説明

ベシクル調製物

【課題】例えば、洗濯液を使用した後の洗濯物に残る匂い、シャンプーなどを使用した後の毛髪に残る匂い、洗口液を使用した後の口腔内に残る匂いなど、香料賦香製品を使用した後に残る匂いを改善し、しかも安定した匂いを放出することができるベシクルの応用技術を開発すること。
【解決手段】少なくともポリプレニルリン酸あるいはその塩とポリプレニルアルコールとから調製されるベシクル内にフラグランス、フレーバー、および薬剤から選ばれる少なくとも1種を含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ベシクル調製物、その調製用組成物およびそのベシクル調製物を含有する洗剤、ヘアケア製品、口腔用組成物、入浴剤、芳香消臭剤に関する。とくにポリプレニルリン酸あるいはその塩とポリプレニルアルコールから調製されるベシクル内にフラグランス、フレーバー、薬剤から選ばれる少なくとも1種が含有されたベシクル調製物と、その調製用組成物、およびそのベシクル調製物を含有する洗剤、ヘアケア製品、口腔用組成物、入浴剤、芳香消臭剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活様式の多様化、個性化の傾向がますます増大し、ヒトの周辺の匂いに関しても注意が払われてきており、フラグランスあるいはフレーバー(以下、香料ということがある)についての研究は盛んに行われている。例えば、洗浄剤や洗濯液内に存在させる香料の質やシャンプーなどのヘアケア製品内の香料あるいは洗口液などの口腔用製品内の香料の質に対する研究など、製品内での香料の匂いの研究が数多く報告されている。また、洗浄剤や洗濯液を使用した後の、ヒトの皮膚や洗濯物に残る匂い、シャンプーなどを使用した後に残る匂い、洗口液を使用した後に残る匂いなど、香料賦香製品を使用した後に残る匂いに対しても注意が払われている。
【0003】
一方、美白剤、防腐剤、顔料など各種化合物をベシクルに予め内包させておき、該化合物を長い時間保持させる方法あるいは徐々に放出させる方法が研究されており、食品、化粧品などに応用されている。
例えば、脂質を水性媒質中に分散させて得られたリポソームを、封入させる食品添加物と共に急激に凍結し、その後加温して融解させる工程を含む方法によって、食品添加物を封入させたリポソームを調製する技術が知られている(特許文献1を参照)。ここでは、リポソームに食品添加物を封入させたリポソームを食品中に添加し、食品添加物の効力を持続することが開示され、しかも、一度形成させたリポソームを急激に凍結し、その後加温融解させる工程を含むのであり、工程数が多いなどの操作の点で不都合さが残る。その点、特許文献2では、リポソーム形成材料を水性フレーバー組成物共存下、混合し、得られた混合物と他の材料を混合してフレーバー含有リポソームを調製する技術が開示されている。この技術では、たしかに上記のような操作上の困難さは解決されているが、具体的に開示されているリポソームの形成材料はレシチン系の化合物である。そこで用いられるレシチンなどのベシクル形成材料は、形成されるベシクルの安定性などの点で不都合さが残っており、改善される余地が残されている。
【0004】
【特許文献1】特開平8−154598号公報
【特許文献2】欧州特許公開0489207A1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記ベシクルに関する研究、すなわちベシクルに予め化合物を内包させておき、該化合物を長い時間保持させる方法あるいは徐々に放出させる方法においては、化合物を内包するベシクルを一定の範囲内(例えば、食物内など)に配置し、その配置された場所において、予め内包させた化合物を長い時間保持させる方法あるいは徐々に放出させる方法についての研究である。
そこで本発明の課題は、ベシクル材料を用いて香料や各種薬剤などの機能性物質を対象物に有効に移行させることができるベシクル応用技術を提供すること、例えば、洗濯液を使用した後の洗濯物に残る匂い、シャンプーなどを使用した後の毛髪に残る匂い、洗口液を使用した後の口腔内に残る匂いなど、香料賦香製品を使用した後に残る匂いを改善し、しかも安定した匂いを放出することができるベシクルの応用技術を開発することにある。また、安定性の優れたベシクル材料を応用して上記課題を達成できる技術を提供することでもある。
なお、本発明では、ベシクルはリポソームと異なるものではないとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定のベシクル形成材料を選び、その材料と香料あるいとの混合物から調製される香料含有ベシクル調製物はデリバリー効果に優れることを見出した。さらに、前記特定のベシクル形成材料と特定の香料を選択し、その材料と香料との混合物から得られる香料含有ベシクル調製物はデリバリー効果に優れ、例えば洗濯液内の香料は洗濯物にて香りを長い時間揮散することができるなど、対象とする製品において香料を長時間保持することができるという知見を得た。これらの知見に基づいて、ベシクル内に各種薬剤を共存させる点にも研究を重ね、遂に本発明に到達した。
【0007】
すなわち、請求項1記載の発明は、少なくともポリプレニルリン酸あるいはその塩とポリプレニルアルコールとから調製されるベシクル内にフラグランス、フレーバー、および薬剤から選ばれる少なくとも1種を含有させることを特徴とするベシクル調製物であり、請求項2の発明は、請求項1の発明において、フラグランスがアルデヒド系香料、エステル系香料、アルコール系香料、ケトン系香料、エーテル系香料、ニトリル系香料、およびラクトン系香料からなる群から選ばれる少なくとも一種の香料に属する化合物である発明であり、請求項3の発明は、同様に、請求項1の発明において、フレーバーがアルデヒド系香料、エステル系香料、アルコール系香料、ケトン系香料、エーテル系香料、ニトリル系香料、およびラクトン系香料からなる群から選ばれる少なくとも一種の香料に属する化合物である発明であり、請求項4の発明は、同様に、請求項1の発明において、薬剤が医薬、美白剤、抗菌剤、消臭剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、保湿剤、防腐剤、色素、冷感剤、および温感剤からなる群から選ばれる少なくとも一種である発明である。
