説明

ベンズアミド誘導体

癌細胞の増大を遅延させるのに有用なベンズアミド誘導体が開示される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
癌は、米国における死亡の第2の主要な原因であり、死亡率の減少をもたらした新しい進展にも拘わらず、多くの癌は依然として難治性である。それに加えて、 化学療法、放射線療法及び外科手術などの典型的な治療は、広範な望ましくない副作用を引き起こす。それに加えて、多くの癌は、時が経つにつれてしばしば最新の化学療法に対する耐性を発現する。この分野においては、明らかに癌の治療に有用な新規化合物及び癌細胞の増大を遅延させる方法が大いに必要である。
【発明の概要】
【0002】
本発明は、とりわけ、癌の治療に有効な化合物を提供する。
【0003】
癌細胞の増大を遅延させる医薬組成物を提供することが本発明の目的である。
【0004】
種々の形態の癌を治療することも本発明の目的である。
【0005】
上の及び他の目的は、式
【0006】
【化1】

【0007】
の化合物を含むデバイスを使用して達成することができる。
Xにより表される基は、H、ハロ、−C−Cアルキル、アリール、−C−Cシクロアルキル又は−3から10員の複素環のいずれであってもよく、それらのいずれも、置換されていなくても又は1つ若しくは複数の以下の基で置換されていてもよい:−ハロ、−C−Cアルキル、−O−(C−Cアルキル)、−OH、−CN、−COOR’、−OC(O)R’、NHR’、N(R’)、−NHC(O)R’又は−C(O)NHR’、ここでR’は−H又は−C−Cアルキルであってよい。
【0008】
Yにより表される基は、H、−C−Cアルキル、−C−Cシクロアルキルのいずれであってもよく、それらのいずれも置換されていなくても又は1つ若しくは複数の以下の基で置換されていてもよい:−ハロ、−C−Cアルキル、−O−(C−Cアルキル)、−OH、−CN、−COOR’、−OC(O)R’、NHR、N(R)、−NHC(O)R‘又は−C(O)NHR’基、ここでR’は−H又は−C−Cアルキルであってよい。
【0009】
Zにより表される基は、メチル、−NH、−NHOH、又はフェニレンジアミン基(II)
【0010】
【化2】

【0011】
であってよく、
Qにより表される基は、H、F又はClであってよい。
【0012】
上の及び他の目的は、幾つかの本発明の態様で開示した化合物及び、1種又は複数種の薬学的に許容される担体を含む有効量の医薬組成物を用いて腫瘍の増殖を遅延させることを含む方法により達成することができる。
【0013】
上の及び他の目的は、幾つかの本発明の態様で開示した化合物及び、1種又は複数種の薬学的に許容される担体を含む有効量の医薬組成物を用いて哺乳動物を治療することを含む方法により達成することができる。
【0014】
本明細書において提示する本発明の態様及び応用は、下で図面及び発明を実施するための形態において記載する。特に断らない限り、本明細書及び請求項中の語句は、それらの明瞭な普通の、適用可能な技術における当業者に馴染みのある意味が与えられることが意図される。本発明者らは、所望であれば、それらの自身の辞書編集者であることができることを十分自覚している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1に、A2780異種移植モデルにおける、化合物#4(N−ヒドロキシ−4−(1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド)のインビボにおける有効性の検討を図示する。
【発明を実施例のための形態】
【0016】
ここで、本発明者らは式:
【0017】
【化3】

【0018】
の化合物を開示する。
【0019】
Xにより表される基は、H、ハロ、−C−Cアルキル、アリール、−C−Cシクロアルキル又は3から10員の複素環のいずれであってもよく、そのいずれも、置換されていなくても又は1つ若しくは複数の以下の基で置換されていてもよい:−ハロ、−C−Cアルキル、−O−(C−Cアルキル)、−OH、−CN、−COOR’、−OC(O)R’、NHR’、N(R’)、−NHC(O)R’又は−C(O)NHR’基(R’は−H又は−C−Cアルキルであってよい)。
【0020】
Yにより表される基は、H、−C−Cアルキル、−C−Cシクロアルキルのいずれであってもよく、そのいずれも、置換されていなくても又は1つ若しくは複数の以下の基で置換されていてもよい:−ハロ、−C−Cアルキル、−O−(C−Cアルキル)、−OH、−CN、−COOR’、−OC(O)R’、NHR’、N(R’)、−NHC(O)R’又は−C(O)NHR’(R’は−H又は−C−Cアルキルであってよい)。
【0021】
Zにより表される基は、メチル、−NH、−NHOH、又はフェニレンジアミン基(II)
【0022】
【化4】

【0023】
であってよい。
【0024】
Qにより表される基は、H、F又はClであってよい。
【0025】
−Cアルキル基には、1個と6個の間の炭素原子を含んでなる任意の直鎖又は分岐、飽和又は不飽和、置換又は非置換の炭化水素が含まれる。−C−Cアルキル基の例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ネオヘキシル、エチレニル、プロピレニル、1−ブテニル、2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、アセチレニル、ペンチニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル及び3−ヘキシニル基が挙げられるが、これらに限定されない。置換された−C−Cアルキル基には、任意の適用可能な化学的部分が含まれてよい。上で列挙した−C−Cアルキル基のいずれかに置換されていてよい基の例として、以下の例:ハロ、−C−Cアルキル、−O−(C−Cアルキル)、−OH、−CN、−COOR’、−OC(O)R’、−NHR’、N(R’),−NHC(O)R’又は−C(O)NHR’基が挙げられるが、これらに限定されない。上のR’で表される基は−H又は任意の−C−Cアルキルであってよい。
【0026】
アリール基には、任意の置換又は非置換のフェニル又はナフチル基が含まれる。任意のアリール基上に置換されていてよい基の例として:ハロ、−C−Cアルキル、−O−(C−Cアルキル)、−OH、−CN、−COOR’、−OC(O)R’、NHR、N(R’),−NHC(O)、R’、又は−C(O)NEtR’が挙げられるが、これらに限定されない。R’で表される基は、−H又は任意の−C−Cアルキルであってよい。
【0027】
−Cシクロアルキル基には、任意の3−、4−、5−、6−、又は7員の置換又は非置換の非芳香族炭素環式環が含まれる。C−Cシクロアルキル基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプタニル、1,3−シクロヘキサジエニル、−1,4−シクロヘキサジエニル、−1,3−シクロヘプタジエニル、及び−1,3,5−シクロヘプタトリエニル基が挙げられるが、これらに限定されない。C−Cシクロアルキル基上に置換されていてよい基の例として:−ハロ、−C−Cアルキル、−O−(C−Cアルキル)、−OH、−CN、−COOR’、−OC(O)R’、NHR’、N(R’)、−NHC(O)R’又は−C(O)NHR’基が挙げられるが、これらに限定されない。上のR’で表される基には、−H又は任意の置換されていない−C−Cアルキルが含まれ、それらの例は上に列挙した。ハロ基は任意のハロゲンを含む。例として−F、−C1、−Br、又は-Iが挙げられるがこれらに限定されない。
【0028】
複素環は、酸素(O)、硫黄(S)又は窒素(N)から選択される少なくとも1個のヘテロ原子が割り込んでいる、任意の場合により置換されている飽和、不飽和又は芳香族の環状部分であってよい。複素環化合物は、単環式であっても多環式環であってもよい。例えば、適当な置換基として、ハロゲン、ハロゲン化されたC1−6アルキル、ハロゲン化されたC1−6アルコキシ、アミノ、アミジノ、アミド、アジド、シアノ、グアニジノ、ヒドロキシル、ニトロ、ニトロソ、尿素、OS(O)R;OS(O)OR、S(O)ORS(O)O0−2R、C(O)OR、(ここで、RはH、C−Cアルキル、アリール又は3から10員の複素環であってよい)、OP(O)OROR、P(O)OROR、SONR、NRSOC(R)NRC(R)NOR、(R及びRは、独立に、H、C−Cアルキル、アリール又は3から10員の複素環であってよい)、NRC(O)R、NRC(O)OR、NRC(O)NR、C(O)NR、OC(O)NRが挙げられる。これらの基について、R、R及びRは、H、C−Cアルキル、アリール若しくは3から10員の複素環から選択されるか、又はRとRとは、それらが結合している原子と一緒になって3から10員の複素環を形成する。
【0029】
複素環基の可能な置換基には、ハロゲン(Br、Cl、I又はF)、シアノ、ニトロ、オキソ、アミノ、C1−4アルキル(例えば、CH、C、イソプロピル)、C1−4アルコキシ(例えば、OCH、OC)、ハロゲン化されたC1−4アルキル(例えば、CF、CHF)、ハロゲン化されたC1−4アルコキシ(例えば、OCF、OC)、COOH、COO−C1−4アルキル、CO−C1−4アルキル、C1−4アルキル−S−(例えば、CHS、CS)、ハロゲン化されたC1−4アルキル−S−(例えば、CFS、CS)、ベンジルオキシ、及びピラゾリルが含まれる。
【0030】
複素環の例として、アゼピニル、アジリジニル、アゼチル、アゼチジニル、ジアゼピニル、ジチアジアジニル、ジオキサゼピニル、ジオキサラニル、ジチアゾリル、フラニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、モルホリニル、モルホリノ、オキセタニル、オキサジアゾリル、オキシラニル、オキサジニル、オキサゾリル、ピペラジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピペリジル、ピペリジノ、ピリジル、ピラニル、ピラゾリル、ピロリル、ピロリジニル、チアトリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、チアゾリル、チエニル、テトラジニル、チアジアジニル、トリアジニル、チアジニル、チオピラニル、フロイソオキサゾリル、イミダゾチアゾリル、チエノイソチアゾリル、チエノチアゾリル、イミダゾピラゾリル、シクロペンタピラゾリル、ピロロピロリル、チエノチエニル、チアジアゾロピリミジニル、チアゾロチアジニル、チアゾロピリミジニル、チアゾロピリジニル、オキサゾロピリミジニル、オキサゾロピリジル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチアゾリル、イミダゾピラジニル、プリニル、ピラゾロピリミジニル、イミダゾピリジニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾオキサチオリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジチオリル、インドリジニル、インドリニル、イソインドリニル、フロピリミジニル、フロピリジル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、チエノピリミジニル、チエンノピリジル、ベンゾチエニル、シクロペンタオキサジニル、シクロペンタフラニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾチアジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾピラニル、ピリドピリダジニル及びピリドピリミジニル基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
開示した化合物及びその中間体は、異なった互変異性形態で存在し得る。互変異性体には、相互変換に対するエネルギー障壁が低い異なったエネルギーの任意の構造異性体が含まれる。一例はプロトン互変異性体(プロトン移動性互変異性体)である。この例においては、プロトン移動により相互変換が起こる。プロトン移動性互変異性体の例として、ケト−エノール及びイミン−エナミン異性化が挙げられるが、これらに限定されない。下に図で例示したもう一つの例においては、ベンズイミダゾール環の1−位と3−位の窒素原子の間のプロトン移動が起こり得る。結果として、式IaとIbとは相互に互変異性形態である:
【0032】
【化5】

