説明

ベルト装置および画像形成装置

【課題】ローラを対向部材として用いる場合の十分なスペースが確保できない場合でも確実にベルトをシール部材に当接させて周辺機器の汚染を防止することができる構成を備えたベルト装置を提供する。
【解決手段】複数のローラに掛け回されて周回可能な無端状ベルト1と、該無担状ベルト1の展張面の一部に対して外表面から押圧した状態で該無担状ベルト1を内周面側に湾曲させる湾曲ローラ5と、前記無担状ベルト1にブレード14Bあるいはブラシ14Aを当接させるクリーニング装置14とを備えたベルト装置において、前記クリーニング装置14には、前記無端状ベルト1が前記ローラの一つ4を周回して該クリーニング装置14のブレード14Bあるいはブラシ14Aに達する前の位置近傍に配置されているシール部材14Cを備えられ、前記無担状ベルト1を挟んで前記シール部材14Cと対向する該無端状ベルト1の内側には、該無端状ベルト1を前記シール部材14Cに向けて押圧する板状の対向部材16が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト装置および画像形成装置に関し、さらに詳しくは、ベルトの弛み防止機構に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、複写機やプリンタあるいは印刷機などの画像形成装置においては、潜像担持体である感光体上に形成された静電潜像が現像装置から供給される現像剤によって可視像処理される。
【0003】
可視像処理されたトナー像は転写材に転写された後、定着装置による加熱・加圧によってトナーが融解・浸透することで定着されて複写画像とされる。
【0004】
画像形成の対象となる画像には、モノクロ画像のような単一色画像だけでなく、フルカラー画像を含む多色画像がある。
【0005】
多色画像、特にフルカラー画像を得るために用いられる画像形成装置には、各色の画像形成ステーションを備え、これら各画像形成ステーションで形成された画像を順次転写することができる1次転写手段に相当する中間転写ベルトの展張面に沿って前記の画像形成ステーションを並列させたタンデム方式が知られている(例えば、非特許文献1)。
【0006】
タンデム方式では、中間転写ベルトの順次転写されて重畳された画像が2次転写装置に向け搬送される転写材に対して一括転写され、一括転写された転写材が定着装置に向け搬送される構成が用いられている。なお、この方式では、中間転写ベルトに対して各色の画像を順次転写するようになっているが、これに代えて、転写材を中間転写ベルトに静電吸着した状態で各画像形成ステーション間を移動させながら各色の画像を重畳転写した後、転写材を中間転写ベルトから分離して定着装置に向け搬送する方式もある。
【0007】
画像形成装置に用いられるベルトの構成としては、図1に示すように、設置スペースを考慮したものがある(例えば、特許文献1,2)。
【0008】
つまり、図1に示す構成は、上述したタンデム方式に用いられる色毎の作像ステーション(便宜上、符号Y,M,C,Kで示す)の並置方向に沿った展張面を形成できるように駆動ローラ2および従動ローラ3にベルト1を掛け回す一方、駆動ローラ2の下方に設けられている転写位置に対応してベルトが掛け回される転写背圧ローラ4と従動ローラ3との間の展張面の途中には、展張面を湾曲させる湾曲ローラ5がベルトの外側から当接するように配置されている。
【0009】
湾曲ローラ5により展張面を上方へ迂回させて内周面側に湾曲されたベルト1は、上方への迂回部分の下方に空間を構成することができる。これにより、ベルト1の湾曲部下方の空間に定着装置6などを配置することで画像形成装置内の縦方向でのスペースの有効利用を可能にして画像形成装置の縦方向での丈を小さくすることができる。このような空間の有効利用により画像形成装置の小型化が得られる。
【0010】
しかも、湾曲ローラ5をベルト1のテンションローラとして用いることにより、駆動ローラ1を通過して2次転写位置に向かうベルトの弛みを抑えることができるようにもなる。これにより、1次転写位置および2次転写位置でのベルト1の弛みをなくして転写を安定した状態で行えるようになる。
【0011】
図1において、黒画像を形成可能な作像ステーション(図1中、符号K出示す部分)を対象としてその構成を説明すると、作像ステーションには、ベルト1に当接してトナー像を転写する感光体ドラム7をはじめとして、画像形成処理を実行する帯電装置8,現像装置9,クリーニング装置11が纏めて収容されるプロセスカートリッジが配置されている。
【0012】
各作像ステーションにおけるベルト1を挟んで感光体ドラム7と対向する位置には、ローラを用いた1次転写装置12が配置されており、さらに、図示しない給紙装置から繰り出された記録紙の搬送路中で転写背圧ローラ4と対向する位置にはローラを用いた2次転写装置13が配置されている。
【0013】
一方、トナー像の転写を終えたベルト、図1に示す場合には中間転写ベルトに相当するベルト1は、未転写トナーや紙粉などの異物を除去される。
【0014】
従来、画像形成装置に用いられる中間転写ベルトなどのベルトを対象としたクリーニング装置14の構成としては、図1に示すように、ケーシング内に配置されてベルト1の外表面に接触しながら回転可能なクリーニングブラシ14Aが備えられた構成がある。クリーニングブラシ14Aは、ベルト1の移動方向と逆方向あるいは同じ方向の場合にはベルト1の移動速度よりも速い速度で回転することによりベルト1表面に付着している未転写トナーなどの異物を擦り取るようになっている。
【0015】
【特許文献1】特開平8−146706号公報