請求項5の発明は、(1)ポリプレニルリン酸あるいはその塩と、(2)ポリプレニルアルコールと、(3)フラグランス、フレーバー、および薬剤から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とするベシクル調製物調製用組成物の発明である。
請求項6の発明は、請求項1のベシクル調製物を含有することを特徴とする香料組成物、
請求項7の発明は、請求項1のベシクル調製物を含有することを特徴とする洗剤、
請求項8の発明は、請求項1のベシクル調製物を含有することを特徴とするヘアケア製品、
請求項9の発明は、請求項1のベシクル調製物を含有することを特徴とする口腔用組成物、
請求項10の発明は、請求項1のベシクル調製物を含有することを特徴とする入浴剤、
請求項11の発明は、請求項1のベシクル調製物を含有することを特徴とする芳香消臭剤、
についての発明である。
なお、ここで、アルデヒド系香料、エステル系香料、アルコール系香料、ケトン系香料、エーテル系香料、ニトリル系香料、およびラクトン系香料からなる群から選ばれる少なくとも一種の香料に属する化合物の部分は、アルデヒド系香料に属する化合物、エステル系香料に属する化合物、アルコール系香料に属する化合物、ケトン系香料に属する化合物、エーテル系香料に属する化合物、ニトリル系香料に属する化合物、およびラクトン系香料に属する化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を意味する。
【0008】
以下、本発明を詳述する。
本発明で使用されるフラグランスおよびフレーバーについては、本発明の所期の効果をもたらすフラグランスおよびフレーバーであれば、特に限定されない。
【0009】
本発明では、好ましいフラグランス及びフレーバーとして、例えばアルコール類、エステル類、アルデヒド類、ケトン類、エーテル類、ラクトン類、ニトリル類などの合成香料などが挙げられる。なお、必要に応じ天然香料を使用してもよい。
【0010】
上記アルコール類は、水酸基を持つ揮発性有機化合物であれば特に限定されることはなく、脂肪族アルコール類、脂環式アルコール類、テルペン系アルコール類、芳香族アルコール類などが例示され、好ましくはイソアミルアルコール、2−エチルヘキサノール、3−オクタノール、1−デカノール、1−ドデカノール,10−ウンデセノール、1−オクテン−3−オール、2,6−ノナジエノール、2−tert−ブチルシクロヘキサノール、2−エチルヘキサノール、2−ヘプタノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、1−オクタノール、3−オクタノール、3−フェニルプロピルアルコール、L−メントール、n−デシルアルコール、p,α−ジメチルベンジルアルコール、p−tert−ブチルシクロヘキサノール、p−メチルジメチルベンジルカルビノール、α,3,3−トリメチル−2−ノルボルナンメタノール、α−n−アミルシンナミックアルコール、α−フェンキルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、アニスアルコール、アンバーコア、アンブリノール、イソノニルアルコール、イソフィトール、イソプレゴール、イソボルネオール、エチルリナロール、オクタノール、カルベオール、ゲラニオール、サンタロール、シス−3−ヘキセン−1−オール、シス−6−ノネノール、シトロネロール、ジヒドロ−α−フターピネオール、ジヒドロシトロネロール、ジヒドロミルセノール、ジヒドロリナロール、ジメチルフェニルエチルカルビノール、ジメチルベンジルカルビノール、シンナミックアルコール、スチラリルアルコール、セドロール、ターピネオール、ターピネン−4−オール、チンベロール、テトラヒドロゲラニオール、テトラヒドロミルセノール、テトラヒドロムゴール、テトラヒドロリナロール、ネロール、ネロリドール、ノナノール、ノニルアルコール、ノポール、ハイドロトロピルアルコール、バクダノール、パチュリアルコール、ファルネソール、フィトール、フェニルエチルメチルエチルカルビノール、フェノキシエチルアルコール、フルフリルアルコール、ベチベロール、ペリラアルコール、ベンジルアルコール、マイヨール、ミルセノール、ミルテノール、ラバンジュロール、リナロール等が例示される。
【0011】
上記アルデヒド類は、アルデヒド基を分子内にもつ揮発性有機化合物であれば特に限定されることはなく、脂肪族アルデヒド、テルペン系アルデヒド、芳香族アルデヒドなどが例示され、好ましくは10−ウンデセナール、2,4−デカジエナール、2,6−ノナジエナール、2−メチルウンデカナール、3−プロピルビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−5−エン−2−カルボキシアルデヒド、4−ヘプテナール、o−メトキシシンナミックアルデヒド、o−メトキシベンズアルデヒド、p−トリルアルデヒド、α−n−ヘキシルシンナミックアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、アセトアルデヒド、アニスアルデヒド、アルデヒド C−10、アルデヒド C−11、アルデヒド C−12、アルデヒド C−6、アルデヒド C−6 DEA、アルデヒド C−6 DMA、アルデヒド C−8、アルデヒド C−8DEA、アルデヒド C−8 DMA、アルデヒド C−9、アルデヒド C−9 DEA、アルデヒド C−9 DMA、カントキサール、キューカンバーアルデヒド、クミンアルデヒド、ゲラニアール、サイクラメンアルデヒド、シス−6−ノネナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シネンサール、デュピカール、トランス−2−ヘキセナール、トリプラール、ネラール、ハイドロトロパアルデヒド、バニリン、ヒドロキシシトロネラール、フェニルアセトアルデヒド、フェニルアセトアルデヒドP.G.アセタール、フルフラール、フロラロゾン、ヘリオトロピン、ヘリオナール、ペリラアルデヒド、ベルガマール、ベルトアセタール、ベルンアルデヒド、ベンズアルデヒド、ホモマイラックアルデヒド、マイラックアルデヒド、メロナール、リラール、リリアール、ブルジョナール等が例示される。