【0033】
本発明は、開示した化合物が取り得る任意の他の物理化学的又は立体化学的形態をさらに包含する。そのような形態には、ジアステレオマー、ラセミ体、単離されたエナンチオマー、水和した形態、溶媒和した形態、又は任意の他の知られた又はこれから開示される結晶性、多形性の結晶性、又は非晶質形態が含まれる。非晶質形態は、識別し得る結晶格子を欠いてそれ故構造単位の秩序ある配列を欠く。多くの医薬品は非晶質形態を有する。そのような化学的形態を生じさせる方法は当業者により周知であろう。
【0034】
幾つかの本発明の態様において、開示した化合物は、薬学的に許容される塩の形態にある。薬学的に許容される塩には、有機酸又は無機酸から誘導される任意の塩が含まれる。そのような塩の例には、以下のもの、即ち:臭化水素酸、塩酸、硝酸、リン酸及び硫酸の塩が含まれるがこれらに限定されない。有機酸付加塩には、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、2−(4−クロロフェノキシ)−2−メチルプロピオン酸、1,2−エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、N−グリコリルアルサニル酸、4−ヘキシルレソルシノール、馬尿酸、2−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、1−ヒドロキシ−2−ナフト酸、3−ヒドロキシ−2−ナフト酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ラクトビオン酸、n−ドデシル硫酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、メチル硫酸酸、ムチン酸、2−ナフタレンスルホン酸、パモン酸、パントテン酸、ホスファニル酸((4−アミノフェニル)ホスホン酸)、ピクリン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、テレフタル酸、p−トルエンスルホン酸、10−ウンデセン酸又は現在知られているか又はこれから開示される任意の他のそのような酸の塩が含まれる。そのような薬学的に許容される塩が薬理学的組成物の剤形化に使用され得ることは当業者により理解されるであろう。そのような塩は、開示した化合物と適当な酸とを当業者により知られた様式で反応させることにより調製することができる。
【0035】
本発明は、保護基が化合物に付加された態様をさらに包含する。当業者は、複雑な分子の合成中に、開示した化合物の一つの基が、化合物の第2の基を含む意図した反応に干渉することがあり得ることを認識するであろう。第1の基を一時的に遮蔽又は保護することは所望の反応を起こりやすくする。保護は、保護すべき基に保護基を導入すること、所望の反応を実行すること、及び保護基を除去することを含む。保護基の除去は脱保護と称することがある。幾つか合成において保護されるべき化合物の例として、ヒドロキシ基、アミン基、カルボニル基、カルボキシル基及びチオールが挙げられる。
【0036】
それらを合成工程中に導入することができる多くの保護基及び試薬はすでに開発され且つ現在も開発され続けている。保護基は、ある試薬に抵抗性であり、合成の間中安定なままであり、且つ保護される基とも、分子中の任意の他の化学基とも不都合に反応することがない条件により除去することができる基を、分子中の任意の他の化学基に対して有意の影響なしに、保護すべき化学基に選択的に結合する任意の化学合成の結果生じ得る。合成中に複数の保護基を付加することもできて、当業者は、保護すべき基に対する保護基の特定の付加及びそれからの除去についての方策を開発することができるであろう。
【0037】
保護基、これらの基に付加する試薬、これらの試薬の調製、互いに相補性の保護基を用いる複雑な合成を含む種々の条件下に置ける保護及び脱保護方策は、全て当技術分野において周知である。これら全ての限定するものではない例は、Green et al, Protective Groups in Organic Chemistry 2nd Ed.,(Wiley 1991)、及びHarrison et al, Compendium of Synthetic Organic Methods, VoIs. 1−8 (Wiley, 1971−1996)に見出すことができ、それら両者はその全体を参照により本明細書に組み込まれる。
【0038】
開示した化合物のラセミ体、個々のエナンチオマー、又はジアステレオマーは、現在知られているか又は今後開示される任意の方法により、特定の合成又は分割により調製することができる。例えば、開示した化合物は、光学活性酸を使用する塩形成によるジアステレオマー対の形成により、それをエナンチオマーに分割することができる。エナンチオマーは、分別結晶化して、遊離塩基を再生する。もう一つの例において、エナンチオマーは、クロマトグラフィーにより分離することができる。そのようなクロマトグラフィーは、キラルカラムによるHPLCなどのエナンチオマーを分離するのに適当な、現在知られているか又は今後開示される任意の適当な方法であってよい。
【0039】
本発明は、開示した化合物を成分として含む医薬組成物をさらに包含する。そのような医薬組成物は、所望の投与方法及び開示した化合物又は化合物の薬学的に許容される塩がとる物理化学的及び立体化学的形態を含む多くの要因に依存する必要な任意の物理的形態をとることができる。そのような物理的形態には、固体、液体、気体、ゾル、ゲル、エアロゾル、又は現在知られているか又は今後開示される任意の他の物理的形態が含まれる。開示した化合物を含む医薬組成物の概念は、如何なる他の添加剤も添加されていない開示した化合物又は薬学的に許容されるそれらの塩も包含する。
【0040】
本発明の物理的形態は、投与経路に影響する可能性があり、当業者は、化合物の物理的形態及び治療すべき障害の両方を考慮に入れた投与経路を選択することを知っているであろう。開示した化合物を含む医薬組成物は、薬学分野において周知の方法を使用して調製することができる。開示した化合物を含む医薬組成物は、開示した化合物とは別個の化学式の第2の有効な化合物を含むことができる。この第2の有効な化合物は、標的として同じか若しくは同様な分子の標的を有することができるか、又はそれは1つ若しくは複数の生化学的経路に関して、開示した化合物の分子標的の上流若しくは下流で作用することができる。
【0041】
開示した化合物を含む医薬組成物は、投与単位の物理的形態を改良することができる材料を含む。限定するものではない一例において、組成物は、化合物を内包するコーティングを形成する材料を含む。そのようなコーティングに使用することができる材料には、例えば、蔗糖、シェラック、ゼラチン、又は任意の他の不活性被覆剤が含まれる。
【0042】
開示した化合物を含む医薬組成物は、気体又はエアロゾルとして調製することもできる。エアロゾルは、コロイド及び加圧されたパッケージを含む種々のシステムを包含する。この形態にある組成物の送達は、開示した化合物を含む医薬組成物を、液化した気体若しくは他の圧縮ガスの使用により又は適当なポンプ系により送り出すことを含む。エアロゾルは、単一相、2相、又は3相系で送達することができる。
【0043】
幾つかの本発明の態様において、開示した化合物を含む医薬組成物は、溶媒和物の形態にある。そのような溶媒和物は、開示した化合物の薬学的に許容される溶媒中への溶解により作製される。薬学的に許容される溶媒には、2種以上の溶媒の任意の混合物が含まれる。そのような溶媒には、ピリジン、クロロホルム、プロパン−1−オール、オレイン酸エチル、乳酸エチル、エチレンオキシド、水、エタノール、及び大部分の患者において溶媒の使用から生ずる重大な合併症なしに苦痛を治療する十分な量の開示した化合物を送達する任意の他の溶媒が含まれ得る。
【0044】
開示した化合物を含む医薬組成物は、薬学的に許容される担体も含むことができる。担体は、化合物の投与又は他の送達を促進、補助若しくは助長することを意図した目的で、開示した化合物とともに投与することができる任意の物質を含む。担体には、その投与に役立つために、開示した化合物と組み合わせることができる任意の液体、固体、半固体、ゲル、エアロゾル又は他の任意のものが含まれる。例として、希釈剤、補助剤、賦形剤、水、油(石油、動物油、植物油又は合成油を含む)が挙げられる。そのような担体には、錠剤又は粉末などの粒状物、経口シロップ又は注射用液体などの液体、及び吸入できるエアロゾルが含まれる。さらなる例として、食塩水、アラビアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイダルシリカ、及び尿素が挙げられる。そのような担体には、さらに、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、微結晶性セルロース、又はゼラチンなどの結合剤;デンプン、ラクトース又はデキストリンなどの賦形剤;アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、Primogel、及びトウモロコシデンプンなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム又はSterotexなどの潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロース又はサッカリンなどの甘味剤;ペパーミント、サリチル酸メチル若しくはオレンジ芳香などの着香剤又は着色剤が含まれ得る。担体のさらなる例として、ポリエチレングリコール、シクロデキストリン、油、又はカプセルに剤形化することができる任意の他の同様な液体担体が挙げられる。担体のさらなる例として、注射用水、食塩水溶液、生理的食塩水、リンゲル溶液、等張塩化ナトリウムなどの滅菌希釈剤;合成モノ若しくはジグリセリド、ポリエチレングリコール、グリセリン、シクロデキストリン、プロピレングリコール又は他の溶媒などの固定化油;ベンジルアルコール又はメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸又は重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミンテトラ酢酸などのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩などの緩衝剤;及び塩化ナトリウム又はデキストロ−スなどの等張性調節剤;増粘剤、潤滑剤、及び着色剤が挙げられる。
【0045】
開示した化合物を含む医薬組成物は、組成物の物理化学的形態及び投与のタイプに応じて任意の多くの剤形をとることができる。そのような形態には、溶液、懸濁液、エマルション、錠剤、ピル、ペレット、カプセル、液体を含むカプセル、散剤、徐放性剤形、指向性放出剤形、凍結乾燥物、坐剤、エマルション、エアロゾル、スプレー、顆粒、散剤、シロップ、エリキシル、又は現在知られているか又は今後開示される任意の他の剤形が含まれる。適当な薬学的担体のさらなる例は、その全体が参照により本明細書中に組み込まれるE.W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」に記載されている。
【0046】
投与の方法は、経口投与及び非経口的投与を含むが、これらに限定されない。非経口的投与は、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、舌下、intramsal、脳内、心室内、髄腔内、膣内、経皮、直腸、吸入による投与、又は耳、鼻、眼若しくは皮膚への局所投与を含むが、これらに限定されない。他の投与方法は、点滴又はボーラス注射を含む注入技法、口内粘膜、直腸及び結腸粘膜などの上皮の又は粘膜皮膚の内層を通した吸収による投与を含むが、これらに限定されない。非経口的投与のための組成物は、ガラス、プラスチック又は他の材料製のアンプル、使い捨て注射器又は複数回用量のバイアル中に封入することができる。
