面をコロ51の奥まで洗浄できる効果がある。
【0015】
なお、図1では簡単のため、単一のベアリング50を示したが、軸線55方向に同軸にベアリング50を多数並べ、且つ回転支持装置3の回転駆動軸30、30上に回転可能に配置することにより、多数のベアリング50を同時に洗浄可能である。
【0016】
図3乃至図5により、多数のベアリング50を同時に洗浄するための具体的な洗浄装置の構成を説明する。
図3は装置の平面図である。洗浄室22の左右にノズル基台20とベアリングパレット21が配置され、これらは移動可能に構成され、洗浄時には洗浄室22の内部に移動して、洗浄室22内で洗浄が行われるようになっている。
【0017】
ノズル基台20には、この実施例では5本のノズル中空軸1が平行に配置され、それぞれ回転可能且つ往復動可能に構成されている。
一方ベアリングパレット21には、ノズル中空軸1の本数にあわせて、ノズル中空軸1に対応する位置にベアリング50が5列配列されている。各列には、8個のベアリング50が同軸に、立てた状態で配置されている。ベアリング50は、図5に示すように回転支持装置3の平行に配設された6本の回転駆動軸30上に、5列載置され、合計40個のベアリング50がベアリングパレット21に載置されるように構成されている。
そして各ベアリング50は回転駆動軸30の回転により、回転駆動軸30の回転方向とは逆方向に回転するように構成されている。
【0018】
洗浄室22の内部には図4及び図5に示すように、上側面洗浄ノズル8と下部固定洗浄ノズル9が設けられおり、ベアリング50の外側を上面、側面及び底面から洗浄するようになっている。上側面洗浄ノズル8は軸線方向移動可能になっており、洗浄室22内を移動しつつ洗浄するように構成されている。
なお、25は外面錆除去装置であり、NTAブラシを使用してベアリング50の外面を研磨し、錆を除去する構成になっている。
【0019】
以上の構成において、ベアリングパレット21に洗浄すべきベアリング50を載置し、ベアリングパレット21を洗浄室22内に移動する。次いで、ノズル基台20を洗浄室22内に移動し、ノズル中空軸1をベアリング50の軸線55上に配置する。
この状態で、回転支持装置3を駆動し、回転駆動軸30を回転させてベアリング50を一方向に回転させる。同時にノズル中空軸1に洗浄液供給装置16から洗浄液を供給し、ノズル孔10から洗浄液を噴出させる。この時、駆動装置15によりノズル中空軸1をベアリング50とは反対方向に回転させ、且つ軸線55方向に往復動させつつ洗浄を行う。
また、同時に上側面洗浄ノズル8と下部固定洗浄ノズル9によりベアリング50の外側を洗浄する。
以上によりベアリング50の内部、外部全ての洗浄が効率的に行われる。
【符号の説明】
【0020】
1:ノズル中空軸、3:回転支持装置、8:上側面洗浄ノズル、9:下部固定洗浄ノズル、10:ノズル孔、12:洗浄ライン、15:駆動装置、16:洗浄液供給装置、20:ノズル基台、21:ベアリングパレット、22:洗浄室、25:外面錆除去装置、30:回転駆動軸、50:ベアリング、51:コロ、52:外輪、55:軸線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転動体が軸線側に露出するベアリングの洗浄装置において、
ベアリングを立てた状態で回転可能に支持するベアリング回転支持装置と、
該ベアリングのほぼ軸線上に挿通され、軸線方向に往復動可能で且つ前記ベアリングの回転方向と逆方向に回転可能なノズル中空軸と、
該ノズル中空軸にらせん状に配置されたノズル孔と、
前記ノズル中空軸を回転させ、往復動させるノズル中空軸駆動装置と、
前記ノズル中空軸に洗浄液を供給し、前記ノズル孔から洗浄液を噴出させる洗浄液供給装置と、
を備えたことを特徴とするベアリング洗浄装置。
【請求項2】
転動体が軸線側に露出するベアリングの洗浄装置において、
複数のベアリングを立てた状態で同軸上に回転可能に支持するベアリング回転支持装置と、
該複数のベアリングのほぼ軸線上に挿通され、軸線方向に往復動可能で且つ前記ベアリングの回転方向と逆方向に回転可能なノズル中空軸と、
該ノズル中空軸にらせん状に配置されたノズル孔と、
前記ノズル中空軸を回転させ、往復動させるノズル中空軸駆動装置と、
前記ノズル中空軸に洗浄液を供給し、前記ノズル孔から洗浄液を噴出させる洗浄液供給装置と、
を備えたことを特徴とするベアリング洗浄装置。
【請求項3】
前記ベアリングの上面と側面を洗浄する上側面洗浄ノズルと底面を洗浄する下部固定洗浄ノズルとを更に備えた、
請求項1又は2に記載のベアリング洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−20251(P2012−20251A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161234(P2010−161234)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(391013715)日本車輌洗滌機株式会社 (3)
【Fターム(参考)】