【0012】
上記ケトン類は、ケトン基を分子内にもつ揮発性有機化合物であれば特に限定されることはなく、脂肪族ケトン、テルペン系ケトン、芳香族ケトンなどが例示され、好ましくはメントン、プレゴン、ピペリトン、α−,β−,γ−又はδ−ダマスコン、α−,β−又はγ−ダマセノン、ヌートカトン、2−sec−プチルシクロヘキサノン、マルトール、α−,β−又はγ−ヨノン、α−,β−又はγ−メチルヨノン、α−,β−又はγ−イソメチルヨノン、2−sec−ブチルシクロヘキサノン、2−アセチル−3,3−ジメチルノルボルナン、2−アセチル−5−メチルフラン、2−アセチルフラン、2−ブチル−1,4−ジオキサスピロ[4,4]ノナン、2−ヘキシルシクロペンタノン、3−ヒドロキシ−4,5−ジメチル−2−(5H)−フラノン、5−エチル−3−ハイドロキシ−4−メチル−2[5H]−フラノン、6−メチル−3,5−ヘプタジエン−2−オン、d−プレゴン、L−カルボン、o−tert−ブチルシクロヘキサノン、p−tert−ブチルシクロヘキサノン、p−メチルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、α−ダイナスコン、α−フェンコン、β−メチルナフチルケトン、アセチルセドレン、アセトフェノン、アニシルアセトン、アリルα−ヨノン、イソ E スーパー、イソジャスモン、イソダマスコン、イソロンギホラノン、イロン、エチルイソアミルケトン、エチルマルトール、カシュメラン、カローン、カンファー、コアボン、シクロテン、シス−ジャスモン、ジヒドロカルボン、ジヒドロジャスモン、セドレノン、ソトロン、トリモフィックス、フラネオール、プリカトン、フロレックス、ベルトフィックス、ベルベノン、ベンゾフェノン、メチルシクロペンテノロン、メチルヘプテノン、アセトフェノン、アニシリデンアセトン、ラズベリーケトン、ジアセチル、2−ヘブタノン等が例示される。
【0013】
上記エーテル類は、分子内にエーテル基を有する揮発性有機化合物であれば特に限定されることはなく、脂肪族エーテル、テルペン系エーテル芳香族エーテルなどが例示され、好ましくはアネトール、1,4−シネオール、1,8−シネオール、ジベンジルエーテル、リナロールオキシド、リモネンオキシド、ネロールオキシド、ローズオキシド、バニリルプチルエーテル、p−クレジルメチルエーテル、β−カリオフィレンオキサイド、β−ナフチルイソブチルエーテル、β−ナフチルエチルエーテル、β−ナフチルメチルエーテル、アンブロキサン、イソアミルフェニルエチルエーテル、イソボルニルメチルエーテル、グリサルバ、サイクランバー、ジフェニルオキシド、セドランバー、セドリルメチルエーテル、テアスピラン、フェニルエチルメチルエーテル、マドロックス、リメトール、ルーボフィックス、ルーボフロール、ローズフラン、ムスクコンセントレート等が例示される。
【0014】
上記ラクトン類は、分子内にラクトン基を有する揮発性有機化合物であれば特に限定されることはなく、脂肪族ラクトン、テルペン系ラクトン、芳香族ラクトンなどが例示され、好ましくはγ−又はδ−デカラクトン、γ−ノナラクトン、6−メチルクマリン、γ−n−ブチロラクトン、γ−ウンデカラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−ヘプタラクトン、δ−2−デセノラクトン、クマリン、ジヒドロジャスモンラクトン、ジャスミンラクトン、ジャスモラクトン、オクタハイドロクマリン、ジヒドロクマリン、3−プロピルフタリド、エチレンブラシレート(ムスクT)等が例示される。
【0015】
上記エステル類は、分子内にエステル基を有する揮発性有機化合物であれば特に限定されることはなく、脂肪族エステル、テルペン系エステル、芳香族エステルなどが例示され、好ましくは1−エチニルシクロヘキシルアセテート、1−オクテン−3−イルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、2−フェノキシエチルイソブチレート、L−メンチルアセテート、L−メンチルプロピオネート、o−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート、p−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート、アセチルイソオイゲノール、アセチルオイゲノール、アニシルアセテート、アミルアセテート、アミルサリシレート、α−アミルシンナミルアセテート、アミルヘキサノエート、アミルバレレート、アリルシクロヘキシルオキシアセテート、アリルオクタノエート、アリルシンナメート、アリルフェノキシアセテート、アリルヘキサノエート、アリルベンゾエート、アリルブチレート、イソアミルアセテート、イソアミルアンゲレート、イソアミルイソバレレート、イソアミルイソブチレート、イソアミルウンデシレネート、イソアミルオクタノエート、イソアミルサリシレート、イソアミルシンナメート、イソアミルデカノエート、イソアミルドデカノエート、イソアミルブチレート、イソアミルフェニルアセテート、イソアミルヘキサノエート、イソアミルベンゾエート、イソアミルプロピオネート、イソアミルヘキサノエート、イソアミルヘプチンカーボネート、イソアミルラクテート、イソオイゲニルアセテート、イソブチルアセテート、イソブチルシンナメート、イソブチルバレレート、イソブチルフェニルアセテート、イソブチルブチレート、イソブチルプロピオネート、イソブチルヘキサノエート、イソブチルベンゾエート、イソプレギルアセテート、イソプロピルアセテート、イソプロピルシンナメート、イソプロピルバレレート、イソボルニルアセテート、イソボルニルプロピオネート、エチル2−tert−ブチルシクロヘキシルカーボネート、エチルo−メトキシベンゾエート、エチルアニセート、エチルアセテート、エチルアセトアセテート、エチルイソバレレート、エチルイソブチレート、エチルオクタノエート、エチルオクタドデカノエート、エチルオクテノエート、エチルオクチンカーボネート、エチルシンナメート、エチルノナノエート、エチル2−ノニノエート、エチルバレレート、エチルヒドロキシヘキサノエート、エチルフェニルアセテート、2−エチルブチルアセテート、エチルブチレート、エチルプロピオネート、エチルヘキサノエート、エチルヘキセノエート、エチルヘプタノエート、エチルヘプチンカーボネート、エチルペラルゴネート、エチルベンゾエート、エチルラクテート、エチレンドデカンジオエート、オイゲニルアセテート、オイゲニルフェニルアセテート、オクチルアセテート、オクチルイソバレレート、オクチルイソブチレート、オクチルオクタノエート、オクチルブチレート、オクチルヘプタノエート、オクチルホーメート、オシメニルアセテート、カリオフィレンアセテート、カリオフィレンホーメート、カルビルアセテート、グアィアックアセテート、グアイニルアセテート、クミニルアセテート、p−クレジルアセテート、o−クレジルアセテート、ゲラニルアセテート、ゲラニルイソバレレート、ゲラニルイソブチレート、ゲラニルチグレート、ゲラニルフェニルアセテート、ゲラニルブチレート、ゲラニルヘキサノエート、ゲラニルベンゾエート、α−又はβ−サンタリルアセテート、ジエチルアジペート、ジエチルスクシネート、ジエチルセバケート、ジエチルタータレート、ジエチルフタレート、シクロヘキシルアセテート、シクロヘキシルイソバレレート、シクロネリルアセテート、シクロヘキシルエチルアセテート、シクロヘキシルクロトネート、シクロヘキシルシンナメート、シクロヘキシルヘキサノエート、シス−3−ヘキセニルアセテート、シス−3,シス6−ノナジエニルアセテート、シス−3−ヘキセニルアンスラニレート、シス−3−ノネニルアセテート、シス−6−ノネニルアセテート、シス−3−ヘキセニルフェニルアセテート、シス−3−ヘキセニルプロピオネート、シス−3−ヘキセニルヘキサノエート、シス−3−ヘキセニルバレレート、シス−3−ヘキセニルベンゾエート、シス−3−ヘキセニルホーメート、シス−3−ヘキセニルラクテート、シトリルアセテート、シトロネリルアセテート、シトロネリルフェニルアセテート、シトロネリルブチレート、ジヒドロカルビルアセテート、ジヒドロクミニルアセテート、ジヒドロターピニルアセテート、ジヒドロミルセニルアセテート、ジメチルスクシネート、ジメチルフェニルエチルカルビニルアセテート、シンナミルアセテート、シンアミルアンスラニレート、シンナミルバレレート、シメチルベンジルカルビニルアセテート、スチラリルアセテート、ターピニルホーメート、デカハイドロ−β−ナフチルホーメート、デシルアセテート、テトラハイドロフルフリルブチレート、テトラヒドロゲラニルアセテート、テルペニルアセテート、ドデシルアセテート、トランス−2−ヘキセニルアセテート、トランス−3−ヘキセニルヘキサノエート、トランス−2−ヘキセニルバレレート、トリアセチン、トリエチルシトレート、トリシクロデシルアセテート、ネリルアセテート、ネリルイソブチレート、ネリルブチレート、ネリルプロピオネート、ノニルアセテート、フェニルエチルアセテート、フェニルエチルノナノエート、フェニルプロピルアセテート、3−フェニルプロピルシンナメート、フェニルエチルバレレート、ブチルアセテート、ブチルオクタドデカノエート、ブチルオクタノエート、ブチルヘキサノエート、ブチルレブリネート、ブチルラクテート、フェニルエチルベンゾエート、フルフリルアセテート、プロピルアセテート、プロピルオクタドデカノエート、プロピルシンナメート、プロピルヘキサノエート、ヘキシルアセテート、ヘキシルヘキサノエート、ヘキシルベンゾエート、ヘキシルオクタノエート、ヘプチルアセテート、ヘリオトロピルアセテート、ベンジル2−メチルブチレート、ベンジルアセテート、ベンジルイソバレレート、ベンジルイソブチレート、ベンジルカプリレート、ベンジルサリシレート、ベンジルシンナメート、ベンジルチグレート、ベンジルドデカノエート、ベンジルバレレート、ベンジルフェニルアセテート、ベンジルブチレート、ベンジルプロピオネート、ベンジルヘキサノエート、ベンジルベンゾエート、ベンジルホーメート、ペンチルサリシレート、ボルニルアセテート、ミルセニルアセテート、メチルアセテート、メチルアセトアセテート、メチルアニセート、メチルアンスラニレート、メチルオクタノエート、メチルオクテノエート、メチルノナノエート、メチル2−ノニノエート、2−メチルブチルアセテート、メチルヘキサノエート、メチルバレレート、メチルヒドロキシヘキサノエート、メチルフェニルアセテート、メチルヘキセノエート、メチルベンゾエート、メチルサリシレート、メチルシクロオクチルカーボネート、メチルシクロゲラネート、メチルシクロペンチリデンアセテート、メチルジヒドロジャスモネート、メチルジャスモネート、メチルシンナメート、メチルデカノエート、メチルデシンカーボネート、メンチルアセテート、リナリルアセテート、リナリルアンスラニレート、リナリルオクタノエート、リナリルシンナメート、リナリルブチレート、リナリルプロピオネート、リナリルヘキサノエート、リナリルベンゾエート、リナリルホーメート、ロジニルアセテート、ロジニルフェニルアセテート、ロジニルブチレート、ロジニルプロピオネート、ロジニルホーメート等が例示される。