【0047】
投与は全身的又は局所的であってよい。局所投与は、開示した化合物の治療が必要な領域への投与である。例として、外科手術中の局所点滴、局所注射、カテーテル、坐剤、又はインプラントによる局所適用が挙げられる。投与は、任意の適当な経路による癌、腫瘍、若しくは前癌組織の部位(若しくは以前あった部位)における又は心室内及び髄腔内注射を含む中枢神経系中への直接注射によることができる。心室内注射は、例えば、Ommaya貯蔵器などの貯蔵器に取り付けた心室内カテーテルにより行いやすくすることができる。肺投与は、当技術分野において知られた任意の多くの方法により達成することができる。例として、吸入器若しくはネブライザー、エアロゾル化剤を用いる剤形の使用、又はフルオロカーボン若しくは合成肺サーファクタント中での散布による方法が挙げられる。開示した化合物は、リポソーム又は任意の他の天然又は合成小胞などの小胞の状態で送達することができる。
【0048】
注射により投与するように剤形化した医薬組成物は、開示した化合物を水で溶解して溶液を形成することにより調製することができる。それに加えて、界面活性剤を添加して、均質な溶液又は懸濁液の剤形化を容易にすることができる。界面活性剤は、開示した化合物と共有結合でない相互作用することができて、化合物の溶解又は均質な懸濁を促進する任意の複合体を含む。
【0049】
開示した化合物を含む医薬組成物は、局所又は経皮投与を容易にする形態で調製することができる。そのような製剤は、溶液、エマルション、軟膏、ゲル基剤、経皮パッチ又はイオン導入デバイスの形態であってよい。そのような組成物で使用する基剤の例として、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、蜜ろう、鉱油、例えば水及びアルコールなどの希釈剤、並びに乳化剤及び安定剤、増粘剤、又は現在知られているか又は今後開示される任意の他の適当な基剤が挙げられる。
【0050】
癌細胞は、腫瘍、新生物、癌、前癌の細胞ライン、又は可能性として無制限の増大及び増殖が最終的に可能な細胞の任意の他の供給源に由来する任意の細胞を含む。癌細胞は、天然に生ずる供給源に由来することも又は人工的に創り出すこともできる。癌細胞は、動物宿主中に入れられると他の組織に侵入して転移することもできる。癌細胞は、他の組織に侵入及び/又は転移した任意の悪性細胞をさらに含む。生体の環境にある1種又は複数種の癌細胞は、癌、腫瘍、新生物、発生物、悪性腫瘍とも、又は癌状態にある細胞を記載するために当技術分野において使用される任意の他の用語でも呼ぶことができる。
【0051】
癌細胞の増大は、癌細胞に由来する個々の細胞の数における増加をもたらす任意の過程を含む。癌細胞の増大は、インビトロにおいてもインビボにおいても、細胞分裂、増殖、又は任意の他の形態の癌細胞の増大の結果生じ得る。癌細胞の増大は、侵入及び転移をさらに包含する。癌細胞は、遺伝子が同一であっても同一でなくても同じクローン又は異なったクローンからの癌細胞に物理的に近接することができる。そのような集合体はコロニー、腫瘍又は転移の形態をとることができ、そのいずれもインビボでもインビトロでも起こり得る。癌細胞の増大を遅延させることは、増大を促進する細胞過程を阻害することによるか又は増大を阻害する細胞過程を生じさせることによるかのいずれかにより起こすことができる。増大を阻害する過程は、細胞分裂を遅延させる過程及び細胞老化又は細胞死を促進する過程を含む。増大を阻害する具体的な過程の例として、カスパーゼ依存性及び独立の経路、自食、壊死、アポトーシス、並びにミトコンドリア依存性及び独立の過程、さらにこれから開示される任意のそのような過程が挙げられる。
【0052】
癌細胞への医薬組成物の添加は、癌細胞に対する医薬組成物の効果が実現される全ての作用を含む。選択される添加のタイプは、癌細胞がインビボ、エクスビボ、又はインビトロであるか、医薬組成物の物理的又は化学的性質、及び組成物が癌細胞に対して有するはずの効果に依存する。添加の限定するものではない例として、インビトロの癌細胞が増殖しつつある組織培養培地への医薬組成物を含む溶液の添加;静脈内、経口、非経口、又は任意の他の投与方法を含む医薬組成物を動物に投与できる任意の方法;又は免疫細胞(例えばマクロファージ及びCD8+T細胞)若しくは新脈管形成若しくは脈管形成の過程で血管構造に分化し得る内皮細胞など癌細胞に対して順送りで効果を有し得る細胞の活性化若しくは阻害が挙げられる。
【0053】
開示した化合物の有効量の決定は、特に本明細書における詳細な開示を考慮すれば当業者の能力で可能である。特定の目的を達成するために使用する医薬組成物の有効量並びにその毒性、排泄、及び全体的耐性は、当業者により現在知られているか又はこれから開示される任意の同様な方法のいずれかによる薬学的及び毒物学的手順により、細胞培養又は実験動物で決定することができる。一例は、細胞ライン又は標的分子におけるインビトロでの医薬組成物のIC50(最高の阻害濃度の半分)の決定である。もう一つの例は、実験動物における医薬組成物のLD50(試験動物の50%に死を惹起する致死用量)の決定である。有効量の決定に使用する厳密な技法は、医薬組成物のタイプ及び物理的/化学的性質、試験される性質、及び実施すべき試験がインビトロか又はインビボかなどの要因に依存するであろう。医薬組成物の有効量の決定は、その決定をする際に任意の試験から得られるデータを使用する当業者に周知であろう。癌細胞に添加する開示した化合物の有効量の決定も、ヒトを含むインビボで使用するための有効用量範囲の剤形化を含む治療的有効量の決定を含む。
【0054】
治療は、危険に曝されている状態のものを含む哺乳動物(特にヒト)並びに経済的又は社会的に重要な他の哺乳動物を含むが、これらに限定されない生物において考慮される。さらなる例として、家畜又はヒトが消費するために一般的に飼育する他の動物及び飼い慣らした愛玩動物が挙げられる。
【0055】
医薬組成物の毒性及び治療における効能は、細胞培養又は動物における標準的薬学的手順により決定することができる。例として、問題の化合物に対するIC50(最高阻害濃度の半分)及びLD50(試験動物の50%に死を惹起する致死用量)の決定が挙げられる。これらの細胞培養アッセイ及び動物における検討から得られたデータは、ヒトにおいて使用するための用量範囲を剤形化するのに使用することができる。用量は、使用する投与形態及び利用する投与経路に応じて変えることができる。
【0056】
癌細胞の増大の遅延を生ずる開示した化合物の有効量は、標的組織又はその付近に新生物細胞の細胞増大を遅延させるのに有効な濃度を生ずるが、放射線照射又は認められた化学療法剤に曝された非新生物細胞を含む非新生物細胞に対する影響が最小であることが好ましい。これらの効果を生ずる濃度は、例えば、アポトーシス指数及び/又はインビトロ若しくはインビボいずれかにおけるカスパーゼ活性などのアポトーシスマーカーを使用して決定することができる。
【0057】
病態の治療は、疾患、障害若しくは病態の進行を停止、阻害、遅延若しくは逆行させ、疾患、障害若しくは病態の臨床症状を実質的に改善し、又は疾患、障害若しくは病態の臨床症状の出現を実質的に防止し、疾患に罹った生物を疾患発生前の状態に戻すことまで及びそれを含む意図で、任意の方法、処置、又は手順を実施することである。
【0058】
開示した化合物の治療的有効量の添加は、化合物を投薬する任意の方法を包含する。開示した化合物の投薬は、有効成分として任意の多くの開示した化合物を含む医薬組成物の単回又は複数回の投与を含むことができる。例として、徐放性組成物の単回投与、規則的又は不規則な基準に基づく数回の治療を含む治療コース、疾患状態の軽減が達成されるまでの期間に複数回の投与、症状の開始に先立って適用される予防的治療、又は当業者が可能性ある有効な投与計画と認める当技術分野において知られた又はこれから開示される任意の他の投薬計画が挙げられる。投与の規則性及び様式を含む最終的投薬計画は、治療する対象、苦痛の重症度、投与様式、疾患の進行段階、例えば妊娠、幼少などの1つ若しくは複数の他の条件の存在、又は1種若しくは複数種のさらなる疾患の存在、又は投与様式の選択に影響する現在知られているか若しくは今後開示される任意の他の要因、投与すべき用量及び用量を投与する期間を含むがこれらに限定されない多くの要因のいずれかに依存するであろう。
【0059】
開示した化合物を含む医薬組成物は、該化合物を含んでも含まなくてもよい第2の医薬組成物の投与の前に、と同時又は後に投与することができる。組成物を同時に投与する場合、それらは互いに1分以内に投与する。同時に投与しない場合、第2の医薬組成物は、化合物を含む医薬組成物の後1分又は複数分、時間、日、週、又は月の期間投与することができる。あるいは、医薬組成物の組合せを臨床的に投与することができる。サイクリング療法は、1種又は複数種の組成物に対する耐性の発現を減少させるため、又は1種又は複数種の組成物の副作用を回避若しくは減少させるため、及び/又は治療の有効性を改善するための目的で、ある期間1種若しくは複数種の医薬組成物を投与し、続いて1種若しくは複数種の異なった医薬組成物をある期間投与し、この順の投与を繰り返すことを含む。
【0060】
本発明は、開示した化合物の疾患に罹った対象への投与を容易にするキットをさらに包含する。そのようなキット例として、化合物の1単位又は複数単位の用量が挙げられる。単位用量は、好ましくは滅菌容器に封入されて、開示した化合物及び薬学的に許容される担体を含むであろう。他の態様において、単位用量は、1種又は複数種の凍結乾燥した化合物を含むであろう。本発明のこの態様において、キットは、凍結乾燥物を溶解することができる溶液を封入するもう一つの好ましくは滅菌容器を含むこともできる。しかしながら、そのような溶液は、キット中に含まれる必要はなく、凍結乾燥物と別に得ることもできる。他の態様において、キットは、単位用量又は化合物との組合せで使用する医薬組成物を投与する際に使用する1種又は複数種のデバイスを含むことができる。そのようなデバイスの例として、注射器、点滴バッグ、パッチ又は浣腸が挙げられるがこれらに限定されない。幾つかの本発明の態様において、デバイスは、単位用量を封入する容器を含む。
【0061】
開示した化合物を含む医薬組成物は、癌を治療する方法において使用することができる。そのような方法は、治療量の開示した化合物を含む医薬組成物及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩の哺乳動物、好ましくは癌が診断された哺乳動物への投与を含む。
【0062】
治療量は、癌が、新生物性の、悪性の又は転移性の状態に進行することを予防することをさらに含む。そのような予防的使用は、新生物又は癌への進行に先立つことが知られているか又は疑われる状態で、特に、過形成、化生、又は就中、異形成からなる非新生物細胞の増殖が起こった場合に指示される(そのような異常な増殖状態を参照するには、Robbins and Angell, 1976, Basic Pathology, 2d Ed., W. B. Saunders Co., Philadelphia, pp. 68−79を見られたい)。過形成は、構造又は活性における有意の変化はない、組織又は器官における細胞数の増加を含む制御された細胞増殖の形態である。例えば、子宮内膜の過形成はしばしば子宮体癌に先行し、前癌結腸ポリープは、しばしば癌性病変に変形する。化生は、一つのタイプの成熟した又は完全に分化した細胞が他のタイプの成熟細胞を置換する制御された細胞増殖の形態である。化生は、上皮細胞又は結合組織細胞において起こり得る。典型的な化生は、若干混乱した化生上皮を含む。異形成は、しばしば癌の前触れであり、主として上皮に見出される。それは、個々の細胞の均等性及び細胞の構造的配向における減少を含む、非新生物細胞増殖の最も混乱した形態である。異形細胞は、異常に大きい、強く染色される核を有し、且つ多形態性を示すことが多い。異形成は、慢性の刺激又は炎症が存在するところで特徴的に生じ、子宮頸部、気道、口腔、及び胆嚢にしばしば見出される。