【特許文献2】特開2000−137386号
【非特許文献1】1996年11月15日発行 電子写真学会編「続 電子写真技術の礎と応用」第55頁(3)欄
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、ベルト1は、駆動ローラ2によって牽引されると、各作像ステーションを移動する展張面での弛みはないものの、駆動ローラ2を通過した後の展張面が弛み側となる。2次転写位置では、転写背圧ローラ4と2次転写装置13と出教示されることにより弛みがない状態とされるが、2次転写位置を通過してクリーニング装置14に向け移動する場合には、2次転写位置での弛み解消が作用しない。このため、再度生じた弛みによってクリーニング装置14に設けられているクリーニングブラシ14Aとの接触が良好に行えない場合がある。
【0017】
そこで、従来では、図1において符号15で示すように、クリーニングブラシ14Aに向けてベルト1を押圧する対向部材を設ける構成が提案されている。
【0018】
図2は、この構成を示す拡大図である。
同図において、クリーニング装置14に設けられているクリーニングブラシ14Aに加えてブレード14Bが設けられている場合、これらクリーニングブラシ14Aおよびブレード14Bに対してベルト1を押圧させる対向部材15がベルト1を挟んでこれら部材に対向させて配置されている。この構成により、ベルト1に弛みが生じていてもクリーニング装置14の各部材に対する当接関係が良好に維持されてクリーニング効果が低下するのを防止される。
【0019】
しかし、クリーニング装置には、ベルト1から掻き取ったトナーなどの異物が外部に漏れ出さないようにシールするための部材、いわゆるシール部材(図2において符号14Cで示す部材)が設けられることがある。このシール部材14Cは、異物の自由落下を阻止するために、図1で示した構成では、ベルト1が掛け回されている複数のローラのうちで、2次転写位置の転写背圧ローラ4を周回し終わって移動し始める位置、つまり、クリーニング装置14においてベルト1が移動してくる入り口側に配置される。
【0020】
このため、シール部材14Cとベルト1との当接関係を良好にしてベルト1の弛みによる弊害である異物の漏出を防止することが必要となる。そこで、クリーニングブラシ14Aやブレード14Bに対して設けた対向部材と同じように、ローラを転写背圧ローラ4とクリーニング装置14におけるベルトの入り口側に配置することが考えられる。
【0021】
転写背圧ローラ4は、その曲率とこの曲率に対する記録紙の剛性とを利用して記録紙の曲率分離を行う部材として用いることがある。このため、ベルト1の巻き付き角度によっては、クリーニング装置14のベルト入り口側との間のスペースが極小な場合に上述したローラを用いることができない。
【0022】
シール部材とベルト1との適正な当接関係を維持することができないと、ベルト1から掻き取った異物がクリーニング装置外部に落下したり漏れ出して周辺機器を汚染してしまう虞がある。
【0023】
本発明の目的は、上記従来のベルト装置における問題に鑑み、ローラを対向部材として用いる場合の十分なスペースが確保できない場合でも確実にベルトをシール部材に当接させて周辺機器の汚染を防止することができる構成を備えたベルト装置およびこれを用いる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
この目的を達成するため、本発明は次の構成よりなる。
(1)複数のローラに掛け回されて周回可能な無端状ベルトと、該無担状ベルトの展張面の一部に対して外表面から押圧した状態で該無担状ベルトを内周面側に湾曲させる湾曲ローラと、前記無担状ベルトにブレードあるいはブラシを当接させるクリーニング装置とを備えたベルト装置において、
前記クリーニング装置には、前記無端状ベルトが前記ローラの一つを周回して該クリーニング装置のブレードあるいはブラシに達する前の位置近傍に配置されているシール部材を備えられ、
前記無担状ベルトを挟んで前記シール部材と対向する該無端状ベルトの内側には、該無端状ベルトを前記シール部材に向けて押圧する板状の対向部材が設けられていることを特徴とするベルト装置。
(2)前記板状の対向部材は、前記無端状ベルトの内周面に向けて突出する向きに湾曲形成され、その曲率半径が10mm以上に設定されていることを特徴とする(1)に記載のベルト装置。
(3)前記板状の対向部材は、前記無端状ベルトの内周面に対向する表面に起毛が設けられていることを特徴とする(1)または(2)に記載のベルト装置。
(4)前記板状の対向部材は、前記ローラの一つによる曲率分離のための前記ベルトの巻き付き角度よりも外側の位置に配置されていることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載のベルト装置。
(5)(1)乃至(4)のいずれかに記載のベルト装置を用いる画像形成装置であって、前記無端状ベルトが転写体として用いられることを特徴とする画像形成装置。
(6)前記現像手段で用いられるトナーは、体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあることを特徴とする(5)に記載の画像形成装置。
(7)前記現像手段で用いられるトナーは、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることを特徴とする(5)または(6)に記載の画像形成装置。
(8)前記現像手段で用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーであることを特徴とする(5)乃至(7)のいずれかに記載の画像形成装置。