【0016】
上記ニトリル類としては、ゲラニルニトリル、シトロネリルニトリル、ドデカンニトリル、2−トリデセンニトリル、3,7−ジメチル−2,6−ノナジエンニトリル、5−フェニル−3−メチル−2−ペンテンニトリル、ベンジルシアニド、シナモンニトリル、クミンニトリル等が例示される。
【0017】
これら、フレーバーおよびフレグランスは、1種および2種以上を混合して使用しても良い。
【0018】
本発明での薬剤としては、医薬、美白剤、抗菌剤、消臭剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、保湿剤、防腐剤、色素、冷感剤、温感剤などの機能性物質を例示することができる。これら薬剤を構成する化合物は公知の化合物を使用すれば良い。なお、前記医薬としては、具体的には、抗がん剤、抗炎症剤、狭心症治療剤、血管拡張剤、脳代謝賦活剤、抗アレルギー・抗喘息薬、各種ビタミン類などが挙げられる。
【0019】
本発明でいうデリバリー値とは、ベシクル調製物を配合した製品を使用して対象物を処理したときに残存するフラグランス、フレーバー、および薬剤から選ばれる少なくとも1種(以下、薬剤等ということがある)の量と、ベシクル調製物を配合していない製品を使用して対象物を処理したときに残存する薬剤等の量の比である。前記薬剤等の残存量の測定方法は、測定しようとする薬剤等に適した測定方法を適宜使用すればよい。
前記測定しようとする薬剤等が香料のときには、残存する香料の測定方法は、公知の香料の測定方法を適宜使用すればよく、例えばガスクロマトグラフィー法または液体クロマトグラフィー法により香料の残存量を測定することができる。前記測定しようとする薬剤等が上記薬剤のときには、その残存量の測定方法は、測定しようとする薬剤に適した測定方法を適宜使用すればよく、例えば紫外線吸収測定法、赤外線吸収測定法、蛍光分析測定法等を例示することができる。
【0020】
本発明では、とくにデリバリー値が1を超えるフラグランスおよびフレーバーを使用することが好ましく、デリバリー値が1.1以上であるフラグランスおよびフレーバーがより好ましい。また、前記フラグランスおよびフレーバーを50%以上含む調合香料を使用することが好ましい。本発明では、この調合香料のデリバリー値は前記のように1を超える調合香料を使用することが好ましく、デリバリー値が1.1以上である調合香料がより好ましい。なお、ここでは、調合香料全体としてデリバリー値の数値を満足していればよいのであって、調合香料を構成する個々の香料のデリバリー値は特に問わない。
本発明では、またとくにデリバリー値が1を超える薬剤等が好ましく、さらに、デリバリー値が1.1以上である薬剤がより好ましい。
【0021】
次に、ベシクルを構成する成分について説明する。
ベシクルを構成する一つの成分であるポリプレニルリン酸あるいはその塩とは、二つあるいは二つ以上のイソプレン単位を有する炭化水素基とリン酸あるいはその塩とからなる化合物、それらの部分水素化物あるいは完全水素化物である。また、その炭化水素の一部が環化され炭素環を有する化合物も含まれる。
【0022】
好ましい炭化水素基は、イソプレン単位を2〜8有する炭化水素基であり、さらにはイソプレン単位を3〜6有する炭化水素基が好ましく、イソプレン単位を4有する鎖状の炭化水素基がとくに好ましい。
上記炭化水素基がリン酸あるいはその塩と結合する上記炭化水素基の数は一つでよいが、二つあるいは三つでもよい。
【0023】
本発明では、ポリプレニルリン酸としては、ポリプレニルモノリン酸あるいはポリプレニルジリン酸が使用可能である。
ポリプレニルリン酸あるいはその塩としては、具体的には、ゲラニルゲラニルリン酸、フィチルリン酸、フィタニルリン酸、ゲラニルファルネシルリン酸、ファルネシルファルネシルリン酸、それらのモノナトリウム塩、ジナトリウム塩、モノアンモニウム塩、ジアンモニウム塩、モノシクロヘキシルアンモニウム塩、ジシクロヘキシルアンモニウム塩を例示できる。
その中でも好ましいポリプレニルリン酸あるいはその塩としては、ゲラニルゲラニルリン酸、フィチルリン酸、フィタニルリン酸、それらのモノナトリウム塩、ジナトリウム塩を挙げることができる。
これらリン酸あるいはその塩は単独で使用することが好ましいが、所期の目的を達成できる限り、複数の化合物を用いてもよいし、その他のリン脂質を共存させてもよい。
【0024】
次に、ベシクルを構成する他の成分であるポリプレニルアルコールとは、二つあるいは二つ以上のイソプレン単位からなる炭化水素基を有するアルコール、それらの部分水素化物あるいは完全水素化物である。また、炭化水素の一部が環化され炭素環を有するアルコールも含まれる。
【0025】
好ましい炭化水素基は、イソプレン単位を2〜8有する炭化水素基であり、さらにはイソプレン単位を3〜6有する炭化水素基が好ましく、イソプレン単位を4有する鎖状炭化水素基がとくに好ましい。
【0026】
ポリプレニルアルコールとしては、具体的には、ゲラニルゲラニオール、ゲラニルファルネソール、ファルネシルファルネソール、フィトール、フィタノールを例示できる。また、上記アルコールから導かれる、末端に6員脂環基が形成された炭化水素のアルコールも例示できる。
【0027】
上記化合物は市販品を購入することにより入手できる。また、ユーカリ、ペパーミント、クスノキ、バラ、ラベンダーなどの植物からイソプレノイドを抽出し、ついでそれらイソプレノイドから常法により上記化合物を調製することも可能である。
【0028】