【0063】
あるいは過形成、化生、又は異形成として特徴づけられる異常な細胞増殖の存在に加えて、患者由来の細胞試料によりインビボ又はインビトロではっきり示される変形した表現型又は悪性の表現型の1つ又は複数の特徴の存在は、化合物を含む医薬組成物の予防的/治療的投与が望ましいことを示すことができる。変形した表現型のそのような特徴には、形態変化、緩るめの基層結合、接触阻害の喪失、足場依存性の喪失、プロテアーゼ放出、増加した糖輸送、減少した血清要求量、胎児抗原の発現、250,000ダルトンの細胞表面タンパク質の消失、その他が含まれる(変形したか又は悪性の表現型と関連する特徴については、同上文献の84〜90頁を参照されたい)。さらなる例として、白斑症が挙げられ、その例においては、上皮の良性に見える過形成性又は異形性病変、又はボーエン病、その場の癌は、予防的介入の望ましいことを示す新生物発生前の病変である。もう一つの例において、嚢胞性過形成、乳腺異形成、腺疾患、又は良性の上皮過形成を含む線維嚢胞性疾患は、予防的介入の望ましいことを示す。
【0064】
幾つかの本発明の態様において、開示した化合物の使用は、腫瘍のサイズ及び進行度又は1種若しくは複数種の分子マーカー及び/又は予後及び化合物を用いる治療に対してあり得る応答を示す発現のサインなどの1つ若しくは複数の物理的要因により決定することができる。例えば、エストロゲン(ER)受容体及びプロゲステロン(PR)ステロイドホルモン受容体の状態の決定は、乳癌患者のアセスメントにおける日常的手順になっている。例えば、Fitzgibbons et al, Arch. Pathol. Lab. Med. 124:966−78, 2000.を参照されたい。ホルモン受容体陽性の腫瘍の方が、ホルモン療法に応答しやすく、攻撃的に成長することも通常は少なく、それによりER+/PR+腫瘍の患者についての予後はより良い結果になる。さらなる例において、膜貫通型チロシンキナーゼ受容体タンパク質であるヒト上皮性増殖因子受容体2(HER−2/neu)の過剰発現は、良くない乳癌予後と相関し(例えば、Ross et al, The Oncologist 8:307−25, 2003を参照されたい)、乳房腫瘍におけるHer−2発現レベルは、抗Her−2モノクローナル抗体治療のトラツツマブ(Herceptin(登録商標)、Genentech、South San Francisco、CA)に対する応答を予測するために使用される。
【0065】
他の本発明の態様において、疾患に罹っている対象は、該化合物を含む医薬組成物の投与により治療することができる悪性腫瘍に対する素因になる1つ又は複数の要因を示す。そのような素因になる要因には、慢性骨髄性白血病に対するフィラデルフィア染色体及び濾胞性リンパ腫に対するt(14;18)などの悪性腫瘍に関連する染色体転座;結腸癌を示すポリポーシス又はガードナー症候群の発生率;多発性骨髄腫を示す良性モノクローナル高ガンマグロブリン血症、癌若しくは前癌疾患に罹ったことがあるか又は現在罹っている人の血縁、又は発癌物質に対する曝露、又は癌の発生率の上昇を示す現在知られているか又は今後開示される、素因になる任意の他の要因が含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
本発明は、開示した化合物を含む医薬組成物の投与と他の治療様式とを含む組合せ療法を含んでなる癌を治療する方法をさらに包含する。そのような治療様式には、放射線療法、化学療法、外科手術、免疫療法、癌ワクチン、放射免疫療法、開示した化合物を含むもの以外の医薬組成物を用いる治療、又は開示した化合物との組合せで癌を効果的に治療する現在知られているか若しくは今後開示される任意の他の方法が含まれるが、これらに限定されない。組合せ療法は相乗的に作用し得る。即ち、2つの療法の組合せは、単独で投与するどの療法よりも効果的である。このことは、両治療様式の用量を下げて効果的に使用することができるという状況をもたらす。これは、順送りで、どの様式の投与にも関連する毒性及び副作用があれば、有効性を低下させずに、それを低下させる。
【0067】
他の本発明の態様において、開示した化合物を含む医薬組成物は、治療的有効量の放射線療法との組合せで投与される。放射線療法は、化合物を含む医薬組成物の投与と同時に、それに先だって又はそれに続いて行うことができる。放射線療法は、化合物を含む医薬組成物と加法的に又は相乗的に作用し得る。この特定の本発明の態様は、放射線療法に応答することが知られている癌に最も効果的であろう。放射線療法に応答することが知られている癌には、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、ユーイング肉腫、精巣癌、前立腺癌、卵巣癌、膀胱癌、喉頭癌、子宮頸癌、鼻咽腔癌、乳癌、結腸癌、膵癌、頭部及び頸部癌、食道癌、直腸癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、脳腫瘍、他のCNS新生物、又は現在知られているか又は今後開示される任意の他のそのような腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。
【0068】
開示した化合物との組合せで使用することができる医薬組成物の例として、シス−ジアミンジクロロ白金(II)(シスプラチン)、ドキソルビシン、5−フルオロウラシル、タキソールなどの核酸結合組成物及び;エトポシド、テニポシド、イリノテカン及びトポテカンなどのトポイソメラーゼ阻害剤を挙げることができる。さらに他の医薬組成物には、メトクロプロミド、ドンペリドン、プロクロルペラジン、プロメタジン、クロルプロマジン、トリメトベンズアミド、オンタンセトロン、グラニセトロン、ヒドロキシジン、アクエチルロイシンモノエタノールアミン、アリザプリド、アザセトロン、ベンズキンアミド、ビエタナウチン、ブロモプリド、ブクリジン、クレボプリド、シクリジン、ジメンヒドリネート、ジフェニドール、ドラセトロン、メクリジン、メタラタール、メトピマジン、ナビロン、オキシペルンジル、ピパマジン、スコポラミン、スルピリド、テトラヒドロカンナビノール、チエチルペラジン、チオプロペラジン及びトロピセトロンなどの制吐薬組成物が含まれる。
【0069】
開示した化合物を含む医薬組成物との組合せで使用することができる医薬組成物のさらに他の例は、造血性コロニー刺激因子である。造血性コロニー刺激因子の例として、フィルグラスチム、サルグラモスチム、モルグラモスチム及びエポエチンαが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、開示した化合物を含む医薬組成物を、抗不安薬との組合せで使用することもできる。抗不安薬の例としてブスピロン、及びジアゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、クロラゼペートクロナゼパム、クロルジアゼポキシド及びアルプラゾラムなどのベンゾジアゼピンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
開示した化合物を含む医薬組成物との組合せで使用することができる医薬組成物には、鎮痛剤が含まれ得る。そのような薬剤は、オピオイド又は非オピオイド鎮痛剤であってよい。オピオイド鎮痛剤の限定するものではない例として、モルヒネ、ヘロイン、ヒドロモルホン、ヒドロコドン、オキシモルフォン、オキシコドン、メトポン、アポモルフィン、ノルモルヒネ、エトルフィン、ブプレノルフィン、メペリジン、ロペルミド、アニレリジン、エトヘプタジン、ピミニジン、ベタプロジン、ジフェノキシレート、フェントアニル、スフェントアニル、アルフェンタニル、レミフェントアニル、レボルファノール、デキストロメトルファン、フェナゾシン、ペンタゾシン、シクラゾシン、メタドン、イソメサドン及びプロポキシフェンが挙げられる。適当な非オピオイド鎮痛剤には、アスピリン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、ジクロフマク、ジフルシナール、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、インドメタシン、ケトロラック、メクロフェンアメート、メファンアミド酸、ナブメトン、ナプロキセン、ピロキシカム、スリンダク又は現在知られているか又は今後開示される任意の他の鎮痛剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0071】
他の本発明の態様において、開示した化合物を含む医薬組成物は、癌のエクスビボ治療を含む方法との組合せで使用することができる。そのような治療の一例は、自家幹細胞移植である。この方法においては、疾患に罹っている対象の自家造血性幹細胞を捕集して全ての癌細胞を一掃する。次に、開示した化合物を含む医薬組成物の治療量を患者に投与してから、患者自身又は供与者いずれかの幹細胞の添加により対象の骨髄を回復することができる。
【0072】
開示した化合物を単独又は他の治療様式との組合せのいずれかで含む医薬組成物により治療することができる癌には、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、結直腸癌、腎臓癌、膵癌、骨癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、食道癌、胃癌、経口癌、鼻腔癌、咽頭癌、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、延髄癌、気管支原性癌、腎臓細胞癌、肝細胞癌、胆管癌、絨毛上皮腫、精上皮腫、胚性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣癌、小細胞肺癌、膀胱癌、肺癌、上皮癌、神経膠腫、多形神経膠芽腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起膠腫、髄膜腫、皮膚癌、メラノーマ、神経芽細胞腫、及び網膜芽細胞腫などの固体腫瘍が含まれる。
【0073】
開示した化合物を含む医薬組成物により治療することができるさらなる癌には、血液由来の癌などの急性リンパ芽球性白血病(「ALL」)、急性リンパ芽球性B−細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性骨髄芽球性白血病(「AML」)、急性前骨髄球白血病(「APL」)、急性単芽球白血病、急性赤白血病、急性巨核芽球白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ球白血病、急性未分化白血病、慢性骨髄球性白血病(「CML」)、慢性リンパ球性白血病(「CLL」)、毛様細胞白血病、多発性骨髄腫、リンパ芽球性白血病、骨髄性白血病、リンパ球性白血病、骨髄球性白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、H鎖病、及び真性赤血球増多症が含まれる。
【0074】
本発明の異なった複数の側面を表わす例を以下に示す。そのような例は、開示の範囲を限定すると解釈すべきではない。本発明の代替的機構の経路及び類似の構造範囲内は、当業者には明らかであろう。
【実施例】
【0075】
実施例における要件及び行為は、本発明を簡単のために例示することを意図しており、如何なる特定の順序又は実施形態にしたがって示しているわけでもない。実施例も本発明者らによる本発明の所有を確立することを意図する。
【0076】
N−(2−アミノフェニル)−4−(1−イソプロピル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド。ID#1
【0077】
【化6】

