説明

ベルト式無段変速機のプーリー

【課題】
プーリーとベルトの接触面で摩擦力を高め、起動時や負荷変動にもスリップを発生せず、正確に変速動力を伝達できるベルト式無段変速機の提供。
【解決手段】
プーリーの円錐面に中心より放射状に交互に複数の凹面、凸面を設け、一対のプーリーの凹面、凸面を非対称に組み、同一円周上における凹面と凸面の向き合う面間の距離は360°どこも同一とし、一対のプーリーに巻き付いたVベルトはジグザグの状態を呈し、プーリーとVルトの接触面の増加とVベルトに働く張力により、ベルトが伸張しようとする力が凸面に高い圧力を発生させスリップを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト式無段変速機のスリップを防止するプーリーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
2組のプーリー間にVルトを巻き付けベルトに適度の張力を与え、接触面の摩擦力により動力を伝達するベルト式無段変速機が実用化されている。しかし実用のベルト式無段変速機では、起動時又は動力伝達中に負荷変動が発生した場合、ベルトとプーリー接触面にスリップが発生し正確に変速動力を伝えることができない欠点があった。
【0003】
その改善策としてプーリー表面に特定の表面粗さや、放射状や円周上に凸条を設け摩擦特性を改善する方法がある。しかしこの方法ではスリップが皆無とならない限りベルトに損傷を与える可能性がある。
【特許文献1】特開 2002−213580
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は限られた平らな面では摩擦力を高められない点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
プーリーのベルト接触円錐面に、円錐の中心から放射状に複数の凹面、凸面を交互に等分に設け滑らかなウェーブ状をし、対になるプーリー同志の凹面、凸面を非対称に配列し、同一円周上の向き合う凹面、凸面の面間の距離は360°どこも同一に形成する。
【発明の効果】
【0006】
プーリーとベルトの接触面積の増加と、起動時や負荷変動時にベルトに働く張力が高まりベルトが伸張しようとする力が凸面に高い面圧を発生させ、両作用の効果により摩擦力を高めスリップを防止する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
公知のベルト式無段変速機の形態を保ったまま高い摩擦力を得る目的を、プーリーの円錐面に凹面、凸面を形成することで実現した。
【実施例】
【0008】
図1は公知のベルト式無段変速機の構造例を示すもので、変速機ケース1内に入力軸2、出力軸3を設け、各軸上に一対のプーリー4、5及び6、7を向き合う円錐角度θを保ち、軸上のキー15に係合し各々一方を軸に固定し、又一方を軸上を摺動自在に組み込む。2組のプーリー間にベルト8を巻き適度の張力を与える。両軸上のプーリーは互いに固定側、可動側が相反する向きに組み込まれ、可動側同志のプーリーがレバー9、11コネクチングロッド10に連結し、さらにレバー9に操作レバー14を設け、操作レバーを図の左右に操作すれば可動プーリー5、7は軸上を同方向に移動し、一方のプーリーは向き合う距離を縮め、他方のプーリーは遠ざかりプーリーとベルトの係合するピッチ径を変化させる。すなわち一方のプーリー径が大きくなれば他方のプーリーは小さくなるように、互いのピッチ径を相反する方向に変化させ変速を行なう。コネクチングロッド10はタンバックルの機能を有しベルトに張力を与えることができる。
【0009】
図2において、プーリーの円錐角度θからなる円錐面に、円錐の中心点16より各々同角度の凹面角度θ1、凸面角度θ2の深さ、高さからなる凹面12、凸面13を放射状に、複数、交互に等分に配列し、その凹面、凸面を滑らかなウェーブ上に形成した状態を示した図である。
【0010】
同じく図2において、一対のプーリーの凹面、凸面は非対称に向き合っており、同一円周上の凹面、凸面の向き合う面間の距離は360°どこも同一であり、ベルトはジグザグ状態を呈している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ベルト式無段変速機の内部構造例を示した説明図である。
【図2】プーリーの詳細とベルトの巻きつき状態を示した説明図である。
【符号の説明】
【0012】
1 変速機ケース
2 入力軸
3 出力軸
4 プーリー(固定側)
5 プーリー(可動側)
6 プーリー(固定側)
7 プーリー(可動側)
8 ベルト
9 レバー
10 コネクチングロッド(タンバックル)
11 レバー
12 凹面
13 凸面
14 操作レバー
15 キー
16 円錐中心点
θ 円錐角度
θ1 凹面角度
θ2 凸面角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト式無段変速機において、プーリーの円錐面に円錐の中心から同じ角度の深さからなる凹面、凸面を複数交互にかつ等分に放射状に配列し、その凹面、凸面を滑らかなウェーブ状に形成し、一対のプーリーの凹面、凸面を非対称に組み合わせプーリー同志の同一円周上の凹面、凸面の向き合う面間の距離は360°どこでも同一であることを特徴とするベルト式無段変速機のプーリー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−146987(P2007−146987A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−343123(P2005−343123)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(304010226)
【Fターム(参考)】