(9)前記現像手段で使用されるトナーは、略球形状であることを特徴とする(5)乃至(8)のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、クリーニング装置のベルト入り口側に配置されているシール部材に対してベルトを挟んで対向する板状の対向部材を設けているので、対向部材の形状をローラと違って小さくすることができる。これにより、シール部材に対するベルトの当接関係を維持してクリーニング装置から外部への異物の漏洩を防止することができる。特にベルトの弛みを矯正した状態でシール部材に当接させることになるので、シール部材によるシール効果が良好に維持されることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面により本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0027】
図3は、本発明によるベルト装置の要部構成を説明するための模式図である。
【0028】
クリーニング装置14には、図2に示したように、ケーシング内にベルト1と当接可能なクリーニングブラシ14Aおよびブレード14Bが装備されており、さらにケーシングにおけるベルト1の入り口側には、シール部材14Cが設けられている。
【0029】
クリーニングブラシ14Aおよびブレード14Bに対しては、ベルト1を挟んで対向部材としての対向ローラ15が配置されている。対向ローラ15は、ベルト1をクリーニングブラシ14Aおよびブレード14Bに対して押圧することによりこれら各部材とベルト1との接触関係を適正化し、ベルト1に弛みが生じていてもクリーニングブラシ14Aおよびブレード14Bとの良好な接触を維持してクリーニング特性を低下させないようにしている。
【0030】
一方、シール部材14Cに対しても、ベルト1を挟んで板状の対向部材16が設けられている。
【0031】
板状の対向部材16は、板状であるが故にローラのような半周分の占有スペースを必要としない。これにより、転写背圧ローラ4とクリーニング装置1のベルト入り口側との間のスペースがローラを配置するに足りない極小な状態であっても、その空間形態に対応させた板状の加工品としての対向部材16を配置するだけでシール部材14Cに対するベルト1の接触状態を良好に維持することができる。この結果、シール部材14Cとベルト1との接触関係が不安定となることがないので、不安定となった場合に発生する、クリーニング装置14内部からの異物の落下や漏洩を防止することができる。
【0032】
クリーニング装置14の構成としては、図4に示す構成を対象とすることも可能である。
図4に示すクリーニング装置(便宜上、図4において符号14’で示す)は、ベルト1の移動方向において、図3に示したクリーニングブラシ14Aとブレード14Bが配置されている位置の下流側にベルト1の摩擦係数を低下させるための潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段17が配置されている。
【0033】
潤滑剤塗布手段17は、ベルト1に当接しながら回転可能なブラシローラ17Aとブラシローラにより削り取られる固形潤滑剤17Bと固形潤滑剤17Bをブラシローラ17に向けて付勢する弾性体17Cと潤滑剤の均しブレード17Dとで構成されている。固形潤滑剤17Bには、ステアリン酸亜鉛などが用いられている。
【0034】
固形潤滑剤17Bは、ブラシローラ17Aによって削り取られてベルト1の表面に塗布され、均しブレード17Dによって均一厚さに均されて用いられる。
【0035】
この構成においても、クリーニング装置14のベルト入り口側に配置されているシール部材14Cに対してベルト1を挟んで板状の対向部材16が設けられているとともに、潤滑剤塗布手段17におけるブラシローラ17Aおよび均しブレード17Dと対向する位置にベルト1を挟んで対向部材としてのローラ15Aが設けられている。
【0036】
このような構成においても、ベルト1に対する良好な接触状態を必要とするシール部材14C、クリーニングブラシ14A、ブレード14Bおよび潤滑剤塗布手段17におけるブラシローラ17A、均しブレード17Dに対向する部材が設けられ地得ることによりベルトと各部材との接触状態を良好に維持することができる。
【0037】
一方、板状の対向部材16は、図5に示すように、ベルト1の内周面に向けて突出する向きに湾曲形成されており、その曲率半径として、10mm以上を設定されている。これにより、曲率半径が小さくなりすぎた場合にベルト1に対して鋭角状に接触するのを防止してベルト1にカール癖がつくのを防止するようになっている。ベルト1にカール癖がつかないことにより、カール癖による接触不良が原因する転写ムラを防止して異常画像の発生を防止することができる。
【0038】
また、本発明においては、板状の対向部材16におけるベルト1と対向する表面に、図6に示すような起毛処理が施されている。起毛16Aは、例えば、静電植毛などにより形成され、ベルト1との摩擦抵抗を軽減する機能を有している。
【0039】
板状の対向部材16は、転写背圧ローラ4とクリーニング装置14のベルト入り口側に位置するシール部材14Cとの間でシール部材14Cに対向する位置に配置されているが、転写背圧ローラ4の曲率分離を妨げない位置に配置されている。
【0040】
図7は、この場合の構成を示す模式図である。
【0041】
図7において板状の対向部材16は、転写背圧ローラ4による曲率分離を行うために設定されているベルト1の巻き付き角度(θ)よりも外側の位置に配置されている。これにより、転写背圧ローラ4が位置する2次転写位置を通過した記録紙Sがベルト1に貼り付いた状態で転写背圧ローラ4の周面方向に移動するのを防止する機能を阻害しないようにされている。これにより、従来必要とされていた分離チャージャや分離爪を不要にすることができ構成部品点数の低減およびこれら部材による占有スペースの不要化による装置内部の空間容積の小型化が図れる。
【0042】
次に、上記構成からなるベルト装置を用いた画像形成装置について、図8により説明すると次の通りである。
図8は、ベルト1を中間転写体として用いるタンデム方式の構成を対象とした画像形成装置である。
画像形成装置100は、画像形成処理部Aを境にして縦方向で上部側に原稿走査部Bが、下方側に給紙部Cが配置されている。
【0043】
原稿走査部Bには、原稿載置台のB1の上面に自動原稿給送装置101が搭載されており、原稿走査手段102により原稿を走査するようになっている。
【0044】
給紙部Cには、給紙バンクを構成する複数の給紙カセットB1が備えられ、給紙カセットC1から繰り出された記録紙の搬送路中には、画像形成処理部Aの手前でレジストタイミングを設定するレジストローラC2が設けられている。
【0045】
画像形成処理部Aには、ベルト装置のベルト1における展張面に沿って複数の作像ステーションが並置されている。
【0046】
各作像ステーションには、プロセスカートリッジがそれぞれ装填されており、プロセスカートリッジの内部には、図1において説明したように、感光体ドラム7,帯電装置8,現像装置9,クリーニング装置11が収容されており、各作像ステーションの感光体ドラム7に対してベルト1を挟んで対向する位置には1次転写装置12が配置されている。なお。符号Lは書き込み装置を示しており、書き込み装置Lは、画像情報に従ってレーザ光源からの書き込み光を感光体ドラムに出射するようになっている。
【0047】
1次転写装置12を内周面に配置しているベルト1を備えたベルト装置に関する構成は前述したとおりである。
【0048】
上記構成を備えた画像形成装置100では、各作像ステーションでの画像形成が行われると、ベルト1に対して順次トナー像が1次転写されて重畳され、重畳された画像が給紙部Bから繰り出された記録紙に対して2次転写装置12により一括転写される。
【0049】
一括転写された記録紙は、定着装置6により加熱・加圧を受けることでトナーを融解・浸透されてトナー像が定着され、排出搬送路を経て排紙トレイ103に排出される。
【0050】
記録紙の両面への画像形成を行う場合には、片面の画像形成が終了した記録紙が排紙トレイ102の手前側に位置する分岐爪によって再給紙路に移動させられてレジストローラC2によるレジストタイミングを設定されて再度2次転写位置に向け移動するようになっている。
【0051】
2次転写後のベルト1は、クリーニング装置14によりクリーニング処理が行われ、未転写トナーや紙粉などの異物が除去される。
【0052】
上述した構成のタンデム方式による画像形成装置は、次のような点で優れている。
すなわち、近年、オフィスでも大量のカラー文書が取り扱われるようになり、以前にも増して小型出高速のフルカラープリンタ、フルカラー複写機などの画像形成装置の提供が望まれている。
このような市場からの要望に伴い、今日、カラー複写機やカラープリンタなどのカラー画像形成装置が多く提供されてきている。
カラー画像形成装置には、いわゆる、1ドラム方式やタンデム方式のものがある。1ドラム方式のカラー画像形成装置は、像担持体である1つの感光体の周りに異なる色のトナー像を形成する複数の現像器を備えている。そして、これらんの現像器により感光体上に合成トナー像を形成、この感光体上の合成トナー像を紙やOHPシートなどの記録媒体に転写してカラー画像を有する複写出力を得るようになっている。
【0053】
一方、タンデム方式のカラー画像形成装置は、感光体と画像形成手段と出構成した画像形成ユニットを複数個備えている。核が造形生ユニットの各感光体上に各色の単色トナー像を、転写搬送ベルトにより搬送される記録媒体あるいは中間転写ベルトに重ね合わせながら転写して合成カラー画像を形成している。
【0054】
1ドラム方式の場合には、1つの感光体を対象として複数回(通常は4回)の画像形成を繰り返してフルカラー画像を形成するために、画像形成の高速化が困難である。
【0055】
これに対し、タンデム方式の場合には画像形成装置の大型化を招き、これによりコスト高となる欠点があるが、画像形成の高速化が容易であるという利点がある。
【0056】
最近は、モノクロ画像形成時並のスピードでフルカラー画像を形成する装置が望まれていることから、タンデム方式の画像形成装置が注目されてきている。
【0057】
タンデム方式の画像形成装置には、直接転写式と間接転写式とがあり、直接転写式は各画像形成ユニットで形成される色の画像を順次記録紙に直接重畳していく方式であり、間接転写式は各画像形成ユニットで形成された色の画像を中間転写ベルトに順次1次転写し、中間転写ベルト上に転写された重畳画像を胃六媒体に対して一括して2次転写する構成とされている。
【0058】
ところで、直接転写式のタンデム方式を用いる画像形成装置では、一般的に、各画像形成ユニットが転写搬送ベルトの展張面に沿って水平方向に並置されている構成が用いられている。このため、記録媒体を給送する例えば、給紙装置は、転写搬送ベルトの最上流側に配置され、記録媒体に転写した画像の定着を行う定着装置は転写搬送ベルトの最下流側に配置された構成となる。このため、転写搬送ベルトの記録媒体を搬送する水平部分(展張部分)の周長が長くなり、装置本体の水平方向でのサイズが大きくなり装置が水平方向において大型化する欠点がある。
【0059】