【0078】
N−ヒドロキシ−4−(1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド。ID#2
【0079】
【化7】

【0080】
4−(1−シクロブチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド。ID#3
【0081】
【化8】

【0082】
N−ヒドロキシ−4−(1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド。ID#4
【0083】
【化9】

【0084】
4−(1−シクロペンチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド。ID#5
【0085】
【化10】

【0086】
4−(5−ブロモ−1−イソプロピル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド。ID#6
【0087】
【化11】

【0088】
4−(6−ブロモ−1−イソプロピル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド。ID#7
【0089】
【化12】

【0090】
N−ヒドロキシ−4−(1−(2−メトキシエチル)−5−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド。ID#8
【0091】
【化13】

【0092】
N−ヒドロキシ−4−(1−(3−メトキシプロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド。ID#9
【0093】
【化14】

【0094】
4−(5−ブロモ−1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド。ID#10
【0095】
【化15】

【0096】
N−ヒドロキシ−4−(1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド。ID#11
【0097】
【化16】

【0098】
4−(5−フルオロ−1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド。ID#12
【0099】
【化17】

【0100】
N−ヒドロキシ−4−(1−(2−イソプロポキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド。ID#13
【0101】
【化18】

【0102】
4−(5−(3−フルオロフェニル)−1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド。ID#14
【0103】
【化19】

【0104】
N−ヒドロキシ−4−(1−(2−メトキシエチル)−5−(ピリミジン−5−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド。ID#15
【0105】
【化20】

【0106】
4−(5−シクロプロピル−1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド。ID#16
【0107】
【化21】

【0108】
4−(5−ブロモ−1−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド。ID#17
【0109】
【化22】

【0110】
N−ヒドロキシ−4−(1−イソプロピル−5−(ピリミジン−5−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド。ID#18
【0111】
【化23】

【0112】
N−ヒドロキシ−4−(1−イソプロピル−5−(ピリジン−3−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド。ID#19
【0113】
【化24】

【0114】
N−(2−アミノフェニル)−4−(1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド。ID#20
【0115】
【化25】

【0116】
4−(6−フルオロ−1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド。ID#21
【0117】
【化26】

【0118】
4−(4−フルオロ−1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド。ID#22
【0119】
【化27】

【0120】
N−ヒドロキシ−4−(1−イソプロピル−5−(メトキシメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド。ID#23
【0121】
【化28】