上記ポリプレニルリン酸とポリプレニルアルコールとの組合せはとくに限定されないが、とくに、ポリプレニルリン酸としては、ゲラニルゲラニルリン酸ジナトリウム塩、フィチルリン酸ジナトリウム塩、フィタニルリン酸ジナトリウム塩を選び、ポリプレニルアルコールとしては、ファルネシルファルネソールあるいはその脂環基置換体、ゲラニルゲラニオールあるいはその脂環基置換体、フィトールあるいはその脂環基置換体、フィタノールあるいはその脂環基置換体との組合せが好ましい。
【0029】
上記ポリプレニルリン酸とアルコールとの量割合は、使用するポリプレニルリン酸やアルコールにより変動するので一概に規定することができないが、代表的な例としてはポリプレニルリン酸に対してアルコールを1〜20モル%、好ましくは1〜10モル%共存させると好ましい結果をもたらすことができる。
本発明では上記化合物以外に所期の目的を達成できる限り他の化合物を共存させてもよい。その量はとくに限定されない。
【0030】
本発明では、上記ベシクル材料に薬剤等を共存させ、ベシクル調製物を調製することができる。前記ベシクル調製物はベシクル内に薬剤等が存在すると共に、ベシクル壁あるいはベシクル外壁に薬剤等が存在するときがある。
前記ベシクル調製物を調製するときに共存させるベシクル材料、香料および薬剤の量は、使用するベシクル材料、香料、薬剤が変動するので一概に規定することができないが、例えば、ベシクル材料は香料に対して0.01〜150重量%とすることが好ましい。また、ベシクル材料は薬剤に対して0.01〜150重量%とすることが好ましい。なお、香料の量と薬剤の量との量割合はとくに限定されない。
【0031】
上記ベシクル材料と薬剤等を用い、公知の方法を利用してベシクル調製物を調製することができる。ここでいうベシクル調製物には、ベシクル外に薬剤や香料が存在することもあるので、それらを任意の方法により除去してもよい。
ベシクル調製物の調製法としては、機械的分散法、超音波処理法、アニーリング法、凍結融解法、高圧噴射乳化法、押し出し法、薄膜法、プレベシクル法、逆相蒸発法、トリトンX−100バッチ法、エタノール注入法、エーテル注入法などを例示できる。さらにはそれらの製法を組み合わせてベシクル調製物を調製することもできる。
また、上記ベシクル材料と薬剤等に公知の方法を利用して調製されたベシクル調製物やその調製物含有分散液に上記香料や薬剤をさらに添加し、ベシクル調製物を含む組成物を調製することもできる。とくにベシクル調製物含有分散液に香料をさらに添加して得られるベシクル調製物を含む香料組成物はデリバリー効果にも優れ、好適である。
前記ベシクル調製物を含む組成物は薬剤含有ベシクル調製物と同様な方法で使用することもできる。
【0032】
かくして調製されたベシクル調製物を従来から知られている薬剤あるいは香料と同様に使用することができ、その際、通常使用される配合剤を添加することができる。前記配合剤としては、各種溶媒、安定剤、増粘剤などを挙げることができる。
それら配合剤の配合量はベシクル材料、薬剤、香料、配合剤により変動するので一概に規定することができないが、例えば薬剤含有ベシクル調製物に対して、0.1〜10重量%とすることができる。
【0033】
本発明では、上記ベシクル調製物を各種製品内に配合し、ベシクル調製物を配合した製品を調製することができる。前記ベシクル調製物を配合した製品としては、例えば、洗剤、ヘアケア製品、口腔用組成物、入浴剤、芳香消臭剤などを挙げることができる。
【0034】
ここでいう洗剤とは、衣類洗濯用洗剤、食器洗浄用洗浄剤、柔軟剤、漂白剤などを意味する。上記ヘアケア製品は、具体的には、シャンプー、リンス、コンデショナーなどを挙げることができる。上記口腔用組成物は洗口液、歯磨き用製品や、チューインガム、キャンディ、トローチ、グミゼリー、錠菓などの食品等を意味する。上記入浴剤は、入浴用タブ内の湯に投入させる薬剤混合物を意味し、上記芳香消臭剤は、任意の担体に保持させ、あるいは任意の容器内に保持させて、香料等を揮散させる製品を意味する。
【0035】
上記ベシクル調製物を含有する香料組成物には、各種配合剤を添加・混合することができる。
前記洗剤の配合剤としては、洗剤が粉末のときには、例えばアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の界面活性剤、例えばアルカノールアミド等の起泡増進剤、無機ビルダー、充填剤、漂白剤、漂白剤先駆体、例えばラノリン、脂肪酸等の潤滑剤、蛍光増白剤、キレート剤、再付着防止剤、酵素、染料、水等が含有可能である。液体の場合は、例えばアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の界面活性剤、ビルダー、金属イオン封鎖剤、アルコール、乳化剤、再付着防止剤、蛍光増白剤、酵素、pH調節剤、不透明化剤、電解質、織物コンディショナー、染料、水等が挙げられる。
【0036】
前記ヘアケア製品の配合剤としては、例えば、例えばアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、例えばベタイン等の両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、例えば高級アルコール、炭化水素油、エステル油、シリコーン油等の油分、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、防腐剤、カチオン性高分子、保湿剤、白濁剤、色素、顔料、光沢剤、乳化剤、毛髪保護剤、粘度調整剤、酸化防止剤、サンスクリーン剤、抗ふけ剤、塩、水等が挙げられる。
【0037】