このような装置本体の水平方向での大型化を回避するためには、合成トナー像が転写された記録媒体を転写搬送ベルトから分離する分離部に定着装置を接近させて配置することが考えられる。
【0060】
しかし、このような構成では、分離部と定着装置との間に転写搬送ベルトから分離された記録媒体が余裕を持ってたわむことができる十分な間隔を確保することが困難となる。このため分離部と定着装置とが接近した構成では、記録媒体の先端が定着装置に進入する際の衝撃(特に厚い記録媒体ほど顕著)や、定着装置の搬送速度と転写搬送ベルトの搬送速度との速度差により転写画像が悪影響を受け易くなる。
【0061】
これに対し、中間転写式のタンデム方式では、2次転写部の位置を比較的自由に選択することができ、給紙装置や定着装置を中間転写ベルトの下方に配置することで、装置本体の水平方向の小型化が可能となる利点がある。
【0062】
また、給紙装置や定着装置を中間転写ベルトの下方に配置することで、中間転写ベルトの分離部と定着装置との間で中間転写ベルトから分離された記録媒体がたわむことができる十分な間隔を確保することができる。このように、中間転写式のタンデム方式を用いる画像形成装置では、余裕を持って定着装置を配置できるので、定着装置の画像形成に及ぼす影響をほとんどなくすことができる。以上のような理由から、最近では中間転写式の単木偶方式を用いた画像形成装置が注目されてきている。
【0063】
次に、本実施形態に用いられるトナーの特性について図5を用いて以下に説明する。
本構成に用いられるトナーは、重合法によって生成された重合トナーである。
【0064】
更に本構成に用いられるトナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。
【0065】
図9は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【0066】
形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
【0067】
SF−1={(MXLNG)/AREA}×(100π/4)・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0068】
また、形状係数SF−2は、トナー形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。
【0069】
SF−2={(PERI)/AREA}×(100/4π)・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
【0070】
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
【0071】
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するとともに転写手段に付着した場合のクリーニング性も低下するため好ましくない。
【0072】
また、トナー粒径は体積平均粒径で4〜10μmの範囲であることが望ましい。これよりも小粒径の場合には現像時に地汚れの原因となったり、流動性が悪化し、さらに凝集しやすくなるので中抜けが発生しやすくなる。逆にこれよりも大粒径の場合にはトナー飛び散りや、解像度悪化により高精細な画像を得ることができない。本実施形態では、トナー粒径の体積平均粒径6.5μmのものを用いた。
【0073】
また、トナーの形状は略球形状であり、以下に形状規定によって表すことができる。
【0074】
図10は、本発明のトナーの形状を模式的に示す図である。図において、略球形状のトナーを長軸r1、短軸r2、厚さr3(但し、r1≧r2≧r3とする。)で規定するとき、本発明のトナーは、長軸と短軸との比(r2/r1)(図10(B)参照)が0.5〜1.0で、厚さと短軸との比(r3/r2)(図10(C)参照)が0.7〜1.0の範囲にあることが好ましい。長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5未満では、真球形状から離れるためにドット再現性及び転写効率が劣り、高品位な画質が得られなくなる。また、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7未満では、扁平形状に近くなり、球形トナーのような高転写率は得られなくなる。特に、厚さと短軸との比(r3/r2)が1.0では、長軸を回転軸とする回転体となり、トナーの流動性を向上させることができる。
【0075】
なお、r1、r2、r3は、走査型電子顕微鏡(SEM)で、視野の角度を変えて写真を撮り、観察しながら測定した。
【0076】
次に、トナーの成分および製造方法について説明すると次の通りである。
本発明の画像形成装置に好適に用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤を有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーである。以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。
【0077】
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0078】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0079】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0080】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。