【0122】
【化29】

【0123】
化合物の合成は、式1の2−フルオロニトロベンゼンで始まる(スキーム1)。Rが芳香環であるとき、式1の2−フルオロニトロベンゼンは、式8の対応する臭化物から鈴木クロスカップリング反応により調製することができる。R’NH 9を用いるアミン添加により式2のニトロベンゼンが生じて、それを式3のジアニリンの形態に還元する。N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDC)は、式3のジアニリンとメチル4−イソチオシアナトベンゾエートとの環化を媒介して式4のメチルエステルを生成させる。式4のメチルエステルのヒドロキシルアミン及び水酸化ナトリウム溶液による処理の結果として、式5のヒドロキサミド酸が生成する。あるいは、式4のメチルエステルの加水分解により、式6のカルボン酸が生ずる。それに続くtert−ブチル2−アミノフェニルカルバメートによるアミド形成反応に続いて、保護基の除去により式7のアミドが生ずる。
【0124】
実施例1
N−(2−アミノフェニル)−4−(1−イソプロピル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミドの合成。(化合物ID#1)
イソプロピルアミン(3mL)を1−フルオロ−2−ニトロベンゼン(500mg、3.55mmol)のエタノール溶液に加える。反応液は、室温で終夜攪拌して濃縮することができる。残渣は、例えばBiotageカラムクロマトグラフィーにより精製することができて、N−イソプロピル−2−ニトロアニリン(590mg)が得られる。
【0125】
ギ酸アンモニウム(960mg、15.0mmol)をN−イソプロピル−2−ニトロアニリン(550mg、3.03mmol)のメタノール溶液に加える。これに続いて触媒量のパラジウム炭素(5%)を加えることができる。混合物は、終夜還流させて、室温に冷却し濾過することができる。濾液は、任意の適用可能な任意の手段により濃縮することができて、残渣は、例えばBiotageカラムクロマトグラフィーにより精製することができ、N1−イソプロピルベンゼン−1,2−ジアミン(398mg)が得られる。
【0126】
N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDC、206mg、1.34mmol)を、N1−イソプロピルベンゼン−1,2−ジアミン(100mg、0.67mmol)及びメチル4−イソチオシアナトベンゾエート(138mg、0.67mmol)のテトラヒドロフラン溶液に加える。反応液を加熱して、しばらく(例えば2時間)還流させて、室温に冷却することができる。該混合物は、酢酸エチルで希釈し、濾過して濃縮することができる。残渣は、Biotageカラムクロマトグラフィーを含む任意の方法により精製することができて、メチル4−(1−イソプロピル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンゾエート(122mg)が得られる。
【0127】
1N水酸化リチウム溶液(1.2mL、1.2mmol)をメチル4−(1−イソプロピル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンゾエート(122mg、0.395mmol)の溶液に加える。反応液は、室温で終夜攪拌して濃縮することができる。1N塩酸塩溶液を残渣に加えて白色沈殿を濾過により捕集し、4−(1−イソプロピル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)安息香酸(66mg)を得ることができる。
【0128】
2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU、62mg、0.16mmol)を4−(1−イソプロピル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)安息香酸(40mg、0.13mmol)、tert−ブチル2−アミノフェニルカルバメート(34mg、0.16mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.047mL、0.27mmol)の溶液に加えた。反応液は室温で2時間など適当な時間攪拌して、水により反応を停止することができる。混合物は、酢酸エチルなどの任意の適当な試薬で抽出して濃縮することができる。残渣は、Biotageカラムクロマトグラフィーを含む任意の適当な方法により精製して、tert−ブチル2−(4−(1−イソプロピル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド)フェニルカルバメート(58mg)を得ることができる。
【0129】
Tert−ブチル2−(4−(1−イソプロピル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド)フェニルカルバメート(58mg)をジオキサン中の4N塩化水素2mLで処理する。反応液は、室温で1時間攪拌して濃縮することができる。Biotageカラムクロマトグラフィーを含む任意の適当な方法により残渣を精製して、化合物#1(19mg)を得ることができる。MS(M+1に対する計算値:386;実測値386)
実施例2
N−ヒドロキシ−4−(1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミドの合成(化合物ID#4)
2−メトキシエタンアミン(3mL)を1−フルオロ−2−ニトロベンゼン(400mg、2.84mmol)のエタノール溶液に加える。反応液は、室温で適当な時間(終夜など)攪拌して濃縮することができる。Biotageカラムクロマトグラフィーを含む任意の適当な方法により残渣を精製して、N−(2−メトキシエチル)−2−ニトロアニリン(477mg)を得ることができる。
【0130】
ギ酸アンモニウム(727mg、11.3mmol)、続いて触媒量のパラジウム炭素(5%)をN−(2−メトキシエチル)−2−ニトロアニリン(426mg、2.17mmol)のメタノール溶液に加える。混合物は、適当な時間(終夜など)還流させて、適当な温度(室温など)に冷却し、濾過することができる。濾液を濃縮し、残渣をBiotageカラムクロマトグラフィーにより精製して、N1−(2−メトキシエチル)ベンゼン−1,2−ジアミン(319mg)を得ることができる。
【0131】
N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDC、791mg)をN1−(2−メトキシエチル)ベンゼン−1,2−ジアミン(311mg、1.87mmol)及びメチル4−イソチオシアナトベンゾエート(328mg、1.70mmol)のテトラヒドロフラン溶液に加える。反応液を加熱して2時間還流させて室温に冷却することができる。混合物は、酢酸エチルなどの適当な溶媒に希釈して、濾過し濃縮することができる。Biotageカラムクロマトグラフィーを含む任意の適当な方法により残渣を精製して、メチル4−(1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンゾエート(381mg)を得ることができる。
【0132】
3mLのヒドロキシルアミン(水中50%)、続いて水酸化ナトリウム溶液(1N、1.2mL)を、4−(1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンゾエート(160mg、0.64mmol)のテトラヒドロフラン/メタノール(4:1)混合物中の溶液に加える。混合物は、室温で終夜攪拌して濃縮することができる。残渣を1N HClなどの適当な酸で酸性化して、Biotageカラムクロマトグラフィーなどの適当な精製方法により精製し、化合物#4(115mg)を得ることができる。HNMR(CD3OD):7.74(d、2H)、7.66(d、2H)、7.42(dd、IH)、7.32(dd、IH)、7.13(dd、2H)、4.37(t、2H)、3.75(t、2H)、3.37(s、3H)。MS(M+lに対する計算値:327;実測値327)
実施例3
4−(5−ブロモ−1−イソプロピル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミドの合成(化合物ID#6)
イソプロピルアミン(3mL)を4−ブロモ−1−フルオロ−2−ニトロベンゼン(700mg、3.18mmol)のエタノール溶液に加える。反応液を室温で終夜など適当な温度で適当な時間攪拌して濃縮することができる。Biotageカラムクロマトグラフィーなどの任意の適当な方法により残渣を精製して、4−ブロモ−N−イソプロピル−2−ニトロアニリン(770mg)を得ることができる。
【0133】
塩化スズ(II)(1.69g、8.90mmol)を4−ブロモ−N−イソプロピル−2−ニトロアニリン(770mg、2.97mmol)のエタノール溶液に加える。混合物を加熱して適当な時間(4時間など)還流させて冷却することができる。4N水酸化ナトリウムを溶液に加えて、次に濾過することができる。濾液を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を塩水で洗浄して濃縮することができる。Biotageカラムクロマトグラフィーを含む任意の適当な方法により残渣を精製して、4−ブロモ−N1−イソプロピルベンゼン−1,2−ジアミン(513mg)を得ることができる。
【0134】
N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDC、331mg、2.18mmol)を、4−ブロモ−N1−イソプロピルベンゼン−1,2−ジアミン(180mg、0.786mmol)及びメチル4−イソチオシアナトベンゾエート(140mg、0.725mmol)のテトラヒドロフラン溶液に加えた。反応液を加熱して2時間還流させ、室温に冷却した。混合物を酢酸エチルで希釈して、1N HCl及び飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を濃縮してBiotageカラムクロマトグラフィーにより精製し、メチル4−(5−ブロモ−1−イソプロピル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンゾエート(202mg)を得た。
【0135】
2.3mLのヒドロキシルアミン(水中50%)、続いて水酸化ナトリウム溶液(1N、0.8mL)を、メチル4−(5−ブロモ−1−イソプロピル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンゾエート(100mg、0.258mmol)のテトラヒドロフラン/メタノール(4:1)混合物中の溶液に加える。混合物を室温で終夜攪拌して濃縮した。残渣を1N HClなどの任意の適当な酸により酸性化して、Biotageカラムクロマトグラフィーなどの任意の適当な方法により精製し、化合物#6(56mg)を得ることができる。MS(M+lに対する計算値:390;実測値 390)
実施例4
N−ヒドロキシ−4−(1−(2−メトキシエチル)−5−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミドの合成。(化合物ID#8)
ジオキサンを、窒素雰囲気下で4−ブロモ−1−フルオロ−2−ニトロベンゼン(220mg、1.00mmol)、ベンゼンボロン酸(143mg、1.20mmol)、リン酸カリウム(636mg、3.00mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(55mg、0.05mmol)の混合物に加える。反応液を90°Cなどの適当な温度に加熱して、終夜などの適当な時間攪拌して濃縮することができる。濾液を濃縮して、Biotageカラムクロマトグラフィーにより精製し、4−フルオロ−3−ニトロビフェニル(200mg)を得ることができる。
【0136】