前記口腔用組成物用の配合剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩などの界面活性剤、第2リン酸カルシウム・2水和物、炭酸カルシウム、無水ケイ酸などの研磨剤、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラウロイルサルコシンナトリウムなどの発泡剤、グリセリン、ソルビット、プロピレングリコールなどの湿潤剤、カルボキシメチルセルローズ、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガムなどの粘結剤、トラネキサム酸、グリチルリチン酸ジカリウム、酢酸dl−アルファ−トコフェロールなどの抗炎症剤、乳酸アルミニウムなどの収斂剤、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、グリチルリチン、キシリトールなどの甘味剤、カモミール油、キャラウエイ油、カルダモン油、カシア油、シナモン油、クラリセージ油、クローブ油、コリアンダー油、バジル油、ベイ油、ベルガモット油、ビターアモンド油、エストラゴン油、フェンネル油、ゼラニウム油、グアヤックウッド油、ジュニパー油、ラベンダー油、マジョラム油、ミルラ油、ネロリ油、パルマローザ油、プチグレン油、ローズ油、ローズマリー油、サンダルウッド油、スターアニス油、セージ油、タイム油、ウインターグリーン油、イランイラン油などの精油、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸ブチル、サリチル酸ナトリウムなどの保存剤が挙げられる。
【0038】
前記入浴剤の配合剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム等の塩化物;炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、重質炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム等の炭酸塩;硫酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸鉄、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、次亜硫酸ナトリウム等の硫酸塩;硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウム等の硝酸塩;リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム等のリン酸塩;イオウ、硫化ナトリウム、硫化カリウム、亜硫化鉄等の硫化物;無水ケイ酸、メタケイ酸、雲母末、中性白土等のケイ素化合物;水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の水酸化物;ホウ砂、ホウ酸、酸化カルシウム、臭化カリウム、過マンガン酸カリウム、人工カルス塩、鉱泉、鉱砂、湯の花等の無機塩、
リンゴ酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、ピロリドンカルボン酸等の有機酸、
ヌカ油、オリーブ油、大豆油、流動パラフィン、白色ワセリン、ステアリルアルコール、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、モノグリセライド、トリグリセライド、米ぬかエキス、米胚芽油、セラミド、シリコーン等の油性成分、
カルボキシメチルセルロース、スチレン重合体、デキストリン、カゼイン等の高分子物質、
dl−メントール、l−メントール、d−カンフル、dl−カンフル、サリチル酸メチル、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、安息香酸等の薬効成分、
酵素、精油、顔料、美白成分、色素、イオウ、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カルシウム、チオ硫酸カリウム、硫化カルシウム等の含硫化合物、皮脂分泌促進成分、ビタミン、海藻抽出物、冷感物質、保湿成分、ガス発生物質、界面活性剤、防錆剤、抗酸化剤、生薬等が挙げられる。
【0039】
前記芳香消臭剤の配合剤としては、例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、第二アミルアルコール、第三アミルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等の一価アルコール系溶剤;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール等の多価アルコールとその誘導体等の溶媒、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤、色素、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤等が挙げられる。
【0040】
上記配合剤はそれぞれ単独で使用してもよいが、複数の化合物を併用して用いてもよい。例えば、界面活性剤を例にすると、界面活性剤として知られている化合物を単独で使用してもよいが、界面活性剤として知られている化合物を複数、併用して使用してもよい。
【0041】
上記配合剤の配合量は、製品や配合される化合物などによって異なるので一概に規定することができないが、例えば上記ベシクル調製物含有組成物を基準として0.001〜30重量%の範囲内である。
【発明の効果】
【0042】
本発明により、デリバリー効果に優れたベシクル調製物を容易に調製することができる。また、このベシクル調製物を含有する製品は対象物にベシクル調製物に含有されたフラグランス、フレーバー、および薬剤から選ばれる少なくとも1種を有効に移行させることができ、しかも、その対象物にフラグランス、フレーバー、および薬剤から選ばれる少なくとも1種をより長時間保持することができる。しかも、そのベシクル調製物は安定性も高い。
【実施例】
【0043】