【0081】
また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
【0082】
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。
【0083】
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0084】
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0085】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。
【0086】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0087】
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
【0088】
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0089】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えてしまったり、1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0090】
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0091】
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
【0092】
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
【0093】
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0094】
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0095】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置100に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。尚、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。
【0096】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
【0097】
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0098】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。
【0099】
また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0100】
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
【0101】
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
【0102】
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−2μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。
【0103】
酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。
しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
【0104】
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
【0105】
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
【0106】
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
【0107】
水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
【0108】
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。2000重量部を超えると経済的でない。
【0109】
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
【0110】
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0111】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0112】
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0113】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0114】
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。
【0115】
また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
【0116】
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0117】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
【0118】
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。
【0119】
この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。
反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0120】
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
【0121】
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0122】
5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。
【0123】
荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。
【0124】
これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】ベルト装置の従来例を説明するための模式図である。
【図2】図1に示したベルト装置の要部構成を示す拡大図である。
【図3】本発明によるベルト装置の要部構成を説明するための模式図である。
【図4】本発明によるベルト装置に用いられるクリーニング装置の要部構成の変形例を説明するための模式図である。
【図5】本発明のベルト装置に用いられる対向部材の構成を説明するための図である。
【図6】図5に示した対向部材の要部変形例を示す図である。
【図7】図3に示したベルト装置に用いられる対向部材の要部変形例を説明するための模式図である。
【図8】図3に示したベルト装置を用いる画像形成装置の要部構成を説明するための模式図である。
【図9】本発明による画像形成装置に用いられるトナーの形状係数に関する説明のための模式図である。
【図10】本発明による画像形成装置に用いられるトナーの球形状に関する説明のための模式図である。
【符号の説明】
【0126】
1 ベルト
5 湾曲ローラ
14 クリーニング装置
14A クリーニングブラシ
14B ブレード
14C シール部材
15 対向部材
16 板状の対向部材
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラに掛け回されて周回可能な無端状ベルトと、該無担状ベルトの展張面の一部に対して外表面から押圧した状態で該無担状ベルトを内周面側に湾曲させる湾曲ローラと、前記無担状ベルトにブレードあるいはブラシを当接させるクリーニング装置とを備えたベルト装置において、
前記クリーニング装置には、前記無端状ベルトが前記ローラの一つを周回して該クリーニング装置のブレードあるいはブラシに達する前の位置近傍に配置されているシール部材を備えられ、
前記無担状ベルトを挟んで前記シール部材と対向する該無端状ベルトの内側には、該無端状ベルトを前記シール部材に向けて押圧する板状の対向部材が設けられていることを特徴とするベルト装置。
【請求項2】
前記板状の対向部材は、前記無端状ベルトの内周面に向けて突出する向きに湾曲形成され、その曲率半径が10mm以上に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のベルト装置。
【請求項3】
前記板状の対向部材は、前記無端状ベルトの内周面に対向する表面に起毛が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のベルト装置。
【請求項4】
前記板状の対向部材は、前記ローラの一つによる曲率分離のための前記ベルトの巻き付き角度よりも外側の位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のベルト装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のベルト装置を用いる画像形成装置であって、前記無端状ベルトが転写体として用いられることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記現像手段で用いられるトナーは、体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記現像手段で用いられるトナーは、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることを特徴とする請求項5または6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記現像手段で用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーであることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記現像手段で使用されるトナーは、略球形状であることを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−288717(P2009−288717A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143839(P2008−143839)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】