2−メトキシエタンアミン(1.5mL)を4−フルオロ−3−ニトロビフェニル(200mg、0.92mmol)のエタノール溶液に加える。反応液を室温で終夜攪拌して濃縮することができる。Biotageカラムクロマトグラフィーなどの任意の適当な方法により残渣を精製して、N−(2−メトキシエチル)−3−ニトロビフェニル−4−アミン(228mg)を得ることができる。
【0137】
ギ酸アンモニウム(360mg、5.6mmol)、続いて触媒量のパラジウム炭素(5%)を、N−(2−メトキシエチル)−3−ニトロビフェニル−4−アミン(228mg、0.84mmol)のメタノール溶液に加えた。混合物を終夜還流させ、適当な温度に冷却して、濾過することができる。濾液を濃縮して、Biotageカラムクロマトグラフィーを含む任意の適当な方法により残渣を精製して、N−(2−メトキシエチル)−3−ニトロビフェニル−4−アミン(182mg)を得ることができる。
【0138】
N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDC、200mg、1.44mg)を、N−(2−メトキシエチル)−3−ニトロビフェニル−4−アミン(119mg、0.48mmol)及びメチル4−イソチオシアナトベンゾエート(83mg、0.43mmol)のテトラヒドロフラン溶液に加える。反応液を2時間などの適当な時間還流して冷却することができる。混合物を酢酸エチルで希釈し、濾過し濃縮することができる。Biotageカラムクロマトグラフィーを含む任意の適当な方法により残渣を精製して、メチル4−(1−(2−メトキシエチル)−5−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンゾエート(96mg)を得ることができる。
【0139】
1.8mLのヒドロキシルアミン(水中50%)、続いて水酸化ナトリウム溶液(1N、0.36mL)を、メチル4−(1−(2−メトキシエチル)−5−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンゾエート(74mg、0.18mmol)のテトラヒドロフラン/メタノール(4:1)混合物中の溶液に加える。混合物を室温で終夜攪拌して濃縮することができる。残渣を1N HClなどの任意の適当な酸で酸性化して、Biotageカラムクロマトグラフィーを含む任意の適当な方法により精製し、化合物#8(36mg)を得ることができる。MS(M+lに対する計算値:403;実測値 403)
実施例5
N−ヒドロキシ−4−(1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド。(化合物ID#2)
該化合物は、メチルアミンを使用する以外は実施例2の合成方法にしたがって調製した。MS(M+lに対する計算値:283;実測値 283)
実施例6
4−(1−シクロブチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド。(化合物ID#3)
該化合物は、シクロブチルアミンを使用する以外は実施例2の合成方法にしたがって調製した。MS(M+lに対する計算値:323;実測値 323)。
【0140】
実施例7
4−(1−シクロペンチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド。(化合物ID#5)
該化合物は、シクロペンチルアミンを使用する以外は実施例2の合成方法にしたがって調製した。MS(M+lに対する計算値:337;実測値 337)。
【0141】
実施例8
4−(6−ブロモ−1−イソプロピル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド。(化合物ID#7)
化合物は、4−ブロモ−2−フルオロ−1−ニトロベンゼンを使用する以外は実施例4の合成方法にしたがって調製した。MS(M+lに対する計算値:390;実測値 390)。
【0142】
実施例9
N−ヒドロキシ−4−(1−(3−メトキシプロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド。(化合物ID#9)
化合物は、3−メトキシプロパン−1−アミンを使用する以外は実施例2の合成方法にしたがって調製した。MS(M+lに対する計算値:341;実測値 341)。
【0143】
実施例10
4−(5−ブロモ−1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド。(化合物ID#10)
化合物は、2−メトキシエタンアミンを使用する以外は実施例3の合成方法にしたがって調製した。MS(M+lに対する計算値:406;実測値 406)。
【0144】
実施例11
N−ヒドロキシ−4−(1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド。(化合物ID#11)
化合物は、2−アミノエタノールを使用する以外は実施例2の合成方法にしたがって調製した。MS(M+lに対する計算値:313;実測値 313)。
【0145】
実施例12
4−(5−フルオロ−1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド。(化合物ID#12)
化合物は、1,4−ジフルオロ−2−ニトロベンゼンを使用する以外は実施例2の合成方法にしたがって調製した。MS(M+lに対する計算値:345;実測値 345)。
【0146】
実施例13
N−ヒドロキシ−4−(1−(2−イソプロポキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド。(化合物ID#13)
化合物は、2−イソプロポキシエタンアミンを使用する以外は実施例2の合成方法にしたがって調製した。MS(M+lに対する計算値:355;実測値 355)。
【0147】
実施例14
4−(5−(3−フルオロフェニル)−1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド。(化合物ID#14)
化合物は、l,5−ジフルオロ−2−ニトロベンゼンを使用する以外は実施例2の合成方法にしたがって調製した。MS(M+lに対する計算値:345;実測値 345)。
【0148】
実施例15
N−ヒドロキシ−4−(1−(2−メトキシエチル)−5−(ピリミジン−5−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド。(化合物ID#15)
化合物は、5−ピリミジンボロン酸及び2−メトキシエタンアミンを使用する以外は実施例4の合成方法にしたがって調製した。MS(M+lに対する計算値:405;実測値 405)。
【0149】
実施例16
4−(5−シクロプロピル−1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド。(化合物ID#16)
化合物は、シクロプロピルボロン酸及び2−メトキシエタンアミンを使用する以外は実施例4の合成方法にしたがって調製した。MS(M+lに対する計算値:367;実測値 367)。
【0150】
実施例17
4−(5−ブロモ−1−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド。(化合物ID#17)
化合物は、N1,N1−ジメチルエタン−1,2−ジアミンを使用する以外は実施例3の合成方法にしたがって調製した。MS(M+lに対する計算値:419;実測値 419)。
【0151】
実施例18
N−ヒドロキシ−4−(1−イソプロピル−5−(ピリミジン−5−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド。(化合物ID#18)
化合物は、3−ピリミジンボロン酸を使用する以外は実施例4の合成方法にしたがって調製した。MS(M+lに対する計算値:389;実測値 389)。
【0152】
実施例19
N−ヒドロキシ−4−(1−イソプロピル−5−(ピリジン−3−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド。(化合物ID#19)
化合物は、3−ピリジンボロン酸を使用する以外は実施例4の合成方法にしたがって調製した。MS(M+lに対する計算値:388;実測値 388)。
【0153】
実施例20
N−(2−アミノフェニル)−4−(1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド。(化合物ID#20)
化合物は、2−メトキシエタンアミンを使用する以外は実施例1の合成方法にしたがって調製した。MS(M+lに対する計算値:402;実測値 402)。
【0154】
実施例21
4−(6−フルオロ−1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド。(化合物ID#21)
化合物は、2,4−ジフルオロ−1−ニトロベンゼンを使用する以外は実施例2の合成方法にしたがって調製した。MS(M+lに対する計算値:345;実測値 345)。
【0155】
実施例22
4−(4−フルオロ−1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド。(化合物ID#22)
化合物は、1,3−ジフルオロ−2−ニトロベンゼンを使用する以外は実施例2の合成方法にしたがって調製した。MS(M+lに対する計算値:345;実測値 345)。
【0156】
実施例23
N−ヒドロキシ−4−(1−イソプロピル−5−(メトキシメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド。(化合物ID#23)
化合物は、1−フルオロ−4−(メトキシメチル)−2−ニトロベンゼンを使用する以外は実施例2の合成方法にしたがって調製した。MS(M+lに対する計算値:355;実測値 355)。
【0157】
実施例24
細胞傷害性及び化合物の細胞増殖に対する効果を評価するために、さまざまな濃度の上でリストを挙げた化合物の存在下の異なった時点における細胞生存率を使用した。細胞ラインSKOV3及びA2780における開示した化合物についてのIC50(又はパーセント活性)データを表1にまとめてある。
【0158】
細胞生存率アッセイ:細胞生存率をCellTiter−Blue(登録商標)細胞生存率アッセイPromega(Madison、WI)により測定した。この手順は、指示薬染料(レサズリン)のレソルフィンへの変換を、細胞生存率の指標として測定する。処理後、増殖培地を除去し、細胞を20μlのCellTiter−Blue(登録商標)試薬及び増殖培地とともに1〜4時間37℃でインキュベートした。蛍光値をBeckman−Coulter DTX−880マイクロプレートリーダーを使用して535/590nmで測定した。
【0159】
単独薬剤の検討:細胞を70%コンフルエントに増殖させて、トリプシン処理し、計数して、96ウェルの平底プレートに最終的濃度2.5×10〜5×10細胞/ウェルで接種した(第0日)。細胞を増殖培地中で24時間インキュベートして接着を最大にした。試験薬剤又は標準薬剤による処理は第1日に開始して72時間継続した。72時間の時点で、処理薬含有培地を除去した。生存細胞数を上記のCellTiter−Blue(登録商標)細胞生存率アッセイにより定量した。実験を少なくとも2回同じ濃度で繰り返し、増殖阻害活性を決定した。これらの検討の結果を使用して、各化合物についてIC50値(細胞増殖を対照の50パーセントまで阻害する薬剤濃度)を計算した。
【0160】
データ収集:単独薬剤及び組合せの検討、データは、各実験から集めて、以下の計算を使用して細胞増殖率(%)として表した:
細胞増殖率(%)=(ftest/fvehicle)×100
式中、ftestは、試験した試料の蛍光であり、及びfvehicleは薬剤が溶解しているビヒクルの蛍光である。用量応答グラフ及びIC50値を以下の式を使用するソフトウェアPrism4(GraphPad)を使用して発生させた:
【0161】
【数1】