以下、実施例、参考例、試験例に基づき本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
フィチルリン酸ジナトリウム塩100mg(0.24mmol)とフィトール7.0mg(0.024mmol)および表に記載の香料100mgを混合し、均一混合物となるよう攪拌した。精製水1gを添加し、ホモジナイザーにて攪拌し、白濁液を得た。その白濁液を5分間静置し、ベシクル調製物を得た。
【0044】
実施例2
実施例1で得たベシクル調製物を粉末洗濯洗剤10gに配合した後、混合し、ベシクル調製物を配合した洗剤を得た。
参考例1
実施例1で使用した同量の香料と精製水を粉末洗濯洗剤10gに配合した後、混合し、ベシクル調製物を配合しない洗剤を得た。
【0045】
試験例1
実施例2で得た、ベシクル調製物を配合した洗剤を用いて、タオルを洗濯し、脱水処理した。脱水処理したタオルを6時間乾燥した後、そのタオルのヘッドスペースに存在する香料をガスクロマトグラフィー法により測定した。また、コントロールとして参考例1記載のベシクル調製物を配合しない粉末洗濯洗剤を使用して上記と同様にタオルを洗濯し、脱水処理直後、6時間乾燥したタオルのヘッドスペースに存在する香料をガスクロマトグラフィー法により測定した。
それぞれの測定結果を基に、下式(1)からそれぞれ香料のデリバリー値を算出した。
香料のデリバリー値= A/B (1)
式(1)中、Aはベシクル調製物を配合した製品を使用して洗濯処理した洗濯物のヘッドスペース内の香料存在量、
Bはベシクル調製物を配合していない製品を使用して洗濯処理した洗濯物のヘッドスペース内の香料存在量である。
【0046】
そのデリバリー値の算出結果を、表1に示した。なお、実施例1の香料全体のデリバリー値は1.7であった。
【0047】
(表1)


【0048】
実施例3
フィチルリン酸ジナトリウム塩100mg(0.24mmol)とフィトール7.0mg(0.024mmol)および表に記載の香料100mgを混合し、均一混合物となるよう攪拌した。精製水1gを添加し、ホモジナイザーにて攪拌し、白濁液を得た。その白濁液を5分間静置し、ベシクル調製物を得た。
実施例4
実施例3で得たベシクル調製物1gをシャンプー10gに配合した後、混合し、ベシクル調製物を配合したシャンプーを得た。
参考例2
実施例3で使用した同量の香料と精製水をシャンプー10gに配合した後、混合し、ベシクル調製物を配合しないシャンプーを得た。
【0049】
試験例2
実施例4で得た、ベシクル調製物を配合したシャンプーを用いて、人の毛束を洗髪し、乾燥処理した。6時間乾燥後の人の毛束のヘッドスペースに存在する香料をガスクロマトグラフィー法により測定した。なお、コントロールとして参考例2記載のベシクル調製物を配合しないシャンプーを使用して上記と同様に人の毛束を洗髪し、6時間乾燥後の人の毛束のヘッドスペースに存在する香料をガスクロマトグラフィー法により測定した。
それぞれの測定結果を基に、上式(1)に基づきそれぞれ香料のデリバリー値を算出した。なお、式(1)において、「洗剤」を「シャンプー」に、「洗濯物」を「人の毛束」に変更する。
そのデリバリー値の算出結果を、表2に示した。なお、実施例3の香料全体のデリバリー値は1.8であった。
【0050】
(表2)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプレニルリン酸あるいはその塩とポリプレニルアルコールとから調製されるベシクル内に、フラグランス、フレーバー、および薬剤から選ばれる少なくとも1種を含有させることを特徴とするベシクル調製物。
【請求項2】
フラグランスがアルデヒド系香料、エステル系香料、アルコール系香料、ケトン系香料、エーテル系香料、ニトリル系香料、およびラクトン系香料からなる群から選ばれる少なくとも一種の香料に属する化合物である請求項1記載のベシクル調製物。
【請求項3】
フレーバーがアルデヒド系香料、エステル系香料、アルコール系香料、ケトン系香料、エーテル系香料、ニトリル系香料、およびラクトン系香料からなる群から選ばれる少なくとも一種の香料に属する化合物である請求項1記載のベシクル調製物。
【請求項4】
薬剤が医薬、美白剤、抗菌剤、消臭剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、保湿剤、防腐剤、色素、冷感剤、および温感剤からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1記載のベシクル調製物。
【請求項5】
(1)ポリプレニルリン酸あるいはその塩と、(2)ポリプレニルアルコールと、(3)フラグランス、フレーバー、および薬剤から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とするベシクル調製物調製用組成物。
【請求項6】
請求項1記載のベシクル調製物を含有することを特徴とする香料組成物。
【請求項7】
請求項1記載のベシクル調製物を含有することを特徴とする洗剤。
【請求項8】
請求項1記載のベシクル調製物を含有することを特徴とするヘアケア製品。
【請求項9】
請求項1記載のベシクル調製物を含有することを特徴とする口腔用組成物。
【請求項10】
請求項1記載のベシクル調製物を含有することを特徴とする入浴剤。
【請求項11】
請求項1項記載のベシクル調製物を含有することを特徴とする芳香消臭剤。

【公開番号】特開2006−124300(P2006−124300A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−312902(P2004−312902)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(000169466)高砂香料工業株式会社 (194)
【Fターム(参考)】