【0162】
式中、Xは濃度の対数であり、Yは応答である。Yは底部(Bottom)で始まりS字形で頂点(Top)に行く。
【0163】
さらに、A2780異種移植モデルにおける化合物ID#4のインビボにおける有効性の検討を図1に示す。開示した化合物のインビボにおける有効性を、ヒト卵巣腫瘍異種移植モデルにより試験した。雌Ncrヌードマウスに、50%Matrigelと50%組織培養培地との混合物合計100μlの体積中に懸濁した1×10のA2780ヒト卵巣細胞を接種した。接種後4日目に、マウスをペアマッチングして、1群当たり平均腫瘍重量157mgで1群当たりマウス7〜8匹の4群にした。群1(Gl)は、毎日ビヒクルのみで14日間処理した。群3(G3)は、化合物ID#4(T062)により毎日100mg/kgで14日間処理した。群5(G5)は、第1日のみドキシル3mg/kgで処理した。群6(G6)は、化合物ID#4(T062)50mg/kg(毎日14日間)に加えて第1日のみドキシル3mg/kgで処理した。群7(G7)は、化合物ID#4(T062)100mg/kg(毎日14日間)に加えて第1日のみドキシル3mg/kgで処理した。ビヒクル及び化合物ID#4は、経口経管栄養により経口的に投与したが、ドキシルは尾部注射により静脈内に投与した。体重及び腫瘍の測定は、毎週2回集めた。腫瘍の幅及び長さをミリメートルで測定し、式(幅×長さ/2)=腫瘍重量(mg)を使用して腫瘍重量(ミリグラム表示)に変換した。群6及び群7は、ドキシルを単独薬剤として用いた群5にまさる改善された有効性を示した(図1を参照されたい)。
【0164】

表1
実施例の化合物のSKOV3細胞及びA2780細胞におけるIC50(IC50、μM)
【0165】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】


(式中、Xは、H、ハロ、−C−Cアルキル、アリール、−C−Cシクロアルキル、及び−3から10員の複素環からなる群から選択され;
Yは、H、−C−Cアルキル、及び−C−Cシクロアルキルからなる群から選択され;
Zは、メチル、−NH、−NHOH、及び構造
【化2】


のフェニレンジアミン基(II)
からなる群から選択され;及び
Qは、H、F及びClからなる群から選択される)
の化合物、並びに全てのそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、及び化学的に保護された形体。
【請求項2】
化合物が:
N−(2−アミノフェニル)−4−(1−イソプロピル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド、
N−ヒドロキシ−4−(1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド、
4−(1−シクロブチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド、
N−ヒドロキシ−4−(1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド、
4−(1−シクロペンチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド、
4−(5−ブロモ−1−イソプロピル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド、
4−(6−ブロモ−1−イソプロピル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド、
N−ヒドロキシ−4−(1−(2−メトキシエチル)−5−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド、
N−ヒドロキシ−4−(1−(3−メトキシプロピル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド、
4−(5−ブロモ−1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド、
N−ヒドロキシ−4−(1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド、
4−(5−フルオロ−1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド、
N−ヒドロキシ−4−(1−(2−イソプロポキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド、
4−(5−(3−フルオロフェニル)−1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド、
N−ヒドロキシ−4−(1−(2−メトキシエチル)−5−(ピリミジン−5−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド、
4−(5−シクロプロピル−1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド、
4−(5−ブロモ−1−(2−(ジメチルアミノ)エチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド、
N−ヒドロキシ−4−(1−イソプロピル−5−(ピリミジン−5−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド、
N−ヒドロキシ−4−(1−イソプロピル−5−(ピリジン−3−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド、
N−(2−アミノフェニル)−4−(1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド、
4−(6−フルオロ−1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド、
4−(4−フルオロ−1−(2−メトキシエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド、及び
N−ヒドロキシ−4−(1−イソプロピル−5−(メトキシメチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)ベンズアミド
からなる群から選択される、請求項1の化合物。
【請求項3】
【化3】

を含む、医薬品を合成する方法。
【請求項4】
化合物1が1−フルオロ−2−ニトロベンゼンである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
化合物1が4−ブロモ−1−フルオロ−2−ニトロベンゼンである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
化合物1が2,4−ジフルオロ−1−ニトロベンゼンである、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
化合物1が1,3−ジフルオロ−2−ニトロベンゼンである、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
化合物1が1−フルオロ−4−(メトキシメチル)−2−ニトロベンゼンである、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
化合物8が4−ブロモ−1−フルオロ−2−ニトロベンゼンである、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
化合物8が4−ブロモ−2−フルオロ−1−ニトロベンゼンである、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
化合物9が2−メトキシエタンアミンである、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
化合物9がメチルアミンである、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
化合物9がシクロブチルアミンである、請求項4に記載の方法。
【請求項14】
化合物9がシクロペンチルアミンである、請求項4に記載の方法。
【請求項15】
化合物9が3−メトキシプロパン−1−アミンである、請求項4に記載の方法。
【請求項16】
化合物9が2−アミノエタノールである、請求項4に記載の方法。
【請求項17】
化合物9が2−イソプロポキシエタンアミンである、請求項4に記載の方法。
【請求項18】
化合物9がN1,N1−ジメチルエタン−1,2−ジアミンである、請求項4に記載の方法。
【請求項19】
化合物9がイソプロピルアミンである、請求項5に記載の方法。
【請求項20】
化合物9が2−メトキシエタンアミンである、請求項5に記載の方法。
【請求項21】
化合物10がベンゼンボロン酸である、請求項9に記載の方法。
【請求項22】
化合物10が5−ピリミジンボロン酸である、請求項9に記載の方法。
【請求項23】
化合物10がシクロプロピルボロン酸である、請求項9に記載の方法。
【請求項24】
化合物10が3−ピリジンボロン酸である、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−531416(P2012−531416A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517571(P2012−517571)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/038290
【国際公開番号】WO2010/151441
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(509263168)ザ・トランスレーショナル・ジェノミクス・リサーチ・インスティチュート (3)
【Fターム(参考)】